説明

医療用注射器

バレル及びプランジャを有する格納式注射器の交換式針アセンブリ。格納式針は、格納構造に影響を与えること無く使用者により交換可能である。装着部材は、螺着によりバレルに着脱可能に装着でき、針装着具は装着部材に着脱可能に連結する。針は針装着具に装着される。バレルは、複数のフィンガ部を有する針装着具保持具を有する。フィンガ部は格納式針装着具と係合し、格納式針装着具の意図しない格納を防止している。プランジャは折り畳み可能なシールを有する。この折り畳み可能なシールにより、プランジャが格納のために格納式針装着具と係合する前に、流体送出の効率が向上される。初めに圧縮されたばねが伸張することにより、プランジャ及びプランジャと係合する針装着具が後退する。プランジャとバレルとの間にはロックが形成され、これにより注射器の再使用が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注射器に関し、より詳細には、交換可能な格納式針、及び交換可能な格納式針と係合することにより格納式針を格納させることができるプランジャを含む格納式注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
適切な消毒を行わずに複数の使用者が連続的に注射器を共有や再利用することは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)やC型肝炎の感染の主要因となっている。これらの感染は、感染者に深刻な影響を与え、また、感染者を保護し、医療的処置を与えるために社会が被る経済的負荷も高い。さらに、感染した患者に薬剤やワクチンを投与する医療従事者が、使用済み注射器による穿刺事故により感染してしまう虞もある。
【0003】
このような問題の対策として、針のシース機構や針格納機構を備えることにより、針の再使用や針による負傷を防止する注射器が開発されている。
しかし、このような格納式注射器の多くは固定針や高度に特殊な格納式針を備えており、このような針は、曲がった針やバリのある針の交換や、充填及び注射に応じた使用者による適宜な針寸法の選択に適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、格納機構に影響を与えること無く使用者が格納式針を交換できる格納式注射器の交換式針アセンブリを提供することである。
本発明の別の目的は、交換式針アセンブリの装着に適したバレルを提供することである。
【0005】
本発明のさらに別の目的は、格納式注射器から流体を効率良く送出することができるプランジャシールを有するプランジャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は装着部材を含むバレル及びプランジャを有する格納式注射器の交換式針アセンブリに関する。この交換式針アセンブリは、バレルに着脱可能に装着される装着部材と、装着部材に着脱可能に装着されているとともにプランジャと係合可能である格納式針装着具と、針装着具に装着された針と、を備える。
【0007】
一実施形態においては、装着部材が、バレルの雄部材を受容する雌部材を有する。
好適には、装着部材がバレルの相補的なねじ山を受容するねじ山を有する。
本発明の第2態様は格納式注射器のバレルに関する。このバレルには交換式針アセンブリが着脱可能に装着される。
【0008】
一実施形態においては、バレルが交換式針アセンブリの雌部材に受容される雄部材を備える。
好適には、バレルは、交換式針アセンブリの相補的なねじ山に受容されるねじ山を有する。
【0009】
一実施形態においては、バレルが針装着具保持具をさらに備える。
好適には、解放部材は、格納時まで針装着具を保持するフィンガ部を有する。一実施形態においては、格納のために針装着具を解放すべく、フィンガ部が径方向外側に移動可能である。
【0010】
一実施形態においては、バレルがさらにシールを備える。
一実施形態においては、バレルがさらに解放部材を備える。
本発明の第3態様は格納式注射器のプランジャに関する。このプランジャは、付勢手段と、プランジャ内側部材と、プランジャ外側部材と、プランジャ内側部材に装着された折り畳み可能なシールと、を備える。格納前には、プランジャ内側部材及びプランジャ外側部材が協働して、付勢手段を初めに付勢された状態に維持する。
【0011】
好適には、プランジャ内側部材は、交換式針アセンブリの格納式針装着具と係合する手段を備える。より好適には、格納式針装着具には針が装着される。
一実施形態においては、格納式針装着具と係合する手段が、返しを有する1つ又は複数のアームを備える。
【0012】
一実施形態においては、格納前には付勢手段を初めに付勢された状態に維持すべくプランジャ外側部材と初めは係合するトリガ部をプランジャ内側部材がさらに備える。好適には、プランジャ外側部材からトリガ部が解放されると付勢手段の付勢が除去され、これによって、プランジャ内側部材と連結した針装着具が格納されるよう構成されている。
【0013】
好適には、付勢部材は解放可能な様態にてエネルギーを蓄えることができるいかなる器具であってもよく、例えば、ばねやゴムであってもよい。
好適には、付勢部材はばねである。
【0014】
一実施形態においては、折り畳み可能なシールが内部空隙室を有する。
本発明の第4態様は、第2態様のバレルと第3態様のプランジャを組み合わせて備えるとともに、第1態様の交換式針アセンブリを複数備える格納式注射器キットに関する。
【0015】
格納式注射器キットの一実施形態においては、複数の交換式針アセンブリのそれぞれが、長さ1.27cmの針、長さ2.54cmの針、及び長さ3.81cmの針を含む。
本発明の第5態様は、格納式注射器に関する。この格納式注射器は、第2態様のバレルに着脱可能に装着された第1態様の交換式針アセンブリ、及び第3態様のプランジャの少なくともいずれかを備える。
【0016】
一実施形態においては、格納式注射器が、プランジャ外側部材とバレルとの間に形成されたロックをさらに備え、同ロックが格納式針装着具の格納後にバレルからのプランジャ外側部材の離脱を防止又は妨害する。
【0017】
本発明の第6態様は、格納式注射器を操作する方法に関する。この方法は、後の送出のためにバレルに流体内容物を充填した後に、格納式注射器のバレルに交換式針アセンブリを着脱可能に装着する工程を含む。
【0018】
一実施形態においては、本方法はバレルに交換式針アセンブリを螺着する工程を含む。
本明細書の記載において、他に記載されない限り、「備える」なる表現は限定的ではなく包括的に用いられている。従って、記載された事柄及び一群の事柄は、記載されていない事柄及び一群の事柄を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施形態による格納式注射器針の断面図。
【図2】一実施形態によるプランジャの断面図。
【図3】バレルに装着された、一実施形態による交換式針アセンブリの断面図。
【図4】流体内容部の充填時における、一実施形態による格納式注射器を示す断面図。
【図5A】流体内容部が充填され交換式針アセンブリが除去された後の、一実施形態によるバレルを示す断面図。
【図5B】図5Aに示す格納式針アセンブリの代わりに別の格納式針アセンブリがバレルの装着部材に取り付けられている、図5Aの実施形態を示す断面図。
【図6】針が格納される前の、針装着具と係合するプランジャ内側部材を示す断面図。
【図7】プランジャ外側部材とバレルとの間にロックが形成され、プランジャ外側部材からプランジャ内側部材が解放される状態における、一実施形態による格納式注射器を示す図。
【図8A】フック状歯部を有するプランジャ外側部材を示す斜視図。
【図8B】針の格納時における、一実施形態による格納式注射器を示す断面図。
【図9】別の実施形態による格納式注射器を示す断面図。
【図10】別の実施形態によるプランジャを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示す本発明の一実施形態による注射器10は、バレル11と、プランジャ内側部材50及びプランジャ外側部材21を有するプランジャ20とを備える。プランジャシール80は、プランジャ内側部材50に装着される。プランジャ20はバレル11内を軸方向に摺動可能である。プランジャシール80は、バレル11の内壁18及びプランジャ内側部材50と当接して流体密閉シールを供している。交換式針アセンブリ30は、カニューラ32及び針本体33を含む針31を有する。針本体33は、格納式針装着具34及び装着部材40に装着されている。バレル11はプランジャ側端部12を有し、プランジャ側端部12には、解放部材13、ロック爪部17A,17B、及びフィンガグリップ部14A,14Bが配置される。バレル11はさらに針側端部15に装着部105を有し、この装着部105は雄型のねじ山を有している。装着部105には、交換式針アセンブリ30の装着部材40の相補的な雌型のねじ山が装着される。この雄型及び雌型のねじ山の構成はこの逆であってもよい。バレル11の針側端部15には、装着部材40とバレル11との間にシールを供するバレルシール42も装着されている。バレル11は、針側端部15に位置する針装着具保持具60と、流体スペース19とを有する。図1には針カバー95も示されているが、この針カバー95は使用時には取り除かれる。
【0021】
図2に示すように、プランジャ20のプランジャ外側部材21は、本体22、内側肩部23、及びフランジ24を有する。フランジ24は、内側縁部25、周縁部26、及びボタン用くぼみ27を有する。プランジャ内側部材50は、針装着具と係合する針装着具係合部51をさらに有する。針装着具係合部51は針装着具を解放するための針装着具解放具を有し、針装着具解放具はヘッド52及びアーム53A,53Bにより構成されている。アーム53A,53Bは、返し54A,54Bをそれぞれ有する。プランジャ内側部材50は、支持部55、内側レッジ56、使用者が操作可能なボタン57、及びノッチ59を有するトリガ部58を有する。初めの状態においては、トリガ部58のノッチ59がプランジャ外側部材21の内側縁部25と係合しているため、ばね70がプランジャ外側部材21の内側肩部23とプランジャ内側部材50の内側レッジ56との間で圧縮されて、初めに圧縮された状態に維持されている。「初めに圧縮された状態」とは、注射器10が使用される前にばね70が圧縮された状態(すなわち付勢された状態)を意味する。
【0022】
プランジャシール80はプランジャ内側部材50に装着され、ヘッド52と支持部55との間に位置する。プランジャシール80は内部空隙室81を有しているため、折り畳み可能、圧縮可能、もしくは軸方向に変形可能である。プランジャシール80はシール用リブ部82A,82Bをさらに有し、これらのシール用リブ部82A,82Bはバレル11の内壁18に当接してシールを供し、流体スペース19からの漏れを防止している。
【0023】
図3に示すように、交換式針アセンブリ30は、カニューラ32及び針本体33を含む針31を有する。針本体33は、環状基部35を有する格納式針装着具34に装着される。カニューラ32は針本体33に接着されるか、針本体33とともに型成形される。針本体33は、格納式針装着具34に接着されるか、格納式針装着具34と干渉するよう格納式針装着具34内に装着されるか、もしくは、格納式針装着具34とともに型成形される。針装着具保持具60は穴61及びフィンガ部62A,62Bを有する。フィンガ部62A,62Bは、格納式針装着具34の環状基部35に当接し、針31及び格納式針装着具34がバレル11のプランジャ側端部12に向かって意図せず軸方向移動することを防止している。このような意図しない移動は、例えば注射時に肌に針を刺す際等に、使用者によりカニューラ32に力が加えられた場合に起こりえる。
【0024】
図4を参照して説明を続けるが、バレル11の流体スペース19には、使用者により流体内容部が充填されている。この充填は、バレル11の針側端部15から離れるようにプランジャ20を軸方向移動させることにより行われる。または、特に粘性の流体を用いる場合には、使用者がより大きいカニューラ32を有する針31を用いてバレル11を充填し、注射を行う際にはより小さいカニューラ32を有する別の針31に取り替える場合もある。図5A及び5Bに示すように、交換式針アセンブリ30はバレル11から取り外すことができ、別の交換式針アセンブリ30を図5Aの弧を描く矢印に示されるようにバレル11に螺着することができる(例えば、より小さいカニューラ32を有する針31に替える場合や、曲がったカニューラ32やバリが形成されたカニューラ32を取り替える場合)。
【0025】
図6を参照して説明を続けるが、注射器10の流体内容物を送出する際には、使用者によってプランジャ20がバレル11の針側端部15に向かって斜線矢印に示す軸方向に移動される。プランジャ20の押圧が最後に近づくと折り畳み可能なシール80が行き止まりに到達するが、シール80が圧縮することにより、図6の斜線矢印の方向にプランジャ20が引き続き移動することができる。このようにプランジャ20が引き続き移動することと折り畳み可能なシール80により、残っている流体を絞り出すことができ、注射器10に最後に残った流体内容物を送出することができる。図6に示すように、このようにプランジャ20が引き続き移動できることにより、針装着具との係合部51が針装着具保持具60の穴61内に入ることができる。続いてヘッド52も穴61内に入り、返し54A,54Bが格納式針装着具34の環状基部35と係合する。ヘッド52により、針装着具保持具60のフィンガ部62A,62Bが図6の中実矢印に示す方向に径方向外側に移動されて、格納式針装着具34の環状基部35と接触しなくなる。その結果、針装着具保持具60の穴61に障害物の存在しない通路が形成され、この通路を通って格納式針装着具34が格納されることが可能となる。
【0026】
図7、8A及び8Bを参照して説明を続けるが、注射器10の流体内容物を送達すべくプランジャ20が最後まで押圧されると、プランジャ内側部材50の針装着具係合部51と格納式針装着具34が連結し、解放部材である解放リング13がプランジャ内側部材50のトリガ部58に当接する。これにより、図7の矢印の方向にトリガ部58が径方向内側に移動する。この移動によりプランジャ外側部材21の内側縁部25からノッチ59が外れ、プランジャ外側部材21からプランジャ内側部材50が解放される。その結果、圧縮されたばね70が伸張してプランジャ内側部材50の内側レッジ56を押し、これによって、プランジャ内側部材50、及びプランジャ内側部材50の針装着具係合部51に連結する格納式針装着具34が後退する。図8Aに示されるように、プランジャ外側部材21は1つ又は複数のロック要素を有する。このロック要素は、フランジ24の下側のフック状歯部28A,28Bからなる。図8Bに示されるように、プランジャ20が最後まで押圧されると、プランジャ内側部材50が後退する前に、プランジャ外側部材21のフック状歯部28A,28Bが、バレル11の1つ又は複数のロック要素17とともにロック90を形成する。ロック要素17は、バレル11のプランジャ側端部12に位置するロック爪部17A,17Bからなる。このロックにより、バレル11からのプランジャ外側部材21の引き出しが防止されている。また、プランジャ内側部材50の軸方向移動が、ロックされたプランジャ外側部材21に当接するプランジャシール80により制限されるため、プランジャ内側部材50及び伸張したばね70がバレル11から離脱することがない。
【0027】
図8Bに示すように、プランジャ内側部材50が後退すると、針装着具34、針本体33、及びカニューラ32がバレル11内に後退すなわち格納され、一方、保持具60、装着部材40、及びバレルシール42はバレル11の針側端部15に留まる。
【0028】
前述したように、プランジャ外側部材21からプランジャ内側部材50が解放されることによるばね70の伸張は、流体内容物の送出が完了し、針装着具係合部51と格納式針装着具34とが連結されている場合にのみ起こるように注射器10が構成されている。このような構成により、格納機構が意図せず作動されてしまうことが防止でき、また、格納機構が作動した際には針装着具34及び針装着具34に装着された針31が確実に格納されるようになっている。
【0029】
図1〜8に示す実施形態は、容量が3mL又は5mLの注射器10に特に好適に用いることができる。
図9及び10に、本発明の別の実施形態を示す。この実施形態は、容量1mLの注射器110に特に適している。この注射器110は、バレル111と、プランジャ内側部材150及びプランジャ外側部材121を有するプランジャ120とを備える。プランジャシール180がプランジャ内側部材150に装着される。交換式針アセンブリ130は、カニューラ132及び針本体133を含む針131を有する。針本体133は、格納式針装着具134及び装着部材140に装着されている。バレル111は、プランジャ側端部112を有し、プランジャ側端部112はフレア部900を含む。フレア部900は、プランジャ外側部材121の本体122を収容する。フレア部900は、注射器110の流体内容物を送出する際にプランジャ120の軸方向移動を制限する内側くびれ部901を有する。バレル111のプランジャ側端部112は、解放部材113、ロック爪部117A,117B、及びフィンガグリップ部114A,114Bをさらに有する。
【0030】
バレル111はさらに針側端部115に装着部1105を有し、この装着部1105は雄型のねじ山11051を有している。雄型のねじ山11051には、装着部材140の相補的な雌型のねじ山141が装着される。バレル111の針側端部115には、装着部材140とバレル111との間にシールを供するバレルシール142も装着されている。バレル111は、針側端部115に位置する針装着具保持具60をさらに有する。図9には針カバー195も示されているが、この針カバー195は使用時には取り除かれる。
【0031】
図10に示すように、プランジャ120のプランジャ外側部材121は、本体122、内側肩部123、及びフランジ124を有する。フランジ124は、内側縁部125、周縁部126、及びボタン用くぼみ127を有する。プランジャ内側部材150はさらに針装着具係合部151を有する。針装着具係合部151はヘッド152及びアーム153A,153Bを有する。アーム153A,153Bは、返し154A,154Bをそれぞれ有する。プランジャ内側部材150は、支持部155、内側レッジ156、使用者が操作可能なボタン157、及びノッチ159を有するトリガ部158を有する。最初の状態においては、トリガ部158のノッチ159がプランジャ外側部材121の内側縁部125と係合しているため、ばね170がプランジャ外側部材121の内側肩部123とプランジャ内側部材50の内側レッジ156との間で圧縮され、初めに圧縮された状態に維持されている。
【0032】
プランジャシール180はプランジャ内側部材150に装着され、ヘッド152と支持部155との間に位置する。プランジャシール180は内部空隙室181を有しているため、折り畳み可能、圧縮可能、もしくは軸方向に変形可能である。プランジャシール80はシール用リブ部182A,182Bをさらに有し、これらのシール用リブ部182A,182Bはバレル111の内壁118に当接してシールを供し、流体スペース119からの漏れを防止している。容量1mLの注射器のバレル111の内径は比較的狭いため、図1〜8に示すシール80と比較して、図9及び10に示すシール180は長尺状に形成されている。
【0033】
針装着具134の係合及びプランジャ内側部材150による格納については、図1〜8に示す注射器10の実施形態と同様である。また、バレル111に対するプランジャ外側部材121のロック係合も図1〜8の実施形態と同様である。図9及び10には図示されていないが、プランジャ外側部材121のフック状歯部128A,128Bが、バレル111のプランジャ側端部112に位置するロック爪部117A,117Bとともにロック190を形成し、これによって、バレル111からのプランジャ外側部材121の引き出しが防止されている。
【0034】
これまでの記載から明らかなように、本発明による注射器は、構成が単純かつ堅固であるとともに安価な注射器である。この注射器は、使用者の操作をほとんど必要とすることなく、注射器の再使用や注射針による使用者の負傷が防止もしくは低減されている。
【0035】
さらに、本発明の一実施形態による格納式針アセンブリを用いることにより、使用者が適切な太さや長さの針を適宜選択することができ、また、折れた針やバリが形成された針の交換が可能となる。本発明による格納式針アセンブリの他の効果としては、3.8cm(1.5インチ)を上限とする様々な長さの針を格納時に収容して内部に完全に封入することができるため、使用者にとって自由度が高いという点も挙げられる。
【0036】
また、折り畳み可能なプランジャシールを備えることにより、格納式注射器からの流体送出の効率が向上されている。
上記の記載は本発明の好適な実施形態の説明を目的とするものであり、本発明はいずれの実施形態や特定の特徴の集まりに限定されるものでない。本発明の範囲から逸脱することなく、ここに記載される実施形態の様々な変更例を実施することが可能である。
【0037】
本明細書にて引用する特許文献、科学文献、コンピュータプログラム及びアルゴリズムは、引用することによりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャ及びバレルを備える格納式注射器の交換式針アセンブリであって、
前記バレルに着脱可能に装着される装着部材と、
前記装着部材に着脱可能に装着されているとともに前記プランジャと係合可能であり、同プランジャと係合することにより格納が可能となる格納式針装着具と、
前記格納式針装着具に装着された針と、を備える交換式針アセンブリ。
【請求項2】
前記装着部材が、前記バレルの装着部に着脱可能に装着される請求項1に記載の交換式針アセンブリ。
【請求項3】
前記装着部材が、前記バレルの装着部の雄部材を受容する雌部材を有する請求項2に記載の交換式針アセンブリ。
【請求項4】
前記雄部材及び雌部材が相補的なねじ山を有する請求項2に記載の交換式針アセンブリ。
【請求項5】
格納式注射器のバレルであって、針装着具を含む交換式針アセンブリが着脱可能に装着され、同交換式針アセンブリを着脱可能に装着するための装着部と針装着具保持具とを備えるバレル。
【請求項6】
前記交換式針アセンブリの雌部材に受容される雄部材を備える請求項5に記載のバレル。
【請求項7】
前記雄部材及び雌部材が相補的なねじ山を有する請求項6に記載のバレル。
【請求項9】
前記針装着具保持具が、格納時まで前記針装着具を保持するフィンガ部を有する請求項8に記載のバレル。
【請求項10】
その後の格納を可能とするために、前記フィンガ部が前記針装着具から外れて同針装着具を解放すべく、前記フィンガ部が径方向外側に移動可能である請求項9に記載のバレル。
【請求項11】
使用時には前記装着部材とバレルの内壁との間に位置するシールをさらに有する請求項5乃至10のいずれか一項に記載のバレル。
【請求項12】
解放部材をさらに備える請求項5乃至11のいずれか一項に記載のバレル。
【請求項13】
格納後に前記プランジャとともにロックを形成する1つ又は複数のロック要素をさらに有する請求項5乃至12のいずれか一項に記載のバレル。
【請求項14】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の交換式針アセンブリが装着されている、請求項5乃至13のいずれか一項に記載のバレル。
【請求項15】
格納式針装着具を備えた格納式注射器のプランジャであって、
付勢手段と、
プランジャ内側部材と、
プランジャ外側部材と、
前記プランジャ内側部材に装着された折り畳み可能なシールと、を備え、
格納前には、前記プランジャ内側部材及びプランジャ外側部材が協働して、前記付勢手段を初めに付勢された状態に維持するプランジャ。
【請求項16】
前記折り畳み可能なシールが内部空隙室を有する請求項15に記載のプランジャ。
【請求項17】
前記格納式注射器の流体内容物の送出後に、前記折り畳み可能なシールがプランジャの軸方向移動を許容する請求項15又は16に記載のプランジャ。
【請求項18】
前記プランジャ内側部材が、交換式針アセンブリの格納式針装着具と係合する部分を備える請求項15乃至17のいずれか一項に記載のプランジャ。
【請求項19】
前記格納式針装着具と係合する部分が、返しを有する1つ又は複数のアームを備える請求項18に記載のプランジャ。
【請求項20】
針装着具保持具から針装着具を解放させる針装着具解放具をさらに備える請求項15乃至19のいずれか一項に記載のプランジャ。
【請求項21】
格納前には前記付勢手段を初めに付勢された状態に維持すべく前記プランジャ外側部材と初めは係合するトリガ部を前記プランジャ内側部材がさらに備える請求項15乃至20のいずれか一項に記載のプランジャ。
【請求項22】
前記プランジャ外側部材からトリガ部が解放されると前記付勢手段の付勢が除去され、これによって、前記プランジャ内側部材と連結している針装着具が格納されるよう構成される請求項21に記載のプランジャ。
【請求項23】
前記付勢手段がばねである請求項15乃至22のいずれか一項に記載のプランジャ。
【請求項24】
格納後にバレルからプランジャ外側部材が離脱することを防止又は妨害すべく、バレルとともにロックを形成する1つ又は複数のロック要素を前記プランジャ外側部材が有する請求項15乃至23のいずれか一項に記載のプランジャ。
【請求項25】
前記格納式針装着具が、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の交換式針アセンブリの格納式針装着具である請求項15乃至24のいずれか一項に記載のプランジャ。
【請求項26】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の交換式針アセンブリを複数と、請求項15乃至14のいずれか一項に記載のバレルとをプランジャとともに備える格納式注射器キット。
【請求項27】
前記プランジャが、請求項15乃至25のいずれか一項に記載のプランジャである請求項26に記載の格納式注射器キット。
【請求項28】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の交換式針アセンブリと、請求項5乃至14のいずれか一項に記載のバレルと、プランジャと、を備える格納式注射器。
【請求項29】
前記プランジャが、請求項15乃至25のいずれか一項に記載のプランジャである請求項28に記載の格納式注射器。
【請求項30】
前記プランジャ外側部材とバレルとの間に形成されたロックをさらに有し、同ロックが格納式針の格納後にバレルからのプランジャ外側部材の離脱を防止又は妨害する請求項28又は29に記載の格納式注射器。
【請求項31】
後の送出のためにバレルに流体内容物を充填した後に、格納式注射器のバレルに交換式針アセンブリを着脱可能に装着する工程を含む、格納式注射器を操作する方法。
【請求項32】
前記バレルに交換式針アセンブリを螺着する工程を含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記格納式注射器が請求項28乃至30のいずれか一項に記載の格納式注射器である請求項31又は32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−510596(P2013−510596A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538141(P2012−538141)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001504
【国際公開番号】WO2011/057334
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(502387784)ユニトラクト シリンジ プロプライエタリイ リミテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】UNITRACT SYRINGE PTY LTD
【Fターム(参考)】