説明

半導体性の腐食および異物付着制御装置、システム、および、方法

腐食性環境に接触し、半導体性コーティングでコーティングされている導電性構造物の腐食を制御することを目的とした装置、システム、方法、および、コンピュータプログラム製品であり、それらにおいて、腐食は、少なくとも1つの保存された、または、測定されたパラメータを処理するように構成された制御可能なフィルタ898および対応する電子制御装置899により制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照として各々の内容の全体が本明細書に組み込まれている米国特許第6325915号明細書(特許文献1)、米国特許第6402933号明細書(特許文献2)、および、2001年6月25日に出願された係属米国特許出願第09/887024号明細書(特許文献3)に関連する。
【0002】
本発明は、半導体性の腐食および異物付着の防止システムを制御するための制御装置、システム、および、方法に関する。
【背景技術】
【0003】
参照として内容の全体が本明細書に組み込まれている1995年付けの「Economic Effects of Metallic Corrosion in the United States」と題されたBattelleおよびthe Specialty Steel Industry of North Americaにより発表された報告書(非特許文献1)によれば、米国経済における金属腐食の年間コストは約3,000億ドルである。同報告書は、腐食のコストの約3分の1(1,000億ドル)は回避可能であり、腐食防止性材料のより広範な塗布および設計からメンテナンスまでに最善の腐食防止性施策の適用により節約できたと見積もっている。同見積りは、参照として内容の全体が本明細書に組み込まれている「Economic Effects of Metallic Corrosion in the United States」と題されたBattelleおよびthe National Institute of Standards and Technologyにより実施された研究の知見のBattelleの科学者による部分的な更新(非特許文献2)の結果として得られている。1978年における元の論文は、1975年において金属腐食には820億米ドル(国民総生産の4.9%)かかり、最善の施策が当時使用されていなかったために約330億ドルは回避可能であったという見積りを結論とした。
【0004】
航空に関しては、腐食ならびに腐食関連のコストおよび安全への影響の大きさが世界中の航空機製造業者、航空会社、および、搭乗客の最大の関心事である。北米のみにおいて、航空機産業の腐食コストは年間130億ドルを超えている。影響は政府の航空機に対しても等しく大きく、例えば米国空軍の経費は航空機の腐食の制御および修理に対して年間8億ドルを超えている。設計寿命ではない腐食は航空機の一時的飛行停止および引退の主な要因である。米連邦航空局は、航空機の構造的欠陥の防止を、航空機および搭乗客の安全を向上させるための最優先事項として等級を付けている。航空機の腐食はかなりの数の災害、事故、および、航空機の墜落に関連する。人命の喪失の悲劇は別として、米連邦航空局は搭乗客の不慮の死亡当たりの金銭的費用を270万ドルと算出している。検出されず、かつ/または、対処されずに放置されると、腐食は航空機の完全性を徐々に損ない、メンテナンスのコストおよび搭乗客の安全に対するリスクを増大させる。
【0005】
海洋の船舶に関しては、船体の内部および外部の腐食、および、船体の外部表面の異物付着が、船舶の運航コストおよび船体の寿命に影響を及ぼす主な要因となっている。燃料の経費は運行諸コスト全体の35から50%を占める。腐食、異物付着、ならびに、関連する船体外部のざらつきおよび表面摩擦力は、船体の巡航速度への到達と、これの維持のために必要なパワー要求規模の増大に起因して、これらの諸コストに追加して最大50%にまで寄与している。船体の使用年数ではない船体の内部表面への腐食損傷、これの構造的完全性に対する累積的影響、および、腐食のコストは、船体の引退の主な決定的要因であり、船舶の使用寿命を大幅に短縮し得る。
【0006】
貯水塔に関して、米国には見積りで15万から20万の市町村貯水塔がある。平均的な貯水塔は内部と外部で23,000平方フィートの表面積を持ち、31万ガロンを保持している。これらの塔は、冷たい水の保存の結果としての過剰な結露により、特に腐食しやすい。構造的に健全な貯水塔を維持するために、市町村は、海岸沿いの地域では約6年毎に、また、内陸では7年から9年毎に塔を研磨し直しており、貯水塔当たりの平均コストは10万ドルを超える。
【0007】
橋梁に関して、National Bridge Inventory(非特許文献3)では米国内の575,413基の高速道路橋梁を掲げており、1992年現在でそれらの199,277基は構造的に欠陥があるか、旧式であると記載されている。Intermodal Surface Transportation Efficiency Act of 1991(1991年モード間水陸輸送効率法)(非特許文献4)はHighway Bridge Replacement and Rehabilitation Program(高速道路橋梁交換修復プログラム)(非特許文献5)に対して6年の期間にわたり161億ドルを認可した。1998年に署名されたTransportation Equity Act for the 21st Century(21世紀に向けた輸送平衡法)(非特許文献6)は、橋梁の修復および交換のために次の6年間にわたり203億ドルの認可で同プログラムを継続した。Federal Highway AdministrationおよびTransportation Research Boardは、1億平方フィートの橋梁表面が毎年コーティングされていると見積もっている。年当たりに塗装される平方フィート数は、鉛系ペンキの除去および閉込めに必要なコストおよび時間のために制限されてきている。その結果、多くの州では橋梁メンテナンス塗装を遅らせており、見積りで1,500基の鉄鋼橋梁のみが毎年塗装されている。僅か10から12年しか保たれない現在のコーティングの場合、橋梁の再コーティングのやり残し分は増え続けている。
【0008】
自動車の検討課題に関しては、車両の安全に影響を及ぼす腐食の問題が自動車製造業者、および、消費者にも大きな問題となっている。National Highway Transportation Safety Administrationによれば、米国では1975年と2001年の間で2,500万台を超える車両が腐食関連の安全性の問題のために公式にリコールされている。1998年のみにおいても、Ford Motor Companyは、2億ドルを超えると見積もられているコストをかけて安全性関連の腐食の問題のために200万台を超える車両をリコールした。
【0009】
腐食を制御するための様々な方法は、腐食性の環境における金属構造物の寿命を延長するための方法に特に重点を置いて過去数世紀にわたり発展してきた。これらの方法は、鉄鋼などの鉄含有材料およびアルミニウムなどの非鉄材料の腐食防止性を向上させるために、ならびに、よりコストのかかる合金を使用する必要性を回避するために主に使用されている保護コーティングを典型的に含む。したがって、それらの方法は、性能も向上させ、コストも低減する。しかし、このような保護コーティングは、腐食または異物付着の被害を被っている非金属構造物への貧弱な適用可能性を含むいくつかの落し穴を典型的に有する。
【0010】
保護コーティングは2つの主な範疇に分けられる。これらの範疇の大きな方は、環境に対する物理的な障壁として機能するペンキなどの局所的コーティングである。第2の範疇は、基部材料を攻撃から救うために優先的に腐食するように設計された亜鉛またはカドミウムなどの犠牲コーティングから構成されている。
【0011】
電気防食およびコーティングはともに、腐食を軽減および防止に主たる目的を持つ技術的規範である。各工程は異なり、電気防食が通常の電気化学的腐食反応を相殺するために外部電源から電流を導入することにより腐食を防止するのに対し、コーティングは自然に発生した陽極と陰極の間または電池対物質内での腐食電流もしくは電子の流れを防止するための障壁を形成する。これらの工程の各々が提供した成功は限られていた。コーティングは飛び抜けて全般的な腐食防止の最も広範に普及した方法を代表している(特許文献4および特許文献5を参照)。しかし、電気防食は、埋設または沈設の状態を条件とした何十万マイルものパイプおよび何エーカーもの鉄鋼の表面を保護するために使用されてきている。
【0012】
電気防食は、金属の表面の陽極溶解速度を無視可能にするために十分な陰極電流を金属の表面に供給することにより金属の表面の腐食を低減するために使用されている(例えば、特許文献6、7、8、9、10、および11を参照)。電気防食は、陽極の電位に対して陰極を分極させるための十分な電流の印加を介して局所的な陽極と陰極の表面の間の電位差を消滅させることにより動作する。言い換えれば、陰極電流の印加の効果はそのような残りの陽極の腐食の速度を低減することよりもむしろ、陽極として機能することを継続する面積を低減することである。完全な保護は陽極の全てが消滅された時に達成される。電気化学の立場からは、このことは、十分な電子が保護される金属に供給され、そのため、金属のイオン化または溶解に進むいかなる傾向も中和されたことを示している。
【0013】
腐食の研究における最近の論文は、電気化学的腐食の過程が、電池電流および電極電位などの電気化学系の電気的特性のランダムな変動に関連しているように見えることを見出している。これらのランダム変動は当技術分野では「雑音」として知られている。約20年前、科学者たちは、全ての導電性材料は、材料内の不純物により生じる電気化学的作用のために、生産されるや否や腐食を開始することを見出した。その後、この作用が、現在一般には「腐食雑音」と呼ばれる発生電流を検出する電子機器を使用してモニタできることが見出された。基本的には、この電流の規模が大きくなるに従い、材料は「より雑音が多く」なり、腐食の速度はより速くなる。例えば、鉄鋼は青銅より「雑音が多く」、より速い速度で腐食する。研究者たちは、電気化学系における腐食の過程を研究するために雑音分析技術の適用を開始している。
【0014】
参照として各々の内容が本明細書に組み込まれている特許文献12、13は、腐食防止システムにおいて電子回路と組み合わせて使用される亜鉛/亜鉛酸化物系珪酸塩コーティングを開示している。コーティング中の亜鉛/亜鉛酸化物粒子は、半導体の特性、主にZn-ZnO位相境界におけるp-n接合を有するとして開示されている。逆バイアスがかけられると、このp-n接合はダイオードとしてふるまい、境界を越えた電子の転送を禁止するとして記述されている。この制約はZnOの表面上のZnの酸化の場から酸素の還元の場への電子の転送を制限する。現に、局所腐食電池の陽極と陰極の間の抵抗は増大され、腐食は低減される。
【0015】
平均して、亜鉛/亜鉛酸化物に基づいた接合は、Znの表面におけるZnの酸化およびZnOの表面におけるO2の還元に伴う電位差のために、逆にバイアスがかけられる。しかし、大幅な確率論的電圧変動が発生する。これらの電圧変動は、接合に、偶発的に順方向バイアスをかける。順方向バイアスがかけられると、接合を越えた電子転送が増加し、Znの酸化およびO2の還元の加速または「突発」が起こる。現に、局所腐食電池の陽極と陰極の間には回路短絡があり、腐食は増強される。
【0016】
特許文献12、13は、腐食防止システムの電気化学回路内への固定値コンデンサの装着を開示している。しかし、本発明者により理解されているように、容量のレベルを制御することが望ましいということの認識がなく、また、いかなる特定の構造物における腐食も効果的に防止するために必要な容量の値をどのようにして動的に変化させるかを決定するために示唆された何らかの方法、もしくは必要な容量の値を決定するための最適な方法も存在しない。
【0017】
異物付着防止性に関して、海洋の物体は、一旦付着したなら、機械的に除去しなければならないフジツボ、シマイガイなどにより劣化される。海洋の異物付着の低コスト、非機械的、環境に優しい除去/防止が望ましい。これは、異物付着防止性の毒性の調査につながっている。毒物学的研究は、「毒」が効能上で定義されなければならず、そうする上で、化合物の「毒性」は、死亡または疾病のいずれかをもたらす化合物の量または濃度に関して頻繁に定義されているという事実を確立している。したがって、元素または化合物の関連毒性の査定においては、濃度が考慮されるべきである。多くの金属は「有毒」であると知られている。しかし、有毒と分類された金属は、同時に、「不可欠」でもある。良く知られている異物付着防止性剤である銅はこの範疇に入る。銅がなければ、生命は我々が知っているように存在できない。銅は、成長、生殖、および、新陳代謝において重要な役割を果たす特定の酵素の不可欠な部分である。残念ながら、異物付着防止性物質としての銅の使用に対する少なくともそれらの欠乏に対しては、百万分率で測定された低濃度が、特に体をその液体環境に完全に浸されている水生生物に有毒である。スズは生物学では必須金属ではないが、有機スズ化合物は特に優良な異物付着防止剤である。残念ながら、百万分率のレベルで開始するこれらの有機スズ化合物のレベルは、目標ではない生物種に有毒である。加えて、有機スズは脂肪組織内に蓄積され、食物連鎖により「増倍され」、ヒトのように連鎖の頂点にいる動物に益々悪影響を及ぼす。
【0018】
亜鉛は生物学では必須金属であるが、銅のように、重金属の範疇には入らない。亜鉛の毒性レベルは銅より大幅に高く、亜鉛は、環境について許容可能な多くの製品および材料内への道筋を見出す。Duke Universityの科学者たちは、特許文献12および13のコーティングに伴う異物付着防止特性が、コーティングの亜鉛の毒性から来ていることを発見した。これらの科学者たちは、同時に、亜鉛の放出のレベルが、海洋環境において毒性を生成しない程に低いレベルのものであったと決定した。彼らは、亜鉛が食物連鎖において増倍される材料ではないことにも注目した。したがって、亜鉛イオンを耐海洋異物付着剤である毒物として使用することが可能である。
【0019】
Riffeが上記に開示したものなどの以前の腐食防止法に対する1つの短所は、上記明細書に開示されている珪酸塩系コーティングに対して利用可能な色彩の選択の比較的柔軟性がないことであり、直ちに利用可能である唯一の色彩は灰色である。このことが海洋での、および、構造上でのほとんどの用途で許容可能である一方、特に自動車産業および輸送産業においてペンキの代用品としての使用にとっては非犠牲的であり、ある程度の幅の色彩で供給可能な腐食防止コーティングとしてはある必要性が存在する。これらの、および、他の短所は、参照として各々の内容の全体が本明細書に組み込まれている特許文献14、15、および16の半導体コーティングおよび関連するシステムを使用してほぼ克服されている。特許文献14〜16の半導体性コーティングおよびシステムは興味深い特性のアレイを設けるための様々な導電性基板と共に使用することができる。半導体が塗布されている基板よりも常に不活性ではない材料である半導体の場合、コーティングは保護されている材料の電位を安定させる。電気化学的作用により生成された電子は保護されている基板からコーティングの半導体に転送されるか、腐食雑音が保護されている材料からコーティングに、単に転送される。
【0020】
図1は未処理金属101内に存在する電気化学的雑音の図であり、ランダムに変動する電圧が測定され、波形102として表示されている(鋸歯波形として示されているが、実際の波形はより幅広い帯域の成分を有し、本質的に確率論的なものとなる)。
【0021】
図2は、コーティング210が、それが保護する金属201より不活性ではない材料を含む場合に、腐食および異物付着を防止するように金属表面上に半導体性の保護コーティングを塗布した効果を示す。コーティング210が金属201より不活性ではないため、コーティング210は金属内に存在する電気化学的雑音211を包含するが、コーティングにとっては、この結果は金属内の平坦な波形202として表示される。コーティング250内の個々の半導体粒子はコーティングの腐食防止特性を担う。
【0022】
図3は積層半導体/金属構成物の図である。亜鉛がドープされると、鉄鋼(鉄含有合金)に対する半導体材料の腐食防止性の機能は、「腐食電位」と呼ばれるZn酸化および酸素還元による電位の構築の結果として得られる。この点から、この系は、Zn酸化により構築された電位に鉄の酸化が抑制された従来の犠牲陽極材料として機能する。しかし、半導体内のZnの酸化は、腐食電位の低下を伴って大幅に低減されるか、不活性化され、コーティングの極端な長寿命をもたらす。この不活性化は、境界が高い電気抵抗を持つようにする、Zn/ZnO境界のバリスタ様の挙動および境界にかかる電位差を維持する関連フィルタの能力の組み合わせの結果である。半導体粒子250は、P型領域320およびN型領域310の2つの領域を含み、これらの領域はこの2つの領域間での電子流302にバリスタとしてふるまう接合330を備える。亜鉛を使用すると、亜鉛の粒子は、導電性バインダにより取り囲まれ酸化物コーティングされた様々な粒子を備えた亜鉛酸化物層により覆われる。半導体性コーティング内のPおよびN半導体の境界は、それらの間の電子の流れを制御するバリスタ(背中合わせダイオード)として機能する。保護されている基板に接続された半導体コーティングへの電流の適切な印加は、この境界における電位を安定させる。このことは、P半導体からN半導体への電子の転送の速度を低下させ、103の係数で腐食の速度を低減し、処理された物体の設計寿命を超えることができる半導体コーティングの寿命の延長を生み出す。
【0023】
バリスタ(可変抵抗)は高度の非線形な電気特性を有し、機能的には背中合わせダイオードと同等である。電圧が制限された領域、すなわち「スィッチ領域」では、バリスタは漏れ電流のみを通過させる。例えば過渡状態中に、電圧の大きさがスィッチ電圧を超えると、バリスタは高度に導電性を持つようになる。バリスタは一般にZnO系である。図4はバリスタに対する電流電圧関係を示すグラフであり、同図において、電圧を示す軸1101、電流を示す軸1102、および、ある範囲のバイアス電圧にわたる電流を表す曲線1103が表示されている。-Vb 1110とVb 1107の間の範囲は電圧領域1104を表し、この範囲において、バリスタはスィッチとしてふるまう。曲線に沿ったIL 1105と番号付けされた点は、漏れ電流、すなわち、バリスタに開放スィッチとしてふるまうようにバイアスがかけられている時でさえバリスタを介して流れる小さなレベルの電流に対応する曲線に沿った点である。VN 1106と番号付けされた点は、スィッチ電圧、言い換えれば、バリスタのスィッチ領域1104に対応する正の最大電圧値を表す曲線に沿った点である。VB 1107と番号付けされた点は、VBより高いバイアス電圧がバリスタをノードとして機能させるバリスタの破壊電圧を表す。負のIL 1108と番号付けされた点は、負の漏れ電流を表す曲線に沿った点を表す。-VN 1109と番号付けされた点は、負のスィッチ電圧、言い換えれば、バリスタのスィッチ領域1104を表す範囲の負の最大電圧を表す曲線に沿った点である。-VB 1110と番号付けされた点は負の破壊電圧を表す。
【0024】
上記特定された特許文献14〜16は、少なくとも、半導体性コーティングを含む腐食を制御するためのシステムおよびデバイス、並びにフィルタを含む腐食雑音制御システムを目的としている。係属中の特許文献16の場合、腐食雑音制御システムは、コーティング中に存在する腐食雑音に対応するフィードバック信号に基づいて調整することができる調整可能フィルタを含む。
【0025】
特許文献14〜16の腐食雑音低減システムの性能は、最も単純な形態が根本的にコンデンサであるようなシステム内部フィルタに従って変化する。特許文献14〜16は、様々な受動的および能動的フィルタとの半導体性コーティングの組み合わせも開示している。特許文献14〜16において、半導体コーティングは、システム内部フィルタと並列になっている抵抗として幾分かは機能する。高周波通過型または低周波通過型のフィルタをどのようにして実施するかなどのフィルタの基本事項の要約は、内容の全体が参照として本明細書に組み込まれている非特許文献7に見出される。
【0026】
図5は様々なフィルタの場合の腐食電位対時間のグラフである。水平軸401は時間を日数で計る一方、垂直軸402はミリボルトで測定された半導体要素を基準とした電位を表す。様々な腐食環境に対する最適なフィルタ特性を決定することを目的とした実験を通して、測定値は7つのシステムに対し3点の時間において取られた。7つのフィルタ構成の各々に対する測定電位はそれらの3つのサンプルについて記録され、凡例に掲げられた様々な記号により示されている。グラフは410から430までに示されたサンプル採取点における7つのフィルタの各々に対する様々な結果を表示している。
【0027】
電気化学的腐食は、等価回路の観点から概略的に見ることができる。典型的に、本半導体材料は亜鉛がドープされている。したがって、図6に示す単純な等価回路はZn酸化の場合に関連する。陽極反応はZn上で、また、陰極反応はZnO上で発生する。Zn/ZnO境界が回路中のバリスタを表すことに注意されたい。Zn/O2酸化還元対により発生された電位差がスィッチ領域に安定して入っていれば、Zn酸化は境界の高い抵抗により禁止される(または、不活性化される)。しかし、腐食に伴う自己発生した電気化学的な電位変動、すなわち、「電気化学的雑音」のあることが、過去10年間にわたり実証されてきている。その結果、例えZn/O2電位がスィッチ領域にあることが可能であっても、電位差を高導電性領域に動かし、電子流を、したがって、Zn酸化を可能にする変動になる可能性が高い。
【0028】
本発明者は、これが、電気化学的雑音を除去または濾過するようにZnを不活性化する方法であることを理解した。この電気化学的雑音の除去は、最も単純な形態においてコンデンサであるフィルタを介するものである。この濾過効果はスィッチ領域におけるZn/ZnO境界にかかる電位を維持し、Zn酸化は低減され、コーティングの寿命は延長される。しかし、低周波通過型フィルタが、保護されている材料に依存して他の周波数帯域を選択的に減衰するために、通過帯域(または、ノッチ)フィルタを使用して拡張できることが理解されよう。
【0029】
図6は特許文献14〜16のシステムに対する等価回路図を示す。この図は、システムの挙動を、金属の腐食の過程の電気化学的性質に基づき代表的な電気回路に要約している。より詳細には、腐食は変動電圧源としてモデル化することができ、金属の固有抵抗を表すことができ、腐食防止性コーティングはバリスタとしてモデル化することができ、雑音フィルタはコンデンサとしてモデル化することができる。これらのモデル化された要素を回路図内に定置することにより、Dowling(特許文献14〜16)の雑音およびフィルタ構成部分は電気回路分析を使用してより明確に概念化することができる。
【0030】
この描写的回路内にあるのは、亜鉛の電離過程に対応する陽極802における電池電極電位、および、水を生成する化学的な過程に対応する陰極803における電池電極電位と直列になったシステムの固有抵抗を表す溶液抵抗801である。回路に同じく存在し、回路に直列に接続されているのは2つの雑音発生源804であり、その1つは陽極の電池電極電位と陽極805のファラデーインピーダンスの間に挟まれており、もう1つは陰極803における電池電極電位と陰極806のファラデーインピーダンスの間に挟まれており、陽極および陰極のファラデーインピーダンス間に直列に定置されているのは亜鉛酸化物バリスタ807および雑音フィルタ808である。バリスタおよび雑音フィルタは腐食を誘発することができる電圧変動の発生を低減するように機能する。雑音フィルタ808は能動的、受動的、または、その双方とすることができ、共通電位810に指定するための回路内の接続点(node)を選択することにより、フィルタ808は腐食雑音による回路内の高周波を減衰することができる。
【0031】
半導体性層が定置されている基板は導電性または非導電性とすることができる。導電性基板は金属製または非金属製とすることができる。非導電性基板は、シリコンウェハまたは他の非金属基板など、絶縁体として機能するいずれの材料とすることもできる。半導体チップ製造の技術におけるこのような非導電性または導電性の基板の製造は当業者には良く知られている。
【0032】
特許文献14〜16の腐食雑音低減システムは、導電性構造物を半導体性コーティングでコーティングし、結果として得られるコーティングされた構造物を、コーティング中の腐食雑音を最小に抑えるように、受動的または能動的な電子的フィルタに接続することにより、腐食に弱い導電性構造物の腐食を防止するための手段を提供する。電子フィルタは腐食雑音の高周波スペクトル成分を減衰させるようなフィルタ応答を有する。これは、保護されている材料にかかる(恐らくはノッチフィルタによって拡張される)低周波通過型フィルタの形のインピーダンス特性を有するフィルタを接続することにより達成される。さらに、材料および用途によっては、他の周波数帯域は、場合によっては、腐食性および/または異物付着防止の効果を低減するように、選択的に減衰することができる。フィルタは受動的フィルタまたは能動的フィルタとすることができる。いずれの場合でも、フィルタは高い周波数の電圧変動を減衰する。そして、半導体コーティング中に存在する接合は逆バイアスを維持する。したがって、半導体性コーティング中の陽極領域から陰極領域への時間平均された電子流が低減され、コーティングは効果的に不活性化される。
【0033】
腐食の過程と等価な回路に含まれるフィルタの場合、雑音信号は図7に示すように放散させることができ、同図で、金属表面501はフィルタ508に接続された保護コーティング510により覆われており、そのため、金属が有する雑音静電気502は大幅に減衰される。フィルタ508は、高周波腐食雑音522を低減するために独立した低周波通過型フィルタとして、または、場合によっては、帯域通過型および/またはノッチフィルタの形になったインピーダンスを有するフィルタとの組み合わせでのいずれでも機能する。現に、フィルタは電気化学的雑音信号におけるより高い周波数に伴うエネルギーを消散する。電気化学的雑音の高周波スペクトル成分の減衰は、スィッチ電圧(Vn)の外にあるバリスタにかかる電圧変動を禁止することにより腐食の過程を大幅に低減する。
【特許文献1】米国特許第6325915号明細書
【特許文献2】米国特許第6402933号明細書
【特許文献3】2001年6月25日に出願された係属米国特許出願第09/887024号明細書
【特許文献4】Leon他の米国特許第3562124号明細書
【特許文献5】Hayashi他の米国特許第4219358号明細書
【特許文献6】Pryorの米国特許第3574801号明細書
【特許文献7】Wassonの米国特許第3864234号明細書
【特許文献8】Maesの米国特許第4381981号明細書
【特許文献9】Wilson他の米国特許第4836768号明細書
【特許文献10】Websterの米国特許第4863578号明細書
【特許文献11】Stewart他の米国特許第4957612号明細書
【特許文献12】Riffeの米国第5352342号明細書
【特許文献13】Riffeの米国特許第5009757号明細書
【特許文献14】Downlingの米国特許第6325915号明細書
【特許文献15】Downlingの米国特許第6402933号明細書
【特許文献16】Downlingの2001年6月25日に出願された米国特許出願第09/887024号明細書
【非特許文献1】1995年付けの「Economic Effects of Metallic Corrosion in the United States」と題されたBattelleおよびthe Specialty Steel Industry of North Americaにより発表された報告書
【非特許文献2】「Economic Effects of Metallic Corrosion in the United States」と題されたBattelleおよびthe National Institute of Standards and Technologyにより実施された研究の知見のBattelleの科学者による部分的な更新
【非特許文献3】National Bridge Inventory
【非特許文献4】Intermodal Surface Transportation Efficiency Act of 1991(1991年モード間水陸輸送効率法)
【非特許文献5】Highway Bridge Replacement and Rehabilitation Program(高速道路橋梁交換修復プログラム)
【非特許文献6】Transportation Equity Act for the 21st Century(21世紀に向けた輸送平衡法)
【非特許文献7】Microelectronics Circuits, Fourth Edition, Sedra & Smith, Oxford University Press (1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
したがって、本発明の1つの目的は従来の異物付着防止システムにおける上記に特定された、および、他の欠陥に対処し、これを解決することである。
【0035】
本発明の他の目的は、高周波腐食雑音に対して接地への低抵抗経路を提供するための、電子制御装置(ECU)、(固定された受動フィルタを任意で含む)制御可能フィルタ、および、基板上の半導体性コーティングを有する腐食雑音低減システムを提供することである。
【0036】
本発明のさらなる目的は、特定の構造物に対して採用された腐食雑音低減システムの腐食防止性および異物付着防止性の機能のバランスを取るために、その構造物に対して、保護コーティングの寿命の延長と短縮の間の妥協点を最適化するためのシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
これらの、および、他の目的は本明細書に説明されているシステムおよび方法により達成される。本発明者は、基板上に半導体性コーティングを有する腐食雑音低減システムが、半導体性コーティングが設置された導電性構造物におけるフィルタの動作および電圧変動を制御するために、電子制御装置(ECU)および制御可能フィルタを使用して最適に動作できることを理解した。これらの恩恵は前記コーティングにより発生した雑音をモニタし、フィルタを制御するための方法を介して達成され、この方法は、任意で、限定はされないが、コーティング内に発生した腐食雑音に応じた所定の、および/または、測定された1組のラメータに基づく調整可能フィルタ構成部分および/または固定構成部分を使用し、それにより、腐食、および/または、異物付着防止保護構成部分の提供が延長される速度を制御する。所定の、および/または、測定された1組のパラメータは、温度、塩度/水の純度、湿度、経過年数、短期負荷サイクル、長期負荷サイクル、船舶の即時速度、船舶の速度履歴、即時地理的位置、地理的位置履歴、コーティングの経過年数、コーティングの劣化、コーティングの厚さ、コーティングされている表面積、および、コーティングされている領域の形状の少なくとも1つを含む。
【0038】
本発明は、航空用構造物/機体、自動車用構造物/車両、橋梁、海洋船舶/構造物、パイプライン、鉄道用車両/構造物、鉄鋼構造物、および、貯水タンクにおける腐食の防止を目的とするが、同様に他の目的にも使用可能である。本発明は、海洋船舶、海洋用構造物、海上プラットフォーム、発電所、および、他の物体における海洋での異物付着の防止も同じく目的とする。
【0039】
本発明者により決定されたように、制御可能フィルタおよび制御装置は腐食雑音低減システムにおいて使用することができ、同システムでは、システムの腐食防止および異物付着防止の特性をバランスさせるために、様々なパラメータを考慮することにより、制御装置が腐食雑音低減システムのフィルタ特性を動的に調整する。これらのパラメータの例の非限定的一覧は、温度、塩度/水の純度、湿度、経過年数、短期負荷サイクル、長期負荷サイクル、船舶の即時速度、船舶の速度履歴、即時地理的位置、地理的位置履歴、コーティングの経過年数、コーティングの厚さ、コーティングの劣化、コーティングされている表面積、および、コーティングされている領域の形状の1つまたは複数を含む。システムの腐食防止と異物付着防止の特性の間のバランスを図ることが可能であるというこの発見の観点から、本発明者は、腐食防止性/異物付着防止性の半導体性コーティングおよび腐食雑音低減システムに関連するフィルタ動作を制御するためのシステム、デバイス、アルゴリズム、方法、および、コンピュータプログラム製品を特定し、ここで説明した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明および本発明の付随長所の多くのより完全な理解は、添付の図面と関連して検討される時に、それらが以下の詳細な説明への参照によって、より良く理解されると、直ちに得られる。
【0041】
本発明は電子制御装置(ECU)、制御可能フィルタ、および、基板上の半導体性コーティングを有する腐食雑音低減システムを提供する。
【0042】
図8は、図6に見られるものと同じ構成部分が以前の表示記号でそのまま表現した本発明の1つの実施形態の回路図である。示すように、ECU 897は制御可能フィルタ898およびECU制御回路899を含む。ECU 897は、任意で、1つまたは複数の局所センサ882に接続するか、かつ/または、(例えば、無線通信における使用のための)アンテナ881もしくは任意のトランシーバを備えるなど無線通信を達成するための他の機構に接続するか、かつ/または、これらを含むことができる。ECUは、アンテナ881、他の無線通信機構、または、ネットワークなどの有線接続さえをも介してアクセス可能な(図示しない)局所データアーカイブまたは遠隔アーカイブに保存されたデータにアクセスすることもできる。ECU制御回路899は、制御可能フィルタ898の周波数依存インピーダンスがECU制御回路899の動作のモードに依存して変更されるように、制御可能フィルタ898のフィルタ特性を変更するように構成されている。制御システム技術の当業者により理解されるように、本発明がこの特定の構成に限定されないことも理解されよう。
【0043】
図9は制御可能フィルタ898およびECU制御回路899を含んだECU 897を含む本発明の実施形態のブロック図である。単一のコンデンサで構成されたフィルタが示される一方、他の回路構成部分は、低周波通過型フィルタのインピーダンス特性を拡張する(例えば、ノッチフィルタの形のインピーダンスを有する)様々なフィルタを実施するために使用することができる。概略すると、制御可能フィルタ898とECU制御回路899の組み合わせは、導電性リンク809により腐食システムの他の要素に接続された単一のシステム897として表されている。制御可能フィルタ898は、腐食雑音に対応して目標の高周波信号を減衰するように構成された(例えば、低周波通過型、ノッチフィルタ、帯域通過型などの形態のインピーダンスを有する)様々なフィルタのいかなる構成も含むことができる。制御可能フィルタ898は、ECU制御回路899により、または、回路から構成部分を自動的にまたは手作業で電気的に挿入および/または除去することができる手動トグルスィッチ、パッチパネル、または、他のデバイスなどの他の手段により、制御することができる電子的に制御可能なスィッチ905を使用して、システムから任意で接続解除することができる。制御可能フィルタ898は制御回線925の手段によりECU制御回路899により制御することができ、制御回線925は、複数の補助フィルタ920および921(これは、共働して異なったフィルタ特性を腐食雑音に適用することができる切換え可能なフィルタ列を任意で含む)を接続するスィッチ923および924を開放または閉鎖する。任意で、電圧制御された抵抗または切換えられた可変容量にすることができる調整可能な回路要素を介して制御可能フィルタ898のフィルタ特性をECU制御回路899が電子的に制御/調整することも本発明の特徴である。ECU 950は、(無線電磁波および/または光リンクを任意で介して)遠隔ECU制御位置についての1つまたは複数の制御信号を受信および/または送信するように、無線受信機/送信機881に接続することができる。ECU制御回路899は1つまたは複数の局所センサ882に接続することができ、その各々は塩度、温度、局所位置、または、他のパラメータなどのECU制御回路899により使用される1つまたは複数のパラメータをモニタするように構成されている。無線受信機881および/または局所センサ882から受信された情報は、ECU制御回路899により使用して、制御可能フィルタ898を調整するか、または、同フィルタ898を完全に接続解除することができる。加えて、ECU制御回路899は、無線受信機/送信機881および/または局所センサ882から受信された情報を処理するように、局所および/または遠隔データベース912とインターフェイスすることができる。
【0044】
半導体性コーティングの有効性は、特定の用途の必要性に対して選択された特定の周波数応答特性を持つフィルタの使用、ならびに、保護されている物体の「電気化学的雑音」をモニタし、それに従って同フィルタの応答を調整する適応能動フィルタの使用を介して最適化することができる。特定のフィルタは、腐食雑音を除去し、それにより、半導体コーティングにかかる低周波電圧をより小さくするように構成され、操作される。1つまたは複数のフィルタは、半導体コーティング内およびその上に形成された「高周波」腐食電流に対する接地への低抵抗経路を設けるように構成され、保護されている構造物に沿った1つまたは複数の場所におけるコーティングに装着されている。「高周波」は、腐食雑音の非直流成分を記述するために本明細書で使用されている用語である。典型的な構造物に対する現実では、腐食雑音の高周波成分は数10Hz以上にある。本明細書で使用される如き高周波は、例えば直流と10Hzの間の過渡帯域も含み、したがって、例えば1から10Hzにおける周波数を含む。したがって、本発明により採用されている制御可能フィルタに対するフィルタ特性のカットオフ(または、3dB点)は典型的なものであるが、1から10HZに限定される必要はない。腐食雑音の性質に依存して、フィルタ特性は、1/4もしくは1/2Hz以上、または、(ノッチフィルタの形になったインピーダンスを有する1つまたは複数のフィルタを使用して段階を付けることができる)1つまたは複数の特定の周波数帯域にさえおける低周波数までも抑制するように構成することができる。
【0045】
図10Aおよび図10Bは本発明の1つの実施形態の例示的腐食雑音低域通過型フィルタのインピーダンスに対するそれぞれ振幅および位相応答曲線である。これらのボード線図は約10Hzにおける3dB点を示している。その代わり、スペクトルエネルギーの重大な非直流成分が保護されている構造物から除去され、そのため、スィッチ電圧範囲の外での電圧変動が大幅に低減される限り、保護されている材料によっては、5Hz、15Hz、25Hz、100Hz、または、他の値の3dB点での低域通過型インピーダンス特性を有するフィルタを使用することができる。低域通過型インピーダンス特性を有する1つまたは複数のこのようなフィルタが、不要な腐食雑音エネルギーを除去する一方で、保護されている構造物にかかるいかなる腐食雑音電流も低減または防止するために、保護されている構造物に1つまたは複数の場所において電気的に接続することができる。これらの低域通過型フィルタの1つまたは複数は、フィルタ周波数応答および/または物理的接続の点において電子制御装置により制御することができる。その代わり、より高次のフィルタが、特性曲線のロールオフ(roll-off)割合を変更するために使用することができ、それにより、3dB点により近い周波数における高周波エネルギーをさらに抑制する。この電子的フィルタは、電子、したがって、腐食の喪失を誘発する電気化学的雑音信号に対して接地への経路を提供する。腐食性の影響を効果的に低減するために、より低い周波数におけるより小さなインピーダンスが達成される必要がある(すなわち、もしシステムのフィルタが純粋にコンデンサであれば、コンデンサのサイズを増大することによる)。
【0046】
図11Aおよび図11Bは本発明の1つの実施形態のノッチフィルタによって拡張された低周波通過型インピーダンス特性を有する腐食雑音フィルタに対する、それぞれ振幅および位相応答曲線である。示すように、フィルタのインピーダンスにおける複数(または、ただ1つ)のノッチは、1つまたは複数の腐食雑音スペクトル成分を切り離すために図10Aおよび図10Bの低域通過型インピーダンス特性と共に使用することができる。1つまたは複数のそのようなフィルタは、腐食雑音エネルギーピークを除去する一方で、保護されている構造物にかかるいかなる腐食雑音電流も低減または防止するために、保護されている構造物に1つまたは複数の場所において電気的に接続することができる。これらのノッチフィルタの1つまたは複数は、周波数応答および/または物理的接続の点において電子制御装置により制御することができる。その代わり、より高次のフィルタを使用することができる。
【0047】
電子制御装置により実行される低域通過型および/またはノッチインピーダンスの特性を備えた1つまたは複数のフィルタ、ならびに、より高次のフィルタの制御は、保護されている構造物をモニタしている1つまたは複数の腐食雑音センサにより供給される1つまたは複数の腐食雑音測定値に基づくことができる。
【0048】
フィルタおよびフィルタ接続の全ての組み合わせに対して、半導体性コーティングの有効性は、測定された腐食雑音、温度、塩度、湿度、コーティングの経過年数、コーティングされている表面積、コーティングの厚さ、コーティングの劣化、コーティングされている領域の形状、(例えば、北海対南シナ海などの)コーティングされた船舶/構造物の位置、船舶の移動または静止、(例えば、静止対移動の時間の比などの)運行の履歴の1つまたは複数を含むように測定された一連の、および/または、所定のパラメータに応じて、ECUのフィルタ動作を調整するようにECUを構成することにより、保護されている物体の寿命にわたりさらに最適化することができる。
【0049】
図12は本発明の実施形態において使用されている非限定的例示的工程を示すフローチャートである。このフローチャートにより示されている工程はECUにおいて使用することができ、腐食防止効果と異物付着防止効果の間のバランスを最適化するために、フィルタの挙動を制御することができる。本工程において、システムは開始ステップ1201から、モニタリング段階ステップ1202に進行し、同ステップ1202において、入力は、塩度、システムの位置、システム履歴、または、他の要因を含めて、様々なモニタおよびセンサから取ることができる。続いて、システムは、ステップ1203において、モニタ値を比較し、2つの所定の動作プロファイル、つまり、それぞれステップ1204およびステップ1205のいずれをフィルタが採用するべきであるかを決定する。この作業が完了すると、システムはモニタリング段階ステップ1202に戻り、工程を繰り返す。この実施形態においては2つのファイルプロファイルが示されている。他の実施形態においては、3つ以上のプロファイルを選択することができる。
【0050】
本発明の制御パラメータの測定および利用の段階は、特定の実用例に対するシステムの性能を微調整するために使用される。制御パラメータに基づき、システムにおける必要なフィルタ特性は、航空輸送機または長大橋梁などの非常に大型の構造物においてさえ、構造物の表面全体にわたる一貫した腐食防止に対して、決定することができ、改善することができる。本発明において、コーティングされた表面と低雑音高インピーダンス参照電極の間の電圧変動は、電圧ピークが、(例えば、毎秒30回など)時間間隔当たり所定の閾値、所定の回数を超える時、および/または、高められた雑音環境が検出される時に対してモニタされている。この閾値検出技術は、雑音の標準偏差を測定する1つの方法であり、この標準偏差は、今度は、雑音パワーの測定値となる。その代わり、高速フーリエ変換(FFT)または他の信号処理技術を、周波数に応じた雑音パワーを測定するために使用することができる。雑音信号の周波数成分および雑音信号のパワー成分は、スペクトル分析器などの測定デバイスにより、または、信号のデジタル化を介して、ECUのリアルタイム内蔵プロセッサにおいて様々な信号処理技術を実行することにより測定することができる。加えて、他のパラメータは、フィルタの特性および/またはフィルタの負荷(すなわち、オン/オフ)サイクルを手動で、または、自動的に調整するために(個別に、または、組み合わせて)使用することができる。これらは、測定された腐食雑音、温度、塩度、湿度、コーティングの経過年数、コーティングされている表面積、コーティングの厚さ、コーティングの劣化、コーティングされている領域の形状、(例えば、北海対南シナ海などの)コーティングされた船舶/物体の位置、船舶の移動または静止、(例えば、静止対移動の時間の比などの)運行の履歴といった以前に特定されたパラメータを含むが、これらに限定されない。
【0051】
他の実施形態において、ECUは、VMEバスなどの工業標準または独占的なバスを介して、または、無線通信機構を介して全球即位衛星サブシステムに接続されている。システムの地理的位置をモニタすることにより、ECUは、システムの地理的位置に伴っている腐食に影響を及ぼす塩度、温度、および、他の要因の影響について知られていることを考慮して、所定の基準に従って腐食雑音フィルタ特性の有効値を調整する。
【0052】
図13は図7に見出されるものと同じ構成部分が以前の表示記号を保持する本発明の1つの実施形態の効果を示す図である。ECU 599はフィルタ508に接続され、これを制御する。ECU 599は、フィルタ508のECU 599による制御に影響を及ぼすデータを受信するように、アンテナ581(または、赤外線または光などの電磁エネルギーの他の受容器)および/または1つまたは複数の局所センサ582に接続することができる。本発明のこの実施形態において、ECUは、高周波腐食雑音を(制御可能な切換え速度または負荷サイクルで)完結的に減衰するように、フィルタ508を制御し、そのため、フィルタは(開放回路と閉鎖回路の間で交番し、そのため、低周波通過型フィルタが回路の内外にある)間欠的な低周波通過型インピーダンス特性577を有する。フィルタが腐食雑音の高周波成分を減衰している時、コーティングと保護されている材料550にかかる電気化学的雑音の高周波スペクトル成分は大幅に低減されており、したがって、雑音信号は効果的に濾過されており、そのため、緩慢に変化する電圧(すなわち、「とげ状ではない」)となっている。フィルタが腐食雑音を切り離していない時、コーティング550の雑音特性は雑音が多く(とげ状)、半導体層中の亜鉛が環境中に放散していることを示唆する。この状況において、ECU 599はコーティングが動作の異物付着防止モードで機能するように制御する。他の実施形態において、所定の腐食雑音周波数の振幅および/もしくは周波数が低減される、ならびに/または、フィルタ508が完結的に接続されるフィルタ特性をフィルタ508が有するように、ECU 599はフィルタ508を制御することができる。フィルタが「パルス化された」形で動作される理由は、腐食防止性のためのZnの保全に対する異物付着防止のためのZnの枯渇をバランスさせるためである。枯渇速度は、0%(オン)のすぐ上方から常にオン(すなわち、100%)までの範囲にわたるパルス化されたオン/オフのサイクルを設定することにより制御することができる。例えば、動作の50%オン/オフのパルス化されたモードは、所定の時間長にわたり、フィルタを時間の50%に対して動作させるが、常に等しい時間間隔におけるわけではない(すなわち、常に50%の負荷サイクルの場合ではない)。さらに、パルス化された動作は周期的または非周期的な制御波形と共に発生することができる。
【0053】
図14はECUがある場合およびない場合の腐食雑音低減システムに対して時間の経過と共に測定された亜鉛放出速度を比較するグラフである。このグラフにおいて、2つのシステムの亜鉛放出速度はグラフ上に表示されており、グラフでは、水平軸601は経過した時間および日数を計り、垂直軸602はcm2当たりの亜鉛のマイクログラム数での亜鉛放出速度を図る。ECUが使用されていないシステムにおいて、結果は四角形620により示されている。他のシステムにおいて、亜鉛放出速度はECUを持つシステムを使用することにより低減され、結果は円形610により示されている。測定値は約300日の期間にわたり取られた。2つのプロットの比較は、ECUのないシステムがこの期間にわたりECUのあるシステムより多くの亜鉛を放出する傾向があり、したがって、より短い半導体コーティングの寿命を有したことを示している。
【0054】
図15は図6に見いだされた結果の再正規化であり、同図において、水平軸701は時間を日数で示し、垂直軸702は放出された総亜鉛の百分率としての亜鉛の放出を示す。このグラフにおいて、それぞれ、円形710により示されたECUがある場合の結果は結果610に対応し、四角形720により示された結果は図14の結果620に対応する。
【0055】
図16は本発明の実施形態におけるECU制御コンピュータ899として使用することができるコンピュータを示す。コンピュータはプロセッサ1003、主メモリ1004、ROM 1005、システムバス1002を含み、モニタおよびキーボードなどの様々なユーザインターフェイスデバイス1010から1012に接続されている。本発明の腐食防止性および異物付着防止性の測定の動作を最適化することに関連する物理的な状態および他の変数をモニタするために、コンピュータは、塩度および圧力のゲージ、地理的位置センサなどのセンサ882に接続されている。
【0056】
以下はECU制御コンピュータ899のより詳細な説明である。ECU制御コンピュータ899は、バス1002または(可能に無線の形で)情報を通信するための他の通信機構、および、バス1002と結合された情報を処理するためのプロセッサ1003を含む。ECU制御コンピュータ899は、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的保存デバイス(例えば、ダイナミックRAM (DRAM)、スタティックRAM (SRAM)、および、同期DRAM (SDRAM))などのプロセッサ1003により実行されるべき情報および指令を保存するためにバス1002に結合された主メモリ1004も含む。加えて、主メモリ1004は、プロセッサ1003による指令の実行中に一時的変数または他の中間情報を保存するために使用することができる。ECU制御コンピュータ899は、バス1002に結合されたプロセッサ1003に対する静的情報および指令を保存するための読出しメモリ(ROM) 1005または他の静的保存デバイス(例えば、プログラマブルROM (PROM))、消去可能PROM (EPROM)、および、電気的消去可能PROM (EEPROM)をさらに含む。
【0057】
ECU制御コンピュータ899は、磁気ハードディスク1007、および、(例えば、フロッピディスクドライブ、読出しコンパクトディスクドライブ、読出し/書込みコンパクトディスクドライブ、複数枚再生用コンパクトディスクドライブ、テープデッキ、および、取外し可能光磁気ドライブなどの)取外し可能な媒体ドライブ1008のような情報および指令を保存するための1つまたは複数の保存デバイスを制御するためにバス1002に結合されたディスク制御装置1006も含む。保存デバイスは、(例えば、小型コンピュータシステムインターフェイス(SCSI)、総合デバイス電子回路(IDE)、拡張型IDE (E-IDE)、直接メモリアクセス(DMA)、または、ウルトラDMAなどの)適切なデバイスインターフェイスを使用してコンピュータシステム950に追加することができる。
【0058】
ECU制御コンピュータ899は、(例えば、特定用途向けIC(ASIC)などの)特別用途向け論理デバイスまたは(例えば、単純なプログラマブル論理デバイス(SPLD)、複雑なプログラマブル論理デバイス(CPLD)、および、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの)構成可能論理デバイスも含むことができる。
【0059】
ECU制御コンピュータ899は、コンピュータのユーザに情報を表示するための陰極線管(CRT)などの表示装置1010を制御するためにバス1002に結合された表示制御装置1009も含むことができる。コンピュータシステムは、コンピュータのユーザと対話し、プロセッサ1003に情報を提供するためのキーボード1011およびポインティングデバイス1012などの入力デバイスを含む。ポインティングデバイス1012は、プロセッサ1003に命令情報およびコマンド選択を通信するため、および、表示装置1010上のカーソルの移動を制御するための例えばマウス、トラックボール、または、ポインティングスティックとすることができる。加えて、プリンタはECU制御コンピュータ899により保存され、かつ/または、作成されたデータの印刷一覧を供給することができる。
【0060】
ECU制御コンピュータ899は、主メモリ1004などのメモリに含まれている1つまたは複数の指令の1つまたは複数のシーケンスを実行するプロセッサ1003に応じて、本発明の処理ステップの一部または全てを行なう。このような指令は、ハードディスク1007または取外し可能媒体ドライブ1008などの他のコンピュータ読出し可能媒体から、主メモリ1004内に読込むことができる。多重処理構成における1つまたは複数のプロセッサは、主メモリ1004に含まれている指令のシーケンスを実行するために採用することもできる。他の実施形態において、配線回路はソフトウェア指令の代わりに、または、それと組み合わせて使用することができる。したがって、実施形態はハードウェア回路およびソフトウェアのいずれかの特定の組み合わせに限定されない。
【0061】
上述したように、ECU制御コンピュータ899は、本発明の教示に従ってプログラムされた指令を保持するため、ならびに、データ構造、表、記録、または、本明細書に説明されている他のデータを含むための少なくとも1つのコンピュータ読出し可能媒体またはメモリを含む。コンピュータ読出し可能媒体の例は、コンパクトディスク、ハードディスク、フロッピディスク、テープ、光磁気ディスク、PROM (EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、または、いかなる他の磁気媒体、コンパクトディスク(例えば、CD-ROM)、または、いかなる他の光媒体、パンチカード、紙テープ、または、穴のパターンを持つ他の物理的媒体、(以下に説明されている)搬送波、または、コンピュータが読み出せるいかなる他の媒体でもある。
【0062】
コンピュータ読出し可能媒体のいずれか1つまたは組み合わせ上に保存されていれば、本発明は、ECU制御コンピュータ899を制御するため、本発明を実施するためのデバイスまたはデバイス群を駆動するため、および、ECU制御コンピュータ899が(例えば、印刷物製品担当者などの)人間のユーザと対話することを可能にするためのソフトウェアを含む。このようなソフトウェアは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、開発ツール、および、アプリケーションソフトウェアを含むことができるが、それらに限定はされない。このようなコンピュータ読出し可能媒体は、本発明を実施するうえで行なわれる処理の全てまたは(もし処理が分散されていれば)一部を行なうための本発明のコンピュータプログラム製品をさらに含む。
【0063】
本発明のコンピュータ符号デバイスは、スクリプト、翻訳可能プログラム、動的リンクライブラリ(DLL)、Java(登録商標)クラス、および、完全な実行可能プログラムを含むが、これらに限定されないいずれの翻訳可能または実行可能な符号機構とすることもできる。さらに、本発明の処理の役割はより優れた性能、信頼性、および/または、コストのために分散することができる。
【0064】
本明細書で使用されている如き用語「コンピュータ読出し可能媒体」は、実行のためにプロセッサ1003に指令を供給することに参加するいずれの媒体をも指す。コンピュータ読出し可能媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および、伝送媒体を含むが、これらに限定されないいかなる形態も取ることができる。不揮発性媒体は、例えば、ハードディスク1007または取外し可能媒体ドライブ1008などの光ディスク、磁気ディスク、および、光磁気ディスクを含む。揮発性媒体は主メモリ1004などの動的メモリを含む。伝送媒体は、バス1002を構築している電線を含めて、同軸ケーブル、銅製電線、および、光ファイバを含む。伝送媒体は、無線波および赤外線のデータ通信中に発生されるものなどの音波または光波の形態も取ることもできる。
【0065】
コンピュータ読出し可能媒体の様々な形態は、実行のためにプロセッサ1003への1つまたは複数の指令の、1つまたは複数のシーケンスの搬送に従事することができる。例えば、指令は遠隔コンピュータの磁気ディスク上に当初は担持することができる。遠隔コンピュータは本発明の全てまたは一部を実施するための指令を動的メモリに遠隔的にロードすることができ、モデムを使用して電話回線を介して指令を送信することができる。ECU制御コンピュータ899に対してローカルとなるモデムは、電話回線上でデータを受信することができ、データを赤外線信号に変換するために赤外線送信機を使用することができる。バス1002に結合された赤外線検出器は赤外線信号内で搬送されたデータを受信することができ、データをバス1002上に配置することができる。バス1002はデータを主メモリ1004に搬送し、主メモリ1004からプロセッサ1003が指令を検索し、実行する。主メモリ1004により受信された指令は、任意で、プロセッサ1003による実行の前または後のいずれかに保存デバイス1007または1008に保存することができる。
【0066】
ECU制御コンピュータ899はバス1002に結合された通信インターフェイス1013も含む。通信インターフェイス1013は、例えばローカルエリアネットワーク(LAN) 1015に、または、インターネットなどの他の通信ネットワーク1016に接続されたネットワークリンク1014への双方向データ通信結合を提供する。例えば、通信インターフェイス1013はいずれのパケット交換LANにも装着するためのネットワークインターフェイスカードとすることができる。他の例として、通信インターフェイス1013は、通信回線の対応タイプに対するデータ通信接続を提供するための非対称デジタル加入者回線(ADSL)カード、総合デジタル通信サービスネットワーク(ISDN)カード、または、モデムとすることができる。無線リンクも実施することができる。いずれのそのような実施においても、通信インターフェイス1013は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、または、光の信号を送信し、受信する。
【0067】
ネットワークリンク1014は、1つまたは複数のネットワークを介して他のデータサービスにデータ通信を典型的に提供する。例えば、ネットワークリンク1014は、通信ネットワーク1016を介して通信サービスを提供する(例えば、LANなどの)ローカルネットワーク1015を介して、または、サービスプロバイダにより運営されている設備を介して他のコンピュータに接続を提供することができる。ローカルネットワーク1014および通信ネットワーク1016は、デジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、または、光の信号、および、これに伴う物理層(例えば、CAT5ケーブル、同軸ケーブル、光ファイバなど)を使用している。デジタルデータをECU制御コンピュータ899へ、および、これから搬送する、様々なネットワークを介した信号、ならびに、ネットワークリンク1014上の、および、通信インターフェイス1013を介した信号は、基底帯域信号、または、搬送波に基づく信号において実施することができる。基底信号は、デジタルデータビットのストリームを表す未変調電気パルスとしてデジタルデータを搬送し、ここで、用語「ビット」は、各記号が少なくとも1つまたは複数の情報ビットを搬送する記号を意味するように広義に解釈されるものである。デジタルデータは、導電性媒体を介して伝播されるか、または、伝播媒体を介して電磁波として伝送される振幅、位相、および/または、周波数偏移変調された信号を使用するなどして搬送波を変調するためにも使用することができる。したがって、デジタルデータは、「有線」通信チャンネルを介して未変調基底帯域データとして送信することができ、かつ/または、搬送波を変調することにより基底帯域とは異なった所定の周波数帯域内で送信することができる。ECU制御コンピュータ899は、ネットワーク1015および1016、ネットワークリンク1014、および、通信インターフェイス1013を介して、プログラム符号を含むデータを送受信することができる。さらに、ネットワークリンク1014は、個人情報機器(PDA)ラップトップコンピュータ、または、携帯電話などの移動体デバイス881にLAN1015を介した接続を供給することができる。
【0068】
本発明の半導体性コーティングは様々なエンドユーザにおいて使用することができる。これらのエンドユーザ中の主要なものは、導電性構造物の腐食の防止である。導電性基板の腐食を防止するための本システムは、
(a)導電性構造物の表面の少なくとも一部と導電性接触にある半導体コーティングと、
(b)腐食性雑音を濾過するための手段であって、コーティングされた導電性基板に接続されたコンデンサなどのフィルタ(または、フィルタ列)を伴った電池または他の電源などの電子溜めを含む手段と、を含む。本システムは、
1)腐食性構造物の外部表面を清掃する工程と、
2)本発明の半導体性コーティングを使用して外部表面をコーティングする工程と、
3)システム内の腐食性雑音を最小に抑えるために電子フィルタを使用する工程と、を含む腐食防止法も含む。
【0069】
本発明の腐食防止の方法およびシステムに対する1つの鍵は、(基板、コーティング、および、フィルタ構成部分を含むが、これらに限定されない)システム全体により発生される腐食性雑音の測定、ならびに、電子フィルタの適用によりこの雑音を最小化する工程である。
【0070】
図6を再び参照すると、半導体性コーティングならびに全体的な性能に及ぼすECUの効果が249日間の試験期間中に測定された(図6)。この試験において、亜鉛放出速度は、コーティングが「経時劣化」していくに従い、双方の状態において時間と共に低下した。しかし、ECUの使用は亜鉛放出速度において大幅に大きな低下を示し、その程度はフィルタを調整、または、回路の内外に交番に切換えるために使用された負荷サイクルに依存している。亜鉛放出(および、したがって、毒性)のレベルを制御するための負荷サイクルが、環境条件に依存している(測定された腐食雑音、温度、塩度、湿度、船舶の速度などの)いくつかのパラメータに依存していることが理解されよう。本発明は、ECUおよび関連制御アルゴリズムを介してこれらの速度を調整する手段を目的とする。亜鉛放出速度は250の係数により低下、または、1日当たり0.001[μg/cm2]まで下がり、米国海軍の最大許容速度である1日当たり15[μg/cm2] (Office of Naval Research, S. McElvany)よりはるかに低い。これらの実験は、亜鉛の喪失(解離速度により除された亜鉛量/cm2)に関して、ECUと共に使用されると、半導体性コーティングの寿命を大幅に延長することができることを示している。図6に示すような電位のモニタリングの結果は、ECUのない試験用パネルが、使用されたECU値に基づいて大幅に低い電位、約150から250mVを有することを実証している。亜鉛酸化速度が電位の大きさに指数的に依存する場合、亜鉛酸化物電位は上昇し、亜鉛電位は亜鉛/亜鉛酸化物の境界の電気抵抗と共に低下する。指数的感度は、亜鉛については約30mVとされているターフェル定数により示されている。このターフェル定数および測定された電圧差の大きさは、ECUによる相対的な不活性化が150と4,000の係数の間となることを予測している。要約すると、亜鉛の解離速度および電位のデータは半導体の動作の理論に沿っており、ECUの使用は、亜鉛の酸化速度の低減につながり、半導体性コーティングの寿命を大幅に延長する。これらの恩恵は、温度、塩度/水の純度、湿度、経過年数、短期負荷サイクル、長期負荷サイクル、船舶の即時速度、船舶の速度履歴、即時地理的位置、地理的位置履歴、コーティングの経過年数、コーティングの厚さ、コーティングされている表面積、および、コーティングされている領域の形状の少なくとも1つを含むために、測定された、および/または、所定のパラメータの本発明による使用によりさらに増強される。
【0071】
本発明は、民間および軍用航空機、石油貯蔵タンク、道路および橋梁を含む政府、および、海軍、沿岸警備隊、ならびに、陸軍技術者部隊のプロジェクト、化学産業、パルプおよび製紙産業、発電所、鉄道橋梁および鉄道車両、農場サイロおよび倉庫などの工業鉄鋼建設物、貯水塔、海洋船舶、海上プラットフォーム、および、他の海上構造物に限定されないが、これらを含むために、導電性材料の腐食の防止および海洋での異物付着の防止に対して調整することができる。コーティングおよびECUは原子力発電所、深宇宙任務、火山の探査およびモニタリング、ならびに、有毒地震環境の深海探査に関連したデバイスおよび/または車両に対して適合させることもできる。
【0072】
海洋船舶に関して、本発明はコストのかかる船体の劣化を大幅に低減するため、および、現存する異物付着防止および腐食防止のシステムに対する費用効果の大きい、耐久性のある、環境に優しい代案とするために稼動させることができる。半導体性コーティングは、新しい船舶には建造中に、また、現存する船舶には、従来のコーティングと共に2年半毎の頻度で発生する予定された乾ドッキング中に塗布することができる。ECUがある場合、半導体性コーティングが塗布されている船舶の所有者は、平均運行速度の上昇および年次乾ドック時間の短縮から、燃料および維持管理コストの減少、船舶の船体寿命の延長、および、全体的な船舶利用可能性の増大といった恩恵を享受することができる。
【0073】
貯水タンクおよび貯水塔に関して、本発明のECU制御された腐食雑音低減システムは、飲料水の容器内部での使用に対して米国環境保護庁に承認されている。適切に塗布し、ECUを使用すれば、コーティングはタンクの設計寿命にわたり存続すると予測されている。この耐用年数の結果、貯水タンクの所有者には保護コーティングについて見積もるべき再コーティングの経費が発生しない。
【0074】
本発明の数多くの修正および改変が、上記の教示に照らして可能であることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内において、本発明は、本明細書に詳細に説明されているのとは別の実施が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】保護されていない金属における腐食雑音を示す図である。
【図2】保護されている金属および半導体コーティングにおける腐食雑音を示す図である。
【図3】金属と半導体保護コーティングの間の電流を示す図である。
【図4】金属と半導体保護コーティングの間のバリスタ様動作を示す図である。
【図5】様々なフィルタに対する腐食雑音対時間のグラフである。
【図6】電子制御装置(ECU)のない腐食雑音低減システムの回路図である。
【図7】金属、半導体保護コーティング、フィルタ、および、構成部分の雑音特性を含む腐食雑音低減システムのブロック図である。
【図8】制御可能腐食雑音フィルタおよびECU制御回路を含むECUの回路図である。
【図9】制御可能腐食雑音フィルタおよびECU制御回路を含むECUのブロック図である。
【図10A】本発明の1つの実施形態の腐食雑音帯域通過型フィルタに対する振幅を示す図である。
【図10B】本発明の1つの実施形態の腐食雑音帯域通過型フィルタに対する位相応答曲線を示す図である。
【図11A】本発明の1つの実施形態の腐食雑音ノッチフィルタに対する振幅を示す図である。
【図11B】本発明の1つの実施形態の腐食雑音ノッチフィルタに対する位相応答曲線を示す図である。
【図12】ECUを使用して腐食雑音を低減する方法のフローチャートである。
【図13】金属、半導体保護コーティング、フィルタ、ECU、および、構成部分の雑音特性を含む腐食雑音低減システムのブロック図である。
【図14】ECUがある場合およびない場合の腐食雑音低減システムに対する亜鉛放出速度[μg/cm2]を比較するグラフである。
【図15】ECUがある場合およびない場合の腐食雑音低減システムに対する亜鉛放出速度[%]を比較するグラフである。
【図16】本発明において使用されるコンピュータシステムブロック図である。
【符号の説明】
【0076】
101、201 金属
102 波形
210 コーティング
211 雑音
250 半導体粒子
302 電子流
310 N型領域
320 P型領域
401、601、701 水平軸
402、602、702 垂直軸
501 金属表面
502 雑音静電気
510 保護コーティング
522 高周波腐食雑音
550 保護されている材料
801 溶液抵抗
802、805 陽極
803、806 陰極
804 雑音発生源
807 バリスタ
508、808 雑音フィルタ
809 導電性リンク
810 電位
581、881 アンテナ
882 局所センサ
599、897、950 ECU
898 制御可能フィルタ
899 ECU制御回路
912 データベース
920、921 補助フィルタ
905、923、924 スィッチ
925 制御回線
1002 システムバス
1003 プロセッサ
1004 主メモリ
1005 ROM
1006 ディスク制御装置
1007 磁気ハードディスク
1008 媒体ドライブ
1009 表示制御装置
1010 表示装置
1011 キーボード
1012 ポインティング装置
1013 通信インターフェイス
1014 ネットワークリンク
1015 ローカルエリアネットワーク
1016 通信ネットワーク
1101 電圧軸
1102 電流軸
1103 電流曲線
1104 電圧範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食性環境と接触する前記導電性構造物の腐食を制御するためのシステムであって、
導電性構造物上に配置された半導体粒子を含むコーティングと、
前記コーティングに接続され、制御可能なフィルタ特性を有するフィルタと、
前記フィルタに接続され、局所センサ、データベース、および、遠隔制御デバイスの少なくとも1つへの接続を含み、局所的に感知されたパラメータ、保存されているパラメータ、および、遠隔的に供給された信号の少なくとも1つに対応して前記制御可能なフィルタ特性を制御するように構成された電子制御装置と、を含むシステム。
【請求項2】
前記制御可能なフィルタ特性は低周波通過型フィルタまたはノッチフィルタの形態を有するインピーダンスである請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フィルタは、
能動フィルタ、
調整可能な受動フィルタ、および、
固定受動フィルタの少なくとも1つを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記フィルタは複数の受動フィルタであり、前記調整可能なフィルタ特性は前記複数の受動フィルタの1つから前記複数の受動フィルタの他の1つへの切換えにより制御される請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記フィルタは単一の調整可能な受動フィルタである請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記局所的に感知されたパラメータは、
腐食雑音パラメータ、
塩度パラメータ、
温度パラメータ、
地理的位置パラメータ、
時間パラメータ、
溶液純度パラメータ、
速度パラメータ、
深さパラメータ、および、
圧力パラメータの少なくとも1つを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記保存されているパラメータは、
前記物体をコーティングした日付、
物体位置履歴パラメータ、
半導体性コーティング負荷サイクル履歴パラメータ、
物体位置履歴パラメータ、
コーティングされた領域の形状パラメータ、および、
物体速度履歴パラメータの少なくとも1つを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記導電性構造物は、鉄含有金属および導電性非鉄金属からなるグループから選択された金属を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記金属は鉄鋼である請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記金属はアルミニウムである請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記導電性構造物は、海洋船舶、海洋構造物、石油掘削装置、発電所、および、水中構造物からなるグループから選択されている請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記半導体性コーティングは導電性有機ポリマー、ならびに、1つまたは複数の金属、金属合金、および、非金属半導体性材料を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記導電性有機ポリマーは、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフラン類、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリ(アリレンビニレン類)、ポリアニリン類、および、それらのドープ組成物からなるグループから選択された構成物である請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つまたは複数の金属もしくは金属合金は、Zn、Ti、Al、Ga、Ce、Mg、Ba、Cs、対応するそれらの金属酸化物、および、合金からなるグループから選択された金属を含む請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つまたは複数の金属もしくは金属合金は、Zn、Ti、Al、Ga、Ce、Mg、Ba、および、Cs、ならびに、それらから得られる1つまたは複数の金属酸化物からなるグループから選択された1つまたは複数の金属の混合物を含む請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つまたは複数の金属もしくは金属合金は、亜鉛/亜鉛酸化物の組合わせである請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記半導体コーティングは1つまたは複数の染料もしくは顔料を含む請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記腐食雑音低減システムを制御するように構成された電子制御装置であって、
腐食雑音低減システムに接続するように構成された第1の接続端末と、
局所センサ、データベース、および、遠隔制御デバイスの少なくとも1つに接続するように構成された第2の接続端末と、
局所的に感知されたパラメータ、保存されているパラメータ、および、遠隔的に供給された信号の少なくとも1つに対応して前記第1の接続端末を介して送信された制御信号を介して前記制御可能なフィルタを制御するように構成された制御機構と、を含み、制御可能なフィルタ、および、導電性構造物に塗布された半導体コーティングを含む電子制御装置。
【請求項19】
前記制御可能なフィルタは低周波通過型フィルタまたはノッチフィルタの形態を有するインピーダンスである制御可能なフィルタ特性を有する請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記制御可能なフィルタは、1つ1つの間で異なるインピーダンスを有する複数の受動フィルタであり、前記制御可能なフィルタ特性は、前記複数の受動フィルタの1つから前記複数の受動フィルタの他の1つに切換えることにより制御される請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記制御可能なフィルタは単一の調整可能な受動フィルタである請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記局所的に感知されたパラメータは、
腐食雑音パラメータ、
塩度パラメータ、
温度パラメータ、
地理的位置パラメータ、
時間パラメータ、
溶液純度パラメータ、
速度パラメータ、
深さパラメータ、および、
圧力パラメータの少なくとも1つを含む請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記保存されているパラメータは、
前記物体をコーティングした日付、
物体位置履歴パラメータ、
半導体性コーティング負荷サイクル履歴パラメータ、
物体位置履歴パラメータ、
コーティングされた領域の形状パラメータ、および、
物体速度履歴パラメータの少なくとも1つを含む請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記導電性構造物は、鉄含有金属および導電性非鉄金属からなるグループから選択された金属を含む請求項19に記載の装置。
【請求項25】
前記金属は鉄鋼である請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記金属はアルミニウムである請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記導電性構造物は、海洋船舶、海洋構造物、石油掘削装置、発電所、および、水中構造物からなるグループから選択されている請求項19に記載の装置。
【請求項28】
前記半導体性コーティングは導電性有機ポリマー、ならびに、1つまたは複数の金属、金属合金、および、非金属半導体性材料を含む請求項19に記載の装置。
【請求項29】
前記導電性有機ポリマーは、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフラン類、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリ(アリレンビニレン類)、ポリアニリン類、および、それらのドープ組成物からなるグループから選択された構成物である請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記1つまたは複数の金属もしくは金属合金は、Zn、Ti、Al、Ga、Ce、Mg、Ba、Cs、対応するそれらの金属酸化物、および、合金からなるグループから選択された金属を含む請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記1つまたは複数の金属もしくは金属合金は、Zn、Ti、Al、Ga、Ce、Mg、Ba、および、Cs、ならびに、それらから得られる1つまたは複数の金属酸化物からなるグループから選択された1つまたは複数の金属の混合物を含む請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記1つまたは複数の金属もしくは金属合金は、亜鉛/亜鉛酸化物の組合わせである請求項28に記載の装置。
【請求項33】
前記半導体性有機ポリマーコーティングは1つまたは複数の染料もしくは顔料をさらに含む請求項28に記載の装置。
【請求項34】
腐食性環境に接触する導電性構造物の腐食を防止するための方法であって、
電子制御装置を、導電性構造物上に配置された半導体コーティングに接続されている制御可能なフィルタに接続するステップと、
前記制御可能なフィルタを使用して前記半導体性コーティングにおける腐食性雑音を濾過するステップと、
前記半導体コーティングの腐食に伴う少なくとも1つのパラメータをモニタするステップと、
前記少なくとも1つのパラメータに対応して前記制御可能なフィルタのフィルタ特性を調整するステップと、を含む方法。
【請求項35】
前記フィルタ特性は低周波通過型またはノッチフィルタの形態を有するインピーダンスである請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記制御可能なフィルタは、少なくとも前記フィルタ特性において、1つ1つの間で異なる複数の受動フィルタであり、前記フィルタ特性は前記複数の受動フィルタの1つから前記複数の受動フィルタの他の1つへの切換えにより制御される請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記制御可能なフィルタは単一の調整可能な受動フィルタである請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つのパラメータは、
腐食雑音パラメータ、
塩度パラメータ、
温度パラメータ、
地理的位置パラメータ、
時間パラメータ、
溶液純度パラメータ、
速度パラメータ、
深さパラメータ、
圧力パラメータ、
前記物体をコーティングした日付、
物体位置履歴パラメータ、
半導体性コーティング負荷サイクル履歴パラメータ、
物体位置履歴パラメータ、
コーティングされた領域の形状パラメータ、および、
物体速度履歴パラメータ、
の少なくとも1つを含む請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記導電性構造物は、鉄含有金属および導電性非鉄金属からなるグループから選択された金属を含む請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記金属は鉄鋼である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記金属はアルミニウムである請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記導電性構造物は、海洋船舶、海洋構造物、石油掘削装置、発電所、および、水中構造物からなるグループから選択されている請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記半導体有機ポリマーコーティングは導電性有機ポリマー、ならびに、1つもしくは複数の金属、金属合金、または、非金属半導体性材料を含む請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記導電性有機ポリマーは、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフラン類、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリ(アリレンビニレン類)、ポリアニリン類、および、それらのドープ組成物からなるグループから選択された構成物である請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記1つまたは複数の金属もしくは金属合金は、Zn、Ti、Al、Ga、Ce、Mg、Ba、Cs、対応するそれらの金属酸化物、および、合金からなるグループから選択された金属を含む請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記1つまたは複数の金属もしくは金属合金は、Zn、Ti、Al、Ga、Ce、Mg、Ba、および、Cs、ならびに、それらから得られる1つまたは複数の金属酸化物からなるグループから選択された1つまたは複数の金属の混合物を含む請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記1つまたは複数の金属もしくは金属合金は、亜鉛/亜鉛酸化物の組合わせである請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記半導体有機ポリマーコーティングは1つまたは複数の染料もしくは顔料を含む請求項43に記載の方法。
【請求項49】
腐食性環境と接触する導電性構造物の腐食を防止するためのシステムであって、前記導電性構造物は半導体コーティングでコーティングされ、前記方法は、
前記半導体コーティング中の腐食性雑音を濾過するための手段と、
前記半導体コーティングの腐食に伴う少なくとも1つのパラメータをモニタするための手段と、
前記少なくとも1つのパラメータに応じて前記電子フィルタを調整するための手段と、を含むシステム。
【請求項50】
モニタするための前記手段はコンピュータプログラム製品を含む請求項49に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2006−503184(P2006−503184A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544754(P2004−544754)
【出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/029133
【国際公開番号】WO2004/035865
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(505141956)アプライド・セミコンダクター・インターナショナル・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】