説明

医療用積層体

【課題】 本発明は、従来技術の問題点を有しない、簡便かつ高効率にシート状細胞培養物を単離、移送、移植、保存することができる医療用積層体およびその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明は、シート状細胞培養物と、該シート状細胞培養物を支持し、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物を含有する支持体層とから本質的になる、医療用積層体、該積層体の製造方法、該積層体を用いたシート状細胞培養物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状細胞培養物の単離、輸送、移植および保存に有用な医療用積層体、該医療用積層体の製造方法、および該医療用積層体を用いたシート状細胞培養物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、損傷した組織等の修復のために、種々の細胞を移植する試みが行われている。例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患により損傷した心筋組織の修復のために、胎児心筋細胞、骨格筋芽細胞、ES細胞等の利用が試みられている。しかしながら、移植細胞を細胞懸濁液の状態で組織へと投与した場合には、移植細胞の注入効率の低さ、レシピエント組織を穿刺により損傷する危険性、広範囲な組織修復の困難性といった問題が指摘されたため、スキャフォールドを利用して形成した細胞構造物や、細胞をシート状に形成した細胞シートが開発されてきた。細胞シートの治療への応用については、火傷などによる皮膚損傷に対する培養表皮シートの利用、角膜損傷に対する角膜上皮細胞シートの利用、食道ガン内視鏡的切除に対する口腔粘膜細胞シートの利用などの検討が進められている。
【0003】
細胞シートは、一般に細胞を培養基材上でシート状に培養して形成するが、実際に治療に用いる際には、形成された細胞シートを培養基材から単離する必要がある。具体的な単離手法としては、トリプシンなどのタンパク質分解酵素を利用する手法や、スクレーパーやピペットなどにより機械的に剥離する手法が一般的である。しかしながら、これらの手法では、細胞シートの損傷や、細胞生存率の低下などの問題があったため、培養基材の材質や構造を改変して、細胞シートの単離をより良好に行う試みがなされている。例えば、特許文献1には、温度応答性ポリマーでコーティングされた培養基材の利用が、特許文献2には、表面が複数の微小な凹凸を有する培養基材の利用が、特許文献3には、フィブリンでコーティングされた培養基材の利用がそれぞれ記載されている。しかしながら、温度応答性ポリマーでコーティングされた培養基材や特許文献2に記載の培養基材は高価であり、また、フィブリンでコーティングされた培養基材は、フィブリンの分解を待つまでの時間が必要である。
【0004】
特許文献4には、培養基材上に培養された培養細胞を剥離させ、該培養細胞を特定の場所へ移動および再付着させるための培養細胞移植治具が記載されている。かかる治具は、細胞接着部に細胞接着性物質や親水性ポリマーを用い、該細胞接着部と培養細胞との接着力を利用して培養細胞を培養基材から剥離するものであるが、治具からの再剥離に手間がかかることや、細胞接着部と培養細胞の接着力次第では、培養細胞と培養基材の接着力が勝り、剥離が不可能であるなどの問題があり、また剥離する段階から治具が必要である。
【0005】
さらに、シート状細胞培養物は非常に脆弱であり、単離後に皺、破れなどを生じやすいことから、接着状態で保存、移送されることが多く、その場合、シート状細胞の鮮度を保つために液体培地中に保存される。したがって、移送、保存が困難であるという問題もある。
したがって、このような問題点を有することなく、簡便かつ高効率に細胞シートを単離、移送、移植、保存できる手法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−528755号公報
【特許文献2】特開2008−11766号公報
【特許文献3】特開2009−11322号公報
【特許文献4】特開2005−176812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術の問題点を有しない、簡便かつ高効率にシート状細胞培養物を単離、移送、移植、保存することができる医療用積層体およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、培養基材上に培養されたシート状細胞培養物に、液状またはゾル状の組成物を積層し、それを固化またはゲル化させることで細胞シート支持層を形成することで、容易に培養基材からシート状細胞培養物を剥離させることができることを見出し、さらに鋭意研究を続ける中で、シート状細胞培養物と細胞シート支持層から本質的になる積層体を形成することでシート状細胞培養物の単離、移送、移植、保存が容易に可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[9]に関する。
[1]シート状細胞培養物と、該シート状細胞培養物を支持し、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物を含有する支持体層とから本質的になる、医療用積層体。
[2]常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物が、細胞接着性タンパク質、細胞接着性ペプチド、多糖類および親水性ポリマーからなる群から選択される1種または2種以上である、[1]に記載の医療用積層体。
[3]シート状細胞培養物が、骨格筋芽細胞のシート状培養物である、[1]または[2]に記載の積層体。
【0010】
[4]支持体層が、ゼラチンまたはフィブリンを含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]支持体層が、除去されるものである、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]医療用積層体を製造する方法であって、培養基材上に形成されたシート状細胞培養物に、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物を含有する液状またはゾル状の組成物を被覆し、次いで該液状またはゾル状組成物を固化またはゲル化して支持体層を形成することを含む、前記方法。
【0011】
[7]さらに、シート状細胞培養物および固化またはゲル化した支持体層とから本質的になる積層体を培養基材から分離することを含む、[6]に記載の方法。
[8][6]または[7]に記載の方法によって製造される、医療用積層体。
[9]シート状細胞培養物を製造する方法であって、培養基材上に形成されたシート状細胞培養物に、液状またはゾル状の組成物を被覆し、該液状またはゾル状組成物を固化またはゲル化して支持体層を形成し、次いでシート状細胞培養物を固化またはゲル化した支持体層とともに前記培養基材から分離し、しかる後、前記支持体層を除去してシート状細胞培養物を得ることを含む、前記方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の積層体は、シート状細胞培養物を、高回収率・高バイアビリティーで容易に単離できる状態での保存を可能にし、かつ、保管や輸送が容易にできるうえ、簡易に短時間で単離できるため、予め積層体の状態で保存をしておき、必要に応じていつでもシート状細胞培養物を単離することが可能となる。さらに、支持体層をバイオコンパチビリティが高い、すなわち生体適合性の組成物で形成した場合は、本発明の積層体をそのまま移植部位に移植し、支持体層を生体内で分解させることも可能であり、シート状細胞培養物の移植のための治具を必要としないなど、シート状細胞培養物の利用性が格段に高まる。
【0013】
また本発明の方法により、タンパク質分解酵素や、特殊な培養基材を用いることなくシート状細胞培養物を単離することができるため、単離シート状細胞培養物、特に、筋芽細胞などの、細胞間の結合力が弱い細胞から構成されるシート状細胞培養物の取得が効率化されるとともに、得られる単離シート状細胞培養物の品質、安全性、経済性も向上し、シート状細胞培養物を利用した治療が促進される。また、ピペッティング操作を行うことなく、容易にシート状細胞培養物を回収することができるため、ピペッティング操作によるコンタミネーションやシートの破損を回避できるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、ピペッティングを用いて培養基材上のシート状細胞培養物を剥離した結果を表した図である。
【図2】図2は、シート状細胞培養物上にゼラチンを重層し、ゲル化させた様子を表した図である。
【図3】図3は、本発明の積層体を培養基材から分離した様子を表した図である。
【図4】図4は、本発明の積層体の支持体層を融解させ、シート状細胞培養物を分離した様子を表した図である。
【図5】図5は、本発明の積層体を分離させた後の培養基材の顕微鏡観察画像である。シート状細胞培養物を剥離した後には、培養基材上には細胞の残渣がほとんど認められなかった。
【0015】
【図6】図6は、本発明の一態様である、フィブリン糊を1mL噴霧した、シート状骨格筋芽細胞培養物積層体を表した図である。
【図7】図7は、本発明の積層体を培養基材から分離した様子を表した図である。
【図8】図8は、本発明の積層体を分離させた後の培養基材の顕微鏡観察画像である。シート状細胞培養物を剥離した後には、培養基材上には細胞の残渣がほとんど認められなかった。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、シート状細胞培養物と、該シート状細胞培養物を支持し、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物、好ましくは細胞接着性タンパク質、細胞接着性ペプチド、多糖類および親水性ポリマーからなる群から選択される1種または2種以上を含有する支持体層とから本質的になる、医療用積層体に関する。
【0017】
本発明の積層体は、シート状細胞培養物と、該シート状細胞培養物を支持する支持体層を有している。支持体層はシート状細胞培養物と接着しており、そのままでは容易に剥がれたり消失したりしないため、それ自身の強度でシート状細胞培養物を支持することができる。それ以外の層または構成は、本発明の積層体の有する機能や効果を変化させない範囲において含まれてよい。例えば、輸送の目的のため、本発明の積層体の周囲はパッキング材で覆われていてもよいが、かかるパッキング材は本発明の積層体の機能や効果を変化させない。本発明の積層体はシート状細胞培養物と支持体層が各々の表面で接着して重層した状態で培養基材の表面から剥離される。本発明の積層体はシート状細胞培養物と支持体層が培養基材から剥離された状態で維持される。
【0018】
本発明において、「シート状細胞培養物」とは、細胞が互いに連結してシート状になったものをいい、典型的には1つの細胞層からなるものであるが、2以上の細胞層から構成されるものも含む。細胞同士は、直接および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも機械的に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも機械的に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。
【0019】
本発明のシート状細胞培養物は、好ましくはスキャフォールドを含まない。スキャフォールドは、その表面上および/またはその内部に細胞を付着させ、細胞培養物の物理的一体性を維持するために当該技術分野において用いられることがあり、例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)製の膜等が知られているが、本発明の細胞培養物は、かかるスキャフォールドがなくともその物理的一体性を維持することができる。また、本発明の細胞培養物は、好ましくは、細胞培養物を構成する細胞由来の物質のみからなり、それら以外の物質を含まない。
【0020】
本発明のシート状細胞培養物を形成する細胞には、シート状細胞培養物を形成し得る任意の細胞が含まれる。かかる細胞の例としては、限定されずに、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞)、心筋細胞、線維芽細胞、滑膜細胞、上皮細胞(角膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞)、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、歯根膜細胞、皮膚細胞などが含まれる。これらのうち、本発明においては、単層の細胞培養物を形成するもの、例えば、筋芽細胞が好ましい。細胞は、細胞培養物による治療が可能な任意の生物に由来し得る。かかる生物には、限定されずに、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジなどが含まれる。また、本発明に用いる細胞は1種類のみであってもよいが、2種類以上の細胞を用いることもできる。本発明の好ましい態様において、細胞培養物を形成する細胞が2種類以上ある場合、最も多い細胞の比率(純度)は、細胞培養物製造終了時において、65%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。
【0021】
本発明のシート状細胞培養物は、好ましくは培養基材上で形成される。本発明において、「培養基材」は、細胞がその上で細胞培養物を形成し得るものであれば特に限定されず、例えば、種々の材質の容器、容器中の固形もしくは半固形の表面などを含む。容器は、培養液などの液体を透過させない構造・材料が好ましい。かかる材料としては、限定することなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ナイロン6,6、ポリビニルアルコール、セルロース、シリコン、ポリスチレン、ガラス、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、金属(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮)等が挙げられる。また、容器は、少なくとも1つの平坦な面を有することが好ましい。かかる容器の例としては、限定することなく、例えば、細胞培養皿、細胞培養ボトルなどが挙げられる。また、容器は、その内部に固形もしくは半固形の表面を有してもよい。固形の表面としては、上記のごとき種々の材料のプレートや容器などが、半固形の表面としては、ゲル、軟質のポリマーマトリクスなどが挙げられる。培養基材は、上記材料を用いて作製してもよいし、市販のものを利用してもよい。好ましい培養基材としては、限定することなく、例えば、シート状細胞培養物の形成に適した、接着性の表面を有する基材が挙げられる。具体的には、親水性の表面を有する基材、例えば、コロナ放電処理したポリスチレン、コラーゲンゲルや親水性ポリマーなどの親水性化合物を該表面にコーティングした基材、さらには、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックスや、カドヘリンファミリー、セレクチンファミリー、インテグリンファミリーなどの細胞接着因子などを表面にコーティングした基材などが挙げられる。また、かかる基材は市販されている(例えば、Corning(R) TC-Treated Culture Dish、Corning製)。
【0022】
本発明の支持体層は、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物を含有する。これらの化合物は、1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。常温とはこの場合においては細胞を損傷または死滅させない温度範囲のことを示し、具体的には0〜37℃の範囲のことを指す。高分子ゲル化とは三次元的に分子が結合されることで、流動性を失い、固体状化することを指す。「常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物」とは、上記常温の範囲において流動性を持ち、かつ上記常温の範囲において高分子ゲル化して流動性を失うことができる化合物である。本発明の積層体の支持体層は、形成段階においては流動性を有するが、完成時においては流動性を失うことが好ましい。
常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物はそのゲル組成から天然高分子、合成高分子およびそれらの混合物に分類される。天然高分子としては、これに限定するものではないが、たとえば、フィブリンゲル、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、ゼラチンなどの細胞接着性タンパク質、RGDペプチド、RGDSペプチド、GRGDペプチド、GRGDSペプチドなどの細胞接着性ペプチド、寒天、カラギーナン、でんぷんなどの多糖類、あるいは核酸などがあげられる。合成高分子は、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、これに限定するものではないが、たとえばカルボキシメチルセルロースなどの天然高分子誘導体、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸およびその塩、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ乳酸、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマーが挙げられる。使用時の容易さの観点から、好ましくはゼラチン、フィブリンゲルである。
【0023】
本発明の一態様において、支持体層は積層体から除去されるものである。積層体から支持体層を除去することにより、シート状細胞培養物が得られる。支持体層の除去は、in vivoであってもin vitroであってもよい。例えば、支持体層を生分解性ポリマーで構築し、積層体を移植部位に移植した後、生体内で支持体層を分解してもよいし、支持体層をゼラチンで構築し、積層体を容器中で融解によって除去してもよい。
【0024】
また、移植の容易性の観点から、支持体層は好ましくは生体適合性である。本発明において「生体適合性」または「生体適合性物質」とは、バイオコンパチビリティが高い、すなわち生体組織や細胞に対して炎症反応、免疫反応などを起こさない、生体不活性を示すかもしくは生体毒性を有しない性質、またはそのような性質を有する物質のことをいう。
支持体層に生体適合性物質を用いた場合、本発明の積層体からシート状細胞培養物を分離することなく、そのまま移植部位に移植することが可能となる。したがって、移植用の治具などを用いることなく、簡便にシート状細胞培養物を移植することができる。
【0025】
支持体層中の前記成分の含有量は、シート状細胞培養物と接着し得る量である。また、支持体層中の前記成分の含有量は、支持体層としての強度を維持できるのに十分な量である。支持体層中の前記成分の含有量は、例えばおよそ1〜30%w/vであり、好ましくはおよそ5〜10%w/vである。
支持体層の量は、シート状細胞培養物の面積に依存し、シート状細胞培養物を支持可能な量であれば特に限定されないが、剥離の過程で支持体の破損を避ける強度が必要であるとの観点から、好ましくは層の厚みが4〜5mmとなる量である。
【0026】
本発明の一態様において、支持体層は好ましくはゼラチンを含有する。支持体層にゼラチン含有組成物を用いる場合、強度を有するものが好ましく、具体的にはゼラチンを5%w/v以上含むものが好ましい。また、移植の容易性の観点から、好ましくは再生医療用に用いられるゼラチンを含有する。
本発明の一態様において、支持体層は好ましくはフィブリンを含有する。支持体層にフィブリン含有組成物を用いる場合、強度を有するものが好ましく、具体的にはフィブリンを4%w/v以上含むものが好ましい。また、移植の容易性の観点から、好ましくは医療用に用いられるフィブリンを含有する。
【0027】
本発明はまた、医療用積層体を製造する方法であって、培養基材上に形成されたシート状細胞培養物に、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物を含有する液状またはゾル状の組成物を被覆し、次いで該液状またはゾル状組成物を、固化またはゲル化して支持体層を形成することを含む、前記方法に関する。
【0028】
本発明の方法において、培養基材は、刺激、例えば、温度や光に応答して物性が変化する材料で表面が被覆されていてもよい。かかる材料としては、限定されずに、例えば、(メタ)アクリルアミド化合物、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド等)、N,N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等)、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピペリジン、4−(1−オキソ−2−プロペニル)−モルホリン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピペリジン、4−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−モルホリン等)、またはビニルエーテル誘導体(例えば、メチルビニルエーテル)のホモポリマーまたはコポリマーからなる温度応答性材料、アゾベンゼン基を有する光吸収性高分子、トリフェニルメタンロイコハイドロオキシドのビニル誘導体とアクリルアミド系単量体との共重合体、および、スピロベンゾピランを含むN−イソプロピルアクリルアミドゲル等の光応答性材料などの公知のものを用いることができる(例えば、特開平2−211865、特開2003−33177参照)。これらの材料に所定の刺激を与えることによりその物性、例えば、親水性や疎水性を変化させ、同材料上に付着した細胞培養物の剥離を促進することができる。
上記培養基材は、種々の形状であってもよいが、平坦であることが好ましい。また、その面積は特に限定されないが、典型的には、1〜200cm、好ましくは2〜100cm、より好ましくは3〜50cmである。
【0029】
培養基材は血清でコート(被覆またはコーティング)されていてもよい。血清でコートされた培養基材を用いることにより、より高密度のシート状細胞培養物を形成することができる。「血清でコートされている」とは、培養基材の表面に血清成分が付着している状態を意味する。かかる状態は、限定されずに、例えば、培養基材を血清と共にインキュベートすることにより得ることができる。インキュベートとは、血清を培養基材に接触させることを含む。血清としては、異種血清および同種血清を用いることができる。異種血清は、細胞培養物を移植に用いる場合、そのレシピエントとは異なる種の生物に由来する血清を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ウシやウマに由来する血清、例えば、ウシ胎仔血清(FBS、FCS)、仔ウシ血清(CS)、ウマ血清(HS)などが異種血清に該当する。また、「同種血清」は、レシピエントと同一の種の生物に由来する血清を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ヒト血清が同種血清に該当する。同種血清は、自己血清、すなわち、レシピエントに由来する血清、およびレシピエント以外の同種個体に由来する同種他家血清を含む。なお、本明細書中で、自己血清以外の血清、すなわち、異種血清と同種他家血清を非自己血清と総称することもある。
培養基材をコートするための血清は、市販されているか、または、所望の生物から採取した血液から定法により調製することができる。具体的には、例えば、採取した血液を室温で20〜60分程度放置して凝固させ、これを1000〜1200×g程度で遠心分離し、上清を採取する方法などが挙げられる。
【0030】
培養基材上でインキュベートする場合、血清は原液で用いても、希釈して用いてもよい。希釈は、任意の媒体、例えば、限定することなく、水、生理食塩水、種々の緩衝液(例えば、PBS、HBSなど)、種々の液体培地(例えば、DMEM、MEM、F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7、DMEM/F12など)等で行うことができる。希釈濃度は、血清成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、0.5〜90%(v/v)、好ましくは1〜60%(v/v)、より好ましくは5〜40%(v/v)である。
インキュベート時間も、血清成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、1〜72時間、好ましくは4〜48時間、より好ましくは5〜24時間、さらに好ましくは6〜12時間である。インキュベート温度も、血清成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、0〜60℃、好ましくは4〜45℃、より好ましくは室温〜40℃である。
【0031】
インキュベート後に血清を廃棄してもよい。血清の廃棄手法としては、ピペットなどによる吸引や、デカンテーションなどの慣用の液体廃棄手法を用いることができる。本発明の好ましい態様においては、血清廃棄後に、培養基材を無血清洗浄液で洗浄してもよい。無血清洗浄液としては、血清を含まず、培養基材に付着した血清成分に悪影響を与えない液体媒体であれば特に限定されず、例えば、限定することなく、水、生理食塩水、種々の緩衝液(例えば、PBS、HBSなど)、種々の液体培地(例えば、DMEM、MEM、F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7、DMEM/F12など)等で行うことができる。洗浄手法としては、慣用の培養基材洗浄手法、例えば、限定することなく、培養基材上に無血清洗浄液を加えて所定時間(例えば、5〜60秒間)撹拌後、廃棄する手法などを用いることができる。
【0032】
本発明において、培養基材を、成長因子でコートしてもよい。ここで、「成長因子」は、細胞の増殖を、それがない場合に比べて促進する任意の物質を意味し、例えば、上皮細胞成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)などを含む。成長因子による培養基材のコート手法、廃棄手法および洗浄手法は、インキュベーション時の希釈濃度が、例えば、0.0001μg/mL〜1μg/mL、好ましくは0.0005μg/mL〜0.05μg/mL、より好ましくは0.001μg/mL〜0.01μg/mLである以外は、基本的に血清と同じである。
【0033】
本発明において、培養基材を、ステロイド剤でコートしてもよい。ここで「ステロイド剤成分」は、ステロイド核を有する化合物をいう。かかる化合物としては、限定されずに、例えば、コルチゾール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等が含まれる。ステロイド剤による培養基材のコート手法、廃棄手法および洗浄手法は、インキュベーション時の希釈濃度が、デキサメタゾンとして、例えば、0.1μg/mL〜100μg/mL、好ましくは0.4μg/mL〜40μg/mL、より好ましくは1μg/mL〜10μg/mLである以外は、基本的に血清と同じである。
【0034】
培養基材は、血清、成長因子およびステロイド剤のいずれか1つでコートしても、これらの任意の組合わせ、すなわち、血清と成長因子、血清とステロイド剤、血清と成長因子とステロイド剤、または、成長因子とステロイド剤の組合わせでコートしてもよい。複数の成分でコートする場合、これらの成分を混合して同時にコートしてもよいし、別々の工程でコートしてもよい。
【0035】
培養基材は、血清等でコートした後直ちに細胞を播種してもよいし、コートした後に保存しておき、その後細胞を播種することもできる。コートした基材は、例えば4℃以下、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−80℃以下に保つことにより長期間保存することができる。
【0036】
本発明の方法において、支持体層は、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物を含有する液状またはゾル状の組成物を、シート状細胞培養物上に被覆することで形成される。かかる被覆は、シート状細胞培養物上に液状またはゾル状の組成物を流し込んで層形成することで行われる。したがって、細胞に対する傷害性の観点から、液状またはゾル状組成物はおよそ37℃以下であることが好ましい。
被覆する際、シート状細胞培養物上に、他の液層が存在していてもよい。例えば、シート状細胞培養物を培養するための液体培地、または保存するための緩衝液に、前記液状またはゾル状組成物を直接加えてもよい。
【0037】
被覆に次いで、液状またはゾル状組成物を固化またはゲル化する。固化またはゲル化は、これに限定されるものではないが、例えば、冷却、加熱、ゲル化剤の添加、重合化剤の添加、光の照射、圧力の変化、振動の適用、磁性の適用などによって行われてよい。細胞傷害性の低さという観点から、好ましくは、冷却によって、より好ましくは0℃以上の温度に冷却して固化またはゲル化される。したがって、好ましくは固−液転移温度またはゾル−ゲル転移温度が0℃以上である。
冷却して固化またはゲル化する場合、好ましくは10分〜24時間、より好ましくは30分前後冷却して固化またはゲル化する。冷却時間が短すぎると、固化またはゲル化が十分起こらないため、支持体層の強度が十分でなく、冷却時間が長すぎると、酸欠による細胞へのダメージが大きくなるため好ましくない。
【0038】
ゲル化剤、重合化剤を添加してゲル化する場合、好ましくは10秒〜24時間、静置してゲル化する。ゲル化時間が短すぎると、固化またはゲル化が十分に起こらないため、支持体層の強度が十分でなく好ましくない。ゲル化剤、重合化剤としては、これに限定するものではないが、例えばフィブリノーゲンとトロンビンの混合液などが挙げられる。
【0039】
前記液状またはゾル状組成物を被覆して固化またはゲル化することにより、シート状細胞培養物を、液体中に浸漬した状態から、流動性のない物質によって被覆された状態にすることができるため、輸送が非常に容易になる。また、シート状細胞培養物に液状またはゾル状組成物を被覆した後に固化またはゲル化することにより、シート状細胞培養物と支持体層との接着をより強くすることが可能となる。
【0040】
上記のように、本発明の方法を用いることにより、シート状細胞培養物と支持体層との接着がより強くなり、またシート状細胞培養物が支持体層により支持されて物理的強度が上がるため、従来はシート状細胞培養物自体の物理的強度やシート状培養細胞物と培養基材との接着力の問題などにより実質的に不可能であったシート状細胞培養物の物理的単離を、かかる積層体を物理的に分離することによって可能となる。したがって、従来困難であったシート状細胞培養物の単離が非常に容易となる。
【0041】
したがって本発明は、上記のシート状細胞培養物および固化またはゲル化した支持体層とから本質的になる積層体を培養基材から分離することをさらに含む、医療用積層体の製造方法もまた包含する。さらに、上記の方法によって製造される医療用積層体もまた包含する。
【0042】
上記の方法によって得られた医療用積層体は、シート状細胞培養物と常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物を含有する支持体層から本質的になる積層体であり、かかる積層体から支持体層を除去することにより、容易にシート状細胞培養物を得ることができる。支持体層の除去方法は特に限定されず、例えば、物理的および/または化学的に除去してもよいし、融解して除去してもよい。除去の精度や細胞傷害性の低さの観点から、融解による除去が好ましい。
【0043】
本発明において、培養基材上で細胞を培養してシート状の細胞培養物を形成する方法は、特に限定されず、使用される細胞に応じて、当該技術分野で通常なされている方法を用いることができる。細胞の培養もまた、当該技術分野で通常なされている条件で行うことができる。例えば、典型的な培養条件としては、37℃、5%COでの培養が挙げられる。
【0044】
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに説明するが、かかる実施例は、本発明の例示であり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0045】
比較例1
20%のウシ胎仔由来血清(Invitrogen製)、0.01μg/mLの上皮成長因子(Invitrogen製)、4μg/mLのリン酸デキサメタゾンナトリウム(シェリング・プラウ製)を含有するMCDB131培地(Invitrogen製)(以下、細胞増殖用培地)1.5mLに、ヒト骨格筋芽細胞(Lonza製)3.6×10または9.0×10個を懸濁させ、Φ3.5cmの細胞培養皿(Corning(R) 35mm TC-Treated Culture Dish、Corning製)に播種した。播種後、インキュベーター内で37℃、5%COの条件で18時間培養した。培養後、インキュベーターから取り出し、室温で約60分間静置後、シート状細胞培養物の確認を行った。その結果、シート状細胞培養物の形成は認められたものの、培養皿から剥離させるためにピペッティング操作をしたところ、シート状細胞培養物は破れ、回収することができなかった(図1)。このように、通常の細胞接着性を有する培養基材上で形成されたシートは、細胞間の接着よりも、培養基材に対する接着のほうが強力であるため、シート状細胞培養物を培養基材から剥離させる際に加わる圧力に、細胞間の接着が耐えられず、破れてしまうことが明らかとなった。
【0046】
実施例1:支持体層にゼラチンを含む積層体の製造
細胞増殖用培地(1.55ml)にヒト骨格筋芽細胞9.31×10個を懸濁させ、Φ3.5cmの細胞培養皿に播種した。播種後、37℃、5%に設定されたCOインキュベーター(BNA-121D エスペック社製)内で20時間培養した。培養後、インキュベーターから取り出し、シート状細胞培養物が、培養皿底面全体を覆うように接着していることを確認し、細胞増殖用培地を廃棄した。
【0047】
予め、ハンクス平衡塩溶液(14025-092 Invitrogen製)に5wt%で溶解したゼラチン(メディゼラチン:ニッピ社製)を用意し、細胞増殖用培地を廃棄した培養皿に接着したシート状細胞培養物上に4mL重層した。ゼラチンを重層後、4℃に設定された薬用冷蔵ショーケース(MPR-312D 三菱電機社製)に入れ、そのまま30分静置し、ゼラチンを凝固させた。30分後、ゼラチンが凝固したことを確認し、培養皿を薬用冷蔵ショーケースより取り出した(図2)。剥離を促すため、凝固したゼラチンとシャーレ壁面との間を、針を用いて解離させ、シャーレを反転してゼラチンをシャーレ底面より剥離させた。この際、剥離のために幅5mm程度の金属ヘラをゼラチンとシャーレの間に差し込み、ゼラチンとともにシート状細胞培養物の剥離を行った(図3)。
【0048】
Φ10cmのシャーレ(テルモ社製)に、得られた積層体を、シート状細胞培養物層が上面になるように静置した。予め37℃に加温してあった、ハンクス平衡塩溶液を速やかにゼラチンの周囲に流しゼラチンを融解させ、円形の骨格筋芽細胞のシートが得られた(図4)。
【0049】
シート状細胞培養物を剥離した後の培養皿の底面を、位相差顕微鏡(ニコン製)で観察した(図5)。培養皿上には細胞の残渣がほとんど認められなかった。このことから、本発明の方法を用いることによって、培養基材に温度応答性ポリマーを被覆するなどの処理を何らすることなく、培養基材上のシート状細胞培養物を容易に剥離することが可能であることが分かった。
【0050】
実施例2:支持体層にフィブリンを含む積層体の製造
シャーレ35Φ(CORNING社製)に細胞増殖用培地(1.55ml)に懸濁した骨格筋芽細胞(9.31×10個)を播種し、37℃、5%に設定されたCOインキュベーター(BNA-121D エスペック社製)内で培養した。20時間培養した後、骨格筋芽細胞を培養したシャーレを取り出し、シャーレ底面全体を覆うように接着していることを確認した後、細胞増殖用培地を廃棄した。
【0051】
予め、フィブリン糊(ボルヒール)のフィブリノーゲン液とトロンビン液を用意し、骨格筋芽細胞が培養されたシャーレに1mL噴霧した(図6)。フィブリン糊を噴霧したシャーレを、そのまま5分ほど静置し、フィブリンを凝固させた。5分後フィブリンが凝固したのを確認し、ピンセットを用いて、シャーレの端よりフィブリンとともにシート状細胞培養物の剥離を行い、円形の骨格筋芽細胞のシート状細胞培養物とフィブリンの積層体が得られた(図7)。実施例1と同様にシャーレの底面を位相差顕微鏡(ニコン社製)で観察しても、シャーレには細胞の残渣がほとんど認められなかった(図8)。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の積層体により、シート状細胞培養物の単離、輸送、移植、保存が容易になり、それによってシート状細胞培養物の医学的な利用可能性、利便性および生産性が飛躍的に高まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状細胞培養物と、該シート状細胞培養物を支持し、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物を含有する支持体層とから本質的になる、医療用積層体。
【請求項2】
常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物が、細胞接着性タンパク質、細胞接着性ペプチド、多糖類および親水性ポリマーからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の医療用積層体。
【請求項3】
シート状細胞培養物が、骨格筋芽細胞のシート状培養物である、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
支持体層が、ゼラチンまたはフィブリンを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
支持体層が、除去されるものである、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
医療用積層体を製造する方法であって、培養基材上に形成されたシート状細胞培養物に、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物を含有する液状またはゾル状の組成物を被覆し、次いで該液状またはゾル状組成物を固化またはゲル化して支持体層を形成することを含む、前記方法。
【請求項7】
さらに、シート状細胞培養物および固化またはゲル化した支持体層とから本質的になる積層体を培養基材から分離することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の方法によって製造される、医療用積層体。
【請求項9】
シート状細胞培養物を製造する方法であって、培養基材上に形成されたシート状細胞培養物に、液状またはゾル状の組成物を被覆し、該液状またはゾル状組成物を固化またはゲル化して支持体層を形成し、次いでシート状細胞培養物を固化またはゲル化した支持体層とともに前記培養基材から分離し、しかる後、前記支持体層を除去してシート状細胞培養物を得ることを含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−172925(P2011−172925A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15911(P2011−15911)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】