説明

半導体装置の製造方法

【課題】本発明は、ケースの形状又は金属端子の加工後の形状のばらつきの有無によらず、金属端子をケースに対して十分に固定できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る半導体装置の製造方法は、金属端子を、ケースの挿入部分に挿入可能となるように仮曲げする工程と、該金属端子を該挿入部分に挿入しつつ、該金属端子の一部を該ケースに押し当てて該金属端子を該ケースの形状に沿うように変形させる挿入工程を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電力変換などに用いられる半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金属部品を樹脂成形物(ケース)に圧入する半導体装置の製造方法が開示されている。金属部品として金属端子を用いることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−138739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属端子は、ケースの形状と一致するように加工されてからケースに圧入される。そのため、ケースの形状又は金属端子の加工後の形状がばらつくと、金属端子をケースに十分に固定できないことがある。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、金属端子をケースに対して十分に固定できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、金属端子を、ケースの挿入部分に挿入可能となるように仮曲げする工程と、該金属端子を該挿入部分に挿入しつつ、該金属端子の一部を該ケースに押し当てて該金属端子を該ケースの形状に沿うように変形させる挿入工程を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、金属端子をケースの形状に沿うように変形させつつケースに挿入するので、金属端子をケースに対して十分に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】仮曲げされた金属端子を示す図である。
【図3】金属端子をケースに挿入する挿入工程を示す斜視図である。
【図4】金属端子の先端をケースに押し当てることを示す断面図である。
【図5】屈曲部が曲がることで、金属端子がケースの形状に沿うように変形したことを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法では、まず金属端子の仮曲げを行う(ステップ10)。仮曲げは金型を用いて行う。
【0010】
次いで、金属端子を加熱する(ステップ12)。次いで、金属端子をケースに挿入し金属端子をケースに固定する(ステップ14)。ステップ14を挿入工程と称する。
【0011】
各工程について詳細に説明する。図2は、ステップ10にて仮曲げが施された金属端子を示す図である。金属端子20は銅で形成されている。仮曲げが施されたことにより金属端子20には屈曲部20aが形成されている。金属端子20にはワイヤボンディング用のボンディング面20bが形成されている。
【0012】
図3は、金属端子をケースに挿入する挿入工程を示す斜視図である。金属端子20は、ホーン22に真空吸着している。ホーン22には超音波振動装置24が固定されている。超音波振動装置24で生成した超音波振動は、ホーン22を経由して金属端子20を超音波振動させる。図3における両方向矢印は、金属端子20が超音波振動していることを表す。金属端子20は、超音波振動させながらケース30の挿入部分30aへ挿入される。ケース30は、樹脂を成形した樹脂成形物である。
【0013】
図4は、挿入工程において金属端子の先端をケースに押し当てることを示す断面図である。ホーン22を下降させることで金属端子20の先端20cをケース30に押し当てると、屈曲部20aの曲がりを増加させるように力がかかる。ホーン22の下降を継続して、屈曲部20aを曲げていく。
【0014】
図5は、屈曲部20aが曲がることで、金属端子20がケース30の形状に沿うように変形したことを示す断面図である。金属端子20がケース30の形状に沿うように変形すると挿入工程を終了する。
【0015】
本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、金属端子をケースの挿入部分に挿入しつつ、金属端子をケースの形状と一致するように変形させる。これにより挿入工程を終えると金属端子20の形状をケース30の形状に一致させることができるため、金属端子20をケース30に十分に固定できる。仮に、ケース30の形状又は金属端子20の形状がばらついても、当該ばらつきを吸収するように金属端子20を変形させることができる。
【0016】
また、金属端子20の変形と、金属端子20のケース30に対する固定を同時に行うため、工程が非常に簡素である。金属端子20はステップ12にて加熱されているため、挿入工程で変形しやすくなっている。また、金属端子20に超音波振動を印加することも、金属端子20を変形容易にしている。加熱と超音波振動の印加によりケース30にダメージを与えることなく金属端子20を変形させることができる。
【0017】
本発明は、金属端子20をケース30の挿入部分30aに挿入しつつ、金属端子20の一部をケース30に押し当てて金属端子20をケース30の形状に沿うように変形させる挿入工程を備えたことを特徴とする。この特徴を失わない範囲において様々な変形が可能である。
【0018】
金属端子20の仮曲げは、金属端子20を、ケース30の挿入部分30aに挿入可能とするために施すものである。従って金属端子20の仮曲げは図2に示すとおりに実施されなくてもよい。例えば、金属端子を曲線的に加工するものでもよいし、金属端子の複数個所を曲げるものでもよい。
【0019】
金属端子20は銅で形成されることとしたが、押圧により変形しうる材料で形成されていれば特に限定されない。
【符号の説明】
【0020】
20 金属端子、 20a 屈曲部、 22 ホーン、 24 超音波振動装置、 30 ケース、 30a 挿入部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属端子を、ケースの挿入部分に挿入可能となるように仮曲げする工程と、
前記金属端子を前記挿入部分に挿入しつつ、前記金属端子の一部を前記ケースに押し当てて前記金属端子を前記ケースの形状に沿うように変形させる挿入工程を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記金属端子は銅で形成され、
前記挿入工程の前に、前記金属端子を加熱する工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記挿入工程では前記金属端子に超音波振動を印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−229750(P2012−229750A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98296(P2011−98296)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】