説明

半導体試験装置

【課題】不必要なセットエッジやリセットエッジの出力を抑制することにより、タイミン
グジェネレータ部におけるタイミング制約を緩和する。
【解決手段】第1の不要エッジ判別回路30は、第1のフォーマッタ10から入力される
第1の波形信号のラストステート情報と、第2のフォーマッタ50から入力されるフォー
マット情報およびデータ情報とに基づいて、隣接する第2のフォーマッタ50から第2の
波形信号の第1エッジの出力を許可するか否かを判別する。第1の不要エッジ判別回路3
0は、判別結果に基づくイネーブル信号Se1を生成して第2のフォーマッタ50に入力す
る。第2のフォーマッタ50は、入力されるイネーブル信号Se1と出力予定の第2の波形
信号との論理積をとり、この結果に応じて第2の波形信号の第1エッジの出力制御を行う
。イネーブル信号Se1が「off」の場合には第2の波形信号の第1エッジを出力しない制
御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験対象の合否判定を行う半導体試験装置に関する。詳しくは、隣接ピン
のフォーマッタの波形信号のラストステート情報から、自ピンのフォーマッタから出力さ
れる波形信号の第1エッジの出力を許可するか否かを示すイネーブル信号を生成し、この
イネーブル信号に基づいて自ピンのフォーマッタから出力する波形信号の第1エッジの出
力制御を行うものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被試験対象(以下DUT:Device Under Test)に試験パターンを出力し、
この試験パターンに応じてDUTから出力される応答信号と予め設定されている期待値パ
ターンとを比較することにより、DUTの合否の判定を行うLSIテスタ等の半導体試験
装置が広く利用されている。
【0003】
半導体試験装置は、フォーマットデコーダとフリップフロップ回路等を有するタイミン
グジェネレータ部を備えている。フォーマットデコーダには、パターンメモリやパターン
ジェネレータ等から、出力する波形のパターン情報および出力波形のタイミング情報が入
力される。フォーマットデコーダは、これらの情報から波形情報を生成してフリップフロ
ップ回路に出力する。フリップフロップ回路は、フォーマットデコーダからの波形情報に
基づく出力波形をDUTに出力する。これにより、DUTから出力波形に応じた応答信号
が得られ、この応答信号に基づいてDUTの合否判定が行われる。
【0004】
また、上述した半導体試験装置においては、よりタイミング精度の向上を図ることを目
的として、ドライバからDUTまでの電気長を考慮し、エッジを発生するタイミング発生
部およびタイミングを調整するタイミング校正部を備えたものが提案されている(特許文
献1参照)。
【0005】
さらには、上述した半導体試験装置により得られる出力波形よりも出力周期を短くした
り、より複雑な波形を出力したい場合することを可能とした半導体試験装置が開発されて
いる。この種の半導体試験装置は、一般にピンマルチ方式と呼ばれている。ピンマルチ方
式の実現方法は様々であるが、理論的に簡単な方法としては、従来の出力バッファに加え
て、論理和や排他的論理和の素子を設けることで実現することが可能となる。
【0006】
図6はピンマルチ方式の半導体試験装置200の構成の一例を示しており、図7はこの
半導体試験装置200の動作のタイミングチャートを示している。奇数ピンの第1のフォ
ーマッタ210からは、セット用エッジSs1およびリセット用エッジSr1が遅延素子21
4,216のそれぞれに出力される。遅延素子214,216では、第1のタイミングメ
モリ212から供給されるタイミング情報Ts1,Tr1に基づいてセット用エッジSs1およ
びリセット用エッジSr2が遅延され、これらのタイミング制御されたエッジSs1,Sr1が
論理和回路218,220のそれぞれに出力される。
【0007】
偶数ピンの第2のフォーマッタ250からは、セット用エッジSs2およびリセット用エ
ッジSr2が遅延素子254,256のそれぞれに出力される。遅延素子254,256で
は、第2のタイミングメモリ252から供給されるタイミング情報Ts2,Tr2に基づいて
セット用エッジSs2およびリセット用エッジSr2が遅延され、これらのタイミング制御さ
れたエッジSs2,Sr2が論理積回路224,226のそれぞれに出力される。論理積回路
224,226では、イネーブル信号との論理積がとられ、この結果が論理和回路218
,220のそれぞれに出力される。
【0008】
論理和回路218,220では、奇数ピンのセット用エッジSs1およびリセット用エッ
ジSr1と偶数ピンのセット用エッジSs2およびリセット用エッジSr2との論理和がとられ
、この結果がフリップフロップ回路226に入力される。フリップフロップ回路226か
らは、図7(B)および図7(C)に示すように、奇数ピンの第1の波形信号S1および
偶数ピンの第2の波形信号S2のそれぞれが出力される。これにより、奇数ピン側の出力
バッファ228からは、図7(D)に示すように、第1の波形信号S1と第2の波形信号
S2とのそれぞれが順次DUTに出力されることになり、より複雑かつ高速な波形信号を
DUTに出力することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−197073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したピンマルチ方式の半導体試験装置200では以下のような問題
がある。すなわち、第1および第2のフォーマッタ210,250のそれぞれは、隣接す
るフォーマッタの出力波形の情報を全く知らずに、自ピンの出力を後段に伝えている。そ
のため、隣接ピンの挙動によって自ピンが不必要なセット用エッジやリセット用エッジを
出力してしまうという問題がある。
【0011】
例えば、図7に示すように、第1のフォーマッタ210の第1の波形信号の第1エッジ
(一点鎖線部E)は、フリップフロップ回路226から出力される出力波形に全く関与し
ないエッジであることが分かる。したがって、この第1エッジは不必要なセット用エッジ
であるが、従来の半導体試験装置200の構成では隣接ピンの出力波形の情報については
何ら関与しないので波形信号をそのまま出力せざるを得ないという問題がある。
【0012】
また、一般的にタイミングジェネレータ部を構成する遅延素子やフリップフロップ回路
には、通常最小エッジ間隔という制約がある。言い換えれば、セットエッジやリセットエ
ッジを打つ時間間隔には必ず限界がある。そのため、不必要なセット用エッジ等を打たな
いということは、制約に干渉する可能性が減る、つまりタイミング制約を緩和することが
できることを意味している。
【0013】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、不必要なセットエッジやリ
セットエッジの出力を抑制することにより、タイミングジェネレータ部におけるタイミン
グ制約を緩和することを可能とした半導体試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る半導体試験装置は、第1の信号生成情報を入
力して第1の波形信号を生成する第1の信号生成部と、第2の信号生成情報を入力して第
2の波形信号を生成する第2の信号生成部と、第1の信号生成部により生成された第1の
波形信号のエッジの状態情報および第2の信号生成情報に基づいて、第2の信号生成部か
ら出力される第2の波形信号の第1エッジの出力を許可するか否かを判別して第1の出力
許可信号を生成する第1の判別部と、第2の信号生成部により生成された第2の波形信号
のエッジの状態情報および第1の信号生成情報に基づいて、第1の信号生成部から出力さ
れる第1の波形信号の第1エッジの出力を許可するか否かを判別して第2の出力許可信号
を生成する第2の判別部と、第2の出力許可信号に基づいて第1の信号生成部から出力さ
れる第1の波形信号と、第1の出力許可信号に基づいて第2の信号生成部から出力される
第2の波形信号の入力に応じて被試験対象に試験パターンを出力するフリップフロップ回
路とを備えるものである。
【0015】
本発明において第1の判別部には、第1の信号生成部から第1の波形信号のエッジの状
態情報および第2の信号生成情報が入力される。エッジの状態情報とは、例えば、NRZ
、RZ、R1等の符合化方式において、波形信号の第2エッジの状態がハイレベルである
かまたはロウレベルであるかを示す情報である。第1の判別部では、第1の波形信号のエ
ッジの状態情報に基づいて、隣接ピンから第2の波形信号の第1エッジの出力を許可する
か否かが判別され、判別結果に応じた第1の出力許可信号が生成されて第2の信号生成部
に供給される。
【0016】
第2の信号生成部は、第1の判別部から供給された第1の出力許可信号に基づいて第2
の波形信号の第1エッジの出力制御を行い、第1の出力許可信号をフリップフロップ回路
に出力する。第2の判別部についても、上述した第1の判別部と同様の処理が行われる。
フリップフロップ回路からは、第1および第2の信号生成部から出力される第1および第
2の波形信号のそれぞれが被試験対象に出力される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、自ピン側の信号生成部は、隣接ピン側の信号生成部から出力される波
形信号のエッジの状態情報に基づいて、波形信号の第1エッジを出力するか否かの出力制
御を行うので、無駄なエッジの出力を抑制することができる。その結果、よりタイミング
制約に対して有利な半導体試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体試験装置の構成例を示す図である。
【図2】第1および第2の不要エッジ判別回路のブロック構成例を示す図である。
【図3】フォーマット情報およびデータ情報とラストステート情報との関係例を示す図である。
【図4】ラストステート情報とイネーブル信号との関係例を示す図である。
【図5】半導体試験装置の動作のタイミングチャート例を示す図である。
【図6】従来の半導体試験装置の構成例を示す図である。
【図7】従来の半導体試験装置の動作例を示すタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための最良の形態について説明する。
[半導体試験装置の構成例]
半導体試験装置100は、例えばLSIテスタであり、DUTのピン数に応じた複数の
タイミングジェネレータ部を備えている。本例では便宜上、第1のタイミングジェネレー
タ部100Aおよび第2のタイミングジェネレータ部100Bを用いて説明する。このと
き、第1のタイミングジェネレータ部100Aを奇数ピンとし,第2のタイミングジェネ
レータ部100Bを偶数ピンとする。
【0020】
第1のタイミングジェネレータ部100Aは、第1のフォーマッタ10と第1のタイミ
ングメモリ12と第1の不要エッジ判別回路30と遅延素子14,16と論理和回路18
,20と論理積回路22,24とフリップフロップ回路26と出力バッファ28とを備え
ている。なお、第1のフォーマッタ10は第1の信号生成部の一例を構成し、第1の不要
エッジ判別回路30は第1の判別部の一例を構成している。
【0021】
第1のフォーマッタ10は、図示しないパターンジェネレータ等から供給される出力パ
ターンDp1と後述する第2の不要エッジ判別回路70から入力されるイネーブル信号Se2
とに基づいて、セット用エッジSs1を生成して遅延素子14に出力する。このとき、後述
するように、入力されるイネーブル信号Se2に応じてセット用エッジSs1の出力制御を行
う。出力パターンDp1は、第1の信号生成情報の一例であり、この出力パターンDp1には
期待値パターン、フォーマッタ情報およびデータ情報等が含まれている。また、第1のフ
ォーマッタ10は、パターンジェネレータからの出力パターンDp1と後述する第2の不要
エッジ判別回路70から入力されるイネーブル信号Se2とに基づいて、リセット用エッジ
Sr1を生成して遅延素子16に出力する。このとき、第1のフォーマッタ10は、入力さ
れるイネーブル信号Se2に応じてリセット用エッジSr1の出力制御を行う。
【0022】
第1のタイミングメモリ12は、RTTC(リアルタイム・タイミング・コントロール
)メモリ等から入力されるアドレス情報に基づいてセット用エッジSs1およびリセット用
エッジSr1のタイミング情報Ts1,Tr1を取得して記憶する。そして、セット用のタイミ
ング情報Ts1を遅延素子14に出力すると共にリセット用のタイミング情報Tr1を遅延素
子16に出力する。
【0023】
第1の不要エッジ判別回路30は、偶数ピンの第2のフォーマッタ50から入力される
第2の波形信号S2のラストステート情報DL2と第1のフォーマッタ10から供給される
出力パターンDp1とに基づいて、偶数ピンの第2の波形信号S2を構成する第1エッジの
出力を許可するか否かを判別し、その判別結果に応じたイネーブル信号Se1を生成する。
そして、生成したイネーブル信号Se1を第2のフォーマッタ50に出力(フィードバック
)する。第1の不要エッジ判別回路30の詳細については後述する。
【0024】
遅延素子14は、第1のフォーマッタ10から供給されるセット用エッジSs1をタイミ
ング情報Ts1に基づいてタイミング制御して論理和回路18に出力する。遅延素子16は
、第1のフォーマッタ10から供給されるリセット用エッジSr1を第1のタイミングメモ
リ12からのタイミング情報Tr1に基づいてタイミング制御して論理和回路20に出力す
る。
【0025】
第2のタイミングジェネレータ部100Bは、第2のフォーマッタ50と第2のタイミ
ングメモリ52と第2の不要エッジ判別回路70と遅延素子54,56とフリップフロッ
プ回路66と出力バッファ68とを備えている。なお、第2のフォーマッタ50は第2の
信号生成部の一例を構成し、第2の不要エッジ判別回路70は第2の判別部の一例を構成
している。
【0026】
第2のフォーマッタ50は、出力パターンDp2と後述する第1の不要エッジ判別回路3
0から入力されるイネーブル信号Se1とに基づいて、セット用エッジSs2を生成して遅延
素子54に出力する。このとき、後述するように、入力されるイネーブル信号Se1に応じ
てセット用エッジSs2の出力制御を行う。また、第2のフォーマッタ50は、パターンジ
ェネレータからの出力パターンDp2と第1の不要エッジ判別回路30から入力されるイネ
ーブル信号Se1とに基づいて、リセット用エッジSr2を生成して遅延素子56に出力する
。このとき、第2のフォーマッタ50は、入力されるイネーブル信号Se1に応じてリセッ
ト用エッジSr2の出力制御を行う。
【0027】
第2のタイミングメモリ52は、RTTCメモリ等から入力されるアドレス情報に基づ
いてセット用エッジSs2およびリセット用エッジSr2のタイミング情報Ts2,Tr2を取得
して記憶する。そして、セット用のタイミング情報Ts2を遅延素子54に出力すると共に
リセット用のタイミング情報Tr2を遅延素子56に出力する。
【0028】
第2の不要エッジ判別回路70は、奇数ピンの第1のフォーマッタ10から入力される
第1の波形信号S1のラストステート情報DL1と第2のフォーマッタ50から供給される
出力パターンDp2とに基づいて、奇数ピンの第1の波形信号S1を構成する第1エッジの
出力を許可するか否かを判別し、その判別結果に基づくイネーブル信号Se2を生成する。
そして、生成したイネーブル信号Se2を第1のフォーマッタ10に出力(フィードバック
)する。第2の不要エッジ判別回路70の詳細については後述する。
【0029】
遅延素子54は、第2のフォーマッタ50から供給されるセット用エッジSs2をタイミ
ング情報Ts2に基づいてタイミング制御して論理積回路22に出力する。論理積回路22
は、遅延素子54から出力されるセット用エッジSs2とイネーブル信号との論理積演算を
行い、この演算結果を論理和回路18に出力する。
【0030】
遅延素子56は、第2のフォーマッタ50から供給されるリセット用エッジSr2をタイ
ミング情報Tr2に基づいてタイミング制御して論理積回路24に出力する。論理積回路2
4は、遅延素子56から出力されるリセット用エッジSr2とイネーブル信号との論理積演
算を行い、この演算結果を論理和回路20に出力する。
【0031】
論理和回路18は、遅延素子14から出力される奇数ピン側のセット用エッジSs1と、
論理積回路22から出力される偶数ピン側のセット用エッジSs2との論理和演算を行い、
この演算結果をフリップフロップ回路26のセット端子Sに出力する。論理和回路20は
、遅延素子16から出力された奇数ピン側のリセット用エッジSr1と、論理積回路24か
ら出力される偶数ピン側のリセット用エッジSr2との論理積演算を行い、この演算結果を
フリップフロップ回路26のリセット端子Rに出力する。
【0032】
奇数ピン側のフリップフロップ回路26は、例えばRS型フリップフロップ回路により
構成され、セット端子Sには論理和回路18からのセット用エッジSsが入力され、リセ
ット端子Rには論理和回路20からのリセット用エッジSrが入力される。フリップフロ
ップ回路26は、入力されたセット用エッジSsおよびリセット用エッジSrに基づいて被
試験対象に所定の試験パターン(出力波形)を出力する。
【0033】
[第1の不要エッジ判別回路の構成例]
次に、第1の不要エッジ判別回路30の構成例について説明する。第1の不要エッジ判
別回路30は、図1および図2に示すように、遅延素子14,16の前段に設けられ、第
1のラストステート情報生成回路302と第1のイネーブル信号生成回路304とを備え
ている。なお、第1のラストステート情報生成回路302は、第1の状態情報生成回路の
一例を構成し、第1のイネーブル信号生成回路304は第1の出力許可信号生成回路の一
例を構成している。
【0034】
第1のラストステート情報生成回路302には、第1のフォーマッタ10から出力パタ
ーンDp1を構成するフォーマット情報Df1およびデータ情報Dd1のそれぞれが入力される
。フォーマット情報Df1およびデータ情報Dd1は、第1のフォーマッタ10を介さずに直
接入力させても良い。ここで、フォーマット情報Df1は、図3に示すように、波形信号の
符号化方式を示すものであり、本例では、NRZ(Non Return to Zero)符号、RZ(Re
turn to Zero)符号およびR1(Return to One)符号が用いられる。データ情報Dd1は
、図3に示すように、波形信号のビット情報(「0」,「1」)を示すものである。
【0035】
第1のラストステート情報生成回路302は、第1のフォーマッタ10から入力された
自ピンの波形生成に用いるフォーマット情報Df1およびデータ情報Dd1に基づいて、これ
らの情報に対応した第1の波形信号S1のラストステート情報DL1を生成して第1のイネ
ーブル信号生成回路304に出力する。ラストステート情報DL1とは、図3に示すように
、フォーマット情報Df1およびデータ情報Dd1により生成される波形信号の第2エッジの
状態がロウレベルであるかまたはハイレベルであるかを示す情報である。
【0036】
具体的には、図3に示すように、フォーマット情報が「NRZ符号」であってデータ情
報が「0」である場合には、ロウレベル「Low」のラストステート情報DL1が生成され、
データ情報が「1」である場合にはハイレベル「High」のラストステート情報DL1が生成
される。また、フォーマット情報が「RZ符号」であってデータ情報が「0」である場合
には、ロウレベル「Low」のラストステート情報DL1が生成され、データ情報が「1」で
ある場合にはロウレベル「Low」のラストステート情報DL1が生成される。また、フォー
マット情報が「R1符号」であってデータ情報が「0」である場合には、ハイレベル「Hi
gh」のラストステート情報DL1が生成され、データ情報が「1」である場合にはハイレベ
ル「High」のラストステート情報DL1が生成される。
【0037】
第1のイネーブル信号生成回路304は、図2に示すように、第1のラストステート情
報生成回路302から入力されたラストステート情報DL1と偶数ピンの第2のフォーマッ
タ50から入力されたフォーマット情報Df2およびデータ情報Dd2とを用いて、第2のフ
ォーマッタ50から出力される第2の波形信号S2を構成する第1エッジの出力を許可す
るか否かを判別し、判別結果に基づくイネーブル信号Se1を生成する。そして、生成した
イネーブル信号Se1を偶数ピンの第2のフォーマッタ50に供給する。
【0038】
具体的には、図4に示すように、第1のイネーブル信号生成回路304にロウレベル「
Low」のラストステート情報DL1が供給される場合であって、第2のフォーマッタ50の
フォーマット情報が「NRZ符号」、データ情報が「0」であるときには、奇数ピンと偶
数ピンの出力波形の状態がロウレベルで同一となるので、第2の波形信号の第1エッジの
出力を許可しない旨の「off」のイネーブル信号Se1を出力する。また、第2のフォーマ
ッタ50のフォーマット情報が「NRZ符号」であってデータ情報が「1」であるときに
は、奇数ピンの状態がロウレベルで偶数ピンの状態がハイレベルとなり出力波形の状態が
それぞれ異なるので、第2の波形信号を構成する第1エッジの出力を許可する旨の「on」
のイネーブル信号Se1を出力する。なお、フォーマット情報が「RZ符号」、「R1符号
」である場合についても、図4に示すように、上述した「NRZ符号」の場合と同様の処
理によりイネーブル信号を生成するため、説明を省略する。
【0039】
次に、第1のイネーブル信号生成回路304にハイレベル「High」のラストステート情
報DL1が入力される場合であって、第2のフォーマッタ50のフォーマット情報が「NR
Z符号」、データ情報が「0」であるときには、第2の波形信号S2を構成する第1エッ
ジの出力を許可する旨の「on」のイネーブル信号Se1を出力する。また、第2のフォーマ
ッタ50のフォーマット情報が「NRZ符号」であってデータ情報が「1」であるときに
は、第2の波形信号S2を構成する第1エッジの出力を許可しない旨の「off」のイネー
ブル信号Se1を出力する。なお、フォーマット情報が「RZ符号」、「R1符号」である
場合についても、図4に示すように、上述した「NRZ符号」の場合と同様の処理により
イネーブル信号を生成するため、説明を省略する。
【0040】
図2に戻り、偶数ピンの第2のフォーマッタ50は、奇数ピンの第1のイネーブル信号
生成回路304から入力されるイネーブル信号Se1と、第2の波形信号S2を構成する第
1エッジ(セット用エッジSs2,リセット用エッジSr2)との論理積演算を行い、この演
算結果に基づいて第2の波形信号S2を構成する第1エッジの出力を許可したり、第2の
波形信号S2の第1エッジの出力を許可しないように出力制御する。
【0041】
例えば、図4に示すように、第2のフォーマッタ50に入力されるイネーブル信号Se1
が「off」である場合には、イネーブル信号Se1と第2の波形信号S2を構成するセット
用エッジSs2またはリセット用エッジSr2との論理積は「0」となるので、第2のフォー
マッタ50は第2の波形信号S2を構成する第1エッジを出力しないように出力制御(マ
スク)する。
【0042】
一方、第2のフォーマッタ50に入力されるイネーブル信号Se1が「on」である場合に
は、イネーブル信号Se1と第2の波形信号S2を構成するセット用エッジSs2との論理積
は「1」となるので、第2のフォーマッタ50は第2の波形信号S2の第1エッジを出力
するように出力制御する。
【0043】
[第2の不要エッジ判別回路の構成例]
次に、第2の不要エッジ判別回路70の構成例について説明する。なお、第2の不要エ
ッジ判別回路70は、上述した第1の不要エッジ判別回路30と同様の構成であるため、
共通する部分については説明を省略する。
【0044】
第2の不要エッジ判別回路70は、遅延素子54,56の前段に設けられ、第2のラス
トステート情報生成回路702と第2のイネーブル信号生成回路704とを備えている。
なお、第2のラストステート情報生成回路702は、第2の状態情報生成回路の一例を構
成し、第2のイネーブル信号生成回路704は第2の出力許可信号生成回路の一例を構成
している。
【0045】
第2のラストステート情報生成回路702には、第2のフォーマッタ50から出力パタ
ーンDp2を構成するフォーマット情報Df2およびデータ情報Dd2のそれぞれが入力される
。フォーマット情報Df2およびデータ情報Dd2は、第2のフォーマッタ50を介さずに直
接入力させても良い。
【0046】
第2のラストステート情報生成回路702は、第2のフォーマッタ50から入力された
自ピンの波形生成に用いるフォーマット情報Df2およびデータ情報Dd2に基づいて、これ
らの情報に対応した第2の波形信号S2のラストステート情報DL2を生成して第2のイネ
ーブル信号生成回路704に出力する。本例においてラストステート情報DL2とは、図3
に示すように、フォーマット情報Df2およびデータ情報Dd2により生成される波形信号の
第2エッジの状態がロウレベルであるかまたはハイレベルであるかを示す情報である。
【0047】
第2のイネーブル信号生成回路704は、図2に示すように、第2のラストステート情
報生成回路702から入力されたラストステート情報DL2と奇数ピンの第1のフォーマッ
タ10から入力されたフォーマット情報Df1およびデータ情報Dd1とを用いて、第1のフ
ォーマッタ10から出力される第1の波形信号S1を構成する第1エッジの出力を許可す
るか否かを判別し、判別結果に基づくイネーブル信号Se2を生成する。そして、生成した
イネーブル信号Se2を奇数ピンの第1のフォーマッタ10に供給する。
【0048】
奇数ピンの第1のフォーマッタ10は、第2のイネーブル信号生成回路704から入力
されるイネーブル信号Se2と、第1の波形信号S1を構成する第1エッジ(セット用エッ
ジSs1,リセット用エッジSr1)との論理積演算を行い、この演算結果に基づいて第1の
波形信号S1を構成する第1エッジの出力を許可したり、第1の波形信号S1の第1エッ
ジの出力を許可しないように出力制御する。
【0049】
例えば、図4に示すように、第1のフォーマッタ10に入力されるイネーブル信号Se2
が「off」である場合には、イネーブル信号Se2と第1の波形信号S1を構成するセット
用エッジSs1またはリセット用エッジSr1との論理積は「0」となるので、第1のフォー
マッタ10は第1の波形信号S1を構成する第1エッジを出力しないように出力制御(マ
スク)する。
【0050】
一方、第1のフォーマッタ10に入力されるイネーブル信号Se2が「on」である場合に
は、イネーブル信号Se2と第1の波形信号S1を構成するセット用エッジSs1との論理積
は「1」となるので、第1のフォーマッタ10は第1の波形信号S1の第1エッジを出力
するように出力制御する。
【0051】
このように本実施の形態では、隣接ピンの波形信号のラストステート情報がロウレベル
(ハイレベル)の場合であって、自ピンで出力する波形信号の第1エッジの状態がロウレ
ベル(ハイレベル)である場合には、自ピン側で出力する波形信号の第1エッジは不必要
となるので、この場合には波形信号の第1エッジを出力しないように制御する。一方、隣
接ピンの波形信号のラストステート情報の状態と、自ピンで出力する波形信号の第1エッ
ジの状態とが異なる場合には、自ピン側で出力する波形信号の第1エッジを出力するよう
に制御する。
【0052】
[半導体試験装置の動作例]
次に、上述した半導体試験装置100のタイミングチャートについて説明する。前提と
して、ピンマルチ実施時のマルチするタイミングの役割を隣接ピンとの間で法則を設ける
。つまり、図5に示すように、各テスト周期の中で前半/後半に分けて、前半期間A,C
に偶数ピンの第2のタイミングジェネレータ部100Bから第2の波形信号を出力し、後
半期間B,Dに奇数ピンの第1のタイミングジェネレータ部100Aから第1の波形信号
を出力するものとする。このタイミング制御は、図1に示した第1および第2のタイミン
グメモリ12,52の内容に反映されるものであるが、半導体試験装置100の使用者が
本法則を遵守するという前提で以降の動作を説明する。また、図5では、便宜上前半/後
半の分かれ目をタイミング的に各テスト周期の中心に設定しているが、実際は前後のタイ
ミング情報の逆転が起きなければ、半分である必要はない。
【0053】
図5に示すように、奇数ピンの第1のフォーマッタ10には、テスト周期Nの前半期間
Aに出力された偶数ピンの第2の波形信号S2に基づくイネーブル信号Se2が第2の不要
エッジ判別回路70から入力される。これにより、第1のフォーマッタ10は、入力され
たイネーブル信号Se2に基づいて第1の波形信号S1の第1エッジ(セット用エッジSs1
)の出力制御を行う。
【0054】
例えば、第1のフォーマッタ10は、テスト周期Nの前半期間Aにおいて、図5(A)
の一点鎖線部Fに示すように、第1の波形信号S1を構成する第1エッジを出力したとし
ても図5(C)に示す出力波形において何ら関与しないような場合には、第1の波形信号
S1の第1エッジを出力しないように出力制御する。そして、図5(A)に示すように、
テスト周期Nの後半期間Bにおいて第1の波形信号S1を構成する第1エッジを出力する
ように出力制御する。
【0055】
また、偶数ピンの第2のフォーマッタ50には、図5に示すように、テスト周期(N+
1)の後半期間Bに出力された奇数ピンの第1の波形信号S1に基づくイネーブル信号S
e1が第1の不要エッジ判別回路30から入力される。これにより、第2のフォーマッタ5
0は、入力されたイネーブル信号Se1に基づいて第2の波形信号S2の第1エッジ(セッ
ト用エッジSs2)の出力制御を行う。
【0056】
例えば、第2のフォーマッタ50は、テスト周期Nの後半期間Bにおいて、図5(B)
の一点鎖線部Gに示すように、第2の波形信号S2を出力したとしても図5(C)に示す
出力波形において何ら関与しないような場合には、第2の波形信号S2を構成する第1エ
ッジを出力しないように出力制御する。そして、図5(B)に示すように、テスト周期(
N+1)の前半期間Cにおいて第2の波形信号S2の第1エッジ(セット用エッジSs2)
を出力するように出力制御する。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態では、自ピンの第1のフォーマッタ10から第1の
波形信号を出力する場合に、隣接ピンの第2のフォーマッタ50から出力される第2の波
形信号S2のラストステート情報DL2に基づいて生成されたイネーブル信号Se2を用いて
、第1の波形信号の第1エッジの出力制御を行う。第2のフォーマッタ50についても同
様に、隣接ピンの第1のフォーマッタ10の出力を考慮して第1の波形信号の第1エッジ
の出力制御を行う。これにより、第1および第2の波形信号の第1エッジの出力が不必要
である場合には無駄なエッジの出力を抑制することができるので、よりタイミング制約に
対して有利な半導体試験装置100を提供することができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、第1および第2の不要エッジ判別回路30,70を、遅
延素子14,16,54,56の前段に設けているので、本来緻密なタイミング精度等を
必要とする遅延素子14,16,54,56以降に何ら影響を与えずに、無駄なエッジの
出力を抑制することができる。
【0059】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣
旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。上述
した実施の形態では、テスト周期における前半/後半の考え方において、偶数ピンを前半
期間として奇数ピンを後半期間とする一律の法則を前提としたが、これに限定されること
はない。例えば、前半/後半の選択をレジスタ設定等にすることで、奇数ピンおよび偶数
ピンを何れの期間にも対応させることができる。これにより、更に柔軟なケースに対応可
能となる。
【符号の説明】
【0060】
100・・・半導体試験装置、100A・・・第1のタイミングジェネレータ部、100
B・・・第2のタイミングジェネレータ部、10・・・第1のフォーマッタ、12・・・
第1のタイミングメモリ、26・・・フリップフロップ回路、30・・・第1の不要エッ
ジ判別回路、302・・・第1のラストステート情報生成回路、304・・・第1のイネ
ーブル信号生成回路、50・・・第2のフォーマッタ、52・・・第2のタイミングメモ
リ、66・・・フリップフロップ回路、70・・・第2の不要エッジ判別回路、702・
・・第2のラストステート情報生成回路、704・・・第2のイネーブル信号生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号生成情報を入力して第1の波形信号を生成する第1の信号生成部と、
第2の信号生成情報を入力して第2の波形信号を生成する第2の信号生成部と、
前記第1の信号生成部により生成された前記第1の波形信号のエッジの状態情報および
前記第2の信号生成情報に基づいて、前記第2の信号生成部から出力される前記第2の波
形信号の第1エッジの出力を許可するか否かを判別して第1の出力許可信号を生成する第
1の判別部と、
前記第2の信号生成部により生成された前記第2の波形信号のエッジの状態情報および
前記第1の信号生成情報に基づいて、前記第1の信号生成部から出力される前記第1の波
形信号の第1エッジの出力を許可するか否かを判別して第2の出力許可信号を生成する第
2の判別部と、
前記第2の出力許可信号に基づいて前記第1の信号生成部から出力される前記第1の波
形信号と、前記第1の出力許可信号に基づいて前記第2の信号生成部から出力される前記
第2の波形信号との入力に応じて被試験対象に試験パターンを出力するフリップフロップ
回路と
を備えることを特徴とする半導体試験装置。
【請求項2】
前記第1の判別部は、
前記第1の信号生成部から供給された前記第1の波形信号のエッジの前記状態情報を取
得する第1の状態情報生成回路と、
前記第1の状態情報生成回路により取得された前記第1の波形信号の前記状態情報に基
づいて前記第2の波形信号の第1エッジを出力するか否かを示す前記第1の出力許可信号
を生成する第1の出力許可信号生成回路とを有し、
前記第2の判別部は、
前記第2の信号生成部から供給された前記第2の波形信号のエッジの前記状態情報を取
得する第2の状態情報生成回路と、
前記第2の状態情報生成回路により取得された前記第2の波形信号の前記状態情報に基
づいて前記第1の波形信号の第1エッジを出力するか否かを示す前記第2の出力許可信号
を生成する第2の出力許可信号生成回路と
を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体試験装置。
【請求項3】
前記第1の判別部は、
前記第1の波形信号の前記状態情報と前記第2の波形信号の前記第1エッジの状態が同
一であるとき、前記第2の波形信号の第1エッジを出力しない旨の第1の出力許可信号を
生成し、
前記第2の判別部は、
前記第2の波形信号の前記状態情報と前記第1の波形信号の前記第1エッジの状態が同
一であるとき、前記第1の波形信号の第1エッジを出力しない旨の第2の出力許可信号を
生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体試験装置。
【請求項4】
前記第1の信号生成部は、所定のテスト周期の第1の期間に前記第1の波形信号を出力
し、
前記第2の信号生成部は、前記第1の期間に連続した第2の期間に前記第2の波形信号
を出力する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の半導体試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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