説明

半導体チップ、半導体パッケージおよび半導体パッケージの製造方法

【課題】クラックの発生を抑制できる信頼性の高い半導体チップ、半導体パッケージ、および半導体パッケージの製造方法を提供する。
【解決手段】半導体チップ1は、回路面3に突起電極2を有する平板状のものであって、回路面3よりも面積の大きい底面4と、回路面3と底面4とを繋ぐ側面5とを備えている。回路面3と底面4との間の厚みDが100μm以下である。側面5は、底面4に連続して形成された垂直面6と、垂直面6に連続して形成されるとともに、回路面3に連続するように内方へ傾斜した傾斜面7とを有している。垂直面6の高さをdとした場合に、d/Dの値が0より大きく、かつ、1/2より小さく設定されている。傾斜面7は、凹状に湾曲した凹曲面に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ、半導体チップと回路基板とが封止樹脂を介して接合されている半導体パッケージおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどの電子機器の小型化や高性能化などに伴い、電子機器内に設けられる半導体集積回路の小型化・高密度化が益々図られている。この半導体集積回路の小型化や高密度化に伴い、半導体チップを回路基板に実装する方法として、従来のワイヤーボンディング接続方式に代えて、半導体チップにバンプと呼ばれる突起電極を形成することによって半導体チップを回路基板に直接接続するフリップチップ実装が着目され、近年ではこのフリップチップ実装が広く採用されるようになっている。フリップチップ実装は、半導体チップの回路面に対して半田などの材料でバンプ(突起電極)を複数形成し、このバンプを回路基板上に形成された複数の電極に加熱溶融により接合することによって、半導体チップと回路基板とを電気接続する方式のものである。このフリップチップ実装は、多数のバンプを回路基板上に一括で接合できるため、従来のワイヤーボンディング接続方式に比べて、実装面積を小さくできるうえ、電気的特性が良好、モールド封止が不要などの利点を有している。
【0003】
一方、フリップチップ実装においては、半導体チップと回路基板との接合部の接続信頼性を確保する必要がある。そのため、半導体チップと回路基板との隙間に、毛細管現象を利用して液状樹脂を注入し硬化させることにより、半導体チップと回路基板との間の空隙を樹脂封止することが一般的に行われている。しかし、半導体チップと回路基板との間の空隙に封止樹脂(アンダーフィル)を充填する方法では、リフロー試験または冷熱サイクル試験時に、例えば半導体チップと回路基板との間の線膨張係数の差などに起因して、半導体チップとアンダーフィルとの界面などに応力が集中してクラックが発生し、チップが破損することがある。そこで、このようなクラックの発生を抑制するために、例えば、アンダーフィルのチップの周囲にはみ出す部分(フィレット部)の形状を制御する試みがなされている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1では、半導体チップの周囲に形成されたフィレット部の外周側部の上縁から回路基板に向けて低く傾斜する傾斜面の角度が50度以下となっている半導体パッケージが開示されている。しかしながら、近年、半導体チップの薄型化が益々進んでいる中で、厚みが非常に薄い半導体チップにおいて、特許文献1のフィレット部のような樹脂のはみ出しがあると、樹脂が半導体チップの上面に容易に回りこんでしまい、その結果、ボンディングヘッドの表面に樹脂が付着してしまうという問題が生じる。ボンディングヘッドの表面に樹脂が付着すると、得られる半導体パッケージの信頼性を低下させるおそれがある一方で、ボンディングヘッドの表面に樹脂が付着する度にこれを除去するのでは、その都度、実装用装置の駆動を止める必要があり、実装工程が長時間停止するなどの弊害が生じる。
【0005】
そこで、樹脂がボンディングヘッドの表面に付着する問題を解消するために、半導体チップの形状を工夫する試みが行われている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2では、半導体チップの端面の全周に所定厚の段差部が設けられている。半導体チップまたは回路基板には、予め樹脂封止用のペースト状樹脂(NCP)やフィルム状樹脂(NCF)が設けられており、半導体チップと回路基板とのボンディング時に樹脂を溶融・硬化させることで、半導体チップと回路基板との間の樹脂封止が行われるが、半導体チップの段差部によって、樹脂の半導体チップ上面への這い上がりが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2008/018557号公報
【特許文献2】特開2001−250843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2では、段差部の形状が角張っているために、この段差部に封止樹脂と半導体チップとの界面における応力が集中してクラックが発生してしまい、その結果、クラックの発生を抑制することができないという問題がある。また、半導体チップと回路基板とのボンディングの際に、半導体チップを回路基板に加熱しながら押し付けることで、半導体チップの周囲にフィレット部が形成されるが、特許文献2では、フィレット部が半導体チップの平面視における辺の中心部付近に多く形成される反面、半導体チップの四隅の角部にはフィレット部が形成されにくくなるため、クラックの発生を充分に防止できないという問題がある。半導体チップの角部にも十分にフィレット部を形成しようと、長時間・高圧力で半導体チップを回路基板に押し付けることも考えられるが、近年の半導体チップの薄型化が益々進んでいる中、厚さが100μm以下のような薄型の半導体チップでは、長時間・高圧力で半導体チップを回路基板に押し付けると、半導体チップが反るなどして破損してしまうという問題がある。さらに言及すると、厚さが100μm以下の薄型の半導体チップを特許文献2のように加工しようとすると、半導体チップを破損したり、半導体チップに形成された低誘電層が剥離したりするという問題がある。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたもので、クラックの発生を抑制できる信頼性の高い半導体チップ、半導体パッケージ、および半導体パッケージの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記目的は、回路面に突起電極を有する平板状の半導体チップであって、前記回路面よりも面積の大きい底面と、前記回路面と前記底面とを繋ぐ側面とを備えており、前記回路面と前記底面との間の厚みDが100μm以下であり、前記側面は、前記底面に連続して形成された垂直面と、前記垂直面に連続して形成されるとともに、前記回路面に連続するように内方へ傾斜した傾斜面とを有し、前記垂直面の高さをdとした場合に、d/Dの値が0より大きく、かつ、1/2より小さいことを特徴とする半導体チップにより達成される。
【0010】
上記した構成の半導体チップにおいて、好ましい実施態様としては、前記傾斜面は、凹状に湾曲した凹曲面に形成されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の前記目的は、半導体チップの前記突起電極が回路基板の一方の面に電気接続されているとともに前記半導体チップと前記回路基板とが樹脂により接合されている半導体パッケージであって、前記樹脂により形成された前記半導体チップの周囲にはみ出すフィレット部を有し、前記フィレット部は、前記半導体チップの前記傾斜面により堰止めされており、かつ、前記半導体チップの角部における前記フィレット部のはみ出し長さL1に対する辺中央部における前記フィレット部のはみ出し長さL2の比L2/L1が2より小さいことを特徴とする半導体パッケージにより達成される。
【0012】
また、本発明の前記目的は、回路面に突起電極を有する半導体チップと回路基板とが樹脂により接合されている半導体パッケージの製造方法であって、前記回路面、底面、および前記回路面と前記底面とを繋ぐ側面とを備え、前記回路面と前記底面との間の厚みDが100μm以下である平板状の前記半導体チップを準備するチップ準備工程と、前記半導体チップの回路面または前記回路基板の一方の面の少なくとも一方に樹脂層を形成する樹脂形成工程と、前記半導体チップの前記突起電極を前記回路基板の一方の面に電気接続するとともに前記樹脂層を介して前記半導体チップと前記回路基板とを接合する接合工程とを含み、前記準備工程では、前記半導体チップの前記側面が、前記底面に連続して形成された垂直面と、前記垂直面に連続するとともに、前記回路面が前記底面よりも面積が小さくなるよう前記半導体チップの内方へ向けて傾斜する傾斜面とを有するように、前記側面を加工する加工工程を含むことを特徴とする半導体パッケージの製造方法により達成される。
【0013】
上記した構成の半導体パッケージの製造方法において、好ましい実施態様としては、前記加工工程において、前記傾斜面は、凹状に湾曲した凹曲面に形成されることを特徴としている。
【0014】
さらに好ましい実施態様としては、前記加工工程において、前記垂直面の高さをdとした場合に、d/Dの値が0より大きく、かつ、1/2より小さくなるように前記側面を加工することを特徴としている。
【0015】
さらに好ましい実施態様としては、前記加工工程において、レーザーアブレーションにより前記側面を加工することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、クラックの発生を抑制できる信頼性の高い半導体チップ、半導体パッケージ、および半導体パッケージの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態である半導体チップの概略構成を示す縦断面図である。
【図2】半導体ウェハの一部の概略構成を示す縦断面図である。
【図3】加工工程を説明する図である。
【図4】接合工程を説明する図である。
【図5】接合工程を説明する図である。
【図6】接合工程を説明する図である。
【図7】接合工程を説明する図である。
【図8】半導体パッケージの平面図である。
【図9】従来技術の半導体チップの構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る半導体チップ、半導体パッケージ、および半導体パッケージの製造方法の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る半導体チップ1の縦断面を示す模式図を示している。図1では、半導体チップ1は、半導体チップ1の回路が形成された回路面3が下側となる向きで配置されている。
【0019】
半導体チップ1は、平面視形状が正方形状の平板状のものであり、例えば、シリコン、ガリウム砒素などの半導体からなる円板状の半導体ウェハ(図2に示す)を所望の厚さ(100μm以下)まで研削して薄化した後、ダイシングして、複数の半導体チップ1に分割することで形成される。
【0020】
半導体チップ1の回路面3には、例えば金、銅、銀−錫半田、アルミニウム、ニッケルなどによって形成された突起電極(バンプ)2が所定のピッチで複数設けられている。この突起電極2を、下方に設けられる回路基板8の電極回路面80(図4に示す)に電気接続させることで、半導体チップ1が回路基板8上に実装される。なお、このとき、詳細は後述するが、半導体チップ1と回路基板8との間には樹脂層12が設けられ、半導体チップ1を上からボンディングヘッド20で加熱しながら回路基板8上に押し付け、樹脂層12を溶融・硬化させることで、半導体チップ1と回路基板8との間が封止樹脂10により封止される(図6を参照)。そして、ボンディングヘッド20による加圧時に、半導体チップ1の周囲にはみ出す封止樹脂10によりフィレット部11が形成される。
【0021】
半導体チップ1は、前記回路面3と、底面4と、回路面3と底面4とを繋ぐ側面5とを備えている。半導体チップ1の厚み、すなわち、回路面3と底面4との間の厚みDは、約100μm以下の範囲となっている。
【0022】
半導体チップ1の側面5は、垂直面6と、垂直面6と連続する傾斜面7とを有しており、半導体チップ1は、四角柱状をなす第1の部分1Aと、第1の部分に連続する略四角錐状をなす第2の部分1Bとが一体に形成されて成るものである。垂直面6は底面4と直角をなしており、底面4に連続して形成されている。
【0023】
傾斜面7は、その一端(図1では上端)が垂直面6と連続しているとともに、他端(図1では下端)が半導体チップ1の内方に向けて傾斜して、回路面3と連続している。これにより、回路面3の面積は、他方の底面4の面積よりも小さくなっている。傾斜面7は、本実施形態では、凹状(下方の回路基板8に対して逆U字状)に湾曲しており、所定の曲率を有する凹曲面に形成されている。このように、半導体チップ1の回路面3の周縁には、その全周に亘って、滑らかに傾斜する傾斜面7が形成される。この傾斜面7は、半導体チップ1の加圧ボンディング時に形成される半導体チップ1の周囲にはみ出すフィレット部11のせき止め部として機能し、半導体チップ1の加圧ボンディング時のフィレット部11の樹脂の上方への這い上がりを防止する。また、仮に、半導体チップ1の加圧ボンディング時に、フィレット部11の樹脂が傾斜面7を超えて上方に這い上がったとしても、傾斜面7と連続する垂直面6により、樹脂が半導体チップ1の底面4まで到達するのが防止される。
【0024】
このように、傾斜面7および垂直面6の両方を半導体チップ1が有することにより、フィレット部11の樹脂が上方に這い上がって周囲の部材(ボンディングヘッド20)に付着することを確実に阻止することができる。また、傾斜面7を従来技術の段差部のように角張った直角状ではなく、滑らかに傾斜する形状に形成することにより、この傾斜面7に樹脂と半導体チップ1との界面における応力集中が起こりにくくなり、クラックの発生をさらに効果的に抑制することができる。
【0025】
さらに、傾斜面7が滑らかに傾斜する形状に形成されているため、加圧ボンディング時に、封止樹脂10が半導体チップ1の周囲にスムーズに押し出される。特に、半導体チップ1の四隅の角部においては、従来技術の段差部のように傾斜面7の形状を角張った直角状に形成すると、この直角部で樹脂のスムーズな押し出しが阻害されるため、長時間・高圧力で半導体チップ1を回路基板8に押し付けなければ、フィレット部11が形成されにくくなる。これに対して、本実施形態のように、傾斜面7を直角部のない滑らかに傾斜する形状に形成することで、傾斜面7での樹脂の押し出しがスムーズに行われる結果、長時間・高圧力で半導体チップ1を回路基板8に押し付けなくても、図8に示すように、フィレット部11の半導体チップ1の周囲にはみ出す状態を、角部も含めてほぼ全周に渡って均等な状態にすることができるので、半導体チップ1の周囲にクラックの発生を抑制するフィレット部11を良好に形成することができる。
【0026】
図1に戻って、垂直面6の高さdは、半導体チップ1の厚みDとの関係で、d/Dが1/2を超えると、半導体チップ1の周囲に充分なフィレット部11が形成されず、耐クラック性が劣るおそれがある。また、d/Dが0(つまり、d=0)であると、フィレット部11の樹脂が、仮に、傾斜面7を超えて上方に這い上がった場合に、半導体チップ1の底面4まで容易に到達してしまい、周囲の部材(ボンディングヘッド20)に樹脂が付着するおそれがある。そのため、垂直面6の高さdは、半導体チップ1の厚みDとの関係で、d/Dが0より大きく1/2より小さい範囲内にあることが好ましく、さらに言えば、1/5より大きく2/5より小さい範囲内にあることがより好ましい。
【0027】
また、傾斜面7の半導体チップ1の底面4に沿う長さlは、1μm以上であることが好ましい。これにより、十分なフィレット部11を形成することができるとともに、傾斜面7がフィレット部11の樹脂のせき止め部として十分に機能し、有効に樹脂の半導体チップ1の底面4への這い上がりを防止することができる。なお、本実施形態では、傾斜面7を凹状に湾曲した凹曲面に形成しているが、必ずしもこれに限られるものではなく、傾斜面が7が角張ったものにならない限りは、傾斜面7が直線状に傾斜していてもよい。
【0028】
半導体チップ1を上記した形状に加工する方法としては、例えば、レーザーアブレーションを用いることが好ましい。レーザーアブレーションの波長、出力、加工速度を調整することにより、傾斜面7の幅(上記長さl)、深さ(D−d)を調整することが可能である。なお、半導体チップ1の形状を加工する方法としては、レーザーアブレーションに限定されるものではなく、他の方法として、例えば、ブレードレードを用いて半導体チップ1の側面の一部が傾斜するように加工する方法、レーザーダイシングを用いる方法、ブレードの形状を工夫する方法、レーザーアブレーション法とレーザーダイシング法と併用する方法などが挙げられる。
【0029】
次に、半導体チップ1と回路基板8とが封止樹脂10により接合された半導体パッケージ9(図6および図7に示す)を製造する方法について説明する。この半導体パッケージ9の製造方法においては、まず、図2に示すように、半導体ウェハ90が用意される。半導体ウェハ90は、例えば、シリコン、ガリウム砒素などの半導体からなる円板状のもので、半導体ウェハの一方の面の回路面91には、突起電極2が所定のピッチで複数設けられる。
【0030】
次に、半導体ウェハ90を、必要に応じて接着シートなどに固定して、その裏面(回路面91とは反対の面)を研削して厚みが100μm以下となるまで薄化した後、半導体ウェハ90を複数の半導体チップ1に個片化する前に、半導体チップ1の側面5に上記した傾斜面7を形成する加工作業が行われる。この加工作業は、本実施形態では、レーザーアブレーションを用いることにより行われる。図3に示すように、半導体ウェハ90の半導体チップ1に個片化する仮想のダイシングライン92に沿って、レーザーアブレーション装置(波長355nmのYAGレーザー)を用いて、仮想のダイシングライン92の両側を、所望の幅lおよび深さD−d(例えば、半導体ウェハ91(半導体チップ1)の厚みDの約3/5〜4/5)で切り欠き、斜面が凹状に湾曲した凹曲面となるような傾斜面7を形成する。なお、レーザーアブレーションにより加工を行う場合には、デブリと呼ばれる噴出物が半導体ウェハ90の回路面91に付着するので、このデフリの付着を抑制するために、レーザーアブレーションを実施する前に予め、保護膜と呼ばれる水溶性のポリマーを半導体ウェハ90の回路面91に塗布することが好ましい。レーザーアブレーションを実施した後、半導体ウェハ90を水洗いすることにより、デブリごと保護膜が除去される。
【0031】
次に、加工作業が行われた半導体ウェハ1を、上記した仮想のダイシングライン92に沿ってダイシングして、複数の半導体チップ1に個片化する作業が行われる。これにより、形成された半導体チップ1の側面5には、底面4に連続して形成された垂直面6と、垂直面6に連続するとともに、半導体チップ1の内方へ向けて傾斜する凹曲面状の傾斜面7とが形成される(図1を参照)。なお、上記ダイシングの方法としては、特に限定されないが、例えば、従来公知のダイヤモンド製の回転砥石などを用いて切断分離する方法やレーザーダイシング法などを用いることができる。
【0032】
次に、半導体チップ1の回路面3上、または、回路基板8の電極回路面80上に、樹脂層12を形成する作業が行われる。樹脂層12は、半導体チップ1の回路基板8への実装時に、半導体チップ1と回路基板8との間の空隙を封止するものであり、例えばフィルム状樹脂をロールラミネータや真空ラミネータなどで半導体ウェハ1に貼り合わせた後、チップサイズに個片化したり、半導体チップ1の回路面3や回路基板8の電極回路面80に貼り合わせたりすることによって形成することができる。この他、樹脂層12は、例えばペースト状樹脂をディスペンサ法や印刷法、スピンコート法などによって半導体チップ1の回路面3や回路基板8の電極回路面80に塗布し、これを乾燥させることによっても形成することができる。図4では、回路基板8の電極回路面80上に樹脂層12が形成されている。
【0033】
樹脂層12を形成する材料としては、特に限定はされないが、例えば、エポキシ樹脂と硬化剤とを含有していることが好ましい。エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂を含有することが好ましい。上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂を含有することで、樹脂層12により形成される半導体チップ1と回路基板8との間の封止樹脂10(図6に示す)は、剛直で分子の運動が阻害されるため、優れた機械的強度および耐熱性を発揮する。これにより、フィレット部11による耐クラック性がさらに向上する。
【0034】
上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ジシクロペンタジエンジオキシド、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシ樹脂等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(以下、「ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂」ともいう。)、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリジジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(以下、「ナフタレン型エポキシ樹脂」ともいう。)、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボネートなどが挙げられる。中でも、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂を好ましく挙げることができる。
【0035】
また、樹脂層12を形成する材料には、上記エポキシ樹脂と反応可能な官能基を有する高分子化合物を含有してもよい。上記した高分子化合物は、造膜成分としての役割を果たす。また、上記した高分子化合物を含有することで、樹脂層12により形成される封止樹脂10は靭性をもち、優れた耐衝撃性を発揮することができる。上記した高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、アミノ基、ウレタン基、イミド基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などを有する高分子化合物が挙げられる。中でも、エポキシ基を有する高分子化合物が好ましく、エポキシ基を有する高分子化合物を含有することで、樹脂層12により形成される封止樹脂10は、上記したエポキシ樹脂に由来する優れた機械的強度、耐熱性および耐湿性と、上記したエポキシ基を有する高分子化合物に由来する優れた靭性とを兼備するため、得られる半導体チップ積層体は、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性などに優れるものとなり、高い接合信頼性および接続信頼性を発揮する。さらに、樹脂層12を形成する材料は、ベンゾオキサジン化合物やエピスルフィド化合物を含有していてもよい。
【0036】
また、硬化剤としては、特に限定されないが、フェノール系硬化剤、酸無水物硬化剤、イミダゾール系硬化剤などを好ましく挙げることができる。これらは、単独または二種以上の混合物として使用することができる。
【0037】
なお、図示例では、樹脂層12を回路基板8の電極回路面80に設けているが、半導体チップ1の回路面3に設けてもよく、また、ダイシング前の半導体ウェハ90の回路面91に樹脂層12を設け、樹脂層12ごとダイシングして半導体チップ1を形成してもよい。なお、ペースト状樹脂を半導体ウェハ90に設けた後に、ダイシングを行う場合には、ダイシング前に、予め樹脂を乾燥や加熱などすることにより、樹脂層12の粘着性を低下させておくことが好ましい。
【0038】
次に、複数の個片に分割された半導体チップ1のうち、その1つを取り出し、図4に示すように、これをボンディングヘッド20によりピックアップし、半導体チップ1を回路基板8にボンディングする作業が行われる。ボンディングヘッド20は、例えばセラミックなどの良好な熱伝導性を有する材料により形成されており、回路基板8を吸着保持するボンディングステージ21に対して上下方向に昇降動作可能に構成されている。ボンディングヘッド20の下面には、吸引孔22が形成されている。この吸引孔22には、図示しない配管を介してポンプと接続されており、ポンプによる空気吸引によって吸引孔22に吸引力を発生させることで、半導体チップ1が回路面3が下方を向いた状態でボンディングヘッド20に吸着保持されるようになっている。
【0039】
ボンディングステージ21は、水平方向またはθ方向に位置調整できるようになっている。ボンディングステージ21には、電極回路面80が上方を向くようにして回路基板8が載置されている。回路基板8の電極回路面80には、例えば銅電極、または銅表面に錫めっき(あるいはニッケル表面に金めっき)が施された複数の電極81が形成されており、ボンディングヘッド20および/またはボンディングステージ21の位置を調整することで、半導体チップ1の突起電極2を回路基板8の電極81に対して位置合わせできるようになっている。この位置合わせは、図4に示す認識カメラ23を用いることにより行われる。認識カメラ23は、ボンディングヘッド20とボンディングステージ21との間に挿入されるように往復動可能であり、半導体チップ1の回路面3および回路基板8の電極回路面80にそれぞれ対応するように設けられたアライメントマーク(図示せず)を画像認識することができるように構成されている。認識カメラ23が半導体チップ1と回路基板8との間に挿入され、各々のアライメントマークが認識カメラ23により認識されると、検出された画像認識データに基づき、各々のアライメントマークが予め規定された位置関係となるようにボンディングヘッド20またはボンディングステージ21の位置を調整することで、半導体チップ1の突起電極2と回路基板8の電極81とのアライメントが行われるようになっている。なお、この半導体チップ1の突起電極2と回路基板8の電極81とのアライメントにおいて、チップ側に樹脂がある場合、樹脂層12は、ある程度の透明性を有していることが好ましい。具体的には、ヘイズ値が75%以下、より好適には70%以下であることが好ましい。
【0040】
半導体チップ1と回路基板8との位置合わせの後、図5に示すように、半導体チップ1を吸着保持させたままボンディングヘッド21を下降させることで、半導体チップ1の回路面3を回路基板8の電極回路面80に接触させる。半導体チップ1が回路基板8に接触すると、ボンディングヘッド21によって半導体チップ1の回路面3を回路基板8の電極回路面80に押圧しながら、ボンディングヘッド21を図示しない加熱手段により予め設定されている加熱温度(約220℃〜320℃)まで加熱して、半導体チップ1を加熱することで、半導体チップ1と回路基板8とのボンディングが開始される。これにより、図6に示すように、半導体チップ1の突起電極2と回路基板8の電極81とが電気的に接続されると同時に、樹脂層12が加熱によって溶融し、半導体チップ1と回路基板8との間の空隙が封止樹脂10によって封止される。また、ボンディングヘッド21による加圧により、半導体チップ1の周囲に封止樹脂10がはみ出すことによりフィレット部11が形成される。
【0041】
所定の時間の加圧および加熱により、半導体チップ1と回路基板8とのボンディングが完了すると、ボンディングヘッド21による半導体チップ1の吸着保持が解除され、図7に示すように、ボンディングヘッド21は上昇し待機位置に戻る。なお、半導体チップ1の加熱ボンディングにあたっては、ボンディングステージ21を一定温度に加熱しながら行ってもよい。このとき、ボンディングステージ21の加熱温度としては、70℃〜150℃程度であることが好ましい。
【0042】
図8は、図6および図7に示す上記した構成の半導体1を樹脂により接合して回路基板8に実装させたできた半導体パッケージ9の半導体チップ1側から見た平面図である。この半導体パッケージ9では、上記したボンディングヘッド20による加圧時には、半導体チップ1の周囲から封止樹脂10がはみ出してフィレット部11が形成されるが、図6および図7に示すように、このはみ出したフィレット部11の樹脂が、半導体チップ1の側面5から上方に這い上がるのが、半導体チップ1の回路面3周縁に設けられた傾斜面7によって阻止される。具体的には、上方に這い上がる樹脂の流れが、傾斜面7で側方へと向かう樹脂の流れになり、これにより、加圧ボンディング時に、フィレット部11の樹脂が半導体チップ1の底面4に向けて流れ出すことが防止される。また、仮に、半導体チップ1の周囲にはみ出したフィレット部11の樹脂が、加圧ボンディング時に、傾斜面7を超えて上方に這い上がったとしても、傾斜面7と連続する垂直面6により、樹脂が半導体チップ1の底面4まで到達するのが防止される。このように、傾斜面7および垂直面6により、加圧ボンディング時に、樹脂が半導体チップ1の底面4まで到達してボンディングヘッド20に付着するのが阻止されるため、樹脂によるボンディングヘッド20の汚染を効果的に防止することが可能である。
【0043】
また、半導体チップ1の傾斜面7が凹状に湾曲した凹曲面に形成されているため、従来技術と比べると、加圧ボンディング時に、封止樹脂10が半導体チップ1の周囲にスムーズに押し出される。特に、半導体チップ1の四隅の角部においては、従来技術の段差部のように傾斜面7を角張った直角状に形成すると、この直角部で樹脂のスムーズな押し出しが阻害されるため、長時間・高圧力で半導体チップ1を回路基板8に押し付けなければ、フィレット部11が形成されにくいという問題があった。しかしながら、本実施形態のように、傾斜面7を角のない滑らかに傾斜する形状に形成することにより、傾斜面7での樹脂の押し出しがスムーズに行われる結果、この半導体パッケージ9では、フィレット部11の半導体チップ1の周囲にはみ出す状態が、角部も含めてほぼ全周に渡って均等な状態になる。つまり、図8に示すように、半導体チップ1の角部における前記フィレット部11のはみ出し長さL1と、半導体チップ1の辺中央部における前記フィレット部11のはみ出し長さL2とを比べると、L1の値をL2の値に近いもの(L2/L1の比で2以下)とすることができる。
【0044】
このように、本実施形態では、傾斜面7を、従来技術の段差部のように角張った形状ではなく、滑らかに傾斜する形状に形成することで、長時間・高圧力で半導体チップ1を回路基板8に押し付けなくても、半導体チップ1の周囲に十分なフィレット部11を形成することが可能となる。よって、厚さが100μm以下のような薄型の半導体チップ1についても、これを破損させることなく回路基板8に良好な状態で実装することが可能である。また、傾斜面7を角のない滑らかな形状に形成することにより、この傾斜面7に樹脂と半導体チップ1との界面における応力集中が起こりにくくなり、クラックの発生をさらに効果的に抑制することも可能である。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されない。直径20cmおよび厚み725μmであり、表面に、高さ35μmおよび幅35μmの正方形状の銅ポストの上に高さ20μmの半田電極が形成された、トータル高さ55μmの突起電極(バンプ)が50μmピッチでペリフェラル状に多数形成されている、1チップあたりの大きさが7.6mm×7.6mmの半導体ウェハ(シリコンウェハ)を用意した。この半導体ウェハの突起電極側面にバックグラウンドテープを貼り、半導体ウェハの裏面(突起電極側面とは反対の面)を、半導体ウェハの厚さDが約50μmになるまで研削した。その後、半導体ウェハの裏面にダイシングテープを貼り付け、半導体ウェハをダイシングテープ上にダイシングリングを用いて固定し、バックグランドテープを剥離した。その後、半導体チップに分割する仮想のダイシングラインに沿って、レーザーアブレーション装置(波長355nmのYAGレーザー)を用いて、図3に示すような、幅lが20μm、深さ(D−d)が30μmの凹曲面状の傾斜面7を作製した。なお、レーザーアブレーションの前に保護膜を半導体ウェハの突起電極側面に塗布し、レーザーアブレーションの実施後、この保護膜をデブリごと除去した。その後、ダイシング装置「DFD6361」(DISCO社製)を用いて、カット幅が20μmになるようにブレードを選択し、送り速度50mm/秒で半導体ウェハをダイシングラインに沿って分割して、半導体チップを得た。
【0046】
次に、15mm×15mmの回路基板の電極回路面上に樹脂層を形成した。樹脂層の材料としては、下記に示す各材料(1)〜(8)を、固形分濃度50重量%となるようにメチルエチルケトンに加え、ホモディスパーを用いて攪拌混合することにより調整した。得られた樹脂材料を、10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、回路基板の前記半導体チップに対応する箇所にディスペンスした。
(1)エポキシ樹脂
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(EXA−830−CRP、DIC社製):8重量部
(2)エポキシ基を有する高分子化合物
・エポキシ基含有アクリル樹脂(ブレンマーCP−30、日油社製):1重両部
(3)ゴム変性エポキシ樹脂
・NBR変性エポキシ樹脂(EPR−4033、アデカ社製):1重両部
(4)硬化剤
・酸無水物(YH−306、ジャパンエポキシレジン社製):4重両部
(5)硬化促進剤
・イミダゾール化合物(2MA−OK、四国化成工業社製):0.5重両部
(6)接着性付与剤
・イミダゾールシランカップリング剤(SP−1000、日鉱マテリアル社製):0.1重両部
(7)チキソトロピー付与剤
・ヒュームドシリカ(表面親水基含有チキソトロピー付与剤、QS−40、トクヤマ社製):0.05重両部
(8)シリカフィラー
・球状シリカ(SE−4050−SPE、アドマテックス社製、平均粒子径1μm、最大粒子径5μm):10重両部
【0047】
樹脂層を設けた回路基板に半導体チップをフリップチップボンダー(FC3000 東レエンジニアリング製)にてボンディングして実装した。実装条件は、半導体チップを150℃に加熱しながら、ボンディングヘッドにより10Nの力で1秒間、回路基板に押し付けた後、半導体チップを280℃に加熱しながら、1Nの力で3秒間、回路基板に押し付けた。
【0048】
これにより形成された半導体パッケージについて、「樹脂の這い上がり」、「フィレット形状」、「クラックの有無」についての観察を行った。なお、「樹脂の這い上がり」については、加圧ボンディング時にフィレット部の樹脂が半導体チップの側面を上方に這い上がって、ボンディングヘッドの表面に樹脂が付着したか否かにより評価した。ボンディングヘッドに樹脂が付着していない場合を「○」と、ボンディングヘッドに樹脂が付着している場合を「×」とした。また、「フィレット形状」については、形成された半導体パッケージを上から見たときに半導体チップの辺中央部におけるフィレット部のはみ出し長さL2(単位:μm)と半導体チップの四隅の角部におけるフィレット部のはみ出し長さL1(単位:μm)を顕微鏡にて測定し、これを比較することにより評価した。また、「クラックの有無」については、得られた半導体パッケージについて、−55℃、2分間と、125℃、2分間とを1サイクルとする温度サイクル試験を行い、1000サイクル後の半導体パッケージについて、超音波映像装置(日本バーンズ社製「ソノスキャン モデル D9500」)によりクラック有無の観察を行った。また、導通抵抗値の変化を確認し、導通抵抗値が10%以上変化したものを不良品とし、10個のサンプルについて、良品と判定されたものの個数を評価した。その評価結果を、表1に示す。なお、比較例1として、レーザーアブレーション装置を用いずに、いわゆるステップカット法により、図9に示すように、半導体チップ1´の側面の段差部7´(実施例では傾斜面7)を、角張った直角状に形成した以外は実施例と同様にして得た半導体パッケージについて、同様の評価を行った。段差部7´としては、厚みD´が50μmの半導体チップ1´に対して、深さd´が20μmで、幅l´が20μmであった。また、比較例2として、半導体チップの側面に段差部7´も傾斜面7も形成しない以外は実施例と同様にして得た半導体パッケージについて、同様の評価を行った。比較例1,2の評価結果も表1に併せて示す。
【0049】
【表1】

【0050】
表1から分かるように、実施例の半導体パッケージでは、傾斜面により、加圧ボンディング時に、フィレット部の樹脂が這い上がり、半導体チップの底面に到達してボンディングヘッドに付着するのが阻止されていることが確認された。また、比較例(従来技術)の半導体パッケージと比べて、傾斜面(段差部)が角のない滑らかに傾斜する形状に形成されていることで、クラック発生の抑制が可能であることが確認された。さらに、半導体チップの辺中央部におけるフィレット部のはみ出し長さL2と、半導体チップの角部におけるフィレット部のはみ出し長さL1とを比べると、その比L2/L1が2より小さいことから、傾斜面が角のない滑らかに傾斜する形状に形成されていることにより、フィレット部を、角部も含めて半導体チップの周囲に十分にはみ出した状態に形成できることが確認された。
【符号の説明】
【0051】
1 半導体チップ
2 突起電極
3 回路面
4 底面
5 側面
6 垂直面
7 傾斜面
9 半導体パッケージ
11 フィレット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路面に突起電極を有する平板状の半導体チップであって、
前記回路面よりも面積の大きい底面と、前記回路面と前記底面とを繋ぐ側面とを備えており、
前記回路面と前記底面との間の厚みDが100μm以下であり、
前記側面は、前記底面に連続して形成された垂直面と、前記垂直面に連続して形成されるとともに、前記回路面に連続するように内方へ傾斜した傾斜面とを有し、前記垂直面の高さをdとした場合に、d/Dの値が0より大きく、かつ、1/2より小さいことを特徴とする半導体チップ。
【請求項2】
前記傾斜面は、凹状に湾曲した凹曲面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体チップの前記突起電極が回路基板の一方の面に電気接続されているとともに前記半導体チップと前記回路基板とが樹脂により接合されている半導体パッケージであって、
前記樹脂により形成された前記半導体チップの周囲にはみ出すフィレット部を有し、前記フィレット部は、前記半導体チップの前記傾斜面により堰止めされており、かつ、前記半導体チップの角部における前記フィレット部のはみ出し長さL1に対する半導体チップの辺中央部における前記フィレット部のはみ出し長さL2の比L2/L1が2より小さいことを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項4】
回路面に突起電極を有する半導体チップと回路基板とが樹脂により接合されている半導体パッケージの製造方法であって、
前記回路面、底面、および前記回路面と前記底面とを繋ぐ側面とを備え、前記回路面と前記底面との間の厚みDが100μm以下である平板状の前記半導体チップを準備する準備工程と、
前記半導体チップの回路面または前記回路基板の一方の面の少なくとも一方に、樹脂層を形成する樹脂形成工程と、
前記半導体チップの前記突起電極を前記回路基板の一方の面に電気接続するとともに前記樹脂層を介して前記半導体チップと前記回路基板とを接合する接合工程とを含み、
前記準備工程では、前記半導体チップの前記側面が、前記底面に連続して形成された垂直面と、前記垂直面に連続するとともに、前記回路面が前記底面よりも面積が小さくなるよう前記半導体チップの内方へ向けて傾斜する傾斜面とを有するように、前記側面を加工する加工工程を含むことを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
【請求項5】
前記加工工程において、前記傾斜面は、凹状に湾曲した凹曲面に形成されることを特徴とする請求項4に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項6】
前記加工工程において、前記垂直面の高さをdとした場合に、d/Dの値が0より大きく、かつ、1/2より小さくなるように前記側面を加工することを特徴とする請求項4または5に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項7】
前記加工工程において、レーザーアブレーションにより前記側面を加工することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の半導体パッケージの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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