説明

半導体パッケージ

【課題】 放熱効率の高い半導体パッケージを得る。
【解決手段】 セラミック基板の主面上に設けた一対の上面電極のランド上にLED素子などの半導体素子を搭載した半導体パッケージにおいて、セラミック基板11の下面に設けた一対の下面電極12c、13cに、光拡散反射手段を設けた絶縁体21を挟んで左右に設けた一対の導電体22、23からなる基板20を接合し、更に、内面に導電金属膜14を設けたビア11c、11eをセラミック基板11に設けると共に、ビア11c、11eの導電金属膜14を上面電極12a、13a、下面電極12c、13c、並びに導電体22、23に連結して、ビアを介する放熱バイパス経路を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装型の半導体パッケージに関し、特に発光ダイオードのように発熱が生じる半導体の放熱性を高める半導体パッケージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以降、LEDと呼ぶ)などの半導体素子は発光することにより発熱し、その発熱した熱によって機能が低下すると云う問題を有する。以下、LEDのパッケージを取り上げて従来技術を説明する。
【0003】
LEDはAlInGaPやGaNなどの化合物半導体で形成し、その上にPN接合を形成して、これに順方向電流を通じて可視光などの発光を得るものである。近年、照明の他に、表示、通信、計測、制御などに広く応用されている。一方、近年の電子機器は、高性能化、多機能化と共に、小型化、軽量化も求められ、プリント基板上に表面実装ができるパッケージ構造の装置部品としたものが多くなってきている。
【0004】
従来のLEDパッケージ装置の構造は、概ね、図7、図8に示すような構造を取っている。図7は従来のLEDパッケージの斜視図を示しており、図8は図7における要部断面図を示したものである。図7、図8より、従来のLEDパッケージ60は、LED素子61と配線基板65とが主要構成部品になって構成されている。ここでのLED素子61はフリップチップ実装した素子を示しており、その下面に2極(カソード電極とアノード電極)のバンプ61a、61bを持っていて、平面実装型のLED素子になっている。配線基板65は絶縁基板66とその表面の一部分に設けた一対の電極(カソード電極、アノード電極)67、68とから構成されている。 そして、一対の電極67、68のランド部分において、電極67、68とLED素子61のバンプ61a、61bとがフリップチップ実装されて接合される。そして、このLEDパッケージはマザーボード上に半田付けされて使用される。
【0005】
ここで、絶縁基板66は絶縁性・耐熱性に優れたガラスエポキシ樹脂などの樹脂で形成し、一対の電極67、68は、銀ペーストを印刷で形成し、その上に金メッキなどを施して形成する方法などが取られている。この一対の電極67、68は、絶縁基板66の図中左右に対向した状態で一対形成され、電極67は上面側の電極67a、側面側の電極67b、下面側の電極67cとの3つの電極部分から構成されている。同様に、電極68も上面側の電極68a、側面側の電極68b、下面側の電極68cとの3つの電極部分から構成されている。対向している上面側の電極67a、68aは一部分中心側に向かって突き出た部分を持っており、その突き出た部分のランド部分でLED素子61のバンプ61a、61bとボンデングされるようになっている。また、下面側の電極67c、68cはマザーボードと半田付けされるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LED素子は駆動すると発熱し、長時間の使用中に劣化してくる。このため、放熱性を高めることが求められている。この放熱性を高める技術の一つとして下記の特許文献1に開示されたものがある。
【0007】
【特許文献1】特許公開2002−270904号公報
【0008】
図9に示すものは、上記特許文献1に示されたもので、素子マウント部材の周辺部の構成を抜き出して示したもので、(a)図は素子マウント部材の一主面側を示す平面図で、(b)図は(a)図におけるA−A線に沿う断面図を示している。この半導体パッケージ装置は、素子マウント部材76の主面側に設けた素子パターン電極上に発光素子71が導電ペーストまたは半田などを介して固着されている。また、素子マウント部材76の主面側の左右には導電パターン77、78が設けられて、その上面にリードフレームのインナーリード72aが一対接合されている。また、素子マウント部材76には貫通穴76aが設けられており、この貫通穴76aを通して発光素子71の発光した光が放射されるような発光素子71の配置になっていて、発光素子71の発光面側の発光面電極が導電パターン78と接続した素子パターン電極と接合されている。一方、発光素子71の非発光面側の基板面電極71aは金細線73を介してリードフレームの所定のインナーリード72aとワイヤボンディングされている。
【0009】
上記構成における素子マウント部材76は熱伝導率が比較的高いアルミナや窒化アルミなどの絶縁材から形成しており、また、インナーリード72aを構成するリードフレームはFe合金またはCu合金で形成している。
【0010】
上記の構成を取ることで、発光素子71の主に発光面より発生する熱を、直ちに熱伝導率の高いアルミナなどからなる素子マウント部材に伝えることになり、熱の放熱経路を従来より短くすることができ、放熱効率を高める効果を得たものである。
【0011】
しかしながら、上記構成のものは、熱伝導率の高いアルミナを用いて放熱経路を従来のものより短くしたとは云え、アルミナの熱伝導率は21w/m・k前後であることからして、放熱効率が十分であると云える状態にはない。
【0012】
また、図7に示される所のフリップチップ実装したLED素子のパッケージにおいては、配線基板をアルミナで形成した場合に、基板の光透過率も高くなり、LEDの発光した光が基板を介して外部に漏れていくことが起こる。このため、光の利用効率が悪くなると云う問題を有する。
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みて成されたもので、更に、放熱効率が高く、且つ、光の利用効率が高いパッケージ構成を見いだすことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する手段として、本発明の請求項1に記載の発明は、セラミック基板の主面上に設けた一対の上面電極のランド上に半導体素子を搭載した半導体パッケージにおいて、前記セラミック基板の主面の反対側にあたる下面に、光拡散反射手段を設けた絶縁体と、該絶縁体を挟んで左右に設けた一対の導電体と、を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、前記の絶縁体を搭載した半導体素子の真下の位置に配したことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、前記の絶縁体と前記の一対の導電体は連結されて1枚の基板を成していることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、前記の光拡散反射手段は前記絶縁体の表面に設けた微少な凹凸のある梨地面であることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、前記の光拡散反射手段は前記絶縁体の中に分散した微粒子粉末であることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、前記の一対の導電体はCu金属板にAg,Au,Ni,Pd,Sn,Sn−Pdなどの金属メッキを少なくとも1種施したものであることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、前記の一対の導電体をセラミック基板の下面に設けた一対の下面電極とそれぞれ導電接合材を介して接合していることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の請求項8に記載の発明は、前記の導電接合材は銀ロー材であることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の請求項9に記載の発明は、前記のセラミック基板に設けた一対の上面電極のそれぞれの電極形成領域内にそれぞれ少なくとも1個のビアを設け、該ビアの内面に導電金属膜又は該ビアの内部に導電金属ペーストを設けると共に、該導電金属膜又は該導電金属ペーストを前記の上面電極、及び前記のセラミック基板の下面に設けた一対の下面電極、並びに下面電極と接合した導電体とそれぞれ連結したことを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の請求項10に記載の発明は、前記のビアの大きさがφ0.1〜0.3mmであることを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の請求項11に記載の発明は、前記のビアの内面に設けた導電金属膜は、Ag,Cu,Sn,Al,Ni,Au金属の少なくとも1種からなる金属膜であることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明の請求項12に記載の発明は、前記のビアの内面に設けた導電金属膜は、Ag,Cu,Au金属の少なくとも一種からなる金属ペーストを焼成して金属膜を形成し、該形成した金属膜の上にNiメッキやAuメッキなどを施してNi金属膜やAu金属膜などを積層した金属膜であることを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明の請求項13に記載の発明は、前記のビアの内部に設けた導電金属ペーストは、Ag,Cu,Sn,Al,Ni,Au金属の少なくとも1種を分散した金属ペーストであることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明の請求項14記載の発明は、前記のセラミック基板がアルミナよりなることを特徴とするものである。
【0028】
また、本発明の請求項15に記載の発明は、前記の一対の上面電極、及び前記一対の下面電極、及び該上面電極と下面電極に接続して前記セラミック基板の両端の長穴スルホールに設けた一対の側面電極が、Ag金属膜とNi金属膜とAu金属膜の積層膜からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0029】
発明の効果として、請求項1に記載の発明によれば、一対の導電体は放熱効率を高めるために設けるもので、導電体を請求項6に記載のCu金属板で形成し、更に、この導電体を請求項7と請求項8に記載のセラミック基板の下面電極に銀ロー材で接合し、更に、請求項9に記載の導電金属膜を内面に形成したビアを設けて導電体と連結する構造を作り、ビアの内面の導電金属膜を請求項11又は請求項12に記載の金属膜にすることによって、熱伝導率の高い金属での放熱バイパス経路が形成される。そして、この放熱バイパス経路によって更なる放熱が促進されて、高い放熱効果が得られるパッケージになる。また、ここに使用される熱伝導率の高い金属は導電率の高い金属でもあるので電気的抵抗は低い。
【0030】
また、請求項1に記載の発明によれば、光拡散反射手段を設けた絶縁体を請求項2に記載の半導体素子の真下に配置する構造を取っている。LED素子などの半導体素子では絶縁体に設けた光拡散反射手段によって、セラミック基板を透過した光を散乱反射させてLED素子の搭載側の方に光を放射する。これによって、LED素子の光放射面側に光が集光することになり、光の利用効率を高めることになって明るい輝度が得られる効果を生む。
【0031】
また、光拡散反射手段を請求項4に記載の梨地面で構成すれば、サンドブラスト法や化学的エッチング法などで容易に形成することができるので、形成方法が簡単でコストもかからない。又、光拡散反射手段を請求項5に記載の絶縁体の中に分散した微粒子粉末で構成すると、絶縁体の基材に微粒子粉末を混ぜ合わせることによって形成することができるので、これも簡単でコストがかからない。
【0032】
また、この絶縁体と一対の導電体を連結して、請求項3に記載の如く、1枚の基板に形成すれば、ユニット化されるので取扱いが容易になると共に、セラミック基板への接合作業が楽になる。
【0033】
また、上記のビアの大きさを、請求項10に記載の如く、φ0.1〜0.3mmにすることによって、その内面に均一な膜厚の導電金属膜を形成することができる。或いはまた、その内部にムラなく導電金属ペースト層を設けることができる。このことは放熱効率を高める効果を生む。
【0034】
また、上記のセラミック基板を、請求項14に記載の如く、アルミナで形成すると、アルミナは絶縁性が良いと同時に比較的熱伝導率が高いので放熱効率を高める。
【0035】
また、上記のセラミック基板に設ける電極を、請求項15に記載の如く、Ag金属膜、Ni金属膜、Au金属膜の積層膜で形成することによって、これらの金属が電導性、熱伝導性、耐腐蝕性などに優れていることにより、放熱効果を高めて初期の品質を長期間に渡って維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の最良の実施形態を図1〜図6を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態を説明するに当たって、発熱が生じる半導体素子としてLED素子を取り上げて説明することにする。図1は本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの斜視図であり、図2は図1における半導体パッケージの上面図、図3は図2におけるD−D断面図、図4は図1における半導体パッケージの下面図を示している。また、図5は本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージの斜視図であり、図6は図5における半導体パッケージの要部断面図を示している。尚、背景技術で説明した構成部品と全く同一の構成部品は同一符号を付して説明する。
【0037】
図1、図2、図3、図4より、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージ30は、配線基板10と、その上に搭載したLED素子(発光ダイオード)61と、配線基板10の下面に設けた基板20とが主要構成部品になって構成されている。ここでのLED素子61は、従来例と同様に、フリップチップ実装した素子を用いており、その下面に2極(カソード電極とアノード電極)のバンプ61a、61bを持っていて、平面実装型のLED素子になっている。配線基板10は、アルミナよりなるセラミック基板11にカソード電極とアノード電極に対応する一対の電極12、13をその表面の一部分に設けたもので、一対の電極12、13のランド部分(LED素子をボンデングする部分)でLED素子61のバンプ61a、61bがボンデングされて一体的にLED素子61が搭載される。配線基板10の下面に設けられる基板20は、光拡散反射手段を設けた絶縁体21と、この絶縁体21を挟んで一体的に左右に設けた一対の導電体22、23とから構成されており、ロー付けなどの接合手段によって配線基板10と一体になっている。そして、この一対の導電体22、23がマザーボードに半田付けされることによってこのパッケージ30がマザーボードに固定されて使用されるようになっている。
【0038】
配線基板10を構成するセラミック基板11は、アルミナ材で図中方形な形状に形成されていて、左右に一対の長穴スルホール11a、11bを設けている。また、一対の電極12、13の形成領域内のそれぞれの2箇所に、小孔なるビア11c、11dと11e、11fを設けている。図中では、電極12の形成領域内にビア11c、11dを、電極13の形成領域内にビア11e、11fを設けている。このセラミック基板11は特に方形な形状に限定するものではなく、適宜製品仕様に合った形状が選択される。
【0039】
セラミック基板11の表面の一部分に設ける一対の電極12、13は、それぞれセラミック基板11の上面側、側面側、下面側にと連結した電極になっており、電極12は上面電極12aと側面電極12bと下面電極12cとから構成されている。また同様に、電極13は上面電極13aと側面電極13bと下面電極13cとから構成されている。セラミック基板11の主面にあたる上面に設けられた一対の上面電極12a、13aは対向した状態で設けられており、それぞれ中央に向かって突出した部分を持っている。そして、その突出部分の先端側がLED素子61とボンデングされるランドの部分になっている。また、セラミック基板11に設けるビア11c、11dと11e、11fはそれぞれ上面電極12a、13aの形成領域の中に設けられている。
【0040】
側面側の一対の側面電極12b、13bはセラミック基板11に設けた一対の長穴スルホール11a、11bの部分にそれぞれ設けてあり、下面側の一対の下面電極12c、13cはそれぞれ対向した状態で設けてある。セラミック基板11の上面電極12の形成領域内に設けたビア11c、11dは下面電極12cの形成領域内にあり、上面電極13の形成領域内に設けたビア11e、11fは下面電極13cの形成領域内にある。
【0041】
一対の電極12、13は、5〜10μm膜厚のAg金属膜と5μm前後の膜厚のNi金属膜と0.1μm以下の膜厚のAu金属膜の3層からなる金属膜でできている。導電性や熱伝導性の優れたAg金属を用い、また、導電性や熱伝導性、耐腐蝕性に優れたAu金属を用いているので、導電性、放熱性、耐触性に優れたものとなっている。
【0042】
この一対の電極12、13の形成方法は、最初に、Agペーストを用いてスクリーン印刷などの印刷方法でセラミック基板11上にAgペースト膜を形成する。AgペーストはAg金属粉をバインダーに混ぜ合わせてペースト状にしたものである。次に、焼成を行ってバインダー成分を蒸発させ、Ag金属粉をセラミック基板11上に焼き付けてAg金属膜を作る。焼成温度は用いたバインダーによって異なるが、概ね、600°C〜850°Cの範囲の中で設定される。次に、セラミック基板11のAg金属膜の上にNiメッキを施してNi金属膜を形成し、更に、Auメッキを施してAu金属膜を形成する。これにより、Ag金属膜、Ni金属膜、Au金属膜の3層からなる積層膜が形成される。
【0043】
上記の一対の電極12、13の形成領域内でランドの近傍に設けた小孔からなるそれぞれ2個のビアは、孔径がφ0.1〜0.3mmの範囲にあって、その内面に、一対の電極12、13と同じ金属材料で導電金属膜14を設けてある。即ち、Ag金属膜とNi金属膜とAu金属膜の3層からなる導電金属膜になっている。そして、それぞれ2個のビアの内面に設けた導電金属膜14は上面電極12a、13a及び下面電極12c、13cとそれぞれ連結して接続している。この導電金属膜14は、一対の電極12、13と同じ形成方法を取っており、最初に、Agペーストを印刷方法でビアの中に流し込み、高温焼成して内面にAg金属膜を形成させ、その後にメッキ方法でNi金属膜とAu金属膜を積層している。
【0044】
ビアの孔径はφ0.1〜0.3mmの範囲が最良である。孔径がφ0.1mmより小さいと印刷時に金属ペーストが内部に十分流し込むことができなくなる。また、φ0.3mmより大きくなると金属ペーストを内部に流し込むことは容易になるが、内面への付着量にバラツキが現れて、金属膜としたときに膜厚のバラツキが現れてくる。そして、膜厚の不均一は放熱効率を下げる結果を生む。ビアの孔径はセラミック基板の厚みも考慮して設計するのが好ましい。セラミック基板の厚みが厚いにも拘わらずビアの孔径を小さく取ると金属ペーストを十分に奥の方まで流し込むことができなくなる。従って、セラミック基板が厚い場合は上記範囲の中で少し大きめの孔径を選択するのが良い。また、セラミック基板11の厚みが薄くなってくると小さ目の孔径を選択しても良い。
【0045】
ビアの内面に設ける導電金属膜は、特にAg金属膜、Ni金属膜、Au金属膜などに限定するものではない。導電性があって熱伝導性が高い金属を用いると良い。Cu金属などは熱伝導率が394w/m・k前後とあってAg金属の419w/m・k前後の数値に近い熱伝導率を持っている。Al金属なども好適で、Sn金属なども選択することができる。
【0046】
また、導電金属膜は、本実施形態の如く3層の積層した金属膜に限定するものではない。Al金属膜やAu金属膜などは熱伝導性や耐触性にも優れているので1層でも十分な効果を生む。Ag、Cu、Al、Au、Sn、Niなどの金属から導電性、熱伝導性、耐触性、コスト性などを考慮して適宜に選択して金属膜を形成するのが良い。そして、1層からなる金属膜で構成しても良いし、複数の金属膜を積層して構成しても良い。また、異なった金属を混ぜ合わせた金属膜としても良い。
【0047】
ビアは、本実施形態においては、一対の電極12、13にそれぞれ2個ずつ設けているが、特に2個に限定するものではない。ビアは数が多ければ多いほど良い。放熱面積を大きく取ることにもなり、また、下面電極や後述する導電体に早めに熱を伝えることにもなり、放熱効率を高める効果を生む。また、ビアはできるだけランドに近い位置に設けるのが好ましい。LED素子の発熱した熱が一対の電極や複数のビアを経由して伝わっていくので、伝わる経路が発生源の近くに沢山有って、且つ、その経路の面積が大きければ大きいほど放熱効率がアップする。ビアの数や配設位置は電極12、13の面積の大きさや、放熱効率などを考慮して適宜に設定するのが良い。
【0048】
セラミック基板11はアルミナ(Al)材から形成している。アルミナは熱伝導率が21w/m・k前後と比較的高いので放熱効果を助ける。また、高温・高圧の下で焼き固めて生成しているので、金属ペーストを600°C〜850°Cの温度で焼成しても基板に何らの問題も生じない。配線基板10のセラミック基板11をアルミナで形成することによって、基板自体の放熱性を高めて、且つ、導電性や熱伝導性の高い金属膜を設けることができる。
【0049】
本実施形態の基板20は左右一対の導電体22、23の間に光拡散反射手段を設けた絶縁体21が一体になったもので構成している。また、一対の導電体22、23はCu金属板にNiメッキとAuメッキを施して、Ni金属膜とAu金属膜を形成したものを用いている。Cuの熱伝導率は394w/m・k前後で、非常に高い熱伝導率を持っている。また、導電性も優れている。この熱伝導率の高いCu金属板にNi金属膜、Au金属膜を設けることによって導電性や耐触性、並びに、半田性にも優れたものが得られる。本実施形態では、Cu金属板にNiメッキとAuメッキを施したものを用いたが、特にこれらのメッキに限定するものではなく、これ以外にAg,Pd,Sn,Sn−Pdなどの金属メッキも半田性に優れたものであるので同じ様な効果を与える。これらの金属から導電性、熱伝導性、耐触性、半田性などを考慮して少なくとも1種選択するのが好ましい。また、一対の導電体22、23はある程度の厚みをもって形成される。本実施の形態では略0.3mmの厚みに形成している。この導電体の厚みはパッケージの厚みなどを考慮して設定する。できれば厚い方が好ましいので、セラミック基板を薄くしてこの導電体を厚くする設計も選択できる。厚くすることによってその断面積が大きくなるので熱の伝わり方も早くなる。
【0050】
絶縁体21は光拡散反射手段を設けている。これは、セラミック基板11を透過した光を散乱反射させて、LED素子61の発光面側に再度放射させるために設けるものである。絶縁体21に入射した光は、散乱しながらLED素子61側に反射する光と、散乱しながら絶縁体を透過する光に分けられる。従って、透過光が少なくなって光の利用効率が高まると共に、その反射光が散乱していることによって反射光の明るさにムラが生じない。このことはLED素子の発光輝度ムラに好効果を生む。この絶縁体21は絶縁基材に光拡散反射手段を設けたもので、絶縁基材としては透明な樹脂,白色系セラミック,透明ガラスなどを選択することができる。光拡散反射手段としては絶縁基材の表面を微少な凹凸ある梨地面にすることによって光散乱・反射の作用が得られる。また、絶縁基材の表面に光散乱・反射塗膜を設けることによって散乱・反射作用が得られる。また、絶縁基材の中に微粒子粉末を分散させることによっても散乱・反射の作用が得られる。絶縁基材の中に微粒子粉末を分散させる場合は、微粒子粉末の粒径が5〜15μm、分散割合は1〜15重量%の範囲で行うのが好適で、この範囲のものが散乱効果が良く現れる。また、微粒子粉末としては酸化チタン粉末、酸化シリコン粉末などを選択することができる。本実施形態では透明なガラスからなる絶縁基材21aに酸化チタンの微粒子粉末21bを分散させて絶縁体21を形成している。絶縁基材の表面に微少な凹凸ある梨地面を形成する方法としてはサンドブラスト法や化学的エッチング法、或いは転写法などを用いることができる。絶縁基材の表面に光散乱・反射塗膜を設ける方法は酸化チタン粉末や酸化シリコン粉末などの拡散剤をバインダーに配合して塗装方法や印刷方法などで形成する。
【0051】
前述した一対の導電体22、23の間に設ける上記の光拡散反射手段を設けた絶縁体21は、搭載したLED素子の真下にくるような位置に、一対の導電体22、23と一体的に設けて基板20を形成する。そして、この基板20の一対の導電体22、23とセラミック基板11の下面に設けた下面電極12c、13cとを導電接合材を介して接合することによって基板20と配線基板10とが一体化する。ここで、導電接合材としては、導電性に優れて熱伝導率の高い金属ロー材などが挙げられ、銀ローなどは最適に適用できる。金属ロー材以外に導電性接着剤などを用いても良い。本実施形態では、銀ローで一対の導電体22、23と一対の下面電極12c、13cとを接合している。
【0052】
本実施形態では、絶縁体21と一対の導電体22、23は予め一体化して基板20を構成し、それを配線基板10に接合している。予め一体化して基板20を構成しておくと、その取り扱いも容易になり、また、配線基板10との接合も一対の導電体22、23の接合だけで絶縁体21をLED素子61の真下の位置に配置することができる。また、接合作業の回数も少なくすることができてコスト低減の効果も生まれる。
【0053】
以上の構成を取るLED素子のパッケージはマザーボードに半田付けされて使用される。マザーボードとの半田付けは基板20の一対の導電体22、23が半田付けされる。一対の導電体22、23には半田が付き易い金属メッキ膜を形成しているので容易に半田付けができる。
【0054】
セラミック基板11の複数のビア11c、11d、11e、11fの内面に形成した導電金属膜14は一対の電極12、13並びに一対の導電体22、23と接続している。従って、LED素子61から発熱した熱は、電極12、13(上面電極12a、13a→側面電極12b、13b→下面電極12c、13c)→導電体22、23→マザーボードへと逃げる経路と、上面電極12a、13a→導電金属膜14→導電体22、23→マザーボードへと逃げる経路の2経路が形成される。そして、上面電極12a、13a→導電金属膜14→導電体22、23→マザーボードへと逃げる経路の方が距離的に短くなっている。ビア内に設けた導電金属膜は放熱経路のバイパス役目をなしており、放熱効率を非常に高める機能を果たしている。また、これらの経路を伝わりながら放熱も行われることから、ビアを設けることによって放熱面積も大きくなり、放熱効率を更に良くする。また、上記の経路は何れも熱伝導率の高い材料で形成している。また、一対の導電体も比較的厚く形成している。従って、熱が早く伝わって逃げていくのでLED素子の温度を上昇させることなく一定の温度にとどめる効果を生む。これにより、LED素子の劣化が防止できる。
【0055】
半導体パッケージを以上の構成にすることにより、放熱効率が高められてLED素子の劣化が防止できると共に、光の利用効率も高められるので高い輝度の状態をいつまでも維持できるようになる。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体素子のパッケージを図5、図6を用いて説明する。図5は本発明の第2実施形態に係る半導体素子のパッケージの斜視図を示しており、図6は図5における半導体素子のパッケージの要部断面図を示している。
【0057】
本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージ50は、配線基板40と、その上に搭載したLED素子(発光ダイオード)61なる半導体素子と、配線基板40の下面に備えた光拡散反射手段を設けた絶縁体51と、同じく、配線基板40の下面に備えた一対の導電体52、53とが主要構成部品になって構成されている。ここでのLED素子は第1実施形態で用いたLED素子61と同じ素子を用いている。配線基板40はアルミナからなるセラミック基板41に一対の電極42、43を設けたものからなっている。セラミック基板41には、左右一対の長穴スルホール41a、41bと、一対の電極42、43が設けられる領域部分にそれぞれ2個のビア41c、41dと41e、41fとが設けられている。一対の電極42、43で、電極42は、前述の第1実施形態と同様に、上面電極42aと側面電極42bと下面電極42cとで構成されており、電極43は上面電極43aと側面電極43bと下面電極43cとで構成されている。ここで、側面電極42b、43bは一対の長穴スルホール41a、41bの部分に所に設けられる。
【0058】
一対の電極42、43は、前述の第1実施形態と同様に、Ag金属膜とNi金属膜とAu金属膜との3層からなる積層の金属膜からなっている。それぞれ2個のビア41c、41dと41e、41fの孔の内部には導電金属ペースト44が埋め込まれている。導電金属ペースト44は、本実施の形態では、導電率及び熱伝導率の高いAgペーストを用いているが、特にAgペーストに限定するものではなく、熱伝導率の比較的高いCu,Au,Sn,Al,Niなどの金属ペーストでも良い。
【0059】
導電金属ペースト44は、金属粉を熱硬化性のエポキシ樹脂などに混ぜ合わせてペースト状にし、印刷方法などでビアの内部に埋め込み、加熱処理を施して硬化させて形成する。この導電金属ペースト44は一対の電極42、43を形成した後に設ける工程を取る。
【0060】
配線基板40の下面に備えた光拡散反射手段を設けた絶縁体51は、本実施形態では、酸化チタン微粒子粉末を透明な熱硬化性樹脂などの絶縁基材に分散させて、硬化処理を施して形成している。そして、LED素子61の真下の位置に当たるセラミック基板41に接着剤を介して接合している。この構成により、セラミック基板41を透過した光は散乱反射してLED素子61の発光面側に再び放射される。透過光を少なくして光の利用効率を高め、ムラのない明るい発光輝度が得られる。この光拡散反射手段を設けた絶縁体51は、前述の第1実施形態で説明した材料を適宜に選択できることは云うまでもない。また、光拡散反射手段としては絶縁基材の表面を微少な凹凸を設けた梨地面を選択できることも云うまでもない。また、これら両方を組み合わせることも可能である。
【0061】
配線基板40の下面に備えた一対の導電体52、53は、前述の第1実施形態と同様に、Cu金属板にNiメッキとAuメッキを施したものを使用している。このCu金属板で形成した一対の導電体52、53をセラミック基板41の下面に設けた一対の下面電極42c、43cに銀ローのロー付けをおこなって配線基板40と一体化している。また、この一対の導電体52、53はマザーボードに半田付けされるようになっている。
【0062】
前述の4個のビア41c、41dと41e、41fの内部に充填した金属ペースト44は一対の上面電極42a、43a及び一対の下面電極42c、43cに連結していると共に、一対の導電体52、53にも連結している。
【0063】
以上の構成を取る半導体パッケージ50にあっては、LED素子61から発熱した熱は、前述の第1実施形態と同様に、導電金属ペースト44を介して逃げる経路ができる。これによって、前述の第1実施形態と同じように、放熱効率の高いパッケージ装置が得られる。また、光の利用効率も良くなり明るい発光輝度が得られる。
【0064】
以上述べた構成にすることによってパッケージ装置の放熱効率を高めることができる。そして、従来例からみると、格段に放熱性の良いパッケージを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上、発熱性を有するLED素子を用いた場合のパッケージについて説明したが、発熱性のある半導体のパッケージには有効に作用する。また、受光素子や撮像素子などのパッケージにも利用できよう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの斜視図である。
【図2】図1における半導体パッケージの上面図である。
【図3】図2におけるD−D断面図である。
【図4】図1における半導体パッケージの下面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージの斜視図である。
【図6】図5における半導体パッケージの要部断面図である。
【図7】従来のLEDパッケージの斜視図である。
【図8】図7における要部断面図である。
【図9】特許文献1に示されたところの、素子マウント部材の周辺部の構成を抜き出して示した図で、(a)図は素子マウント部材の一主面側を示す平面図、(b)図は(a)図におけるA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0067】
10、40 配線基板
11、41 セラミック基板
11a、11b、41a、41b 長穴スルホール
11c、11d、11e、11f、41c、41d、41e、41f ビア
12、13、42、43 電極
12a、13a、42a、43a 上面電極
12b、13b、42b、43b 側面電極
12c、13c、42c、43c 下面電極
14 導電金属膜
20 基板
21、51 絶縁体
21a 絶縁基材
21b 微粒子粉末
22、23、52、53 導電体
30、50 半導体パッケージ
44 導電金属ペースト
61 LED素子
61a、61b バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板の主面上に設けた一対の上面電極のランド上に半導体素子を搭載した半導体パッケージにおいて、前記セラミック基板の主面の反対側にあたる下面に、光拡散反射手段を設けた絶縁体と、該絶縁体を挟んで左右に設けた一対の導電体と、を備えたことを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
前記絶縁体は前記搭載した半導体素子の真下の位置に配したことを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記絶縁体と前記一対の導電体は連結されて1枚の基板を成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記光拡散反射手段は前記絶縁体の表面に設けた微少な凹凸のある梨地面であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記光拡散反射手段は前記絶縁体の中に分散した微粒子粉末であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記一対の導電体はCu金属板にAg,Au,Ni,Pd,Sn,Sn−Pdなどの金属メッキを少なくとも1種施したものであることを特徴とする請求項1、3に記載の半導体パッケージ。
【請求項7】
前記一対の導電体は前記セラミック基板の下面に設けた一対の下面電極とそれぞれ導電接合材を介して接合していることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項8】
前記導電接合材は銀ロー材であることを特徴とする請求項7に記載の半導体パッケージ。
【請求項9】
前記前記セラミック基板に設けた一対の上面電極のそれぞれの電極形成領域内にそれぞれ少なくとも1個のビアを設け、該ビアの内面に導電金属膜又は該ビアの内部に導電金属ペーストを設けると共に、該導電金属膜又は該導電金属ペーストを前記上面電極、及び前記セラミック基板の下面に設けた一対の下面電極、並びに下面電極と接合した導電体とそれぞれ連結したことを特徴とする請求項1、3、6、7のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項10】
前記ビアの大きさは、φ0.1〜0.3mmであることを特徴とする請求項9に記載の半導体パッケージ
【請求項11】
前記ビアの内面に設けた導電金属膜は、Ag,Cu,Sn,Al,Ni,Au金属の少なくとも1種からなる金属膜であることを特徴とする請求項9に記載の半導体パッケージ。
【請求項12】
前記ビアの内面に設けた導電金属膜は、Ag,Cu,Au金属の少なくとも一種からなる金属ペーストを焼成して金属膜を形成し、該形成した金属膜の上にNiメッキやAuメッキなどを施してNi金属膜やAu金属膜などを積層した金属膜であることを特徴とする請求項9又は11に記載の半導体パッケージ。
【請求項13】
前記ビアの内部に設けた導電金属ペーストは、Ag,Cu,Sn,Al,Ni,Au金属の少なくとも1種を分散した金属ペーストであることを特徴とする請求項9に記載の半導体パッケージ。
【請求項14】
前記セラミック基板は、アルミナよりなることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項15】
前記一対の上面電極、及び前記一対の下面電極、及び該上面電極と下面電極に接続して前記セラミック基板の両端の長穴スルホールに設けた一対の側面電極は、Ag金属膜とNi金属膜とAu金属膜の積層膜からなることを特徴とする請求項1、7、9、14のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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