説明

医療行為用注射器を製造し組み立てるためのプロセス

医療行為用注射器(20)を製造し組み立てるためのプロセスであって、このプロセスは、少なくとも部分的に溶融した状態にあるプラスチック材料で製作された中間管状部材(1)を得るためにプラスチック材料を押出し加工する工程と、少なくとも中空本体(2)を得るために中間管状部材(1)をブロー成形する工程と、ブロー成形の工程の直後に、中空本体(2)内にスラストピストン(3)をきつく且つ少なくとも部分的に挿入する工程とを、順に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入されるべき医療用液体または生体から採取される生体液を収容することが意図される注射器など、医療行為用注射器を製造し、完全に組み立てるためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、注入または試料採取など医療行為を実行するために用いられる注射器は、通常、プラスチック材料製の円筒状の中空本体、および、医療的介入を実行するためにたとえば操作者の手など作動手段によって中空本体内で摺動させられる、部分的に中空本体内に収容されるスラストピストンを備えることが有名である。
【0003】
スラストピストンは、操作者が触れるハンドル頭部を第1の端部に備え、中空本体の内側に配置され、注入されるべき液体または医療行為中に採取される液体と接触するのに適した、通常ゴム製の封止プランジャを第2の端部にて備える。
【0004】
次に中空本体は、第1の端部に、スラストピストンがそこを通って中空本体自体の内部へと挿入される主入口を有し、第2の端部に、狭窄口部または首部を有し、採取または注入される液体が通る中空の針がそこに係合させられる。
【0005】
現在、医療行為用の注射器は主に、射出成形のプロセスによって製造され、それにより、上述の名目上の基本的な構成要素、すなわち中空本体、スラストピストン、封止プランジャ、および針が、互いに別々の動作ステップにおいて得られ、後に操作者によって組み立てられる。
【0006】
これは、この分野の公知の技術にとって間違いなく重要である、2組の主な欠点を示唆する。
【0007】
第1に、動作自体は微生物学的に高度に清浄な環境において細心の配慮および注意を払って行われるが、注射器の組立て動作は実際、前述の構成要素の何らかの操作に伴い、外部物質への露出または接触による汚染という、明らかに生じる危険性を必然的に生じる。
【0008】
この問題点は、医療用液体が予め充填される単一投与注射器を分析する、そのすべての証拠および批判的な言明において見られ、この場合、中空本体、スラストピストン、封止プランジャ、およびその針キャリヤを有する針が、薬物の製造者へと移送および送達され、薬物の製造者は、中空本体に液体を充填した後に、液体の汚染を避けるために制御された大気環境(すなわち「ホワイトルーム」)内で、上述の部片を互いに組み立てる。
【0009】
厳密な手順プロトコルが提供されるとはいえ、そのようなアプローチでは、構成要素および医療用液体両方の汚染の危険性を完全には減少しないが、偶然にではなく、最も高度な可能な無菌状態、したがってその後の使用の安全性を保証するために、組み立てられたばかりの注射器を梱包するための追加のプラスチック包装を適用することが、通常必要とされる。
【0010】
第2に、現在使用される注射器の製造技術およびその結果もたらされる組立てシステムは、かなり長い実行時間を必要とし、そのことは、最大限の無菌状態、したがって安全な使用状態を保証する、洗練された機器とも組み合わされて、経済的に高価な状況をもたらし、期待されるよりも競争力の低い市場価格に反映される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の従来技術の欠点を克服することを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0012】
具体的には、本発明の主な目的は、知られているタイプの同等の方法によりもたらされるよりも良好な注射器自体の無菌状態を保証する、医療行為用の注射器を製造し組み立てるためのプロセスを開発することである。
【0013】
すなわち本発明の主な目的は、知られている技術に比べて、注射器の構成要素およびその中に収容される何らかの医療用液体の汚染の危険性およびレベルを低減する、医療行為用の注射器を製造し組み立てるためのプロセスを提供することである。
【0014】
本発明の第2の目的は、上述の目的を確実に達成しながら、知られているプロセスよりも迅速に実行される、医療行為用の注射器を製造し組み立てるためのプロセスを考案することである。
【0015】
そのような第2の目的における本発明の役割は、問題となる他の要素と同様に、従来技術の状態と比べて注射器自体の製造コストを低減することを可能にする、医療行為用の注射器を製造し組み立てるプロセスを実体化することである。
【0016】
前記目的は、それが簡潔であるため言及される、請求項1に記載されるような医療行為用の注射器を製造し組み立てるためのプロセスによって達成される。
【0017】
本発明のプロセスの詳細のさらなる応用可能な特徴は、関連する従属請求項によって強調される。
【0018】
有利には、本発明のプロセスは、操作者による注射器の構成組織のいかなる操作も伴わずに、医療行為用の注射器をその最低限の構造構成においても完全に構成することを可能にする。
【0019】
これにより、医療行為用の注射器を全体的に滅菌すること、したがって、関連する人、患者、および操作者の衛生および健康の観点における最適な安全状態でのこの注射器の使用を保証することが可能になる。
【0020】
さらに有利には、本発明を製造し組み立てるプロセスにより、従来技術のプロセスよりも迅速に高度に滅菌された、医療行為用の注射器を得ることが可能になる。
【0021】
同じように有利には、これは、従来技術の現状に比べて医療行為用の注射器の製造コストの大幅な削減として反映され、当然、関連する他の要素も同じである。
【0022】
さらに、有利なやり方では、本発明の製造および組立てプロセスを用いて得られる医療行為用の注射器は、上記で概説した利益を保持する、知られている注射器と少なくとも同等の機能を有する特徴部分を有する。
【0023】
前記目的および利点、ならびに後に明らかになるその他のことは、添付の図面を参照しながら例証および例示として与えられるが限定的ではない、本発明のプロセスの好ましい応用例に関する以下の説明により、かなり明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のプロセスの連続的な工程の概略的な簡略図を示す。
【図2】本発明のプロセスの連続的な工程の概略的な簡略図を示す。
【図3】本発明のプロセスの連続的な工程の概略的な簡略図を示す。
【図4】本発明のプロセスの連続的な工程の概略的な簡略図を示す。
【図5】本発明のプロセスの連続的な工程の概略的な簡略図を示す。
【図6】本発明のプロセスの連続的な工程の概略的な簡略図を示す。
【図7】本発明のプロセスの連続的な工程の概略的な簡略図を示す。
【図8】本発明のプロセスの連続的な工程の概略的な簡略図を示す。
【図9】本発明のプロセスの連続的な工程の概略的な簡略図を示す。
【図10】図1〜図9のプロセスを示すブロック図である。
【図11】図1〜図9のプロセスにより得られる医療用注入用の注射器を示す非対称図である。
【図12】図11の軸方向断面図である。
【図13】図12の分解図である。
【図14】使用直後の図13の注射器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
具体的な例では注入用である医療行為用の注射器を、製造し組み立てるためのプロセス、すなわち本発明の目的が、図1〜図9ならびに後続の図10のブロック図に示される。
【0026】
本発明によれば、そのようなプロセスは以下の、
図1が示すものに従って、業界用語で「パリソン」として知られる少なくとも部分的に溶融状態にあるプラスチック材料で製作される中間管状部材1を得るために、プラスチック材料をたとえば200℃の高温で押出し加工する工程と、
図4に示されるものに従って、複数の中空本体2を得るために中間管状部材1をブロー成形する工程と、
ブロー成形する工程の直後に、それぞれの中空本体2内にスラストピストン3をきつく且つ少なくとも部分的に挿入する工程とを、この順序で含む。
【0027】
前述の押出し加工する工程、ブロー成形する工程、およびスラストピストン3を挿入する工程は、理想的な滅菌状態が保たれた同じ工業機械内で、連続的に行われる。
【0028】
特に、スラストピストン3は、中空本体2の第1の端部2aに存在する主入口4を通して、対応する中空本体2内に挿入され、中空本体2の内側に、スラストピストン3の少なくともプランジャ5を配置させ、スラストピストン3自体の少なくともハンドル頭部6を突出したままにする。
【0029】
必須ではないが好ましくは、本発明のプロセスは、中空本体2の内壁2bを較正する工程を含み、この工程は、スラストピストン3を中空本体2内へと挿入する工程の前に、実際は押出し加工する工程と同時に、多様な中空本体2が依然加熱されていると共に少なくとも部分的に溶融した状態および/または可鍛性を持った状態にある間に行われる。
【0030】
ここに示されない本発明のプロセスの他の応用例において、較正の工程が、中空本体の内壁の軸方向の延伸にのみ影響を及ぼすことができることは明らかである。
【0031】
より具体的には、中空本体2の内壁2bの較正工程は、前述のプラスチック材料の押出し加工の工程によって得られたばかりの中間管状部材1内に一連の成形ツール7が予め導入され、その成形ツール7に中間管状部材1を押し付ける工程である。
【0032】
したがって、中空本体2の内壁2bを較正する工程は、それらのブロー成形の工程に関連し、成形ツール7を中間管状部材1内に導入する初期段階についてのみブロー成形と区別される。
【0033】
好ましくは、成形ツール7はそれぞれ、中空本体2の内壁2bがほぼ直線的な輪郭を有するように主に軸方向に伸展した円筒状の部材を備える。
【0034】
図1〜図9は、押出し加工の工程およびブロー成形の工程が考慮している分野においてそれ自体公知のタイプの成形型8の内側で生じることを強調する。
【0035】
成形型8は、この場合、参照を容易にするために図示しない複数のキャビティを有し、それらはそれぞれ、それぞれの中空本体2のための所定の形状に近似する外側輪郭を有する。
【0036】
より詳細には、成形型8はまず、互いに向かい合って対向する2つの主ハーフシェル9、10と、主ハーフシェル9、10の上方の位置でそれらと動作可能に連結される、2つの補助ハーフシェル11、12とを備える。
【0037】
成形型8は、主ハーフシェル9、10を中間管状部材1から間隔をあけて保持する押出し加工の工程中、および、主ハーフシェル9、10の一方をもう一方側に向かって引っ張り、それらを中間部材1に近づけて配置する、成形ツール7を中間部材1内へと導入する工程中の両方に開く。
【0038】
したがって、成形ツール7に中間管状部材1を押し付ける工程は、成形型8の下方部分を閉じる工程であり、主ハーフシェル9、10の一方を他方に近づけて配置し、ハーフシェル9、10自体の少なくとも軸方向の一部分において中間管状部材1及び成形ツール7を間に置き、主半分シェル9、10の一方を他方に近づけて配置する。
【0039】
好ましいがこれに拘束されないやり方では、本発明のプロセスは、それぞれの中空本体2の第1の端部2aと反対側の第2の端部2cを、それぞれの中空本体2の内部空間14と連通する注入および採取用の針13と結合させる工程を含み、この工程は、ブロー成形の工程および中空本体2の内壁2bを較正する工程と同時に行われる。
【0040】
より詳細には、針13は、図示されないときに、成形型8を介してそれぞれの中空本体2の第2の端部2c内に製作される狭窄口部と結合される。
【0041】
これに関して、本発明のプロセスは、図2および図3に示すように、成形ツール7によって針13を中間管状部材1内へと挿入する準備工程を含み、この工程は、針13を対応する中空本体2の第2の端部2cに結合する適正な工程の前に、成形ツール7を中間管状部材1内に導入する工程と同時に行われる。
【0042】
本明細書に記載される本発明の好ましい応用例によれば、プロセスは、予め充填される単一投与の注射器を得るために、図6に示す、中空本体2に医療用液体Lを充填する工程を含み、この注射器のうちの1つは、それが全体として参照番号20で示される図11〜図14において、個別に明確に示されている。
【0043】
中空本体2を医療用液体Lで充填する工程は、中空本体2のブロー成形の工程の後、およびスラストピストン3をそれぞれの中空本体2内へと挿入する工程の前に行われる。
【0044】
このプロセスはまた、成形ツール7を、事前に決められた長さだけ徐々にかつ部分的に中空本体2から抜き出す工程を含み、この工程は、中空本体2自体に充填する工程中に行われ、中空本体2の内側の医療用液体Lに利用可能な容積を画成するのに適している。
【0045】
成形ツール7を中空本体2から抜き戻しまたは引き戻す前に、本発明のプロセスは、そのような抜出し工程を容易にすると共に効果的にするために、図5に示すように成形型8を部分的に開く。成形型8を開くことは、主ハーフシェル9、10の一方を、他方から所定の距離、すなわち十分の数ミリメートル程度離すことである。
【0046】
添付の図面に示されない本発明のプロセスの他の応用例は、成形ツールを中空本体から抜き出す工程を、成形型を閉じたままに保つことによって行うことができる。
【0047】
有利には、本発明のプロセスは、成形型8内に、同様に成形されたばかりの中空本体2を保持する工程を含み、この工程は、ブロー成形の工程の後、および成形ツール7を中空本体2から抜き出す工程中に行われる。
【0048】
この工程の仕組みは、成形ツール7が、中空本体2からの後退運動中にツール7とともに中空本体2自体が不都合に引っ張られることを防ぎ、中空本体2の構造的完全性を損なうことを回避する。
【0049】
中空本体2を保持するそのような工程は、好ましくは、成形型8の端部8aの内面内に製作される環状のバー刻み目15によって行われる。
【0050】
ここに示されない本発明のプロセスのさらなる応用例では、中空本体を保持する工程は、1つのみのバー刻み目によって、または互いに分離された個別のいくつかの刻み目によって行うことができることを理解されたい。
【0051】
さらに、これも添付の図面には示されない、本発明のプロセスの他の応用例の解決法では、ブロー成形によって成形されたばかりの中空本体を保持する工程は、他の工程の仕組みまたは代替システムおよび装置を用いて行うことができる。
【0052】
有利なやり方では、本発明のプロセスは、純粋に優先的な権限で、ハンドル頭部6と、スラストピストン3のそれぞれの中空本体2から突出する中心部分とを封止する工程を含み、この工程は、中空本体2内にスラストピストン3をきつく且つ少なくとも部分的に挿入する工程の後に行われる。
【0053】
この封止の工程は、基本的に、注射器20自体の製造および完全な組立てを含む上記の他の工程を邪魔することなく、医療行為用の注射器20を梱包する。
【0054】
このようにして、本発明は、注入用の予め充填される単一投与注射器の場合に、公知の技術の同等物に勝るさらなる利点を得る。実際、関連する中空本体2から突出するスラストピストン3の部分を、注射器20の製造者の工場において直接封止する工程を行うことにより、事実上、公知の注射器において医療用液体の製造者が今日行う最終的な梱包工程がなくなる。
【0055】
その結果、本発明のこの態様は、当技術の現在の状態に比べて、操作者が注射器またはその構成組織を扱うことを減らすことを助け、その組織および注射器の中空本体内に導入される医療用液体の、両方の汚染の危険性を大いに制限し、かつ、注射器の組立て作業全体を動作的により容易かつ迅速にする。
【0056】
ハンドル頭部6およびそれぞれの中空本体2から突出するスラストピストン3の部分を封止する工程は、名目上は成形型8の補助ハーフシェル11、12である上方部分を閉じる工程であり、そのような工程により、プラスチック材料で製作される中間管状部材(パリソン)1の自由部分(free portion)16の一部分が、ハンドル頭部6の外面およびスラストピストン3の突出部分に押し付けられる。
【0057】
さらに、詳細に述べると、中間部材1の押出し加工の工程、中空本体2を得るためのブロー成形の工程、それらそれぞれの内壁2bを較正する工程、針13をそれぞれの中空本体2に結合させる工程、中空本体2に充填する工程、スラストピストン3をそれぞれの中空本体2内に挿入する工程、および少なくともそのハンドル頭部6を封止する工程を含む、上述の全プロセスは、合計20秒を超えない時間で行われる。
【0058】
最後に、ブロー成形の工程、中空本体2の内壁2bを較正する工程、針13をそれぞれの中空本体2に結合する工程、および中空本体2に充填する工程は、成形ツール7を通じて行われることを強調する。
【0059】
実際、それぞれの成形ツール7は、図示しないノズルを備え、そのノズルは、それが接触する中空本体2の内壁2bを較正するために使用される以外に、空気を吹き出すための使用することができ、実際は、そのような中空本体2のブロー成形を実施し、その後中空本体2に医療用液体Lを充填する。
【0060】
さらに、上述のように、それぞれの成形ツール7は、中間管状部材1内に導入される間、針13を支持するために用いられる。したがって、中空本体2の内壁2bの較正に加えて、形状付けされたツール7は、当業界の現在の状態に比べて無視できない関連性を有する別の利点を得ることを可能にする。
【0061】
実際、内壁2aの較正において、成形ツール7は、プラスチック材料、および最も重要なことには、成形中の中空本体2の同じ内壁2bを冷却する。
【0062】
このやり方で、本発明のプロセスは、様々な中空本体2内に収容される医療用液体Lの生物学的汚染の危険性がなく、または最大限に低減された理想的な状態を、従来技術よりも迅速に作り出す。
【0063】
注射器の中空本体が、熱不安定性の化学物質または生物学的製剤で充填されることが多く、そのためそれら自体の品質を失う温度まで加熱することに敏感であることを考慮する場合、本発明によりもたらされる利点は直ちに明らかになる。
【0064】
したがって、こうした製品のために、本発明は、液体製品を医療用容器内に導入するための待ち時間を短縮し、これは、製造効率に関する明らかな利点を有することを意味する。
【0065】
本発明のプロセスの図示しない別の応用例は、ブロー成形の工程、中空本体の内壁を較正する工程、針をそれぞれの中空本体と結合させる工程、および中空本体に充填する工程のうちの1つまたは一部のみを、成形ツールを用いて行うことができる。
【0066】
次の図11〜図14は、説明したばかりのプロセスによって直接製造され、それ自体本発明により保護される、特に注入用の医療行為用注射器20を示す。
【0067】
注入用の注射器20は、縦対称軸Yに沿って展開し、中空本体2、プランジャ5を有するスラストピストン3、および、中空本体2から突出するハンドル頭部6を備える。
【0068】
注射器20はまた、針13を備え、針13は、端部13aにて、プラスチック材料で構成される接合手段により中空本体2の狭窄口部17と結合され、このプラスチック材料は、ブロー成形のプロセス中に、依然溶融された状態で成形型8の主ハーフシェル9、10の間で押される。
【0069】
針13はまた、全体が18で示される保護手段で完全に被覆され、この保護手段18は、針の外部に適用され、ブロー成形の前記プロセス中に中空本体2と一体に製作され、実際は、注射器20の非使用状態における針13のための一種のキャップを作り出す。
【0070】
より詳細には、保護手段18は、プラスチック材料製の層状カプセルを備え、そのカプセルは、注射器20を使用しなければならないときに、中空本体2からのその実用的で容易かつ迅速な取外しを可能にするように、図示されない破壊手段を中空本体2にて備える。
【0071】
図11〜図14はさらに、本明細書に記載する本発明の好ましい実施形態によれば、注入用の注射器20が、全体として19で示される封止手段も備えることを強調し、封止手段19もまた、本発明の製造および組立てプロセスの最終部分の間に、成形型の補助ハーフシェル11、12を閉じることにより、中空本体2と一体に製作される。
【0072】
封止手段19は、注射器20の非使用状態において中空本体2から突出する、スラストピストン3の一部を被覆し、または閉じる。
【0073】
したがって、実際のところ、本発明のプロセスにより得られる注射器20は、医療用液体が充填されない場合は、空で製作され、市場に出され、図11および図12に示す構成によれば既に梱包されており、市場に出すためのさらなる動作、プロセス、または処理を必要としない。
【0074】
封止手段19は、層状のふた21を備え、操作者が注射器20を、患者に注入を行う図14に示す状態に構成しようとするとき、操作者は層状のふた21を縦軸Yの周りで回し、図13に示すように中空本体2から容易に分離させる。
【0075】
注射器20が使い捨てである場合、層状のふた21が、注入完了後すぐに針13を覆うために使用されること、および、既に使用された針13に人が偶然、ときには非常に危険な接触をすることを防ぐために、追加の安全キャップとして働くことが好都合である。
【0076】
これに関して、層状のふた21の内壁21aは、図示されない盛り上がった突起を備え、これらの突起は、図14に示すそれぞれの溝22の内側にパチンと押し込まれ、層状のふた21を針13に対合させるために、中空本体2に固定された針キャリヤ挿入部23内に製作される。
【0077】
必須ではないが好ましくは、注射器20は、医療行為が完了した後にスラストピストン3を中空本体2内にしっかりと保持するのに適した、全体として24で示される保持手段を備える。
【0078】
より詳細には、保持手段24は、スラストピストン3の外壁3aから突出する環状の羽部または複数の形状付けられた羽部25と、中空本体2の狭窄口部17と対向する、入口4に位置決めされた環状縁部26とを備える。
【0079】
したがって、上述の説明から、本発明の主題である医療行為用注射器を製造し組み立てるためのプロセスが、目的を達成し、上述の利点に到達することが理解される。
【0080】
実行段階では、たとえば単一のキャビティを形成する型を用いて、ブロー形成の工程によって単一の中空本体を得るなど、本発明のプロセスを変更することができる。
【0081】
そのような場合、上記の本発明のプロセスの工程モードは、それに従って変わる。
【0082】
さらに、スラストピストンは、ハンドル頭部のみが操作者によって操作されるよう中空本体から突出したままとなるように、上記のものより長く伸びるそれぞれの中空本体内へと挿入することができる。
【0083】
本発明は、注入用の使い捨て可能な予め充填される注射器を特に参照しながら説明してきたが、注入、および人体または動物の身体からの血液または他の液体の採取など他の医療行為の両方に使用される、空の注射器にも及ぶことも言明される。
【0084】
本発明の実際の実行形態において、図示の詳細の材料、形状、およびサイズは、必要に応じていかなるものとすることもでき、技術的に同等の他のものに置き換えることができることは明らかであるので、本明細書において示した発明のアイデアに固有の新規の原則から逸脱せずに、数多くの他の変更を当該プロセスに加えることができることは明らかである。
【0085】
添付の特許請求の範囲において述べる構造的特長部分および技術は、参照番号および符号を付されるが、これらの参照符号は、特許請求の範囲自体の明確さを増すという目的のためにのみ導入されるので、特定されるそれぞれの要素の解釈を、それらの参照符号によって例としてのみに限定する効果をもたない。
【符号の説明】
【0086】
1 中間管状部材
2 中空本体
2a 第1の端部
2b 内壁
2c 第2の端部
3 スラストピストン
4 主入口
5 プランジャ
6 ハンドル頭部
7 成形ツール
8 成形型
9、10 主ハーフシェル
11、12 補助ハーフシェル
13 針
14 内部空間
16 自由部分
20 注射器
L 医療用液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療行為用注射器(20)を製造し組み立てるためのプロセスであって、少なくとも以下の、
少なくとも部分的に溶融した状態にあるプラスチック材料の中間管状部材(1)を得るために、プラスチック材料を押出し加工する工程と、
少なくとも中空本体(2)を得るために、前記中間管状部材(1)をブロー成形する工程と、
前記ブロー成形の工程の直後に、前記中空本体(2)の中にスラストピストン(3)をきつく且つ少なくとも部分的に挿入する工程と、
を順に含むことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記押出し加工する工程、前記ブロー成形する工程、および前記スラストピストン(3)を挿入する工程が、理想的な滅菌状態が保たれた同じ工業機械の中で連続的に行われることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記スラストピストン(3)が、前記中空本体(2)の第1の端部(2a)にある主入口(4)を通して前記中空本体(2)内へと挿入され、前記スラストピストン(3)のうちの少なくとも前記プランジャ(5)を前記中空本体(2)の中に配置させ、前記スラストピストン(3)のうちの少なくとも前記ハンドル頭部(6)を突出させたままにすることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項4】
前記中空本体(2)の内壁(2b)の少なくとも軸方向延伸を較正する工程を含み、該工程が、前記スラストピストン(3)を前記中空本体(2)内に挿入する前記工程の前であって前記ブロー成形する工程の後に、前記中空本体(2)が依然加熱されていると共に前記少なくとも部分的に溶融した状態および/または可鍛性を持った状態にある間に行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
プラスチック材料を押出し加工する前記工程によって得られた前記中間管状部材(1)の中に、少なくとも1つの成形ツール(7)を予め導入しておき、前記中空本体(2)の前記内壁(2b)を較正する前記工程は、前記中間管状部材(1)を前記ツール(7)に押し付ける工程であることを特徴とする、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記押出し加工する工程および前記ブロー成形する工程が、1つまたは複数のキャビティを備える成形型(8)の中で生じ、前記キャビティがそれぞれ、前記中空本体(2)のための所定の形状に近似する外側輪郭をそれぞれ有し、前記型(8)が、互いに向かい合って対向する少なくとも2つの主ハーフシェル(9、10)で構成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記成形型(8)が、前記押出し加工する工程中、および、前記中間管状部材(1)内に前記成形ツール(7)を導入する前記工程中の両方で開き、前記押出し加工の工程では、前記主ハーフシェル(9、10)を前記中間管状部材(1)から間隔をあけて保持しており、前記成形ツール(7)を導入する工程中では、前記主半分シェル(9、10)のうちの一方をもう一方側に向かって引っ張り、前記主半分シェル(9、10)を前記中間管状部材(1)に近づけて配置することを特徴とする、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記中間管状部材(1)を前記成形ツール(7)に押し付ける前記工程が、前記成形型(8)を閉じる工程であり、該工程は、前記主半分シェル(9、10)の少なくとも軸方向の一部において前記中間管状部材(1)および前記成形ツール(7)を間に置き、前記主半分シェル(9、10)の一方を他方に近づけて配置することを特徴とする、請求項4から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第1の端部(2a)の反対側の前記中空本体(2)の前記第2の端部(2c)を、前記中空本体(2)の内部空間(14)と連通する注入および/または採取用の針(13)と結合させる工程を含み、該工程が、前記ブロー成形する工程および前記中空本体(2)の前記内壁(2b)を較正する前記工程と同時に行われることを特徴とする、請求項4から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記成形ツール(7)を用いて前記針(13)を前記中間管状部材(1)内に挿入する工程を含み、該工程が、前記針(13)を前記中空本体(2)の前記第2の端部(2c)に結合させる前記工程の前であって前記成形ツール(7)を前記中間管状部材(1)内に導入する前記工程と同時に行われることを特徴とする、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記中空本体(2)に医療用液体(L)を充填する工程を含み、該工程が、前記中空本体(2) をブロー成形する前記工程の後であって前記スラストピストン(3)を前記中空本体(2)内に挿入する前記工程の前に行われることを特徴とする、請求項4から10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記成形ツール(7)を、事前に決められた長さだけ徐々にかつ部分的に前記中空本体(2)から抜き出す工程を含み、該工程は、前記中空本体(2)に充填する前記工程中に行われ、前記中空本体(2)内に前記医療用液体(L)を導入するための利用可能な容積を画成するのに適していることを特徴とする、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
成形されたばかりの前記中空本体(2)を前記成形型(8)の中に保持する工程を含み、該工程が、前記ブロー成形する工程の後であって前記成形ツール(7)を前記中空本体(2)から抜き出す前記工程中に行われることを特徴とする、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記スラストピストン(3)のうちの少なくとも前記ハンドル頭部(6)を封止する工程を含み、該工程は、前記中空本体(2)内に前記スラストピストン(3)をきつく且つ少なくとも部分的に挿入する前記工程の後に行われ、前記医療行為用注射器(20)の梱包を遂行するのに適していることを特徴とする、請求項6から13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記スラストピストン(3)のうちの少なくとも前記ハンドル頭部(6)を封止する前記工程が、前記成形型(8)に含まれる2つの補助ハーフシェル(11、12)を閉じる工程であり、それにより、プラスチック製の前記中間管状部材(1)の自由部分(16)の少なくとも一部分が、前記スラストピストン(3)のうちの少なくとも前記ハンドル頭部(6)の外面に対して押し付けられることを特徴とする、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記押出し加工する工程、前記ブロー成形する工程、前記内壁(2b)を較正する前記工程、前記針(13)を結合する前記工程、前記中空本体(2)に充填する前記工程、前記スラストピストン(3)を挿入する前記工程、および少なくとも前記ハンドル頭部(6)を封止する前記工程が、合計20秒を超えない時間で行われることを特徴とする、請求項14または15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ブロー成形する工程、前記中空本体(2)の前記内壁(2b)を較正する前記工程、前記針(13)を前記中空本体(2)と結合する前記工程、および前記中空本体(2)に充填する前記工程のうちの少なくとも1つが、前記成形ツール(7)を通じて行われることを特徴とする、請求項4から16のいずれか一項に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−532039(P2012−532039A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518148(P2012−518148)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/IT2010/000295
【国際公開番号】WO2011/001456
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(511300455)
【Fターム(参考)】