半導体装置の製造方法
【課題】半導体素子等の複数の電子部品を備え、薄型化、小型化及び製造の低コスト化の要求に対応することができる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、支持基板11と、前記支持基板11の一方の主面に搭載された第1の半導体素子21と、前記支持基板11と前記第1の半導体素子21との間に配置された電子部品31と、を具備し、前記支持基板11は、前記第1の半導体素子21から離間する方向に変形して形成される凹部Sを有し、前記電子部品31は、その厚さの少なくとも一部が前記凹部Sに収容されて搭載されてなることを特徴とする。
【解決手段】半導体装置100は、支持基板11と、前記支持基板11の一方の主面に搭載された第1の半導体素子21と、前記支持基板11と前記第1の半導体素子21との間に配置された電子部品31と、を具備し、前記支持基板11は、前記第1の半導体素子21から離間する方向に変形して形成される凹部Sを有し、前記電子部品31は、その厚さの少なくとも一部が前記凹部Sに収容されて搭載されてなることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に複数の半導体素子、或いは半導体素子と受動素子等の電子部品とを重畳させて支持基板上に実装してなる半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高機能化ならびに小型化に伴い、当該電子機器に搭載される半導体集積回路装置等の半導体装置に対しても、高機能化、高速動作化と共に、より小形化、薄形化ならびに軽量化が求められている。
【0003】
この為、例えばガラスエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂を基材とし、その一方の主面及び/或いは内部に銅(Cu)等からなる導電層が選択的に配設された印刷配線基板を用い、前記導電層に、半導体集積回路素子(以下、半導体素子と称する)をその主面に配設された凸状(突起状)の外部接続端子を用い、所謂フリップチップ(フェイスダウン)状態をもって接続し、また前記印刷配線基板の他方の主面に形成された電極に球状電極端子等の外部接続端子を配設してなる半導体装置が提案されている。
【0004】
また、配線基板上に、半導体素子等の電子部品を複数個積層して配設する形態も提案されている。
【0005】
更に、機能の異なる複数の半導体素子を、それぞれの外部接続端子を介して直接に相互接続する所謂チップオンチップ(COC:Chip On Chip)構造も提案されている。
【0006】
一方、半導体素子が収容されたパッケージ(容器)の厚さを減ずるために、印刷配線基板に選択的に開口部を貫通形成し、当該開口部内に、シリコン(Si)或いはセラミックなどからなる基板にフリップチップ実装されたチップを収容し、開口部から突出した前記チップを被覆するカップ状カバーを設けてなる半導体装置が提案されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−250653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に記載された態様では、印刷配線基板に対し、チップに対応した開口部を貫通形成している。このため、当該印刷配線基板の製造コストが増加し、また、当該印刷配線基板に於ける内部配線の配置に制約を生じて、設計の自由度の低下を招いてしまう。
【0009】
配線の自由度を高める為に配線層数を増加させると、製造コストが増加し、更に、印刷配線基板の厚さも増加して、印刷配線基板のサイズが大形化してしまう。このため、半導体装置として大形化を招き、小形化、薄形化の要求に対応することができない。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、配線基板などの支持基板上に、複数個の半導体素子或いは半導体素子と電子部品が互いに重畳する状態をもって配置されるも、薄形化、小形化が可能であり、且つその製造コストの増加を招くことの無い半導体装置構造、ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施の形態の一観点によれば、支持基板と、前記支持基板の一方の主面に搭載された第1の半導体素子と、前記支持基板と前記第1の半導体素子との間に配置された電子部品と、を具備し、前記支持基板は、前記第1の半導体素子から離間する方向に変形して形成される凹部を有し、前記電子部品は、その厚さの少なくとも一部が前記凹部に収容されて搭載されてなることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0012】
本発明の実施の形態の別の観点によれば、支持基板の一方の主面に対して、電子部品を、第1の半導体素子を介して押圧し、前記支持基板を前記第1の半導体素子から離間する方向に変形させ、かかる変形により前記支持基板に形成された凹部に前記電子部品の少なくとも一部を収容せしめる工程を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の実施の形態の別の観点によれば、支持基板と第1の半導体素子との間に第2の半導体素子を配置する工程と、前記支持基板を加熱した状態で、前記第2の半導体素子を、前記第1の半導体素子を介して前記支持基板に押圧して、前記支持基板を局所的に撓ませる工程と、前記支持基板を撓ませた状態で、前記支持基板に前記第1の半導体素子を固着する工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の半導体素子或いは半導体素子と受動素子など、複数の機能素子を具備するも、薄形化、小形化がなされた半導体装置、及び当該半導体装置を低い製造コストをもって製造することができる製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2】図1に示す第1の半導体素子の回路形成面を示す図である。
【図3】図2に示す第1の半導体素子の回路形成面の変形例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図5】図4に示す第1の半導体素子の回路形成面を示す図である。
【図6】図5に示す第1の半導体素子の回路形成面の変形例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図12】ボンディングツールの高さ位置及びボンディングツールの荷重の時間経過を示すグラフである。
【図13】図10(a)に於いて点線Aで囲まれた部分の拡大図である。
【図14】ボンディングステージに形成された凹部の変形例を示す図である。
【図15】図10及び図11に示す工程の変形例を示す図(その1)である。
【図16】図10及び図11に示す工程の変形例を示す図(その2)である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図21】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図22】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図23】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図24】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図25】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
先ず、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構造について説明し、次いで、当該半導体装置の製造方法について説明する。
【0018】
[半導体装置]
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置100の構成を、図1に示す。
【0019】
当該半導体装置100にあっては、支持基板11の一方の主面(上面)上に、第1の半導体集積回路素子(以下、第1の半導体素子と称する)21が、所謂フリップチップ(フェイスダウン)方式をもって搭載されている。
【0020】
当該支持基板11にあっては、前記第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)と対向する領域が、選択的に、当該第1の半導体素子21から離間する方向に遠ざけられており、当該第1の半導体素子21と支持基板11との間隙が鉛直方向、即ち当該第1の半導体素子21の主面に垂直な方向に拡大された領域(以下、当該箇所を「凹部S」と称する)が設けられている。当該凹部Sは、支持基板11の略中央部に位置して設けられている。
【0021】
そして、当該凹部S内には、前記第1の半導体素子21に対し、フリップチップ方式をもって実装・固着された第2の半導体集積回路素子(以下、第2の半導体素子と称する)31が受容されている。
【0022】
前記支持基板11は、配線基板、インターポーザー或いは回路基板とも称され、ガラスエポキシ樹脂、ガラス−BT(ビスマレイミドトリアジン)、或いはポリイミド等の有機材絶縁性樹脂等を基材とし、その表面及び/或いは内部に銅(Cu)等からなる配線層が表層配線構造或いは多層配線構造をもって配設されている。
【0023】
当該支持基板11は、加熱により膨張すると共に可撓性を生ずるものであれば、常温に於いても可撓性を有するフレキシブル(FPC:Flexible Printed Circuit)基板の他、所謂リジッド基板であってもよく、例えば厚さが約0.3mmの4層配線構造を有するガラスエポキシ基板を適用することができる。
【0024】
前述の如く、当該支持基板11は、その略中央部に於いて、厚さが他の部分と略同一であり、且つ前記第1の半導体素子21の被搭載面とは反対方向に突出して、その平面形状が略矩形形状(図示せず)を有する凹部Sが配設されている。
【0025】
当該凹部Sは、後述する如く、支持基板11自体の変形(撓み)により形成され、半導体素子或いは受動素子などの機能素子を受容する。
【0026】
また、当該支持基板11に於いて、前記第1の半導体素子21が搭載される主面上には、前記配線層に接続された導電層(図示せず)が選択的に配設され、当該導電層を選択的に覆って、即ち、第1の半導体素子21の外部接続端子が接続される部位及びその周囲を除いて、ソルダーレジスト層(絶縁樹脂膜)が選択的に被覆されている(図示せず)。当該ソルダーレジスト層に設けられた開口部に於いて、導電層の一部が電極端子12として表出して配置されている。
【0027】
前記凹部Sは、かかる電極端子12の配置される箇所よりも内側、即ち当該電極端子12により囲繞或いは挟まれる領域に対応して配設され、当該凹部Sの上部開口幅W1は、対向する電極端子12相互間の距離WSよりも小とされている。
【0028】
一方、当該凹部Sの下部(底部)に於ける開口幅W2は、当該凹部Sに受容される第2の半導体素子31の外形寸法よりも大きなものとされている。
【0029】
また、当該凹部Sの深さDS1は、前記第1の半導体素子21の外部接続端子24の高さ及び電極端子12の厚さと協働して、少なくとも当該凹部S内に受容される第2の半導体素子31の有する厚さ、及び当該第2の半導体素子31と第1の半導体素子21との間に於いて、当該第2の半導体素子31と第1の半導体素子21とを接続する電極33の高さを吸収することができる深さである。
【0030】
従って、第1の半導体素子21の外部接続端子24の高さ及び電極端子12の厚さの合計値は、当該凹部S内に受容される第2の半導体素子31の有する厚さ及び当該第2の半導体素子31と第1の半導体素子21間に配設される電極33の高さの合計値よりも小さい。
【0031】
尚、前記支持基板11上の電極端子12の表面には、必要に応じて、電解めっき法或いは無電解めっき法により、下層から順に、ニッケル(Ni)/金(Au)の二層めっき層、又は銅(Cu)/ニッケル(Ni)/金(Au)の三層めっき層が被覆される。当該めっき層に代えて、錫(Sn)または錫(Sn)合金等の半田被覆を適用してもよい。
【0032】
また、前記支持基板11の他方の主面(裏面)には、選択的に複数個の導電層が配設され、当該導電層(図示せず)には、半田を主体とする球状電極端子からなる外部接続端子13が配設されている。
【0033】
当該外部接続端子13の高さHは、前記凹部Sに対応して形成された支持基板11の下側表面USの位置(高さh)を越える値(H>h)を有する。
【0034】
前記第1の半導体素子21ならびに第2の半導体素子31は、それぞれシリコン(Si)等の半導体、或いはガリウム砒素(GaAs)等の化合物半導体からなる半導体基板に対して周知の半導体製造プロセス(所謂ウエハープロセス)が適用されて、その一方の主面に電子回路部が形成されている。尚、ここでは、当該電子回路部を構成するトランジスタ等の能動素子及び/或いは容量素子等の受動素子、ならびにこれらの機能素子相互間或いは当該機能素子と電極端子との間を接続する多層配線層及び/或いは再配線層等の図示を省略している。
【0035】
当該第1の半導体素子21の厚さは、例えば100μm乃至300μmに設定され、また、第2の半導体素子31の厚さは、例えば25μm乃至200μmに設定される。
【0036】
前記第1の半導体素子21の支持基板11への対向面、即ち電子回路形成面に於ける端子パッドの配置構成を、図2に示す。
【0037】
略矩形形状を有する第1の半導体素子21の電子回路形成面に於いて、四辺の縁部それぞれに沿って、第1の外部接続用端子パッド22が複数個、列状に配設されている。
【0038】
また、当該電子回路形成面の略中央部には、第2の半導体素子31に於ける電極端子の配置に対応して、第2の外部接続用端子パッド23が複数個、矩形状に配設されている。
【0039】
そして、当該第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22には、それぞれ凸状の外部接続端子24が配設され、当該第1の外部接続用端子パッド22と支持基板11の電極端子12は、当該外部接続端子24を介して機械的・電気的に接続されている。
【0040】
尚、かかる第1の外部接続用端子パッド22ならびに第2の外部接続用端子パッド23は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、又はこれらの合金等をもって形成される。
【0041】
また、第1の外部接続用端子パッド22上に配置される凸状の外部接続端子24は、例えば、金(Au)、銅(Cu)、若しくはこれらの合金、又は錫(Sn)−銀(Ag)半田、或いは錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)半田等の金属から形成される。
【0042】
凸状の外部接続端子24として、金(Au)、銅(Cu)、又はこれらの合金から構成される金属バンプを適用する場合、当該外部接続端子24は、例えばワイヤボンディング技術を用いた所謂ボールボンディング法により形成することができる。
【0043】
また、電解めっき法により、これらの金属バンプを形成することができる。当該めっき法により金属バンプを形成する場合には、第1の外部接続用端子パッド18上に例えば、チタン(Ti)/タングステン(W)、チタン(Ti)/パラジウム(Pd)、或いはチタン(Ti)/ニッケル(Ni)/パラジウム(Pd)等の下地金属層(UBM:Under Bump Metal)を形成してもよい。
【0044】
外部接続端子24として半田バンプを採用する場合、例えば電解めっき法、転写法、印刷法等により外部接続端子14を形成することができる。かかる場合、第1の外部接続用端子パッド18上に、例えばニッケル(Ni)、チタン(Ti)/銅(Cu)/ニッケル(Ni)、チタン(Ti)/クロム(Cr)/銅(Cu)/ニッケル(Ni)等の下地金属層(UBM:Under Bump Metal)を形成してもよい。
【0045】
一方、第2の外部接続用端子パッド23に対しては、前記第2の半導体素子31の外部接続端子33が接続される。
【0046】
当該第2の半導体素子31にあっては、略矩形形状を有する電子回路形成面の四辺の縁部それぞれに沿って、複数の外部接続用端子パッド32が列状に配設されている。そして、当該外部接続用端子パッド32上には、凸状の外部接続端子33が配設されている。即ち、当該凸状の外部接続端子33を介して、第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23と、第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32が電気的に接続される。
【0047】
当該第2の半導体素子31に於ける外部接続用端子パッド32は、第1の半導体素子21に於ける第1の外部接続用端子パッド22及び第2の外部接続用端子パッド23と同様、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、又はこれらの合金等をもって形成される。
【0048】
また、当該外部接続用端子パッド32上に配置される凸状の外部接続端子33は、第1の半導体素子21に於ける凸状の外部接続端子24と同様に、例えば金(Au)、銅(Cu)、若しくはこれらの合金、又は錫(Sn)−銀(Ag)半田、錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)半田等の金属から形成される。
【0049】
尚、外部接続端子33として、金(Au)、銅(Cu)、又はこれらの合金から構成されるバンプを適用する場合、その形成方法として所謂ボールボンディング法又は電解めっき法を適用することができる。また、外部接続端子33として半田バンプを適用する場合には、その形成方法として電解めっき法、転写法、或いは印刷法等を適用することができる。
【0050】
更に、前記第2の半導体素子31に於ける外部接続端子33が接続される第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23の表面には、電解めっき法或いは無電解めっき法により、下層から順に、ニッケル(Ni)/金(Au)の2層めっき層、又は錫(Sn)または錫(Sn)合金等の半田被覆が施されてもよい。
【0051】
尚、第1の半導体素子21に於ける凸状の外部接続端子24を、フリップチップ実装される側の端子である支持基板11の第1の電極端子12上に設けてもよく、また第2の半導体素子31に於ける凸状の外部接続端子33を、フリップチップ実装される側の端子、即ち、第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23上に設けてもよい。
【0052】
ところで、前記第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)に配設される第1の外部接続用端子パッド22ならびに第2の外部接続用端子パッド23の配置は、図3(a)又は図3(b)に示す形態を適用することもできる。
【0053】
図3(a)に示す形態にあっては、第1の外部接続用端子パッド22は、当該第1の半導体素子21Aの電子回路形成面の四辺のうち、互いに対向する一対の二辺に沿って列状に配設されている。一方、第2の外部接続用端子パッド23は、図2に示す形態と同様に配置されている。
【0054】
一方、図3(b)に示す形態にあっては、第1の外部接続用端子パッド22は、第1の半導体素子21Bの電子回路形成面の四辺のそれぞれに沿って複数の列状に配設されている。かかる構成によれば、第1の外部接続用端子パッド22が複数の列状に配設されていることにより、当該外部接続用端子パッド22を介して、第1の半導体素子21から支持基板11へ熱を伝導し易い。
【0055】
尚、かかる構成あっては、電子回路形成面の略中央部に於いて、第2の外部接続用端子パッド23が、格子(グリッド)状に配設されている。
【0056】
また、当該半導体装置100にあっては、支持基板11の主面と、これに対向する第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)との間には、硬化した第1の接着剤41が配設され、また第1の半導体素子12の主面とこれに対向する第2の半導体素子31の主面(電子回路形成面)との間には、硬化した第2の接着剤42が配設されている。
【0057】
当該第1の接着剤41及び第2の接着剤42は、フリップチップ方法に応じて適宜選択されるが、例えばエポキシ系樹脂を主体とする材料からなる熱硬化性接着剤を用いることができる。かかる接着剤41、42に於いては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)或いはニッケル(Ni)等の導電性微粒子が添加されてもよい。
【0058】
この様に、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置100にあっては、第1の半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着される支持基板11の、当該第1の半導体素子21との対向部が選択的に、当該第1の半導体素子21から離間する方向に突出して、即ち当該第1の半導体素子21と支持基板11との間に、当該第1の半導体素子12の主面に対して垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。
【0059】
そして、当該凹部Sには、第1の半導体素子21にフリップチップ方式をもって実装・固着された第2の半導体素子31が受容されている。即ち、当該半導体装置100は、支持基板11上に搭載された第1の半導体素子21ならびに当該第1の半導体素子21に搭載された第2の半導体素子31を含む所謂チップオンチップ型構造を有するものの、当該第2の半導体素子31が、第1の半導体素子21と支持基板11との間に於ける凹部Sに収容・配置された形態を有する。
【0060】
従って、当該半導体装置100にあっては、実質的に第2の半導体素子31の全ての厚さに相当する厚さの増加がもたらされない。よって、複数の半導体素子をチップオンチップ型構造として組み合わせることにより高機能を有しつつ、より薄形化、小形化された半導体装置を実現することができる。
【0061】
また、支持基板11と第1の半導体素子21との間、ならびに当該支持基板11と第2の半導体素子31との間には硬化した接着剤41が配設され、一方、第1の半導体素子21と第2の半導体素子31との間には、硬化した接着剤42が配設されている。
【0062】
この為、第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)と支持基板11との接続箇所は、接着剤41により保護され、また当該第1の半導体素子21の主面と第2の半導体素子31の主面(電子回路形成面)との接続箇所は、接着剤42により保護される。従って、接着剤41により支持基板11と第1の半導体素子21との接続が維持され、一方、接着剤42により第1の半導体素子21と第2の半導体素子31との接続が維持されると共に、支持基板11の撓んだ形状を固定・保持することができる。これにより、高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。
【0063】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置200を、図4に示す。図4に於いては、前記図1に於いて示した部位と対応する部位には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
当該半導体装置200にあっては、支持基板11の一方の主面(上面)上に、第1の半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着されている。
【0065】
当該第1の半導体素子21は、第1の実施の形態に於ける第1の半導体素子と同様、シリコン(Si)等の半導体、或いはガリウム砒素(GaAs)等の化合物半導体からなる半導体基板に対して周知の半導体製造プロセス(所謂ウエハープロセス)が適用されて、その一方の主面に電子回路部が形成されている。
【0066】
そして、当該支持基板11の、第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)と対向する領域が、選択的に当該第1の半導体素子21から離間する方向に突出しており、当該第1の半導体素子21と支持基板11との間隙が鉛直方向、即ち当該第1の半導体素子21の主面に垂直な方向に拡大されて、凹部Sが形成されている。当該凹部Sは、支持基板11の略中央部に位置している。
【0067】
そして、当該半導体装置200にあっては、前記凹部S内に於いて、第2の半導体素子31が、支持基板11上の電極に対しフリップチップ方式をもって実装・固着されている。
【0068】
即ち、支持基板11の凹部S内に於いて、支持基板11の導電層の一部として電極端子14が配設され、当該電極端子14に第2の半導体素子31の外部接続端子が接続されている。
【0069】
当該第2の半導体素子31の主面(電子回路形成面)に形成された外部接続用端子パッド32のそれぞれには、凸状の外部接続端子33が配設され、外部接続用端子パッド32と前記支持基板11の電極端子14は、当該凸状の外部接続端子33を介して電気的・機械的に接続されている。かかる構成に於いて、前記第1の半導体素子21の主面に於ける電子回路形成領域の、第2の半導体素子31への対向部には、選択的に絶縁層25が配設されている。当該絶縁層25の配設形態を、図5に示す。
【0070】
即ち、当該第1の半導体素子21の電子回路形成面の四辺の近傍に配設された外部接続用端子パッド22により囲繞される領域に於いて、電子回路形成部上を被覆して、絶縁層25が配設されている。
【0071】
当該絶縁層25は、例えばポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、或いはエポキシ系樹脂を主体とする材料から選択され、弾性を有する。そして、その厚さは、例えば1μm乃至15μmに設定される。
【0072】
当該絶縁層25を配設することにより、第1の半導体素子21と第2の半導体素子31との間を確実に絶縁分離することができ、両半導体素子の接触による誤動作を防止することができる。
【0073】
また、当該絶縁層25が弾性を有することにより、半導体装置200の製造工程に於いて、第1の半導体素子21を支持基板11にフリップチップ実装する際に印加される荷重によって第1の半導体素子21の電子回路形成部が破損することを防止することができる。即ち、絶縁層25は、第1の半導体素子21をフリップチップ実装する際、当該支持基板11に搭載されている第2の半導体素子31により、第1の半導体素子21に作用する応力を緩和して、当該第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)の破壊を防止する応力緩和層として機能する。
【0074】
尚、第1の半導体素子21の主面に於ける外部接続用端子パッド22ならびに絶縁層25の配置として、図6(a)或いは図6(b)に示す形態を適用することもできる。
【0075】
即ち、図6(a)に示す例では、第1の半導体素子21Cの主面の外周を構成する四辺のうち互いに対向する二辺の近傍に、外部接続用端子パッド22が当該二辺に沿って列状に配設されている。そして対向して形成された外部接続用端子パッド22の間に、絶縁層25が配設されている。
【0076】
一方、図6(b)に示す例では、第1の半導体素子21Dの主面の外周を構成する四辺それぞれの近傍に、外部接続用端子パッド22−1、22−2が複数列状に配設されている。そして対向して形成された外部接続用端子パッド22−2の間に、絶縁層25が配設されている。
【0077】
尚、前記図4に示す形態にあっては、第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)上に絶縁層25が配設されているが、当該絶縁層25を第1の半導体素子21に対向して位置する第2の半導体素子31の第2の主面(裏面、電子回路非形成面)上に配設してもよい。
【0078】
そして、第1の半導体素子21の主面と支持基板11との間には、硬化した第1の接着剤41が配設され、また第2の半導体素子31の主面と支持基板11との間には、硬化した第2の接着剤43が配設されている。当該第2の接着剤43は、フリップチップ方式に応じて適宜選択されるが、第1の接着剤41と同様に、熱硬化性接着剤から選択される。尚、前記支持基板11の他方の主面(裏面)に配設された導電層(図示せず)には、球状電極端子からなる外部接続端子13が配設されている。
【0079】
当該外部接続端子13の高さは、前記凹部Sに対応して形成された支持基板11の下側表面USの位置(高さ)を越える値を有する。
【0080】
この様に、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置200にあっては、第1の半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着される支持基板11の、当該第1の半導体素子21への対向部が選択的に、当該第1の半導体素子21と離間する方向に変形し、当該第1の半導体素子21と支持基板11との間が、当該第1の半導体素子21の主面に対して垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。
【0081】
そして、当該凹部Sに於いて、支持基板11に対し、フリップチップ方式をもって第2の半導体素子31が実装・固着され、前記第1の半導体素子21は、当該第2の半導体素子31に重畳して搭載されている。
【0082】
即ち、当該半導体装置200は、支持基板11上に搭載された第1の半導体素子21ならびに第2の半導体素子31を含み、当該第2の半導体素子31が、第1の半導体素子21と支持基板11との間に於ける凹部Sに収容・配置された形態を有する。
【0083】
従って、当該半導体装置200にあっては、支持基板11上に二つの半導体素子が重畳して配置されるにも関わらず、実質的に第2の半導体素子31の全ての厚さに相当する厚さの増加がもたらされない。よって、複数の半導体素子を組み合わせることにより高機能を有しつつ、より薄形化、小形化された半導体装置を実現することができる。
【0084】
また、第1の半導体素子21と支持基板11との間には、接着剤41が配設され、一方、第2の半導体素子31と支持基板11との間には、接着剤43が配設されている。即ち、第1の半導体素子21の主面(回路形成面)と支持基板11との接続箇所は、接着剤41により封止されて保護されており、また、第2の半導体素子31の主面(回路形成面)と支持基板11との接続箇所は、接着剤43により封止されて保護されている。
【0085】
これにより、接着剤41により支持基板11と第1の半導体素子21との接続が維持され、一方、接着剤43により支持基板11と第2の半導体素子31との接続が維持されると共に、支持基板11の撓んだ形状が維持される。
【0086】
更に、第1の半導体素子21と第2の半導体素子31との間に、絶縁層25を配設することにより、これらの半導体素子間は確実に分離され、両者の接触による誤動作が防止される。もって、より高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。
【0087】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置300を、図7に示す。
【0088】
図7に於いては、前記図1或いは図4に於いて示した部位に対応する部位には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
当該半導体装置300にあっては、支持基板11の一方の主面(上面)上に、半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着されている。
【0090】
そして、当該支持基板11の、半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)と対向する領域が、選択的に当該半導体素子21から離間する方向に突出しており、当該半導体素子21と支持基板11との間隙が鉛直方向、即ち当該半導体素子21の主面に垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。当該凹部Sは、支持基板11の略中央部に位置している。
【0091】
そして、当該半導体装置300にあっては、前記凹部S内に於いて、複数の受動素子51が、支持基板11上の電極端子15に接続されて実装されている。
【0092】
即ち、支持基板11の凹部S内に於いて、支持基板11の導電層の一部として電極端子15が配設され、当該電極端子15に受動素子51の電極が導電部材52を介して接続されている。
【0093】
当該受動素子51は、板状又は柱状をなす所謂チップ部品であり、例えば、バイパスコンデンサとして機能する容量素子、ノイズフィルタとして機能するインダクタ、或いは抵抗素子などが該当する。当該受動素子51は、絶縁性の素体部51a及び当該素体部51aの両端部又は一主面上に配設された複数の電極端子51bを具備する。当該受動素子51は、半導体素子21の回路構成、規模等に対応して適宜選択され、また、接続される半導体素子21の電極端子にできるだけ近接するように、電極端子15の位置、方向が選択される。
【0094】
当該受動素子51の電極端子51bと支持基板11の電極端子15は、導電部材52を介して電気的に接続されている。当該導電部材52として、例えばエポキシ系樹脂又はシリコン系樹脂等に、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、若しくはカーボンブラック等の導電性微粒子を含有した導電性接着剤、又は錫(Sn)−銀(Ag)半田、若しくは錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)半田等の半田材料が適用される。
【0095】
尚、前記支持基板11の他方の主面(裏面)に配設された導電層(図示せず)には、球状電極端子からなる外部接続端子13が配設されている。
【0096】
当該外部接続端子13の高さは、前記凹部Sに対応して形成された支持基板11の下側表面USの位置(高さ)を越える値を有する。
【0097】
この様に、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置300にあっては、半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着される支持基板11の、当該半導体素子21との対向部が選択的に、当該半導体素子21とから離間する方向に突出し、当該半導体素子21と支持基板11との間が、当該半導体素子21の主面に対して垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。
【0098】
そして、当該凹部Sに於いて、支持基板11に対し受動素子51が実装され、前記半導体素子21は、当該受動素子51に重畳して搭載されている。即ち、当該半導体装置300は、支持基板11上に搭載された半導体素子21ならびに受動素子51を含み、当該第受動素子51が、半導体素子21と支持基板11との間に於ける凹部Sに収容・配置された形態を有する。
【0099】
従って、当該半導体装置300にあっては、支持基板11上に半導体素子と受動素子が重畳して配置されるにも関わらず、実質的に受動素子51の全厚さ(高さ)に相当する厚さの増加がもたらされない。よって、半導体素子と受動素子を組み合わせることによって動作の安定性を高めつつ、より薄形化、小形化された半導体装置を実現することができる。
【0100】
また、半導体素子21と支持基板11との間には、接着剤41が配設されている。即ち、半導体素子21の主面(回路形成面)と支持基板11との接続箇所ならびに受動素子51は、当該接着剤41により被覆され、保護される。これにより、接着剤41により支持基板11と半導体素子21との接続、ならびに支持基板11と受動素子51との接続が維持されると共に、支持基板11の撓んだ形状が維持される。もって、高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。
【0101】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置400を、図8に示す。
【0102】
図8に於いても、前記図1、図4等に於いて示した部位に対応する部位には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
当該半導体装置400にあっては、支持基板11の一方の主面(上面)上に、第1の半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着されている。
【0104】
そして、当該支持基板11の、第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)と対向する領域が、選択的に当該第1の半導体素子21から離間する方向に突出しており、当該第1の半導体素子21と支持基板11との間隙が鉛直方向、即ち当該第1の半導体素子21の主面に垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。当該凹部Sは、支持基板11の略中央部に位置している。
【0105】
そして、当該半導体装置400にあっては、前記凹部S内に於いて、第2の半導体素子31がその一方の主面(電子回路形成面)を上にして、支持基板11上にダイボンド材61を介して実装・固着されており、当該第2の半導体素子31の電極32はボンディングワイヤ34を介して、支持基板11に於ける電極端子16に接続されている。更に、当該第2の半導体素子21は、ボンディングワイヤ34と共に、封止樹脂62により封止されている。前記ダイボンド材61は、例えばポリイミド系樹脂又はエポキシ系樹脂等を主体とする材料から構成され、また電極端子16は電極端子12と同様の材料から構成される。
【0106】
尚、前記第2の半導体素子31の主面上に配設された外部接続用端子パッド32の表面には、例えば下層から順に、ニッケル(Ni)/金(Au)の二層めっき層を無電解めっき法等により形成しておいてもよい。そして、当該第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32と支持基板11の電極端子16は、例えば金(Au)、銅(Cu)等の金属を主体とするボンディングワイヤ34により接続される。
【0107】
また、前記封止樹脂62は、例えばエポキシ系樹脂を主体とする材料から構成される。
【0108】
尚、前記支持基板11の他方の主面(裏面)に配設された導電層(図示せず)には、球状電極端子からなる外部接続端子13が配設されている。
【0109】
当該外部接続端子13の高さは、前記凹部Sに対応して形成された支持基板11の下側表面USの位置(高さ)を越える値を有する。
【0110】
この様に、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置400にあっては、第1の半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着される支持基板11の、当該第1の半導体素子21との対向部が選択的に、当該第1の半導体素子21と離間する方向に突出し、当該第1の半導体素子21と支持基板11との間が、当該第1の半導体素子21の主面に対して垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。
【0111】
そして、当該凹部Sに於いて、支持基板11に対し第2の半導体素子31が所謂フェイスアップ状態をもって実装・固着され、前記第1の半導体素子21は、当該第2の半導体素子31に重畳して搭載されている。即ち、当該半導体装置400は、支持基板11上に搭載された第1の半導体素子21ならびに第2の半導体素子31を含み、当該第2の半導体素子31が、第1の半導体素子21と支持基板11との間に於ける凹部Sに収容・配置された形態を有する。
【0112】
従って、当該半導体装置400にあっては、支持基板11上に二つの半導体素子が重畳して配置されるにも関わらず、実質的に第2の半導体素子31の全厚さに相当する厚さの増加がもたらされない。よって、複数の半導体素子を組み合わせることにより高機能を有しつつ、より薄形化、小形化された半導体装置を実現することができる。
【0113】
また、第1の半導体素子21と支持基板11のとの間、ならびに第1の半導体素子21と第2の半導体素子31を被覆している封止樹脂62の上面との間には、硬化した接着剤41が配設されている。即ち、第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)と支持基板11の主面との接続箇所は、接着剤41により封止され保護されている。
【0114】
一方、第2の半導体素子31の主面(電子回路形成面)と支持基板11との接続部位は、封止樹脂62により封止され保護されている。従って、接着剤41により、支持基板11と第1の半導体素子21との接続が維持され、封止樹脂62により、支持基板11と第2の半導体素子31との接続が維持されると共に、支持基板11の撓んだ形状を固定することができる。もって、高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。
【0115】
この様な特徴的構成を有するところの、本発明による半導体装置の製造方法について、以下に述べる。
【0116】
[半導体装置の製造方法]
(半導体装置100の製造方法)
前記本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置100の製造方法について、図9乃至図14を参照して説明する。
【0117】
当該半導体装置100の製造にあっては、先ず、第2の半導体素子31を第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)にフリップチップ(フェイスダウン)実装する。
【0118】
当該フリップチップ実装法としては、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、超音波接合法、或いは異方性導電性樹脂を用いた接続法等を適用することができる。
【0119】
即ち、本製造方法に於いては、第2の半導体素子31を、接着剤42を介在させながら、第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)上にフリップチップ実装する。この結果、第2の半導体素子31の一方の主面(電子回路形成面)は、第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)に対向する。これを、図9を用いて説明する。
【0120】
当該フリップチップ実装法にあっては、先ず、ボンディングステージ71上に、吸着孔72を介しての真空吸引により、第1の半導体素子21を、その一方の主面(電子回路形成面)を上面に、即ち当該一方の主面(電子回路形成面)を表出させて、吸着保持する。(図9(a)参照)
尚、当該第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)に於ける第1の外部接続用端子パッド22には、凸状の外部接続端子24が予め形成されている。当該外部接続端子24としては、ワイヤボンディング技術を用いた所謂ボールボンディング法又は電解めっき法により形成される金属バンプ、或いは電解めっき法、転写法、印刷法等により形成される金バンプを用いることができる。
【0121】
また、後の工程に於いて第2の半導体素子31の外部接続端子が接続される第2の外部接続用端子パッド23の表面には、電解めっき法或いは無電解めっき法により、下層から順に、ニッケル(Ni)/金(Au)の二層めっき層、又は錫(Sn)または錫(Sn)合金等の半田被覆が施されている。
【0122】
更に、当該第2の外部接続用端子パッド22により囲繞された第1の半導体素子21の表面領域には、エポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる接着剤42が選択的に被着されている。
【0123】
一方、第2の半導体素子31は、予め所定の温度に加熱されたボンディングツール(治具)81に、その他方の主面(裏面、電子回路非形成面)が吸着孔82を介して、吸着保持される。
【0124】
かかる外部接続端子33としては、ワイヤボンディング技術を用いた所謂ボールボンディング法又は電解めっき法による金属バンプ、或いは、電解めっき法、転写法、印刷法等により、形成される半田バンプが適用される。尚、当該第2の半導体素子31の厚さ、及び当該第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32に配設された外部接続端子33の有する高さの合計値は、前記第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22に形成された外部接続端子24の高さより大なる厚さ(高さ)を有する。
【0125】
かかる第2の半導体素子31の外部接続端子33と、前記第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23とを対向させ、位置合わせを行う。
【0126】
しかる後、前記ボンディングツール81を降下せしめ、第2の半導体素子31の外部接続端子33を第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23に押し付け、接触させる。そして、当該ボンディングツール81により第2の半導体素子31の外部接続端子23に所定の荷重を印加して、当該第2の半導体素子31の外部接続端子23を第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23に接続する。
【0127】
この時、前記接着剤42は、第2の半導体素子31の下面(電子回路形成面、第1の半導体素子21への対向面)全域に流動し、当該第2の半導体素子31と第1の半導体素子21との間、並びに当該第2の半導体素子31の側面外周部に至る。
【0128】
更にボンディングツール81からの加熱により、当該接着剤42を熱硬化せしめる。(図9(b)参照)
これにより、第2の半導体素子31の、第1の半導体素子21へのフリップチップ実装がなされる。
【0129】
しかる後、前記ボンディングツール81の吸引を解除して、当該ボンディングツール81と第2の半導体素子31を分離する。この為、ボンディングツール81を上昇させる。(図9(c)参照)
尚、第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22への外部接続端子24の配設工程は、上記第2の半導体素子31のフリップチップ実装工程がなされた後に実施することもできる。
【0130】
次いで、第2の半導体素子31がフリップチップ実装されてなる第1の半導体素子21を、支持基板11上にフリップチップ実装する。
【0131】
当該第1の半導体素子21を、支持基板11上にフリップチップ実装する工程を、図10及び図11に示す。
【0132】
此処では、フリップチップ実装法として、第1の半導体素子21を、接着剤41を介在させて支持基板11に熱圧着する方法を用いる。尚、当該フリップチップ実装法としては、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツールにより加熱及び加圧を行う限り、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、或いは異方性導電性樹脂を用いた接続法等を用いることができる。
【0133】
先ず、ボンディングステージ91上に、吸着孔92を介しての真空吸引により、支持基板11を吸着保持する。(図10(a)参照)
本発明の実施の形態に於ける特徴的構成として、当該ボンディングステージ91の上面には、凹部93が選択的に配設されている。当該凹部93は、前記第2の半導体素子31が支持基板11の一部と共に受容されることが可能な平面形状、寸法、ならびに深さを有する。前記支持基板11の上面には、当該支持基板11に形成された導電層の一部が第1の電極端子12として、複数個配設されている。
【0134】
そして、当該支持基板11の上面に於いて、複数個の第1の電極端子12により囲繞された領域には、エポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる接着剤41が被着されている。
【0135】
また、当該ボンディングステージ91は、50℃乃至100℃程に加熱されている。
【0136】
一方、前述の如く第2の半導体素子31がフリップチップ実装された第1の半導体素子21は、その第二の主面(裏面、電子回路非形成面)が、予め所定の温度(270℃乃至300℃)に加熱されたボンディングツール86に、吸着孔87を介して吸着・保持される。
【0137】
そして、前記第1の半導体素子21の外部接続端子24と支持基板11の第1の電極端子12とを対向させ、位置合わせを行う。
【0138】
この結果、当該第1の半導体素子21上にフリップチップ実装された第2の半導体素子31は、その裏面(電子回路非形成面)が、支持基板11上に被着された接着剤41に対向した状態とされる。
【0139】
かかる位置合わせの後、ボンディングツール86を降下せしめる(矢印H)。
【0140】
当該ボンディングツール86の下端面の位置の時間経過を、図12(a)に示し、また当該ボンディングツール86に接続された荷重センサ(図示せず)により検出される荷重の時間経過を図12(b)に示す。
【0141】
図12(a)及び図12(b)に於ける時刻Tsは、図10(a)に示す第1の半導体素子21の外部接続端子24と支持基板11の第1の電極端子12とが位置合わせされた時点を示す。
【0142】
前記ボンディングツール86を降下せしめることにより、第1の半導体素子21にフリップチップ実装された第2の半導体素子31の背面(電子回路非形成面)は、接着剤41を介して支持基板11に接触する。(図10(b)参照)
当該接触が生じた時刻を時刻T0とする。この時、当該第2の半導体素子31の厚さと当該第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32に配設された外部接続端子33の高さとの合計値が、第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22に形成された外部接続端子24の高さよりも大きく設定されていることから、当該第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24は支持基板11上の電極端子12に接せず、またボンディングツール86の下端面(支持基板11への対向面)は、高さZ1の位置にある。
【0143】
これ以降、ボンディングツール86の下降に伴う押圧力は、当該第1の半導体素子21、第2の半導体素子31及び接着剤42を介して支持基板11に印可される。
【0144】
かかる押圧力により、支持基板11は、少なくとも第2の半導体素子31の裏面及びその周囲に位置する部位が、前記ボンディングステージ91の上部に配設された凹部93内へ押圧され、伸長する。
【0145】
この時、前記ボンディングツール86は、前述の如く、所定温度に加熱されている。当該ボンディングツール86からの熱は、第1の半導体素子21及び外部接続端子24を介して第2の半導体素子31に伝導され、当該第2の半導体素子31に近接する支持基板11は、局所的に加熱される。かかる加熱により、支持基板11に於いて、局所的な熱膨張が発生・進行し、当該支持基板11は、前記ボンディングステージ91に於ける凹部93内へ容易に伸長し、撓み始める。
【0146】
即ち、図12(b)に示す様に、ボンディングツール86による押圧力の印可に伴い、支持基板11から当該ボンディングツール86に作用する反発力は一旦上昇するものの、時間の経過と共に、支持基板11の変形(伸長、撓み)に伴い、反発力は低下していく。同図では、当該反発力の強さが、これに対応する押圧荷重として表示されている。
【0147】
尚、支持基板11に対する加熱は、前記ボンディングツール86の押圧による当該支持基板11の伸長をより容易化するものであるが、かかる加熱温度を、支持基板11のガラス転移温度以上の温度に設定することにより、当該支持基板11の変形・撓みをより容易なものとすることができる。
【0148】
この様な押圧力の印可ならびに加熱により、支持基板11は、ボンディングステージ91に於ける凹部93内に於いて、当該凹部93の内面に沿う如くして伸長し、撓み生じて、第1の半導体素子21と支持基板11との間には、前記第2の半導体素子31を受容することができる凹部Sが形成され始める。
【0149】
また、支持基板11上に被着されていた接着剤41は、支持基板11と第2の半導体素子31との接触により伝導されたボンディングツール86からの熱により、粘度が低下して流動性が高まり、支持基板11と第1の半導体素子21との間に於いて、当該第1の半導体素子21が支持基板11に対向する領域全域に押し広げられる。
【0150】
そして、ボンディングツール86を更に降下せしめることにより、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24を、支持基板11上の電極端子12に接触させる。(位置制御による第1の押圧)
当該接触が生じた時刻を時刻T1とする。(図10(c)参照)
このとき、ボンディングツール86の下端面は、高さZ2の位置にある。
【0151】
第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触することにより、ボンディングツール86の有する熱は、当該第1の半導体素子21、第2の半導体素子31、外部接続端子33ならびに外部接続端子24を介して支持基板11に伝導される。従って、接着剤41は更に流動し、外部接続端子12の周囲にまで達する。
【0152】
前述の如き第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24と支持基板11上の電極端子12との接触が生じた時点から、第1の半導体素子21の支持基板11に対するフリップチップ実装が完了するまで(時刻T1〜時刻T3)の間は、前記荷重センサにより検出される荷重を制御する。(荷重制御による第2の押圧)
そして、当該荷重センサにより検出される荷重が、時刻T2に於いて設定値Fに到達するよう制御する。当該設定値Fは、第1の半導体素子21に形成された個々の外部接続端子24当たり、10gf乃至60gfに設定される。(図12(b)参照)
当該荷重の印可により、第1の半導体素子21に形成された外部接続端子24は、支持基板11の第1の電極端子12に接続される。この時、塑性変形を伴う(潰れる)ため、ボンディングツール86の下端面の位置は、高さZ2から僅かに降下して、高さZ3に位置する。(図11(d)参照)
時刻T2に於いて設定値に達した荷重は、所定の時刻T3まで維持される。
【0153】
時刻T2から時刻T3の間、ボンディングツール86から第1の半導体素子21、第2の半導体素子31、外部接続端子33ならびに外部接続端子24を介した伝熱により、支持基板11は加熱され、被加熱領域は拡大し、支持基板11の局所的熱膨張は更に進行する。
【0154】
その結果、ボンディングステージ91の凹部93に於ける支持基板11の伸長・撓みは進行し、支持基板11から第2の半導体素子31を介して第1の半導体素子21に作用する反発力は減少する。
【0155】
また、支持基板11と第1の半導体素子21との間に於いて、第1の半導体素子21の全面領域に押し広げられ外部接続端子24の周囲にまで達した接着剤41の熱硬化が進行する。
【0156】
尚、ボンディングツール86による荷重の印可がより有効になされよう、ボンディングステージ91に於ける吸着孔92は、支持基板11に於ける第1の電極端子12に対する第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24の接続位置の直下とは異なる位置に配置される。
【0157】
時刻T3に至り、第1の半導体素子21の、支持基板11への実装が完了する。(図11(e)参照)
このとき、当該支持基板11と前記第2の半導体素子31の背面との間隔は拡大しており、第2の半導体素子31を介する支持基板11から第1の半導体素子21への反発力は生じない。前記荷重センサにより検出される荷重は設定値Fを維持している。
【0158】
また、ボンディングツール86の下端面は、高さZ3の位置に維持されている。
【0159】
そして、支持基板11が、ボンディングステージ91の凹部93に於いて撓んだ形状を有した状態に於いて、接着剤41は硬化する。これにより、接着剤41によるアンダーフィリング、即ち、第1の半導体素子21の回路形成面及び外部接続端子24の保護、ならびに第1の半導体素子21と支持基板11との固着とがなされる。当該接着剤41の接着力及び硬化収縮力により、外部接続端子24を介しての第1の半導体素子21と支持基板11との接続は維持される。
【0160】
支持基板11に対する第1の半導体素子21の実装がなされと、ボンディングツール86の吸引を解除し、当該ボンディングツール86を上昇させる(矢印I)。(時刻Te、図11(f)参照)
ボンディングツール86による加圧の開放、ならびに前記接着剤41の硬化収縮に伴い、ボンディングステージ91の凹部93に於いて、支持基板11は上方へ僅かに持ち上がり、当該支持基板11のボンディングステージ91からの取り出しが容易とされる。
【0161】
そして、当該ボンディングステージ91からの取り出された支持基板11に対し、外部接続端子を配設する。
【0162】
即ち、当該支持基板11の他方の主面(裏面)に選択的に設けられた導電層(図示せず)に、半田を主体とする球状電極端子等の外部接続端子13を複数個配設し、前記図1に示す半導体装置100を形成する。
【0163】
この様に、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、ボンディングツール86による支持基板11に対する加圧が、凹部93を具備して当該支持基板11を支持するボンディングステージ91上に於いて、当該支持基板11に対しフリップチップ実装される第1の半導体素子21ならびに当該第1の半導体素子21に対してフリップチップ実装された第2の半導体素子31を介して行われる。これにより、当該支持基板11は、前記凹部93上に於いて局所的に加圧される。
【0164】
また、当該支持基板11は、ボンディングツール86から第1の半導体素子21ならびに第2の半導体素子31を介して伝導される熱により局所的に加熱される。
【0165】
この結果、当該支持基板11は、ボンディングステージ91の凹部93内に於いて、前記第1の半導体素子21が実装される主面から遠ざかる方向に伸長し、撓みを生じる。即ち、かかる局所的加圧ならびに加熱によって生ずる支持基板11の局所的な伸長及び撓みによって、当該支持基板11には、前記第2の半導体素子31を受容することが可能な凹部Sが形成される。かかる凹部Sは、第2の半導体素子31を、その厚さ方向に受容する。
【0166】
従って、支持基板11上に、第1の半導体素子21及び第2の半導体素子31の二つの半導体素子が積層状態をもって配置されても、実質的に第2の半導体素子31の全厚さに相当する厚さ(高さ)の増加がもたらされない。
【0167】
即ち、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、第1の半導体素子21及び第2の半導体素子31という複数の半導体素子を具備し、且つ薄型化及び小型化が要求される半導体装置を、簡易な工程で製造することができ、製造コスト化の低下を図ることができる。
【0168】
更に、ボンディングツール86をその高さ位置を制御しながら降下させ、第1の半導体素子21に形成された外部接続端子24を、支持基板11の第1の電極端子12に接触させ、その後ボンディングツール86の荷重を制御して外部接続端子24に荷重を付与している。従って、かかる荷重により外部接続端子24を、支持基板11の第1の電極端子12に確実に接続することができ、接続信頼性の高い実装構造を得ることができる。
【0169】
尚、時刻T2に於いて、接着剤41が硬化している場合には、支持基板11に対する第1の半導体素子21のフリップチップ実装が完了するため、かかる時点でボンディングツール86の吸引を解除し、当該ボンディングツール86を上昇させてもよい。
【0170】
また、支持基板11に対する第1の半導体素子21のフリップチップ実装が完了した後に、ポストキュア処理を施して、第2の半導体素子31と第1の半導体素子21との間に配設された接着剤42を硬化させてもよい。
【0171】
本発明の発明者は、以下の示す条件の下、本実施の形態に於ける製造方法を用いて、図1に示す半導体装置100を製造することができた。
【0172】
即ち、支持基板11として、厚さが0.3mmの4層配線構造のガラスエポキシ基板を用いた。かかる基板のガラス転移温度は、JIS−C−6481 プリント配線板用銅張積層板試験方法に定められるTMA法による測定の結果170℃乃至185℃であった。
【0173】
また、第1の半導体素子21として、大きさが13×13mmで、厚さが200μmのシリコン半導体素子を用いた。当該第1の半導体素子21の外部接続端子24として、金(Au)ワイヤを用いたボールボンディング法により形成した金(Au)バンプを840個形成した。
【0174】
一方、第2の半導体素子31として、大きさが6×6mmで、厚さが100μmのシリコン半導体素子を用いた。当該第2の半導体素子31の外部接続端子33として、金(Au)ワイヤを用いたボールボンディング法により形成した金(Au)バンプを380個形成した。
【0175】
そして、前記第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツール86の加熱温度を270℃乃至300℃に設定し、支持基板11を吸着保持するボンディングステージ91の加熱温度を50℃乃至100℃に設定した。また、ボンディングステージ91に配設される凹部93は、8.5mm×8.5mmの矩形形状とし、その深さ(DS2)を0.2mmに設定した。
【0176】
かかる条件の下、本実施の形態に於ける製造方法を用いて、第2の半導体素子31がフリップチップ実装された第1の半導体素子21を、支持基板11にフリップチップ実装した。
【0177】
実装時に於ける支持基板11の到達温度は200℃乃至230℃であり、実装後に於ける支持基板11の撓み変形による沈み込み量は130μmであった。
【0178】
この様な本実施の形態に於ける製造方法に於いて、ボンディングステージ91に配設される凹部93の底部ならびにこれに続く内側面(側壁面)の断面形状を、図13に示す。
【0179】
これは、前記図10(a)に於いて、点線Aにより囲繞された箇所であるが、ここでは支持基板11の図示を省略している。
【0180】
即ち、当該凹部93の内側面93aは、平坦な凹部底面93bから上面に至り、且つ当該凹部93の内方に向けて凸状を呈する円弧状断面を有する。
【0181】
この様な円弧状断面とすることにより、凹部93は上方に開かれた内側面を有することから、前記支持基板11が伸長し、撓む際、当該凹部93の内側面に接しても当該支持基板11の特定部位に応力が集中することを抑制、低減することができ、当該支持基板11に形成されている配線層に損傷を与えることを生じない。
【0182】
当該凹部93の底面93bは平坦であり、またその深さDS2は、前記第2の半導体素子31がその厚さ方向に受容され、且つ前記支持基板11が伸長し撓む際、当該支持基板11の下側表面(第2の主面)が、当該凹部93の底面に接することができる深さに設定される。これにより、当該支持基板11の撓み量が制限され、且つ当該支持基板11の下側表面は平坦面を呈する。
【0183】
尚、前記凹部93の内側面の形状は、図13に示される形態に限られるものではない。
【0184】
例えば、凹部93の内側面を、その底部より鈍角をもって延びる傾斜面93aaとすることもできる。(図14(a)参照)
また、かかる内側面の傾斜角を途中で変更し、少なくとも二つの傾斜角を有する内側面93ab−1,93ab−2とすることもできる。(図14(b)参照)
また、かかる内側面を、底部から所定の高さまで垂直面93ac−1とし、これに続く内側面を所定の傾斜角を有する傾斜面93ac−2とすることもできる。(図14(c)参照)
更に、かかる内側面を、底部から所定の高さまで垂直面93ad−1とし、これに続く内側面93ad−2を円弧状とすることもできる。(図14(d)参照)
何れの形態にあっても、凹部93は上方に開かれた内側面を有することから、支持基板11が伸長し撓む際、当該凹部93の内側面に接しても当該支持基板11の特定部位に応力が集中することを抑制・低減することができ、当該支持基板11に形成されている配線層に損傷を与えない。
【0185】
また、前記図10及び図11を参照して説明した実施の形態にあっては、ボンディングステージ91に配設した凹部93内に於いて、支持基板11に対し局所的に機械的に押圧力を加えると共に加熱することにより伸長・撓みを生じさせたが、更に当該凹部93内へ真空(減圧)吸引することにより、当該支持基板11の伸長・撓みを促進させることもできる。
【0186】
かかる凹部93内に於ける吸引を伴う処理方法について、図15及び図16を参照して説明する。尚、図15、図16に示される構成に於いて、前記図10、図11で示した部位に対応する部位には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0187】
本処理方法に於いては、ボンディングステージ91に於ける前記凹部93の底部に、吸引機構(図示せず)に接続された吸引孔94が配設され、吸引機構を駆動することにより、吸引孔94を介して凹部93内を真空吸引(減圧)する。これにより、ボンディングステージ91上に配置された支持基板11の半導体素子搭載部は、当該凹部93内に選択的に吸引される。
【0188】
本処理方法に於いては、かかる構造を有するボンディングステージ91上に、吸着孔92を介しての吸引により、支持基板11を保持する。(図15(a)参照)
また、前記凹部93は、前述の如く、第2の半導体素子31が、支持基板11の一部と共に受容されることが可能な平面形状、寸法ならびに深さを有する。当該支持基板11が載置・固定されたボンディングステージ91は、50℃乃至100℃に加熱される。また、かかる加熱と共に、当該ボンディングステージ91に於ける凹部93内を、吸引孔94を介して排気する。
【0189】
前記支持基板11の上面には、当該支持基板11に形成された導電層の一部が第1の電極端子12として、複数個配設されている。
【0190】
そして、かかる支持基板11の上面に於いて、前記複数個の第1の電極端子12に囲繞された領域には、エポキシ系樹脂を主体とする材料から形成され熱硬化性を有する接着剤41が被着されている。
【0191】
一方、第2の半導体素子31がフリップチップ実装された第1の半導体素子21は、その他方の主面(裏面・電子回路非形成面)が、予め所定の温度(270℃乃至300℃)に加熱されたボンディングツール86に、吸着孔87を介して吸着・保持される。
【0192】
そして、第1の半導体素子21の外部接続端子24と支持基板11の第1の電極端子12とを対向させ、位置合わせを行う。
【0193】
かかる位置合わせの後、その高さ位置を制御しながら、ボンディングツール86を、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が支持基板11の第1の電極端子12に接触するまで、降下せしめる(矢印J)。(図15(b)参照、位置制御による第1の押圧)
ボンディングツール86を降下することにより、第1の半導体素子21にフリップチップ実装された第2の半導体素子31の背面(電子回路非形成面)は、先ず接着剤41を介して支持基板11に接触する。当該第2の半導体素子31の厚さは、第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22に形成された外部接続端子24の高さよりも大きく設定されていることから、当該第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24は支持基板11上の電極端子12に接触しない。そして、更にボンディングツール86を降下することにより、第1の半導体素子21の外部接続端子24を支持基板11上の電極端子12に接触せしめる。
【0194】
これより以降、ボンディングツール86の下降に伴って生ずる押圧力は、第1の半導体素子21、第2の半導体素子31及び接着剤41を介して支持基板11に印可される。
【0195】
即ち、かかる押圧力により、支持基板11は、少なくとも第2の半導体素子31の搭載部及びその周囲が、前記凹部93内へ押圧され、伸長する。
【0196】
また、この時、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツール86は、前述の如く、所定温度に加熱されている。当該ボンディングツール86からの熱は、第1の半導体素子21及び外部接続端子24を介して第2の半導体素子31に伝導され、当該第2の半導体素子31に近接する支持基板11部分は、局所的に加熱される。かかる加熱により、支持基板11に於いては、局所的な熱膨張が発生・進行する。従って、当該支持基板11は、前記押圧力による伸長と共に、局所的な加熱による局所的な熱膨張により、前記凹部70内へ容易に伸長し、撓み始める。
【0197】
本処理方法に於いては、かかる加圧、加熱と共に、ボンディングステージ65の凹部70内を排気処理することにより、支持基板11の伸長、撓みが促進される。
【0198】
即ち、凹部70内を、吸引孔77を介して吸引駆動により排気することにより、凹部70内を減圧することができ、支持基板11に於ける伸長・撓み発生部を吸引することとなり、当該伸長・撓み変形を促進させることができる。また、かかる排気により、凹部70内の空気が減少することから、当該空気の熱膨張によって支持基板11の撓み変形が阻害されることも生じない。
【0199】
一方、支持基板11上に被着されていた接着剤41は、支持基板11と第2の半導体素子31との接触により伝導されたボンディングツール86からの熱により、粘度が低下して流動性が高まり、支持基板11と第1の半導体素子21との間に於いて、当該第1の半導体素子21が支持基板11に対向する領域の全域に押し広げられる。
【0200】
そして、第1の半導体素子21に形成された外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触し、接続されて、第1の半導体素子21の支持基板11に対するフリップチップ実装がなされる。(図16(c)参照)
当該外部接続端子24の電極端子12への接続がなされる迄は、ボンディングツール86に接続された荷重センサにより検出される荷重を維持する。(荷重制御による第2の押圧)
支持基板11に対し第1の半導体素子21の実装がなされると、当該支持基板11はボンディングステージ91の凹部93内に於いて撓んだ形状を保持し、また接着剤41は硬化する。当該接着剤41の接着力及び硬化収縮力により、外部接続端子24を介しての第1の半導体素子21と支持基板11との接続は維持される。
【0201】
次いで、ボンディングツール86の吸引を解除し、当該ボンディングツール86を上昇せしめる(矢印K)。(図16(d)参照)
しかる後、当該支持基板11の他方の主面(裏面)に選択的に設けられた導電層に、半田を主体とする球状電極端子等の外部接続端子13を複数個配設し、前記図1に示す半導体装置100が形成される。この様に、本製造方法に於いては、ボンディングステージ91に配設された凹部93の内部を、吸引孔94を介して排気することにより減圧し、局所的な伸長・撓みが発生・進行する支持基板11を当該凹部93内に引張することにより、撓み変形を効率的に進行させることができる。また、かかる排気により、凹部93内に於ける空気が熱膨張して支持基板11の撓み変形を阻害することが防止される。よって、支持基板11に於いて撓み形状を確実に形成することができる。
【0202】
(半導体装置200の製造方法)
前記本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置200の製造方法について、図17乃至図19を参照して説明する。尚、図17乃至図19に於いては、前記図9乃至図11で示した部位に対応する部位には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0203】
当該半導体装置200の製造にあっては、先ず、第2の半導体素子31を支持基板11にフリップチップ(フェイスダウン)実装する。当該フリップチップ実装にあっては、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、超音波接合法、異方性導電性樹脂を用いた接続法等、種々のフリップチップ実装方法を適用することができる。
【0204】
本製造方法にあっては、第2の半導体素子31を、接着剤43を介在させながら支持基板11に熱圧着し、当該支持基板11にフリップチップ実装する。これを、図17を用いて説明する。
【0205】
当該製造方法に於いては、先ず、支持基板11を、ボンディングステージ71上に、吸着孔81を介しての真空吸引により、その一方の主面(半導体素子搭載面)を表出させて吸着保持する。(図17(a)参照)
当該支持基板11の主面には、導電層の一部が第1の電極端子12として複数個表出され、当該第1の電極端子12により囲繞された領域には、支持基板11の導電層の一部として第2の電極端子14が複数個表出している。
【0206】
更に、当該第2の電極端子14により囲繞された領域には、エポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる第2の接着剤43が被着されている。
【0207】
一方、第2の半導体素子31は、その他方の主面(裏面、電子回路非形成面)が、所定の温度に加熱されたボンディングツール81に、吸着孔82を介して吸着保持されている。
【0208】
当該第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32には、外部接続端子33が配設されている。当該外部接続端子33としては、ワイヤボンディング技術を用いた所謂ボールボンディング法又は電解めっき法により形成される金属バンプ、或いは電解めっき法、転写法、又は印刷法等により形成される半田バンプが適用される。
【0209】
そして、第2の半導体素子31の外部接続端子33と、支持基板11の第2の電極端子14とを対向させ、位置合わせを行う。
【0210】
しかる後、ボンディングツール81を降下せしめ、第2の半導体素子31の外部接続端子33を、支持基板11に於ける第2の電極端子14に押し付け、接触させる。そして当該ボンディングツール81により第2の半導体素子31の外部接続端子33に所定の荷重を印加し、当該外部接続端子33を支持基板11上の第2の電極端子14に接続する。これと同時に、当該ボンディングツール81からの加熱により、前記接着剤43を、第2の半導体素子31の主面(電子回路形成面、支持基板11との対向面)全域に流動せしめ、第2の半導体素子31と支持基板11との間、更には当該の半導体素子31の側面外周部に至らしめる。
【0211】
そして、当該ボンディングツール81からの加熱により、接着剤43を熱硬化せしめる。(図17(b)参照)
これにより、第2の半導体素子31の、支持基板11上へのフリップチップ実装がなされる。
【0212】
しかる後、ボンディングツール81の吸引を解除して、当該ボンディングツール81を上昇させる。(図17(c)参照)
次いで、前記支持基板11に対し、前記第2の半導体素子31に重畳して、第1の半導体素子21をフリップチップ実装する。
【0213】
当該支持基板11上へ、第1の半導体素子21をフリップチップ実装する工程を、図18乃至図19に示す。
【0214】
此処では、当該フリップチップ実装法として、第1の半導体素子21を、第1の接着剤41を介在させつつ支持基板11上に熱圧着する。当該フリップチップ実装法としては、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツールにより加熱及び加圧を行う限り、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、或いは異方性導電性樹脂を用いた接続法等を適用することができる。
【0215】
先ず、ボンディングステージ91上に、吸着孔92を介して、被処理支持基板11を吸着保持する。
【0216】
本発明の実施の形態に於いても、その特徴的構成として、当該ボンディングステージ91の上面には凹部93が選択的に配設されている。
【0217】
当該凹部93は、前記第2の半導体素子31が、支持基板11の一部と共に受容されることが可能な平面形状、寸法、ならびに深さを有する。
【0218】
そして、支持基板11は、前記第2の半導体素子31が凹部93の略中央部に位置するように、ボンディングステージ65上に吸着・保持される。当該支持基板11が搭載されたボンディングステージ65は、50℃乃至100℃に加熱されている。
【0219】
尚、前記凹部93の、底面ならびにこれに続く内側面(側壁面)は、その断面形状が、凹部の底面から上面に至る、且つ当該凹部93の内方に向けて凸状を有する円弧状とされている。この様な円弧状とすることにより、凹部93は上方に開かれた内側面を有することから、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該凹部93の内側面に接しても当該支持基板11の特定部位に応力が集中することを抑制・低減することができ、当該支持基板11に形成されている配線層に損傷を与えることを生じない。
【0220】
また、当該凹部93の底部は平坦であり、その深さは、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該支持基板11の下側表面が、当該凹部93の底面に接することができる深さに設定される。これにより、当該支持基板11の撓み量が制限され、且つ当該支持基板11の下側表面は平坦面をもって形成される。
【0221】
尚、凹部93の内側面(側壁面)の形状は、上記形態に限られず、前記図14に示す形態を適用することもできる。
【0222】
そして、ボンディングステージ91上に吸着・保持された支持基板11の上面に於ける、複数の第1の電極端子12により囲繞された領域には、第2の半導体素子31を覆って、例えばエポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる接着剤41が被着される。(図18(d)参照)
かかる接着剤41の被覆は、前記ボンディングステージ91上に於いて、第2の半導体素子31の支持基板11上へのフリップチップ実装がなされ後に、これに連続して行われても良い。
【0223】
一方、第1の半導体素子21は、その他方の主面(裏面・電子回路非形成面)が、所定の温度(270℃乃至300℃)に加熱されたボンディングツール86に、吸着孔87を介して、吸着・保持される。
【0224】
また、当該第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22には、凸状の外部接続端子24が配設されている。
【0225】
そして、当該第1の半導体素子21の電子回路形成面であって、第1の外部接続用端子パッド22に囲繞された領域には、例えばポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、又はエポキシ系樹脂を主体とする材料から適宜選択された、弾性を有する絶縁層25が配設されている。当該絶縁層25の厚さは、1μm乃至15μmに設定される。
【0226】
次いで、第1の半導体素子21の外部接続端子24と、前記支持基板11の第1の電極端子12とを対向させ、位置合わせを行う。
【0227】
この時、当該第1の半導体素子21は、前記第2の半導体素子21上に位置し、その主面(電子回路形成面)は、第2の半導体素子31の裏面(電子回路非形成面)と対向する。そして、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触するまで、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下せしめる(矢印L)。(図18(e)参照)(位置制御による第1の押圧)
これにより、第1の半導体素子21の外部接続端子24には、ボンディングツール75により所定の荷重が印加され、当該第1の半導体素子21の外部接続端子24は、支持基板11の電極端子12に接続される。この時、同時に、当該第1の半導体素子21は、その表面に配設された絶縁層25を介して第2の半導体素子31の裏面を押圧する。
【0228】
従って、ボンディングツール75の下降に伴う押圧力は、当該第1の半導体素子21、第2の半導体素子31及び接着剤41を介して支持基板11に印可される。
【0229】
即ち、かかる押圧力により、支持基板11は、少なくとも第2の半導体素子31搭載部及びその周囲が、前記ボンディングステージ91に於ける凹部93内へ押圧され、伸長する。
【0230】
また、この時、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツール86は、所定温度に加熱されている。
【0231】
当該ボンディングツール86に於ける熱は、第1の半導体素子21及び第2の半導体素子31を介して、支持基板11に伝導される。従って、支持基板11は局所的に加熱され、局所的な熱膨張が発生・進行し、当該支持基板11は、前記凹部93内に容易に伸長し、撓む。
【0232】
また、更に、支持基板11上に配設されている前記接着剤41は、支持基板11と第2の半導体素子31との接触により伝導されたボンディングツール86からの熱により、粘度が低下し、その流動性が向上する。よって、当該接着剤41は、支持基板11と第1の半導体素子21との間に於いて、第1の半導体素子21の全面領域に押し広げられ、流動し、且つ熱硬化が進行する。
【0233】
尚、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触し、更に当該第1の半導体素子21の支持基板11に対するフリップチップ実装が完了する迄、荷重センサ(図示せず)により検出される荷重を制御する。(図19(f)参照)(荷重制御による第2の押圧)
前述の如く、第1の半導体素子21の電子回路形成面上に配設された絶縁層25は弾性を有する。従って、フリップチップ実装がなされる際、第1の半導体素子21の電子回路形成面に荷重が印可されても、当該電子回路形成面に損傷などが生ずることが防止される。即ち、当該絶縁層25は、第1の半導体素子21が、第2の半導体素子31に重畳して支持基板11上にフリップチップ実装される際、第2の半導体素子31の裏面などから第1の半導体素子21の電子回路形成面に作用する応力を緩和する応力緩和層として機能する。
【0234】
前記支持基板11への第1の半導体素子21の実装がなされると、当該支持基板11に於いてはボンディングステージ91の凹部93に於いて、撓んだ形状を維持した状態をもって、接着剤41は硬化する。かかる接着剤41の接着力及び硬化収縮力により、外部接続端子24を介しての第1の半導体素子31と支持基板11との接続は維持される。
【0235】
次いで、ボンディングツール86の吸引を解除し、当該ボンディングツール86を上昇させる(矢印M)。(図19(g)参照)
しかる後、支持基板11の他方の主面(裏面)に選択的に設けられた導電層に、半田を主体とする球状電極端子等の外部接続端子13を複数個配設し、前記図4に示す半導体装置200が形成される。
【0236】
この様に、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、ボンディングツール86による支持基板11に対する加圧が、凹部93を具備して当該支持基板11を支持するボンディングステージ91上に於いて、当該支持基板11に対しフリップチップ実装される第1の半導体素子21、ならびに同様に支持基板11に対してフリップチップ実装された第2の半導体素子31を介して行われる。これにより、当該支持基板11は、前記凹部93上に於いて局所的に加圧される。また、当該支持基板11は、ボンディングツール86から第1の半導体素子21ならびに第2の半導体素子31を介して伝導される熱により局所的に加熱される。
【0237】
この結果、当該支持基板11は、ボンディングステージ91の凹部93内に於いて、伸長し、撓みを生じる。即ち、かかる局所的加圧ならびに加熱によって生ずる支持基板11の局所的な伸長及び撓みによって、当該支持基板11には、第2の半導体素子31を受容することが可能な凹部Sが形成される。かかる凹部Sは、第2の半導体素子31をその厚さ方向に受容することから、当該支持基板11上に第2の半導体素子31を含む二つの半導体素子が積層状態をもって配置される状態であっても、実質的に第2の半導体素子31の全厚さに相当する厚さ(高さ)の増加がもたらされない。
【0238】
即ち、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、第1の半導体素子21及び第2の半導体素子31という複数の半導体素子を具備し、且つ薄型化及び小型化が要求される半導体装置を、簡易な工程で製造することができ、製造コスト化の低下を図ることができる。
【0239】
更に、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下せしめ第1の半導体素子21に配設された外部接続端子24を、支持基板11上の第1の電極端子12に接触させ、その後、当該ボンディングツール86の荷重を制御して外部接続端子24に荷重を付与する。この様な加圧・荷重の印可により、当該外部接続端子24は支持基板11の第1の電極端子12に確実に接続され、接続信頼性の高い実装構造を得ることができる。
【0240】
尚、支持基板11に対する第2の半導体素子31のフリップチップ実装の完了後、ポストキュア処理を施して、第2の半導体素子31と支持基板11との間に配設された接着剤43の硬化を行ってもよい。
【0241】
また、本製造方法に於いても、ボンディングステージ91に配設された凹部93の底部に、吸引機構に接続された吸引孔94を配設し、当該凹部93内を排気して減圧しつつ、支持基板11上に第1の半導体素子21をフリップチップ実装することができる。
【0242】
(半導体装置300の製造方法)
前記本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置300の製造方法について、図20乃至図22を参照して説明する。尚、図20乃至図22に於いては、前記図9乃至図11で示した部位に対応する部位には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0243】
当該半導体装置300の製造にあたっては、予め支持基板11上の第2の電極端子15に、受動部品51を接続する。かかる実装工程を図20に示す。
【0244】
即ち、その一方の主面に、導電層の一部が第1の電極端子12として複数個配設され、当該第1の電極端子12により囲繞された領域に、第2の電極端子15が複数個配設された支持基板11が形成される。(図20(a)参照)
そして、当該第の電極端子15には、例えば銀(Ag)ペースト樹脂を、メタルマスクを用いた印刷法により被着することにより導電部材52を配設する。(図20(b)参照)
当該銀(Ag)ペースト樹脂の被着は、当該銀(Ag)ペースト樹脂をノズルから吐出させる方法を適用してもよい。尚、当該導電部材52としては、銀(Ag)ペースト樹脂の他、エポキシ系樹脂又はシリコン系樹脂等に、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、若しくはカーボンブラック等の導電性微粒子を含有させた導電性接着剤、又は錫(Sn)−銀(Ag)半田若しくは錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)半田等の半田を適用することもできる。
【0245】
次いで、所謂チップマウンター等を用い、所望の受動部品51を、前記導電部材52を介して、支持基板11上の第2の電極端子15に実装・固着する。(図20(c)参照)
当該受動部品51は、板状又は柱状を呈する所謂チップ部品であり、バイパスコンデンサとして機能する容量素子、ノイズフィルタとして機能するインダクタ素子、或いは抵抗素子などであって、半導体素子21の回路構成、機能に対応して選択される。当該受動部品51は、絶縁性の素体部51a及び当該素体部51aの両端或いは一主面上に設けられた複数個の電極端子51bを具備する。
【0246】
即ち、当該受動部品51の電極端子51bと支持基板11の第2の電極端子15は、導電部材52を介して電気的・機械的に接続される。
【0247】
しかる後、オーブン等による加熱又は紫外線の照射等により、前記導電部材52を硬化せしめ、支持基板11への受動素子部品51の実装がなされる。(図20(d)参照)
本製造方法にあっては、この様に受動部品51が実装された支持基板11上に、半導体素子21をフリップチップ実装する。
【0248】
当該半導体素子21を、支持基板11上にフリップチップ実装する工程を図21及び図22に示す。
【0249】
此処では、当該フリップチップ実装法として、半導体素子21を、第1の接着剤41を介在させつつ支持基板11上に熱圧着する方法を用いる。当該フリップチップ実装法としては、半導体素子21を吸着保持するボンディングツールにより加熱及び加圧を行う限り、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、或いは異方性導電性樹脂を用いた接続法等を適用することができる。
【0250】
先ず、ボンディングステージ91上に、吸着孔92を介して、被処理支持基板11を吸着保持する。
【0251】
本発明の実施の形態に於ける特徴的構成として、当該ボンディングステージ91の上面には凹部93が配設されている。当該凹部93は、前記受動部品51が、支持基板11の一部と共に受容されることが可能な平面形状、寸法、ならびに深さを有する。
【0252】
前記支持基板11は、受動部品51が当該凹部93の略中央部に位置するように、ボンディングステージ65上に吸着・保持される。当該支持基板11が搭載されたボンディングステージ65は、50℃乃至100℃に加熱されている。
【0253】
尚、前記凹部93の、底面ならびにこれに続く内側面(側壁面)は、その断面形状が、凹部の底面から上面に至る、且つ当該凹部93の内方に向けて凸状を有する円弧状とされている。この様な円弧状とすることにより、凹部93は上方に開かれた内側面を有することから、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該凹部93の内側面に接しても当該支持基板11の特定部位に応力が集中することを抑制・低減することができ、当該支持基板11に形成されている配線層に損傷を与えることを生じない。
【0254】
また、当該凹部93の底部は平坦であり、その深さは、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該支持基板11の下側表面が、当該凹部93の底面に接することができる深さに設定される。これにより、当該支持基板11の撓み量が制限され、且つ当該支持基板11の下側表面は平坦面をもって形成される。
【0255】
尚、凹部93の内側面(側壁面)の形状は、上記形態に限られず、前記図14に示す形態を適用することもできる。
【0256】
そして、ボンディングステージ91上に吸着・保持された支持基板11の上面に於いて、複数の第1の電極端子12により囲繞された領域に於いては、受動部品51を覆って、例えばエポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる第1の接着剤41が被着される。(図21(e)参照)
かかる第1の接着剤41の被覆は、前記ボンディングステージ91上に於いて、受動部品51の支持基板11上への実装がなされ後に、これに連続して行われても良い。
【0257】
一方、前記半導体素子21は、その他方の主面(裏面・電子回路非形成面)が、所定の温度(270℃乃至300℃)に加熱されたボンディングツール86に、吸着孔87を介して吸着・保持される。
【0258】
尚、当該半導体素子21の外部接続用端子パッド22には、凸状の外部接続端子24が配設されている。
【0259】
そして、当該半導体素子21の電子回路形成面であって、外部接続用端子パッド22に囲繞された領域には、例えばポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、又はエポキシ系樹脂を主体とする材料から適宜選択された、弾性を有する絶縁層25が配設されている。当該絶縁層25の厚さは、1μm乃至15μmに設定される。
【0260】
次いで、当該半導体素子21の外部接続端子24と、前記支持基板11の第1の電極端子15とを対向させ、位置合わせを行う。
【0261】
この時、半導体素子21は、前記受動部品51上に位置し、その主面(電子回路形成面)は、受動部品51と対向する。そして、当該半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触するまで、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下せしめる(矢印N)。(図21(f)参照)(位置制御による第1の押圧)
これにより、半導体素子21の外部接続端子24には、ボンディングツール86により所定の荷重が印加され、当該半導体素子21の外部接続端子24は支持基板11の電極端子12に接続される。この時、同時に、当該半導体素子21は、その表面に配設された絶縁層25を介して前記受動部品51を押圧する。
【0262】
従って、ボンディングツール86の下降に伴う押圧力は、当該半導体素子21、受動部品51及び第1の接着剤41を介して支持基板11に印可される。
【0263】
即ち、かかる押圧力により、支持基板11は、少なくとも受動部品51搭載部及びその周囲が、前記ボンディングステージ91に於ける凹部93内へ押圧され、伸長する。
【0264】
また、この時、ボンディングツール86は、所定温度に加熱されている。
【0265】
当該ボンディングツール86に於ける熱は、半導体素子21及び受動部品51を介して、支持基板11に伝導される。従って、支持基板11は局所的に加熱され、局所的な熱膨張が発生・進行し、当該支持基板11は前記凹部93内に容易に伸長し、撓む。
【0266】
一方、前記支持基板11上に配設されている接着剤41は、当該支持基板11と半導体素子21との接触により伝導されたボンディングツール86からの熱により、粘度が低下し、その流動性が高まる。この為、当該接着剤41は、支持基板11と半導体素子21との間に於いて、当該半導体素子21の支持基板11への対向面全域に押し広げられ、且つ熱硬化が進行する。
【0267】
尚、半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触し、更に当該半導体素子21の支持基板11に対するフリップチップ実装が完了する迄、荷重センサ(図示せず)により検出される荷重を制御する。(図22(g)参照)(荷重制御による第2の押圧)
前述の如く、半導体素子21の電子回路形成面上に配設された絶縁層25は弾性を有する。従って、フリップチップ実装がなされる際、当該半導体素子21の電子回路形成面に荷重が印可されても、当該電子回路形成面に損傷などが生ずることが防止される。即ち、当該絶縁層25は、半導体素子21が、受動部品51に重畳して支持基板11上にフリップチップ実装される際、受動部品51などから半導体素子21の電子回路形成面に作用する応力を緩和する応力緩和層として機能する。
【0268】
前記支持基板11への半導体素子21の実装がなされると、当該支持基板11に於いてはボンディングステージ91の凹部93に於いて、撓んだ形状を維持した状態をもって、接着剤41は硬化する。かかる接着剤41の接着力及び硬化収縮力により、外部接続端子24を介した半導体素子21と支持基板11との接続は維持される。
【0269】
次いで、ボンディングツール86の吸引を解除し、当該ボンディングツール86を上昇させる(矢印O)。(図22(h)参照)
しかる後、支持基板11の他方の主面(裏面)に選択的に設けられた導電層に、半田を主体とする球状電極端子等の外部接続端子13を複数個配設し、前記図7に示す半導体装置300が形成される。
【0270】
この様に、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、ボンディングツール86による支持基板11に対する加圧が、凹部93を具備して当該支持基板11を支持するボンディングステージ91上に於いて、当該支持基板11に対しフリップチップ実装される半導体素子21ならびに当該支持基板11に実装された受動部品51を介して行われる。これにより、当該支持基板11は、前記凹部93上に於いて局所的に加圧される。また、当該支持基板11は、ボンディングツール86から半導体素子21ならびに受動部品41を介して伝導される熱により局所的に加熱される。
【0271】
この結果、当該支持基板11は、ボンディングステージ91の凹部93内に於いて伸長し、撓みを生じる。即ち、かかる局所的加圧ならびに加熱によって生ずる支持基板11の局所的な伸長及び撓みによって、当該支持基板11には、受動部品51を受容することが可能な凹部Sが形成される。かかる凹部Sは、受動部品51をその厚さ方向に受容することから、当該支持基板11上に受動部品51ならびに半導体素子21が積層状態をもって配置される状態であっても、実質的に受動部品51の全厚さに相当する厚さ(高さ)の増加がもたらされない。
【0272】
即ち、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、半導体素子21及び受動部品51という複数の電子部品を具備し、且つ薄型化及び小型化が要求される半導体装置を、簡易な工程で製造することができ、製造コスト化の低下を図ることができる。
【0273】
更に、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下して半導体素子21に形成された外部接続端子24を、支持基板11の第1の電極端子12に接触させ、その後、ボンディングツール86の荷重を制御して外部接続端子24に荷重を付与しているため、該荷重により確実に支持基板11の第1の電極端子12に接続することができる。よって、接続信頼性の高い実装構造を得ることができる。
【0274】
尚、本製造方法に於いても、ボンディングステージ91に配設された凹部93の底面に吸引機構に接続された吸引孔94を配設し、当該凹部93内を排気して減圧しつつ、支持基板11上に半導体素子21をフリップチップ実装することができる。
【0275】
(半導体装置400の製造方法)
前記本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置400の製造方法について、図23乃至図25を参照して説明する。尚、図23乃至図25に於いても、前記図9乃至図11で示した部位と対応する部位には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0276】
当該半導体装置400の製造にあたっては、予め、支持基板11上に第2の半導体素子31を所謂フェイスアップ状態をもって搭載し、更に当該第2の半導体素子31を樹脂封止する。かかる実装・封止工程を図23に示す。
【0277】
即ち、その一方の主面に、導電層の一部が第1の電極端子12として複数個表出され、当該第1の電極端子12により囲繞された領域に、第4の電極端子16が複数個表出して配設された支持基板11が形成される。(図23(a)参照)
次いで、当該支持基板11上の、前記第4の電極端子16により囲繞された領域に、ダイボンド材61を介して、第2の半導体素子31をその主面(電子回路形成面)を上にして実装・固着する。(図23(b)参照)
当該第2の半導体素子31の主面には、電子回路形成部を囲繞する如く、外部接続用端子パッド32が配設されている。この時、当該第2の半導体素子31の固着(ダイボンディング)には所謂ダイボンダが用いられ、またダイボンド材61としては、ポリイミド系樹脂又はエポキシ系樹脂等を主体とする材料が適用される。
【0278】
次いで、第2の半導体素子31の回路形成面に形成された外部接続用端子パッド32と、支持基板11に於ける前記第4の電極端子16との間を、金(Au)、銅(Cu)等の金属を主体とするボンディングワイヤ34により接続する。(図23(c)参照)
尚、前記第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32の表面には、予め、例えば下層から順に、ニッケル(Ni)/金(Au)の2層めっき層を、無電解めっき法等により配設しておいてもよい。
【0279】
しかる後、トランスファ成形法若しくは圧縮成形法等の樹脂モールド成形法、或いはポッティング法などを適用し、封止用樹脂62を用いて、第2の半導体素子31、ボンディングワイヤ34及び第4の電極端子16を樹脂封止する。(図23(d)参照)
封止用樹脂62としては、例えばエポキシ系樹脂を主体とする材料を適用することができる。
【0280】
本製造方法にあっては、この様に第2の半導体素子31が所謂フェイスアップの状態で実装され、更に当該第2の半導体素子31がボンディングワイヤ62などと共に樹脂封止されてなる支持基板11上に、第1の半導体素子21をフリップチップ実装する。
【0281】
当該第1の半導体素子21を支持基板11上にフリップチップ実装する工程を、図24及び図25に示す。
【0282】
此処では、当該フリップチップ実装法として、第1の半導体素子21を、第1の接着剤41を介在させつつ支持基板11上に熱圧着する方法を用いる。当該フリップチップ実装法としては、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツールにより加熱及び加圧を行う限り、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、或いは異方性導電性樹脂を用いた接続法等を適用することができる。
【0283】
先ず、ボンディングステージ91上に、吸着孔92を介して、被処理支持基板11を吸着保持する。
【0284】
本発明の実施の形態に於ける特徴的構成として、当該ボンディングステージ91の上面には凹部93が配設されている。当該凹部93は、前述の如く樹脂封止された第2の半導体素子31が、支持基板11の一部と共に受容されることが可能な平面形状、寸法、ならびに深さを有する。
【0285】
前記支持基板11は、樹脂封止された第2の半導体素子31が当該凹部93の略中央部に位置するように、ボンディングステージ91上に吸着・保持される。当該支持基板11が搭載されたボンディングステージ91は、50℃乃至100℃に加熱されている。
【0286】
尚、前記凹部93の、底面ならびにこれに続く内側面(側壁面)は、その断面形状が、凹部の底面から上面に至る、且つ当該凹部93の内方に向けて凸状を有する円弧状断面を有する。この様な円弧状断面を呈することにより、凹部93は上方に開かれた内側面を有することから、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該凹部93の内側面に接しても当該支持基板11の特定部位に応力が集中することを抑制・低減することができ、当該支持基板11に形成されている配線層に損傷を与えることを生じない。
【0287】
また、当該凹部93の底部は平坦であり、その深さは、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該支持基板11の下側表面が、当該凹部93の底面に接することができる深さに設定される。これにより、当該支持基板11の撓み量が制限され、且つ当該支持基板11の下側表面は平坦面をもって形成される。
【0288】
尚、凹部93の内側面(側壁面)の形状は、上記形態に限られず、前記図14に示す形態を適用することもできる。
【0289】
そして、ボンディングステージ91上に吸着・保持された支持基板11の上面に於いて、複数の第1の電極端子12により囲繞された領域に於いては、樹脂封止された第2の半導体素子31を覆って、例えばエポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる第1の接着剤41が被覆される。(図24(e)参照)
かかる第1の接着剤41の被覆は、前記ボンディングステージ91上に於いて、第2の半導体素子31を含む樹脂封止部の形成がなされ後に、これに連続して行われても良い。
【0290】
一方、第1の半導体素子21は、その他方の主面(裏面・電子回路非形成面)が、所定の温度(270℃乃至300℃)に加熱されたボンディングツール86に、吸着孔87を介して吸着・保持される。
【0291】
尚、当該第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22には、凸状の外部接続端子24が配設されている。
【0292】
そして、当該第1の半導体素子21の電子回路形成面であって、第1の外部接続用端子パッド22に囲繞された領域には、例えばポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、又はエポキシ系樹脂を主体とする材料から適宜選択された、弾性を有する絶縁層25が配設されている。当該絶縁層25の厚さは、1μm乃至15μmに設定される。
【0293】
次いで、第1の半導体素子21の外部接続端子24と、前記支持基板11の第1の電極端子12とを対向させ、位置合わせを行う。
【0294】
この時、当該第1の半導体素子21は、前記第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62上に位置し、その主面(電子回路形成面)は、当該封止樹脂62と対向する。そして、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触するまで、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下せしめる(矢印P)。(図24(f)参照)(位置制御による第1の押圧)
これにより、第1の半導体素子21の外部接続端子24には、ボンディングツール86により所定の荷重が印加され、当該第1の半導体素子21の外部接続端子24は支持基板11の電極端子12に接続される。この時、同時に、当該第1の半導体素子21は、その表面に配設された絶縁層25を介して前記第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62を押圧する。
【0295】
従って、ボンディングツール75の下降に伴う押圧力は、当該第1の半導体素子21、第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62、第2の半導体素子31及び第1の接着剤41を介して、支持基板11に印可される。
【0296】
即ち、かかる押圧力により、支持基板11は、少なくとも第2の半導体素子31の直下、当該半導体素子31を覆う封止樹脂62の直下及びその周囲が、前記ボンディングステージ91に於ける凹部93内へ押圧され、伸長する。
【0297】
また、この時、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツール86は、所定温度に加熱されている。
【0298】
当該ボンディングツール86に於ける熱は、第1の半導体素子21、第2の半導体素子31ならびに当該第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62を介して、支持基板11に伝導される。従って、支持基板11は局所的に加熱され、局所的な熱膨張が発生・進行し、当該支持基板11は、ボンディングステージ91に於ける凹部93内に容易に伸長し、撓む。
【0299】
また、更に、支持基板11上に配設されている第1の接着剤41は、支持基板11と第2の半導体素子31を含む樹脂封止部との接触により伝導されたボンディングツール86からの熱により、粘度が低下し、その流動性が向上する。よって、当該第1の接着剤41は、支持基板11と第1の半導体素子21との間に於いて、第1の半導体素子21の支持基板11への対向面全域に押し広げられ流動し、且つ熱硬化が進行する。
【0300】
尚、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触し、更に当該第1の半導体素子21の支持基板11に対するフリップチップ実装が完了する迄、荷重センサ(図示せず)により検出される荷重を制御する。(図25(g)参照)(荷重制御による第2の押圧)
前述の如く、第1の半導体素子21の電子回路形成面上に配設された絶縁層25は弾性を有する。従って、フリップチップ実装がなされる際、第1の半導体素子21の電子回路形成面に荷重が印可されても、当該電子回路形成面に損傷などが生ずることが防止される。即ち、当該絶縁層25は、第1の半導体素子21が、第2の半導体素子31を含む樹脂封止部に重畳して支持基板11上にフリップチップ実装される際、第2の半導体素子31を含む樹脂封止部などから第1の半導体素子21の電子回路形成面に作用する応力を緩和する応力緩和層として機能する。
【0301】
前記支持基板11への第1の半導体素子21の実装がなされると、当該支持基板11に於いてはボンディングステージ91の凹部93に於いて、撓んだ形状を維持した状態をもって、第1の接着剤41が硬化する。かかる第1の接着剤41の接着力及び硬化収縮力により、外部接続端子24を介した第1の半導体素子21と支持基板11との接続は維持される。
【0302】
次いで、ボンディングツール86の吸引を解除し、ボンディングツール75を上昇させる(矢印Q)。(図25(h)参照)
しかる後、支持基板11の他方の主面(裏面)に選択的に設けられた導電層に、半田を主体とする球状電極端子等の外部接続端子13を複数個配設し、前記図8に示す半導体装置400が形成される。
【0303】
この様に、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、ボンディングツール86による支持基板11に対する加圧が、凹部93を具備して当該支持基板11を支持するボンディングステージ91上に於いて、当該支持基板11に対しフリップチップ実装される第1の半導体素子21、当該支持基板11にフェイスアップ状態をもって実装された第2の半導体素子31ならびに当該第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62を介して行われる。これにより、当該支持基板11は、前記凹部93上に於いて局所的に加圧される。
【0304】
また、当該支持基板11は、ボンディングツール86から第1の半導体素子21、第2の半導体素子31ならびに当該第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62を介して伝導される熱により局所的に加熱される。この結果、当該支持基板11は、ボンディングステージ91の凹部93内に於いて局所的に伸長し、撓みを生じる。
【0305】
即ち、かかる局所的加圧ならびに加熱によって生ずる支持基板11の局所的な伸長及び撓みによって、当該支持基板11には、前記第2の半導体素子31を含む樹脂封止部を受容することが可能な凹部Sが形成される。かかる凹部Sは、第2の半導体素子31ならびに当該第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62をその厚さ方向に受容することから、当該支持基板11上に第2の半導体素子31、当該第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62ならびに第1の半導体素子21が積層状態をもって配置される状態であっても、実質的に第2の半導体素子31ならびに第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62の全厚さに相当する厚さ(高さ)の増加がもたらされない。
【0306】
即ち、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、第1の半導体素子21及び第2の半導体素子31という複数の半導体素子を具備し、且つ薄型化及び小形化が要求される半導体装置を、簡易な工程で製造することができ、製造コスト化の低下を図ることができる。
【0307】
更に、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下して第1の半導体素子21に形成された外部接続端子24を、支持基板11の第1の電極端子12に接触させ、その後、ボンディングツール86の荷重を制御して外部接続端子24に荷重を付与しているため、該荷重により確実に支持基板11の第1の電極端子12に接続することができる。よって、接続信頼性の高い実装構造を得ることができる。
【0308】
尚、本製造方法に於いても、ボンディングステージ91に配設された凹部93の底面に吸引機構に接続された吸引孔94を配設し、当該凹部93内を排気して減圧しつつ、支持基板11上に第1の半導体素子21をフリップチップ実装することができる。
【0309】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内に於いて、種々の変形及び変更が可能である。
【0310】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
支持基板と、
前記支持基板の一方の主面に搭載された第1の半導体素子と、
前記支持基板と前記第1の半導体素子との間に配置された電子部品と、
を具備し、
前記支持基板は、前記第1の半導体素子から離間する方向に変形して形成される凹部を有し、
前記電子部品は、その厚さの少なくとも一部が前記凹部に収容されて搭載されてなることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記支持基板は、前記第1の半導体素子とは反対側に撓んでおり、
前記凹部は、前記支持基板に撓みにより形成されていることを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記支持基板の前記凹部が形成される部分は、前記支持基板の他の部分と同じ厚さを有することを特徴とする付記1又は2記載の半導体装置。
(付記4)
前記凹部は、前記第1の半導体素子の前記支持基板への対向面よりも小さいことを特徴とする付記1乃至3のいずれか記載の半導体装置。
(付記5)
前記電子部品は、前記第1の半導体素子とは別体の第2の半導体素子であることを特徴とする付記1乃至4のいずれか記載の半導体装置。
(付記6)
前記第1の半導体素子は、外部接続端子を介して前記支持基板にフリップチップ実装され、
前記電子部品の厚さは、前記外部接続端子の高さよりも大きいことを特徴とする付記1乃至5いずれか記載の半導体装置。
(付記7)
前記第1の半導体素子と前記電子部品との間隙に、弾性を有する絶縁層が設けられていることを特徴とする付記6記載の半導体装置。
(付記8)
前記電子部品は、前記支持基板上に実装され、前記支持基板にワイヤボンディング接続され、樹脂封止されていることを特徴とする付記1乃至7いずれか記載の半導体装置。
(付記9)
前記支持基板と前記第1の半導体素子との前記間隙に接着剤が設けられ、前記支持基板と前記第1の半導体素子とは固着されていることを特徴とする付記1乃至9いずれか記載の半導体装置。
(付記10)
前記支持基板は、加熱により膨張するとともに可撓性を有することを特徴とする付記1乃至10いずれか記載の半導体装置。
(付記11)
支持基板の一方の主面に対して、電子部品を、第1の半導体素子を介して押圧し、前記支持基板を前記第1の半導体素子から離間する方向に変形させ、かかる変形により前記支持基板に形成された凹部に前記電子部品の少なくとも一部を収容せしめる工程を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記電子部品を前記支持基板に押圧するときに、前記支持基板を加熱することを特徴とする付記11記載の半導体装置の製造方法。
(付記13)
前記支持基板の一方の主面に前記第1の半導体素子を搭載する工程を具備することを特徴とする付記11又は12記載の半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記電子部品は、前記第1の半導体素子とは別体の第2の半導体素子であることを特徴とする付記11乃至13いずれか記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記支持基板は、上部に凹部が形成されたステージ上に搭載され、
前記支持基板は、局所的に加熱されると該凹部内に撓むことを特徴とする付記11記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)
前記ステージに形成された前記凹部の外周部分を画定する端部の断面は、上拡がり状の形状を有することを特徴とする付記15記載の半導体装置の製造方法。
(付記17)
前記ステージに形成された前記凹部は、前記支持基板が撓んだときに、前記支持基板の当該撓んだ箇所の下面が当該凹部の底面に接触することができる深さを有することを特徴とする付記15又は16記載の半導体装置の製造方法。
(付記18)
前記第1の半導体素子は、前記第1の半導体素子を吸着保持する治具により加熱され、
前記第1の半導体素子の熱は、前記第1の半導体素子に設けられ前記支持基板と前記第1の半導体素子とを接続する外部接続端子と前記電子部品とを介して、前記支持基板に伝導されることを特徴とする付記11乃至17いずれか記載の半導体装置の製造方法。
(付記19)
前記支持基板は、前記支持基板のガラス転移温度以上の温度に局所的に加熱されることを特徴とする付記11乃至18いずれか記載の半導体装置の製造方法。
(付記20)
支持基板と第1の半導体素子との間に第2の半導体素子を配置する工程と、
前記支持基板を加熱した状態で、前記第2の半導体素子を、前記第1の半導体素子を介して前記支持基板に押圧して、前記支持基板を局所的に撓ませる工程と、
前記支持基板を撓ませた状態で、前記支持基板に前記第1の半導体素子を固着する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0311】
100、200、300、400 半導体装置
11 支持基板
21,31 半導体素子
14、23 外部接続端子
24、25、33 接着剤
32 絶縁層
41 受動素子部品
51 ボンディングワイヤ
52 封止樹脂
60、65 ボンディングステージ
62、75 ボンディングツール
S 凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に複数の半導体素子、或いは半導体素子と受動素子等の電子部品とを重畳させて支持基板上に実装してなる半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高機能化ならびに小型化に伴い、当該電子機器に搭載される半導体集積回路装置等の半導体装置に対しても、高機能化、高速動作化と共に、より小形化、薄形化ならびに軽量化が求められている。
【0003】
この為、例えばガラスエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂を基材とし、その一方の主面及び/或いは内部に銅(Cu)等からなる導電層が選択的に配設された印刷配線基板を用い、前記導電層に、半導体集積回路素子(以下、半導体素子と称する)をその主面に配設された凸状(突起状)の外部接続端子を用い、所謂フリップチップ(フェイスダウン)状態をもって接続し、また前記印刷配線基板の他方の主面に形成された電極に球状電極端子等の外部接続端子を配設してなる半導体装置が提案されている。
【0004】
また、配線基板上に、半導体素子等の電子部品を複数個積層して配設する形態も提案されている。
【0005】
更に、機能の異なる複数の半導体素子を、それぞれの外部接続端子を介して直接に相互接続する所謂チップオンチップ(COC:Chip On Chip)構造も提案されている。
【0006】
一方、半導体素子が収容されたパッケージ(容器)の厚さを減ずるために、印刷配線基板に選択的に開口部を貫通形成し、当該開口部内に、シリコン(Si)或いはセラミックなどからなる基板にフリップチップ実装されたチップを収容し、開口部から突出した前記チップを被覆するカップ状カバーを設けてなる半導体装置が提案されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−250653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に記載された態様では、印刷配線基板に対し、チップに対応した開口部を貫通形成している。このため、当該印刷配線基板の製造コストが増加し、また、当該印刷配線基板に於ける内部配線の配置に制約を生じて、設計の自由度の低下を招いてしまう。
【0009】
配線の自由度を高める為に配線層数を増加させると、製造コストが増加し、更に、印刷配線基板の厚さも増加して、印刷配線基板のサイズが大形化してしまう。このため、半導体装置として大形化を招き、小形化、薄形化の要求に対応することができない。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、配線基板などの支持基板上に、複数個の半導体素子或いは半導体素子と電子部品が互いに重畳する状態をもって配置されるも、薄形化、小形化が可能であり、且つその製造コストの増加を招くことの無い半導体装置構造、ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施の形態の一観点によれば、支持基板と、前記支持基板の一方の主面に搭載された第1の半導体素子と、前記支持基板と前記第1の半導体素子との間に配置された電子部品と、を具備し、前記支持基板は、前記第1の半導体素子から離間する方向に変形して形成される凹部を有し、前記電子部品は、その厚さの少なくとも一部が前記凹部に収容されて搭載されてなることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0012】
本発明の実施の形態の別の観点によれば、支持基板の一方の主面に対して、電子部品を、第1の半導体素子を介して押圧し、前記支持基板を前記第1の半導体素子から離間する方向に変形させ、かかる変形により前記支持基板に形成された凹部に前記電子部品の少なくとも一部を収容せしめる工程を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の実施の形態の別の観点によれば、支持基板と第1の半導体素子との間に第2の半導体素子を配置する工程と、前記支持基板を加熱した状態で、前記第2の半導体素子を、前記第1の半導体素子を介して前記支持基板に押圧して、前記支持基板を局所的に撓ませる工程と、前記支持基板を撓ませた状態で、前記支持基板に前記第1の半導体素子を固着する工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の半導体素子或いは半導体素子と受動素子など、複数の機能素子を具備するも、薄形化、小形化がなされた半導体装置、及び当該半導体装置を低い製造コストをもって製造することができる製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2】図1に示す第1の半導体素子の回路形成面を示す図である。
【図3】図2に示す第1の半導体素子の回路形成面の変形例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図5】図4に示す第1の半導体素子の回路形成面を示す図である。
【図6】図5に示す第1の半導体素子の回路形成面の変形例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図12】ボンディングツールの高さ位置及びボンディングツールの荷重の時間経過を示すグラフである。
【図13】図10(a)に於いて点線Aで囲まれた部分の拡大図である。
【図14】ボンディングステージに形成された凹部の変形例を示す図である。
【図15】図10及び図11に示す工程の変形例を示す図(その1)である。
【図16】図10及び図11に示す工程の変形例を示す図(その2)である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図21】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図22】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図23】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図24】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図25】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
先ず、本発明の実施の形態に係る半導体装置の構造について説明し、次いで、当該半導体装置の製造方法について説明する。
【0018】
[半導体装置]
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置100の構成を、図1に示す。
【0019】
当該半導体装置100にあっては、支持基板11の一方の主面(上面)上に、第1の半導体集積回路素子(以下、第1の半導体素子と称する)21が、所謂フリップチップ(フェイスダウン)方式をもって搭載されている。
【0020】
当該支持基板11にあっては、前記第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)と対向する領域が、選択的に、当該第1の半導体素子21から離間する方向に遠ざけられており、当該第1の半導体素子21と支持基板11との間隙が鉛直方向、即ち当該第1の半導体素子21の主面に垂直な方向に拡大された領域(以下、当該箇所を「凹部S」と称する)が設けられている。当該凹部Sは、支持基板11の略中央部に位置して設けられている。
【0021】
そして、当該凹部S内には、前記第1の半導体素子21に対し、フリップチップ方式をもって実装・固着された第2の半導体集積回路素子(以下、第2の半導体素子と称する)31が受容されている。
【0022】
前記支持基板11は、配線基板、インターポーザー或いは回路基板とも称され、ガラスエポキシ樹脂、ガラス−BT(ビスマレイミドトリアジン)、或いはポリイミド等の有機材絶縁性樹脂等を基材とし、その表面及び/或いは内部に銅(Cu)等からなる配線層が表層配線構造或いは多層配線構造をもって配設されている。
【0023】
当該支持基板11は、加熱により膨張すると共に可撓性を生ずるものであれば、常温に於いても可撓性を有するフレキシブル(FPC:Flexible Printed Circuit)基板の他、所謂リジッド基板であってもよく、例えば厚さが約0.3mmの4層配線構造を有するガラスエポキシ基板を適用することができる。
【0024】
前述の如く、当該支持基板11は、その略中央部に於いて、厚さが他の部分と略同一であり、且つ前記第1の半導体素子21の被搭載面とは反対方向に突出して、その平面形状が略矩形形状(図示せず)を有する凹部Sが配設されている。
【0025】
当該凹部Sは、後述する如く、支持基板11自体の変形(撓み)により形成され、半導体素子或いは受動素子などの機能素子を受容する。
【0026】
また、当該支持基板11に於いて、前記第1の半導体素子21が搭載される主面上には、前記配線層に接続された導電層(図示せず)が選択的に配設され、当該導電層を選択的に覆って、即ち、第1の半導体素子21の外部接続端子が接続される部位及びその周囲を除いて、ソルダーレジスト層(絶縁樹脂膜)が選択的に被覆されている(図示せず)。当該ソルダーレジスト層に設けられた開口部に於いて、導電層の一部が電極端子12として表出して配置されている。
【0027】
前記凹部Sは、かかる電極端子12の配置される箇所よりも内側、即ち当該電極端子12により囲繞或いは挟まれる領域に対応して配設され、当該凹部Sの上部開口幅W1は、対向する電極端子12相互間の距離WSよりも小とされている。
【0028】
一方、当該凹部Sの下部(底部)に於ける開口幅W2は、当該凹部Sに受容される第2の半導体素子31の外形寸法よりも大きなものとされている。
【0029】
また、当該凹部Sの深さDS1は、前記第1の半導体素子21の外部接続端子24の高さ及び電極端子12の厚さと協働して、少なくとも当該凹部S内に受容される第2の半導体素子31の有する厚さ、及び当該第2の半導体素子31と第1の半導体素子21との間に於いて、当該第2の半導体素子31と第1の半導体素子21とを接続する電極33の高さを吸収することができる深さである。
【0030】
従って、第1の半導体素子21の外部接続端子24の高さ及び電極端子12の厚さの合計値は、当該凹部S内に受容される第2の半導体素子31の有する厚さ及び当該第2の半導体素子31と第1の半導体素子21間に配設される電極33の高さの合計値よりも小さい。
【0031】
尚、前記支持基板11上の電極端子12の表面には、必要に応じて、電解めっき法或いは無電解めっき法により、下層から順に、ニッケル(Ni)/金(Au)の二層めっき層、又は銅(Cu)/ニッケル(Ni)/金(Au)の三層めっき層が被覆される。当該めっき層に代えて、錫(Sn)または錫(Sn)合金等の半田被覆を適用してもよい。
【0032】
また、前記支持基板11の他方の主面(裏面)には、選択的に複数個の導電層が配設され、当該導電層(図示せず)には、半田を主体とする球状電極端子からなる外部接続端子13が配設されている。
【0033】
当該外部接続端子13の高さHは、前記凹部Sに対応して形成された支持基板11の下側表面USの位置(高さh)を越える値(H>h)を有する。
【0034】
前記第1の半導体素子21ならびに第2の半導体素子31は、それぞれシリコン(Si)等の半導体、或いはガリウム砒素(GaAs)等の化合物半導体からなる半導体基板に対して周知の半導体製造プロセス(所謂ウエハープロセス)が適用されて、その一方の主面に電子回路部が形成されている。尚、ここでは、当該電子回路部を構成するトランジスタ等の能動素子及び/或いは容量素子等の受動素子、ならびにこれらの機能素子相互間或いは当該機能素子と電極端子との間を接続する多層配線層及び/或いは再配線層等の図示を省略している。
【0035】
当該第1の半導体素子21の厚さは、例えば100μm乃至300μmに設定され、また、第2の半導体素子31の厚さは、例えば25μm乃至200μmに設定される。
【0036】
前記第1の半導体素子21の支持基板11への対向面、即ち電子回路形成面に於ける端子パッドの配置構成を、図2に示す。
【0037】
略矩形形状を有する第1の半導体素子21の電子回路形成面に於いて、四辺の縁部それぞれに沿って、第1の外部接続用端子パッド22が複数個、列状に配設されている。
【0038】
また、当該電子回路形成面の略中央部には、第2の半導体素子31に於ける電極端子の配置に対応して、第2の外部接続用端子パッド23が複数個、矩形状に配設されている。
【0039】
そして、当該第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22には、それぞれ凸状の外部接続端子24が配設され、当該第1の外部接続用端子パッド22と支持基板11の電極端子12は、当該外部接続端子24を介して機械的・電気的に接続されている。
【0040】
尚、かかる第1の外部接続用端子パッド22ならびに第2の外部接続用端子パッド23は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、又はこれらの合金等をもって形成される。
【0041】
また、第1の外部接続用端子パッド22上に配置される凸状の外部接続端子24は、例えば、金(Au)、銅(Cu)、若しくはこれらの合金、又は錫(Sn)−銀(Ag)半田、或いは錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)半田等の金属から形成される。
【0042】
凸状の外部接続端子24として、金(Au)、銅(Cu)、又はこれらの合金から構成される金属バンプを適用する場合、当該外部接続端子24は、例えばワイヤボンディング技術を用いた所謂ボールボンディング法により形成することができる。
【0043】
また、電解めっき法により、これらの金属バンプを形成することができる。当該めっき法により金属バンプを形成する場合には、第1の外部接続用端子パッド18上に例えば、チタン(Ti)/タングステン(W)、チタン(Ti)/パラジウム(Pd)、或いはチタン(Ti)/ニッケル(Ni)/パラジウム(Pd)等の下地金属層(UBM:Under Bump Metal)を形成してもよい。
【0044】
外部接続端子24として半田バンプを採用する場合、例えば電解めっき法、転写法、印刷法等により外部接続端子14を形成することができる。かかる場合、第1の外部接続用端子パッド18上に、例えばニッケル(Ni)、チタン(Ti)/銅(Cu)/ニッケル(Ni)、チタン(Ti)/クロム(Cr)/銅(Cu)/ニッケル(Ni)等の下地金属層(UBM:Under Bump Metal)を形成してもよい。
【0045】
一方、第2の外部接続用端子パッド23に対しては、前記第2の半導体素子31の外部接続端子33が接続される。
【0046】
当該第2の半導体素子31にあっては、略矩形形状を有する電子回路形成面の四辺の縁部それぞれに沿って、複数の外部接続用端子パッド32が列状に配設されている。そして、当該外部接続用端子パッド32上には、凸状の外部接続端子33が配設されている。即ち、当該凸状の外部接続端子33を介して、第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23と、第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32が電気的に接続される。
【0047】
当該第2の半導体素子31に於ける外部接続用端子パッド32は、第1の半導体素子21に於ける第1の外部接続用端子パッド22及び第2の外部接続用端子パッド23と同様、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、又はこれらの合金等をもって形成される。
【0048】
また、当該外部接続用端子パッド32上に配置される凸状の外部接続端子33は、第1の半導体素子21に於ける凸状の外部接続端子24と同様に、例えば金(Au)、銅(Cu)、若しくはこれらの合金、又は錫(Sn)−銀(Ag)半田、錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)半田等の金属から形成される。
【0049】
尚、外部接続端子33として、金(Au)、銅(Cu)、又はこれらの合金から構成されるバンプを適用する場合、その形成方法として所謂ボールボンディング法又は電解めっき法を適用することができる。また、外部接続端子33として半田バンプを適用する場合には、その形成方法として電解めっき法、転写法、或いは印刷法等を適用することができる。
【0050】
更に、前記第2の半導体素子31に於ける外部接続端子33が接続される第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23の表面には、電解めっき法或いは無電解めっき法により、下層から順に、ニッケル(Ni)/金(Au)の2層めっき層、又は錫(Sn)または錫(Sn)合金等の半田被覆が施されてもよい。
【0051】
尚、第1の半導体素子21に於ける凸状の外部接続端子24を、フリップチップ実装される側の端子である支持基板11の第1の電極端子12上に設けてもよく、また第2の半導体素子31に於ける凸状の外部接続端子33を、フリップチップ実装される側の端子、即ち、第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23上に設けてもよい。
【0052】
ところで、前記第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)に配設される第1の外部接続用端子パッド22ならびに第2の外部接続用端子パッド23の配置は、図3(a)又は図3(b)に示す形態を適用することもできる。
【0053】
図3(a)に示す形態にあっては、第1の外部接続用端子パッド22は、当該第1の半導体素子21Aの電子回路形成面の四辺のうち、互いに対向する一対の二辺に沿って列状に配設されている。一方、第2の外部接続用端子パッド23は、図2に示す形態と同様に配置されている。
【0054】
一方、図3(b)に示す形態にあっては、第1の外部接続用端子パッド22は、第1の半導体素子21Bの電子回路形成面の四辺のそれぞれに沿って複数の列状に配設されている。かかる構成によれば、第1の外部接続用端子パッド22が複数の列状に配設されていることにより、当該外部接続用端子パッド22を介して、第1の半導体素子21から支持基板11へ熱を伝導し易い。
【0055】
尚、かかる構成あっては、電子回路形成面の略中央部に於いて、第2の外部接続用端子パッド23が、格子(グリッド)状に配設されている。
【0056】
また、当該半導体装置100にあっては、支持基板11の主面と、これに対向する第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)との間には、硬化した第1の接着剤41が配設され、また第1の半導体素子12の主面とこれに対向する第2の半導体素子31の主面(電子回路形成面)との間には、硬化した第2の接着剤42が配設されている。
【0057】
当該第1の接着剤41及び第2の接着剤42は、フリップチップ方法に応じて適宜選択されるが、例えばエポキシ系樹脂を主体とする材料からなる熱硬化性接着剤を用いることができる。かかる接着剤41、42に於いては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)或いはニッケル(Ni)等の導電性微粒子が添加されてもよい。
【0058】
この様に、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置100にあっては、第1の半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着される支持基板11の、当該第1の半導体素子21との対向部が選択的に、当該第1の半導体素子21から離間する方向に突出して、即ち当該第1の半導体素子21と支持基板11との間に、当該第1の半導体素子12の主面に対して垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。
【0059】
そして、当該凹部Sには、第1の半導体素子21にフリップチップ方式をもって実装・固着された第2の半導体素子31が受容されている。即ち、当該半導体装置100は、支持基板11上に搭載された第1の半導体素子21ならびに当該第1の半導体素子21に搭載された第2の半導体素子31を含む所謂チップオンチップ型構造を有するものの、当該第2の半導体素子31が、第1の半導体素子21と支持基板11との間に於ける凹部Sに収容・配置された形態を有する。
【0060】
従って、当該半導体装置100にあっては、実質的に第2の半導体素子31の全ての厚さに相当する厚さの増加がもたらされない。よって、複数の半導体素子をチップオンチップ型構造として組み合わせることにより高機能を有しつつ、より薄形化、小形化された半導体装置を実現することができる。
【0061】
また、支持基板11と第1の半導体素子21との間、ならびに当該支持基板11と第2の半導体素子31との間には硬化した接着剤41が配設され、一方、第1の半導体素子21と第2の半導体素子31との間には、硬化した接着剤42が配設されている。
【0062】
この為、第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)と支持基板11との接続箇所は、接着剤41により保護され、また当該第1の半導体素子21の主面と第2の半導体素子31の主面(電子回路形成面)との接続箇所は、接着剤42により保護される。従って、接着剤41により支持基板11と第1の半導体素子21との接続が維持され、一方、接着剤42により第1の半導体素子21と第2の半導体素子31との接続が維持されると共に、支持基板11の撓んだ形状を固定・保持することができる。これにより、高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。
【0063】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置200を、図4に示す。図4に於いては、前記図1に於いて示した部位と対応する部位には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
当該半導体装置200にあっては、支持基板11の一方の主面(上面)上に、第1の半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着されている。
【0065】
当該第1の半導体素子21は、第1の実施の形態に於ける第1の半導体素子と同様、シリコン(Si)等の半導体、或いはガリウム砒素(GaAs)等の化合物半導体からなる半導体基板に対して周知の半導体製造プロセス(所謂ウエハープロセス)が適用されて、その一方の主面に電子回路部が形成されている。
【0066】
そして、当該支持基板11の、第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)と対向する領域が、選択的に当該第1の半導体素子21から離間する方向に突出しており、当該第1の半導体素子21と支持基板11との間隙が鉛直方向、即ち当該第1の半導体素子21の主面に垂直な方向に拡大されて、凹部Sが形成されている。当該凹部Sは、支持基板11の略中央部に位置している。
【0067】
そして、当該半導体装置200にあっては、前記凹部S内に於いて、第2の半導体素子31が、支持基板11上の電極に対しフリップチップ方式をもって実装・固着されている。
【0068】
即ち、支持基板11の凹部S内に於いて、支持基板11の導電層の一部として電極端子14が配設され、当該電極端子14に第2の半導体素子31の外部接続端子が接続されている。
【0069】
当該第2の半導体素子31の主面(電子回路形成面)に形成された外部接続用端子パッド32のそれぞれには、凸状の外部接続端子33が配設され、外部接続用端子パッド32と前記支持基板11の電極端子14は、当該凸状の外部接続端子33を介して電気的・機械的に接続されている。かかる構成に於いて、前記第1の半導体素子21の主面に於ける電子回路形成領域の、第2の半導体素子31への対向部には、選択的に絶縁層25が配設されている。当該絶縁層25の配設形態を、図5に示す。
【0070】
即ち、当該第1の半導体素子21の電子回路形成面の四辺の近傍に配設された外部接続用端子パッド22により囲繞される領域に於いて、電子回路形成部上を被覆して、絶縁層25が配設されている。
【0071】
当該絶縁層25は、例えばポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、或いはエポキシ系樹脂を主体とする材料から選択され、弾性を有する。そして、その厚さは、例えば1μm乃至15μmに設定される。
【0072】
当該絶縁層25を配設することにより、第1の半導体素子21と第2の半導体素子31との間を確実に絶縁分離することができ、両半導体素子の接触による誤動作を防止することができる。
【0073】
また、当該絶縁層25が弾性を有することにより、半導体装置200の製造工程に於いて、第1の半導体素子21を支持基板11にフリップチップ実装する際に印加される荷重によって第1の半導体素子21の電子回路形成部が破損することを防止することができる。即ち、絶縁層25は、第1の半導体素子21をフリップチップ実装する際、当該支持基板11に搭載されている第2の半導体素子31により、第1の半導体素子21に作用する応力を緩和して、当該第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)の破壊を防止する応力緩和層として機能する。
【0074】
尚、第1の半導体素子21の主面に於ける外部接続用端子パッド22ならびに絶縁層25の配置として、図6(a)或いは図6(b)に示す形態を適用することもできる。
【0075】
即ち、図6(a)に示す例では、第1の半導体素子21Cの主面の外周を構成する四辺のうち互いに対向する二辺の近傍に、外部接続用端子パッド22が当該二辺に沿って列状に配設されている。そして対向して形成された外部接続用端子パッド22の間に、絶縁層25が配設されている。
【0076】
一方、図6(b)に示す例では、第1の半導体素子21Dの主面の外周を構成する四辺それぞれの近傍に、外部接続用端子パッド22−1、22−2が複数列状に配設されている。そして対向して形成された外部接続用端子パッド22−2の間に、絶縁層25が配設されている。
【0077】
尚、前記図4に示す形態にあっては、第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)上に絶縁層25が配設されているが、当該絶縁層25を第1の半導体素子21に対向して位置する第2の半導体素子31の第2の主面(裏面、電子回路非形成面)上に配設してもよい。
【0078】
そして、第1の半導体素子21の主面と支持基板11との間には、硬化した第1の接着剤41が配設され、また第2の半導体素子31の主面と支持基板11との間には、硬化した第2の接着剤43が配設されている。当該第2の接着剤43は、フリップチップ方式に応じて適宜選択されるが、第1の接着剤41と同様に、熱硬化性接着剤から選択される。尚、前記支持基板11の他方の主面(裏面)に配設された導電層(図示せず)には、球状電極端子からなる外部接続端子13が配設されている。
【0079】
当該外部接続端子13の高さは、前記凹部Sに対応して形成された支持基板11の下側表面USの位置(高さ)を越える値を有する。
【0080】
この様に、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置200にあっては、第1の半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着される支持基板11の、当該第1の半導体素子21への対向部が選択的に、当該第1の半導体素子21と離間する方向に変形し、当該第1の半導体素子21と支持基板11との間が、当該第1の半導体素子21の主面に対して垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。
【0081】
そして、当該凹部Sに於いて、支持基板11に対し、フリップチップ方式をもって第2の半導体素子31が実装・固着され、前記第1の半導体素子21は、当該第2の半導体素子31に重畳して搭載されている。
【0082】
即ち、当該半導体装置200は、支持基板11上に搭載された第1の半導体素子21ならびに第2の半導体素子31を含み、当該第2の半導体素子31が、第1の半導体素子21と支持基板11との間に於ける凹部Sに収容・配置された形態を有する。
【0083】
従って、当該半導体装置200にあっては、支持基板11上に二つの半導体素子が重畳して配置されるにも関わらず、実質的に第2の半導体素子31の全ての厚さに相当する厚さの増加がもたらされない。よって、複数の半導体素子を組み合わせることにより高機能を有しつつ、より薄形化、小形化された半導体装置を実現することができる。
【0084】
また、第1の半導体素子21と支持基板11との間には、接着剤41が配設され、一方、第2の半導体素子31と支持基板11との間には、接着剤43が配設されている。即ち、第1の半導体素子21の主面(回路形成面)と支持基板11との接続箇所は、接着剤41により封止されて保護されており、また、第2の半導体素子31の主面(回路形成面)と支持基板11との接続箇所は、接着剤43により封止されて保護されている。
【0085】
これにより、接着剤41により支持基板11と第1の半導体素子21との接続が維持され、一方、接着剤43により支持基板11と第2の半導体素子31との接続が維持されると共に、支持基板11の撓んだ形状が維持される。
【0086】
更に、第1の半導体素子21と第2の半導体素子31との間に、絶縁層25を配設することにより、これらの半導体素子間は確実に分離され、両者の接触による誤動作が防止される。もって、より高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。
【0087】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置300を、図7に示す。
【0088】
図7に於いては、前記図1或いは図4に於いて示した部位に対応する部位には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
当該半導体装置300にあっては、支持基板11の一方の主面(上面)上に、半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着されている。
【0090】
そして、当該支持基板11の、半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)と対向する領域が、選択的に当該半導体素子21から離間する方向に突出しており、当該半導体素子21と支持基板11との間隙が鉛直方向、即ち当該半導体素子21の主面に垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。当該凹部Sは、支持基板11の略中央部に位置している。
【0091】
そして、当該半導体装置300にあっては、前記凹部S内に於いて、複数の受動素子51が、支持基板11上の電極端子15に接続されて実装されている。
【0092】
即ち、支持基板11の凹部S内に於いて、支持基板11の導電層の一部として電極端子15が配設され、当該電極端子15に受動素子51の電極が導電部材52を介して接続されている。
【0093】
当該受動素子51は、板状又は柱状をなす所謂チップ部品であり、例えば、バイパスコンデンサとして機能する容量素子、ノイズフィルタとして機能するインダクタ、或いは抵抗素子などが該当する。当該受動素子51は、絶縁性の素体部51a及び当該素体部51aの両端部又は一主面上に配設された複数の電極端子51bを具備する。当該受動素子51は、半導体素子21の回路構成、規模等に対応して適宜選択され、また、接続される半導体素子21の電極端子にできるだけ近接するように、電極端子15の位置、方向が選択される。
【0094】
当該受動素子51の電極端子51bと支持基板11の電極端子15は、導電部材52を介して電気的に接続されている。当該導電部材52として、例えばエポキシ系樹脂又はシリコン系樹脂等に、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、若しくはカーボンブラック等の導電性微粒子を含有した導電性接着剤、又は錫(Sn)−銀(Ag)半田、若しくは錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)半田等の半田材料が適用される。
【0095】
尚、前記支持基板11の他方の主面(裏面)に配設された導電層(図示せず)には、球状電極端子からなる外部接続端子13が配設されている。
【0096】
当該外部接続端子13の高さは、前記凹部Sに対応して形成された支持基板11の下側表面USの位置(高さ)を越える値を有する。
【0097】
この様に、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置300にあっては、半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着される支持基板11の、当該半導体素子21との対向部が選択的に、当該半導体素子21とから離間する方向に突出し、当該半導体素子21と支持基板11との間が、当該半導体素子21の主面に対して垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。
【0098】
そして、当該凹部Sに於いて、支持基板11に対し受動素子51が実装され、前記半導体素子21は、当該受動素子51に重畳して搭載されている。即ち、当該半導体装置300は、支持基板11上に搭載された半導体素子21ならびに受動素子51を含み、当該第受動素子51が、半導体素子21と支持基板11との間に於ける凹部Sに収容・配置された形態を有する。
【0099】
従って、当該半導体装置300にあっては、支持基板11上に半導体素子と受動素子が重畳して配置されるにも関わらず、実質的に受動素子51の全厚さ(高さ)に相当する厚さの増加がもたらされない。よって、半導体素子と受動素子を組み合わせることによって動作の安定性を高めつつ、より薄形化、小形化された半導体装置を実現することができる。
【0100】
また、半導体素子21と支持基板11との間には、接着剤41が配設されている。即ち、半導体素子21の主面(回路形成面)と支持基板11との接続箇所ならびに受動素子51は、当該接着剤41により被覆され、保護される。これにより、接着剤41により支持基板11と半導体素子21との接続、ならびに支持基板11と受動素子51との接続が維持されると共に、支持基板11の撓んだ形状が維持される。もって、高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。
【0101】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置400を、図8に示す。
【0102】
図8に於いても、前記図1、図4等に於いて示した部位に対応する部位には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
当該半導体装置400にあっては、支持基板11の一方の主面(上面)上に、第1の半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着されている。
【0104】
そして、当該支持基板11の、第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)と対向する領域が、選択的に当該第1の半導体素子21から離間する方向に突出しており、当該第1の半導体素子21と支持基板11との間隙が鉛直方向、即ち当該第1の半導体素子21の主面に垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。当該凹部Sは、支持基板11の略中央部に位置している。
【0105】
そして、当該半導体装置400にあっては、前記凹部S内に於いて、第2の半導体素子31がその一方の主面(電子回路形成面)を上にして、支持基板11上にダイボンド材61を介して実装・固着されており、当該第2の半導体素子31の電極32はボンディングワイヤ34を介して、支持基板11に於ける電極端子16に接続されている。更に、当該第2の半導体素子21は、ボンディングワイヤ34と共に、封止樹脂62により封止されている。前記ダイボンド材61は、例えばポリイミド系樹脂又はエポキシ系樹脂等を主体とする材料から構成され、また電極端子16は電極端子12と同様の材料から構成される。
【0106】
尚、前記第2の半導体素子31の主面上に配設された外部接続用端子パッド32の表面には、例えば下層から順に、ニッケル(Ni)/金(Au)の二層めっき層を無電解めっき法等により形成しておいてもよい。そして、当該第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32と支持基板11の電極端子16は、例えば金(Au)、銅(Cu)等の金属を主体とするボンディングワイヤ34により接続される。
【0107】
また、前記封止樹脂62は、例えばエポキシ系樹脂を主体とする材料から構成される。
【0108】
尚、前記支持基板11の他方の主面(裏面)に配設された導電層(図示せず)には、球状電極端子からなる外部接続端子13が配設されている。
【0109】
当該外部接続端子13の高さは、前記凹部Sに対応して形成された支持基板11の下側表面USの位置(高さ)を越える値を有する。
【0110】
この様に、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置400にあっては、第1の半導体素子21がフリップチップ方式をもって実装・固着される支持基板11の、当該第1の半導体素子21との対向部が選択的に、当該第1の半導体素子21と離間する方向に突出し、当該第1の半導体素子21と支持基板11との間が、当該第1の半導体素子21の主面に対して垂直な方向に拡大された凹部Sが形成されている。
【0111】
そして、当該凹部Sに於いて、支持基板11に対し第2の半導体素子31が所謂フェイスアップ状態をもって実装・固着され、前記第1の半導体素子21は、当該第2の半導体素子31に重畳して搭載されている。即ち、当該半導体装置400は、支持基板11上に搭載された第1の半導体素子21ならびに第2の半導体素子31を含み、当該第2の半導体素子31が、第1の半導体素子21と支持基板11との間に於ける凹部Sに収容・配置された形態を有する。
【0112】
従って、当該半導体装置400にあっては、支持基板11上に二つの半導体素子が重畳して配置されるにも関わらず、実質的に第2の半導体素子31の全厚さに相当する厚さの増加がもたらされない。よって、複数の半導体素子を組み合わせることにより高機能を有しつつ、より薄形化、小形化された半導体装置を実現することができる。
【0113】
また、第1の半導体素子21と支持基板11のとの間、ならびに第1の半導体素子21と第2の半導体素子31を被覆している封止樹脂62の上面との間には、硬化した接着剤41が配設されている。即ち、第1の半導体素子21の主面(電子回路形成面)と支持基板11の主面との接続箇所は、接着剤41により封止され保護されている。
【0114】
一方、第2の半導体素子31の主面(電子回路形成面)と支持基板11との接続部位は、封止樹脂62により封止され保護されている。従って、接着剤41により、支持基板11と第1の半導体素子21との接続が維持され、封止樹脂62により、支持基板11と第2の半導体素子31との接続が維持されると共に、支持基板11の撓んだ形状を固定することができる。もって、高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。
【0115】
この様な特徴的構成を有するところの、本発明による半導体装置の製造方法について、以下に述べる。
【0116】
[半導体装置の製造方法]
(半導体装置100の製造方法)
前記本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置100の製造方法について、図9乃至図14を参照して説明する。
【0117】
当該半導体装置100の製造にあっては、先ず、第2の半導体素子31を第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)にフリップチップ(フェイスダウン)実装する。
【0118】
当該フリップチップ実装法としては、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、超音波接合法、或いは異方性導電性樹脂を用いた接続法等を適用することができる。
【0119】
即ち、本製造方法に於いては、第2の半導体素子31を、接着剤42を介在させながら、第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)上にフリップチップ実装する。この結果、第2の半導体素子31の一方の主面(電子回路形成面)は、第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)に対向する。これを、図9を用いて説明する。
【0120】
当該フリップチップ実装法にあっては、先ず、ボンディングステージ71上に、吸着孔72を介しての真空吸引により、第1の半導体素子21を、その一方の主面(電子回路形成面)を上面に、即ち当該一方の主面(電子回路形成面)を表出させて、吸着保持する。(図9(a)参照)
尚、当該第1の半導体素子21の一方の主面(電子回路形成面)に於ける第1の外部接続用端子パッド22には、凸状の外部接続端子24が予め形成されている。当該外部接続端子24としては、ワイヤボンディング技術を用いた所謂ボールボンディング法又は電解めっき法により形成される金属バンプ、或いは電解めっき法、転写法、印刷法等により形成される金バンプを用いることができる。
【0121】
また、後の工程に於いて第2の半導体素子31の外部接続端子が接続される第2の外部接続用端子パッド23の表面には、電解めっき法或いは無電解めっき法により、下層から順に、ニッケル(Ni)/金(Au)の二層めっき層、又は錫(Sn)または錫(Sn)合金等の半田被覆が施されている。
【0122】
更に、当該第2の外部接続用端子パッド22により囲繞された第1の半導体素子21の表面領域には、エポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる接着剤42が選択的に被着されている。
【0123】
一方、第2の半導体素子31は、予め所定の温度に加熱されたボンディングツール(治具)81に、その他方の主面(裏面、電子回路非形成面)が吸着孔82を介して、吸着保持される。
【0124】
かかる外部接続端子33としては、ワイヤボンディング技術を用いた所謂ボールボンディング法又は電解めっき法による金属バンプ、或いは、電解めっき法、転写法、印刷法等により、形成される半田バンプが適用される。尚、当該第2の半導体素子31の厚さ、及び当該第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32に配設された外部接続端子33の有する高さの合計値は、前記第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22に形成された外部接続端子24の高さより大なる厚さ(高さ)を有する。
【0125】
かかる第2の半導体素子31の外部接続端子33と、前記第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23とを対向させ、位置合わせを行う。
【0126】
しかる後、前記ボンディングツール81を降下せしめ、第2の半導体素子31の外部接続端子33を第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23に押し付け、接触させる。そして、当該ボンディングツール81により第2の半導体素子31の外部接続端子23に所定の荷重を印加して、当該第2の半導体素子31の外部接続端子23を第1の半導体素子21の第2の外部接続用端子パッド23に接続する。
【0127】
この時、前記接着剤42は、第2の半導体素子31の下面(電子回路形成面、第1の半導体素子21への対向面)全域に流動し、当該第2の半導体素子31と第1の半導体素子21との間、並びに当該第2の半導体素子31の側面外周部に至る。
【0128】
更にボンディングツール81からの加熱により、当該接着剤42を熱硬化せしめる。(図9(b)参照)
これにより、第2の半導体素子31の、第1の半導体素子21へのフリップチップ実装がなされる。
【0129】
しかる後、前記ボンディングツール81の吸引を解除して、当該ボンディングツール81と第2の半導体素子31を分離する。この為、ボンディングツール81を上昇させる。(図9(c)参照)
尚、第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22への外部接続端子24の配設工程は、上記第2の半導体素子31のフリップチップ実装工程がなされた後に実施することもできる。
【0130】
次いで、第2の半導体素子31がフリップチップ実装されてなる第1の半導体素子21を、支持基板11上にフリップチップ実装する。
【0131】
当該第1の半導体素子21を、支持基板11上にフリップチップ実装する工程を、図10及び図11に示す。
【0132】
此処では、フリップチップ実装法として、第1の半導体素子21を、接着剤41を介在させて支持基板11に熱圧着する方法を用いる。尚、当該フリップチップ実装法としては、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツールにより加熱及び加圧を行う限り、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、或いは異方性導電性樹脂を用いた接続法等を用いることができる。
【0133】
先ず、ボンディングステージ91上に、吸着孔92を介しての真空吸引により、支持基板11を吸着保持する。(図10(a)参照)
本発明の実施の形態に於ける特徴的構成として、当該ボンディングステージ91の上面には、凹部93が選択的に配設されている。当該凹部93は、前記第2の半導体素子31が支持基板11の一部と共に受容されることが可能な平面形状、寸法、ならびに深さを有する。前記支持基板11の上面には、当該支持基板11に形成された導電層の一部が第1の電極端子12として、複数個配設されている。
【0134】
そして、当該支持基板11の上面に於いて、複数個の第1の電極端子12により囲繞された領域には、エポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる接着剤41が被着されている。
【0135】
また、当該ボンディングステージ91は、50℃乃至100℃程に加熱されている。
【0136】
一方、前述の如く第2の半導体素子31がフリップチップ実装された第1の半導体素子21は、その第二の主面(裏面、電子回路非形成面)が、予め所定の温度(270℃乃至300℃)に加熱されたボンディングツール86に、吸着孔87を介して吸着・保持される。
【0137】
そして、前記第1の半導体素子21の外部接続端子24と支持基板11の第1の電極端子12とを対向させ、位置合わせを行う。
【0138】
この結果、当該第1の半導体素子21上にフリップチップ実装された第2の半導体素子31は、その裏面(電子回路非形成面)が、支持基板11上に被着された接着剤41に対向した状態とされる。
【0139】
かかる位置合わせの後、ボンディングツール86を降下せしめる(矢印H)。
【0140】
当該ボンディングツール86の下端面の位置の時間経過を、図12(a)に示し、また当該ボンディングツール86に接続された荷重センサ(図示せず)により検出される荷重の時間経過を図12(b)に示す。
【0141】
図12(a)及び図12(b)に於ける時刻Tsは、図10(a)に示す第1の半導体素子21の外部接続端子24と支持基板11の第1の電極端子12とが位置合わせされた時点を示す。
【0142】
前記ボンディングツール86を降下せしめることにより、第1の半導体素子21にフリップチップ実装された第2の半導体素子31の背面(電子回路非形成面)は、接着剤41を介して支持基板11に接触する。(図10(b)参照)
当該接触が生じた時刻を時刻T0とする。この時、当該第2の半導体素子31の厚さと当該第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32に配設された外部接続端子33の高さとの合計値が、第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22に形成された外部接続端子24の高さよりも大きく設定されていることから、当該第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24は支持基板11上の電極端子12に接せず、またボンディングツール86の下端面(支持基板11への対向面)は、高さZ1の位置にある。
【0143】
これ以降、ボンディングツール86の下降に伴う押圧力は、当該第1の半導体素子21、第2の半導体素子31及び接着剤42を介して支持基板11に印可される。
【0144】
かかる押圧力により、支持基板11は、少なくとも第2の半導体素子31の裏面及びその周囲に位置する部位が、前記ボンディングステージ91の上部に配設された凹部93内へ押圧され、伸長する。
【0145】
この時、前記ボンディングツール86は、前述の如く、所定温度に加熱されている。当該ボンディングツール86からの熱は、第1の半導体素子21及び外部接続端子24を介して第2の半導体素子31に伝導され、当該第2の半導体素子31に近接する支持基板11は、局所的に加熱される。かかる加熱により、支持基板11に於いて、局所的な熱膨張が発生・進行し、当該支持基板11は、前記ボンディングステージ91に於ける凹部93内へ容易に伸長し、撓み始める。
【0146】
即ち、図12(b)に示す様に、ボンディングツール86による押圧力の印可に伴い、支持基板11から当該ボンディングツール86に作用する反発力は一旦上昇するものの、時間の経過と共に、支持基板11の変形(伸長、撓み)に伴い、反発力は低下していく。同図では、当該反発力の強さが、これに対応する押圧荷重として表示されている。
【0147】
尚、支持基板11に対する加熱は、前記ボンディングツール86の押圧による当該支持基板11の伸長をより容易化するものであるが、かかる加熱温度を、支持基板11のガラス転移温度以上の温度に設定することにより、当該支持基板11の変形・撓みをより容易なものとすることができる。
【0148】
この様な押圧力の印可ならびに加熱により、支持基板11は、ボンディングステージ91に於ける凹部93内に於いて、当該凹部93の内面に沿う如くして伸長し、撓み生じて、第1の半導体素子21と支持基板11との間には、前記第2の半導体素子31を受容することができる凹部Sが形成され始める。
【0149】
また、支持基板11上に被着されていた接着剤41は、支持基板11と第2の半導体素子31との接触により伝導されたボンディングツール86からの熱により、粘度が低下して流動性が高まり、支持基板11と第1の半導体素子21との間に於いて、当該第1の半導体素子21が支持基板11に対向する領域全域に押し広げられる。
【0150】
そして、ボンディングツール86を更に降下せしめることにより、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24を、支持基板11上の電極端子12に接触させる。(位置制御による第1の押圧)
当該接触が生じた時刻を時刻T1とする。(図10(c)参照)
このとき、ボンディングツール86の下端面は、高さZ2の位置にある。
【0151】
第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触することにより、ボンディングツール86の有する熱は、当該第1の半導体素子21、第2の半導体素子31、外部接続端子33ならびに外部接続端子24を介して支持基板11に伝導される。従って、接着剤41は更に流動し、外部接続端子12の周囲にまで達する。
【0152】
前述の如き第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24と支持基板11上の電極端子12との接触が生じた時点から、第1の半導体素子21の支持基板11に対するフリップチップ実装が完了するまで(時刻T1〜時刻T3)の間は、前記荷重センサにより検出される荷重を制御する。(荷重制御による第2の押圧)
そして、当該荷重センサにより検出される荷重が、時刻T2に於いて設定値Fに到達するよう制御する。当該設定値Fは、第1の半導体素子21に形成された個々の外部接続端子24当たり、10gf乃至60gfに設定される。(図12(b)参照)
当該荷重の印可により、第1の半導体素子21に形成された外部接続端子24は、支持基板11の第1の電極端子12に接続される。この時、塑性変形を伴う(潰れる)ため、ボンディングツール86の下端面の位置は、高さZ2から僅かに降下して、高さZ3に位置する。(図11(d)参照)
時刻T2に於いて設定値に達した荷重は、所定の時刻T3まで維持される。
【0153】
時刻T2から時刻T3の間、ボンディングツール86から第1の半導体素子21、第2の半導体素子31、外部接続端子33ならびに外部接続端子24を介した伝熱により、支持基板11は加熱され、被加熱領域は拡大し、支持基板11の局所的熱膨張は更に進行する。
【0154】
その結果、ボンディングステージ91の凹部93に於ける支持基板11の伸長・撓みは進行し、支持基板11から第2の半導体素子31を介して第1の半導体素子21に作用する反発力は減少する。
【0155】
また、支持基板11と第1の半導体素子21との間に於いて、第1の半導体素子21の全面領域に押し広げられ外部接続端子24の周囲にまで達した接着剤41の熱硬化が進行する。
【0156】
尚、ボンディングツール86による荷重の印可がより有効になされよう、ボンディングステージ91に於ける吸着孔92は、支持基板11に於ける第1の電極端子12に対する第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24の接続位置の直下とは異なる位置に配置される。
【0157】
時刻T3に至り、第1の半導体素子21の、支持基板11への実装が完了する。(図11(e)参照)
このとき、当該支持基板11と前記第2の半導体素子31の背面との間隔は拡大しており、第2の半導体素子31を介する支持基板11から第1の半導体素子21への反発力は生じない。前記荷重センサにより検出される荷重は設定値Fを維持している。
【0158】
また、ボンディングツール86の下端面は、高さZ3の位置に維持されている。
【0159】
そして、支持基板11が、ボンディングステージ91の凹部93に於いて撓んだ形状を有した状態に於いて、接着剤41は硬化する。これにより、接着剤41によるアンダーフィリング、即ち、第1の半導体素子21の回路形成面及び外部接続端子24の保護、ならびに第1の半導体素子21と支持基板11との固着とがなされる。当該接着剤41の接着力及び硬化収縮力により、外部接続端子24を介しての第1の半導体素子21と支持基板11との接続は維持される。
【0160】
支持基板11に対する第1の半導体素子21の実装がなされと、ボンディングツール86の吸引を解除し、当該ボンディングツール86を上昇させる(矢印I)。(時刻Te、図11(f)参照)
ボンディングツール86による加圧の開放、ならびに前記接着剤41の硬化収縮に伴い、ボンディングステージ91の凹部93に於いて、支持基板11は上方へ僅かに持ち上がり、当該支持基板11のボンディングステージ91からの取り出しが容易とされる。
【0161】
そして、当該ボンディングステージ91からの取り出された支持基板11に対し、外部接続端子を配設する。
【0162】
即ち、当該支持基板11の他方の主面(裏面)に選択的に設けられた導電層(図示せず)に、半田を主体とする球状電極端子等の外部接続端子13を複数個配設し、前記図1に示す半導体装置100を形成する。
【0163】
この様に、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、ボンディングツール86による支持基板11に対する加圧が、凹部93を具備して当該支持基板11を支持するボンディングステージ91上に於いて、当該支持基板11に対しフリップチップ実装される第1の半導体素子21ならびに当該第1の半導体素子21に対してフリップチップ実装された第2の半導体素子31を介して行われる。これにより、当該支持基板11は、前記凹部93上に於いて局所的に加圧される。
【0164】
また、当該支持基板11は、ボンディングツール86から第1の半導体素子21ならびに第2の半導体素子31を介して伝導される熱により局所的に加熱される。
【0165】
この結果、当該支持基板11は、ボンディングステージ91の凹部93内に於いて、前記第1の半導体素子21が実装される主面から遠ざかる方向に伸長し、撓みを生じる。即ち、かかる局所的加圧ならびに加熱によって生ずる支持基板11の局所的な伸長及び撓みによって、当該支持基板11には、前記第2の半導体素子31を受容することが可能な凹部Sが形成される。かかる凹部Sは、第2の半導体素子31を、その厚さ方向に受容する。
【0166】
従って、支持基板11上に、第1の半導体素子21及び第2の半導体素子31の二つの半導体素子が積層状態をもって配置されても、実質的に第2の半導体素子31の全厚さに相当する厚さ(高さ)の増加がもたらされない。
【0167】
即ち、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、第1の半導体素子21及び第2の半導体素子31という複数の半導体素子を具備し、且つ薄型化及び小型化が要求される半導体装置を、簡易な工程で製造することができ、製造コスト化の低下を図ることができる。
【0168】
更に、ボンディングツール86をその高さ位置を制御しながら降下させ、第1の半導体素子21に形成された外部接続端子24を、支持基板11の第1の電極端子12に接触させ、その後ボンディングツール86の荷重を制御して外部接続端子24に荷重を付与している。従って、かかる荷重により外部接続端子24を、支持基板11の第1の電極端子12に確実に接続することができ、接続信頼性の高い実装構造を得ることができる。
【0169】
尚、時刻T2に於いて、接着剤41が硬化している場合には、支持基板11に対する第1の半導体素子21のフリップチップ実装が完了するため、かかる時点でボンディングツール86の吸引を解除し、当該ボンディングツール86を上昇させてもよい。
【0170】
また、支持基板11に対する第1の半導体素子21のフリップチップ実装が完了した後に、ポストキュア処理を施して、第2の半導体素子31と第1の半導体素子21との間に配設された接着剤42を硬化させてもよい。
【0171】
本発明の発明者は、以下の示す条件の下、本実施の形態に於ける製造方法を用いて、図1に示す半導体装置100を製造することができた。
【0172】
即ち、支持基板11として、厚さが0.3mmの4層配線構造のガラスエポキシ基板を用いた。かかる基板のガラス転移温度は、JIS−C−6481 プリント配線板用銅張積層板試験方法に定められるTMA法による測定の結果170℃乃至185℃であった。
【0173】
また、第1の半導体素子21として、大きさが13×13mmで、厚さが200μmのシリコン半導体素子を用いた。当該第1の半導体素子21の外部接続端子24として、金(Au)ワイヤを用いたボールボンディング法により形成した金(Au)バンプを840個形成した。
【0174】
一方、第2の半導体素子31として、大きさが6×6mmで、厚さが100μmのシリコン半導体素子を用いた。当該第2の半導体素子31の外部接続端子33として、金(Au)ワイヤを用いたボールボンディング法により形成した金(Au)バンプを380個形成した。
【0175】
そして、前記第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツール86の加熱温度を270℃乃至300℃に設定し、支持基板11を吸着保持するボンディングステージ91の加熱温度を50℃乃至100℃に設定した。また、ボンディングステージ91に配設される凹部93は、8.5mm×8.5mmの矩形形状とし、その深さ(DS2)を0.2mmに設定した。
【0176】
かかる条件の下、本実施の形態に於ける製造方法を用いて、第2の半導体素子31がフリップチップ実装された第1の半導体素子21を、支持基板11にフリップチップ実装した。
【0177】
実装時に於ける支持基板11の到達温度は200℃乃至230℃であり、実装後に於ける支持基板11の撓み変形による沈み込み量は130μmであった。
【0178】
この様な本実施の形態に於ける製造方法に於いて、ボンディングステージ91に配設される凹部93の底部ならびにこれに続く内側面(側壁面)の断面形状を、図13に示す。
【0179】
これは、前記図10(a)に於いて、点線Aにより囲繞された箇所であるが、ここでは支持基板11の図示を省略している。
【0180】
即ち、当該凹部93の内側面93aは、平坦な凹部底面93bから上面に至り、且つ当該凹部93の内方に向けて凸状を呈する円弧状断面を有する。
【0181】
この様な円弧状断面とすることにより、凹部93は上方に開かれた内側面を有することから、前記支持基板11が伸長し、撓む際、当該凹部93の内側面に接しても当該支持基板11の特定部位に応力が集中することを抑制、低減することができ、当該支持基板11に形成されている配線層に損傷を与えることを生じない。
【0182】
当該凹部93の底面93bは平坦であり、またその深さDS2は、前記第2の半導体素子31がその厚さ方向に受容され、且つ前記支持基板11が伸長し撓む際、当該支持基板11の下側表面(第2の主面)が、当該凹部93の底面に接することができる深さに設定される。これにより、当該支持基板11の撓み量が制限され、且つ当該支持基板11の下側表面は平坦面を呈する。
【0183】
尚、前記凹部93の内側面の形状は、図13に示される形態に限られるものではない。
【0184】
例えば、凹部93の内側面を、その底部より鈍角をもって延びる傾斜面93aaとすることもできる。(図14(a)参照)
また、かかる内側面の傾斜角を途中で変更し、少なくとも二つの傾斜角を有する内側面93ab−1,93ab−2とすることもできる。(図14(b)参照)
また、かかる内側面を、底部から所定の高さまで垂直面93ac−1とし、これに続く内側面を所定の傾斜角を有する傾斜面93ac−2とすることもできる。(図14(c)参照)
更に、かかる内側面を、底部から所定の高さまで垂直面93ad−1とし、これに続く内側面93ad−2を円弧状とすることもできる。(図14(d)参照)
何れの形態にあっても、凹部93は上方に開かれた内側面を有することから、支持基板11が伸長し撓む際、当該凹部93の内側面に接しても当該支持基板11の特定部位に応力が集中することを抑制・低減することができ、当該支持基板11に形成されている配線層に損傷を与えない。
【0185】
また、前記図10及び図11を参照して説明した実施の形態にあっては、ボンディングステージ91に配設した凹部93内に於いて、支持基板11に対し局所的に機械的に押圧力を加えると共に加熱することにより伸長・撓みを生じさせたが、更に当該凹部93内へ真空(減圧)吸引することにより、当該支持基板11の伸長・撓みを促進させることもできる。
【0186】
かかる凹部93内に於ける吸引を伴う処理方法について、図15及び図16を参照して説明する。尚、図15、図16に示される構成に於いて、前記図10、図11で示した部位に対応する部位には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0187】
本処理方法に於いては、ボンディングステージ91に於ける前記凹部93の底部に、吸引機構(図示せず)に接続された吸引孔94が配設され、吸引機構を駆動することにより、吸引孔94を介して凹部93内を真空吸引(減圧)する。これにより、ボンディングステージ91上に配置された支持基板11の半導体素子搭載部は、当該凹部93内に選択的に吸引される。
【0188】
本処理方法に於いては、かかる構造を有するボンディングステージ91上に、吸着孔92を介しての吸引により、支持基板11を保持する。(図15(a)参照)
また、前記凹部93は、前述の如く、第2の半導体素子31が、支持基板11の一部と共に受容されることが可能な平面形状、寸法ならびに深さを有する。当該支持基板11が載置・固定されたボンディングステージ91は、50℃乃至100℃に加熱される。また、かかる加熱と共に、当該ボンディングステージ91に於ける凹部93内を、吸引孔94を介して排気する。
【0189】
前記支持基板11の上面には、当該支持基板11に形成された導電層の一部が第1の電極端子12として、複数個配設されている。
【0190】
そして、かかる支持基板11の上面に於いて、前記複数個の第1の電極端子12に囲繞された領域には、エポキシ系樹脂を主体とする材料から形成され熱硬化性を有する接着剤41が被着されている。
【0191】
一方、第2の半導体素子31がフリップチップ実装された第1の半導体素子21は、その他方の主面(裏面・電子回路非形成面)が、予め所定の温度(270℃乃至300℃)に加熱されたボンディングツール86に、吸着孔87を介して吸着・保持される。
【0192】
そして、第1の半導体素子21の外部接続端子24と支持基板11の第1の電極端子12とを対向させ、位置合わせを行う。
【0193】
かかる位置合わせの後、その高さ位置を制御しながら、ボンディングツール86を、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が支持基板11の第1の電極端子12に接触するまで、降下せしめる(矢印J)。(図15(b)参照、位置制御による第1の押圧)
ボンディングツール86を降下することにより、第1の半導体素子21にフリップチップ実装された第2の半導体素子31の背面(電子回路非形成面)は、先ず接着剤41を介して支持基板11に接触する。当該第2の半導体素子31の厚さは、第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22に形成された外部接続端子24の高さよりも大きく設定されていることから、当該第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24は支持基板11上の電極端子12に接触しない。そして、更にボンディングツール86を降下することにより、第1の半導体素子21の外部接続端子24を支持基板11上の電極端子12に接触せしめる。
【0194】
これより以降、ボンディングツール86の下降に伴って生ずる押圧力は、第1の半導体素子21、第2の半導体素子31及び接着剤41を介して支持基板11に印可される。
【0195】
即ち、かかる押圧力により、支持基板11は、少なくとも第2の半導体素子31の搭載部及びその周囲が、前記凹部93内へ押圧され、伸長する。
【0196】
また、この時、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツール86は、前述の如く、所定温度に加熱されている。当該ボンディングツール86からの熱は、第1の半導体素子21及び外部接続端子24を介して第2の半導体素子31に伝導され、当該第2の半導体素子31に近接する支持基板11部分は、局所的に加熱される。かかる加熱により、支持基板11に於いては、局所的な熱膨張が発生・進行する。従って、当該支持基板11は、前記押圧力による伸長と共に、局所的な加熱による局所的な熱膨張により、前記凹部70内へ容易に伸長し、撓み始める。
【0197】
本処理方法に於いては、かかる加圧、加熱と共に、ボンディングステージ65の凹部70内を排気処理することにより、支持基板11の伸長、撓みが促進される。
【0198】
即ち、凹部70内を、吸引孔77を介して吸引駆動により排気することにより、凹部70内を減圧することができ、支持基板11に於ける伸長・撓み発生部を吸引することとなり、当該伸長・撓み変形を促進させることができる。また、かかる排気により、凹部70内の空気が減少することから、当該空気の熱膨張によって支持基板11の撓み変形が阻害されることも生じない。
【0199】
一方、支持基板11上に被着されていた接着剤41は、支持基板11と第2の半導体素子31との接触により伝導されたボンディングツール86からの熱により、粘度が低下して流動性が高まり、支持基板11と第1の半導体素子21との間に於いて、当該第1の半導体素子21が支持基板11に対向する領域の全域に押し広げられる。
【0200】
そして、第1の半導体素子21に形成された外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触し、接続されて、第1の半導体素子21の支持基板11に対するフリップチップ実装がなされる。(図16(c)参照)
当該外部接続端子24の電極端子12への接続がなされる迄は、ボンディングツール86に接続された荷重センサにより検出される荷重を維持する。(荷重制御による第2の押圧)
支持基板11に対し第1の半導体素子21の実装がなされると、当該支持基板11はボンディングステージ91の凹部93内に於いて撓んだ形状を保持し、また接着剤41は硬化する。当該接着剤41の接着力及び硬化収縮力により、外部接続端子24を介しての第1の半導体素子21と支持基板11との接続は維持される。
【0201】
次いで、ボンディングツール86の吸引を解除し、当該ボンディングツール86を上昇せしめる(矢印K)。(図16(d)参照)
しかる後、当該支持基板11の他方の主面(裏面)に選択的に設けられた導電層に、半田を主体とする球状電極端子等の外部接続端子13を複数個配設し、前記図1に示す半導体装置100が形成される。この様に、本製造方法に於いては、ボンディングステージ91に配設された凹部93の内部を、吸引孔94を介して排気することにより減圧し、局所的な伸長・撓みが発生・進行する支持基板11を当該凹部93内に引張することにより、撓み変形を効率的に進行させることができる。また、かかる排気により、凹部93内に於ける空気が熱膨張して支持基板11の撓み変形を阻害することが防止される。よって、支持基板11に於いて撓み形状を確実に形成することができる。
【0202】
(半導体装置200の製造方法)
前記本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置200の製造方法について、図17乃至図19を参照して説明する。尚、図17乃至図19に於いては、前記図9乃至図11で示した部位に対応する部位には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0203】
当該半導体装置200の製造にあっては、先ず、第2の半導体素子31を支持基板11にフリップチップ(フェイスダウン)実装する。当該フリップチップ実装にあっては、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、超音波接合法、異方性導電性樹脂を用いた接続法等、種々のフリップチップ実装方法を適用することができる。
【0204】
本製造方法にあっては、第2の半導体素子31を、接着剤43を介在させながら支持基板11に熱圧着し、当該支持基板11にフリップチップ実装する。これを、図17を用いて説明する。
【0205】
当該製造方法に於いては、先ず、支持基板11を、ボンディングステージ71上に、吸着孔81を介しての真空吸引により、その一方の主面(半導体素子搭載面)を表出させて吸着保持する。(図17(a)参照)
当該支持基板11の主面には、導電層の一部が第1の電極端子12として複数個表出され、当該第1の電極端子12により囲繞された領域には、支持基板11の導電層の一部として第2の電極端子14が複数個表出している。
【0206】
更に、当該第2の電極端子14により囲繞された領域には、エポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる第2の接着剤43が被着されている。
【0207】
一方、第2の半導体素子31は、その他方の主面(裏面、電子回路非形成面)が、所定の温度に加熱されたボンディングツール81に、吸着孔82を介して吸着保持されている。
【0208】
当該第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32には、外部接続端子33が配設されている。当該外部接続端子33としては、ワイヤボンディング技術を用いた所謂ボールボンディング法又は電解めっき法により形成される金属バンプ、或いは電解めっき法、転写法、又は印刷法等により形成される半田バンプが適用される。
【0209】
そして、第2の半導体素子31の外部接続端子33と、支持基板11の第2の電極端子14とを対向させ、位置合わせを行う。
【0210】
しかる後、ボンディングツール81を降下せしめ、第2の半導体素子31の外部接続端子33を、支持基板11に於ける第2の電極端子14に押し付け、接触させる。そして当該ボンディングツール81により第2の半導体素子31の外部接続端子33に所定の荷重を印加し、当該外部接続端子33を支持基板11上の第2の電極端子14に接続する。これと同時に、当該ボンディングツール81からの加熱により、前記接着剤43を、第2の半導体素子31の主面(電子回路形成面、支持基板11との対向面)全域に流動せしめ、第2の半導体素子31と支持基板11との間、更には当該の半導体素子31の側面外周部に至らしめる。
【0211】
そして、当該ボンディングツール81からの加熱により、接着剤43を熱硬化せしめる。(図17(b)参照)
これにより、第2の半導体素子31の、支持基板11上へのフリップチップ実装がなされる。
【0212】
しかる後、ボンディングツール81の吸引を解除して、当該ボンディングツール81を上昇させる。(図17(c)参照)
次いで、前記支持基板11に対し、前記第2の半導体素子31に重畳して、第1の半導体素子21をフリップチップ実装する。
【0213】
当該支持基板11上へ、第1の半導体素子21をフリップチップ実装する工程を、図18乃至図19に示す。
【0214】
此処では、当該フリップチップ実装法として、第1の半導体素子21を、第1の接着剤41を介在させつつ支持基板11上に熱圧着する。当該フリップチップ実装法としては、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツールにより加熱及び加圧を行う限り、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、或いは異方性導電性樹脂を用いた接続法等を適用することができる。
【0215】
先ず、ボンディングステージ91上に、吸着孔92を介して、被処理支持基板11を吸着保持する。
【0216】
本発明の実施の形態に於いても、その特徴的構成として、当該ボンディングステージ91の上面には凹部93が選択的に配設されている。
【0217】
当該凹部93は、前記第2の半導体素子31が、支持基板11の一部と共に受容されることが可能な平面形状、寸法、ならびに深さを有する。
【0218】
そして、支持基板11は、前記第2の半導体素子31が凹部93の略中央部に位置するように、ボンディングステージ65上に吸着・保持される。当該支持基板11が搭載されたボンディングステージ65は、50℃乃至100℃に加熱されている。
【0219】
尚、前記凹部93の、底面ならびにこれに続く内側面(側壁面)は、その断面形状が、凹部の底面から上面に至る、且つ当該凹部93の内方に向けて凸状を有する円弧状とされている。この様な円弧状とすることにより、凹部93は上方に開かれた内側面を有することから、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該凹部93の内側面に接しても当該支持基板11の特定部位に応力が集中することを抑制・低減することができ、当該支持基板11に形成されている配線層に損傷を与えることを生じない。
【0220】
また、当該凹部93の底部は平坦であり、その深さは、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該支持基板11の下側表面が、当該凹部93の底面に接することができる深さに設定される。これにより、当該支持基板11の撓み量が制限され、且つ当該支持基板11の下側表面は平坦面をもって形成される。
【0221】
尚、凹部93の内側面(側壁面)の形状は、上記形態に限られず、前記図14に示す形態を適用することもできる。
【0222】
そして、ボンディングステージ91上に吸着・保持された支持基板11の上面に於ける、複数の第1の電極端子12により囲繞された領域には、第2の半導体素子31を覆って、例えばエポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる接着剤41が被着される。(図18(d)参照)
かかる接着剤41の被覆は、前記ボンディングステージ91上に於いて、第2の半導体素子31の支持基板11上へのフリップチップ実装がなされ後に、これに連続して行われても良い。
【0223】
一方、第1の半導体素子21は、その他方の主面(裏面・電子回路非形成面)が、所定の温度(270℃乃至300℃)に加熱されたボンディングツール86に、吸着孔87を介して、吸着・保持される。
【0224】
また、当該第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22には、凸状の外部接続端子24が配設されている。
【0225】
そして、当該第1の半導体素子21の電子回路形成面であって、第1の外部接続用端子パッド22に囲繞された領域には、例えばポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、又はエポキシ系樹脂を主体とする材料から適宜選択された、弾性を有する絶縁層25が配設されている。当該絶縁層25の厚さは、1μm乃至15μmに設定される。
【0226】
次いで、第1の半導体素子21の外部接続端子24と、前記支持基板11の第1の電極端子12とを対向させ、位置合わせを行う。
【0227】
この時、当該第1の半導体素子21は、前記第2の半導体素子21上に位置し、その主面(電子回路形成面)は、第2の半導体素子31の裏面(電子回路非形成面)と対向する。そして、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触するまで、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下せしめる(矢印L)。(図18(e)参照)(位置制御による第1の押圧)
これにより、第1の半導体素子21の外部接続端子24には、ボンディングツール75により所定の荷重が印加され、当該第1の半導体素子21の外部接続端子24は、支持基板11の電極端子12に接続される。この時、同時に、当該第1の半導体素子21は、その表面に配設された絶縁層25を介して第2の半導体素子31の裏面を押圧する。
【0228】
従って、ボンディングツール75の下降に伴う押圧力は、当該第1の半導体素子21、第2の半導体素子31及び接着剤41を介して支持基板11に印可される。
【0229】
即ち、かかる押圧力により、支持基板11は、少なくとも第2の半導体素子31搭載部及びその周囲が、前記ボンディングステージ91に於ける凹部93内へ押圧され、伸長する。
【0230】
また、この時、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツール86は、所定温度に加熱されている。
【0231】
当該ボンディングツール86に於ける熱は、第1の半導体素子21及び第2の半導体素子31を介して、支持基板11に伝導される。従って、支持基板11は局所的に加熱され、局所的な熱膨張が発生・進行し、当該支持基板11は、前記凹部93内に容易に伸長し、撓む。
【0232】
また、更に、支持基板11上に配設されている前記接着剤41は、支持基板11と第2の半導体素子31との接触により伝導されたボンディングツール86からの熱により、粘度が低下し、その流動性が向上する。よって、当該接着剤41は、支持基板11と第1の半導体素子21との間に於いて、第1の半導体素子21の全面領域に押し広げられ、流動し、且つ熱硬化が進行する。
【0233】
尚、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触し、更に当該第1の半導体素子21の支持基板11に対するフリップチップ実装が完了する迄、荷重センサ(図示せず)により検出される荷重を制御する。(図19(f)参照)(荷重制御による第2の押圧)
前述の如く、第1の半導体素子21の電子回路形成面上に配設された絶縁層25は弾性を有する。従って、フリップチップ実装がなされる際、第1の半導体素子21の電子回路形成面に荷重が印可されても、当該電子回路形成面に損傷などが生ずることが防止される。即ち、当該絶縁層25は、第1の半導体素子21が、第2の半導体素子31に重畳して支持基板11上にフリップチップ実装される際、第2の半導体素子31の裏面などから第1の半導体素子21の電子回路形成面に作用する応力を緩和する応力緩和層として機能する。
【0234】
前記支持基板11への第1の半導体素子21の実装がなされると、当該支持基板11に於いてはボンディングステージ91の凹部93に於いて、撓んだ形状を維持した状態をもって、接着剤41は硬化する。かかる接着剤41の接着力及び硬化収縮力により、外部接続端子24を介しての第1の半導体素子31と支持基板11との接続は維持される。
【0235】
次いで、ボンディングツール86の吸引を解除し、当該ボンディングツール86を上昇させる(矢印M)。(図19(g)参照)
しかる後、支持基板11の他方の主面(裏面)に選択的に設けられた導電層に、半田を主体とする球状電極端子等の外部接続端子13を複数個配設し、前記図4に示す半導体装置200が形成される。
【0236】
この様に、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、ボンディングツール86による支持基板11に対する加圧が、凹部93を具備して当該支持基板11を支持するボンディングステージ91上に於いて、当該支持基板11に対しフリップチップ実装される第1の半導体素子21、ならびに同様に支持基板11に対してフリップチップ実装された第2の半導体素子31を介して行われる。これにより、当該支持基板11は、前記凹部93上に於いて局所的に加圧される。また、当該支持基板11は、ボンディングツール86から第1の半導体素子21ならびに第2の半導体素子31を介して伝導される熱により局所的に加熱される。
【0237】
この結果、当該支持基板11は、ボンディングステージ91の凹部93内に於いて、伸長し、撓みを生じる。即ち、かかる局所的加圧ならびに加熱によって生ずる支持基板11の局所的な伸長及び撓みによって、当該支持基板11には、第2の半導体素子31を受容することが可能な凹部Sが形成される。かかる凹部Sは、第2の半導体素子31をその厚さ方向に受容することから、当該支持基板11上に第2の半導体素子31を含む二つの半導体素子が積層状態をもって配置される状態であっても、実質的に第2の半導体素子31の全厚さに相当する厚さ(高さ)の増加がもたらされない。
【0238】
即ち、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、第1の半導体素子21及び第2の半導体素子31という複数の半導体素子を具備し、且つ薄型化及び小型化が要求される半導体装置を、簡易な工程で製造することができ、製造コスト化の低下を図ることができる。
【0239】
更に、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下せしめ第1の半導体素子21に配設された外部接続端子24を、支持基板11上の第1の電極端子12に接触させ、その後、当該ボンディングツール86の荷重を制御して外部接続端子24に荷重を付与する。この様な加圧・荷重の印可により、当該外部接続端子24は支持基板11の第1の電極端子12に確実に接続され、接続信頼性の高い実装構造を得ることができる。
【0240】
尚、支持基板11に対する第2の半導体素子31のフリップチップ実装の完了後、ポストキュア処理を施して、第2の半導体素子31と支持基板11との間に配設された接着剤43の硬化を行ってもよい。
【0241】
また、本製造方法に於いても、ボンディングステージ91に配設された凹部93の底部に、吸引機構に接続された吸引孔94を配設し、当該凹部93内を排気して減圧しつつ、支持基板11上に第1の半導体素子21をフリップチップ実装することができる。
【0242】
(半導体装置300の製造方法)
前記本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置300の製造方法について、図20乃至図22を参照して説明する。尚、図20乃至図22に於いては、前記図9乃至図11で示した部位に対応する部位には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0243】
当該半導体装置300の製造にあたっては、予め支持基板11上の第2の電極端子15に、受動部品51を接続する。かかる実装工程を図20に示す。
【0244】
即ち、その一方の主面に、導電層の一部が第1の電極端子12として複数個配設され、当該第1の電極端子12により囲繞された領域に、第2の電極端子15が複数個配設された支持基板11が形成される。(図20(a)参照)
そして、当該第の電極端子15には、例えば銀(Ag)ペースト樹脂を、メタルマスクを用いた印刷法により被着することにより導電部材52を配設する。(図20(b)参照)
当該銀(Ag)ペースト樹脂の被着は、当該銀(Ag)ペースト樹脂をノズルから吐出させる方法を適用してもよい。尚、当該導電部材52としては、銀(Ag)ペースト樹脂の他、エポキシ系樹脂又はシリコン系樹脂等に、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、若しくはカーボンブラック等の導電性微粒子を含有させた導電性接着剤、又は錫(Sn)−銀(Ag)半田若しくは錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)半田等の半田を適用することもできる。
【0245】
次いで、所謂チップマウンター等を用い、所望の受動部品51を、前記導電部材52を介して、支持基板11上の第2の電極端子15に実装・固着する。(図20(c)参照)
当該受動部品51は、板状又は柱状を呈する所謂チップ部品であり、バイパスコンデンサとして機能する容量素子、ノイズフィルタとして機能するインダクタ素子、或いは抵抗素子などであって、半導体素子21の回路構成、機能に対応して選択される。当該受動部品51は、絶縁性の素体部51a及び当該素体部51aの両端或いは一主面上に設けられた複数個の電極端子51bを具備する。
【0246】
即ち、当該受動部品51の電極端子51bと支持基板11の第2の電極端子15は、導電部材52を介して電気的・機械的に接続される。
【0247】
しかる後、オーブン等による加熱又は紫外線の照射等により、前記導電部材52を硬化せしめ、支持基板11への受動素子部品51の実装がなされる。(図20(d)参照)
本製造方法にあっては、この様に受動部品51が実装された支持基板11上に、半導体素子21をフリップチップ実装する。
【0248】
当該半導体素子21を、支持基板11上にフリップチップ実装する工程を図21及び図22に示す。
【0249】
此処では、当該フリップチップ実装法として、半導体素子21を、第1の接着剤41を介在させつつ支持基板11上に熱圧着する方法を用いる。当該フリップチップ実装法としては、半導体素子21を吸着保持するボンディングツールにより加熱及び加圧を行う限り、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、或いは異方性導電性樹脂を用いた接続法等を適用することができる。
【0250】
先ず、ボンディングステージ91上に、吸着孔92を介して、被処理支持基板11を吸着保持する。
【0251】
本発明の実施の形態に於ける特徴的構成として、当該ボンディングステージ91の上面には凹部93が配設されている。当該凹部93は、前記受動部品51が、支持基板11の一部と共に受容されることが可能な平面形状、寸法、ならびに深さを有する。
【0252】
前記支持基板11は、受動部品51が当該凹部93の略中央部に位置するように、ボンディングステージ65上に吸着・保持される。当該支持基板11が搭載されたボンディングステージ65は、50℃乃至100℃に加熱されている。
【0253】
尚、前記凹部93の、底面ならびにこれに続く内側面(側壁面)は、その断面形状が、凹部の底面から上面に至る、且つ当該凹部93の内方に向けて凸状を有する円弧状とされている。この様な円弧状とすることにより、凹部93は上方に開かれた内側面を有することから、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該凹部93の内側面に接しても当該支持基板11の特定部位に応力が集中することを抑制・低減することができ、当該支持基板11に形成されている配線層に損傷を与えることを生じない。
【0254】
また、当該凹部93の底部は平坦であり、その深さは、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該支持基板11の下側表面が、当該凹部93の底面に接することができる深さに設定される。これにより、当該支持基板11の撓み量が制限され、且つ当該支持基板11の下側表面は平坦面をもって形成される。
【0255】
尚、凹部93の内側面(側壁面)の形状は、上記形態に限られず、前記図14に示す形態を適用することもできる。
【0256】
そして、ボンディングステージ91上に吸着・保持された支持基板11の上面に於いて、複数の第1の電極端子12により囲繞された領域に於いては、受動部品51を覆って、例えばエポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる第1の接着剤41が被着される。(図21(e)参照)
かかる第1の接着剤41の被覆は、前記ボンディングステージ91上に於いて、受動部品51の支持基板11上への実装がなされ後に、これに連続して行われても良い。
【0257】
一方、前記半導体素子21は、その他方の主面(裏面・電子回路非形成面)が、所定の温度(270℃乃至300℃)に加熱されたボンディングツール86に、吸着孔87を介して吸着・保持される。
【0258】
尚、当該半導体素子21の外部接続用端子パッド22には、凸状の外部接続端子24が配設されている。
【0259】
そして、当該半導体素子21の電子回路形成面であって、外部接続用端子パッド22に囲繞された領域には、例えばポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、又はエポキシ系樹脂を主体とする材料から適宜選択された、弾性を有する絶縁層25が配設されている。当該絶縁層25の厚さは、1μm乃至15μmに設定される。
【0260】
次いで、当該半導体素子21の外部接続端子24と、前記支持基板11の第1の電極端子15とを対向させ、位置合わせを行う。
【0261】
この時、半導体素子21は、前記受動部品51上に位置し、その主面(電子回路形成面)は、受動部品51と対向する。そして、当該半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触するまで、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下せしめる(矢印N)。(図21(f)参照)(位置制御による第1の押圧)
これにより、半導体素子21の外部接続端子24には、ボンディングツール86により所定の荷重が印加され、当該半導体素子21の外部接続端子24は支持基板11の電極端子12に接続される。この時、同時に、当該半導体素子21は、その表面に配設された絶縁層25を介して前記受動部品51を押圧する。
【0262】
従って、ボンディングツール86の下降に伴う押圧力は、当該半導体素子21、受動部品51及び第1の接着剤41を介して支持基板11に印可される。
【0263】
即ち、かかる押圧力により、支持基板11は、少なくとも受動部品51搭載部及びその周囲が、前記ボンディングステージ91に於ける凹部93内へ押圧され、伸長する。
【0264】
また、この時、ボンディングツール86は、所定温度に加熱されている。
【0265】
当該ボンディングツール86に於ける熱は、半導体素子21及び受動部品51を介して、支持基板11に伝導される。従って、支持基板11は局所的に加熱され、局所的な熱膨張が発生・進行し、当該支持基板11は前記凹部93内に容易に伸長し、撓む。
【0266】
一方、前記支持基板11上に配設されている接着剤41は、当該支持基板11と半導体素子21との接触により伝導されたボンディングツール86からの熱により、粘度が低下し、その流動性が高まる。この為、当該接着剤41は、支持基板11と半導体素子21との間に於いて、当該半導体素子21の支持基板11への対向面全域に押し広げられ、且つ熱硬化が進行する。
【0267】
尚、半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触し、更に当該半導体素子21の支持基板11に対するフリップチップ実装が完了する迄、荷重センサ(図示せず)により検出される荷重を制御する。(図22(g)参照)(荷重制御による第2の押圧)
前述の如く、半導体素子21の電子回路形成面上に配設された絶縁層25は弾性を有する。従って、フリップチップ実装がなされる際、当該半導体素子21の電子回路形成面に荷重が印可されても、当該電子回路形成面に損傷などが生ずることが防止される。即ち、当該絶縁層25は、半導体素子21が、受動部品51に重畳して支持基板11上にフリップチップ実装される際、受動部品51などから半導体素子21の電子回路形成面に作用する応力を緩和する応力緩和層として機能する。
【0268】
前記支持基板11への半導体素子21の実装がなされると、当該支持基板11に於いてはボンディングステージ91の凹部93に於いて、撓んだ形状を維持した状態をもって、接着剤41は硬化する。かかる接着剤41の接着力及び硬化収縮力により、外部接続端子24を介した半導体素子21と支持基板11との接続は維持される。
【0269】
次いで、ボンディングツール86の吸引を解除し、当該ボンディングツール86を上昇させる(矢印O)。(図22(h)参照)
しかる後、支持基板11の他方の主面(裏面)に選択的に設けられた導電層に、半田を主体とする球状電極端子等の外部接続端子13を複数個配設し、前記図7に示す半導体装置300が形成される。
【0270】
この様に、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、ボンディングツール86による支持基板11に対する加圧が、凹部93を具備して当該支持基板11を支持するボンディングステージ91上に於いて、当該支持基板11に対しフリップチップ実装される半導体素子21ならびに当該支持基板11に実装された受動部品51を介して行われる。これにより、当該支持基板11は、前記凹部93上に於いて局所的に加圧される。また、当該支持基板11は、ボンディングツール86から半導体素子21ならびに受動部品41を介して伝導される熱により局所的に加熱される。
【0271】
この結果、当該支持基板11は、ボンディングステージ91の凹部93内に於いて伸長し、撓みを生じる。即ち、かかる局所的加圧ならびに加熱によって生ずる支持基板11の局所的な伸長及び撓みによって、当該支持基板11には、受動部品51を受容することが可能な凹部Sが形成される。かかる凹部Sは、受動部品51をその厚さ方向に受容することから、当該支持基板11上に受動部品51ならびに半導体素子21が積層状態をもって配置される状態であっても、実質的に受動部品51の全厚さに相当する厚さ(高さ)の増加がもたらされない。
【0272】
即ち、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、半導体素子21及び受動部品51という複数の電子部品を具備し、且つ薄型化及び小型化が要求される半導体装置を、簡易な工程で製造することができ、製造コスト化の低下を図ることができる。
【0273】
更に、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下して半導体素子21に形成された外部接続端子24を、支持基板11の第1の電極端子12に接触させ、その後、ボンディングツール86の荷重を制御して外部接続端子24に荷重を付与しているため、該荷重により確実に支持基板11の第1の電極端子12に接続することができる。よって、接続信頼性の高い実装構造を得ることができる。
【0274】
尚、本製造方法に於いても、ボンディングステージ91に配設された凹部93の底面に吸引機構に接続された吸引孔94を配設し、当該凹部93内を排気して減圧しつつ、支持基板11上に半導体素子21をフリップチップ実装することができる。
【0275】
(半導体装置400の製造方法)
前記本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置400の製造方法について、図23乃至図25を参照して説明する。尚、図23乃至図25に於いても、前記図9乃至図11で示した部位と対応する部位には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0276】
当該半導体装置400の製造にあたっては、予め、支持基板11上に第2の半導体素子31を所謂フェイスアップ状態をもって搭載し、更に当該第2の半導体素子31を樹脂封止する。かかる実装・封止工程を図23に示す。
【0277】
即ち、その一方の主面に、導電層の一部が第1の電極端子12として複数個表出され、当該第1の電極端子12により囲繞された領域に、第4の電極端子16が複数個表出して配設された支持基板11が形成される。(図23(a)参照)
次いで、当該支持基板11上の、前記第4の電極端子16により囲繞された領域に、ダイボンド材61を介して、第2の半導体素子31をその主面(電子回路形成面)を上にして実装・固着する。(図23(b)参照)
当該第2の半導体素子31の主面には、電子回路形成部を囲繞する如く、外部接続用端子パッド32が配設されている。この時、当該第2の半導体素子31の固着(ダイボンディング)には所謂ダイボンダが用いられ、またダイボンド材61としては、ポリイミド系樹脂又はエポキシ系樹脂等を主体とする材料が適用される。
【0278】
次いで、第2の半導体素子31の回路形成面に形成された外部接続用端子パッド32と、支持基板11に於ける前記第4の電極端子16との間を、金(Au)、銅(Cu)等の金属を主体とするボンディングワイヤ34により接続する。(図23(c)参照)
尚、前記第2の半導体素子31の外部接続用端子パッド32の表面には、予め、例えば下層から順に、ニッケル(Ni)/金(Au)の2層めっき層を、無電解めっき法等により配設しておいてもよい。
【0279】
しかる後、トランスファ成形法若しくは圧縮成形法等の樹脂モールド成形法、或いはポッティング法などを適用し、封止用樹脂62を用いて、第2の半導体素子31、ボンディングワイヤ34及び第4の電極端子16を樹脂封止する。(図23(d)参照)
封止用樹脂62としては、例えばエポキシ系樹脂を主体とする材料を適用することができる。
【0280】
本製造方法にあっては、この様に第2の半導体素子31が所謂フェイスアップの状態で実装され、更に当該第2の半導体素子31がボンディングワイヤ62などと共に樹脂封止されてなる支持基板11上に、第1の半導体素子21をフリップチップ実装する。
【0281】
当該第1の半導体素子21を支持基板11上にフリップチップ実装する工程を、図24及び図25に示す。
【0282】
此処では、当該フリップチップ実装法として、第1の半導体素子21を、第1の接着剤41を介在させつつ支持基板11上に熱圧着する方法を用いる。当該フリップチップ実装法としては、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツールにより加熱及び加圧を行う限り、接着剤を介在させながら熱圧着する方法、半田付け(ろう付け)による接合法、熱圧着法、或いは異方性導電性樹脂を用いた接続法等を適用することができる。
【0283】
先ず、ボンディングステージ91上に、吸着孔92を介して、被処理支持基板11を吸着保持する。
【0284】
本発明の実施の形態に於ける特徴的構成として、当該ボンディングステージ91の上面には凹部93が配設されている。当該凹部93は、前述の如く樹脂封止された第2の半導体素子31が、支持基板11の一部と共に受容されることが可能な平面形状、寸法、ならびに深さを有する。
【0285】
前記支持基板11は、樹脂封止された第2の半導体素子31が当該凹部93の略中央部に位置するように、ボンディングステージ91上に吸着・保持される。当該支持基板11が搭載されたボンディングステージ91は、50℃乃至100℃に加熱されている。
【0286】
尚、前記凹部93の、底面ならびにこれに続く内側面(側壁面)は、その断面形状が、凹部の底面から上面に至る、且つ当該凹部93の内方に向けて凸状を有する円弧状断面を有する。この様な円弧状断面を呈することにより、凹部93は上方に開かれた内側面を有することから、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該凹部93の内側面に接しても当該支持基板11の特定部位に応力が集中することを抑制・低減することができ、当該支持基板11に形成されている配線層に損傷を与えることを生じない。
【0287】
また、当該凹部93の底部は平坦であり、その深さは、前記支持基板11が伸長し撓む際、当該支持基板11の下側表面が、当該凹部93の底面に接することができる深さに設定される。これにより、当該支持基板11の撓み量が制限され、且つ当該支持基板11の下側表面は平坦面をもって形成される。
【0288】
尚、凹部93の内側面(側壁面)の形状は、上記形態に限られず、前記図14に示す形態を適用することもできる。
【0289】
そして、ボンディングステージ91上に吸着・保持された支持基板11の上面に於いて、複数の第1の電極端子12により囲繞された領域に於いては、樹脂封止された第2の半導体素子31を覆って、例えばエポキシ系樹脂を主体とする熱硬化性材料からなる第1の接着剤41が被覆される。(図24(e)参照)
かかる第1の接着剤41の被覆は、前記ボンディングステージ91上に於いて、第2の半導体素子31を含む樹脂封止部の形成がなされ後に、これに連続して行われても良い。
【0290】
一方、第1の半導体素子21は、その他方の主面(裏面・電子回路非形成面)が、所定の温度(270℃乃至300℃)に加熱されたボンディングツール86に、吸着孔87を介して吸着・保持される。
【0291】
尚、当該第1の半導体素子21の第1の外部接続用端子パッド22には、凸状の外部接続端子24が配設されている。
【0292】
そして、当該第1の半導体素子21の電子回路形成面であって、第1の外部接続用端子パッド22に囲繞された領域には、例えばポリイミド系樹脂、シリコン系樹脂、又はエポキシ系樹脂を主体とする材料から適宜選択された、弾性を有する絶縁層25が配設されている。当該絶縁層25の厚さは、1μm乃至15μmに設定される。
【0293】
次いで、第1の半導体素子21の外部接続端子24と、前記支持基板11の第1の電極端子12とを対向させ、位置合わせを行う。
【0294】
この時、当該第1の半導体素子21は、前記第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62上に位置し、その主面(電子回路形成面)は、当該封止樹脂62と対向する。そして、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触するまで、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下せしめる(矢印P)。(図24(f)参照)(位置制御による第1の押圧)
これにより、第1の半導体素子21の外部接続端子24には、ボンディングツール86により所定の荷重が印加され、当該第1の半導体素子21の外部接続端子24は支持基板11の電極端子12に接続される。この時、同時に、当該第1の半導体素子21は、その表面に配設された絶縁層25を介して前記第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62を押圧する。
【0295】
従って、ボンディングツール75の下降に伴う押圧力は、当該第1の半導体素子21、第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62、第2の半導体素子31及び第1の接着剤41を介して、支持基板11に印可される。
【0296】
即ち、かかる押圧力により、支持基板11は、少なくとも第2の半導体素子31の直下、当該半導体素子31を覆う封止樹脂62の直下及びその周囲が、前記ボンディングステージ91に於ける凹部93内へ押圧され、伸長する。
【0297】
また、この時、第1の半導体素子21を吸着保持するボンディングツール86は、所定温度に加熱されている。
【0298】
当該ボンディングツール86に於ける熱は、第1の半導体素子21、第2の半導体素子31ならびに当該第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62を介して、支持基板11に伝導される。従って、支持基板11は局所的に加熱され、局所的な熱膨張が発生・進行し、当該支持基板11は、ボンディングステージ91に於ける凹部93内に容易に伸長し、撓む。
【0299】
また、更に、支持基板11上に配設されている第1の接着剤41は、支持基板11と第2の半導体素子31を含む樹脂封止部との接触により伝導されたボンディングツール86からの熱により、粘度が低下し、その流動性が向上する。よって、当該第1の接着剤41は、支持基板11と第1の半導体素子21との間に於いて、第1の半導体素子21の支持基板11への対向面全域に押し広げられ流動し、且つ熱硬化が進行する。
【0300】
尚、第1の半導体素子21に於ける外部接続端子24が、支持基板11の第1の電極端子12に接触し、更に当該第1の半導体素子21の支持基板11に対するフリップチップ実装が完了する迄、荷重センサ(図示せず)により検出される荷重を制御する。(図25(g)参照)(荷重制御による第2の押圧)
前述の如く、第1の半導体素子21の電子回路形成面上に配設された絶縁層25は弾性を有する。従って、フリップチップ実装がなされる際、第1の半導体素子21の電子回路形成面に荷重が印可されても、当該電子回路形成面に損傷などが生ずることが防止される。即ち、当該絶縁層25は、第1の半導体素子21が、第2の半導体素子31を含む樹脂封止部に重畳して支持基板11上にフリップチップ実装される際、第2の半導体素子31を含む樹脂封止部などから第1の半導体素子21の電子回路形成面に作用する応力を緩和する応力緩和層として機能する。
【0301】
前記支持基板11への第1の半導体素子21の実装がなされると、当該支持基板11に於いてはボンディングステージ91の凹部93に於いて、撓んだ形状を維持した状態をもって、第1の接着剤41が硬化する。かかる第1の接着剤41の接着力及び硬化収縮力により、外部接続端子24を介した第1の半導体素子21と支持基板11との接続は維持される。
【0302】
次いで、ボンディングツール86の吸引を解除し、ボンディングツール75を上昇させる(矢印Q)。(図25(h)参照)
しかる後、支持基板11の他方の主面(裏面)に選択的に設けられた導電層に、半田を主体とする球状電極端子等の外部接続端子13を複数個配設し、前記図8に示す半導体装置400が形成される。
【0303】
この様に、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、ボンディングツール86による支持基板11に対する加圧が、凹部93を具備して当該支持基板11を支持するボンディングステージ91上に於いて、当該支持基板11に対しフリップチップ実装される第1の半導体素子21、当該支持基板11にフェイスアップ状態をもって実装された第2の半導体素子31ならびに当該第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62を介して行われる。これにより、当該支持基板11は、前記凹部93上に於いて局所的に加圧される。
【0304】
また、当該支持基板11は、ボンディングツール86から第1の半導体素子21、第2の半導体素子31ならびに当該第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62を介して伝導される熱により局所的に加熱される。この結果、当該支持基板11は、ボンディングステージ91の凹部93内に於いて局所的に伸長し、撓みを生じる。
【0305】
即ち、かかる局所的加圧ならびに加熱によって生ずる支持基板11の局所的な伸長及び撓みによって、当該支持基板11には、前記第2の半導体素子31を含む樹脂封止部を受容することが可能な凹部Sが形成される。かかる凹部Sは、第2の半導体素子31ならびに当該第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62をその厚さ方向に受容することから、当該支持基板11上に第2の半導体素子31、当該第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62ならびに第1の半導体素子21が積層状態をもって配置される状態であっても、実質的に第2の半導体素子31ならびに第2の半導体素子31を覆う封止樹脂62の全厚さに相当する厚さ(高さ)の増加がもたらされない。
【0306】
即ち、本実施の形態に於ける製造方法にあっては、第1の半導体素子21及び第2の半導体素子31という複数の半導体素子を具備し、且つ薄型化及び小形化が要求される半導体装置を、簡易な工程で製造することができ、製造コスト化の低下を図ることができる。
【0307】
更に、ボンディングツール86を、その高さ位置を制御しながら降下して第1の半導体素子21に形成された外部接続端子24を、支持基板11の第1の電極端子12に接触させ、その後、ボンディングツール86の荷重を制御して外部接続端子24に荷重を付与しているため、該荷重により確実に支持基板11の第1の電極端子12に接続することができる。よって、接続信頼性の高い実装構造を得ることができる。
【0308】
尚、本製造方法に於いても、ボンディングステージ91に配設された凹部93の底面に吸引機構に接続された吸引孔94を配設し、当該凹部93内を排気して減圧しつつ、支持基板11上に第1の半導体素子21をフリップチップ実装することができる。
【0309】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内に於いて、種々の変形及び変更が可能である。
【0310】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
支持基板と、
前記支持基板の一方の主面に搭載された第1の半導体素子と、
前記支持基板と前記第1の半導体素子との間に配置された電子部品と、
を具備し、
前記支持基板は、前記第1の半導体素子から離間する方向に変形して形成される凹部を有し、
前記電子部品は、その厚さの少なくとも一部が前記凹部に収容されて搭載されてなることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記支持基板は、前記第1の半導体素子とは反対側に撓んでおり、
前記凹部は、前記支持基板に撓みにより形成されていることを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記支持基板の前記凹部が形成される部分は、前記支持基板の他の部分と同じ厚さを有することを特徴とする付記1又は2記載の半導体装置。
(付記4)
前記凹部は、前記第1の半導体素子の前記支持基板への対向面よりも小さいことを特徴とする付記1乃至3のいずれか記載の半導体装置。
(付記5)
前記電子部品は、前記第1の半導体素子とは別体の第2の半導体素子であることを特徴とする付記1乃至4のいずれか記載の半導体装置。
(付記6)
前記第1の半導体素子は、外部接続端子を介して前記支持基板にフリップチップ実装され、
前記電子部品の厚さは、前記外部接続端子の高さよりも大きいことを特徴とする付記1乃至5いずれか記載の半導体装置。
(付記7)
前記第1の半導体素子と前記電子部品との間隙に、弾性を有する絶縁層が設けられていることを特徴とする付記6記載の半導体装置。
(付記8)
前記電子部品は、前記支持基板上に実装され、前記支持基板にワイヤボンディング接続され、樹脂封止されていることを特徴とする付記1乃至7いずれか記載の半導体装置。
(付記9)
前記支持基板と前記第1の半導体素子との前記間隙に接着剤が設けられ、前記支持基板と前記第1の半導体素子とは固着されていることを特徴とする付記1乃至9いずれか記載の半導体装置。
(付記10)
前記支持基板は、加熱により膨張するとともに可撓性を有することを特徴とする付記1乃至10いずれか記載の半導体装置。
(付記11)
支持基板の一方の主面に対して、電子部品を、第1の半導体素子を介して押圧し、前記支持基板を前記第1の半導体素子から離間する方向に変形させ、かかる変形により前記支持基板に形成された凹部に前記電子部品の少なくとも一部を収容せしめる工程を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記電子部品を前記支持基板に押圧するときに、前記支持基板を加熱することを特徴とする付記11記載の半導体装置の製造方法。
(付記13)
前記支持基板の一方の主面に前記第1の半導体素子を搭載する工程を具備することを特徴とする付記11又は12記載の半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記電子部品は、前記第1の半導体素子とは別体の第2の半導体素子であることを特徴とする付記11乃至13いずれか記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記支持基板は、上部に凹部が形成されたステージ上に搭載され、
前記支持基板は、局所的に加熱されると該凹部内に撓むことを特徴とする付記11記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)
前記ステージに形成された前記凹部の外周部分を画定する端部の断面は、上拡がり状の形状を有することを特徴とする付記15記載の半導体装置の製造方法。
(付記17)
前記ステージに形成された前記凹部は、前記支持基板が撓んだときに、前記支持基板の当該撓んだ箇所の下面が当該凹部の底面に接触することができる深さを有することを特徴とする付記15又は16記載の半導体装置の製造方法。
(付記18)
前記第1の半導体素子は、前記第1の半導体素子を吸着保持する治具により加熱され、
前記第1の半導体素子の熱は、前記第1の半導体素子に設けられ前記支持基板と前記第1の半導体素子とを接続する外部接続端子と前記電子部品とを介して、前記支持基板に伝導されることを特徴とする付記11乃至17いずれか記載の半導体装置の製造方法。
(付記19)
前記支持基板は、前記支持基板のガラス転移温度以上の温度に局所的に加熱されることを特徴とする付記11乃至18いずれか記載の半導体装置の製造方法。
(付記20)
支持基板と第1の半導体素子との間に第2の半導体素子を配置する工程と、
前記支持基板を加熱した状態で、前記第2の半導体素子を、前記第1の半導体素子を介して前記支持基板に押圧して、前記支持基板を局所的に撓ませる工程と、
前記支持基板を撓ませた状態で、前記支持基板に前記第1の半導体素子を固着する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0311】
100、200、300、400 半導体装置
11 支持基板
21,31 半導体素子
14、23 外部接続端子
24、25、33 接着剤
32 絶縁層
41 受動素子部品
51 ボンディングワイヤ
52 封止樹脂
60、65 ボンディングステージ
62、75 ボンディングツール
S 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板の一方の主面に対して、電子部品を、第1の半導体素子を介して押圧し、前記支持基板を前記第1の半導体素子から離間する方向に変形させ、かかる変形により前記支持基板に形成された凹部に前記電子部品の少なくとも一部を収容せしめる工程を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記電子部品を前記支持基板に押圧するときに、前記支持基板を加熱することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記支持基板の一方の主面に前記第1の半導体素子を搭載する工程を具備することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記電子部品は、前記第1の半導体素子とは別体の第2の半導体素子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記支持基板は、上部に凹部が形成されたステージ上に搭載され、
前記支持基板は、局所的に加熱されると該凹部内に撓むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ステージに形成された前記凹部の外周部分を画定する端部の断面は、上拡がり状の形状を有することを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ステージに形成された前記凹部は、前記支持基板が撓んだときに、前記支持基板の当該撓んだ箇所の下面が当該凹部の底面に接触することができる深さを有することを特徴とする請求項5又は6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の半導体素子は、前記第1の半導体素子を吸着保持する治具により加熱され、
前記第1の半導体素子の熱は、前記第1の半導体素子に設けられ前記支持基板と前記第1の半導体素子とを接続する外部接続端子と前記電子部品とを介して、前記支持基板に伝導されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記支持基板は、前記支持基板のガラス転移温度以上の温度に局所的に加熱されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
支持基板と第1の半導体素子との間に第2の半導体素子を配置する工程と、
前記支持基板を加熱した状態で、前記第2の半導体素子を、前記第1の半導体素子を介して前記支持基板に押圧して、前記支持基板を局所的に撓ませる工程と、
前記支持基板を撓ませた状態で、前記支持基板に前記第1の半導体素子を固着する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
支持基板の一方の主面に対して、電子部品を、第1の半導体素子を介して押圧し、前記支持基板を前記第1の半導体素子から離間する方向に変形させ、かかる変形により前記支持基板に形成された凹部に前記電子部品の少なくとも一部を収容せしめる工程を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記電子部品を前記支持基板に押圧するときに、前記支持基板を加熱することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記支持基板の一方の主面に前記第1の半導体素子を搭載する工程を具備することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記電子部品は、前記第1の半導体素子とは別体の第2の半導体素子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記支持基板は、上部に凹部が形成されたステージ上に搭載され、
前記支持基板は、局所的に加熱されると該凹部内に撓むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ステージに形成された前記凹部の外周部分を画定する端部の断面は、上拡がり状の形状を有することを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ステージに形成された前記凹部は、前記支持基板が撓んだときに、前記支持基板の当該撓んだ箇所の下面が当該凹部の底面に接触することができる深さを有することを特徴とする請求項5又は6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の半導体素子は、前記第1の半導体素子を吸着保持する治具により加熱され、
前記第1の半導体素子の熱は、前記第1の半導体素子に設けられ前記支持基板と前記第1の半導体素子とを接続する外部接続端子と前記電子部品とを介して、前記支持基板に伝導されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記支持基板は、前記支持基板のガラス転移温度以上の温度に局所的に加熱されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
支持基板と第1の半導体素子との間に第2の半導体素子を配置する工程と、
前記支持基板を加熱した状態で、前記第2の半導体素子を、前記第1の半導体素子を介して前記支持基板に押圧して、前記支持基板を局所的に撓ませる工程と、
前記支持基板を撓ませた状態で、前記支持基板に前記第1の半導体素子を固着する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−110442(P2013−110442A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−48059(P2013−48059)
【出願日】平成25年3月11日(2013.3.11)
【分割の表示】特願2008−153519(P2008−153519)の分割
【原出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年3月11日(2013.3.11)
【分割の表示】特願2008−153519(P2008−153519)の分割
【原出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
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