説明

半導体集積回路検査装置、半導体集積回路検査方法、及びプログラム

【課題】 論理シミュレーション及び故障シミュレーションを行わず、半導体集積回路の良品/不良品の判定を簡易に行うことを可能にする。
【解決手段】 抵抗ユニット3の抵抗器の各々を、DUT1の出力端子と電圧印加回路5との間にそれぞれ選択的に接続し、DUT1の入力端子に所定の動作パターン信号を入力する。この入力によって、前記接続された各抵抗器にそれぞれ流れる電流量の総和を、電流測定回路4で所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する。LSIテスタ8は、この電流測定回路4で測定された電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されているDUT1と同一機能を持った良品サンプルをDUT1の代わりにして、電流測定回路4で測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路検査装置、半導体集積回路検査方法、及びプログラムに関し、特に、論理回路を含む半導体集積回路の機能検査を行う半導体集積回路検査装置、該半導体集積回路検査装置に適用される半導体集積回路検査方法、及び該半導体集積回路検査方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、論理回路を含む半導体集積回路の機能検査では、該半導体集積回路の機能を検査するための所定のテストパターンを半導体集積回路に入力し、該半導体集積回路から出力された出力パターンを出力パターン期待値と比較することによって、良品/不良品の判定を行う方法が用いられている(例えば、非特許文献1参照)。この所定のテストパターンは、該テストパターンを半導体集積回路に入力したときに該半導体集積回路から出力されるべき出力パターンの期待値が、論理シミュレーション等によって予め判明しているようなテストパターンである。
【0003】
ところで、こうした出力パターンの期待値が判明しているテストパターンによる検査方法では、測定対象となる半導体集積回路の規模が増大するにつれて、全ての論理状態をシミュレーションしたテストパターンを作成することが困難となり、テストパターンでの未検出領域が存在することになってしまう。その結果、半導体集積回路を構成部品の1つとする機械装置等において、上記の未検出領域で該機械装置が使用されたときに、正常動作しないという不具合が発生する虞があった。
【0004】
そうした不具合が発生した場合、機械装置の不良現象に基づき論理シミュレーション及び故障シミュレーションを行い、その不良現象を検出可能なテストパターンを作成し、そのテストパターンを当初のテストパターンに追加する方法がとられていた。
【非特許文献1】「VLSI試験/故障解析技術」、株式会社トリケップス、1992年、p.119〜120
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように、論理シミュレーション及び故障シミュレーションを行い、不良現象を検出可能なテストパターンを作成し、そのテストパターンを当初のテストパターンに追加する従来の方法では、機械装置内での使用において半導体集積回路の論理状態を確認することが困難な場合も多く、またシミュレーションによる方法は膨大な量のデータを処理しなければならず、もっと簡易な方法が求められていた。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、論理シミュレーション及び故障シミュレーションを行わず、半導体集積回路の良品/不良品の判定を簡易に行うことを可能にした半導体集積回路検査装置、半導体集積回路検査方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明によれば、所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、前記複数の抵抗器の各一端に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、前記複数の抵抗器の各他端と、半導体集積回路の複数の出力端子のそれぞれとを選択的に接続または遮断する接続遮断手段と、前記半導体集積回路の複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックを含む所定の動作パターン信号を入力する入力手段と、前記入力手段による所定の動作パターン信号の入力によって、前記接続遮断手段によって接続された各抵抗器にそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する比較手段とを有することを特徴とする半導体集積回路検査装置が提供される。
【0008】
また、請求項4記載の発明によれば、所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、前記複数の抵抗器の各一端に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、極性を揃えて並列に接続された複数のダイオードを備え、該複数のダイオードの各一方側が前記複数の抵抗器の各他端にそれぞれ接続されるとともに、各他方側が論理回路を含む半導体集積回路の複数の出力端子にそれぞれ接続されるダイオードユニットと、前記半導体集積回路の複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックを含む所定の動作パターン信号を入力する入力手段と、前記入力手段による所定の動作パターン信号の入力によって、前記複数の抵抗器のいずれかにそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する比較手段とを有することを特徴とする半導体集積回路検査装置が提供される。
【0009】
また、請求項9記載の発明によれば、各一方端が半導体集積回路の複数の出力端子にそれぞれ接続されることが可能な所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、前記複数の抵抗器の各他方端に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段が出力する前記所定の電圧を監視し、該所定の電圧が一定になるように前記電圧印加手段を制御する制御手段と、前記半導体集積回路の少なくとも複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックから構成される所定の動作パターン信号を入力する入力手段と、前記入力手段による所定の動作パターン信号の入力によって、前記複数の抵抗器のいずれかにそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する、前記電圧印加手段内に含まれる測定手段と、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する比較手段とを有することを特徴とする半導体集積回路検査装置が提供される。
【0010】
また、請求項12記載の発明によれば、所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、前記複数の抵抗器の各一端に所定の電圧を印加する電圧印加手段とを備えた半導体集積回路検査装置に適用される半導体集積回路検査方法において、前記複数の抵抗器の各他端と、半導体集積回路の複数の出力端子のそれぞれとを選択的に接続または遮断する接続遮断ステップと、前記半導体集積回路の複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックを含む所定の動作パターン信号を入力する入力ステップと、前記入力ステップによって所定の動作パターン信号が入力されることによって、前記接続遮断ステップによって接続された各抵抗器にそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する測定ステップと、前記測定ステップによって測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定ステップによって測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する比較ステップとを有することを特徴とする半導体集積回路検査方法が提供される。
【0011】
さらに、上記半導体集積回路検査方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、該複数の抵抗器の各一端に所定の電圧を印加する電圧印加手段とを備えた半導体集積回路検査装置において、前記複数の抵抗器の各他端と、半導体集積回路の複数の出力端子のそれぞれとを選択的に接続または遮断する。また、前記半導体集積回路の複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックを含む所定の動作パターン信号を入力する。この所定の動作パターン信号が入力されることによって、前記半導体集積回路と前記電圧印加手段との間にそれぞれ接続された各抵抗器にそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定し、この測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する。
【0013】
これによって、論理シミュレーション及び故障シミュレーションを行わず、半導体集積回路の良品/不良品の判定を簡易に行うことができる。
【0014】
また、本発明によれば、所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、前記複数の抵抗器の各一端に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、極性を揃えて並列に接続された複数のダイオードを備え、該複数のダイオードの各一方側が前記複数の抵抗器の各他端にそれぞれ接続されるとともに、各他方側が論理回路を含む半導体集積回路の複数の出力端子にそれぞれ接続されるダイオードユニットと、前記半導体集積回路の複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックを含む所定の動作パターン信号を入力する入力手段と、前記入力手段による所定の動作パターン信号の入力によって、前記複数の抵抗器のいずれかにそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する比較手段とを有する。
【0015】
これによって、半導体集積回路の端子からの漏れ電流を防止でき、測定手段によって本来測定されるべき電流が測定手段で正確に測定され、半導体集積回路の良品/不良品の正確な判定が可能となる。
【0016】
また、半導体集積回路の出力端子電圧のバラツキの影響を受けずに、測定手段で正確な測定が可能となり、半導体集積回路の良品/不良品の正確な判定ができる。
【0017】
また、複数の抵抗器に流れる電流量を、電圧印加手段の内部抵抗に拘わらず適切な電流値にすることができる。
【0018】
さらに、本発明によれば、各一方端が半導体集積回路の複数の出力端子にそれぞれ接続されることが可能な所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、前記複数の抵抗器の各他方端に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段が出力する前記所定の電圧を監視し、該所定の電圧が一定になるように前記電圧印加手段を制御する制御手段と、前記半導体集積回路の少なくとも複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックから構成される所定の動作パターン信号を入力する入力手段と、前記入力手段による所定の動作パターン信号の入力によって、前記複数の抵抗器のいずれかにそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する、前記電圧印加手段内に含まれる測定手段と、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する比較手段とを有する。
【0019】
これにより、測定手段に内部抵抗があり、かつ測定手段を流れる電流量が多くとも、電圧印加手段が出力する所定の電圧が一定に保持され、測定手段における測定精度を落とさずに測定手段が電流測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
図中1は、検査対象となる論理回路を含む半導体集積回路(DUT)であり、該DUT1の出力端子(OUT)及び入出力端子(I/O)の全てが、スイッチユニット2及び抵抗ユニット3を介して電圧印加回路5に接続される。スイッチユニット2は、並列に接続されたリレーなどで構成される複数のスイッチを含み、抵抗ユニット3は、並列に接続された同じ抵抗値の複数の抵抗器を含む。抵抗ユニット3を構成する複数の抵抗器のうち各一端は、短絡して電圧印加回路5に接続され、各他端は、スイッチユニット2を構成する複数のスイッチの各一端にそれぞれ接続される。スイッチユニット2を構成する複数のスイッチの各他端は、DUT1の出力端子及び入出力端子にそれぞれ接続される。スイッチユニット2にはスイッチコントロール信号発生器9が接続され、スイッチユニット2を構成する各スイッチは、スイッチコントロール信号発生器9から発生されるコントロール信号に応じてON/OFFされる。
【0023】
電圧印加回路5は、マイナス端が接地された直流電源7と、該直流電源7のプラス端と抵抗ユニット3との間に設けられた電流測定回路4とからなり、電圧印加回路5は、DUT1の電源電圧VDD端子の電位と同電位を出力する。
【0024】
6は動作パターン発生器であり、DUT1を構成部品の1つとする機械装置での使用に基づいて決まる、DUT1の機能を検査するための所定の動作パターン(論理信号0,1)を発生し、DUT1の入力端子(IN)及び入力状態の入出力端子(I/O)に出力する。この結果、所定の動作パターンの動作ステップ(動作ブロック)毎の静止状態(過渡状態から安定状態に遷移した後の状態)において、DUT1の各出力端子(OUT)から出力論理信号(0,1)が出力され、この状態で、スイッチユニット2を介して出力端子(OUT)及び入出力端子(I/O)にそれぞれ接続された抵抗ユニット3の各抵抗器に流れる電流の総和を、電流測定回路4が測定する。なお、電流測定回路4を含む電圧印加回路5、動作パターン発生器6、及びスイッチコントロール信号発生器9はLSIテスタ8で構成され、LSIテスタ8は、後述の測定結果の保存や比較等の情報処理機能を備えている。
【0025】
一方、上記の所定の動作パターンの入力で正常に動作することが確認されている、DUT1と同一機能の半導体集積回路(以下「良品サンプル」という)をDUT1に代わって用いて、図1に示す構成において所定の動作パターンの動作ステップ毎に抵抗ユニット3の各抵抗器にそれぞれ流れる電流の総和を電流測定回路4によって予め測定しておき、この測定結果をLSIテスタ8に保存しておく。そしてLSIテスタ8が、この良品サンプルを用いて予め得られた測定結果と、DUT1によって得られた測定結果とを動作ステップ毎に比較する。
【0026】
なお、DUT1や良品サンプルに入力される所定の動作パターンは、論理シミュレーションにより出力期待値が予め求められているものである必要はない。また、電流測定回路4は、電圧印加回路5から出力される電圧値と、抵抗ユニット3を構成する1つの抵抗器の値とで計算される、該1つの抵抗器を流れる電流値の測定分解能を有するとともに、該1つの抵抗器を流れる電流値に、抵抗ユニット3を構成する全抵抗器の数を乗算して得られる電流値をカバーできる測定レンジを有する。
【0027】
図2は、第1の実施の形態におけるLSIテスタ8において実行されるDUT1に対する検査処理の手順を示すフローチャートである。
【0028】
まず、図1に示す半導体集積回路検査装置におけるDUT1に代えて良品サンプルを接続する。そして、スイッチコントロール信号発生器9が、スイッチユニット2を構成する全てのスイッチをONにするためのコントロール信号を発生し、良品サンプルの出力端子及び入出力端子のすべてを抵抗ユニット3の各抵抗器に接続する(ステップS1)。
【0029】
その後、動作パターン発生器6が、複数の動作ステップから構成される所定の動作パターンを良品サンプルの入力端子及び入出力端子に入力する。そして、良品サンプルの静止状態において、電流測定回路4が、動作ステップ毎に、抵抗ユニット3を流れる電流の総和を測定し、基準データとして保存する(ステップS2)。
【0030】
次に、半導体集積回路検査装置において良品サンプルに代えてDUT1を接続する。そして、スイッチコントロール信号発生器9が、スイッチユニット2を構成する全てのスイッチをONにするためのコントロール信号を発生し、DUT1の出力端子及び入出力端子のすべてを抵抗ユニット3の各抵抗器に接続する(ステップS3)。
【0031】
その後、動作パターン発生器6が、所定の動作パターンをDUT1の入力端子及び入出力端子に入力する。そして、DUT1の静止状態において、電流測定回路4が、動作ステップ毎に、抵抗ユニット3を流れる電流の総和を測定する(ステップS4)。
【0032】
ステップS4で得られた電流値と、ステップS2で保存された基準データとを、動作ステップ毎に比較する(ステップS5)。この比較を、図3を参照して詳述する。
【0033】
図3は、動作パターン発生器6から発生される所定の動作パターンと、電流測定回路4で測定される電流値の一例とを示すタイミングチャートである。
【0034】
図3において(A)は、動作パターン発生器6で発生される複数の動作ステップから構成される所定の動作パターンを示し、(B)は、抵抗ユニット3を流れ、電流測定回路4で測定される電流の総和のパターン(以下「電流パターン」という)を示し、(C)は電流測定タイミング信号を示し、該電流測定タイミング信号に応じて電流測定回路4で電流測定が行われる。
【0035】
図3(B)における電流パターン25は、図3(A)に示す所定の動作パターンの動作ステップ1に対応して、DUT1および良品サンプルにおいてそれぞれ測定された電流の総和を示し、DUT1および良品サンプルにおいて同一の電流値となっている。また電流パターン26は、動作ステップ2に対応してDUT1において測定された電流の総和を示し、電流パターン27は、動作ステップ2に対応して良品サンプルにおいて測定された電流の総和を示し、動作ステップ2では両電流値が異なっている。また電流パターン28は、動作ステップ4に対応して良品サンプルにおいて測定された電流の総和を示し、電流パターン29は、動作ステップ4に対応してDUT1において測定された電流の総和を示し、動作ステップ4では両電流値が異なっている。
【0036】
これは、動作ステップ2及び動作ステップ4において、DUT1の出力端子及び入出力端子のうちのいずれかが、良品サンプルの対応する端子と異なった論理値を出力していることを意味しており、測定したDUT1には異常があると判定される。
【0037】
またここで、DUT1が良品サンプルと異なる論理値を出力している場合に、異なる論理値が出力されている動作ステップ(フェイル動作ステップ)を特定する(ステップS6)。
【0038】
次に、半導体集積回路検査装置においてDUT1に代えて良品サンプルを接続する。そして、スイッチコントロール信号発生器9が、スイッチユニット2を構成する全スイッチのうちの1つをONにするためのコントロール信号を発生し、該1つのスイッチに対応する良品サンプルの出力端子または入出力端子を抵抗ユニット3の対応する抵抗器に接続する(ステップS7)。
【0039】
そして、ステップS6で特定されたフェイル動作ステップの各々において、抵抗ユニット3の該対応する抵抗器を流れる電流を電流測定回路4で測定し、その測定値を保存する(ステップS8)。
【0040】
次に、半導体集積回路検査装置において良品サンプルに代えてDUT1を接続する。そして、スイッチコントロール信号発生器9が、スイッチユニット2を構成する全スイッチのうちのステップS7でONにしたスイッチを再度ONにするべくコントロール信号を発生し、該スイッチに対応するDUT1の出力端子または入出力端子を抵抗ユニット3の対応する抵抗器に接続する(ステップS9)。
【0041】
そして、ステップS6で特定されたフェイル動作ステップの各々において、抵抗ユニット3の該対応する抵抗器を流れる電流を電流測定回路4で測定する(ステップS10)。
【0042】
ステップS10で測定された各フェイル動作ステップにおける電流値を、ステップS8で保存された各フェイル動作ステップにおける電流値と、フェイル動作ステップごとに比較する。両者が同じ値である場合、抵抗ユニット3の上記1つの抵抗器に接続されたDUT1の1つの出力端子または入出力端子は、正常であると判定され、一方、両者が異なる場合、抵抗ユニット3の上記1つの抵抗器に接続されたDUT1の1つの出力端子または入出力端子は、異常であると判定される(ステップS11)。
【0043】
次に、スイッチコントロール信号発生器9によって未だ選択されず、ONにされていないスイッチが存在し、そのため、個別の電流量測定が未だ行われていない抵抗器が存在するか否かを判別する(ステップS12)。抵抗ユニット3のなかに電流量測定が未だ行われていない抵抗器が存在するならば、ステップS7に進んで、未測定の抵抗器に対してステップS7〜S112の処理を実行し、一方、抵抗ユニット3を構成するすべての抵抗器に対して個別の電流量測定が行われていれば、本検査処理を終了する。
【0044】
以上のようにして、第1の実施の形態では、論理シミュレーション及び故障シミュレーションを行わずに、DUT1において異常のある端子を容易に特定することが可能となる。
【0045】
なお、図1に示す半導体集積回路検査装置において、抵抗ユニット3とスイッチユニット2とが入れ替わって、スイッチユニット2を構成する各スイッチの各一端が電圧印加回路5に接続され、抵抗ユニット3を構成する各抵抗器の各一端がDUT1に接続され、各スイッチの各他端と各抵抗器の各他端とがそれぞれ接続される構成にしてもよい。
【0046】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0047】
図4は、第2の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。第2の実施の形態の構成は、基本的に第1の実施の形態の構成と同じであるので、図4において、図1に示す第1の実施の形態の構成と同一部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略し、異なる部分だけを説明する。
【0048】
第2の実施の形態においては、ダイオードユニット10を追加する。なお、図4においては、スイッチユニット2およびスイッチコントロール信号発生器9の図示を行っていないが、第2の実施の形態においては、これらを備えていても、また備えていなくてもよい。以下においては、備えていない場合を例にとって説明する。
【0049】
ダイオードユニット10は、抵抗ユニット3の複数の抵抗器と同数のダイオードによって構成され、各ダイオードのカソード側が抵抗ユニット3の各抵抗器とそれぞれ接続され、各ダイオードのアノード側がDUT1の出力端子(OUT)及び入出力端子(I/O)にそれぞれ接続される。
【0050】
ここでまず、ダイオードユニット10が半導体集積回路検査装置に備えられていない場合における問題点について、以下に説明する。
【0051】
すなわち、電圧印加回路5の出力電圧を、DUT1の出力端子(OUT)または入出力端子(I/O)にL(低レベル信号)信号が出力されているときの端子電圧と等しく設定した場合、H(高レベル信号)信号が出力されているDUT1の出力端子または入出力端子に接続された抵抗ユニット3の各抵抗器には電圧印加回路5に向けて電流が流れるが、L信号が出力されているDUT1の出力端子または入出力端子に接続された抵抗ユニット3の各抵抗器には電流が流れない。電流測定回路4によって、H信号が出力されているDUT1の出力端子または入出力端子に接続された抵抗ユニット3の各抵抗器に流れる電流の合計値を測定するには、こうした電圧印加回路5の出力電圧の設定が理想的と言える。
【0052】
この理想的な設定において、DUT1の出力端子や入出力端子の数が多数である場合、L信号が出力されているDUT1の端子の数が多くなるにつれて、L信号が出力されているDUT1の各端子に接続されている抵抗ユニット3の各抵抗器の合成抵抗値が、電流測定回路4の内部抵抗と比べて十分大きいとは言えなくなる。そのため、H信号が出力されているDUT1の各端子から流れ出る電流の一部が、電流測定回路4ではなく、L信号が出力されているDUT1の各端子に流れ込むことが考えられ、H信号が出力されているDUT1の各端子から流れ出る電流の合計値を測定すべき電流測定回路4で得られる電流測定値に誤差が生じ、DUT1の良品/不良品の正確な判定ができなくなる。
【0053】
これに対して、ダイオードユニット10が備えられた第2の実施の形態における半導体集積回路検査装置では、DUT1の全ての入力端子及び入出力端子には、DUT1から抵抗ユニット3の各抵抗器の方向へ電流が流れる向きにダイオードユニット10が接続されているため、H信号が出力されているDUT1の各端子から流れ出る電流が、L信号が出力されているDUT1の各端子に流れ込むことは無くなり、H信号が出力されているDUT1の各端子から流れ出る電流の全てが電流測定回路4に流れ込む。
【0054】
したがって、H信号が出力されているDUT1の各端子から流れ出る電流の合計値が、電流測定回路4で正確に測定され、DUT1の良品/不良品の正確な判定が可能となる。
【0055】
また、ダイオードユニット10が半導体集積回路検査装置に備えられていない場合、L信号が出力されているDUT1の各端子での端子電圧は、DUTごとに、また端子ごとにバラツキがあるため、L信号が出力されているDUT1の各端子のいずれかに対応の抵抗器を介して電流が僅かながら流れ込むことになり、H信号が出力されているDUT1の各端子から流れ出る電流の合計値を測定すべき電流測定回路4で得られる電流測定値に誤差が生じ、DUT1の良品/不良品の正確な判定ができなくなる。
【0056】
これに対して、ダイオードユニット10が備えられた第2の実施の形態における半導体集積回路検査装置では、L信号が出力されているDUT1の各端子には、ダイオードユニット10によって電流が流れ込まないため、H信号が出力されているDUT1の各端子から流れ出る電流の合計値が、電流測定回路4で正確に測定される。したがって、電圧印加回路5の出力電圧は、下記の条件を満たすだけでよい。
【0057】
電圧印加回路5の出力電圧<(H信号が出力されているDUT1の各端子の端子電圧−ダイオードユニット10の各ダイオードの順方向電圧)
かくして、L信号が出力されているDUT1の各端子の端子電圧のバラツキによる影響を受けることなく、DUT1の良品/不良品の正確な判定が可能となる。
【0058】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0059】
図5は、第3の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。第3の実施の形態の構成は、基本的に第2の実施の形態の構成と同じであるので、図5において、図4に示す第2の実施の形態の構成と同一部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略し、異なる部分だけを説明する。
【0060】
第3の実施の形態においては、図4に示す第2の実施の形態のダイオードユニット10に代わって、電流の流れる向きが逆であるダイオードユニット11を追加する。なお、第3の実施の形態においても、スイッチユニット2およびスイッチコントロール信号発生器9は備えていても、また備えていなくてもよい。以下においては、備えていない場合を例にとって説明する。
【0061】
ダイオードユニット11は、抵抗ユニット3の複数の抵抗器と同数のダイオードによって構成され、各ダイオードのアノード側が抵抗ユニット3の各抵抗器とそれぞれ接続され、各ダイオードのカソード側がDUT1の出力端子(OUT)及び入出力端子(I/O)にそれぞれ接続される。
【0062】
ここでもまず、ダイオードユニット11が半導体集積回路検査装置に備えられていない場合における問題点について、以下に説明する。
【0063】
すなわち、電圧印加回路5の出力電圧を、DUT1の出力端子(OUT)または入出力端子(I/O)にH(高レベル信号)信号が出力されているときの端子電圧と等しく設定した場合、L(低レベル信号)信号が出力されているDUT1の出力端子または入出力端子に接続された抵抗ユニット3の各抵抗器には電圧印加回路5から電流が流れるが、H信号が出力されているDUT1の出力端子または入出力端子に接続された抵抗ユニット3の各抵抗器には電流が流れない。電流測定回路4によって、L信号が出力されているDUT1の出力端子または入出力端子に接続された抵抗ユニット3の各抵抗器に流れる電流の合計値を測定するには、こうした電圧印加回路5の出力電圧の設定が理想的と言える。
【0064】
この理想的な設定において、DUT1の出力端子や入出力端子の数が多数である場合、H信号が出力されているDUT1の端子の数が多くなるにつれて、H信号が出力されているDUT1の各端子に接続されている抵抗ユニット3の各抵抗器の合成抵抗値が、電流測定回路4の内部抵抗と比べて十分大きいとは言えなくなる。そのため、L信号が出力されているDUT1の各端子に、電圧印加回路5から電流が流れるだけでなく、H信号が出力されているDUT1の各端子からも流れ込むことが考えられ、電圧印加回路5からL信号が出力されているDUT1の各端子に流れる電流の合計値を測定すべき電流測定回路4で得られる電流測定値に誤差が生じ、DUT1の良品/不良品の正確な判定ができなくなる。
【0065】
これに対して、ダイオードユニット11が備えられた第3の実施の形態における半導体集積回路検査装置では、DUT1の全ての入力端子及び入出力端子には、抵抗ユニット3の各抵抗器からDUT1の方向へ電流が流れる向きにダイオードユニット11が接続されているため、H信号が出力されているDUT1の各端子から、L信号が出力されているDUT1の各端子に電流が流れ込むことは無くなり、電流測定回路4で測定される電流値は、電圧印加回路5からL信号が出力されているDUT1の各端子に流れる電流の合計量だけとなる。
【0066】
したがって、電圧印加回路5からL信号が出力されているDUT1の各端子に流れる電流の合計値が、電流測定回路4で正確に測定され、DUT1の良品/不良品の正確な判定が可能となる。
【0067】
また、ダイオードユニット11が半導体集積回路検査装置に備えられていない場合、H信号が出力されているDUT1の各端子での端子電圧は、DUTごとに、また端子ごとにバラツキがあるため、H信号が出力されているDUT1の各端子のいずれかに対応の抵抗器を介してH信号が出力されているDUT1の各端子に電流が僅かながら流れ込むことになり、電圧印加回路5からL信号が出力されているDUT1の各端子に流れる電流の合計値を測定すべき電流測定回路4で得られる電流測定値に誤差が生じ、DUT1の良品/不良品の正確な判定ができなくなる。
【0068】
これに対して、ダイオードユニット11が備えられた第3の実施の形態における半導体集積回路検査装置では、H信号が出力されているDUT1の各端子からL信号が出力されているDUT1の各端子には、ダイオードユニット11によって電流が流れ込まないため、電圧印加回路5からL信号が出力されているDUT1の各端子に流れる電流の合計値が、電流測定回路4で正確に測定される。したがって、電圧印加回路5の出力電圧は、下記の条件を満たすだけでよい。
【0069】
電圧印加回路5の出力電圧>(L信号が出力されているDUT1の各端子の端子電圧+ダイオードユニット11の各ダイオードの順方向電圧)
かくして、H信号が出力されているDUT1の各端子の端子電圧のバラツキによる影響を受けることなく、DUT1の良品/不良品の正確な判定が可能となる。
【0070】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0071】
図6は、第4の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。第4の実施の形態の構成は、基本的に第2の実施の形態の構成と同じであるので、図6において、図4に示す第2の実施の形態の構成と同一部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略し、異なる部分だけを説明する。
【0072】
上記の第2の実施の形態では、電圧印加回路5の出力電圧を、DUT1の出力端子(OUT)または入出力端子(I/O)にL信号がそれぞれ出力されているときの端子電圧に設定する必要があり、また第3の実施の形態では、電圧印加回路5の出力電圧を、DUT1の出力端子(OUT)または入出力端子(I/O)にH信号がそれぞれ出力されているときの端子電圧に設定する必要があったが、第4の実施の形態では、そうした設定をしなくともよい半導体集積回路検査装置を提供する。
【0073】
すなわち、第4の実施の形態においては、図4に示す第2の実施の形態のダイオードユニット10に代わって、ダイオードユニット12を追加する。なお、第4の実施の形態においても、スイッチユニット2およびスイッチコントロール信号発生器9を備えていても、また備えていなくてもよい。以下においては、備えていない場合を例にとって説明する。
【0074】
ダイオードユニット12は、抵抗ユニット3の抵抗器の数の2倍の数のダイオードによって構成され、2つのダイオードが互いに異なる向きで並列に接続されて1組となり、各組の一方端が抵抗ユニット3の各抵抗器とそれぞれ接続され、各組の他方端がDUT1の出力端子(OUT)及び入出力端子(I/O)にそれぞれ接続される。
【0075】
こうしたダイオードユニット12を設け、DUT1の出力端子(OUT)及び入出力端子(I/O)の端子電圧に対して下記のような条件を設ける。
【0076】
(H信号が出力されているDUT1の端子の端子電圧−L信号が出力されているDUT1の端子の端子電圧)>(ダイオードユニット12を構成するダイオードの順方向電圧×2)
これにより、ダイオードユニット12の各組をそれぞれ構成する2つのダイオードのうち、いずれか一方が不要な電流の流れを遮断するため、電圧印加回路5の出力電圧によらずに、電流測定回路4で正確な電流測定行われ、DUT1の良品/不良品の正確な判定が可能となる。
【0077】
すなわち、測定開始時に、H信号およびL信号が出力されているDUT1の各端子の端子電圧を求め、得られた両電圧の複数の電圧値のうち、バラツキの少ない安定している側の端子電圧を選び、この選ばれた端子電圧と等しくなるように電圧印加回路5の出力電圧を設定する。
【0078】
また、第4の実施の形態では、電圧印加回路5の出力電圧の大きさによらない測定ができるので、電圧印加回路8の出力電圧の大きさを調整することで、抵抗ユニット3に流れる電流の大きさを適切な値に制御でき、これによって、常に最適な測定条件を選択することが可能となる。
【0079】
〔第5の実施の形態〕
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。
【0080】
図7は、第5の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。第5の実施の形態の構成は、基本的に第2の実施の形態の構成と同じであるので、図6において、図4に示す第2の実施の形態の構成と同一部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略し、異なる部分だけを説明する。
【0081】
第5の実施の形態では、図4に示す第2の実施の形態におけるダイオードユニット10を備えておらず、電圧印加回路13の構成が第2の実施の形態における電圧印加回路5と異なっている。なお、第5の実施の形態においても、スイッチユニット2およびスイッチコントロール信号発生器9を備えていても、また備えていなくてもよい。以下においては、備えていない場合を例にとって説明する。
【0082】
電圧印加回路13では、第2の実施の形態における直流電源7に代わって、出力電圧を可変できる可変直流電源14を備え、また新たに、電圧印加回路13が抵抗ユニット3に印加する電圧に応じて可変直流電源14の出力電圧を制御する電圧制御回路23を備える。電圧制御回路23は、一端が電流測定回路4の抵抗ユニット3側の端子に接続され、他端が接地され、電圧印加回路13が抵抗ユニット3に印加する電圧を監視し、該電圧が低下すると可変直流電源14の出力電圧を上昇させて、電圧印加回路13が抵抗ユニット3に印加する電圧を一定値に保つようにする。
【0083】
なおここでは、電圧印加回路13の出力電圧を、DUT1の出力端子(OUT)または入出力端子(I/O)にL(低レベル信号)信号が出力されているときの端子電圧と等しく設定したものとする。
【0084】
すなわち、DUT1の端子数が多い場合において、H信号が出力されているDUT1の端子の数が多くなると、H信号が出力されているDUT1の各端子から電流測定回路4に流れる電流の総和が増加するため、電流測定回路4の内部抵抗に起因する電流測定回路4での電圧降下が無視できなくなる。つまり、電流印加回路13が抵抗ユニット3に印加する電圧がこの電圧降下分だけ変化してしまい、H信号が出力されているDUT1の各端子にそれぞれ接続されている抵抗ユニット3の各抵抗器に流れる電流量が本来の値から変動してしまう。
【0085】
そこで、電流測定回路4の抵抗ユニット3側の電圧を電圧制御回路23で常に監視し、該電圧が常に所定の一定電圧を保持するように、電圧制御回路23が可変直流電源14を制御することで、電流印加回路13が抵抗ユニット3に印加する電圧が所定の一定電圧に保持されることになる。これにより、H信号が出力されているDUT1の端子の数が大きく増減しても、H信号が出力されているDUT1の各端子にそれぞれ接続された抵抗ユニット3の各抵抗器には常に一定の電流を流すことができる。
【0086】
〔第6の実施の形態〕
次に、本発明の第6の実施の形態を説明する。
【0087】
図8は、第6の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。第6の実施の形態の構成は、第4の実施の形態と第5の実施の形態とを組み合わせたものである。図8において、図6に示す第4の実施の形態の構成及び図7に示す第5の実施の形態の構成と同一部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0088】
このように第4の実施の形態の構成と第5の実施の形態の構成とを併せることで、電圧印加回路13の出力電圧によらずに、電流測定回路4で正確な電流測定行われ、DUT1の良品/不良品の正確な判定が可能となるとともに、電圧印加回路13の出力電圧の大きさを調整することで、抵抗ユニット3に流れる電流の大きさを適切な値に制御でき、これによって、常に最適な測定条件を選択することが可能となる。また、電流印加回路13が抵抗ユニット3に印加する電圧が所定の一定電圧に保持されることになり、H信号が出力されているDUT1の端子の数が大きく増減しても、H信号が出力されているDUT1の各端子にそれぞれ接続された抵抗ユニット3の各抵抗器には常に一定の電流を流すことができる。
【0089】
なお、第6の実施の形態では、第5の実施の形態に第4の実施の形態を組み合わせているが、これに代わって、第5の実施の形態に第2の実施の形態または第3の実施の形態を組み合わせるようにしてもよい。
【0090】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明の目的は、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPU、MPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0091】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体およびプログラムは本発明を構成することになる。
【0092】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。或いは、上記プログラムは、インターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることにより供給される。
【0093】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0094】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態におけるLSIテスタにおいて実行されるDUTに対する検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】動作パターン発生器から発生される所定の動作パターンと、電流測定回路で測定される電流値の一例とを示すタイミングチャートである。
【図4】第2の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第3の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第4の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第5の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第6の実施の形態に係る半導体集積回路検査装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0096】
1 検査対象となる論理回路を含む半導体集積回路(DUT)
2 スイッチユニット(接続遮断手段)
3 抵抗ユニット(複数の抵抗器)
4 電流測定回路(測定手段)
5 電圧印加回路(電圧印加手段)
6 動作パターン発生器(入力手段)
7 直流電源
8 LSIテスタ(比較手段、第1及び第2の制御手段、動作ブロック検出手段、抵抗器検出手段、判定手段)
9 スイッチコントロール信号発生器(接続遮断手段)
10〜12 ダイオードユニット
13 電圧印加回路(電圧印加手段)
14 可変直流電源
23 電圧制御回路(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、
前記複数の抵抗器の各一端に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、
前記複数の抵抗器の各他端と、半導体集積回路の複数の出力端子のそれぞれとを選択的に接続または遮断する接続遮断手段と、
前記半導体集積回路の複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックを含む所定の動作パターン信号を入力する入力手段と、
前記入力手段による所定の動作パターン信号の入力によって、前記接続遮断手段によって接続された各抵抗器にそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する比較手段と
を有することを特徴とする半導体集積回路検査装置。
【請求項2】
前記接続遮断手段によって前記複数の抵抗器のすべてが接続された状態で前記測定手段及び前記比較手段を動作させる第1の制御手段と、
前記接続遮断手段によって前記複数の抵抗器の各1つが順次接続された各状態で、前記測定手段および前記比較手段を動作させる第2の制御手段と
を更に有することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路検査装置。
【請求項3】
前記接続遮断手段によって前記複数の抵抗器のすべてが前記半導体集積回路に接続された状態で前記測定手段及び前記比較手段を動作させ、該比較手段によって前記電流量の総和が前記電流量の総和の正常値に一致しないと判定されたときの動作ブロックを検出する動作ブロック検出手段と、
前記接続遮断手段によって前記複数の抵抗器の各1つが前記半導体集積回路に順次接続された各状態で、前記動作ブロック検出手段によって検出された動作ブロックにおいて前記測定手段および前記比較手段を動作させ、該比較手段によって前記電流量の総和が前記電流量の総和の正常値に一致しないと判定されたときの抵抗器を検出する抵抗器検出手段と、
前記抵抗器検出手段によって検出された抵抗器に接続された前記半導体集積回路の端子に異常が存在すると判定する判定手段と
を更に有することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路検査装置。
【請求項4】
所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、
前記複数の抵抗器の各一端に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、
極性を揃えて並列に接続された複数のダイオードを備え、該複数のダイオードの各一方側が前記複数の抵抗器の各他端にそれぞれ接続されるとともに、各他方側が論理回路を含む半導体集積回路の複数の出力端子にそれぞれ接続されるダイオードユニットと、
前記半導体集積回路の複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックを含む所定の動作パターン信号を入力する入力手段と、
前記入力手段による所定の動作パターン信号の入力によって、前記複数の抵抗器のいずれかにそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する比較手段と
を有することを特徴とする半導体集積回路検査装置。
【請求項5】
前記複数のダイオードの各一方側と前記複数の抵抗器の各他端とをそれぞれ選択的に接続または遮断する接続遮断手段を更に有することを特徴とする請求項4記載の半導体集積回路検査装置。
【請求項6】
前記ダイオードユニットは、各カソード側が前記複数の抵抗器の各他端にそれぞれ接続されるとともに、各アノード側が前記半導体集積回路の複数の出力端子にそれぞれ接続される複数のダイオードから構成されることを特徴とする請求項4記載の半導体集積回路検査装置。
【請求項7】
前記ダイオードユニットは、各アノード側が前記複数の抵抗器の各他端にそれぞれ接続されるとともに、各カソード側が前記半導体集積回路の複数の出力端子にそれぞれ接続される複数のダイオードから構成されることを特徴とする請求項4記載の半導体集積回路検査装置。
【請求項8】
前記ダイオードユニットは、前記複数の抵抗器の数の2倍の数のダイオードを備え、2つのダイオードが互いに異なる向きで並列に接続されて1組となり、各組の一方端が前記複数の抵抗器の各他端にそれぞれ接続されるとともに、各組の他方端が前記半導体集積回路の少なくとも複数の出力端子にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項4記載の半導体集積回路検査装置。
【請求項9】
各一方端が半導体集積回路の複数の出力端子にそれぞれ接続されることが可能な所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、
前記複数の抵抗器の各他方端に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が出力する前記所定の電圧を監視し、該所定の電圧が一定になるように前記電圧印加手段を制御する制御手段と、
前記半導体集積回路の少なくとも複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックから構成される所定の動作パターン信号を入力する入力手段と、
前記入力手段による所定の動作パターン信号の入力によって、前記複数の抵抗器のいずれかにそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する、前記電圧印加手段内に含まれる測定手段と、
前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定手段によって測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する比較手段と
を有することを特徴とする半導体集積回路検査装置。
【請求項10】
極性を揃えて並列に接続された複数のダイオードを備え、該複数のダイオードの各一方側が前記複数の抵抗器の前記各一方端にそれぞれ接続されるとともに、各他方側が前記半導体集積回路の少なくとも複数の出力端子にそれぞれ接続されるダイオードユニットを更に有することを特徴とする請求項9記載の半導体集積回路検査装置。
【請求項11】
前記複数の抵抗器の各一端と、前記半導体集積回路の複数の出力端子のそれぞれとを選択的に接続または遮断する接続遮断手段を更に有することを特徴とする請求項9記載の半導体集積回路検査装置。
【請求項12】
所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、前記複数の抵抗器の各一端に所定の電圧を印加する電圧印加手段とを備えた半導体集積回路検査装置に適用される半導体集積回路検査方法において、
前記複数の抵抗器の各他端と、半導体集積回路の複数の出力端子のそれぞれとを選択的に接続または遮断する接続遮断ステップと、
前記半導体集積回路の複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックを含む所定の動作パターン信号を入力する入力ステップと、
前記入力ステップによって所定の動作パターン信号が入力されることによって、前記接続遮断ステップによって接続された各抵抗器にそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する測定ステップと、
前記測定ステップによって測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定ステップによって測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する比較ステップと
を有することを特徴とする半導体集積回路検査方法。
【請求項13】
前記接続遮断ステップによって前記複数の抵抗器のすべてが接続された状態で前記測定ステップ及び前記比較ステップを実行させる第1の制御ステップと、
前記接続遮断手段によって前記複数の抵抗器の各1つが順次接続された各状態で前記測定ステップおよび前記比較ステップを実行させる第2の制御ステップと
を更に有することを特徴とする請求項12記載の半導体集積回路検査方法。
【請求項14】
前記接続遮断ステップによって前記複数の抵抗器のすべてが前記半導体集積回路に接続された状態で前記測定ステップ及び前記比較ステップを実行させ、該比較ステップによって前記電流量の総和が前記電流量の総和の正常値に一致しないと判定されたときの動作ブロックを検出する動作ブロック検出ステップと、
前記接続遮断ステップによって前記複数の抵抗器の各1つが前記半導体集積回路に順次接続された各状態で、前記動作ブロック検出ステップによって検出された動作ブロックにおいて前記測定ステップおよび前記比較ステップを実行させ、該比較ステップによって前記電流量の総和が前記電流量の総和の正常値に一致しないと判定されたときの抵抗器を検出する抵抗器検出ステップと、
前記抵抗器検出ステップによって検出された抵抗器に接続された前記半導体集積回路の端子に異常が存在すると判定する判定ステップと
を更に有することを特徴とする請求項12記載の半導体集積回路検査方法。
【請求項15】
所定の抵抗値を持った複数の抵抗器と、前記複数の抵抗器の各他端に所定の電圧を印加する電圧印加手段とを備えた半導体集積回路検査装置に適用される半導体集積回路検査方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、
前記複数の抵抗器の各他端と、半導体集積回路の複数の出力端子のそれぞれとを選択的に接続または遮断する接続遮断ステップと、
前記半導体集積回路の複数の入力端子に、該半導体集積回路の機能を検査するための複数の動作ブロックを含む所定の動作パターン信号を入力する入力ステップと、
前記入力ステップによって所定の動作パターン信号が入力されることによって、前記接続遮断ステップによって接続された各抵抗器にそれぞれ流れる電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の動作ブロックごとに測定する測定ステップと、
前記測定ステップによって測定された動作ブロックごとの電流量の総和を、前記所定の動作パターン信号の入力で正常に動作することが予め確認されている前記半導体集積回路と同一機能を持った良品サンプルを前記半導体集積回路の代わりにして、前記測定ステップによって測定された動作ブロックごとの電流量の総和の正常値と比較する比較ステップと
を有することを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−105738(P2006−105738A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291813(P2004−291813)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】