説明

半導体素子搭載用部品及びそれを用いた半導体装置

【課題】 製造工程が短く、低コストの半導体素子搭載用部品及びそれを用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体素子搭載用部品は、絶縁テープ21、25の上に配線回路22、26やパッド24、27、28が設けられた通常の片面配線テープを2本用いて放熱板29の両面に接着剤30、31で貼付けた構造を有しているので、低コスト化と製造工程の短縮化を図ることができる。このような半導体素子搭載用部品20を用いて半導体装置50を構成することにより低コスト化が図れる。また、放熱板29に接続パッド63やワイヤボンディングパッド64を設けることにより、放熱板29を配線パターンとして機能させることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子搭載用部品及びそれを用いた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は従来の半導体素子搭載用部品を用いた半導体装置の断面図である。
【0003】この半導体装置1は、配線層を二層有するTBGA(Tape Ball Grid Array)型の半導体装置である。この半導体装置1は、半導体素子搭載用部品として、絶縁材料であるポリイミドテープ2の両面に銅箔からなる配線回路3、4が形成されている。配線回路3の一方の面(図では上側の面)には半導体素子接続用のボンディングパッド5が形成され、配線回路3の一方の面の端部には半田ボール6を取り付けるための半田ボール取付け用パッド7が形成されている。半田ボール取付け用パッド7の領域の配線回路3上には絶縁被膜8が形成され、ポリイミドテープ2の他方の面(図では下側の面)には配線回路4が形成され、ポリイミドテープ2の両面の配線回路3、4はポリイミドテープ2に形成されたブラインドビアホール9と呼ばれるメッキスルーホールで接続されている。なお、図中、9は放熱板、10は半導体素子、11は封止用樹脂、13は接着剤をそれぞれ示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の半導体素子搭載用部品を用いて半導体装置を製造すると、通常の片面配線テープと比較して両面配線テープの製造工程が長くなり、コスト及び時間がかかるという問題があった。
【0005】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、製造工程が短く、低コストの半導体素子搭載用部品及びそれを用いた半導体装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明の半導体素子搭載用部品は、第一の絶縁テープの一方の面に配線回路、半田ボール取付けパッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第二の絶縁テープの一方の面に配線回路、接続パッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第一の絶縁テープの他方の面と第二の絶縁テープの一方の面とが対向するように放熱板に接着剤で貼付けられているものである。
【0007】上記構成に加え本発明の半導体素子搭載用部品は、第一の絶縁テープ及び放熱板に半導体素子搭載用の開口部が形成されているのが好ましい。
【0008】上記構成に加え本発明の半導体素子搭載用部品は、第一の絶縁テープの配線回路と第二の絶縁テープの配線回路とを接続する第一のブラインドビアホール用の開口部が第一の絶縁テープ及び放熱板に形成されているのが好ましい。
【0009】上記構成に加え本発明の半導体素子搭載用部品は、半導体素子搭載用部品第一の絶縁テープの配線回路と放熱板とを接続する第二のブラインドビアホール用の開口部が第一の絶縁テープに形成されているのが好ましい。
【0010】本発明の半導体素子搭載用部品を用いた半導体装置は、第一の絶縁テープの一方の面に配線回路、半田ボール取付けパッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第二の絶縁テープの一方の面に配線回路、接続パッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第一の絶縁テープの他方の面と第二の絶縁テープの一方の面とが対向するように放熱板に接着剤で貼付けられ、第一の絶縁テープ及び放熱板に半導体素子搭載用の開口部が形成され、第一の絶縁テープの配線回路と第二の絶縁テープの配線回路とを接続するブラインドビアホール用の開口部が第一の絶縁テープ及び放熱板に形成されている半導体素子搭載用部品の第二の絶縁テープの上に半導体素子が設けられ、半導体素子と各配線回路とがワイヤボンディングで接続された後樹脂封止が施され、第一の絶縁テープの半田ボール取付けパッドに半田ボールが取り付けられ、第一のブラインドビアホール用の開口部の側壁に絶縁被覆が施され、ブラインドビアホールが設けられた後ブラインドビアホールの上に半田ボールが設けられているものである。
【0011】本発明の半導体素子搭載用部品を用いた半導体装置は、第一の絶縁テープの一方の面に配線回路、半田ボール取付けパッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第二の絶縁テープの一方の面に配線回路、接続パッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第一の絶縁テープの他方の面と第二の絶縁テープの一方の面とが対向するように放熱板に接着剤で貼付けられ、第一の絶縁テープ及び放熱板に半導体素子搭載用の開口部が形成され、第一の絶縁テープの配線回路と第二の絶縁テープの配線回路とを接続するブラインドビアホール用の開口部が第一の絶縁テープ及び放熱板に形成され、第一の絶縁テープの配線回路と放熱板とを接続する第二のブラインドビアホール用の開口部が第一の絶縁テープに形成されている半導体素子搭載用部品の第二の絶縁テープの上に半導体素子が設けられ、半導体素子と各配線回路とがワイヤボンディングで接続された後樹脂封止が施され、第一の絶縁テープの半田ボール取付けパッドに半田ボールが取り付けられ、第一のブラインドビアホール用の開口部の側壁に絶縁被覆が施され、第一のブラインドビアホール内にブラインドビアホールが設けられた後ブラインドビアホールの上に半田ボールが設けられ、第二のブラインドビアホール用の開口部内に他のブラインドビアホールが設けられた後他のブラインドビアホールの上に半田ボールが設けられているものである。
【0012】本発明によれば、半導体素子搭載用部品は、絶縁テープの上に配線回路やパッドが設けられた通常の片面配線テープを2本用いて放熱板の両面に接着剤で貼付けた構造を有しているので、低コスト化と製造工程の短縮化を図ることができる。このような半導体素子搭載用部品を用いて半導体装置を構成することにより低コスト化が図れる。また、放熱板にワイヤボンディングパッド及び半田ボール取付け用パッドを設けることにより、放熱板を配線パターンとして機能させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0014】図1は本発明の半導体素子搭載用部品の一実施の形態を示す断面図である。
【0015】本半導体素子搭載用部品20は、第一の絶縁テープとしてのポリイミドテープ21の一方の面(図では上面)に例えば銅箔からなる配線回路22、半田ボール取付けパッド23及びワイヤボンディングパッド24が設けられ、第二の絶縁テープとしてのポリイミドテープ25の一方の面(図では上面)に配線回路26、接続パッド27及びワイヤボンディングパッド28が設けられ、ポリイミドテープ21の他方の面(図では下面)とポリイミドテープ25の一方の面とが対向するように放熱板(例えば銅板、アルミ板)29に接着剤30、31で貼付けられ、ポリイミドテープ21及び放熱板29に半導体素子搭載用の開口部32が形成され、ポリイミドテープ21の配線回路22とポリイミドテープ25の配線回路26とを接続する第一のブラインドビアホール用の開口部33が形成され、放熱板29の開口部33の内面にスルーホール内壁絶縁膜34が形成され、配線回路22の上にはソルダーレジスト35が設けられている。
【0016】すなわち、この半導体素子搭載用部品は、通常の片面配線TAB(TapeAutomated Bonding)テープを2本用いて放熱板29の両面に接着剤30、31で貼付けた構造を有しているので、低コスト化と製造工程の短縮化を図ることができる。
【0017】図2は本発明の半導体素子搭載用部品の他の実施の形態を示す断面図である。なお、図1に示した実施の形態と同様の部材には共通の符号を用いた。
【0018】図1に示した実施の形態との相違点は、ポリイミドテープの配線回路とポリイミドテープの配線回路とを接続するブランドビアホール用の開口部を有する点である。すなわち、本半導体素子搭載用部品40は、ポリイミドテープ21の一方の面(図では上面)に配線回路22、半田ボール取付けパッド23及びワイヤボンディングパッド24が設けられ、ポリイミドテープ25の一方の面(図では上面)に配線回路26、接続パッド27及びワイヤボンディングパッド28が設けられ、ポリイミドテープ21の他方の面(図では下面)とポリイミドテープ25の一方の面とが対向するように放熱板29に接着剤30、31で貼付けられ、ポリイミドテープ21及び放熱板29に半導体素子搭載用の開口部32が形成され、ポリイミドテープ21の配線回路22とポリイミドテープ25の配線回路26とを接続する第一のブラインドビアホール用の開口部33が形成され、ポリイミドテープ21の配線回路22と放熱板29とを接続する第二のブラインドビアホール用の開口部41、接続パッド42及びワイヤボンディングパッド43がポリイミドテープ21に形成されたものである。
【0019】このような半導体素子搭載用部品においても図1に示した半導体素子搭載用部品と同様の効果が得られるだけでなく、放熱板も配線パターンとして機能させることができる。
【0020】図3は本発明の半導体素子搭載用部品を用いた半導体装置の一実施の形態を示す断面図である。
【0021】本半導体装置50は、図1に示した半導体素子搭載用部品に半導体素子等を実装した半導体装置である。すなわち、本半導体装置50は、ポリイミドテープ21の一方の面(図では上面)に配線回路22、半田ボール取付けパッド23及びワイヤボンディングパッド24が設けられ、ポリイミドテープ25の一方の面(図では上面)に配線回路26、接続パッド27及びワイヤボンディングパッド28が設けられ、ポリイミドテープ21の他方の面(図では下面)とポリイミドテープ25の一方の面とが対向するように放熱板29に接着剤30、31で貼付けられ、ポリイミドテープ21及び放熱板29に半導体素子搭載用の開口部32が形成され、ポリイミドテープ21の配線回路22とポリイミドテープ25の配線回路26とを接続するブラインドビアホール用の開口部33がポリイミドテープ21及び放熱板29に形成され、放熱板29の開口部33の内面にスルーホール内壁絶縁膜34が形成されている半導体素子搭載用部品20のポリイミドテープ25の上に半導体素子51が設けられ、半導体素子51と各配線回路22、26とがボンディングワイヤ52、53で接続された後、樹脂54による封止が施され、ポリイミドテープ21の半田ボール取付けパッド23に半田ボール55が取り付けられ、第一のブラインドビアホール用の開口部33にブラインドビアホール56が設けられた後、ブラインドビアホール56の上に半田ボール57が設けられているものである。
【0022】尚、ブラインドビアホール56の深さは、約0.2mm程度のものであることから、半田ボール57を搭載することで電気的な接続を十分確保することができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、ペースト状もしくは固形状の半田を埋め込む方法によることもできる。
【0023】この半導体装置50は、通常の片面配線テープを2本用いて放熱板29の両面に接着剤で貼付けた構造を有する半導体素子搭載用部品20(図1参照)を用いているので、低コスト化が図れる。
【0024】図4は本発明の半導体素子搭載用部品を用いた半導体装置の他の実施の形態を示す断面図である。
【0025】本半導体装置60は、図2に示した半導体素子搭載用部品40に半導体素子等を実装した半導体装置である。すなわち、本半導体装置60は、ポリイミドテープ21の一方の面に配線回路22、半田ボール取付けパッド23及びワイヤボンディングパッド24が設けられ、ポリイミドテープ25の一方の面に配線回路26、接続パッド27及びワイヤボンディングパッド28が設けられ、ポリイミドテープ21の他方の面とポリイミドテープ25の一方の面とが対向するように放熱板29に接着剤30、31で貼付けられ、ポリイミドテープ21及び放熱板29に半導体素子搭載用の開口部32(図2参照)が形成され、第一のブラインドビアホール用の開口部33の側壁にスルーホール内壁絶縁膜34が施され、ポリイミドテープ21の配線回路22とポリイミドテープ25の配線回路26とを接続するブラインドビアホール用の開口部33がポリイミドテープ21及び放熱板29に形成され、ポリイミドテープ21の配線回路22と放熱板29とを接続する第二のブラインドビアホール用の開口部41及び接続パッド63がポリイミドテープ21に形成されている半導体素子搭載用部品40のポリイミドテープ25の上に半導体素子51が設けられ、放熱板29にワイヤボンディングパッド64が設けられ、半導体素子51と各配線回路22、26とがボンディングワイヤ52、53、61で接続された後、樹脂54による封止が施され、ポリイミドテープ21の半田ボール取付けパッド23に半田ボール55が取り付けられ、第一のブラインドビアホール用の開口部33にブラインドビアホール56が設けられた後、ブラインドビアホール56の上に半田ボール57が設けられ、第二のブラインドビアホール用開口部にブラインドビアホール62が設けられた後、ブラインドビアホール62の上に半田ボール65が設けられているものである。
【0026】尚、ブラインドビアホール62の深さは、約0.2mm程度のものであることから、半田ボール65を搭載することで電気的な接続を十分確保することができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、ペースト状もしくは固形状の半田を埋め込む方法によることもできる。
【0027】このような半導体装置においても図3に示した半導体装置と同様の効果が得られる。また、放熱板29に接続パッド63やワイヤボンディングパッド64が設けられているので、放熱板29を配線パターンとして機能させることができる。
【0028】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
【0029】製造工程が短く、低コストの半導体素子搭載用部品及びそれを用いた半導体装置の提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子搭載用部品の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明の半導体素子搭載用部品の他の実施の形態を示す断面図である。
【図3】本発明の半導体素子搭載用部品を用いた半導体装置の一実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明の半導体素子搭載用部品を用いた半導体装置の他の実施の形態を示す断面図である。
【図5】従来の半導体素子搭載用部品を用いた半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
21、25 絶縁テープ(ポリイミドテープ)
22、26 配線回路
24、28 ワイヤボンディングパッド(パッド)
27 接続パッド(パッド)
30、31 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第一の絶縁テープの一方の面に配線回路、半田ボール取付けパッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第二の絶縁テープの一方の面に配線回路、接続パッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第一の絶縁テープの他方の面と第二の絶縁テープの一方の面とが対向するように放熱板に接着剤で貼付けられていることを特徴とする半導体素子搭載用部品。
【請求項2】 第一の絶縁テープ及び上記放熱板に半導体素子搭載用の開口部が形成されている請求項1に記載の半導体素子搭載用部品。
【請求項3】 第一の絶縁テープの配線回路と第二の絶縁テープの配線回路とを接続する第一のブラインドビアホール用の開口部が第一の絶縁テープ及び上記放熱板に形成されている請求項1または2に記載の半導体素子搭載用部品。
【請求項4】 第一の絶縁テープの配線回路と上記放熱板とを接続する第二のブラインドビアホール用の開口部が第一の絶縁テープに形成されている請求項1から3のいずれかに記載の半導体素子搭載用部品。
【請求項5】 第一の絶縁テープの一方の面に配線回路、半田ボール取付けパッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第二の絶縁テープの一方の面に配線回路、接続パッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第一の絶縁テープの他方の面と第二の絶縁テープの一方の面とが対向するように放熱板に接着剤で貼付けられ、第一の絶縁テープ及び上記放熱板に半導体素子搭載用の開口部が形成され、第一の絶縁テープの配線回路と第二の絶縁テープの配線回路とを接続するブラインドビアホール用の開口部が第一の絶縁テープ及び上記放熱板に形成されている半導体素子搭載用部品の第二の絶縁テープの上に半導体素子が設けられ、該半導体素子と各配線回路とがワイヤボンディングで接続された後樹脂封止が施され、第一の絶縁テープの半田ボール取付けパッドに半田ボールが取り付けられ、第一のブラインドビアホール用の開口部の側壁に絶縁被覆が施され、ブラインドビアホールが設けられた後該ブラインドビアホールの上に半田ボールが設けられていることを特徴とする半導体素子搭載用部品を用いた半導体装置。
【請求項6】 第一の絶縁テープの一方の面に配線回路、半田ボール取付けパッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第二の絶縁テープの一方の面に配線回路、接続パッド及びワイヤボンディングパッドが設けられ、第一の絶縁テープの他方の面と第二の絶縁テープの一方の面とが対向するように放熱板に接着剤で貼付けられ、第一の絶縁テープ及び上記放熱板に半導体素子搭載用の開口部が形成され、第一の絶縁テープの配線回路と第二の絶縁テープの配線回路とを接続するブラインドビアホール用の開口部が第一の絶縁テープ及び上記放熱板に形成され、第一の絶縁テープの配線回路と上記放熱板とを接続する第二のブラインドビアホール用の開口部が第一の絶縁テープに形成されている半導体素子搭載用部品の第二の絶縁テープの上に半導体素子が設けられ、該半導体素子と各配線回路とがワイヤボンディングで接続された後樹脂封止が施され、第一の絶縁テープの半田ボール取付けパッドに半田ボールが取り付けられ、第一のブラインドビアホール用の開口部の側壁に絶縁被覆が施され、該開口部内にブラインドビアホールが設けられた後上記ブラインドビアホールの上に半田ボールが設けられ、第二のブラインドビアホール用の開口部内に他のブラインドビアホールが設けられた後他のブラインドビアホールの上に半田ボールが設けられていることを特徴とする半導体素子搭載用部品を用いた半導体装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate