説明

医療用液体注射装置

【課題】次の別個の要素、すなわち、容器(1)と、出口流路(14)と、ポンプ送りユニット(5)とを含む医療用液体注射装置を提供する。
【解決手段】上記容器(1)は、上記ポンプ送りユニット(5)が上に固定的に固着させられている不とう性の壁を備え、上記不とう性の壁は、さらに、上記ポンプ送りユニット(5)と上記容器(1)との間の直接的な流体連結部を形成する通路(4)を含み、上記出口流路(14)は、上記容器(1)内に初期に保持された流体が最初に上記ポンプ送りユニット(5)の中を通って流れてその次に上記出口流路(14)に達するように、上記ポンプ送りユニット(5)に直接的に連結されており、および、この医療用液体注射装置は、さらに、上記出口流路(14)とは別個である入口(16)と、使い捨ての要素とを備える医療用液体注射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間にわたって患者に液体物質を投与する、ポンプのような注射装置に固定されるようになっている、例えばインシュリンのような液体物質のための医療用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばインシュリンのような液体医療用物質を患者に投与することが、一般的に、注射器ポンプを使用して行われる。例えば、WO2004/084976またはUS2003/055323を参照されたい。
【0003】
この液体は、治療前に予充填されなければならない注射器の中に収容される。
【0004】
この注射器が空である場合には、新たな予充填された注射器が使用される。
【0005】
例えば患者が活動開始前または旅行前に完全に満杯である容器を有することを望む時には、新たな予充填された注射器が、第1の注射器が部分的に空である場合にも必要とされるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの目的が、治療中に使用される容器の個数を減らすことである。
【0007】
本発明の別の目的が、長期間にわたって液体医療用物質を投与するための容易かつ快適な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、次の別個の要素、すなわち、容器と、出口流路と、ポンプ送りユニットとを少なくとも含む本発明による医療用注射装置によって実現され、上記容器は、上記ポンプ送りユニットが上に固定的に固着させられている不とう性の壁を備え、上記不とう性の壁は、さらに、上記ポンプ送りユニットと上記容器との間の直接的な流体連結部を形成する通路を含み、上記出口流路は、上記容器内に初期に保持された流体が最初に上記ポンプ送りユニットを通って流れその次に上記出口流路に達するように、上記ポンプ送りユニットに直接的に連結されており、および、上記医療用液体注射装置は、さらに、再充填手段として働くようになっている、上記出口流路とは別個である、入口を備える。これに加えて、本発明によるこの医療用歴体注射装置は、使い捨ての部分を備える。
【0009】
本発明は、特に、次の利点を提供する。
− 容器の無駄を避け、1つの容器だけが使用される。
− 中断のない、医療用液体の容易かつ快適な投与方法、
− 比較的に小さいサイズの容器を有することが可能。
【0010】
本発明による装置は、薬剤注入ポンプとして有利に使用されるだろう。最新式の装置すなわち注射器装置とは対照的に、本発明によるポンプ送りユニットは、容器と患者管路(patient line)との間の恒久的な閉塞を提供し、これによって患者からの容器の汚染を防止する。容器の内容物が無菌状態のままでなければならないので、こうした無菌タイプのリザーバ内の薬剤の指定された耐用期間まで、この容器を数回にわたって再充填することが考慮されることが可能である。この耐用期間の完了後に、この容器と、薬剤で濡らされる全ての他の部分とが、廃棄されることが好ましい。この装置の幾つかの他の部分、特に、駆動電子装置とユーザインタフェースとが、恒久的に使用されることが可能である。本発明によるポンプ送りユニットが、恒久的部分と使い捨て部分とから成ることが好ましい。この使い捨て部分は、上述したように、薬剤で濡らされる全ての要素、すなわち、容器、ポンプ送りユニット、入口、および、注入管路のための連結ポートを含む。これらの部分は、繰り返して連結および分離されることが可能である。特に、その恒久的部分は、幾つかの使い捨て部分と組み合わせて再使用されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、医療用液体注射装置の断面図である。
【図2】図2は、図1に示されているポンプ送りユニットの拡大図である。
【図3】図3は、可とう性膜を伴うが、底部および頂部の保護外殻がない、図1の装置の斜視上部図である。
【図4】図4は、可とう性膜なしの図3の対象と同じ対象を示す。
【図5】図5は、図1の装置の斜視底部図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施形態が、次の図面と共により詳細に説明される。
【0013】
図面に示されている医療用液体注射装置と、より明確にはその使い捨て部分とが、硬質外殻1を形成する1つの部分品の周りに主として形成されている。この硬質外殻1は、構造的基部、および、使い捨てのものの中の機能要素の間の流体相互連結器として、および、機能要素として働く。これは、2つの主表面を有する外殻状の構造であり、その一方の主表面は凹状の表面を有し、これによって空洞2を形成する。可とう性フィルム3がこの空洞2の周縁部全体に取り付けられており、この空洞2を密閉する。したがって、これらは密閉空洞を形成しており、この密閉空洞の体積は、フィルム3の可とう性の故に可変的である。フィルム3は、残留体積がわずかであるように、空洞2の中に潰れる時に空洞2の形状にぴったりと一致するように熱形成されている。
【0014】
第1の通路4が空洞2から反対側の側部へと硬質外殻を横断し、この反対側の側部上にはミクロ流体ポンプ送りユニット5が取り付けられている。このミクロ流体ポンプ送りユニット5は、その2つの主面のどちらか一方の主面の上に入口ポート6と出口ポート7とを有する。
【0015】
ポンプ送りユニット5と硬質外殻1との間の流体連結は、硬質外殻1の第1の通路4とポンプ送りユニット5の入口ポート6とを位置合せすることによって生じさせられる。この2つの表面の間のエラストマー性Oリングによって密着性が容易に実現される。
【0016】
ミクロ流体ポンプ送りユニット5は、マイクロマシニング技術を使用して製造される。このミクロ流体ポンプ送りユニット5は容積式ポンプである。このミクロ流体ポンプ送りユニット5は、膜9の動きによって周期的に圧縮および減圧される弾性膜9を有するポンプ送りチャンバ8を有する。流体の流れが、ポンプ送りチャンバに連結されている受動入口10と受動出口逆止弁11とによって方向付けられる。このポンプ送りユニット5は、さらに、流体経路の内側の圧力を監視する圧力センサ12も有する。電線と接点とが、このセンサ12と膜の動きを駆動するアクチュエータとを、その必要な回路を含む恒久的部分に連結する。
【0017】
硬質外殻1内の出口流路14が、ポンプ送りユニット5の出口ポート7を、注入管路のためのルーアー型コネクタ15に連結する。
【0018】
入口として働く第3の流路16が硬質外殻1を通過して空洞2の中に達し、かつ、外側では隔壁17によって密閉されており、このことが、例えば注射針と注射器とを使用して、容器を充填および再充填することを可能にする。隔壁17は、注入管路のためのコネクタに隣接して配置されている。注入管路上の嵌合コネクタ18は、連結中に再充填隔壁を覆う形に成形されている。これは、誰かがその装置に連結されている最中にユーザがリザーバを再充填することを防止するために行われる。
【0019】
上述の要素は、使い捨て品の主要な機能的構造を形成し、および、流体ブロックと呼ばれる。
【0020】
この流体ブロックは、主として機械的保護のために、2つの不とう性の外殻19、20の間に収容されている。特に、可とう性フィルム3は、その容器内の薬剤の加圧を防止するために機械的な力から保護されなければならない。その容器内に過剰な圧力が生じる場合には、このポンプ内の2つの受動逆止弁が強制的に開かれて、危険な量の薬剤が患者の体内に注射される可能性がある。可とう性フィルム3と不とう性の外側外殻20との間の体積21内の圧力が、通気口22によって平衡化される。この体積内への水の流入が、疎水性フィルタ膜23の使用によって防止される。この通気口が遮断される場合には、可とう性フィルム3上で危険な過剰圧力が生じるだろう。逆止弁の開きを防止するために、自由流れ防止逆止弁(anti−free−flow check valve)がポンプ送りユニット内で使用される。図面に示されているように、この弁は、3つのポート、すなわち、ポンプ送りチャンバ8に連結されている流体入口ポート24と、そのユニットの外に通じる流体出口ポート7と、基準ポート25とを有する。この基準ポート25は、ハウジングの内側の空気圧力と連通している。この弁は、出口ポート7を遮断する、弁本体27が取り付けられている弾性膜26を有する。膜9は、その外側において、入口ポート6の圧力を受ける。膜9は、その外側において、基準ポート25の圧力を受ける。出口ポートの圧力は、無視できるほど小さい表面上に存在するだけであり、および、したがって、この弁の挙動に対してほとんど影響を与えない。この弁は、事前定義された量だけ入口ポート圧力が基準ポート圧力を上回る場合にだけ流体経路が開くように設計されている。そのハウジングの内側の圧力が増大する場合には、入口ポートと基準ポートの両方における圧力が互いに同様に増大し、および、したがってこの弁は開かない。
【0021】
本発明が上述の実施形態だけに限定されないということが強調されなければならない。特許請求されている主題に含まれているあらゆる他の形状構成が、本発明の一部分を形成している。
【符号の説明】
【0022】
1 容器
4 通路
5 ポンプ送りユニット
14 出口流路
16 入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の別個の要素、すなわち、容器(1)と、出口流路(14)と、ポンプ送りユニット(5)とを含む医療用液体注射装置であって、前記容器(1)は、前記ポンプ送りユニット(5)が上に固定的に固着させられている不とう性の壁を備え、前記不とう性の壁は、さらに、前記ポンプ送りユニット(5)と前記容器(1)との間の直接的な流体連結部を形成する通路(4)を含み、前記出口流路(14)は、前記容器(1)内に初期に保持された流体が最初に前記ポンプ送りユニット(5)の中を通って流れその次に前記出口流路(14)に達するように前記ポンプ送りユニット(5)に直接的に連結されており、および、この医療用液体注射装置は、前記出口流路(14)とは別個である入口(16)と、使い捨ての要素とを備える医療用液体注射装置。
【請求項2】
前記入口(16)は再充填手段として働くようになっている請求項1に記載の医療用液体注射装置。
【請求項3】
さらに、コネクタ(15)と、前記出口流路(14)に対して連結および連結解除されることが可能な注入管路とを備える請求項1または2に記載の医療用液体注射装置。
【請求項4】
前記入口(16)は前記出口流路(14)に隣接しており、および、前記注入管路の前記コネクタは、連結中は前記入口(16)に対する接近を前記コネクタが遮断するように形成されている請求項3に記載の医療用液体注射装置。
【請求項5】
さらに非使い捨て要素を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の医療用液体注射装置。
【請求項6】
前記容器内に存在する薬剤のラベルに示されている耐用期間よりも長くはない予め決められた使用期間を有するように設計されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の医療用液体注射装置。
【請求項7】
前記予め決められた使用期間の後に前記装置の使用を防止するようになっている使用防止手段を備える請求項6に記載の医療用液体注射装置。
【請求項8】
前記非使い捨て要素は電子制御部品を備える請求項5に記載の医療用液体注射装置。
【請求項9】
前記電子制御部品は、予め決められた期間の後に前記装置の使用を防止するようになっている請求項8に記載の医療用液体注射装置。
【請求項10】
前記電子制御部品は、前記予め決められた期間の後での再使用を防止するために、前記使い捨て部分の識別情報を認識するようになっている請求項9に記載の医療用液体注射装置。
【請求項11】
前記電子制御部品は、前記使い捨て部分がすでに以前に使用されているかどうかを判定するようになっている請求項9または10に記載の医療用液体注射装置。
【請求項12】
前記容器は可変的な体積を有する請求項1から11のいずれか一項に記載の医療用液体注射装置。
【請求項13】
前記容器は、例えば可とう性の壁のような可動壁を備える請求項1から12に記載の医療用液体注射装置。
【請求項14】
前記容器が加圧される時にユーザの中に注射することを防止する制御要素を備える請求項12または13に記載の医療用液体注射装置。
【請求項15】
前記制御要素は、前記ポンプ送りユニットに連結されており、前記出口に連結されており、かつ、前記容器と連通する3ポート弁である請求項14に記載の医療用液体注射装置。
【請求項16】
前記3ポート弁は、前記ポンプ送りユニットに連結されている前記ポート上の圧力が前記容器内または前記容器周辺の圧力よりも高い時にだけ開くようになっている請求項15に記載の医療用液体注射装置。
【請求項17】
圧力センサをさらに備える請求項1から16のいずれか1項に記載の医療用液体注射装置。
【請求項18】
前記圧力センサは、前記容器の内側の液体圧力を測定するようになっている請求項17に記載の医療用液体注射装置。
【請求項19】
前記容器の充填レベルをユーザに通信するようになっている表示手段を備え、および、前記充填レベルは前記圧力センサから得られる請求項18に記載の医療用液体注射装置。
【請求項20】
過剰充填の場合にユーザに対して警報を出す第1の警報手段を備え、および、前記第1の警報手段は前記圧力センサに接続されている請求項18または19に記載の医療用液体注射装置。
【請求項21】
潜在的に危険なリザーバ圧力状態を検出するための第2の警報手段を備え、および、前記第2の警報手段は前記圧力センサに接続されている請求項18から20のいずれか一項に記載の医療用液体注射装置。
【請求項22】
前記容器が空である時を検出するための第3の警報手段を備え、および、前記第3の警報手段は前記圧力センサに接続されている請求項18から21のいずれか一項に記載の医療用液体注射装置。
【請求項23】
前記容器は、空洞を形成する凹状表面を有する不とう性の外殻と、前記空洞を覆う可とう性の膜として製造されている請求項12から22のいずれか一項に記載の医療用液体注射装置。
【請求項24】
前記不とう性の外殻は、前記容器の内部を外部環境に連結する流路を備える請求項23に記載の医療用液体注射装置。
【請求項25】
前記不とう性の外殻は幾つかの流路を備える請求項23に記載の医療用液体注射装置。
【請求項26】
前記可とう性の膜は、大きな過小圧力なしに前記容器が空にされることを可能にするように、前記空洞に形状的に一致する形に形成されている請求項23に記載の医療用液体注射装置。
【請求項27】
入口を備え、および、前記入口と前記出口は前記不とう性の外殻の中に配置されている請求項23に記載の医療用液体注射装置。
【請求項28】
前記可とう性の膜は凹状カバー外殻によって覆われている請求項23に記載の医療用液体注射装置。
【請求項29】
前記凹状カバー外殻は不とう性であり、および、したがって前記容器の充填体積を制限する請求項28に記載の医療用液体注射装置。
【請求項30】
前記膜も満杯状態の前記カバー外殻に形状的に一致するように、前記カバー外殻内の前記空洞の形状は前記容器内の前記空洞の鏡像である請求項23から29のいずれか一項に記載の医療用液体注射装置。
【請求項31】
前記可とう性の膜と前記カバー外殻との間の体積が、前記容器体積が変化する時に圧力平衡化のために通気されている請求項28に記載の医療用液体注射装置。
【請求項32】
前記カバー外殻は、機械的圧力から前記可とう性の膜を保護するために補強されている請求項28に記載の医療用液体注射装置。
【請求項33】
前記可とう性の膜は、危険な過剰圧力の場合に破断する脆弱区域を含む請求項32に記載の医療用液体注射装置。
【請求項34】
前記充填体積を減少させるために前記可とう性の膜と前記カバー外殻との間に配置されている制限手段を備える請求項29に記載の医療用液体注射装置。
【請求項35】
前記制限手段の位置が体積減少を変化させるために調整可能である請求項34に記載の医療用液体注射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−13748(P2013−13748A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−200209(P2012−200209)
【出願日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【分割の表示】特願2009−502273(P2009−502273)の分割
【原出願日】平成19年3月17日(2007.3.17)
【出願人】(504288421)デビオテック ソシエテ アノニム (10)
【Fターム(参考)】