説明

半導体装置

【課題】ボンディングワイヤーと保護膜との接触を防止し、所定のワイヤーループ形状であって、かつ、形状ばらつきが抑制されたボンディングワイヤーを有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、配線基板101と、複数の電極パッドを有する半導体チップと、複数のボンディングワイヤー802と、複数のボンドパッド102と、複数の配線パターン104と、保護膜106とを備える。各ボンドパッド102と各保護膜106との各距離は一定でなく、その一定でない距離は、ボンドパッド102に接続しているボンディングワイヤー802が半導体チップに向かって伸びる方向に基づいて、他の距離に比べて異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板上に半導体チップが搭載され、ワイヤーボンディングされた半導体装置であって、特に、ボンディングワイヤーが多数又は高密度に設けられた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の配線基板及びそれを用いた半導体装置について、図4(a)及び(b)並びに図5(a)及び(b)を参照しながら説明する。
【0003】
図4(a)及び(b)は、従来の配線基板の構造図であり、具体的には、(a)は配線基板の平面図を示し、(b)は(a)における配線基板のボンドパッド部4Aの拡大図である。
【0004】
また、図5(a)及び(b)は、従来の配線基板を用いた半導体装置の構造図であり、具体的には、(a)は図4(a)及び(b)に示した配線基板を用いた半導体装置の平面図であり、(b)は(a)におけるVb-Vb線の断面図である。
【0005】
図4(a)及び(b)並びに図5(a)及び(b)に示すように、配線基板101には、半導体チップ搭載位置に半導体チップ801が搭載され、半導体チップ801の端子が配線基板101の外部端子804(図5の半田ボール等)に引き出されている。配線基板101の構造は、絶縁性樹脂で形成された絶縁材108の上に絶縁層と配線層とが順次積み重ねられた多層構造である。配線基板101の上面には、半導体チップ801と配線基板101上のボンドパッド102とがボンディングワイヤー802によって接続され、ボンドパッド102と外部端子804との間を接続するように配線パターン104が形成されている。また、配線基板101の表面には、表層の配線パターン104を被覆するために、保護膜106が形成されており、ボンドパッド102とボンディングワイヤー802との接続を可能とするため、ボンドパッド102の部分が露出するように、保護膜106の一部分が開口されている。
【0006】
また、半導体装置は、配線基板101と、配線基板101の底面に配置された外部端子804と、配線基板101の上面に接着材を介して搭載された半導体チップ801と、配線基板101の配線パターン104と半導体チップ801とを電気的に接続したボンディングワイヤー802と、半導体チップ801を含んだ配線基板101の上面を封止した絶縁性の封止樹脂803とによって構成されている。
【0007】
また、配線基板101及び半導体チップ801ともに、全体として直方体形状であり、4辺の側面は上面及び底面に対して垂直方向に配置されている。配線基板101には、配線パターン104と基板内部でビア105を介して電気的に接続した外部端子パッド109が底面に形成され、その外部パッド端子パッド109上に外部端子804としての半田ボールが形成されている。
【0008】
また、ボンドパッド102のうちの少なくとも1つのボンドパッド102においては、ボンドパッド102の全体が露出するように保護膜106が開口されており、開口によって露出したボンドパッド102及び一部の配線パターン104は、ボンディングワイヤー802との接続信頼性を高めるために、表面がニッケルめっき又は金めっきされる場合が多い。
【0009】
ところで、保護膜106の開口に露出しているボンドパッド102において、ボンドパッド102と保護膜106との間の距離は、ボンドパッド102に接続しているボンディングワイヤー802が伸びる方向によらず一定である。これは、ボンドパッド102と保護膜106との間の距離が、主として基板製造時の導体パターンと保護膜106との位置ずれから決定される、すなわち、導体パターンに対して保護膜106の位置ずれが発生した場合においても、ボンドパッド102が保護膜106から必ず露出するように、保護膜106の位置ずれ公差を基準にして、いくらか余分に取って決定されるからである。
【0010】
一方で、保護膜106の目的である導体パターンを被覆して基板の信頼性を高めるという面と、めっき工程のコストの面とから、保護膜106の開口は必要最小限であることが望ましく、特許文献1に指摘されている通り、保護膜106が偏在したり又は保護膜の開口が偏っている場合には、基板製造工程にて不具合が生じることがあり、通常、ボンドパッド102と保護膜106との間の距離は、ボンドパッド102に接続しているボンディングワイヤー802が伸びる方向によらず一定である。
【特許文献1】特開平2−82540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来のワイヤーボンディングタイプの半導体装置を搭載するための配線基板101では、半導体チップ801のピン数が近年大幅に増大し、同様に増大したボンドパッド102を配線基板101上に配置する目的で、半導体チップ搭載領域から遠い領域についてもボンドパッド102の配置領域とする必要がある。このため、配線基板101に半導体チップ801が搭載される半導体装置において、遠くのボンドパッド102と半導体チップ801上の電極パッドとを接続するためには、ボンディングワイヤー802が長くなり、それに伴い、ボンドパッド102に接合するボンディングワイヤー802の配線基板101平面との間で形成される角度が小さくなる。その結果、ボンディングワイヤー802がボンドパッド102に接合する直前において、ボンディングワイヤー802の下に存在する基板表面の保護膜106と接触することが危惧されている。
【0012】
例えば、ボンディングワイヤー802の下に存在する基板表面の保護膜106と、当該ボンディングワイヤー802の接続するボンドパッド102との高さの差が23.2μm、当該ボンディングワイヤー802とボンドパッド102とが接続する部分のボンディングワイヤー802と基板平面とのなす角度が7.34°、ボンドパッド102と保護膜106との距離が65μmであったとき、製造ばらつきにより実際に保護膜106の導体パターンに対する位置ずれが35μmを超えてその距離が30μm未満になった場合、ボンディングワイヤー802は保護膜106に接触することになる。また、保護膜106の厚みや、ボンドパッド102表面のめっきの厚みにも製造ばらつきが存在するため、保護膜106とボンドパッド102との高さの差にもばらつきが生じ、保護膜106とボンドパッド102との高さの差が大きいほど、ボンディングワイヤー802と保護膜106とが接触する危険性が高くなる。また、保護膜106の下に配線パターン104が存在する場合には、保護膜106の表面の高さがさらに高くなり、保護膜106とボンドパッド102との高さの差が大きいほど、ボンディングワイヤー802と保護膜106とが接触する危険性が高くなる。
【0013】
上述したように、ボンディング工程にて、ボンディングワイヤー802と保護膜106とが接触すると、所定のワイヤーループ形状を形成できなくなるため、樹脂封止工程における近接ワイヤー間の短絡、ボンディングワイヤー802とボンドパッド102との接合不良を引き起こすという問題があった。
【0014】
前記に鑑み、本発明の目的は、ボンディングワイヤーと保護膜との接触を防止し、所定のワイヤーループ形状であって、かつ、形状ばらつきが抑制されたボンディングワイヤーを有する半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の半導体装置は、配線基板と、配線基板上の中央部に搭載され、上面に複数の電極パッドを有する半導体チップと、複数の電極パッドの各々に接続された複数のボンディングワイヤーと、配線基板上に形成され、複数のボンディングワイヤーの各々を介して複数の電極パッドの各々に接続された複数のボンドパッドと、配線基板上に形成され、複数のボンドパッドの各々と外部端子とを電気的に接続する単層又は複数層の導体よりなる複数の配線パターンと、配線基板上に形成され、複数のボンドパッドを露出する開口部を有する保護膜とを備え、開口部に露出する複数のボンドパッドのうち少なくとも1つのボンドパッドと、保護膜との距離は、少なくとも1つのボンドパッドを除いたボンドパッドの各々と、保護膜との距離に比べて、少なくとも1つのボンドパッドに接続しているボンディングワイヤーが半導体チップに向かって伸びる方向に基づいて異なっている。
【0016】
本発明の第2の半導体装置は、配線基板と、配線基板上の中央部に搭載され、上面に複数の電極パッドを有する半導体チップと、複数の電極パッドの各々に接続された複数のボンディングワイヤーと、配線基板上に形成され、複数のボンディングワイヤーの各々を介して複数の電極パッドの各々に接続された複数のボンドパッドと、配線基板上に形成され、複数のボンドパッドの各々と外部端子とを電気的に接続する単層又は複数層の導体よりなる複数の配線パターンと、配線基板上に形成され、複数のボンドパッドを露出する開口部を有する保護膜とを備え、開口部に露出する複数のボンドパッドのうち少なくとも一つのボンドパッドにおいて、ボンドパッドと保護膜との距離は、ボンドパッドに接続しているボンディングワイヤーが半導体チップに向かって伸びる方向と、ボンディングワイヤーが半導体チップに向かって伸びる方向とは反対の方向とで異なっている。
【0017】
本発明の第1又は第2の半導体装置において、複数のボンドパッドのうち少なくとも1つのボンドパッドと、保護膜との距離であって、かつ、少なくとも1つのボンドパッドに接続しているボンディングワイヤーが半導体チップに向かって伸びる配線基板面に投影された方向に存在する第1の距離は、複数のボンドパッドのうち少なくとも1つのボンドパッドと、保護膜との距離であって、かつ、少なくとも1つのボンドパッドに接続しているボンディングワイヤーが半導体チップに向かって伸びる配線基板面に投影された方向とは反対の方向に存在する第2の距離よりも長い。
【0018】
本発明の第1又は第2の半導体装置において、少なくとも1つのボンドパッドは、配線パターンが引き出されたボンドパッドであって、配線パターンが引き出される方向は、少なくとも1つのボンドパッドに接続しているボンディングワイヤーが半導体チップに向かって伸びる、配線基板面に投影された方向と同一である。
【0019】
本発明の第1又は第2の半導体装置において、少なくとも1つのボンドパットと第1の距離を隔てた保護膜における開口部の形状は、少なくとも1つのボンドパッド上でボンディングワイヤーが接合する位置を中心とした円弧形状である。
【0020】
以上のように、本発明の第1又は第2の半導体装置によると、ボンドパッドと保護膜との距離が、ボンドパッドに接続しているボンディングワイヤーの半導体チップへ向かって伸びる方向に応じて変化していることにより、ワイヤーボンド工程にてボンディングワイヤーと保護膜との接触を防止でき、所定のワイヤーループ形状であって、かつ、形状ばらつきが抑制されたボンディングワイヤーを実現できる。すなわち、ボンドパッドに接続しているボンディングワイヤーの半導体チップへ向かって伸びる方向におけるボンドパッドと保護膜との距離が、ボンドパッドに接続しているボンディングワイヤーの半導体チップへ向かって伸びる方向と反対方向におけるボンドパッドと保護膜との距離よりも長いため、ワイヤーボンド工程にてボンディングワイヤーと保護膜との接触を防止できる一方で、その反対方向であるボンディングワイヤーと保護膜との接触の危険性の無い方向におけるボンドパッドと保護膜との距離は、不必要に長くすることがなく、最小限の値にすることができるため、配線基板の信頼性を損ねることはない。以上のようにして、信頼性の高い半導体装置を実現できる。
【0021】
また、このとき、ボンドパッドと保護膜との距離の決定方法は、保護膜の上面からボンドパッドの上面の高さを差し引いた高低差、及びボンディング部でのワイヤーの角度により、ワイヤーが接触しないボンドパッド上でのボンディング位置と保護膜の外形までの距離が三角関数で容易に求まるため、その距離から、ボンディング位置からボンドパッドの先端までの距離を差し引いたものが、ワイヤーと保護膜とが接触した状態のボンドパッドと保護膜との間の最小距離となる。実際のボンドパッドと保護膜との間の距離の計算においては、ボンドパッド及び保護膜の高さのばらつきや、保護膜形成時の基板上の導体パターンに対する保護膜の位置ずれも考慮して算定し、配線基板の製造ばらつきの範囲内では、ボンディングワイヤーと保護膜とが接触することが無いボンドパッドと保護膜との距離を決定することになる。
【発明の効果】
【0022】
以上により、ボンディングワイヤーと保護膜との接触を防止し、所定のワイヤーループ形状であって、かつ、形状ばらつきが抑制されたボンディングワイヤーを備えた半導体装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の課題を解決する上述した手段を具体化する本発明の一実施形態について、図1(a)及び(b)並びに図2(a)及び(b)を参照しながら説明する。
【0024】
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る配線基板の構造図であり、(a)は配線基板の表層側から見た平面図であり、(b)は(a)のボンドパッド部1Aの拡大図である。なお、配線基板に搭載された半導体チップを備えた半導体装置の構造については、上述の図5(a)及び(c)に示す構造と基本的には同様であって、同一の符号を付すことでその繰り返しの説明は省略する。但し、同一の符号を付していても、以下で説明する本発明の特徴部分が従来例と異なることは言うまでもない。
【0025】
図1(a)及び(b)に示すように、有機樹脂よりなる多層配線構造を有する配線基板101の表層面には、配線パターン104が配置されていると共に、基板中心部に配置された半導体チップ搭載位置103の周囲に、ボンドパッド102が配置されている。半導体チップ搭載位置103に搭載される半導体チップ(図5(a)及び(b)参照)から引き出されたワイヤー802により、半導体チップに形成された電極パッドが配線基板101上のボンドパッド102に電気的に接続されており、ボンドパッド102と外部端子パッド109(図5(a)及び(b)参照)との間をビア105を介して接続するように配線パターン104が形成されている。
【0026】
また、図1(b)に示すように、ボンドパッド102は、各々が列を形成するように、連続して複数個配置されている。ここで、ボンドパッド102と保護膜106との配置関係について説明すると、例えば図1(b)の向かって右側の領域に示すように、ボンドパッド102に接続されるボンディングワイヤー802が半導体チップに向かって伸びる(延長する)方向におけるボンドパッド102と保護膜106との距離(基板面に投影された概略同一方向におけるボンドパッド102と保護膜106との距離)が、ボンディングワイヤー802が半導体チップに向かって伸びる方向とは反対の方向における対応する距離よりも長くなるように、保護膜106の開口が一方向に拡大して形成されている。さらに、例えば図1(b)の向かって左側の領域に示すように、ボンディングワイヤー802が半導体チップに向かって伸びる方向を基準にして、概略同一の方向に配線パターン104が引き出されているボンドパッド102に対しても、ボンドパッド102と保護膜106との距離が、ボンディングワイヤー802が半導体チップに向かって伸びる方向とは反対の方向における対応する距離よりも長くなるように、保護膜106の開口が一方向に拡大して形成されている。
【0027】
具体的には、本発明の第1の実施形態に係る配線基板では、例えば外形寸法27mm角の配線基板101に対して、ボンドパッド102は幅120μm、長さ300μmである。このとき、ボンディングワイヤー802が半導体チップに向かって伸びる方向において保護膜106の開口が拡大された領域におけるボンドパッド102と保護膜106との距離は、例えば150μmであり、ボンディングワイヤー802が半導体チップに向かって伸びる方向とは反対の方向におけるボンドパッド102と保護膜106との距離は、例えば60μmとしている。さらに、ボンディングワイヤー802は、例えば金線である。なお、このボンディングワイヤー802の材料の場合を含めて、多層構造の配線基板101、封止樹脂803、及び外部端子パッド109の材料は、上述した材料に限定されるものではなく、他の材料よりなる場合であってもよい。
【0028】
このように、本実施形態によると、ボンディングワイヤー802の伸びる方向を考慮して、保護膜106の開口形状を変化させるため、基板面に投影された概略同一方向におけるボンドパッド102と保護膜106との距離を、公差を含めた設計仕様に基づいて、ボンディングワイヤー802と保護膜106との接触が発生しない値に、ボンドパッド102毎に決定することができる。これにより、ワイヤーボンド工程にてボンディングワイヤー802と保護膜106との接触を防止し、所定のワイヤーループ形状であって、かつ、形状ばらつきが抑制されたボンディングワイヤー802を実現できる。
【0029】
−変形例(1)−
図2(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る配線基板における保護膜106及びボンドパッド102の変形例(1)を示す要部拡大図である。
【0030】
図2(a)及び(b)に示すように、ボンドパッド102が連結して一体に形成された構造を有する場合((a)参照)、及び、ボンドパッド102が単独で孤立して存在している場合((b)参照)であっても、上述した図1(a)及び(b)を用いて説明したのと同様に、ボンドパッド102に接続されるボンディングワイヤー802が半導体チップに向かって伸びる方向におけるボンドパッド102と保護膜106との距離が、ボンディングワイヤー802が半導体チップへ向かって伸びる方向とは反対の方向における対応する距離よりも長くなるように、保護膜106の開口を一方向に拡大して形成すればよい。その結果、ワイヤーボンド工程にてボンディングワイヤー802と保護膜106との接触を防止し、所定のワイヤーループ形状であって、かつ、形状ばらつきが抑制されたボンディングワイヤー802を形成できる。
【0031】
−変形例(2)−
図3は、本発明の一実施形態に係る配線基板における保護膜106及びボンドパッド102の変形例(2)を示す要部拡大図である。
【0032】
図3に示すように、ボンドパッド102が単独で孤立して存在している場合を例にして説明すると、ボンドパッド102に接続されたボンディングワイヤー802が半導体チップに向かって伸びる方向に、基板面に投影された概略同一方向におけるボンドパッド102と保護膜106との距離をその反対方向における対応する距離を長く取る方法として、ボンディング位置107からの距離が等しくなるように、すなわち、保護膜106の開口の形状が、ボンディング位置107を中心とした円弧805形状になるように形成されている。なお、ここでは、ボンドパッド102が単独で孤立して存在している場合について説明したが、図1(b)又は図2(a)に示すボンドパッド102の構造に対しても適用可能である。
【0033】
このようにすると、基板面に投影されたボンディングワイヤー802bの方向が、上述の例えば図1(b)又は図2(b)のようなボンディングワイヤー802の方向802aからずれる場合であっても、ボンディングワイヤー方向が変化する前後において、ボンドパッド102と保護膜106との距離は等しいまま保持できる。したがって、ボンディングワイヤー方向が変化する前と同様に、ボンディングワイヤー方向が変化した後においても、ワイヤーボンド工程にてボンディングワイヤー802bと保護膜106との接触を防止することができる。ここで、ボンディングワイヤー方向が変化する場合とは、ワイヤリングのオプションとして、ボンディングワイヤーが接続される半導体チップ上の電極パッドを切り替えて半導体装置を組み立てる場合や、半導体装置の組立工程における、配線基板に対する半導体チップの搭載ずれが大きいことが想定される場合等がある。
【0034】
以上の一実施形態では、半導体装置がBGA(Ball Grid Array)の場合について説明したが、多層構造の配線基板を有し、かつ、ワイヤーボンディングタイプの半導体装置であれば、外部端子として半田ボールを用いないLGA(Land Grid Array)などであっても、本発明は同様に実施可能である。
【0035】
なお、本発明は上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、配線基板上に半導体チップが搭載され、ワイヤーボンディングされた半導体装置において、ボンディングワイヤーが多数又は高密度に設けられた半導体装置にとって有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る配線基板の構造図であり、(a)は配線基板の表層側から見た平面図であり、(b)は(a)のボンドパッド部の拡大図である。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る配線基板における保護膜及びボンドパッドの変形例(1)を示す要部拡大図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る配線基板における保護膜及びボンドパッドの変形例(2)を示す要部拡大図である。
【図4】(a)及び(b)は、従来の配線基板の構造図であり、具体的には、(a)は配線基板の平面図を示し、(b)は(a)における配線基板のボンドパッド部の拡大図である。
【図5】(a)及び(b)は、従来の配線基板を用いた半導体装置の構造図であり、具体的には、(a)は図4(a)及び(b)に示した配線基板を用いた半導体装置の平面図であり、(b)は(a)におけるVb-Vb線の断面図である。
【符号の説明】
【0038】
101 配線基板
102 ボンドパッド
103 半導体チップ搭載位置
104 配線パターン
105 ビア
106 保護膜
107 ボンディング位置
108 絶縁材
109 外部端子パッド
801 半導体チップ
802 ボンディングワイヤー
803 封止樹脂
804 外部端子
805 ボンディング位置を中心とする円弧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板上の中央部に搭載され、上面に複数の電極パッドを有する半導体チップと、
前記複数の電極パッドの各々に接続された複数のボンディングワイヤーと、
前記配線基板上に形成され、前記複数のボンディングワイヤーの各々を介して前記複数の電極パッドの各々に接続された複数のボンドパッドと、
前記配線基板上に形成され、前記複数のボンドパッドの各々と外部端子とを電気的に接続する単層又は複数層の導体よりなる複数の配線パターンと、
前記配線基板上に形成され、前記複数のボンドパッドを露出する開口部を有する保護膜とを備え、
前記開口部に露出する前記複数のボンドパッドのうち少なくとも1つのボンドパッドと、前記保護膜との距離は、前記少なくとも1つのボンドパッドを除いたボンドパッドの各々と、前記保護膜との距離に比べて、前記少なくとも1つのボンドパッドに接続している前記ボンディングワイヤーが前記半導体チップに向かって伸びる方向に基づいて異なっている、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
配線基板と、
前記配線基板上の中央部に搭載され、上面に複数の電極パッドを有する半導体チップと、
前記複数の電極パッドの各々に接続された複数のボンディングワイヤーと、
前記配線基板上に形成され、前記複数のボンディングワイヤーの各々を介して前記複数の電極パッドの各々に接続された複数のボンドパッドと、
前記配線基板上に形成され、前記複数のボンドパッドの各々と外部端子とを電気的に接続する単層又は複数層の導体よりなる複数の配線パターンと、
前記配線基板上に形成され、前記複数のボンドパッドを露出する開口部を有する保護膜とを備え、
前記開口部に露出する前記複数のボンドパッドのうち少なくとも一つのボンドパッドにおいて、前記ボンドパッドと前記保護膜との距離は、前記ボンドパッドに接続している前記ボンディングワイヤーが前記半導体チップに向かって伸びる方向と、前記ボンディングワイヤーが前記半導体チップに向かって伸びる方向とは反対の方向とで異なっている、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記複数のボンドパッドのうち前記少なくとも1つのボンドパッドと、前記保護膜との距離であって、かつ、前記少なくとも1つのボンドパッドに接続している前記ボンディングワイヤーが前記半導体チップに向かって伸びる前記配線基板面に投影された方向に存在する第1の距離は、前記複数のボンドパッドのうち前記少なくとも1つのボンドパッドと、前記保護膜との距離であって、かつ、前記少なくとも1つのボンドパッドに接続している前記ボンディングワイヤーが前記半導体チップに向かって伸びる前記配線基板面に投影された方向とは反対の方向に存在する第2の距離よりも長い、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記少なくとも1つのボンドパッドは、前記配線パターンが引き出されたボンドパッドであって、
前記配線パターンが引き出される方向は、前記少なくとも1つのボンドパッドに接続している前記ボンディングワイヤーが前記半導体チップに向かって伸びる、前記配線基板面に投影された方向と同一である、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の半導体装置において、
前記少なくとも1つのボンドパットと前記第1の距離を隔てた前記保護膜における前記開口部の形状は、前記少なくとも1つのボンドパッド上で前記ボンディングワイヤーが接合する位置を中心とした円弧形状である、ことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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