説明

医療用診療装置

【課題】直接触れることなく診療機器やコンピュータに対して操作入力することによって十分なインフェクション・コントロールを確保できる医療用診療装置の提供を目的とする。
【解決手段】相互に接続された診療椅子4、インスツルメント20及びコンピュータ9を備えた診療設備1において、タッチレスモーションによる操作入力を検知する光位相差式センサ手段7が検知したタッチレスモーションに応じて、診療椅子4、インスツルメント20及びコンピュータ9を選択的に操作制御する本体装置8のCPU81を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば歯科診療等の診療する際に用いる医療用診療装置に関し、より詳しくは、直接触れることなく椅子やインスツルメント等の診療機器やコンピュータの操作入力することのできるインフェクション・コントロール(病院内での感染防止対策)を重視した医療用診療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば歯科診療等の診療する際に用いる医療用診療装置は、椅子やインスツルメント、CT撮影やパノラマ撮影を行うX線撮影装置等の診療機器と、電子カルテやルレントゲン画像等を管理・処理するコンピュータとを備えて構成している。
なお、本明細書中において、診療は、診察や診断と、治療とを含む概念であるものとする。
【0003】
しかし、このような医療用診療装置において、患者を触診する手でコンピュータも操作するため、インスツルメンツ等の診療機器はオートクレーブ等によって殺菌できるものの、形状や構成的に容易に殺菌することのできないコンピュータのキーボード等を介してバクテリアやウイルスなどの細菌が患者に伝播される可能性があり、衛生上の問題があった。そこで、従来から、様々なインフェクション・コントロール(病院内での感染防止対策)が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の歯科用診療装置は、ユーザ・インタフェースとして、材料及び簡単な形状により容易に殺菌できるタッチパッドを使用することによって、衛生上の問題を解消できるとされている。
【0005】
また、特許文献2に記載の歯科用診療装置は、コンピュータの制御と診療機器の制御の2つを実行できる制御装置を備えることにより、わざわざコンピュータを設置している場所に移動せずとも診療機器を操作する診療環境内でコンピュータも操作でき、さらには、保護手袋を嵌めて操作できるため衛生上の問題点を解決できるとされている。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の歯科用診療装置では、患者を触診する指でタッチパッドに触れるか、指の代わりにタッチペン等の別のポインタ手段を使用してタッチパッドを操作する必要があるため、容易に殺菌できるタッチパッドであっても不完全なインフェクション・コントロールであった。
【0007】
また、特許文献2に記載の歯科用診療装置においても、コンピュータを操作するために場所を移動しなくてよいものの、患者を触診する際にはコンピュータを操作した保護手袋を嵌めたまま診療するため、不完全なインフェクション・コントロールであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2006−521139号公報
【特許文献2】特表2008−515507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこでこの発明は、直接触れることなく診療機器やコンピュータに対して操作入力することによって十分なインフェクション・コントロールを確保できる医療用診療装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、相互に接続された診療機器及びコンピュータを備えた医療用診療装置において、非接触の動作による操作入力を検知する非接触操作検知手段と、該非接触操作検知手段が検知した前記非接触操作に応じて、前記診療機器及び前記コンピュータの両方を選択的に操作制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記診療機器は、術者の操作によって昇降や背面シートの傾動を行うことのできる診療椅子、あるいは、空気圧やモータで駆動するハンドピース、空気圧で駆動するエアスケーラー、超音波振動子の振動で駆動する超音波スケーラー、治療用レーザ発生器に接続されるレーザハンドピース、さらにはレーザハンドピースの先端に接続されるレーザ照射チップ等のインスツルメント等とすることができる。
【0012】
上記コンピュータは、CPUとROMとRAMで構成される制御装置、マウスやキーボード等の入力装置である操作装置、液晶画面等で構成するディスプレイ、ハードディスク等の記憶装置、DVD−RAM等の各種記憶媒体を読取る記憶媒体読取装置、または記憶媒体読書き装置、及びネットワーク接続可能なLANボード等の通信装置で構成する送受信装置等を備えたコンピュータとすることができる。
上記非接触の動作は、換言すると、タッチレスモーションという。
【0013】
上記非接触操作検知手段は、赤外線等の光式センサや磁気を用いた磁気センサ等の非接触で動作を検知できる検知手段とすることができる。
上記制御手段は、前記診療機器及び前記コンピュータの両方を選択的に操作制御可能なCPUとROMとRAMで構成される制御装置であり、コンピュータに備えた制御装置とは別に備えた制御装置、あるいはコンピュータに備えた制御装置を兼用した制御装置とすることができる。
【0014】
この発明により、直接触れることのない非接触操作によって、診療椅子やインスツルメント等の診療機器及び電子カルテ等を管理・処理するコンピュータの両方を選択的に操作制御できるため、十分なインフェクション・コントロールを確保できる医療用診療装置を得ることができる。
【0015】
詳しくは、タッチレスモーションという非接触の動作による操作入力を検知する非接触操作検知手段を備えたことによって、術者は例えば、キーボードやマウス等の通常の入力装置や、消毒しやすいタッチパネル等に直接接触することなく、非接触の動作で操作入力することができる。
【0016】
また、前記非接触操作検知手段が検知した前記非接触操作に応じて、診療機器及びコンピュータの両方を選択的に操作制御する制御手段を備えたことにより、術者は、診療環境内を移動することなく、非接触動作によって操作入力することによって、前記診療機器及び前記コンピュータの両方を選択的に操作制御することができる。
【0017】
したがって、本発明の医療用診療装置は、容易に滅菌処理が行えるインスツルメント以外に触れることなく、他の診療機器及びコンピュータの両方を選択的に操作制御しながら診療できるため、診療機器及びコンピュータの両方に触れることによって細菌が患者に伝播されるという衛生上の問題を解消でき、十分なインフェクション・コントロールを実現することができる。
【0018】
この発明の態様として、前記診療機器及び前記コンピュータのうち少なくとも一方に関して、前記非接触操作による操作入力を許容する操作内容を表示する表示装置を備えることができる。
【0019】
上記表示装置は、液晶画面等で構成するディスプレイとすることができる。
上記操作内容は、機器や機能を選択するための選択操作、あるいは選択された機器や機能の操作状態とすることができる。
【0020】
この発明により、表示装置に非接触操作による操作入力を許容する操作内容を表示するため、術者は表示装置に表示された操作内容を確認しながら、機器や機能の選択、決定等の診療装置の操作、及びコンピュータの操作を行うことができる。したがって、間違いの少ない操作を操作性よく実行することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記表示装置に、前記コンピュータの操作内容と前記診療機器の操作内容の少なくとも一方を表示し、前記非接触操作検知手段を、
前記表示装置またはその近傍に配置することができる。
【0022】
この発明により、表示装置がコンピュータの操作内容と診療機器の操作内容の少なくとも一方を表示することができるので、術者の視線を極力移動することなく診療することができる。
【0023】
具体的には、非接触操作検知手段を、表示装置またはその近傍に配置することにより、表示装置に表示された操作内容を確認しながら非接触動作による操作入力を行うことができる。したがって、表示装置に表示された操作内容に応じた非接触動作を実現でき、非接触操作検知手段が表示装置から離れて配置された場合と比較して、精度のよい非接触動作による操作入力を実現することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記表示装置を、前記診療機器についての操作内容を表示する第1表示装置と、前記コンピュータについての操作内容を表示する第2表示装置とで構成し、前記非接触操作検知手段を、前記第1表示装置またはその近傍に配置することができる。
【0025】
この発明により、第1表示装置が診療機器についての操作内容を表示するとともに、第2表示装置がコンピュータについての操作内容を表示し、前記非接触操作検知手段を、前記第1表示装置またはその近傍に配置するため、術者の視線を極力移動することなく診療機器やコンピュータに対し非接触動作によって操作入力することができる。
【0026】
したがって、第1表示装置に表示された操作内容に応じた非接触動作を実現でき、非接触操作検知手段が表示装置から離れて配置された場合と比較して、精度のよい非接触動作による操作入力を実現することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、足での操作入力を許容する足操作手段を備え、前記制御手段が、該足操作手段で入力された操作入力と、該非接触操作検知手段が検知した前記非接触操作による操作入力とを組み合わせて、前記診療機器及び前記コンピュータの両方を選択的に操作制御することができる。
【0028】
上記足操作手段における足での操作入力は、足で踏むことによる操作入力、足で押し付けることによる操作入力等とすることができる。
上記足操作手段で入力された操作入力と、非接触操作検知手段が検知した非接触操作による操作入力とを組み合わせて、診療機器及びコンピュータの両方を選択的に操作制御すると、例えば、非接触操作検知手段が検知した非接触操作による操作入力で機能を選択し、足操作手段で決定操作を入力する等の非接触動作による操作入力による操作機能と、足による操作入力による操作機能と異ならせた操作入力による操作制御する構成、あるいは、非接触動作による操作入力による操作機能と、足による操作入力による操作機能とを同じに設定し、いずれの手段による操作入力によって操作制御できる構成とすることができる。
【0029】
この発明により、非接触操作検知手段が検知した非接触操作による操作入力と、足操作手段による操作入力を併用することで、当該医療用診療装置の利便性を向上することができる。
さらには、例えば、非接触動作による操作入力による操作機能と、足による操作入力による操作機能と異ならせた操作入力による操作制御の場合、手と足のワンアクションで操作することができるため、さらに、利便性が向上する。また、手による非接触操作と、足による操作入力とを二段階で操作入力するため、各操作入力内容を確認して次の操作入力するため誤操作を防止することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記非接触操作検知手段を、検知光を発光するとともに、当該非接触操作検知手段が前記非接触操作を検知する検知対象に照射された前記検知光の反射光を受光し、前記反射光の受光の有無により前記非接触操作を検知する反射光検知部とを有する光反射式検知手段で構成することができる。
【0031】
この発明により、発光部から発光された検知光が非接触操作を検知する検知対象に照射されて反射光となり、反射光検知部が反射光の受光の有無により非接触操作を検知するため、簡単な構造で非接触操作検知手段を構成することができる。したがって、非接触操作検知手段を低コストで構成できる。また、非接触操作検知手段が簡単な構造であるため、非接触操作検知手段が非接触操作を検知した際の検知処理にかかる処理負荷の増大を抑制することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記非接触操作検知手段を、3以上の方向から検知光を発光する発光部と、当該非接触操作検知手段が前記非接触操作を検知する検知対象に照射された前記3以上の方向からの検知光における各反射光を受光する受光部と、3以上の前記反射光における位相差に基づいて、前記検知対象による前記非接触操作を検知する位相差検知部とを有する光位相差式検知手段で構成することができる。
【0033】
上記3以上の方向から検知光を発光する発光部は、それぞれ1つずつの検知光を発光する異なる場所に配置された3以上の発光手段で構成する発光部、あるいは、それぞれの検知光を異なる場所から発光する3つ発光手段を有する1つの発光部等とすることができる。
【0034】
この発明により、3次元に移動する非接触操作を精度よく検知することができる。詳しくは、3以上の方向から発光する検知光が反射し、反射光として受光部で受光し、受光した3以上の反射光の位相差を位相差検知部で検知するため、光位相差式検知手段で構成する非接触操作検知手段に対して、X方向、Y方向及びZ方向の3方向、即ち3次元での非接触操作を精度よく検知することができる。したがって、非接触操作によってより正確に診療機器やコンピュータを操作することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記非接触操作検知手段を、当該非接触操作検知手段が前記非接触操作を検知する検知対象に装着された磁界発生部と、該磁界発生部より発生する磁界の変化に基づいて、前記検知対象による前記非接触操作を検知する磁界変化検知部とを有する磁界式検知手段で構成することができる。
【0036】
この発明により、非接触操作する術者の手や、インスツルメント等の術者が把持して診療する診療機器に装着された磁界発生部から発生された磁界の変化、即ち磁界の検知の有無を磁界変化検知部が検知するため、簡単な構造で非接触操作検知手段を構成することができる。したがって、非接触操作検知手段を低コストで構成できる。また、非接触操作検知手段が簡単な構造であるため、非接触操作検知手段が非接触操作を検知した際の検知処理にかかる処理負荷の増大を抑制することができる。
さらにまた、磁界の変化に基づいて非接触操作を検知するため、例えば、診療環境における環境光の影響を受けずに非接触操作を検知することができる。
【0037】
なお、例えば、磁界発生部を指向性のある指向性磁界を発生する指向性磁界発生部とするとともに、磁界変化検知部を該磁界発生部より発生する指向性磁界の変化を3以上の方向から検知する指向性磁界変化検知部で構成とすれば、3次元に移動する非接触操作を精度よく検知することができる。
【0038】
詳しくは、例えば、非接触操作する術者の手や、インスツルメント等の術者が把持して診療する診療機器に装着された指向性磁界発生部が発生する指向性磁界を、指向性磁界変化検知部が3以上の方向から検知するため、指向性磁界変化検知部を備えた磁界式検知手段で構成する非接触操作検知手段に対して、X方向、Y方向及びZ方向の3方向、即ち3次元での非接触操作を精度よく検知することができる。したがって、非接触操作によってより正確に診療機器やコンピュータを操作することができる。
【0039】
またこの発明の態様として、非接触の緊急停止動作を予め設定し、前記非接触操作検知手段が緊急停止動作を検知した際に、前記制御手段が前記診療機器の作動を緊急停止することができる。
上記非接触の緊急停止動作は、通常の診療動作において生じる可能性の非常に低い動作とすることができる。
【0040】
この発明により、緊急停止を要するような非常事態において接触操作による緊急停止操作は困難であるが、非接触操作検知手段が予め設定した緊急停止動作を検知することによって制御手段が診療機器を緊急停止するため、より安全に診療機器を用いて診療することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明により、直接触れることなく診療機器やコンピュータに対して操作入力することによって十分なインフェクション・コントロールを確保できる医療用診療装置を提供することができる。
また、表示装置に診療機器及びコンピュータのうち少なくとも一方を表示することにより、術者は直感的に機能の選択及び決定といった操作を行なうことができる。更に、足操作手段と組み合わせることにより、視線を大きく動かすことなく機能の選択及び決定といった操作を行うことができるので、常に患者から目を離すことなく診療を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】診療設備の構成を示す斜視図。
【図2】光位相差式診療装置の斜視図。
【図3】タッチレスモーション操作システムのブロック図。
【図4】PC表示装置の表示についての説明図。
【図5】タッチレスモーションについての説明図。
【図6】第2実施例の2画面式光位相差式診療装置の斜視図。
【図7】第2実施例の第1表示装置の表示についての説明図。
【図8】第2実施例の2画面式タッチレスモーション操作システムのブロック図。
【図9】第3実施例の光反射式診療装置の斜視図。
【図10】第3実施例の光反射型タッチレスモーション操作システムのブロック図。
【図11】第4実施例の磁気式診療装置の斜視図。
【図12】第4実施例の磁気式タッチレスモーション操作システムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0044】
図1は診療設備1の構成の斜視図を示し、図2は光位相差式診療装置6の斜視図を示し、図3はタッチレスモーション操作システム10のブロック図を示している。さらに、図4はPC表示装置91の表示についての説明図を示し、図5はタッチレスモーションについての説明図を示している。
【0045】
診療設備1は、図1に示すように、ベースンユニット3、該ベースンユニット3にハンガーアーム2cを介して接続されるアシスタントハンガー2、診療椅子4、該診療椅子4の台となる診療基台41、及び、該診療基台41に接続されたフートコントローラ5、光位相差式診療装置6、及びコンピュータ9(図3)により構成されている。
【0046】
アシスタントハンガー2は、唾液や冷却水等の吸引を行うサラエバエジェクタ2a、バキュームシリンジ2b、及びエアーや水を放出するスリーウェイシリンジが取り出し可能に収納されるユニットである。このアシスタントハンガー2に収納されているサラエバエジェクタ2a、バキュームシリンジ2b、及びエアーや水を放出するスリーウェイシリンジは、歯科診療の術者またはアシスタントによって使用され、口腔内の洗浄や吸引等に用いられる。
【0047】
ハンガーアーム2cは、アシスタントハンガー2を支持するアームである。このハンガーアーム2cが伸縮及び上下左右に屈曲可動することで、アシスタントハンガー2の高さや位置を適宜変更できるようになっている。
ベースンユニット3は、うがい用の水を放出するノズル3bと、コップを載置するコップ載置部3cと、うがい後の水を受けるベースン3aとを備えている。
【0048】
診療椅子4は、図1に示すように診療基台41によって支持され、術者の操作によって背面シート4bの傾動と診療椅子4の昇降を行う歯科診療台である。詳しくは、図3に示すように、診療基台41には、油圧等による昇降駆動手段42及び制御装置であるCPU44が内蔵されており、診療椅子4は、CPU44によって制御されたこの昇降駆動手段42に昇降駆動可能に構成されている。
【0049】
また、診療椅子4の座面部分は、ヘッドレスト4a、背面シート4b、及び座面シート4cにより構成されている。背面シート4bは、座面シート4cに起伏自在に取り付けられ、油圧シリンダ等の傾斜駆動手段43(図3)によりCPU44によって制御され傾動する。ヘッドレスト4aは、背面シート4bに対して固定あるいは距離・角度調節自在に装着されている。この傾動や昇降、距離・角度調節といった操作は、手動で操作したり、フートコントローラ5、あるいは光位相差式診療装置6を術者が操作したりすることによって行われる。
診療基台41には、主電源ボタン41aが設けられている。この主電源ボタン41aが足操作等によって押されると主電源ONとなる。
【0050】
フートコントローラ5は、操作ボタン50a〜50eと操作ペダル50fで構成する操作手段50と、制御装置であるCPU51とを備えた足踏操作ユニットである(図1,3)。術者によって操作ボタン50a〜50eや操作ペダル50fが踏まれると、入力信号を光位相差式診療装置6へ送信する。
【0051】
光位相差式診療装置6は、図2に示すように、光位相差式センサ手段7、本体装置8、液晶モニタで構成するPC表示装置91、複数のインスツルメント20(20A〜20E)、及びインスツルメント20を保持するホルダ84(84A〜84E)により主に構成されている。
【0052】
光位相差式センサ手段7は、図3に示すように発光素子71(71a〜71c)と、受光センサ72とで構成し、後述する本体装置8のCPU81に接続されている。なお、発光素子71と受光センサ72とは、PC表示装置91のフレーム枠91aに配置している。具体的には、図2に示すように、正面視横長長方形のPC表示装置91におけるフレーム枠91aの上側左右角部と下右側角部に発光素子71(71a〜71c)を配置し、フレーム枠91aの上側中央に受光センサ72を配置している。
【0053】
本体装置8は、図3に示すように、制御するCPU81と、後述するインスツルメント20を駆動するための駆動手段82とで構成し、上面にトレーテーブル8aを備えている。
【0054】
トレーテーブル8aは、上面が平面であり、薬品や治療器具等を載置できるようになっている。トレーテーブル8aの前面には、操作ボタン8bが設けられた操作部83を備えるとともに、トレーテーブル8aの前面下方には、複数のホルダ84(84A〜84E)が設けられている。このホルダ84には、インスツルメント20(20A〜20E)が1つずつ収納される。
【0055】
このホルダ84に収納されるインスツルメント20は、それぞれ接続チューブ21(21A〜21E)の一端に接続されており、この接続チューブ21の他端がトレーテーブル8aの下面に設けられている本体装置8の接続部を介して駆動手段82(図3)に接続される。
【0056】
コンピュータ9は、CPUとROMとRAMで構成される制御装置、マウスやキーボード等の入力装置である操作装置、ハードディスク等の記憶装置、DVD−RAM等の各種記憶媒体を読取る記憶媒体読取装置、または記憶媒体読書き装置、及び後述するLAN回線110に接続可能なLANボード等の通信装置で構成する送受信装置等を備えている。
【0057】
なお、コンピュータ9は、図1に図示していないように、診療設備1の周辺に配置せずとも、PC表示装置91と接続するとともに、LAN回線110によって、本体装置8のCPU81に接続されていればよい。
【0058】
また、コンピュータ9は、上記記憶装置に患者ごとに管理された電子カルテや、レントゲン画像を記憶し、制御装置の制御によって、後述するPC表示装置91に各種情報を表示することができる。
【0059】
PC表示装置91は、本体装置8の背面側に起立して設けられており、図3に示すように、コンピュータ9に接続されるとともに、コンピュータ9に接続されたLAN回線110を介して本体装置8のCPU81に接続され、コンピュータ9の制御装置の制御に基づいて各種の画面を表示する構成である。
【0060】
なお、図3に示すように、診療設備1のうち、CAN/BUSライン100によって各CPU(44,51,81)が接続された診療椅子4、フートコントローラ5及び光位相差式診療装置6と、LAN回線110を介して本体装置8のCPU81に接続されたコンピュータ9及びPC表示装置91によって、タッチレスモーション操作システム10を構成している。
【0061】
このように、診療設備1及びタッチレスモーション操作システム10を構成することによって、図4に示すように、PC表示装置91の表示画面92に、コンピュータ9で管理・処理する各種情報と、診療椅子4及びインスツルメント20の操作・設定情報である操作内容を表示することができる。
【0062】
詳しくは、表示画面92の左側画面92aには、コンピュータ9の上記記憶装置に記憶した患者ごとに管理された電子カルテや、レントゲン画像等の各種情報を、制御装置の制御に基づいて表示している。
【0063】
また、表示画面92の右側画面92bには、LAN回線110を介して接続された本体装置8のCPU81の制御に基づいて、診療椅子4及びインスツルメント20の操作・設定情報等の操作内容についての操作画面を表示することができる。
なお、図4における右側画面92bには、インスツルメント20の選択操作画面を表示している。このように、インスツルメント20の選択操作画面は、インスツルメント20(20A〜20E)の操作を選択するように、選択アイコン93(93a〜93g)が行列配置され、その下方に、操作切り替えボタン94(94a〜94c)を表示している。そして、図4において、選択アイコン93aや操作切り替えボタン94aで示すように、選択されたアイコンや選択されたボタンをハイライト表示して目視確認できるように表示する。
【0064】
なお、上記選択アイコン93によって所望のインスツルメント20を選択すると、当該インスツルメント20の駆動のON/OFF、さらには駆動状態の調整等を行うことのできる操作入力画面を右側画面92bに表示させることができる。
【0065】
このように右側画面92bにインスツルメント20の選択操作画面が表示された状態で、図5に示すように、PC表示装置91の前で、術者が手指200をXYZ方向に移動させることにより、選択アイコン93の選択を移動することができ、所望の選択アイコン93を選択した状態でフートコントローラ5の操作手段50を押下して、上記選択を決定することができる。
【0066】
詳述すると、PC表示装置91のフレーム枠91aに配した3つの発光素子71(71a,71b,71c)から発光された検知光S(S1〜S3)は、手指200で反射し、それぞれの反射光R(R1〜R3)として受光センサ72で受光する。
【0067】
光位相差式センサ手段7の受光センサ72で反射光Rを受光した本体装置8のCPU81は、3つの反射光Rの位相差から手指200の移動を検出し、LAN回線110を介してコンピュータ9に、選択アイコン93の選択を移動させる制御を実行する。
【0068】
このように、診療設備1のタッチレスモーション操作システム10は、相互に接続された診療椅子4、インスツルメント20及びコンピュータ9を備えた診療設備1において、タッチレスモーションによる操作入力を検知する光位相差式センサ手段7と、該光位相差式センサ手段7が検知したタッチレスモーションに応じて、診療椅子4、インスツルメント20及びコンピュータ9を選択的に操作制御する本体装置8のCPU81とを備えたことにより、直接触れることのないタッチレスモーションによって、診療椅子4、インスツルメント20及び電子カルテ等を管理・処理するコンピュータ9を選択的に操作制御できる。したがって、十分なインフェクション・コントロールを確保できる診療設備1を得ることができる。
【0069】
詳しくは、タッチレスモーションによる操作入力を検知する光位相差式センサ手段7を備えたことによって、術者は例えば、キーボードやマウス等の通常の入力装置や、消毒しやすいタッチパネル等に直接接触することなく、タッチレスモーションで操作入力することができる。
【0070】
また、光位相差式センサ手段7が検知したタッチレスモーションに応じて、診療椅子4、インスツルメント20及びコンピュータ9を選択的に操作制御する本体装置8のCPU81を備えたことにより、術者は、診療環境内を移動することなく、非接触動作であるタッチレスモーションにより操作入力することによって、診療椅子4、インスツルメント20及びコンピュータ9を選択的に操作制御することができる。
【0071】
したがって、本発明の診療設備1は、容易に滅菌処理のできるインスツルメント20以外に触れることなく、診療椅子4、インスツルメント20及びコンピュータ9を選択的に操作制御しながら診療できるため、診療椅子4、インスツルメント20及びコンピュータ9に触れることによって細菌が患者に伝播されるという衛生上のリスクを回避でき、十分なインフェクション・コントロールを実現することができる。
【0072】
また、PC表示装置91に、診療椅子4及びインスツルメント20あるいはコンピュータ9に関して、タッチレスモーションによる操作入力を許容する操作内容である選択アイコン93及び操作切り替えボタン94を表示するため、術者はPC表示装置91に表示された選択アイコン93及び操作切り替えボタン94を確認しながら、機器や機能の選択、決定等の診療椅子4及びインスツルメント20の操作あるいはコンピュータ9の操作を行うことができる。したがって、間違いの少ない操作入力を操作性よく実行することができる。
【0073】
また、PC表示装置91に、コンピュータ9の操作状態や表示内容を含む操作内容と、診療椅子4あるいはインスツルメント20の操作状態や表示内容を含む操作内容を表示し、光位相差式センサ手段7を、PC表示装置91の近傍であるフレーム枠91aに配置したため、術者の視線を極力移動することなく診療することができる。
【0074】
具体的には、PC表示装置91のフレーム枠91aに光位相差式センサ手段7を配置することにより、PC表示装置91に表示された選択アイコン93及び操作切り替えボタン94を確認しながらタッチレスモーションによる操作入力を行うことができる。したがって、PC表示装置91に表示された選択アイコン93及び操作切り替えボタン94に応じたタッチレスモーションによる操作入力を実現でき、光位相差式センサ手段7がPC表示装置91から離れて配置された場合と比較して、精度のよいタッチレスモーションによる操作入力を実現することができる。
【0075】
また、足で操作するフートコントローラ5を備え、本体装置8のCPU81が、フートコントローラ5から入力された操作入力と、光位相差式センサ手段7が検知したタッチレスモーションによる操作入力とを組み合わせて、診療椅子4、インスツルメント20及びコンピュータ9を選択的に操作制御することができる。したがって、光位相差式センサ手段7が検知したタッチレスモーションによる操作入力と、フートコントローラ5による操作入力を併用することで、当該診療設備1の利便性を向上することができる。
【0076】
さらには、例えば、タッチレスモーションによる操作入力による操作機能(アイコン選択)と、フートコントローラ5に対する足による操作入力による操作機能(選択決定)とを異ならせたため、手と足のワンアクションで操作することができる。したがって、操作入力における利便性を向上することができる。
【0077】
また、手指200によるタッチレスモーションと、足による操作入力とを二段階で操作入力するため、各操作入力内容を確認して次の操作入力するため誤操作入力を防止することができる。
【0078】
また、光位相差式センサ手段7を、3方向から検知光Sを発光する発光素子71(71a〜71c)と、光位相差式センサ手段7がタッチレスモーションを検知する手指200に照射された3方向からの検知光Sにおける各反射光Rを受光する受光センサ72と、3つの反射光Rにおける位相差に基づいて、手指200によるタッチレスモーションを検知する本体装置8のCPU81とで構成したことによって、XYZ方向の3次元に移動する手指200のタッチレスモーションを精度よく検知することができる。
【0079】
詳しくは、3方向から発光する検知光Sが手指200に当たって反射し、反射光Rとして受光センサ72で受光し、受光した3の反射光Rの位相差を本体装置8のCPU81で検知するため、光位相差式センサ手段7に対して、XYZ方向の3方向、即ち3次元でのタッチレスモーションを精度よく検知することができる。したがって、タッチレスモーションによってより正確に診療椅子4及びインスツルメント20やコンピュータ9を操作することができる。
【0080】
なお、上述の説明では、インスツルメント20について手指200の移動を光位相差式センサ手段7で検知して操作入力したが、操作切り替えボタン94を操作して、操作切り替えボタン94bを選択し、診療椅子4の選択操作画面を右側画面92bに表示させてから、手指200を非接触で移動させて診療椅子4の操作入力をおこなうことができる。さらには、左側画面92aに表示されたコンピュータ9の操作内容に基づいて、コンピュータ9の操作入力をおこなうこともできる。
【0081】
また、光位相差式センサ手段7を3つの発光素子71と受光センサ72とで構成し、各光位相差式センサ手段7から検知光Sを発光し、手指200で反射した反射光Rを受光センサ72で受光し、その反射光Rの位相差で手指200の移動を検知したが、4以上の検知光Sを発光素子71で発光させ、各検知光Sの反射光Rの位相差から手指200の移動を検知する構成であってもよい。検知光S及び反射光Rの数を増やすことにより、位相差の検知処理による負荷は増大するものの、検知精度を向上することができる。
【実施例2】
【0082】
次に、2画面式タッチレスモーション操作システム10aについて、図6〜8とともに説明する。なお、図6は2画面式光位相差式診療装置6aの斜視図を示し、図7は操作部表示装置85の表示についての説明図を示し、図8は2画面式タッチレスモーション操作システム10aのブロック図を示している。なお、上記実施例1と同じ構成については、同じ番号とし、説明を省略する。
【0083】
本実施例の2画面式光位相差式診療装置6aは、本体装置8の操作部83に、診療椅子4及びインスツルメント20の操作・設定情報等の操作内容を表示する操作部表示装置85を備えている。
【0084】
操作部表示装置85は、上記実施例1におけるPC表示装置91の右側画面92bに表示していた、選択アイコン93と操作切り替えボタン94とで構成するインスツルメント20の選択操作画面を表示する(図7参照)。
【0085】
そして、操作部表示装置85の周囲に、実施例1においてPC表示装置91のフレーム枠91aに配置していた発光素子71及び受光センサ72で構成する2画面光位相差式センサ手段7aを配置している。
【0086】
このように構成された2画面式タッチレスモーション操作システム10aでは、操作部表示装置85にインスツルメント20の選択操作画面が表示された状態で、図7に示すように、操作部表示装置85の前で、術者が手指200をXYZ方向に移動させることにより、選択アイコン93の選択を移動することができ、所望の選択アイコン93を選択した状態でフートコントローラ5の操作手段50を押下して、上記選択を決定することができる。
【0087】
詳述すると、操作部表示装置85の周囲に配した3つの発光素子71(71a,71b,71c)から発光された検知光S(S1〜S3)は、手指200で反射し、それぞれの反射光R(R1〜R3)として受光センサ72で受光する。
【0088】
2画面光位相差式センサ手段7aの受光センサ72で反射光Rを受光した本体装置8のCPU81は、3つの反射光Rの位相差から手指200の移動を検出し、LAN回線110を介してコンピュータ9に、選択アイコン93の選択を移動させる制御を実行する。
【0089】
このように、2画面式タッチレスモーション操作システム10aでは、実施例1の光位相差式診療装置6と同様の効果を得ることができるとともに、診療椅子4及びインスツルメント20についての操作・設定情報等の操作内容を表示する操作部表示装置85と、前記コンピュータ9についての操作内容を表示するPC表示装置91を備え、前記2画面光位相差式センサ手段7aを操作部表示装置85の近傍に配置したことにより、術者の視線を極力移動することなく診療椅子4及びインスツルメント20を手指200によるタッチレスモーションによって操作入力することができる。
【0090】
したがって、操作部表示装置85に表示された操作内容に応じた手指200によるタッチレスモーションによる操作入力を実現でき、2画面光位相差式センサ手段7aが操作部表示装置85から離れて配置された場合と比較して、精度のよい手指200によるタッチレスモーションによる操作入力を実現することができる。
【実施例3】
【0091】
続いて、光反射型タッチレスモーション操作システム10bについて、図9及び図10とともに説明する。なお、図9は光反射式診療装置6bの斜視図を示し、図10は光反射型タッチレスモーション操作システム10bのブロック図を示している。なお、上記実施例1または実施例2と同じ構成については、同じ番号とし、説明を省略する。
【0092】
本実施例の光反射式診療装置6bは、本体装置8の操作部83に備えた操作部表示装置85の下方及び側方に略逆T字状となるように配置した反射型センサ73で構成する反射型センサ手段7bを備えている。
【0093】
反射型センサ手段7bを構成する反射型センサ73は、検知光Sを発光するとともに、手指200で反射した反射光Rを受光することで、手指200の有無を検知する光反射型のセンサである。この反射型センサ73を逆T字型となるように操作部表示装置85の周辺に備えたことにより、各反射型センサ73で検知した手指200の有無を本体装置8のCPU81で処理して、手指200のタッチレスモーションを動きとして検知することができる。
【0094】
このように構成された光反射型タッチレスモーション操作システム10bでは、実施例2の図7と同様に、インスツルメント20の選択操作画面が表示された状態の操作部表示装置85の前で、術者が手指200をXY方向に移動させることにより、各反射型センサ73で検知した手指200の有無を、平面的な手指200の移動として検知し、選択アイコン93の選択を移動することができる。そして、所望の選択アイコン93を選択した状態でフートコントローラ5の操作手段50を押下して、上記選択を決定することができる。
【0095】
このように、光反射型タッチレスモーション操作システム10bでは、実施例1の光位相差式診療装置6及び実施例2の2画面式光位相差式診療装置6aと同様の効果を得ることができるとともに、簡単な構造で反射型センサ手段7bを構成することができる。したがって、反射型センサ手段7bを低コストで構成できる。また、反射型センサ手段7bが簡単な構造であるため、反射型センサ手段7bがタッチレスモーションを検知した際の本体装置8のCPU81にかかる処理負荷の増大を抑制することができる。
【実施例4】
【0096】
さらに、磁気式タッチレスモーション操作システム10cについて、図11及び12とともに説明する。なお、図11は磁気式診療装置6cの斜視図を示し、図12は磁気式タッチレスモーション操作システム10cのブロック図を示している。また、上記実施例1〜3と同じ構成については、同じ番号とし、説明を省略する。
【0097】
本実施例の磁気式診療装置6cは、本体装置8の操作部83に備えた操作部表示装置85に等間隔で配置した複数の磁気センサ74で磁気式センサ手段7cを備えている。そして、タッチレスモーションを行う手指200には、指向性のある指向性磁界Mを発生する指向性磁界発生磁性体301を内蔵させた磁界発生バンド300を装着する。
【0098】
このように構成された磁気式タッチレスモーション操作システム10cでは、操作部表示装置85にインスツルメント20の選択操作画面が表示された状態で、図11に示すように、操作部表示装置85の前で、術者が磁界発生バンド300を装着した手指200をXYZ方向に移動させることにより、選択アイコン93の選択を移動することができ、所望の選択アイコン93を選択した状態でフートコントローラ5の操作手段50を押下して、上記選択を決定することができる。
【0099】
詳述すると、タッチレスモーションを行う手指200に装着された磁界発生バンド300の指向性磁界発生磁性体301から発生される指向性磁界Mを、操作部表示装置85の周囲に3以上配した磁気センサ74で検知する。
【0100】
このように、磁気式タッチレスモーション操作システム10cでは、実施例1及び2と同様の効果を得ることができるとともに、タッチレスモーションをする術者の手指200に装着した磁界発生バンド300に内蔵する指向性磁界発生磁性体301から発生された指向性磁界Mの変化を磁気センサ74が検知するため、簡単な構造で磁気式センサ手段7cを構成することができる。したがって、磁気式センサ手段7cを低コストで構成できる。また、磁気式センサ手段7cが簡単な構造であるため、磁気式センサ手段7cがタッチレスモーションを検知した際の検知処理にかかる処理負荷の増大を抑制することができる。
【0101】
さらにまた、指向性磁界Mの変化に基づいて手指200のタッチレスモーションを検知するため、例えば、診療環境における環境光の影響を受けずにタッチレスモーションを検知することができる。
【0102】
なお、術者が指向性磁界発生磁性体301が内蔵された磁界発生バンド300を装着せずとも、術者が診療する際に把持するインスツルメント20に指向性磁界発生磁性体301を内蔵させても同様の効果を得ることができる。
【0103】
また、磁気式センサ手段7cは、指向性磁界発生磁性体301から発生された指向性磁界Mの変化を3以上の磁気センサ74で検知する構成であったが、指向性磁界発生磁性体301を指向性のない単なる磁界を発生させる磁性体で構成し、実施例の3のように、磁気センサ74で磁界の有無だけを検知して、タッチレスモーションを検知する構成であってもよい。
【0104】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の診療機器は、診療椅子4及びインスツルメント20に対応し、
以下同様に、
医療用診療装置は、診療設備1に対応し、
非接触操作検知手段は、光位相差式診療装置6、2画面式光位相差式診療装置6a、光反射式診療装置6b及び磁気式診療装置6cに対応し、
制御手段は、本体装置8のCPU81に対応し、
操作内容は、右側画面92bや操作部表示装置85に示す選択アイコン93や操作切り替えボタン94に対応し、
表示装置は、操作部表示装置85及びPC表示装置91に対応し、
第1表示装置は、操作部表示装置85に対応し、
第2表示装置は、PC表示装置91に対応し、
足操作手段は、フートコントローラ5に対応し、
発光部は、発光素子71に対応し、
検知対象は、手指200に対応し、
光反射式検知手段は、反射型センサ73で構成する反射型センサ手段7bに対応し、
受光部は、受光センサ72に対応し、
反射光検知部及び位相差検知部は、本体装置8のCPU81に対応し、
光位相差式検知手段は、光位相差式センサ手段7、2画面光位相差式センサ手段7aに対応し、
磁界発生部は、指向性磁界発生磁性体301に対応し、
磁界変化検知部は、磁気センサ74で構成する磁気式センサ手段7cに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0105】
例えば、上述の説明において、インスツルメント20や診療椅子40を緊急停止させるための緊急停止タッチレスモーションを予め設定して、コンピュータ9の記憶装置に格納し、光位相差式診療装置6が手指200や磁界発生バンド300による緊急停止タッチレスモーションを検知した際に、本体装置8のCPU81が診療椅子4やインスツルメント20の作動を緊急停止させるように構成してもよい。
【0106】
これにより、診療椅子4やインスツルメント20の作動を緊急停止させなければならないような非常事態において、例えば操作部83に備えた操作ボタン8b等の緊急停止ボタン等を操作して緊急停止することが困難であるが、予め設定した緊急停止タッチレスモーションを検知した際に、制御手段が診療機器を緊急停止するため、より安全に診療機器を用いて診療することができる。
【0107】
なお、このとき、緊急停止タッチレスモーションは緊急停止動作に対応する。したがって、緊急停止タッチレスモーションは、通常の診療動作において生じる可能性の非常に低い動作とすることがより好ましい。
【0108】
さらにまた、タッチレスモーションによって操作入力する際に、フートコントローラ5の操作ペダル50fを足踏みながらでなければ、手指200によるタッチレスモーションによる操作入力を光位相差式センサ手段7、2画面光位相差式センサ手段7a、反射型センサ手段7b及び磁気式センサ手段7cが受付けないように構成することもできる。
【0109】
このとき、操作ペダル50fを足踏みした状態で手指200のタッチレスモーションによる操作入力によって機器や機能を選択し、操作ペダル50fの足踏みを離して機器や機能の選択を決定させるように構成するとより好ましい。
【0110】
このように構成することで、例えば、不用意な手指200の移動をタッチレスモーションとして光位相差式センサ手段7、2画面光位相差式センサ手段7a、反射型センサ手段7b及び磁気式センサ手段7cが誤認識することを防止できる。したがって、術者の意図に沿わない操作入力を防止することができる。
【符号の説明】
【0111】
1…診療設備
4…診療椅子
5…フートコントローラ
6…光位相差式診療装置
6a…2画面式光位相差式診療装置
6b…光反射式診療装置
6c…磁気式診療装置
7…光位相差式センサ手段
7a…2画面光位相差式センサ手段
7b…反射型センサ手段
7c…磁気式センサ手段
8…本体装置
9…コンピュータ
20…インスツルメント
71…発光素子
72…受光センサ
73…反射型センサ
74…磁気センサ
81…CPU
85…操作部表示装置
91…PC表示装置
92b…右側画面
93…選択アイコン
94…操作切り替えボタン
200…手指
301…指向性磁界発生磁性体
M…指向性磁界
R…反射光
S…検知光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に接続された診療機器及びコンピュータを備えた医療用診療装置において、
非接触の動作による操作入力を検知する非接触操作検知手段と、
該非接触操作検知手段が検知した前記非接触操作に応じて、前記診療機器及び前記コンピュータの両方を選択的に操作制御する制御手段とを備えた
医療用診療装置。
【請求項2】
前記診療機器及び前記コンピュータのうち少なくとも一方に関して、前記非接触操作による操作入力を許容する操作内容を表示する表示装置を備えた
請求項1に記載の医療用診療装置。
【請求項3】
前記表示装置に、
前記コンピュータの操作内容と前記診療機器の操作内容の少なくとも一方を表示し、
前記非接触操作検知手段を、
前記表示装置またはその近傍に配置した
請求項2に記載の医療用診療装置。
【請求項4】
前記表示装置を、
前記診療機器についての操作内容を表示する第1表示装置と、
前記コンピュータについての操作内容を表示する第2表示装置とで構成し、
前記非接触操作検知手段を、
前記第1表示装置またはその近傍に配置した
請求項2または3に記載の医療用診療装置。
【請求項5】
足での操作入力を許容する足操作手段を備え、
前記制御手段が、
該足操作手段で入力された操作入力と、該非接触操作検知手段が検知した前記非接触操作による操作入力とを組み合わせて、前記診療機器及び前記コンピュータの両方を選択的に操作制御する
請求項1から4のうちいずれかに記載の医療用診療装置。
【請求項6】
前記非接触操作検知手段を、
検知光を発光するとともに、当該非接触操作検知手段が前記非接触操作を検知する検知対象に照射された前記検知光の反射光を受光し、前記反射光の受光の有無により前記非接触操作を検知する反射光検知部とを有する光反射式検知手段で構成した
請求項1から5のうちいずれかに記載の医療用診療装置。
【請求項7】
前記非接触操作検知手段を、
3以上の方向から検知光を発光する発光部と、当該非接触操作検知手段が前記非接触操作を検知する検知対象に照射された前記3以上の方向からの検知光における各反射光を受光する受光部と、3以上の前記反射光における位相差に基づいて、前記検知対象による前記非接触操作を検知する位相差検知部とを有する光位相差式検知手段で構成した
請求項1から5のうちいずれかに記載の医療用診療装置。
【請求項8】
前記非接触操作検知手段を、
当該非接触操作検知手段が前記非接触操作を検知する検知対象に装着された磁界発生部と、該磁界発生部より発生する磁界の変化に基づいて、前記検知対象による前記非接触操作を検知する磁界変化検知部とを有する磁界式検知手段で構成した
請求項1から5のうちいずれかに記載の医療用診療装置。
【請求項9】
非接触の緊急停止動作を予め設定し、
前記非接触操作検知手段が緊急停止動作を検知した際に、前記制御手段が前記診療機器の作動を緊急停止する
請求項1から8のうちいずれかに記載の医療用診療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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