説明

半導体装置用両面配線テープキャリアおよびその製造方法

【課題】絶縁テープの両面を覆う導体箔間の高い導通信頼性を確保し、導体箔に形成される配線パターンのファインピッチ化を実現し、配線パターンを形成する際に良好な歩留まりを得るとともに、耐屈曲性が改善した半導体装置用両面配線テープキャリアおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置用両面配線テープキャリアは、絶縁テープの両面にそれぞれ圧延箔からなる第1の導体箔および第2の導体箔が貼り付けられた3層のテープ基材1と、第1の導体箔および絶縁テープをテープ基材の厚さ方向に貫通するよう設けられて、底面が第2の導体箔で塞がれるブラインドビアホール3と、ブラインドビアホールの内部全体を埋めるように第1の導体箔の開口部側面に接触して、第1の導体箔と第2の導体箔とを導通する金属めっき層とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に用いるテープキャリアおよびその製造方法に関し、特に、ファインピッチ化に好適な半導体装置用両面配線テープキャリアおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やICカードを始めとする情報関連機器等では、小型化、薄型化に加え、高周波数領域での低ノイズ化、高配線密度化が必要となってきており、そのような要請に答えるべく半導体装置用両面配線テープキャリアが実用化されてきた。
【0003】
半導体装置用両面配線テープキャリアの材料としては、一般的には、ポリイミド等の有機絶縁テープと、かかる絶縁テープの両面をそれぞれ覆う銅箔とを有する3層のテープ基材が用いられる。
【0004】
両面の銅箔を電気的に導通させるため、テープ基材には、一方の銅箔と絶縁テープとを厚さ方向に貫通し、底面が他方の銅箔により塞がれるブラインドビアホールが設けられる。ブラインドビアホールの内面に銅めっき層を形成することにより、両面の銅箔が導通される。
【0005】
そして、両面の銅箔を導通させた後、フォトエッチング法を用いて両面の銅箔に配線パターンを形成する。
【0006】
ブラインドビアホールの内面を銅めっき層で覆う方法としては、コンフォーマルめっき方法とビアフィリングめっき方法が知られているが、いずれの方法もブラインドビアホールの内面に銅めっき層を形成する際、めっき液が入り込む側にある銅箔上にもめっきが形成されることになる。そのため、ブラインドビアホールをめっきで埋め込むようにする場合、銅箔上にも厚いめっき膜が形成されることになるため、厚さを低減すべく、めっき後に研磨することで薄くすることがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−242790号公報
【特許文献2】特開2004−128177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、例えば、携帯電話用途の半導体装置用テープキャリアにおいては、携帯電話を使用する上でのフレキシブル性が要求されており、かつ、繰り返される屈曲に対する耐久性が必要となっている。
【0009】
しかしながら、従来技術においては、導体箔上にめっきが形成されているために耐屈曲性が悪く、配線が破断してしまう虞があった。
【0010】
また、片面だけにめっきを施すため、両面のバランスが悪くなり、幅方向で反りが生じる虞があった。反りが生じると、搬送性や位置決め精度が悪化し、歩留まりの低下を引き起こす要因となる。
【0011】
そこで本発明は上記事情に鑑み、絶縁テープの両面を覆う導体箔間の高い導通信頼性を確保し、導体箔に形成される配線パターンのファインピッチ化を実現し、配線パターンを形成する際に良好な歩留まりを得るとともに、耐屈曲性が改善した半導体装置用両面配線テープキャリアおよびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成をとる。
【0013】
請求項1の発明に係る半導体装置用両面配線テープキャリアは、絶縁テープの両面にそれぞれ圧延箔からなる第1の導体箔および第2の導体箔が貼り付けられた3層のテープ基材と、前記第1の導体箔および前記絶縁テープを前記テープ基材の厚さ方向に貫通するよう設けられて、底面が前記第2の導体箔で塞がれるブラインドビアホールと、前記ブラインドビアホールの内部全体を埋めるように前記第1の導体箔の開口部側面に接触して、前記第1の導体箔と前記第2の導体箔とを導通する金属めっき層とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体装置用両面配線テープキャリアにおいて、前記第2の導体箔の厚さが15μm以下であることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の半導体装置用両面配線テープキャリアにおいて、前記第1の導体箔および前記第2の導体箔に配線パターンが形成されており、該配線パターンの配線ピッチが60μm以下であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4の発明にかかる半導体装置用両面配線テープキャリアの製造方法は、絶縁テープの両面にそれぞれ圧延箔からなる第1の導体箔および第2の導体箔を貼り付けることにより、3層のテープ基材を形成する工程と、前記第1の導体箔および前記絶縁テープを前記テープ基材の厚さ方向に穿孔することより、底面が前記第2の導体箔で塞がれるブラインドビアホールを形成する工程と、前記第1の導体箔の表面全面に所定厚さの金属めっき層を形成することにより、前記ブラインドビアホールの内部全体を金属めっきで埋めて、前記第1の導体箔と前記第2の導体箔とを導通する工程と、前記第1の導体箔の裏面を基準面として、該基準面から前記第1の導体箔と前記金属めっき層とから成る導体層の表面までの合計厚さが基準厚さ以下となるように、前記導体層の表面側を削る工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の半導体装置用両面配線テープキャリアの製造方法において、前記第2の導体箔の厚さが15μm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる半導体装置用両面配線テープキャリアおよびその製造方法によれば、絶縁テープの両面を覆う導体箔間の高い導通信頼性を確保し、導体箔に形成される配線パターンのファインピッチ化を実現し、配線パターンを形成する際に良好な歩留まりを得るとともに、耐屈曲性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態にかかる半導体装置用両面配線テープキャリアの製造方法の説明図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる半導体装置用両面配線テープキャリアの断面図である。
【図3】ビアフィリングめっき方法の説明図である。
【図4】ブラインドビアホールにおける銅めっき層の充填率を示す説明図である。
【図5】分解生成物の蓄積により充填率が悪化する様子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに、図面を参照しながら、本発明にかかる実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる半導体装置用両面配線テープキャリアの製造方法の説明図である。図2は、本発明の実施形態にかかる半導体装置用両面配線テープキャリアの断面図である。図3は、ビアフィリングめっき方法の説明図である。図4は、ブラインドビアホールにおける銅めっき層の充填率を示す説明図である。図5は、分解生成物の蓄積により充填率が悪化する様子の説明図である。
【0021】
図2に示すとおり、絶縁テープとしてのポリイミドテープ2の表面には、第1の導体箔として圧延銅箔からなる銅箔2aが貼り付けられ、ポリイミドテープ2の裏面には第2の導体箔として圧延銅箔からなる銅箔2bが貼り付けられ、3層のテープ基材1が形成されている。
【0022】
テープ基材1には、銅箔2aとポリイミドテープ2とを厚さ方向に貫通するブラインドビアホール3が複数設けられている。各ブラインドビアホール3の底面は、ポリイミドテープ2の裏面側にて銅箔2bにより塞がれている。ブラインドビアホール3の直径は例えば40μmから100μmである。
【0023】
ブラインドビアホール3の内面と銅箔2aの表面には、錫−パラジウム又はその化合物、ニッケル又はその化合物、グラファイト、導電性カーボン、ポリピロール等の導電性ポリマーのいずれかを材料とする導電性薄膜4が形成されている。
【0024】
さらに、ブラインドビアホール3の内面には、前述の導電性薄膜4を下地として、金属めっき層としての銅めっき層5が形成されている。銅箔2aの開口縁と銅めっき層とが接触していることにより、銅箔2aと銅箔2bとは電気的に導通される。銅めっき工程において、銅箔2aの表面にも銅めっき層5が形成されるが、後述する研磨工程でこの部分の銅めっき層5は研磨され、銅箔2aの表面を露出するようにしている。つまり、ビアホール内のみに導電性薄膜4と銅めっき層5とが形成された構成となる。
【0025】
このように、ブラインドビアホール3の内部全体は、銅めっき層5で満たされている。図4において、A/B×100%を充填率と定義した場合、本実施の形態における充填率は90%以上である。したがって、ブラインドビアホール3の上面は、ほぼ平坦な構造となっている。ここで、Aとはブラインドビアホール3の底面からブラインドビアホール3内部の銅めっき層5の最下面までの高さであり、Bはブラインドビアホール3の底面からブラインドビアホール3内部の銅めっき層5の最上面(銅箔2aの表面)までの高さである。
【0026】
また、銅箔2aの表面と銅箔2bの表面は粗面化されており、各面の中心線表面粗さは0.2μm以上である。
【0027】
銅箔2aおよび銅箔2bには、配線パターン8が形成されている。配線パターン8の配線ピッチ9は60μm以下である。
【0028】
配線パターン8の一部表面は、絶縁層6としての熱硬化性又は感光性のソルダーレジスト、又はカバーレイで覆われている。一方、絶縁層6で覆われていない配線パターン8の表面は、ニッケルめっき又は金めっきによる表面処理層7で覆われている。
【0029】
続いて、前記半導体装置用両面配線テープキャリアの製造方法について、図1を用いて説明する。
【0030】
絶縁テープとしてのポリイミドテープ2を用意し、ポリイミドテープ2の表面に第1の導体箔としての銅箔2aを貼り付け、ポリイミドテープ2の裏面に第2の導体箔としての銅箔2bを貼り付け、3層のテープ基材1を形成する(図1(a))。
【0031】
かかる貼り付けは接着剤を用いてもよく、用いなくてもよい。接着剤を用いない方法としては、銅箔にワニス状の樹脂を塗りつけるキャスティング法、銅箔とフィルムを熱で圧着するラミネート法、フィルムに銅を蒸着するめっき法がある。また、貼り付け順序は不問であり、銅箔2aまたは銅箔2bのいずれを先に貼り付けてもよく、銅箔2aと銅箔2bを同時に貼り付けても良い。なお、銅箔2bの貼り付けは、後述する銅箔2aとポリイミドテープ2の穿孔後に行っても良い。
【0032】
その後、金型プレスを用い、テープ基材1に製品搬送用のパーフォレーション穴(図示しない)を形成する。
【0033】
その後、銅箔2aの一部をフォトエッチング法により除去し、ポリイミドテープ2の表面を露出する(図1(b))。除去する部位の形状は、直径が40〜100μm程度の円形とするのが一般的である。
【0034】
その後、露出したポリイミドテープ2の表面にCO2レーザ光を照射してポリイミドテープ2を厚さ方向に穿孔し、ブラインドビアホール3を形成する(図1(c))。ブラインドビアホール3の底面は、ポリイミドテープ2の裏面側にて銅箔2bにより塞がれている。
【0035】
レーザ加工の際に、ブラインドビアホール3の内面にスミアと呼ばれる焼け焦げ残渣が残った場合には、デスミア処理と呼ばれるスミアの除去が必要となる。なお、ポリイミドテープ2の穿孔は、湿式処理によるエッチング手段を用いてもよい。
【0036】
その後、無電解めっき等の手段を用いて、ブラインドビアホール3の内面と銅箔2aの表面に、錫−パラジウム又はその化合物、ニッケル又はその化合物、グラファイト、導電性カーボン、ポリピロール等の導電性ポリマーのいずれかを材料とする導電性薄膜4を形成する(図1(d))。かかる導電性薄膜4は、後述の銅めっき層5を析出するための下地電極となる。
【0037】
その後、導電性薄膜4を下地とし、ブラインドビアホール3の内面と銅箔2aの表面に金属めっき層としての銅めっき層5を形成する(図1(e))。この際、後述するビアフィリングめっき方法を用いることで、ブラインドビアホール3の内部全体を銅めっき層5で充填し、銅箔2aと銅箔2bとを電気的に導通させる。
【0038】
ビアフィリングめっきの実施に際しては、銅箔2aの表面に所定厚さの銅めっき層5を析出させ、90%以上の充填率を安定して得られるようにする。所定厚さは、ブラインドビアホール3の直径および深さによって変化するが、一般的には5μm以上とすることが望ましい。これにより、ブラインドビアホール3の上面は、ほぼ平坦な構造となる。
【0039】
その後、銅箔2aの表面が露出するよう、銅箔2aの表面に析出した銅めっき層5を研磨により削る(図1(f))。配線パターンのファインピッチ化を実現するためには、研磨後の銅箔2aの厚さを15μm以下とすることが望ましい。
【0040】
上述の研磨は、加水硫酸系のソフトエッチング液を用いた化学研磨であっても、機械研磨であってもよい。
【0041】
一方、銅箔2bも、配線パターンのファインピッチ化を実現するため、同様の研磨手段によって厚さを調節することができる。
【0042】
なお、上記の研磨の際、銅箔2aの表面と銅箔2bの表面の中心線表面粗さが0.2μm以上になるように研磨するとよい。かかる粗面化により表面の摩擦係数が高まる。
【0043】
研磨完了後、後述の配線パターンを形成するため、銅めっき層5の表面を含む銅箔2aと銅箔2bの表面にドライフィルムレジスト(図示しない)をラミネートする。両面の配線パターンを効率よく形成するためには、ドライフィルムレジストを両面同時にラミネートすることが望ましい。また、配線パターンのファインピッチ化を実現するためには、ドライフィルムレジストの厚さは20μm以下であることが望ましい。
【0044】
次いで、かかるドライフィルムレジストの表面にフォトマスクを介して紫外線を照射し、ドライフィルムレジストを光硬化させる。こののち、有機溶剤、アルカリ水溶液などの現像液を用い、未硬化部分のドライフィルムレジストを除去して、レジストパターン(図示しない)を形成する。
【0045】
前述のレジストパターンに覆われていない銅箔2aおよび銅箔2bをエッチングにより除去し、配線パターン8を形成する(図1(g))。配線パターン8の配線ピッチ9は両面とも60μm以下とする。配線パターン8を形成した後、レジストパターンは除去する。
【0046】
その後、配線パターン8の一部表面上に、スクリーン印刷法を用いて熱硬化性又は感光性のソルダーレジストを塗布し、絶縁層6を作成する(図1(h))。絶縁層6として、接着剤を用いてカバーレイを貼り付ける場合もある。
【0047】
最後に、絶縁層6に覆われていない配線パターン8の表面に、電気ニッケルめっきおよび電気金めっきの順で表面処理層7を施す(図1(i))。
【0048】
以上により、図2に示す半導体装置用両面配線テープキャリアの製造が完了する。
【0049】
本発明の形態によれば、銅箔として圧延銅箔を用いているため、耐屈曲性を著しく向上させることができる。
【0050】
本実施の形態によれば、ビアフィリングめっきの際に銅箔2aの表面へ所定厚さ以上の銅めっき層5を析出させることによって、ブラインドビアホール3内部への銅めっき層5の充填率を常に90%以上とすることができる。したがって、銅箔2aと銅箔2bとの導通信頼性が高い。
【0051】
また、銅箔2aの厚さおよび銅箔2bの厚さは15μm以下となるよう研磨されている。したがって、配線パターン8のファインピッチ化を実現できる。
【0052】
さらに、ブラインドビアホール3のテント性が良好であることから、ファインピッチ化に好適な薄いドライフィルムレジストを用いることが出来る。したがって、配線パターン8のファインピッチ化が実現できる。
【0053】
また、銅箔2aの表面と銅箔2bの表面は中心線表面粗さが0.2μm以上になるように研磨されており、ドライフィルムレジストとの密着性が高い。したがって、配線パターン8を形成する際の歩留まりが良い。
【0054】
続いて、前述のビアフィリングめっき方法について、図3を用いて説明する。
【0055】
まず、めっき液にレベラー10、ブライトナー11と呼ばれる添加剤を添加して、めっき電解を開始する。めっき電解に際しては、銅箔2aの表面へレベラー10を多く吸着させ、ブラインドビアホール3の底部へブライトナー11を多く吸着させる(図3(a))。
【0056】
レベラー10は析出抑制効果を有するため、銅箔2aの表面への銅めっき層5の析出は抑制される。一方、ブライトナー11は析出促進効果を有するため、ブラインドビアホール3の内面への銅めっき層5の析出は促進される(図3(b))。
【0057】
その後、ブラインドビアホール3の内部への銅めっき層5の充填率が90%以上になったら、めっき電解を終了する(図3(c))。
【0058】
ブラインドビアホール3の内部への銅めっき層5の充填特性は、めっき液の組成変動、すなわちレベラー10およびブライトナー11およびポリマーの濃度変化によって変化する。したがって、めっき電解中には、めっき液中の添加剤濃度の分析を頻繁に行い、めっき液の組成を一定に保つ制御が必要となる。
【0059】
ここで、めっき液中の添加剤はめっき電解と共に分解し、その一部は分解生成物(老廃物)としてめっき液中に蓄積していく。そして、分解生成物の蓄積が進むにつれ、ブラインドビアホール3の内部への充填率が悪化していく。
【0060】
分解生成物がブラインドビアホール3の内部への充填率を悪化させていく様子を図5に示す。めっき電解の開始直後は、分解生成物の蓄積が少なく、高い充填率が得られる(図5(a))。しかし、同一のめっき液を用いてめっき電解を進行していくと、徐々に分解生成物の蓄積が進み、充填率が悪化し始める(図5(b))。そして、さらに分解生成物の蓄積が進むと、充填率は一層悪化する(図5(c))。したがって、活性炭フィルター等を用いて分解生成物を定期的にフィルタリングすることが必要となる。
【0061】
分解生成物の蓄積による充填率の悪化を防ぐためには、銅箔2aの表面へ析出させる銅めっき層5を厚くすることが有効な手段の一つである。必要な銅めっき層5の厚さはブラインドビアホール3の直径および深さによって変化するが、銅箔2aの表面へ析出させる銅めっき層5が厚いほど、高い充填率を安定して得られる傾向がある。一般的には、銅箔2aの表面へ析出させる銅めっき層5の厚さが5μm以下では、充填率を安定させることが困難である。
【0062】
ただし、銅箔2aの表面へ析出させる銅めっき層5が厚くなると、配線パターン8のファインピッチ化が困難となる問題がある。
【0063】
そこで、本実施の形態においては、高い充填率を安定して得られるよう、銅箔2aの表面へ5μm以上の銅めっき層5を一旦析出させ、その後に銅箔2aを研磨して薄くすることとしている。
【0064】
以下に、実施例1と比較例1及び2について、表1を用いつつ説明する。
【0065】
【表1】

【0066】
(実施例1)
本実施の形態に示す方法により、半導体装置用両面配線テープキャリアを製造した。
【0067】
ポリイミドテープ2の厚さは25μmとし、圧延銅箔からなる銅箔2aと銅箔2bの厚さはそれぞれ12μmとした。
【0068】
ビアフィリングめっきを実施する際、めっき液の濃度は、硫酸銅濃度200g/L、硫酸濃度50g/L、塩素イオン濃度500mg/Lとした。
【0069】
添加剤は、レベラー10としてJGB(ヤーヌスグリーンB)を、ブライトナー11としてSPS(SPS(3−スルホプロピル)ジスルフィド)を、ポリマーとしてPEG(ポリエチレングリコール)を使用した。レベラー10、ブライトナー11、ポリマーの濃度はいずれも100ppmとした。
【0070】
電流密度を1A/dm2、めっき時間を45分とし、銅箔2aへ析出させる銅めっき層5の所定厚さを10μmとした。
【0071】
銅箔2a上に形成された銅めっき層5の厚さは、5μmである。それを化学研磨し、6μm削ることにより、銅箔2aを露出させた。
【0072】
化学研磨の後、厚さ10μmのドライフィルムレジストを使用して配線パターン8を形成した。その際、銅箔2aの配線パターン8の配線ピッチ9を45μmとし、配線パターン8を構成するリードのリード幅の目標値を22.5±5μmとした。
【0073】
また、銅箔2bの配線パターン8の配線ピッチ9を50μmとし、配線パターン8を構成するリードのリード幅の目標値を25±6μmとした。
【0074】
以上の条件で、複数のユニットが列なって成る100mの半導体装置用両面配線テープキャリアを10ロット作成した。その後、各ロットの先頭ユニットについて、以下の評価を実施した。
【0075】
(比較例1)
本実施の形態に示す方法により、半導体装置用両面配線テープキャリアを製造した。
【0076】
ポリイミドテープ2の厚さは25μmとし、電解銅箔からなる銅箔2aと銅箔2bの厚さはそれぞれ12μmとした。
【0077】
ビアフィリングめっきを実施する際、めっき液の濃度は、硫酸銅濃度200g/L、硫酸濃度50g/L、塩素イオン濃度500mg/Lとした。
【0078】
添加剤は、レベラー10としてJGB(ヤーヌスグリーンB)を、ブライトナー11としてSPS(SPS(3−スルホプロピル)ジスルフィド)を、ポリマーとしてPEG(ポリエチレングリコール)を使用した。レベラー10、ブライトナー11、ポリマーの濃度はいずれも100ppmとした。
【0079】
電流密度を1A/dm2、めっき時間を45分とし、銅箔2aへ析出させる銅めっき層5の所定厚さを10μmとした。
【0080】
銅箔2a上に形成された銅めっき層5の厚さは、5μmである。それを化学研磨し、6μm削ることにより、銅箔2aを露出させた。
【0081】
化学研磨の後、厚さ10μmのドライフィルムレジストを使用して配線パターン8を形成した。その際、銅箔2aの配線パターン8の配線ピッチ9を45μmとし、配線パターン8を構成するリードのリード幅の目標値を22.5±5μmとした。
【0082】
また、銅箔2bの配線パターン8の配線ピッチ9を50μmとし、配線パターン8を構成するリードのリード幅の目標値を25±6μmとした。
【0083】
以上の条件で、複数のユニットが列なって成る100mの半導体装置用両面配線テープキャリアを10ロット作成した。その後、各ロットの先頭ユニットについて、以下の評価を実施した。
【0084】
(比較例2)
本実施の形態に示す方法により、半導体装置用両面配線テープキャリアを製造した。
【0085】
ポリイミドテープ2の厚さは25μmとし、圧延銅箔からなる銅箔2aと銅箔2bの厚さはそれぞれ12μmとした。
【0086】
ビアフィリングめっきを実施する際、めっき液の濃度は、硫酸銅濃度200g/L、硫酸濃度50g/L、塩素イオン濃度500mg/Lとした。
【0087】
添加剤は、レベラー10としてJGB(ヤーヌスグリーンB)を、ブライトナー11としてSPS(SPS(3−スルホプロピル)ジスルフィド)を、ポリマーとしてPEG(ポリエチレングリコール)を使用した。レベラー10、ブライトナー11、ポリマーの濃度はいずれも100ppmとした。
【0088】
電流密度を1A/dm、めっき時間を45分とし、銅箔2aへ析出させる銅めっき層5の所定厚さを10μmとした。
【0089】
銅箔2a上に形成された銅めっき層5の厚さは、5μmである。それを化学研磨し、2μm削ることにより、銅箔2a上に銅めっき層5を3μm残存させた。
【0090】
化学研磨の後、厚さ10μmのドライフィルムレジストを使用して配線パターン8を形成した。その際、銅箔2aの配線パターン8の配線ピッチ9を45μmとし、配線パターン8を構成するリードのリード幅の目標値を22.5±5μmとした。
【0091】
また、銅箔2bの配線パターン8の配線ピッチ9を50μmとし、配線パターン8を構成するリードのリード幅の目標値を25±6μmとした。
【0092】
以上の条件で、複数のユニットが列なって成る100mの半導体装置用両面配線テープキャリアを10ロット作成した。その後、各ロットの先頭ユニットについて、以下の評価を実施した。
【0093】
<耐屈曲性試験>
実施例1及び比較例1、2の半導体装置用両面配線テープキャリアの各先頭ユニットを、屈曲試験機を用いて曲げ半径15mmにて連続往復屈曲させ、配線の切断、クラックが生じる回数を比較した。
【0094】
その結果、電解銅箔を用いたものよりも圧延銅箔を用いる方が耐屈曲性に優れており、また、圧延銅箔を用いた場合、その上面に銅めっき層がないほうが良いということがわかった。
【0095】
<反り量>
実施例1及び比較例1、2の半導体装置用両面配線テープキャリアの各先頭ユニットを平坦なテーブル上に置き、半導体装置用両面配線テープキャリアの中央付近の最大反り量を測定したものである。
【0096】
実施例1と比較例2の結果から、銅箔2a側に銅めっき層5を形成しない方が、基板の反りの影響が少ないことがわかった。
【符号の説明】
【0097】
1 テープ基材
2 ポリイミドテープ
2a 銅箔
2b 銅箔
3 ブラインドビアホール
4 導電性薄膜
5 銅めっき層
6 絶縁層
7 表面処理層
8 配線パターン
9 ピッチ
10 レベラー
11 ブライトナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁テープの両面にそれぞれ圧延箔からなる第1の導体箔および第2の導体箔が貼り付けられた3層のテープ基材と、
前記第1の導体箔および前記絶縁テープを前記テープ基材の厚さ方向に貫通するよう設けられて、底面が前記第2の導体箔で塞がれるブラインドビアホールと、
前記ブラインドビアホールの内部全体を埋めるように前記第1の導体箔の開口部側面に接触して、前記第1の導体箔と前記第2の導体箔とを導通する金属めっき層と
を備えることを特徴とする半導体装置用両面配線テープキャリア。
【請求項2】
前記第2の導体箔の厚さが15μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置用両面配線テープキャリア。
【請求項3】
前記第1の導体箔および前記第2の導体箔に配線パターンが形成されており、該配線パターンの配線ピッチが60μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置用両面配線テープキャリア。
【請求項4】
絶縁テープの両面にそれぞれ圧延箔からなる第1の導体箔および第2の導体箔を貼り付けることにより、3層のテープ基材を形成する工程と、
前記第1の導体箔および前記絶縁テープを前記テープ基材の厚さ方向に穿孔することより、底面が前記第2の導体箔で塞がれるブラインドビアホールを形成する工程と、
前記第1の導体箔の表面全面に所定厚さの金属めっき層を形成することにより、前記ブラインドビアホールの内部全体を金属めっきで埋めて、前記第1の導体箔と前記第2の導体箔とを導通する工程と、
前記第1の導体箔の裏面を基準面として、該基準面から前記第1の導体箔と前記金属めっき層とから成る導体層の表面までの合計厚さが基準厚さ以下となるように、前記導体層の表面側を削る工程と
を含むことを特徴とする半導体装置用両面配線テープキャリアの製造方法。
【請求項5】
前記第2の導体箔の厚さが15μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置用両面配線テープキャリアの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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