説明

半導体ウェハ及び半導体装置の製造方法

【課題】ダイシングにより半導体チップに分離する際、クラックやチッピングの発生を防ぐ。
【解決手段】電子回路が形成されている複数の半導体チップを作製するための半導体ウェハにおいて、切断される前の隣接する前記半導体チップの間には、スクライブ領域が設けられており、前記半導体チップは、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去することにより切断されて分離されるものであって、前記スクライブ領域には、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子が形成されており、前記スクライブ領域の表面には、モニタ用電極パッドが設けられており、前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドは、金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアにより接続されており、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記スクライブ領域内であって、前記切断領域の外側に形成されていることを特徴とする半導体ウェハにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体装置は、半導体ウェハ上に電子回路等を形成し、この電子回路等が形成されている半導体ウェハをダイシング等により切断し、半導体チップに分離することにより製造される。従って、切断される半導体ウェハにはスクライブ領域が設けられており、ブレードがスクライブ領域における半導体、金属膜等の一部を除去することにより、半導体ウェハが切断され半導体チップごとに分離される。
【0003】
ところで、多層配線が形成されている半導体ウェハでは、このスクライブ領域においても、配線となる金属膜が多層に形成される場合がある。この場合、金属膜は銅やアルミニウム等の材料により形成されているため、ダイシングによる切断の際に、これら金属膜がブレードに付着し、目詰まりが生じ、これによりスクライブ領域近傍においてクラックやチッピング(欠け)等が発生する場合がある。このようなクラックやチッピング等が発生すると、製造される半導体装置の歩留りが低下し、半導体装置の製造コストが上昇してしまう。
【0004】
このため、クラックやチッピング等は、スクライブ領域に形成されている多層配線層を接続するビアに起因して発生するものと考え、スクライブ領域には、ビアを形成することなく金属膜を多層に形成することにより、クラック等の発生を防ぐ方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−134893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的に、半導体ウェハのスクライブ領域には、分離される前の半導体チップが形成されている半導体ウェハの状態において、電気的特性を検査するためのプロセスモニタとなるトランジスタ等の素子が設けられている場合がある。このプロセスモニタとなるトランジスタ等の素子は、半導体材料等により形成されており半導体ウェハの状態において、電気的特性を検査するためのものであり、半導体ウェハの状態における電気的特性の検査を行なった後は不要となるものである。よって、プロセスモニタとなるトランジスタ等の素子は、通常、スクライブ領域に設けられており、ダイシングにより半導体チップを切断する際に同時に除去される。このため、製造される半導体チップにはプロセスモニタとなるトランジスタ等の素子は殆ど残ることはない。
【0007】
このように、半導体ウェハの状態において行なわれる電気的特性の検査は、スクライブ領域に設けられたプロセスモニタとなるトランジスタ等の素子に電圧等を印加することにより行なわれる。従って、半導体ウェハの表面のスクライブ領域には、プロセスモニタとなるトランジスタ等の素子に電圧等を印加し測定を行なうためのモニタ用電極パッドが形成されている。尚、このモニタ用電極パッドとプロセスモニタとなるトランジスタ等の素子とは、モニタ用電極パッドとプロセスモニタとなるトランジスタ等の素子との間に設けられたビアや配線等により接続されている。このビアや配線等もプロセスモニタとなるトランジスタ等の素子と同様、電気的特性の検査の後は不要となるため、通常、スクライブ領域に形成されている。
【0008】
また、特に近年においては、配線の多層化の傾向が、より一層顕著となっているため、プロセスモニタとなるトランジスタ等の素子とモニタ用電極パッドとの間に形成される多層配線の層数も多く、この多層配線を各々接続するビアの数も多くなっている。従って、スクライブ領域では、配線やビア等を形成している金属の比率が高くなっており、スクライブ領域においてブレードにより切断する際には、より一層ブレードの目詰まり等が発生しやすく、クラック等が発生しやすい傾向にある。
【0009】
尚、半導体チップにおいて生じるクラックやチッピング等は、スクライブ領域に形成されている配線となるメタルパターンの端部において、ダイシングの際に、金属と絶縁膜との界面(異種材料界面)から亀裂が生じ、絶縁膜等より破壊が生じて発生する場合が多い。
【0010】
よって、半導体チップにおいて、クラックやチッピング等が生じることなく、ダイシングにより切断することのできる半導体装置の製造方法、半導体ウェハが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施の形態の一観点によれば、電子回路が形成されている複数の半導体チップを作製するための半導体ウェハにおいて、切断される前の隣接する前記半導体チップの間には、スクライブ領域が設けられており、前記半導体チップは、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去することにより切断されて分離されるものであって、前記スクライブ領域には、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子が形成されており、前記スクライブ領域の表面には、モニタ用電極パッドが設けられており、前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドは、金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアにより接続されており、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記スクライブ領域内であって、前記切断領域の外側に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、電子回路が形成されている複数の半導体チップを作製するための半導体ウェハにおいて、切断される前の隣接する前記半導体チップの間にはスクライブ領域が設けられており、前記半導体チップは、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去することにより切断されて分離されるものであって、前記スクライブ領域には、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子が形成されており、前記スクライブ領域の表面には、モニタ用電極パッドが設けられており、前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドは、金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアにより接続されており、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記切断領域の内側に形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、電子回路が形成されている複数の半導体チップを切断するための半導体ウェハのスクライブ領域に、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子、モニタ用電極パッド、前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドとを接続するための金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアを形成する工程と、前記半導体ウェハの状態において、前記検査用モニタ素子により電気的特性の検査を行なう工程と、前記検査を行なった後、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去し、前記半導体チップに分離する工程と、を有し、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記スクライブ領域内であって、前記切断領域の外側に形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、電子回路が形成されている複数の半導体チップを切断するための半導体ウェハのスクライブ領域に、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子、モニタ用電極パッド、前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドとを接続するための金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアを形成する工程と、前記半導体ウェハの状態において、前記検査用モニタ素子により電気的特性の検査を行なう工程と、前記検査を行なった後、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去し、前記半導体チップに分離する工程と、を有し、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記切断領域の内側に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
開示の半導体ウェハ及び半導体装置の製造方法によれば、半導体チップにクラックやチッピング等を発生させることなく、ダイシングにより切断することができるため、半導体装置の歩留りを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の半導体ウェハにおけるスクライブ領域の上面図
【図2】従来の半導体ウェハにおけるスクライブ領域の断面図
【図3】第1の実施の形態における半導体ウェハにおけるスクライブ領域の上面図
【図4】第1の実施の形態における半導体ウェハにおけるスクライブ領域の断面図
【図5】第1の実施の形態における半導体装置の製造方法のフローチャート
【図6】第2の実施の形態における半導体ウェハにおけるスクライブ領域の上面図
【図7】第2の実施の形態における半導体ウェハにおけるスクライブ領域の断面図
【図8】第3の実施の形態における半導体ウェハにおけるスクライブ領域の上面図
【図9】第3の実施の形態における半導体ウェハにおけるスクライブ領域の断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0018】
〔第1の実施の形態〕
最初に、図1及び図2に基づきスクライブ領域に配線等が形成されている半導体ウェハを用いて、半導体装置を製造する場合について説明する。尚、図1(a)は、この半導体ウェハにおけるスクライブ領域921を示す上面図である。図1(b)は、半導体ウェハの表面に形成されているモニタ用電極パッド931の近傍の拡大図であり、図1(c)は、半導体ウェハ内部に形成されているモニタ用配線層932の近傍の拡大図である。また、図2は、図1における一点鎖線1A−1Bにおいて切断した断面図である。
【0019】
この半導体ウェハは、分離される前の状態の半導体チップ910が2次元的に配列されており、隣接する半導体チップ910の間には、ダイシングにより半導体チップ910に分離するためのスクライブ領域921が形成されている。スクライブ領域921には、半導体ウェハの状態において電気的な検査を行なうため、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子941が設けられている。このプロセスモニタとなる検査用モニタ素子941は、トランジスタ等の素子により形成されており、検査用モニタ素子941に電圧等を印加し、電気的特性を測定することにより検査が行なわれ、この検査に基づき半導体ウェハの状態における良否等の判断がなされる。
【0020】
このため、半導体ウェハの表面のスクライブ領域921には、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子941に電圧等を印加するためのモニタ用電極パッド931が設けられており、検査用モニタ素子941とモニタ用電極パッド931とは電気的に接続されている。具体的には、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子941とモニタ用電極パッド931とは、スクライブ領域921に形成された多層のモニタ用配線層932と、各々の層のモニタ用配線層932を接続するためのモニタ用ビア933により電気的に接続されている。尚、このモニタ用配線層932及びモニタ用ビア933も同様に、検査後は不要となるため、通常は、スクライブ領域921に形成されている。
【0021】
半導体チップ910は、半導体ウェハをスクライブ領域921において、ブレード960により切断し、分離することにより形成される。この切断の際に、ブレード960により、スクライブ領域921における半導体、酸化膜及び金属等の一部が除去される。このスクライブ領域921において、ブレード960により除去される領域を切断領域922と記載する。一般的に、切断領域922はスクライブ領域921よりも狭いため、ダイシングによる切断の際には、ブレード960により、金属膜により形成されているモニタ用電極パッド931及びモニタ用配線層932の一部が除去される。このように、ブレード960によりモニタ用電極パッド931及びモニタ用配線層932等の金属膜の一部を除去する場合、金属膜は軟らかく、ブレード960に目詰まりしやすい。このためブレード960に目詰まりした金属膜に起因して、切断面やモニタ用配線層932からクラックやチッピング等が発生しやすくなる。
【0022】
また、このような半導体ウェハにおいては、スクライブ領域921において、切断領域922の外の両側には、クラックストッパとなるクラックストッパ配線層951及びクラックストッパビア952が設けられている。クラックストッパ配線層951及びクラックストッパビア952は金属材料により形成されており、クラック等を発生させる要因となる応力を逃すため、クラックストッパ配線層951の一部を露出させた開口部953が設けられている。しかしながら、このような半導体ウェハでは、ダイシングの際に発生する切断面や残存しているモニタ用電極パッド931及びモニタ用配線層932からクラックやチッピング等を完全には防ぐことはできない。
【0023】
(半導体ウェハ)
次に、図3及び図4に基づき本実施の形態における半導体ウェハについて説明する。尚、図3(a)は、本実施の形態における半導体ウェハにおけるスクライブ領域21を示す上面図である。図3(b)は、本実施の形態における半導体ウェハの表面に形成されているモニタ用電極パッド31の近傍の拡大図であり、図3(c)は、本実施の形態における半導体ウェハの内部に形成されているモニタ用配線層32の近傍の拡大図である。また、図4は、図3における一点鎖線3A−3Bにおいて切断した断面図である。
【0024】
本実施の形態における半導体ウェハは、分離される前の状態の半導体チップ10が2次元的に配列されており、隣接する半導体チップ10の間には、ダイシングにより半導体チップ10に分離するためのスクライブ領域21が設けられている。尚、半導体チップ10には、不図示の電子回路等が形成されており、便宜上、半導体チップ10とは、ダイシング等により分離されたもののみならず、ダイシング等により分離される前の状態におけるものを意味する場合がある。また、本実施の形態において半導体ウェハとは、シリコンウェハ等の基板の上に、配線層及び層間絶縁膜が形成されているものを含むものを意味する。ダイシングにより分離された半導体チップ10は、本実施の形態における半導体装置を形成するものであり、半導体チップ10にパッケージング等を行なうことにより、本実施の形態における半導体装置を作製することができる。
【0025】
スクライブ領域21には、半導体チップ10に分離される前の半導体ウェハの状態におおいて、電気的特性を検査するためのプロセスモニタとなる検査用モニタ素子41が設けられている。プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41はトランジスタ等の素子により形成されており、検査用モニタ素子41に電圧等を印加し、電気的特性の測定を行なうことにより、半導体チップ10に分離される前における半導体ウェハの状態の検査を行なうことができる。
【0026】
このため、半導体ウェハの表面のスクライブ領域21には、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41に電圧等を印加するためのモニタ用電極パッド31が設けられており、検査用モニタ素子41とモニタ用電極パッド31との間は電気的に接続されている。具体的には、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41とモニタ用電極パッド31とは、スクライブ領域21に形成された多層のモニタ用配線層32と各々の層のモニタ用配線層32を接続するためのモニタ用ビア33により電気的に接続されている。尚、モニタ用配線層32及びモニタ用ビア33は金属材料により形成されている。
【0027】
半導体チップ10は、半導体ウェハをスクライブ領域21において、ブレード60により切断し分離することにより形成され、この切断の際には、ブレード60により、スクライブ領域21における半導体、酸化膜及び金属等の一部が除去される。尚、本実施の形態においては、このスクライブ領域21において、ブレード60により除去される領域を切断領域22と記載する。一般的に、切断領域22はスクライブ領域21よりも狭い。よって、本実施の形態における半導体ウェハは、スクライブ領域21内であって、切断領域22の外に、ブレード60の目詰まりの原因となるモニタ用配線層32及びモニタ用ビア33が形成されている。
【0028】
従って、本実施の形態における半導体ウェハでは、切断領域22に形成されている金属膜は、表面のモニタ用電極パッド31のみであるため、ダイシングによる切断の際に、ブレード60における目詰まりを起こすことが殆どない。よって、切断された半導体チップ10において、クラックやチッピング等が発生することは殆どない。
【0029】
尚、本実施の形態における半導体ウェハは、スクライブ領域21において、切断領域22の外の両側には、クラックストッパとなるクラックストッパ配線層51及びクラックストッパビア52が設けられている。クラックストッパ配線層51及びクラックストッパビア52は金属材料により形成されており、更に、クラック等を発生させる要因となる応力を逃すため、クラックストッパ配線層51の一部を露出させた開口部53が設けられている。これにより、より一層クラック等の発生を防ぐことができ、半導体装置の歩留りを更に高めることができる。
【0030】
(半導体装置の製造方法)
次に、図5に基づき本実施の形態における半導体装置の製造方法について説明する。
【0031】
最初に、ステップ102(S102)に示すように、シリコンウェハ等の半導体ウェハの表面に半導体回路を形成し、更に、配線層と層間絶縁膜とを交互に積層して形成する。この際、スクライブ領域21には、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41を形成し、半導体ウェハの表面にはモニタ用電極パッド31を形成する。また、スクライブ領域21において、ブレード60により除去される切断領域22を除く領域には、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41とモニタ用電極パッド31とを接続するためのモニタ用配線層32及びモニタ用ビア33を金属材料により形成する。尚、モニタ用配線層32及びモニタ用ビア33は、金属膜の成膜、絶縁膜の成膜、絶縁膜への開口部の形成、開口部への金属材料の埋め込みの工程を順次繰り返し行なうことにより形成する。この際、クラックストッパ配線層51及びクラックストッパビア52も同時に形成することができる。
【0032】
次に、ステップ104(S104)に示すように、半導体回路や配線層等が形成されている半導体ウェハの状態において、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41に電圧等を印加して検査を行なう。具体的には、モニタ用電極パッド31にプローブ針等を接触させて、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41に電圧等を印加し、電気的な測定を行なうことにより検査を行なう。
【0033】
次に、ステップ106(S106)に示すように、検査が行なわれた半導体ウェハをスクライブ領域21において、ブレード60を用いたダイシングにより切断し、半導体チップ10ごとに分離する。この後、パッケージング等を行なうことにより、本実施の形態における半導体装置を製造することができる。このように製造された半導体装置は、クラックやチッピング等が殆ど発生しないため、半導体装置を高い歩留りで、低コストで製造することができる。
【0034】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態における半導体ウェハについて、図6及び図7に基づき説明する。尚、図6(a)は、本実施の形態における半導体ウェハにおけるスクライブ領域21を示す上面図である。図6(b)は、本実施の形態における半導体ウェハの表面に形成されているモニタ用電極パッド31の近傍の拡大図であり、図6(c)は、本実施の形態における半導体ウェハの内部に形成されているモニタ用配線層132の近傍の拡大図である。また、図7は、図6における一点鎖線6A−6Bにおいて切断した断面図である。
【0035】
本実施の形態における半導体ウェハは、分離される前の状態の半導体チップ10が2次元的に配列されており、隣接する半導体チップ10の間には、ダイシングにより半導体チップ10に分離するためのスクライブ領域21が設けられている。尚、半導体チップ10には、不図示の電子回路等が形成されている。
【0036】
半導体チップ10は、半導体ウェハをスクライブ領域21において、ブレード60により切断し分離することにより形成され、この切断の際には、ブレード60により、スクライブ領域21における半導体、酸化膜及び金属等の一部が除去される。尚、本実施の形態においては、このスクライブ領域21において、ブレード60により除去される領域を切断領域22と記載する。一般的に、切断領域22はスクライブ領域21よりも狭い。
【0037】
スクライブ領域21には、半導体チップ10に分離される前の半導体ウェハの状態におおいて、電気的特性を検査するためのプロセスモニタとなる検査用モニタ素子41が設けられている。プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41はトランジスタ等により形成されており、検査用モニタ素子41に電圧等を印加し、電気的特性の測定を行なうことにより、半導体チップ10に分離される前の半導体ウェハの状態における検査を行なうことができる。
【0038】
このため、半導体ウェハの表面のスクライブ領域21には、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41に電圧等を印加するためのモニタ用電極パッド31が設けられており、検査用モニタ素子41とモニタ用電極パッド31との間は電気的に接続されている。具体的には、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41とモニタ用電極パッド31とは、後述する切断領域22に形成された多層のモニタ用配線層132と各々の層のモニタ用配線層132を接続するためのモニタ用ビア133により電気的に接続されている。
【0039】
本実施の形態における半導体ウェハでは、切断領域22内にモニタ用配線層132及びモニタ用ビア133が形成されている。このように、ブレード60により除去される切断領域22内にモニタ用配線層132及びモニタ用ビア133を形成することにより、切断領域22における半導体や絶縁膜等と同時に、モニタ用配線層132及びモニタ用ビア133の全体を除去することができる。従って、モニタ用配線層132等が切断されることがなく、また、モニタ用配線層132等が残存しないため、モニタ用配線層132等の端部から亀裂が生じることがなく、ダイシング等においてクラックやチッピング等が発生することを防ぐことができる。
【0040】
また、本実施の形態における半導体ウェハは、スクライブ領域21において、切断領域22の外の両側には、クラックストッパとなるクラックストッパ配線層51及びクラックストッパビア52が設けられている。クラックストッパ配線層51及びクラックストッパビア52は金属材料により形成されており、更に、クラック等を発生させる要因となる応力を逃すため、クラックストッパ配線層51の一部を露出させた開口部53が設けられている。これにより、より一層クラック等の発生を防ぐことができ、半導体装置の歩留りを更に高めることができる。
【0041】
また、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。また、本実施の形態における半導体装置は、第1の実施の形態と同様の製造方法により、即ち、図5に示す製造方法により製造することが可能である。
【0042】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態における半導体ウェハについて、図8及び図9に基づき説明する。尚、図8(a)は、本実施の形態における半導体ウェハにおけるスクライブ領域21を示す上面図である。図8(b)は、本実施の形態における半導体ウェハの表面に形成されているモニタ用電極パッド31の近傍の拡大図であり、図8(c)は、本実施の形態における半導体ウェハの内部に形成されているモニタ用配線層32の近傍の拡大図である。また、図9は、図8における一点鎖線8A−8Bにおいて切断した断面図である。
【0043】
本実施の形態における半導体ウェハは、分離される前の状態の半導体チップ10が2次元的に配列されており、隣接する半導体チップ10の間には、ダイシングにより半導体チップ10に分離するためのスクライブ領域21が設けられている。尚、半導体チップ10には、不図示の電子回路等が形成されている。
【0044】
半導体チップ10は、半導体ウェハをスクライブ領域21において、ブレード60により切断し分離することにより形成され、この切断の際には、ブレード60により、スクライブ領域21における半導体、酸化膜及び金属等の一部が除去される。尚、本実施の形態においては、このスクライブ領域21において、ブレード60により除去される領域を切断領域22と記載する。一般的に、切断領域22はスクライブ領域21よりも狭い。
【0045】
スクライブ領域21には、半導体チップ10に分離される前の半導体ウェハの状態におおいて、電気的特性を検査するためのプロセスモニタとなる検査用モニタ素子41が設けられている。プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41はトランジスタ等により形成されており、検査用モニタ素子41に電圧等を印加し、電気的特性の測定を行なうことにより、半導体チップ10に分離される前の半導体ウェハの状態における検査を行なうことができる。
【0046】
このため、半導体ウェハの表面のスクライブ領域21には、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41に電圧等を印加するためのモニタ用電極パッド31が設けられており、検査用モニタ素子41とモニタ用電極パッド31との間は電気的に接続されている。具体的には、本実施の形態における半導体ウェハにおいては、プロセスモニタとなる検査用モニタ素子41とモニタ用電極パッド31とは、クラックストッパとなるクラックストッパ配線層251及びクラックストッパビア252により接続されている。本実施の形態における半導体ウェハでは、クラックストッパ配線層251及びクラックストッパビア252は、スクライブ領域21内であって、切断領域22の外側に形成されている。クラックストッパ配線層251及びクラックストッパビア252はともに金属材料により形成されており、多層に形成されている各々のクラックストッパ配線層251はクラックストッパビア252により接続されている。更に、クラックストッパ配線層251及びクラックストッパビア252の近傍には、クラック等を発生させる要因となる応力を逃すための開口部253が設けられている。
【0047】
本実施の形態における半導体ウェハでは、クラックストッパ配線層251及びクラックストッパビア252は、第1の実施の形態におけるモニタ用配線層32及びモニタ用ビア33としての機能と、クラックストッパとしての機能の双方の機能を有している。よって、本実施の形態における半導体ウェハは、クラックストッパとしての機能を有するモニタ用配線層及びモニタ用ビアが設けられたものともいうことができる。尚、この場合においては、本実施の形態におけるクラックストッパ配線層251及びクラックストッパビア252は、第1の実施の形態におけるモニタ用配線層32及びモニタ用ビア33に相当するものである。
【0048】
従って、本実施の形態における半導体ウェハでは、切断領域22に形成されている金属膜は、表面のモニタ用電極パッド31のみであるため、ダイシングによる切断の際に、ブレード60における目詰まりを殆ど起こすことがない。よって、切断された半導体チップ10において、クラックやチッピング等が殆ど発生することはない。これにより、半導体装置の歩留りを高めることができる。
【0049】
また、本実施の形態における半導体ウェハにおいては、クラックストッパとなるクラックストッパ配線層251及びクラックストッパビア252により、検査用モニタ素子41とモニタ用電極パッド31とが電気的に接続されている。よって、スクライブ領域21の幅をより狭くすることができ、1つの半導体ウェハから得られる半導体チップ10の数を増やすこと等が可能となる。
【0050】
また、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。また、本実施の形態における半導体装置は、第1の実施の形態と同様の製造方法により、即ち、図5に示す製造方法により製造することが可能である。
【0051】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0052】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
電子回路が形成されている複数の半導体チップを作製するための半導体ウェハにおいて、
切断される前の隣接する前記半導体チップの間には、スクライブ領域が設けられており、
前記半導体チップは、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去することにより切断されて分離されるものであって、
前記スクライブ領域には、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子が形成されており、
前記スクライブ領域の表面には、モニタ用電極パッドが設けられており、
前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドは、金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアにより接続されており、
前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記スクライブ領域内であって、前記切断領域の外側に形成されていることを特徴とする半導体ウェハ。
(付記2)
前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記切断領域の両側に設けられていることを特徴とする付記1に記載の半導体ウェハ。
(付記3)
電子回路が形成されている複数の半導体チップを作製するための半導体ウェハにおいて、
切断される前の隣接する前記半導体チップの間には、スクライブ領域が設けられており、
前記半導体チップは、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去することにより切断されて分離されるものであって、
前記スクライブ領域には、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子が形成されており、
前記スクライブ領域の表面には、モニタ用電極パッドが設けられており、
前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドは、金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアにより接続されており、
前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記切断領域の内側に形成されていることを特徴とする半導体ウェハ。
(付記4)
前記モニタ用配線層は複数設けられており、各々の前記モニタ用配線層は各々に対応した前記モニタ用ビアにより接続されていることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の半導体ウェハ。
(付記5)
前記スクライブ領域の内側であって、前記切断領域の外側であって、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアの外側には、クラックストッパ配線層及びクラックストッパビアが設けられていることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の半導体ウェハ。
(付記6)
電子回路が形成されている複数の半導体チップを切断するための半導体ウェハのスクライブ領域に、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子、モニタ用電極パッド、前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドとを接続するための金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアを形成する工程と、
前記半導体ウェハの状態において、前記検査用モニタ素子により電気的特性の検査を行なう工程と、
前記検査を行なった後、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去し、前記半導体チップに分離する工程と、
を有し、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記スクライブ領域内であって、前記切断領域の外側に形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記7)
電子回路が形成されている複数の半導体チップを切断するための半導体ウェハのスクライブ領域に、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子、モニタ用電極パッド、前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドとを接続するための金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアを形成する工程と、
前記半導体ウェハの状態において、前記検査用モニタ素子により電気的特性の検査を行なう工程と、
前記検査を行なった後、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去し、前記半導体チップに分離する工程と、
を有し、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記切断領域の内側に形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記スクライブ領域の内側であり、前記切断領域の外側であって、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアの外側には、クラックストッパ配線層及びクラックストッパビアが設けられており、
前記クラックストッパ配線層及び前記クラックストッパビアは、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアを形成する際に、同時に形成されるものであることを特徴とする付記6又は7に記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
前記ブレードは、ダイシングにおけるブレードであることを特徴とする付記6から8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0053】
10 半導体チップ
21 スクライブ領域
22 切断領域
31 モニタ用電極パッド
32 モニタ用配線層
33 モニタ用ビア
41 検査用モニタ素子
51 クラックストッパ配線層
52 クラックストッパビア
53 開口部
60 ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路が形成されている複数の半導体チップを作製するための半導体ウェハにおいて、
切断される前の隣接する前記半導体チップの間には、スクライブ領域が設けられており、
前記半導体チップは、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去することにより切断されて分離されるものであって、
前記スクライブ領域には、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子が形成されており、
前記スクライブ領域の表面には、モニタ用電極パッドが設けられており、
前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドは、金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアにより接続されており、
前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記スクライブ領域内であって、前記切断領域の外側に形成されていることを特徴とする半導体ウェハ。
【請求項2】
電子回路が形成されている複数の半導体チップを作製するための半導体ウェハにおいて、
切断される前の隣接する前記半導体チップの間にはスクライブ領域が設けられており、
前記半導体チップは、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去することにより切断されて分離されるものであって、
前記スクライブ領域には、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子が形成されており、
前記スクライブ領域の表面には、モニタ用電極パッドが設けられており、
前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドは、金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアにより接続されており、
前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記切断領域の内側に形成されていることを特徴とする半導体ウェハ。
【請求項3】
前記スクライブ領域の内側であって、前記切断領域の外側であって、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアの外側には、クラックストッパ配線層及びクラックストッパビアが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体ウェハ。
【請求項4】
電子回路が形成されている複数の半導体チップを切断するための半導体ウェハのスクライブ領域に、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子、モニタ用電極パッド、前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドとを接続するための金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアを形成する工程と、
前記半導体ウェハの状態において、前記検査用モニタ素子により電気的特性の検査を行なう工程と、
前記検査を行なった後、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去し、前記半導体チップに分離する工程と、
を有し、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記スクライブ領域内であって、前記切断領域の外側に形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
電子回路が形成されている複数の半導体チップを切断するための半導体ウェハのスクライブ領域に、前記半導体ウェハの状態において検査を行なうための検査用モニタ素子、モニタ用電極パッド、前記検査用モニタ素子と前記モニタ用電極パッドとを接続するための金属材料により形成されたモニタ用配線層及びモニタ用ビアを形成する工程と、
前記半導体ウェハの状態において、前記検査用モニタ素子により電気的特性の検査を行なう工程と、
前記検査を行なった後、ブレードにより前記スクライブ領域の一部を切断領域として除去し、前記半導体チップに分離する工程と、
を有し、前記モニタ用配線層及び前記モニタ用ビアは、前記切断領域の内側に形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate