説明

半導体ウェーハ塗布装置

【目的】 半導体ウェーハ表面に回転塗布により形成する膜の半導体ウェーハ間の膜厚差を小さくする。
【構成】 回転塗布部2で膜形成された半導体ウェーハの膜厚を膜厚測定部3で行い、その測定結果を制御部5にフィードバックする。制御部5では測定値と基準膜厚との膜厚差を計算し、その値から次に膜形成する半導体ウェーハの塗布回転速度を決定して回転塗布部2に送出する。これらの処理を常時行い各半導体ウェーハの膜形成時の塗布回転速度を制御する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、半導体装置の製造に利用する。本考案は、半導体ウェーハ表面に回転塗布により形成される膜厚のばらつきを小さくすることができる半導体ウェーハ塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体ウェーハの塗布装置は図5に示すように、半導体ウェーハの膜形成処理を行うプログラムをあらかじめ装置側に登録しておき、半導体ウェーハに膜形成処理を行う前にそのプログラムを読み出し入力する。半導体ウェーハをローダ部1にセットすると、制御部5から処理開始の指示が送られ、その後半導体ウェーハは回転塗布部2(フォトレジスト塗布機においては前処理としてHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理部6およびクーリング部7)に搬送され、制御部5の指示により半導体ウェーハ表面の膜形成を開始する。
【0003】
膜形成された半導体ウェーハは制御部5の指示で回転塗布部2よりアンローダ部4(フォトレジスト塗布機においては後処理としてプリベーク部8)へ搬送され、同時に後続の半導体ウェーハが回転塗布部2にて膜形成を開始する。このような一連の作業が連続的に行われる。
【0004】
回転塗布部2は低速から高速まで回転速度を任意に設定するとが可能であり、一般的には4000rpm前後で使用されることが多く、高速な回転で連続的に半導体ウェーハの膜形成処理が行われると、モーターが発熱しウェーハ周囲の温度を上昇させる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
上述した従来の半導体ウェーハ塗布装置は、半導体ウェーハの連続処理を続けるとモーターの発熱が本体を伝達しウェーハ周囲の温度を上昇させるため、各半導体ウェーハ間の膜形成時の環境が異なり、最初に膜形成した半導体ウェーハの膜厚と数十枚処理した後に膜形成を行った半導体ウェーハの膜厚とには数百Åの膜厚差が生じる。
【0006】
フォトレジスト塗布機を例にすると、レジストの膜厚ばらつきはパターン寸法に大きく影響を与え、特に微細パターン形成においては寸法制御が困難になるため、いかに半導体ウェーハ間のレジスト膜厚差を小さくするかが重要な課題となる。
【0007】
本考案はこのような課題を解決するもので、表面処理された半導体ウェーハそれぞれの膜厚のばらつきを小さくすることができる装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案は、半導体ウェーハ表面に膜形成処理を行う回転塗布部と、この回転塗布部の回転速度を制御する制御部とを備えた半導体ウェーハ塗布装置において、前記膜形成処理により形成された膜厚を測定し、その測定値および膜形成時の塗布回転速度を前記制御部にフィードバックする膜厚測定部を備え、前記制御部は、フィードバックされた膜厚測定値と基準膜厚との差を算出し、基礎データを参照して基準膜厚値となる塗布回転速度を決定して前記回転塗布部に次回の制御用データとして送出する手段を含むことを特徴とする。
【0009】
【作用】
制御部の指示により回転塗布部が基準回転数で半導体ウェーハ表面に膜を形成する。膜厚測定部が形成された膜厚を測定し、測定値と膜形成時の塗布回転速度のデータを次回の処理を行うための制御用データとして制御部にフィードバックする。制御部がフィードバックされた膜厚測定値と基準膜厚との差を算出し、基礎データを参照して基準膜厚値となる塗布回転速度を決定する。回転塗布部はこの決定された塗布回転速度にしたがって塗布処理を行い、以後同様の処理を繰り返す。
【0010】
これにより、半導体ウェーハ間の膜厚のばらつきを小さくすることができ、特にフォトレジスト塗布機を用いる場合にはレジスト膜厚のばらつきがパターン寸法にそのまま影響することから精度をより向上させることができる。
【0011】
【実施例】
次に、本考案実施例を図面に基づいて説明する。図1は本考案実施例の構成を示すブロック図である。
【0012】
本考案実施例は、半導体ウェーハをセットし給送するローダ部1と、半導体ウェーハ表面に膜形成処理を行う回転塗布部2と、回転塗布部2から膜が形成された半導体ウェーハを受け取るアンローダ部4と、回転塗布部2の回転速度を制御する制御部5とを備え、さらに、本考案の特徴として、回転塗布部2の膜形成処理により形成された膜厚を測定し、その測定値および膜形成時の塗布回転速度を制御部5にフィードバックする膜厚測定部3を備え、制御部5に、フィードバックされた膜厚測定値と基準膜厚との差を算出し、図4に示す基礎データを参照して基準膜厚値となる塗布回転速度を決定して回転塗布部2に次回の制御用データとして送出する手段を含む。
【0013】
なお、フォトレジスト塗布機を用いる場合には、前処理を行うHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理部6およびクーリング部7と、後処理を行うプリベーク部8とを備える。
【0014】
次に、このように構成された本考案実施例の動作について説明する。図2は本考案実施例における制御部の動作を説明する図、図3は本考案実施例の膜形成作業の流れを示すフローチャートである。
【0015】
まず、半導体ウェーハに膜形成するプログラム番号を読み出し入力する。プログラムには基準回転速度と基準膜厚が設定されている。膜形成する半導体ウェーハをローダ部1にセットすると制御部5から処理開始の指示が送られる。その後半導体ウェーハは回転塗布部2(フォトレジスト塗布機においては前処理としてHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理部6およびクーリング部7に搬送され、制御部5の指示により基準回転速度での膜形成が行われる。
【0016】
膜形成された半導体ウェーハは膜厚測定部3に搬送され、膜厚測定器9によって膜厚測定が行われる。膜厚測定が終了すると、膜厚測定値と膜形成時の塗布回転速度のデータが制御部5へフィードバックされ、半導体ウェーハはアンローダ部4(フォトレジスト塗布機においては後処理としてプリベーク部8)に搬送される。制御部5ではフィードバックされた膜厚測定値と基準膜厚との膜厚差を算出し、図4に示すような基礎データから基準膜厚値となる塗布回転速度を決定する。決定された塗布回転速度は回転塗布部2へ転送され次に膜形成する半導体ウェーハの塗布回転速度を制御する。以後これらの処理が常時行われ、後続の半導体ウェーハの膜形成時の塗布回転速度を制御し、半導体ウェーハ間の膜厚差を小さくする。
【0017】
【考案の効果】
以上説明したように本考案によれば、半導体ウェーハ表面の塗布膜厚を測定し、その膜厚値を回転塗布部にフィードバックして回転速度を制御することにより、各半導体ウェーハ間の膜厚のばらつきを小さくすることができ、特にフォトレジスト塗布機においてはレジスト膜厚のばらつきがそのままパターン寸法に影響を与えることからより精度を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案実施例の構成を示すブロック図。
【図2】本考案実施例における制御部の動作を説明する図。
【図3】本考案実施例の膜形成作業の流れを示すフローチャート。
【図4】(a)は本考案実施例に係わる膜厚と連続処理枚数との関係を示す図、(b)は膜厚とスピン回転数の関係を示す図。
【図5】従来例装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1 ローダ部
2 回転塗布部
3 膜厚測定部
4 アンローダ部
5 制御部
6 HMDS処理部
7 クーリング部
8 プリベーク部
9 膜厚測定器
10 半導体ウェーハ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 半導体ウェーハ表面に膜形成処理を行う回転塗布部と、この回転塗布部の回転速度を制御する制御部とを備えた半導体ウェーハ塗布装置において、前記膜形成処理により形成された膜厚を測定し、その測定値および膜形成時の塗布回転速度を前記制御部にフィードバックする膜厚測定部を備え、前記制御部は、フィードバックされた膜厚測定値と基準膜厚との差を算出し、基礎データを参照して基準膜厚値となる塗布回転速度を決定して前記回転塗布部に次回の制御用データとして送出する手段を含むことを特徴とする半導体ウェーハ塗布装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】実開平5−85035
【公開日】平成5年(1993)11月16日
【考案の名称】半導体ウェーハ塗布装置
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−24075
【出願日】平成4年(1992)4月15日
【出願人】(390001915)山形日本電気株式会社 (6)