説明

半ドーナツ形共振器ジャイロスコープ

【課題】半ドーナツ形共振器ジャイロスコープを提供すること。
【解決手段】1つの例示的実施形態は、上部表面を有する基板を有する振動構造ジャイロスコープに関する。半ドーナツ形状を有し、ステムと、ステムを囲む外唇とを含む共振器であり、ステムは基板の上部表面に取り付けられ、外唇は共振器が振動できるようにするために上部表面から離して配置される、共振器を、振動構造ジャイロスコープはさらに含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年5月30日に出願された米国特許仮出願第61/349,876号の優先権の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
振動構造ジャイロスコープは、共振器などの振動構造体の振動の変化を感知することによって回転を検出する。一般に、共振器はある機構によって振動させられる。振動共振器の回転は振動の変化を引き起こす(例えば、角度、速度)。この変化を検出および使用して共振器の回転を決定することができる。振動構造ジャイロスコープには、一般に、圧電、半球、音叉、およびホイール型ジャイロスコープが含まれる。
【0003】
半球型振動構造ジャイロスコープは、ステムに取り付けられた半球シェルを有する共振器を含むことができる。共振器のステムは構造体に組み付けられ、共振器はステムのまわりで振動することができる。このタイプのジャイロスコープは、従来の高精度機械加工技法を使用して製作することができる。微細加工技法を使用してこのタイプのジャイロスコープを構築し、それにより、一度に多数のジャイロスコープをバッチ製作できるようにすることが一般に望ましい。
【0004】
いくつかの例では、半球シェルの一様性は、半球シェルの振動を使用して回転を検出できる精度に影響を与えることがある。さらに、半球シェル上のステムの位置決め(例えば、ステムが中心から外れている場合)は、さらに、ジャイロスコープの精度に影響を与えることがある。したがって、半球型ジャイロスコープの製造の精度は、達成するのが困難な可能性がある重要な要因である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの例示的実施形態は、上部表面を有する基板を有する振動構造ジャイロスコープに関する。振動構造ジャイロスコープは、さらに、半ドーナツ形状を有する共振器を含むことができ、共振器は、ステムと、ステムを囲む外唇とを含み、ステムは基板の上部表面に取り付けられ、外唇は共振器が振動できるようにするために上部表面から離して配置される。
【0006】
図面は単に例示的実施形態を示し、したがって範囲を限定すると見なされるべきでないことを理解した上で、例示的実施形態が、添付図面を使用することによって付加的な特定性および詳細とともに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】一実施形態による振動構造ジャイロスコープの半ドーナツ形共振器の斜視図である。
【図1B】図1Aの半ドーナツ形共振器の別の斜視図である。
【図1C】図1Aの半ドーナツ形共振器の平面図である。
【図2】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの断面側面図である。
【図3A】一実施形態による半ドーナツ形共振器の振動モードの図である。
【図3B】一実施形態による半ドーナツ形共振器の振動モードの歳差運動の図である。
【図4A】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4B】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4C】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4D】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4E】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4F】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4G】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4H】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4I】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4J】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4K】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4L】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図4M】一実施形態による半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの製作プロセスの一段階の断面側面図である。
【図5】図4A〜4Mのプロセスにより製作された半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
慣例に従って、説明する様々なフィーチャは一定の縮尺で描かれておらず、例示的実施形態に関連する特定のフィーチャを強調するように描かれている。
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を形成し、例として特定の例示的実施形態が示される添付図面が参照される。他の実施形態を利用することができ、論理的、機械的な、および電気的な変更を行うことができることが理解されるべきである。さらに、図面および明細書で提示される方法は、個々のステップを行うことができる順序を限定するものと解釈されるべきでない。したがって、以下の詳細な説明は限定の意味に解釈されるべきでない。
【0009】
図1A、1B、および1Cは、一実施形態による振動構造ジャイロスコープで使用される半ドーナツ形状を有する共振器100を示す。共振器100は、外側表面110と、外側表面110の輪郭に従った対応する内側表面112とを有する。共振器100はそれの中央部分で内部に突き出し、開口116をもつ中央ステム114を形成することができる。ステム114は、下にある構造体への共振器100の連結点を与えることができる。共振器100の外唇118はステム114を囲む。図1Bに示されるように、共振器100の半ドーナツ形状は、外側表面110の中央部分に内向き凹部120をもたらす。この内向き凹部120は、図1Aに示されるようなステム114を形成する。
【0010】
一例では、共振器100は、シリカ(例えば、非晶質SiO)などのガラス材料で構成することができる。他の例では、半ドーナツ形共振器100は、低熱膨脹係数(CTE)を有する別のガラス材料で構成することができる。低CTEは、共振器100の熱弾性減衰を低減するのに役立つことができる。熱弾性減衰は、共振器100の品質係数Qの基本的限界を規定することができる。圧縮応力および引張応力が共振器100の材料内の加熱および冷却を生成する場合、熱弾性減衰が生じることがある。これは共振器100の厚さにわたる温度勾配を誘起することがある。結果として生じる熱の流れが共振器100の機械エネルギを消費することがある。熱弾性減衰のレートはCTEの2乗に比例することができ、したがって、いくつかの例では、低CTEをもつ材料の共振器100を構成することが有利となることがある。いくつかの例では、共振器100を形成するシリカ材料に数パーセントのチタニア(非晶質TiO)を含ませて、CTEを低減することができる。チタニア濃度が約7%である場合、ゼロに近いCTEを達成することができる。他の例では、共振器100は、シリコン、ダイヤモンドなどのような高い機械的品質係数を提供する別の材料で構成することができる。
【0011】
半ドーナツ形状により、共振器100は優れた振動特性を有することができるのと同時に、さらに、共振器100は微小電気機械システム(MEMS)スケールのチップで精密に製作することができる。特に、半ドーナツ形状は、対称の中心軸のまわりに高度の対称性で製作することができる。
【0012】
一実施形態では、共振器100のステム114は、半ドーナツ部の中央部分に一体化して形成される。これにより、ステム114は外唇118に対して高精度で位置合わせすることができるが、それは、ステム114および共振器100が同じステップで形成されるからである。これにより、さらに、共振器100は強度を向上することができるが、それは、ステム114が共振器100の一体化部分であるからである。特に、共振器100の精度および強度の向上は、ステム114および共振器100を分離したステップで製作し、次に、一緒に接続するのではないことに一部は起因している。製作プロセスに関する追加の詳細が、以下で説明する図4A〜4Mに関して提供される。
【0013】
1つの例示的実施形態では、ステム114は約10〜400ミクロンの外径を有することができ、一方、外唇118は約0.5〜4mm(例えば、約2mm)の直径を有することができる。共振器100は約3〜30ミクロンの材料厚さを有することができる。
【0014】
図1A、1B、および1Cの半ドーナツ形共振器100は特定の高さ、直径、曲率半径、ステム幅、および開口寸法を有するように示されているが、半ドーナツ形共振器100のこれらの部分の他のサイズを使用できることが理解されるべきである。さらに、いくつかの例では、ステム114は中実とすることができ、したがって、開口116を含まなくてもよい。
【0015】
図2は、その中に共振器100を有する半ドーナツ形共振器ジャイロスコープ200の断面側面図である。この例では、ジャイロスコープ200はMEMSスケールジャイロスコープである。したがって、ジャイロスコープ200は、半導体製造プロセスを使用して、単一のウェハ上に製作することができる。ジャイロスコープ200は、上部加工表面212を有する基板210を含むことができる。共振器100のステム114は、基板210の上部加工表面212に取り付けることができる。共振器100の外唇118は、共振器100がステム114のまわりで自由に振動できるように表面212から隔てられる。
【0016】
基板210は、上部加工表面212に環状空洞214を画定することができる。基板210のアンカー支柱216は、環状空洞214の中央部分を通って延びることができる。一例では、追加の半導体導体構成要素を、基板210の上部加工表面212に製作することができる。共振器100のステム114はアンカー支柱216に取り付けることができる。基板210は、シリコンウェハ、ガリウムヒ素ウェハ、シリカ、炭化ケイ素、ガラス−セラミック(例えば、Schott AGによって製造されたゼロ膨張ガラスセラミックのZerodur(登録商標))、または他の材料を含むことができる。
【0017】
図3Aおよび3Bは、半ドーナツ形共振器100の振動モードの上部プロファイル図を示す。図示のように、共振器100はn=2四重極モードで共振することができる。図3Aでは、半ドーナツ形共振器100の外唇118が、x軸に沿って外側に、およびy軸に沿って内側に瞬間変位している状態が示される。時間的に2分の1振動サイクルの後で、変位は、y軸に沿って外側に、およびx軸に沿って内側になるであろう。図3Bでは、n=2四重極振動モードの方位の歳差運動が示される。このモードは外部的に加えられた回転Ωに起因して角度シータだけ回転することが示されている。回転ベクトルはz軸に(紙面から外に)沿っている。角度シータは時間とともに増加し、すなわち、モードはz軸のまわりに歳差運動をする。
【0018】
図4A〜4Mは、半ドーナツ形共振器ジャイロスコープ200の例示の製作プロセスにおける様々な段階を示す。製作プロセスは、基板210(例えば、シリコンウェハ)から始まることができる。
【0019】
図4Aは、環状空洞214およびアンカー支柱216を形成するために、上部加工表面212をパターン化およびエッチングした(例えば、フォトマスクを使用して)後の基板210を示す。一例では、環状空洞214を形成するエッチングはディープ反応性イオンエッチング(DRIE)を含むことができる。アンカー支柱216は、環状空洞214を形成するのに使用されるのと同じパターン化およびエッチングのステップ(例えば、同じフォトマスクを使用して)の間に形成することができる。したがって、環状空洞214の外側寸法は、アンカー支柱216と同じパターン化およびエッチングのステップを使用して形成することができる。これにより、アンカー支柱216の位置決め精度(例えば、外側の寸法に対する位置合わせ)は、マスク書込みプロセスの位置決め精度と同じくらい良好になり得る。すなわち、位置決め精度は、パターン化のステップ(例えば、あるフィーチャを別のパターン化ステップで生成されたフィーチャと位置合わせしようとする1つのパターン化ステップ)の位置合わせ精度に依存しない。
【0020】
一例では、マスク書込みは、0.05ミクロン未満のスポットサイズ/許容度で行うことができる。従来の半球形共振器では、同様の位置合わせは、1から2ミクロン程度、すなわち本半ドーナツ形共振器よりも20〜40倍悪い位置合わせ許容度のフォトリソグラフィ位置合わせ、ウェハ接合、またはいくつかの他のプロセスによって行われている可能性がある。一実施形態では、アンカー支柱216は直径が約200ミクロンである。
【0021】
一例では、環状空洞214の深さは、後述するような所望の半ドーナツ形バブルを達成するように決定することができる。理想気体挙動を仮定すると、環状空洞214の深さは、D=(πr/4)[P/(P−P)]として計算でき、ここで、rはドーナツ形管の半径であり、PおよびTは、それぞれ、ガラスウェハ310(図4Bを参照)が基板210に接合される気体圧力および温度であり、PおよびTは、それぞれ、ウェハが以下の図4Cでアニールされる気体圧力および温度である。
【0022】
いくつかの例では、パターン化およびエッチングにより、基板210上に他のフィーチャを形成することもできる。さらに、いくつかの例では、基板210は適度に導電性にすることができる。したがって、高濃度ドープシリコンウェハを使用することができ、または環状空洞214をエッチングした後にドーパントを表面212に拡散することができる(図示せず)。
【0023】
図4Bは、基板210上のバブル層310を示す。一例では、バブル層310は最初にガラスウェハを含むことができる。ガラスウェハは、基板210のパターン化およびエッチングされた表面212に陽極接合することができる。ガラスウェハは、Corning Pyrex、Corning Eagle XG、Schott Borofloat、またはHoya SD2などの材料で構成することができる。ガラスウェハは、ラッピングまたはポリッシングによって所望の厚さ(例えば、約10〜100ミクロン)に薄化することができる。一例では、ガラスウェハは基板210への接合の後に薄化することができるが、別の例では、ガラスウェハは基板210への接合の前に薄化することができる。別の例では、ガラスウェハはエッチングによって薄化することができる。ガラスウェハが基板210に接合された後、ガラスウェハをエッチングして、アンカー支柱216の上に開口312を形成することができる。一例では、開口312は、アンカー支柱216に近づくとともに小さくなるテーパ状縁部を有することができる。
【0024】
以下で説明するプロセスの後続のステップは、ガラスウェハ中の外側に膨張したバブルを示している。ガラスウェハを膨張させるために、ある一定の圧力の気体が環状空洞214中に存在することができる。一例では、使用される気体の圧力は、ガラスウェハの特性、気体が膨張させられる前後の環状空洞214の温度などの関数である。環状空洞214での所望の圧力および組成を達成するために、陽極接合中に基板210を収容するチャンバは所望の圧力および組成の気体で満たすことができる。様々な気体を使用することができ、例えば、窒素、アルゴン、空気などを0.2から1気圧の典型的な圧力で使用することができる。いかなる場合も、膨張させると、ガラスウェハ中のバブルが「膨らみ」、その結果、バブルが所望の寸法に達し、膨張するのを止めるように気体の密度があるべきである。
【0025】
図4Cは、バブル層310に形成された半ドーナツ形バブル314を示す。一例では、半ドーナツ形バブル314は、アンカー支柱216のまわりで実質的に対称である。バブル314は、基板210およびバブル層310をバブル層310の軟化点を超えて加熱することによって形成することができる。例えば、基板210およびバブル層310は、Pyrexガラスでは摂氏約850度、Eagle XGまたはSD2ガラスでは摂氏約975度、または溶融石英では摂氏約1700度まで加熱することができる。
【0026】
温度が上昇するにつれて、空洞内の圧力は外圧を上回ることになり、それにより、環状空洞214中の気体は、環状空洞214の上の軟化したガラスのバブル314を膨張および形成させる。表面張力は、バブル314がアンカー支柱216のまわりで対称となるように実質的に一定の曲率半径のバブル314を形成するのに役立つことができる。温度を制御して、気体の膨張およびその結果として生じるバブル314の寸法を制御することができる。バブル314が所望の寸法に達した後、バブルが硬化する前につぶれない十分に速い速度で温度を降下させることによってバブル314は硬化させることができる。冷却速度は、ガラスの厚さ、環状空洞の体積、バブル314の寸法などに依存することがある。硬化した後、半ドーナツ形バブル314は共振器100の残りの部分のための型板になることができる。
【0027】
バブル314の半ドーナツ形状は環状空洞214内の気体の加熱の結果として自然に形成されるので、バブル314は高精度で形成することができる。バブル314は半ドーナツ形共振器100の型板となるので、高精度でバブル314を形成することが、同様に高精度の共振器100をもたらす。さらに、共振器100のステム114および外唇118はバブル314を使用して形成されるので、外唇118に対するステム114の位置合わせはバブル314の精度に基づく。上述のように、バブル314の精度は、環状空洞214およびアンカー支柱216から自然に生じる。したがって、外唇118に対するステム114の位置合わせを含む共振器100の精度は、環状空洞214およびアンカー支柱216を形成することができる精度に基づく。上述のように、環状空洞214およびアンカー支柱216は同じパターン化およびエッチングのステップを使用して形成されるので、環状空洞214およびアンカー支柱216の精度は非常に高くすることができる(例えば、0.05ミクロン未満の許容誤差範囲を有する)。したがって、共振器100は高精度で形成することができる。
【0028】
図4Dは、バブル層310に堆積された第1の導電層320を示す。次に、第1の導電層320をパターン化して複数の電極を形成することができる。一例では、複数の電極はバブル層310の外側縁部からバブル314の上部部分の方へ延びることができる。複数の電極は導電層320の複数の延びた部分を形成することができる。複数の電極を使用して共振器100を駆動および平衡させることができる。一例では、第1の導電層320は多結晶シリコン(「ポリシリコン」)で構成することができ、複数の電極は、ポリシリコンを貫いてイオン注入し、続いて急速アニールすることによって形成することができる。
【0029】
他の例では、第1の導電層320は、金、ニクロム、クロミウム、酸化インジウムスズ(ITO)、ドープしたチタニアシリケートガラスなどを含む他の材料で構成することができる。図4Dは主として半ドーナツ形バブル314の外側の複数の電極を示しているが、他の例では、複数の電極は、バブル314の他の場所、ならびにバブル314以外の構造体(図示せず)にパターン化することができる。
【0030】
図4Eは、第1の導電層320上に堆積された犠牲層324を示す。犠牲層324をパターン化およびエッチングして開口326を形成することができる。バブル層310と同様に、犠牲層324中の開口326をアンカー支柱216の上に形成することができる。一例では、開口326は、アンカー支柱216に近づくとともに小さくなるテーパ状縁部を有することができる。
【0031】
犠牲層324のパターン化およびエッチングをさらに使用して、接触部(図示せず)および他のフィーチャを(例えば、領域324中に)形成することができる。いくつかの例では、パターン化は、e−ビームリソグラフィまたはステッパなどの投射型リソグラフィで行うことができる。
【0032】
一例では、犠牲層324はポリシリコンで構成することができる(例えば、第1の導電層320がポリシリコン以外の材料で構成される場合)。他の例では、犠牲層324は、急速エッチングガラス、またはチタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロミウム(Cr)などのようないくつかの選択的エッチング金属のうちの1つで構成することができる。さらなる他の例では、犠牲層324は、窒化ケイ素(Si)、モリブデン合金(Moly)、エーロゲル、ポリイミド、またはパリレンで構成することができる。さらなる他の例では、犠牲層324は多層の材料で構成することができる。例えば、第1の導電層320がポリシリコンで構成される場合、犠牲層324の第1の層は、上部により厚い層のポリシリコンを伴う金属(Ti、Mo、Crなど)で構成することができる。
【0033】
一例では、低圧化学気相成長(LPCVD)を使用して犠牲層324を形成する。別の例では、プラズマ化学気相成長(PECVD)プロセスを使用して犠牲層324を形成することができる。さらに、多数の堆積を使用してより厚い犠牲層324を生成することができる。堆積条件は犠牲層324中の応力を平衡させるように変更することができる。一例では、犠牲層324は約5〜20ミクロンの厚さを有することができる。
【0034】
図4Fは、犠牲層324上に堆積された第2の導電層330を示す。次に、第2の導電層330をパターン化して共振器100の内側表面112のための1つまたは複数の電極を形成することができる。一例では、共振器の熱弾性減衰への電極材料の影響を低減するために、1つまたは複数の電極は共振器層334に対して薄くすることができる(例えば、200オングストローム未満)。
【0035】
一例では、第2の導電層330はポリシリコンで構成することができる。他の例では、第2の導電層330は、金、ニクロム、クロミウム、酸化インジウムスズ(ITO)、ドープしたチタニアシリケートガラスなどを含む他の材料で構成することができる。
【0036】
図4Gは、第2の導電層330の上に堆積された共振器層334を示す。一例では、共振器層334は、シリカ(例えば、非晶質SiO)などのガラス材料で構成することができる。他の例では、共振器層334は、低熱膨脹係数(CTE)を有する別のガラス材料で構成することができる。低CTEは、得られる共振器の熱弾性減衰を低減するのに役立つことができる。いくつかの例では、共振器層334のシリカ材料に数パーセントのチタニア(非晶質TiO)を含ませて、CTEを低減することができる。チタニア濃度が約7%である場合、ゼロに近いCTEを達成することができる。他の例では、共振器層334は、シリコン、ダイヤモンドなどのような高い機械的品質係数を提供する別の材料で構成することができる。
【0037】
一例では、共振器層334は約10ミクロンの厚さを有することができる。いくつかの例では、共振器層334は、得られる共振器が外唇118ではより薄く、頑強さのために他のところではより厚くなるように厚さを変えることができる。一例では、化学気相堆積(CVD)、低圧CVD(LPCVD)、常圧CVD(APCVD)、熱酸化、スパッタリング、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)とそれに加えてのアニール、PECVDとそれに加えてのアニール、および低温酸化物(LTO)などの標準堆積技法を共振器層334を形成する際に利用することができる。
【0038】
一例では、酸化物スパッタ堆積速度は毎分約70オングストロームとすることができるが、スパッタターゲット表面はシリコンなどの1つの成分が欠乏することがある。さらに、共振器層334が非晶質ガラス被覆を形成するように基板210を適切な温度(例えば400°C)まで加熱することができる。一例では、共振器は、アンカー支柱216を貫通する開口において、アンカー支柱への応力をほとんど伝達しないように設計することができる。例えば、半ドーナツ形共振器のステム114の半径(例えば、幅)は、アンカー支柱216の開口の半径より大きくなるように形成することができる。
【0039】
図4Hは、ステム114の開口116を生成するためにパターン化およびエッチングされた共振器層334を示す。一例では、ステム114の開口116は、図4Iに示されるように、第3の導電層338を第2の導電層330に結合するのに使用することができる。開口116はテーパ状縁部により形成することができ、開口116の直径はアンカー支柱216に近づくとともに小さくなる。
【0040】
図4Iは、共振器層334上に堆積された第3の導電層338を示す。次に、第3の導電層338をパターン化して共振器100の外側表面110のための1つまたは複数の電極を形成することができる。一例では、連続電極が共振器100の外側表面110に形成される。したがって、連続電極では、半ドーナツ形バブル314に隣接する領域342にのみにパターン化を使用して、接触部、導線などを形成する。一例では、共振器100の熱弾性減衰への電極材料の影響を低減するために、1つまたは複数の電極は共振器層334に対して薄くすることができる(例えば、200オングストローム未満)。
【0041】
第3の導電層338はポリシリコンで構成することができ、1つまたは複数の電極はイオン注入と後続の急速アニールによって形成することができる。他の例では、第3の導電層338は、金、ニクロム、クロミウム、ITO、ドープしたチタニアシリケートガラスなどを含む他の材料で構成することができる。一例では、第3の導電層は、共振器430の導体用の一様な金属膜を生成するためにCVDによって堆積されたタングステン膜を含むことができる。CVD堆積したタングステンは、犠牲層のエッチング剤へのバリア層を形成することもできる(図4Kに関して説明するように)。
【0042】
一例では、1つまたは複数のパッド層(図示せず)をワイヤボンディング用に形成することもできる。標準材料および技法を使用してパッド層を形成することができる。
図4Jは、共振器層334の上のフォトレジスト層340を示す。フォトレジスト層340はパターン化して、半ドーナツ形バブル314の上を除いてフォトレジスト層340を除去することができる。すなわち、パターン化およびエッチングの後、フォトレジスト層340の残った部分は、共振器100をもたらすことになる共振器層334の部分を覆うことができる。
【0043】
一例では、多ステップフォトレジストを使用することができる。例えば、バブル314の全表面の上に薄くて比較的一様な厚さのフォトレジストの第1の層340−1を、例えば、フォトレジストの小液滴の噴霧を吹付けることによって堆積することができる。この第1のフォトレジスト層340−1を露光および現像して、基板210の表面212とほぼ平行な区域のレジストを除去することができる。すなわち、第1のフォトレジスト層340−1の露光および現像により、半ドーナツ形バブル314の上部および半ドーナツ形バブル314に隣接する平坦領域342などの区域のフォトレジスト340−1を除去することができる。しかし、半ドーナツ形バブル314の斜面のフォトレジスト340−1が十分な厚さで残ることができるように露光を制限することができる。一例では、フォトレジスト340−1が下部縁部(例えば、外唇118が形成されることになる場所)を覆い、バブル314と平坦領域342との間の境界で正確に終了するように露光を制御することができる。
【0044】
このプロセスを使用して共振器100の外唇118を画定することができる。このプロセスにより、外唇118の画定を厳格に制御することができるが、それは、バブル314の曲率を使用することによって、フォトレジスト縁部が共振器100の将来の外唇118と自動的に位置合わせされ、領域342のフォトレジストの部分は除去されるが、バブル314の表面が表面212にほぼ垂直なところならどこでもバブル314上のフォトレジストの部分が残されるからである。
【0045】
第1のフォトレジスト層340−1が露光された後、第1のフォトレジスト層340−1の上に第2のフォトレジスト層340−2を印刷することができる。一例では、この第2のフォトレジスト340−2は、第1のフォトレジスト層340−1の縁部344を覆うことなしにフォトレジスト層340−2がバブル314の大部分を覆う限り位置合わせを比較的粗くすることができる。すなわち、得られる共振器100の外唇118は第2のフォトレジスト層340−2の代わりに第1のフォトレジスト層340−1によって主として画定することができる。
【0046】
図4Kにおいて、第3の導電層338、共振器層334、および第2の導電層330は方向性エッチングを使用してエッチングすることができる。一例では、イオンミリングを使用してエッチングすることができる。別の例では、反応性イオンエッチングを使用することができる。フォトレジスト層340の画定された縁部344と組み合わせた方向性エッチングにより、第3の導電層338と、共振器層334と、得られる共振器100の外唇118と位置合わせされる第2の導電層330とに切り込みを生成することができる。
【0047】
図4Lにおいて、犠牲層324を露光およびエッチング除去することができる。例えば、犠牲層324がポリシリコンである場合、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)などの液体エッチング剤を、またはXeFなどの気体エッチング剤を使用することができる。いくつかの例では、気体エッチング剤は、従応構造のまわりで液体を使用することから生じる「静摩擦」問題を軽減することができるので望ましい。しかし、液体エッチング剤を使用する場合に使用できる、静摩擦を低減する他の技法(例えば、自己組織化単分子膜、凍結乾燥など)がある。
【0048】
一例では、犠牲層324が多数の異なる層を含む場合、より厚いポリシリコンを最初にエッチングすることができ、金属は下にあるポリシリコン電極をエッチング剤から保護する。次に、金属を除去し、第1の導電層320の電極を露出させることができる。好適な犠牲エッチング剤は、Si用の熱リン酸、モリブデン用のH、ポリシリコン用のXeF、ポリイミド用の酸素プラズマ、エーロゲル用の緩衝酸化物エッチング液(BOE)を含むことができる。一例では、エッチング剤を選択することにより、デバイス層を攻撃することなく約1ミリメートル半径の半ドーナツ部上の数ミクロン厚の犠牲層のエッチングを可能にすることができる。
【0049】
図4Mにおいて、フォトレジスト層340が除去される。一例では、液体溶剤を使用してフォトレジスト層340を除去することができる。別の例では、ドライ技法(例えば、Oのプラズマアッシング)を使用してフォトレジスト層340を除去することができる。
【0050】
例示の製作プロセスを上述したが、半ドーナツ形共振器ジャイロスコープを製作する際に他の代替プロセスを利用できることが理解されるべきである。例えば、半ドーナツ形共振器100をアンカー支柱216に直接取り付ける代わりに、別の例では、共振器100をアンカー支柱216の上のバブル層310に取り付けることができる。すなわち、バブル層310はその中にエッチングされた開口312がなくてもよい。バブル層310の開口312なしでは、共振器100はアンカー支柱216の代わりにバブル層310に付着することができる。
【0051】
別の例では、半ドーナツ形共振器は、基板の空洞内に延びる内向きバブルで形成することができる。例えば、半ドーナツ形状を有する空洞を基板に形成することができる。空洞は共振器用の半ドーナツ形型板を形成することができる。等方性シリコンエッチング剤を使用して半ドーナツ形空洞の傾斜側壁を生成することができる。半ドーナツ形空洞が形成された後、真空が半ドーナツ形空洞内に形成されるように真空中で共振器層を基板に接合することができる。次に、基板およびバブル層は、環状空洞内に延びるバブルが共振器層に形成されるように与圧室で加熱することができる。環状空洞内にバブルを押しつけることにより、半ドーナツ形共振器用のより頑強なアンカー支柱を形成することができる。次に、環状空洞の側壁に電極を形成することができる。製作プロセスの他のステップは、図4A〜4Mに関して説明したもの同様にすることができる。
【0052】
さらなる別の例では、共振器層は基板上に配置することができ、バブルは共振器層に直接形成することができる。例えば、Corning ULE(登録商標)ガラスなどの低CTEガラスは、共振器として使用するために、基板に直接接合することができる。次に、内向きバブルまたは外向きバブルを低CTEガラスに直接形成することができる。いくつかの例では、低CTEガラスの軟化点がシリコンの融点を超えることがあり、このため、より高い溶融温度を有する代替開始基板を、エッチングの対応する代替技法とともに使用することができる。代替基板用の例示の基板材料は、SiC、タングステン(W)、およびTiを含む。
【0053】
一例では、バブルは、以下のプロセスによって共振器層に直接形成することができる。基板(例えば、SiC、タングステン、およびTiで構成される)をエッチングして(例えば、DRIEを使用して)、環状空洞およびアンカー支柱を形成することができる。共振器層(例えばSiO)は基板に接合することができる。共振器層は共振器の所望の厚さまで薄化することができる。次に、基板および共振器層は、共振器層にバブルを形成するために共振器層の軟化点まで加熱することができる。いくつかの例では、加熱は、誘導加熱、および/または炉管の開放端部を通して誘導されたCOレーザビームなどの漸増的レーザ加熱とすることができる。基板上のパターン化犠牲層(例えば、Siおよび/またはモリブデン)を使用して共振器の外唇を解放することができる。いくつかの例では、共振器の外唇をレーザまたは黒体放射で加熱して、外唇により厚い壁を生成することができる。
【0054】
図5は、図4A〜4Mのプロセスにより製作された半ドーナツ形共振器ジャイロスコープ400の断面側面図を示す。ジャイロスコープ400は、環状空洞412を画定するシリコンウェハなどの基板410を含むことができる。基板410のアンカー支柱414は、環状空洞412の中央部分を通って延びることができる。例えばPyrexガラスで構成されたバブル層416は基板410の上部表面に取り付けることができる。バブル層416は、環状空洞412の上の半ドーナツ形バブル418を含むことができる。例えばポリシリコンで構成され、複数の電極を含む第1の導電層420はガラス層416の上に配置することができる。パッド層422は導電層420の領域部分上に配置することができる。
【0055】
半ドーナツ形共振器430は、半ドーナツ形バブル418および環状空洞412の上に配置することができる。一例では、共振器430は、内側表面および外側表面上に薄い導電層436および438をもつガラス材料で構成することができる。共振器430は、それの中央部分に、基板410のアンカー支柱414に取り付けられるステム432を含むことができる。ステム432は、バブル層416および/または犠牲層の開口の結果として形成された段差構造433を含むことができる。共振器430の外唇434は、共振器430がステム414のまわりで自由に振動できるように導電層420からわずかに離して位置決めすることができる。
【0056】
第2の導電層436は共振器430の内側表面(例えば、内側表面112)に複数の電極を含む。外側表面(例えば、外側表面118)上の第3の導電層438は連続的とすることができる。
【0057】
代替実施形態では、電極は、共振器430の外唇434上に形成された櫛形フィンガ(例えば、共振器430の外唇上の突起)と取り替えることができる。櫛形フィンガは、共振器430の外唇434に横方向に隣接する平坦領域上のフォトレジスト(例えば、フォトレジスト340−1)をパターン化することによって画定することができる。次に、共振器層は櫛を形成するようにエッチングすることができ、櫛は第3の導電層438で被覆することができる。
【0058】
共振器430の振動を感知するのに電極を使用することができるが、他の例では、共振器430の振動を感知するのに光センサを使用することができる。したがって、一例では、ジャイロスコープ400の駆動およびピックオフはそれぞれ電気的および光学的とすることができる。別の例では、駆動およびピックオフは共に光学的とすることができる。
【0059】
別の実施形態では、共振器430を駆動し、振動を感知するための複数の電極(例えば、導電層420から形成された)は半ドーナツ形共振器430の外側に配置することができる。例えば、複数の電極は、共振器430の横方向に隣接して基板410上に形成された1つまたは複数の追加のバブル上に配置することができる。
【0060】
さらなる実施形態では、複数の電極は共振器430の上の電極支持構造体(図示せず)上に配置することができる。この場合、共振器430の内側表面(例えば、内側表面112)上の第2の導電層436は連続的とすることができ、外側表面(例えば、外側表面118)上の第3の導電層438は複数の電極を含むことができる。さらに、共振器430と電極支持構造体との間の犠牲層をエッチングするのにエッチング剤が迅速に通過できるようにするために、1つまたは複数の開口を電極支持構造体に形成することができる。共振器430のステム434上の電気的接触部は、共振器430を電極支持構造体に機械的に接続することができる。電極支持構造体は熱膨張不整合を低減させるためにドープしたチタニアシリケートガラスで構成することができる。
【0061】
ジャイロスコープ400の例示の動作では、半ドーナツ形共振器430は、導電層420の第1の複数の電極に供給される電気信号に基づいて共振させることができる。これらの電極に供給される電気信号は、共振器430の内側表面上の第2の複数の電極436に運動を誘起することができる。一例では、これは、図3Aに示したような共振器430のn=2四重極モード共振をもたらすことができる。ジャイロスコープ400が回転すると、n=2四重極振動モードの方位は、半ドーナツ部の対称軸、すなわち、アンカー支柱414の中心軸のまわりに歳差運動をする。歳差運動の角度は加えられた回転の積分角度の指標である。歳差運動は、第2の複数の電極436と導電層420の第1の複数の電極との間の電気的特性変化に基づいて感知することができる。これらの感知した電気的特性変化に基づいて、情報はジャイロスコープからパッド422を介して他の電気構成要素に供給することができる。次に、他の電気構成要素はこの情報に基づいてジャイロスコープの回転を決定することができる。別の例では、モード歳差運動は、n=2四重極モードの振動運動によってもたらされた光ビームの時間変動の障害を測定することによって光学的に感知することができる。別の例では、ジャイロスコープ400は、ジャイロスコープ400が回転する場合にn=2四重極モードの歳差運動を妨げる力を共振器430に生成するように再平衡電圧が電極に印加される力再平衡モードで動作することができる。この例では、再平衡電圧は加えられる回転速度の指標である。
【0062】
本明細書で説明する例によれば、半ドーナツ形共振器は、高性能ジャイロスコープ用に十分な精度で製作することができる。いくつかの例では、半ドーナツ形共振器の大部分の振動は共振器の外唇の近くで生じることができる。レート積分振動ジャイロスコープの性能指標は、回転する共振器に関して測定された振動モードパターンの回転角度を外部から加えられた回転の角度で除算したものとして定義される角度利得係数である。一例では、半ドーナツ形共振器ジャイロスコープの角度利得係数は、従来の半球形共振器ジャイロスコープの約0.3の角度利得係数と比較して、約0.58となり得る。したがって、半ドーナツ形共振器は、信号対雑音比が従来の半球形共振器ジャイロスコープよりも約2倍高いので、誤差の発生源を低減することができる。
【0063】
さらに、共振器のステムは高精度で位置合わせすることができる。すなわち、高度の方位角対称性(例えば、外唇に対するステムの位置決め)を達成することができる。一例では、共振器上のステムは、従来の半球形共振器と比較して、約20倍だけより正確に位置決めすることができる。この精度の向上は共振器により良好な対称性をもたらし、それにより、性能を改善することができる。さらに、半ドーナツ形共振器により、ウェハへのバッチ製作がそれほど高価でなく可能になる。
【0064】
本明細書で説明する例示の半ドーナツ形ジャイロスコープのいずれもそれから回転感知情報を得るために電子デバイスに組み込むことができる。例えば、電子デバイスは、1つまたは複数のメモリデバイスに結合されている1つまたは複数の処理デバイスに結合された半ドーナツ形ジャイロスコープを含むことができる。1つまたは複数のメモリデバイスは命令を含むことができ、その命令は、1つまたは複数の処理デバイスによって実行されるとき、1つまたは複数の処理デバイスに1つまたは複数の動作を行わせることができる。一例では、1つまたは複数の処理デバイスは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含むことができる。1つまたは複数のメモリデバイスは、プロセッサ可読命令またはデータ構造の記憶のために使用される任意の適切な処理装置可読媒体を含むことができる。
【0065】
処理装置可読媒体は、汎用または専用コンピュータまたは処理装置、あるいは任意のプログラマブルロジックデバイスによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体として実装することができる。好適な処理装置可読媒体は、ストレージまたはメモリ媒体などの有形の媒体と、ネットワークおよび/または無線リンクなどの通信媒体を介して伝達される電気、電磁気、またはデジタル信号などの伝送媒体とを含むことができる。
【0066】
ストレージまたはメモリ媒体は、従来のハードディスク、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)などの磁気または光学媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)(限定はしないが、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダブルデータレート(DDR)RAM、RAMBUSダイナミックRAM(RDRAM)、スタティックRAM(SRAM)などを含む)などの揮発性または不揮発性媒体、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、およびフラッシュメモリなどを含むことができる。
【0067】
一例では、命令により、1つまたは複数の処理デバイスは半ドーナツ形ジャイロスコープからの情報を受け取り、慣性測定のためにその情報を使用することができる。
(例示の実施形態)
実施例1は、上部表面を有する基板と、半ドーナツ形状を有し、ステムと、ステムを囲む外唇とを含む共振器であり、ステムは基板の上部表面に取り付けられ、外唇は共振器が振動できるようにするために上部表面から離して配置される、共振器とを含む振動構造ジャイロスコープを含む。
【0068】
実施例2は、慣性変化を測定するための電子デバイスであり、1つまたは複数の処理デバイスと、1つまたは複数の処理デバイスに結合され、1つまたは複数の処理デバイスに慣性測定値を計算させるように構成された命令をその上に有する1つまたは複数のメモリデバイスとを含む、電子デバイスと、1つまたは複数の処理デバイスに結合され、1つまたは複数の処理デバイスに回転情報を供給するように構成されたジャイロスコープであり、上部表面を有する基板と、半ドーナツ形状を有し、ステムと、ステムを囲む外唇とを含む共振器であり、ステムは基板の上部表面に取り付けられ、外唇は共振器が振動できるようにするために上部表面から離して配置される、共振器とを含むジャイロスコープとを含む。
【0069】
実施例3では、実施例1および2の任意のものの振動構造ジャイロスコープは、基板の上部表面が、環状空洞と、環状空洞の中央部分を通って延びるアンカー支柱とを画定する場合と、共振器のステムがアンカー支柱に取り付けられる場合とを適宜含むことができる。
【0070】
実施例4では、実施例1〜3の任意のものの振動構造ジャイロスコープは、環状空洞と共振器との間に配置されたバブル層であり、環状空洞の上に半ドーナツ形バブルを含む、バブル層と、バブル層の外部表面に配置された第1の複数の電極とを適宜含むことができる。
【0071】
実施例5では、実施例1〜4の任意のものの振動構造ジャイロスコープは、共振器の内側表面に配置された第2の複数の電極を適宜含むことができる。
実施例6では、実施例1〜5の任意のものの振動構造ジャイロスコープは、共振器の外側表面に配置された連続電極層を適宜含むことができる。
【0072】
実施例7では、実施例1〜6の任意のものの振動構造ジャイロスコープは、第1の複数の電極、第2の複数の電極、および/または連続電極層が多結晶シリコンを含む場合を適宜含むことができる。
【0073】
実施例8では、実施例5および7の任意のものの振動構造ジャイロスコープは、第2の複数の電極および連続電極層が約200オングストローム未満の厚さを有する場合を適宜含むことができる。
【0074】
実施例9では、実施例4〜8の任意のものの振動構造ジャイロスコープは、バブル層がガラス材料を含む場合を適宜含むことができる。
実施例10では、実施例1〜9の任意のものの振動構造ジャイロスコープは、共振器が低熱膨脹係数を有するガラス材料を含む場合を適宜含むことができる。
【0075】
実施例11は振動構造ジャイロスコープを製作する方法を含み、その方法は、基板の第1の表面に環状空洞を形成するステップであり、環状空洞が環状空洞の中央部分にあるアンカー支柱を画定する、ステップと、基板の第1の表面の上と、環状空洞の上とにバブル層を形成するステップと、環状空洞の上のバブル層に半ドーナツ形バブルを形成するために基板およびバブル層を加熱するステップと、バブル層の半ドーナツ形バブルの上に犠牲層を堆積させるステップと、犠牲層に開口を形成するステップであり、開口が環状空洞のアンカー支柱の上に配置される、ステップと、犠牲層の上に共振器層を堆積させるステップと、バブル層と共振器層との間の犠牲層を除去するステップとを含む。
【0076】
実施例12では、実施例11の方法が、犠牲層を堆積させる前にバブル層の半ドーナツ形バブルの上に第1の導電層を堆積させるステップと、複数の電極を形成するために第1の導電層をエッチングするステップと、犠牲層の上に第2の導電層を堆積させるステップと、電極層を形成するために第2の導電層をエッチングするステップとを適宜含むことができる。
【0077】
実施例13では、実施例12の方法が、共振器層の上に第3の導電層を堆積させるステップを適宜含むことができる。
実施例14では、実施例11〜13の任意のものの方法が、共振器層の上に第1のフォトレジスト層を堆積させるステップと、基板の第1の表面と平行である第1フォトレジスト層の部分を除去するためにフォトレジスト層を露光および現像するステップと、半ドーナツ形バブルに対応する共振器層の部分の上に第2のフォトレジスト層を印刷するステップであり、共振器の外唇に対応する第1フォトレジスト層の縁部が第2のフォトレジスト層によって覆われないままである、ステップとを適宜含むことができる。
【0078】
実施例15では、実施例14の方法は、基板の第1の表面に垂直な方向に、方向性エッチングを使用して、共振器層をエッチングするステップを適宜含むことができる。
実施例16では、実施例15の方法は、共振器層をエッチングするステップが気体エッチング剤でエッチングするステップを含む場合を適宜含むことができる。
【0079】
実施例17では、実施例11〜16の任意のものの方法は、犠牲層を堆積させる前にアンカー支柱の上のバブル層に開口をエッチングするステップを適宜含むことができる。
実施例18では、実施例17の方法は、バブル層の開口をエッチングするステップが、アンカー支柱に近づくとともに小さくなる直径を有する開口のテーパ状縁部を形成するステップを含む場合を適宜含むことができる。
【0080】
実施例19では、実施例11〜18の任意のものの方法は、基板およびバブル層を加熱する前に約10ミクロンから100ミクロンの範囲の厚さにバブル層を薄化するステップを適宜含むことができる。
【0081】
実施例20では、実施例11〜19の任意のものの方法は、環状空洞およびアンカー支柱を形成するステップが、同じフォトマスクを使用して環状空洞およびアンカー支柱をエッチングするステップを含む場合を適宜含むことができる。
【0082】
特定の実施形態が本明細書で図示および説明されたが、同じ目的を達成するように計算された任意の構成が図示された特定の実施形態と置き換わることができることが当業者なら理解されよう。したがって、本発明は特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが明白に意図される。
【符号の説明】
【0083】
100 半ドーナツ形共振器
110 外側表面
112 内側表面
114 ステム
116 開口
118 外唇
120 内向き凹部
200 半ドーナツ形共振器ジャイロスコープ
210 基板
212 上部加工表面
214 環状空洞
216 アンカー支柱
310 バブル層
312 開口
314 半ドーナツ形バブル
320 第1の導電層
324 犠牲層
326 開口
330 第2の導電層
334 共振器層
338 第3の導電層
340 フォトレジスト層
340−1 第1のフォトレジスト層
340−2 第2のフォトレジスト層
342 平坦領域
344 縁部
400 半ドーナツ形共振器ジャイロスコープ
410 基板
412 環状空洞
414 アンカー支柱
416 バブル層
418 半ドーナツ形バブル
420 第1の導電層
422 パッド層
430 半ドーナツ形共振器
432 ステム
433 段差構造
434 外唇
436 第2の導電層
438 第3の導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部表面を有する基板と、
半ドーナツ形状を有し、ステムと、前記ステムを囲む外唇とを含む共振器であり、前記ステムは前記基板の前記上部表面に取り付けられ、前記外唇は前記共振器が振動できるようにするために前記上部表面から離して配置される、共振器と
を含む振動構造ジャイロスコープ。
【請求項2】
請求項1に記載の振動構造ジャイロスコープにおいて、前記基板の前記上部表面が、環状空洞と、前記環状空洞の中央部分を通って延びるアンカー支柱とを画定し、前記共振器の前記ステムが前記アンカー支柱に取り付けられる、振動構造ジャイロスコープ。
【請求項3】
請求項2に記載の振動構造ジャイロスコープにおいて、
前記環状空洞と前記共振器との間に配置されたバブル層であり、前記環状空洞の上に半ドーナツ形バブルを含む、バブル層と、
前記バブル層の外部表面に配置された第1の複数の電極と、
前記共振器の内側表面に配置された第2の複数の電極と、
前記共振器の外側表面に配置された連続電極層と
をさらに含む、振動構造ジャイロスコープ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図4L】
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【図4M】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−42452(P2012−42452A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−118164(P2011−118164)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】