医薬の固体状態形態
本発明は、非晶質および結晶性の形態ならびにその特定の多形形態を含む、固体状態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを提供し、記載したものである。17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの無水物および溶媒和物としては、I型の無水物ならびにIV型および形態Vの溶媒和物が挙げられる。さらに、本発明は、本記載の固体状態形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む固形および懸濁製剤、ならびに被検体またはヒト患者の高血糖状態(2型糖尿病やメタボリックシンドロームなど)、および自己免疫状態(数ある炎症関連の病状の中でも関節リウマチ、潰瘍性大腸炎や1型糖尿病など)を処置するための該製剤の使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、17−エチニル−10R,13S−ジメチル2,3,4,7,8R,9S,10,11,12,13,14S,15,16,17−ヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3R,7R,17S−トリオールの固体状態形態および該固体状態形態の調製方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、該固体状態形態を含む固形製剤、ならびに固形および液状の製剤の調製における該固体状態形態(例えば、多形形態および偽多形形態(pseudopolymorph))の使用方法に関する。さらに、本発明は、高血糖および自己免疫に関連する病状の処置のための固体状態形態の使用方法に関する。また、固形および液状製剤のための単位投薬形態も含む。
【0003】
2008年4月3日に出願された優先権書類の米国特許仮出願第61/042,240号の内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
物質が1種類より多くの結晶性形態で存在し得る能力を一般的に多形性といい、このような異なる結晶性形態は、通常「多形」と称され、それらの粉末X線回折(XRPD)パターンなどの特定の分析による特性によって示され得る。一般に、多形性は、分子がそのコンホメーションを変えることができる能力、または異なる分子間相互作用および分子内相互作用を形成できる能力を反映している。これにより、異なる原子配列がもたらされ得、これが異なる多形の結晶格子に反映される。しかしながら、一部の分子は1種類以上の結晶形で存在し得るが、他の分子は1種類以上の結晶形で存在し得ないため、多形性は固体の普遍的な特徴ではない。したがって、所与の化合物に関する多形性の存在または程度は予測不可能である。
【0005】
物質の異なる多形は異なる結晶格子エネルギーを有し、したがって、各多形は、典型的には、固体状態で示される1つ以上の物性、例えば、密度、融点、色、安定性、溶解速度、流動性、ミル処理との適合性、造粒および圧密化および/または分布の均一性などが異なる[例えば、非特許文献1参照]。任意の所与の化合物が1種類以上の結晶性形態で存在し得る可能性(すなわち、多形)は、任意の単一の結晶性形態の物性が予測不可能であるため、予測不可能である。多形形態の物性は、医薬製剤におけるその好適性に影響を及ぼし得る。例えば、これらの物性により、固体状態の製剤の安定性、溶解およびバイオアベイラビリティがプラスにもしくはマイナスに影響を受けることがあり得、これにより、続いて疾患の処置におけるかかる製剤の好適性または有効性が影響を受ける。
【0006】
1つ以上の所望の特性を有する個々の多形は、所望の特性(1つまたは複数)を有する医薬製剤の開発に適したものであり得る。所望でない特性を有する多形形態(1種類または複数種)を有する化合物の存在により、医薬用薬剤としての多形形態の開発が妨げられまたは妨害されることがあり得る。
【0007】
1種類より多くの多形形態で存在する化学的物質の場合、熱力学的にあまり安定でない形態は、充分な期間後、所与の温度で、偶発的に熱力学的により安定な形態に変換されることがあり得る。この変換が急速な場合、かかる熱力学的に不安定な形態は「準安定」形態と称される。ある場合では、準安定形態が、商業用形態での使用が可能になる通常の保存条件下で充分な化学的および物理的安定性を示すことがあり得る。同様に、医薬活性成分の非晶質形態は、その結晶格子間力が小さいため(これは、水性または非水性の液体中への溶解をもたらすためには、解決されるべきことである)、所与の結晶性物質と比べて異なる溶解度を有するものであり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】P.DiMartinoら,J.Thermal Anal.48:447−458(1997)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
主要な実施形態において、本発明は、式1で表わされる17−エチニル−10R,13S−ジメチル2,3,4,7,8R,9S,10,11,12,13,14S,15,16,17−ヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3R,7R,17S−トリオールの新たな固体状態形態を提供する。この化合物は、炎症、高血糖、自己免疫ならびに関連病状(糖尿病および潰瘍性大腸炎など)に関連する病状の処置に適している。
【0010】
【化1】
式1の化合物(以下、本明細書において化合物1または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールともいう)は非晶質形態および結晶性形態で調製し、特に、結晶性形態を、本明細書ではI型、II型、III型またはIV型という。
【0011】
高血糖に関連する病状としては、高血糖、インスリン抵抗性、2型糖尿病(例えば、(1)優勢なまたは著しいインスリン抵抗性、(2)優勢なインスリン欠乏およびある程度のインスリン抵抗性を伴う形態および(3)これらの中間の形態)、肥満ならびに高脂血症状態(高トリグリセリド血症および高コレステロール血症など)が挙げられる。したがって、化合物1の固体状態形態(例えば、非晶質の化合物1を本質的に含まない結晶性I型、結晶性の化合物1を本質的に含まない非晶質の化合物1、および化合物1の結晶性形態と非晶質形態の混合物)を含む製剤は、被検体(ヒトまたは哺乳動物など)の2型糖尿病または他の高血糖状態の処置、予防、進行の遅滞、または改善に有用である。
【0012】
自己免疫に関連する病状としては、1型糖尿病(例えば、免疫媒介性真性糖尿病および特発性真性糖尿病)、多発性硬化症、視神経炎、クローン病(限局性腸炎)、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、関節リウマチならびに橋本甲状腺炎が挙げられる。したがって、化合物1の固体状態形態(例えば、化合物1の他の結晶性形態および非晶質形態を本質的に含まない結晶性I型、ならびに化合物1の結晶性形態と非晶質形態の混合物)を含む製剤は、被検体(ヒトまたは哺乳動物など)の関節炎、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、視神経炎または他の自己免疫状態の処置、予防、進行の改善または遅延に有用である。
【0013】
糖尿病では、本明細書に記載の製剤は、(1)ランゲルハンス島内のβ細胞機能を向上させるため(例えば、インスリン分泌を増大させるため)、(2)島細胞の損傷速度を低下させるため、(3)インスリンに対する細胞の感受性を増大させるように、インスリン受容体のレベルもしくは活性を増大させるため、および/または(4)インスリン抵抗性である細胞においてインスリン抵抗性が低下するように、グルココルチコイド受容体の活性をモジュレートするために有用である。
【0014】
本発明の一実施形態は、化合物1の他の結晶性または非晶質形態を実質的に含まない、または本質的に含まない化合物1の特定の結晶性形態(例えば、結晶性I型)に関する。
【0015】
特定の実施形態において、本発明は、化合物1の他の多形、偽多形形態または結晶性形態を実質的に含まない、または本質的に含まない化合物1の特定の多形形態(例えば、結晶性I型またはII型)または偽多形形態(例えば、結晶性III型またはIV型)に関する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、非晶質化合物1に関し、典型的には、該非晶質物質は結晶性化合物1を実質的に含まない、または本質的に含まない。
【0017】
特定の実施形態において、本発明は、本発明の固体状態形態の作製、単離および/または特性評価方法を提供する。一部のこのような実施形態は、結晶性形態の化合物1の調製方法に関する。他の一部のかかる実施形態は、非晶質形態の化合物1の調製方法に関する。
【0018】
一部の実施形態において、化合物1の固体状態形態は、粉末X線回折(XRPD)と1つ以上の熱的方法、例えば、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量測定(DSC)、変調型示差走査熱量測定(mDSC)、熱重量分析(TGA)、熱重量−赤外線分光(TG−IR)分析および融点測定を含む方法によって特性評価または同定される。
【0019】
一部の実施形態において、化合物1の固体状態形態は、XRPDと振動分光法方法(ラマン分光法など)を含む方法によって特性評価または同定される。
【0020】
一部の実施形態において、化合物1の固体状態形態は、単結晶X線回折を含む方法によって特性評価または同定される。
【0021】
ある特定の実施形態において、本発明は、最終薬物製品を調製するための本発明の固体状態形態の使用を包含する。好ましい薬物製品は、一般的には、I型、III型または非晶質の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを用いて調製される。
【0022】
本発明の他の実施形態は、他の固体状態形態(非晶質の化合物1または化合物1の他の結晶性形態など)を実質的に含まない、または本質的に含まない化合物1の特定の結晶性形態(例えば、結晶性I型、II型、III型またはIV型)を含む薬学的に許容され得る製剤、ならびに該製剤の調製方法に関し、I型を含む固形および液状の製剤が最も好ましい。
【0023】
本発明のさらに他の実施形態は、少なくとも1種類の化合物1の固体状態形態を、化合物1が充分な溶解度を有する液状賦形剤と、任意選択で別の賦形剤の存在下で、接触させるかまたは混合することにより調製される液状製剤、および該液状製剤の調製方法に関する。
【0024】
化合物1の少なくとも1種類の固体状態形態を液状賦形剤と接触させること、または混合することに関連する他の実施形態は、懸濁製剤としての固形製剤に関し、ここで、化合物1の少なくとも一部の量は、該製剤中に粒子として存在している。このような懸濁製剤は、本明細書に記載の固体状態形態を用いて作製される。
【0025】
本発明のまた別の実施形態は、被検体の高血糖および自己免疫に関連する病状を、化合物1の固体状態形態(化合物1の非晶質または結晶性の形態など)を含む固形製剤で処置するための方法に関する。
【0026】
本発明のまた別の実施形態は、被検体の高血糖(2型糖尿病など(such))に関連する病状を、他の固体状態形態(化合物1の非晶質および他の結晶性形態など)を実質的に含まない化合物1の特定の結晶性形態(例えば、結晶性I型、II型、III型またはIV型)を含む固形製剤で処置するための方法に関する。
【0027】
本発明の別の実施形態は、被検体の自己免疫(1型糖尿病、関節リウマチまたは橋本甲状腺炎など)ならびに炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎など)に関連する病状を、化合物1の固体状態形態(化合物1の非晶質または結晶性形態など)を含む固形製剤で処置するための方法に関する。このような実施形態において、結晶性I型が好ましい。
【0028】
また、本発明の実施形態は、高血糖または自己免疫に関連する病状の処置または予防のための、医薬の調製のための非晶質または結晶性の形態の化合物1の(or)使用を含む。
【0029】
さらに他の実施形態は、化合物1の固体状態形態を用いた液状製剤の調製方法、および高血糖または自己免疫に関連する病状を処置するためのかかる製剤の使用に関する。
【0030】
本発明の他の実施形態および利点は、本明細書(番号付けした実施形態および特許請求の範囲を含む)中の他の箇所に記載したとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、バルク再結晶によって調製したI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの低分解能XRPDパターンである。
【図2】図2は、バルク微粉化後のI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの高分解能XRPDパターンである。
【図3】図3は、I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの代替的な調製法による結晶性物質の低分解能XRPDである。
【図4】図4は、結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを示す。
【図5】図5は、広がった領域を有する、結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料のラマン分光法スペクトルである。
【図6】図6は、倍率10倍における結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶の顕微鏡写真である。
【図7】図7は、結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の低分解能XRPDパターンである。
【図8】図8は、結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の示差走査熱量測定および熱重量分析サーモグラムを示す。
【図9】図9は、結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの実験により得られたXRPDパターンと、指数付けの解(indexing solution)からの許容反射(allowed reflection)との比較である。
【図10】図10は、結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの実験により得られたXRPDパターンと、指数付けの解からの許容反射との比較である。
【図11】図11は、結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の低分解能XRPDである。
【図12】図12は、結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムである。
【図13】図13は、広がった領域を有する、結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料のラマンスペクトルである。
【図14】図14は、結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の低分解能XRPDパターンである。
【図15】図15は、結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムである。
【図16】図16は、広がった領域を有する、結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料のラマンスペクトルである。
【図17】図17は、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の低分解能XRPDパターンである。
【図18】図18は、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを示す。
【図19】図19は、広がった領域を有する、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料のラマンスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
本明細書で用いる場合、または特に記載のない限り、もしくは文脈から示唆されない限り、本明細書において定義する用語は、特定した意味を有する。記載した実施形態および実施例の説明は、本発明を例示するものであって、なんら限定することを意図しない。例えば相互の排他的な要素または選択肢によって、特に反対の内容の表示または示唆がない場合、本明細書の説明において、または本明細書全体を通して、用語「a」および「an」は、1つ以上を意味し、用語「または(もしくは)」は、および/またはを意味する。
【0033】
特に明白な記載のない限り、または文脈から特定されない限り、割合の量は重量%(w/w)で示したものである。したがって、少なくとも約2%の化合物1を含む固形投薬製剤は、少なくとも約2%w/wの化合物1を含む固形投薬製剤または懸濁剤である。0.1%の水分を含む固体化合物1は、0.1%w/wの水分が該固体と会合していることを
意味する。
【0034】
「約」および「およそ」は、特定の固体形態を説明するために示した数値または値の範囲、例えば、特定の温度もしくは温度範囲(例えば、融解、脱水和、脱溶媒和もしくはガラス転移を示すものなど);質量変化(例えば、温度もしくは湿度の関数としての質量変化など);溶媒もしくは含水量(例えば、質量もしくはパーセントで);またはピーク位置(例えば、IRもしくはラマン分光法もしくはXRPDによる分析のものなど)に関して用いる場合、該値または値の範囲が、当業者に妥当とみなされる程度に逸脱することがあり得るが、依然として該特定の固体状態形態を示すものであることを示す。具体的には、用語「約」および「およそ」は、本文脈において用いる場合、該数値または値の範囲は、記載の値または値の範囲から20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%または0.01%逸脱してもよいが、依然として該特定の組成または固体状態形態を示すものであることを示す。
【0035】
「固体状態」は、本明細書で用いる場合、化合物(17α−エチニル−5α−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(すなわち、化合物1)など)または該化合物を含む組成物において、存在する該化合物の質量の少なくとも約2〜10%が固体で存在している物理的状態をいう。典型的には、化合物1の質量の大部分が固体状態形態である。より典型的には、化合物1の質量の少なくとも約80〜90%が固体形態である。固体状態形態としては、結晶性、不規則な結晶性、多結晶性、微晶質、ナノ結晶性、一部結晶性、非晶質および半固体形態またはその混合物が挙げられ、任意選択で、非固体または非結晶性の化合物1を包含する。さらに、化合物1の固体状態形態としては、多形、偽多形、水和物、溶媒和物、脱水水和物および脱溶媒溶媒和物ならびにその混合物が挙げられ、任意選択で、非固体または非結晶性の化合物1を包含する。したがって、化合物1の固体状態形態は、化合物1の単一の多形形態、化合物1の単一の偽多形形態、2種類以上、典型的には2種類もしくは3種類の化合物1の多形もしくは偽多形形態の混合物、またはこれらの固体状態形態の任意の1種類と、任意選択で化合物1の非固体または非結晶性との組合せ(ただし、化合物1の質量の少なくとも約2〜10%は固体形態であるものとする)を包含する。
【0036】
本明細書で用いる用語「結晶性」および関連用語は、物質、成分または生成物を説明するために用いている場合、目視検査または通常は適当な方法(典型的には、粉末X線回折などのX線回折方法)によって測定したとき、該物質、成分または生成物が結晶性であることを意味する[例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing,Easton Pa.,p173(1990);The United States Pharmacopeia,第23版,pp.1843−1844(1995)参照]。
【0037】
本明細書における用語「結晶性形態」および関連用語は、所与の物質の種々の結晶性の変形型、例えば、限定されないが、多形、溶媒和物、水和物、混合型溶媒和物、共結晶および他の分子複合体をいう。また、結晶性形態は、所与の物質の種々の結晶性の変形型の混合物、例えば、偽多形形態もしくは多形形態の組合せ、1種類以上の多形形態と1種類以上の偽多形との組合せ、またはかかる形態と当該物質の非晶質もしくは非固体状態形態との組合せなどであってもよい。典型的な組合せは、多形形態と偽多形形態の混合物、または多形もしくは偽多形形態と非晶質物質の混合物のような2種類以上の多形または偽多形形態のものである。典型的には、結晶性形態は、典型的には、そのXRPDパターンによって互いに識別可能である。本質的に同一のXRPDパターンを有するが、異なる結晶形態構造を有する固体状態形態は、形態構造が異なると物理的形状に関連する異なる特性が示されることがあり得るため、異なる結晶性形態とみなされる。物理的形状に関連する特性としては、溶解速度、安定性、吸湿性、機械的特性、例えば、強度、引張強度、適合性(打錠)ならびに取扱いに関連する特性、例えば、流動、濾過、ブレンドおよび種々の多形について本明細書に記載の他の物性または医薬特性が挙げられる。
【0038】
「多形」は、本明細書で用いる場合、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(すなわち、化合物1)の規定の結晶性形態をいう。多形は、典型的には、多形の格子内の分子の秩序のため物性において異なる。したがって、多形は、物性または医薬特性、例えば、吸湿性、溶解度、固有溶解速度、固体状態反応速度(すなわち、薬物物質もしくは薬物製品としての医薬成分の化学的安定性)、結晶性の安定性(すなわち、熱力学的により安定な結晶性形態に転移する傾向)、表面自由エネルギー、界面張力、機械的強度(例えば、硬度、脆性、塑性変形、従順性、可鍛性など)、引張強度、圧密性(すなわち、打錠)および加工性(例えば、取り扱い、流動、ブレンドなど)の1つ以上に差を示すことがあり得る。また、薬物物質の多形形態の物性および機械的特性の差は、規模拡大および研究室での手順からパイロットプラントを経、次いで充分な製造への移行に影響を及ぼすことがあり得る。また、設備の変更、加熱速度および冷却速度の変動ならびに攪拌手順の変動は、晶出に影響を及ぼすことがあり得、したがって、得られる結晶性形態に影響し得る。
【0039】
水和物、溶媒和物または混合型溶媒和物として存在する多形は、一般的に偽多形と称され、無水であるか溶媒和物でない親近(isostructural)構造の多形形態に鑑みると異なる多形形態または固体状態形態を表す。また、溶媒和物の実体または化学量論が異なる偽多形も、相互に鑑みると異なる多形形態または固体状態形態とみなされる。例えば、溶媒和物として存在する化合物1(例えば、結晶性III型)は、別の溶媒和物(例えば、結晶性IV型)または無水物(anhydrate)(例えば、結晶性I型)に鑑みると、異なる固体状態形態である。種々の温度および/または種々の水蒸気圧(例えば、相対湿度)もしくは有機溶媒の蒸気圧における水和物および溶媒和物の安定性プロフィールは、一部の場合において、親近構造の無水物または脱溶媒和物ものとは異なる。かかる違いは、種々の保存条件下において、薬物物質または薬物製品のいずれかとしての医薬活性成分(例えば、化合物1)の製剤、加工処理または安定性に影響を及ぼすことがあり得る。
【0040】
したがって、異なる結晶性形態または多形形態は、結晶格子内の分子の配列またはコンホメーションの結果として、異なる物性(例えば、融解温度、融解熱、溶解度および/または振動スペクトルなど)を有し得る(例えば、Byrn,S.R.,Pfeiffer,R.R.およびStowell,J.G.(1999)Solid−State Chemistry of Drugs,第2版,SSCI,Inc.:West Lafayette,Ind.参照)。多形および偽多形によって示される物性の違いは、バイオアベイラビリティにおいて重要な要素であり得る薬学的パラメータ、例えば、保存安定性、圧縮性および密度(製剤および製品の製造に重要)ならびに溶解速度などに影響を及ぼすことがあり得る。安定性の違いは、化学的反応性の変化(例えば、ある多形または偽多形で構成されている場合では、別の多形形態で構成されている場合よりも投薬形態がより急速に変色するというような酸化の差)、または機械的変化(例えば、動力学的に好都合な多形が熱力学的により安定な多形に変換された場合の保存時の錠剤の崩壊)または両方(例えば、ある多形の錠剤が、高湿度において分解され易い)に起因し得る。溶解度/溶解速度の違いの結果、極端な場合では、一部の多形転移により効力の欠如がもたらされ得、あるいは、別の極端な場合では、毒性がもたらされ得る。また、結晶の物性は、加工処理において重要であり得、例えば、ある多形は、例えば、結晶形態構造および/または粒径分布の違いによる不純物を含まない、濾過および洗浄が困難であり得る溶媒和物または水和物を形成し易いものであり得る。
【0041】
典型的には、結晶性形態は、1つ以上の物性または分析による特性(溶解速度など)、赤外線およびラマン分光法、X線回折手法(単結晶および粉末回折手法など)、固体状態−NMR(SS−NMR)、熱的手法(融点、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)など)および本明細書中の他の箇所に開示した他の方法によって互いに識別される。ある偽多形を特性評価し、別の多形形態と識別するためのさらなる方法としては、元素分析、カール・フィッシャー滴定、動的気相吸収分析、熱重量−赤外線分光分析(TG−IR)、残留溶媒ガスクロマトグラフィーおよび1H−NMRが挙げられる。
【0042】
用語「親近構造の結晶性形態」は、本明細書で用いる場合、別の結晶性形態と類似性(例えば、ほぼ類似した結晶格子内の格子面間隔)を有する共通構造を有する物質の結晶形をいう。したがって、親近構造の結晶性形態は、類似した分子充填モチーフを有するが、単位胞パラメータ(対称性翻訳)が異なる。共通構造の類似性のため、親近構造の結晶性形態は、典型的には、類似しているが必ずしも同一でない粉末X線回折パターンを有する。親近構造の結晶性形態は、中性分子または分子複合体である物質を主体とするものであり得る。親近構造の結晶性形態は、該物質の溶媒和物(水和物を含む)であってもよく、脱溶媒和された溶媒和物の結晶性形態であってもよい。多形の溶媒和物である親近構造の形態は、一部の場合において、非溶媒和多形に対して偽多形であると称される。溶媒和された結晶性形態は、典型的には、結晶格子内に1種類以上の溶媒(例えば、水)を含み、これは、該結晶性形態の調製で使用された晶出用溶媒(1種類または複数種)であってもよい。
【0043】
「非晶質」は、本明細書で用いる場合、3次元構造において、分子の互いに対する位置が本質的にランダムな化合物(例えば、化合物1)の固体状態形態をいう[例えば、Hancockら“Characteristics and significance of the amorphous state in pharmaceutical systems” J.Pharm.Sci. Vol.86,pp.1−12(1997)参照]。その結果、非晶質物質は、液体様の短距離秩序(short range order)のみを有し、X線回折によって調べた場合、一般的には、幅広で分散した散乱が生じ、場合によっては、1つ以上の非晶質散乱(halo)を中心とするピーク強度がもたらされる。したがって、非晶質物質のXRPD分析では、1つ以上の幅広のバンドを有し、顕著なピークのない2θパターンが示される。
【0044】
非晶質の化合物1は、一部の場合において、そのガラス転移温度(Tg)によって特性評価され得る。この温度により、化合物1の超冷却融体が、冷却されると結晶性の化合物1と類似した性質を有するガラス状構造を生成する擬二次相転移が規定される。しかしながら、Tgは動力学的パラメータであるため、この値は、該融体の冷却速度、およびその測定に使用される測定条件に依存性である(例えば、融体の冷却速度が低いほど、Tgは低くなる)。さらに、非晶質試料(非晶質の化合物1など)のTgは、存在する水分量に高度に依存性である。例えば、水分含有量が1%増加すると、Tgは約10℃以上低くなることがあり得る。非晶質の化合物1の試料のガラス転移温度は、一工程の転移として現れる2次吸熱転移を有する熱容量の変化が示される示差走査熱量測定(DSC)によって得られ得る。この転移の変曲点をTgとして示す。
【0045】
「製剤」または「薬学的に許容され得る製剤」は、本明細書で用いる場合、1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤に加えて、固体状態形態で存在する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(すなわち、化合物1)を含む組成物をいう。製剤は、化合物1の固体状態形態から調製される組成物であって、ヒトへの投与に適した組成物を包含する。製剤は、化合物1の1種類、2種類またはそれ以上の結晶性形態、例えば、化合物1の単一の多形または偽多形形態、化合物1の2種類の多形形態の混合物、または化合物1の多形形態と化合物1の偽多形形態との混合物で構成されたもの、または調製されたものであり得る。製剤は、非晶質の化合物1または化合物1の多形もしくは偽多形形態と非晶質の化合物1の混合物で構成されたもの、または調製されたものであってもよい。典型的には、該製剤は、化合物1の単一の結晶性形態(例えば、結晶性のI型、II型、III型もしくはIV型)、非晶質化合物1、または好ましさは低いが、単一の多形または偽多形形態と非晶質化合物1との混合物で構成されたもの、もしくは調製されたものである。好ましい製剤は、I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含むものである。
【0046】
「固形製剤」は、本明細書で用いる場合、化合物1が1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤の存在下で固体状態形態である製剤であって、製剤の調製に使用される化合物1の固体状態形態の質量の大部分が、該固体状態製剤に必要とされる比率で賦形剤と混合した場合、周囲温度で少なくとも約6ヶ月、通常、周囲温度で少なくとも約12ヶ月または24ヶ月、固体状態形態のままである製剤をいう。固形製剤である投薬単位としては、錠剤、カプセル剤、キャプレット剤、懸濁剤および処置の必要がある被検体への固体状態形態の医薬活性成分の経口投与と典型的に関連する他の投薬単位が挙げられる。
【0047】
「液状製剤」は、本明細書で用いる場合、化合物1の1種類以上の固体状態形態を1種類以上の賦形剤と混合または接触させた製剤であって、賦形剤の少なくとも1種類が、液状または非固体状態形態(すなわち、非固形賦形剤)であり、当該液状製剤に必要とされる比率で、化合物1の質量の大部分が非固形賦形剤中に溶解されているような製剤をいう。液状製剤を含む投薬単位としては、シロップ剤、ゲル剤、軟膏および処置の必要がある被検体への非固体状態形態の医薬活性成分の非経口または経腸投与と典型的に関連する他の投薬単位が挙げられる。
【0048】
「実質的に含まない」は、本明細書で用いる場合、化合物(化合物1など)の約60重量%より多くが所与の固体状態形態で存在していることをいう。例えば、非晶質物質を「実質的に含まない」結晶性化合物1という用語は、化合物1の約60%より多くが1種類以上の結晶性形態である化合物1の固体状態形態をいう。かかる組成物は、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%の1種類以上の結晶性形態である化合物1を含み、残余は非晶質または非結晶性化合物1として存在する。別の例において、結晶性形態を「実質的に含まない」非晶質の化合物1という用語は、化合物1の約60%より多くが非晶質である化合物1の固体状態形態をいう。かかる組成物は、典型的には少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%の非晶質の化合物1を含み、残余は、化合物1の1種類以上の結晶性形態として存在する。また別の例において、他の結晶性形態を「実質的に含まない」I型という用語は、化合物1の約60%より多くが単一の結晶性形態として存在する固体状態組成物をいう。かかる組成物は、典型的には、単一の結晶性形態としての化合物1を少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%含む。好ましい製剤は、I型としての化合物1を少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%含み、残余の化合物1は、他の結晶性形態または非晶質形態またはその組合せで存在するものである。他の好ましい製剤は、非晶質形態の化合物1を少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%含み、残余の化合物1は、1種類以上の結晶性形態で存在するものである。最も好ましい製剤は、約95〜99%のI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含むものであり、約97%、約98%または約99%が特に好ましい。
【0049】
「本質的に含まない」は、本明細書で用いる場合、ある成分が、その検出に使用される典型的な条件下で検出可能な量で存在しない、あるいは該成分がみられることがあり得る組成物または製剤の所望の特性に有害な影響を及ぼし得る量で存在しないと確認されたことをいう。例えば、「液状物を本質的に含まない」は、固体形態の組成物または製剤が、投与の必要がある被検体に固形投薬形態で投与するために使用される製剤または組成物の薬学的許容性に有害な影響を及ぼし得る量の水または液状形態の溶媒を含まないことを意味する。懸濁液は固形製剤とみなされ、かかる製剤では、懸濁製剤を構成する液状賦形剤(1種類または複数種)は、この定義に含まれない。「非晶質化合物1を本質的に含まない結晶性I型」は、非晶質化合物1がXRPD分析で検出されない化合物1の特定の結晶性形態をいう。典型的には、結晶性物質中の非晶質物質の検出限界は約10%である。
【0050】
「実質的に純粋」は、本明細書で用いる場合、化合物1の固体状態形態に含まれる全不純物が約3%未満もしくは約2重量%未満であること、あるいはより好ましくは、含まれる水分が約1重量%未満および/または不純物(分解もしくは合成の副生成物あるいは残留有機溶媒など)が約0.5重量%未満であることをいう。残留溶媒は、化合物1の固体状態形態の溶媒和物(例えば、偽多形)の一部である溶媒を包含しない。
【0051】
「実質的に同一」は、本明細書で用いる場合、典型的には試料の配置もしくは取扱またはトレースもしくは物理的特性を取得するために使用された計測器の実体と関連する差違の範囲内において、あるいは実験室環境内もしくは分析計測器内もしくは両者間に通常見られる他の差異または変動による差違の範囲内において、ピーク位置および振幅または強度が同等である値またはデータトレースにおいて、測定された物理的特性が同等であることをいう。
【0052】
「水和物」は、本明細書で用いる場合、固体状態形態全体を構成する一部分として水分子を含む化合物1の固体状態形態をいい、バルク化合物に非特異的に結合された水分は指さない。結晶性形態の化合物1の水和物は、孤立部位(isolated site)水和物またはチャネル(channel)水和物であり得る。水和物は、化合物1の1分子あたり化学量論量または非化学量論量の水分子を含むものであり得る。典型的には、水分は水和物中に、化合物1に対してモル基準で0.25、0.5、1.0、1.5または2.0の比率で存在する。
【0053】
「溶媒和物」は、本明細書で用いる場合、当該化合物の分子に明確な比で結合され、固体状態形態全体を構成する一部分である溶媒分子を含む化合物1の固体状態形態をいい、バルク化合物に非特異的に結合された溶媒をいうものではない。溶媒分子が水である場合、かかる溶媒和物は水和物と称される。
【0054】
「炎症状態」は、本明細書で用いる場合、炎症またはそれに関連する痛みまたは発熱の不適切または病的な存在を特徴とする状態をいう。炎症は、例えば、多発性硬化症などの自己免疫疾患において、発赤として存在することがあり得る。炎症は、急性または慢性であり得、2型糖尿病、アルツハイマー病および転移性の癌(例えば、転移性の前立腺または乳癌)などの病状において存在し得る。
【0055】
炎症状態としては、自己免疫状態(多発性硬化症など)、狼瘡状態(例えば、全身性エリテマトーデス)、関節炎の状態(例えば、関節リウマチ)、および腸の炎症状態(例えば、潰瘍性大腸炎またはクローン病など)が挙げられる。また、炎症状態としては、代謝性の病状(高血糖状態、糖尿病など)、肝硬変の状態(例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝の状態、急性および慢性の肺の病状(例えば、閉塞性肺疾患(COPD)、急性喘息、慢性喘息、気腫、急性気管支炎、アレルギー性気管支炎、慢性気管支炎および肺線維症)も挙げられる。
【0056】
「代謝性の病状」としては、本明細書で用いる場合、1型糖尿病、2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、高血糖、グルコース利用障害もしくはグルコース寛容減損、インスリン合成の傷害もしくは低下、高脂血症の状態(高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、遊離脂肪酸値の上昇など)、または大血管損傷(動脈のアテローム性動脈硬化、低リポ蛋白血症もしくは血管のアテローム性動脈硬化など)などの病状が挙げられる。高コレステロール血症としては、高LDLコレステロール血症またはLDLコレステロール値の上昇が挙げられる。低リポ蛋白血症としては、低HDLコレステロール血症または低HDLコレステロールレベルが挙げられる。1型糖尿病としては、免疫媒介性真性糖尿病および特発性真性糖尿病が挙げられる。2型糖尿病としては、優勢な、または著しいインスリン抵抗性、優勢なインスリン欠乏およびいくらかのインスリン抵抗性を伴う形態、ならびにこれらの中間の形態が挙げられる。
【0057】
また、化合物1の固体状態形態は、神経炎症、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症および加齢性黄斑変性に関連する疾患または病状を処置するために使用され得る。
【0058】
「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容され得る担体」または類似用語は、賦形剤と混合したとき固体状態形態である化合物1を医薬活性成分として含む組成物または製剤中のその他の成分と適合性であるという意味において許容され得る1種類以上の成分または材料を意味する。このような賦形剤は、通常、組成物製剤が投与される被検体に対して過度に有害でない。賦形剤としては、医薬製剤技術分野で典型的に使用されている1種類以上の成分、例えば、充填剤、結合剤、崩壊剤、分散剤、保存剤、流動促進剤、界面活性剤および滑沢剤の1種類、2種類またはそれ以上が挙げられる。例示的な賦形剤としては、ポビドン、クロスポビドン、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微晶質セルロース、アラビアゴム、ポリソルベート80、ブチルパラベン、プロピルパラベン、メチルパラベン、BHA、EDTA、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ヒマシ油、オリーブ油、植物油、緩衝剤(水酸化ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、二塩基性リン酸カリウム、三塩基性リン酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化アンモニウム、塩化アンモニウムなど)、糖類(マンニトール、グルコース、フルクトース、スクロースまたはラクトースなど)が挙げられる。
【0059】
「被検体」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、哺乳動物または脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、イヌまたは齧歯類などである。
【0060】
「表面活性剤」(界面活性剤)は、低濃度で、固体(不溶性またはやや溶けにくい)と液体の表面間で相互作用する物質を意味する。液体は、医薬活性成分の固体状態形態(化合物1の結晶性形態)、液状賦形剤、および懸濁性を改善する作用をする表面活性剤を含む懸濁製剤中に存在する該液状賦形剤であり得る。あるいはまた、表面活性剤を、化合物1の多形または偽多形(例えば、結晶性I型、II型、III型もしくはIV型)、化合物1の非晶質形態またはその混合物、および表面活性剤を含む経口固形投薬形態中に存在させてもよく、該表面活性剤は、胃液中への医薬活性成分の溶解速度を改善する作用をする。表面活性剤は、同一分子内に極性(親水性)領域と非極性(疎水性)領域の両方を有する構造では両親媒性である。製剤技術分野で使用されている表面活性剤の例は、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology 第2版 TaylorおよびFrancis,2006,pp3583−3596のCorrigan,O.I.;Healy,A.M.“Surfactants in Pharmaceutical Products and Systems”に示されている。
【0061】
「懸濁剤」は、懸濁剤の投与前の時点において、化合物1の固体状態形態が、通常、微細化された(例えば、微粉化された)固体として液状担体(ビヒクル)に存在するものを一般に意味する。懸濁剤は、使用の準備ができたもの、または使用直前に懸濁剤の投薬形態として再構成される乾燥粉末のいずれかであり得る。懸濁剤には、典型的には、懸濁化剤または凝集剤、湿潤剤(既に存在させた懸濁化剤または凝集剤がまだこの目的を果たさない場合)、緩衝剤および保存料が含まれる。コロイド状懸濁剤では、化合物1の粒子は、典型的には約1μm未満の大きさである。粗懸濁剤では、該粒子は約1μmよりも大きい。粗懸濁剤中の個々の懸濁可能な化合物1の粒子の実用上の上限は、約50μm〜75μmであるが、懸濁剤の易注射針通過性によっては、一部の割合が粒子が200μmまでであるのが適当なこともあり得る。経口または非経口投与のための懸濁剤を開発するための設計考慮事項は、Akersら J.Parenteral Sci.Tech.1987 Vol.41:pp88−96;Encyclopedia of Pharmaceutical Technology 第2版 TaylorおよびFrancis,2006,pp3597−3610のNash,RA“Suspensions”(これは、引用により、本出願書類における特定性を伴って本明細書に組み込まれる)に示されている。
【0062】
固体状態形態の特性評価および同定方法
モルホロジー−結晶モルホロジーは、結晶構造内の原子の規則的な内部配列により結晶面によって示される結晶内の対称性をいう。特定の結晶性形態の結晶モルホロジーは、しばしば、結晶性形態の結晶系、すなわち、三斜晶系、単斜晶系、斜方晶系、正方晶、六方晶系または等軸晶系によって示される。より典型的には、結晶性物質の試料中の結晶の結晶形態構造は、試料中の結晶の大部分の物理的外観をいい、例えば、ブレード型、プレート型、タブレット型、針状型などの形状の記述的表示によって示される。結晶形態構造は、通常光または偏光を使用し、例えば約2倍、10倍、40倍または100倍の倍率での顕微鏡による評価による観測結果によって測定され得る。
【0063】
粉末X線回折−粉末X線回折(XRPD)は、典型的には、結晶性化合物を特性評価または同定するために使用される(例えば,U.S.Pharmacopoeia,第23巻,1995,method 941,pp.1843−1845,U.S.P.Pharmacopeia Convention,Inc.,Rockville,Md.;Stoutら,X−Ray Structure Determination;A Practical Guide,MacMillan Co.,New York,N.Y. 1968参照)。X線光線が結晶性形態と相互作用すると、典型的には、結晶性形態の格子の特徴に依存する位置における強度極大のシーケンスを特徴とする回折パターンが得られる。したがって、XRPD線の位置および相対強度は、多くの場合で所与の結晶性形態に特異的である「フィンガープリント」をもたらす特定の結晶性形態を示すが、連続的な結晶バッチで得られる再現回折パターンにおいて、弱いまたは非常に弱い回折ピークが常に出現するとは限らない。これは、他の結晶性形態が試料中に適用可能な量で存在する場合、例えば、多形または偽多形形態が一部水和、脱水、脱溶媒和または加熱された状態となって、有意な量の別の多形または偽多形形態が得られた場合、特にそうである。
【0064】
さらに、特に小さいX線入射角度値(小2θ)におけるバンドの相対強度は、例えば、晶癖、粒径および他の測定条件の違いによって生じる優先方位効果のため、異なることがあり得る。したがって、典型的には、振幅とカップリングされるピークの相対位置が着目される。広がったXRPDピーク(互いに近い位置に存在する2つ以上の個々のピークからなるものであり得る)は、非晶質成分、不規則な結晶性形態または主光線からの寄生散乱によってもたらされ得る。同じ固体状態形態の異なる試料での広がったピークは、一般的に、約0.3〜1度の2θ以内に存在する。同じ固体状態形態の異なる試料でのシャープで孤立したXRPDピークは、通常、標準の解像データでは約0.1度の2θ以内、または場合によっては、連続的XRPD分析において、約±0.2度の2θ以内に見られる。したがって、所与の位置のシャープで孤立したXRPDピークが、例えば約16.1または16.07に存在すると特定されている場合、これは、ピークが16.1±0.1または16.07±0.1に存在することを意味する。所与の位置の広がったXRPDピークがほぼ所与の角度2θ値に存在すると特定されている場合、これは、ピークが該角度2θ値±0.3に存在することを意味する。
【0065】
XRPDパターンは「顕著なピーク」によって表示され得る。顕著なピークは、観測されたピークから、好ましくは重複していない小角ピークを同定することにより選択される。顕著なピークは、X線回折パターンの最も強度の大きいピークとの比較において、少なくとも約5%、もしくはより典型的には少なくとも約10%の相対強度、または少なくとも約15%、もしくは少なくとも約20%の相対強度を有するものである。一部の場合において、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態のXRPDパターンを表示するため、5%より小さい強度の1つ以上のピークが顕著とみなされることがあり得、より顕著な(すなわち、少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20%の相対強度の)1つ以上のピークに加えて使用される。
【0066】
XRPDパターンを得るために、同じ計測器およびプロトコルを使用する再現可能な研究所内条件下で、同じ程度の結晶化度を有する同じ固体状態形態の異なる試料での連続的XRPD分析で得られるXRPDピーク位置および強度の差は、主に、試料調製物または
試料の純度の違いによるものである。
【0067】
通常、単一のバンドでも化合物1の所与の多形または偽多形形態の判断が行われ得るため、本明細書に開示する精製多形または偽多形試料において観察されるすべてのピークに依存する必要はない。むしろ、同定は、典型的には、ピークの位置および全体的なパターンに着目して、特に、顕著なピークの選択に着目して、本明細書に記載の種々の多形および偽多形形態を識別するのがよい。典型的には、化合物1の個々の多形または偽多形形態は、2、3もしくは4つの最も強度の大きい、または2、3もしくは4つの顕著なピークに対する参照により示され、任意選択で、1種類または2種類の他の物理的特性または分析による特性により示される。該特性としては、融点、示差熱分析(DTA)または示差走査熱量測定(DSC)において観察される1回以上の熱転移、規定の温度範囲において生じるTGAにおける重量減損の割合、赤外線またはラマン分光法において観察される1ヶ所以上の吸収ピーク、および固有溶解速度(DR)が挙げられる。XRPD、DTA、DSC、DRなどのデータを得るための標準化された方法は、例えば、U.S.Pharmacopoeia,第23巻,1995,United States Pharmacopeial Convention,Inc.,Rockville,MD,pp2292−2296および2359−2765(引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0068】
固体状態と思われる試料(例えば、既知の多形または偽多形形態を含む固体状態製剤)中の該既知の多形または偽多形形態を確認するための方法の一例は、該既知の多形または偽多形形態を含む試料(1つまたは複数)の1つ以上のXRPDパターンを得、次いで、これを該固体状態と思われる試料のXRPDパターンと比較すること(例えば、米国特許出願公開番号2004/0103130(引用により本明細書に組み込まれる、特に段落0067〜0078および段落0086〜0115(両端を含む))に記載のヒューリスティック・クラスタリング分析法を使用)を伴う。また、ヒューリスティック・クラスタリング分析は、結晶相の混合型(例えば、2種類以上の多形形態の混合物)または結晶性相と不規則相の混合型(例えば、多形形態と非晶質形態の混合物)のいずれかを含む試料の定量的分析にも使用され得る(例えば、米国特許出願公開番号2004/0103130(引用により本明細書に組み込まれる、特に段落0116〜0130(両端を含む))に記載)。
【0069】
また、XRPDパターンから誘導される原子のペアワイズ分布関数(PDF)の比較を用いても、固体状態と思われる試料(例えば、該既知の多形または偽多形形態を含む固体状態製剤など)中の既知の多形または偽多形が同定され得る。2つの結晶性形態が同じ分子充填を有する同じ分子のものである場合、そのPDFは本質的に同じである。例えば、既知の多形形態または偽多形形態と、これらの結晶性形態を含むと思われる固体状態製剤から得られる2つのPDFが本質的に同一であるかどうかを調べるためには、PDFを、例えば、米国特許出願公開番号2007/0243620(引用により本明細書に組み込まれる)に記載の方法によって比較する。
【0070】
本質的に純粋な多形または偽多形の高分解能XRPDパターン(1つまたは複数)が得られた場合、結晶性形態の単位胞パラメータ(単結晶X線分析のセクションに記載)が、例えば、米国特許出願公開番号2007/0270397(引用により本明細書に組み込まれる)の場合のようなインデックス表示法によって測定され得る。偽多形では、親近構造の結晶性形態(すなわち、参照結晶性形態)、例えば、親近構造の無水物(偽多形の脱水和および/または脱溶媒和によって得られ得る)が得られた場合、親近構造の結晶性形態の単位胞体積と、高分解能XRPDパターン(1つまたは複数)から求めた単位胞体積との比較により、偽多形の化学量論(すなわち、化合物1の1分子あたりの水または溶媒分子の数)の測定が可能となり得る。かかる適用では、参照親近構造の結晶性形態の単位胞パラメータは、単結晶X線分析から得られ得るか、またはこの参照形態の高分解能XRPDデータのインデックス表示により得られ得る。
【0071】
また、化合物1のある固体状態形態が、他の結晶性形態を本質的に含まない所与の結晶性形態を含むかどうかを調べるためには、指数付けが使用され得る。これは、前述の指数付け方法によって測定された単位胞の許容反射を、実験により得られたXRPDパターンのピークと、弱め合う干渉のために存在しないピークを考慮して比較することにより行なわれ得る。指数付けの解では許容されない実験によるXRPDにおける1つ以上の顕著なピークの存在は、化合物1の1種類以上の他の結晶性形態の存在を示す。
【0072】
振動分光法−化合物1の結晶性形態(多形または偽多形形態など)を特性評価するために任意選択で使用され得る判断手法としては、振動分光法手法(IRおよびラマンなど)が挙げられ、これは、入射エネルギーに応答して振動する試料の分子内における特定の化学結合の存在による固体状態試料に対する入射エネルギーの効果を調べるものである。多形形態と偽多形形態は、互いに異なるIRおよびラマン特性を有し得るため、IRおよびラマンスペクトルにより相補的な情報が得られ、いずれかにより、特定の多形の同定のためのフィンガープリントが得られ得る[Anderton,C.Eur. Pharm. Rev., Vol. 9, pp.68−74(2004)参照]。
【0073】
ラマンでは、複雑なマトリックス(例えば、錠剤処方物)中の多形または偽多形の実体測定および/または定量を行なうことができ、非晶質形態と結晶性形態とが識別でき、または化合物1の多重多形形態と偽多形形態とが差別化することができる[例えば、Pratiwia,D.ら“Quantitative analysis of polymorphic mixtures of ranitidine hydrochloride by Raman spectroscopy and principal components analysis”Eur.J.Pharm.Biopharm.Vol.54,No.3,pp.337−341(2002)参照]。結晶性形態の混合物を含む処方物ではしばしば、化合物1の多形または偽多形不純物を約10%認識可能である(約0.05%w/wの絶対検出限界を表す)。
【0074】
上記の振動分光法方法を用いて固形製剤などの複雑なマトリックス内の化合物1の結晶性形態の多形または偽多形の実体測定または定量を行なうため、全反射減衰(ATF)の手法が、一部の場合において使用される(一例は、Salari,H.ら“Application of attenuated total reflectance FTIR spectroscopy to the analysis of mixtures of pharmaceutical polymorphs” Intl. J. Pharm., Vol. 163, No. 1, pp.:157−166(1998)参照のこと]。
【0075】
化合物1の結晶性形態などの結晶性材料の同定または定量のための別の手法は、拡散反射率赤外線フーリエ変換分光分析(DRIFTS)である(一例については、Tantishaiyakul,V.ら“Use of DRIFTS and PLS for the Determination of Polymorphs of Piroxicam alone and in combination with pharmaceutical excipients:A Technical Note”AAPS PharmSciTech , Vol. 9, No. 1, pp. 95−99 (2008)を参照のこと]。
【0076】
また別の手法では、近赤外線(NIR)分光法もまた、固体状態形態の混合物中の化合物1の結晶性形態(多形または偽多形形態(例えば、水和物)など)の同定または定量的分析、あるいは化合物1の多形または偽多形形態を含む固形製剤(例えば、錠剤)中の多形または偽多形形態の同定に使用され得る。
【0077】
種々の振動分光法方法によって調べたとき、化合物1の異なる結晶性形態のIRまたはラマンバンドに重複が、一部の場合において見られることがあり得るため、同定または定量には、個々の各成分に関する情報を抽出するためのデコンボルーション法が必要とされる。かかるデコンボルーション法としては、部分最小二乗回帰、主成分分析または他の方法論が挙げられる[一例については、Reich,G.“Near−infrared spectroscopy and imaging:Basic principles and pharmaceutical applications”Adv.Drug Deliv.Rev. Vol.57:pp.1109−43(2005)を参照のこと]。
【0078】
固体状態核磁気共鳴(SS−NMR)−化合物1の多形を特性評価するために任意選択で使用され得る判断手法としては、固体状態NMR手法が挙げられる[一例については、
Tishmack,P.A.ら“Solid−State Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy:Pharmaceutical Applications,”J.Pharm.Sci. Vol.92,No.3,pp.441−474(2003)を参照のこと]。この手法は、非破壊的で非侵襲であるという利点をもたらす。SS−NMR分光法は、ほとんどの医薬用賦形剤のNMR共鳴がNMRスペクトルの狭い範囲内で起こるため、一部の場合において、薬物製剤(化合物1を含むものなど)の試験に適している。
【0079】
また、SS−NMRは、化合物1を含む固形製剤の解析に適用され得、したがって、賦形剤の存在下で化合物1の異なる固体状態形態の検出に有用であり得る。化合物1の固体状態サンプルにおける非晶質化合物1の検出では、SS−NMRの検出限界は、スペクトル内の非晶質および結晶性形態のピークの相対位置に応じて、約10〜20%であることが期待される。なぜなら、非晶質ピークは、一般的に非常に広がっているためである。これは、XRPDとほぼ同じ検出限界である。さらに、NMR分光法は、本質的に定量的手法(すなわち、シグナル強度がその特定の共鳴周波数の核部位の数に相対的である)であるため、SS−NMR分光法により、化合物1の結晶性形態の寄与、または結晶性および非晶質化合物1のかかる形態の混合物中における寄与が測定され得る。
【0080】
熱量関連分析手順−化合物1の多形を特性評価するために任意選択で使用され得る判断手法としては、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)および融点測定が挙げられる。
【0081】
DTAおよびDSCでは、結晶性形態が、その結晶構造が変化したとき、または融解したときに熱を吸収または放出する熱転移温度が測定される。TGAは、試料の加熱に伴う重量変化をモニタリングすることにより、熱安定性および試料の揮発成分の割合を測定するために使用される。偽多形のTGA分析中に発生放出される揮発成分に対して赤外線分光法を行なうと(TGA−IR)、偽多形の分子組成が決定され得る。したがって、この手法は、溶媒和物および/または水和物として存在する固体状態形態の特性評価に有用である。
【0082】
DTAは、化合物1の固体状態形態の試験試料および不活性参照を同一条件下で加熱しながら、試料と参照間に温度差があれば記録することを伴う。
【0083】
DSCでは、同一加熱条件(regime)に供したときに試料と不活性参照間にほぼゼロの温度差を確立するために必要とされるエネルギーが測定される。
【0084】
DSCおよびDTAにおいて観測される熱転移温度は、典型的には10℃/分の温度スキャン速度を用いた連続解析において約2℃または±2℃以内であり、使用される温度スキャン速度によっては約1℃または±1℃以内であり得る(場合によっては、低いスキャン速度(5℃/分または1℃/分など)ほど、高い精度がもたらされる)。化合物1の試料が所与の値でDSC転移またはDTA転移を有する場合、これは、該試料のシャープな転移(シャープな吸熱ピークなど)について、該DSC転移またはDTA転移が、通常、約2℃または±2℃以内であることを意味する。広がった転移では、温度転移は、該転移のピークの中心(発熱転移の場合)または谷間(吸熱転移の場合)をいう。広がった転移、特に、脱水または脱溶媒和により生じる転移では、非常に幅広い転移に対して、10℃/分の温度スキャン速度を用いた連続的分析が、約3℃もしくは±3℃またはそれ以上で行なわれ得る。多形または偽多形形態などの異なる結晶性形態は、少なくとも一部において、DSCまたはDTAのサーモグラフの転移温度プロフィールの違いに基づいて同定され得る。
【0085】
熱量関連分析は、通常、10℃/分の温度スキャン速度で行なわれる。温度転移の重複が疑われる場合は、低いスキャン速度(5℃/分または1℃/分など)が使用され得る。したがって、試料が完全に融解する前の異なる、より安定な多形への多形形態の変化による転移の疑いが、低いスキャン速度を用いて認識され得る。完全な融解前に、熱力学的により安定な多形への動力学的に形成された多形の熱量関連分析中の転移は、転移が起こる時間を許容しない高いスキャン速度を用いて回避され得る。
【0086】
特性評価および同定方法のためのデータ取得
種々の図、表および実施例に示したデータは、下記の方法および計測器を用いて得た。
【0087】
粉末X線回折−XRPDパターンは、以下の方法の1つを用いて取得した。PANalytical X’Pert Pro回折計。Optix社製の長焦点微小焦点線源(long,fine−focus source)を用いてCu Kα放射線の入射光線を生成させた。楕円形の段階的多層の鏡を使用し、線源のCu KαX線を、被検物を通して検出器上に集中させた。光線停止およびヘリウム雰囲気を使用し、空気散乱によって生じるバックグラウンドを最小限にした。軸方向の発散を最小限にするため、入射光線および回折光線には、ソーラスリットを使用した。分析前、シリコン被検物(NIST SRM 640c)を分析して、Si 111ピーク位置を確認した。回折パターンは、被検物から240mmに配置した走査位置感受性検出器(X’Celerator)を用いて収集した。データは、X’Pert Pro Data Collectorソフトウェア(v.2.2b)を用いて収集し、解析した。被検物を3μm厚のフィルム間にサンドイッチし、透過による幾何学的構造解析において分析し、回転させて方位統計値を最適化した。
【0088】
また、XRPDパターンを、湾曲位置感受性検出器を備えたInel XRG−3000回折計を用い、120°の2θ範囲で収集した。Cu Kα放射線(40kV,30mA)の入射光線を使用し、0.03°2θの分解能(約4°の2θで開始)でデータをリアルタイムで収集した。モノクロメータースリットを160μmずつ5mmに設定した。分析前、シリコン標準(NIST SRM 640c)を分析し、Si 111ピーク位置を確認した。回折放射線は、ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器によって検出した。試料は300秒間解析した。分析用の試料は、薄壁ガラスキャピラリー内に充填することにより調製した。各キャピラリーをゴニオメータ頭部に載せ、データ取得の間、回転させた。
【0089】
また、XRPDパターンを、Shimadzu WRD−6000粉末X線回折計でも、Cu Kα放射線を用いて取得した。計測器には、長焦点微小焦点X線チューブおよび湾曲グラファイトモノクロメーターを取り付けた。チューブの電圧およびアンペア数は、それぞれ、40kVおよび40mAに設定した。発散および散乱スリットは1°に設定し、受光(receiving)スリットは0.15mmに設定した。分析前、シリコン標準(NIST SRM 640c)を分析してSi 111ピーク位置を確認した。回折放射線は、ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器によって検出した。データは、XRD−6100/7000ソフトウェア(v.5.0)を用いて収集し、解析した。分析用の試料は、シリコンゼロ−バックグラウンドホルダー内に入れることにより調製した。
【0090】
本明細書に示したX線回折パターンは、標識ピークおよび/またはピークリストを示した表を伴う。報告したピークデータは、ほとんどの状況において、約30°の2θまでの範囲内である。場合によっては、四捨五入アルゴリズムを使用し、データ収集に使用する計測器および/または固有ピーク分解能に応じて、各ピークを最も近い0.1°または0.01°の2θに四捨五入した。
【0091】
図および表において報告したピークのx軸に沿った位置(角度2θ)は、PATTERNMATCHTM2.4.0ソフトウェアにより自動的に測定されたものであり、上記の基準に基づき、小数点以下、1桁または2桁の有意な桁まで四捨五入した。ピーク位置の差異は、United States Pharmacopeia,USP 31,NF
26,Vol.1,p.374に示されたUSP discussion of variability in X−ray powder diffractionに概説された推奨に基づき、±0.1度の2θ以内で示す。d−空間リストでは、d−空間の計算に使用した波長を、Cu−Kα1波長とCu−Kα2波長の加重平均である1.541874Åとした[Phys.Rev. Vol.A56,No.6,pp.4554−4568(1997)]。d−空間の推定に伴う変動を各d−空間において、USP推奨から計算し、それぞれのデータテーブルに示す。
【0092】
示差走査熱量測定(DSC)−DSCは、TA Instruments Q2000示差走査熱量測定装置を用いて行なった。NIST追跡可能インジウム金属を使用し、温度較正を行なった。試料をアルミニウム製DSCパン内に入れ、重量を正確に記録した。このパンをレーザーピンホールを有する有孔蓋で覆い、この蓋を押し付けた。重量計測して蓋を押し付けたアルミニウム製パンをセルの参照側上に置いた。試料セルを25℃で平衡化し、一部の場合では−30℃まで冷却し、窒素パージ下、10℃/分の速度で最終温度300℃まで加熱した。インジウム金属を較正標準として使用した。報告した温度は転移極大におけるものである。非晶質物質のガラス転移温度(Tg)に関する試験では、試料を−20℃で平衡化し、次いで、窒素下、1℃/分の速度で160℃まで加熱した。Tgは、転移の変曲点を報告している。
【0093】
示差熱分析(DTA)−DTAは、Seiko SSC 5200 TG/DTA計測器を用いて同時に行なった。NIST追跡可能インジウム金属を使用し、温度較正を行なった。試料をアルミニウム製パン内に入れ、緩く蓋をし、重量を正確に記録した。試料セルを25℃で平衡化し、次いで、窒素パージ下、10℃/分の速度で最終温度300℃まで加熱した。報告した温度は転移極大におけるものである。
【0094】
熱重量分析(TGA)−TGAは、TA Instruments Q5000 IR熱重量分析装置を用いて、またはDTA/DSCをSeiko SSC 5200 TG/DTA 計測器を用いて同時に行なった。ニッケルおよびALUMELTMを用いて温度較正を行なった。各試料をアルミニウム/または/白金製パン内に入れた。このパンを蓋で密封シールし、TG炉内に挿入する直前にパンチング機構を用いて開放した。炉を窒素下、10℃/分の速度で最終温度350℃まで加熱した。
【0095】
熱重量−赤外線分光(TG−IR)分析−TG−IRは、Ever−Glo中/遠IR源、臭化カリウム(KBr)ビームスプリッターおよびテルル化水銀カドミウム(MCT−A)検出器を備えたMagna−IR 560TMフーリエ変換赤外(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)にインターフェース接続されたTA Instruments製の熱重量分析(TG)の分析装置2050型において行なった。FT−IR波長の確認はポリスチレンを用いて行ない、TGの較正標準はニッケルおよびAlumelTMとした。試料を白金試料パンに入れ、このパンをTG炉内に挿入した。まず、TG計測器を始動させ、直後にFT−IR計測器を始動させた。TG計測器は、ヘリウム流の下、バージおよび平静をそれぞれ90および10cc/分で操作した。炉は、窒素下、20℃/分の速度で250℃の最終温度まで加熱した。IRスペクトルは、ほぼ32秒ごとにほぼ13分間収集した。各IRスペクトルには、4cm−1のスペクトル分解能で収集される32同時スキャンを使用した。揮発性物質は、高分解能Nicolet Vapor Phaseスペクトルライブラリーの検索により同定した。
【0096】
FT−ラマン分光法−ラマンスペクトルは、ヒ化ガリウムインジウム(InGaAs)検出器を備えたNexus 670 FT−IR分光光度計(Thermo Nicolet)とインターフェース接続されたNexus 670 FT−ラマンアクセサリーモジュールにおいて取得した。波長の確認は、イオウおよびシクロヘキサンを用いて行なった。分析用の各試料は、試料をガラスチューブ内に入れ、このチューブを金コーティングチューブホルダー内に配置することにより調製した。ほぼ0.5WのNd:YVO4レーザーパワー(1064nm励起波長)を用いて試料に照射した。各スペクトルは、4cm−1のスペクトル分解能で収集された256個の画像を結合した(co−added)スキャンを使用した。
【0097】
また、ラマンスペクトルは、ヒ化ガリウムインジウム(InGaAs)検出器を備えたNexus 670 FT−IR分光光度計(Thermo Nicolet)とインターフェース接続されたNexus 670 FT−ラマンアクセサリーモジュールにおいて取得した。波長の確認は、イオウおよびシクロヘキサンを用いて行なった。分析用の各試料は、試料をガラスチューブ内に入れ、このチューブを金コーティングチューブホルダー内に配置することにより調製した。
【0098】
製剤−医薬活性成分として化合物1を含む製剤は、1種類以上の固体状態形態、典型的には1種類または2種類の固体状態形態の化合物1を有意な割合で有する。例示的な製剤は、1種類の固体状態形態の化合物1を少なくとも約60%または、通常、少なくとも約90%含むものである。製剤は、通常、化合物1の1種類以上の所与の固体状態形態を含み、他の固体状態形態を実質的に含まず、1種類以上の、典型的には1、2、3または4種類の賦形剤または担体を含む。他の製剤は、1種類以上、典型的には1種類または2種類の固体状態形態の化合物1を含むものであり得る。他の製剤は、一般的に、化合物1の1種類以上の固体状態形態(化合物1の非晶質形態、化合物1の結晶性I型もしくは結晶性III型またはその混合物など)を含む固形物、析出物、ゲル状物、懸濁液およびコロイドである。好ましい製剤は、単一の結晶性形態(I型が好ましい)が使用されたものである。ヒトでの使用のための好ましい経口単位投薬形態は、単位用量あたり約2mg、5mg、10mg、15mg、20mgまたは40mgの化合物1の固体状態形態を含むものであり、ヒトの慢性炎症状態の処置には単位用量あたり2mg、5mgおよび10mgが好ましく、ヒトの急性炎症状態の処置には単位用量あたり15mgおよび20mgが好ましい。
【0099】
固体状態の化合物1は、純粋な化合物として被検体に投与することが可能であるが、通常は、液状物を本質的に含まない固形製剤として、または頻度は少ないが固形懸濁剤として提示される。製剤は、典型的には、経口、口腔内または舌下投与のための投薬単位、例えば、錠剤、カプセル剤またはロゼンジ剤を調製するために使用される。あるいはまた、ある実施形態は、非経口(例えば、皮下、真皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内またはエーロゾル)投与のための製剤を含み、該製剤は、化合物1の固体状態形態(非晶質の化合物1、または化合物1の結晶性形態(例えば、I型)など)を、液状賦形剤(例えば、水、緩衝水溶液、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールまたはエタノールの任意の1種類、2種類、3種類またはそれ以上)と接触させ、任意選択で、該溶液を滅菌し、任意選択で、該溶液を、バイアルまたはアンプル(典型的には褐色ガラス製)(単回使用であっても反復使用であってもよい)内に分配し、任意選択で、該製剤を低温(約0〜12℃、または約2〜10℃)で保存する方法によって作製される。また、かかる製剤は、任意選択で経口投与のためにも使用され得、任意選択で、1種類以上の塩、バッファーまたは静菌剤または保存剤(例えば、NaCl、BHA、BHTもしくはEDTA)を含んでいてもよい。一部の場合において、表面活性剤が、懸濁剤に作用させるために使用されるか、または胃腸管への化合物1の固体状態形態(例えば、I型)の溶解を補助するために経口固形投薬形態中に組み込まれる。一般に、経口投与のための製剤が、ヒト治療適用用途に好ましく、固形経口製剤が特に好ましい。
【0100】
懸濁剤または液状賦形剤(1種類もしくは複数種)中の化合物1の固体形態に使用される表面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系およびアニオン系界面活性剤が挙げられる。好ましい界面活性剤の例としては、限定されないが、ラウリル硫酸、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリソルベート40およびポリソルベート80が挙げられる。
【0101】
一実施形態において、ラウリル硫酸ナトリウムが表面活性剤として、本明細書に開示した病状の処置における経口投与のための錠剤またはカプセル剤などの単位投薬形態に使用され、ここで、製剤は、他の化合物1の固体状態形態を本質的に含まない化合物1の結晶性I型と、表面活性剤を含み、任意選択で、1種類以上のさらなる賦形剤を含むものである。
【0102】
微粉化−化合物1の少なくとも1種類の結晶性形態と1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤を含む固形投薬形態の製剤中の化合物1の結晶性形態の溶解速度を改善するため、または化合物1の結晶性形態と液状賦形剤(1種類もしくは複数種)を含む経口もしくは非経口投与のための懸濁剤の懸濁性に作用させるため、該結晶性形態を、約0.01〜200μm、または約0.1〜100μmまたは好ましくは、約3〜50μmの体積加重平均粒径(Dv,50)または平均直径にミル処理してもよい。したがって、ミル処理された結晶性化合物1の体積加重平均粒径(Dv,50)または平均直径は、比較的小さくてもよく(例えば、約0.1〜1.0μm)、いくぶん大きくてもよい(例えば、約3〜100μm)。ミル処理された結晶性化合物1は、被検体への経口または非経口投与が意図される固形製剤および懸濁製剤の調製に適している。好ましくは、体積加重平均粒径(Dv,50)または平均直径は約5、約10、約15または約20ミクロンである。該粒径(Dv,90)は、典型的には約5ミクロン、約10、約15、約20、約25または約30ミクロンである。好ましい粒径は、≦10ミクロンの(Dv,90)または約7ミクロンの(Dv,90)を有する。
【0103】
微粉化方法としては、ボールミル、ピンミル、ジェットミル(例えば、流体エネルギージェットミル)によるミル処理、および磨砕、篩い分けならびに溶液からの化合物(1種類または複数種)の沈澱が挙げられ、例えば、米国特許第4,919,341号、同第5,202,129号、同第5,271,944号、同第5,424,077号および同第5,455,049号(これら全体は、引用により具体的に組み込まれる)を参照されたい。粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法、光学顕微鏡法、X線回折法および光散乱法またはコールターカウンター分析(例えば、“Characterization of Bulk Solids”D.McGlinchey編,Blackwell Publishing,2005参照)によって測定される。
【0104】
したがって、結晶性化合物1は、このような体積加重平均粒径または平均直径の粒径の1種類または2種類またはそれ以上を含む粉末を含むもの、または本質的に該粉末からなるものであり得、該粉末を固形賦形剤(1種類または複数種)(混合されたものであり得る)と接触させ、任意選択で圧縮または所望の形状に成形してもよい。あるいはまた、上記のようにして(a described above)粉末に形成された結晶性化合物1を、液状賦形剤(1種類または複数種)と接触させて液状製剤または液状組成物を調製し、これを固形製剤または懸濁剤に組み込む。したがって、好適な微粉化製剤としては、結晶性化合物1の水性または油性の懸濁剤が挙げられる。
【0105】
投与プロトコルまたは方法−本明細書に開示する任意の病状または症状の処置において、化合物1の結晶性または非晶質の形態を含む組成物または製剤は、該病状または症状に苦しんでいるか、または易罹患性である被検体に連続的に(毎日)投与してもよく、断続的に投与してもよく、好ましくはI型を含む製剤を投与する。
【0106】
本明細書に記載の経路によって、および他の標準的な治療用薬剤または処置との併用療法の使用によって投与される固体状態形態の化合物1の投薬量は、本明細書に開示した任意の疾患または病状に対して、本質的に上記のようにして適用され得る。したがって、固体状態形態の化合物1は、慢性の病状において予防的または治療的に投与され得るか、あるいは急性事象(処置対象の状態と関連する一時的な疼痛増強など)の時点またはその比較的直後に投与され得る。予防的投与は、事象、例えば、多発性硬化症、関節炎または喘息発赤の予測される発生率または重症度を低下させるために使用される。
【0107】
固体状態形態の調製方法
本実施例に記載の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態は、以下の方法の1つ以上を用いて取得した。
【0108】
高速エバポレーション(FE):化合物1の飽和溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて周囲温度で調製した。この溶液をきれいなバイアル内に濾過し、キャップを外して周囲条件下でエバポレーションさせた。
【0109】
非常に高速のエバポレーション(VFE):化合物1のエタノールの溶液を高温で調製した。この試料をきれいなペトリ皿内に濾過し、乾燥を助長するため、試料に窒素を吹き付けた。固形物を収集し、直ちに解析した。
【0110】
低速エバポレーション(SE):化合物1の飽和溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて周囲温度で調製した。この溶液をきれいなバイアル内に濾過し、これらのバイアルをアルミニウムホイルで覆った。このホイルに多数の小さい孔をあけ、周囲条件下でエバポレーションさせた。
【0111】
低速冷却(SC):化合物1の飽和溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて高温で調製した。この溶液を直ちに、温めたバイアル内に濾過した。バイアルを密封し、ゆっくりと放冷した。形成された固形物を真空濾過によって単離し、周囲条件下で乾燥させた。
【0112】
周囲温度または高温でのスラリー形成:化合物1の試料を、表5に示した種々の溶媒中にて、過剰の固形物が各バイアル内に存在するように調製した。この混合物を密閉バイアル内で、周囲温度または高温のいずれかで、オービタルシェイカーを用いて攪拌した。数日後、固形物を真空濾過によって単離し、周囲条件下で乾燥させた。
【0113】
クラッシュ冷却(CC):化合物1の飽和溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて、周囲温度または高温のいずれかで調製した。この試料に、急速に周囲温度以下に置くことにより温度衝撃を与えた。数分後、バイアルを沈澱について確認した。沈澱がない場合、バイアルを周囲温度以下で保存した。生じた固形物を真空濾過によって単離し、典型的には周囲温度で風乾させた。
【0114】
クラッシュ沈澱(CP):化合物1の溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて高温または周囲温度のいずれかで調製した。固形物形成を誘導させるための室温の抗溶媒を入れたバイアル内で、この溶液を急速に濾過した。数分後、バイアルを沈澱について確認した。沈澱がない場合、バイアルを周囲温度以下で保存した。生じた固形物を真空濾過によって単離し、典型的には周囲温度で風乾させた。
【0115】
液相気相拡散(LVD):化合物1の飽和溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて周囲温度で調製した。この溶液を、きれいなバイアル内に濾過し、キャップを外した状態で、拡散溶媒を入れたより大型のバイアル内に置いた。この大型のバイアルにキャップをし、周囲条件で数日間放置した。生じた固形物を真空濾過によって単離し、周囲温度で風乾させた。
【0116】
超音波処理:化合物1の超飽和溶液を周囲温度で調製した。この試料を、短時間のプローブ超音波処理(3mmプローブを有するCole−Parmer超音波処理装置)に供した。この試料にキャップをし、周囲温度で放置して核生成/固形物の生成を行なわせた。超音波処理後に形成された固形物を直ちに単離し、周囲条件下で乾燥させた。
【0117】
番号付けした実施形態。本発明のいくつかの態様および関連する主題としては、以下の番号付けした実施形態が挙げられる。
【0118】
1. 非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態。
【0119】
2. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、任意選択で、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。この実施形態において、I型の化合物1は、任意選択で、10.4、16.2、17.8および28.8度からなる群より選択される3つまたは4つの2θ値ならびに、任意選択で、12.6、15.1、16.7および27.3度からなる群より選択される1つ以上の2θ値を有する粉末X線回折パターンを特徴とする。I型の化合物1の記述的類型(description)の一例は、10.4、16.2、17.8および28.8度の2θ値を有し、任意選択で、15.0または27.3度の2θ値を有する。I型の化合物1の別の記述的類型は、10.4、16.2、17.8および28.8度の2θ値を有し、任意選択で、16.1および27.3度の2θ値を有する。I型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、16.2、17.8、28.8および15.1度の2θ値を有する。
【0120】
3. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、図1、図2または図3の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンならびに、任意選択で、図4の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムと実質的に同一の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを特徴とするI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。
【0121】
4. 図5のラマンスペクトルと実質的に同一のラマンスペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態1、2または3の固体状態形態。この実施形態において、I型の化合物1は、2993、2974、2947、2937、2887、2860および2843cm−1からなる群より選択される1つ、2つまたは3つのラマン吸収;任意選択で、2106、1674、1467および1437cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収、または744、712、683、484、471、457、438、247および226cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を示すことを特徴とする。I型の化合物1の記述的類型の一例は、2887、2106、1674、1437および712cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、247または226cm−1に吸収を示す。I型の化合物1の別の記述的類型は、2887、2106、1674、1437、712および683cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、484、471または457に吸収を示す。I型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、2106、1674、1437、712および683cm−1にラマン吸収を示し、任意選択で、1467cm−1に吸収を示す。
【0122】
5. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、任意選択で、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。この実施形態において、II型の化合物1は、任意選択で、2.5、5.0および7.6度からなる群より選択される1つ、2つまたは3つの2θ値、ならびに10.4、16.2、17.8および28.8度からなる群より選択される2つ以上の2θ値を有する粉末X線回折パターンを特徴とする。II型の化合物1の記述的類型の一例は、2.5、5.0および16.2度の2θ値を有し、任意選択で、10.4または28.8度の2θ値を有する。II型の化合物1の別の記述的類型は、2.5、16.2および28.8度の2θ値を有し、任意選択で、10.4または17.8度の2θ値を有する。II型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、2.5、5.0、10.4、16.2、17.8および28.8度の2θ値を有する。
【0123】
6. 該結晶性物質が、図6の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび、任意選択で、図7の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムと実質的に同一の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを特徴とするII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。
【0124】
7. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、任意選択で、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含まないIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。この実施形態において、III型の化合物1は、任意選択で、15.2、15.7、16.6度からなる群より選択される2つまたは3つの2θ値を有し、任意選択で、8.3、12.3、18.4および27.8度からなる群より選択される1つ以上の2θ値を有する粉末X線回折パターンを特徴とする。III型の化合物1の記述的類型の一例は、15.2、16.6および27.8度の2θ値を有し、任意選択で、8.3または12.3度の2θ値を有する。III型の化合物1の別の記述的類型は、15.2、16.6および27.8度の2θ値を有し、任意選択で、8.3または12.3度の2θ値を有する。III型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、15.2、15.7、16.6および27.8度の2θ値を有する。
【0125】
8. 該結晶性物質が、図11の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび、任意選択で、図12の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムと実質的に同一の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを特徴とするIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。
【0126】
9. 図13のラマンスペクトルと実質的に同一のラマンスペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態1、8または9の固体状態形態。この実施形態において、III型の化合物1は、2985、2966、2950、2933、2893、2853および2833cm−1からなる群より選択される1つ、2つまたは3つのラマン吸収;任意選択で、2108、1666、1469および1437cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収、または711、681、457、436、251および224cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を有することを特徴とする。III型の化合物1の記述的類型の一例は、2950、2934、2108、1666、1437および711cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、250または224cm−1に吸収を示す。III型の化合物1の別の記述的類型は、2985、2950、2108、1437、1666、711および681cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、457または436cm−1に吸収を示す。III型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、2108、1666、1437、712および681cm−1にラマン吸収を示し、任意選択で、1469cm−1に吸収を示す。
【0127】
10. 該結晶性物質が、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、任意選択で、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。この実施形態において、IV型の化合物1は、任意選択で、15.1、15.7、16.6度からなる群より選択される2つまたは3つの2θ値、任意選択で、8.3、10.3、12.3、16.6および27.8度からなる群より選択される1つ以上の2θ値を有する粉末X線回折パターンを特徴とする。IV型の化合物1の記述的類型の一例は、15.1、16.6および27.8度の2θ値を有し、任意選択で、8.3または12.3度の2θ値を有する。IV型の化合物1の別の記述的類型は、15.7、16.6および27.8度の2θ値を有し、任意選択で、8.3、12.3または16.6度の2θ値を有する。IV型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、8.3、15.1、15.7、16.6および27.8度の2θ値を有する。
【0128】
11. 図14の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび、任意選択で、図15の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムと実質的に同一の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを特徴とするIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。
【0129】
12. 図16のラマンスペクトルと実質的に同一のラマンスペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態1、10または11の固体状態形態。この実施形態において、IV型の化合物1は、2985、2966、2950、2933、2891、2858および2833cm−1からなる群より選択される1つ、2つまたは3つのラマン吸収;任意選択で、2108、1666、1469および1437cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収、または711、681、467、457、436および224cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を示すことを特徴とする。IV型の化合物1の記述的類型の一例は、2950、2933、2108、1666、1437および711cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、1469または457cm−1に吸収(absorbtion)を有する。IV型の化合物1の別の記述的類型は、2985、2950、2108、1666、1437、711および681cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、467または457cm−1に吸収を示す。IV型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、2108、1666、1437、711および681cm−1にラマン吸収を示し、任意選択で、1469cm−1に吸収を示す。
【0130】
13. 結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである17−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態。
【0131】
14. 結晶性17−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、任意選択で、図17の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび、任意選択で、図18に示された可逆的熱流と実質的に同一の変調型示差走査熱量測定サーモグラムにおける可逆的熱流を特徴とする実施形態13の固体状態形態。
【0132】
15. 図19のラマンスペクトルと実質的に同一のラマンスペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態13または14の固体状態形態。この実施形態において、非晶質の化合物1は、2972、2937、2889および2858cm−1に1つ、2つまたは3つのラマン吸収;任意選択で、2106、1674および1439cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を示すこと、または748、684、484、470、436および226cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を特徴とする。非晶質の化合物1の一つの記載は、2972、2106、1674、1439および684cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、226cm−1に吸収を示す。非晶質の化合物1の別の記載は、2937、2106、1674、1439、748および684cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、484、470または436に吸収を示す。非晶質の化合物1の別の記載は、2106、1674、1439および684cm−1にラマン吸収を示し、任意選択で、748cm−1に吸収を示す。
【0133】
16. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態、および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤。
【0134】
17. 前記少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤がドデシル硫酸ナトリウムである実施形態16の製剤。
【0135】
18. 薬学的に許容され得る賦形剤がドデシル硫酸ナトリウム、微晶質セルロースおよびステアリン酸マグネシウムである実施形態16の製剤。
【0136】
19. 固体状態形態が結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態16、17または18の製剤。
【0137】
20. 結晶性形態が非晶質の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態19の製剤。
【0138】
21. 結晶性形態が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない結晶性I型である実施形態20の製剤。
【0139】
22. 固体状態形態が非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態16、17または18の製剤。
【0140】
23. 非晶質形態が結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態22の製剤。
【0141】
24.処置の必要があるヒトまたは哺乳動物に、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤の有効量を投与することを含む、炎症状態の処置方法。
【0142】
25. 炎症状態が腸の炎症状態である実施形態24の方法。
【0143】
26. 炎症状態が肺の炎症状態である実施形態24の方法。
【0144】
27. 肺の炎症状態が嚢胞性線維症、喘息、気管支炎または慢性閉塞性肺疾患である実施形態26の方法。
【0145】
28. 処置の必要があるヒトまたは哺乳動物に、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤の有効量を投与することを含む、メタボリックシンドローム、グルコース寛容減損(糖尿病前症)または高血糖状態の処置方法。このような実施形態において、メタボリックシンドロームを有する患者は、通常、以下の5つの状態:高血圧、腹部肥満(成人男性で臍の高さの腹囲が少なくとも102cm、および成人女性で臍の高さの腹囲が少なくとも88cm)、低HDLコレステロール(成人男性で40mg/dL未満、および成人女性で50mg/dL未満)、高血清トリグリセリド(少なくとも150mg/dL)ならびに高空腹時血漿グルコース(少なくとも100mg/dL)の3つ以上を有する患者であると特性評価される。グルコース寛容減損を有する患者は、典型的には、100mg/dL〜125mg/dLの空腹時血漿グルコースレベル、および/または140〜200の食後グルコースレベル(これは、通常、経口耐糖能試験において、75gの無水グルコースを摂取した2時間後に測定される)を有する患者であると特性評価される。グルコース寛容減損を有する患者は、食後グルコースが140〜200mg/dLである場合、典型的には糖尿病前症であるとみなされる。空腹時グルコース減損およびグルコース寛容減損により、個体は、経時的に顕性真性糖尿病を発症するリスクがあると認定される。好ましい実施形態において、該処置方法はグルコース寛容減損の処置のためのものである。他の好ましい実施形態において、該処置方法は高血糖の処置のためのものである。
【0146】
29. 高血糖状態が1型糖尿病または2型糖尿病である実施形態28の方法。処置され得る糖尿病を有する患者は、典型的には少なくとも126mg/dLの空腹時血漿グルコースレベル、および/または少なくとも200mg/dLの食後グルコースレベルを有する患者であると特性評価される。好ましい実施形態において、高血糖状態は2型糖尿病である。
【0147】
30. 処置の必要があるヒトまたは哺乳動物に、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤の有効量を投与することを含む、過剰増殖状態に関連する炎症の処置方法。
【0148】
31. 過剰増殖状態が乳癌、前立腺癌または良性前立腺肥大である実施形態30の方法。
【0149】
32. 処置の必要があるヒトまたは哺乳動物に、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤の有効量を投与することを含む、神経変性状態の処置方法。
【0150】
33. 神経変性状態がアルツハイマー病、パーキンソン病または筋萎縮性側索硬化症である実施形態32の方法。
【0151】
34. 処置の必要があるヒトまたは哺乳動物に、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤の有効量を投与することを含む、自己免疫状態の処置方法。
【0152】
35. 自己免疫状態が多発性硬化症、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病、橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデスまたは視神経炎である実施形態34の方法 。
【0153】
36. 固体状態形態がI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態24〜35のいずれか1つの方法。このような実施形態において、I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、例えば、(a)実施形態25、29もしくは30の方法または(b)実施形態35もしくは36の方法で使用される場合、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まないものであり得る。
【0154】
37. 固体状態形態がI型、II型、III型もしくはIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールまたはその混合物であり、かつ非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態24〜35のいずれか1つの方法。このような実施形態において、I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、例えば、(a)実施形態25、29もしくは30の方法または(b)実施形態35もしくは36の方法で使用される場合、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まないものであり得る。
【0155】
38. 固体状態形態が非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態24〜35のいずれか1つの方法。
【0156】
39. 固体状態形態が非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールであり、かつ結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態24〜35のいずれか1つの方法。
【0157】
固体状態形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールに関する本発明の他の実施形態としては、以下の番号付けした実施形態が挙げられる。
【0158】
1A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態。
【0159】
2A. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの1種類以上の結晶性形態である実施形態1Aの固体状態形態。
【0160】
3A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの多形または偽多形である実施形態1Aの固体状態形態。
【0161】
4A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの多形または偽多形が、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態1Aの固体状態形態。
【0162】
5A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態であり、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態1Aの固体状態形態。
【0163】
6A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含むメタノール−水のスラリーから、本質的に実施例1に記載のようにして得られる実施形態1Aの固体状態形態。
【0164】
7A. メタノール−水溶液から、本質的に実施例2に記載のようにして得られる実施形態1Aの固体状態形態。
【0165】
8A. 微粉化によって、本質的に実施例3に記載のようにして調製される実施形態1Aの固体状態形態。
【0166】
9A. テトラヒドロフラン−メタノール溶液から、本質的に実施例4に記載のようにして得られる実施形態1Aの固体状態形態。
【0167】
10A. (a)10.41±0.1、16.20±0.1および17.85±0.1度の2θ値ならびに、任意選択で、12.68±0.1、15.12±0.1、16.72±0.1および20.91±0.1度の1つ以上の2θ値を有する粉末X線パターンおよび、任意選択で、(b)10℃/分の加熱速度で得られた、約266℃に顕著な吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(約259℃で開始)または(c)10℃/分の加熱速度で得られた、約30℃から約200℃までで無視できる重量減損もしくは≦0.5%の重量減損を示すTGAサーモグラムを有することを特徴とする、または(a)と(b)もしくは(a)と(b)と(c)を特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0168】
11A. 図1、図2または図3の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とし、任意選択で、図4のDSC−TGAサーモグラムを有する実施形態4Aの固体状態形態。
【0169】
12A. 図5Aもしくは図5Bと実質的に同一のラマンスペクトル、または約2106および1674cm−1のピーク位置に吸収を示す、任意選択で、2947、2887、976、507、484、470、370、301、247および226cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態4A、10Aまたは11Aの固体状態形態。
【0170】
13A. 図6Aまたは図6Bの形態構造を有する結晶を特徴またはさらなる特徴とする実施形態4A、10Aまたは11Aの固体状態形態。
【0171】
14A. (a)2.5、5.0、16.22±0.1度の2θ値および、任意選択で、7.6、10.40、12.66、14.36、15.08、16.73、17.75および18.29±0.1の1つ以上の2θ値を有する粉末X線パターンならびに、任意選択で、(b)約266℃に顕著な吸熱を示すDSCサーモグラム(約259℃で開始)、または(c)10℃/分の加熱速度で得られた、約30℃から約200℃までで無視できる重量減損もしくは≦0.5%の重量減損を示すTGAサーモグラムを特徴とする、または(a)と(b)もしくは(a)と(b)と(c)を特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0172】
15A. 図7の粉末X線回折パターンおよび図8のDSC−TGAサーモグラムと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0173】
16A. (a)15.25、15.64および16.60±0.1度の2θ値ならびに、任意選択で、8.35、12.31、18.25、20.08および27.82±0.1度からなる群より選択される1つ以上の2θ値を有する粉末X線パターンおよび、任意選択で、(b)約266℃に顕著でシャープな吸熱(約258℃で開始)および約105℃が中心である広がった顕著な吸熱を示し、任意選択で、約1.7℃に吸熱を示すDSCサーモグラムを有すること、または(c)10℃/分の加熱速度で得られた、約20℃から約100℃までで約9.6%の重量減損を示すTGAサーモグラムを特徴とする、または(a)と(b)もしくは(a)と(b)と(c)を特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0174】
17A. 図11の粉末X線回折パターンおよび図12のDSC−TGAサーモグラムと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0175】
18A. 図13Aもしくは図13Bと実質的に同一のラマンスペクトル、または約2108および1666cm−1のピーク位置に吸収を示し、任意選択で、2950、2933、1469、983、681、654、517、380、251および224cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態4A、16Aまたは17Aの固体状態形態。
【0176】
19A. (a)15.24、15.66および16.62±0.1からなる群より選択される2つ以上の2θ値を有し、任意選択で、8.34、10.50、12.30、16.23および27.78±0.1の1つ以上の2θ値を有する粉末X線パターンならびに、任意選択で、(b)約266℃に顕著でシャープな吸熱(約257℃で開始)および約98℃が中心である広がった吸熱を示し、任意選択で、約79℃または約88℃におけるシャープな吸熱を示すDSCサーモグラムを有すること、(c)10℃/分の加熱速度で得られた、約20℃から約110℃までで約9.0または約9.7wt%の重量減損を示すTGAサーモグラムを特徴とする、または(a)と(b)もしくは(a)と(b)と(c)を特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0177】
20A. 図14の粉末X線回折パターンおよび図15のDSC−TGAサーモグラムと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0178】
21A. 図16Aと実質的に同一のラマンスペクトル、または約2108および1666cm−1のピーク位置に吸収を示し、任意選択で、2950、2933、1469、983、681、654、577、467、380、251および224cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態4A、19Aまたは20Aの固体状態形態。
【0179】
22A. 図17の粉末X線回折パターンおよび図18の変調型DSCサーモグラムと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする実施形態1Aの固体状態形態。
【0180】
23A. 図19Aもしくは図19Bと実質的に同一のラマンスペクトル、または約2105および1673cm−1のピーク位置に吸収を示す;任意選択で、2972、2937、684、538、484、470、372および226cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有するラマンスペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態1Aまたは23Aの固体状態形態。
【0181】
25A. 結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1Aの固体状態形態。
【0182】
26A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む、またはこれらから調製される製剤。
【0183】
27A. 固体状態形態が、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの1種類以上の結晶性形態である実施形態26Aの製剤。
【0184】
28A. 前記結晶性形態のうちの1種類は、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの多形または偽多形形態であり、非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態27Aの製剤。
【0185】
29A. 前記結晶性形態のうちの1種類は、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの多形または偽多形形態であり、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態27Aの製剤。
【0186】
30A. 固体状態形態が、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの単一の結晶性形態である実施形態27Aの製剤。
【0187】
31A. 前記単一の結晶性形態のうちの1種類が無水物である実施形態30Aの製剤。
【0188】
32A. 該単一の結晶性形態がI型である実施形態30Aの製剤。
【0189】
33A. 前記結晶性形態のうちの1種類が、任意選択で結晶性III型およびIV型からなる群より選択される偽多形である実施形態28Aまたは29Aの製剤。
【0190】
34A. 前記結晶性形態のうちの1種類が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない、または本質的に含まないI型である実施形態28Aまたは29Aの製剤。
【0191】
35A. 結晶性形態が結晶性I型であるか、または結晶性I型で構成されている実施形態27A、28Aまたは29Aの製剤。
【0192】
36A. 結晶性形態が結晶性III型であるか、または結晶性III型で構成されている実施形態27A、28Aまたは29Aの製剤。
【0193】
37A. 結晶性形態がIV型であるか、またはIV型で構成されている実施形態27A、28Aまたは29Aの製剤。
【0194】
38A. 固体状態形態が非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態26Aの製剤。
【0195】
39A. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態38Aの製剤。
【0196】
40A. 固形製剤である実施形態26A〜33A、38A、39Aいずれか1つの製剤。
【0197】
41A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態から調製される液状製剤である実施形態26A〜33A、38A、39Aいずれか1つの製剤。
【0198】
42A. 非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む実施形態40Aの製剤。
【0199】
43A. 結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む実施形態40Aの製剤。
【0200】
44A. 非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールから調製される実施形態41Aの製剤。
【0201】
45A. 結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールから調製される実施形態41Aの製剤。
【0202】
46A. 固形製剤が経口投与のためのものである実施形態40Aの製剤。
【0203】
47A. 前記少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤が、30分後に周囲温度の水中に製剤の90%溶解がもたらされるのに充分な量の表面活性剤である実施形態46Aの製剤。
【0204】
48A. 表面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである実施形態47Aの製剤。
【0205】
49A. 薬学的に許容され得る賦形剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、微晶質セルロースおよびステアリン酸マグネシウムで構成されている46Aの製剤。
【0206】
50A. 薬学的に許容され得る賦形剤が本質的に、表14または表15に示す17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態に対する相対量のラウリル硫酸ナトリウム、微晶質セルロースおよびステアリン酸マグネシウムからなる実施形態46A(any one of)の製剤。
【0207】
51A. 実施形態26A〜33A、38A、39Aいずれか1つの製剤、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態を含む経口投薬形態。
【0208】
52A. 錠剤またはカプセル剤である実施形態51の経口投薬形態。
【0209】
53A. 処置の必要がある被検体に、固体状態形態にて、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む固形製剤にて17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの有効量を投与することを含む、高血糖状態の処置方法。
【0210】
54A. 固体状態形態が、非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態である実施形態53Aの方法。
【0211】
55A. 固体状態形態が、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない、または実質的に含まない17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの多形または偽多形形態である実施形態53Aの方法。
【0212】
56A. 多形形態が結晶性I型である実施形態55Aの方法。
【0213】
57A. 高血糖状態が2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである実施形態53A〜56Aいずれか1つの方法。
【0214】
58A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態を、1、2、3または4種類の他の薬学的に許容され得る賦形剤とブレンドする工程を含む、固形製剤の調製方法。
【0215】
59A. 固体状態形態が結晶性I型である実施形態58Aの方法。
【0216】
60A. 固体状態形態が非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態58Aの方法。
【0217】
61A. 賦形剤のうち1種類がラウリル硫酸ナトリウムである実施形態58Aの方法。
【0218】
62A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび薬学的に許容され得る賦形剤を含み、少なくとも1種類の賦形剤が液状賦形剤である液状製剤の調製方法であって、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態を液状賦形剤と、任意選択で別の賦形剤の存在下で接触させるか、または混合する工程を含む、液状製剤の調製方法。
【0219】
63A. 固体状態形態が結晶性I型である実施形態62Aの方法。
【0220】
64A. 固体状態形態が非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態62Aの方法。
【0221】
65A. 処置の必要がある被検体に、実施形態62Aの方法に従って調製される液状製剤にて17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの有効量を投与することを含む、高血糖状態の処置方法。
【0222】
66A. 高血糖状態が2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである実施形態65Aの方法。
【0223】
67A. 本質的に実施例1に従う方法によって調製される17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態である製品。
【0224】
68A. (a)17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを、容量基準で75:25のメタノール:水中でスラリーにする工程;(b)工程(a)で得られた固形物を真空下(約28inHg)、約45℃で約0.5%の乾燥減量まで乾燥させる工程を含む方法によって調製される17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態である製品。
【0225】
69A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールと重量基準で10:1のメタノール:水との混合物を、メタノールが寄与する初期容量の約50%減少のための雰囲気圧での蒸留中、該混合物の容量が維持されるのに充分な水を添加する工程(ここで、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、初期の総容量に対して約4〜5重量%で存在させる)を含む方法によって調製される17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態である製品。
【0226】
70A. 該方法が、さらに、該溶液を約0〜5℃の最終温度に冷却する工程、および最終温度で約1時間保持する工程を含む実施形態69Aの製品。
【0227】
71A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのテトラヒドロフラン:メタノール(約5:1〜10:1の容量比)の溶液の容量を50%減少させる工程(ここで、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、溶液の初期容量に対して約5〜10%の重量/容量割合で存在させる)を含む方法によって調製される製品。
【0228】
72A. 水に対するテトラヒドロフランの容量比が約6.5:1であり、初期溶媒容量に対する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの重量/容量割合が約7.5%である実施形態71Aの製品。
【0229】
結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールに関する本発明のさらなる態様としては、以下の番号付けした実施形態が挙げられる。
【0230】
1B. 結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0231】
2B. 偽多形、多形またはその混合物である実施形態1Bの結晶性形態。
【0232】
3B. 偽多形が溶媒和物である実施形態2Bの結晶性形態。
【0233】
4B. 本質的に17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよびアルコール、水和水またはその混合物からなる偽多形である実施形態2Bの結晶性形態。
【0234】
5B. アルコールがエタノールまたはメタノールである実施形態4Bの結晶性形態。
【0235】
6B. 偽多形が、C21H30O3・1CH3OH、C21H30O3・0.5CH3OH・0.5H2O、C21H30O3・1H2OまたはC21H30O3・2H2Oの分子式を特徴とする単一の偽多形である実施形態4Bの結晶性形態。
【0236】
7B. 溶媒和物が水和物である実施形態3Bの結晶性形態。
【0237】
8B. 水和物が、C21H30O3・2H2Oの分子式を有する二水和物である
実施形態7Bの結晶性形態。
【0238】
9B. 偽多形が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、10℃/分の温度傾斜(ramp)を用いて得られた約20℃から約110℃までで約9〜10%の重量減損を示す熱重量分析サーモグラムを有する実施形態3B、7Bまたは8Bの結晶性形態。
【0239】
10B. 偽多形が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、かつ10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約20℃から約110℃までで約9.0%〜約9.7%の重量減損を示す熱重量分析サーモグラムを有する単一の多形である実施形態3B、7Bまたは8Bの結晶性形態。
【0240】
11B. 単一の偽多形が、メタノールまたはエタノールを含む溶媒和物である実施形態3Bの結晶性形態。
【0241】
12B. 偽多形が、水和水を含む溶媒和物である実施形態3Bの結晶性形態。
【0242】
13B. 偽多形が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、かつ図12に示されたものと本質的に同一の熱重量分析サーモグラムを有する単一の偽多形である実施形態4Bの結晶性形態。
【0243】
14B. 単一の偽多形が結晶性III型である実施形態13Bの結晶性形態。
【0244】
15B. 偽多形が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、図15に示されたものと本質的に同一の熱重量分析サーモグラムを有する単一の偽多形である実施形態4Bの結晶性形態。
【0245】
16B. 単一の偽多形が結晶性IV型である実施形態15Bの結晶性形態。
【0246】
17B. 無水物である実施形態1Bの結晶性形態。
【0247】
18B. 無水物が、結晶性III型、IV型またはその混合物の完全な脱溶媒和工程を含む方法で調製される生成物である実施形態17Bの結晶性形態。
【0248】
19B. 無水物が、結晶性I型であるか、または結晶性I型で構成されている実施形態17Bの結晶性形態。
【0249】
20B. 無水物が、結晶性II型であるか、または結晶性II型で構成されている実施形態17Bの結晶性形態。
【0250】
21B. 表1A、表1Bまたは表4の1つ以上、典型的には2、3または4つの顕著なXRPDピーク;任意選択で、10℃/分の温度傾斜を用いて示差走査熱量測定によって得られた約266℃に顕著な吸熱、または10℃/分の温度傾斜を用いて熱重量分析(TGA)によって測定した場合、約20℃から約100℃まで加熱したとき、無視できる重量減損を有することを特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0251】
22B. 表1A、表1Bまたは表4の1つ以上、典型的には2、3または4つの顕著なXRPDピーク;任意選択で、解放型キャピラリー管内で測定したとき約256℃の見かけの融点を有することを特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0252】
23B. 表6の1つ以上、典型的には2、3または4つの顕著なXRPDピーク;任意選択で、10℃/分の温度傾斜を用いて示差走査熱量測定によって得られたサーモグラムに約259℃に顕著な吸熱を有することを特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0253】
24B. 表9の1つ以上、典型的には2、3または4つの顕著なXRPDピーク;任意選択で、10℃/分の温度傾斜を用いて示差走査熱量測定によって得られたサーモグラムに約266℃に顕著な吸熱、もしくは約105℃が中心である広がった吸熱、または10℃/分の温度傾斜を用いて熱重量分析(TGA)によって測定した場合、約20℃から約100℃まで加熱したとき約9.5%の重量減損を有することを特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0254】
25B. 表11の1つ以上、典型的には2、3または4つの顕著なXRPDピーク;任意選択で、10℃/分の温度傾斜を用いて示差走査熱量測定によって得られたサーモグラムに約266℃に顕著な吸熱、または10℃/分の温度傾斜を用いて熱重量分析(TGA)によって測定した場合、約30℃から100℃まで加熱したとき約9.0%もしくは約9.7%の減損を有することを特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0255】
26B. 図2のXRPDパターンから計算されるペアワイズ分布関数を特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0256】
27B. 図5Bのラマンスペクトルに1つ以上の顕著な吸収、典型的には1つ、2つまたは3つの顕著な吸収を特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0257】
28B. 図13Bのラマンスペクトルに1つ以上の顕著な吸収、典型的には1つ、2つもしくは3つの吸収を特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0258】
結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールに関する本発明のさらなる態様としては、以下の番号付けした実施形態が挙げられる。
【0259】
1C. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0260】
2C. 任意選択でXRPD、DSC、TGA、TGA−IR分析、融点、ラマン分光法、カール・フィッシャーおよび/または元素分析などの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態1Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態としては、無水物、水和物および溶媒和物(水−溶媒の混合型溶媒和物を含む)が挙げられる。このような実施形態において、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、典型的には、および好ましくは、含まれる該非晶質物質が、約10%w/w未満または約7%w/w未満である。
【0261】
3C. III型結晶としての実施形態2Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのこの形態は、水和水を含む溶媒和物である物質であり、典型的には、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない。
【0262】
4C. 任意選択でXRPD、DSC、TGA、TG−IR分析、融点またはラマン分光法などの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、含まれる他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約10%w/w未満または約7%w/w未満である実施形態3Cの結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0263】
5C. (1)15.64±0.1および16.60±0.1度の2θの顕著なピークを有し、15.25±0.1および27.82±0.1度の2θの任意選択の顕著なピークを有するXRPDパターンを有し;任意選択で、(2)約258℃での開始を示すシャープな吸熱および約105℃が中心である広がった吸熱を示すDTAまたはDSCのサーモグラムならびに(3)10℃/分の温度傾斜を用いて約19℃から約100℃までで約9.6%の重量減損を示すTGAサーモグラムを有する実施形態4Cの結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0264】
6C. 図13Bの1つ、2つもしくは3つの顕著なピークを有するラマンスペクトルまたは図13Bに示されたものと実質的に同一のラマンスペクトルを有する実施形態4Cまたは5Cの結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0265】
7C. IV型結晶としての実施形態2Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのこの形態は、メタノールを含む溶媒和物であり、典型的には、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない。
【0266】
8C. 任意選択でXRPD、DSC、TGA、TGA−IR、融点またはラマン分光法などの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、含まれる他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約10%w/w未満または約7%w/w未満である実施形態7Cの結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0267】
9C. (1)15.66±0.1および16.62±0.1度の2θに顕著なピークを有し、8.34±0.1および15.24±0.1度の2θに任意選択の顕著なピークを有するXRPDパターンを有し;任意選択で、(2)約257℃〜258℃に開始を示すシャープな吸熱および約98℃が中心である広がった吸熱を示すDTAまたはDSCのサーモグラムならびに(3)10℃/分の温度傾斜を用いて約17℃から約110℃までで約9.7%の減損を示すTGAサーモグラムを有する実施形態7Cの結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0268】
10C. (1)15.66±0.1および16.62±0.1度の2θに顕著なピークを有し、8.34±0.1および15.24±0.1度の2θに任意選択の顕著なピークを有するXRPDパターンを有し;任意選択で、(2)約257℃〜258℃に開始を示すシャープな吸熱を示すDTAまたはDSCのサーモグラム、ならびに10℃/分の温度傾斜を用いて約30℃から約100℃までで約9%の減損を示すTGAサーモグラムを有する実施形態7Cの結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0269】
11C. 図19Bの1つ、2つもしくは3つの顕著なピークを有するラマントレース、または図19Bに示されたものと実質的に同一のラマントレースを有する実施形態8C、9Cまたは10Cの結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0270】
12C. 高血糖状態または自己免疫状態を有するヒトなどのヒトへの5mg、10mg、15mg、20mgまたは50mgの単位経口用量の1日1回またはまたは1日2回の投与に適当であるのに充分な結晶性材料のバイオアベイラビリティを特徴とする実施形態2Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0271】
13C. 65℃および75%相対湿度での少なくとも6ヶ月間の保存に対して充分な安定性であって、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの分解における分解生成物への変化が約5%w/w未満であること、または別の固体状態形態への変換が約5%w/w未満であることを特徴とする充分な安定性を特徴とする実施形態12Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0272】
14C. I型であるか、またはI型で構成されている実施形態13Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0273】
15C. I型結晶としての実施形態2Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのこの形態は無水物であり、カール・フィッシャー滴定および/または元素分析および/またはTG−IR分析などの本明細書に記載の分析方法によって測定したとき溶媒を含まず、好ましい実施形態において、任意選択でXRPD、DSC/DTA、TGA、ラマン分光法または固体状態NMR分光法などの本明細書に記載の分析方法によって測定したとき、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない。
【0274】
16C. 任意選択でXRPD、DSC/DTA、TGA、ラマン分光法または固体状態NMR分光法などの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、含まれる他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約10%w/w未満または約7%w/w未満である実施形態14Cの結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0275】
17C. 16.2±0.1、16.7±0.1および17.8±0.1度の2θに顕著なピークならびに10.4±0.1、12.6±0.1、15.1±0.1度の2θに任意選択の顕著なピークを有するXRPDパターンを有し;任意選択で、(2)約258℃に開始を示す吸熱を示すDTAまたはDSCのサーモグラム、および10℃/分の温度傾斜を用いて約30℃〜約100℃の温度範囲に無視できるwt%減損を示すTGAサーモグラムを有する実施形態16Cの結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0276】
18C. 結晶が、タブレット型または針状型の形態構造を有する、実施形態17Cの結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0277】
19C. 図5の1つ、2つもしくは3つの顕著なピークを有するラマントレースまたは図5Bに示されたものと実質的に同一のラマントレースを有する実施形態16Cまたは17Cの結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0278】
20C. II型であるか、またはII型で構成されている実施形態12Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0279】
21C. II型結晶としての実施形態2Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのこの形態は、カール・フィッシャー滴定および/または元素分析および/またはTGAなどの本明細書に記載の分析方法によって測定したとき無水物であり、好ましい実施形態において、任意選択でXRPD、DSC/DTA、TGA、ラマン分光法または固体状態NMR分光法などの本明細書に記載の分析方法によって測定したとき、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない。
【0280】
22C. 任意選択でXRPD、DSC/DTA、TGA、ラマン分光法または固体状態NMR分光法などの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、含まれる他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約10%w/w未満または約7%w/w未満である実施形態21Cの結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0281】
23C. 2.5±0.1、5.0±0.1および16.2±0.1度の2θに顕著なピークを有し;任意選択で、7.6±0.1、10.4±0.1、17.8±0.1度の2θに顕著なピークを有するXRPDパターンを有し、(2)266℃にシャープな吸熱を示すDTAまたはDSCのサーモグラム、および10℃/分の温度傾斜を用いて約30℃〜約100℃の温度範囲に無視できるwt%減損を示すTGAサーモグラムを有する実施形態21Cの結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0282】
24C. 高血糖状態または自己免疫状態の処置または予防のための医薬の調製のための、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用、または1種類以上の賦形剤および結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む組成物の使用。このような実施形態において、結晶性のI型またはIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用が好ましく、I型が最も好ましい。このような使用において、検知可能な量の2種類の結晶形を存在させてもよいが、好ましくは1種類のみの結晶性形態を存在させ、例えば、単一の結晶形は、存在する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wまたは少なくとも約93%w/wを構成する。
【0283】
25C. 自己免疫状態が1型糖尿病、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎または橋本甲状腺炎であり、高血糖状態が、2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである実施形態24Cによる使用。
【0284】
26C. 任意選択でXRPD、DSC/DTA、TGA、TGA−IR、ラマン分光法および/または固体状態NMRなどの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態25Cによる使用。
【0285】
27C. (i)17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水、メタノール−テトラヒドロフランもしくはアセトンの溶液の容量を、任意選択で真空下および/または約35℃〜約70℃での加熱により減少させる工程または(ii)17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水の溶液からメタノールを、水の添加と同時の蒸留によって除去する工程、ここで、該溶液の初期容量は実質的に維持される、または(iii)17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのエタノール溶液からエタノールを、エバポレーションによって、任意選択で真空下および/または約35℃〜約80℃での加熱により除去する工程、または(iv)17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールをイソプロパノールまたはメチルエチルケトン中でスラリーにするか、もしくは混合する工程または(v)エタノール溶液中の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを水で、任意選択で約0℃〜約35℃の温度で析出させる工程、または(vi)17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−クロロホルムの容量を、任意選択で真空下および/または約35℃から約65℃での加熱により減少させる工程を含む、結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0286】
非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールに関する本発明のさらなる態様としては、以下の番号付けした実施形態が挙げられる。
【0287】
1D. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0288】
2D. XRPD分析によって測定したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでおらず、任意選択で、結晶性I型および/またはII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでいない実施形態1Dの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0289】
3D. XRPD分析によって測定したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでおらず、任意選択で、結晶性I型を実質的に含んでいない実施形態1Dの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0290】
4D. XRPD分析によって測定したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでおらず、任意選択で、結晶性I型およびII型を実質的に含んでいない実施形態1Dの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0291】
4D. 含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約8%w/w未満である実施形態1Dの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0292】
5D. 含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約5%w/w未満である実施形態1Dの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0293】
5D. 1種類以上の賦形剤および非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む医薬製剤であって、任意選択で、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、実施形態1D〜4Dに記載のいずれか1つである医薬製剤。
【0294】
6D. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールとt−ブタノールの混合物の凍結乾燥工程を含む方法によって作製される非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである製品。
【0295】
7D. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、(1)XRPD分析によって測定したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでいない、または(2)含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約8%w/w未満である、または(3)含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約5%w/w未満であり、任意選択で、該結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールがI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態6Dの製品。
【0296】
8D. 高血糖状態または自己免疫状態の処置または予防のための医薬の調製のための、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用、または1種類以上の賦形剤および非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む組成物の使用。
【0297】
9D. 自己免疫状態が1型糖尿病、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎または橋本甲状腺炎であり、高血糖状態が、2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである実施形態8Dによる使用。このような使用において、非晶質物質は、好ましくは、存在する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wまたは少なくとも約95%w/wを構成する。
【0298】
10D. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、XRPD分析によって測定したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでいない、または非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールに含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約8%w/w未満もしくは約5%w/w未満である実施形態9Dによる使用。
【0299】
1E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0300】
2E. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態1Eの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0301】
3E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態が無水物であるか、または10℃/分の温度傾斜を用いて約40℃から約105℃に加熱したとき、無視できる重量減損もしくは約0.5%以下の重量減損を特徴とするものである実施形態2Eの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0302】
4E. I型もしくはII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールまたはその混合物である実施形態3Eの結晶性無水物。
【0303】
5E. II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態4Eの結晶性無水物。
【0304】
6E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、10.38±0.1、16.20±0.1および17.75±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、12.66±0.1、15.10±0.1、16.73±0.1、28.92±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または該回折パターンを有する実施形態5Eの結晶性無水物。
【0305】
7E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、さらに、10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約266℃に顕著な吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、または該サーモグラムを有する実施形態6Eの結晶性無水物。
【0306】
8E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、II型、III型およびIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないか、または存在する全結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wを構成する実施形態5Eの結晶性無水物。
【0307】
9E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、約2105および1673cm−1にピーク位置を有し、任意選択で、約2887、1467、1437、833、712、681、484、470、457、247および226cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有するラマン分光法スペクトル、または図5Aもしくは図5Bのものと実質的に同一のラマン分光法スペクトルを有する実施形態5E〜8Eのいずれか1つの結晶性無水物。
【0308】
10E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、P212121(#19)の単一の結晶X線結晶学空間群を特徴とする、または該空間群を有する実施形態6Eの結晶性無水物。
【0309】
11E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、図6Aまたは図6Bの形態構造を特徴とする実施形態8Eの結晶性無水物。
【0310】
12E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、ブレード型またはプレート型の形態構造を特徴とする実施形態8Eの結晶性無水物。
【0311】
13E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、III型およびIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないII型およびI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの混合物である実施形態4Eの結晶性無水物。
【0312】
14E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態4Eの結晶性無水物。
【0313】
15E. II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、2.49±0.1、5.04±0.1および16.20±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、10.44±0.1、12.69±0.1、15.12±0.1、16.71±0.1、17.73±0.1および28.92±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または該回折パターンを有する実施形態14Eの結晶性無水物。
【0314】
16E. II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、さらに、10℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約259℃に顕著な吸熱を示し、任意選択で、約207℃が中心である弱い発熱を示す示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、または該サーモグラムを有する実施形態14Eの結晶性無水物。
【0315】
17E. II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、I型、III型およびIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないか、または存在する全結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wを構成する実施形態13Eの結晶性無水物。
【0316】
18E. II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、P21212(#18)の単一の結晶X線結晶学空間群を特徴とする、または該空間群を有する実施形態14Eの結晶性無水物。
【0317】
19E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態が溶媒和物であるか、または10℃/分の温度傾斜を用いて約40℃から約105℃に加熱したとき、重量減損がないこと(BLANK)を特徴とする実施形態2Eの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0318】
20E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、III型もしくはIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールまたはその混合物である実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0319】
21E. I型およびII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態20Eの結晶性溶媒和物。
【0320】
22E. III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、15.24±0.1、15.66±0.1および16.62±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、8.37±0.1、12.30±0.1および27.78±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または該回折パターンを有する実施形態21Eの結晶性溶媒和物。
【0321】
23E. III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、さらに、10℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約266℃に顕著な吸熱、または約105℃もしくは107℃が中心である広がった吸熱を示し、任意選択で、約1.7℃もしくは約2.3℃に吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、または該サーモグラムを有する実施形態20Eの結晶性溶媒和物。
【0322】
24E. III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、I型、II型またはIV型および形態Vの17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないか、または存在する全結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wを構成する実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0323】
25E. III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、約2108および1666cm−1にピーク位置を有し、任意選択で、約2950、1469、1437、711、681、251および224cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有するラマン分光法スペクトル、または図13Aもしくは図13Bのものと実質的に同一のラマン分光法スペクトルを特徴とする、または該スペクトルを有する実施形態21E〜24Eいずれか1つの結晶性無水物。
【0324】
26E. I型およびII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0325】
27E. IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、15.24±0.1、15.66±0.1および16.62±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、8.34±0.1、10.50±0.1、12.30±0.1、16.23±0.1および27.78±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または該回折パターンを有する実施形態26Eの結晶性溶媒和物。
【0326】
28E. IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、さらに、10℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約266℃に顕著な吸熱、または約98℃が中心である広がった吸熱を示し、任意選択で、約75〜90℃のシャープな吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、または該サーモグラムを有する実施形態27Eの結晶性溶媒和物。
【0327】
29E. IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、I型、II型およびIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないか、または存在する全結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wを構成する実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0328】
30E. IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、約2107および1666cm−1にピーク位置を有し、任意選択で、約2950、1469、1437、711、467、457および224cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有するラマン分光法スペクトル、または図13Aもしくは図13Bのものと実質的に同一のラマン分光法スペクトルを特徴とする、または該スペクトルを有する実施形態19E〜24Eいずれか1つの結晶性溶媒和物。
【0329】
31E. 少なくとも1種類のC1〜6アルコール、水またはその組合せを含む実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0330】
32E. 本質的にC1〜6アルコールまたはC1〜6アルコールと水和水からなる実施形態31Eの結晶性溶媒和物。
【0331】
33E. C1〜6アルコールがエタノールまたはメタノールである実施形態32Eの結晶性溶媒和物。
【0332】
34E. 本質的に水和水からなる実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0333】
35E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、IV型またはV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態28Eの結晶性溶媒和物。
【0334】
36E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールがIII型またはIV型であり、該III型またはIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、結晶性I型およびII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態31Eの結晶性溶媒和物。
【0335】
37E. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0336】
38E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないか、または含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約10%w/w未満である実施形態36Eの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0337】
39E. (1)約16度の2θに幅広のバンドを有する粉末X線回折パターンもしくは実質的に図17に示された粉末X線回折パターン;(2)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約30℃から約110℃まで加熱したとき約11〜12%の重量減損もしくは約30℃から約200℃まで加熱したとき約15〜17%重量減損を示す熱重量分析サーモグラム;(3)1℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約44℃のガラス転移温度を示す変調型DSC熱分析サーモグラム、または(4)(1)と(2)もしくは(1)と(3)に記載の特徴の組合せを特徴とする、または有する実施形態40Eの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0338】
40E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、メタノールおよび水の混合物から、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを回収する工程を含む、結晶性無水物のI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0339】
41E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよびメチルエチルケトンまたは酢酸エチルの混合物から、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを回収する工程を含む、結晶性無水物のII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0340】
42E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、メタノールおよびクロロホルムの混合物から、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを回収する工程を含む、結晶性無水物のIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0341】
43E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、エタノールおよび水の混合物から、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを回収する工程を含む、結晶性無水物のIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0342】
44E. 1種類以上の賦形剤および結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む製剤。
【0343】
45E. 固形製剤であり、任意選択で、タブレット型、カプセル剤または経口投与に適した別の単位投薬形態である実施形態44Eの製剤。
【0344】
46E. 非晶質または結晶性の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールまたはその混合物を、1、2、3、4種類またはそれ以上の種類の賦形剤と接触、混合および/またはブレンドして混合物を得、該混合物を加工処理して製剤を得る工程を含む、製剤の調製方法であって、任意選択で、該製剤は固形製剤であるか、またはヒトへの経口投与に適した単位投薬形態、任意選択で、錠剤、キャプレット剤もしくはカプセル剤を構成する製剤の調製方法。
【0345】
47E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが溶媒和物である実施形態46Eの方法。
【0346】
48E. 結晶性溶媒和物がエタノールまたはメタノールおよび水和水を含む実施形態47Eの方法。
【0347】
49E. 結晶性溶媒和物が本質的に水和水からなる実施形態47Eの方法。
【0348】
50E. 溶媒和物がIII型またはIV型またはその混合物である実施形態47Eの方法。
【0349】
51E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが無水物である実施形態46Eの方法。
【0350】
52E. 結晶性無水物がI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態46Eの方法。
【0351】
53E. 少なくとも1種類の賦形剤が表面活性剤、任意選択で、ラウリル硫酸ナトリウムまたはポリソルベート−80である実施形態(embodiment embodiments)46E〜52Eいずれか1つの方法。
【0352】
54E. 少なくとも1種類の賦形剤が液状ビヒクルであり、任意選択で、製剤が液状製剤である実施形態46E〜52Eいずれか1つの方法。
【0353】
55E. 別の賦形剤がシクロデキストリンである実施形態54Eの方法。
【0354】
56E. シクロデキストリンが、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである実施形態55Eの方法。
【0355】
57E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび少なくとも1種類以上の賦形剤を含む製剤、または結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび1、2、3、4種類もしくはそれ以上の種類の賦形剤から調製される製剤の有効量を被検体に投与すること、または被検体の組織に送達することを含む、被検体の炎症状態の処置方法。
【0356】
58E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まないI型またはIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態57Eの方法。
【0357】
59E. 炎症状態が代謝性の病状である実施形態58Eの方法。
【0358】
60E. 代謝性の病状が高血糖状態である実施形態59Eの方法。
【0359】
61E. 代謝性の病状が1型糖尿病、2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである60Eの方法。
【0360】
62E. 炎症状態が自己免疫状態である実施形態57Eの方法。
【0361】
63E. 自己免疫状態が1型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチまたは潰瘍性大腸炎である実施形態62Eの方法。
【0362】
64E. 炎症状態が過剰増殖状態である実施形態57Eの方法。
【0363】
65E. 過剰増殖状態が前立腺癌、乳癌または良性前立腺肥大である実施形態64Eの方法。
【0364】
66E. 炎症状態が腸の炎症状態である実施形態57Eの方法。
【0365】
67E. 腸の炎症状態が潰瘍性大腸炎、クローン病または炎症性腸症候群である実施形態66Eの方法。
【0366】
68E. 炎症状態が肺の炎症状態である実施形態57Eの方法。
【0367】
69E. 肺の炎症状態が喘息、COPDまたは嚢胞性線維症である実施形態68Eの方法。
【0368】
70E. 炎症状態が神経変性状態である実施形態57Eの方法。
【0369】
71E. 神経変性状態がパーキンソン病、アルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症である実施形態70Eの方法。
【0370】
72E. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび少なくとも1種類以上の賦形剤を含む製剤、または非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび1、2、3、4種類もしくはそれ以上の種類の賦形剤から調製される製剤の有効量を被検体に投与すること、または被検体の組織に送達することを含む、被検体の炎症状態の処置方法。
【0371】
73E. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態72Eの方法。
【0372】
74E. 炎症状態が代謝性の病状である実施形態72Eの方法。
【0373】
75E. 代謝性の病状が高血糖状態である実施形態74Eの方法。
【0374】
76E. 代謝性の病状が1型糖尿病、2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである実施形態75Eの方法。
【0375】
77E. 炎症状態が自己免疫状態である実施形態72Eの方法。
【0376】
78E. 自己免疫状態が多発性硬化症、関節リウマチまたは潰瘍性大腸炎である実施形態77Eの方法。
【0377】
79E. 炎症状態が過剰増殖状態である実施形態72Eの方法。
【0378】
80E. 過剰増殖状態が前立腺癌、乳癌または良性前立腺肥大である実施形態79Eの方法。
【0379】
81E. 炎症状態が腸の炎症状態である実施形態72Eの方法。
【0380】
82E. 腸の炎症状態が潰瘍性大腸炎、クローン病または炎症性腸症候群である実施形態81Eの方法。
【0381】
83E. 炎症状態が肺の炎症状態である実施形態72Eの方法。
【0382】
84E. 肺の炎症状態が喘息、COPDまたは嚢胞性線維症である実施形態83Eの方法。
【0383】
85E. 炎症状態が神経変性状態である実施形態72Eの方法。
【0384】
86E. 神経変性状態がパーキンソン病、アルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症である実施形態85Eの方法。
【0385】
87E. 医薬の調製のための、結晶性もしくは非晶質の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用、または1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤と、結晶性もしくは非晶質の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールとを含む組成物の使用。
【0386】
88E. 炎症状態の処置または予防のための医薬の調製のための、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用、または1種類以上の賦形剤および結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む組成物の使用。
【0387】
89E. P212121(#19)のX線結晶学空間群を特徴とする、または該空間群を有する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性無水物。
【0388】
90E. a=11.740、b=12.273、c=12.339、α=90°、β=90°、γ=90°、Z’/Z=1/4および図1BのXRPDパターンの指数付けから測定される単位胞体積1777.9Å3の単位胞パラメータ(単位:オングストローム)を特徴とする、または該単位胞パラメータを有する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性無水物。
【0389】
91E. P21212(#18)のX線結晶学空間群を特徴とする、または該空間群を有する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性無水物。
【0390】
92E. a=12.273、b=12.339、c=35.220、α=90°、β=90°、γ=90°、Z’/Z=3/12および図1BのXRPDパターンの指数付けから測定される単位胞体積5333.6Å3、およびそれにより測定される単位胞の対称性低下の単位胞パラメータを特徴とする、または該単位胞パラメータを有する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性無水物。
【0391】
93E. 少なくとも1種類のC1〜4アルコール、水またはその組合せを含む結晶性溶媒和物の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0392】
94E. 水和物である実施形態92Eの結晶性溶媒和物。
【0393】
95E. 図18のXRPDパターンと実質的に同一の非晶質X線散乱またはXRPDパターンを特徴とし、任意選択で、2105および1673cm−1におけるラマン吸収を特徴とし、任意選択で、2971、2938、2890および2859cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を示す非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0394】
96E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水、メタノール−テトラヒドロフランもしくはアセトン溶液の容量を減少させる工程、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水溶液からメタノールを、水の添加と同時(concommitant)の蒸留によって除去する工程、ここで、該溶液の初期容量は実質的に維持されるまたは17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのエタノール溶液からエバポレーションによって溶媒を除去する工程、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールをイソプロパノール中でスラリーにする工程を含む、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0395】
97E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが結晶性I型の針状型である実施形態95Eの方法。
【0396】
98E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが結晶性I型のタブレット型である実施形態95Eの方法。
【0397】
99E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが結晶性I型のプレート型またはブレード型である実施形態95Eの方法。
【0398】
100E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールをメチルエチルケトン中でスラリーにする工程を含む、II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0399】
101E. エタノール溶液中の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを水で析出させる工程を含む、III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0400】
102E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−クロロホルム溶液の容量を減少させる工程を含む、IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0401】
103E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのt−ブタノール溶液から凍結乾燥によって溶媒を除去する工程を含む、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0402】
104E. 1種類以上の賦形剤および結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む製剤。
【0403】
105E. 固形製剤であり、任意選択で、タブレット型、カプセル剤または経口投与に適した別の単位投薬形態である実施形態104Eの製剤。
【0404】
106E. 非晶質または結晶性の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを1、2、3、4種類またはそれ以上の種類の賦形剤と接触、混合および/またはブレンドして混合物を得、該混合物を加工処理して製剤を得る工程を含む、製剤の調製方法であって、該製剤は固形製剤、液状製剤であるか、またはヒトへの経口投与に適した単位投薬形態を構成し、単位投薬形態は錠剤、キャプレット剤またはカプセル剤である製剤の調製方法。
【0405】
107E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが溶媒和物である実施形態106Eの方法。
【0406】
108E. 結晶性溶媒和物が水和物である実施形態107Eの方法。
【0407】
109E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが無水物である実施形態106Eの方法。
【0408】
110E. 結晶性無水物がI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態109Eの方法。
【0409】
111E. 少なくとも1種類の賦形剤が表面活性剤である実施形態106Eの方法。
【0410】
112E. 前記少なくとも1種類の賦形剤がラウリル硫酸塩またはポリソルベート−80であり、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールがI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態111Eの方法。
【0411】
113E. 賦形剤のうち1種類が液状ビヒクルであり、製剤が液状製剤である実施形態106Eの方法。
【0412】
114E. 別の賦形剤がシクロデキストリンである実施形態113Eの方法。
【0413】
115E. シクロデキストリンが、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである実施形態114Eの方法。
【0414】
116E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび少なくとも1種類の賦形剤を含む製剤、または結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび1、2、3、4種類もしくはそれ以上の種類の賦形剤から調製される製剤の有効量を被検体に投与すること、または被検体の組織に送達することを含む、被検体の炎症状態の処置方法。
【0415】
117E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールがI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態116Eの方法。
【0416】
118E. 炎症状態が代謝性の病状である実施形態116Eまたは117Eの方法。
【0417】
119E 代謝性の病状が2型糖尿病である実施形態118Eの方法。
【0418】
120E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび少なくとも1種類の賦形剤を含む製剤、または結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび1、2、3、4種類もしくはそれ以上の種類の賦形剤から調製される製剤の有効量を被検体に投与すること、または被検体の組織に送達することを含む、被検体の自己免疫状態の処置方法。
【0419】
121E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールがI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態120Eの方法。
【0420】
122E. 自己免疫状態が関節リウマチまたは潰瘍性大腸炎である実施形態120Eまたは121Eの方法。
【実施例】
【0421】
実施例
実施例1.17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのバルク合成
3β,7β−ビス−(トリメチルシロキシ)−5−アンドロステン−17−オン: 14.87Kgのアンドロスタ−5−エン−17−オン−3β,7β−ジオール、23.8KgのHMDSおよび0.7Kgのサッカリン触媒と100Lのアセトニトリルの混合物を8時間、攪拌しながら窒素雰囲気下で還流加熱した。遊離したアンモニアを若干の減圧下でパージした。次いで、反応容量を蒸留によって減少させ、30Lの蒸留液を収集した(約2時間を要する)。減圧下(700mmHg)での蒸留(これは、50℃での約2時間の加熱を要する)により、反応容量を元の反応容量の1/2までさらに減少させた。得られた均一な粘稠性のスラリーを5℃まで冷却し(約3時間を要する)、さらにアセトニトリルを添加して最小混合容量を維持し、その温度に1の間(for 1)、保持する。析出した生成物を濾過によって収集し、1%以下の乾燥減量(LOD)まで(20時間を要する)真空下(29mmHg)、45〜50℃で乾燥させ、16Kg(81%収率)の標題化合物(95%純度)を得た。
【0422】
17α−エチニル−5−アンドロステン−3β,7β,17β−トリオール: 11.02KgのTMS−アセチレンを含む56.5Lのテトラヒドロフラン(THF)に、−27℃で窒素雰囲気下、8.51Lの10M n−BuLiを添加した。温度を−7から−27℃に維持するために(約2時間を要する)、n−ブチルリチウムを非常にゆっくりと添加し、得られた反応液を10分間、ほぼ0℃で攪拌し、TMS−リチウム−アセチリドを得た。このTMS−リチウム−アセチリド溶液に、反応温度を20〜25℃に上昇させながら、25.41Kgの3β,7β−ビス−(トリメチルシロキシ)−5−アンドロステン−17−オンを含む95.3LのTHFの溶液(25μmのフィルターに通して濾過)を添加した。添加を終了した後、反応温度を40〜45℃まで上げた。反応器の内容物をクエンチするため、31.8Lのメタノールを約1時間の時間をかけて添加した後、3.81KgのKOHを含む18.4Lを添加し、最終反応器の温度を50℃にした。遊離したアセチレンを若干の減圧下でパージする。次いで、反応器の内容物を蒸留によって80℃で1時間、次いで真空下(175mmHg)、約70℃で(突沸を回避するため初期温度は25℃で)元のポット容積の1/2まで濃縮した。残渣を約10℃まで冷却し、35.0Kgの脱イオン水を添加した後、ポット温度を約10℃に維持しながら16.4Kgの12NのHClを添加し、最終pHを1にした。さらに26.0kgの脱イオン水を添加し、得られた混合物を約5℃で1時間攪拌した。得られたスラリーを濾過し、75:25のメタノール:水混合物(16.9Lのメタノール、5.6Lの水)で洗浄した。収集した固形物を真空下(28 in Hg)で45℃にて、0.5%以下の乾燥減量となるように12時間乾燥させ、9.6Kgの標題化合物を得た(83%収率)。
【0423】
実施例2.結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む固体状態形態の調製
250L容の反応器内の2.1Kgの17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む40.2Kgのメタノールのスラリー(実施例1で調製)および4.2Kgの水を、攪拌しながら、すべての固形物が溶解するまで還流加熱した。反応器を55〜60℃まで冷却し、内容物を、25ミクロンフィルターを通して受容ドラム内にポンプ輸送した。この反応器に2.4Kgのメタノールを移し、次いで、これを55〜60℃まで加熱した。次いで(the)、メタノールすすぎ洗浄液を、先のようにして受容ドラムに移す。次いで、受容ドラムの内容物を、真空蒸留に適合させた反応器内に移し戻す。反応器の内容物を攪拌し、真空下でポット温度を<=45℃に維持しながら、蒸留前に反応器に添加されたメタノールの容量の1.1〜1.5倍に等しい容量の蒸留液が得られるまで還流加熱した。この蒸留の間、攪拌に必要な容量を維持するために脱イオン水を添加した(20〜60Kgの水が使用され得る)。反応器内で最終容量20〜25Lの溶液を得た。この溶液を0〜5℃まで冷却し、その温度に少なくとも1時間維持した。次いで、反応器内のスラリーをローゼンムンドフィルター乾燥器に通して濾過した。反応器を10Kgの脱イオン水ですすぎ洗浄する。次いで、この水すすぎ洗浄液を用いて、濾過生成物を洗浄する。濾過ケークを真空下、50℃で少なくとも12時間乾燥させ、この時点で試料を乾燥減量について試験する。乾燥減量が≦0.5%(乾燥時)になったとき、乾燥を中止し、1.9Kgの標題物質を得た。
【0424】
この手順で得られた結晶性の化合物1(I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(化合物1))は、図1の低分解能XRPDパターン(パターンA)で表わされる。XRPDパターンAのピークリストを表1Aに示す。
【0425】
【表1A】
実施例3.結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの微粉化
実施例2の結晶性物質を、振動装置の供給部によって、Jet−O−Mizer Model 0101(Fluid Energy,Air Compressor)の摩砕チャンバ内に(into the into)、ほぼ120psiのエアコンプレッサ出力で、Pusher NozzleおよびGrinding Nozzleにおいてほぼ110psi 4の空気圧で、約5〜10g/分の振動装置供給速度で供給した。表2(結果−微粉化前)に示した粒径分布(体積加重平均)を有する結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(化合物1)を、このようにして微粉化し、表2(結果−微粉化後)に示した粒径分布(体積加重分布)を有する結晶性の化合物1を得る。
【0426】
【表2】
この手順で得られた結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、図2の低分解能XRPDパターンで表わされる。図2のXRPDパターンは、図1(パターンA)のXRPDパターンと本質的に同一である。図2の粉末X線XRPDパターンのピークリストを表1Bに示す。
【0427】
【表1B】
10℃/分の温度傾斜を用いたI型のDSCおよびTGAのサーモグラムを図4に示す。DSCサーモグラムは、約266℃にシャープで顕著な吸熱を示し、これは、その他の場合では特徴がない(featureless)。TGAサーモグラムは、約30℃から約200℃までで約0.5%の重量減損、および200℃から250℃までで約1.2%のさらなる重量減損を示し、その後に有意な重量減損が始まる。TG−IR分析は、アセチレンの減損がこの有意な重量減損と関連していることを示す。解放型キャピラリー内での融点の測定は、約256℃に見かけの融点を示す。DSCにおいてより低速のスキャン(san)速度(例えば、2℃/分)を使用すると、多数の吸熱部がもたらされる(一部は、より低温にも)。DSC法と解放型キャピラリー法でのこのような違いは、使用された条件および手法に依存する分解発生量が異なることに起因したものであり得る。
【0428】
図5に示したI型のラマンスペクトルにおけるラマン吸収のピークリストを表3に示す。
【0429】
【表3】
実施例4.結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む固体状態形態の代替的な調製法
33.37gの17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(実施例2で調製)を含む372mLのTHFと56mLのメタノールの懸濁液を還流加熱し、次いで室温まで放冷した。セライトに通して濾過した後、濾液の容量を減圧下で50%減少させ、次いで周囲温度で0.5時間攪拌した。収集した固形物を真空下、50℃で2日間乾燥させ、17.72gの標題物質を得た。
【0430】
この手順で得られた結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(化合物1)は純度が≧99%であり、図3の低分解能XRPDパターンで表わされ、これは、図1または図2のXRPDパターンと実質的に同一である。図3のXRPDパターンのピークリストを表4に示す。
【0431】
【表4】
XRPDパターンAと実質的または本質的に同一のXRPDパターンを有する結晶性の化合物1を調製するための他の方法を表5に示す。XRPDパターンAを有する結晶性物質を有する形態構造のタブレット型、ブレード型、プレート型または針状型を、それぞれ、I型のタブレット型、I型のブレード型、I型のプレート型またはI型の針状型と称する。実施例3で調製した結晶性物質は、タブレット型の形態構造を有する。図6は、I型のタブレット型およびI型の針状型の光学顕微鏡観測結果を示す。I型のタブレット型は、製造において流動特性(すなわち、取扱い性)が好都合であるという利点を有することが予測される。I型の針状型は、高い表面積対体積比を有する粒子と関連する利点が予測された。
【0432】
【表5】
実施例5.17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性−非晶質混合物の調製
17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのエタノール性溶液(263mL中7.0g)を、Yamato噴霧乾燥器Pulvis GB22型およびFMI実験室用ポンプを使用し、以下の条件:周囲温度の噴霧器エア、供給口温度57℃、乾燥空気温度57℃、乾燥空気流速0.20m2/分およびポンプ設定0.5を用いて噴霧乾燥させる。そのようにして得られた粒子を40℃で2〜3時間真空乾燥させ、4.89gの標題物質を得る。このようにして調製された化合物1の固体状態形態は、主として結晶性I型であり、約5〜10%の非晶質の化合物1を有する。
【0433】
実施例6.結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む固体状態形態の調製
実質的に純粋な化合物1(好ましくは、99%以上の純度、微粉化されたI型の結晶として)を、周囲温度で酢酸エチル中にて9日間でスラリー状にした。濾液を収集し、0.2ミクロンフィルターに通してさらに濾過し、結晶が生成するまで周囲温度および雰囲気圧でエバポレーションさせた。あるいはまた、メチルエチルケトンをスラリー溶媒として使用した。
【0434】
この手順で得られた結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、図7の低分解能XRPDパターン(パターンC)で表わされる。図7のXRPDパターンのピークリストを表6に示す。
【0435】
【表6】
パターンCは、2.5、5.0および7.6における小角度の2θのピークの存在以外は、パターンAと類似している。
【0436】
10℃/分の温度傾斜を用いたこの結晶性物質のDSCおよびTGAのサーモグラムを図8に示す。DSCサーモグラムは、約207℃が中心である広がった弱い発熱、および約259℃に顕著でシャープな吸熱(約246℃で開始)を示す。TGAサーモグラムは、約30℃から約200℃までで約1.3%の重量減損、および200℃から250℃までで約2.3%のさらなる重量減損を示し、その後に有意な重量減損が始まる。TG−IR分析は、アセチレンの減損がこの有意な重量減損と関連していることを示す。
【0437】
実施例7.I型の単位胞パラメータのコンピュータによる測定
図1Bの高分解能XRPDパターンを、DASHTMバージョン3.1を用いて指数付け(index)した。指数付けの解を、CHECKCELLTMバージョン11/01/04を用いて検証および例示した。図9では、I型の指数付けパターンを、実験により得られたパターンAと比較している。許容ピーク位置(実線)と実測ピーク間の一致は、単位胞寸法に一貫性があることを示す。別の場合の許容ピーク(点線)で、強め合う干渉のために総体性が存在しないことは、割り当てられたExtinction Symbolが実測パターンと整合することを示す。割り当てられたExtinction Symbolと整合するI型の空間群[P212121(#19)]、単位胞パラメータ、およびこれらから得られた量を表8に表形式で示す。成功裡の指数付けは、この結晶性物質が主に単一の結晶相で構成されていることを示す。
【0438】
上記の指数付けの解では、実施例6により得られた固体状態形態で観測された小角度の2θピークは説明されない。この反映は、短軸の21らせんを適正な2回回転軸に縮小(reduce)させ、この軸を3重にする(triple)(すなわち、3つの隣接する結晶学的同価の単位胞が非同価になる)ことによりI型について得られた単位胞の対称性の低下と整合する。このような対称操作後に得られた対称群(P21212、#18)および単位胞パラメータを表8に示す。図10において、II型の指数付けされたパターンを、実験により得られたパターンCと比較している。
【0439】
【表8】
実施例8. 結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む固体状態形態の調製
III型は、実質的に純粋な化合物1のエタノール性溶液に水を添加してEtOH:水の溶媒比率を1:8とすることにより、周囲温度での該溶液のクラッシュ沈澱によって調製した。
【0440】
この手順で得られた結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、図11の低分解能XRPDパターン(パターンB)で表わされる。図11のXRPDパターンのピークリストを表9に示す。
【0441】
【表9】
10℃/分の温度傾斜を用いたこの結晶性物質のDSCおよびTGAのサーモグラムを図12に示す。DSCサーモグラムは、約266℃に顕著でシャープな吸熱(約258℃で開始)、約1.7℃にさらなる吸熱(約−4.16℃で開始)、および約105℃が中心である広がった吸熱を示す。この低温側の2つのDSC吸熱は、TGAにおける約20℃から約110℃での約9.6%の重量減損と関連している。TG−IR分析は、水分減損がこの重量減損と関連していることを示す。この結果は、二水和物である偽多形と整合する。
【0442】
この結晶性物質の図13のラマンスペクトルにおけるラマン吸収のピークリストを、表10に示す(is shown is given)。
【0443】
【表10】
実施例9. 結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む固体状態形態の調製
IV型は、約24mgの実質的に純粋な化合物1を約1mLの1:1のクロロホルム:メタノールに溶解させ、この溶液を0.2ミクロンフィルターに通して濾過することにより調製した。次いで、この溶液を周囲温度および雰囲気圧下で、固形物が形成されるまでエバポレーションさせた。
【0444】
この手順で得られた結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、図14の低分解能XRPDパターンで表わされる。図14のXRPDパターンのピークリストを表11に示す。
【0445】
【表11】
10℃/分の温度傾斜を用いたこの結晶性物質のDSCおよびTGAのサーモグラムを図15に示す。DSCサーモグラムは、約266℃に顕著でシャープな吸熱(約257℃で開始)、約79℃(約75℃で開始)または88℃(約84℃で開始)にさらなる吸熱、および約98℃が中心である重複する広がった吸熱を示す。この低温側の2つのDSC吸熱は、TGAにおける約20℃から約110℃での約9.7%の重量減損と関連している。この結果は、化合物1とメタノールを含む偽多形と整合する。
【0446】
この結晶性物質の図16のラマンスペクトルにおけるラマン吸収のピークリストを表12に示す。
【0447】
【表12】
実施例10. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの調製
非晶質の化合物1は、まず、150mgの化合物1と11mLのt−ブタノールの混合物を45℃で加熱し、次いで、この溶液を濾過して残留固形物を除去することにより調製した。次いで、この溶液を凍結乾燥させ、標題物質を得た。XRPD分析は、図17に示されるように、顕著なピークのない約16度の2θが中心である幅広のバンドを示し、非晶質物質と整合する。
【0448】
図18の変調型DSCサーモグラム(1℃/分の温度傾斜を使用)は、逆転熱流トレース(中央部のDSCトレース)を示し、該トレースの変曲点で測定したとき、44℃のガラス転移温度(Tg)を示す。この図の上側のDSCトレースは非逆転熱流を示し、下側のDSCトレースは総熱流を示す。また、図18のTGA(10℃/分の温度傾斜を使用)は、約30℃から約110℃で約11.5%の重量減損、および約110℃から約200℃で約5%のさらなる重量減損を示し、その後に有意な重量減損を有する。40℃での非晶質の化合物1の試料の短時間の熱応力により、I型を含む結晶性物質がもたらされた。
【0449】
非晶質物質の図19のラマンスペクトルにおけるラマン吸収のピークリストを表13に示す。
【0450】
【表13】
実施例11. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態を含む製剤、または該固体状態形態から調製される製剤
以下のものは、経口投与に適した固体状態形態(例えば、I型)の化合物1を含む製剤の調製に使用される一例の成分のリストである。
【0451】
【表14】
【0452】
【表15】
以下のものは、経口または非経口投与に適した固体状態形態(例えば、I型)の化合物1の懸濁製剤の調製に使用される一例の成分のリストである。
【0453】
【表16】
少なくとも100mg/mLまでの懸濁製剤が、表16の製剤を用いて調製され得る。上記の製剤および以下の実施例において、化合物1の固体状態形態(例えば、非晶質または結晶性I型)は、好ましくは、賦形剤とブレンドする前に、体積加重平均粒径(Dv,50)約3〜約100ミクロンに微粉化する。一実施形態において、結晶性I型を微粉化し、(Dv,90)≦10μmの粒径(全粒子の90%(体積加重)を含む粒径)を得る。適切な粒径の選択は、固体状態化合物1の溶解速度の改善による所与の製剤中の化合物1の固体状態形態のバイオアベイラビリティの改善と、粒径低減に伴う製剤の製造コストの増大との二律背反である。例えば、体積加重平均粒径または平均直径が約3ミクロン未満である粒径では、典型的には、流動床の微粉化が必要とされる(例えば、Julia Z.H,ら“Fluid bed granulation of a poorly water soluble,low density,micronized drug:comparison with high shear granulation”Int.J.Pharm.Vol.237,No.1−2:pp.1−14(2002)参照、これは、大粒径になるジェットミル処理よりも費用がかかり、規模拡大がより困難なプロセスである)。
【0454】
5mg未満(例えば、1mg)の投薬量強度では、製剤中への化合物1の均一な分布を得るため、一部の場合において、残りの賦形剤とブレンドする前に、微粉化化合物1と表面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)との予備ブレンドが行なわれる。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、17−エチニル−10R,13S−ジメチル2,3,4,7,8R,9S,10,11,12,13,14S,15,16,17−ヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3R,7R,17S−トリオールの固体状態形態および該固体状態形態の調製方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、該固体状態形態を含む固形製剤、ならびに固形および液状の製剤の調製における該固体状態形態(例えば、多形形態および偽多形形態(pseudopolymorph))の使用方法に関する。さらに、本発明は、高血糖および自己免疫に関連する病状の処置のための固体状態形態の使用方法に関する。また、固形および液状製剤のための単位投薬形態も含む。
【0003】
2008年4月3日に出願された優先権書類の米国特許仮出願第61/042,240号の内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
物質が1種類より多くの結晶性形態で存在し得る能力を一般的に多形性といい、このような異なる結晶性形態は、通常「多形」と称され、それらの粉末X線回折(XRPD)パターンなどの特定の分析による特性によって示され得る。一般に、多形性は、分子がそのコンホメーションを変えることができる能力、または異なる分子間相互作用および分子内相互作用を形成できる能力を反映している。これにより、異なる原子配列がもたらされ得、これが異なる多形の結晶格子に反映される。しかしながら、一部の分子は1種類以上の結晶形で存在し得るが、他の分子は1種類以上の結晶形で存在し得ないため、多形性は固体の普遍的な特徴ではない。したがって、所与の化合物に関する多形性の存在または程度は予測不可能である。
【0005】
物質の異なる多形は異なる結晶格子エネルギーを有し、したがって、各多形は、典型的には、固体状態で示される1つ以上の物性、例えば、密度、融点、色、安定性、溶解速度、流動性、ミル処理との適合性、造粒および圧密化および/または分布の均一性などが異なる[例えば、非特許文献1参照]。任意の所与の化合物が1種類以上の結晶性形態で存在し得る可能性(すなわち、多形)は、任意の単一の結晶性形態の物性が予測不可能であるため、予測不可能である。多形形態の物性は、医薬製剤におけるその好適性に影響を及ぼし得る。例えば、これらの物性により、固体状態の製剤の安定性、溶解およびバイオアベイラビリティがプラスにもしくはマイナスに影響を受けることがあり得、これにより、続いて疾患の処置におけるかかる製剤の好適性または有効性が影響を受ける。
【0006】
1つ以上の所望の特性を有する個々の多形は、所望の特性(1つまたは複数)を有する医薬製剤の開発に適したものであり得る。所望でない特性を有する多形形態(1種類または複数種)を有する化合物の存在により、医薬用薬剤としての多形形態の開発が妨げられまたは妨害されることがあり得る。
【0007】
1種類より多くの多形形態で存在する化学的物質の場合、熱力学的にあまり安定でない形態は、充分な期間後、所与の温度で、偶発的に熱力学的により安定な形態に変換されることがあり得る。この変換が急速な場合、かかる熱力学的に不安定な形態は「準安定」形態と称される。ある場合では、準安定形態が、商業用形態での使用が可能になる通常の保存条件下で充分な化学的および物理的安定性を示すことがあり得る。同様に、医薬活性成分の非晶質形態は、その結晶格子間力が小さいため(これは、水性または非水性の液体中への溶解をもたらすためには、解決されるべきことである)、所与の結晶性物質と比べて異なる溶解度を有するものであり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】P.DiMartinoら,J.Thermal Anal.48:447−458(1997)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
主要な実施形態において、本発明は、式1で表わされる17−エチニル−10R,13S−ジメチル2,3,4,7,8R,9S,10,11,12,13,14S,15,16,17−ヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3R,7R,17S−トリオールの新たな固体状態形態を提供する。この化合物は、炎症、高血糖、自己免疫ならびに関連病状(糖尿病および潰瘍性大腸炎など)に関連する病状の処置に適している。
【0010】
【化1】
式1の化合物(以下、本明細書において化合物1または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールともいう)は非晶質形態および結晶性形態で調製し、特に、結晶性形態を、本明細書ではI型、II型、III型またはIV型という。
【0011】
高血糖に関連する病状としては、高血糖、インスリン抵抗性、2型糖尿病(例えば、(1)優勢なまたは著しいインスリン抵抗性、(2)優勢なインスリン欠乏およびある程度のインスリン抵抗性を伴う形態および(3)これらの中間の形態)、肥満ならびに高脂血症状態(高トリグリセリド血症および高コレステロール血症など)が挙げられる。したがって、化合物1の固体状態形態(例えば、非晶質の化合物1を本質的に含まない結晶性I型、結晶性の化合物1を本質的に含まない非晶質の化合物1、および化合物1の結晶性形態と非晶質形態の混合物)を含む製剤は、被検体(ヒトまたは哺乳動物など)の2型糖尿病または他の高血糖状態の処置、予防、進行の遅滞、または改善に有用である。
【0012】
自己免疫に関連する病状としては、1型糖尿病(例えば、免疫媒介性真性糖尿病および特発性真性糖尿病)、多発性硬化症、視神経炎、クローン病(限局性腸炎)、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、関節リウマチならびに橋本甲状腺炎が挙げられる。したがって、化合物1の固体状態形態(例えば、化合物1の他の結晶性形態および非晶質形態を本質的に含まない結晶性I型、ならびに化合物1の結晶性形態と非晶質形態の混合物)を含む製剤は、被検体(ヒトまたは哺乳動物など)の関節炎、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、視神経炎または他の自己免疫状態の処置、予防、進行の改善または遅延に有用である。
【0013】
糖尿病では、本明細書に記載の製剤は、(1)ランゲルハンス島内のβ細胞機能を向上させるため(例えば、インスリン分泌を増大させるため)、(2)島細胞の損傷速度を低下させるため、(3)インスリンに対する細胞の感受性を増大させるように、インスリン受容体のレベルもしくは活性を増大させるため、および/または(4)インスリン抵抗性である細胞においてインスリン抵抗性が低下するように、グルココルチコイド受容体の活性をモジュレートするために有用である。
【0014】
本発明の一実施形態は、化合物1の他の結晶性または非晶質形態を実質的に含まない、または本質的に含まない化合物1の特定の結晶性形態(例えば、結晶性I型)に関する。
【0015】
特定の実施形態において、本発明は、化合物1の他の多形、偽多形形態または結晶性形態を実質的に含まない、または本質的に含まない化合物1の特定の多形形態(例えば、結晶性I型またはII型)または偽多形形態(例えば、結晶性III型またはIV型)に関する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、非晶質化合物1に関し、典型的には、該非晶質物質は結晶性化合物1を実質的に含まない、または本質的に含まない。
【0017】
特定の実施形態において、本発明は、本発明の固体状態形態の作製、単離および/または特性評価方法を提供する。一部のこのような実施形態は、結晶性形態の化合物1の調製方法に関する。他の一部のかかる実施形態は、非晶質形態の化合物1の調製方法に関する。
【0018】
一部の実施形態において、化合物1の固体状態形態は、粉末X線回折(XRPD)と1つ以上の熱的方法、例えば、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量測定(DSC)、変調型示差走査熱量測定(mDSC)、熱重量分析(TGA)、熱重量−赤外線分光(TG−IR)分析および融点測定を含む方法によって特性評価または同定される。
【0019】
一部の実施形態において、化合物1の固体状態形態は、XRPDと振動分光法方法(ラマン分光法など)を含む方法によって特性評価または同定される。
【0020】
一部の実施形態において、化合物1の固体状態形態は、単結晶X線回折を含む方法によって特性評価または同定される。
【0021】
ある特定の実施形態において、本発明は、最終薬物製品を調製するための本発明の固体状態形態の使用を包含する。好ましい薬物製品は、一般的には、I型、III型または非晶質の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを用いて調製される。
【0022】
本発明の他の実施形態は、他の固体状態形態(非晶質の化合物1または化合物1の他の結晶性形態など)を実質的に含まない、または本質的に含まない化合物1の特定の結晶性形態(例えば、結晶性I型、II型、III型またはIV型)を含む薬学的に許容され得る製剤、ならびに該製剤の調製方法に関し、I型を含む固形および液状の製剤が最も好ましい。
【0023】
本発明のさらに他の実施形態は、少なくとも1種類の化合物1の固体状態形態を、化合物1が充分な溶解度を有する液状賦形剤と、任意選択で別の賦形剤の存在下で、接触させるかまたは混合することにより調製される液状製剤、および該液状製剤の調製方法に関する。
【0024】
化合物1の少なくとも1種類の固体状態形態を液状賦形剤と接触させること、または混合することに関連する他の実施形態は、懸濁製剤としての固形製剤に関し、ここで、化合物1の少なくとも一部の量は、該製剤中に粒子として存在している。このような懸濁製剤は、本明細書に記載の固体状態形態を用いて作製される。
【0025】
本発明のまた別の実施形態は、被検体の高血糖および自己免疫に関連する病状を、化合物1の固体状態形態(化合物1の非晶質または結晶性の形態など)を含む固形製剤で処置するための方法に関する。
【0026】
本発明のまた別の実施形態は、被検体の高血糖(2型糖尿病など(such))に関連する病状を、他の固体状態形態(化合物1の非晶質および他の結晶性形態など)を実質的に含まない化合物1の特定の結晶性形態(例えば、結晶性I型、II型、III型またはIV型)を含む固形製剤で処置するための方法に関する。
【0027】
本発明の別の実施形態は、被検体の自己免疫(1型糖尿病、関節リウマチまたは橋本甲状腺炎など)ならびに炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎など)に関連する病状を、化合物1の固体状態形態(化合物1の非晶質または結晶性形態など)を含む固形製剤で処置するための方法に関する。このような実施形態において、結晶性I型が好ましい。
【0028】
また、本発明の実施形態は、高血糖または自己免疫に関連する病状の処置または予防のための、医薬の調製のための非晶質または結晶性の形態の化合物1の(or)使用を含む。
【0029】
さらに他の実施形態は、化合物1の固体状態形態を用いた液状製剤の調製方法、および高血糖または自己免疫に関連する病状を処置するためのかかる製剤の使用に関する。
【0030】
本発明の他の実施形態および利点は、本明細書(番号付けした実施形態および特許請求の範囲を含む)中の他の箇所に記載したとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、バルク再結晶によって調製したI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの低分解能XRPDパターンである。
【図2】図2は、バルク微粉化後のI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの高分解能XRPDパターンである。
【図3】図3は、I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの代替的な調製法による結晶性物質の低分解能XRPDである。
【図4】図4は、結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを示す。
【図5】図5は、広がった領域を有する、結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料のラマン分光法スペクトルである。
【図6】図6は、倍率10倍における結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶の顕微鏡写真である。
【図7】図7は、結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の低分解能XRPDパターンである。
【図8】図8は、結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の示差走査熱量測定および熱重量分析サーモグラムを示す。
【図9】図9は、結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの実験により得られたXRPDパターンと、指数付けの解(indexing solution)からの許容反射(allowed reflection)との比較である。
【図10】図10は、結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの実験により得られたXRPDパターンと、指数付けの解からの許容反射との比較である。
【図11】図11は、結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の低分解能XRPDである。
【図12】図12は、結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムである。
【図13】図13は、広がった領域を有する、結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料のラマンスペクトルである。
【図14】図14は、結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の低分解能XRPDパターンである。
【図15】図15は、結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムである。
【図16】図16は、広がった領域を有する、結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料のラマンスペクトルである。
【図17】図17は、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の低分解能XRPDパターンである。
【図18】図18は、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを示す。
【図19】図19は、広がった領域を有する、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む試料のラマンスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
本明細書で用いる場合、または特に記載のない限り、もしくは文脈から示唆されない限り、本明細書において定義する用語は、特定した意味を有する。記載した実施形態および実施例の説明は、本発明を例示するものであって、なんら限定することを意図しない。例えば相互の排他的な要素または選択肢によって、特に反対の内容の表示または示唆がない場合、本明細書の説明において、または本明細書全体を通して、用語「a」および「an」は、1つ以上を意味し、用語「または(もしくは)」は、および/またはを意味する。
【0033】
特に明白な記載のない限り、または文脈から特定されない限り、割合の量は重量%(w/w)で示したものである。したがって、少なくとも約2%の化合物1を含む固形投薬製剤は、少なくとも約2%w/wの化合物1を含む固形投薬製剤または懸濁剤である。0.1%の水分を含む固体化合物1は、0.1%w/wの水分が該固体と会合していることを
意味する。
【0034】
「約」および「およそ」は、特定の固体形態を説明するために示した数値または値の範囲、例えば、特定の温度もしくは温度範囲(例えば、融解、脱水和、脱溶媒和もしくはガラス転移を示すものなど);質量変化(例えば、温度もしくは湿度の関数としての質量変化など);溶媒もしくは含水量(例えば、質量もしくはパーセントで);またはピーク位置(例えば、IRもしくはラマン分光法もしくはXRPDによる分析のものなど)に関して用いる場合、該値または値の範囲が、当業者に妥当とみなされる程度に逸脱することがあり得るが、依然として該特定の固体状態形態を示すものであることを示す。具体的には、用語「約」および「およそ」は、本文脈において用いる場合、該数値または値の範囲は、記載の値または値の範囲から20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%または0.01%逸脱してもよいが、依然として該特定の組成または固体状態形態を示すものであることを示す。
【0035】
「固体状態」は、本明細書で用いる場合、化合物(17α−エチニル−5α−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(すなわち、化合物1)など)または該化合物を含む組成物において、存在する該化合物の質量の少なくとも約2〜10%が固体で存在している物理的状態をいう。典型的には、化合物1の質量の大部分が固体状態形態である。より典型的には、化合物1の質量の少なくとも約80〜90%が固体形態である。固体状態形態としては、結晶性、不規則な結晶性、多結晶性、微晶質、ナノ結晶性、一部結晶性、非晶質および半固体形態またはその混合物が挙げられ、任意選択で、非固体または非結晶性の化合物1を包含する。さらに、化合物1の固体状態形態としては、多形、偽多形、水和物、溶媒和物、脱水水和物および脱溶媒溶媒和物ならびにその混合物が挙げられ、任意選択で、非固体または非結晶性の化合物1を包含する。したがって、化合物1の固体状態形態は、化合物1の単一の多形形態、化合物1の単一の偽多形形態、2種類以上、典型的には2種類もしくは3種類の化合物1の多形もしくは偽多形形態の混合物、またはこれらの固体状態形態の任意の1種類と、任意選択で化合物1の非固体または非結晶性との組合せ(ただし、化合物1の質量の少なくとも約2〜10%は固体形態であるものとする)を包含する。
【0036】
本明細書で用いる用語「結晶性」および関連用語は、物質、成分または生成物を説明するために用いている場合、目視検査または通常は適当な方法(典型的には、粉末X線回折などのX線回折方法)によって測定したとき、該物質、成分または生成物が結晶性であることを意味する[例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing,Easton Pa.,p173(1990);The United States Pharmacopeia,第23版,pp.1843−1844(1995)参照]。
【0037】
本明細書における用語「結晶性形態」および関連用語は、所与の物質の種々の結晶性の変形型、例えば、限定されないが、多形、溶媒和物、水和物、混合型溶媒和物、共結晶および他の分子複合体をいう。また、結晶性形態は、所与の物質の種々の結晶性の変形型の混合物、例えば、偽多形形態もしくは多形形態の組合せ、1種類以上の多形形態と1種類以上の偽多形との組合せ、またはかかる形態と当該物質の非晶質もしくは非固体状態形態との組合せなどであってもよい。典型的な組合せは、多形形態と偽多形形態の混合物、または多形もしくは偽多形形態と非晶質物質の混合物のような2種類以上の多形または偽多形形態のものである。典型的には、結晶性形態は、典型的には、そのXRPDパターンによって互いに識別可能である。本質的に同一のXRPDパターンを有するが、異なる結晶形態構造を有する固体状態形態は、形態構造が異なると物理的形状に関連する異なる特性が示されることがあり得るため、異なる結晶性形態とみなされる。物理的形状に関連する特性としては、溶解速度、安定性、吸湿性、機械的特性、例えば、強度、引張強度、適合性(打錠)ならびに取扱いに関連する特性、例えば、流動、濾過、ブレンドおよび種々の多形について本明細書に記載の他の物性または医薬特性が挙げられる。
【0038】
「多形」は、本明細書で用いる場合、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(すなわち、化合物1)の規定の結晶性形態をいう。多形は、典型的には、多形の格子内の分子の秩序のため物性において異なる。したがって、多形は、物性または医薬特性、例えば、吸湿性、溶解度、固有溶解速度、固体状態反応速度(すなわち、薬物物質もしくは薬物製品としての医薬成分の化学的安定性)、結晶性の安定性(すなわち、熱力学的により安定な結晶性形態に転移する傾向)、表面自由エネルギー、界面張力、機械的強度(例えば、硬度、脆性、塑性変形、従順性、可鍛性など)、引張強度、圧密性(すなわち、打錠)および加工性(例えば、取り扱い、流動、ブレンドなど)の1つ以上に差を示すことがあり得る。また、薬物物質の多形形態の物性および機械的特性の差は、規模拡大および研究室での手順からパイロットプラントを経、次いで充分な製造への移行に影響を及ぼすことがあり得る。また、設備の変更、加熱速度および冷却速度の変動ならびに攪拌手順の変動は、晶出に影響を及ぼすことがあり得、したがって、得られる結晶性形態に影響し得る。
【0039】
水和物、溶媒和物または混合型溶媒和物として存在する多形は、一般的に偽多形と称され、無水であるか溶媒和物でない親近(isostructural)構造の多形形態に鑑みると異なる多形形態または固体状態形態を表す。また、溶媒和物の実体または化学量論が異なる偽多形も、相互に鑑みると異なる多形形態または固体状態形態とみなされる。例えば、溶媒和物として存在する化合物1(例えば、結晶性III型)は、別の溶媒和物(例えば、結晶性IV型)または無水物(anhydrate)(例えば、結晶性I型)に鑑みると、異なる固体状態形態である。種々の温度および/または種々の水蒸気圧(例えば、相対湿度)もしくは有機溶媒の蒸気圧における水和物および溶媒和物の安定性プロフィールは、一部の場合において、親近構造の無水物または脱溶媒和物ものとは異なる。かかる違いは、種々の保存条件下において、薬物物質または薬物製品のいずれかとしての医薬活性成分(例えば、化合物1)の製剤、加工処理または安定性に影響を及ぼすことがあり得る。
【0040】
したがって、異なる結晶性形態または多形形態は、結晶格子内の分子の配列またはコンホメーションの結果として、異なる物性(例えば、融解温度、融解熱、溶解度および/または振動スペクトルなど)を有し得る(例えば、Byrn,S.R.,Pfeiffer,R.R.およびStowell,J.G.(1999)Solid−State Chemistry of Drugs,第2版,SSCI,Inc.:West Lafayette,Ind.参照)。多形および偽多形によって示される物性の違いは、バイオアベイラビリティにおいて重要な要素であり得る薬学的パラメータ、例えば、保存安定性、圧縮性および密度(製剤および製品の製造に重要)ならびに溶解速度などに影響を及ぼすことがあり得る。安定性の違いは、化学的反応性の変化(例えば、ある多形または偽多形で構成されている場合では、別の多形形態で構成されている場合よりも投薬形態がより急速に変色するというような酸化の差)、または機械的変化(例えば、動力学的に好都合な多形が熱力学的により安定な多形に変換された場合の保存時の錠剤の崩壊)または両方(例えば、ある多形の錠剤が、高湿度において分解され易い)に起因し得る。溶解度/溶解速度の違いの結果、極端な場合では、一部の多形転移により効力の欠如がもたらされ得、あるいは、別の極端な場合では、毒性がもたらされ得る。また、結晶の物性は、加工処理において重要であり得、例えば、ある多形は、例えば、結晶形態構造および/または粒径分布の違いによる不純物を含まない、濾過および洗浄が困難であり得る溶媒和物または水和物を形成し易いものであり得る。
【0041】
典型的には、結晶性形態は、1つ以上の物性または分析による特性(溶解速度など)、赤外線およびラマン分光法、X線回折手法(単結晶および粉末回折手法など)、固体状態−NMR(SS−NMR)、熱的手法(融点、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)など)および本明細書中の他の箇所に開示した他の方法によって互いに識別される。ある偽多形を特性評価し、別の多形形態と識別するためのさらなる方法としては、元素分析、カール・フィッシャー滴定、動的気相吸収分析、熱重量−赤外線分光分析(TG−IR)、残留溶媒ガスクロマトグラフィーおよび1H−NMRが挙げられる。
【0042】
用語「親近構造の結晶性形態」は、本明細書で用いる場合、別の結晶性形態と類似性(例えば、ほぼ類似した結晶格子内の格子面間隔)を有する共通構造を有する物質の結晶形をいう。したがって、親近構造の結晶性形態は、類似した分子充填モチーフを有するが、単位胞パラメータ(対称性翻訳)が異なる。共通構造の類似性のため、親近構造の結晶性形態は、典型的には、類似しているが必ずしも同一でない粉末X線回折パターンを有する。親近構造の結晶性形態は、中性分子または分子複合体である物質を主体とするものであり得る。親近構造の結晶性形態は、該物質の溶媒和物(水和物を含む)であってもよく、脱溶媒和された溶媒和物の結晶性形態であってもよい。多形の溶媒和物である親近構造の形態は、一部の場合において、非溶媒和多形に対して偽多形であると称される。溶媒和された結晶性形態は、典型的には、結晶格子内に1種類以上の溶媒(例えば、水)を含み、これは、該結晶性形態の調製で使用された晶出用溶媒(1種類または複数種)であってもよい。
【0043】
「非晶質」は、本明細書で用いる場合、3次元構造において、分子の互いに対する位置が本質的にランダムな化合物(例えば、化合物1)の固体状態形態をいう[例えば、Hancockら“Characteristics and significance of the amorphous state in pharmaceutical systems” J.Pharm.Sci. Vol.86,pp.1−12(1997)参照]。その結果、非晶質物質は、液体様の短距離秩序(short range order)のみを有し、X線回折によって調べた場合、一般的には、幅広で分散した散乱が生じ、場合によっては、1つ以上の非晶質散乱(halo)を中心とするピーク強度がもたらされる。したがって、非晶質物質のXRPD分析では、1つ以上の幅広のバンドを有し、顕著なピークのない2θパターンが示される。
【0044】
非晶質の化合物1は、一部の場合において、そのガラス転移温度(Tg)によって特性評価され得る。この温度により、化合物1の超冷却融体が、冷却されると結晶性の化合物1と類似した性質を有するガラス状構造を生成する擬二次相転移が規定される。しかしながら、Tgは動力学的パラメータであるため、この値は、該融体の冷却速度、およびその測定に使用される測定条件に依存性である(例えば、融体の冷却速度が低いほど、Tgは低くなる)。さらに、非晶質試料(非晶質の化合物1など)のTgは、存在する水分量に高度に依存性である。例えば、水分含有量が1%増加すると、Tgは約10℃以上低くなることがあり得る。非晶質の化合物1の試料のガラス転移温度は、一工程の転移として現れる2次吸熱転移を有する熱容量の変化が示される示差走査熱量測定(DSC)によって得られ得る。この転移の変曲点をTgとして示す。
【0045】
「製剤」または「薬学的に許容され得る製剤」は、本明細書で用いる場合、1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤に加えて、固体状態形態で存在する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(すなわち、化合物1)を含む組成物をいう。製剤は、化合物1の固体状態形態から調製される組成物であって、ヒトへの投与に適した組成物を包含する。製剤は、化合物1の1種類、2種類またはそれ以上の結晶性形態、例えば、化合物1の単一の多形または偽多形形態、化合物1の2種類の多形形態の混合物、または化合物1の多形形態と化合物1の偽多形形態との混合物で構成されたもの、または調製されたものであり得る。製剤は、非晶質の化合物1または化合物1の多形もしくは偽多形形態と非晶質の化合物1の混合物で構成されたもの、または調製されたものであってもよい。典型的には、該製剤は、化合物1の単一の結晶性形態(例えば、結晶性のI型、II型、III型もしくはIV型)、非晶質化合物1、または好ましさは低いが、単一の多形または偽多形形態と非晶質化合物1との混合物で構成されたもの、もしくは調製されたものである。好ましい製剤は、I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含むものである。
【0046】
「固形製剤」は、本明細書で用いる場合、化合物1が1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤の存在下で固体状態形態である製剤であって、製剤の調製に使用される化合物1の固体状態形態の質量の大部分が、該固体状態製剤に必要とされる比率で賦形剤と混合した場合、周囲温度で少なくとも約6ヶ月、通常、周囲温度で少なくとも約12ヶ月または24ヶ月、固体状態形態のままである製剤をいう。固形製剤である投薬単位としては、錠剤、カプセル剤、キャプレット剤、懸濁剤および処置の必要がある被検体への固体状態形態の医薬活性成分の経口投与と典型的に関連する他の投薬単位が挙げられる。
【0047】
「液状製剤」は、本明細書で用いる場合、化合物1の1種類以上の固体状態形態を1種類以上の賦形剤と混合または接触させた製剤であって、賦形剤の少なくとも1種類が、液状または非固体状態形態(すなわち、非固形賦形剤)であり、当該液状製剤に必要とされる比率で、化合物1の質量の大部分が非固形賦形剤中に溶解されているような製剤をいう。液状製剤を含む投薬単位としては、シロップ剤、ゲル剤、軟膏および処置の必要がある被検体への非固体状態形態の医薬活性成分の非経口または経腸投与と典型的に関連する他の投薬単位が挙げられる。
【0048】
「実質的に含まない」は、本明細書で用いる場合、化合物(化合物1など)の約60重量%より多くが所与の固体状態形態で存在していることをいう。例えば、非晶質物質を「実質的に含まない」結晶性化合物1という用語は、化合物1の約60%より多くが1種類以上の結晶性形態である化合物1の固体状態形態をいう。かかる組成物は、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%の1種類以上の結晶性形態である化合物1を含み、残余は非晶質または非結晶性化合物1として存在する。別の例において、結晶性形態を「実質的に含まない」非晶質の化合物1という用語は、化合物1の約60%より多くが非晶質である化合物1の固体状態形態をいう。かかる組成物は、典型的には少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%の非晶質の化合物1を含み、残余は、化合物1の1種類以上の結晶性形態として存在する。また別の例において、他の結晶性形態を「実質的に含まない」I型という用語は、化合物1の約60%より多くが単一の結晶性形態として存在する固体状態組成物をいう。かかる組成物は、典型的には、単一の結晶性形態としての化合物1を少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%含む。好ましい製剤は、I型としての化合物1を少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%含み、残余の化合物1は、他の結晶性形態または非晶質形態またはその組合せで存在するものである。他の好ましい製剤は、非晶質形態の化合物1を少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%含み、残余の化合物1は、1種類以上の結晶性形態で存在するものである。最も好ましい製剤は、約95〜99%のI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含むものであり、約97%、約98%または約99%が特に好ましい。
【0049】
「本質的に含まない」は、本明細書で用いる場合、ある成分が、その検出に使用される典型的な条件下で検出可能な量で存在しない、あるいは該成分がみられることがあり得る組成物または製剤の所望の特性に有害な影響を及ぼし得る量で存在しないと確認されたことをいう。例えば、「液状物を本質的に含まない」は、固体形態の組成物または製剤が、投与の必要がある被検体に固形投薬形態で投与するために使用される製剤または組成物の薬学的許容性に有害な影響を及ぼし得る量の水または液状形態の溶媒を含まないことを意味する。懸濁液は固形製剤とみなされ、かかる製剤では、懸濁製剤を構成する液状賦形剤(1種類または複数種)は、この定義に含まれない。「非晶質化合物1を本質的に含まない結晶性I型」は、非晶質化合物1がXRPD分析で検出されない化合物1の特定の結晶性形態をいう。典型的には、結晶性物質中の非晶質物質の検出限界は約10%である。
【0050】
「実質的に純粋」は、本明細書で用いる場合、化合物1の固体状態形態に含まれる全不純物が約3%未満もしくは約2重量%未満であること、あるいはより好ましくは、含まれる水分が約1重量%未満および/または不純物(分解もしくは合成の副生成物あるいは残留有機溶媒など)が約0.5重量%未満であることをいう。残留溶媒は、化合物1の固体状態形態の溶媒和物(例えば、偽多形)の一部である溶媒を包含しない。
【0051】
「実質的に同一」は、本明細書で用いる場合、典型的には試料の配置もしくは取扱またはトレースもしくは物理的特性を取得するために使用された計測器の実体と関連する差違の範囲内において、あるいは実験室環境内もしくは分析計測器内もしくは両者間に通常見られる他の差異または変動による差違の範囲内において、ピーク位置および振幅または強度が同等である値またはデータトレースにおいて、測定された物理的特性が同等であることをいう。
【0052】
「水和物」は、本明細書で用いる場合、固体状態形態全体を構成する一部分として水分子を含む化合物1の固体状態形態をいい、バルク化合物に非特異的に結合された水分は指さない。結晶性形態の化合物1の水和物は、孤立部位(isolated site)水和物またはチャネル(channel)水和物であり得る。水和物は、化合物1の1分子あたり化学量論量または非化学量論量の水分子を含むものであり得る。典型的には、水分は水和物中に、化合物1に対してモル基準で0.25、0.5、1.0、1.5または2.0の比率で存在する。
【0053】
「溶媒和物」は、本明細書で用いる場合、当該化合物の分子に明確な比で結合され、固体状態形態全体を構成する一部分である溶媒分子を含む化合物1の固体状態形態をいい、バルク化合物に非特異的に結合された溶媒をいうものではない。溶媒分子が水である場合、かかる溶媒和物は水和物と称される。
【0054】
「炎症状態」は、本明細書で用いる場合、炎症またはそれに関連する痛みまたは発熱の不適切または病的な存在を特徴とする状態をいう。炎症は、例えば、多発性硬化症などの自己免疫疾患において、発赤として存在することがあり得る。炎症は、急性または慢性であり得、2型糖尿病、アルツハイマー病および転移性の癌(例えば、転移性の前立腺または乳癌)などの病状において存在し得る。
【0055】
炎症状態としては、自己免疫状態(多発性硬化症など)、狼瘡状態(例えば、全身性エリテマトーデス)、関節炎の状態(例えば、関節リウマチ)、および腸の炎症状態(例えば、潰瘍性大腸炎またはクローン病など)が挙げられる。また、炎症状態としては、代謝性の病状(高血糖状態、糖尿病など)、肝硬変の状態(例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝の状態、急性および慢性の肺の病状(例えば、閉塞性肺疾患(COPD)、急性喘息、慢性喘息、気腫、急性気管支炎、アレルギー性気管支炎、慢性気管支炎および肺線維症)も挙げられる。
【0056】
「代謝性の病状」としては、本明細書で用いる場合、1型糖尿病、2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、高血糖、グルコース利用障害もしくはグルコース寛容減損、インスリン合成の傷害もしくは低下、高脂血症の状態(高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、遊離脂肪酸値の上昇など)、または大血管損傷(動脈のアテローム性動脈硬化、低リポ蛋白血症もしくは血管のアテローム性動脈硬化など)などの病状が挙げられる。高コレステロール血症としては、高LDLコレステロール血症またはLDLコレステロール値の上昇が挙げられる。低リポ蛋白血症としては、低HDLコレステロール血症または低HDLコレステロールレベルが挙げられる。1型糖尿病としては、免疫媒介性真性糖尿病および特発性真性糖尿病が挙げられる。2型糖尿病としては、優勢な、または著しいインスリン抵抗性、優勢なインスリン欠乏およびいくらかのインスリン抵抗性を伴う形態、ならびにこれらの中間の形態が挙げられる。
【0057】
また、化合物1の固体状態形態は、神経炎症、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症および加齢性黄斑変性に関連する疾患または病状を処置するために使用され得る。
【0058】
「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容され得る担体」または類似用語は、賦形剤と混合したとき固体状態形態である化合物1を医薬活性成分として含む組成物または製剤中のその他の成分と適合性であるという意味において許容され得る1種類以上の成分または材料を意味する。このような賦形剤は、通常、組成物製剤が投与される被検体に対して過度に有害でない。賦形剤としては、医薬製剤技術分野で典型的に使用されている1種類以上の成分、例えば、充填剤、結合剤、崩壊剤、分散剤、保存剤、流動促進剤、界面活性剤および滑沢剤の1種類、2種類またはそれ以上が挙げられる。例示的な賦形剤としては、ポビドン、クロスポビドン、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微晶質セルロース、アラビアゴム、ポリソルベート80、ブチルパラベン、プロピルパラベン、メチルパラベン、BHA、EDTA、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ヒマシ油、オリーブ油、植物油、緩衝剤(水酸化ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、一塩基性リン酸カリウム、二塩基性リン酸カリウム、三塩基性リン酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化アンモニウム、塩化アンモニウムなど)、糖類(マンニトール、グルコース、フルクトース、スクロースまたはラクトースなど)が挙げられる。
【0059】
「被検体」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、哺乳動物または脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、イヌまたは齧歯類などである。
【0060】
「表面活性剤」(界面活性剤)は、低濃度で、固体(不溶性またはやや溶けにくい)と液体の表面間で相互作用する物質を意味する。液体は、医薬活性成分の固体状態形態(化合物1の結晶性形態)、液状賦形剤、および懸濁性を改善する作用をする表面活性剤を含む懸濁製剤中に存在する該液状賦形剤であり得る。あるいはまた、表面活性剤を、化合物1の多形または偽多形(例えば、結晶性I型、II型、III型もしくはIV型)、化合物1の非晶質形態またはその混合物、および表面活性剤を含む経口固形投薬形態中に存在させてもよく、該表面活性剤は、胃液中への医薬活性成分の溶解速度を改善する作用をする。表面活性剤は、同一分子内に極性(親水性)領域と非極性(疎水性)領域の両方を有する構造では両親媒性である。製剤技術分野で使用されている表面活性剤の例は、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology 第2版 TaylorおよびFrancis,2006,pp3583−3596のCorrigan,O.I.;Healy,A.M.“Surfactants in Pharmaceutical Products and Systems”に示されている。
【0061】
「懸濁剤」は、懸濁剤の投与前の時点において、化合物1の固体状態形態が、通常、微細化された(例えば、微粉化された)固体として液状担体(ビヒクル)に存在するものを一般に意味する。懸濁剤は、使用の準備ができたもの、または使用直前に懸濁剤の投薬形態として再構成される乾燥粉末のいずれかであり得る。懸濁剤には、典型的には、懸濁化剤または凝集剤、湿潤剤(既に存在させた懸濁化剤または凝集剤がまだこの目的を果たさない場合)、緩衝剤および保存料が含まれる。コロイド状懸濁剤では、化合物1の粒子は、典型的には約1μm未満の大きさである。粗懸濁剤では、該粒子は約1μmよりも大きい。粗懸濁剤中の個々の懸濁可能な化合物1の粒子の実用上の上限は、約50μm〜75μmであるが、懸濁剤の易注射針通過性によっては、一部の割合が粒子が200μmまでであるのが適当なこともあり得る。経口または非経口投与のための懸濁剤を開発するための設計考慮事項は、Akersら J.Parenteral Sci.Tech.1987 Vol.41:pp88−96;Encyclopedia of Pharmaceutical Technology 第2版 TaylorおよびFrancis,2006,pp3597−3610のNash,RA“Suspensions”(これは、引用により、本出願書類における特定性を伴って本明細書に組み込まれる)に示されている。
【0062】
固体状態形態の特性評価および同定方法
モルホロジー−結晶モルホロジーは、結晶構造内の原子の規則的な内部配列により結晶面によって示される結晶内の対称性をいう。特定の結晶性形態の結晶モルホロジーは、しばしば、結晶性形態の結晶系、すなわち、三斜晶系、単斜晶系、斜方晶系、正方晶、六方晶系または等軸晶系によって示される。より典型的には、結晶性物質の試料中の結晶の結晶形態構造は、試料中の結晶の大部分の物理的外観をいい、例えば、ブレード型、プレート型、タブレット型、針状型などの形状の記述的表示によって示される。結晶形態構造は、通常光または偏光を使用し、例えば約2倍、10倍、40倍または100倍の倍率での顕微鏡による評価による観測結果によって測定され得る。
【0063】
粉末X線回折−粉末X線回折(XRPD)は、典型的には、結晶性化合物を特性評価または同定するために使用される(例えば,U.S.Pharmacopoeia,第23巻,1995,method 941,pp.1843−1845,U.S.P.Pharmacopeia Convention,Inc.,Rockville,Md.;Stoutら,X−Ray Structure Determination;A Practical Guide,MacMillan Co.,New York,N.Y. 1968参照)。X線光線が結晶性形態と相互作用すると、典型的には、結晶性形態の格子の特徴に依存する位置における強度極大のシーケンスを特徴とする回折パターンが得られる。したがって、XRPD線の位置および相対強度は、多くの場合で所与の結晶性形態に特異的である「フィンガープリント」をもたらす特定の結晶性形態を示すが、連続的な結晶バッチで得られる再現回折パターンにおいて、弱いまたは非常に弱い回折ピークが常に出現するとは限らない。これは、他の結晶性形態が試料中に適用可能な量で存在する場合、例えば、多形または偽多形形態が一部水和、脱水、脱溶媒和または加熱された状態となって、有意な量の別の多形または偽多形形態が得られた場合、特にそうである。
【0064】
さらに、特に小さいX線入射角度値(小2θ)におけるバンドの相対強度は、例えば、晶癖、粒径および他の測定条件の違いによって生じる優先方位効果のため、異なることがあり得る。したがって、典型的には、振幅とカップリングされるピークの相対位置が着目される。広がったXRPDピーク(互いに近い位置に存在する2つ以上の個々のピークからなるものであり得る)は、非晶質成分、不規則な結晶性形態または主光線からの寄生散乱によってもたらされ得る。同じ固体状態形態の異なる試料での広がったピークは、一般的に、約0.3〜1度の2θ以内に存在する。同じ固体状態形態の異なる試料でのシャープで孤立したXRPDピークは、通常、標準の解像データでは約0.1度の2θ以内、または場合によっては、連続的XRPD分析において、約±0.2度の2θ以内に見られる。したがって、所与の位置のシャープで孤立したXRPDピークが、例えば約16.1または16.07に存在すると特定されている場合、これは、ピークが16.1±0.1または16.07±0.1に存在することを意味する。所与の位置の広がったXRPDピークがほぼ所与の角度2θ値に存在すると特定されている場合、これは、ピークが該角度2θ値±0.3に存在することを意味する。
【0065】
XRPDパターンは「顕著なピーク」によって表示され得る。顕著なピークは、観測されたピークから、好ましくは重複していない小角ピークを同定することにより選択される。顕著なピークは、X線回折パターンの最も強度の大きいピークとの比較において、少なくとも約5%、もしくはより典型的には少なくとも約10%の相対強度、または少なくとも約15%、もしくは少なくとも約20%の相対強度を有するものである。一部の場合において、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態のXRPDパターンを表示するため、5%より小さい強度の1つ以上のピークが顕著とみなされることがあり得、より顕著な(すなわち、少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20%の相対強度の)1つ以上のピークに加えて使用される。
【0066】
XRPDパターンを得るために、同じ計測器およびプロトコルを使用する再現可能な研究所内条件下で、同じ程度の結晶化度を有する同じ固体状態形態の異なる試料での連続的XRPD分析で得られるXRPDピーク位置および強度の差は、主に、試料調製物または
試料の純度の違いによるものである。
【0067】
通常、単一のバンドでも化合物1の所与の多形または偽多形形態の判断が行われ得るため、本明細書に開示する精製多形または偽多形試料において観察されるすべてのピークに依存する必要はない。むしろ、同定は、典型的には、ピークの位置および全体的なパターンに着目して、特に、顕著なピークの選択に着目して、本明細書に記載の種々の多形および偽多形形態を識別するのがよい。典型的には、化合物1の個々の多形または偽多形形態は、2、3もしくは4つの最も強度の大きい、または2、3もしくは4つの顕著なピークに対する参照により示され、任意選択で、1種類または2種類の他の物理的特性または分析による特性により示される。該特性としては、融点、示差熱分析(DTA)または示差走査熱量測定(DSC)において観察される1回以上の熱転移、規定の温度範囲において生じるTGAにおける重量減損の割合、赤外線またはラマン分光法において観察される1ヶ所以上の吸収ピーク、および固有溶解速度(DR)が挙げられる。XRPD、DTA、DSC、DRなどのデータを得るための標準化された方法は、例えば、U.S.Pharmacopoeia,第23巻,1995,United States Pharmacopeial Convention,Inc.,Rockville,MD,pp2292−2296および2359−2765(引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0068】
固体状態と思われる試料(例えば、既知の多形または偽多形形態を含む固体状態製剤)中の該既知の多形または偽多形形態を確認するための方法の一例は、該既知の多形または偽多形形態を含む試料(1つまたは複数)の1つ以上のXRPDパターンを得、次いで、これを該固体状態と思われる試料のXRPDパターンと比較すること(例えば、米国特許出願公開番号2004/0103130(引用により本明細書に組み込まれる、特に段落0067〜0078および段落0086〜0115(両端を含む))に記載のヒューリスティック・クラスタリング分析法を使用)を伴う。また、ヒューリスティック・クラスタリング分析は、結晶相の混合型(例えば、2種類以上の多形形態の混合物)または結晶性相と不規則相の混合型(例えば、多形形態と非晶質形態の混合物)のいずれかを含む試料の定量的分析にも使用され得る(例えば、米国特許出願公開番号2004/0103130(引用により本明細書に組み込まれる、特に段落0116〜0130(両端を含む))に記載)。
【0069】
また、XRPDパターンから誘導される原子のペアワイズ分布関数(PDF)の比較を用いても、固体状態と思われる試料(例えば、該既知の多形または偽多形形態を含む固体状態製剤など)中の既知の多形または偽多形が同定され得る。2つの結晶性形態が同じ分子充填を有する同じ分子のものである場合、そのPDFは本質的に同じである。例えば、既知の多形形態または偽多形形態と、これらの結晶性形態を含むと思われる固体状態製剤から得られる2つのPDFが本質的に同一であるかどうかを調べるためには、PDFを、例えば、米国特許出願公開番号2007/0243620(引用により本明細書に組み込まれる)に記載の方法によって比較する。
【0070】
本質的に純粋な多形または偽多形の高分解能XRPDパターン(1つまたは複数)が得られた場合、結晶性形態の単位胞パラメータ(単結晶X線分析のセクションに記載)が、例えば、米国特許出願公開番号2007/0270397(引用により本明細書に組み込まれる)の場合のようなインデックス表示法によって測定され得る。偽多形では、親近構造の結晶性形態(すなわち、参照結晶性形態)、例えば、親近構造の無水物(偽多形の脱水和および/または脱溶媒和によって得られ得る)が得られた場合、親近構造の結晶性形態の単位胞体積と、高分解能XRPDパターン(1つまたは複数)から求めた単位胞体積との比較により、偽多形の化学量論(すなわち、化合物1の1分子あたりの水または溶媒分子の数)の測定が可能となり得る。かかる適用では、参照親近構造の結晶性形態の単位胞パラメータは、単結晶X線分析から得られ得るか、またはこの参照形態の高分解能XRPDデータのインデックス表示により得られ得る。
【0071】
また、化合物1のある固体状態形態が、他の結晶性形態を本質的に含まない所与の結晶性形態を含むかどうかを調べるためには、指数付けが使用され得る。これは、前述の指数付け方法によって測定された単位胞の許容反射を、実験により得られたXRPDパターンのピークと、弱め合う干渉のために存在しないピークを考慮して比較することにより行なわれ得る。指数付けの解では許容されない実験によるXRPDにおける1つ以上の顕著なピークの存在は、化合物1の1種類以上の他の結晶性形態の存在を示す。
【0072】
振動分光法−化合物1の結晶性形態(多形または偽多形形態など)を特性評価するために任意選択で使用され得る判断手法としては、振動分光法手法(IRおよびラマンなど)が挙げられ、これは、入射エネルギーに応答して振動する試料の分子内における特定の化学結合の存在による固体状態試料に対する入射エネルギーの効果を調べるものである。多形形態と偽多形形態は、互いに異なるIRおよびラマン特性を有し得るため、IRおよびラマンスペクトルにより相補的な情報が得られ、いずれかにより、特定の多形の同定のためのフィンガープリントが得られ得る[Anderton,C.Eur. Pharm. Rev., Vol. 9, pp.68−74(2004)参照]。
【0073】
ラマンでは、複雑なマトリックス(例えば、錠剤処方物)中の多形または偽多形の実体測定および/または定量を行なうことができ、非晶質形態と結晶性形態とが識別でき、または化合物1の多重多形形態と偽多形形態とが差別化することができる[例えば、Pratiwia,D.ら“Quantitative analysis of polymorphic mixtures of ranitidine hydrochloride by Raman spectroscopy and principal components analysis”Eur.J.Pharm.Biopharm.Vol.54,No.3,pp.337−341(2002)参照]。結晶性形態の混合物を含む処方物ではしばしば、化合物1の多形または偽多形不純物を約10%認識可能である(約0.05%w/wの絶対検出限界を表す)。
【0074】
上記の振動分光法方法を用いて固形製剤などの複雑なマトリックス内の化合物1の結晶性形態の多形または偽多形の実体測定または定量を行なうため、全反射減衰(ATF)の手法が、一部の場合において使用される(一例は、Salari,H.ら“Application of attenuated total reflectance FTIR spectroscopy to the analysis of mixtures of pharmaceutical polymorphs” Intl. J. Pharm., Vol. 163, No. 1, pp.:157−166(1998)参照のこと]。
【0075】
化合物1の結晶性形態などの結晶性材料の同定または定量のための別の手法は、拡散反射率赤外線フーリエ変換分光分析(DRIFTS)である(一例については、Tantishaiyakul,V.ら“Use of DRIFTS and PLS for the Determination of Polymorphs of Piroxicam alone and in combination with pharmaceutical excipients:A Technical Note”AAPS PharmSciTech , Vol. 9, No. 1, pp. 95−99 (2008)を参照のこと]。
【0076】
また別の手法では、近赤外線(NIR)分光法もまた、固体状態形態の混合物中の化合物1の結晶性形態(多形または偽多形形態(例えば、水和物)など)の同定または定量的分析、あるいは化合物1の多形または偽多形形態を含む固形製剤(例えば、錠剤)中の多形または偽多形形態の同定に使用され得る。
【0077】
種々の振動分光法方法によって調べたとき、化合物1の異なる結晶性形態のIRまたはラマンバンドに重複が、一部の場合において見られることがあり得るため、同定または定量には、個々の各成分に関する情報を抽出するためのデコンボルーション法が必要とされる。かかるデコンボルーション法としては、部分最小二乗回帰、主成分分析または他の方法論が挙げられる[一例については、Reich,G.“Near−infrared spectroscopy and imaging:Basic principles and pharmaceutical applications”Adv.Drug Deliv.Rev. Vol.57:pp.1109−43(2005)を参照のこと]。
【0078】
固体状態核磁気共鳴(SS−NMR)−化合物1の多形を特性評価するために任意選択で使用され得る判断手法としては、固体状態NMR手法が挙げられる[一例については、
Tishmack,P.A.ら“Solid−State Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy:Pharmaceutical Applications,”J.Pharm.Sci. Vol.92,No.3,pp.441−474(2003)を参照のこと]。この手法は、非破壊的で非侵襲であるという利点をもたらす。SS−NMR分光法は、ほとんどの医薬用賦形剤のNMR共鳴がNMRスペクトルの狭い範囲内で起こるため、一部の場合において、薬物製剤(化合物1を含むものなど)の試験に適している。
【0079】
また、SS−NMRは、化合物1を含む固形製剤の解析に適用され得、したがって、賦形剤の存在下で化合物1の異なる固体状態形態の検出に有用であり得る。化合物1の固体状態サンプルにおける非晶質化合物1の検出では、SS−NMRの検出限界は、スペクトル内の非晶質および結晶性形態のピークの相対位置に応じて、約10〜20%であることが期待される。なぜなら、非晶質ピークは、一般的に非常に広がっているためである。これは、XRPDとほぼ同じ検出限界である。さらに、NMR分光法は、本質的に定量的手法(すなわち、シグナル強度がその特定の共鳴周波数の核部位の数に相対的である)であるため、SS−NMR分光法により、化合物1の結晶性形態の寄与、または結晶性および非晶質化合物1のかかる形態の混合物中における寄与が測定され得る。
【0080】
熱量関連分析手順−化合物1の多形を特性評価するために任意選択で使用され得る判断手法としては、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)および融点測定が挙げられる。
【0081】
DTAおよびDSCでは、結晶性形態が、その結晶構造が変化したとき、または融解したときに熱を吸収または放出する熱転移温度が測定される。TGAは、試料の加熱に伴う重量変化をモニタリングすることにより、熱安定性および試料の揮発成分の割合を測定するために使用される。偽多形のTGA分析中に発生放出される揮発成分に対して赤外線分光法を行なうと(TGA−IR)、偽多形の分子組成が決定され得る。したがって、この手法は、溶媒和物および/または水和物として存在する固体状態形態の特性評価に有用である。
【0082】
DTAは、化合物1の固体状態形態の試験試料および不活性参照を同一条件下で加熱しながら、試料と参照間に温度差があれば記録することを伴う。
【0083】
DSCでは、同一加熱条件(regime)に供したときに試料と不活性参照間にほぼゼロの温度差を確立するために必要とされるエネルギーが測定される。
【0084】
DSCおよびDTAにおいて観測される熱転移温度は、典型的には10℃/分の温度スキャン速度を用いた連続解析において約2℃または±2℃以内であり、使用される温度スキャン速度によっては約1℃または±1℃以内であり得る(場合によっては、低いスキャン速度(5℃/分または1℃/分など)ほど、高い精度がもたらされる)。化合物1の試料が所与の値でDSC転移またはDTA転移を有する場合、これは、該試料のシャープな転移(シャープな吸熱ピークなど)について、該DSC転移またはDTA転移が、通常、約2℃または±2℃以内であることを意味する。広がった転移では、温度転移は、該転移のピークの中心(発熱転移の場合)または谷間(吸熱転移の場合)をいう。広がった転移、特に、脱水または脱溶媒和により生じる転移では、非常に幅広い転移に対して、10℃/分の温度スキャン速度を用いた連続的分析が、約3℃もしくは±3℃またはそれ以上で行なわれ得る。多形または偽多形形態などの異なる結晶性形態は、少なくとも一部において、DSCまたはDTAのサーモグラフの転移温度プロフィールの違いに基づいて同定され得る。
【0085】
熱量関連分析は、通常、10℃/分の温度スキャン速度で行なわれる。温度転移の重複が疑われる場合は、低いスキャン速度(5℃/分または1℃/分など)が使用され得る。したがって、試料が完全に融解する前の異なる、より安定な多形への多形形態の変化による転移の疑いが、低いスキャン速度を用いて認識され得る。完全な融解前に、熱力学的により安定な多形への動力学的に形成された多形の熱量関連分析中の転移は、転移が起こる時間を許容しない高いスキャン速度を用いて回避され得る。
【0086】
特性評価および同定方法のためのデータ取得
種々の図、表および実施例に示したデータは、下記の方法および計測器を用いて得た。
【0087】
粉末X線回折−XRPDパターンは、以下の方法の1つを用いて取得した。PANalytical X’Pert Pro回折計。Optix社製の長焦点微小焦点線源(long,fine−focus source)を用いてCu Kα放射線の入射光線を生成させた。楕円形の段階的多層の鏡を使用し、線源のCu KαX線を、被検物を通して検出器上に集中させた。光線停止およびヘリウム雰囲気を使用し、空気散乱によって生じるバックグラウンドを最小限にした。軸方向の発散を最小限にするため、入射光線および回折光線には、ソーラスリットを使用した。分析前、シリコン被検物(NIST SRM 640c)を分析して、Si 111ピーク位置を確認した。回折パターンは、被検物から240mmに配置した走査位置感受性検出器(X’Celerator)を用いて収集した。データは、X’Pert Pro Data Collectorソフトウェア(v.2.2b)を用いて収集し、解析した。被検物を3μm厚のフィルム間にサンドイッチし、透過による幾何学的構造解析において分析し、回転させて方位統計値を最適化した。
【0088】
また、XRPDパターンを、湾曲位置感受性検出器を備えたInel XRG−3000回折計を用い、120°の2θ範囲で収集した。Cu Kα放射線(40kV,30mA)の入射光線を使用し、0.03°2θの分解能(約4°の2θで開始)でデータをリアルタイムで収集した。モノクロメータースリットを160μmずつ5mmに設定した。分析前、シリコン標準(NIST SRM 640c)を分析し、Si 111ピーク位置を確認した。回折放射線は、ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器によって検出した。試料は300秒間解析した。分析用の試料は、薄壁ガラスキャピラリー内に充填することにより調製した。各キャピラリーをゴニオメータ頭部に載せ、データ取得の間、回転させた。
【0089】
また、XRPDパターンを、Shimadzu WRD−6000粉末X線回折計でも、Cu Kα放射線を用いて取得した。計測器には、長焦点微小焦点X線チューブおよび湾曲グラファイトモノクロメーターを取り付けた。チューブの電圧およびアンペア数は、それぞれ、40kVおよび40mAに設定した。発散および散乱スリットは1°に設定し、受光(receiving)スリットは0.15mmに設定した。分析前、シリコン標準(NIST SRM 640c)を分析してSi 111ピーク位置を確認した。回折放射線は、ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器によって検出した。データは、XRD−6100/7000ソフトウェア(v.5.0)を用いて収集し、解析した。分析用の試料は、シリコンゼロ−バックグラウンドホルダー内に入れることにより調製した。
【0090】
本明細書に示したX線回折パターンは、標識ピークおよび/またはピークリストを示した表を伴う。報告したピークデータは、ほとんどの状況において、約30°の2θまでの範囲内である。場合によっては、四捨五入アルゴリズムを使用し、データ収集に使用する計測器および/または固有ピーク分解能に応じて、各ピークを最も近い0.1°または0.01°の2θに四捨五入した。
【0091】
図および表において報告したピークのx軸に沿った位置(角度2θ)は、PATTERNMATCHTM2.4.0ソフトウェアにより自動的に測定されたものであり、上記の基準に基づき、小数点以下、1桁または2桁の有意な桁まで四捨五入した。ピーク位置の差異は、United States Pharmacopeia,USP 31,NF
26,Vol.1,p.374に示されたUSP discussion of variability in X−ray powder diffractionに概説された推奨に基づき、±0.1度の2θ以内で示す。d−空間リストでは、d−空間の計算に使用した波長を、Cu−Kα1波長とCu−Kα2波長の加重平均である1.541874Åとした[Phys.Rev. Vol.A56,No.6,pp.4554−4568(1997)]。d−空間の推定に伴う変動を各d−空間において、USP推奨から計算し、それぞれのデータテーブルに示す。
【0092】
示差走査熱量測定(DSC)−DSCは、TA Instruments Q2000示差走査熱量測定装置を用いて行なった。NIST追跡可能インジウム金属を使用し、温度較正を行なった。試料をアルミニウム製DSCパン内に入れ、重量を正確に記録した。このパンをレーザーピンホールを有する有孔蓋で覆い、この蓋を押し付けた。重量計測して蓋を押し付けたアルミニウム製パンをセルの参照側上に置いた。試料セルを25℃で平衡化し、一部の場合では−30℃まで冷却し、窒素パージ下、10℃/分の速度で最終温度300℃まで加熱した。インジウム金属を較正標準として使用した。報告した温度は転移極大におけるものである。非晶質物質のガラス転移温度(Tg)に関する試験では、試料を−20℃で平衡化し、次いで、窒素下、1℃/分の速度で160℃まで加熱した。Tgは、転移の変曲点を報告している。
【0093】
示差熱分析(DTA)−DTAは、Seiko SSC 5200 TG/DTA計測器を用いて同時に行なった。NIST追跡可能インジウム金属を使用し、温度較正を行なった。試料をアルミニウム製パン内に入れ、緩く蓋をし、重量を正確に記録した。試料セルを25℃で平衡化し、次いで、窒素パージ下、10℃/分の速度で最終温度300℃まで加熱した。報告した温度は転移極大におけるものである。
【0094】
熱重量分析(TGA)−TGAは、TA Instruments Q5000 IR熱重量分析装置を用いて、またはDTA/DSCをSeiko SSC 5200 TG/DTA 計測器を用いて同時に行なった。ニッケルおよびALUMELTMを用いて温度較正を行なった。各試料をアルミニウム/または/白金製パン内に入れた。このパンを蓋で密封シールし、TG炉内に挿入する直前にパンチング機構を用いて開放した。炉を窒素下、10℃/分の速度で最終温度350℃まで加熱した。
【0095】
熱重量−赤外線分光(TG−IR)分析−TG−IRは、Ever−Glo中/遠IR源、臭化カリウム(KBr)ビームスプリッターおよびテルル化水銀カドミウム(MCT−A)検出器を備えたMagna−IR 560TMフーリエ変換赤外(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)にインターフェース接続されたTA Instruments製の熱重量分析(TG)の分析装置2050型において行なった。FT−IR波長の確認はポリスチレンを用いて行ない、TGの較正標準はニッケルおよびAlumelTMとした。試料を白金試料パンに入れ、このパンをTG炉内に挿入した。まず、TG計測器を始動させ、直後にFT−IR計測器を始動させた。TG計測器は、ヘリウム流の下、バージおよび平静をそれぞれ90および10cc/分で操作した。炉は、窒素下、20℃/分の速度で250℃の最終温度まで加熱した。IRスペクトルは、ほぼ32秒ごとにほぼ13分間収集した。各IRスペクトルには、4cm−1のスペクトル分解能で収集される32同時スキャンを使用した。揮発性物質は、高分解能Nicolet Vapor Phaseスペクトルライブラリーの検索により同定した。
【0096】
FT−ラマン分光法−ラマンスペクトルは、ヒ化ガリウムインジウム(InGaAs)検出器を備えたNexus 670 FT−IR分光光度計(Thermo Nicolet)とインターフェース接続されたNexus 670 FT−ラマンアクセサリーモジュールにおいて取得した。波長の確認は、イオウおよびシクロヘキサンを用いて行なった。分析用の各試料は、試料をガラスチューブ内に入れ、このチューブを金コーティングチューブホルダー内に配置することにより調製した。ほぼ0.5WのNd:YVO4レーザーパワー(1064nm励起波長)を用いて試料に照射した。各スペクトルは、4cm−1のスペクトル分解能で収集された256個の画像を結合した(co−added)スキャンを使用した。
【0097】
また、ラマンスペクトルは、ヒ化ガリウムインジウム(InGaAs)検出器を備えたNexus 670 FT−IR分光光度計(Thermo Nicolet)とインターフェース接続されたNexus 670 FT−ラマンアクセサリーモジュールにおいて取得した。波長の確認は、イオウおよびシクロヘキサンを用いて行なった。分析用の各試料は、試料をガラスチューブ内に入れ、このチューブを金コーティングチューブホルダー内に配置することにより調製した。
【0098】
製剤−医薬活性成分として化合物1を含む製剤は、1種類以上の固体状態形態、典型的には1種類または2種類の固体状態形態の化合物1を有意な割合で有する。例示的な製剤は、1種類の固体状態形態の化合物1を少なくとも約60%または、通常、少なくとも約90%含むものである。製剤は、通常、化合物1の1種類以上の所与の固体状態形態を含み、他の固体状態形態を実質的に含まず、1種類以上の、典型的には1、2、3または4種類の賦形剤または担体を含む。他の製剤は、1種類以上、典型的には1種類または2種類の固体状態形態の化合物1を含むものであり得る。他の製剤は、一般的に、化合物1の1種類以上の固体状態形態(化合物1の非晶質形態、化合物1の結晶性I型もしくは結晶性III型またはその混合物など)を含む固形物、析出物、ゲル状物、懸濁液およびコロイドである。好ましい製剤は、単一の結晶性形態(I型が好ましい)が使用されたものである。ヒトでの使用のための好ましい経口単位投薬形態は、単位用量あたり約2mg、5mg、10mg、15mg、20mgまたは40mgの化合物1の固体状態形態を含むものであり、ヒトの慢性炎症状態の処置には単位用量あたり2mg、5mgおよび10mgが好ましく、ヒトの急性炎症状態の処置には単位用量あたり15mgおよび20mgが好ましい。
【0099】
固体状態の化合物1は、純粋な化合物として被検体に投与することが可能であるが、通常は、液状物を本質的に含まない固形製剤として、または頻度は少ないが固形懸濁剤として提示される。製剤は、典型的には、経口、口腔内または舌下投与のための投薬単位、例えば、錠剤、カプセル剤またはロゼンジ剤を調製するために使用される。あるいはまた、ある実施形態は、非経口(例えば、皮下、真皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内またはエーロゾル)投与のための製剤を含み、該製剤は、化合物1の固体状態形態(非晶質の化合物1、または化合物1の結晶性形態(例えば、I型)など)を、液状賦形剤(例えば、水、緩衝水溶液、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールまたはエタノールの任意の1種類、2種類、3種類またはそれ以上)と接触させ、任意選択で、該溶液を滅菌し、任意選択で、該溶液を、バイアルまたはアンプル(典型的には褐色ガラス製)(単回使用であっても反復使用であってもよい)内に分配し、任意選択で、該製剤を低温(約0〜12℃、または約2〜10℃)で保存する方法によって作製される。また、かかる製剤は、任意選択で経口投与のためにも使用され得、任意選択で、1種類以上の塩、バッファーまたは静菌剤または保存剤(例えば、NaCl、BHA、BHTもしくはEDTA)を含んでいてもよい。一部の場合において、表面活性剤が、懸濁剤に作用させるために使用されるか、または胃腸管への化合物1の固体状態形態(例えば、I型)の溶解を補助するために経口固形投薬形態中に組み込まれる。一般に、経口投与のための製剤が、ヒト治療適用用途に好ましく、固形経口製剤が特に好ましい。
【0100】
懸濁剤または液状賦形剤(1種類もしくは複数種)中の化合物1の固体形態に使用される表面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系およびアニオン系界面活性剤が挙げられる。好ましい界面活性剤の例としては、限定されないが、ラウリル硫酸、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリソルベート40およびポリソルベート80が挙げられる。
【0101】
一実施形態において、ラウリル硫酸ナトリウムが表面活性剤として、本明細書に開示した病状の処置における経口投与のための錠剤またはカプセル剤などの単位投薬形態に使用され、ここで、製剤は、他の化合物1の固体状態形態を本質的に含まない化合物1の結晶性I型と、表面活性剤を含み、任意選択で、1種類以上のさらなる賦形剤を含むものである。
【0102】
微粉化−化合物1の少なくとも1種類の結晶性形態と1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤を含む固形投薬形態の製剤中の化合物1の結晶性形態の溶解速度を改善するため、または化合物1の結晶性形態と液状賦形剤(1種類もしくは複数種)を含む経口もしくは非経口投与のための懸濁剤の懸濁性に作用させるため、該結晶性形態を、約0.01〜200μm、または約0.1〜100μmまたは好ましくは、約3〜50μmの体積加重平均粒径(Dv,50)または平均直径にミル処理してもよい。したがって、ミル処理された結晶性化合物1の体積加重平均粒径(Dv,50)または平均直径は、比較的小さくてもよく(例えば、約0.1〜1.0μm)、いくぶん大きくてもよい(例えば、約3〜100μm)。ミル処理された結晶性化合物1は、被検体への経口または非経口投与が意図される固形製剤および懸濁製剤の調製に適している。好ましくは、体積加重平均粒径(Dv,50)または平均直径は約5、約10、約15または約20ミクロンである。該粒径(Dv,90)は、典型的には約5ミクロン、約10、約15、約20、約25または約30ミクロンである。好ましい粒径は、≦10ミクロンの(Dv,90)または約7ミクロンの(Dv,90)を有する。
【0103】
微粉化方法としては、ボールミル、ピンミル、ジェットミル(例えば、流体エネルギージェットミル)によるミル処理、および磨砕、篩い分けならびに溶液からの化合物(1種類または複数種)の沈澱が挙げられ、例えば、米国特許第4,919,341号、同第5,202,129号、同第5,271,944号、同第5,424,077号および同第5,455,049号(これら全体は、引用により具体的に組み込まれる)を参照されたい。粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法、光学顕微鏡法、X線回折法および光散乱法またはコールターカウンター分析(例えば、“Characterization of Bulk Solids”D.McGlinchey編,Blackwell Publishing,2005参照)によって測定される。
【0104】
したがって、結晶性化合物1は、このような体積加重平均粒径または平均直径の粒径の1種類または2種類またはそれ以上を含む粉末を含むもの、または本質的に該粉末からなるものであり得、該粉末を固形賦形剤(1種類または複数種)(混合されたものであり得る)と接触させ、任意選択で圧縮または所望の形状に成形してもよい。あるいはまた、上記のようにして(a described above)粉末に形成された結晶性化合物1を、液状賦形剤(1種類または複数種)と接触させて液状製剤または液状組成物を調製し、これを固形製剤または懸濁剤に組み込む。したがって、好適な微粉化製剤としては、結晶性化合物1の水性または油性の懸濁剤が挙げられる。
【0105】
投与プロトコルまたは方法−本明細書に開示する任意の病状または症状の処置において、化合物1の結晶性または非晶質の形態を含む組成物または製剤は、該病状または症状に苦しんでいるか、または易罹患性である被検体に連続的に(毎日)投与してもよく、断続的に投与してもよく、好ましくはI型を含む製剤を投与する。
【0106】
本明細書に記載の経路によって、および他の標準的な治療用薬剤または処置との併用療法の使用によって投与される固体状態形態の化合物1の投薬量は、本明細書に開示した任意の疾患または病状に対して、本質的に上記のようにして適用され得る。したがって、固体状態形態の化合物1は、慢性の病状において予防的または治療的に投与され得るか、あるいは急性事象(処置対象の状態と関連する一時的な疼痛増強など)の時点またはその比較的直後に投与され得る。予防的投与は、事象、例えば、多発性硬化症、関節炎または喘息発赤の予測される発生率または重症度を低下させるために使用される。
【0107】
固体状態形態の調製方法
本実施例に記載の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態は、以下の方法の1つ以上を用いて取得した。
【0108】
高速エバポレーション(FE):化合物1の飽和溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて周囲温度で調製した。この溶液をきれいなバイアル内に濾過し、キャップを外して周囲条件下でエバポレーションさせた。
【0109】
非常に高速のエバポレーション(VFE):化合物1のエタノールの溶液を高温で調製した。この試料をきれいなペトリ皿内に濾過し、乾燥を助長するため、試料に窒素を吹き付けた。固形物を収集し、直ちに解析した。
【0110】
低速エバポレーション(SE):化合物1の飽和溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて周囲温度で調製した。この溶液をきれいなバイアル内に濾過し、これらのバイアルをアルミニウムホイルで覆った。このホイルに多数の小さい孔をあけ、周囲条件下でエバポレーションさせた。
【0111】
低速冷却(SC):化合物1の飽和溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて高温で調製した。この溶液を直ちに、温めたバイアル内に濾過した。バイアルを密封し、ゆっくりと放冷した。形成された固形物を真空濾過によって単離し、周囲条件下で乾燥させた。
【0112】
周囲温度または高温でのスラリー形成:化合物1の試料を、表5に示した種々の溶媒中にて、過剰の固形物が各バイアル内に存在するように調製した。この混合物を密閉バイアル内で、周囲温度または高温のいずれかで、オービタルシェイカーを用いて攪拌した。数日後、固形物を真空濾過によって単離し、周囲条件下で乾燥させた。
【0113】
クラッシュ冷却(CC):化合物1の飽和溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて、周囲温度または高温のいずれかで調製した。この試料に、急速に周囲温度以下に置くことにより温度衝撃を与えた。数分後、バイアルを沈澱について確認した。沈澱がない場合、バイアルを周囲温度以下で保存した。生じた固形物を真空濾過によって単離し、典型的には周囲温度で風乾させた。
【0114】
クラッシュ沈澱(CP):化合物1の溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて高温または周囲温度のいずれかで調製した。固形物形成を誘導させるための室温の抗溶媒を入れたバイアル内で、この溶液を急速に濾過した。数分後、バイアルを沈澱について確認した。沈澱がない場合、バイアルを周囲温度以下で保存した。生じた固形物を真空濾過によって単離し、典型的には周囲温度で風乾させた。
【0115】
液相気相拡散(LVD):化合物1の飽和溶液を、表5に示した種々の溶媒中にて周囲温度で調製した。この溶液を、きれいなバイアル内に濾過し、キャップを外した状態で、拡散溶媒を入れたより大型のバイアル内に置いた。この大型のバイアルにキャップをし、周囲条件で数日間放置した。生じた固形物を真空濾過によって単離し、周囲温度で風乾させた。
【0116】
超音波処理:化合物1の超飽和溶液を周囲温度で調製した。この試料を、短時間のプローブ超音波処理(3mmプローブを有するCole−Parmer超音波処理装置)に供した。この試料にキャップをし、周囲温度で放置して核生成/固形物の生成を行なわせた。超音波処理後に形成された固形物を直ちに単離し、周囲条件下で乾燥させた。
【0117】
番号付けした実施形態。本発明のいくつかの態様および関連する主題としては、以下の番号付けした実施形態が挙げられる。
【0118】
1. 非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態。
【0119】
2. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、任意選択で、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。この実施形態において、I型の化合物1は、任意選択で、10.4、16.2、17.8および28.8度からなる群より選択される3つまたは4つの2θ値ならびに、任意選択で、12.6、15.1、16.7および27.3度からなる群より選択される1つ以上の2θ値を有する粉末X線回折パターンを特徴とする。I型の化合物1の記述的類型(description)の一例は、10.4、16.2、17.8および28.8度の2θ値を有し、任意選択で、15.0または27.3度の2θ値を有する。I型の化合物1の別の記述的類型は、10.4、16.2、17.8および28.8度の2θ値を有し、任意選択で、16.1および27.3度の2θ値を有する。I型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、16.2、17.8、28.8および15.1度の2θ値を有する。
【0120】
3. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、図1、図2または図3の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンならびに、任意選択で、図4の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムと実質的に同一の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを特徴とするI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。
【0121】
4. 図5のラマンスペクトルと実質的に同一のラマンスペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態1、2または3の固体状態形態。この実施形態において、I型の化合物1は、2993、2974、2947、2937、2887、2860および2843cm−1からなる群より選択される1つ、2つまたは3つのラマン吸収;任意選択で、2106、1674、1467および1437cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収、または744、712、683、484、471、457、438、247および226cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を示すことを特徴とする。I型の化合物1の記述的類型の一例は、2887、2106、1674、1437および712cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、247または226cm−1に吸収を示す。I型の化合物1の別の記述的類型は、2887、2106、1674、1437、712および683cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、484、471または457に吸収を示す。I型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、2106、1674、1437、712および683cm−1にラマン吸収を示し、任意選択で、1467cm−1に吸収を示す。
【0122】
5. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、任意選択で、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。この実施形態において、II型の化合物1は、任意選択で、2.5、5.0および7.6度からなる群より選択される1つ、2つまたは3つの2θ値、ならびに10.4、16.2、17.8および28.8度からなる群より選択される2つ以上の2θ値を有する粉末X線回折パターンを特徴とする。II型の化合物1の記述的類型の一例は、2.5、5.0および16.2度の2θ値を有し、任意選択で、10.4または28.8度の2θ値を有する。II型の化合物1の別の記述的類型は、2.5、16.2および28.8度の2θ値を有し、任意選択で、10.4または17.8度の2θ値を有する。II型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、2.5、5.0、10.4、16.2、17.8および28.8度の2θ値を有する。
【0123】
6. 該結晶性物質が、図6の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび、任意選択で、図7の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムと実質的に同一の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを特徴とするII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。
【0124】
7. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、任意選択で、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含まないIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。この実施形態において、III型の化合物1は、任意選択で、15.2、15.7、16.6度からなる群より選択される2つまたは3つの2θ値を有し、任意選択で、8.3、12.3、18.4および27.8度からなる群より選択される1つ以上の2θ値を有する粉末X線回折パターンを特徴とする。III型の化合物1の記述的類型の一例は、15.2、16.6および27.8度の2θ値を有し、任意選択で、8.3または12.3度の2θ値を有する。III型の化合物1の別の記述的類型は、15.2、16.6および27.8度の2θ値を有し、任意選択で、8.3または12.3度の2θ値を有する。III型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、15.2、15.7、16.6および27.8度の2θ値を有する。
【0125】
8. 該結晶性物質が、図11の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび、任意選択で、図12の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムと実質的に同一の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを特徴とするIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。
【0126】
9. 図13のラマンスペクトルと実質的に同一のラマンスペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態1、8または9の固体状態形態。この実施形態において、III型の化合物1は、2985、2966、2950、2933、2893、2853および2833cm−1からなる群より選択される1つ、2つまたは3つのラマン吸収;任意選択で、2108、1666、1469および1437cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収、または711、681、457、436、251および224cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を有することを特徴とする。III型の化合物1の記述的類型の一例は、2950、2934、2108、1666、1437および711cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、250または224cm−1に吸収を示す。III型の化合物1の別の記述的類型は、2985、2950、2108、1437、1666、711および681cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、457または436cm−1に吸収を示す。III型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、2108、1666、1437、712および681cm−1にラマン吸収を示し、任意選択で、1469cm−1に吸収を示す。
【0127】
10. 該結晶性物質が、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、任意選択で、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。この実施形態において、IV型の化合物1は、任意選択で、15.1、15.7、16.6度からなる群より選択される2つまたは3つの2θ値、任意選択で、8.3、10.3、12.3、16.6および27.8度からなる群より選択される1つ以上の2θ値を有する粉末X線回折パターンを特徴とする。IV型の化合物1の記述的類型の一例は、15.1、16.6および27.8度の2θ値を有し、任意選択で、8.3または12.3度の2θ値を有する。IV型の化合物1の別の記述的類型は、15.7、16.6および27.8度の2θ値を有し、任意選択で、8.3、12.3または16.6度の2θ値を有する。IV型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、8.3、15.1、15.7、16.6および27.8度の2θ値を有する。
【0128】
11. 図14の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび、任意選択で、図15の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムと実質的に同一の示差走査熱量測定および熱重量分析のサーモグラムを特徴とするIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1の固体状態形態。
【0129】
12. 図16のラマンスペクトルと実質的に同一のラマンスペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態1、10または11の固体状態形態。この実施形態において、IV型の化合物1は、2985、2966、2950、2933、2891、2858および2833cm−1からなる群より選択される1つ、2つまたは3つのラマン吸収;任意選択で、2108、1666、1469および1437cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収、または711、681、467、457、436および224cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を示すことを特徴とする。IV型の化合物1の記述的類型の一例は、2950、2933、2108、1666、1437および711cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、1469または457cm−1に吸収(absorbtion)を有する。IV型の化合物1の別の記述的類型は、2985、2950、2108、1666、1437、711および681cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、467または457cm−1に吸収を示す。IV型の化合物1の別の例示的な記述的類型は、2108、1666、1437、711および681cm−1にラマン吸収を示し、任意選択で、1469cm−1に吸収を示す。
【0130】
13. 結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである17−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態。
【0131】
14. 結晶性17−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、任意選択で、図17の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび、任意選択で、図18に示された可逆的熱流と実質的に同一の変調型示差走査熱量測定サーモグラムにおける可逆的熱流を特徴とする実施形態13の固体状態形態。
【0132】
15. 図19のラマンスペクトルと実質的に同一のラマンスペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態13または14の固体状態形態。この実施形態において、非晶質の化合物1は、2972、2937、2889および2858cm−1に1つ、2つまたは3つのラマン吸収;任意選択で、2106、1674および1439cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を示すこと、または748、684、484、470、436および226cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を特徴とする。非晶質の化合物1の一つの記載は、2972、2106、1674、1439および684cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、226cm−1に吸収を示す。非晶質の化合物1の別の記載は、2937、2106、1674、1439、748および684cm−1にラマン吸収ならびに、任意選択で、484、470または436に吸収を示す。非晶質の化合物1の別の記載は、2106、1674、1439および684cm−1にラマン吸収を示し、任意選択で、748cm−1に吸収を示す。
【0133】
16. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態、および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤。
【0134】
17. 前記少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤がドデシル硫酸ナトリウムである実施形態16の製剤。
【0135】
18. 薬学的に許容され得る賦形剤がドデシル硫酸ナトリウム、微晶質セルロースおよびステアリン酸マグネシウムである実施形態16の製剤。
【0136】
19. 固体状態形態が結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態16、17または18の製剤。
【0137】
20. 結晶性形態が非晶質の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態19の製剤。
【0138】
21. 結晶性形態が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない結晶性I型である実施形態20の製剤。
【0139】
22. 固体状態形態が非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態16、17または18の製剤。
【0140】
23. 非晶質形態が結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態22の製剤。
【0141】
24.処置の必要があるヒトまたは哺乳動物に、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤の有効量を投与することを含む、炎症状態の処置方法。
【0142】
25. 炎症状態が腸の炎症状態である実施形態24の方法。
【0143】
26. 炎症状態が肺の炎症状態である実施形態24の方法。
【0144】
27. 肺の炎症状態が嚢胞性線維症、喘息、気管支炎または慢性閉塞性肺疾患である実施形態26の方法。
【0145】
28. 処置の必要があるヒトまたは哺乳動物に、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤の有効量を投与することを含む、メタボリックシンドローム、グルコース寛容減損(糖尿病前症)または高血糖状態の処置方法。このような実施形態において、メタボリックシンドロームを有する患者は、通常、以下の5つの状態:高血圧、腹部肥満(成人男性で臍の高さの腹囲が少なくとも102cm、および成人女性で臍の高さの腹囲が少なくとも88cm)、低HDLコレステロール(成人男性で40mg/dL未満、および成人女性で50mg/dL未満)、高血清トリグリセリド(少なくとも150mg/dL)ならびに高空腹時血漿グルコース(少なくとも100mg/dL)の3つ以上を有する患者であると特性評価される。グルコース寛容減損を有する患者は、典型的には、100mg/dL〜125mg/dLの空腹時血漿グルコースレベル、および/または140〜200の食後グルコースレベル(これは、通常、経口耐糖能試験において、75gの無水グルコースを摂取した2時間後に測定される)を有する患者であると特性評価される。グルコース寛容減損を有する患者は、食後グルコースが140〜200mg/dLである場合、典型的には糖尿病前症であるとみなされる。空腹時グルコース減損およびグルコース寛容減損により、個体は、経時的に顕性真性糖尿病を発症するリスクがあると認定される。好ましい実施形態において、該処置方法はグルコース寛容減損の処置のためのものである。他の好ましい実施形態において、該処置方法は高血糖の処置のためのものである。
【0146】
29. 高血糖状態が1型糖尿病または2型糖尿病である実施形態28の方法。処置され得る糖尿病を有する患者は、典型的には少なくとも126mg/dLの空腹時血漿グルコースレベル、および/または少なくとも200mg/dLの食後グルコースレベルを有する患者であると特性評価される。好ましい実施形態において、高血糖状態は2型糖尿病である。
【0147】
30. 処置の必要があるヒトまたは哺乳動物に、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤の有効量を投与することを含む、過剰増殖状態に関連する炎症の処置方法。
【0148】
31. 過剰増殖状態が乳癌、前立腺癌または良性前立腺肥大である実施形態30の方法。
【0149】
32. 処置の必要があるヒトまたは哺乳動物に、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤の有効量を投与することを含む、神経変性状態の処置方法。
【0150】
33. 神経変性状態がアルツハイマー病、パーキンソン病または筋萎縮性側索硬化症である実施形態32の方法。
【0151】
34. 処置の必要があるヒトまたは哺乳動物に、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む製剤の有効量を投与することを含む、自己免疫状態の処置方法。
【0152】
35. 自己免疫状態が多発性硬化症、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病、橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデスまたは視神経炎である実施形態34の方法 。
【0153】
36. 固体状態形態がI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態24〜35のいずれか1つの方法。このような実施形態において、I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、例えば、(a)実施形態25、29もしくは30の方法または(b)実施形態35もしくは36の方法で使用される場合、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まないものであり得る。
【0154】
37. 固体状態形態がI型、II型、III型もしくはIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールまたはその混合物であり、かつ非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態24〜35のいずれか1つの方法。このような実施形態において、I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、例えば、(a)実施形態25、29もしくは30の方法または(b)実施形態35もしくは36の方法で使用される場合、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まないものであり得る。
【0155】
38. 固体状態形態が非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態24〜35のいずれか1つの方法。
【0156】
39. 固体状態形態が非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールであり、かつ結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態24〜35のいずれか1つの方法。
【0157】
固体状態形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールに関する本発明の他の実施形態としては、以下の番号付けした実施形態が挙げられる。
【0158】
1A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態。
【0159】
2A. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの1種類以上の結晶性形態である実施形態1Aの固体状態形態。
【0160】
3A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの多形または偽多形である実施形態1Aの固体状態形態。
【0161】
4A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの多形または偽多形が、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態1Aの固体状態形態。
【0162】
5A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態であり、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態1Aの固体状態形態。
【0163】
6A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含むメタノール−水のスラリーから、本質的に実施例1に記載のようにして得られる実施形態1Aの固体状態形態。
【0164】
7A. メタノール−水溶液から、本質的に実施例2に記載のようにして得られる実施形態1Aの固体状態形態。
【0165】
8A. 微粉化によって、本質的に実施例3に記載のようにして調製される実施形態1Aの固体状態形態。
【0166】
9A. テトラヒドロフラン−メタノール溶液から、本質的に実施例4に記載のようにして得られる実施形態1Aの固体状態形態。
【0167】
10A. (a)10.41±0.1、16.20±0.1および17.85±0.1度の2θ値ならびに、任意選択で、12.68±0.1、15.12±0.1、16.72±0.1および20.91±0.1度の1つ以上の2θ値を有する粉末X線パターンおよび、任意選択で、(b)10℃/分の加熱速度で得られた、約266℃に顕著な吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(約259℃で開始)または(c)10℃/分の加熱速度で得られた、約30℃から約200℃までで無視できる重量減損もしくは≦0.5%の重量減損を示すTGAサーモグラムを有することを特徴とする、または(a)と(b)もしくは(a)と(b)と(c)を特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0168】
11A. 図1、図2または図3の粉末X線回折パターンと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とし、任意選択で、図4のDSC−TGAサーモグラムを有する実施形態4Aの固体状態形態。
【0169】
12A. 図5Aもしくは図5Bと実質的に同一のラマンスペクトル、または約2106および1674cm−1のピーク位置に吸収を示す、任意選択で、2947、2887、976、507、484、470、370、301、247および226cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態4A、10Aまたは11Aの固体状態形態。
【0170】
13A. 図6Aまたは図6Bの形態構造を有する結晶を特徴またはさらなる特徴とする実施形態4A、10Aまたは11Aの固体状態形態。
【0171】
14A. (a)2.5、5.0、16.22±0.1度の2θ値および、任意選択で、7.6、10.40、12.66、14.36、15.08、16.73、17.75および18.29±0.1の1つ以上の2θ値を有する粉末X線パターンならびに、任意選択で、(b)約266℃に顕著な吸熱を示すDSCサーモグラム(約259℃で開始)、または(c)10℃/分の加熱速度で得られた、約30℃から約200℃までで無視できる重量減損もしくは≦0.5%の重量減損を示すTGAサーモグラムを特徴とする、または(a)と(b)もしくは(a)と(b)と(c)を特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0172】
15A. 図7の粉末X線回折パターンおよび図8のDSC−TGAサーモグラムと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0173】
16A. (a)15.25、15.64および16.60±0.1度の2θ値ならびに、任意選択で、8.35、12.31、18.25、20.08および27.82±0.1度からなる群より選択される1つ以上の2θ値を有する粉末X線パターンおよび、任意選択で、(b)約266℃に顕著でシャープな吸熱(約258℃で開始)および約105℃が中心である広がった顕著な吸熱を示し、任意選択で、約1.7℃に吸熱を示すDSCサーモグラムを有すること、または(c)10℃/分の加熱速度で得られた、約20℃から約100℃までで約9.6%の重量減損を示すTGAサーモグラムを特徴とする、または(a)と(b)もしくは(a)と(b)と(c)を特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0174】
17A. 図11の粉末X線回折パターンおよび図12のDSC−TGAサーモグラムと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0175】
18A. 図13Aもしくは図13Bと実質的に同一のラマンスペクトル、または約2108および1666cm−1のピーク位置に吸収を示し、任意選択で、2950、2933、1469、983、681、654、517、380、251および224cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態4A、16Aまたは17Aの固体状態形態。
【0176】
19A. (a)15.24、15.66および16.62±0.1からなる群より選択される2つ以上の2θ値を有し、任意選択で、8.34、10.50、12.30、16.23および27.78±0.1の1つ以上の2θ値を有する粉末X線パターンならびに、任意選択で、(b)約266℃に顕著でシャープな吸熱(約257℃で開始)および約98℃が中心である広がった吸熱を示し、任意選択で、約79℃または約88℃におけるシャープな吸熱を示すDSCサーモグラムを有すること、(c)10℃/分の加熱速度で得られた、約20℃から約110℃までで約9.0または約9.7wt%の重量減損を示すTGAサーモグラムを特徴とする、または(a)と(b)もしくは(a)と(b)と(c)を特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0177】
20A. 図14の粉末X線回折パターンおよび図15のDSC−TGAサーモグラムと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする実施形態4Aの固体状態形態。
【0178】
21A. 図16Aと実質的に同一のラマンスペクトル、または約2108および1666cm−1のピーク位置に吸収を示し、任意選択で、2950、2933、1469、983、681、654、577、467、380、251および224cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態4A、19Aまたは20Aの固体状態形態。
【0179】
22A. 図17の粉末X線回折パターンおよび図18の変調型DSCサーモグラムと実質的に同一の粉末X線回折パターンおよび示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする実施形態1Aの固体状態形態。
【0180】
23A. 図19Aもしくは図19Bと実質的に同一のラマンスペクトル、または約2105および1673cm−1のピーク位置に吸収を示す;任意選択で、2972、2937、684、538、484、470、372および226cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有するラマンスペクトルを特徴またはさらなる特徴とする実施形態1Aまたは23Aの固体状態形態。
【0181】
25A. 結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態1Aの固体状態形態。
【0182】
26A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む、またはこれらから調製される製剤。
【0183】
27A. 固体状態形態が、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの1種類以上の結晶性形態である実施形態26Aの製剤。
【0184】
28A. 前記結晶性形態のうちの1種類は、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの多形または偽多形形態であり、非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態27Aの製剤。
【0185】
29A. 前記結晶性形態のうちの1種類は、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの多形または偽多形形態であり、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない実施形態27Aの製剤。
【0186】
30A. 固体状態形態が、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの単一の結晶性形態である実施形態27Aの製剤。
【0187】
31A. 前記単一の結晶性形態のうちの1種類が無水物である実施形態30Aの製剤。
【0188】
32A. 該単一の結晶性形態がI型である実施形態30Aの製剤。
【0189】
33A. 前記結晶性形態のうちの1種類が、任意選択で結晶性III型およびIV型からなる群より選択される偽多形である実施形態28Aまたは29Aの製剤。
【0190】
34A. 前記結晶性形態のうちの1種類が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない、または本質的に含まないI型である実施形態28Aまたは29Aの製剤。
【0191】
35A. 結晶性形態が結晶性I型であるか、または結晶性I型で構成されている実施形態27A、28Aまたは29Aの製剤。
【0192】
36A. 結晶性形態が結晶性III型であるか、または結晶性III型で構成されている実施形態27A、28Aまたは29Aの製剤。
【0193】
37A. 結晶性形態がIV型であるか、またはIV型で構成されている実施形態27A、28Aまたは29Aの製剤。
【0194】
38A. 固体状態形態が非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態26Aの製剤。
【0195】
39A. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態38Aの製剤。
【0196】
40A. 固形製剤である実施形態26A〜33A、38A、39Aいずれか1つの製剤。
【0197】
41A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態から調製される液状製剤である実施形態26A〜33A、38A、39Aいずれか1つの製剤。
【0198】
42A. 非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む実施形態40Aの製剤。
【0199】
43A. 結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む実施形態40Aの製剤。
【0200】
44A. 非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールから調製される実施形態41Aの製剤。
【0201】
45A. 結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールから調製される実施形態41Aの製剤。
【0202】
46A. 固形製剤が経口投与のためのものである実施形態40Aの製剤。
【0203】
47A. 前記少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤が、30分後に周囲温度の水中に製剤の90%溶解がもたらされるのに充分な量の表面活性剤である実施形態46Aの製剤。
【0204】
48A. 表面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである実施形態47Aの製剤。
【0205】
49A. 薬学的に許容され得る賦形剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、微晶質セルロースおよびステアリン酸マグネシウムで構成されている46Aの製剤。
【0206】
50A. 薬学的に許容され得る賦形剤が本質的に、表14または表15に示す17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態に対する相対量のラウリル硫酸ナトリウム、微晶質セルロースおよびステアリン酸マグネシウムからなる実施形態46A(any one of)の製剤。
【0207】
51A. 実施形態26A〜33A、38A、39Aいずれか1つの製剤、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態を含む経口投薬形態。
【0208】
52A. 錠剤またはカプセル剤である実施形態51の経口投薬形態。
【0209】
53A. 処置の必要がある被検体に、固体状態形態にて、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む固形製剤にて17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの有効量を投与することを含む、高血糖状態の処置方法。
【0210】
54A. 固体状態形態が、非晶質形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態である実施形態53Aの方法。
【0211】
55A. 固体状態形態が、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まない、または実質的に含まない17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの多形または偽多形形態である実施形態53Aの方法。
【0212】
56A. 多形形態が結晶性I型である実施形態55Aの方法。
【0213】
57A. 高血糖状態が2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである実施形態53A〜56Aいずれか1つの方法。
【0214】
58A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態を、1、2、3または4種類の他の薬学的に許容され得る賦形剤とブレンドする工程を含む、固形製剤の調製方法。
【0215】
59A. 固体状態形態が結晶性I型である実施形態58Aの方法。
【0216】
60A. 固体状態形態が非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態58Aの方法。
【0217】
61A. 賦形剤のうち1種類がラウリル硫酸ナトリウムである実施形態58Aの方法。
【0218】
62A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび薬学的に許容され得る賦形剤を含み、少なくとも1種類の賦形剤が液状賦形剤である液状製剤の調製方法であって、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態を液状賦形剤と、任意選択で別の賦形剤の存在下で接触させるか、または混合する工程を含む、液状製剤の調製方法。
【0219】
63A. 固体状態形態が結晶性I型である実施形態62Aの方法。
【0220】
64A. 固体状態形態が非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態62Aの方法。
【0221】
65A. 処置の必要がある被検体に、実施形態62Aの方法に従って調製される液状製剤にて17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの有効量を投与することを含む、高血糖状態の処置方法。
【0222】
66A. 高血糖状態が2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである実施形態65Aの方法。
【0223】
67A. 本質的に実施例1に従う方法によって調製される17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態である製品。
【0224】
68A. (a)17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを、容量基準で75:25のメタノール:水中でスラリーにする工程;(b)工程(a)で得られた固形物を真空下(約28inHg)、約45℃で約0.5%の乾燥減量まで乾燥させる工程を含む方法によって調製される17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態である製品。
【0225】
69A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールと重量基準で10:1のメタノール:水との混合物を、メタノールが寄与する初期容量の約50%減少のための雰囲気圧での蒸留中、該混合物の容量が維持されるのに充分な水を添加する工程(ここで、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、初期の総容量に対して約4〜5重量%で存在させる)を含む方法によって調製される17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態である製品。
【0226】
70A. 該方法が、さらに、該溶液を約0〜5℃の最終温度に冷却する工程、および最終温度で約1時間保持する工程を含む実施形態69Aの製品。
【0227】
71A. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのテトラヒドロフラン:メタノール(約5:1〜10:1の容量比)の溶液の容量を50%減少させる工程(ここで、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、溶液の初期容量に対して約5〜10%の重量/容量割合で存在させる)を含む方法によって調製される製品。
【0228】
72A. 水に対するテトラヒドロフランの容量比が約6.5:1であり、初期溶媒容量に対する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの重量/容量割合が約7.5%である実施形態71Aの製品。
【0229】
結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールに関する本発明のさらなる態様としては、以下の番号付けした実施形態が挙げられる。
【0230】
1B. 結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0231】
2B. 偽多形、多形またはその混合物である実施形態1Bの結晶性形態。
【0232】
3B. 偽多形が溶媒和物である実施形態2Bの結晶性形態。
【0233】
4B. 本質的に17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよびアルコール、水和水またはその混合物からなる偽多形である実施形態2Bの結晶性形態。
【0234】
5B. アルコールがエタノールまたはメタノールである実施形態4Bの結晶性形態。
【0235】
6B. 偽多形が、C21H30O3・1CH3OH、C21H30O3・0.5CH3OH・0.5H2O、C21H30O3・1H2OまたはC21H30O3・2H2Oの分子式を特徴とする単一の偽多形である実施形態4Bの結晶性形態。
【0236】
7B. 溶媒和物が水和物である実施形態3Bの結晶性形態。
【0237】
8B. 水和物が、C21H30O3・2H2Oの分子式を有する二水和物である
実施形態7Bの結晶性形態。
【0238】
9B. 偽多形が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、10℃/分の温度傾斜(ramp)を用いて得られた約20℃から約110℃までで約9〜10%の重量減損を示す熱重量分析サーモグラムを有する実施形態3B、7Bまたは8Bの結晶性形態。
【0239】
10B. 偽多形が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、かつ10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約20℃から約110℃までで約9.0%〜約9.7%の重量減損を示す熱重量分析サーモグラムを有する単一の多形である実施形態3B、7Bまたは8Bの結晶性形態。
【0240】
11B. 単一の偽多形が、メタノールまたはエタノールを含む溶媒和物である実施形態3Bの結晶性形態。
【0241】
12B. 偽多形が、水和水を含む溶媒和物である実施形態3Bの結晶性形態。
【0242】
13B. 偽多形が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、かつ図12に示されたものと本質的に同一の熱重量分析サーモグラムを有する単一の偽多形である実施形態4Bの結晶性形態。
【0243】
14B. 単一の偽多形が結晶性III型である実施形態13Bの結晶性形態。
【0244】
15B. 偽多形が、他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まず、図15に示されたものと本質的に同一の熱重量分析サーモグラムを有する単一の偽多形である実施形態4Bの結晶性形態。
【0245】
16B. 単一の偽多形が結晶性IV型である実施形態15Bの結晶性形態。
【0246】
17B. 無水物である実施形態1Bの結晶性形態。
【0247】
18B. 無水物が、結晶性III型、IV型またはその混合物の完全な脱溶媒和工程を含む方法で調製される生成物である実施形態17Bの結晶性形態。
【0248】
19B. 無水物が、結晶性I型であるか、または結晶性I型で構成されている実施形態17Bの結晶性形態。
【0249】
20B. 無水物が、結晶性II型であるか、または結晶性II型で構成されている実施形態17Bの結晶性形態。
【0250】
21B. 表1A、表1Bまたは表4の1つ以上、典型的には2、3または4つの顕著なXRPDピーク;任意選択で、10℃/分の温度傾斜を用いて示差走査熱量測定によって得られた約266℃に顕著な吸熱、または10℃/分の温度傾斜を用いて熱重量分析(TGA)によって測定した場合、約20℃から約100℃まで加熱したとき、無視できる重量減損を有することを特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0251】
22B. 表1A、表1Bまたは表4の1つ以上、典型的には2、3または4つの顕著なXRPDピーク;任意選択で、解放型キャピラリー管内で測定したとき約256℃の見かけの融点を有することを特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0252】
23B. 表6の1つ以上、典型的には2、3または4つの顕著なXRPDピーク;任意選択で、10℃/分の温度傾斜を用いて示差走査熱量測定によって得られたサーモグラムに約259℃に顕著な吸熱を有することを特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0253】
24B. 表9の1つ以上、典型的には2、3または4つの顕著なXRPDピーク;任意選択で、10℃/分の温度傾斜を用いて示差走査熱量測定によって得られたサーモグラムに約266℃に顕著な吸熱、もしくは約105℃が中心である広がった吸熱、または10℃/分の温度傾斜を用いて熱重量分析(TGA)によって測定した場合、約20℃から約100℃まで加熱したとき約9.5%の重量減損を有することを特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0254】
25B. 表11の1つ以上、典型的には2、3または4つの顕著なXRPDピーク;任意選択で、10℃/分の温度傾斜を用いて示差走査熱量測定によって得られたサーモグラムに約266℃に顕著な吸熱、または10℃/分の温度傾斜を用いて熱重量分析(TGA)によって測定した場合、約30℃から100℃まで加熱したとき約9.0%もしくは約9.7%の減損を有することを特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0255】
26B. 図2のXRPDパターンから計算されるペアワイズ分布関数を特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0256】
27B. 図5Bのラマンスペクトルに1つ以上の顕著な吸収、典型的には1つ、2つまたは3つの顕著な吸収を特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0257】
28B. 図13Bのラマンスペクトルに1つ以上の顕著な吸収、典型的には1つ、2つもしくは3つの吸収を特徴とする実施形態1Bの結晶性形態。
【0258】
結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールに関する本発明のさらなる態様としては、以下の番号付けした実施形態が挙げられる。
【0259】
1C. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0260】
2C. 任意選択でXRPD、DSC、TGA、TGA−IR分析、融点、ラマン分光法、カール・フィッシャーおよび/または元素分析などの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態1Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態としては、無水物、水和物および溶媒和物(水−溶媒の混合型溶媒和物を含む)が挙げられる。このような実施形態において、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、典型的には、および好ましくは、含まれる該非晶質物質が、約10%w/w未満または約7%w/w未満である。
【0261】
3C. III型結晶としての実施形態2Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのこの形態は、水和水を含む溶媒和物である物質であり、典型的には、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない。
【0262】
4C. 任意選択でXRPD、DSC、TGA、TG−IR分析、融点またはラマン分光法などの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、含まれる他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約10%w/w未満または約7%w/w未満である実施形態3Cの結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0263】
5C. (1)15.64±0.1および16.60±0.1度の2θの顕著なピークを有し、15.25±0.1および27.82±0.1度の2θの任意選択の顕著なピークを有するXRPDパターンを有し;任意選択で、(2)約258℃での開始を示すシャープな吸熱および約105℃が中心である広がった吸熱を示すDTAまたはDSCのサーモグラムならびに(3)10℃/分の温度傾斜を用いて約19℃から約100℃までで約9.6%の重量減損を示すTGAサーモグラムを有する実施形態4Cの結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0264】
6C. 図13Bの1つ、2つもしくは3つの顕著なピークを有するラマンスペクトルまたは図13Bに示されたものと実質的に同一のラマンスペクトルを有する実施形態4Cまたは5Cの結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0265】
7C. IV型結晶としての実施形態2Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのこの形態は、メタノールを含む溶媒和物であり、典型的には、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない。
【0266】
8C. 任意選択でXRPD、DSC、TGA、TGA−IR、融点またはラマン分光法などの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、含まれる他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約10%w/w未満または約7%w/w未満である実施形態7Cの結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0267】
9C. (1)15.66±0.1および16.62±0.1度の2θに顕著なピークを有し、8.34±0.1および15.24±0.1度の2θに任意選択の顕著なピークを有するXRPDパターンを有し;任意選択で、(2)約257℃〜258℃に開始を示すシャープな吸熱および約98℃が中心である広がった吸熱を示すDTAまたはDSCのサーモグラムならびに(3)10℃/分の温度傾斜を用いて約17℃から約110℃までで約9.7%の減損を示すTGAサーモグラムを有する実施形態7Cの結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0268】
10C. (1)15.66±0.1および16.62±0.1度の2θに顕著なピークを有し、8.34±0.1および15.24±0.1度の2θに任意選択の顕著なピークを有するXRPDパターンを有し;任意選択で、(2)約257℃〜258℃に開始を示すシャープな吸熱を示すDTAまたはDSCのサーモグラム、ならびに10℃/分の温度傾斜を用いて約30℃から約100℃までで約9%の減損を示すTGAサーモグラムを有する実施形態7Cの結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0269】
11C. 図19Bの1つ、2つもしくは3つの顕著なピークを有するラマントレース、または図19Bに示されたものと実質的に同一のラマントレースを有する実施形態8C、9Cまたは10Cの結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0270】
12C. 高血糖状態または自己免疫状態を有するヒトなどのヒトへの5mg、10mg、15mg、20mgまたは50mgの単位経口用量の1日1回またはまたは1日2回の投与に適当であるのに充分な結晶性材料のバイオアベイラビリティを特徴とする実施形態2Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0271】
13C. 65℃および75%相対湿度での少なくとも6ヶ月間の保存に対して充分な安定性であって、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの分解における分解生成物への変化が約5%w/w未満であること、または別の固体状態形態への変換が約5%w/w未満であることを特徴とする充分な安定性を特徴とする実施形態12Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0272】
14C. I型であるか、またはI型で構成されている実施形態13Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0273】
15C. I型結晶としての実施形態2Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのこの形態は無水物であり、カール・フィッシャー滴定および/または元素分析および/またはTG−IR分析などの本明細書に記載の分析方法によって測定したとき溶媒を含まず、好ましい実施形態において、任意選択でXRPD、DSC/DTA、TGA、ラマン分光法または固体状態NMR分光法などの本明細書に記載の分析方法によって測定したとき、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない。
【0274】
16C. 任意選択でXRPD、DSC/DTA、TGA、ラマン分光法または固体状態NMR分光法などの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、含まれる他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約10%w/w未満または約7%w/w未満である実施形態14Cの結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0275】
17C. 16.2±0.1、16.7±0.1および17.8±0.1度の2θに顕著なピークならびに10.4±0.1、12.6±0.1、15.1±0.1度の2θに任意選択の顕著なピークを有するXRPDパターンを有し;任意選択で、(2)約258℃に開始を示す吸熱を示すDTAまたはDSCのサーモグラム、および10℃/分の温度傾斜を用いて約30℃〜約100℃の温度範囲に無視できるwt%減損を示すTGAサーモグラムを有する実施形態16Cの結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0276】
18C. 結晶が、タブレット型または針状型の形態構造を有する、実施形態17Cの結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0277】
19C. 図5の1つ、2つもしくは3つの顕著なピークを有するラマントレースまたは図5Bに示されたものと実質的に同一のラマントレースを有する実施形態16Cまたは17Cの結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0278】
20C. II型であるか、またはII型で構成されている実施形態12Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0279】
21C. II型結晶としての実施形態2Cの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのこの形態は、カール・フィッシャー滴定および/または元素分析および/またはTGAなどの本明細書に記載の分析方法によって測定したとき無水物であり、好ましい実施形態において、任意選択でXRPD、DSC/DTA、TGA、ラマン分光法または固体状態NMR分光法などの本明細書に記載の分析方法によって測定したとき、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない。
【0280】
22C. 任意選択でXRPD、DSC/DTA、TGA、ラマン分光法または固体状態NMR分光法などの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、含まれる他の結晶性形態の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約10%w/w未満または約7%w/w未満である実施形態21Cの結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0281】
23C. 2.5±0.1、5.0±0.1および16.2±0.1度の2θに顕著なピークを有し;任意選択で、7.6±0.1、10.4±0.1、17.8±0.1度の2θに顕著なピークを有するXRPDパターンを有し、(2)266℃にシャープな吸熱を示すDTAまたはDSCのサーモグラム、および10℃/分の温度傾斜を用いて約30℃〜約100℃の温度範囲に無視できるwt%減損を示すTGAサーモグラムを有する実施形態21Cの結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0282】
24C. 高血糖状態または自己免疫状態の処置または予防のための医薬の調製のための、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用、または1種類以上の賦形剤および結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む組成物の使用。このような実施形態において、結晶性のI型またはIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用が好ましく、I型が最も好ましい。このような使用において、検知可能な量の2種類の結晶形を存在させてもよいが、好ましくは1種類のみの結晶性形態を存在させ、例えば、単一の結晶形は、存在する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wまたは少なくとも約93%w/wを構成する。
【0283】
25C. 自己免疫状態が1型糖尿病、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎または橋本甲状腺炎であり、高血糖状態が、2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである実施形態24Cによる使用。
【0284】
26C. 任意選択でXRPD、DSC/DTA、TGA、TGA−IR、ラマン分光法および/または固体状態NMRなどの本明細書に記載の分析方法で特性評価したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態25Cによる使用。
【0285】
27C. (i)17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水、メタノール−テトラヒドロフランもしくはアセトンの溶液の容量を、任意選択で真空下および/または約35℃〜約70℃での加熱により減少させる工程または(ii)17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水の溶液からメタノールを、水の添加と同時の蒸留によって除去する工程、ここで、該溶液の初期容量は実質的に維持される、または(iii)17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのエタノール溶液からエタノールを、エバポレーションによって、任意選択で真空下および/または約35℃〜約80℃での加熱により除去する工程、または(iv)17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールをイソプロパノールまたはメチルエチルケトン中でスラリーにするか、もしくは混合する工程または(v)エタノール溶液中の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを水で、任意選択で約0℃〜約35℃の温度で析出させる工程、または(vi)17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−クロロホルムの容量を、任意選択で真空下および/または約35℃から約65℃での加熱により減少させる工程を含む、結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0286】
非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールに関する本発明のさらなる態様としては、以下の番号付けした実施形態が挙げられる。
【0287】
1D. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0288】
2D. XRPD分析によって測定したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでおらず、任意選択で、結晶性I型および/またはII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでいない実施形態1Dの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0289】
3D. XRPD分析によって測定したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでおらず、任意選択で、結晶性I型を実質的に含んでいない実施形態1Dの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0290】
4D. XRPD分析によって測定したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでおらず、任意選択で、結晶性I型およびII型を実質的に含んでいない実施形態1Dの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0291】
4D. 含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約8%w/w未満である実施形態1Dの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0292】
5D. 含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約5%w/w未満である実施形態1Dの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0293】
5D. 1種類以上の賦形剤および非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む医薬製剤であって、任意選択で、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、実施形態1D〜4Dに記載のいずれか1つである医薬製剤。
【0294】
6D. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールとt−ブタノールの混合物の凍結乾燥工程を含む方法によって作製される非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである製品。
【0295】
7D. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、(1)XRPD分析によって測定したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでいない、または(2)含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約8%w/w未満である、または(3)含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約5%w/w未満であり、任意選択で、該結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールがI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態6Dの製品。
【0296】
8D. 高血糖状態または自己免疫状態の処置または予防のための医薬の調製のための、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用、または1種類以上の賦形剤および非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む組成物の使用。
【0297】
9D. 自己免疫状態が1型糖尿病、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎または橋本甲状腺炎であり、高血糖状態が、2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである実施形態8Dによる使用。このような使用において、非晶質物質は、好ましくは、存在する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wまたは少なくとも約95%w/wを構成する。
【0298】
10D. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、XRPD分析によって測定したとき、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含んでいない、または非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールに含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約8%w/w未満もしくは約5%w/w未満である実施形態9Dによる使用。
【0299】
1E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0300】
2E. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態1Eの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0301】
3E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態が無水物であるか、または10℃/分の温度傾斜を用いて約40℃から約105℃に加熱したとき、無視できる重量減損もしくは約0.5%以下の重量減損を特徴とするものである実施形態2Eの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0302】
4E. I型もしくはII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールまたはその混合物である実施形態3Eの結晶性無水物。
【0303】
5E. II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態4Eの結晶性無水物。
【0304】
6E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、10.38±0.1、16.20±0.1および17.75±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、12.66±0.1、15.10±0.1、16.73±0.1、28.92±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または該回折パターンを有する実施形態5Eの結晶性無水物。
【0305】
7E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、さらに、10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約266℃に顕著な吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、または該サーモグラムを有する実施形態6Eの結晶性無水物。
【0306】
8E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、II型、III型およびIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないか、または存在する全結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wを構成する実施形態5Eの結晶性無水物。
【0307】
9E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、約2105および1673cm−1にピーク位置を有し、任意選択で、約2887、1467、1437、833、712、681、484、470、457、247および226cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有するラマン分光法スペクトル、または図5Aもしくは図5Bのものと実質的に同一のラマン分光法スペクトルを有する実施形態5E〜8Eのいずれか1つの結晶性無水物。
【0308】
10E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、P212121(#19)の単一の結晶X線結晶学空間群を特徴とする、または該空間群を有する実施形態6Eの結晶性無水物。
【0309】
11E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、図6Aまたは図6Bの形態構造を特徴とする実施形態8Eの結晶性無水物。
【0310】
12E. I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、ブレード型またはプレート型の形態構造を特徴とする実施形態8Eの結晶性無水物。
【0311】
13E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、III型およびIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないII型およびI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの混合物である実施形態4Eの結晶性無水物。
【0312】
14E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態4Eの結晶性無水物。
【0313】
15E. II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、2.49±0.1、5.04±0.1および16.20±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、10.44±0.1、12.69±0.1、15.12±0.1、16.71±0.1、17.73±0.1および28.92±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または該回折パターンを有する実施形態14Eの結晶性無水物。
【0314】
16E. II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、さらに、10℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約259℃に顕著な吸熱を示し、任意選択で、約207℃が中心である弱い発熱を示す示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、または該サーモグラムを有する実施形態14Eの結晶性無水物。
【0315】
17E. II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、I型、III型およびIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないか、または存在する全結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wを構成する実施形態13Eの結晶性無水物。
【0316】
18E. II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、P21212(#18)の単一の結晶X線結晶学空間群を特徴とする、または該空間群を有する実施形態14Eの結晶性無水物。
【0317】
19E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態が溶媒和物であるか、または10℃/分の温度傾斜を用いて約40℃から約105℃に加熱したとき、重量減損がないこと(BLANK)を特徴とする実施形態2Eの結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0318】
20E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、III型もしくはIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールまたはその混合物である実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0319】
21E. I型およびII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態20Eの結晶性溶媒和物。
【0320】
22E. III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、15.24±0.1、15.66±0.1および16.62±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、8.37±0.1、12.30±0.1および27.78±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または該回折パターンを有する実施形態21Eの結晶性溶媒和物。
【0321】
23E. III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、さらに、10℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約266℃に顕著な吸熱、または約105℃もしくは107℃が中心である広がった吸熱を示し、任意選択で、約1.7℃もしくは約2.3℃に吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、または該サーモグラムを有する実施形態20Eの結晶性溶媒和物。
【0322】
24E. III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、I型、II型またはIV型および形態Vの17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないか、または存在する全結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wを構成する実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0323】
25E. III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、約2108および1666cm−1にピーク位置を有し、任意選択で、約2950、1469、1437、711、681、251および224cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有するラマン分光法スペクトル、または図13Aもしくは図13Bのものと実質的に同一のラマン分光法スペクトルを特徴とする、または該スペクトルを有する実施形態21E〜24Eいずれか1つの結晶性無水物。
【0324】
26E. I型およびII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0325】
27E. IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、15.24±0.1、15.66±0.1および16.62±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、8.34±0.1、10.50±0.1、12.30±0.1、16.23±0.1および27.78±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または該回折パターンを有する実施形態26Eの結晶性溶媒和物。
【0326】
28E. IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、さらに、10℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約266℃に顕著な吸熱、または約98℃が中心である広がった吸熱を示し、任意選択で、約75〜90℃のシャープな吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、または該サーモグラムを有する実施形態27Eの結晶性溶媒和物。
【0327】
29E. IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、I型、II型およびIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないか、または存在する全結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの少なくとも約90%w/wを構成する実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0328】
30E. IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、約2107および1666cm−1にピーク位置を有し、任意選択で、約2950、1469、1437、711、467、457および224cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有するラマン分光法スペクトル、または図13Aもしくは図13Bのものと実質的に同一のラマン分光法スペクトルを特徴とする、または該スペクトルを有する実施形態19E〜24Eいずれか1つの結晶性溶媒和物。
【0329】
31E. 少なくとも1種類のC1〜6アルコール、水またはその組合せを含む実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0330】
32E. 本質的にC1〜6アルコールまたはC1〜6アルコールと水和水からなる実施形態31Eの結晶性溶媒和物。
【0331】
33E. C1〜6アルコールがエタノールまたはメタノールである実施形態32Eの結晶性溶媒和物。
【0332】
34E. 本質的に水和水からなる実施形態19Eの結晶性溶媒和物。
【0333】
35E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、IV型またはV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態28Eの結晶性溶媒和物。
【0334】
36E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールがIII型またはIV型であり、該III型またはIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、結晶性I型およびII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態31Eの結晶性溶媒和物。
【0335】
37E. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0336】
38E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないか、または含まれる結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが約10%w/w未満である実施形態36Eの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0337】
39E. (1)約16度の2θに幅広のバンドを有する粉末X線回折パターンもしくは実質的に図17に示された粉末X線回折パターン;(2)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約30℃から約110℃まで加熱したとき約11〜12%の重量減損もしくは約30℃から約200℃まで加熱したとき約15〜17%重量減損を示す熱重量分析サーモグラム;(3)1℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約44℃のガラス転移温度を示す変調型DSC熱分析サーモグラム、または(4)(1)と(2)もしくは(1)と(3)に記載の特徴の組合せを特徴とする、または有する実施形態40Eの非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0338】
40E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、メタノールおよび水の混合物から、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを回収する工程を含む、結晶性無水物のI型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0339】
41E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよびメチルエチルケトンまたは酢酸エチルの混合物から、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを回収する工程を含む、結晶性無水物のII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0340】
42E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、メタノールおよびクロロホルムの混合物から、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを回収する工程を含む、結晶性無水物のIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0341】
43E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、エタノールおよび水の混合物から、17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを回収する工程を含む、結晶性無水物のIV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0342】
44E. 1種類以上の賦形剤および結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む製剤。
【0343】
45E. 固形製剤であり、任意選択で、タブレット型、カプセル剤または経口投与に適した別の単位投薬形態である実施形態44Eの製剤。
【0344】
46E. 非晶質または結晶性の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールまたはその混合物を、1、2、3、4種類またはそれ以上の種類の賦形剤と接触、混合および/またはブレンドして混合物を得、該混合物を加工処理して製剤を得る工程を含む、製剤の調製方法であって、任意選択で、該製剤は固形製剤であるか、またはヒトへの経口投与に適した単位投薬形態、任意選択で、錠剤、キャプレット剤もしくはカプセル剤を構成する製剤の調製方法。
【0345】
47E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが溶媒和物である実施形態46Eの方法。
【0346】
48E. 結晶性溶媒和物がエタノールまたはメタノールおよび水和水を含む実施形態47Eの方法。
【0347】
49E. 結晶性溶媒和物が本質的に水和水からなる実施形態47Eの方法。
【0348】
50E. 溶媒和物がIII型またはIV型またはその混合物である実施形態47Eの方法。
【0349】
51E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが無水物である実施形態46Eの方法。
【0350】
52E. 結晶性無水物がI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態46Eの方法。
【0351】
53E. 少なくとも1種類の賦形剤が表面活性剤、任意選択で、ラウリル硫酸ナトリウムまたはポリソルベート−80である実施形態(embodiment embodiments)46E〜52Eいずれか1つの方法。
【0352】
54E. 少なくとも1種類の賦形剤が液状ビヒクルであり、任意選択で、製剤が液状製剤である実施形態46E〜52Eいずれか1つの方法。
【0353】
55E. 別の賦形剤がシクロデキストリンである実施形態54Eの方法。
【0354】
56E. シクロデキストリンが、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである実施形態55Eの方法。
【0355】
57E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび少なくとも1種類以上の賦形剤を含む製剤、または結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび1、2、3、4種類もしくはそれ以上の種類の賦形剤から調製される製剤の有効量を被検体に投与すること、または被検体の組織に送達することを含む、被検体の炎症状態の処置方法。
【0356】
58E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを本質的に含まないI型またはIII型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態57Eの方法。
【0357】
59E. 炎症状態が代謝性の病状である実施形態58Eの方法。
【0358】
60E. 代謝性の病状が高血糖状態である実施形態59Eの方法。
【0359】
61E. 代謝性の病状が1型糖尿病、2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである60Eの方法。
【0360】
62E. 炎症状態が自己免疫状態である実施形態57Eの方法。
【0361】
63E. 自己免疫状態が1型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチまたは潰瘍性大腸炎である実施形態62Eの方法。
【0362】
64E. 炎症状態が過剰増殖状態である実施形態57Eの方法。
【0363】
65E. 過剰増殖状態が前立腺癌、乳癌または良性前立腺肥大である実施形態64Eの方法。
【0364】
66E. 炎症状態が腸の炎症状態である実施形態57Eの方法。
【0365】
67E. 腸の炎症状態が潰瘍性大腸炎、クローン病または炎症性腸症候群である実施形態66Eの方法。
【0366】
68E. 炎症状態が肺の炎症状態である実施形態57Eの方法。
【0367】
69E. 肺の炎症状態が喘息、COPDまたは嚢胞性線維症である実施形態68Eの方法。
【0368】
70E. 炎症状態が神経変性状態である実施形態57Eの方法。
【0369】
71E. 神経変性状態がパーキンソン病、アルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症である実施形態70Eの方法。
【0370】
72E. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび少なくとも1種類以上の賦形剤を含む製剤、または非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび1、2、3、4種類もしくはそれ以上の種類の賦形剤から調製される製剤の有効量を被検体に投与すること、または被検体の組織に送達することを含む、被検体の炎症状態の処置方法。
【0371】
73E. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない実施形態72Eの方法。
【0372】
74E. 炎症状態が代謝性の病状である実施形態72Eの方法。
【0373】
75E. 代謝性の病状が高血糖状態である実施形態74Eの方法。
【0374】
76E. 代謝性の病状が1型糖尿病、2型糖尿病またはメタボリックシンドロームである実施形態75Eの方法。
【0375】
77E. 炎症状態が自己免疫状態である実施形態72Eの方法。
【0376】
78E. 自己免疫状態が多発性硬化症、関節リウマチまたは潰瘍性大腸炎である実施形態77Eの方法。
【0377】
79E. 炎症状態が過剰増殖状態である実施形態72Eの方法。
【0378】
80E. 過剰増殖状態が前立腺癌、乳癌または良性前立腺肥大である実施形態79Eの方法。
【0379】
81E. 炎症状態が腸の炎症状態である実施形態72Eの方法。
【0380】
82E. 腸の炎症状態が潰瘍性大腸炎、クローン病または炎症性腸症候群である実施形態81Eの方法。
【0381】
83E. 炎症状態が肺の炎症状態である実施形態72Eの方法。
【0382】
84E. 肺の炎症状態が喘息、COPDまたは嚢胞性線維症である実施形態83Eの方法。
【0383】
85E. 炎症状態が神経変性状態である実施形態72Eの方法。
【0384】
86E. 神経変性状態がパーキンソン病、アルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症である実施形態85Eの方法。
【0385】
87E. 医薬の調製のための、結晶性もしくは非晶質の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用、または1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤と、結晶性もしくは非晶質の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールとを含む組成物の使用。
【0386】
88E. 炎症状態の処置または予防のための医薬の調製のための、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用、または1種類以上の賦形剤および結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む組成物の使用。
【0387】
89E. P212121(#19)のX線結晶学空間群を特徴とする、または該空間群を有する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性無水物。
【0388】
90E. a=11.740、b=12.273、c=12.339、α=90°、β=90°、γ=90°、Z’/Z=1/4および図1BのXRPDパターンの指数付けから測定される単位胞体積1777.9Å3の単位胞パラメータ(単位:オングストローム)を特徴とする、または該単位胞パラメータを有する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性無水物。
【0389】
91E. P21212(#18)のX線結晶学空間群を特徴とする、または該空間群を有する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性無水物。
【0390】
92E. a=12.273、b=12.339、c=35.220、α=90°、β=90°、γ=90°、Z’/Z=3/12および図1BのXRPDパターンの指数付けから測定される単位胞体積5333.6Å3、およびそれにより測定される単位胞の対称性低下の単位胞パラメータを特徴とする、または該単位胞パラメータを有する17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性無水物。
【0391】
93E. 少なくとも1種類のC1〜4アルコール、水またはその組合せを含む結晶性溶媒和物の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0392】
94E. 水和物である実施形態92Eの結晶性溶媒和物。
【0393】
95E. 図18のXRPDパターンと実質的に同一の非晶質X線散乱またはXRPDパターンを特徴とし、任意選択で、2105および1673cm−1におけるラマン吸収を特徴とし、任意選択で、2971、2938、2890および2859cm−1からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つの吸収を示す非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【0394】
96E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水、メタノール−テトラヒドロフランもしくはアセトン溶液の容量を減少させる工程、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水溶液からメタノールを、水の添加と同時(concommitant)の蒸留によって除去する工程、ここで、該溶液の初期容量は実質的に維持されるまたは17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのエタノール溶液からエバポレーションによって溶媒を除去する工程、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールをイソプロパノール中でスラリーにする工程を含む、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0395】
97E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが結晶性I型の針状型である実施形態95Eの方法。
【0396】
98E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが結晶性I型のタブレット型である実施形態95Eの方法。
【0397】
99E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが結晶性I型のプレート型またはブレード型である実施形態95Eの方法。
【0398】
100E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールをメチルエチルケトン中でスラリーにする工程を含む、II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0399】
101E. エタノール溶液中の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを水で析出させる工程を含む、III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0400】
102E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−クロロホルム溶液の容量を減少させる工程を含む、IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0401】
103E. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのt−ブタノール溶液から凍結乾燥によって溶媒を除去する工程を含む、非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【0402】
104E. 1種類以上の賦形剤および結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む製剤。
【0403】
105E. 固形製剤であり、任意選択で、タブレット型、カプセル剤または経口投与に適した別の単位投薬形態である実施形態104Eの製剤。
【0404】
106E. 非晶質または結晶性の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを1、2、3、4種類またはそれ以上の種類の賦形剤と接触、混合および/またはブレンドして混合物を得、該混合物を加工処理して製剤を得る工程を含む、製剤の調製方法であって、該製剤は固形製剤、液状製剤であるか、またはヒトへの経口投与に適した単位投薬形態を構成し、単位投薬形態は錠剤、キャプレット剤またはカプセル剤である製剤の調製方法。
【0405】
107E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが溶媒和物である実施形態106Eの方法。
【0406】
108E. 結晶性溶媒和物が水和物である実施形態107Eの方法。
【0407】
109E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが無水物である実施形態106Eの方法。
【0408】
110E. 結晶性無水物がI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態109Eの方法。
【0409】
111E. 少なくとも1種類の賦形剤が表面活性剤である実施形態106Eの方法。
【0410】
112E. 前記少なくとも1種類の賦形剤がラウリル硫酸塩またはポリソルベート−80であり、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールがI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態111Eの方法。
【0411】
113E. 賦形剤のうち1種類が液状ビヒクルであり、製剤が液状製剤である実施形態106Eの方法。
【0412】
114E. 別の賦形剤がシクロデキストリンである実施形態113Eの方法。
【0413】
115E. シクロデキストリンが、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである実施形態114Eの方法。
【0414】
116E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび少なくとも1種類の賦形剤を含む製剤、または結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび1、2、3、4種類もしくはそれ以上の種類の賦形剤から調製される製剤の有効量を被検体に投与すること、または被検体の組織に送達することを含む、被検体の炎症状態の処置方法。
【0415】
117E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールがI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態116Eの方法。
【0416】
118E. 炎症状態が代謝性の病状である実施形態116Eまたは117Eの方法。
【0417】
119E 代謝性の病状が2型糖尿病である実施形態118Eの方法。
【0418】
120E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール、結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび少なくとも1種類の賦形剤を含む製剤、または結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールおよび1、2、3、4種類もしくはそれ以上の種類の賦形剤から調製される製剤の有効量を被検体に投与すること、または被検体の組織に送達することを含む、被検体の自己免疫状態の処置方法。
【0419】
121E. 結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールがI型17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである実施形態120Eの方法。
【0420】
122E. 自己免疫状態が関節リウマチまたは潰瘍性大腸炎である実施形態120Eまたは121Eの方法。
【実施例】
【0421】
実施例
実施例1.17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのバルク合成
3β,7β−ビス−(トリメチルシロキシ)−5−アンドロステン−17−オン: 14.87Kgのアンドロスタ−5−エン−17−オン−3β,7β−ジオール、23.8KgのHMDSおよび0.7Kgのサッカリン触媒と100Lのアセトニトリルの混合物を8時間、攪拌しながら窒素雰囲気下で還流加熱した。遊離したアンモニアを若干の減圧下でパージした。次いで、反応容量を蒸留によって減少させ、30Lの蒸留液を収集した(約2時間を要する)。減圧下(700mmHg)での蒸留(これは、50℃での約2時間の加熱を要する)により、反応容量を元の反応容量の1/2までさらに減少させた。得られた均一な粘稠性のスラリーを5℃まで冷却し(約3時間を要する)、さらにアセトニトリルを添加して最小混合容量を維持し、その温度に1の間(for 1)、保持する。析出した生成物を濾過によって収集し、1%以下の乾燥減量(LOD)まで(20時間を要する)真空下(29mmHg)、45〜50℃で乾燥させ、16Kg(81%収率)の標題化合物(95%純度)を得た。
【0422】
17α−エチニル−5−アンドロステン−3β,7β,17β−トリオール: 11.02KgのTMS−アセチレンを含む56.5Lのテトラヒドロフラン(THF)に、−27℃で窒素雰囲気下、8.51Lの10M n−BuLiを添加した。温度を−7から−27℃に維持するために(約2時間を要する)、n−ブチルリチウムを非常にゆっくりと添加し、得られた反応液を10分間、ほぼ0℃で攪拌し、TMS−リチウム−アセチリドを得た。このTMS−リチウム−アセチリド溶液に、反応温度を20〜25℃に上昇させながら、25.41Kgの3β,7β−ビス−(トリメチルシロキシ)−5−アンドロステン−17−オンを含む95.3LのTHFの溶液(25μmのフィルターに通して濾過)を添加した。添加を終了した後、反応温度を40〜45℃まで上げた。反応器の内容物をクエンチするため、31.8Lのメタノールを約1時間の時間をかけて添加した後、3.81KgのKOHを含む18.4Lを添加し、最終反応器の温度を50℃にした。遊離したアセチレンを若干の減圧下でパージする。次いで、反応器の内容物を蒸留によって80℃で1時間、次いで真空下(175mmHg)、約70℃で(突沸を回避するため初期温度は25℃で)元のポット容積の1/2まで濃縮した。残渣を約10℃まで冷却し、35.0Kgの脱イオン水を添加した後、ポット温度を約10℃に維持しながら16.4Kgの12NのHClを添加し、最終pHを1にした。さらに26.0kgの脱イオン水を添加し、得られた混合物を約5℃で1時間攪拌した。得られたスラリーを濾過し、75:25のメタノール:水混合物(16.9Lのメタノール、5.6Lの水)で洗浄した。収集した固形物を真空下(28 in Hg)で45℃にて、0.5%以下の乾燥減量となるように12時間乾燥させ、9.6Kgの標題化合物を得た(83%収率)。
【0423】
実施例2.結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む固体状態形態の調製
250L容の反応器内の2.1Kgの17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む40.2Kgのメタノールのスラリー(実施例1で調製)および4.2Kgの水を、攪拌しながら、すべての固形物が溶解するまで還流加熱した。反応器を55〜60℃まで冷却し、内容物を、25ミクロンフィルターを通して受容ドラム内にポンプ輸送した。この反応器に2.4Kgのメタノールを移し、次いで、これを55〜60℃まで加熱した。次いで(the)、メタノールすすぎ洗浄液を、先のようにして受容ドラムに移す。次いで、受容ドラムの内容物を、真空蒸留に適合させた反応器内に移し戻す。反応器の内容物を攪拌し、真空下でポット温度を<=45℃に維持しながら、蒸留前に反応器に添加されたメタノールの容量の1.1〜1.5倍に等しい容量の蒸留液が得られるまで還流加熱した。この蒸留の間、攪拌に必要な容量を維持するために脱イオン水を添加した(20〜60Kgの水が使用され得る)。反応器内で最終容量20〜25Lの溶液を得た。この溶液を0〜5℃まで冷却し、その温度に少なくとも1時間維持した。次いで、反応器内のスラリーをローゼンムンドフィルター乾燥器に通して濾過した。反応器を10Kgの脱イオン水ですすぎ洗浄する。次いで、この水すすぎ洗浄液を用いて、濾過生成物を洗浄する。濾過ケークを真空下、50℃で少なくとも12時間乾燥させ、この時点で試料を乾燥減量について試験する。乾燥減量が≦0.5%(乾燥時)になったとき、乾燥を中止し、1.9Kgの標題物質を得た。
【0424】
この手順で得られた結晶性の化合物1(I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(化合物1))は、図1の低分解能XRPDパターン(パターンA)で表わされる。XRPDパターンAのピークリストを表1Aに示す。
【0425】
【表1A】
実施例3.結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの微粉化
実施例2の結晶性物質を、振動装置の供給部によって、Jet−O−Mizer Model 0101(Fluid Energy,Air Compressor)の摩砕チャンバ内に(into the into)、ほぼ120psiのエアコンプレッサ出力で、Pusher NozzleおよびGrinding Nozzleにおいてほぼ110psi 4の空気圧で、約5〜10g/分の振動装置供給速度で供給した。表2(結果−微粉化前)に示した粒径分布(体積加重平均)を有する結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(化合物1)を、このようにして微粉化し、表2(結果−微粉化後)に示した粒径分布(体積加重分布)を有する結晶性の化合物1を得る。
【0426】
【表2】
この手順で得られた結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、図2の低分解能XRPDパターンで表わされる。図2のXRPDパターンは、図1(パターンA)のXRPDパターンと本質的に同一である。図2の粉末X線XRPDパターンのピークリストを表1Bに示す。
【0427】
【表1B】
10℃/分の温度傾斜を用いたI型のDSCおよびTGAのサーモグラムを図4に示す。DSCサーモグラムは、約266℃にシャープで顕著な吸熱を示し、これは、その他の場合では特徴がない(featureless)。TGAサーモグラムは、約30℃から約200℃までで約0.5%の重量減損、および200℃から250℃までで約1.2%のさらなる重量減損を示し、その後に有意な重量減損が始まる。TG−IR分析は、アセチレンの減損がこの有意な重量減損と関連していることを示す。解放型キャピラリー内での融点の測定は、約256℃に見かけの融点を示す。DSCにおいてより低速のスキャン(san)速度(例えば、2℃/分)を使用すると、多数の吸熱部がもたらされる(一部は、より低温にも)。DSC法と解放型キャピラリー法でのこのような違いは、使用された条件および手法に依存する分解発生量が異なることに起因したものであり得る。
【0428】
図5に示したI型のラマンスペクトルにおけるラマン吸収のピークリストを表3に示す。
【0429】
【表3】
実施例4.結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む固体状態形態の代替的な調製法
33.37gの17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(実施例2で調製)を含む372mLのTHFと56mLのメタノールの懸濁液を還流加熱し、次いで室温まで放冷した。セライトに通して濾過した後、濾液の容量を減圧下で50%減少させ、次いで周囲温度で0.5時間攪拌した。収集した固形物を真空下、50℃で2日間乾燥させ、17.72gの標題物質を得た。
【0430】
この手順で得られた結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール(化合物1)は純度が≧99%であり、図3の低分解能XRPDパターンで表わされ、これは、図1または図2のXRPDパターンと実質的に同一である。図3のXRPDパターンのピークリストを表4に示す。
【0431】
【表4】
XRPDパターンAと実質的または本質的に同一のXRPDパターンを有する結晶性の化合物1を調製するための他の方法を表5に示す。XRPDパターンAを有する結晶性物質を有する形態構造のタブレット型、ブレード型、プレート型または針状型を、それぞれ、I型のタブレット型、I型のブレード型、I型のプレート型またはI型の針状型と称する。実施例3で調製した結晶性物質は、タブレット型の形態構造を有する。図6は、I型のタブレット型およびI型の針状型の光学顕微鏡観測結果を示す。I型のタブレット型は、製造において流動特性(すなわち、取扱い性)が好都合であるという利点を有することが予測される。I型の針状型は、高い表面積対体積比を有する粒子と関連する利点が予測された。
【0432】
【表5】
実施例5.17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性−非晶質混合物の調製
17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのエタノール性溶液(263mL中7.0g)を、Yamato噴霧乾燥器Pulvis GB22型およびFMI実験室用ポンプを使用し、以下の条件:周囲温度の噴霧器エア、供給口温度57℃、乾燥空気温度57℃、乾燥空気流速0.20m2/分およびポンプ設定0.5を用いて噴霧乾燥させる。そのようにして得られた粒子を40℃で2〜3時間真空乾燥させ、4.89gの標題物質を得る。このようにして調製された化合物1の固体状態形態は、主として結晶性I型であり、約5〜10%の非晶質の化合物1を有する。
【0433】
実施例6.結晶性II型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む固体状態形態の調製
実質的に純粋な化合物1(好ましくは、99%以上の純度、微粉化されたI型の結晶として)を、周囲温度で酢酸エチル中にて9日間でスラリー状にした。濾液を収集し、0.2ミクロンフィルターに通してさらに濾過し、結晶が生成するまで周囲温度および雰囲気圧でエバポレーションさせた。あるいはまた、メチルエチルケトンをスラリー溶媒として使用した。
【0434】
この手順で得られた結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、図7の低分解能XRPDパターン(パターンC)で表わされる。図7のXRPDパターンのピークリストを表6に示す。
【0435】
【表6】
パターンCは、2.5、5.0および7.6における小角度の2θのピークの存在以外は、パターンAと類似している。
【0436】
10℃/分の温度傾斜を用いたこの結晶性物質のDSCおよびTGAのサーモグラムを図8に示す。DSCサーモグラムは、約207℃が中心である広がった弱い発熱、および約259℃に顕著でシャープな吸熱(約246℃で開始)を示す。TGAサーモグラムは、約30℃から約200℃までで約1.3%の重量減損、および200℃から250℃までで約2.3%のさらなる重量減損を示し、その後に有意な重量減損が始まる。TG−IR分析は、アセチレンの減損がこの有意な重量減損と関連していることを示す。
【0437】
実施例7.I型の単位胞パラメータのコンピュータによる測定
図1Bの高分解能XRPDパターンを、DASHTMバージョン3.1を用いて指数付け(index)した。指数付けの解を、CHECKCELLTMバージョン11/01/04を用いて検証および例示した。図9では、I型の指数付けパターンを、実験により得られたパターンAと比較している。許容ピーク位置(実線)と実測ピーク間の一致は、単位胞寸法に一貫性があることを示す。別の場合の許容ピーク(点線)で、強め合う干渉のために総体性が存在しないことは、割り当てられたExtinction Symbolが実測パターンと整合することを示す。割り当てられたExtinction Symbolと整合するI型の空間群[P212121(#19)]、単位胞パラメータ、およびこれらから得られた量を表8に表形式で示す。成功裡の指数付けは、この結晶性物質が主に単一の結晶相で構成されていることを示す。
【0438】
上記の指数付けの解では、実施例6により得られた固体状態形態で観測された小角度の2θピークは説明されない。この反映は、短軸の21らせんを適正な2回回転軸に縮小(reduce)させ、この軸を3重にする(triple)(すなわち、3つの隣接する結晶学的同価の単位胞が非同価になる)ことによりI型について得られた単位胞の対称性の低下と整合する。このような対称操作後に得られた対称群(P21212、#18)および単位胞パラメータを表8に示す。図10において、II型の指数付けされたパターンを、実験により得られたパターンCと比較している。
【0439】
【表8】
実施例8. 結晶性III型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む固体状態形態の調製
III型は、実質的に純粋な化合物1のエタノール性溶液に水を添加してEtOH:水の溶媒比率を1:8とすることにより、周囲温度での該溶液のクラッシュ沈澱によって調製した。
【0440】
この手順で得られた結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、図11の低分解能XRPDパターン(パターンB)で表わされる。図11のXRPDパターンのピークリストを表9に示す。
【0441】
【表9】
10℃/分の温度傾斜を用いたこの結晶性物質のDSCおよびTGAのサーモグラムを図12に示す。DSCサーモグラムは、約266℃に顕著でシャープな吸熱(約258℃で開始)、約1.7℃にさらなる吸熱(約−4.16℃で開始)、および約105℃が中心である広がった吸熱を示す。この低温側の2つのDSC吸熱は、TGAにおける約20℃から約110℃での約9.6%の重量減損と関連している。TG−IR分析は、水分減損がこの重量減損と関連していることを示す。この結果は、二水和物である偽多形と整合する。
【0442】
この結晶性物質の図13のラマンスペクトルにおけるラマン吸収のピークリストを、表10に示す(is shown is given)。
【0443】
【表10】
実施例9. 結晶性IV型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを含む固体状態形態の調製
IV型は、約24mgの実質的に純粋な化合物1を約1mLの1:1のクロロホルム:メタノールに溶解させ、この溶液を0.2ミクロンフィルターに通して濾過することにより調製した。次いで、この溶液を周囲温度および雰囲気圧下で、固形物が形成されるまでエバポレーションさせた。
【0444】
この手順で得られた結晶性17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、図14の低分解能XRPDパターンで表わされる。図14のXRPDパターンのピークリストを表11に示す。
【0445】
【表11】
10℃/分の温度傾斜を用いたこの結晶性物質のDSCおよびTGAのサーモグラムを図15に示す。DSCサーモグラムは、約266℃に顕著でシャープな吸熱(約257℃で開始)、約79℃(約75℃で開始)または88℃(約84℃で開始)にさらなる吸熱、および約98℃が中心である重複する広がった吸熱を示す。この低温側の2つのDSC吸熱は、TGAにおける約20℃から約110℃での約9.7%の重量減損と関連している。この結果は、化合物1とメタノールを含む偽多形と整合する。
【0446】
この結晶性物質の図16のラマンスペクトルにおけるラマン吸収のピークリストを表12に示す。
【0447】
【表12】
実施例10. 非晶質17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの調製
非晶質の化合物1は、まず、150mgの化合物1と11mLのt−ブタノールの混合物を45℃で加熱し、次いで、この溶液を濾過して残留固形物を除去することにより調製した。次いで、この溶液を凍結乾燥させ、標題物質を得た。XRPD分析は、図17に示されるように、顕著なピークのない約16度の2θが中心である幅広のバンドを示し、非晶質物質と整合する。
【0448】
図18の変調型DSCサーモグラム(1℃/分の温度傾斜を使用)は、逆転熱流トレース(中央部のDSCトレース)を示し、該トレースの変曲点で測定したとき、44℃のガラス転移温度(Tg)を示す。この図の上側のDSCトレースは非逆転熱流を示し、下側のDSCトレースは総熱流を示す。また、図18のTGA(10℃/分の温度傾斜を使用)は、約30℃から約110℃で約11.5%の重量減損、および約110℃から約200℃で約5%のさらなる重量減損を示し、その後に有意な重量減損を有する。40℃での非晶質の化合物1の試料の短時間の熱応力により、I型を含む結晶性物質がもたらされた。
【0449】
非晶質物質の図19のラマンスペクトルにおけるラマン吸収のピークリストを表13に示す。
【0450】
【表13】
実施例11. 17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの固体状態形態を含む製剤、または該固体状態形態から調製される製剤
以下のものは、経口投与に適した固体状態形態(例えば、I型)の化合物1を含む製剤の調製に使用される一例の成分のリストである。
【0451】
【表14】
【0452】
【表15】
以下のものは、経口または非経口投与に適した固体状態形態(例えば、I型)の化合物1の懸濁製剤の調製に使用される一例の成分のリストである。
【0453】
【表16】
少なくとも100mg/mLまでの懸濁製剤が、表16の製剤を用いて調製され得る。上記の製剤および以下の実施例において、化合物1の固体状態形態(例えば、非晶質または結晶性I型)は、好ましくは、賦形剤とブレンドする前に、体積加重平均粒径(Dv,50)約3〜約100ミクロンに微粉化する。一実施形態において、結晶性I型を微粉化し、(Dv,90)≦10μmの粒径(全粒子の90%(体積加重)を含む粒径)を得る。適切な粒径の選択は、固体状態化合物1の溶解速度の改善による所与の製剤中の化合物1の固体状態形態のバイオアベイラビリティの改善と、粒径低減に伴う製剤の製造コストの増大との二律背反である。例えば、体積加重平均粒径または平均直径が約3ミクロン未満である粒径では、典型的には、流動床の微粉化が必要とされる(例えば、Julia Z.H,ら“Fluid bed granulation of a poorly water soluble,low density,micronized drug:comparison with high shear granulation”Int.J.Pharm.Vol.237,No.1−2:pp.1−14(2002)参照、これは、大粒径になるジェットミル処理よりも費用がかかり、規模拡大がより困難なプロセスである)。
【0454】
5mg未満(例えば、1mg)の投薬量強度では、製剤中への化合物1の均一な分布を得るため、一部の場合において、残りの賦形剤とブレンドする前に、微粉化化合物1と表面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)との予備ブレンドが行なわれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項2】
非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない、請求項1に記載の結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項3】
17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態が無水物である、請求項2に記載の結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項4】
前記無水物が、(i)10.38±0.1、16.20±0.1および17.75±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、12.66±0.1、15.10±0.1、16.73±0.1、28.92±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターン、(ii)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約266℃におけるシャープな吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラム、または(iii)(i)および(ii)の特性を有するI型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである、請求項3に記載の結晶性無水物。
【請求項5】
前記I型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、(i)約2106および1674cm−1のピーク位置に吸収を示し、任意選択で、2887、1467、1437、712、683、247および226cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトル、または図5Aもしくは図5Bのものと実質的に同一のラマンスペクトル、(ii)本質的に図6Aまたは図6Bに示された形態構造、あるいは(iii)(i)および(ii)の特性を有する、請求項4に記載の結晶性無水物。
【請求項6】
前記無水物が、(i)2.49±0.1、5.04±0.1および16.20±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、7.46±0.1、10.44±0.1、17.73±0.1、28.92±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターン、(ii)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約259℃におけるシャープな吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラム、または(iii)(i)および(ii)の特性を有するII型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである、請求項3に記載の結晶性無水物。
【請求項7】
17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態が溶媒和物である、請求項2に記載の結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項8】
前記溶媒和物が、(i)15.25±0.1、15.64±0.1、16.60±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、8.35±0.1、12.31±0.1および27.82±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターン、(ii)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約105〜108℃が中心である広がった吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラム、(iii)10℃/分の温度傾斜を用いて20℃〜100℃までで約8〜9.6%の重量減損を示す熱重量分析サーモグラム、または(iv)(i)および(ii)もしくは(i)および(iii)の特性を有するIII型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである、請求項7に記載の溶媒和物。
【請求項9】
前記III型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、約2108および1666cm−1のピーク位置に吸収を示し、任意選択で、2950、2933、1469、1437、711、681、251および224cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトル、または図13Aもしくは図13Bのものと実質的に同一のラマンスペクトルを有する、請求項8に記載の溶媒和物。
【請求項10】
前記溶媒和物が、(i)15.24±0.1、15.66±0.1、16.62±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、8.34±0.1、10.50±0.1、12.30±0.1、16.23±0.1および27.78±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターン、(ii)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約105〜108℃が中心である広がった吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラム、(iii)10℃/分の温度傾斜を用いて20℃〜100℃までで約9〜9.7%の重量減損を示す熱重量分析サーモグラム、または(iv)(i)および(ii)、(i)および(iii)、もしくは(i)、(ii)および(iii)の特性を有するIV型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである、請求項8に記載の溶媒和物。
【請求項11】
前記IV型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、約2107および1666cm−1のピーク位置に吸収を示し、任意選択で、2950、2933、1469、1437、711、681、467および224cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトル、または図16Aもしくは図16Bのものと実質的に同一のラマンスペクトルを有する、請求項10に記載の溶媒和物。
【請求項12】
結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項13】
(i)約16度の2θが中心である幅広のバンドを有する粉末X線回折パターン、もしくは図20と実質的に同一の粉末X線回折パターン、(ii)1℃/分の温度傾斜を用いて逆転熱流トレースの変曲点から得られる約44℃のTgを示す変調型示差熱分析サーモグラム、または(iii)(i)および(ii)の特性を有する、請求項12に記載の非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項14】
(i)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約30℃から約110℃まで加熱したとき約11%の重量減損、さらに200℃まで加熱したとき約5%のさらなる重量減損を示す熱重量分析サーモグラム、(ii)約2105および1673のピーク位置に吸収を示し;任意選択で、2972、2937、1439、749、684、484、470および226からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有するラマンスペクトル、または図19Aもしくは図19Bのものと実質的に同一のラマンスペクトル、または(iii)(i)および(ii)の特性を有する、請求項13に記載の非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項15】
17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水、メタノール−テトラヒドロフランもしくはアセトン溶液の容量を減少させる工程、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水溶液からメタノールを、水の添加と同時の蒸留によって除去する工程であって、ここで該溶液の初期容量は実質的に維持される、工程、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのエタノール溶液からエバポレーションによって溶媒を除去する工程を含む、結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【請求項16】
被検体に有効量の結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを投与することを含み、任意選択で、該結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールまたは他の結晶性形態の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないI型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである、被検体の炎症状態または代謝異常を処置するための方法。
【請求項17】
前記代謝異常が2型糖尿病、高血糖、肥満または高コレステロール血症である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記炎症状態がアルツハイマー病、パーキンソン病、虚血に関連する炎症、出血または外傷、任意選択で、心筋梗塞もしくは脳卒中、自己免疫疾患、任意選択で、1型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチまたは炎症性腸疾患、任意選択で、潰瘍性大腸炎もしくはクローン病である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
医薬の調製のための、非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用、または1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤と、非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールとを含む組成物の使用。
【請求項1】
結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項2】
非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない、請求項1に記載の結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項3】
17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態が無水物である、請求項2に記載の結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項4】
前記無水物が、(i)10.38±0.1、16.20±0.1および17.75±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、12.66±0.1、15.10±0.1、16.73±0.1、28.92±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターン、(ii)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約266℃におけるシャープな吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラム、または(iii)(i)および(ii)の特性を有するI型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである、請求項3に記載の結晶性無水物。
【請求項5】
前記I型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、(i)約2106および1674cm−1のピーク位置に吸収を示し、任意選択で、2887、1467、1437、712、683、247および226cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトル、または図5Aもしくは図5Bのものと実質的に同一のラマンスペクトル、(ii)本質的に図6Aまたは図6Bに示された形態構造、あるいは(iii)(i)および(ii)の特性を有する、請求項4に記載の結晶性無水物。
【請求項6】
前記無水物が、(i)2.49±0.1、5.04±0.1および16.20±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、7.46±0.1、10.44±0.1、17.73±0.1、28.92±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターン、(ii)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約259℃におけるシャープな吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラム、または(iii)(i)および(ii)の特性を有するII型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである、請求項3に記載の結晶性無水物。
【請求項7】
17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの結晶性形態が溶媒和物である、請求項2に記載の結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項8】
前記溶媒和物が、(i)15.25±0.1、15.64±0.1、16.60±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、8.35±0.1、12.31±0.1および27.82±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターン、(ii)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約105〜108℃が中心である広がった吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラム、(iii)10℃/分の温度傾斜を用いて20℃〜100℃までで約8〜9.6%の重量減損を示す熱重量分析サーモグラム、または(iv)(i)および(ii)もしくは(i)および(iii)の特性を有するIII型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである、請求項7に記載の溶媒和物。
【請求項9】
前記III型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、約2108および1666cm−1のピーク位置に吸収を示し、任意選択で、2950、2933、1469、1437、711、681、251および224cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトル、または図13Aもしくは図13Bのものと実質的に同一のラマンスペクトルを有する、請求項8に記載の溶媒和物。
【請求項10】
前記溶媒和物が、(i)15.24±0.1、15.66±0.1、16.62±0.1度の2θのピーク位置を有し、任意選択で、8.34±0.1、10.50±0.1、12.30±0.1、16.23±0.1および27.78±0.1度の2θからなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有する粉末X線回折パターン、(ii)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた約105〜108℃が中心である広がった吸熱を示す示差走査熱量測定サーモグラム、(iii)10℃/分の温度傾斜を用いて20℃〜100℃までで約9〜9.7%の重量減損を示す熱重量分析サーモグラム、または(iv)(i)および(ii)、(i)および(iii)、もしくは(i)、(ii)および(iii)の特性を有するIV型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである、請求項8に記載の溶媒和物。
【請求項11】
前記IV型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールが、約2107および1666cm−1のピーク位置に吸収を示し、任意選択で、2950、2933、1469、1437、711、681、467および224cm−1からなる群より選択されるピーク位置に1つ、2つもしくは3つの吸収を示すラマン分光法スペクトル、または図16Aもしくは図16Bのものと実質的に同一のラマンスペクトルを有する、請求項10に記載の溶媒和物。
【請求項12】
結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項13】
(i)約16度の2θが中心である幅広のバンドを有する粉末X線回折パターン、もしくは図20と実質的に同一の粉末X線回折パターン、(ii)1℃/分の温度傾斜を用いて逆転熱流トレースの変曲点から得られる約44℃のTgを示す変調型示差熱分析サーモグラム、または(iii)(i)および(ii)の特性を有する、請求項12に記載の非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項14】
(i)10℃/分の温度傾斜を用いて得られた、約30℃から約110℃まで加熱したとき約11%の重量減損、さらに200℃まで加熱したとき約5%のさらなる重量減損を示す熱重量分析サーモグラム、(ii)約2105および1673のピーク位置に吸収を示し;任意選択で、2972、2937、1439、749、684、484、470および226からなる群より選択される1つ、2つもしくは3つのピーク位置を有するラマンスペクトル、または図19Aもしくは図19Bのものと実質的に同一のラマンスペクトル、または(iii)(i)および(ii)の特性を有する、請求項13に記載の非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオール。
【請求項15】
17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水、メタノール−テトラヒドロフランもしくはアセトン溶液の容量を減少させる工程、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのメタノール−水溶液からメタノールを、水の添加と同時の蒸留によって除去する工程であって、ここで該溶液の初期容量は実質的に維持される、工程、または17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールのエタノール溶液からエバポレーションによって溶媒を除去する工程を含む、結晶性I型の17α−エチニル−アンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの作製方法。
【請求項16】
被検体に有効量の結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを投与することを含み、任意選択で、該結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールは、非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールまたは他の結晶性形態の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まないI型の17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールである、被検体の炎症状態または代謝異常を処置するための方法。
【請求項17】
前記代謝異常が2型糖尿病、高血糖、肥満または高コレステロール血症である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記炎症状態がアルツハイマー病、パーキンソン病、虚血に関連する炎症、出血または外傷、任意選択で、心筋梗塞もしくは脳卒中、自己免疫疾患、任意選択で、1型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチまたは炎症性腸疾患、任意選択で、潰瘍性大腸炎もしくはクローン病である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
医薬の調製のための、非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールの使用、または1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤と、非晶質17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールを実質的に含まない結晶性17α−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,7β,17β−トリオールとを含む組成物の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【公表番号】特表2011−527986(P2011−527986A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503236(P2011−503236)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/039567
【国際公開番号】WO2009/124300
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(503314680)ハーバー バイオサイエンシーズ,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/039567
【国際公開番号】WO2009/124300
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(503314680)ハーバー バイオサイエンシーズ,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
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