説明

医薬製剤用の顆粒、その製造方法及び装置

改善された顆粒状の医薬製剤が、当該製剤で用いられる顆粒を調製するための改善された方法及び装置と共に開示される。そのような方法は、固体の経口投与用医薬製剤を用途とする顆粒を製造するのに特に有用であり、また炎症性腸疾患の治療用として5−アミノサリチル酸(5−ASA)を含む顆粒を製造するのに特に適する。顆粒は、よりシャープにピークをなす長さ分布、したがってアスペクト比分布を示し、その結果、さらに処理した後にさらによりシャープな溶解プロファイルを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顆粒を調製するための改善された方法及び装置の使用と共に、改善された顆粒状医薬製剤に関連する。かかる方法は、固体の経口投与用医薬製剤、例えば放出速度が事前決定される(制御される)必要がある活性医薬成分を有する顆粒を含む医薬製剤を製造するのに特に有用であり、また炎症性腸疾患の治療を目的とする5−アミノサリチル酸(5−ASA)を含む顆粒の製造に特に適する。
【背景技術】
【0002】
多くの薬物は、医薬処方物を調製するために、顆粒状の形態、例えば固体の経口剤形で一般的に用いられている。薬物の他、顆粒は、添加剤、例えば界面活性剤、賦形剤、又は崩壊剤等を含み得る。活性医薬成分(API)を含む顆粒は、顆粒化した後にコーティングされ得る。コーティングを慎重に選択することにより、薬物がどんな速度及び消化器系のどこの部分で放出されるかを制御することが可能である。コーティングに加えて、顆粒の物理特性、例えばサイズ、粗さ、形態、及び空隙率等を制御することは、これらのパラメータは、用いられるコーティングの量を少なくとも部分的に決定するので、重要である。
【0003】
所望の特性を有する顆粒を製造するために、いくつかのアプローチが存在する。これらのアプローチは、初期の顆粒製造ステップと、これに続き、必要とするサイズ範囲内の顆粒のみを得るために、サイズに基づき製造された顆粒をソートすることを目的としたユニット操作を一般的に含む。粒状物は、最初の種から粒子を作り上げる、又はより大きな材料をより小さいサイズの粒子に破砕することにより生成可能である。多くの場合、円筒形状の顆粒は球状化プロセスにかけられ、これは、球状に成形された粒子、すなわち、例えば粒子が回転することができる1つの軸すら存在しない、又はもはや存在しないので、ランダムに回転する粒子を生成する。円筒形状の非球状化顆粒は、顆粒が回転することができる単一の軸の存在により特徴づけられる。当技術分野において、球状化顆粒は、ペレット化顆粒又はペレットとも呼ばれる場合がある。専用の装置が顆粒を球状化する又はペレット化するために存在する。
【0004】
顆粒(球状化された又はされていない)をソートする際に用いられる代表的な操作は、流動床又は様々なタイプのふるいである。しかし、現在用いられている手順は、下記で議論されるようないくつかの欠点に悩まされている。
【0005】
国際公開第2001/03089号は、流動化原理に基づく医薬粒子をソートするデバイスについて記載する。かかるデバイスで採用されたハウジングチャンバーは、フィルター部分が回転することで、調製プロセス中に不可避的に形成される(望ましくない)微細な粒子によりフィルターが目詰まりするのを防止しながら、所望の最低の大きさよりも大きな粒子を保持するように意図された回転フィルターを備えている。粒子は、抵抗を最小限に抑えるように流動性流体と同方向に配置する傾向があり、すなわちより長い粒子を、同等の幅を有するより短い粒子から効率的に分離することが一般的に不可能であり、したがって粒子を分離するために流動床を利用する場合、これは1に近いアスペクト比を有する粒子を分離するのに主に有用である。
【0006】
米国特許第2004/0033266号は、いわゆるモノモードの粒度分布を有する医薬粒子を得る方法について開示する。これは、目標とする粒子サイズを規定するメッシュ隙間サイズを有するスクリーン上に載っている大型の凝集粒子に超音波処理を行うことにより達成される。超音波処理は、凝集物をより小さな粒子に分解し、次に同粒子は隙間を通過し、そしてより小さな孔を有する別のふるい上に収集される。この方法は、静電相互作用により一体化して保持されている結晶性凝集物に最も適する。当該方法では、より複雑なタイプの粒子又は粒状物、又はアスペクト比が1から顕著に異なる粒子に対して、その適性はかなり低い。
【0007】
米国特許第2005/0269433号は、乾燥粉末から顆粒を生成するための一体化したプロセスについて開示する。プロセスの初期ステップで生成した粒状物は、中間の半乾燥状態で微粉化及びソートされるが、この半乾燥状態は、中間体がスクリーン又はふるいを用いてサイズ分離される場合に有利である。しかし、ふるいによるサイズ分離は、流動床の場合と類似した問題を有する:粒子の最小寸法が孔の最小寸法未満の場合、粒子は、孔を通過することができ、また非常に長い粒子以外は、すべて最終的にふるいを通過する。したがって、ふるい法は、中等度〜高アスペクト比の粒子を、低アスペクト比の粒子と区別することができない。
【0008】
薬物含有顆粒を製造するためのいくつかの従来法、例えば国際公開出願第2003/032952号に記載されている方法は、所望のサイズの孔を有するスクリーンを通過した薬物及び適する結合剤を含む湿潤塊を押出成形し、その後、粒状物を生成するために乾燥及び微粉化することに依拠する。次に、サイズによる分離は、ふるいを用いて一般的に実施される。ふるいは、長い顆粒が、その長さ方向に沿ってふるいを経由して移動しながらふるいを通過する確率を高めるために、機械的に振動するように構成されている。このクラスのプロセスでふるい分けされた粒状物は、そのような結果として、比較的幅広い顆粒長分布を有することが一般的に認められる。かかる現象は、ふるい法の上記特徴に起因する。それにもかかわらず、かかる分布は当業者により許容される限界と一般的にみなされている。ふるい法は、顆粒の長さに基づいて区別することができないので、分布は幅方向の分布について有効ということになる。これは、長い間この分野で認められてこなかった。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第一の態様によれば、顆粒を含む医薬製剤が提供され、前記顆粒のそれぞれが、活性医薬成分を有し、また前記顆粒のそれぞれが、事前決定された軸及び同一の事前決定された断面プロファイルを有し、かかる顆粒数の少なくとも80%、好ましくは85%、最も好ましくは90%が、アスペクト比2.2未満、好ましくは2.1未満、最も好ましくは2未満を有する。上記割合(%)のそれぞれには、±10%以内の割合(%)が含まれると理解される。したがって、少なくとも80%には、70%も含まれるものと考えられる。これら顆粒のそれぞれは、同一の活性医薬成分を有することも可能である。
【0010】
さらに、上記顆粒は、医薬製剤の単回投与量のうち、薬学的に活性な顆粒の数の少なくとも10%、30%、50%、70%、90%を、又は100%さえも占めることも可能である。
【0011】
上記顆粒は非球状であると考えられる。
【0012】
球状化顆粒は球状の形態を有し、角張った又は刃状の特徴を有さないと考えられる。多くの場合、顆粒が回転できる1つの軸すら存在しない、又はもはや存在しないので、球状化顆粒はランダムに回転する。非球状化顆粒は、2つ以上の軸の周囲を回転することができない程度に角張った又は刃状の特徴を有する。
【0013】
本発明の第一の態様の好ましい実施形態では、上記顆粒数の少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%が、アスペクト比0.7を超える、好ましくは0.9を超える、最も好ましくは1.0を超える。本発明の第一の態様のうち、現在好ましい実施形態では、上記顆粒のメジアンアスペクト比は1.0を超え、好ましくは1.1を超え、最も好ましくは1.2を超え、かつ1.7未満、好ましくは1.6未満、最も好ましくは1.5未満である。本発明の第一の態様の好ましい実施形態では、上記顆粒のアスペクト比のスパンは、0.9未満、好ましくは0.8未満、より好ましくは0.7未満、なおもより好ましくは0.6未満、最も好ましくは0.5未満である。
【0014】
上記数値記載のうち少なくとも1つは、調製物のすべての顆粒に適用され、又は該当する場合には、少なくともアスペクト比が1を上回る顆粒に適用されるのが好ましい。
【0015】
いずれの場合にも、かかる実施形態は、より制御され、また再現性のある溶解プロファイルを示すことができ、すなわち溶媒に浸漬した後、顆粒の大多数が所定の時間内に溶解し、そして顆粒のより小さな割合がこの時間外で溶解する。かかる実施形態は、明確に定義された間隔を経た後に、その有効成分の大部分を放出することができ、したがって、例えば経口投与用医薬品のように、溶媒浸漬後に明確に定義された放出が必要とされる用途に特に適する。
【0016】
さらに、薬理学者は、さらなる処理、搬送ステップ等がより容易にモデル化可能であり、また分布の尾部に存在する極めて巨大な(又は微小な)顆粒の一部により別途引き起こされる変動が、より少なくなるように、明確に定義された、好ましくは狭いアスペクト比分布を有することを好む。
【0017】
本発明の第一の態様の好ましい実施形態では、最小の断面寸法は、0.25mm〜2.5mm、好ましくは0.5mm〜2mm、最も好ましくは0.6mm〜1.8mmである。非常に適する実施形態では、最小の断面寸法は、0.95mmに固定される。
【0018】
かかる実施形態は、錠剤、サシェ剤、及び充填カプセル剤等の経口投与形態を含む、使い勝手の良い投与形態の製造に特に適する。
【0019】
本出願により予想される可能な剤形として、上記顆粒に加えて、錠剤、カプセル剤、サシェ剤、又は丸剤が挙げられる。顆粒は、好ましい剤形等として利用可能、カプセル若しくはサシェに充填可能、又は錠剤若しくは丸剤にさらに圧縮可能である。
【0020】
やはり本出願に含まれるさらなる剤形として、飲料物又はシロップ剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、溶液剤、ヒドロゲル剤、フィルム、ロゼンジ剤、チューインガム、口腔内崩壊性錠剤、口腔洗浄剤、歯磨き粉、リップクリーム、薬用シャンプー、ナノスフェア懸濁剤、及びマイクロスフェア錠剤の他、エアゾール剤、吸入剤、噴霧剤、喫煙用又はフリーベース粉末形態、並びにクリーム剤、ゲル剤、リニメント剤又はバーム剤、ローション剤、軟膏剤、点耳剤、点眼剤、及び皮膚用貼付剤等の局所に適用するための剤形が挙げられる。
【0021】
さらに含まれるものとして、例えば、経直腸的に又は経膣的に利用可能な坐剤が挙げられる。これらの剤形は、いずれも当業者に周知されている。
【0022】
本発明による好ましい剤形は、顆粒剤、コーティングされた顆粒剤、錠剤、ペレット剤、坐剤、及び乳剤である。なおもより好ましいものとして、顆粒剤及び錠剤が挙げられる。
【0023】
本発明の最も好ましい実施形態は、それ自体又は錠剤若しくは丸剤にさらに処理される、例えばサシェ若しくはカプセル若しくは顆粒内に充填された顆粒のいずれかにより代表される。本発明の顆粒は、いずれもできる限り投与直前に、上記剤形のいずれか1つにさらに処理(例えば、溶解)可能である。
【0024】
下記では、本明細書は、「顆粒」の説明に重点を置く。ただし、「顆粒」と呼ぶ場合は常に、この用語は、当業者に公知のさらに考えられ得る剤形、及び特に上記のような顆粒もすべて含むものとする。
【0025】
本発明の第一の態様の好ましい実施形態では、顆粒は、1つ又は複数の活性医薬成分、及び任意選択的に1つ又は複数の薬学的に許容される添加剤、例えば充填剤、結合剤等を含む。
【0026】
本発明の顆粒は、医薬組成物に処方化されるべきあらゆる考えられ得る有効成分を含み得る。本発明は、用いられる実際の医薬成分とは独立に、得られる顆粒に改善された特性をもたらすことに特に関係するので、本発明は実際の有効成分の選択に依存しない。
【0027】
ほんの一例を挙げると、そのような文脈において考えられ得る有効成分は、抗炎症性化合物、抗癌化合物、抗糖尿病化合物、高血圧治療用化合物等の心血管用化合物、抗生物質、不妊症治療用化合物、及び神経変性疾患治療用化合物から選択され得る。
【0028】
特に好ましい実施形態では、有効成分は、制御放出、例えば遅延放出で送達されるべき成分である。すなわち、かかる有効成分を含む本発明の顆粒は、コーティングと共に提供され得る、又はそのような顆粒の少なくともいくつかは、コーティングと共に提供され得る。したがって、好ましい実施形態では、本発明は、コーティングを有する顆粒に関連し、またこれらの顆粒がコーティングを有することから、制御された方式で放出されるべき有効成分を含む顆粒に特に関連する。
【0029】
より好ましくは、このコーティングは、薬学的に許容されるコーティングであり、またコーティングは、腸溶性コーティング、持続放出性コーティング、又は遅延放出性コーティングであるのが特に好ましく、かかるコーティングは、いずれも当業者にとって周知である。
【0030】
例として、ただし決して本発明を限定するものとしてではなく、制御放出用としてかかる顆粒に提供され得る、コーティングを含む有効成分は、ナテグリニド(Starlix(登録商標))、メトプロロール(Seloken ZOK(登録商標))、及びエソメプラゾール(Nexium(登録商標))から選択され得る。
【0031】
なおもより好ましくは、本発明は、抗炎症性医薬成分に該当する成分を含む。特に好ましくは、アミノサリチル酸又はその薬学的に許容される塩又はエステルであり、したがって本発明の特許請求の範囲に含まれる。本発明のなおもさらに好ましい実施形態では、アミノサリチル酸は、5’−アミノサリチル酸(5−ASA)である。この医薬品は、多くの場合ペンタサ(PENTASA)と呼ばれ、その錠剤(500)は、例えば5−ASAを500mg含有する。非医薬成分は、微結晶性のセルロース、エチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポビドン、及びタルクである。
【0032】
そのような文脈において、下記で「医薬成分」又は「有効成分」と引用する場合は常に、両用語は交換可能に利用可能であることに留意しなければならず、両者は常に、その薬学的に許容される塩又はエステルを使用する可能性を含む。
【0033】
かかる実施形態は、製造、貯蔵、及び使用において、投与形態の完全性を改善するのに有利である。
【0034】
本発明の第一の態様の好ましい実施形態では、医薬製剤は、炎症性腸疾患を治療するのに適する。本発明の第一の態様のさらに好ましい実施形態では、医薬製剤は、潰瘍性大腸炎、クローン病、消化不良、高血圧、I型又はII型糖尿病、神経変性疾患、炎症性疾患、心血管系疾患、又は癌を治療するのに適する。上記の通り、任意の有効成分が、本発明により処方化可能であり、したがって有効成分は、本発明の範囲を制限せず、これは特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0035】
かかる実施形態は特別な有用性を有し、またかかる状態を対象とするその他の一般的に入手可能な治療法と比較して改善された特性を示す。
【0036】
本発明の第一の態様の好ましい実施形態では、顆粒は錠剤に圧縮される。本発明の第一の態様のその他の好ましい実施形態では、顆粒はサシェ内部に封入される。本発明の第一の態様のうち、なおもその他の好ましい実施形態では、顆粒はカプセル内部に封入される。
【0037】
本発明の第二の態様によれば、事前決定された断面プロファイル及び事前決定された軸を有する顆粒を生成するステップ、前記顆粒をそのアスペクト比に基づき少なくとも1つの分画にソートするステップ、及び1つ又は複数の所定分画に上記顆粒をさらに処理するために選択するステップからなる諸ステップを含む、医薬製剤を製造する方法が提供される。顆粒をソートするステップは、顆粒を長さ分離装置を通過させることにより達成される。
【0038】
かかる実施形態は、非球状型の、またより制御された、再現性のある溶解プロファイルを示す顆粒を製造することができ、したがって溶媒に浸漬した後、明確に定義された放出が必要とされる用途、例えば経口投与用医薬品に特に適する。
【0039】
顆粒は、医薬製剤の単回投与量のうち、薬学的に活性な顆粒数の少なくとも10%、30%、50%、70%、90%、又は100%さえも占めることができる。
【0040】
本発明の第二の態様の好ましい実施形態では、長さ分離装置は、キャビティが形成された表面を含み、前記表面は、所定のキャビティ寸法と顆粒の長さとの間に事前決定された関係を有する表面上の顆粒が、所定の分画に該当し、分類されるように、事前決定された経路をたどるように構成されている。
【0041】
かかる実施形態は、研究室及び製造スケールにおいて必要とされる顆粒分布を迅速かつ効果的に実現する際に特に有効である。また、かかる実施形態は、不連続というよりはむしろ連続的なプロセスも実現可能であり、収率及びプロセス時間についても改善することができる。
【0042】
本発明の第二の態様の好ましい実施形態では、顆粒は、均一化された湿潤塊を、事前決定された寸法の開口部を有する押出スクリーンを通過させ、そして押し出された塊を粉砕して顆粒を形成することにより調製される。
【0043】
かかる実施形態は、製造スケールで形成するのに便利であり、また明確に定義されたアスペクト比の決定を可能にする。
【0044】
本発明の第二の態様の好ましい実施形態では、表面は、円筒であり、事前決定された経路は、円筒の軸の周りを回転し、そして所定の分画に分類される顆粒を収集するための容器は、円筒の軸からずれて配置される。
【0045】
かかる実施形態は、広い機器設置面積を必要としないで、大量の顆粒に適用することができる。
【0046】
本発明の第二の態様の好ましい実施形態では、円筒は、1秒間当たり1回転未満で回転するように構成されている。本発明の好ましい実施形態では、10cm〜200cmの内径を有する。特に好ましい実施形態では、周辺部の表面スピードが1m/秒未満で回転するように、円筒が構成されている。
【0047】
かかる実施形態は、顆粒のアスペクト比の分布を特に改善させることができ、またしかるべき数の顆粒が好ましいアスペクト比分布に達する時間も改善することができる。
【0048】
本発明の第二の態様の好ましい実施形態では、表面のキャビティはそれぞれ、事前決定された寸法の単一の顆粒を受け入れる(hosting)のに適する。
【0049】
かかる実施形態は、明確に定義された顆粒分画を特に効率的に抽出することができる。
【0050】
本発明の第二の態様の好ましい実施形態では、さらに処理するために選択されない顆粒は、さらに再粉砕され、その後そのアスペクト比に基づきさらに再ソートされる。本発明の第二の態様の特に好ましい実施形態では、さらに処理するために選択されない顆粒は、初期のソートステップで顆粒をソートするのと同一のプロセスにおいてさらに再ソートされる。
【0051】
かかる実施形態は、廃棄物の低減及び有効収率の改善を可能にし、また特に好ましい実施形態は、装置の設置面積を顕著に増加させることなく、かかる収率改善を可能にする。
【0052】
本発明の第三の態様によれば、医薬製剤を製造する方法で長さ分離装置の使用が提供されるが、当該使用は、顆粒を選択する間に生じ、当該顆粒は、それぞれ事前決定された軸及び同一の事前決定された断面プロファイルを有し、並びに少なくともそのいくつかは活性医薬成分を有する。好ましくは、各顆粒は活性医薬成分を有し、またなおもより好ましくは、当該活性医薬成分は、各顆粒について同一である。顆粒は非球状型顆粒である。好ましい実施形態では、医薬製剤を製造する方法は、活性医薬成分が事前決定された速度で放出されるように、選択された顆粒にコーティングを適用するステップを含む。好ましくは、長さ分離装置は表面を備え、当該表面はこれにいくつかの同一に事前成形されたキャビティを有する。各キャビティは、単一の顆粒を受け入れる(hosting)のに適する。表面は、当初キャビティ内に保持されていた顆粒が事前決定された経路に沿ったある位置でキャビティの外に落下するように、事前決定された経路をたどるように構成されている。当該位置は、各顆粒の長さに依存する。この特別な長さ分離装置を使用すれば、事前決定された長さよりも短い長さを有する顆粒を分離する効果的で簡便な方法が可能となる。選択された顆粒が、より小さな顆粒までに粉砕される可能性がもはやないように、事前決定された長さを設定することが可能である。したがって、顆粒の総表面積は、さらなる処理中に顕著に変化しないという点において安定である。これに基づき、コーティングが、事前決定された厚さを有し、そして活性医薬成分の放出速度が正確に制御可能となるように、大バッチの選択された顆粒にコーティングを適用することが可能である。
【0053】
選択された顆粒は、医薬製剤の単回投与量のうち薬学的に活性な顆粒数の少なくとも10%、30%、50%、70%、90%、又は100%さえも占める可能性がある。
【0054】
特許請求された本発明をより良く説明し、また本発明を実施可能にする方法を示すために、ここで事例目的に限定して添付図面を参照するが、その内容は以下の段落に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1a】長さ分離装置の例の概略的な図を示し、a)作動原理(断面)、b)a)に示す分離装置の拡大断面図を表し、及びc)収集器を示す例を、ここでは、選択された顆粒を捕捉する上部の静止部分及び選択された顆粒を出口に向かって搬送する若干勾配を有する下部の振動部分を含むトラフの形状で表している。
【図1b】長さ分離装置の例の概略的な図を示し、a)作動原理(断面)、b)a)に示す分離装置の拡大断面図を表し、及びc)収集器を示す例を、ここでは、選択された顆粒を捕捉する上部の静止部分及び選択された顆粒を出口に向かって搬送する若干勾配を有する下部の振動部分を含むトラフの形状で表している。
【図1c】長さ分離装置の例の概略的な図を示し、a)作動原理(断面)、b)a)に示す分離装置の拡大断面図を表し、及びc)収集器を示す例を、ここでは、選択された顆粒を捕捉する上部の静止部分及び選択された顆粒を出口に向かって搬送する若干勾配を有する下部の振動部分を含むトラフの形状で表している。
【図2】下記に示す測定プロトコールによる、未コーティングの5−ASA顆粒、2バッチのカウントで表した顆粒長さ分布を開示する図である(左縦軸:相対的な分布;右縦軸:累積的な分布)。
【図3a】キャビティを有する円筒分離装置で分離された5−ASA顆粒の顆粒長分布を示す図であり、同装置の円筒は、a)直径1500μm(PTD−X05−255=円筒分画;PTD−X05−254=トラフ分画)、b)直径1750μm(PTD−X05−257=円筒分画;PTD−X05−256=トラフ分画)、及びc)直径2000μm(PTD−X05−259=円筒分画;PTD−X05−258=トラフ分画)、のキャビティをそれぞれ有する(左側縦軸:相対的な分布;右縦軸:累積的な分布)。
【図3b】キャビティを有する円筒分離装置で分離された5−ASA顆粒の顆粒長分布を示す図であり、同装置の円筒は、a)直径1500μm(PTD−X05−255=円筒分画;PTD−X05−254=トラフ分画)、b)直径1750μm(PTD−X05−257=円筒分画;PTD−X05−256=トラフ分画)、及びc)直径2000μm(PTD−X05−259=円筒分画;PTD−X05−258=トラフ分画)、のキャビティをそれぞれ有する(左側縦軸:相対的な分布;右縦軸:累積的な分布)。
【図3c】キャビティを有する円筒分離装置で分離された5−ASA顆粒の顆粒長分布を示す図であり、同装置の円筒は、a)直径1500μm(PTD−X05−255=円筒分画;PTD−X05−254=トラフ分画)、b)直径1750μm(PTD−X05−257=円筒分画;PTD−X05−256=トラフ分画)、及びc)直径2000μm(PTD−X05−259=円筒分画;PTD−X05−258=トラフ分画)、のキャビティをそれぞれ有する(左側縦軸:相対的な分布;右縦軸:累積的な分布)。
【図4a】キャビティを有する円筒分離装置を用いてソートされた顆粒の写真を示す図であり、(a)はトラフ分画、及び(b)回転する円筒分画である。
【図4b】キャビティを有する円筒分離装置を用いてソートされた顆粒の写真を示す図であり、(a)はトラフ分画、及び(b)回転する円筒分画である。
【図5a】顆粒長分布を示す図であり、a)現在の製造、及びb)キャビティサイズが2000μm及び涙滴形キャビティを備えた円筒を用いて、キャビティを有する円筒分離装置により得られた顆粒、に関する(左縦軸:相対的な分布;右縦軸:累積的な分布)。図5aでは、実線は、コーター前の顆粒長分布を表し、破線はコーティング後の顆粒長分布を表す。図5bでは、破線は、コーター前の顆粒長分布を表し、実線はコーティング後の顆粒長分布を表す。縦の点線は、顆粒の代表的な望ましい最大サイズ2000μmを示す。
【図5b】顆粒長分布を示す図であり、a)現在の製造、及びb)キャビティサイズが2000μm及び涙滴形キャビティを備えた円筒を用いて、キャビティを有する円筒分離装置により得られた顆粒、に関する(左縦軸:相対的な分布;右縦軸:累積的な分布)。図5aでは、実線は、コーター前の顆粒長分布を表し、破線はコーティング後の顆粒長分布を表す。図5bでは、破線は、コーター前の顆粒長分布を表し、実線はコーティング後の顆粒長分布を表す。縦の点線は、顆粒の代表的な望ましい最大サイズ2000μmを示す。
【図6a】コーティングされた顆粒の比較サンプル(「ペンタサ錠剤用顆粒」)、及び本発明に基づき調製された分類及びコーティング済みの顆粒のサンプル(「ペンタサ95%サシェ」)の、90分における溶解分布データを比較する確率プロットを示す。
【図6b】図6aに示す分布データを「F−検定」することによる統計的有意性を示す図である。
【図7】ペンタサ組成物を分画して、及び分画しないで得られた顆粒サンプルのアスペクト比分布を、実施例5の顆粒に関する比較データと共に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の長所について、特定の理論又は説明のいずれにも束縛されることを望むものではないが、本発明物を製造する際に、活性医薬成分を含む顆粒は、特に顆粒が比較的大きなアスペクト比を有するときに、コーティングプロセス中に断片化する傾向が認められた。高いアスペクト比を有する長い棒状の顆粒は、さらなる処理中に長さ方向を横断して断片化する傾向を有することは容易に想像され得る。かかる挙動は、顆粒の主要な寸法が、顆粒の微細構造よりかなり大きければ、形状、特にアスペクト比に起因する特徴である。一方、短い顆粒(アスペクト比が1未満の)は、処理中に端部及び面が摩耗して若干より球状形態になる傾向を有する。しかし、かかる摩耗(abrasion)は、磨滅(attrition)とも呼ばれるが、より多くの回転方向が得られるようになる、又は事前決定された主要な軸及び/又は断面が認識できなくなる段階までに顆粒は到達しないので、球状化の一形態とはみなされない。顆粒はなおも角張った特徴を有する。
【0057】
著者によっては、アスペクト比を最短寸法に対する最長寸法の、又は最長寸法に対する最短寸法の比として定義するが、事前決定された軸(例えば、押出成形軸)を有し、また規定された断面(例えば、押出成形断面)からなる押出成形された顆粒を議論するとき、事前決定された軸、すなわち押出成形軸に沿った顆粒長を、最小断面寸法(円形断面を有する粒子の場合は、直径)で割り算したものとしてアスペクト比を定義するのが最も有用である。本出願では、この比は上記寸法間の比であり、粉砕特性に最大の影響を有するものと考えられるので、出願者らはこの定義を採用する。しかし、本発明は、押出成形型顆粒以外にも、あらゆる同様に形成された顆粒に対しても用途も有する。
【0058】
一般的に、押出成形型顆粒及び同様に形成された顆粒は、認識可能な軸、例えば回転軸又は鏡面対称軸を有し、角の損傷、又は製造プロセスにおける若干の変動、又は顆粒の一方若しくは両方の末端部に向かって若干細くなることさえなければ、この軸に沿って、当該軸に対して垂直な断面は実質的に類似している。これは、押出成形型顆粒の押出成形軸に一般的である。任意の類似したバルク顆粒では、軸に対して垂直の主要な断面プロファイルが別の顆粒の断面プロファイルと実質的に類似するような、かかる軸としても定義することができる。したがって、顆粒は、かかる軸に沿って長さが個々に変化する可能性があるものの、これらの粒子はすべて、この軸に対して垂直な実質的に類似した断面を示す。
【0059】
用語「同様に形成された顆粒」には、これらの顆粒が、押出成形法とは異なるプロセスにより形成されたとしても、事前決定された軸及び同一の事前決定された断面プロファイルに関して、押出成形型顆粒の特徴を有する顆粒が含まれる。成形技術は、例えば事前決定された軸及び事前決定された断面プロファイルを長い顆粒に付与することができ、同顆粒は、その製造後に、押出成形型顆粒が断片化するのと同一の方式で、より短い顆粒に断片化し得る。
【0060】
用語「事前決定された軸」は、顆粒が形成される前であっても、形成されるべき顆粒に付与される軸として理解され得る。軸は、これが長尺の繊維状の材料を形成するのに用いられる装置により、材料を顆粒に断片化する前に決定されるように、事前決定される。したがって、事前決定された軸は、顆粒化プロセスで顆粒が形成される前に、形成されるべき顆粒に付与される軸として定義され得る。鋳型も、実際の顆粒形成前に顆粒に軸を付与する。
【0061】
類似の観点が、用語「事前決定された断面プロファイル」に適用可能である。このプロファイルは、長尺の繊維状の材料を形成するのに用いられる装置により、顆粒化プロセスで顆粒形成する前に、顆粒に付与されるが、これは当該材料が顆粒に断片化される際にもたらされる。
【0062】
球状化プロセスにかけられた顆粒は、事前決定された断面プロファイル有する顆粒ではない、又はもはや顆粒ではないことは明らかである。
【0063】
事前決定された軸及び同一の事前決定された断面プロファイルを有する顆粒を、事前決定された軸、及び当該軸に対して垂直であり、当該軸に沿って軸方向に隔たった少なくとも3箇所で同一の事前決定された断面プロファイルを有する顆粒とみなせば、本出願の一般的な教示を検討する際に特に有用である。かかる定義を採用すれば、軽微な変形及び不規則性を有する顆粒も、本発明の範囲に入ること、及び実質的に球状の又は不規則な顆粒は、この定義から排除されることを保証しながら、本発明の長所を実現できる。
【0064】
上記のように定義したアスペクト比が大きい場合、顆粒は棒、プリズム、又は円筒形のタイプの形状を有し、そして加えられた力は、この軸に沿ったいくつかのポイントで顆粒をせん断する傾向があり、その断面には実質的に影響を及ぼさずにその長さを短縮すると考えられている。一方、上記で定義したアスペクト比が小さい場合、加えられた力は、顆粒を摩耗させ、又は破砕する傾向があり、その断面を変化させると考えられている。上記で定義したアスペクト比が1に近い又は1未満の場合、加えられた力がこの軸に沿って顆粒を粉砕する確率は低くなる、又は最小となると考えられ、そして摩耗及び破砕が主要な粉砕モードとなる可能性がある。
【0065】
したがって、上記するようなアスペクト比の定義は、本発明を特徴づけ、またその挙動を理解する場合、いずれについても非常に有用であり、また他の有用性のより低いアスペクト比の定義では定義されていないアスペクト比1未満とも全体的に整合すると考えられる。しかし、長さが最大断面寸法よりも長い場合、このアスペクト比の定義は、最大寸法を最小寸法で割り算するような代替定義と同一となる。
【0066】
一方、コーティング中の顆粒の断片化は、コーティングされる全体的な表面を増加させる。したがって、規定のコーティング厚を実現するように計算された、しかるべき量のコーティング液が用いられる場合には、得られるコーティングの厚さは低下する。一方、顆粒の断片化が、コーティングプロセスの終りにかけて生ずる場合には、新規に生み出された顆粒表面は、少量のコーティングしか、又はコーティングがまったく付与されない傾向を有し、その結果、顆粒の全体的な溶解特性はコーティング液の量が計算された場合の溶解特性から乖離する。さらに、新たに生み出された表面上により少ない量のコーティングしか付与されなかったそのような顆粒は、より迅速に溶解するので、顆粒の一部は、他の部分に先立って十分に溶解するという点において、溶解プロファイルはより速く、またより不明確に定義されるようになる可能性がある。かかる顆粒は、経口剤形の場合、その有効成分を不本意にも早期に、例えば腸ではなく胃内で放出する可能性がある。その結果、顆粒により均一なコーティングを施すために、所定の長さを上回る顆粒を、コーティングプロセスから除去するのが好ましいと結論付けられた。
【0067】
したがって、当技術分野において、明確に定義された長さ分布を有する顆粒、また特に、コーティングを含むさらなる処理中に断片化するようなアスペクト比を有する顆粒を強く排斥する長さ分布を持つ顆粒が必要とされている。また、顆粒について明確に定義された長さ分布、したがって有効成分について明確に定義された溶解及び放出プロファイルを得ることが可能なように、医薬組成物用の顆粒をその長さに基づき分離するための方法及び装置に対しても関連する必要性が存在する。
【0068】
本発明の実施形態は、所望の活性医薬成分、又はいくつかの有効成分からなる併用物であってもこれを含む顆粒を製造するために、医薬分野において有用である。
【0069】
本発明のための出発物質として用いられる顆粒は、好適には共通の断面プロファイルを有する。三次元形状は、円筒形、長円体、又は所望の任意のその他の形状、例えば三角形、長方形、又はその他の多角形プリズムであり得る。本発明の現在好ましい実施形態では、形状は円筒形であり、すなわち各顆粒の直径が、その長さ方向に沿って任意のその他の顆粒の直径と本質的に同一である。したがって、長さ寸法のみが異なる。しかし、本発明は、顆粒内に様々なプロファイル形状を有する混合物、例えば円形顆粒及び六角プリズム状の顆粒からなる混合物にも適用可能である。
【0070】
顆粒は、押出成形法により好適に製造される。押出成形機は、0.6〜1.8mm、好ましくは0.9mmの直径の非常に多くの孔を有するスクリーンを備える。スクリーンの厚さは0.9〜2.0mm、好ましくは、スクリーンの厚さは1.5mmである。孔は、押出成形された顆粒に所望の断面プロファイルを付与する形状、例えば円筒形顆粒を生成する円形の孔、又は三角プリズム状の顆粒用の三角形の孔から構成されている。各孔は、スクリーンを貫通する同一断面を有し得る、又は任意の他の孔と比較していずれかの方向に細くなっている。好ましくは、孔は先細りであり、各孔はスクリーン出口側断面よりも大きいスクリーン入口側断面を有し、好ましい出口直径は0.9mmであり、また好ましい入口直径は0.95mmである。
【0071】
押出成形後、顆粒は、適するデバイス内で乾燥可能である。乾燥デバイスは、流動床であるのが有利である。しかし、オーブン乾燥、例えば赤外線、紫外線、又はマイクロ波による照射、及び凍結乾燥等の、当業者に公知のその他の可能性も利用可能である。
【0072】
流動床が用いられる場合には、流動床内の滞在時間が約2時間となるように設計可能である。しかし、顆粒の寸法及び組成に応じてより短い時間又はより長い時間も検討される。
【0073】
場合によっては、流動床は2つの部分に分離される。第1の部分では、互いに癒着するのを避けるために、顆粒は表面上で乾燥される。この部分では、顆粒のランダム混合が行われる。流動床の第二の部分では、最終乾燥が行われ、そして顆粒は、流動床底部プレート内にある孔の適するパターンにより、流動床を経由して誘導される。
【0074】
顆粒が乾いたら、顆粒は流動床から放出され、そして顆粒の長さを短くするためにミルに移すことができる。微粉化プロセスは、好ましくはコニカルミルを用いて実施されるが、ただしビーズミル、ジェットミル、ブレンダー、又はマニュアル粉砕等のその他の微粉化タイプも利用可能である。微粉化ステップは、顆粒が本発明に基づきいつでも処理される状態になる前に、ふるい分けにより除去可能な、少量の微粉を生成する場合がある。しかし、本発明は微粉化しなくても実現できる。
【0075】
本発明で用いられる顆粒の製造で採用される湿潤塊は、他にも要因はあるが、とりわけ固有の活性医薬成分及び医薬処方物に依存して、任意の適するプロセスにより調製され得る。湿潤塊の精密な組成は、押出成形及び任意選択的な乾燥ステップのパラメータを決定するが、適するパラメータの選択は、十分に当業者の能力範囲内である。
【0076】
また湿潤塊は、繊維状の材料として押し出される場合、かかる繊維をより短い断片に細断して、このように製造された顆粒の大部分の長さに影響を与え又は固定さえすることも考えられる。これは、明確に定義された狭いピークを有するより均一な長さ分布を実現することができる。必要とする長さ分布を有する顆粒の選択は、次に品質管理の一形態として応用可能である。
【0077】
特許請求された本発明の実施形態である顆粒を実現するために、必要とする長さ分布を有する顆粒を選択する方法は、したがっていずれの場合においても、好んで採用される。
【0078】
かかる方法の1つの実施形態は、顆粒をソートする長さ分離装置を使用するが、同装置は、いくつかの事前成形された、それぞれが顆粒のうちの1つを受け入れるのに適するキャビティを有する表面を備える。かかる表面は、キャビティを有する表面(cavitied surface)と呼ばれる場合がある。各キャビティから、そこに受け入れられた顆粒が、経路に沿ったドロップアウト位置で落下するように、表面は、事前決定された経路をたどるように構成されている。各ドロップアウト位置は、各キャビティ内に受け入れられた顆粒の最長寸法により決定される。
【0079】
長さ分離装置は、少なくとも1つの事前決定されたドロップアウト位置から顆粒を収集するための収集器をさらに備える。かかる長さ分離装置の実施形態は、いくつかのキャビティ、例えば配列したキャビティを有する内面上に設けられた、実質的に水平に配向した軸を有する回転可能な円筒を備える。
【0080】
用語「実質的に水平に」は、回転する円筒が水平な位置に対してわずかに傾いた実施形態も含み、例えば、円筒は1〜15°、好適には2〜6°傾いていてもよい。傾斜は、長さ分離装置で処理された粒子が、入口から出口に向かって移動する際に重力の支援を受けるように、一般的に出口の方向に向いている。その他の構成では、分離装置内の滞在時間を最大化するために、出口末端が入口末端よりも高い逆の構成も可能である。
【0081】
この長さ分離装置の実施形態は非常に実用的であるものの、その他の実施形態も可能である。例えば、事前成形されたキャビティを備えた表面が、コンベアベルトの一部である、及び/又はキャビティを円筒の外表面に設けることも可能である。その他の同等の構成の操作原理、及び効果的な方式でかかる構成を構築する方法は、本明細書の説明から当業者にとって明白である。
【0082】
図1aは、代表的な長さ分離装置13の概略図を開示する。長さ分離装置13は、キャビティ2が内側に設けられた円筒又は外套1を備え、好ましくは、キャビティ2はその円周全体にわたり設けられる。矢印は回転方向を表す。円筒1の内側には、収集器の少なくとも一部としてトラフ3が設けられている。円筒が回転すると、所定のカットオフ値未満の顆粒は、トラフ内に放出される。図1bは、図1aに示す装置の詳細を示す。顆粒4は、所定のカットオフ値未満の長さを有するものであり、したがってトラフ3により捕捉されるが、一方、顆粒5の長さはカットオフ値を超え、したがってキャビティを有する円筒内に留まる。
【0083】
円筒内面にあるキャビティは、配列した状態で提供される。キャビティは、パターン化された状態で、又はランダムな状態でも設けることができ、そしてキャビティは、通常実質的に均等に分布している。好適には、キャビティは、実質的に円筒の円周全体にわたり設けられる。効率的に分離したい場合には、キャビティは、実質的に円筒の全長に沿って、例えば長さの少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、及び最も好ましくは少なくとも85%に設けられる。
【0084】
キャビティの形状は、円筒形、涙滴形、半球形、ボックス形、多面体等の任意の幾何学的形態であり得る。特定の実施形態では、キャビティは、キャビティを有する円筒の中心軸が、回転する円筒の回転軸に向くように円筒形である。好ましい実施形態では、非対称の又は「涙滴形」キャビティが提供され得る。キャビティのかかる「涙滴」部分では、キャビティの運動方向に関してキャビティの先頭部分は比較的浅い。キャビティのトレーリング部分は比較的深く、キャビティのより深い部分はキャビティのトレーリング部分である。
【0085】
いくつかの構成では、円筒の異なる円筒部分は軸に沿って縦方向に相対的に移動しており、これらの部分は、様々な長さの分画成分を抽出するために、異なるように構築されたキャビティ及び/又は寸法調整されたキャビティを有し得るが、選択基準に応じて、任意の特定の軸部分で異なるキャビティを組み合わせることも検討される。キャビティは、所望の幾何学的な形状を提供する様々な方法により作製され得る。したがって、キャビティは、表面にエンボス加工、微粉化加工、ドリル加工等をすることにより作製され得る。キャビティは、凹凸加工される場合があり、この場合、表面は凹凸加工された表面(indented surface)と呼ばれる場合がある。
【0086】
いくつかの事前成形されたキャビティを備える表面は、好ましくはステンレス鋼である。ステンレス鋼は、当該表面を使用する際に求められる製薬業界内の基準に即して、表面を完全洗浄し、準備することができるという長所を有する。さらに、キャビティは、表面を局所的に変形することにより形成可能であり、ステンレス鋼製の円筒内に、エンボス加工する(又は深く削り取る)ことによりキャビティを形成することが可能である。活性医薬成分の顆粒が、かかる表面を有する長さ分離装置を用いて処理される場合、キャビティは端部を有さない滑らかな表面を有するので(例えば、ドリル加工により形成されたキャビティとは異なり)、顆粒はキャビティ内で目詰まりすることはほとんどなく、したがって破損する傾向がより少ないという特別な利益を、かかるキャビティは示す。
【0087】
キャビティの幾何学的形状は、所望の分離プロファイル、したがって取得されるべき顆粒長の分布に依存する。1つの形態では、いくつかの事前成形されたキャビティが設けられた表面が、円筒の部分である場合、キャビティは、当該表面と平行に0.5〜3mmの最長寸法を有する。キャビティが円筒形の場合、この最長寸法は直径に該当する。好ましい形態では、直径は1〜3mmであり、より好ましくは1.5〜2.5mmである。直径は、いわゆるカットオフ値、すなわちこの値より大きな粒子は排除される、そのような値を決定する際に重要なパラメータである。1つの形態では、キャビティは、表面が事前決定された経路をたどる方向に沿って先細りとなる。後者の形態は、顆粒がキャビティ内で詰まるのを予防するのに特に適する。キャビティの有効性を最適化するために調節可能なその他の変数として、キャビティの深度及びキャビティ屈曲端部の勾配の強さが挙げられる。
【0088】
長さ分離装置は、粒状物質に加えられる遠心力が重力と比較して有意とならない状態で有利に操作される。遠心加速度はω2rから計算され得るが、ωは回転速度(s-1)を意味し、またrは、事前決定された経路の半径、又は有利な実施形態では、長さ分離装置の半径(m)である。加速度は、9.81m/s2である重力加速度gと直接比較可能である。したがって、約30rpmで回転する、直径が400mmの長さ分離装置の場合、円筒内の顆粒に加えられる遠心加速度は、およそ0.05m/s2であり、重力による加速よりも著しく小さい。
【0089】
キャビティを備えた長さ分離装置の表面が円筒形である形態では、円筒の直径は、一般的に10〜100cmである。特定の実施形態、例えば低密度の顆粒を処理する実施形態では、直径がより大きい場合もある。しかし、一般的には、毎時処理される顆粒の量(kg)として所望の生産性を得るために、直径は25〜90cm、好適には40〜70cmの範囲で選択される。円筒の長さは、所望の能力に基づき選択され得る。一般的に、長さは10cm〜200cm、好適には100〜200cm、及び好ましくは130〜160cmである。長さ及び直径間の代表的な関係は0.5:1〜5:1、現在好ましい形態では、1:1〜3:1である。特に現在好ましい形態では、分離装置の直径は約60cm、また長さは約150cmである。
【0090】
回転可能な円筒表面がキャビティを備える形態の場合、回転速度は、十分な生産性が得られるように一般的に選択される。一般的に、回転速度は、1/2g未満、好ましくは1/10g未満、より好ましくは1/100g未満の遠心加速度が得られるように、直径と共に選択される。特定の構成では、実質的に水平に回転する円筒の直径は、10cm〜200cmであり、また回転スピードは、10〜100rpm(1分間当たりの回転数)、好ましくは20〜50rpm、及び最も好ましくは25〜40rpmの範囲内で選択され得る。
【0091】
実質的に水平方向に向いた円筒が回転したときに、キャビティから放出される顆粒は、任意の適する手段により回収され得る。1つの実施形態では、長さ分離装置は、収集器として円筒内に位置するトラフを備え、前記トラフは、事前決定されたドロップアウト位置で、すなわち、顆粒が収容されていたキャビティが所定の高さまで上昇した位置で放出された顆粒を捕捉する能力を有する。一般的に、トラフは長さ分離装置の全長にわたり延在する。円筒の軸からずれた位置にトラフを配置すれば、特定の長さ分布を収集するのに特に適するが、トラフの位置と寸法は、得られる分布を調整するために、当業者により容易に調節可能である。
【0092】
収集後、選択された顆粒は、その後さらに処理するために出口に搬送されてもよい。本発明の1つの実施形態では、顆粒はトラフ内に回収された後、シュートで運ばれる。シュートは出口と連結されている。シュートは、選択された顆粒が出口に向かって移動する際に、これを助けるようにわずかに傾斜を有し及び/又は振動し得る。シュートはトラフの一部であってもよく、また別途提供されてもよい。いくつかの実施形態では、トラフは、選択された顆粒を捕捉する上部の静止した部分、及び選択された顆粒を出口に向かって搬送するわずかに傾斜した下部の振動部分を備える。上部の静止した部分と下部の振動部分を分離すれば、装置を容易に保守することができる。選択された顆粒を輸送するためのその他の手段として、スクリューコンベアを挙げることができる。
【0093】
図1cは、本発明の方法の1つの実施形態等で有用であり得る具体的な長さ分離装置の図を示す。長さ分離装置は、キャビティが設けられた内面に回転可能な円筒1を備える。円筒1は、電気モーター(図示せず)により一定スピードで回転する。円筒内にはトラフが配置されている。トラフは、選択された顆粒を捕捉するための上部静止トラフ6、及びわずかに傾斜した下部振動コンベア7から構成される。選択された顆粒(サイズ内(in−size)分画と呼ばれる)は、トラフの下部振動コンベア7内を出口8に向かって搬送される。出口8から放出された顆粒は、運搬装置9により捕捉される。運搬装置9により捕捉された粒子は、貯蔵容器(図示せず)に運ばれる。回転する円筒内に残留する顆粒(サイズ外(oversize)分画と呼ばれる)は、運搬装置10に放出され、そして貯蔵容器に搬送される。
【0094】
トラフの上部静止トラフ6は、ベアリングを用いて回転可能な心棒11に取り付けられている。トラフの下部振動コンベア7は、ボタンを備えたディスクの回転により軸方向に振動を受ける。トラフの下部トラフ6は、振動コンベアを保持するために、板バネ12を介して心棒11に可撓的に取り付けられている。
【0095】
サイズ外分画は、長さ分離装置でさらに処理するためにリサイクルすることができる。リサイクルステップに含まれるものとして、より長い粒子が微粉化ステップにより粉砕され、そしてステップb)に基づき再処理するために戻されることを挙げることができる。リサイクルするための顆粒は、コニカルミル又は類似した手段により微粉化され得る。
【0096】
本発明の実施形態の顆粒、及び本発明の方法の実施形態により入手可能な顆粒は、同等の出発顆粒状物質を単にふるいにかけることにより得ることができる顆粒の場合よりも狭い顆粒長分布を一般的に有する。顆粒粒度分布及びその記述統計量は、下記の「実施例2」に記載されている「顆粒長分布測定」に基づき決定される。かかる方法は、コーティングされた及びコーティングされていない粒子の両方に適用可能である。
【0097】
顆粒化から顆粒の選択までの任意の処理ステップ中に、小型の微粉が、抵抗に関連した磨滅プロセスにより生成する場合がある。しかし、これは顆粒の全体的な形状を変化させることはなく、また明らかに球状化の一形態ではない。
【0098】
選択された顆粒は、医薬組成物の調製で利用可能である。本発明の好ましい実施形態によれば、選択ステップの後には、選択された顆粒上に薬学的に許容されるコーティング材料を適用するステップが続く。
【0099】
活性医薬成分に加えて、顆粒は、1つ又は複数の薬学的に許容される結合剤又は充填剤又はそれらの混合物を含有することができる。適する結合剤として、アカシア、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、ポビドン、スクロース、スターチ、又はこれらのうちの任意の混合物が挙げられる。ポビドン(ポリビニルピロリドン、PVP)が、好ましい結合剤である。結合剤は、顆粒の総量の1〜10、又は2〜8、又は3〜7、又は4〜6、又は5重量%で利用可能である。適する充填剤としては、特に微結晶性セルロースが挙げられる。充填剤は、顆粒の総量の10〜70、又は20〜60、又は40〜50、又は50重量%で利用可能である。
【0100】
結合剤及び充填剤の両方、並びに考え得るさらなる添加剤は、当業者に周知であり、また通常の方式で選択可能である。
【0101】
顆粒は、プロセスに適用可能な任意のコーティングデバイスでコーティング可能である。熟練者は、どのデバイスが本プロセスに適するか、例えば流動床システム、例えばクーゲルコーター(Kugel coater)等を容易に思いつく。いくつかの実施形態では、コーティング材料は溶液として選択された顆粒に適用され、そして選択された顆粒のコーティングは、溶媒が蒸発すると達成される。顆粒は、ポリマーに適する溶媒、好ましくはアセトン等の有機溶媒に溶解されたポリマーと共にコーティングされるのが好ましい。コーティングするために選択された顆粒は、より短い顆粒にさらに断片化することは考えにくいので、コーティングが比較的短い時間内に生じ得るように、顆粒に加わる力が比較的高いコーターを使用することも可能である。
【0102】
顆粒に適用すべきポリマー量を決定できるようにするために、表面積が測定されるか、又は同一方式で製造され、選択された顆粒について実施されたこれまでの測定結果に基づいて求められる。
【0103】
任意のタイプの測定法が、原則として適する。しかし、通常、測定は、選択された顆粒の代表的な、及び統計的に関連性を有するサンプルの画像分析に基づく。画像分析は、下記でさらに言及される。単位表面積当たりのポリマー量と溶解速度プロファイルとの間の既知の相関関係に基づき、必要とされるポリマー量が、顆粒の求められた表面積から予測可能である。
【0104】
選択されたコーティングポリマーは、所望の放出パターン、例えば遅延放出又は延長放出等に特に依存する。活性医薬成分の放出を延長する放出調節コーティング剤として、エチルセルロース、カルナバワックス、シェラック又はこれらの混合物が挙げられる。腸内又は遅延放出性コーティング剤として、市販のユードラギット(Eudragits)形態のポリメタクリレート、例えば、Eudragit L100、又はEudragit NE40Dが挙げられる。延長放出パターンが望ましい場合、エチルセルロースが最も好ましいコーティング剤である。
【0105】
1988年に公表されたG.Ragnarsson及びM.O.Johanssonによる文献「Drug Development and Industrial Pharmacy」、第14巻(15〜17)、2285〜2297頁から、より小型の顆粒(すなわち、単位体積当たりの表面積が大きい顆粒)は、コーティングが所定の厚さであるとき、より大型の顆粒(すなわち、単位体積当たりの表面積が小さい顆粒)が同一厚のコーティングについて示す放出速度よりも大きな放出速度をもたらすことが公知である。換言すれば、より小型の顆粒が、より大型の顆粒と同一の放出速度を有すべき場合には、放出速度が上記粒子のそれぞれについて同一となり得るように、より小型の顆粒に適用されるコーティングは、より厚くなる必要がある。このことから、顆粒が円筒状であり、また同一の断面プロファイルと寸法を有する場合、顆粒粒度分布が非常に均一であること、特にアスペクト比の分布が狭いことの重要性が強調される。本明細書において参考として援用する、本文献及びM.Eriksson、C.Nystrom、及びG.Alderbornらによる文献、International Journal of Pharmaceutics、第63巻(1990年)189〜199頁に提示された見識に基づいて、当業者は、しかるべき放出速度を得るために、所定の表面積についてコーティングをどの位必要とするか規定することができる。したがって、上記顆粒数が既知で、かつアスペクト比の分布が既知の場合、正確な厚さを容易に計算することができる。必要であれば、ルーチン実験により、適用されるパラメータの正確性を検証することができる。最適な状況とは言えない場合には、最適なコーティング量を規定するために、適する補正手段を見出すことは、本分野の開発業者の標準的技量範囲内に含まれる課題である。
【0106】
コーティング厚は、顆粒の長さに実質的な影響を有さず、また顆粒はコーティングプロセスにおいて顕著な断片化が発生することを避けるように選択されているので、本発明の実施形態のコーティングされた顆粒の顆粒粒度分布は、本発明の方法により入手可能なコーティングされていない顆粒の場合と類似している。
【0107】
顆粒粒度分布又は顆粒アスペクト比分布は、例えば「Physical Characterisation of Pharmaceutical Solids」と題する、Harry G.Brittain編集による、1995年に出版された書籍の第6章、Particle Size Distributionで、Cynthia S.Randallが記載するように、画像分析法と併用する顕微鏡検査に基づいて取得することができる。
【0108】
好ましい実施形態では、炎症性腸疾患の治療に適する活性医薬成分は、5−アミノサリチル酸(5−ASA)又はその任意の塩又はエステルである。5−ASAの塩は、酸添加塩、特に塩酸塩であり得るが、ただし、任意の薬学的に許容される非毒性有機又は無機酸が利用可能である。5−アミノサリチル酸は、メサラジン、5−アミノサリチル酸、2−ヒドロキシ−5−アミノ安息香酸、3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリン、5−asa、メサラミン、rowasa、及び5−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸を含む同義語によっても公知であり、またこれは分子式C77NO3及び分子量153.14を有する。これは、Cas登録番号89−57−6及びEinecs201−919−1として登録されている。
【0109】
また、カルボン酸の基を用いて形成された塩も利用可能である。例としてアルカリ金属塩(K、Na)、又はアルカリ土類金属塩(Ca、Mg)を挙げることができるが、ただし、任意の薬学的に許容される非毒性の塩が利用可能である。Na及びCaの塩が好ましい。
【0110】
適用可能なエステルとして、例えば直鎖状又は分岐したC1〜C18アルキルエステル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ラウリル、ミリスチル、セチル、及びステアリル等、直鎖状又は分岐したC2〜C18アルケニルエステル、例えばビニル、アリル、ウンデセニル、オレイル、リノレニル等、C3〜C8シクロアルキルエステル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル等、アリールエステル、例えばフェニル、トルイル、キシリル、ナフチル等、脂環式のエステル、例えばメンチル等、又はアラルキルエステル、例えばベンジル、フェネチル等が挙げられる。
【0111】
一般的に、有効成分の選択は、選択された処方の種類、疾患パターン、特に疾患の部位と種類、及び所望の有効成分の放出法に依存する。
【0112】
成分に適した担体組成物を選択する際には、5−ASA誘導体の物理的状態及び溶解度特性を考慮に入れなければならない。現時点で好ましい活性医薬成分は、遊離酸である5−アミノサリチル酸である。
【0113】
効果的な経口用量は、疾患の程度に依存し、成人の場合、通常0.5〜1.0gの量で1日4回、あるいは2.0〜4.0gで1日1回である。一般的に、体重1kg当たり約20mgの5−ASA又はその塩若しくはエステル(5−ASAとして計算される)が推奨される初回日用量であり、認められた治療の結果に基づき調整される。
【0114】
現時点では、好ましい放出パターンは、小腸に到着後の連続的な放出である。この放出法は、クローン病及び潰瘍性大腸炎の両方に対して、医薬組成物、例えばペンタサ(登録商標)を有効とならしめるように当初設計された。
【0115】
しかし、小腸内で早期に放出するように保証するのが望ましい場合(クローン病の場合)、又は結腸に到着するまで放出を遅延させるのが望ましい場合(潰瘍性大腸炎の場合)には、放出パターンは、コーティングの異なるいくつかのパラメータを変化させることにより制御可能である。熟練者は、かかる放出条件がどのように達成され得るか容易に判断することができるが、しかしそれでもなお完全を期すならば、熟練者は、特別な放出プロファイルを実現する際に何らかの利益を有する、本明細書において参考により援用される国際公開第81/02671号の開示を見出すことができる。
【0116】
特定の現在好ましい方法では、顆粒は5−ASAを含む。したがって、顆粒は、結合剤の溶液、例えばポリビニルピロリドン(PVP、ポビドン)水溶液(例えば、21.3%w/w)と共に5−ASAを湿式混合することにより調製可能である。具体的には、5−ASAとPVP水溶液とが混合され、そして押出成形機に添加される。あるいは、5−ASAとPVP水溶液とが押出成形機内で混合され得る。いずれの場合でも、5−ASAとPVPとから構成される湿潤塊は、スクリーンを経由して押出成形され、そして湿った顆粒を乾燥するためのデバイス内にそのまま落下する。
【0117】
水性溶媒は、好ましくは適切な品質を有する水であるが、ただし、キレート剤、酸化防止剤、還元剤、緩衝剤、及びpH調整剤等の添加物を含有してもよい。
【0118】
活性医薬成分として5−ASAを含む顆粒は、例えば国際公開第97/23199号、同第03/032952号又は同第2004/093884号に記載するように具体的に調製可能であり、これらを本明細書において参考として援用する。1つの具体的な実施形態では、国際公開第2004/093884号に記載するように、顆粒は、コーティングする前には、5−ASAと結合剤のみを含有する。
【0119】
特定の態様では、本方法は、潰瘍性大腸炎又はクローン病の治療に有用な持続放出性の錠剤、サシェ剤、又はカプセル剤の調製に利用される。1つの実施形態では、コーティング材料は、エチルセルロース等のセルロース誘導体である。いくつかの錠剤の実施形態では、添加剤は、微結晶性セルロース等の錠剤担体、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、及び任意選択的にタルク等のさらなる添加剤を含む。
【0120】
実施例を含め下記の開示では、本発明者らは、本発明の実施形態の医薬製剤であり本発明の有利な顆粒を含む医薬製剤が、特許請求の範囲に含まれない顆粒が有する特性と比較して、どのように改善された特性を有するか実証する。
【0121】
比較例A:5−ASAを含む錠剤用の顆粒の製造(水をベースとする顆粒化プロセス)
5−ASA錠剤のための製造プロセスは、いくつかのステップに分割され得る:顆粒化液調製ステップ、5−ASAを水及びPVPと混合するステップ、押出成形ステップ、流動床乾燥ステップ、微粉化ステップ、ふるい分けステップ、コーティングステップ、再ふるい分けステップ、浄化ステップ、添加剤と乾燥混合するステップ、及び錠剤に圧縮するステップ。
【0122】
ステップ1:顆粒化液、1バッチに対して、水118.4kgをミューラードラムに充填した。ミキサーを設置して始動させた。PVP、32kgを、水にゆっくりと振りかけ、そしてすべてのPVPが溶解するまで、ミキサーを所定の時間稼動させた。
【0123】
ステップ2及び3:5−ASA、640kgを振動式プロディマホッパー(Prodima hopper)内に配置し、そしてコンベアを利用して5−ASAを、連続的な製造ラインに5−ASAを投薬する重量式ベルトフィーダーまで搬送した。製造ラインの第1の部分では、5−ASA及びPVP水溶液が、押出成形機に運ばれる前に混合されて湿潤塊となった。5−ASA及びPVP/水からなる湿潤塊を、スクリーンメッシュ0.9mmを経由して押出成形した後、顆粒は流動床乾燥機に直接落下した。
【0124】
ステップ4:流動床乾燥機は2つ主要なセクションに分割された。第1のセクションでは、顆粒が癒着するのを防止するためにその表面を乾燥させた。流動床のこのセクションでは、顆粒のランダム混合が実施された。所定の滞在時間後、顆粒は、乾燥機の第二の部分に移動し、ここで実際の乾燥が実施された。乾燥機の第二の部分では、乾燥機を経由した乾燥空気を利用することにより、顆粒を誘導した。
【0125】
顆粒が乾燥したら、顆粒を流動床の下に配置するドラムにそのまま落下させた。流動床は、流動床における全体的な滞留時間が約2.5時間となるように構成された。
【0126】
ステップ5:乾燥した顆粒を収納するドラムは、ミルの最上部に逆さまに配置され、そしてスクリーンを用いて顆粒を緩やかに微粉化した。ミルを通過させた後、顆粒をそのままドラム内に落下させた。
【0127】
ステップ6:スクリーン寸法が0.8mmのモゲンセン(Mogensen)社製振動ふるいを用いて、顆粒をふるい分けした。スクリーンを通過した顆粒は廃棄された。
【0128】
ステップ7:ふるい分けされた顆粒、200kgを、アセトンに溶解したエチルセルロースからなるコーティング液を用いて、流動床システムのクーゲルコーターでコーティングした。
【0129】
顆粒上に適用するのに必要とされるポリマーの正しい量を決定して、望ましい溶解速度プロファイルが得られるようにするために、顆粒の表面積は、コーティングプロセス前に測定された。顆粒上に適用するのに必要とされるポリマー量の予測法は、単位表面積当たりのポリマー量と顆粒の溶解速度との間に相関関係が存在するという事実に基づき開発された。所定の顆粒化サイズ分布について表面積の特性が既知となったら、計算されたポリマー量は、顆粒の同等バッチについて反復して利用可能である。コーティングプロセスが終了したら、コーティングされた顆粒は、さらに処理するためにドラムに負荷された。
【0130】
ステップ8:コーティングプロセス後、コーティングされた顆粒は、プロディマ社製回転式ふるいでふるい分けされた。大型の凝集物は廃棄された。
【0131】
ステップ9:圧縮空気又は窒素を用いて浄化するために、ふるい分け後、コーティングされた顆粒のバッチを2つのドラム内に分割した。顆粒は6〜14時間浄化されたが、30分等の短時間であっても実践上合理的と考えられる。この浄化プロセスは、コーティングされた顆粒中の残留溶媒(アセトン)の量を低減するのに必要であった。
【0132】
ステップ10:コーティングされたペンタサ顆粒、178.56kgを検量し、そして微結晶性セルロース、69.34kgと一緒にプロディマ社製ブレンダーにかけた。210秒間混合した後、ブレンダーを停止させた。ステアリン酸マグネシウム、0.335kg、及びタルク、3.02kgを当該混合物に添加し、これらの成分を90秒間混合した。当該混合物から約335,000個の錠剤を得た。
【0133】
混合後、混合物を圧縮の準備が整ったミューラードラム内に投入した。
【0134】
ステップ11:コーティングされた顆粒と添加剤とからなる最終混合物は、ロータリー式打錠機で圧縮された。各錠剤の重量は750mg。錠剤の塵埃除去は、打錠機を用いてインライン処理として実施された。塵埃除去後、錠剤は、約30,000個の錠剤をそれぞれ保持するバルクコンテナーに負荷された。
【0135】
比較例B:サシェ用の5−ASA顆粒の調製
持続放出性顆粒のサシェ、180,000個を生産するためのバッチが、下記の概説に従い、表1に示す量を用いて提供された。
【0136】
【表1】

【0137】
製造方法は、いくつかの修正を加えて、実施例Aに記載されている製造方法に厳密に従った。特に、錠剤は製造せず、したがって添加剤との乾燥混合(ステップ10)は実施せず、また錠剤形成(ステップ11)も実施しなかった。また、錠剤に圧縮するステップが存在しないので、エチルセルロースの量は低減され、したがって望ましい溶解プロファイルを得るために、適用されるコーティングの量も減らす必要がある。
【0138】
製剤のための製造プロセスは、いくつかのステップに分割され得る:顆粒化液調製ステップ、水及びPVPと5−ASAを顆粒化するステップ、押出成形ステップ、流動床乾燥ステップ、微粉化ステップ、ふるい分けステップ、コーティングステップ、ふるい分けステップ、及び浄化ステップ。
【0139】
したがって、サシェ用の顆粒を製造するプロセスは、下記で説明するステップ7の錠剤プロセスと異なり、また実施例Aのステップ10及び11は含まれなかった。
【0140】
ステップ7:コーティングステップが実施され、またこれに製造スケールのふるい分けステップが続くときに、許容される放出特性が達成された。コーティングプロセス終了後、さらに処理するためにコーティングされた顆粒をドラムにかけた。
【0141】
このバッチは、表2に記載する組成の顆粒をもたらした。
【0142】
【表2】

【0143】
実施例1:キャビティを有する円筒分離装置による顆粒分類の実証
コーティングされていない5−ASAの顆粒、2バッチを、比較例Aにより製造し(すなわち、ステップ6の生成物)、そしてこれらの顆粒は、研究室スケールのキャビティを有する円筒長さ分離装置にかけられた。
【0144】
分離装置は、直径400mm、長さ500mmの回転可能な円筒を有し、また当該円筒の勾配は4°に固定化され、及び回転する円筒の回転スピードは32rpmであった。円筒には、涙滴形のキャビティにエンボス加工されたスチール製の外套が設けられた。換言すれば、キャビティは、その軸に沿って断面にしたとき、半球状又は半涙滴形の形状を有した。キャビティは、表面をたどるように構成されている、事前決定された経路の方向に沿ってその軸を配向させており、この場合軸は、円筒の接線方向に沿って配向している。
【0145】
最初に、1つのバッチに由来する顆粒が、それぞれ直径1500μm、1750μm、又は2000μmのキャビティを備えたキャビティを有する円筒分離装置に適用された。出発物質の長さ分布は、図2に示す場合と類似し、また分類実験結果を、トラフ及び回転する円筒の各分画の長さ分布を表す図3a〜3cに示す。トラフ及び回転する円筒の各分画内に得られた顆粒の例を、図4a及び4bにそれぞれ示す。
【0146】
したがって、かかる方法は、長い顆粒をより短い顆粒と区別する能力を有することが実証され、また本方法から入手可能な長さ分布、したがってアスペクト比が明確に定義されることを実証する。
【0147】
実施例2:顆粒長分布測定
顆粒長分布は、任意の適する方法により測定可能である。各方法は独自の欠点を有し得るものの、しかるべく正確な結果を得ることができるように、通常それらは補正可能である。一般的に、各顆粒の長さを、例えば顕微鏡検査を用いてマニュアル評価することにより結果を検証することも可能である。次に、このマニュアル評価は、採用された方法の正確性を改善するための補正手段も提供する。便利、正確、及びより自動的な測定法は、画像分析法に基づく。
【0148】
メジアン長及び>2000μmの顆粒の量は、画像分析法を用い、振動により顆粒を提示プレート上に送達することにより測定可能である。この方法は、本実施例のために選択された。用いられた機器は、商標名VideometerLabXYとして公知の、完全自動化された画像分析機であった。測定は、ピクセルサイズが0.024mmの、1600×1200ピクセルの白黒カメラを用いるバックライトにより実施された。カメラで使用されたレンズは、倍率1の多スペクトル感応性レンズであった。提示プレートは23×29cmのサイズを有し、また顆粒密度は、顆粒約12個/cm2であった。測定されたサンプルは、顆粒約8000個であった。
【0149】
画像分析は、個々の画像間のオーバーラップを500μmとして、ラスター方式で提示物をスキャニングすることにより実施された。画像は個別に分析され、重なり合った顆粒は排除され、また以前の画像ですでに検知された重複顆粒は無視された。直立顆粒を検出し除外するためにハフサークル転換フィルターが用いられた。提示プレート全体が、10×10画像によりカバーされた。顆粒が実質的に長方形の形状であるため、主軸測定は統計的に「雑音の多い」結果をもたらすので、ソフトウェアは、これを用いずに境界ボックス原理により顆粒長を求めた。
【0150】
もちろん、特に多数の顆粒が1に近い、又は1未満のアスペクト比を有するような特定の実施形態では、有意に高い割合の顆粒が端部上で直立した状態にあるのが測定で認められるはずであり、したがってハフサークルフィルターにより排除される。熟練者はかかる結果を認識し、またそのような場合、上記方法により求められたアスペクト比分布測定結果では、かかる顆粒は、数及び分布から除外されることを理解するであろう。それにもかかわらず、そのような場合であっても、アスペクト比が1に近い粒子は、コーティング中に望ましくない破砕事象を被る可能性が統計的にはるかに低いと考えられるので、測定されたアスペクト比分布を特許請求された発明で定義されるものとして扱っても、利益は得られる。そのような場合、有意な割合の顆粒が測定から排除されるとしても、熟練者は、かかる実施形態を本発明の範囲内に含まれるものとしてなおも認識する。しかし、実践上遭遇する多くの場合においては、そのように排除される顆粒の割合は、一般的に小さいと予想され、したがって分布の測定結果に対して顕著に影響を及ぼさない。
【0151】
各顆粒の長さを得るために余分な努力、すなわち一方の端部上で直立している顆粒の長さについても測定する努力を払うことも可能である。例えば、画像中でこれらを追跡し、そして顕微鏡検査を用いて長さを「マニュアル」評価するために、これら顆粒を操作する方法は想像できないことではない。補正値、すなわちより自動的に形成されるデータに適用可能な値を得ることが予想され得る。完全に手動で実施される各顆粒の長さ評価は、もちろん、長さ分布、アスペクト比分布それぞれの非常に正確な測定を可能にする。
【0152】
下記のデータは、すべての顆粒について測定され、そしてアウトプットファイルに提示された:境界ボックス長、境界ボックス幅、エリア、最大フェレット直径、最小フェレット直径、理論的表面積、理論的体積。
【0153】
全サンプルに関する生成データの要約は次の通り:境界ボックス長のメジアン、境界ボックス長のD10、境界ボックス長のD90、境界ボックス長のスパン、理論的な比表面積、>2000μmとしてカウントされた割合(%)、分析対象粒子数
【0154】
フェレット直径は、角分解能5に基づき計算され、またすべての数値は、分解能0.01mmで、mmで表されている。
【0155】
スパンは(D90−D10)/D50として計算され、式中D90及びD10は、それぞれ90番目及び10番目の分布パーセンタイル、及びD50はメジアンである。
【0156】
任意の境界ボックス長の値及び分布から対応するアスペクト比の値及び分布が誘導可能であり、境界ボックス長を押出成形された顆粒直径で割り算することにより得ることができる。
【0157】
実施例1に記載する、本実施例の方法により測定された3つの異なる回転する円筒を用いて得られた材料の顆粒長の特性は、表4に要約されている。いずれの場合にも、顆粒はキャビティを有する円筒分離装置を1回通過させた。
【0158】
提示するすべてのデータ、数値、及び要約統計量は、別途記載しない限り、顆粒の数又はカウントを意味し、例えば単位質量当たり又は単位体積当たりの数値ではない。
【0159】
【表3】

【表4】

【0160】
次に、2つの異なるバッチそれぞれが、5回の連続したサイクルでキャビティを有する円筒を通され、すなわち、各分類サイクル後、円筒分画は、キャビティを有する円筒分離装置に再度通され、そしてトラフ分画は秤量され、最終的にプールされた。直径2000μmの涙滴形キャビティを備えた円筒が、このプロセスで用いられた。結果を表5に要約する。
【0161】
【表5】

【0162】
バッチ2の場合、出発物質、17.5kgがキャビティを有する円筒分離装置に適用され、また5サイクル行われたプロセスの各サイクルから得られた各分画を秤量することにより得られた結果を、表6に要約する。
【0163】
【表6】

【0164】
2つの顆粒分画それぞれの比表面積は、直径2000μmの涙滴形キャビティを有する円筒を備えた分離装置を5サイクル通過させた後に測定され、そして出発物質の対応する数値と比較された。結果を表7に示す。
【0165】
【表7】

【0166】
実施した分類実験では、キャビティを有する円筒分離装置は、メジアン顆粒長が約1500μm及びスパンが約0.5であるサイズ内分画を製造する能力を有することが明らかになった。同装置は、メジアン長が1800〜2000μm及びスパンが約0.8である顆粒を製造したふるい技術よりもはるかに勝っている。したがって、キャビティを有する円筒分離装置は、より短いメジアン長及びさらにいっそう狭いサイズ分布を有する顆粒分画を製造することが可能であった。さらに、キャビティを有する円筒分離装置内で顆粒を分画することにより得られた比表面積では、円筒分画よりもトラフ(サイズ内)分画の方が、比表面積は大きかった。
【0167】
実施例3:キャビティを有する円筒分離装置の分類プロセスに対するパラメータ値の影響
操作パラメータが異なるときに、キャビティを有する円筒分離装置の分類結果に与える影響をさらに記載するために、コーティングされていない5−ASA顆粒バッチ(比較例Aにより製造)を用いて、別の一連の実験を実施した。キャビティを有する円筒分離装置は、直径2000μmの涙滴形キャビティを有する円筒を備え、また粒状物は、実施例1に記載するように実施された3回の連続したサイクルで分類された。実験期間中、フィード速度及び回転スピードについて異なる数値が試験された。異なる分画を秤量することにより得られた結果を表8に要約する。
【0168】
【表8】

【0169】
表8から、アウトプットは、フィード速度が低い時に円筒の回転スピードにより影響を受けるが、一方、フィード速度が速い時に認められるアウトプットは、円筒の回転スピードにより影響を受けないことが分かる。
【0170】
円筒の回転スピードによらず、キャビティを有する円筒のアウトプットが一定であるかどうか評価するために、高フィード速度、及び異なる回転スピードで実施した実験の顆粒長分布を測定した。得られた顆粒長分布は、実施例3の通り画像分析により求められたが、これを表9に要約する。
【0171】
【表9】

【0172】
フィード速度及び回転スピードによらず、キャビティを有する円筒は、所望のサイズ範囲内の取得可能な顆粒のうち約90%を抽出する能力を有した、ということが能力及び効率についての全体的な結論である。トラフ分画の顆粒長分布は所望のサイズ範囲内であった。
【0173】
実施例4:ソート方法がコーティングに与える影響
コーティングステップ中に顆粒の破壊が生ずると、コーティングされた顆粒の溶解プロファイルを予測する際に困難が生じ、これに起因して問題となり得る。これは、比較例A及びBに記載する製造プロセスの両方と関連する。本発明の方法が、どのように後続するコーティング手順に影響を及ぼすか、比較例Aの方法と比較して調べるために、一連の実験が提起された。
【0174】
顆粒のバッチが比較例Aに記載するように調製され、そしてコーティング前後の長さ分布が測定された。当該バッチに由来するコーティングされていない顆粒が、キャビティを有する円筒分離装置内で分類され、次に比較例Aに記載するようにコーティングされた。この実験に採用されたキャビティを有する円筒分離装置は、2000μmサイズの涙滴形キャビティからなる配列を備えた。キャビティを有する円筒分離装置を用いた処理により分類された、コーティングされていない顆粒の長さ分布、及びコーティング後に長さソートされた顆粒の長さ分布が測定された。長さ分布測定結果を図5に示す。
【0175】
図5aから、顆粒の長さ分布範囲は、現行法のコーティングプロセスにより645〜4900μmから600〜2500μmに狭まったことが分かる。これは、コーティングプロセス中に長い顆粒が破壊されたことを示している。メジアン長は、1954μm(RSD7.3%)から1441μm(RSD4.5%)に短縮した。この破壊の結果は、コーティングプロセスの予期しない結果であった。これとは対照的に、本発明の方法を用いて製造された顆粒は、図5bに認められるように、かかる欠点を有さない。これらの結果は、顆粒の直径よりも十分小さい微細構造を有する顆粒のいずれにも、特に0.25mm〜2.5mmの直径を有する医薬製剤の顆粒について当てはまると考えられる。
【0176】
実施例5:コーティングされた5−ASA顆粒のin−vitro溶解
この実施例では、5−ASA顆粒を、キャビティを有する円筒分離装置により分類するときに、この分類が顆粒の溶解挙動変動に及ぼす影響を調べる。したがって、キャビティを有する円筒分離装置によりサシェ用に分類された顆粒(「ペンタサ95%サシェ用顆粒」)が溶解する際に生じる変動が、錠剤用の未分類顆粒(「ペンタサ錠剤用顆粒」)の同変動と比較される。分類された顆粒は、コーティングする前には、メジアンアスペクト比1.4及びスパン0.6を有した。
【0177】
錠剤用顆粒は、後続の圧縮ステップの効果を補うために、サシェ用顆粒と比較して一般的に過剰のコーティング(エチルセルロース)でコーティングする。コーティング、乾燥、及びふるい分けされた錠剤用顆粒の溶解を、サシェ用顆粒と比較する場合、錠剤用顆粒サンプルは、サシェ用顆粒に適用されるコーティング量に対応するある量のコーティングが適用された後、吹き付け段階の間に回収される。したがって、データセットはすべての関連する要因について直接比較可能である。
【0178】
(未分類の)コーティングされたペンタサ錠剤用顆粒、10サンプルが、通常製造バッチから回収された。分類、コーティングされたペンタサ95%サシェ用顆粒、8サンプルが試験及び妥当性確認バッチから回収された。社内試験プロトコールに従い、各サンプルのin−vitro溶解度が、時間の関数として求められた。データ分析は、米国のMinitab Inc.が開発したMinitab15.1.1.0ソフトウェアを用いて実施された。
【0179】
90分溶解結果及び各統計量を下記の表9にまとめる。
【0180】
【化1】

【0181】
比較用のペンタサ錠剤用顆粒の溶解の標準偏差は12.5%であり、本発明に基づき得られたペンタサ95%サシェ用顆粒の標準偏差(4.4%)よりも2.8倍大きい。さらに、本発明の製品に関する溶解結果の分散(散布度)は、比較用の未分類製品の分散(157.0)よりもかなりいっそう狭くなっている(19.0)。
【0182】
ペンタサ95%サシェ及びペンタサ錠剤用顆粒サンプルの場合、溶解結果の分布は、正規分布とそう違わない(図6aを参照)。したがって、正規分布との分布の一致性についてアンダーソン−ダーリング検定を行うと、ペンタサ95%サシェについてp=0.32、及びペンタサ錠剤用顆粒についてp=0.12が得られる。
【0183】
溶解結果は正規分布を示唆するので(図6aを参照)、ペンタサ95%サシェ及び錠剤用顆粒の溶解の変動は、F検定を用いて比較可能である。F検定から、コーティングされたペンタサ95%サシェ用顆粒の溶解変動が、コーティングされたペンタサ錠剤用顆粒の溶解変動よりも有意に小さいことが実証される(p=0.01)(図6b)。
【0184】
製造スケール用のプロセスをさらに最適化して、コーティングされていないペンタササシェ用顆粒(分画された)6バッチ及びコーティングされていないペンタサ錠剤用顆粒(未分画、ふるい分け済み)8バッチが、本実施例の上記に記載されている方式と類似した方式で調製され、これらは、実施例2に記載するように長さ分布について分析された。アスペクト比分布は、押出成形された顆粒の直径(0.8mm)で割り算された長さによる長さ分布に基づき計算された。結果を図7に図示し、またこれに関連する統計量を、比較目的で実施例5のデータも含めて、表10に要約する。これらの図から、未分画の(ふるい分け済み)錠剤用顆粒の分布は、よりシャープにピークをなし、メジアン値を超えて延在する尾部は極めて小さめであることが明白である。
【0185】
【表10】

【0186】
かかる尾部が低減すれば、それは本発明の実施形態である顆粒の有利な特性に寄与する。もちろん、尾部が若干低減して小さめの改善が認められる。したがって、上記特性値は好ましい実施形態を表す。
【0187】
しかし、本発明の概要で指摘したように、また添付の特許請求の範囲に記載するように、顆粒の分布が、いずれにせよシャープにピークをなした分布、及び尾部の低減を示せば、かかる顆粒分布も価値があり、また溶解特性では、特許請求された発明の範囲に含まれない顆粒の溶解特性を上回る若干の改善を示す。特許請求の範囲に含まれる医薬製剤を実現するために用いられる選択方法のパラメータを変更することは熟練者の技量範囲内である。また熟練者は、様々な選択方法を用いて特許請求された医薬製剤を実現可能であることも明らかである。しかし、顆粒がどのように製造され、選択されたかによらず、本発明の利益の多くをもたらすと考えられものは、必要とされる分布特性を有する顆粒そのものである。
【0188】
特に、少なくとも顆粒数の80%、好ましくは85%、最も好ましくは90%が、アスペクト比2.2未満、好ましくは2.1未満、最も好ましくは2未満を有するような実施形態は、メジアンを超える尾部が低減することにより、医薬製剤の溶解特性において一定の改善を示すものと考えられる。場合によっては、分布をさらに狭めるのが望ましい場合もあり、顆粒の80%、85%、又は90%さえもが1.9、1.7、1.5、又は1.2未満のアスペクト比を有するような実施形態も好ましい場合がある。
【0189】
同様に、顆粒数の少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは95%が、0.7を上回る、好ましくは0.9を上回る、最も好ましくは1.0を上回るアスペクト比を有する実施形態でも、メジアン未満の尾部が低減することにより、医薬製剤の溶解特性に改善が認められるものと考えられる。
【0190】
上記で言及した割合(%)には、±10%の範囲内の割合(%)が含まれる。したがって少なくとも80%とは、70%も含むものと考えられる。顆粒が、メジアンアスペクト比1.7未満、好ましくは1.6未満、最も好ましくは1.5未満を有するような実施形態も、好ましい数値を取り巻く分布のセンタリングが改善することにより医薬製剤の溶解特性において改善を示すものと考えられる。場合によっては、メジアンアスペクト比をできる限り1の近くにもってくるのが望ましい場合もあり、したがってメジアンアスペクト比1.4、1.3、1.2、又は1.1未満を有する実施形態も好ましい。
【0191】
なおかつ、0.9未満、好ましくは0.8未満、最も好ましくは0.7未満のアスペクト比のスパンを有する顆粒のような実施形態でも、分布中央部のシャープネスが改善することにより、医薬製剤の溶解特性において改善が認められるものと考えられる。同様に、メジアンアスペクト比を特に1近くにもってくるのが好ましい場合には、0.5未満、0.4未満、又はたとえ0.3未満であっても、そのようなアスペクト比のスパンを有する実施形態を生み出すために、本発明の技法を適用するのも非常に有用であり得る。
【0192】
医薬製剤がサシェ剤として提供される場合には、1サシェ当たりの顆粒量は、顆粒2000個に相当する約2グラムであり得る。しかし、その他の量も経口投与用として適する場合がある。
【0193】
すべてのかかる実施形態は、十分に熟練者の技量範囲内である適するパラメータの選択を行いながら、上記で開示したような方法で実現可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顆粒を含む医薬製剤であって、前記顆粒のそれぞれが、活性医薬成分を有し、並びに前記顆粒のそれぞれが、事前決定された軸、及び同一の事前決定された断面プロファイルを有し、前記顆粒の数の少なくとも80%が、アスペクト比2.2未満を有する医薬製剤。
【請求項2】
前記顆粒の数の少なくとも80%が、0.7を超えるアスペクト比を有する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記顆粒が、1.1を超えかつ1.7未満のメジアンアスペクト比を有する、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記顆粒が、0.9未満のアスペクト比のスパンを有する、請求項1から3のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項5】
最小断面寸法が0.25mmから2.5mmの間にある、請求項1から4のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記顆粒の少なくともいくつかが、コーティングを備える、請求項1から5のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記コーティングが、活性医薬成分の放出を制御する、請求項6に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記活性医薬成分が、抗炎症成分を含む、請求項1から7のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記活性医薬成分が、5−アミノサリチル酸である、請求項1から8のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項10】
事前決定された断面プロファイル、及び事前決定された軸を有する顆粒を製造するステップと、前記顆粒を、そのアスペクト比に基づき少なくとも1つの分画にソートするステップと、さらに処理するために、1つ又は複数の所定の分画内の顆粒を選択するステップと、を含む医薬製剤を製造する方法であって、前記顆粒をソートする前記ステップが、前記顆粒を長さ分離装置に通過させることにより達成される方法。
【請求項11】
前記顆粒が、前記ソートするステップにかけられる前には、前記顆粒は、球状化プロセスに起因する特徴を有しないままである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記長さ分離装置がキャビティが形成された表面を備え、前記表面は、所定のキャビティの寸法と前記顆粒の長さとの間に事前決定された関係を有する前記表面上の顆粒が、所定の分画に含まれ、分類されるように、事前決定された経路をたどるように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記顆粒が、均一化した湿潤塊を、事前決定された寸法の隙間を有する押出成形スクリーンを通過させるステップと、押出成形された塊を、顆粒形成するように粉砕するステップと、により調製され、前記隙間が、前記押出成形スクリーン内に形成されている、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記表面が円筒であり、前記事前決定された経路が、前記円筒の軸の周りを回転し、及び所定の分画に分類された前記顆粒を収集する容器が、前記円筒の軸からずれて配置されている、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記表面の前記キャビティが、事前決定された寸法を有する単一の顆粒を受け入れる(hosting)のにそれぞれ適する、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記選択された顆粒が、請求項1から6のいずれか一項に記載の顆粒特性を有する、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記選択された顆粒が、炎症性腸疾患を治療するのに適する医薬コーティングでさらにコーティングされている、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
さらに処理するために選択されなかった顆粒が、さらに再度粉砕され、及びその後さらにそのアスペクト比に基づき再度ソートされる、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
さらに処理するために選択されなかった前記顆粒が、従前のソートするステップで前記顆粒をソートしたのと同一のプロセスでさらに再度ソートされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
医薬製剤を製造する方法において、顆粒を選択するステップ中に行われる長さ分離装置の使用であって、前記顆粒のそれぞれが、事前決定された軸と同一の事前決定された断面プロファイルとを有し、及び前記顆粒の少なくともいくつかが、活性医薬成分を有する使用。
【請求項21】
医薬製剤を製造する前記方法が、事前決定された速度で前記活性医薬成分が使用中に放出されるように、選択された顆粒にコーティングを適用するステップを含む、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記長さ分離装置が、同一に事前成形されたいくつかのキャビティが形成された表面を備え、各キャビティは、単一の顆粒を受け入れる(hosting)のに適し、キャビティ内に当初保持されていた顆粒が、事前決定された経路に沿ったある位置で、前記キャビティの外に落下するように、前記表面が前記事前決定された経路をたどるように構成されており、前記位置が、前記顆粒のそれぞれの長さに依存する、請求項20又は21に記載の使用。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7】
image rotate

【図1c】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate


【公表番号】特表2013−514312(P2013−514312A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543713(P2012−543713)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069733
【国際公開番号】WO2011/073245
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(500297535)フェリング ベスローテン フェンノートシャップ (36)
【Fターム(参考)】