説明

半導体装置

【課題】検出精度が低下することを抑制することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】メインセル部10aとセンスセル部10bとのセル数の比をセル比とし、ドリフト層3の抵抗率をρとし、電流検出抵抗9の両端電圧の経時変化率をxとしたとき、{センスセル部(10b)/メインセル部(10a)}のセル比が、{(x+0.22ρ+10.08)/224.38}で導き出される値とされ、ドリフト層3の抵抗率ρが30Ω・cm以上であって、かつ電流検出抵抗9の両端電圧の経時変化率xが+5〜−5%である半導体装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下、単にIGBTという)が形成されたメインセル部およびセンスセル部を有し、センスセル部のエミッタ電極に電流検出抵抗を備えた半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、IGBTが形成されたメインセル部に流れるメイン電流を検出するために、メイン電流よりも小さいセンス電流を流し、電流検出抵抗と接続されると共にIGBTが形成されたセンスセル部をメインセル部と共に形成した半導体装置が知られている。具体的には、このような半導体装置は、次のように構成されている。すなわち、メインセル部およびセンスセル部それぞれは、コレクタ層としてのp型基板の主表面上にn型のバッファ層が形成され、バッファ層上にn型のドリフト層が形成され、このドリフト層の表層部にp型のベース領域が形成されている。そして、ベース領域の表層部に、ドリフト層から所定距離離間するようにn型のエミッタ領域が形成されており、ベース領域の表面のうちエミッタ領域とドリフト層との間に配置された部分にチャネル領域が構成されている。そして、チャネル領域となるベース領域の表面にゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成され、当該ゲート電極を覆うように形成された層間絶縁膜を介してエミッタ電極が形成されている。このエミッタ電極は、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールを通じてエミッタ領域およびベース領域と電気的に接続されていると共に、電流検出抵抗と電気的に接続されている。また、p型基板の裏面には、メインセル部およびセンスセル部に対して共通の裏面電極が備えられている。
【0003】
このような半導体装置では、メインセル部に流れるメイン電流に比例するセンス電流がセンスセル部および電流検出抵抗に流れるため、電流検出抵抗の両端電圧を検出することによりメイン電流の電流値が検出される。
【0004】
しかしながら、このような半導体装置では、半導体装置を製造する際に避けることのできない、例えば、裏面電極からp型基板に拡散する重金属が含まれており、半導体装置を使用することにより当該重金属が拡散して半導体装置の特性が経時変化してしまうという問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、p型基板内に結晶欠陥を多く含むゲッタリング層を形成し、重金属をゲッタリング層にて捕獲することにより重金属が拡散することを防止し、半導体装置の特性が経時変化することを抑制することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−41836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなゲッタリング層を有する半導体装置においても、重金属の拡散を完全に防止することはできず、半導体装置が経時変化してしまうことになる。そして、重金属が拡散した場合、メインセル部に流れるメイン電流とセンスセル部に流れるセンス電流の経時変化率が異なるため、電流検出抵抗の両端電圧から検出されたメイン電流と、実際にメインセル部に流れるメイン電流との間に誤差が生じ、検出精度が低下するという問題がある。
【0008】
図3は、メインセル部およびセンスセル部を有し、センスセル部のエミッタ電極に電流検出抵抗を備えた半導体装置の回路構成を示す図である。図3に示されるように、このような半導体装置では、センスセル部10bのエミッタ電極に電流検出抵抗9が備えられているため、メインセル部10aのゲート−エミッタ間バイアスと比較して、センスセル部10bのゲート−エミッタ間バイアスが小さくなり、センスセル部10bではメインセル部10aと比較して電子電流が流れにくくなる。言い換えると、センスセル部10bでは、メインセル部10aと比較して、全体の電流値に対するホール電流の比率が高くなる。
【0009】
また、重金属が拡散したとき、重金属の影響を受けやすいのはホール電流であるため、ホール電流比が高いセンス電流の方がメイン電流より経時変化しやすくなる。すなわち、このような半導体装置では、重金属が拡散してしまうと、メイン電流とセンス電流とが異なる経時変化をすることになる。このため、電流検出抵抗9の両端電圧から検出されたメイン電流と、実際にメインセル部10aに流れるメイン電流との間に誤差が生じ、検出精度が低下する。
【0010】
本発明は上記点に鑑みて、検出精度が低下することを抑制することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために、ゲッタリング層を有するIGBTが形成されたメインセル部およびセンスセル部を有し、センスセル部のエミッタ電極に電流検出抵抗が接続された半導体装置において、まず、ドリフト層の抵抗率に着目して検討を行い、以下の知見を得た。
【0012】
すなわち、メインセル部およびセンスセル部のドリフト層の抵抗率を下げると、エミッタ領域からドリフト層に電子電流が注入されやすくなるため、全体の電流値に対する電子電流の比率を高くすることができる。言い換えると、全体の電流値に対するホール電流の比率を小さくすることができる。そして、上記のように、重金属が拡散したときに、重金属の影響を受けやすいのはホール電流である。
【0013】
このため、本発明者らは、ドリフト層の抵抗率を下げて全体の電流値に対するホール電流比を小さくすることにより、メイン電流およびセンス電流の経時変化率をそれぞれ小さくすることができると共に、センス電流とメイン電流との経時変化率の差を小さくすることができ、半導体装置の検出精度が低下することを抑制することができることを見出した。
【0014】
しかしながら、このような半導体装置では、ドリフト層の抵抗率を下げることにより、メイン電流とセンス電流との経時変化率の差を小さくすることができるものの、半導体装置としての耐圧が低くなるという新たな問題が発生してしまうことになる。
【0015】
このため、本発明者らは、次に、上記のように、センス電流の方が全体の電流値に対するホール電流比が高く、センス電流がメイン電流より経時変化しやすいということに着目した。この特性は、言い換えると、メインセル部の動作抵抗の経時変化率と、センスセル部の動作抵抗と電流検出抵抗との合成抵抗の経時変化率と、が異なるということである。
【0016】
すなわち、このような半導体装置では、図3に示されるように、メイン電流とセンス電流とは、メインセル部の動作抵抗と、センスセル部の動作抵抗と電流検出抵抗との合成抵抗との比に応じて流れる。このため、メイン電流とセンス電流との経時変化率の差を抑制するためには、メインセル部の動作抵抗の経時変化率と、センスセル部の動作抵抗と電流検出抵抗との合成抵抗の経時変化率との差を抑制すればよいことになる。
【0017】
そして、このような半導体装置では、電流検出抵抗の抵抗率は経時変化しないため、メインセル部の動作抵抗と、センスセル部の動作抵抗とを調節すればよいことになる。例えば、重金属が拡散したときのメインセル部の動作抵抗の経時変化率が1.1倍であり、センスセル部の初期動作抵抗が40Ωであると共に電流検出抵抗が10Ωである場合と、センスセル部の初期動作抵抗が5Ωであると共に電流検出抵抗が10Ωである場合とを考える。つまり、経時変化前の合成抵抗が50Ωである場合と、15Ωである場合とを考える。
【0018】
この場合、センスセル部の経時変化率が1.3倍であるとすると、センスセル部の初期動作抵抗が40Ωの場合には、経時変化後のセンスセル部の動作抵抗が52Ωとなり、センスセル部の動作抵抗と電流検出抵抗との合成抵抗が62Ωとなる。すなわち、合成抵抗の経時変化率は、1.24倍となる。また、センスセル部の初期動作抵抗が5Ωの場合には、経時変化後のセンスセル部の動作抵抗が6.5Ωとなり、センスセル部の動作抵抗と電流検出抵抗との合成抵抗が16.5Ωとなる。すなわち、合成抵抗の経時変化率は、1.1倍となる。
【0019】
つまり、このような半導体装置では、メインセル部の動作抵抗の経時変化率と、センスセル部の動作抵抗の経時変化率とは異なるものの、メインセル部とセンスセル部の初期動作抵抗を所定の値にすることにより、メインセル部の動作抵抗の経時変化率と、センスセル部の動作抵抗と電流検出抵抗との合成抵抗との経時変化率との差を抑制することができる。そして、メインセル部の動作抵抗とセンスセル部の動作抵抗とは、メインセル部とセンスセル部のセル数比、すなわち電流の流れる面積比であるセル比に応じて決定される。
【0020】
以上より、本発明者らは、メインセル部とセンスセル部のセル比と、電流検出抵抗の両端電圧の経時変化率との差について実験検討を行った。なお、電流検出抵抗の両端電圧の経時変化率は、メイン電流とセンス電流との経時変化率の差と同じことである。図4は、メインセル部とセンスセル部のセル比と、2000時間後の電流検出抵抗の両端電圧の経時変化率との関係を示す図である。2000時間後とは、重金属が十分に拡散して飽和状態に達したと考えられる状態のことである。また、図4中、実線はドリフト層の抵抗率が30Ω・cmであり、点線はドリフト層の抵抗率が70Ω・cmであり、一点鎖線はドリフト層の抵抗率が100Ω・cmである半導体装置を示している。
【0021】
図4に示されるように、メインセル部とセンスセル部とのセル比を変更することにより、電流検出抵抗の両端電圧の経時変化率が変化することが確認され、メインセル部とセンスセル部のセル比が所定の値のときに、電流検出抵抗の両端電圧の経時変化率がほぼ0%になることが確認される。すなわち、メインセル部とセンスセル部のセル比を所定の値にすることにより、メイン電流とセンス電流の経時変化率を抑制することができ、半導体装置の検出精度が低下することを抑制することができることになる。
【0022】
このため、本発明者らは、図4に基づいて多変量解析を用いて重回帰分析を行い、ドリフト層の抵抗率をρとし、2000時間後の電流検出抵抗の両端電圧の経時変化率をxとしたとき、メインセル部とセンスセル部のセル比が以下の式で導き出されることを見出した。
【数1】

ところで、従来の半導体装置では、一般的に、ドリフト層の抵抗率が30Ω・cmとされ、(センスセル部/メインセル部)1/2が約0・05とされていたため、2000時間後の電流検出抵抗の両端電圧の経時変化率が約−8%であった。このため、本発明では、ドリフト層の抵抗率が30Ω・cm以上であり、電流検出抵抗の両端電圧の経時変化率が−5〜5%の範囲を満たすセル比とされていることを特徴としている。
【0023】
すなわち、本願請求項1に記載の発明では、メインセル部(10a)とセンスセル部(10b)とのセル数の比をセル比とし、ドリフト層(3)の抵抗率をρとし、電流検出抵抗(9)の両端電圧の経時変化率をxとしたとき、{センスセル部(10b)/メインセル部(10a)}のセル比が、{(x+0.22ρ+10.08)/224.38}で導き出される値とされ、ドリフト層(3)の抵抗率ρが30Ω・cm以上であって、かつ電流検出抵抗(9)の両端電圧の経時変化率xが+5〜−5%であることを特徴としている。
【0024】
このような半導体装置では、メインセル部(10a)とセンスセル部(10b)のセル比を、ドリフト層(3)の抵抗率と電流検出抵抗(9)の両端電圧の経時変化率より導き出される値とし、ドリフト層(3)の抵抗率が30Ω・cm以上であり、経時変化率が−5〜5%となるセル比としている。
【0025】
このため、従来の半導体装置と比較して、電流検出抵抗(9)の両端電圧の経時変化率を小さくすることができ、つまり、メインセル部(10a)の動作抵抗と、センスセル部(10b)の動作抵抗と電流検出抵抗(9)との合成抵抗との経時変化率の差を小さくすることができる。したがって、メイン電流とセンス電流との経時変化率の差を小さくすることができ、検出精度が低下することを抑制することができる。また、ドリフト層(3)の抵抗率を30Ω・cm以上としているため、従来の半導体装置と比較して、半導体装置の耐圧を向上させることもできる。
【0026】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態における半導体装置の上面レイアウトである。
【図2】図1に示す半導体装置の断面構成を示す図である。
【図3】図1に示す半導体装置の回路構成を示す図である。
【図4】メインセル部とセンスセル部のセル比と、2000時間後の電流検出抵抗の両端電圧の経時変化率との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態における半導体装置の上面レイアウト、図2は図1に示す半導体装置の断面構成を示す図である。
【0029】
図1に示されるように、本実施形態の半導体装置は、メインセル部10aと、電流検出抵抗(図示せず)と電気的に接続されるセンスセル部10bとを有しており、これらメインセル部10aおよびセンスセル部10bにそれぞれ基本構造が同じIGBTが形成されている。
【0030】
具体的には、図2に示されるように、メインセル部10aおよびセンスセル部10bは、コレクタ層としてのp型基板1を用いてIGBTが形成されている。そして、p型基板1には、結晶欠陥を多く含むゲッタリング層1aが形成されている。このゲッタリング層1aは、本実施形態では、酵素を析出させてなるイントリンシックゲッタリング層とされている。そして、ゲッタリング層1a上には、ゲッタリング層1aを構成することにより形成された無欠陥層1bが形成されている。また、特に限定されるものではないが、p型基板1は、抵抗率が0.01〜0.03Ω・cmとされており、厚さが500〜580μmとされている。
【0031】
そして、p型基板1の主表面上には高不純物濃度層とされたn型バッファ層2が形成され、n型バッファ層2上に低不純物濃度とされたn型ドリフト層3が形成されている。特に限定されるものではないが、n型バッファ層2は、抵抗率が0.04〜0.06Ω・cmとされており、厚さが14〜16μmとされている。また、n型ドリフト層3は、抵抗率が30Ω・cm以上とされており、厚さが65〜100μmとされている。
【0032】
そして、n型ドリフト層3の表層部にはp型ベース領域4が形成されている。さらに、p型ベース領域4の表層部には、n型ドリフト層3から所定距離離間するようにn型ドリフト層3よりも高不純物濃度とされたn型エミッタ領域5が形成されており、p型ベース領域4の表面のうちn型エミッタ領域5とn型ドリフト層3との間に配置された部分にチャネル領域が構成されている。
【0033】
また、チャネル領域となるp型ベース領域4の表面およびn型ドリフト層3のうちp型ベース領域4が形成されていない部分の表面に、熱酸化等による図示しないゲート絶縁膜が形成されていると共に、このゲート絶縁膜を介してポリシリコン等で構成されたゲート電極6が形成されている。ゲート電極6は層間絶縁膜7によって覆われており、この層間絶縁膜7上に図示しないエミッタ電極が形成されている。エミッタ電極は、層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホールを通じてn型エミッタ領域5およびp型ベース領域4に電気的に接続された構造とされている。
【0034】
さらに、メインセル部10aのエミッタ電極とセンスセル部10bのエミッタ電極とは互いに分離された構成とされており、センスセル部10bのエミッタ電極が電流検出抵抗と電気的に接続されている。なお、この電流検出抵抗は、ゲート電極6と同様に、ポリシリコンを用いて構成されている。
【0035】
また、p型基板1の裏面には、メインセル部10aおよびセンスセル部10bに対して、本発明の裏面電極に相当する共通のコレクタ電極8が備えられている。
【0036】
図3は、上記半導体装置の回路構成を示す図である。図3に示されるように、このような半導体装置では、センスセル部10bに流れるセンス電流を検出することで、メインセル部10aに流れるメイン電流を検出できるようになっている。すなわち、電流検出抵抗9の両端電圧を検出することでメインセル部10aに流れる電流値を検出できるようになっている。
【0037】
また、本実施形態では、メインセル部10aとセンスセル部10bのセル比が以下の(数2)に基づいた値とされている。上記のように、メインセル部10aの初期動作抵抗とセンスセル部10bの初期動作抵抗とを所定の値にすることにより、つまりメインセル部10aとセンスセル部10bのセル比を所定の値にすることにより、メインセル部10aの動作抵抗の経時変化率と、センスセル部10bの動作抵抗と電流検出抵抗9との合成抵抗の経時変化率との差を抑制できるためである。言い換えると、メイン電流とセンス電流の経時変化率の差を抑制できるためである。
【0038】
図4は、上記のように、メインセル部10aとセンスセル部10bのセル比と、2000時間後の電流検出抵抗9の両端電圧の経時変化率との関係を示す図である。図4および上記のように、メインセル部10aとセンスセル部10bとのセル比を所定の値にすることにより、電流検出抵抗9の両端電圧の経時変化率を抑制することができる。そして、図4に基づいて、多変量解析を用いて重回帰分析を行うと、ドリフト層3の抵抗率をρとすると、2000時間後の電流検出抵抗9の両端電圧の経時変化率xが次式で表される。
【0039】
【数2】

すなわち、上記式より、(センスセル部/メインセル部)は次式で表される。
【数3】

そして、本実施形態では、メインセル部10aとセンスセル部10bとのセル比が、ドリフト層3の抵抗率ρが30Ω・cm以上であり、電流検出抵抗9の両端電圧の経時変化率xが−5〜5%である数値を代入した値とされている。例えば、ドリフト層3の抵抗率を70Ω・cmとし、電流検出抵抗9の両端電圧の経時変化率を約0となる半導体装置とする場合には、メインセル部10aとセンスセル部10bとのセル比が約78とされる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の半導体装置では、メインセル部10aとセンスセル部10bとのセル比を、ドリフト層3の抵抗率と電流検出抵抗9の両端電圧の経時変化率より導き出される値とし、ドリフト層3の抵抗率を30Ω・cm以上とし、かつ経時変化率が−5〜5%となるセル比としている。
【0041】
このため、電流検出抵抗9の両端電圧の経時変化率を小さくすることができ、つまり、メインセル部10aの動作抵抗と、センスセル部10bの動作抵抗と電流検出抵抗9との合成抵抗との経時変化率の差を小さくすることができる。したがって、メイン電流とセンス電流との経時変化率の差を小さくすることができ、検出精度が低下することを抑制することができる。また、ドリフト層3の抵抗率を30Ω・cm以上としているため、半導体装置の耐圧を向上させることもできる。
【0042】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、第1導電型領域をp型とし、第2導電型領域をn型として説明したが、第1導電型領域をn型とし、第2導電型領域p型とすることも可能である。この場合も、メインセル部10aとセンスセル部10bとのセル比を適宜調整することにより、メイン電流とセンス電流との経時変化率の差を抑制することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 p型基板
1a ゲッタリング層
2 バッファ層
3 ドリフト層
4 ベース領域
5 エミッタ領域
6 ゲート電極
7 層間絶縁膜
8 コレクタ電極
9 電流検出抵抗
10a メインセル部
10b センスセル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン電流を流すメインセル部(10a)と、前記メイン電流よりも小さいセンス電流を流すセンスセル部(10b)とを有してなる半導体装置であって、
前記メインセル部(10a)と前記センスセル部(10b)とは共に、
第1導電型の半導体基板(1)と、
前記半導体基板(1)に形成されたゲッタリング層(1a)と、
前記半導体基板(1)上に形成された第2導電型のバッファ層(2)と、
前記バッファ層(2)上に形成された第2導電型のドリフト層(3)と、
前記ドリフト層(3)の表層部に形成された第1導電型のベース領域(4)と、
前記ベース領域(4)内に形成された第2導電型のエミッタ領域(5)と、
前記ベース領域(4)のうち、前記エミッタ領域(5)と前記ドリフト層(3)との間に挟まれた部分の表面をチャネル領域としたとき、前記チャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極(7)と、
前記エミッタ領域(5)に電気的に接続されるエミッタ電極と、
前記半導体基板(1)の裏面に形成された裏面電極(8)と、を備えた絶縁ゲートバイポーラトランジスタを有し、
前記センスセル部(10b)のエミッタ電極には、前記センス電流を流す電流検出抵抗(9)が接続されており、
前記メインセル部(10a)と前記センスセル部(10b)とのセル数の比をセル比とし、前記ドリフト層(3)の抵抗率をρとし、前記電流検出抵抗(9)の両端電圧の経時変化率をxとしたとき、{前記センスセル部(10b)/前記メインセル部(10a)}のセル比が、{(x+0.22ρ+10.08)/224.38}で導き出される値とされ、前記ドリフト層(3)の抵抗率ρが30Ω・cm以上であって、かつ前記経時変化率xが+5〜−5%であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記電流検出抵抗(9)は、ポリシリコンで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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