説明

半導体レーザ装置

出力光が出射される前端面fを有する半導体レーザ(6)と、半導体レーザ(6)から出射された出力光が入射される光ファイバ(5)と、半導体レーザ(6)に出力光を帰還し、前端面fからの光学距離がL1であるFBG1と、半導体レーザ(6)に出力光を帰還し、前端面fからの光学距離がLi(i=2、3、・・・n)であるn個(n≧2)のFBG2〜FBGi+1とを有し、Nを2以上の整数として、Li/L1の値がN±0.01以内の範囲に含まれないようにFBG2〜FBGi+1の位置が設定され、かつ、FBG1の反射中心波長と少なくとも一つのFBG2〜FBGi+1の反射中心波長がほぼ等しいようにし、FBGを用いながらも、光出力安定性を優れたものにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光通信の分野においては、伝送の大容量化を目指して波長分割多重伝送方式(WDM:wave length division multiplexing)による光伝送方式が発展している。このWDM方式で用いる光ファイバアンプの励起光源として、1480nmもしくは980nm帯のポンプ半導体レーザの需要が高まっている。半導体レーザモジュールにおける出射光の波長を安定させるためには、光ファイバ中にファイバブラッググレーティング(fiber bragg grating、以下、単にFBGという)を設ける技術が非常に有効であることが知られている。
【0003】
このようなFBGを用いた半導体レーザ装置における従来の問題点として、出射されるレーザ光の出力が時間的に変動し、不安定になるという問題があった。
【0004】
この点を改善する方法として、光ファイバ中に反射波長・反射スペクトル半値幅および反射率が等しいFBGをもう一つ設ける方法が提案されている。特に、非特許文献1では、FBG同士の間隔や、半導体レーザから一方(半導体レーザに近い方)のFBGまでの距離をいろいろと変えることにより、安定したレーザ出力が得られる条件が検討されている。
【0005】
【非特許文献1】R.McGowan and D.Crawford,ThGG42”Dual Bragg Grating Frequency Stabilization of a 980nm Diode Laser”,OFC2002 Technical Digest,p.671−672
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、FBGを用いた半導体レーザ装置において光出力が不安定な場合における発振スペクトルを観測すると、半導体レーザの発振縦モードがシングルモードの状態とマルチモードの状態で時間的に入れ替わる現象が観測される。光出力の安定性を得るためには、常にマルチモード発振を保つことが重要である。このような状態は、コヒーレンス・コラップスと呼ばれている。非特許文献1に示されている技術は、このようなコヒーレンス・コラップス状態を得るためには有効である。しかし、マルチモード発振を保っていてもなお、光出力が時間的に変動する場合がある。
【0007】
また、一般に、半導体レーザの閾値電流近傍では光出力の時間的変動が起こりやすいが、近年の光ファイバアンプの高性能化に伴い、より閾値電流に近い電流範囲まで光出力の安定性が求められるようになっている。
【0008】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであって、FBGを用いながら、優れた光出力安定性を有する半導体レーザモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、出力光が出射される前端面を有する半導体レーザと、前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がL1の位置に配置され、所定の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する第1の光帰還部と、前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がLi(i=2,3,…,n;Li>L1)の位置に配置され、前記第1の光帰還部の反射中心波長と略同一の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する(n−1)個(n≧2)の第iの光帰還部と、を備えた半導体レーザ装置であって、光学距離比Li/L1は、M−1<Li/L1≦Mを満たす自然数M(M≧2)に対して(M−1)+0.01<Li/L1<M−0.01 の関係を満たすことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述した発明において、前記光学距離比Li/L1は、(M−1)+0.027<Li/L1<M−0.027の 関係を満たすことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述した発明において、前記光学距離比Li/L1は、4.01以上であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述した発明において、前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射され伝搬する前記光路を含む光ファイバをさらに備え、前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記光ファイバに形成されたファイバブラッググレーティングであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上述した発明において、前記出力光の波長は、1480nm帯であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上述した発明において、前記光路は、前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射する前段光路と、該前段光路が分岐してなるm個(m≧2)の第j(j=1,2,…,m)の分岐光路を備え、前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記前段光路または前記第j(j=1,2,…,m)の分岐光路のいずれかの光路上に配設されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、出力光が出射される前端面を有する半導体レーザと、前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がL1の位置に配置され、所定の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する第1の光帰還部と、前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がLi(i=2,3,…,n;Li>L1)の位置に配置され、前記第1の光帰還部の反射中心波長と略同一の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する(n−1)個(n≧2)の第iの光帰還部と、を備えた半導体レーザ装置であって、光学距離比Li/L1は、p+q≦5かつp>qを満たすように選択された互いに素な自然数p,qの組み合わせすべてについてLi/L1<p/q−0.01またはLi/L1>p/q+0.01の関係を満たすことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上述した発明において、前記光学距離比Li/L1は、すべての自然数Nに対して、p+q≦Nかつp>qを満たすように選択された互いに素な自然数p,qの組み合わせすべてについてLi/L1<p/q−0.01またはLi/L1>p/q+0.01の関係を満たすことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上述した発明において、前記光学距離比Li/L1は、4.01以上であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上述した発明において、前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射され伝搬する前記光路を含む光ファイバをさらに備え、前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記光ファイバに形成されたファイバブラッググレーティングであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上述した発明において、前記出力光の波長は、1480nm帯であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上述した発明において、前記光路は、前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射する前段光路と、該前段光路が分岐してなるm個(m≧2)の第j(j=1,2,…,m)の分岐光路を備え、前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記前段光路または前記第j(j=1,2,…,m)の分岐光路のいずれかの光路上に配設されることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、出力光が出射される前端面を有する半導体レーザと、前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がL1の位置に配置され、所定の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する第1の光帰還部と、前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がLi(i=2,3,…,n;Li>L1)の位置に配置され、前記第1の光帰還部の反射中心波長と略同一の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する(n−1)個(n≧2)の第iの光帰還部と、を備えた半導体レーザ装置であって、前記光路は、前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射する前段光路と、該前段光路が分岐してなるm個(m≧2)の第j(j=1,2,…,m)の分岐光路を備え、前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記前段光路または前記第j(j=1,2,…,m)の分岐光路のいずれかの光路上に配設されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上述した発明において、光学距離比Li/L1は、M−1<Li/L1≦Mを満たす自然数M(M≧2)に対して(M−1)+0.01<Li/L1<M−0.01 の関係を満たすことを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、上述した発明において、光学距離比Li/L1は、p+q≦5かつp>qを満たすように選択された互いに素な自然数p,qの組み合わせすべてについてLi/L1<p/q−0.01またはLi/L1>p/q+0.01の関係を満たすことを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、上述した発明において、前記光学距離比Li/L1は、4.01以上であることを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、上述した発明において、前記m個の第jの分岐光路を伝搬する光を直交偏波合成出力する後段光路をさらに備えたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、上述した発明において、前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射され伝搬する前記光路を含む光ファイバをさらに備え、前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記光ファイバに形成されたファイバブラッググレーティングであることを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、上述した発明において、前記出力光の波長は、1480nm帯であることを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、出力光が出射される前端面を有する半導体レーザと、前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がL1の位置に配置され、所定の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する第1の光帰還部と、前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がLi(i=2,3,…,n;Li>L1)の位置に配置され、前記第1の光帰還部の反射中心波長と略同一の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する(n−1)個(n≧2)の第iの光帰還部と、を備えた半導体レーザ装置であって、光学距離比Li/L1は、4.01以上であることを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、出力光が出射される前端面を有する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射され伝搬する前段光ファイバと、所定の分岐比を有し、前記前段光ファイバの終端が入力端の一つに接続された双方向性光結合器と、前記双方向性光結合器の出力端の一つに接続された出力光ファイバと、前記出力光ファイバに形成され、所定の反射中心波長を有するファイバグレーティングと、を備えた半導体レーザ装置であって、前記双方向性光結合器の入力端の他の一つと、出力端の他の一つとが光学的に連結されていることを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、半導体レーザから出射されるレーザ光の光路に、波長選択された前記レーザ光を前記半導体レーザに帰還する光帰還部を設け、前記光帰還部の光学的上流の一点において前記光路を伝搬する光を分岐し、前記一点よりも光学的上流において前記光路に合流するループ光路を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、FBGを用いながらも高度な光出力安定性を持つ半導体レーザ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体レーザ装置の概要構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示したFBG1の反射率スペクトルを示すグラフである。
【図3】図3は、図1に示したFBG2の反射率スペクトルを示すグラフである。
【図4】図4は、ファイバ端からの光出力の変動率ΔPf/PfとL2/L1との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、フォトダイオードの受光検出電流の変動率ΔIm/ImとL2/L1との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、FBGを一つのみ有する半導体レーザ装置におけるRINの周波数スペクトルを示すグラフである。
【図7】図7は、FBGを二つ有し、L2/L1がほぼ整数となるように設定されている半導体レーザ装置におけるRINの周波数スペクトルを示すグラフである。
【図8】図8は、FBGを二つ有し、L2/L1が整数値から外れるように設定されている半導体レーザ装置におけるRINの周波数スペクトルを示すグラフである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1に係る半導体レーザ装置の変形例の概要構成を示す図である。
【図10】図10は、FBGを用いた半導体レーザ装置のN=2の場合の縦モード間隔を説明する説明図である。
【図11】図11は、FBGを用いた半導体レーザ装置のP=3,Q=2の場合の縦モード間隔を説明する説明図である。
【図12】図12は、FBGを用いた半導体レーザ装置のP=4,Q=3の場合の縦モード間隔を説明する説明図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2に係る半導体レーザ装置の概要構成を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2の変形例である半導体レーザ装置の概要構成を示す図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態3にかかる半導体レーザ装置の概要構成を示す図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態4にかかる半導体レーザ装置の概要構成を示す図である。
【図17】図17は、FBGによって反射する光の経路パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0033】
5,5−1〜5−n,5a,5b,65 光ファイバ
6 半導体レーザ
7 フォトダイオード
20,30,40,50 半導体レーザ装置
21 パッケージ
31 前段光路
32 分岐光路
33 後段光路
41 分岐部
61 双方向性光結合器
62 ループ光路
FBG1〜FBGn ファイバブラッググレーティング(光帰還部)
L1〜Ln,Lα 光学距離
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、本発明にかかる半導体レーザ装置の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0035】
(実施の形態1)
本発明に係る半導体レーザモジュールの構成例を図1に示す。半導体レーザモジュール20には、パッケージ21、光ファイバ5、半導体レーザ6およびフォトダイオード7等が収納されている。パッケージ21の外部には、光帰還部となるFBG1およびFBG2が形成されている。
【0036】
図2および図3は、FBG1およびFBG2における波長λに対する反射率スペクトルである。FBG1とFBG2は、ほぼ等しい反射中心波長λcを持つ。反射中心波長は完全に同一でなくともよく、その差は2nm以内が好ましく、より好ましくは0.5nm以内であるとする。また、これらのFBG1,2の反射率Rのピーク値は1〜10%、より好ましくは2〜4%とする。実際には、FBG1の反射中心波長においてFBG2がゼロでない値を持つ、更に好ましくは0.1%以上の反射率を持つことが重要である。また、これらのFBG1,2の反射スペクトルの半値幅Δλ1およびΔλ2は、1〜3nmが好ましい。
【0037】
ここで、半導体レーザ6とFBG1との光学距離をL1とし、半導体レーザ6とFBG2との光学距離をL2とすると、L2/L1の値が、Nを2以上の整数として、N−0.01〜N+0.01の範囲に含まれないようにFBG1,2の位置がそれぞれ設定されている。L2/L1の値はN−0.05〜N+0.05の範囲に含まれないようにすれば一層好ましい。なお、L1またはL2は、半導体レーザの前端面fすなわちレーザ光が出射される端面と、FBG1またはFBG2の中心までの光学距離を指すものとする。なお、光学距離は、光路の屈折率と長さとの積で表される。通常、L1は数十cm〜1m程度であるが、これより大きい値や小さい値であってもよい。
【0038】
また、光ファイバ5は、シングルモードファイバの他、コアに非軸対称の応力が付与され、応力付与部の断面形状が円形であるPANDA(polarization−maintaining and absorption−reducing)ファイバ、断面扇状のボウタイファイバ、断面楕円形状の楕円ジャケットファイバ、あるいはコアの導波構造が非軸対称に設定され、コアの断面形状が楕円形の楕円コアファイバ等の複屈折ファイバを利用することができる。
【0039】
なお、半導体レーザ6の前端面fから出射されるレーザ光を光ファイバ5に入射させるため、光結合手段として、ディスクリートレンズ系、レンズドファイバ、先球ファイバ等が適宜選択される。
【0040】
半導体レーザ6は、レーザ光を前端面fから光ファイバ5に出射すると共に、後端面rからフォトダイオード7にモニタ光を出射する。
【0041】
次に、本発明に係る半導体レーザ装置の光出力の安定性を、従来の半導体レーザ装置と比較して示す。半導体レーザ6として、1480nm帯のものを使用している。用いた半導体レーザの共振器長は1.3mm、活性層の実効屈折率は約3.2である。FBG1、FBG2の二つのFBGを有する半導体レーザ装置を用いて測定を行った。比較試料として、L2/L1の値が整数Nに対しN−0.01〜N+0.01の範囲に含まれるような半導体レーザ装置を作製した。
【0042】
表1は、本発明にかかる半導体レーザ装置の光出力安定性を示すものであり、本発明にかかる半導体レーザ装置試料1〜12ならびに比較試料13〜17について、ファイバ5の端部からの光出力Pfおよびフォトダイオード7の受光検出電流Imの変動率ΔPf/PfおよびΔIm/Imを測定した結果である。なお、測定を行っていないところは「−」で示している。測定条件1は、半導体レーザ6への注入電流が100−150mAであり、測定条件2は、半導体レーザ6への注入電流が200−1000mAであり、表1には、それぞれ平均値を示している。また、表1において、L1,L2の値は、それぞれヒューレット・パッカード社製のプレシジョン・リフレクトメータ(HP−8504B)により測定された光学距離を用いている。
【0043】
【表1】

【0044】
表1に示した結果を、横軸にL2/L1の値、縦軸にΔPf/PfおよびΔIm/Imをとってグラフとしたものを図4および図5に示す。
【0045】
上の結果からわかるように、本発明に係る試料1〜12におけるPfおよびImの変動率は、比較試料13〜17における変動率に比べて小さい。また、試料1〜12の中でも、L2/L1の値がN±0.01の範囲には含まれないがN±0.027の範囲に含まれている試料8、9、11などに比べて、N±0.027の範囲にも含まれない試料1〜5や試料12などにおける変動率はさらに小さい。したがって、本発明のより好ましい形態は、L2/L1の値がN−0.027〜N+0.027の範囲に含まれないものとする。また、さらに好ましくは、N−0.05〜N+0.05の範囲に含まれないものとする。
【0046】
以上のように、本発明により、ファイバ端光出力およびモニタ光出力の変動がきわめて小さく安定性に優れた半導体レーザモジュールが実現できることが示された。
【0047】
ところで、本発明者らは、相対強度雑音(relative intensity noise、以下、単にRINという)を測定することにより、L2/L1が整数付近の値であるか否かを判断できることを見出した。以下、このことについて説明する。
【0048】
図6〜8は、FBGの個数や位置の異なる半導体レーザ装置について測定されたRINの周波数スペクトルである。測定時のレーザ注入電流は1000mAとした。このうち、図6に係る半導体レーザ装置は、FBGを一つのみ有している。図6には、FBGを有する半導体レーザ装置の特徴として、RINの周期性が表れている。
【0049】
一方、図7に係る半導体レーザ装置は、FBGを二つ有し、L2/L1がほぼ整数となるように設定されている。この場合のRINスペクトルは、複数の周期成分が重ね合わされた形となっている。この半導体レーザ装置においては、光出力の不安定性が見られた。
【0050】
これに対し、図8に係る半導体レーザ装置は、FBGを二つ有し、L2/L1が整数値から外れるように設定されている。この場合のRINスペクトルは、図6に示されたような単一の周期成分に周期性を持たない不規則な成分が重ね合わされた形となっている。この半導体レーザ装置において、光出力は時間変動を示さず安定していた。
【0051】
このように、RINスペクトルを測定することによって、L2/L1がほぼ整数値であるか否かを判断することができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態1として、二つのFBGを有する半導体レーザ装置の例を示したが、図9に示すようにFBGの個数は3個以上であってもよく、その場合には、半導体レーザの前端面fから第iのFBGi(i=2、3、・・・、n)までの光学距離をLiとして、Li/L1がN−0.01〜N+0.01の範囲に含まれないように各FBGiの位置を設定するものとする。より好ましくはLi/L1がN−0.05〜N+0.05の範囲に含まれないように設定する。
【0053】
本発明の構成をとることによる作用は、次のように説明される。FBGで構成される外部共振器を有する半導体レーザ装置においては、L1、Li(i=2、3、・・・、n)の逆数に比例した周波数間隔で外部共振器縦モードが存在する。たとえばLi/L1がほぼ整数値をとる場合、FBGiに起因する縦モードのうちN本に1本がFBG1に起因する縦モードと重なり合うことになる。この様子を図10に示す。図11は、N=2の場合について示している。この重なりが多いほど、縦モード間の競合が大きくなり、光出力の不安定性が増す。なお、Nが大きければ縦モードが重なる割合が小さくなるので、不安定の度合いは小さくなる。
【0054】
さらに、LiがL1のP/Q倍(P、Qは互いに素な自然数で、P>Q)の場合(すなわち、Li/L1が1よりも大きな有理数となる場合)について考えると、この場合、両外部共振器の縦モードの間隔に関して(1/L1)×Q=(1/Li)×Pが成立するから、FBG1に起因する縦モードについてみればQ本に1本の割合で、FBGiに起因する縦モードについてみればP本に1本の割合で、2つのFBGに起因する縦モードが重なることになる。たとえば、P/Q=3/2の場合にはFBG1に起因する縦モードについてみれば2本に1本の割合で、FBGiに起因する縦モードについてみれば3本に1本の割合で2つのFBGに起因する縦モードが重なる(図11参照)。同様に、P/Q=4/3の場合には、FBG1に起因する縦モードについてみれば3本に1本の割合で、FBGiに起因する縦モードについてみれば4本に1本の割合で2つのFBGに起因する縦モードが重なる(図12参照)。このように、複数の外部共振器の縦モードが重なると、光出力が不安定となりうる。したがって、Li/L1の値が、有理数P/Qに対し、P/Q−0.01〜P/Q+0.01の範囲に含まれないようにFBGの光学距離を設定することも効果的である。
【0055】
なお、P、Qの値が大きい場合には、縦モードの重なりの影響は小さくなると考えられ、光出力不安定の度合いは小さくなる。実用的には、PとQの和が5以下となるような互いに素な自然数の組合せ(P,Q)(P>Q)のすべてについて、Li/L1の値がP/Q−0.01〜P/Q+0.01の範囲に含まれないようにFBGの光学距離を設定すれば十分である。
【0056】
また、図4および図5からわかるように、L2/L1の値が4よりも大きい場合(L2/L1>4.01)には、上記N,P,Qが如何様であっても、ΔPf/PfおよびΔIm/Imは小さい。したがって、Li/L1>4.01とすることによって、光出力を安定化させることができる。
【0057】
以上のことから、出力光が出射される前端面を有する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射される光ファイバと、前記半導体レーザに前記出力光を帰還し、前記前端面からの光学距離がL1である第1の光帰還部と、前記半導体レーザに前記出力光を帰還し、前記前端面からの光学距離がLi(i=2、3、・・・n)であるn個(n≧2)の第iの光帰還部とを有する半導体レーザ装置において、P/Qを整数でない正の有理数として、Li/L1の値がP/Q−0.01〜P/Q+0.01の範囲に含まれないように前記第iの光帰還部の位置を設定した場合にも、優れた光出力安定性を得ることができる。
【0058】
なお、隣接する光帰還部の間の光学距離は、5mm以上、好ましくは10cm以上、さらに好ましくは50cm以上とすることが望ましい。
【0059】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、1本の光ファイバ5上にFBG1〜FBGnである複数の光帰還部を直列に設けるようにしていたが、この実施の形態2では、少なくともFBG2〜FBGnを並列接続するようにしている。
【0060】
図13は、本発明の実施の形態2である半導体レーザ装置の構成を示す図である。図13に示すように、この半導体レーザ装置30は、FBG1とFBG2〜nとの間に1対(n−1)の光分岐を行う分岐部41を設けている。FBG1は、光ファイバ5に対応する光ファイバ5−1上であって、光学距離L1の位置に設けられる。FBG2〜nは、分岐部41によって分岐された光ファイバ5−2〜5−n上であって、それぞれ光学距離L2〜Lnの位置に設けられる。ここで、半導体レーザ6の前端面fと分岐部41の接続点までが前段光路31を形成し、分岐部41および光ファイバ5−1〜5−nが後段光路32を形成する。なお、各FBG1〜nの反射中心波長や光学距離などのパラメータは全て実施の形態1と同じであるとともに、実施の形態1の変形例も全て適用することができる。
【0061】
なお、FBG2〜nの出力端は、レーザ光を全反射させてもよいし、一部出力するようにしてもよい。さらに、分岐部41による各光ファイバ5−1〜5−nの光分岐配分は任意に設定できる。
【0062】
この実施の形態2では、1本の光ファイバ5上に複数のFBGを作るのではなく、各光ファイバ5−1〜5−n上にそれぞれ1つのFBGを作り、このFBGが設けられた各光ファイバ5−1〜5−nを分岐部41で結合するようにしているので、複数のFBG間の多重反射を抑制するとともに、製作上容易であり、しかも修理などのメンテナンスも容易になる。
【0063】
なお、図14に示す半導体レーザ装置30のように、前段光路31にFBG1を設けず、後段光路32にFBG1を設けるようにしてもよい。この場合、分岐部41によって分岐される光ファイバはn本となる。もちろん、FBG1の光学距離L1は、他のFBG2〜nの各光学距離L2〜Lnに比して短い。
【0064】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3では、実施の形態2に示した構成に、直交偏波合成部を設け、偏光度が低減された光として出力できるようにしている。
【0065】
図15は、本発明の実施の形態3である半導体レーザ装置の構成を示す図である。図15に示すように、この半導体レーザ装置40は、2つのFBG1,2をもつ分岐光路32の後段に直交偏波合成部51をもつ後段光路33を設けている。直交偏波合成部51は、たとえばルチルなどの複屈折結晶によって実現され、入力部P1,P2に入力される光はそれぞれ直交している。光ファイバ5−1,5−2を偏波保持ファイバによって構成すれば、入力端P1,P2の光の直交入力は容易に実現することができる。直交偏波合成部51に入力された光は、光ファイバ5bを介して外部に出力される。
【0066】
ここで、レーザ光のデポラライズ(無偏光化)は、デポラライズされる光のコヒーレンシーが低いほど効率的に行うことができる。この場合、直交偏波合成部51に入力される光は、複数のFBGを用いてコヒーレンシーが低くされているため、光ファイバ5bから出力される光は確実に偏光度が低減された光として出力されることになる。
【0067】
なお、デポラライズによって偏光度が低減されたレーザ光を得る方策として、出力用PMF(偏波保持ファイバ;Polarization Maintaining Fiber)の先端に主軸を45度ずらして別のPMFを融着接続し、この別のPMF中を伝搬させることによって、その他端から偏光度の低減された光を得る技術が知られているが、この技術では、環境温度等の条件によって出力されるレーザ光の偏光度が変動する場合があるという問題があった。さらに、この技術では、デポラライズに使用する他のPMFの長さを適切に選択する必要があり、この長さの調整が困難であり、確実に偏光度が低減された光を得ることができなかった。これに対し、この実施の形態3に示した半導体レーザ装置40では、上述したように、確実に偏光度が低減されたレーザ光を出力することができる。
【0068】
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1〜3では、いずれも複数のFBG1〜nを設け、各FBG1〜nの光学距離を各FBG1〜nの光ファイバの配置位置によって得るようにしていたが、この実施の形態4では、1つのFBGのみによって複数の光学距離を得るようにしている。
【0069】
図16は、本発明の実施の形態4にかかる半導体レーザ装置の構成を示す図である。図16に示すように、この半導体レーザ装置50は、1つのFBGのみを用い、このFBGと半導体レーザ6の前端面fとの間に双方向性光結合器61を設けるとともに、ループ光路62を設けている。
【0070】
半導体レーザ6の前端面fとFBGとの間の光学距離はL1(ループ光路62を介しない場合の光学距離)に設定される。双方向性光結合器61は、2対2の光カプラなどによって実現され、4つの入出力端P11〜P14を有する。入出力端P11は、光ファイバ5を介して半導体レーザ6側に接続される。入出力端P12は、光ファイバ65を介してFBGに接続される。入出力端P13,P14は、光学距離Lαをもつ光ファイバが接続され、ループ光路62が形成される。
【0071】
半導体レーザ6から出力されたレーザ光は光ファイバ5を介して入出力端P11に入力され、図17に示すように、FBGに入力する光は、出力端P12を介して直接FBGに出力する光と、入出力端P14,P13を介してループ光路62を周回してFBGに出力する光とが存在する。一方、FBGから反射する光は、入出力端P12に入力されるが、直接入出力端P11から半導体レーザ6側に出力する光と、ループ光路62を周回して半導体レーザ6側に出力する光とが存在する。
【0072】
ここで、ループ光路62の周回数をSとすると、(S+1)×(S+1)の組み合わせからなる光学距離L1〜Lnを有した複数のFBG1〜nが仮想的に存在したことと同じになる。特に、1つのループ光路62のみで、周回による無限に近い多数の光学経路を形成できるため、多数のFBGを設けたと同じ作用効果を得ることができるとともに、簡易な構成で実施の形態1〜3と同様にコヒーレンシーの低下を一層得ることができる。さらに、半導体レーザ装置の小型軽量化を促進することができる。
【0073】
なお、双方向性光結合器61は、2対2すなわち入出力がともに2つであったが、これに限らず、m対nの入出力端を有し、入出力端P11,P12以外の入出力端が光ファイバによって接続されたループ光路を形成するようにしてもよい。この場合、複数のループ光路が形成されるが、各ループ光路の光学距離を異ならせることが好ましい。また、双方向性光結合器61の各入出力端間の結合度を異ならせるようにしてもよい。
【0074】
ところで、上述した実施の形態1〜4では、光帰還部がFBGである場合について説明したが、少なくとも一つの光帰還部を誘電体膜やファイバの断面などとしてもよい。
【0075】
また、上述した実施の形態1〜4では、EDFA用の励起光源として用いられる出射波長が1480nm帯の半導体レーザ装置について示したが、本発明を適用できる波長帯に特に限定はなく、ラマンアンプ用の励起光源として用いられる1380nm〜1520nmの出射波長帯域のものや、980nm帯、930nm〜1060nm程度の出射波長帯域を有する半導体レーザ装置に適用することもできる。また、本発明の半導体レーザ装置の用途は光ファイバアンプに限られるものではなく、広く産業用のレーザデバイスに用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明にかかる半導体レーザ装置は、ラマンアンプやEDFA用の励起光源として有用であり、特に出射波長が1480nm帯(1380nm〜1520nm程度)の半導体レーザ装置について適用される。さらに、どのような波長の半導体レーザ装置にも適用できることは言うまでもなく、特に、980nm帯(930nm〜1060nm程度)半導体レーザ装置に適用する効果は大きい。また、本発明の半導体レーザ装置の用途は光ファイバアンプに限られず、広く産業用のレーザデバイスに用いることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力光が出射される前端面を有する半導体レーザと、
前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がL1の位置に配置され、所定の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する第1の光帰還部と、
前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がLi(i=2,3,…,n;Li>L1)の位置に配置され、前記第1の光帰還部の反射中心波長と略同一の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する(n−1)個(n≧2)の第iの光帰還部と、
を備えた半導体レーザ装置であって、
光学距離比Li/L1は、
M−1<Li/L1≦M
を満たす自然数M(M≧2)に対して
(M−1)+0.01<Li/L1<M−0.01
の関係を満たすことを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記光学距離比Li/L1は、
(M−1)+0.027<Li/L1<M−0.027
の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記光学距離比Li/L1は、4.01以上であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射され伝搬する前記光路を含む光ファイバをさらに備え、前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記光ファイバに形成されたファイバブラッググレーティングであることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記出力光の波長は、1480nm帯であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記光路は、前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射する前段光路と、該前段光路が分岐してなるm個(m≧2)の第j(j=1,2,…,m)の分岐光路を備え、
前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記前段光路または前記第j(j=1,2,…,m)の分岐光路のいずれかの光路上に配設されることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項7】
出力光が出射される前端面を有する半導体レーザと、
前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がL1の位置に配置され、所定の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する第1の光帰還部と、
前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がLi(i=2,3,…,n;Li>L1)の位置に配置され、前記第1の光帰還部の反射中心波長と略同一の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する(n−1)個(n≧2)の第iの光帰還部と、
を備えた半導体レーザ装置であって、
光学距離比Li/L1は、
p+q≦5かつp>qを満たすように選択された互いに素な自然数p,qの組み合わせすべてについて、次の不等式のいずれかを満たすことを特徴とする半導体レーザ装置。
Li/L1<p/q−0.01
Li/L1>p/q+0.01
【請求項8】
前記光学距離比Li/L1は、
すべての自然数Nに対して、p+q≦Nかつp>qを満たすように選択された互いに素な自然数p,qの組み合わせすべてについて、次の不等式のいずれかを満たすことを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ装置。
Li/L1<p/q−0.01
Li/L1>p/q+0.01
【請求項9】
前記光学距離比Li/L1は、4.01以上であることを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ装置。
【請求項10】
前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射され伝搬する前記光路を含む光ファイバをさらに備え、前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記光ファイバに形成されたファイバブラッググレーティングであることを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ装置。
【請求項11】
前記出力光の波長は、1480nm帯であることを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ装置。
【請求項12】
前記光路は、前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射する前段光路と、該前段光路が分岐してなるm個(m≧2)の第j(j=1,2,…,m)の分岐光路を備え、
前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記前段光路または前記第j(j=1,2,…,m)の分岐光路のいずれかの光路上に配設されることを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ装置。
【請求項13】
出力光が出射される前端面を有する半導体レーザと、
前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がL1の位置に配置され、所定の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する第1の光帰還部と、
前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がLi(i=2,3,…,n;Li>L1)の位置に配置され、前記第1の光帰還部の反射中心波長と略同一の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する(n−1)個(n≧2)の第iの光帰還部と、
を備えた半導体レーザ装置であって、
前記光路は、前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射する前段光路と、該前段光路が分岐してなるm個(m≧2)の第j(j=1,2,…,m)の分岐光路を備え、
前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記前段光路または前記第j(j=1,2,…,m)の分岐光路のいずれかの光路上に配設されることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項14】
光学距離比Li/L1は、
M−1<Li/L1≦M
を満たす自然数M(M≧2)に対して
(M−1)+0.01<Li/L1<M−0.01
の関係を満たすことを特徴とする請求項13に記載の半導体レーザ装置。
【請求項15】
光学距離比Li/L1は、
p+q≦5かつp>qを満たすように選択された互いに素な自然数p,qの組み合わせすべてについて、次の不等式のいずれかを満たすことを特徴とする請求項13に記載の半導体レーザ装置。
Li/L1<p/q−0.01
Li/L1>p/q+0.01
【請求項16】
前記光学距離比Li/L1は、4.01以上であることを特徴とする請求項13記載の半導体レーザ装置。
【請求項17】
前記m個の第jの分岐光路を伝搬する光を直交偏波合成出力する後段光路をさらに備えたことを特徴とする請求項13に記載の半導体レーザ装置。
【請求項18】
前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射され伝搬する前記光路を含む光ファイバをさらに備え、前記第1および第i(i=2,3,…,n)の光帰還部は、前記光ファイバに形成されたファイバブラッググレーティングであることを特徴とする請求項13に記載の半導体レーザ装置。
【請求項19】
前記出力光の波長は、1480nm帯であることを特徴とする請求項13に記載の半導体レーザ装置。
【請求項20】
出力光が出射される前端面を有する半導体レーザと、
前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がL1の位置に配置され、所定の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する第1の光帰還部と、
前記出力光の光路上において前記前端面からの光学距離がLi(i=2,3,…,n;Li>L1)の位置に配置され、前記第1の光帰還部の反射中心波長と略同一の反射中心波長を有し、前記半導体レーザに前記出力光の一部を帰還する(n−1)個(n≧2)の第iの光帰還部と、
を備えた半導体レーザ装置であって、
光学距離比Li/L1は、4.01以上であることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項21】
出力光が出射される前端面を有する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された前記出力光が入射され伝搬する前段光ファイバと、
所定の分岐比を有し、前記前段光ファイバの終端が入力端の一つに接続された双方向性光結合器と、
前記双方向性光結合器の出力端の一つに接続された出力光ファイバと、
前記出力光ファイバに形成され、所定の反射中心波長を有するファイバグレーティングと、
を備えた半導体レーザ装置であって、
前記双方向性光結合器の入力端の他の一つと、出力端の他の一つとが光学的に連結されていることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項22】
半導体レーザから出射されるレーザ光の光路に、波長選択された前記レーザ光を前記半導体レーザに帰還する光帰還部を設け、
前記光帰還部の光学的上流の一点において前記光路を伝搬する光を分岐し、前記一点よりも光学的上流において前記光路に合流するループ光路を設けることを特徴とする半導体レーザの出力光安定化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【国際公開番号】WO2005/031930
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【発行日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514225(P2005−514225)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014098
【国際出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】