半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ取付け構造並びにその成形方法
【課題】
半割り式研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け台となるコア金具につき、バフ研磨材との強固な固着構造を得ること。
【解決手段】
半割りコア金具2と該コア金具2の外周面に被嵌される半割りバフ研磨材3とからなるバフ研磨ロールRにおいて、半割りコア金具2の外側面の軸方向に複数の縦溝が凹設され、半割りコア金具2の外側面に塗布されこの縦溝に充填される接着剤を介してコア金具2とバフ研磨材3とを固着すること。
半割り式研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け台となるコア金具につき、バフ研磨材との強固な固着構造を得ること。
【解決手段】
半割りコア金具2と該コア金具2の外周面に被嵌される半割りバフ研磨材3とからなるバフ研磨ロールRにおいて、半割りコア金具2の外側面の軸方向に複数の縦溝が凹設され、半割りコア金具2の外側面に塗布されこの縦溝に充填される接着剤を介してコア金具2とバフ研磨材3とを固着すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転軸に取り付けられ、その回転研磨をもって被研磨材の表面仕上げをなす半割り式バフ研磨ロールに関し、更に詳しくは、該半割り式研磨ロールにおけるバフ取付け構造並びにその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の半割り式研磨ロールのコア金具は、2つの半円筒体相互の組付けをもって構成され、各半円筒体は両端の厚肉部と中央の薄肉部とから形成され、厚肉部にはボルト挿通用の孔が貫通状に開設される。そして、このコア金具の外周にはバフ研磨材が取り付けられる。
そして、このコア金具は従来より鋳造をもって成形されることを通常とするが、その成形上の手間、製作精度、及び成形後の加工手間と種々問題がある。すなわち、成形過程においては一品毎の砂型の作成、固化に要する時間、巣の発生等、熟練と手間を要する。また、製作精度において高い寸法精度を得ることが困難であり、回転軸への取付けにおいて密着性が得られず、また、回転軸とともに回転する際には振れが生じるという欠点がある。
一方、この種の半割り式研磨ロールにおいて、バフ研磨材とコア金具との取付けは、コア金具の表面に接着剤が塗布され、これにバフ研磨材を被嵌するという極めて単純な接着固定がなされる。
しかしながら、このような態様によれば、該研磨ロールを高速で回転しようとするとき、上記した回転軸との密着性の問題並びに接着固定により、ガタつき、あるいはバフ研磨材の剥離などの種々の問題点が生じるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した高速回転に伴う問題点に鑑みなされたものであり、この種の半割り式研磨ロールにおいて、成形が容易であるとともに、高い寸法精度が得られるコア金具を提供すること、並びにコア金具とバフ研磨材との強固な接着固定がなされるバフ研磨材の取付け構造を得ることを目的とするものである。
本発明はまた、バフ研磨材の取付け構造を備えた半割り式バフ研磨ロールの成形方法を得ることも他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1は半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造であって、請求項1のとおり、
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該半割りコア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールにおいて、
前記半割りコア金具の外側面に複数の凹部が凹設され、
前記半割りコア金具と前記半割りバフ研磨材とは、前記半割りコア金具の外側面に塗布され前記凹部に充填される接着剤を介して固定保持されてなる、ことを特徴とする。
上記構成において、
1)半割りコア金具の外側面の凹部は軸方向に縦設される凹溝である態様、
2)半割りコア金具の外側面の凹溝は少なくとも該半割りコア金具の両下方側面の軸方向に縦設される態様、は本発明に包含される。
更に本発明において、コア金具は金属素材よりなり、特別にはアルミ製を採る。また、コア金具は合成樹脂素材を除外するものではない。
【0005】
(作用)
コア金具とバフ研磨材とに介装する接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金具表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。
また、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
【0006】
本発明の第2は更に他の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造であって、請求項4のとおり、
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該半割りコア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールにおいて、
前記半割りコア金具は、所定の肉厚をもって形成された半円筒状体のコア本体と;該コア本体の両端部の内周面に同心状態を保って取り付けられる半円筒状体の介装金具と;からなり、
前記コア本体の端部は、前記介装金具と同一の長さで該コア本体の内径よりも大きな径で研磨加工され、
前記介装金具の外径は前記コア本体の端部の内径に合致し、その外周面は研磨加工され、かつ、その外縁は所定の角度をもって面取り加工され、前記コア本体と前記介装金具とは前記面取り面の形成する空間に溶接が施されて溶接固定されてなり、
前記半割りコア金具の外側面に軸方向に複数の凹溝が縦設され、
前記半割りコア金具と前記半割りバフ研磨材とは、前記半割りコア金具の外側面に塗布され前記凹部に充填される接着剤を介して固定保持されてなる、ことを特徴とする半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造。
上記構成において、
1)半割りコア金具のコア本体は押出し成形品が使用される態様、
2)半割りコア金具の外側面の凹溝は少なくとも該半割りコア金具の両下方側面の軸方向に縦設される態様、は本発明に包含される。
更に、本発明において、コア金具は金属素材よりなるが、特別にはコア本体及び介装金具はアルミ製を採る。また、合成樹脂素材を除外するものではない。
【0007】
(作用)
この半割りコア金具によれば、コア本体と介装金具とはそれぞれ別体をもって組み付けられるものであり、それぞれ高い成形精度で作製され、それらの組付け体も高い寸法精度が得られる。
また、半割りコア金具を押出し成形とするとき、該半割りコア金具の外側面の凹溝は成形時に、同時かつ精確に得られる。
コア本体と介装金具との組付けは、溶接をもって一体化されるので、強固な構造が得られる。
コア金具とバフ研磨材とに介装される接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金具表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。
また、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
【0008】
本発明の第3は半割り式バフ研磨ロールの成形方法であって、請求項5のとおり、
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該コア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールの成形方法であって、
前記半割りコア金具の外側面に複数の凹溝が軸方向に縦設され、
前記半割りコア金具の外側面に接着剤が塗布されるとともに前記凹溝に充填させ、
前記半割りコア金具に前記半割りバフ研磨材が被嵌され、
前記半割りバフ研磨材の外方より実質的に半径方向への縮径方向へ圧力を付加してなる、ことを特徴とする。
上記構成において、
1)半割りコア金具は押出し成形品が使用される態様、
2)接着剤は熱硬化性が使用され、加熱処理を付加する態様、
は本発明に包含される。
更に、本発明において、コア金具は金属素材よりなるが、特別にはコア本体及び介装金具はアルミ製を採る。また、合成樹脂素材を除外するものではない。
【0009】
(作用)
コア金具とバフ研磨材とに介装する接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金具表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。
また、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
【発明の効果】
【0010】
第1発明の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造によれば、コア金具とバフ研磨材とに介装する接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金具表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。また、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
これにより、コア金具とバフ研磨材との顕著な固着力の増大がなされ、研磨ロールの高速化に耐えうる。
第2発明の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造によれば、コア本体と介装金具とはそれぞれ別体をもって組み付けられるものであり、それぞれ高い成形精度で作製され、それらの組付け体も高い寸法精度が得られる。また、コア金具を押出し成形とするとき、該コア金具の外側面の凹溝は成形時に、同時かつ精確に得られる。コア本体と介装金具との組付けは、溶接をもって一体化されるので、強固な構造が得られる。
また、コア金具とバフ研磨材とに介装する接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金具表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。更に、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
これにより、本半割り式バフ研磨ロールは一体として大きな強度が得られ、研磨ロールの高速化に耐えうる。
第3発明の半割り式バフ研磨ロールの成形方法によれば、コア金具とバフ研磨材とに介装する接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金属表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。また、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造並びにその成形方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図9はその一実施形態を示し、回転軸より回転駆動を受ける半割り式研磨ロールへの適用例を示す。すなわち、図1〜図3はその全体構成を示し、図4〜図9は各部分構成を示す。
【0012】
図1〜図3に示すように、Rは本実施形態の半割り式研磨ロール(以下、単に「研磨ロール」という)であり、該研磨ロールRは回転軸1に取り付けられて回転駆動される。
しかして、この研磨ロールRは、装着される回転軸1の中心を含む平面をもって2分割された半割り体Ra,Rbが合体されて一体とされ、それぞれの半割り体Ra,Rbは、半円筒状をなすコア金具2と、該コア金具2の外側に接着固定される同じく半円筒状のバフ研磨材3とからなる。
そして、この半割り研磨ロールRは、それぞれの半割り体Ra,Rbが独立して取付け具4をもって回転軸1に取り付けられ、一体となったとき、コア金具2並びにバフ研磨材3は横断面形状において真円状を保持する。
【0013】
本実施形態においては、コア金具2に特徴を有するものであって、図4〜図6を更に参照しつつ該コア金具2の細部構成を説明する。
すなわち、本実施例のコア金具2は、所定の肉厚をもって形成された半円筒体のコア本体6と、該コア本体6の両端部の内周面に同心状態を保って取り付けられる等厚の半円筒体の介装金具7と、からなる。
8はコア本体6と介装金具7との溶接部である。
9は本コア金具2の外側に形成される凹溝である。
【0014】
以下、コア金具2を構成する各部の細部構造を説明する。
コア本体6
コア本体6は、外径は全長にわたって一定で、内径は両端部6aとその余の部分6bとがそれぞれ異なる一定径を採り、長尺の半円筒状体をなす。両端部の頂部にボルト挿通孔10aが開設される。
コア本体6の外側面において、軸方向に複数の凹溝9が縦設される(図5〜図9参照)。該凹溝9はわずかな浅さ及び幅で十分であるが、各側面に3以上は必要である。該凹溝9は本実施形態ではコア本体6の頂部を残し、両下端からほぼ60°の範囲に形成されるが、全体に形成されても、あるいは、更に小範囲(例えば45°)であってもよい。要は両下方であることが重要である。
該コア本体6は、本実施例ではアルミ(Al)製よりなり、アルミの押出し加工をもって外側面の凹溝9とともに一定形状に成形される。しかる後、両端部6aは高精度を保って所定の曲率で削出し加工がなされる。
【0015】
介装金具7
介装金具7は、コア本体6の両端に配され、それらはともに等厚の肉厚を保持する短い半円筒体をなし、その曲率は外径がコア本体6の端部6aの内径に等しく、内径が回転軸1の径に等しい。コア本体6と介装金具7とは溶接部8により一体的に固定される。該介装金具7はいわゆる厚肉部に相当し、コア本体6と同様アルミ製をなすが、溶接可能である限り他の素材の使用を妨げない。
そして、介装金具7には、コア本体6のボルト挿通孔10aに対応してその頂部にボルト挿通孔10bが開設され、これらの2つの孔10a,10bによりコア金具2としてのボルト挿通孔10を構成する。
回転軸1にはこのボルト挿通孔10に対応するボルト挿通孔11が貫通状に開設され、本研磨ロールRが回転軸1に組み付けられたとき、これらのボルト挿通孔10,11は同一直線上に並ぶ。
【0016】
溶接固定
コア金具2を構成するコア本体6と介装金具7とは、所定の位置関係を保って溶接をもって固定される。
図4〜図6を参照してその組付けは手順を説明する。
(1) 未加工状態のコア本体素材Aと介装金具素材Bが用意される。
コア本体素材Aは前記した押出し成形のものであり、先ずその両端部6aの内径を旋盤による削出し加工により所定の曲率に拡径する。しかして該両端部6aの内径面6αは滑らかな研磨面をなす。また、6βは両端部6aの他の内径面6bとの段部、6γは両端部6aの直径面である。
(2) 介装金具素材Bは、前記した素材が用意され、その外周面7αを所定の曲率をもって研磨加工し、その外径をコア本体6の両端部6aの径に合致させる。
しかる後、該介装金具素材Bの直径面の外縁を所定の角度でカット面13をもって切削する。7βは介装金具素材Bの端面であり、7γは介装金具素材Bの直径面である。
(3) コア本体素材Aに介装金具素材Bを嵌合させ、これらの直径面6γ、7γを同一平面となす。これにより、溶接空間14が形成される(図6参照)。該溶接空間14内に溶接金属8をもって盛付け溶接をなす。
(4) グラインダーにより溶接部8を平坦に研磨し、平滑面に仕上げる。
(5) ボルト挿通孔10を孔加工をもって穿孔する。
【0017】
バフ研磨材3
バフ研磨材3は、所定厚さの半円筒体をなし、合成樹脂材の基材16中に砥粒17が含有されてなり、コア本体2の外周に接着剤により固着される。
バフ研磨材3自体は弾性を示すが、自然状態すなわち無負荷状態で同一形状を保つ、すなわち保形性を有するべく、適宜な硬度を持つ。
バフ研磨材3のコア金具2への固着はコア金具2の加工が完了した後なされる。すなわち、コア金具2の外側の全面に接着剤が塗布され、該コア金具2にバフ研磨材3が被嵌され、以下の手順をもって成形される。
【0018】
半割り体の成形
図7〜図10を参照して、以下にバフ研磨材3をコア金具2に取付けて成形する手順を説明する。
(1) コア金具2の外側のバフ研磨材3との貼付け部の全面に接着剤19(図9に示す)が塗布される。接着剤19はコア金具2の頂部においても薄層をもって塗布されるが、側部においてコア金具2の凹溝9に充満、保持される。
接着剤19は熱硬化性が好適なものとして使用されるが、特に限定されるものではない。
(2) コア金具2にバフ研磨材3を中心を一致させて被嵌し、半割り組付け体とする。
(3) この半割り組付け体を一対用意し、それらの直径面の相互を対接して円筒体(円筒組付け体)となし、円筒組付け体をフランジ付き半割りカバー20で被嵌する。半割りカバーの本体20aは半割り組付け体と同形であり、その側端面よりフランジ20bが突設され、そのフランジ20bの相互を締具21により締め付けることにより、円筒組付け体を所定圧力で圧縮する。
(4) これを所定温度で加熱し、硬化させる。
以上によれば、それぞれの半割り組付け体は所定の圧力と加熱雰囲気で処理され、早期の硬化がなされるとともに、バフ研磨材3の内面はその弾性をもって凹溝9に食込み状となり、付着強度が増大するものである。
更に、凹溝9は塗布された未硬化の液状の接着剤19を良好に保持し、かつ接着剤19の垂れ下がりを捉え、均一な接着面を与え、その結果、バフ研磨材3は強固にコア金具2に固着される。
なお、接着剤19が熱硬化性でないときは、室温での硬化がなされる。
【0019】
取付け具4
取付け具4は、ボルト23とナット24とからなり、ボルト23のボルト杆はコア金具2及び回転軸1のボルト挿通孔10,11に挿通され、その端部のねじ部にナット24が螺合され、ボルト頭部とナット24との挟着により該研磨ロールRは回転軸1に固定される。
【0020】
(本実施形態の作用・効果)
以上のように本実施形態の研磨ロールのコア金具2によれば、別体のコア本体6と介装金具7とから構成されるので、鋳造成形の手間を要せず、その成形が容易である。また、コア本体6と介装金具7とは溶接接合によるので、一体化され、強固な構造が得られる。加えて、コア本体6と介装金具7とは相互の対接面が研磨され、高精度の真円状を保つ。
そして、コア金具2の外側面に設けた凹溝9により、コア金具2の外周面に塗布した接着剤を良好に保持し、バフ研磨材3側から押圧される圧力によりバフ研磨材3との係合がなされ、接着効果が更に増大し、強固な固着が得られる。
また、本実施形態ではコア金具2のコア本体6は押出し成形によるので、その凹溝9は成形と同時に、かつ精確になされ、生産性の効率向上に寄与する。
【0021】
(別態様)
以上の態様において、コア金具2の凹溝9はコア本体6の両側において軸方向に形成されてなるが、コア本体6の全面に形成されてもよい。
1)更に、斜め方向に形成されてもよく、また図11の展開図に示すように、コア本体6の表面に斜め方向の凹溝9A,9Bが互いに交わる態様を採ることもできる。
2)更に別な態様として、多数の円孔を凹設してもよい。
上記1)2)の態様において、先の実施形態のコア本体6の押出し形成での利便性は失われるが、バフ研磨材3との固着強度は保持される。
【0022】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲内に包含されるものである。
1)先の実施形態において、取付け具4のナット24を廃し、ボルト23のみによる取付け態様を採ることができる。
すなわち、回転軸1のボルト挿通孔11、一方の半割り体Raのボルト挿通孔10、及び他方の半割り体Rbの介装金具7のボルト挿通孔10bはそのままとされ、他方の半割り体Rbのコア本体6にねじ孔が螺設される。そして、ボルト23のねじ部をこのねじ孔に螺合させて研磨ロールRの取付けをなす。
この態様によれば、ボルトのみによる取付け態様は公知であるものの、一方の半割り体のコア本体6へのタップ加工のみでよく、厚肉部全体へのタップ加工をなす従来方法に比べ製作上の効率が向上する利点がある。
2)更に、取付け態様に付き、回転軸1にはボルト挿通孔に替えてねじ孔が螺設され、相対向する半割り体Ra,Rbのコア金具2からそれぞれ独立して短ボルトがこのねじ孔に螺合されて、研磨ロールRを取り付ける態様を採ることができる。
なお、回転軸1のねじ孔は軸中心を境に互いに逆ねじとされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態の半割り式研磨ロールの全体構成を示す縦断面図(図2及び図3の1−1線断面図)。
【図2】図1の2−2線断面図。
【図3】図1の3−3線断面図。
【図4】コア金具の端面部の拡大平面構成図。
【図5】図4の5−5線断面図。
【図6】図5の分解組立て図。
【図7】コア金具とバフ研磨材とからなる半割り組付け体の分解図。
【図8】図7の8−8線断面図。
【図9】(a)図は図8の部分拡大図。(b)図は(a)図のA部分拡大図。
【図10】半割り体の成形要領を示す模式図。
【図11】コア金具の表面に形成される凹溝の別態様を示す表面展開図。
【符号の説明】
【0024】
R…半割り式研磨ロール、Ra,Rb…半割り体、1…回転軸、2…コア金具、3…バフ研磨材、4…取付け具、6…コア本体、7…介装金具、8…溶接部、9、9A、9B…凹溝、19…接着剤
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転軸に取り付けられ、その回転研磨をもって被研磨材の表面仕上げをなす半割り式バフ研磨ロールに関し、更に詳しくは、該半割り式研磨ロールにおけるバフ取付け構造並びにその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の半割り式研磨ロールのコア金具は、2つの半円筒体相互の組付けをもって構成され、各半円筒体は両端の厚肉部と中央の薄肉部とから形成され、厚肉部にはボルト挿通用の孔が貫通状に開設される。そして、このコア金具の外周にはバフ研磨材が取り付けられる。
そして、このコア金具は従来より鋳造をもって成形されることを通常とするが、その成形上の手間、製作精度、及び成形後の加工手間と種々問題がある。すなわち、成形過程においては一品毎の砂型の作成、固化に要する時間、巣の発生等、熟練と手間を要する。また、製作精度において高い寸法精度を得ることが困難であり、回転軸への取付けにおいて密着性が得られず、また、回転軸とともに回転する際には振れが生じるという欠点がある。
一方、この種の半割り式研磨ロールにおいて、バフ研磨材とコア金具との取付けは、コア金具の表面に接着剤が塗布され、これにバフ研磨材を被嵌するという極めて単純な接着固定がなされる。
しかしながら、このような態様によれば、該研磨ロールを高速で回転しようとするとき、上記した回転軸との密着性の問題並びに接着固定により、ガタつき、あるいはバフ研磨材の剥離などの種々の問題点が生じるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した高速回転に伴う問題点に鑑みなされたものであり、この種の半割り式研磨ロールにおいて、成形が容易であるとともに、高い寸法精度が得られるコア金具を提供すること、並びにコア金具とバフ研磨材との強固な接着固定がなされるバフ研磨材の取付け構造を得ることを目的とするものである。
本発明はまた、バフ研磨材の取付け構造を備えた半割り式バフ研磨ロールの成形方法を得ることも他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1は半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造であって、請求項1のとおり、
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該半割りコア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールにおいて、
前記半割りコア金具の外側面に複数の凹部が凹設され、
前記半割りコア金具と前記半割りバフ研磨材とは、前記半割りコア金具の外側面に塗布され前記凹部に充填される接着剤を介して固定保持されてなる、ことを特徴とする。
上記構成において、
1)半割りコア金具の外側面の凹部は軸方向に縦設される凹溝である態様、
2)半割りコア金具の外側面の凹溝は少なくとも該半割りコア金具の両下方側面の軸方向に縦設される態様、は本発明に包含される。
更に本発明において、コア金具は金属素材よりなり、特別にはアルミ製を採る。また、コア金具は合成樹脂素材を除外するものではない。
【0005】
(作用)
コア金具とバフ研磨材とに介装する接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金具表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。
また、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
【0006】
本発明の第2は更に他の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造であって、請求項4のとおり、
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該半割りコア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールにおいて、
前記半割りコア金具は、所定の肉厚をもって形成された半円筒状体のコア本体と;該コア本体の両端部の内周面に同心状態を保って取り付けられる半円筒状体の介装金具と;からなり、
前記コア本体の端部は、前記介装金具と同一の長さで該コア本体の内径よりも大きな径で研磨加工され、
前記介装金具の外径は前記コア本体の端部の内径に合致し、その外周面は研磨加工され、かつ、その外縁は所定の角度をもって面取り加工され、前記コア本体と前記介装金具とは前記面取り面の形成する空間に溶接が施されて溶接固定されてなり、
前記半割りコア金具の外側面に軸方向に複数の凹溝が縦設され、
前記半割りコア金具と前記半割りバフ研磨材とは、前記半割りコア金具の外側面に塗布され前記凹部に充填される接着剤を介して固定保持されてなる、ことを特徴とする半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造。
上記構成において、
1)半割りコア金具のコア本体は押出し成形品が使用される態様、
2)半割りコア金具の外側面の凹溝は少なくとも該半割りコア金具の両下方側面の軸方向に縦設される態様、は本発明に包含される。
更に、本発明において、コア金具は金属素材よりなるが、特別にはコア本体及び介装金具はアルミ製を採る。また、合成樹脂素材を除外するものではない。
【0007】
(作用)
この半割りコア金具によれば、コア本体と介装金具とはそれぞれ別体をもって組み付けられるものであり、それぞれ高い成形精度で作製され、それらの組付け体も高い寸法精度が得られる。
また、半割りコア金具を押出し成形とするとき、該半割りコア金具の外側面の凹溝は成形時に、同時かつ精確に得られる。
コア本体と介装金具との組付けは、溶接をもって一体化されるので、強固な構造が得られる。
コア金具とバフ研磨材とに介装される接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金具表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。
また、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
【0008】
本発明の第3は半割り式バフ研磨ロールの成形方法であって、請求項5のとおり、
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該コア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールの成形方法であって、
前記半割りコア金具の外側面に複数の凹溝が軸方向に縦設され、
前記半割りコア金具の外側面に接着剤が塗布されるとともに前記凹溝に充填させ、
前記半割りコア金具に前記半割りバフ研磨材が被嵌され、
前記半割りバフ研磨材の外方より実質的に半径方向への縮径方向へ圧力を付加してなる、ことを特徴とする。
上記構成において、
1)半割りコア金具は押出し成形品が使用される態様、
2)接着剤は熱硬化性が使用され、加熱処理を付加する態様、
は本発明に包含される。
更に、本発明において、コア金具は金属素材よりなるが、特別にはコア本体及び介装金具はアルミ製を採る。また、合成樹脂素材を除外するものではない。
【0009】
(作用)
コア金具とバフ研磨材とに介装する接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金具表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。
また、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
【発明の効果】
【0010】
第1発明の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造によれば、コア金具とバフ研磨材とに介装する接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金具表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。また、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
これにより、コア金具とバフ研磨材との顕著な固着力の増大がなされ、研磨ロールの高速化に耐えうる。
第2発明の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造によれば、コア本体と介装金具とはそれぞれ別体をもって組み付けられるものであり、それぞれ高い成形精度で作製され、それらの組付け体も高い寸法精度が得られる。また、コア金具を押出し成形とするとき、該コア金具の外側面の凹溝は成形時に、同時かつ精確に得られる。コア本体と介装金具との組付けは、溶接をもって一体化されるので、強固な構造が得られる。
また、コア金具とバフ研磨材とに介装する接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金具表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。更に、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
これにより、本半割り式バフ研磨ロールは一体として大きな強度が得られ、研磨ロールの高速化に耐えうる。
第3発明の半割り式バフ研磨ロールの成形方法によれば、コア金具とバフ研磨材とに介装する接着剤は、塗布状態での垂れ下がりはコア金属表面の凹部で保持され、垂れ下がりによる不均一性が阻止され、均等な接着作用を発現する。また、接着剤の固結時にバフ研磨材の外方より圧力を付加することにより、該バフ研磨材は凹部に食い込み状となり、強度の増大がなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造並びにその成形方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図9はその一実施形態を示し、回転軸より回転駆動を受ける半割り式研磨ロールへの適用例を示す。すなわち、図1〜図3はその全体構成を示し、図4〜図9は各部分構成を示す。
【0012】
図1〜図3に示すように、Rは本実施形態の半割り式研磨ロール(以下、単に「研磨ロール」という)であり、該研磨ロールRは回転軸1に取り付けられて回転駆動される。
しかして、この研磨ロールRは、装着される回転軸1の中心を含む平面をもって2分割された半割り体Ra,Rbが合体されて一体とされ、それぞれの半割り体Ra,Rbは、半円筒状をなすコア金具2と、該コア金具2の外側に接着固定される同じく半円筒状のバフ研磨材3とからなる。
そして、この半割り研磨ロールRは、それぞれの半割り体Ra,Rbが独立して取付け具4をもって回転軸1に取り付けられ、一体となったとき、コア金具2並びにバフ研磨材3は横断面形状において真円状を保持する。
【0013】
本実施形態においては、コア金具2に特徴を有するものであって、図4〜図6を更に参照しつつ該コア金具2の細部構成を説明する。
すなわち、本実施例のコア金具2は、所定の肉厚をもって形成された半円筒体のコア本体6と、該コア本体6の両端部の内周面に同心状態を保って取り付けられる等厚の半円筒体の介装金具7と、からなる。
8はコア本体6と介装金具7との溶接部である。
9は本コア金具2の外側に形成される凹溝である。
【0014】
以下、コア金具2を構成する各部の細部構造を説明する。
コア本体6
コア本体6は、外径は全長にわたって一定で、内径は両端部6aとその余の部分6bとがそれぞれ異なる一定径を採り、長尺の半円筒状体をなす。両端部の頂部にボルト挿通孔10aが開設される。
コア本体6の外側面において、軸方向に複数の凹溝9が縦設される(図5〜図9参照)。該凹溝9はわずかな浅さ及び幅で十分であるが、各側面に3以上は必要である。該凹溝9は本実施形態ではコア本体6の頂部を残し、両下端からほぼ60°の範囲に形成されるが、全体に形成されても、あるいは、更に小範囲(例えば45°)であってもよい。要は両下方であることが重要である。
該コア本体6は、本実施例ではアルミ(Al)製よりなり、アルミの押出し加工をもって外側面の凹溝9とともに一定形状に成形される。しかる後、両端部6aは高精度を保って所定の曲率で削出し加工がなされる。
【0015】
介装金具7
介装金具7は、コア本体6の両端に配され、それらはともに等厚の肉厚を保持する短い半円筒体をなし、その曲率は外径がコア本体6の端部6aの内径に等しく、内径が回転軸1の径に等しい。コア本体6と介装金具7とは溶接部8により一体的に固定される。該介装金具7はいわゆる厚肉部に相当し、コア本体6と同様アルミ製をなすが、溶接可能である限り他の素材の使用を妨げない。
そして、介装金具7には、コア本体6のボルト挿通孔10aに対応してその頂部にボルト挿通孔10bが開設され、これらの2つの孔10a,10bによりコア金具2としてのボルト挿通孔10を構成する。
回転軸1にはこのボルト挿通孔10に対応するボルト挿通孔11が貫通状に開設され、本研磨ロールRが回転軸1に組み付けられたとき、これらのボルト挿通孔10,11は同一直線上に並ぶ。
【0016】
溶接固定
コア金具2を構成するコア本体6と介装金具7とは、所定の位置関係を保って溶接をもって固定される。
図4〜図6を参照してその組付けは手順を説明する。
(1) 未加工状態のコア本体素材Aと介装金具素材Bが用意される。
コア本体素材Aは前記した押出し成形のものであり、先ずその両端部6aの内径を旋盤による削出し加工により所定の曲率に拡径する。しかして該両端部6aの内径面6αは滑らかな研磨面をなす。また、6βは両端部6aの他の内径面6bとの段部、6γは両端部6aの直径面である。
(2) 介装金具素材Bは、前記した素材が用意され、その外周面7αを所定の曲率をもって研磨加工し、その外径をコア本体6の両端部6aの径に合致させる。
しかる後、該介装金具素材Bの直径面の外縁を所定の角度でカット面13をもって切削する。7βは介装金具素材Bの端面であり、7γは介装金具素材Bの直径面である。
(3) コア本体素材Aに介装金具素材Bを嵌合させ、これらの直径面6γ、7γを同一平面となす。これにより、溶接空間14が形成される(図6参照)。該溶接空間14内に溶接金属8をもって盛付け溶接をなす。
(4) グラインダーにより溶接部8を平坦に研磨し、平滑面に仕上げる。
(5) ボルト挿通孔10を孔加工をもって穿孔する。
【0017】
バフ研磨材3
バフ研磨材3は、所定厚さの半円筒体をなし、合成樹脂材の基材16中に砥粒17が含有されてなり、コア本体2の外周に接着剤により固着される。
バフ研磨材3自体は弾性を示すが、自然状態すなわち無負荷状態で同一形状を保つ、すなわち保形性を有するべく、適宜な硬度を持つ。
バフ研磨材3のコア金具2への固着はコア金具2の加工が完了した後なされる。すなわち、コア金具2の外側の全面に接着剤が塗布され、該コア金具2にバフ研磨材3が被嵌され、以下の手順をもって成形される。
【0018】
半割り体の成形
図7〜図10を参照して、以下にバフ研磨材3をコア金具2に取付けて成形する手順を説明する。
(1) コア金具2の外側のバフ研磨材3との貼付け部の全面に接着剤19(図9に示す)が塗布される。接着剤19はコア金具2の頂部においても薄層をもって塗布されるが、側部においてコア金具2の凹溝9に充満、保持される。
接着剤19は熱硬化性が好適なものとして使用されるが、特に限定されるものではない。
(2) コア金具2にバフ研磨材3を中心を一致させて被嵌し、半割り組付け体とする。
(3) この半割り組付け体を一対用意し、それらの直径面の相互を対接して円筒体(円筒組付け体)となし、円筒組付け体をフランジ付き半割りカバー20で被嵌する。半割りカバーの本体20aは半割り組付け体と同形であり、その側端面よりフランジ20bが突設され、そのフランジ20bの相互を締具21により締め付けることにより、円筒組付け体を所定圧力で圧縮する。
(4) これを所定温度で加熱し、硬化させる。
以上によれば、それぞれの半割り組付け体は所定の圧力と加熱雰囲気で処理され、早期の硬化がなされるとともに、バフ研磨材3の内面はその弾性をもって凹溝9に食込み状となり、付着強度が増大するものである。
更に、凹溝9は塗布された未硬化の液状の接着剤19を良好に保持し、かつ接着剤19の垂れ下がりを捉え、均一な接着面を与え、その結果、バフ研磨材3は強固にコア金具2に固着される。
なお、接着剤19が熱硬化性でないときは、室温での硬化がなされる。
【0019】
取付け具4
取付け具4は、ボルト23とナット24とからなり、ボルト23のボルト杆はコア金具2及び回転軸1のボルト挿通孔10,11に挿通され、その端部のねじ部にナット24が螺合され、ボルト頭部とナット24との挟着により該研磨ロールRは回転軸1に固定される。
【0020】
(本実施形態の作用・効果)
以上のように本実施形態の研磨ロールのコア金具2によれば、別体のコア本体6と介装金具7とから構成されるので、鋳造成形の手間を要せず、その成形が容易である。また、コア本体6と介装金具7とは溶接接合によるので、一体化され、強固な構造が得られる。加えて、コア本体6と介装金具7とは相互の対接面が研磨され、高精度の真円状を保つ。
そして、コア金具2の外側面に設けた凹溝9により、コア金具2の外周面に塗布した接着剤を良好に保持し、バフ研磨材3側から押圧される圧力によりバフ研磨材3との係合がなされ、接着効果が更に増大し、強固な固着が得られる。
また、本実施形態ではコア金具2のコア本体6は押出し成形によるので、その凹溝9は成形と同時に、かつ精確になされ、生産性の効率向上に寄与する。
【0021】
(別態様)
以上の態様において、コア金具2の凹溝9はコア本体6の両側において軸方向に形成されてなるが、コア本体6の全面に形成されてもよい。
1)更に、斜め方向に形成されてもよく、また図11の展開図に示すように、コア本体6の表面に斜め方向の凹溝9A,9Bが互いに交わる態様を採ることもできる。
2)更に別な態様として、多数の円孔を凹設してもよい。
上記1)2)の態様において、先の実施形態のコア本体6の押出し形成での利便性は失われるが、バフ研磨材3との固着強度は保持される。
【0022】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲内に包含されるものである。
1)先の実施形態において、取付け具4のナット24を廃し、ボルト23のみによる取付け態様を採ることができる。
すなわち、回転軸1のボルト挿通孔11、一方の半割り体Raのボルト挿通孔10、及び他方の半割り体Rbの介装金具7のボルト挿通孔10bはそのままとされ、他方の半割り体Rbのコア本体6にねじ孔が螺設される。そして、ボルト23のねじ部をこのねじ孔に螺合させて研磨ロールRの取付けをなす。
この態様によれば、ボルトのみによる取付け態様は公知であるものの、一方の半割り体のコア本体6へのタップ加工のみでよく、厚肉部全体へのタップ加工をなす従来方法に比べ製作上の効率が向上する利点がある。
2)更に、取付け態様に付き、回転軸1にはボルト挿通孔に替えてねじ孔が螺設され、相対向する半割り体Ra,Rbのコア金具2からそれぞれ独立して短ボルトがこのねじ孔に螺合されて、研磨ロールRを取り付ける態様を採ることができる。
なお、回転軸1のねじ孔は軸中心を境に互いに逆ねじとされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態の半割り式研磨ロールの全体構成を示す縦断面図(図2及び図3の1−1線断面図)。
【図2】図1の2−2線断面図。
【図3】図1の3−3線断面図。
【図4】コア金具の端面部の拡大平面構成図。
【図5】図4の5−5線断面図。
【図6】図5の分解組立て図。
【図7】コア金具とバフ研磨材とからなる半割り組付け体の分解図。
【図8】図7の8−8線断面図。
【図9】(a)図は図8の部分拡大図。(b)図は(a)図のA部分拡大図。
【図10】半割り体の成形要領を示す模式図。
【図11】コア金具の表面に形成される凹溝の別態様を示す表面展開図。
【符号の説明】
【0024】
R…半割り式研磨ロール、Ra,Rb…半割り体、1…回転軸、2…コア金具、3…バフ研磨材、4…取付け具、6…コア本体、7…介装金具、8…溶接部、9、9A、9B…凹溝、19…接着剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該半割りコア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールにおいて、
前記半割りコア金具の外側面に複数の凹部が凹設され、
前記半割りコア金具と前記半割りバフ研磨材とは、前記半割りコア金具の外側面に塗布され前記凹部に充填される接着剤を介して固定保持されてなる、
ことを特徴とする半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造。
【請求項2】
半割りコア金具の外側面の凹部は軸方向に縦設される凹溝である請求項1に記載の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造。
【請求項3】
半割りコア金具の外側面の凹溝は少なくとも該半割りコア金具の両下方側面の軸方向に縦設される請求項1に記載の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造。
【請求項4】
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該半割りコア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールにおいて、
前記半割りコア金具は、所定の肉厚をもって形成された半円筒状体のコア本体と;該コア本体の両端部の内周面に同心状態を保って取り付けられる半円筒状体の介装金具と;からなり、
前記コア本体の端部は、前記介装金具と同一の長さで該コア本体の内径よりも大きな径で研磨加工され、
前記介装金具の外径は前記コア本体の端部の内径に合致し、その外周面は研磨加工され、かつ、その外縁は所定の角度をもって面取り加工され、前記コア本体と前記介装金具とは前記面取り面の形成する空間に溶接が施されて溶接固定されてなり、
前記半割りコア金具の外側面に軸方向に複数の凹溝が縦設され、
前記半割りコア金具と前記半割りバフ研磨材とは、前記半割りコア金具の外側面に塗布され前記凹部に充填される接着剤を介して固定保持されてなる、
ことを特徴とする半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造。
【請求項5】
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該コア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールの成形方法であって、
前記半割りコア金具の外側面に複数の凹溝が軸方向に縦設され、
前記半割りコア金具の外側面に接着剤が塗布されるとともに前記凹溝に充填させ、
前記半割りコア金具に前記半割りバフ研磨材が被嵌され、
前記半割りバフ研磨材の外方より実質的に半径方向への縮径方向へ圧力を付加してなる、
ことを特徴とする半割り式バフ研磨ロールの成形方法。
【請求項6】
半割りコア金具は押出し成形品を使用する請求項5に記載の半割り式バフ研磨ロールの成形方法。
【請求項7】
接着剤は熱硬化性が使用され、加熱処理を付加する請求項5又は請求項6のいずれかに記載の半割り式バフ研磨ロールの成形方法。
【請求項1】
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該半割りコア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールにおいて、
前記半割りコア金具の外側面に複数の凹部が凹設され、
前記半割りコア金具と前記半割りバフ研磨材とは、前記半割りコア金具の外側面に塗布され前記凹部に充填される接着剤を介して固定保持されてなる、
ことを特徴とする半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造。
【請求項2】
半割りコア金具の外側面の凹部は軸方向に縦設される凹溝である請求項1に記載の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造。
【請求項3】
半割りコア金具の外側面の凹溝は少なくとも該半割りコア金具の両下方側面の軸方向に縦設される請求項1に記載の半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造。
【請求項4】
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該半割りコア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールにおいて、
前記半割りコア金具は、所定の肉厚をもって形成された半円筒状体のコア本体と;該コア本体の両端部の内周面に同心状態を保って取り付けられる半円筒状体の介装金具と;からなり、
前記コア本体の端部は、前記介装金具と同一の長さで該コア本体の内径よりも大きな径で研磨加工され、
前記介装金具の外径は前記コア本体の端部の内径に合致し、その外周面は研磨加工され、かつ、その外縁は所定の角度をもって面取り加工され、前記コア本体と前記介装金具とは前記面取り面の形成する空間に溶接が施されて溶接固定されてなり、
前記半割りコア金具の外側面に軸方向に複数の凹溝が縦設され、
前記半割りコア金具と前記半割りバフ研磨材とは、前記半割りコア金具の外側面に塗布され前記凹部に充填される接着剤を介して固定保持されてなる、
ことを特徴とする半割り式バフ研磨ロールにおけるバフ研磨材の取付け構造。
【請求項5】
半割り円筒体をなすとともにその内周面は回転軸に当接される半割りコア金具と、半割り円筒体をなすとともに該コア金具の外周面に被嵌して取り付けられる半割りバフ研磨材とから半割り体が形成され、前記2つの半割り体相互の組付けにより構成されるバフ研磨ロールの成形方法であって、
前記半割りコア金具の外側面に複数の凹溝が軸方向に縦設され、
前記半割りコア金具の外側面に接着剤が塗布されるとともに前記凹溝に充填させ、
前記半割りコア金具に前記半割りバフ研磨材が被嵌され、
前記半割りバフ研磨材の外方より実質的に半径方向への縮径方向へ圧力を付加してなる、
ことを特徴とする半割り式バフ研磨ロールの成形方法。
【請求項6】
半割りコア金具は押出し成形品を使用する請求項5に記載の半割り式バフ研磨ロールの成形方法。
【請求項7】
接着剤は熱硬化性が使用され、加熱処理を付加する請求項5又は請求項6のいずれかに記載の半割り式バフ研磨ロールの成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−281392(P2006−281392A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106150(P2005−106150)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(392023212)株式会社角田ブラシ製作所 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(392023212)株式会社角田ブラシ製作所 (5)
【Fターム(参考)】
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