説明

半導体チップ、その製造方法およびその用途

【課題】リーク電流が少なく信頼性の高い半導体装置を与える半導体チップおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】メモリ部と周辺回路部とを備えた半導体チップであって、
前記メモリ部および前記周辺回路部は、前記半導体チップの主表面部に形成され、
前記周辺回路部が形成された前記主表面部の一部であって、各前記メモリ部に隣接する所定部を通る前記半導体チップ断面の厚みは、前記半導体チップの表面に対する法線方向を基準として、前記メモリ部が形成された前記主表面部を通る前記半導体チップ断面の厚みと略等しく、
かつ、前記メモリ部が形成された前記主表面部を通る前記半導体チップ断面の厚みは、同法線方向を基準として各前記メモリ部に隣接する所定部を除く前記周辺回路部が形成された前記主表面部を通る前記半導体チップ断面の厚みに対して大きいことを特徴とする半導体チップおよびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ部と周辺回路部とを備えた半導体チップ、その製造方法およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器類の小型軽量化に伴い、半導体装置の形状はより小さく、より薄いものが求められている。この様な半導体装置の形状の変化に伴い、前記半導体装置に搭載される半導体チップもより薄いものが要求されてきている。
半導体チップの厚みが薄くなればなるほど、半導体チップに動作不良が発生しやすくなる傾向がある。このことから、信頼性の高い薄型半導体チップの製造方法やその製造方法により得られた薄型半導体チップが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−313350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、半導体チップを製造する段階において信頼性の高い半導体チップが得られたとしても、半導体チップを製造した後の段階、すなわち実際にその半導体チップを実装した半導体装置を製造した以降の段階において、その半導体装置にリーク電流が多くなる等、前記半導体装置の信頼性が低下するという問題があった。
本発明の目的は、リーク電流が少なく信頼性の高い半導体装置を与える半導体チップおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、メモリ部と周辺回路部を備えた半導体チップであって、前記半導体チップのメモリ部の厚みが、周辺回路部の厚みに比べて厚い半導体チップが、リーク電流が少なく信頼性の高い半導体装置を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、
[1]メモリ部と周辺回路部とを備えた半導体チップであって、
前記メモリ部および前記周辺回路部は、前記半導体チップの主表面部に形成され、
前記周辺回路部が形成された前記主表面部の一部であって各前記メモリ部に隣接する所定部を通る前記半導体チップ断面の厚みは、前記半導体チップの表面に対する法線方向を基準として、各前記メモリ部が形成された前記主表面部を通る前記半導体チップ断面の厚みと略等しく、
かつ、前記メモリ部が形成された前記主表面部を通る前記半導体チップ断面の厚みは、同法線方向を基準として各前記メモリ部に隣接する所定部を除く前記周辺回路部が形成された前記主表面部を通る前記半導体チップ断面の厚みに対して大きいことを特徴とする半導体チップを提供するものであり、
[2]前記半導体チップの裏面に平坦部と溝部とを備え、
前記半導体チップ表面に対する法線方向を基準として、前記平坦部は、前記メモリ部および前記所定部の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられ、
前記溝部は、前記所定部を除く前記周辺回路部の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられ、
前記平坦部に対する前記溝部の深さは、前記半導体チップ表面に対する法線方向を基準として、前記半導体チップ表面から前記半導体チップ裏面の前記平坦部までの長さの5〜60%の範囲であることを特徴とする上記[1]に記載の半導体チップを提供するものであり、
[3](1)半導体ウエハの主表面部にメモリ部と周辺回路部とを所定の位置に形成する工程と、
(2)前記半導体ウエハの裏面を研削する工程と、
(3)前記周辺回路部が形成された前記主表面部の一部であって、前記メモリ部が形成された前記主表面部に隣接する所定部と、前記メモリ部との、前記半導体ウエハ裏面に対する投影面に対応する位置に平坦部を設け、
前記所定部を除く前記周辺回路部の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に溝部を設ける工程と、
(4)前記半導体ウエハをダイシングする工程と、
を含むことを特徴とする上記[1]または[2]に記載の半導体チップの製造方法を提供するものであり、
[4]前記溝部は、前記半導体ウエハ裏面を研削する工程およびレジスト法による工程からなる群より選ばれる少なくとも一つの工程により設けられることを特徴とする上記[3]に記載の半導体チップの製造方法を提供するものであり、
[5](1)半導体ウエハの裏面に平坦部と溝部とを前記裏面の所定の位置に設ける工程と、
(2)前記平坦部と前記溝部との上に酸化保護膜層を設ける工程と、
(3)前記酸化膜保護膜層の上に、さらに半導体基板を貼着する工程と、
(4)前記半導体ウエハの主表面部にメモリ部を設ける工程であって、
前記平坦部に対する法線方向を基準として、前記半導体ウエハの表面に対する、前記平坦部の投影面に対応する位置に、前記メモリ部を設ける工程と、
(5)前記半導体ウエハの主表面部に周辺回路部を設ける工程であって、
前記前記平坦部に対する法線方向を基準として、前記半導体ウエハの表面に対する、前記溝部の投影面に対応する位置に、前記周辺回路部を設ける工程と、
(6)上記工程(4)および(5)の後に、工程(3)により貼着した半導体基板および工程(2)により設けた酸化保護膜を除去する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体チップの製造方法を提供するものであり、
[6]上記[1]または[2]のいずれかに記載の半導体チップを備えた半導体装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、薄型であってもリーク電流が少なく信頼性の高い半導体装置を与える半導体チップおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して具体的かつ詳細に説明する。
まず、本発明の半導体チップについて説明する。
図1は、本発明の半導体チップの一実施態様を例示したものである。
本発明の半導体チップ1は、メモリ部2と周辺回路部3とを備えることが必要である。
【0008】
前記半導体チップ1は通常半導体ウエハから得られるものであるが、かかる半導体ウエハの種類は特に限定されるものではなく、例えば、シリコンウエハ、ガリウムヒ素ウエハ、窒化ガリウムウエハ等、通常半導体ウエハとして使用されているものであればいかなるものであっても本発明に使用することができる。
【0009】
前記メモリ部2の構造は特に限定されるものではなく、記憶機能、記憶回路を有するものであればいかなる態様のものであっても本発明に使用することができる。
【0010】
また、前記周辺回路部3の構造は特に限定されるものではなく、従来から一般的に使用されている機能、構成を有するものであればいかなる態様のものであっても本発明に使用することができる。
【0011】
次に図2は、図1における半導体チップ1を一点破線x−x方向に切断した、前記半導体チップ1の模式断面平面図を示したものである。
前記メモリ部2および前記周辺回路部3は、前記半導体チップの主表面部7に形成されていることが必要である。
ここで前記主表面部7とは、前記半導体チップ1の表面に対する法線を基準として、図2に例示される通り、前記表面から半導体チップ1内部までの領域の部分を示す。前記メモリ部2および前記周辺回路部3は、前記主表面部7に形成されている。
【0012】
次に本発明の半導体チップ1は、前記メモリ部2に対応する前記半導体チップ断面の厚みと前記周辺回路部3のうち所定部4に対応する前記半導体チップ断面の厚みが略等しいことが必要である。
また前記所定部4は、図2に例示される様に、前記周辺回路部3が形成された前記主表面部7の一部であることと、各前記メモリ部2に隣接することが必要である。
ここで前記所定部4とは、図2の場合により説明すれば、前記主表面部7に形成された前記周辺回路部3のうち、各前記メモリ部に隣接する部位であって、図2における一点破線cおよびdにより囲まれた各領域を意味する。
【0013】
前記メモリ部2に対応する前記半導体チップ断面の厚みとは、前記半導体チップの表面に対する法線方向を基準として、前記メモリ部が形成された前記主表面部を通る前記半導体チップ断面の厚みを示す。図2の場合には、一点破線aが前記半導体チップ1の断面を横切る長さLが前記厚みに対応する。
【0014】
また、前記周辺回路部2のうち所定部4に対応する前記半導体チップ1断面の厚みとは、前記周辺回路部3が形成された前記主表面部7の一部であって、各前記メモリ部2に隣接する所定部4を通る前記半導体チップ1断面の厚みを示す。図2の場合には、一点鎖線cが半導体チップの断面を横切る長さLが前記厚みに対応する。
【0015】
次に本発明の半導体チップ1は、前記メモリ部2に対応する前記半導体チップ断面の厚みLと前記所定部4に対応する前記チップ断面の厚みLとが、前記周辺回路部3のうち前記所定部4を除く部分に対応する前記半導体チップ1断面の厚みに対して大きいことが必要である。
【0016】
前記周辺回路部3のうち前記所定部4を除く部分に対応する前記半導体チップ1断面の厚みとは、同法線方向を基準として各前記メモリ部2に隣接する所定部4を除く前記周辺回路部3が形成された前記主表面部を通る前記半導体チップ1断面の厚みを示す。
図2の場合には、一点鎖線bが半導体チップの断面を横切る長さLが前記厚みに対応する。
【0017】
本発明の半導体チップの断面形状は、上述の通り、LおよびLが略等しく、LおよびLがそれぞれLよりも大きいものであるから、前記断面形状の実施態様としては、例えば、図3に例示される様に、半導体チップ裏面に溝部6を設けたもの、図4に例示される様に、U字状の溝部8を設けたものが挙げられる。また、これらに加えて図5に例示される様に、平坦部5にディンプル状の溝部9を設けたもの、図6に例示される様に、平坦部5に凹部10を設けたもの等の変形例も挙げることができる。
中でも本発明の半導体チップは、その裏面に平坦部5と溝部6とを備えたものが好ましい。
【0018】
この様な半導体チップ1としては、例えば、図2に示す通り、前記半導体チップ表面に対する法線方向を基準として、前記平坦部5は、前記メモリ部2および前記所定部4の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられ、
前記溝部6は、前記所定部4を除く前記周辺回路部3の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられたもの等を挙げることができる。
【0019】
また前記平坦部5の角は、図7に例示される通り、面取りされているものが好ましい。この様な面取り構造は、例えば、ポリッシュ処理、ドライエッチング処理、ウエットエッチング処理等を施すことにより形成することができる。
【0020】
前記平坦部5に対する前記溝部6の深さLは、前記半導体チップ表面に対する法線方向を基準として、前記半導体チップ表面から前記半導体チップ裏面の前記平坦部までの長さの5〜60%の範囲であることが好ましく、10〜50%の範囲であればさらに好ましい。
前記長さが5%に満たない場合および前記長さが60%を超えた場合には、本発明の半導体チップを備えた半導体装置の信頼性が低下する。
【0021】
また前記所定部4の幅Lは、通常前記溝部の深さLに対して10〜100%の範囲であるが、その値は、前記Lに対して70%以上の範囲にあれば、本発明の半導体チップを備えた半導体装置の信頼性が高まることからさらに好ましい。
ここで前記所定部4の幅Lとは、図2の場合に例示される通り、一点破線cとdとの最短距離をいう。
【0022】
次に本発明の半導体チップの製造方法について説明する。
本発明の半導体チップを製造するためには、例えば、図8〜図11に示す通り、まず半導体ウエハ11の主表面部に前記メモリ部2と前記周辺回路部3とを所定の位置に形成する工程が必要である。
前記メモリ部2と前記周辺回路部3とを形成する方法に限定はなく、通常実施される方法に従って実施することができる。
【0023】
また、本発明の半導体チップを製造するためには、前記半導体ウエハ11の裏面を研削する工程が必要である。また必要に応じて、前記研削後、ポリッシュ仕上げを実施してもよい。前記研削、ポリッシュ仕上げ工程に特に限定はなく、通常実施される方法に従って実施することができる。
【0024】
次に、本発明の半導体チップを製造するためには、前記半導体ウエハ裏面に平坦部と溝部を設ける工程が必要である。
かかる平坦部は、例えば図11に示される様に、前記周辺回路部3が形成された前記主表面部の一部であって、各前記メモリ部2が隣接する所定部と、前記メモリ部2との、前記半導体ウエハ裏面に対する投影面に対応する位置に設けられる。
【0025】
また、前記溝部6は、前記所定部を除く前記周辺回路部3の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられる。
かかる平坦部と溝部との構造とを設ける工程の一態様としては、例えば、図9に例示される様に、前記半導体ウエハ11の裏面上にレジストマスク12を形成することにより前記裏面の所定部をマスクしておき、図10に例示される様に、ドライエッチング、ウエットエッチング等のエッチング処理等により溝部6を形成し、続いて図11に例示される様に前記レジストマスク12を除去する方法等を挙げることができる。前記ウエットエッチング法、ドライエッチング法等の条件に特に限定はなく、通常、半導体ウエハの製造工程にて実施されている方法により実施することができる。
【0026】
続いて、前記半導体ウエハをダイシングすることにより本発明の半導体チップを得ることができる。
ダイシングの方法に特に限定はなく、いかなる方法によっても実施することができる。以下の場合も同様である。
【0027】
前記平坦部と溝部との構造とを設ける工程の別の一態様としては、例えば、具体的には図12に例示される前記半導体ウエハ11の裏面上に、図13に例示される回転研磨装置13等を用いて前記溝部6を設ける工程を挙げることができる。
【0028】
図14は、前記回転研磨装置13により前記平坦部と溝部との構造を設けた後の前記半導体ウエハ11裏面を例示する部分拡大図である。図14に例示される異なる幅の溝部は、前記回転研磨装置13に装着する回転刃の厚みを替えることにより設けることができる。
前記回転研磨装置13により前記平坦部と溝部とを設けた後、例えば、図14の前記半導体ウエハの一点破線の部分をダイシングすることにより本発明の半導体チップを得ることができる。
【0029】
前記平坦部と溝部との構造とを設ける工程の別の一態様としては、例えば、具体的には、あらかじめ前記平坦部と前記溝部とを組立工程用半導体ウエハの内部に作り込んでおく方法を挙げることができる。前記平坦部と前記溝部とを組立工程用半導体ウエハの内部に作り込むための工程について次に説明する。
【0030】
前記平坦部と溝部との構造とを設ける工程の一態様としては、図15に例示される様に、まず前記半導体ウエハ11の裏面に平坦部5と溝部6とを前記裏面の所定の位置に設ける工程が必要である。前記半導体ウエハ11の裏面に平坦部5と溝部6とを設ける方法としては、例えば、先に説明したエッチング法、前記回転研磨装置を使用する方法等を挙げることができる。
【0031】
次に、図16に例示される様に、前記平坦部5と前記溝部6との上に酸化保護膜層14を設ける工程が必要である。
前記酸化保護膜層14を設ける方法に限定はなく、例えば、前記半導体ウエハを構成する原料ガスと水蒸気ガス等とを高温にて反応させる等の方法を挙げることができる。
【0032】
次に、前記酸化保護膜層14の上に、さらに半導体基板15を貼着する工程が必要である。
前記貼着工程前に、適宜前記酸化保護膜層14に対しポリッシュ仕上げを実施してもよい。
前記貼着工程としては、例えば、前記半導体ウエハがシリコンよりなる場合であれば、1100℃程度の熱処理を行なうことにより前記酸化保護膜層14上に、前記半導体基板15とを貼着して、組立工程用半導体ウエハ16を得ることができる。前記貼着工程の条件は半導体ウエハを構成する材料の性質に応じて適宜選択することができる。
【0033】
続いて、図18に例示される様に前記組立工程用半導体ウエハ16のうち、前記半導体ウエハ11の表面に相当する側の主表面部7に、前記メモリ部2と前記周辺回路部3とを形成することが必要である。
前記メモリ部2と前記周辺回路部3とを形成する工程に特に限定はなく、通常実施される方法に従って実施することができる。
【0034】
前記メモリ部2は、前記平坦部5に対する法線方向を基準として、前記半導体ウエハ11の表面に対する、前記平坦部5の投影面に対応する位置に設けられる。
また、前記周辺回路部3は、同法線方向を基準として、前記半導体ウエハ11の表面に対する、前記溝部6の投影面に対応する位置に設けられる。
【0035】
次に、前記メモリ部および前記周辺回路部が形成された組立工程用半導体ウエハ16の半導体基板15を研削工程等により除去し、さらに前記酸化保護膜層14をフッ酸等の薬品等により除去することができる。
なお、本発明の半導体チップには、前記酸化保護膜層14が、図19に示す通り、前記半導体チップ裏面に形成された溝部6中に残された状態のものが含まれる。
【0036】
続いて、図20に例示される半導体ウエハ11に対してダイシングする工程を行うことにより、本発明の半導体チップを得ることができる。
【0037】
本発明の半導体チップの厚さは、通常30〜1500μmの範囲であるが、50〜300μmの範囲であれば好ましく、60〜150μmの範囲であればより好ましく、70〜120μmの範囲であればさらに好ましい。
【0038】
前記半導体チップを用いて、BGA、TCP、TSOP、TQFP等の各種半導体装置を製造することができる。
図21および22はBGAの模式断面図を一例として示したものである。なおここではボンディングワイヤー等の電気的配線については特に図示していない。
本発明の半導体チップを用いて得られる半導体装置としては、図21に示す様に、半導体装置に一つの本発明の半導体チップを含む場合に限定されず、例えば、図22に例示される様に、二以上の本発明の半導体チップを含む半導体装置の他、本発明の半導体チップに加えて、他の半導体チップを積層したタイプの半導体装置等を挙げることができる。
【0039】
[作用]
本発明の半導体チップによれば、半導体装置から前記半導体チップに対して応力が掛けられた場合であっても、前記半導体チップの厚みの薄い周辺回路部分において応力が吸収されるため、前記半導体チップに設けられたメモリ部に対する応力が緩和される。これにより前記メモリ部における半導体内部の結晶歪み等に起因するリーク電流の発生を抑えることができ、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【実施例1】
【0040】
以下、添付した図面に基づき、本発明の第一の実施例について説明する。
図23は、本発明の半導体チップ1を備えたBGAタイプの半導体装置の模式断面図を示したものである。
前記半導体チップ1の主表面部には、メモリ部2と周辺回路部3とが設けられている。
【0041】
また、前記半導体チップ1の裏面には、前記半導体チップ表面に対する法線方向を基準として、平坦部5が、前記周辺回路部3の所定部および前記メモリ部2の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられている。
【0042】
さらに前記半導体チップ1の裏面には、同法線方向を基準として、前記溝部6が、前記所定部を除く前記周辺回路部3の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられている。
【0043】
前記半導体チップ1の裏面は接着テープ17によりBGA基板18に貼着されている。また、BGA基板18には半田ボール19が設けられている。前記半導体チップ1、BGA基板18、半田ボール19等には金線、リードフレーム等により電気的な配線が適宜設けられている(図示せず。)。
【0044】
前記半導体チップ1表面から、前記半導体チップ裏面に設けられた平坦部5までの距離tを基準とした前記溝部の深さの割合と、得られたBGAタイプの半導体装置の標準的な性能試験における、リーク電流に関する不良発生率との関係は図26に示す通りである。
【0045】
以上、半導体チップ1を接着テープ17により貼着した場合、前記溝部6の深さが、前記距離tに対して10〜30%の範囲内にある場合には、不良発生率が3%未満のBGAタイプの半導体装置を得ることができる。
【実施例2】
【0046】
次に、添付した図面に基づき、本発明の第二の実施例について説明する。
図24は、本発明の半導体チップ1を備えたμBGAタイプの半導体装置の模式断面図を示したものである。
前記半導体チップ1の主表面部には、メモリ部2と周辺回路部3が設けられている。
【0047】
また、前記半導体チップ1の裏面には、前記半導体チップ表面に対する法線方向を基準として、平坦部5が、前記周辺回路部3の所定部および前記メモリ部2の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられている。
【0048】
さらに前記半導体チップ1の裏面には、同法線方向を基準として、前記溝部6が、前記所定部を除く前記周辺回路部3の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられている。
【0049】
前記半導体チップ1の表面の一部は接着テープ17によりBGA基板18に貼着され、前記半導体チップ1の裏面の残りの部分は半導体封止用樹脂20と接着している。
【0050】
また、BGA基板18には半田ボール19が設けられている。前記半導体チップ1、BGA基板18、半田ボール19等は金線、リードフレーム等により電気的な配線が適宜設けられている(図示せず。)。さらに、前記半導体チップ1はその周囲を半導体封止用樹脂20により封止されている
前記半導体チップ1表面から、前記半導体チップ裏面に設けられた平坦部5までの距離tを基準とした前記溝部の深さの割合と、得られたμBGAタイプの半導体装置の標準的な性能試験における、リーク電流に関する不良発生率との関係は図27に示す通りである。
【0051】
以上、半導体チップ1を封止した場合、前記溝部6の深さが、前記距離tに対して10〜40%の範囲内にある場合には、不良発生率が3%未満のμBGAタイプの半導体装置を得ることができる。
【実施例3】
【0052】
次に、添付した図面に基づき、本発明の第三の実施例について説明する。
図25は、本発明の半導体チップ1を備えたTCPタイプの半導体装置の模式断面図を示したものである。
前記半導体チップ1の主表面部には、メモリ部2と周辺回路部3が設けられている。
【0053】
また、前記半導体チップ1の裏面には、前記半導体チップ表面に対する法線方向を基準として、平坦部5が、前記周辺回路部3の所定部および前記メモリ部2の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられている。
【0054】
さらに前記半導体チップ1の裏面には、同法線方向を基準として、前記溝部6が、前記所定部を除く前記周辺回路部3の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられている。
【0055】
前記半導体チップ1の表面の一部は接着テープ17によりリードフレーム22に貼着され、前記半導体チップ1の裏面の残りの部分は接着用樹脂21により接着されている。
【0056】
また、前記半導体チップ1は金線、リードフレーム等により電気的な配線が適宜設けられている(図示せず。)。
【0057】
前記半導体チップ1表面から、前記半導体チップ裏面に設けられた平坦部5までの距離tを基準とした前記溝部の深さの割合と、得られたTCPタイプの半導体装置の標準的な性能試験における、リーク電流に関する不良発生率との関係は図28に示す通りである。
【0058】
以上、半導体チップ1の裏面になにも接触させなかった場合、前記溝部6の深さが、前記距離tに対して10〜50%の範囲内にある場合には、不良発生率が3%未満のTCPタイプの半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の半導体チップの模式平面図。
【図2】図1の半導体チップを一点破線x−xにて切断した、本発明の半導体チップの模式正面断面図。
【図3】図1の半導体チップを一点破線y−yにて切断した、本発明の半導体チップの模式側面断面図。
【図4】本発明の一変形例を示す半導体チップの模式正面断面図。
【図5】本発明の一変形例を示す半導体チップの模式正面断面図。
【図6】本発明の一変形例を示す半導体チップの模式正面断面図。
【図7】本発明の半導体チップの平坦部の角を面取りしたことを示す模式正面断面図。
【図8】本発明の半導体チップの製造方法を説明する一連の工程断面図。
【図9】本発明の半導体チップの製造方法を説明する一連の工程断面図。
【図10】本発明の半導体チップの製造方法を説明する一連の工程断面図。
【図11】本発明の半導体チップの製造方法を説明する一連の工程断面図。
【図12】加工前の半導体ウエハの裏面を示す模式斜視図。
【図13】半導体ウエハの裏面に溝部を形成する工程を示す模式斜視図。
【図14】半導体ウエハの裏面に形成された平坦部を示す模式斜視図。
【図15】本発明の半導体チップの製造方法を説明する一連の工程断面図。
【図16】本発明の半導体チップの製造方法を説明する一連の工程断面図。
【図17】本発明の半導体チップの製造方法を説明する一連の工程断面図。
【図18】本発明の半導体チップの製造方法を説明する一連の工程断面図。
【図19】本発明の半導体チップの製造方法を説明する一連の工程断面図。
【図20】本発明の半導体チップの製造方法を説明する一連の工程断面図。
【図21】本発明の半導体チップを備えた半導体装置の一実施態様を示す模式正面断面図。
【図22】本発明の半導体チップを備えた半導体装置の一実施態様を示す模式正面断面図。
【図23】本発明の実施例1を示すBGAの模式正面断面図。
【図24】本発明の実施例2を示すμBGAの模式正面断面図。
【図25】本発明の実施例3を示すTCPの模式正面断面図。
【図26】本発明の実施例1の、溝部の深さと不良発生率との関係を示すグラフ。
【図27】本発明の実施例2の、溝部の深さと不良発生率との関係を示すグラフ。
【図28】本発明の実施例3の、溝部の深さと不良発生率との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0060】
1、1a、1b 半導体チップ
2 メモリ部
3 周辺回路部
4 所定部
5 平坦部
6 溝部
7 主表面部
8 U字状の溝部
9 ディンプル状の溝部
10 凹部
11 シリコンウエハ
12 レジストマスク
13 回転研磨装置
14 酸化保護膜層
15 半導体基板
16 組立工程用半導体ウエハ
17 接着テープ
18 BGA基板
19 半田ボール
20 半導体封止用樹脂
21 接着用樹脂
22 リードフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ部と周辺回路部とを備えた半導体チップであって、
前記メモリ部および前記周辺回路部は、前記半導体チップの主表面部に形成され、
前記周辺回路部が形成された前記主表面部の一部であって各前記メモリ部に隣接する所定部を通る前記半導体チップ断面の厚みは、前記半導体チップの表面に対する法線方向を基準として、各前記メモリ部が形成された前記主表面部を通る前記半導体チップ断面の厚みと略等しく、
かつ、前記メモリ部が形成された前記主表面部を通る前記半導体チップ断面の厚みは、同法線方向を基準として各前記メモリ部に隣接する所定部を除く前記周辺回路部が形成された前記主表面部を通る前記半導体チップ断面の厚みに対して大きいことを特徴とする半導体チップ。
【請求項2】
前記半導体チップの裏面に平坦部と溝部とを備え、
前記半導体チップ表面に対する法線方向を基準として、前記平坦部は、前記メモリ部および前記所定部の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられ、
前記溝部は、前記所定部を除く前記周辺回路部の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に設けられ、
前記平坦部に対する前記溝部の深さは、前記半導体チップ表面に対する法線方向を基準として、前記半導体チップ表面から前記半導体チップ裏面の前記平坦部までの長さの5〜60%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項3】
(1)半導体ウエハの主表面部にメモリ部と周辺回路部とを所定の位置に形成する工程と、
(2)前記半導体ウエハの裏面を研削する工程と、
(3)前記周辺回路部が形成された前記主表面部の一部であって、前記メモリ部が形成された前記主表面部に隣接する所定部と、前記メモリ部との、前記半導体ウエハ裏面に対する投影面に対応する位置に平坦部を設け、
前記所定部を除く前記周辺回路部の、前記裏面に対する投影面に対応する位置に溝部を設ける工程と、
(4)前記半導体ウエハをダイシングする工程と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項4】
前記溝部は、前記半導体ウエハ裏面を研削する工程およびレジスト法による工程からなる群より選ばれる少なくとも一つの工程により設けられることを特徴とする請求項3に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項5】
(1)半導体ウエハの裏面に平坦部と溝部とを前記裏面の所定の位置に設ける工程と、
(2)前記平坦部と前記溝部との上に酸化保護膜層を設ける工程と、
(3)前記酸化膜保護膜層の上に、さらに半導体基板を貼着する工程と、
(4)前記半導体ウエハの主表面部にメモリ部を設ける工程であって、
前記平坦部に対する法線方向を基準として、前記半導体ウエハの表面に対する、前記平坦部の投影面に対応する位置に、前記メモリ部を設ける工程と、
(5)前記半導体ウエハの主表面部に周辺回路部を設ける工程であって、
前記前記平坦部に対する法線方向を基準として、前記半導体ウエハの表面に対する、前記溝部の投影面に対応する位置に、前記周辺回路部を設ける工程と、
(6)上記工程(4)および(5)の後に、工程(3)により貼着した半導体基板および工程(2)により設けた酸化保護膜を除去する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項6】
請求項1または2のいずれかに記載の半導体チップを備えた半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図20】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図9】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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