説明

半導体デバイスとの高信頼接続構造。

【課題】半導体デバイスと信号をやり取りする際に確実に半導体デバイスのリード端子と
接触でき、尚且つ清掃も容易に可能とする構造を実現する事が課題である。
【解決手段】図2は本発明の半導体デバイスとプリント配線板の接続構造を示した断面図
である。1の半導体デバイスの2のリード端子とこのリード端子と同じ間隔で配
置された5のランド1を施した6のプリント配線板1の間に9のフレキシブルプ
リント配線板2と10の異方向導電ゴムを挟み込んでいる。9のフレキシブルプ
リント配線板2の表面と裏面には1の半導体デバイスの2のリード端子と同じ間
隔で7のパッド1と8のパッド2が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は半導体デバイスと信号をやり取りするにあたり、接触抵抗を減らし、接触
不良を無くす構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に示す様に従来半導体デバイスの検査などを行う場合、半導体デバイスと信号
のやり取りが必要なためICソケットを使用していた。 このICソケットは図1に
示す様な3の接触用ピン1が内蔵されており、1の半導体デバイスを4のICソケッ
トに挿入した後に3の接触用ピン1のバネの力で1の半導体デバイスの2のリード
端子に接触させる構造となっているのが一般的であった。
【特許文献1】特開平11−23650
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体デバイスと信号のやり取りを行うためには、半導体デバイスのリード端子を
半導体デバイスが実装されるプリント基板のランド上に置いて半田付けを行ってい
る。しかし、半導体デバイスの検査などで半田付けが出来ない場合はICソケットを
使用している。 このICソケット内にある接触用のピンと半導体デバイスのリード
端子が接触する構造になっているが、近年の半導体デバイスの多ピン化、鉛フリー
メッキ化やパッケージ構造の多様化で半導体デバイスのリード端子とICソケット間
の接触不良が問題となってきている。 尚且つ、ICソケットは内蔵されている接触
用のピンの表面の清掃が通常では難しく接触不良を悪化させることとなっている。
【0004】
特に近年は自動車などに多くの半導体デバイスが使用されてきており、半導体デバ
イスの出荷検査もしくは寿命加速検査など信頼性試験において接触不良は多くの問
題と不安をかかえることになる。
【0005】
又、ICソケット内にある接触用のピンが長くプリント基板から接触子まで距離がある
ため、この配線長が高周波インピーダンスを上げて高周波特性が劣化する。そのため
高周波における検査などが問題となっている。
【0006】
解決しようとする課題は、半導体デバイスと信号をやり取りする際に確実に半導体
デバイスのリード端子と接触が長期的にも安定にとれて清掃も容易になり、尚且つ
高周波特性の劣化が無い構造を実現する事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図2は本発明の半導体デバイスとプリント配線板の接続構造を示した断面図である。
1の半導体デバイスの2のリード端子とこのリード端子と同じ間隔で配置された5
のランド1を施した6のプリント配線板1の間に9のフレキシブルプリント配線板
2と10の異方向導電ゴムを挟み込んでいる。9の表面と裏面には1の半導体デバ
イスの2のリード端子と同じ間隔で7のパッド1と8のパッド2が施されている。
【0008】
7のパッド1及び8のパッド2を施した9のフレキシブルプリント配線板2は可能
な限り薄く製作しており7のパッド1及び8のパッド2は貫通スルホールで夫々接
続されている。尚、9のフレキシブルプリント配線板2は柔軟性のある基板で代用
することも可能である。
【0009】
10の異方向導電ゴムは6のプリント配線板1の5のランド1と9のフレキシブル
プリント配線板2の8のパッド2間で信号を接続する役目で挿入しており、尚且つ
弾性を持っているためバネの役目もしている。
【0010】
図2の状態で上下から圧力を加えることで1の半導体デバイスの2の夫々リード端
子と9のフレキシブルプリント配線板2の7の夫々のパッド1が接続されることに
なる。9のフレキシブルプリント配線板2の7のパッド1は夫々の貫通スルホール
を介して9のフレキシブルプリント配線板2の裏面の8のパッド2に夫々接続され
ている。尚且つ9のフレキシブルプリント配線板2の裏面の8のパッド2は10の
異方向導電ゴムと接続されているため、10の異方向導電ゴムを介して6のプリン
ト配線板1の5のランド1と接続される。すなわち専用のICソケットを使用する
ことなく半導体デバイスとプリント配線板間の接続が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本考案の接続構造とすることで半導体デバイスのリード端子が9のフレキシブルプ
リント配線板2の7のパッド1と面接触(多点接触)するため極めて高い接触安定
性で信号のやり取りを行うことが可能になった。
【0012】
又、プリント配線板と異方向導電ゴムのみで構成できるため、新規半導体デバイス
用で必要となっていた専用のICソケットの金型の製作などが不要となるため専用
のICソケットに比べ製作に関わる費用の低減及び工期の短縮が見込める。
【0013】
又、専用のICソケットは通常樹脂などで形成されており、半導体デバイスをソケ
ットの中に挿入して接続させるため、半導体デバイスよりも大きくなるが、今回考
案した接続構造は半導体デバイスと同じ大きさとなるため、専用のICソケットと
比べると試験などに使用するプリント配線板が小型化できる。
【0014】
たとえば、専用ICを多量に使用する半導体デバイスの寿命加速試験に使用される
電気信号及び電源供給試験基板については、専用のICソケットの変わりに今回考
案の接続構造を使用することで接触安定性が格段に向上し、より多くの半導体デバ
イスを電気信号及び電源供給試験基板に搭載して試験を実施しても接触不良による
不具合が非常に少ないため試験の効率が大幅に向上する。
【0015】
更に接続が半導体デバイスをプリント基板に実装した状態と同じ構造のため、GND
層や電源層に1mm以下で接続できるため高速動作時の電源安定性が大きく改善し、
実機と同等の動作環境が実現できる。これは最近の高速デバイス試験に大きな問題
となっているが、容易に解決が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本考案は、半導体デバイスをプリント配線板に実装する前に実施される評価及び半
導体製造メーカが半導体デバイスを出荷前に実施するバーンイン工程に使用するこ
とが最良の形態である。またICハンドラで半導体デバイスとの接続に使うことも
大きなメリットが出る。
【実施例1】
【0017】
図3に今回考案した接続構造を使用した実施例の断面図を示す。従来の電気信号及
び電源供給試験基板に搭載されていた専用のICソケットの替わりに今回考案した
接続構造を使用した半導体デバイスの寿命加速試験を行うボードを示している。
【0018】
1の半導体デバイスの2のリード端子とよばれる入出力端子と1の半導体デバイス
の2のリード端子と同じ間隔で12のランド2が施されている11の電気信号及び
電源供給試験基板の間に9のフレキシブルプリント配線板2と10の異方向導電ゴ
ムを挟み込んでいる。9のフレキシブルプリント配線板2の表面と裏面には1の半
導体デバイスの2のリード端子と同じ間隔で7のパッド1と8のパッド2が施され
ており又表面と裏面の夫々のランドは貫通スルホールで接続されている。
【0019】
この状態に上下から圧力を印加することにより、1の半導体デバイスの2のリード
端子と9のフレキシブルプリント配線板2の表面の7のパッド1が接続され又、貫
通スルホールを通じて9のプリント配線板2の裏面の8のパッド2にも接続される
こととなる。尚且つ、10の異方向導電ゴムを通じて11の電気信号及び電源供給
試験基板の12のランド2に接続される。11の電気信号及び電源供給試験基板の
12のランド2は11の電気信号及び電源供給試験基板に配置された13のエッジ
に夫々接続されており、13のエッジを通して寿命加速試験と信号のやり取りを行
うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本考案は半導体デバイスとの接続治具に係わらず、接触不良が問題となる個所に
利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来のICソケットの構造を示す断面図
【図2】本考案の接続構造を示す断面図
【図3】本考案の実施例を示す概略図
【符号の説明】
【0022】
1 半導体デバイス
2 リード端子
3 接触用ピン1
4 ICソケット1
5 ランド1
6 プリント配線板1
7 パッド1
8 パッド2
9 フレキシブルプリント配線板2
10 異方向導電ゴム
11 電気信号及び電源供給試験基盤
12 ランド2
13 エッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号のやり取りを行うため、半導体デバイスのリード端子と接続する構造に関し、
半導体デバイスの入出力端子と多点接触をすることで極めて高い接触信頼性を得
ることが可能となる接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−222162(P2011−222162A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87288(P2010−87288)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(594039572)山田電音株式会社 (14)
【Fターム(参考)】