半導体装置及びその製造方法
【課題】ワイヤボンディングによるクラックが入りにくい半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板と、前記半導体基板の表面に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられた多孔質金属膜と、前記多孔質金属膜の上に設けられ、パッド領域を定義する開口部が設けられる保護膜と、前記開口部に対してワイヤボンディングされたワイヤと、を有する半導体装置とする。ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力は、多孔質金属膜の歪みにより、多孔質金属膜にほとんど吸収され、絶縁膜にクラックが入ることを防止する。
【解決手段】半導体基板と、前記半導体基板の表面に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられた多孔質金属膜と、前記多孔質金属膜の上に設けられ、パッド領域を定義する開口部が設けられる保護膜と、前記開口部に対してワイヤボンディングされたワイヤと、を有する半導体装置とする。ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力は、多孔質金属膜の歪みにより、多孔質金属膜にほとんど吸収され、絶縁膜にクラックが入ることを防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤボンディングにおいて使用されるパッドを備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパッドを備えた半導体装置について説明する。図9に従来の半導体装置のパッドの部分の断面図を示す。この例では、絶縁膜91の上面に設けられた最上層の金属膜92の上の保護膜93の開口部がパッドとして定義され、そのパッドに対し、ワイヤ94がワイヤボンディングされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平03−049231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のパッドを備えた半導体装置では、ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力により、金属膜92から形成されるパッドやパッド下の絶縁膜91にクラックが入ってしまう危険性があり、問題となっていた。
本発明は、上記問題の解決のためになされ、ワイヤボンディングによるクラックが入りにくい構造を有するパッドを備えた半導体装置及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、半導体基板と、前記半導体基板の表面に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられた多孔質金属膜と、前記多孔質金属膜の上に設けられ、パッド領域を定義する開口部が設けられる保護膜と、前記開口部に対してワイヤボンディングされるワイヤと、を有する半導体装置とする。
【0006】
また、本発明は、上記課題を解決するため、半導体基板の表面に絶縁膜を設ける工程と、前記絶縁膜の上に選択的に多孔質金属膜を設ける工程と、前記多孔質金属膜の上に保護膜を設ける工程と、パッド領域を定義する開口部を前記多孔質金属膜の上の前記保護膜に設ける工程と、前記開口部に対してワイヤをワイヤボンディングする工程と、を有する半導体装置の製造方法とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力は、多孔質金属膜の歪みにより、多孔質金属膜にほとんど吸収される。よって、この衝撃で発生した応力により多孔質金属膜の下の絶縁膜にクラックが入ることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】半導体装置を示す断面図である。
【図2】半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】半導体装置を示す断面図である。
【図4】半導体装置を示す断面図である。
【図5】半導体装置を示す断面図である。
【図6】半導体装置を示す断面図である。
【図7】半導体装置を示す断面図である。
【図8】半導体装置を示す断面図である。
【図9】従来の半導体装置を示す断面図である。
【図10】半導体装置の製造方法を示す部分断面図である。
【図11】半導体装置の部分断面図である。
【図12】半導体装置の部分断面図である。
【図13】半導体装置の部分断面図である。
【図14】半導体装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
まず、半導体装置の構成について説明する。図1は、半導体装置の実施例を示す断面図である。実施例で示した半導体装置は、半導体基板1、絶縁膜2、多孔質金属膜7、金属膜5、保護膜9、ワイヤ10、及び、封止樹脂11を備えている。
【0010】
半導体基板1の表面に絶縁膜2を設け、絶縁膜2の一部の表面上に選択的に多孔質金属膜7を設ける。多孔質金属膜7の上に金属膜5を設け、金属膜5の上に保護膜9を設ける。そして、この保護膜9に、金属膜5の表面の一部を露出させるよう開口部を設ける。保護膜9の開口部は、パッド領域を定義している。パッド領域に対してワイヤ10をワイヤボンディングにより接続する。その後、半導体装置を封止樹脂11で封止する。
【0011】
次に、図2用いてを多孔質金属膜7に係る半導体装置の製造方法を説明する。図2は、半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。
図2(A)に示すように、スパッタにより、金属膜3を絶縁膜2の上に成膜する。金属膜3の上にレジスト(図示せず)を塗布し、露光・現像により、レジストを選択的に残す。このレジストをマスクとし、金属膜3が金属膜3の膜厚分エッチングし、図2(B)に示すように、金属膜3にトレンチ4を形成し、その後、レジストを剥離する。
【0012】
その後、半導体装置の表面を約200Åの深さまでエッチングし、酸化膜を除去する。図2(C)に示すように、スパッタにより、トレンチ4を備える金属膜3の上に金属膜5を成膜する。この時、金属膜5は、トレンチ4の下部よりも上部の方で、厚く成膜していく。
図2(D)に示すように、トレンチ4に、空孔6を備える金属膜5を充填する。こうして、多孔質金属膜7を形成し、その上に金属膜5を形成する。
【0013】
次に、ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力の半導体装置への影響について説明する。
ワイヤボンディングをパッドに対して行うと、ワイヤボンディングの衝撃点を中心に、この衝撃で発生した応力により、図示しないが、多孔質金属膜7における複数の空孔6がワイヤボンディングの衝撃に応じた方向にそれぞれ潰れ、多孔質金属膜7は歪む。この時、多孔質金属膜7の歪みにより、発生した応力は、多孔質金属膜7にほとんど吸収される。一方、多孔質金属膜7と絶縁膜2との接合面はほとんど歪まないので、ワイヤボンディングの衝撃は絶縁膜2にほとんど影響しない。つまり、絶縁膜2にはワイヤボンディングの衝撃で発生した応力によるクラックが入りにくいことになる。
【0014】
[効果]このようにすると、ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力は、多孔質金属膜7の歪みにより、多孔質金属膜7にほとんど吸収される。このため、多孔質金属膜7の下の絶縁膜2にはこの衝撃で発生した応力によるクラックが入りにくくなる。
【0015】
[変形例1]図2(B)の形状を決定するレジストパターンを形成する際に適宜変更されたマスクを使用することにより、図3に示すように、多孔質金属膜7において、トレンチ4及び空孔6を備える空孔領域、及び、トレンチ4及び空孔6を備えない非空孔領域7aを設けることが可能である。この多孔質金属膜7の側面を覆うよう非空孔領域7aを設け、空孔領域と非空孔領域7aとの界面はパッド開口端またはパッド開口端よりも外側に位置させる。すなわち、非空孔領域7aの図上の半導体基板方向の厚みは、保護膜9と金属膜5とのオーバーラップ幅と同等に、または、それ以下に形成される。これにより、半導体製造プロセスでの保護膜9の形成工程において、非空孔領域7aの存在により、空孔6が露出することが無くなるので、空孔6の内部の汚染が無くなる。また、少なくともパッド領域の下方に多孔質金属膜7が存在するので、図1の半導体装置と同様に、クラックが多孔質金属膜7の下の絶縁膜2に入りにくい。
【0016】
[変形例2]図4に示すように、図2の(D)の金属膜5の全てがエッチングされた多孔質金属膜7を、金属膜5aの上に設けることが可能である。
[変形例3]図5に示すように、図4の半導体装置において、さらに非空孔領域7aを設けることが可能である。
[変形例4]図6に示すように、図2の(D)の金属膜5の全てがエッチングされた多孔質金属膜7を、絶縁膜2の上に設けることが可能である。
[変形例5]図7に示すように、図6の半導体装置において、さらに非空孔領域7aを設けりことが可能である。
【0017】
[変形例6]図8に示すように、図1の半導体装置において、金属膜5bの領域を多孔質金属膜7の領域よりも大きくすることが可能である。
[変形例7]金属膜3は、図2の(B)では、金属膜3の膜厚分エッチングされる。図示しないが、金属膜3の膜厚よりも浅くエッチングすることも可能である。
[変形例8]多孔質金属膜7を製造するときに、図示しないが、スパッタに用いるターゲットと半導体ウェハとの角度を30°〜80°にし、スパッタに用いるアルゴンガスのガス圧力の雰囲気を通常時よりも高い2Pa〜3Paにした状態で、金属膜を成膜することにより、多孔質金属膜7を形成することが可能である。
【0018】
[変形例9]図10〜図14は、本発明の半導体装置の多孔質金属膜7領域の膜構造及び製造方法を示す部分断面図である。図10は、絶縁膜2上に導電性ペースト16を塗布した状態を示している。導電性ペーストは複数の第1の金属ナノ粒子12と有機バインダー15の液状混合物で、その中に金属ナノ粒子12は分散している。これを焼成すると有機バインダーは分解し、真空雰囲気で脱ガスして、図11〜12に示すように複数の金属ナノ粒子12同士が接合する。そして、その粒子と粒子との間には粒子間空孔14が形成される。このようにして、金属ナノ粒子と粒子間空孔からなる多孔質金属膜7が形成される。ここで、多孔質金属膜7は少なくとも上下2層以上の金属ナノ粒子層から形成されることで多孔質と成りうる。
【0019】
図示していないが、上記のように形成された多孔質金属膜7の上に金属膜をスパッタ等の手法により堆積し、パターニングすることで電極パッドを形成し、次いで保護膜をCVD等により堆積し、開口部を設け、さらに開口部にワイヤボンディングすることで図1に示す半導体装置となる。
【0020】
図11〜図12では、ほぼ粒子径のそろった1山の粒子径(粒度)分布を有する金属ナノ粒子を含有する導電性ペーストを用いて多孔質金属膜を形成したが、図13〜図14には2山の粒子径分布を有する金属ナノ粒子を含む導電性ペーストから形成した多孔質金属膜7を示す。粒子径の大きい第1の金属ナノ粒子12に接して粒子径の小さい第2の金属ナノ粒子13を配することで、図11〜図12に図示した粒子間空孔よりも小さい粒子間空孔14が、より多く形成されることになる。上記構成とすることで、ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力は多孔質金属膜によって、より緩和されることになる。また、本構成であれば、金属粒子間の接点が増えることで、より緻密で低抵抗の電極パッドとすることができる。
【0021】
なお、図13のような配列とした場合は、第2の金属ナノ粒子13の粒子径は第1の金属ナノ粒子12の粒子径の(√2−1)≒0.41倍で、図14のような配列とした場合は、(2√3/3−1)≒0.15倍となる。よって、第2の金属ナノ粒子の粒子径は第1の金属ナノ粒子の粒子径の0.15倍以上であることが望ましい。
【符号の説明】
【0022】
1 半導体基板
2 絶縁膜
3 金属膜
4 トレンチ
5 金属膜
6 空孔
7 多孔質金属膜
9 保護膜
10 ワイヤ
11 封止樹脂
12 第1の金属ナノ粒子
13 第2の金属ナノ粒子
14 粒子間空孔
15 有機バインダー
16 導電性ペースト
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤボンディングにおいて使用されるパッドを備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパッドを備えた半導体装置について説明する。図9に従来の半導体装置のパッドの部分の断面図を示す。この例では、絶縁膜91の上面に設けられた最上層の金属膜92の上の保護膜93の開口部がパッドとして定義され、そのパッドに対し、ワイヤ94がワイヤボンディングされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平03−049231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のパッドを備えた半導体装置では、ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力により、金属膜92から形成されるパッドやパッド下の絶縁膜91にクラックが入ってしまう危険性があり、問題となっていた。
本発明は、上記問題の解決のためになされ、ワイヤボンディングによるクラックが入りにくい構造を有するパッドを備えた半導体装置及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、半導体基板と、前記半導体基板の表面に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられた多孔質金属膜と、前記多孔質金属膜の上に設けられ、パッド領域を定義する開口部が設けられる保護膜と、前記開口部に対してワイヤボンディングされるワイヤと、を有する半導体装置とする。
【0006】
また、本発明は、上記課題を解決するため、半導体基板の表面に絶縁膜を設ける工程と、前記絶縁膜の上に選択的に多孔質金属膜を設ける工程と、前記多孔質金属膜の上に保護膜を設ける工程と、パッド領域を定義する開口部を前記多孔質金属膜の上の前記保護膜に設ける工程と、前記開口部に対してワイヤをワイヤボンディングする工程と、を有する半導体装置の製造方法とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力は、多孔質金属膜の歪みにより、多孔質金属膜にほとんど吸収される。よって、この衝撃で発生した応力により多孔質金属膜の下の絶縁膜にクラックが入ることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】半導体装置を示す断面図である。
【図2】半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】半導体装置を示す断面図である。
【図4】半導体装置を示す断面図である。
【図5】半導体装置を示す断面図である。
【図6】半導体装置を示す断面図である。
【図7】半導体装置を示す断面図である。
【図8】半導体装置を示す断面図である。
【図9】従来の半導体装置を示す断面図である。
【図10】半導体装置の製造方法を示す部分断面図である。
【図11】半導体装置の部分断面図である。
【図12】半導体装置の部分断面図である。
【図13】半導体装置の部分断面図である。
【図14】半導体装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
まず、半導体装置の構成について説明する。図1は、半導体装置の実施例を示す断面図である。実施例で示した半導体装置は、半導体基板1、絶縁膜2、多孔質金属膜7、金属膜5、保護膜9、ワイヤ10、及び、封止樹脂11を備えている。
【0010】
半導体基板1の表面に絶縁膜2を設け、絶縁膜2の一部の表面上に選択的に多孔質金属膜7を設ける。多孔質金属膜7の上に金属膜5を設け、金属膜5の上に保護膜9を設ける。そして、この保護膜9に、金属膜5の表面の一部を露出させるよう開口部を設ける。保護膜9の開口部は、パッド領域を定義している。パッド領域に対してワイヤ10をワイヤボンディングにより接続する。その後、半導体装置を封止樹脂11で封止する。
【0011】
次に、図2用いてを多孔質金属膜7に係る半導体装置の製造方法を説明する。図2は、半導体装置の製造方法を示す模式断面図である。
図2(A)に示すように、スパッタにより、金属膜3を絶縁膜2の上に成膜する。金属膜3の上にレジスト(図示せず)を塗布し、露光・現像により、レジストを選択的に残す。このレジストをマスクとし、金属膜3が金属膜3の膜厚分エッチングし、図2(B)に示すように、金属膜3にトレンチ4を形成し、その後、レジストを剥離する。
【0012】
その後、半導体装置の表面を約200Åの深さまでエッチングし、酸化膜を除去する。図2(C)に示すように、スパッタにより、トレンチ4を備える金属膜3の上に金属膜5を成膜する。この時、金属膜5は、トレンチ4の下部よりも上部の方で、厚く成膜していく。
図2(D)に示すように、トレンチ4に、空孔6を備える金属膜5を充填する。こうして、多孔質金属膜7を形成し、その上に金属膜5を形成する。
【0013】
次に、ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力の半導体装置への影響について説明する。
ワイヤボンディングをパッドに対して行うと、ワイヤボンディングの衝撃点を中心に、この衝撃で発生した応力により、図示しないが、多孔質金属膜7における複数の空孔6がワイヤボンディングの衝撃に応じた方向にそれぞれ潰れ、多孔質金属膜7は歪む。この時、多孔質金属膜7の歪みにより、発生した応力は、多孔質金属膜7にほとんど吸収される。一方、多孔質金属膜7と絶縁膜2との接合面はほとんど歪まないので、ワイヤボンディングの衝撃は絶縁膜2にほとんど影響しない。つまり、絶縁膜2にはワイヤボンディングの衝撃で発生した応力によるクラックが入りにくいことになる。
【0014】
[効果]このようにすると、ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力は、多孔質金属膜7の歪みにより、多孔質金属膜7にほとんど吸収される。このため、多孔質金属膜7の下の絶縁膜2にはこの衝撃で発生した応力によるクラックが入りにくくなる。
【0015】
[変形例1]図2(B)の形状を決定するレジストパターンを形成する際に適宜変更されたマスクを使用することにより、図3に示すように、多孔質金属膜7において、トレンチ4及び空孔6を備える空孔領域、及び、トレンチ4及び空孔6を備えない非空孔領域7aを設けることが可能である。この多孔質金属膜7の側面を覆うよう非空孔領域7aを設け、空孔領域と非空孔領域7aとの界面はパッド開口端またはパッド開口端よりも外側に位置させる。すなわち、非空孔領域7aの図上の半導体基板方向の厚みは、保護膜9と金属膜5とのオーバーラップ幅と同等に、または、それ以下に形成される。これにより、半導体製造プロセスでの保護膜9の形成工程において、非空孔領域7aの存在により、空孔6が露出することが無くなるので、空孔6の内部の汚染が無くなる。また、少なくともパッド領域の下方に多孔質金属膜7が存在するので、図1の半導体装置と同様に、クラックが多孔質金属膜7の下の絶縁膜2に入りにくい。
【0016】
[変形例2]図4に示すように、図2の(D)の金属膜5の全てがエッチングされた多孔質金属膜7を、金属膜5aの上に設けることが可能である。
[変形例3]図5に示すように、図4の半導体装置において、さらに非空孔領域7aを設けることが可能である。
[変形例4]図6に示すように、図2の(D)の金属膜5の全てがエッチングされた多孔質金属膜7を、絶縁膜2の上に設けることが可能である。
[変形例5]図7に示すように、図6の半導体装置において、さらに非空孔領域7aを設けりことが可能である。
【0017】
[変形例6]図8に示すように、図1の半導体装置において、金属膜5bの領域を多孔質金属膜7の領域よりも大きくすることが可能である。
[変形例7]金属膜3は、図2の(B)では、金属膜3の膜厚分エッチングされる。図示しないが、金属膜3の膜厚よりも浅くエッチングすることも可能である。
[変形例8]多孔質金属膜7を製造するときに、図示しないが、スパッタに用いるターゲットと半導体ウェハとの角度を30°〜80°にし、スパッタに用いるアルゴンガスのガス圧力の雰囲気を通常時よりも高い2Pa〜3Paにした状態で、金属膜を成膜することにより、多孔質金属膜7を形成することが可能である。
【0018】
[変形例9]図10〜図14は、本発明の半導体装置の多孔質金属膜7領域の膜構造及び製造方法を示す部分断面図である。図10は、絶縁膜2上に導電性ペースト16を塗布した状態を示している。導電性ペーストは複数の第1の金属ナノ粒子12と有機バインダー15の液状混合物で、その中に金属ナノ粒子12は分散している。これを焼成すると有機バインダーは分解し、真空雰囲気で脱ガスして、図11〜12に示すように複数の金属ナノ粒子12同士が接合する。そして、その粒子と粒子との間には粒子間空孔14が形成される。このようにして、金属ナノ粒子と粒子間空孔からなる多孔質金属膜7が形成される。ここで、多孔質金属膜7は少なくとも上下2層以上の金属ナノ粒子層から形成されることで多孔質と成りうる。
【0019】
図示していないが、上記のように形成された多孔質金属膜7の上に金属膜をスパッタ等の手法により堆積し、パターニングすることで電極パッドを形成し、次いで保護膜をCVD等により堆積し、開口部を設け、さらに開口部にワイヤボンディングすることで図1に示す半導体装置となる。
【0020】
図11〜図12では、ほぼ粒子径のそろった1山の粒子径(粒度)分布を有する金属ナノ粒子を含有する導電性ペーストを用いて多孔質金属膜を形成したが、図13〜図14には2山の粒子径分布を有する金属ナノ粒子を含む導電性ペーストから形成した多孔質金属膜7を示す。粒子径の大きい第1の金属ナノ粒子12に接して粒子径の小さい第2の金属ナノ粒子13を配することで、図11〜図12に図示した粒子間空孔よりも小さい粒子間空孔14が、より多く形成されることになる。上記構成とすることで、ワイヤボンディングの衝撃で発生した応力は多孔質金属膜によって、より緩和されることになる。また、本構成であれば、金属粒子間の接点が増えることで、より緻密で低抵抗の電極パッドとすることができる。
【0021】
なお、図13のような配列とした場合は、第2の金属ナノ粒子13の粒子径は第1の金属ナノ粒子12の粒子径の(√2−1)≒0.41倍で、図14のような配列とした場合は、(2√3/3−1)≒0.15倍となる。よって、第2の金属ナノ粒子の粒子径は第1の金属ナノ粒子の粒子径の0.15倍以上であることが望ましい。
【符号の説明】
【0022】
1 半導体基板
2 絶縁膜
3 金属膜
4 トレンチ
5 金属膜
6 空孔
7 多孔質金属膜
9 保護膜
10 ワイヤ
11 封止樹脂
12 第1の金属ナノ粒子
13 第2の金属ナノ粒子
14 粒子間空孔
15 有機バインダー
16 導電性ペースト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜の上に設けられた多孔質金属膜と、
前記多孔質金属膜の上に設けられ、パッド領域を定義する開口部が設けられる保護膜と、
前記開口部に対してワイヤボンディングされるワイヤと、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記多孔質金属膜と前記保護膜との間に設けられる金属膜をさらに備えている請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁膜と前記多孔質金属膜との間に設けられる金属膜をさらに備えている請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記多孔質金属膜は、空孔を備える空孔領域と非空孔領域とからなり、
前記空孔領域と前記非空孔領域との界面は、パッド開口端または前記パッド開口端よりも外側に位置している請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記多孔質金属膜と前記保護膜との間に設けられた金属膜をさらに備え、
前記金属膜の領域が前記多孔質金属膜の領域よりも大きくなっている請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体基板の表面に絶縁膜を設ける工程と、
前記絶縁膜の上に選択的に多孔質金属膜を設ける工程と、
前記多孔質金属膜の上に保護膜を設ける工程と、
パッド領域を定義する開口部を前記多孔質金属膜の上の前記保護膜に設ける工程と、
前記開口部に対してワイヤをワイヤボンディングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記多孔質金属膜を設ける工程は、
第一金属膜にトレンチを形成する工程と、
前記トレンチを備える前記第一金属膜の上に、スパッタにより第二金属膜を成膜する工程と、
前記トレンチに空孔を備える前記第二金属膜を充填する工程と、
を有する請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記多孔質金属膜を設ける工程は、
スパッタに用いるターゲットと半導体ウェハとの角度が30°〜80°であり、前記スパッタに用いるアルゴンガスのガス圧力が2Pa〜3Paとして金属膜を成膜する工程である請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記多孔質金属膜は、複数の金属ナノ粒子と粒子間空孔とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記多孔質金属膜は、前記金属ナノ粒子の層が少なくとも上下2層からなることを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
前記金属ナノ粒子は、第1の粒子径を有する第1の金属ナノ粒子と、
第2の粒子径を有する第2の金属ナノ粒子と、
を備えることを特徴とする請求項10記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の金属ナノ粒子の粒子径は、前記第1の金属ナノ粒子の粒子径の0.15倍以上であるこ とを特徴とする請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記多孔質金属膜を設ける工程は、
前記絶縁膜の上に導電性ペーストを塗布する工程と、
前記塗布した導電性ペーストを焼成する工程と、
を備える請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記導電性ペーストを塗布する工程は、2種の粒子径を有する金属ナノ粒子と有機バインダーを含む導電性ペーストを塗布する工程である請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜の上に設けられた多孔質金属膜と、
前記多孔質金属膜の上に設けられ、パッド領域を定義する開口部が設けられる保護膜と、
前記開口部に対してワイヤボンディングされるワイヤと、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記多孔質金属膜と前記保護膜との間に設けられる金属膜をさらに備えている請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁膜と前記多孔質金属膜との間に設けられる金属膜をさらに備えている請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記多孔質金属膜は、空孔を備える空孔領域と非空孔領域とからなり、
前記空孔領域と前記非空孔領域との界面は、パッド開口端または前記パッド開口端よりも外側に位置している請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記多孔質金属膜と前記保護膜との間に設けられた金属膜をさらに備え、
前記金属膜の領域が前記多孔質金属膜の領域よりも大きくなっている請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体基板の表面に絶縁膜を設ける工程と、
前記絶縁膜の上に選択的に多孔質金属膜を設ける工程と、
前記多孔質金属膜の上に保護膜を設ける工程と、
パッド領域を定義する開口部を前記多孔質金属膜の上の前記保護膜に設ける工程と、
前記開口部に対してワイヤをワイヤボンディングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記多孔質金属膜を設ける工程は、
第一金属膜にトレンチを形成する工程と、
前記トレンチを備える前記第一金属膜の上に、スパッタにより第二金属膜を成膜する工程と、
前記トレンチに空孔を備える前記第二金属膜を充填する工程と、
を有する請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記多孔質金属膜を設ける工程は、
スパッタに用いるターゲットと半導体ウェハとの角度が30°〜80°であり、前記スパッタに用いるアルゴンガスのガス圧力が2Pa〜3Paとして金属膜を成膜する工程である請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記多孔質金属膜は、複数の金属ナノ粒子と粒子間空孔とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記多孔質金属膜は、前記金属ナノ粒子の層が少なくとも上下2層からなることを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
前記金属ナノ粒子は、第1の粒子径を有する第1の金属ナノ粒子と、
第2の粒子径を有する第2の金属ナノ粒子と、
を備えることを特徴とする請求項10記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の金属ナノ粒子の粒子径は、前記第1の金属ナノ粒子の粒子径の0.15倍以上であるこ とを特徴とする請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記多孔質金属膜を設ける工程は、
前記絶縁膜の上に導電性ペーストを塗布する工程と、
前記塗布した導電性ペーストを焼成する工程と、
を備える請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記導電性ペーストを塗布する工程は、2種の粒子径を有する金属ナノ粒子と有機バインダーを含む導電性ペーストを塗布する工程である請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−216772(P2012−216772A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12994(P2012−12994)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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