説明

半導体センサ装置、このような装置を有する診断器具及びこのような装置を製造する方法

本発明は、半導体ボディ12の表面上に形成されると共に、第1の端部において第1の導電接続領域13に接続され、第2の端部において第2の導電接続領域14に接続される、少なくとも1つのメサ型の半導体領域11を構成している物質を検知する一方、検知されるべき物質30からなる流体20は、前記メサ型の半導体領域11に沿って流れることができ、及び検知されるべき前記物質30は、前記メサ型の半導体領域11の電気特性に影響を及ぼしうる、半導体センサ装置10に関し、メサ型の半導体領域11は、その後長軸方向に見ると、第1の半導体材料からなる第1の半導体サブ領域1及び前記第1の半導体材料とは異なる第2の半導体材料からなる第2の半導体サブ領域2を有する。本発明によれば、前記第1の半導体材料は、IV族の元素材料からなり、前記第2の半導体材料は、III-V族化合物からなる。サブ領域1及び2の間の界面化学の違いにより、病気を知らせるたんぱく質が結合される抗体のような物質30が、所望の第1の領域1にさらに選択的に取り付けられることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ボディの表面上に形成されると共に、第1の端部において第1の導電接続領域に接続され、第2の端部において第2の導電接続領域に接続される、少なくとも1つのメサ型(mesa-shaped)の半導体領域を構成している物質を検知する一方、検知されるべき物質からなる流体は、前記メサ型の半導体領域に沿って流れることができ、及び検知されるべき前記物質は、前記メサ型の半導体領域の電気特性に影響を及ぼしうる、半導体センサ装置に関し、メサ型の半導体領域は、その後長軸方向に見ると、第1の半導体材料からなる第1の半導体サブ領域及び前記第1の半導体材料とは異なる第2の半導体材料からなる第2の半導体サブ領域を有する。ここで、領域のメサ型とは、この領域が半導体ボディの表面上に突起物を形成することを意味している。本発明はさらに、上記センサ装置を有する診断器具及び上記半導体センサ装置を製造する方法にも関する。
【0002】
上記装置は、化学及び/又は生物化学物質を検出するのに非常に適している。後者の場合、例えば抗原/抗体結合、生体分子等のような生体分子を高い感度及び再現性で検出するのに使用されることができ、これにより、たんぱく質及び遺伝子解析、並びに病気の診断等に有利に用いられることができる。ここでナノワイヤを用いる場合、ボディは、1nmから100nmの間及び特に10nmから50nmの間に少なくとも1つの横方向寸法を持とうと思う。好ましくは、ナノワイヤは、前記範囲内にある2つの横方向寸法を持つ。上記装置の場合、揮発性である又は液体に溶解しない化学物質のようなより簡単な分子の検出も例えば、それにより導電性が変化するナノワイヤに電荷の物質を導入することにより可能である。
【背景技術】
【0003】
冒頭の段落に述べたような装置は、2005年4月19日に特許番号US 6,882,051で公布された米国特許から知られている。この文献において、化学センサに用いるためのヘテロ接合ナノワイヤが開示されている(段35、5行目参照)。ヘテロ接合ナノワイヤの実施例において、後者はシリコン(Si)及びゲルマニウム(Ge)の交番するサブ領域を有する(図3及び対応する記述部分参照)。ヘテロ接合ナノワイヤの他の実施例において、前記後者は、ガリウム砒素(GaAs)及びアンチモン化ガリウム(GaSb)の交番する層を有する(図17及び対応する記述部分参照)。
【0004】
上記装置の欠点は、その装置の感度があるアプリケーションに対し十分な高さではないことである。特に医療分野において、生物化学化合物、特に生体分子の検出は既に、このような化合物又は分子の非常に低い濃度で望まれている。これは例えば、予防方法をできるだけ多く行うために、伝染病のような病気を非常に早い段階で検出するためである。これは、極めて高い感度を持つセンサ装置を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これにより、本発明の目的は、上記欠点の発生を防止すること及び半導体センサ装置を提供することである。この装置は医療分野での使用に適し、検出されるべき物質に対し非常に高い感度を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これを達成するために、冒頭の段落に記載された形式の半導体センサ装置は、第1のサブ領域がIV族元素材料を有し、第2のサブ領域がIII-V族化合物を有することを特徴とする。IV族元素材料は、カラムIV族の他の元素の混晶(mixed crystal)を含む元素の周期系のカラムIV族の元素の材料を意味することに注意すべきである。III-V族化合物は、上記化合物の混晶を含む元素の周期系のカラムIII族の元素及びカラムV族元素の化合物を意味することに注意すべきである。混晶は、二元、三元等とすることができる。
【0007】
本発明は以下の認識に基づいている。第1に本発明は、IV族元素の表面及びIII-V族の表面が異なる界面化学を持つという認識に基づいている。後者は、可能な表面再構成及び/又は自然酸化膜として例えばシリコンの表面に存在している酸素原子の関与を含む。このような異なる界面化学は、本発明のセンサ装置の感度を増大させるのに特に適している。このようにして、検出されるべき物質は、III-V族のサブ領域の自由外表面よりも、IV族元素のサブ領域の自由外表面の方に簡単に付着することができる。このようにして、前記センサの感度は増大することができる。後者は、前記サブ領域の自然外表面自身によりもたらされるが、感度を増大させるために、前記表面が前記異なる界面化学を用いて別々に処理されることも可能である。従って、IV族元素のサブ領域の表面は、その表面の付着能力が増大するように処理される及び/又はIII-V族化合物のサブ領域の表面は、その表面の付着能力が減少するように処理されてもよい。
【0008】
第2に、本発明はシリコン(Si)及びIII-V族化合物のヘテロ接合の使用は、上記材料の組み合わせと一緒に通常は含まれるラージミスマッチ(large mismatch)によって必ずしも阻まれるとは限らないという認識に基づいている。ラージミスマッチは、特に厳選されたIII-V族化合物若しくは上記化合物の混晶を用いることにより回避される又は最小となる。その上、特にナノワイヤがメサ型の半導体領域として使用され、前記ナノワイヤが単電子トランジスタの一部を形成する場合に最高の感度が得られる。これは、第1の(シリコンの)サブ領域が量子ドットを形成し、これによりナノワイヤの長軸方向に見ると非常に薄くなっていることを意味している。その上、ナノワイヤにおいて、サブ領域の横方向寸法も非常に制限される。これにより、様々なサブ領域間における既定のミスマッチにより誘発される歪みは非常に小さく、転位の発生による寿命の減少のような問題には至らない。
【0009】
本発明による半導体センサ装置の第1の好ましい実施例において、前記メサ型の半導体領域は、第2のサブ領域とは反対の側において第1のサブ領域を境界付け、III-V族化合物、好ましくは第2のサブ領域と同じIII-V族化合物を有する第3の半導体材料からなる第3のサブ領域を有する。このような装置は、後者は、チャンネル範囲内に引き起こされる電荷に対し極めて敏感であるため、単電子トランジスタ(の一部)として機能するのに非常に適している。
【0010】
好ましくは、前記第2及び第3のサブ領域は、前記第1のサブ領域の材料のバンドギャップよりも高いバンドギャップを持つ材料からなると共に、前記第1のサブ領域は好ましくはSiからなる一方、好ましくはGaPからなる。このようなヘテロ接合は、前記第1のサブ領域でのpn接合の両側のバンドギャップエネルギーの相対的大きさに依存して、電子又は孔の何れか一方の注入効率を向上させる。バンド間トンネリングは、第1のサブ領域と境界サブ領域との間にある障壁により抑制されることができる。このようにして、高い漏れ電流、すなわち高いオフ電流が防がれる。
【0011】
価電子帯と伝導体との間のオフセットは、第2のサブ領域の組成においてステップを設ける又は等級分けすることにより調整されることができる。この目的に適切な構造において、シリコンのサブ領域は、前記境界サブ領域のGaP部分により境界付けされ、後者はGaAs部分により境界付けされている。ステップ機能は、成長条件に対する必要条件は、等級分けの場合よりも厳密さは小さいという利点を持つ。このようにして、第1のサブ領域の一方の側にある障壁は選択的に減少する。
【0012】
本発明による半導体センサ装置のもう1つの好ましい実施例において、前記第1のサブ領域の自由外表面は、検出されるべき物質が前記自由外表面に付着する確率を高めるように官能基化される。このようにして、前記センサの感度はさらに増大する。官能基化の適切な形式は、前記第1のサブ領域の前記自由外表面上に、検出されるべき物質を引き付ける化合物の自己組織化単分子膜の形成を有する。このような単分子膜は例えば、アミノアルキルカルボン酸で処理することにより形成される。アミノ基は、前記第1のサブ領域のSi/SiOx表面に吸収される一方、前記第1のサブ領域の表面に略平行な長さ方向を持つアルキル鎖は平行に配向される。前記鎖の上に、例えばたんぱく質に結合するY形状の抗体の下部分を引き付けるカルボキシル基の平面が形成される。後者は、伝染病又はがん、例えば前立腺がんのような病気のしるしである。このようにして、上記たんぱく質を検出するのに非常に高い感度が得られる。
【0013】
好ましくは、第1のサブ領域以外、すなわち第2及び第3のサブ領域の自由外表面は、検出されるべき物質が前記自由外表面に付着する確率を減少させるように官能基化される。再びこれは、前記自由外表面上に、検出されるべき物質に反発する化合物の単分子膜の形成を有する官能基化により得られる。これらの目的に適した化合物は、PEG(poly-ethylene-glycol)ポリマーである。その上に、上述した抗体に反発する球形のアルキル基の"平面"が形成される。これがさらに感度を増大させる。有利なことに、最大の感度のために両方の処理が組み合わされてもよい。
【0014】
上述したように、少なくとも1つのメサ型の半導体領域はナノワイヤ、好ましくは半導体ボディの表面上に位置付けられる一方、ナノワイヤの長さ方向は、前記表面に垂直に走っている複数の相互に平行なナノワイヤを有利に有する。メサ型の半導体領域又はナノワイヤは好ましくは、トランジスタ、好ましくは単電子トランジスタのような普段はオフの素子の一部を形成する。
【0015】
重要な実施例において、前記センサ装置は、あるたんぱく質に結合される抗体のような生体分子を検出するのに適している。本発明はさらに、本発明による半導体センサ装置を有する診断器具を有する。
【0016】
半導体ボディの表面上に形成されると共に、第1の端部において第1の導電接続領域に接続され、第2の端部において第2の導電接続領域に接続される、少なくとも1つのメサ型の半導体領域を構成している物質を検知する一方、検知されるべき物質からなる流体は、前記メサ型の半導体領域に沿って流れることができ、検知されるべき前記物質は、前記メサ型の半導体領域の電気特性に影響を及ぼしうる半導体センサ装置を製造する方法であり、前記メサ型の半導体領域は、その後長軸方向に見ると、第1の半導体材料からなる第1の半導体サブ領域及び前記第1の半導体材料とは異なる第2の半導体材料からなる第2の半導体サブ領域を形成している半導体センサ装置を製造する方法は、本発明に従うと共に、前記第1の半導体材料にはIV族元素材料が選択され、前記第2の半導体材料にはIII-V族化合物が選択されることを特徴とする方法。
【0017】
本発明による方法の第1の好ましい実施例において、前記第1のサブ領域の自由外表面は、前記表面上に検出されるべき物質を引き付ける化合物の自己組織化単分子膜を形成することにより、検出されるべき物質が前記自由外表面に付着する確率を増大させるように官能基化される。
【0018】
第2の好ましい実施例において、前記第1のサブ領域以外の自由外表面は、前記表面上に検出されるべき物質に反発する化合物の自己組織化単分子膜を形成することにより、検出されるべき物質が前記自由外表面に付着する確率を減少させるように官能基化される。
【0019】
好ましくは、前記自己組織化単分子膜を形成した後、前記装置は洗浄され、前記単分子膜が形成される以外の前記外表面のもう1つの部分に偶発的に付着する自己組織化単分子膜を形成する化合物の分子を取り除く。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による半導体センサ装置の第1の実施例の厚さ方向に垂直な断面を示す。
【図2a】図1の半導体センサ装置の組成形状に対する電流遮断状態(a)のバンドギャップ特性を示す。
【図2b】図1の半導体センサ装置の組成形状に対する通電状態(a)のバンドギャップ特性を示す。
【図3a】図1の半導体センサ装置の組成形状に対する電流遮断状態(a)のバンドギャップ特性を示す。
【図3b】図1の半導体センサ装置の組成形状に対する通電状態(a)のバンドギャップ特性を示す。
【図4】本発明による半導体センサ装置の第2の実施例の厚さ方向に垂直な断面を示す。
【図5】本発明による第1の方法を用いた図4の半導体センサ装置の製造時の段階における半導体センサ装置の一部の断面図。
【図6】本発明による第1の方法を用いた図4の半導体センサ装置の製造時の段階における半導体センサ装置の一部の断面図。
【図7】本発明による第1の方法を用いた図4の半導体センサ装置の製造時の段階における半導体センサ装置の一部の断面図。
【図8】本発明による第2の方法を用いた図4の半導体センサ装置の製造時の段階における半導体センサ装置の一部の断面図。
【図9】本発明による第2の方法を用いた図4の半導体センサ装置の製造時の段階における半導体センサ装置の一部の断面図。
【図10】本発明による第2の方法を用いた図4の半導体センサ装置の製造時の段階における半導体センサ装置の一部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のこれら及び他の態様は、図面と一緒に読まれるべき以下に記載された実施例から明らかであり、これを参照して説明される。
【0022】
これら図面は概略的であり、一定の縮尺で描かれてはなく、厚さ方向における寸法は特に、さらに明確にするために誇張されている。対応する部分は一般的に、様々な図面において同じ参照番号及び同じハッチングが与えられている。
【0023】
図1は、本発明による半導体センサ装置の第1の実施例の厚さ方向に垂直な断面図を示す。本実施例において、この装置10はシリコン酸化膜16を具備するシリコン基板15を有する。その上に、半導体ボディ12の表面に平行な長さ方向を持つナノワイヤ11が位置付けられる。このナノワイヤ11は、異なる組成を持つ3つの区画1、2、3を有する。第1の区画1は、各々GaPを有する他の区間2及び3の間に量子ドット領域1を形成する低ドープのp型シリコンを有する。これら区画2、3は、そのチャンネル領域が前記ナノワイヤ11内にある電界効果トランジスタ、ここでは単電子トランジスタのソース及びドレイン領域を形成する高ドープのn型多結晶シリコンの(半)導体領域13、14を具備する。ソース及びドレイン領域は、図示されていないメタライゼーション(metallization)及び接続導体を具備し、これにより前記トランジスタ用の接続領域13、14を同時に形成する。ある病気を知らせ、ナノワイヤ11に沿って血管サンプル内を流れるたんぱく質に結合される抗体30は、前記シリコン領域1に着地及び張り付いた後、前記単電子トランジスタのチャンネル領域に電荷を誘導する。このような電荷は前記トランジスタのコンダクタンスの大きな変化を増大させ、この変化は知らされることができる。一方ではサブ領域1及び他方ではサブ領域2、3の異なる材料によって、物質30の付着確率は、III-V族材料からなる領域2、3の自由表面よりも、Si/SiOx表面からなるサブ領域1の自由表面の方が高い。このようにして、センサ装置10の感度が増大する。
【0024】
図2及び図3は、図1のセンサ装置の様々な構成形状に対する電流遮断状態(a)及び通電状態(b)の様々なバンドギャップ(E)特性を示す。電流遮断状態(図2a参照)において、GaPの領域2、3は、シリコン領域1と共にダブルヘテロ結合を形成する。通電状態(図2b参照)において、電子流は矢印21で示すように流れることができる。GaPは、シリコンに比べ比較的高いバンドギャップEを持つだけでなく、比較的低い格子不整合を持つ。後者は、これらGaP領域2、3が存在することで前記装置10にほんの僅かな歪みが引き起こされることを意味している。図3は、サブ領域2、3が(図2のように)GaPからなる第1の部分2A及び3A、並びにGaAsからなる第2の(より遠い)部分2B及び3Bを有する状態のバンドギャップEを同じ状態で示す。図3bに示されるように、シリコン領域1とGaP領域2A及び3Aとの間にある障壁の高さは大きく取り除かれることができ、これにより前記通電状態において、前記構造を介して電子を有する電荷キャリアを運ぶことを簡単にする。
【0025】
本実施例の装置10は、例えば酸化シリコン基板15の表面上に、VLS(Vapor Liquid Solid)エピタクシーにより得られるナノワイヤ11を位置付けすることにより製造される。その後、ナノワイヤ11の一部がマスクされ、蒸着(deposition)及びパターニングにより多結晶領域13、14が形成される。以下、ナノワイヤ11に用いられたマスクは再び取り除かれる。上記センサ装置を製造するもう1つの方法は、(選択的な)エピタキシャル処理を用いてフォトリソグラフィーに従う様々なサブ領域を形成する及びエッチングを行い前記メサ/ナノワイヤを形成することにより製造される。
【0026】
図4は、本発明による半導体センサ装置の第2の実施例の厚さ方向に垂直な断面を示す。本実施例のセンサ装置10は、同時に第1の接続領域13としても機能するシリコン基板15上に、上述したVLSエピタクシー技術により成長した複数のナノワイヤ11を有する。前記基板は、ナノワイヤ11の間に図示されていない絶縁層で覆われている。ナノワイヤ1のもう一方の側は、接続領域13と共に制御及び測定回路41の一部を形成する第2の接続領域14を形成するメタライゼーションを具備する。各ナノワイヤ11は、先行する実施例のように夫々GaP、Si及びGaPからなる3つの区画1、2、3を再び有する。先行する実施例のように本実施例において、前記表面は抗体を有する液体で処理される。例えば病気を知らせるたんぱく質分子を含む血管のサンプル的流れ20は、各々が再び単電子電界効果トランジスタを形成する、複数のナノワイヤ11の間にある空間に沿って進む。後者のおかげであると共に、複数のナノワイヤ11を使用するおかげで、本実施例のセンサ10は、例えばたんぱく質に結合した抗体に結合した後に検出され得るたんぱく質に対し極めて敏感である。以下に説明されるように、この感度はナノワイヤ11の自由表面の表面処理によりさらに高められる。
【0027】
図5から図7は、本発明による第1の方法を用いた図4の半導体センサ装置の製造における様々な段階での前記半導体センサ装置の一部の断面図である。この変更において、第1のナノワイヤ11は、上述したように基板上で成長し、接続領域13、14が設けられる。この段階における前記装置の1つのナノワイヤは、図4と比較して90°回転した後の状態で図5に示される。次に(図6参照)、自己組織化単分子膜40は、サブ領域1のSi/SiOx自由外表面上に選択的に形成される。本実施例において、前記単分子膜40は、アミノアルキルカルボン酸(amino-alkyl-carbon acid)で処理することで形成され、これのアルキル基は、12から16の炭素原子を含む。次いで、センサ10は、およそ11に等しいpHの燐酸塩溶液で洗浄される。このようにして、GaPからなる領域2、3の前記外表面に付いた単分子膜40を形成するのに使用される化合物の希少な分子は洗い流され、後者の表面をきれいにする。このようにして(図7参照)、病気を知らせるたんぱく質が結合される抗体30が領域1のセンサ装置10へ付着する確率は大きく増大する。このようにして、センサ10は、上記抗体30及びこれら抗体30に結合されるたんぱく質を検出するのに極めて敏感となる。
【0028】
図8から図10は、本発明による第2の方法を用いた図4の半導体センサ装置の製造における様々な段階での前記半導体センサ装置の一部の断面図である。
【0029】
図1から図4は、本発明による方法を用いた半導体センサ装置の製造における様々な段階での前記半導体センサ装置の断面図である。この半導体センサ装置10の製造は、本実施例の装置の製造の第1の変更に対し上述したことと同じである。図8は、図4の状態に対応する、半導体センサ装置の製造の最終段階において90°回転した後のナノワイヤ11を示す。次いで(図9参照)、前記GaP領域2、3の表面は、当該表面上に上記材料の自己組織化単分子膜50を形成するEPG(poly ethylene glycol)ポリマーを選択的に具備する。前記単分子膜50の官能基化を説明している起こり得る構造は、上記単分子膜50の外側の球状の無極性部分が存在する状態で、抗体30が上記表面に付着する確率(図10参照)は増大する。このようにして、抗体30がより選択的に領域1に付着するので、前記装置10の感度は増大する。
【0030】
前記センサ10の感度は、上述される並びに図5から図7及び図8から図10に夫々示される方法でSi領域1及びGaP領域2、3の表面を共に組み合わせた処理によりさらに増大することができる。上記組み合わせ方法に好ましい順序は、(ここではSiからなる)第1のサブ領域、最後に(ここではGaPからなる)第2及び第3のサブ領域を処理することである。第1に、比較的薄い/小さい第1のサブ領域1に対する前記サブ領域2、3における前記単分子膜の立体障害(steric hindrance)は避けられる。第2に、前記第2/第3の領域用の材料による前記第1のサブ領域の除去されていない汚れは、前記第1のサブ領域用の材料による第2/第3の領域の除去されていない汚れよりも有害である。
【0031】
本発明はここに説明される実施例に限定されないこと、及び本発明の範囲内において、多くの変更及び修正が可能であることは、当業者に明らかである。
【0032】
例えば、抗体の代わりに、ssDNA(single stand desoxyribo nucleic acid)分子も選択的な取り付けを高めるために適当な化合物の単分子膜を具備する第1のサブ領域の表面に有利に取り付けられることにも注意すべきである。検出される特定の相補的DNA鎖は、前記ssDNAに選択的に結合されることができる。抗体に結合しているたんぱく質の場合のように、前記相補的DNAをssDNAへ結合することは、高い感度で検出されるセンサ装置の表面の近くにおける電荷の再分配となる。
【0033】
その上、個々の製造ステップに関して様々な変更が可能であることも注意しておく。例えば、本実施例に用いられた技術の代わりに、他の蒸着技術が選択されることも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ボディの表面上に形成されると共に、第1の端部において第1の導電接続領域に接続され、第2の端部において第2の導電接続領域に接続される、少なくとも1つのメサ型の半導体領域を構成している物質を検知する一方、検知されるべき物質からなる流体は、前記メサ型の半導体領域に沿って流れることができ、検知されるべき前記物質は、前記メサ型の半導体領域の電気特性に影響を及ぼしうる半導体センサ装置であり、前記メサ型の半導体領域は、その後長軸方向に見ると、第1の半導体材料からなる第1の半導体サブ領域及び前記第1の半導体材料とは異なる第2の半導体材料からなる第2の半導体サブ領域を有する半導体センサ装置において、前記第1の半導体材料はIV族元素材料を有し、前記第2の半導体材料はIII-V族化合物を有することを特徴とする半導体センサ装置。
【請求項2】
前記メサ型の半導体領域は、前記第2のサブ領域とは反対の側において前記第1のサブ領域を境界付け、III-V族化合物、好ましくは前記第2のサブ領域と同じIII-V族化合物を有する第3の半導体材料からなる第3のサブ領域を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体センサ装置。
【請求項3】
前記第2及び第3のサブ領域は、前記第1のサブ領域の材料のバンドギャップよりも高いバンドギャップを持つ材料からなると共に、前記第1のサブ領域は好ましくはSiからなる一方、好ましくはGaPからなることを特徴とする請求項2に記載の半導体センサ装置。
【請求項4】
前記第2及び第3のサブ領域は、前記第1のサブ領域を境界付け、前記第1のサブ領域よりも高いバンドギャップを持つIII-V族化合物からなる第1の部分、及び前記第1の部分を境界付け、前記第1の部分よりも低いバンドギャップを持つIII-V族化合物、好ましくはGaAsからなる第2の部分を有すること特徴とする請求項2又は3に記載の半導体センサ装置。
【請求項5】
前記第1のサブ領域の自由外表面は、検出されるべき物質が前記自由外表面に付着する可能性を増大させるように官能基化されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の半導体センサ装置。
【請求項6】
前記官能基化は、前記自由外面上に検出されるべき前記物質を引き付ける化合物の自己組織化単分子膜の形成を有することを特徴とする請求項5に記載の半導体センサ装置。
【請求項7】
前記自己組織化単分子膜は、アミノアルキルカルボン酸により形成され、アルキル基は好ましくは12から16の間の炭素原子を有することを特徴とする請求項6に記載の半導体センサ装置。
【請求項8】
前記第1のサブ領域以外の自由外表面は、検出されるべき前記物質が前記自由外表面に付着する確率を減少させるように官能基化されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の半導体センサ装置。
【請求項9】
前記官能基化は、前記自由外表面上に検出されるべき前記物質を反発する化合物の自己組織化単分子膜の形成を有することを特徴とする請求項8に記載の半導体センサ装置。
【請求項10】
前記自己組織化単分子膜は、ポリエチレングリコールポリマーにより形成されることを特徴とする請求項9に記載の半導体センサ装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのメサ型の半導体領域はナノワイヤ、好ましくは前記半導体ボディの表面に位置付けられる一方、前記ナノワイヤの長さ方向は、前記表面に垂直に走っている複数の相互に平行なナノワイヤを有することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の半導体センサ装置。
【請求項12】
前記メサ型の半導体領域は、トランジスタ、好ましくは前記第1のサブ領域が量子ドットを形成する単電子トランジスタのような普段はオフの素子の一部を形成することを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の半導体センサ装置。
【請求項13】
前記半導体センサ装置は、抗体に結合されるたんぱく質のような生体分子を検出するのに適していることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の半導体センサ装置。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の半導体センサ装置を有する診断器具。
【請求項15】
半導体ボディの表面上に形成されると共に、第1の端部において第1の導電接続領域に接続され、第2の端部において第2の導電接続領域に接続される、少なくとも1つのメサ型の半導体領域を構成している物質を検知する一方、検知されるべき物質からなる流体は、前記メサ型の半導体領域に沿って流れることができ、検知されるべき前記物質は、前記メサが他の半導体領域の電気特性に影響を及ぼしうる半導体センサ装置を製造する方法であり、前記メサ型の半導体領域は、その後長軸方向に見ると、第1の半導体材料からなる第1の半導体サブ領域及び前記第1の半導体材料とは異なる第2の半導体材料からなる第2の半導体サブ領域を形成する半導体センサ装置を製造する方法において、前記第1の半導体材料にはIV族元素材料が選択され、前記第2の半導体材料にはIII-V族化合物が選択されることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記第1のサブ領域の自由外表面は、前記表面上に検出されるべき前記物質を引き付ける化合物の自己組織化単分子膜を形成することにより、検出されるべき前記物質が前記自由外表面に付着する確率を増大させるように官能基化されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のサブ領域以外の自由外表面は、前記表面上に検出されるべき前記物質に反発する化合物の自己組織化単分子膜を形成することにより、検出されるべき前記物質が前記自由外表面に付着する可能性を減少させるように官能基化されることを特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記自己組織化単分子膜を形成した後、前記装置は洗浄され、前記自己組織化単分子膜が構築される以外のメサ型の半導体領域の前記外表面のもう1つの部分に偶発的に付着する化合物の分子を取り除くことを特徴とする請求項16又は17に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−504517(P2010−504517A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528828(P2009−528828)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053742
【国際公開番号】WO2008/035273
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】