医療用Yサイトのための逆止め弁
Yサイトの共通管腔中に逆止め弁を保持するように構成された固定部および該固定部から軸方向に延びるフラップ部材(24)を含む、輸液システムにおけるYサイト(10)中に使用するための逆止め弁(20)。フラップ部材は、外側表面(46)を有し、少なくともその一部が、主管腔(14)からの注入口に被さり、共通管腔(12)の内壁に係合するように構成されている。1つの実施形態において、フラップ部材は、孔(36)および孔に隣接する壁から延びるすべてのバリを取り囲むポケット(70)を含む。いくつかの実施形態では、フラップ部材は、密封位置に向かって弾性的に付勢され、液体が主管腔から共通管腔へ流入するように曲がることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、医療用液体連結器の分野、特に医療用Yサイト連結器中に使用するための逆止め弁に関する。
【背景技術】
【0002】
静脈輸液は、現代医学の重要な態様になりつつある。輸液システムは、水和液および栄養液、抗生物質、麻酔薬、およびその他の医薬品を患者に送達するために使用される。輸液システムは、通常、患者の血管に挿入するIV針またはカテーテルに連結されている液管に接合された液体バッグを含み、これにより液体をバッグから患者へ点滴することが可能になる。
【0003】
多くの輸液システムにおいて、Yサイトは、液体バッグと針またはカテーテルとの間の液管に配置され、別の液体または薬物がそこを通って輸液システムに注入され得る第二通路を提供する。標準的なYサイトがこの名前をつけられた理由は、輸液の導入のための投入ポートを有する主管腔と、医薬品をそこを通して注入するための注入ポートを備えた副管腔との間に、分岐点が作成されるからである。主管腔は、通常、定流又は準定流を処理するために構成され、副管腔は、間欠流または周期流を処理するために構成される。共通管腔および副管腔は、通常、同軸であり、従って共通管腔と副管腔との間の境界は、主管腔と副管腔とをそれぞれ通って流れる液体の間の合流領域である。Yサイトにおける流出口は、共通管腔の遠位端に位置する。
【0004】
場合によっては、共通管腔中の遠位方向への液流は、副管腔へ導入される液体の周期的な噴出より遅い。これは、すべての三つの管腔が接合する領域において、この接合部の上流における主管腔中の液圧より大きい液圧をもたらし、副管腔を通して注入されている大量の液体(例えば医薬品)が、主管腔を通りIVバッグまたは他の医療用具へ向かって(およびおそらくは、中へ)上向きに流れることをひきおこすことがある。この逆流は、医薬品の総剤量の患者への送達を希薄し遅らせ得る。医薬品の全ては最終的に患者へ到達するとはいえ、望まれたように迅速には行われない可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、液体がYサイトの副管腔または共通管腔から主管腔中へ流れることを防止し、これにより、副管腔を通して注入される液体ができるだけ速く患者へ送達することを保証する逆止め弁を備えたYサイトを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態は、Yサイトの主管腔への望ましくない逆流を確実に最小限にしまたは防止する逆止め弁を提供する。1つの実施形態では、輸液システムが、逆止め弁と、主管腔、副管腔および共通管腔を有するYサイトとの組み合わせを含む。該逆止め弁は、副管腔の内壁と係合する固定部を含む。フラップ部材が、該固定部から前記内壁の一部分に沿って延びる。該フラップ部材は、管腔を接合する孔をふさぐ。該フラップ部材は、密封位置へ向かって弾性的に付勢され前記孔を覆い、共通管腔または副管腔から主管腔中への方向における液流を防止するが、曲がれるような弾性を有し、主管腔から共通管腔中への順方向における液体の流れを可能にする。いくつかの実施形態では、該フラップ部材はさらに、前記孔およびハウジングの内壁の孔に隣接し得るバリまたはフラッシュを取り囲むように構成されたポケットを含む。このような実施形態の1つにおいて、ポケットは、フラップ部材を取り囲み、該フラップ部材の一部分を前記バリから離れるように保持しつつ共通管腔および/または副管腔の壁に対して密封するフランジにより定義される。
【0007】
他の実施形態では、逆止め弁は、第1端および第2端を有する固定部を含む。該固定部分は、逆止め弁を医療用連結器中に保持するように寸法決めされた外側寸法を有する。フラップ部材は、前記固定部の第2端から軸方向に伸び、更に該フラップ部材を前記固定部に接合する取付端および該取付端と反対側の自由端を有する。該フラップ部材はまた、湾曲した外側表面を含むことができ、前記フラップ部材の一部分は、医療用連結器の管腔の内壁に係合するように構成されている。1つの好ましい実施形態では、前記逆止め弁は、円形の内管腔を有する医療用連結器中で機能するように構成されている。いくつかの実施形態では、前記フラップ部材は、前記孔を取り囲むポケットを含む。その他の実施形態においては、前記ポケットは、外側に伸びて前記フラップ部材を取り囲むフランジにより定義される。
【0008】
Yサイトおよび逆止め弁の使用方法は、医療用Y連結器の共通管腔から主管腔への逆流を防ぐことを含む。該方法は、固定部および弾性フラップを有する逆止め弁を、医療用Yサイトの共通管腔または副管腔へ挿入することを含む。該方法は、Yサイトの共通管腔および/または副管腔中における固定部分を、主管腔、副管腔および共通管腔の合流点における開口部上に前記フラップを配置する位置に確保することをさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の全体的特徴をこのように要約したので、特定の好ましい実施形態およびその変形例が、図面を参照して詳細に説明することとする。
【0010】
添付の図面を参照して、Yサイト逆止め弁の種々の実施形態が説明する。図1Aは、その開示の全てを本明細書に引用して援用する、米国特許第6599273号に説明および記載の、無針連結器8を備えたYサイト2の実施例を示す。図示の無針連結器8は、ICU Medical,Inc(カリフォルニア州サンクレメンテ)により販売されている、CLAVE(登録商標)無針連結器の1種である。
【0011】
図1Bは、共通管腔12または副管腔15から点滴主管腔14中への逆流を防止するように構成された逆止め弁20を備えたYサイト10の実施形態を示す。図示の実施形態において、前記Yサイト10は、他の種類の前記CLAVE(登録商標)無針連結器の基端で取り付けられる。図示の無針連結器は、外側ハウジング11、内側密封要素13、およびテーパー状の注入ポート16を含む。ルアー付き注射器などの他の医療用具を連結器の近位開口部に挿入でき、密封要素13を遠位方向に圧縮する。密封要素13の圧縮にしたがって、注入ポート16の先端が該密封要素13を通りぬける。これにより、挿入された医療用具からの液体は、連結器の近位端へ押しこまれる。注入ポート16の先端にまたはこの先端付近にある1つまたはそれ以上の孔17は、液体がルアーから注入ポート16を通過しYサイトの共通管腔12中へ流れるようにする。図1Cは、連結器のハウジング11および密封要素13が相互に分離した図1BのYサイトを示している。
【0012】
図示の無針連結器は、Yサイトの他の医療用具への取り付けを容易にするために使用できる連結器の一例にすぎない。延長されたテーパー状注入ポート16を有しない連結器と、全ての記載が本明細書に引用される米国特許第6245048号、第6428520号および第6695817号に説明および記載されたような、正方向流を生じさせる連結器とを含む、多くの他の種類の連結器、弁および/または注入サイトが使用できる。本明細書に記載および説明の実施形態の全てにおいて、近位端での連結器は、Yサイトと一体構造として形成することができ、あるいは単独で形成され、ネジ山、止め輪、接着剤もしくは溶剤などのような取り外し可能または取り外し不可な手段により後でYサイトに取り付けることができる。Yサイトはまた、いくつかの適用において、連結器無しで使用することができる。
【0013】
図2Aは、前記ハウジング11および密封要素13が除去されテーパー状注入ポート16が露出している、図1BのYサイト10を示す。図1Bから図10において示される逆止め弁20の実施形態は、一般的に、固定部22、および主管腔14と共通管腔12の交点の開口部を覆うように前記固定部22から延びるフラップ部材24を含む。本明細書に記載の逆止め弁の実施形態は、特定のYサイトに適しているとみなされる任意の長さを有することができる。いくつかの実施形態において、逆止め弁20は、約0.4インチから約0.8インチの全長L2を有する。逆止め弁の1つの実施形態は、約0.6インチの全長L2を有する。固定部22は、逆止め弁20をYサイトの共通管腔12または副管腔15中の所望位置に確保するように構成される。いくつかの実施形態において、前記固定部22は、この固定部を通って軸方向に延びる内側管腔30を有することができ、またYサイト10の共通管腔12または副管腔15の内壁34に係合するように構成されている外壁32も含むことができる。図11‐図13に示されているようないくつかの別の実施形態では、前記固定部は、角柱状体90のような突起を含む。前記突起は、液体が該突起の周りを流れるようにすると共に、逆止め弁20をYサイトの共通管腔12中に保持するように構成されている。
【0014】
図2Aは、Yサイトの共通管腔12と副管腔15、及び逆止め弁20の管腔30を通って流れている液体40を図示する。逆止め弁20のフラップ部材24は液体42の共通管腔12から主管腔14内への流れ込みを防止していることが、示されている。フラップ部材24は、管腔12、14、15が接合する孔36を取り囲む共通管腔12および副管腔15の内壁の部分を密封または実質的に密封するように構成されている。共通管腔12および副管腔15の内壁の断面は、一般的に円形である。このような実施形態において、フラップ部材24の外側表面46は、共通管腔12の内壁34の半径と実質的に同一またはわずかに大きい半径を有することができる。別の実施形態において、共通管腔12の内壁34は、フラップ部材24および/または固定部22の種々の対応形状を要求し得る、他の断面形状を含むことができる。例えば、共通管腔12には、長方形の固定部22および/またはフラップ部材の外側表面46を要求し得る、長方形の断面を設けることができる。
【0015】
フラップ部材24は、共通管腔12または副管腔15における背圧により主管腔14中へ押し込まれることに抵抗するように寸法決めされ構成される。ここで使用された用語「背圧」は、主管腔14における液圧を超える共通管腔12および副管腔15における液圧を指す。逆止め弁は、好ましくは、少なくとも通常の使用における背圧(例えば、典型的には数水柱インチのみ)と同じ位大きい背圧に耐えるように構成される。いくつかの実施形態において、逆止め弁は、少なくとも約5PSI(約138.5水柱インチ)の背圧に耐えるように構成され得る。他の実施形態において、弁は、35PSI(すなわち、共通管腔12および副管腔15における液圧が主管腔14における液圧より約35PSI高い)、またはそれより高い背圧に耐えるように構成され得る。
【0016】
任意の適切な方法で、固定部22をYサイト10の共通管腔12または副管腔15内に確保することができる。例えば、1つの実施形態において、固定部22は、共通管腔12内に圧嵌され、単純に摩擦により所定位置に保持される。この実施形態では、固定部は、約0.100インチから約0.140インチの間の外側直径DOを有することができる。他の好ましい範囲は、約0.100インチから約0.130インチの間であり、1つの好ましい実施形態において、外側直径DOは約0.120インチである。外側直径DOは、一般に、固定部22が中に固定されることが意図される管腔の直径に対応して寸法取りされる。
【0017】
フルオロシリコン油または他の医学的に許容できる潤滑剤を、逆止め弁20のYサイトの共通管腔12または副管腔15中への挿入を容易にするために使用できる。別の実施形態において、固定部22を、Yサイト共通管腔12の内壁34(または他の部分)に、接着、成形、溶接または他の方法で確保することができる。
【0018】
上記説明した実施形態における逆止め弁20により実行される逆流抵抗機能は、ゲート、阻流板、屈曲液体経路、拡張性切り込み溝および/または犬歯型弁などの、さまざまな他の液流抵抗構造により達成できる。固定部22を含む逆止め弁20の一般的な位置決めは、フラップ部材24が孔36への逆流に対する抵抗性を有するように構成される限り、特定の適用のための固定部22およびフラップ部材24の選択された直径に依り変わり得る。いくつかの実施形態において、フラップ部材24は孔36を完全には密封せず、単にこのような流れを減らすように充分な抵抗性を提供する。
【0019】
固定部22の管腔30は、断面において実質的に円形であり得る(例えば、図8を参照)。逆止め弁管腔30は、液体が共通管腔12または副管腔15を通って流れるようにすると共に、各管腔を通る流れに対する障害を好ましくは最小限にするために充分大きい任意の適切な内側直径「Di」を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、固定部22は、約0.060インチから約0.100インチの間の内側直径Diを有する。他の実施形態では、内側直径Diは約0.070インチから約0.090インチの間であり、1つの好ましい実施形態において内側直径Diは約0.080インチである。さらに、いくつかの実施形態において、固定部22は、約0.010から約0.020の間の肉厚t1を有し、1つの実施形態では約0.17インチの肉厚t1を有する。フラップ型逆止め弁20のいくつかの実施形態は、約半インチの長さL4を持つ固定部22を有することができる。他の実施形態において、固定部22は、約0.1インチから約0.3インチの間の長さを有する。固定部の1つの好ましい実施形態は、約0.250インチの長さL4を有する。
【0020】
上記説明した実施形態において、フラップ部材24は、図1に示す位置に向かって弾性的に付勢されている。いくつかの実施形態では、逆止め弁20は、フラップ部材24において「閉じた」位置に向かう付勢を生じさせるような充分に弾性のある材料(シリコンゴムなど)で作られる。他の実施形態において、フラップ部材24は、該フラップ部材24に所望の弾性を提供するための特定の幾何学的および補助的な機械付勢装置(バネまたは他の弾力装置)を含むことができる。
【0021】
図2Bを参照すると、図示の条件において、主管腔14における液圧は、共通管腔12における液体80の圧力より大きい。この圧力差により、逆止め弁20のフラップ部材24が、共通管腔12の長手軸に向かって内側に変位し、共通管腔内壁34および孔36から遠ざかるようになる。いくつかの実施形態において、フラップ部材24は、圧力差の大きさが一定の閾値を超えるまで、より小さな圧力差に対しては開くことに抵抗する。
【0022】
この閾値圧力の値は、逆止め弁20および/またはYサイト10の設計パラメータの変更により、選択的に決定することができる。例えば、フラップ部材24の材料および形状は、弾性を向上または減少させるように調節でき、これにより、フラップ部材24の閉鎖力および弁を順流方向に開くために必要な閾値圧力を増加または減少させる。さらに、ある実施形態において、共通管腔の内壁34の表面に接触するフラップ部材24の表面は、摩擦的、静電的または他の力により一時的に粘着する傾向があり、これにより生じるより大きな接触面積が逆止め弁を開くために必要な増加した閾値圧力差と相互に関連する。従って、閾値圧力差はまた、フラップ部材24と共通管腔内壁34の間の接触面積を増大または減少させることにより調節できる。いくつかの実施形態では、閾値圧力は実質的に無視してよいほど小さいことが望ましい。例えば、閾値圧力は、約0から約9水柱インチ(すなわち、約0.3PSI)の間にあることができる。他の実施形態において、閾値圧力は、約4から約7水柱インチ(すなわち、約0.14PSIから約0.25PSI)の間にあることができる。1つの好ましい実施形態では、閾値圧力は、約6水柱インチ(約0.22PSI)またはこれ以下である。
【0023】
単体逆止め弁を提供するために、フラップ部材24は、固定部22と一体に成形することができる。或いは、フラップ部材24および固定部を別々に製造し、次に接着、溶接または他の接合手段により互いに接合することができる。逆止め弁20は、シリコンゴム、弾性ポリマーまたは他の医学的に許容できる材料など種々の適切な材料から、成形、押出しまたは鋳造されることができる。押出しの場合、フラップ部材および固定部を作成するために、他の方法で逆止め弁を切断または変形することができる。Yサイトはまた、適切に構成された逆止め弁構造を有する単体構造として作ることができ、製造および組み立ての工程を潜在的に単純化し得る。
【0024】
1つの実施形態において、逆止め弁20は、固定部22およびフラップ部材24を含め、シリコンゴム材料から成形される。逆止め弁は、医学的に許容できる任意の適切な材料から作ることができる。いくつかの実施形態では、フラップ部材24は、約0.1インチから約0.5インチの間の長さL3を有する。他の実施形態において、フラップ部材24は、約0.2インチから約0.4インチの間の長さL3を有し、1つの特定の実施形態では、フラップ部材24は約0.35インチの長さL3を有する。
【0025】
フラップ部材24の弾性は、該フラップ部材24の曲げ部分の厚さにより、少なくとも部分的に決定できる。いくつかの実施形態において、フラップ部材24の近位部52は、約0.010インチから約0.040インチの間の厚さt1を有し、1つの好ましい実施形態では約0.017インチの厚さt1を有する。いくつかの実施形態において、フラップ部材24の遠位部分54は、約0.010インチから約0.050インチの間の厚さt2を有し、1つの好ましい実施形態では、該フラップ部材は約0.037インチの厚さt2を有する。当然ながら、これらの範囲内および範囲外の寸法も、任意の特定の適用のために適切なものとして使用することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、例えば図3および図4に示すように、フラップ部材24の一部分は、切り抜き43を含むことができる。1つの実施形態において、切り抜き43は、フラップ部材24の長さの一部において逆止め弁管腔30の輪郭を継続している。切り抜き42が省略される場合、フラップ部材24の近位部52および遠位部54は、ほぼ同じ厚さを有することができる。図3および図4に示す実施形態では、切り抜き43は、その遠位端に肩部44を含む。いくつかの実施形態において、切り抜き43を含む管腔30の長さL1は、約0.2インチから約0.6インチの間であり、他の実施形態では、約0.3から0.5インチの間である。1つの実施形態において、長さL1は約0.4インチである。さらに別の実施形態においては、他の寸法を適切に使用することができる。別の実施形態では、切り抜き43はテーパー状遠位端44を含むことができ、または切り抜き43はフラップ部材24の全長に亘って続くことができる。逆止め弁管腔30は、円形の断面を有する必要はない。例えば、断面は、長方形、楕円形、多角形またはD字形であることもできる。
【0027】
Yサイトは、通常、医療グレードのプラスチックから射出成形される。製造過程の人為産物として、射出成形はしばしば持ち上がったバリまたは他の余剰材料の形ではみ出し(図示せず)を残す。該はみ出しは、しばしば主管腔壁28に平行し、孔36の周りに共通管腔12および/または副管腔15中へ延びる。いくつかの実施例において、該はみだしは、フラップ部材24の外側表面46の、共通管腔12の内壁34に対する密封を潜在的に妨げることにより、上述のフラップ部材を有する逆止め弁の機能性を妨害する可能性がある。これを回避するための1つの方法は、研削、やすり仕上げまたはいくつかの他の製造後の方法などによりはみ出しを除去することである。しかし、これらの工程は、労働集約的であり、非効率的および高費用であり得る。従って、好ましい別法は、はみ出しを収容し交差孔36周りの共通管腔壁上のはみ出しの存在にもかかわらず上述のように機能するように構成される逆止め弁20のフラップ部材24を設けることを含む。
【0028】
図5から図13は、交差孔36周りのはみ出しを回避し最小の注入圧閾値を要求すると共に注入管腔14を逆流から密封するように構成された、逆止め弁20のいくつかの実施形態を示す。図示の実施形態において、これらの利点は、一般的に、フラップ部材24の外側表面46に箱形ポケット70を設けることにより達成される。このようなポケット70は、該ポケット周りの壁が管腔壁を密封すると共に、はみ出しまたはバリ物質が該ポケットにより造られた空間中に延びるようにすることができる。いくつかの実施形態において、このようなポケット70は、フラップ部材24の外側表面46の周縁を取り囲むフランジ72により形成され得る。
【0029】
図5は、中空の管腔30と固定部22から遠位方向へ延びるフラップ部材24とを備えた円筒形の固定部22を有する逆止め弁20の実施形態を示す。フラップ部材24は、該フラップ部材24の部分から外へ延びるフランジ72を含む。図示の実施形態では、フランジ72は、一般的に端部74及びフランジ部24の長手縁部に沿って延びる第1および第2のフランジ脚76を含む。図示の実施形態において、フランジ72は比較的幅が狭く、フラップ部材外側表面46の周縁を取り囲む。図6に示すような1つの実施形態では、フランジ72は、約0.005インチの幅「W」を有する。いくつかの実施形態において、フランジ72は約0.010インチの幅を有する。他の実施形態では、フランジ72は、所望によりフラップ部材24のより小さいまたはより大きい部分を超えて延びることができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、ポケット70は、フラップ部材24の外側表面46の中央部を取り囲むフランジ72により形成される。このポケット70は、一般的に、孔36の周りの、Y連結器の共通管腔中へ延びるいかなるはみ出しを囲むように寸法取りされて、これにより、フランジ72が共通管腔内壁34を密封できる。フランジ72はまた、フラップ部材24と共通管腔12の内壁34との間に小さな接触面積を作る。先に述べたように、密封面積のこのような縮小は、主管腔14から共通管腔12中へ液体が流れるために必要な閾値圧力における有利な減少という結果になり得る。
【0031】
図7に示すような1つの実施形態において、フランジ72は、フラップ部材24の遠位端78から外へ延びる弓形端部74を含む。フランジ72の弓形端部74は、フラップ部材24の外側表面46と実質的に同じ半径および、好ましくは、円形固定部22とフラップ部材外側表面40との中心から半径方向にシフトする中心点を有することができる。フランジ72の弓形部分74の半径は、Yサイト共通管腔の内壁の直径に応じて選択され得る。
【0032】
図7および図8に示す実施形態において、フラップ部材24は、実質的にD字形の断面を含む。フラップ部材24の平縁50は、円形固定部22の中心から測定して180度未満の弧θを定める幾何学的弦を形成する。この実施例において、弦50は、約90度から約180度の間の弧θを定め、1つの好ましい実施形態では、弧50は好ましくは、約135度の弧θを定める。代わりに、弦50は、任意の特定の適用のために適切な90度未満の弧を定めるように構成することもできるであろう。
【0033】
図7および図8に示している1つの実施形態において、フランジ72は、弓形端部74の中心における高点84から固定部22とフラップ部材24との交点における一対の低点84へと、テーパー状に構成することもできる。高点84において、フランジ72は、フラップ部材24の外側表面46上に約0.005インチから約0.030インチまで延びることができる。1つの実施形態では、高点がフラップ部材24の外側表面46上に約0.010インチ延び、フランジ72のテーパー角度αは、約1°から約2°の間にあることができる(図9参照)。1つの好ましい実施形態において、テーパー角度は約1.6°である。別の実施形態では、所望により、フランジにより長いまたはより短い長さもしくは角度のテーパーを設けることができる。例えば、フランジ脚76の低点84は、代わりに、フラップ部材に沿った他の点に位置することもできるであろう。フランジはまた、逆止め弁の全長に沿って固定部の近位端80まで延びることができる。
【0034】
1つの実施形態において、フランジ72の低点84は、固定部22の外側表面32に実質的に続いている。代わりに、弁20は、弁20と共通管腔内壁34との間の密封に対して変化をつけるために、固定部22とフランジ72との交点位置またはその近くに、突き出しまたは溝などの不連続部を含むこともできる。
【0035】
ポケット70は、任意の適切な手段によりフラップ部材24に形成することができる。例えば、上述のようないくつかの実施形態において、フランジ72は、フラップ部材24および/または固定部22との単体構造として成形することができる。
【0036】
1つの実施形態において、上述の実施形態のいくつかによる逆止め弁は、36水柱インチ(約1.3PSI)の圧力と約330立方センチメートル/分の速度で、液体を主管腔から共通管腔へ流させる。さらなる実施形態では、本明細書に開示されている範囲内または範囲外の速度も達成され得る。
【0037】
例えば図10に示す別の実施形態において、ポケット70は、フラップ部材24の一部を切り抜くことにより、またはフラップ部材24の外側表面46中にくぼみを成形することにより、形成できる。加えて、線形、弓形、丸形、蛇行形およびその他の形状を有するポケット70を取り囲む側壁86でポケット70を作り出すように、くぼみ或はフランジを形成することができる。
【0038】
図11から図13は、Yサイト中の望ましくない液流を防ぐのに使用する逆止め弁20の、他の実施形態を示す。この実施形態によれば、固定部22は、角柱状体90のような突起を含むことができる。前記突起は、液体が該突起の周りを流れるようにすると共に、逆止め弁20をYサイト共通管腔中に保持するように構成される。図示の実施形態では、該突起は、断面において(軸方向および幅方向)実質的に台形の角柱状体90である。図示の角柱状体90はまた、液体が本体90の周りを流れることを改善するため、先端および後端に丸形部92を含むことができる。別の実施形態において、固定部22の突起は、液体を該突起の任意の部分を通ってまたはその回りを流させるように構成された、任意の適切な断面形を有する中空または中実の部分を含むことができる。
【0039】
図11から図13の実施形態は、弁20の全縁の周りに実質的に延びるフランジ72を備えた実質的に平坦な外側表面46を含むことができる。従って、ポケット70は、フラップ部材24および固定部22の全長に沿って実質的に延びることができる。所望ならば、弁20の縁端領域94は、弁20とYサイトの内壁との間の密封を改善するように構成される半径を有することができる。
【0040】
例えば図14に示すようないくつかの実施形態において、Yサイト10を、主管腔14に隣接する平面部96と共に成形し、本明細書に説明および記載のような平坦外側表面46を有する逆止め弁20を受けるように構成することができる。図14のYサイトはまた、主管腔14と共通管腔12が接合する孔36の直下の、直径が増大しているポイントに段差98を備えたものとして示されている。この構成は、孔36の下のレベルにある液体が、逆行的な液圧により孔36を通り主管腔14中へと上向きに押し込まれる可能性をさらに減少させる。なぜならば、このような上向き方向の液体が、逆止め弁20のフラップ部材24の代わりに、先に段差98に遭遇するからである。
【0041】
本明細書において、一定の種類の実施形態および実施例について述べてきたが、本明細書に記載の原則を考慮し、本開示おいて図示および説明された方法および装置の多くの態様を様々に組み合わせおよび/または変更することにより、さらなる実施形態を形成することが可能であることが、当業者によって自明であろう。例えば、管内の一部に、切り込みまたはポートなどの他のフラップ部材装置を設けることができる。また、先に述べたように、フラップ部材および固定部は、所望により任意の適切な断面形を有することができる。上記の逆止め弁の実施形態は、Yサイト連結器に関連して記載されているが、交差する液体管腔を有する他の液体管路においても用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1A】破線で示す一定の内部構造を有する医療用Yサイトの斜視図である。
【図1B】破線で示す逆止め弁を含む一定の内部部分を有するYサイトの斜視図である。
【図1C】図1Bの逆止め弁を有するYサイトの分解図である。
【図2A】閉じた位置にある逆止め弁を有し、副管腔上の連結器が除去された図1BのYサイトの概略断面図である。
【図2B】開いた位置にある逆止め弁を有する図1BのYサイトの概略断面図である。
【図3】図1B‐図2Bの逆止め弁の実施形態の斜視図である。
【図4】線4‐4に沿った図3の逆止め弁の断面図である。
【図5】フラップ部にフランジを有する逆止め弁の斜視図である。
【図6】図5の逆止め弁の平面図である。
【図7】線7‐7に沿ってみた図6の逆止め弁の遠位端の図である。
【図8】線8‐8に沿ってみた図6の逆止め弁の近位端の図である。
【図9】線9‐9に沿った図8の逆止め弁の断面図である。
【図10】逆止め弁の他の実施形態の斜視図である。
【図11】逆止め弁の更に他の実施形態の斜視図である。
【図12】図11の逆止め弁の平面図である。
【図13】線13‐13に沿った図12の逆止め弁の側面図である。
【図14】本明細書に開示の逆止め弁の使用に特に適しているがこれに限定されないYサイトの断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、医療用液体連結器の分野、特に医療用Yサイト連結器中に使用するための逆止め弁に関する。
【背景技術】
【0002】
静脈輸液は、現代医学の重要な態様になりつつある。輸液システムは、水和液および栄養液、抗生物質、麻酔薬、およびその他の医薬品を患者に送達するために使用される。輸液システムは、通常、患者の血管に挿入するIV針またはカテーテルに連結されている液管に接合された液体バッグを含み、これにより液体をバッグから患者へ点滴することが可能になる。
【0003】
多くの輸液システムにおいて、Yサイトは、液体バッグと針またはカテーテルとの間の液管に配置され、別の液体または薬物がそこを通って輸液システムに注入され得る第二通路を提供する。標準的なYサイトがこの名前をつけられた理由は、輸液の導入のための投入ポートを有する主管腔と、医薬品をそこを通して注入するための注入ポートを備えた副管腔との間に、分岐点が作成されるからである。主管腔は、通常、定流又は準定流を処理するために構成され、副管腔は、間欠流または周期流を処理するために構成される。共通管腔および副管腔は、通常、同軸であり、従って共通管腔と副管腔との間の境界は、主管腔と副管腔とをそれぞれ通って流れる液体の間の合流領域である。Yサイトにおける流出口は、共通管腔の遠位端に位置する。
【0004】
場合によっては、共通管腔中の遠位方向への液流は、副管腔へ導入される液体の周期的な噴出より遅い。これは、すべての三つの管腔が接合する領域において、この接合部の上流における主管腔中の液圧より大きい液圧をもたらし、副管腔を通して注入されている大量の液体(例えば医薬品)が、主管腔を通りIVバッグまたは他の医療用具へ向かって(およびおそらくは、中へ)上向きに流れることをひきおこすことがある。この逆流は、医薬品の総剤量の患者への送達を希薄し遅らせ得る。医薬品の全ては最終的に患者へ到達するとはいえ、望まれたように迅速には行われない可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、液体がYサイトの副管腔または共通管腔から主管腔中へ流れることを防止し、これにより、副管腔を通して注入される液体ができるだけ速く患者へ送達することを保証する逆止め弁を備えたYサイトを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態は、Yサイトの主管腔への望ましくない逆流を確実に最小限にしまたは防止する逆止め弁を提供する。1つの実施形態では、輸液システムが、逆止め弁と、主管腔、副管腔および共通管腔を有するYサイトとの組み合わせを含む。該逆止め弁は、副管腔の内壁と係合する固定部を含む。フラップ部材が、該固定部から前記内壁の一部分に沿って延びる。該フラップ部材は、管腔を接合する孔をふさぐ。該フラップ部材は、密封位置へ向かって弾性的に付勢され前記孔を覆い、共通管腔または副管腔から主管腔中への方向における液流を防止するが、曲がれるような弾性を有し、主管腔から共通管腔中への順方向における液体の流れを可能にする。いくつかの実施形態では、該フラップ部材はさらに、前記孔およびハウジングの内壁の孔に隣接し得るバリまたはフラッシュを取り囲むように構成されたポケットを含む。このような実施形態の1つにおいて、ポケットは、フラップ部材を取り囲み、該フラップ部材の一部分を前記バリから離れるように保持しつつ共通管腔および/または副管腔の壁に対して密封するフランジにより定義される。
【0007】
他の実施形態では、逆止め弁は、第1端および第2端を有する固定部を含む。該固定部分は、逆止め弁を医療用連結器中に保持するように寸法決めされた外側寸法を有する。フラップ部材は、前記固定部の第2端から軸方向に伸び、更に該フラップ部材を前記固定部に接合する取付端および該取付端と反対側の自由端を有する。該フラップ部材はまた、湾曲した外側表面を含むことができ、前記フラップ部材の一部分は、医療用連結器の管腔の内壁に係合するように構成されている。1つの好ましい実施形態では、前記逆止め弁は、円形の内管腔を有する医療用連結器中で機能するように構成されている。いくつかの実施形態では、前記フラップ部材は、前記孔を取り囲むポケットを含む。その他の実施形態においては、前記ポケットは、外側に伸びて前記フラップ部材を取り囲むフランジにより定義される。
【0008】
Yサイトおよび逆止め弁の使用方法は、医療用Y連結器の共通管腔から主管腔への逆流を防ぐことを含む。該方法は、固定部および弾性フラップを有する逆止め弁を、医療用Yサイトの共通管腔または副管腔へ挿入することを含む。該方法は、Yサイトの共通管腔および/または副管腔中における固定部分を、主管腔、副管腔および共通管腔の合流点における開口部上に前記フラップを配置する位置に確保することをさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の全体的特徴をこのように要約したので、特定の好ましい実施形態およびその変形例が、図面を参照して詳細に説明することとする。
【0010】
添付の図面を参照して、Yサイト逆止め弁の種々の実施形態が説明する。図1Aは、その開示の全てを本明細書に引用して援用する、米国特許第6599273号に説明および記載の、無針連結器8を備えたYサイト2の実施例を示す。図示の無針連結器8は、ICU Medical,Inc(カリフォルニア州サンクレメンテ)により販売されている、CLAVE(登録商標)無針連結器の1種である。
【0011】
図1Bは、共通管腔12または副管腔15から点滴主管腔14中への逆流を防止するように構成された逆止め弁20を備えたYサイト10の実施形態を示す。図示の実施形態において、前記Yサイト10は、他の種類の前記CLAVE(登録商標)無針連結器の基端で取り付けられる。図示の無針連結器は、外側ハウジング11、内側密封要素13、およびテーパー状の注入ポート16を含む。ルアー付き注射器などの他の医療用具を連結器の近位開口部に挿入でき、密封要素13を遠位方向に圧縮する。密封要素13の圧縮にしたがって、注入ポート16の先端が該密封要素13を通りぬける。これにより、挿入された医療用具からの液体は、連結器の近位端へ押しこまれる。注入ポート16の先端にまたはこの先端付近にある1つまたはそれ以上の孔17は、液体がルアーから注入ポート16を通過しYサイトの共通管腔12中へ流れるようにする。図1Cは、連結器のハウジング11および密封要素13が相互に分離した図1BのYサイトを示している。
【0012】
図示の無針連結器は、Yサイトの他の医療用具への取り付けを容易にするために使用できる連結器の一例にすぎない。延長されたテーパー状注入ポート16を有しない連結器と、全ての記載が本明細書に引用される米国特許第6245048号、第6428520号および第6695817号に説明および記載されたような、正方向流を生じさせる連結器とを含む、多くの他の種類の連結器、弁および/または注入サイトが使用できる。本明細書に記載および説明の実施形態の全てにおいて、近位端での連結器は、Yサイトと一体構造として形成することができ、あるいは単独で形成され、ネジ山、止め輪、接着剤もしくは溶剤などのような取り外し可能または取り外し不可な手段により後でYサイトに取り付けることができる。Yサイトはまた、いくつかの適用において、連結器無しで使用することができる。
【0013】
図2Aは、前記ハウジング11および密封要素13が除去されテーパー状注入ポート16が露出している、図1BのYサイト10を示す。図1Bから図10において示される逆止め弁20の実施形態は、一般的に、固定部22、および主管腔14と共通管腔12の交点の開口部を覆うように前記固定部22から延びるフラップ部材24を含む。本明細書に記載の逆止め弁の実施形態は、特定のYサイトに適しているとみなされる任意の長さを有することができる。いくつかの実施形態において、逆止め弁20は、約0.4インチから約0.8インチの全長L2を有する。逆止め弁の1つの実施形態は、約0.6インチの全長L2を有する。固定部22は、逆止め弁20をYサイトの共通管腔12または副管腔15中の所望位置に確保するように構成される。いくつかの実施形態において、前記固定部22は、この固定部を通って軸方向に延びる内側管腔30を有することができ、またYサイト10の共通管腔12または副管腔15の内壁34に係合するように構成されている外壁32も含むことができる。図11‐図13に示されているようないくつかの別の実施形態では、前記固定部は、角柱状体90のような突起を含む。前記突起は、液体が該突起の周りを流れるようにすると共に、逆止め弁20をYサイトの共通管腔12中に保持するように構成されている。
【0014】
図2Aは、Yサイトの共通管腔12と副管腔15、及び逆止め弁20の管腔30を通って流れている液体40を図示する。逆止め弁20のフラップ部材24は液体42の共通管腔12から主管腔14内への流れ込みを防止していることが、示されている。フラップ部材24は、管腔12、14、15が接合する孔36を取り囲む共通管腔12および副管腔15の内壁の部分を密封または実質的に密封するように構成されている。共通管腔12および副管腔15の内壁の断面は、一般的に円形である。このような実施形態において、フラップ部材24の外側表面46は、共通管腔12の内壁34の半径と実質的に同一またはわずかに大きい半径を有することができる。別の実施形態において、共通管腔12の内壁34は、フラップ部材24および/または固定部22の種々の対応形状を要求し得る、他の断面形状を含むことができる。例えば、共通管腔12には、長方形の固定部22および/またはフラップ部材の外側表面46を要求し得る、長方形の断面を設けることができる。
【0015】
フラップ部材24は、共通管腔12または副管腔15における背圧により主管腔14中へ押し込まれることに抵抗するように寸法決めされ構成される。ここで使用された用語「背圧」は、主管腔14における液圧を超える共通管腔12および副管腔15における液圧を指す。逆止め弁は、好ましくは、少なくとも通常の使用における背圧(例えば、典型的には数水柱インチのみ)と同じ位大きい背圧に耐えるように構成される。いくつかの実施形態において、逆止め弁は、少なくとも約5PSI(約138.5水柱インチ)の背圧に耐えるように構成され得る。他の実施形態において、弁は、35PSI(すなわち、共通管腔12および副管腔15における液圧が主管腔14における液圧より約35PSI高い)、またはそれより高い背圧に耐えるように構成され得る。
【0016】
任意の適切な方法で、固定部22をYサイト10の共通管腔12または副管腔15内に確保することができる。例えば、1つの実施形態において、固定部22は、共通管腔12内に圧嵌され、単純に摩擦により所定位置に保持される。この実施形態では、固定部は、約0.100インチから約0.140インチの間の外側直径DOを有することができる。他の好ましい範囲は、約0.100インチから約0.130インチの間であり、1つの好ましい実施形態において、外側直径DOは約0.120インチである。外側直径DOは、一般に、固定部22が中に固定されることが意図される管腔の直径に対応して寸法取りされる。
【0017】
フルオロシリコン油または他の医学的に許容できる潤滑剤を、逆止め弁20のYサイトの共通管腔12または副管腔15中への挿入を容易にするために使用できる。別の実施形態において、固定部22を、Yサイト共通管腔12の内壁34(または他の部分)に、接着、成形、溶接または他の方法で確保することができる。
【0018】
上記説明した実施形態における逆止め弁20により実行される逆流抵抗機能は、ゲート、阻流板、屈曲液体経路、拡張性切り込み溝および/または犬歯型弁などの、さまざまな他の液流抵抗構造により達成できる。固定部22を含む逆止め弁20の一般的な位置決めは、フラップ部材24が孔36への逆流に対する抵抗性を有するように構成される限り、特定の適用のための固定部22およびフラップ部材24の選択された直径に依り変わり得る。いくつかの実施形態において、フラップ部材24は孔36を完全には密封せず、単にこのような流れを減らすように充分な抵抗性を提供する。
【0019】
固定部22の管腔30は、断面において実質的に円形であり得る(例えば、図8を参照)。逆止め弁管腔30は、液体が共通管腔12または副管腔15を通って流れるようにすると共に、各管腔を通る流れに対する障害を好ましくは最小限にするために充分大きい任意の適切な内側直径「Di」を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、固定部22は、約0.060インチから約0.100インチの間の内側直径Diを有する。他の実施形態では、内側直径Diは約0.070インチから約0.090インチの間であり、1つの好ましい実施形態において内側直径Diは約0.080インチである。さらに、いくつかの実施形態において、固定部22は、約0.010から約0.020の間の肉厚t1を有し、1つの実施形態では約0.17インチの肉厚t1を有する。フラップ型逆止め弁20のいくつかの実施形態は、約半インチの長さL4を持つ固定部22を有することができる。他の実施形態において、固定部22は、約0.1インチから約0.3インチの間の長さを有する。固定部の1つの好ましい実施形態は、約0.250インチの長さL4を有する。
【0020】
上記説明した実施形態において、フラップ部材24は、図1に示す位置に向かって弾性的に付勢されている。いくつかの実施形態では、逆止め弁20は、フラップ部材24において「閉じた」位置に向かう付勢を生じさせるような充分に弾性のある材料(シリコンゴムなど)で作られる。他の実施形態において、フラップ部材24は、該フラップ部材24に所望の弾性を提供するための特定の幾何学的および補助的な機械付勢装置(バネまたは他の弾力装置)を含むことができる。
【0021】
図2Bを参照すると、図示の条件において、主管腔14における液圧は、共通管腔12における液体80の圧力より大きい。この圧力差により、逆止め弁20のフラップ部材24が、共通管腔12の長手軸に向かって内側に変位し、共通管腔内壁34および孔36から遠ざかるようになる。いくつかの実施形態において、フラップ部材24は、圧力差の大きさが一定の閾値を超えるまで、より小さな圧力差に対しては開くことに抵抗する。
【0022】
この閾値圧力の値は、逆止め弁20および/またはYサイト10の設計パラメータの変更により、選択的に決定することができる。例えば、フラップ部材24の材料および形状は、弾性を向上または減少させるように調節でき、これにより、フラップ部材24の閉鎖力および弁を順流方向に開くために必要な閾値圧力を増加または減少させる。さらに、ある実施形態において、共通管腔の内壁34の表面に接触するフラップ部材24の表面は、摩擦的、静電的または他の力により一時的に粘着する傾向があり、これにより生じるより大きな接触面積が逆止め弁を開くために必要な増加した閾値圧力差と相互に関連する。従って、閾値圧力差はまた、フラップ部材24と共通管腔内壁34の間の接触面積を増大または減少させることにより調節できる。いくつかの実施形態では、閾値圧力は実質的に無視してよいほど小さいことが望ましい。例えば、閾値圧力は、約0から約9水柱インチ(すなわち、約0.3PSI)の間にあることができる。他の実施形態において、閾値圧力は、約4から約7水柱インチ(すなわち、約0.14PSIから約0.25PSI)の間にあることができる。1つの好ましい実施形態では、閾値圧力は、約6水柱インチ(約0.22PSI)またはこれ以下である。
【0023】
単体逆止め弁を提供するために、フラップ部材24は、固定部22と一体に成形することができる。或いは、フラップ部材24および固定部を別々に製造し、次に接着、溶接または他の接合手段により互いに接合することができる。逆止め弁20は、シリコンゴム、弾性ポリマーまたは他の医学的に許容できる材料など種々の適切な材料から、成形、押出しまたは鋳造されることができる。押出しの場合、フラップ部材および固定部を作成するために、他の方法で逆止め弁を切断または変形することができる。Yサイトはまた、適切に構成された逆止め弁構造を有する単体構造として作ることができ、製造および組み立ての工程を潜在的に単純化し得る。
【0024】
1つの実施形態において、逆止め弁20は、固定部22およびフラップ部材24を含め、シリコンゴム材料から成形される。逆止め弁は、医学的に許容できる任意の適切な材料から作ることができる。いくつかの実施形態では、フラップ部材24は、約0.1インチから約0.5インチの間の長さL3を有する。他の実施形態において、フラップ部材24は、約0.2インチから約0.4インチの間の長さL3を有し、1つの特定の実施形態では、フラップ部材24は約0.35インチの長さL3を有する。
【0025】
フラップ部材24の弾性は、該フラップ部材24の曲げ部分の厚さにより、少なくとも部分的に決定できる。いくつかの実施形態において、フラップ部材24の近位部52は、約0.010インチから約0.040インチの間の厚さt1を有し、1つの好ましい実施形態では約0.017インチの厚さt1を有する。いくつかの実施形態において、フラップ部材24の遠位部分54は、約0.010インチから約0.050インチの間の厚さt2を有し、1つの好ましい実施形態では、該フラップ部材は約0.037インチの厚さt2を有する。当然ながら、これらの範囲内および範囲外の寸法も、任意の特定の適用のために適切なものとして使用することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、例えば図3および図4に示すように、フラップ部材24の一部分は、切り抜き43を含むことができる。1つの実施形態において、切り抜き43は、フラップ部材24の長さの一部において逆止め弁管腔30の輪郭を継続している。切り抜き42が省略される場合、フラップ部材24の近位部52および遠位部54は、ほぼ同じ厚さを有することができる。図3および図4に示す実施形態では、切り抜き43は、その遠位端に肩部44を含む。いくつかの実施形態において、切り抜き43を含む管腔30の長さL1は、約0.2インチから約0.6インチの間であり、他の実施形態では、約0.3から0.5インチの間である。1つの実施形態において、長さL1は約0.4インチである。さらに別の実施形態においては、他の寸法を適切に使用することができる。別の実施形態では、切り抜き43はテーパー状遠位端44を含むことができ、または切り抜き43はフラップ部材24の全長に亘って続くことができる。逆止め弁管腔30は、円形の断面を有する必要はない。例えば、断面は、長方形、楕円形、多角形またはD字形であることもできる。
【0027】
Yサイトは、通常、医療グレードのプラスチックから射出成形される。製造過程の人為産物として、射出成形はしばしば持ち上がったバリまたは他の余剰材料の形ではみ出し(図示せず)を残す。該はみ出しは、しばしば主管腔壁28に平行し、孔36の周りに共通管腔12および/または副管腔15中へ延びる。いくつかの実施例において、該はみだしは、フラップ部材24の外側表面46の、共通管腔12の内壁34に対する密封を潜在的に妨げることにより、上述のフラップ部材を有する逆止め弁の機能性を妨害する可能性がある。これを回避するための1つの方法は、研削、やすり仕上げまたはいくつかの他の製造後の方法などによりはみ出しを除去することである。しかし、これらの工程は、労働集約的であり、非効率的および高費用であり得る。従って、好ましい別法は、はみ出しを収容し交差孔36周りの共通管腔壁上のはみ出しの存在にもかかわらず上述のように機能するように構成される逆止め弁20のフラップ部材24を設けることを含む。
【0028】
図5から図13は、交差孔36周りのはみ出しを回避し最小の注入圧閾値を要求すると共に注入管腔14を逆流から密封するように構成された、逆止め弁20のいくつかの実施形態を示す。図示の実施形態において、これらの利点は、一般的に、フラップ部材24の外側表面46に箱形ポケット70を設けることにより達成される。このようなポケット70は、該ポケット周りの壁が管腔壁を密封すると共に、はみ出しまたはバリ物質が該ポケットにより造られた空間中に延びるようにすることができる。いくつかの実施形態において、このようなポケット70は、フラップ部材24の外側表面46の周縁を取り囲むフランジ72により形成され得る。
【0029】
図5は、中空の管腔30と固定部22から遠位方向へ延びるフラップ部材24とを備えた円筒形の固定部22を有する逆止め弁20の実施形態を示す。フラップ部材24は、該フラップ部材24の部分から外へ延びるフランジ72を含む。図示の実施形態では、フランジ72は、一般的に端部74及びフランジ部24の長手縁部に沿って延びる第1および第2のフランジ脚76を含む。図示の実施形態において、フランジ72は比較的幅が狭く、フラップ部材外側表面46の周縁を取り囲む。図6に示すような1つの実施形態では、フランジ72は、約0.005インチの幅「W」を有する。いくつかの実施形態において、フランジ72は約0.010インチの幅を有する。他の実施形態では、フランジ72は、所望によりフラップ部材24のより小さいまたはより大きい部分を超えて延びることができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、ポケット70は、フラップ部材24の外側表面46の中央部を取り囲むフランジ72により形成される。このポケット70は、一般的に、孔36の周りの、Y連結器の共通管腔中へ延びるいかなるはみ出しを囲むように寸法取りされて、これにより、フランジ72が共通管腔内壁34を密封できる。フランジ72はまた、フラップ部材24と共通管腔12の内壁34との間に小さな接触面積を作る。先に述べたように、密封面積のこのような縮小は、主管腔14から共通管腔12中へ液体が流れるために必要な閾値圧力における有利な減少という結果になり得る。
【0031】
図7に示すような1つの実施形態において、フランジ72は、フラップ部材24の遠位端78から外へ延びる弓形端部74を含む。フランジ72の弓形端部74は、フラップ部材24の外側表面46と実質的に同じ半径および、好ましくは、円形固定部22とフラップ部材外側表面40との中心から半径方向にシフトする中心点を有することができる。フランジ72の弓形部分74の半径は、Yサイト共通管腔の内壁の直径に応じて選択され得る。
【0032】
図7および図8に示す実施形態において、フラップ部材24は、実質的にD字形の断面を含む。フラップ部材24の平縁50は、円形固定部22の中心から測定して180度未満の弧θを定める幾何学的弦を形成する。この実施例において、弦50は、約90度から約180度の間の弧θを定め、1つの好ましい実施形態では、弧50は好ましくは、約135度の弧θを定める。代わりに、弦50は、任意の特定の適用のために適切な90度未満の弧を定めるように構成することもできるであろう。
【0033】
図7および図8に示している1つの実施形態において、フランジ72は、弓形端部74の中心における高点84から固定部22とフラップ部材24との交点における一対の低点84へと、テーパー状に構成することもできる。高点84において、フランジ72は、フラップ部材24の外側表面46上に約0.005インチから約0.030インチまで延びることができる。1つの実施形態では、高点がフラップ部材24の外側表面46上に約0.010インチ延び、フランジ72のテーパー角度αは、約1°から約2°の間にあることができる(図9参照)。1つの好ましい実施形態において、テーパー角度は約1.6°である。別の実施形態では、所望により、フランジにより長いまたはより短い長さもしくは角度のテーパーを設けることができる。例えば、フランジ脚76の低点84は、代わりに、フラップ部材に沿った他の点に位置することもできるであろう。フランジはまた、逆止め弁の全長に沿って固定部の近位端80まで延びることができる。
【0034】
1つの実施形態において、フランジ72の低点84は、固定部22の外側表面32に実質的に続いている。代わりに、弁20は、弁20と共通管腔内壁34との間の密封に対して変化をつけるために、固定部22とフランジ72との交点位置またはその近くに、突き出しまたは溝などの不連続部を含むこともできる。
【0035】
ポケット70は、任意の適切な手段によりフラップ部材24に形成することができる。例えば、上述のようないくつかの実施形態において、フランジ72は、フラップ部材24および/または固定部22との単体構造として成形することができる。
【0036】
1つの実施形態において、上述の実施形態のいくつかによる逆止め弁は、36水柱インチ(約1.3PSI)の圧力と約330立方センチメートル/分の速度で、液体を主管腔から共通管腔へ流させる。さらなる実施形態では、本明細書に開示されている範囲内または範囲外の速度も達成され得る。
【0037】
例えば図10に示す別の実施形態において、ポケット70は、フラップ部材24の一部を切り抜くことにより、またはフラップ部材24の外側表面46中にくぼみを成形することにより、形成できる。加えて、線形、弓形、丸形、蛇行形およびその他の形状を有するポケット70を取り囲む側壁86でポケット70を作り出すように、くぼみ或はフランジを形成することができる。
【0038】
図11から図13は、Yサイト中の望ましくない液流を防ぐのに使用する逆止め弁20の、他の実施形態を示す。この実施形態によれば、固定部22は、角柱状体90のような突起を含むことができる。前記突起は、液体が該突起の周りを流れるようにすると共に、逆止め弁20をYサイト共通管腔中に保持するように構成される。図示の実施形態では、該突起は、断面において(軸方向および幅方向)実質的に台形の角柱状体90である。図示の角柱状体90はまた、液体が本体90の周りを流れることを改善するため、先端および後端に丸形部92を含むことができる。別の実施形態において、固定部22の突起は、液体を該突起の任意の部分を通ってまたはその回りを流させるように構成された、任意の適切な断面形を有する中空または中実の部分を含むことができる。
【0039】
図11から図13の実施形態は、弁20の全縁の周りに実質的に延びるフランジ72を備えた実質的に平坦な外側表面46を含むことができる。従って、ポケット70は、フラップ部材24および固定部22の全長に沿って実質的に延びることができる。所望ならば、弁20の縁端領域94は、弁20とYサイトの内壁との間の密封を改善するように構成される半径を有することができる。
【0040】
例えば図14に示すようないくつかの実施形態において、Yサイト10を、主管腔14に隣接する平面部96と共に成形し、本明細書に説明および記載のような平坦外側表面46を有する逆止め弁20を受けるように構成することができる。図14のYサイトはまた、主管腔14と共通管腔12が接合する孔36の直下の、直径が増大しているポイントに段差98を備えたものとして示されている。この構成は、孔36の下のレベルにある液体が、逆行的な液圧により孔36を通り主管腔14中へと上向きに押し込まれる可能性をさらに減少させる。なぜならば、このような上向き方向の液体が、逆止め弁20のフラップ部材24の代わりに、先に段差98に遭遇するからである。
【0041】
本明細書において、一定の種類の実施形態および実施例について述べてきたが、本明細書に記載の原則を考慮し、本開示おいて図示および説明された方法および装置の多くの態様を様々に組み合わせおよび/または変更することにより、さらなる実施形態を形成することが可能であることが、当業者によって自明であろう。例えば、管内の一部に、切り込みまたはポートなどの他のフラップ部材装置を設けることができる。また、先に述べたように、フラップ部材および固定部は、所望により任意の適切な断面形を有することができる。上記の逆止め弁の実施形態は、Yサイト連結器に関連して記載されているが、交差する液体管腔を有する他の液体管路においても用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1A】破線で示す一定の内部構造を有する医療用Yサイトの斜視図である。
【図1B】破線で示す逆止め弁を含む一定の内部部分を有するYサイトの斜視図である。
【図1C】図1Bの逆止め弁を有するYサイトの分解図である。
【図2A】閉じた位置にある逆止め弁を有し、副管腔上の連結器が除去された図1BのYサイトの概略断面図である。
【図2B】開いた位置にある逆止め弁を有する図1BのYサイトの概略断面図である。
【図3】図1B‐図2Bの逆止め弁の実施形態の斜視図である。
【図4】線4‐4に沿った図3の逆止め弁の断面図である。
【図5】フラップ部にフランジを有する逆止め弁の斜視図である。
【図6】図5の逆止め弁の平面図である。
【図7】線7‐7に沿ってみた図6の逆止め弁の遠位端の図である。
【図8】線8‐8に沿ってみた図6の逆止め弁の近位端の図である。
【図9】線9‐9に沿った図8の逆止め弁の断面図である。
【図10】逆止め弁の他の実施形態の斜視図である。
【図11】逆止め弁の更に他の実施形態の斜視図である。
【図12】図11の逆止め弁の平面図である。
【図13】線13‐13に沿った図12の逆止め弁の側面図である。
【図14】本明細書に開示の逆止め弁の使用に特に適しているがこれに限定されないYサイトの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結器の主軸に沿って延びる共通管腔および副管腔と、
前記共通管腔または前記副管腔に交わる主管腔と、
逆止め弁と、
を含むYサイト連結器であって、
前記逆止め弁が、
前記Yサイト連結器の前記副管腔または前記共通管腔の内壁の少なくとも一部と係合する固定部と、
前記共通管腔の内壁の一部に沿って前記固定部より軸方向に延び、前記主管腔を前記共通管腔に接合する孔をふさぐフラップ部材とを含み、
前記フラップ部材が、密封位置へ向かって弾性的に付勢され、前記共通管腔から前記主管腔への方向における液流を最小限化または防止する、
Yサイト連結器。
【請求項2】
前記固定部が、該固定部を通って軸方向に延びる管腔を含む、請求項1に記載のYサイト。
【請求項3】
前記固定部が、突起を含み、該突起が、その一部の周りを液体が流れるように構成されている、請求項1に記載のYサイト。
【請求項4】
前記突起が、角柱状体である、請求項3に記載のYサイト。
【請求項5】
前記固定部が、円形の外側断面を含む、請求項1に記載のYサイト。
【請求項6】
前記孔をふさぐ前記フラップ部材の一部においてポケットをさらに含む、請求項1に記載のYサイト。
【請求項7】
前記ポケットが、前記フラップ部材の外側表面の周縁に沿って延びるフランジにより画定される、請求項6に記載のYサイト。
【請求項8】
前記フランジが、前記フラップ部材の自由端での最高高さから、前記フラップ部材および前記固定部の取付け位置での最低高さへ、内側にテーパーする、請求項7に記載のYサイト。
【請求項9】
前記最高高さが、前記固定部の軸中心から延びる放射状の線に沿った位置で測定される、請求項8に記載のYサイト。
【請求項10】
前記フランジが、前記共通管腔の内壁と連続的に接触している、請求項7に記載のYサイト。
【請求項11】
前記フランジが、前記主管腔と前記共通管腔との間の開口部を取り囲む、請求項7に記載のYサイト。
【請求項12】
前記フランジが、前記フラップ部材の外側表面の上に約0.010インチの最高高さを有する、請求項7に記載のYサイト。
【請求項13】
前記逆止め弁が、前記共通管腔における液圧より約6水柱インチ未満大きい、前記主管腔における正の液圧に対して開くように構成されている、請求項1に記載のYサイト。
【請求項14】
前記逆止め弁が、前記主管腔における液圧より少なくとも約5PSI大きい前記共通管腔における液圧に対して、密封するように構成されている、請求項1に記載のYサイト。
【請求項15】
前記固定部が、前記副管腔の中に摩擦的に保持される、請求項1に記載のYサイト。
【請求項16】
前記逆止め弁が、弾性材料から成形される単体構造である、請求項1に記載のYサイト。
【請求項17】
前記逆止め弁が、シリコンゴムから成形される、請求項16に記載のYサイト。
【請求項18】
輸液システムにおけるYサイト中に使用するための逆止め弁であって、該弁が、
第1端および第2端を有し、医療用連結器の管腔中に前記逆止め弁を保持するように寸法決めされた外側寸法を有する固定部と、
前記固定部の前記第2端より軸方向に延び、前記固定部と接合する取付け端および該取付け端に対向する自由端を有するフラップ部材とを含み、該フラップ部材の一部が、液体の流れを妨げるために、医療用連結器の管腔の内壁と係合するように構成されている、逆止め弁。
【請求項19】
前記フラップ部材が、医療用連結器の湾曲内壁に対し密封するように構成されている湾曲外側表面を含む、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項20】
前記固定部が、該固定部を通って延びる管腔をさらに含む、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項21】
前記フラップ部材が、円形の管腔壁と密封的に係合するように構成されている、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項22】
前記フラップ部材の前記外側表面におけるポケットをさらに含む、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項23】
前記フラップ部材の前記外側表面の前記周縁に沿って延びるフランジをさらに含む、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項24】
前記固定部が、実質的に円形の外壁を含む、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項25】
前記フラップ部材が、前記固定部の円心を通過する軸から180°未満の弧を定める、請求項24に記載の逆止め弁。
【請求項26】
前記フラップ部材が、前記固定部の円心を通過する軸から約135°の弧を定める、請求項24に記載の逆止め弁。
【請求項27】
連結器の主軸に沿って延びる共通管腔および副管腔と、
前記共通管腔または前記副管腔に交わる主管腔と、
前記共通管腔および前記副管腔を通って流れる液体が、前記主管腔を通って流れることを防止する手段と、
を含むYサイト連結器。
【請求項28】
共通管腔または副管腔から主管腔へ向かう逆流を防止する医療用Yサイトを製造する方法であって、
固定部および弾性フラップを有する逆止め弁を医療用Yサイトの共通管腔または副管腔へ挿入するステップと、
前記Y連結器の前記共通管腔または前記副管腔における前記固定部を、前記連結器の前記共通管腔または前記副管腔と前記主管腔との間の開口部上に前記フラップを配置する位置に確保するステップと、を含む前記方法。
【請求項29】
前記孔を取り囲むように構成されているポケットを前記フラップの一部に提供するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記固定部を確保するステップが、該固定部を前記共通管腔の内壁と摩擦的に係合するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記固定部が、その少なくとも該固定部の一部を通って延びる管腔を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記逆止め弁の挿入に先立ち、該逆止め弁の少なくとも一部を潤滑剤を用いて被覆するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項1】
連結器の主軸に沿って延びる共通管腔および副管腔と、
前記共通管腔または前記副管腔に交わる主管腔と、
逆止め弁と、
を含むYサイト連結器であって、
前記逆止め弁が、
前記Yサイト連結器の前記副管腔または前記共通管腔の内壁の少なくとも一部と係合する固定部と、
前記共通管腔の内壁の一部に沿って前記固定部より軸方向に延び、前記主管腔を前記共通管腔に接合する孔をふさぐフラップ部材とを含み、
前記フラップ部材が、密封位置へ向かって弾性的に付勢され、前記共通管腔から前記主管腔への方向における液流を最小限化または防止する、
Yサイト連結器。
【請求項2】
前記固定部が、該固定部を通って軸方向に延びる管腔を含む、請求項1に記載のYサイト。
【請求項3】
前記固定部が、突起を含み、該突起が、その一部の周りを液体が流れるように構成されている、請求項1に記載のYサイト。
【請求項4】
前記突起が、角柱状体である、請求項3に記載のYサイト。
【請求項5】
前記固定部が、円形の外側断面を含む、請求項1に記載のYサイト。
【請求項6】
前記孔をふさぐ前記フラップ部材の一部においてポケットをさらに含む、請求項1に記載のYサイト。
【請求項7】
前記ポケットが、前記フラップ部材の外側表面の周縁に沿って延びるフランジにより画定される、請求項6に記載のYサイト。
【請求項8】
前記フランジが、前記フラップ部材の自由端での最高高さから、前記フラップ部材および前記固定部の取付け位置での最低高さへ、内側にテーパーする、請求項7に記載のYサイト。
【請求項9】
前記最高高さが、前記固定部の軸中心から延びる放射状の線に沿った位置で測定される、請求項8に記載のYサイト。
【請求項10】
前記フランジが、前記共通管腔の内壁と連続的に接触している、請求項7に記載のYサイト。
【請求項11】
前記フランジが、前記主管腔と前記共通管腔との間の開口部を取り囲む、請求項7に記載のYサイト。
【請求項12】
前記フランジが、前記フラップ部材の外側表面の上に約0.010インチの最高高さを有する、請求項7に記載のYサイト。
【請求項13】
前記逆止め弁が、前記共通管腔における液圧より約6水柱インチ未満大きい、前記主管腔における正の液圧に対して開くように構成されている、請求項1に記載のYサイト。
【請求項14】
前記逆止め弁が、前記主管腔における液圧より少なくとも約5PSI大きい前記共通管腔における液圧に対して、密封するように構成されている、請求項1に記載のYサイト。
【請求項15】
前記固定部が、前記副管腔の中に摩擦的に保持される、請求項1に記載のYサイト。
【請求項16】
前記逆止め弁が、弾性材料から成形される単体構造である、請求項1に記載のYサイト。
【請求項17】
前記逆止め弁が、シリコンゴムから成形される、請求項16に記載のYサイト。
【請求項18】
輸液システムにおけるYサイト中に使用するための逆止め弁であって、該弁が、
第1端および第2端を有し、医療用連結器の管腔中に前記逆止め弁を保持するように寸法決めされた外側寸法を有する固定部と、
前記固定部の前記第2端より軸方向に延び、前記固定部と接合する取付け端および該取付け端に対向する自由端を有するフラップ部材とを含み、該フラップ部材の一部が、液体の流れを妨げるために、医療用連結器の管腔の内壁と係合するように構成されている、逆止め弁。
【請求項19】
前記フラップ部材が、医療用連結器の湾曲内壁に対し密封するように構成されている湾曲外側表面を含む、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項20】
前記固定部が、該固定部を通って延びる管腔をさらに含む、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項21】
前記フラップ部材が、円形の管腔壁と密封的に係合するように構成されている、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項22】
前記フラップ部材の前記外側表面におけるポケットをさらに含む、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項23】
前記フラップ部材の前記外側表面の前記周縁に沿って延びるフランジをさらに含む、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項24】
前記固定部が、実質的に円形の外壁を含む、請求項18に記載の逆止め弁。
【請求項25】
前記フラップ部材が、前記固定部の円心を通過する軸から180°未満の弧を定める、請求項24に記載の逆止め弁。
【請求項26】
前記フラップ部材が、前記固定部の円心を通過する軸から約135°の弧を定める、請求項24に記載の逆止め弁。
【請求項27】
連結器の主軸に沿って延びる共通管腔および副管腔と、
前記共通管腔または前記副管腔に交わる主管腔と、
前記共通管腔および前記副管腔を通って流れる液体が、前記主管腔を通って流れることを防止する手段と、
を含むYサイト連結器。
【請求項28】
共通管腔または副管腔から主管腔へ向かう逆流を防止する医療用Yサイトを製造する方法であって、
固定部および弾性フラップを有する逆止め弁を医療用Yサイトの共通管腔または副管腔へ挿入するステップと、
前記Y連結器の前記共通管腔または前記副管腔における前記固定部を、前記連結器の前記共通管腔または前記副管腔と前記主管腔との間の開口部上に前記フラップを配置する位置に確保するステップと、を含む前記方法。
【請求項29】
前記孔を取り囲むように構成されているポケットを前記フラップの一部に提供するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記固定部を確保するステップが、該固定部を前記共通管腔の内壁と摩擦的に係合するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記固定部が、その少なくとも該固定部の一部を通って延びる管腔を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記逆止め弁の挿入に先立ち、該逆止め弁の少なくとも一部を潤滑剤を用いて被覆するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−528230(P2008−528230A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554081(P2007−554081)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/046441
【国際公開番号】WO2006/083421
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(500488317)アイシーユー メディカル インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】ICU Medical,Inc.
【住所又は居所原語表記】951 Calle Amanecer,San Clemente,California 92673,United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/046441
【国際公開番号】WO2006/083421
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(500488317)アイシーユー メディカル インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】ICU Medical,Inc.
【住所又は居所原語表記】951 Calle Amanecer,San Clemente,California 92673,United States of America
【Fターム(参考)】
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