医療用シリンジのための閉鎖体
本発明は、シリンジシリンダ(3)とシリンジ頚部(23)とを備えた医療用シリンジのための閉鎖体(1)において、シリンジ頚部(23)に装着可能なアダプタ(6)と、該アダプタ(6)に装着可能なスクリュ式閉鎖体(4)と、該スクリュ式閉鎖体(4)に結合された裂開リング(13)と、シリンジ頚部(23)に導入可能な閉鎖キャップ(5)とが設けられていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用シリンジのための閉鎖体に関する。
【0002】
DE19956243A1に開示された医療用シリンジは、シリンジシリンダと、このシリンジシリンダの遠位端においてこのシリンジシリンダに結合されているシリンジ頚部とを有している。シリンジ頚部には閉鎖キャップが装着可能である。閉鎖キャップの周りにはスリーブが設けられている。このスリーブを備えた閉鎖キャップは、外側キャップ内に挿入可能である。この外側キャップは目標破損箇所を有しているので、外側キャップの遠位部分は取り外すことができ、これに対して外側キャップの近位部分はシリンジに残る。その後で閉鎖キャップは取り外すことができ、シリンジを使用することができる。シリンジに残っている近位部分は、シリンジが開放されたことを示す。
【0003】
本発明の課題は、閉鎖体が開放されたか否かを認識することができる医療用シリンジのための閉鎖体を提供することであり、しかもこの場合閉鎖体は、種々様々な多数のシリンジにおいて使用できることが望まれている。
【0004】
この課題を解決するために本発明の構成では、請求項1記載のように、シリンジシリンダと、該シリンジシリンダの遠位端において該シリンジシリンダに結合されているシリンジ頚部とを備えた医療用シリンジのための閉鎖体において、シリンジ頚部に装着可能なアダプタと、該アダプタに装着可能なスクリュ式閉鎖体と、該スクリュ式閉鎖体に結合された裂開リングと、シリンジ頚部に導入可能な閉鎖キャップとが設けられている。
【0005】
本発明による閉鎖体の別の有利な構成は、請求項2〜請求項9に記載されている。
【0006】
別の本発明は、このような閉鎖体を備えた医療用シリンジである。
【0007】
シリンジ頚部に装着可能なアダプタは、多数の医療用シリンジへの閉鎖体の適合を可能にする。特に、スクリュ式閉鎖体の雌ねじ山と螺合する雄ねじ山をシリンジ頚部に設ける必要がなくなる。
【0008】
スクリュ式閉鎖体と裂開リングとが突出部を有していると有利であり、これらの突出部は連行係止体として働く。ウェブは裂開ウェブとして働く。連行係止体は裂開リングを螺合時に連行することができる。閉鎖体がねじられると、ウェブが裂けて、係止体はその機能を失う。
【0009】
突出部の、互いに向かい合っている縁部がシリンジの長手方向に方向付けられていて、これに対して互いに反対側に位置する縁部がシリンジの長手方向に対して傾けられていると、有利である。このように構成されていると、螺合により取り付ける際には良好な連行機能を保証することができ、これに対して捩って外す場合には、ウェブが裂けて、突出部は互いに対して滑動することができる。
【0010】
スクリュ式閉鎖体がカバープレートを備えていると有利である。シリンジが例えば航空運搬時に外部の負圧にさらされた場合でも、カバープレートは閉鎖キャップを保持する。カバープレートは、シリンジが過熱された水又は水蒸気によって滅菌処理される時に、シリンジの内部において過圧が発生した場合に、閉鎖キャップを保持する。
【0011】
また、カバープレートに開放セグメントが設けられていると有利である。このような開放セグメントは、閉鎖キャップの存在に対する監視を可能にし、開放セグメントは、高圧蒸気処理いわゆるオートクレーブの際における強力な水交換を可能にし、かつ開放セグメントは、工程間検査時における対応押圧プランジャによる閉鎖キャップの支持を可能にする。さらにまた開放セグメントは、スクリュ式閉鎖体を捩って取り外すための回動工具の導入を可能にする。
【0012】
次に図面を参照しながら、本発明の実施例を記載する。
【0013】
図1は、医療用シリンジの全体を示す図であり、
図2は、挿入された閉鎖キャップ、装着されたアダプタ及びスクリュ式閉鎖体と共に医療用シリンジのシリンジ頚部を示す断面図であり、
図3は、スクリュ式閉鎖体を示す斜視図であり、
図4は、スクリュ式閉鎖体を示す平面図であり、
図5は、スクリュ式閉鎖体を示す側面図であり、
図6は、スクリュ式閉鎖体を示す断面図であり、
図7は、スクリュ式閉鎖体におけるウェブ及び突出部を示す拡大図であり、
図8は、アダプタを示す斜視図であり、
図9は、アダプタを示す平面図であり、
図10は、アダプタを示す断面図であり、
図11は、アダプタを示す側面図である。
【0014】
図1には、本発明の1実施形態による閉鎖体を装着された医療用シリンジもしくは医療用注射器が示されている。図面において下に示された端部は近位の方向を示し、これに対して図面で見て上に示された端部は遠位の方向を示している。この表現「近位」及び「遠位」は以下の記載において、これらの方向を示すために使用される。つまり本明細書では、シリンジを使用する人の手に近い方を「近位」と呼び、必要な場合にニードルもしくは注射針が取り付けられる方を「遠位」と呼んでいる。
【0015】
図1に示されているように、閉鎖体1は図1に示されていないニードル肩部に載置されている。このニードル肩部はシリンジ肩部2を介してシリンジシリンダ3と結合されている。シリンジシリンダ3には、近位端からピストン(図示せず)が導入される。ピストンは、近位端をシールするために働き、かつ、シリンジシリンダ3内へのその進入運動時に、シリンジ内における媒体をニードル肩部及びニードル(図示せず)を通して押し出すために働く。
【0016】
図2から最も良く分かるように、閉鎖体1は主として3つの構成要素から成っている。閉鎖体1はスクリュ式閉鎖体4と閉鎖キャップ5とアダプタ6とから成っている。
【0017】
以下においては図2〜図7を参照しながら、スクリュ式閉鎖体4について述べる。スクリュ式閉鎖体4は、近位端に向かって開放したコップ形状を有している。スクリュ式閉鎖体4はほぼその長手方向軸線7を中心にして回転対称的に形成されている。スクリュ式閉鎖体4の近位端とは反対の上側において、カバープレート8はスクリュ式閉鎖体4と一体的に形成されている。カバープレート8はほぼ円弧形の長孔9を有している。これらの長孔9は回動工具を導入するために働く。さらにこれらの長孔9は閉鎖キャップ5の点検を可能にする。シリンジを最終滅菌のために高圧蒸気処理つまりオートクレーブしたい場合には、長孔9は閉鎖キャップ5への熱水及び蒸気の進入を可能にする。スクリュ式閉鎖体4は機械的な強度を高めるために、外側において長手方向軸線の方向で延びる複数のフィンもしくはリブ10を備えている。
【0018】
スクリュ式閉鎖体4はその近位端に拡大されたねじ区分11を有している。このねじ区分11は図6に示されているように、雌ねじ山12を備えている。そして図7から最も良く分かるように、ひねってもしくは捩って裂開させるための裂開リング13がウェブ14によって本来のスクリュ式閉鎖体4と結合されている。ウェブ14は、スクリュ式閉鎖体4の長手方向軸線7を中心にして対称的に形成されている台形を有している。裂開リング13は、この裂開リング13を全周にわたって取り囲む襞15を有している。スクリュ式閉鎖体4の下側の近位端には第1の突出部16が設けられており、これに対して裂開リング13の上側の遠位端には第2の突出部17が設けられている。特に図7から分かるように、スクリュ式閉鎖体4の第1の突出部16はそれぞれ、裂開リング13の第2の突出部17に隣接して形成されている。第1の突出部16の、第2の突出部17に向けられた縁部18は、ほぼスクリュ式閉鎖体4の長手方向軸線7の方向に延びている。それに対して第1の突出部16の、第2の突出部17とは反対側の縁部20は、スクリュ式閉鎖体4の長手方向軸線7に対して傾けられて延びている(図7参照)。また第2の突出部17の、第1の突出部16とは反対側の縁部20も、スクリュ式閉鎖体4の長手方向軸線7に対して傾けられて延びている(図7参照)。
【0019】
図6から最も良く分かるように、カバープレート8の内側には、半球状の突出部である球欠体22が設けられている。図2に示されているように、この球欠体22は閉鎖キャップ5と共働する。特に、球欠体22が閉鎖キャップ5を押圧することによって、閉鎖キャップ5をシリンジ頚部23に保持することができる。スクリュ式閉鎖体4が捩って嵌められる場合に、球欠体22は小さな面積でしか閉鎖キャップ5に接触しない。従ってスクリュ式閉鎖体4の回動によって、閉鎖キャップ5に対してトルクが加えられることはない。
【0020】
次に図2及び図8〜図11を参照しながらアダプタ6について述べる。アダプタ6はシリンダ24から形成されている。シリンダ24は上側及び下側において開放している。シリンダ24の遠位端には雄ねじ山25が形成されている。シリンダ24の近位端にはフランジ26が形成されている。次に閉鎖キャップ5について図2を参照しながら述べる。閉鎖キャップ5はほぼコップ形状である。閉鎖キャップ5はシリンジ頚部23に導入可能である。閉鎖キャップ5を良好に固定するために、シリンジ頚部23の内側は、閉鎖キャップ5を受容するために、溝18を備えた内方に向かって突出した壁27によって形成されている。
【0021】
閉鎖体の使用時にはまず初めにアダプタ6がシリンジ頚部23に被せ嵌められる。このアダプタ6はシリンジ頚部23に装着されて溶接される。この場合レーザ溶接、超音波法、マイクロウェーブ法又は接着法が適している。これによってアダプタ6は、頚部23にねじ山25を備えたシリンジを準備することができる。アダプタ6は、メーカ側においてシリンジ頚部に雄ねじ山を有していないシリンジの使用を可能にする。アダプタ6によって雄ねじ山のないシリンジでも、閉鎖体の螺合による取付けが可能になる。アダプタ6は従って、従来とは異なった領域におけるシリンジの使用を可能にする。
【0022】
アダプタ6をシリンジ頚部23にセットした後で、閉鎖キャップ5が、シリンジ頚部23を閉鎖するためにシリンジ頚部23に導入される。
【0023】
その後でスクリュ式閉鎖体4をアダプタに螺合によってつまり捩って取り付けられる。スクリュ式閉鎖体4の螺合による取付け時に、スクリュ式閉鎖体4における突出部16は裂開リング13における突出部17を連行する。これによりスクリュ式閉鎖体4は裂開リング13と一緒に、アダプタ6に螺合により取り付けられる。この螺合取付け動作の終了時に、裂開リング13の近位端における内側突出部29の傾斜部30が、アダプタ6のフランジ26を越えて移動する。これによって内側突出部29はフランジ26の下で係止される。
【0024】
シリンジを使用する場合には、スクリュ式閉鎖体4が逆方向に回動させられる。スクリュ式閉鎖体4の突出部16は裂開リング13の突出部17を越えて滑動し、これによりウェブ14は裂断する。そしてスクリュ式閉鎖体4をアダプタから捩って外すことができる。裂開リング13はシリンジ頚部23に残され、フランジ26によって脱落を阻止される。その後で閉鎖キャップ5はシリンジ頚部23から除去される。必要とあれば、ニードル(図示せず)がシリンジ頚部23にセットされる。これによりシリンジは使用可能となる。
【0025】
アダプタ6のフランジ26によって保持されている裂開リング13は、メーカ側において取り付けられたスクリュ式閉鎖体4の除去されたことを示している。従ってスクリュ式閉鎖体4及び裂開リング13は、不正開封を見破る閉鎖体(Originalitaetsverschluss)を実現している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】医療用シリンジの全体を示す図である。
【図2】挿入された閉鎖キャップ、装着されたアダプタ及びスクリュ式閉鎖体と共に医療用シリンジのシリンジ頚部を示す断面図である。
【図3】スクリュ式閉鎖体を示す斜視図である。
【図4】スクリュ式閉鎖体を示す平面図である。
【図5】スクリュ式閉鎖体を示す側面図である。
【図6】スクリュ式閉鎖体を示す断面図である。
【図7】スクリュ式閉鎖体におけるウェブ及び突出部を示す拡大図である。
【図8】アダプタを示す斜視図である。
【図9】アダプタを示す平面図である。
【図10】アダプタを示す断面図である。
【図11】アダプタを示す側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 閉鎖体、 2 シリンジ肩部、 3 シリンジシリンダ、 4 スクリュ式閉鎖体、 5 閉鎖キャップ、 6 アダプタ、 7 長手方向軸線、 8 カバープレート、 9 開放セグメントもしくは長孔、 10 リブ、 11 ねじ区分、 12 雌ねじ山、 13 裂開リング、 14 ウェブ、 15 襞、 16 突出部、 17 第2の突出部、 18,19,20,21 縁部、 22 球欠体、 23 シリンジ頚部、 24 シリンダ、 25 雄ねじ山、 26 フランジ、 27 突出した壁、 28,29 内側突出部、 30 傾斜部
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用シリンジのための閉鎖体に関する。
【0002】
DE19956243A1に開示された医療用シリンジは、シリンジシリンダと、このシリンジシリンダの遠位端においてこのシリンジシリンダに結合されているシリンジ頚部とを有している。シリンジ頚部には閉鎖キャップが装着可能である。閉鎖キャップの周りにはスリーブが設けられている。このスリーブを備えた閉鎖キャップは、外側キャップ内に挿入可能である。この外側キャップは目標破損箇所を有しているので、外側キャップの遠位部分は取り外すことができ、これに対して外側キャップの近位部分はシリンジに残る。その後で閉鎖キャップは取り外すことができ、シリンジを使用することができる。シリンジに残っている近位部分は、シリンジが開放されたことを示す。
【0003】
本発明の課題は、閉鎖体が開放されたか否かを認識することができる医療用シリンジのための閉鎖体を提供することであり、しかもこの場合閉鎖体は、種々様々な多数のシリンジにおいて使用できることが望まれている。
【0004】
この課題を解決するために本発明の構成では、請求項1記載のように、シリンジシリンダと、該シリンジシリンダの遠位端において該シリンジシリンダに結合されているシリンジ頚部とを備えた医療用シリンジのための閉鎖体において、シリンジ頚部に装着可能なアダプタと、該アダプタに装着可能なスクリュ式閉鎖体と、該スクリュ式閉鎖体に結合された裂開リングと、シリンジ頚部に導入可能な閉鎖キャップとが設けられている。
【0005】
本発明による閉鎖体の別の有利な構成は、請求項2〜請求項9に記載されている。
【0006】
別の本発明は、このような閉鎖体を備えた医療用シリンジである。
【0007】
シリンジ頚部に装着可能なアダプタは、多数の医療用シリンジへの閉鎖体の適合を可能にする。特に、スクリュ式閉鎖体の雌ねじ山と螺合する雄ねじ山をシリンジ頚部に設ける必要がなくなる。
【0008】
スクリュ式閉鎖体と裂開リングとが突出部を有していると有利であり、これらの突出部は連行係止体として働く。ウェブは裂開ウェブとして働く。連行係止体は裂開リングを螺合時に連行することができる。閉鎖体がねじられると、ウェブが裂けて、係止体はその機能を失う。
【0009】
突出部の、互いに向かい合っている縁部がシリンジの長手方向に方向付けられていて、これに対して互いに反対側に位置する縁部がシリンジの長手方向に対して傾けられていると、有利である。このように構成されていると、螺合により取り付ける際には良好な連行機能を保証することができ、これに対して捩って外す場合には、ウェブが裂けて、突出部は互いに対して滑動することができる。
【0010】
スクリュ式閉鎖体がカバープレートを備えていると有利である。シリンジが例えば航空運搬時に外部の負圧にさらされた場合でも、カバープレートは閉鎖キャップを保持する。カバープレートは、シリンジが過熱された水又は水蒸気によって滅菌処理される時に、シリンジの内部において過圧が発生した場合に、閉鎖キャップを保持する。
【0011】
また、カバープレートに開放セグメントが設けられていると有利である。このような開放セグメントは、閉鎖キャップの存在に対する監視を可能にし、開放セグメントは、高圧蒸気処理いわゆるオートクレーブの際における強力な水交換を可能にし、かつ開放セグメントは、工程間検査時における対応押圧プランジャによる閉鎖キャップの支持を可能にする。さらにまた開放セグメントは、スクリュ式閉鎖体を捩って取り外すための回動工具の導入を可能にする。
【0012】
次に図面を参照しながら、本発明の実施例を記載する。
【0013】
図1は、医療用シリンジの全体を示す図であり、
図2は、挿入された閉鎖キャップ、装着されたアダプタ及びスクリュ式閉鎖体と共に医療用シリンジのシリンジ頚部を示す断面図であり、
図3は、スクリュ式閉鎖体を示す斜視図であり、
図4は、スクリュ式閉鎖体を示す平面図であり、
図5は、スクリュ式閉鎖体を示す側面図であり、
図6は、スクリュ式閉鎖体を示す断面図であり、
図7は、スクリュ式閉鎖体におけるウェブ及び突出部を示す拡大図であり、
図8は、アダプタを示す斜視図であり、
図9は、アダプタを示す平面図であり、
図10は、アダプタを示す断面図であり、
図11は、アダプタを示す側面図である。
【0014】
図1には、本発明の1実施形態による閉鎖体を装着された医療用シリンジもしくは医療用注射器が示されている。図面において下に示された端部は近位の方向を示し、これに対して図面で見て上に示された端部は遠位の方向を示している。この表現「近位」及び「遠位」は以下の記載において、これらの方向を示すために使用される。つまり本明細書では、シリンジを使用する人の手に近い方を「近位」と呼び、必要な場合にニードルもしくは注射針が取り付けられる方を「遠位」と呼んでいる。
【0015】
図1に示されているように、閉鎖体1は図1に示されていないニードル肩部に載置されている。このニードル肩部はシリンジ肩部2を介してシリンジシリンダ3と結合されている。シリンジシリンダ3には、近位端からピストン(図示せず)が導入される。ピストンは、近位端をシールするために働き、かつ、シリンジシリンダ3内へのその進入運動時に、シリンジ内における媒体をニードル肩部及びニードル(図示せず)を通して押し出すために働く。
【0016】
図2から最も良く分かるように、閉鎖体1は主として3つの構成要素から成っている。閉鎖体1はスクリュ式閉鎖体4と閉鎖キャップ5とアダプタ6とから成っている。
【0017】
以下においては図2〜図7を参照しながら、スクリュ式閉鎖体4について述べる。スクリュ式閉鎖体4は、近位端に向かって開放したコップ形状を有している。スクリュ式閉鎖体4はほぼその長手方向軸線7を中心にして回転対称的に形成されている。スクリュ式閉鎖体4の近位端とは反対の上側において、カバープレート8はスクリュ式閉鎖体4と一体的に形成されている。カバープレート8はほぼ円弧形の長孔9を有している。これらの長孔9は回動工具を導入するために働く。さらにこれらの長孔9は閉鎖キャップ5の点検を可能にする。シリンジを最終滅菌のために高圧蒸気処理つまりオートクレーブしたい場合には、長孔9は閉鎖キャップ5への熱水及び蒸気の進入を可能にする。スクリュ式閉鎖体4は機械的な強度を高めるために、外側において長手方向軸線の方向で延びる複数のフィンもしくはリブ10を備えている。
【0018】
スクリュ式閉鎖体4はその近位端に拡大されたねじ区分11を有している。このねじ区分11は図6に示されているように、雌ねじ山12を備えている。そして図7から最も良く分かるように、ひねってもしくは捩って裂開させるための裂開リング13がウェブ14によって本来のスクリュ式閉鎖体4と結合されている。ウェブ14は、スクリュ式閉鎖体4の長手方向軸線7を中心にして対称的に形成されている台形を有している。裂開リング13は、この裂開リング13を全周にわたって取り囲む襞15を有している。スクリュ式閉鎖体4の下側の近位端には第1の突出部16が設けられており、これに対して裂開リング13の上側の遠位端には第2の突出部17が設けられている。特に図7から分かるように、スクリュ式閉鎖体4の第1の突出部16はそれぞれ、裂開リング13の第2の突出部17に隣接して形成されている。第1の突出部16の、第2の突出部17に向けられた縁部18は、ほぼスクリュ式閉鎖体4の長手方向軸線7の方向に延びている。それに対して第1の突出部16の、第2の突出部17とは反対側の縁部20は、スクリュ式閉鎖体4の長手方向軸線7に対して傾けられて延びている(図7参照)。また第2の突出部17の、第1の突出部16とは反対側の縁部20も、スクリュ式閉鎖体4の長手方向軸線7に対して傾けられて延びている(図7参照)。
【0019】
図6から最も良く分かるように、カバープレート8の内側には、半球状の突出部である球欠体22が設けられている。図2に示されているように、この球欠体22は閉鎖キャップ5と共働する。特に、球欠体22が閉鎖キャップ5を押圧することによって、閉鎖キャップ5をシリンジ頚部23に保持することができる。スクリュ式閉鎖体4が捩って嵌められる場合に、球欠体22は小さな面積でしか閉鎖キャップ5に接触しない。従ってスクリュ式閉鎖体4の回動によって、閉鎖キャップ5に対してトルクが加えられることはない。
【0020】
次に図2及び図8〜図11を参照しながらアダプタ6について述べる。アダプタ6はシリンダ24から形成されている。シリンダ24は上側及び下側において開放している。シリンダ24の遠位端には雄ねじ山25が形成されている。シリンダ24の近位端にはフランジ26が形成されている。次に閉鎖キャップ5について図2を参照しながら述べる。閉鎖キャップ5はほぼコップ形状である。閉鎖キャップ5はシリンジ頚部23に導入可能である。閉鎖キャップ5を良好に固定するために、シリンジ頚部23の内側は、閉鎖キャップ5を受容するために、溝18を備えた内方に向かって突出した壁27によって形成されている。
【0021】
閉鎖体の使用時にはまず初めにアダプタ6がシリンジ頚部23に被せ嵌められる。このアダプタ6はシリンジ頚部23に装着されて溶接される。この場合レーザ溶接、超音波法、マイクロウェーブ法又は接着法が適している。これによってアダプタ6は、頚部23にねじ山25を備えたシリンジを準備することができる。アダプタ6は、メーカ側においてシリンジ頚部に雄ねじ山を有していないシリンジの使用を可能にする。アダプタ6によって雄ねじ山のないシリンジでも、閉鎖体の螺合による取付けが可能になる。アダプタ6は従って、従来とは異なった領域におけるシリンジの使用を可能にする。
【0022】
アダプタ6をシリンジ頚部23にセットした後で、閉鎖キャップ5が、シリンジ頚部23を閉鎖するためにシリンジ頚部23に導入される。
【0023】
その後でスクリュ式閉鎖体4をアダプタに螺合によってつまり捩って取り付けられる。スクリュ式閉鎖体4の螺合による取付け時に、スクリュ式閉鎖体4における突出部16は裂開リング13における突出部17を連行する。これによりスクリュ式閉鎖体4は裂開リング13と一緒に、アダプタ6に螺合により取り付けられる。この螺合取付け動作の終了時に、裂開リング13の近位端における内側突出部29の傾斜部30が、アダプタ6のフランジ26を越えて移動する。これによって内側突出部29はフランジ26の下で係止される。
【0024】
シリンジを使用する場合には、スクリュ式閉鎖体4が逆方向に回動させられる。スクリュ式閉鎖体4の突出部16は裂開リング13の突出部17を越えて滑動し、これによりウェブ14は裂断する。そしてスクリュ式閉鎖体4をアダプタから捩って外すことができる。裂開リング13はシリンジ頚部23に残され、フランジ26によって脱落を阻止される。その後で閉鎖キャップ5はシリンジ頚部23から除去される。必要とあれば、ニードル(図示せず)がシリンジ頚部23にセットされる。これによりシリンジは使用可能となる。
【0025】
アダプタ6のフランジ26によって保持されている裂開リング13は、メーカ側において取り付けられたスクリュ式閉鎖体4の除去されたことを示している。従ってスクリュ式閉鎖体4及び裂開リング13は、不正開封を見破る閉鎖体(Originalitaetsverschluss)を実現している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】医療用シリンジの全体を示す図である。
【図2】挿入された閉鎖キャップ、装着されたアダプタ及びスクリュ式閉鎖体と共に医療用シリンジのシリンジ頚部を示す断面図である。
【図3】スクリュ式閉鎖体を示す斜視図である。
【図4】スクリュ式閉鎖体を示す平面図である。
【図5】スクリュ式閉鎖体を示す側面図である。
【図6】スクリュ式閉鎖体を示す断面図である。
【図7】スクリュ式閉鎖体におけるウェブ及び突出部を示す拡大図である。
【図8】アダプタを示す斜視図である。
【図9】アダプタを示す平面図である。
【図10】アダプタを示す断面図である。
【図11】アダプタを示す側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 閉鎖体、 2 シリンジ肩部、 3 シリンジシリンダ、 4 スクリュ式閉鎖体、 5 閉鎖キャップ、 6 アダプタ、 7 長手方向軸線、 8 カバープレート、 9 開放セグメントもしくは長孔、 10 リブ、 11 ねじ区分、 12 雌ねじ山、 13 裂開リング、 14 ウェブ、 15 襞、 16 突出部、 17 第2の突出部、 18,19,20,21 縁部、 22 球欠体、 23 シリンジ頚部、 24 シリンダ、 25 雄ねじ山、 26 フランジ、 27 突出した壁、 28,29 内側突出部、 30 傾斜部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジシリンダ(3)と、該シリンジシリンダの遠位端において該シリンジシリンダに結合されているシリンジ頚部(23)とを備えた医療用シリンジのための閉鎖体(1)であって、シリンジ頚部(23)に装着可能なアダプタ(6)と、該アダプタ(6)に装着可能なスクリュ式閉鎖体(4)と、該スクリュ式閉鎖体(4)に結合された裂開リング(13)と、シリンジ頚部(23)に導入可能な閉鎖キャップ(5)とが設けられていることを特徴とする、医療用シリンジのための閉鎖体。
【請求項2】
アダプタ(6)がその遠位端に雄ねじ山(25)を有しており、スクリュ式閉鎖体(4)が、該雄ねじ山(5)に対して相補形状を有する雌ねじ山(12)を有している、請求項1記載の閉鎖体。
【請求項3】
アダプタ(6)がその近位端にフランジ(26)を有している、請求項1又は2記載の閉鎖体。
【請求項4】
スクリュ式閉鎖体(4)と裂開リング(13)とが互いに間隔をおいてウェブ(14)によって互いに結合されていて、第1の突出部(16)が裂開リング(13)に向かって延びるようにスクリュ式閉鎖体(4)に設けられていて、第2の突出部(17)がスクリュ式閉鎖体(4)に向かって延びるように裂開リング(13)に、第1の突出部(16)に隣接して設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の閉鎖体。
【請求項5】
ウェブ(14)が、スクリュ式閉鎖体(4)の長手方向軸線(7)に対して対称的な台形形状を有している、請求項4記載の閉鎖体。
【請求項6】
一方の突出部(16,17)の、隣接して位置する他方の突出部(17,16)に向けられた縁部(18,19)が、ほぼスクリュ式閉鎖体(4)の長手方向軸線(7)の方向に延びており、一方の突出部(16,17)の、隣接して位置する他方の突出部(17,16)とは反対側における縁部(20,21)が、スクリュ式閉鎖体(4)の長手方向軸線(7)に対して傾けられている、請求項4又は5記載の閉鎖体。
【請求項7】
スクリュ式閉鎖体(4)がカバープレート(8)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の閉鎖体。
【請求項8】
回動工具を導入するため及び/又は閉鎖キャップ(5)を露出させるために、カバープレート(8)に開放セグメント(9)が形成されている、請求項7記載の閉鎖体。
【請求項9】
カバープレート(8)の内側に、閉鎖キャップ(5)を押圧するための球欠体(22)が形成されている、請求項7又は8記載の閉鎖体。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の閉鎖体(1)を備えた医療用シリンジ。
【請求項1】
シリンジシリンダ(3)と、該シリンジシリンダの遠位端において該シリンジシリンダに結合されているシリンジ頚部(23)とを備えた医療用シリンジのための閉鎖体(1)であって、シリンジ頚部(23)に装着可能なアダプタ(6)と、該アダプタ(6)に装着可能なスクリュ式閉鎖体(4)と、該スクリュ式閉鎖体(4)に結合された裂開リング(13)と、シリンジ頚部(23)に導入可能な閉鎖キャップ(5)とが設けられていることを特徴とする、医療用シリンジのための閉鎖体。
【請求項2】
アダプタ(6)がその遠位端に雄ねじ山(25)を有しており、スクリュ式閉鎖体(4)が、該雄ねじ山(5)に対して相補形状を有する雌ねじ山(12)を有している、請求項1記載の閉鎖体。
【請求項3】
アダプタ(6)がその近位端にフランジ(26)を有している、請求項1又は2記載の閉鎖体。
【請求項4】
スクリュ式閉鎖体(4)と裂開リング(13)とが互いに間隔をおいてウェブ(14)によって互いに結合されていて、第1の突出部(16)が裂開リング(13)に向かって延びるようにスクリュ式閉鎖体(4)に設けられていて、第2の突出部(17)がスクリュ式閉鎖体(4)に向かって延びるように裂開リング(13)に、第1の突出部(16)に隣接して設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の閉鎖体。
【請求項5】
ウェブ(14)が、スクリュ式閉鎖体(4)の長手方向軸線(7)に対して対称的な台形形状を有している、請求項4記載の閉鎖体。
【請求項6】
一方の突出部(16,17)の、隣接して位置する他方の突出部(17,16)に向けられた縁部(18,19)が、ほぼスクリュ式閉鎖体(4)の長手方向軸線(7)の方向に延びており、一方の突出部(16,17)の、隣接して位置する他方の突出部(17,16)とは反対側における縁部(20,21)が、スクリュ式閉鎖体(4)の長手方向軸線(7)に対して傾けられている、請求項4又は5記載の閉鎖体。
【請求項7】
スクリュ式閉鎖体(4)がカバープレート(8)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の閉鎖体。
【請求項8】
回動工具を導入するため及び/又は閉鎖キャップ(5)を露出させるために、カバープレート(8)に開放セグメント(9)が形成されている、請求項7記載の閉鎖体。
【請求項9】
カバープレート(8)の内側に、閉鎖キャップ(5)を押圧するための球欠体(22)が形成されている、請求項7又は8記載の閉鎖体。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の閉鎖体(1)を備えた医療用シリンジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−514581(P2009−514581A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538310(P2008−538310)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010879
【国際公開番号】WO2007/051655
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(507210421)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Muellerstrasse 178, D−13353 Berlin, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010879
【国際公開番号】WO2007/051655
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(507210421)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Muellerstrasse 178, D−13353 Berlin, Germany
【Fターム(参考)】
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