説明

卓上シート収納容器

【課題】洗面台等の低い位置に載置してもシートを容易に取り出せるとともに容器の転倒を防止し、設置場所の変更が容易な卓上シート収納容器を提供する。
【解決手段】シート状物品を内部に収納する卓上容器であって、シート(状物品)100aを取出す開口4が形成され上端2aが下端2bより後退する傾斜面をなす前面壁2と、前面壁に対向し上端が下端より後退する傾斜面をなす背面壁6と、前面壁及び背面壁の下端にそれぞれ接する底面壁8とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用、産業用又は業務用で使用されるペーパーナプキン、ティッシュペーパー等のシート状物品の卓上収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚のペーパーナプキン(シート)をV字折りやZ字折りして交互に折り込み、ポップアップ可能に構成したシート状物品が知られている。そして、埃や不快虫等の混入を防止するため、シート状物品を収納したディスペンサー(容器)が飲食店やホテル等の種々の場所に設置されている。
【0003】
従来、この種のディスペンサーとして、押圧板によりディスペンサー内部のペーパータオルを取出口に向かって押出すようにした技術が開示されている(特許文献1参照)。又、容器の底部を傾斜させ、傾斜表面に積み重ねたシートが容器の前部へ向かって滑り落ちるようにした技術が開示されている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】実公昭41-6464号公報
【特許文献2】特開2006-143254号公報
【特許文献3】特開2003-12052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のディスペンサーは比較的大型で壁面等のやや高い位置に固定して使用するものが多く、例えば洗面台等に載置して使用することがあまり想定されていない。従って、これらのディスペンサーを洗面台に載置した場合、取出し口が低すぎてシートが取出し難くなったり、シート取出し時の抵抗が高くなるとディスペンサーが転倒する等の問題が生じるおそれがある。又、固定式のディスペンサーの場合、ディスペンサーの設置場所の変更が容易でないという問題がある。
すなわち、本発明は、洗面台等の低い位置に載置してもシートを容易に取り出せるとともに容器の転倒を防止し、設置場所の変更が容易な卓上シート収納容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の卓上シート収納容器は、シート状物品を内部に収納し、前記シート状物品を取出す開口が形成され上端が下端より後退する傾斜面をなす前面壁と、前記前面壁に対向し上端が下端より後退する傾斜面をなす背面壁と、前記前面壁及び前記背面壁の下端にそれぞれ接する底面壁とを有する。
このような構成とすると、前面壁及び背面壁の上端が下端より後退する傾斜面をなし、卓上容器全体の重心が後方に位置するため、シートを前方へ引き出した際に卓上容器が前方へ転倒することが防止される。又、上記した傾斜面により、前面壁に形成された開口が上側に向くため、シートを上方に引出し易くなり、卓上容器が使用者の手元付近に設置された場合等に都合がよい。
【0007】
前記底面壁は、前記卓上容器の転倒を防止する錘を備えていることが好ましい。
このような構成とすると、卓上容器の転倒防止効果がさらに向上する。
【0008】
前記底面壁の上面は、前記前面壁側から前記背面壁側に向かって下方に傾斜していることが好ましい。
このような構成とすると、シート状物品が自重で背面壁側に落ちることで、シート状物品と前面壁との間に隙間が生じ、シート状物品を取出し易くすると共に、複数のシートを誤って取出したり、シートが前面壁より前方に飛び出し過ぎることを防止する。
【0009】
前記開口の縁部の一部が開口内側へ向かって膨出してくびれ部を形成し、前記開口は前記くびれ部を介して連通する第1の開口と該第1の開口より小さい第2の開口とに分けられ、前記第1の開口から突出した前記シート状物品が前記くびれ部を乗り越えて前記第2の開口の近傍に係止可能であることが好ましい。
このような構成とすると、第1の開口より小径な第2の開口縁部にシートが拘束されて保持されるため、シートが突出し過ぎて邪魔になったりシートが落下するのを防止する。特に、使用につれてシートが少なくなると、シート状物品全体が軽くなりシートが落下し易くなるため、シートを保持することが有効となる。
【0010】
前記底面壁の上面と底面との間に前記前面壁側に開口する小物収納用の内部空間を有し、前記前面壁における前記内部空間に対向する位置に小物収納用開口又は開閉蓋が形成されていることが好ましい。
このような構成とすると、使用者側の前面に小物(例えば爪楊枝、店舗案内冊子等)を収納することができ、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、洗面台等の低い位置に載置してもシートを容易に取り出せるとともに容器の転倒を防止することができ、様々な場所に容器を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る卓上シート収納容器の斜視図を示す。卓上シート収納容器は概ね箱型をなし、前面壁2と、前面壁2に対向する背面壁6と、前面壁2及び背面壁6の下端にそれぞれ接する底面壁8と、左側面壁10a、10bと、上面壁12a、12bと、左側面壁と対向する図示しない右側面壁とを有する。左側面壁及び右側面壁はそれぞれ前面壁2、背面壁6、及び底面壁8に接し、上面壁12a、12bは前面壁2、背面壁6、並びに左側面壁及び右側面壁に接し、これらの6つの壁で囲まれた内部にシート状物品が収納されている。
シート状物品は、例えば複数枚のシートを交互に折り込んでポップアップ可能に構成され、このシート積層体をプラスチックフィルム等で包装したものであってもよい。シート状物品としては、特に限定されないが、例えばペーパーナプキン、ティッシュペーパー、紙タオル、掃除用シート等を用いることができる。
【0013】
前面壁2は、その上端2aが下端2bより後退する湾曲した傾斜面をなしている。又、前面壁2の中央よりやや上方にはシート状物品を取出す開口4が形成され、開口4からシート状物品のうち1枚のシート100aが表出し、ポップアップ式に取出し可能となっている。
前面壁2と同様、背面壁6は、その上端が下端より後退する湾曲した傾斜面をなしている。なお、この実施形態では、前面壁2と背面壁6との傾斜の度合(曲率)はほぼ同一であるがこれに限定されるものではない。
左側面壁は、その前部10bと後部10aとの間で分割され、同様に上面壁は、その前部12bと後部12aとの間で分割され、後部10aと後部12aとに接続された背面壁6を収納容器に対し開閉可能とし、シート状物品を補充できるようになっている。なお、右側面壁も左側面壁と同様に分割されている。
【0014】
図2は、図1のI-I線(卓上シート収納容器の前面壁2から背面壁6へ向かう線)に沿う断面図を示す。図2において、左側面壁の後部10aの下端には前面壁2に向かって延びるアーム16が形成されている(右側面壁の後部も同様)。アーム16の先端は、左側面壁の前部10bの下端隅部(右側面壁の前部も同様)に軸支され、軸30を中心に左側面壁の後部10aが回動可能になっている。そして、この回動に伴い、左側面壁の後部10a(及び右側面壁の後部)に接続された背面壁6が卓上シート収納容器に対して下方に開き、収納容器内にシート状物品100を補充可能になっている。
背面壁6の上縁には上面壁の後部12aが接続され、後部12aの前縁には鉤爪型のロック18aが形成されている。又、上面壁の前部12bの後縁のうち、後部12aの先端に対応する位置にはロック18aの鉤爪を引っ掛ける凹部18bが形成されている。そして、背面壁6を上方に閉めて卓上シート収納容器を閉塞する蓋として機能させる際、ロック18aが凹部18bに係止され、背面壁6が固定されるようになっている。
【0015】
底面壁8は上面8aと底面8bとを有し、背面壁6を開いた際、底面壁8のうち左側面壁の後部10a(右側面壁の後部も同様)より後方の部分が突出するようになっている。又、底面壁の上面8aは、前面壁2側から背面壁6側に向かって下方に傾斜し、シート状物品100が自重で背面壁6側に落ちることで、シート状物品100と前面壁2との間に隙間が生じ、シート状物品を取出し易くすると共に、複数のシートを誤って取出したり、シートが前面壁2より前方に飛び出し過ぎることを防止する。
なお、このようにシート状物品100と前面壁2との間に隙間を生じさせる観点から、本発明においてはシート状物品を前方に押圧する付勢手段を用いないことが好ましい。
【0016】
底面壁8の後側の内部(上面8aと底面8bとの間の空間)には錘32が収容され、卓上シート収納容器の転倒を防止するようになっている。さらに、底面壁8の上面8aと底面8bとの間に、前面壁2側に開口する小物収納用の内部空間8cが形成されると共に、前面壁2における内部空間8cに対向する位置に小物収納用開閉蓋20が形成され、小物の収納が可能になっている。
【0017】
本発明においては、前面壁及び背面壁の上端が下端より後退する傾斜面をなし、卓上容器全体の重心が後方に位置するため、シートを前方へ引き出した際に卓上容器が前方へ転倒することが防止される。特に、壁面等に固定されない卓上容器において、転倒を防止することは重要である。又、上記した傾斜面により、前面壁に形成された開口が上側に向くため、シートを上方に引出し易くなり、卓上容器が使用者の手元付近に設置された場合等に都合がよい。
【0018】
図3(a)は、前面壁2の開口4を示す部分拡大図である。図3(a)において、開口4の縁部のうち、開口を介して対向する2箇所の部分が開口内側へ向かってそれぞれ膨出してくびれ部40,40を形成し、くびれ部40,40の間隔は他の部分より狭くなっている。開口4は、くびれ部40,40を介して連通する第1の開口4aと、第1の開口より小さい第2の開口4bとに分けられている。そして、第1の開口4aからシートを引出し、ポップアップ式に次のシートが突出した時点で、シートをくびれ部40,40を乗り越えて第2の開口4bの近傍に係止させることで、シートが突出し過ぎて邪魔になったりシートが落下するのを防止する。特に、使用につれてシートが少なくなると、シート状物品100全体が軽くなるため、前方に倒れてシートが落下し易くなる。
ここで、第2の開口4bが第1の開口4aより小径であるため、シートは第2の開口4bに縁部に拘束されて係止される。
【0019】
図3(b)は、前面壁の開口の別の態様を示す部分拡大図である。図3(b)において、開口4xの上側の縁部のうち、開口を介して対向する2箇所の部分が開口内側へ向かってそれぞれ膨出してくびれ部41,41を形成している。同様に、開口4xの下側の縁部のうち、開口を介して対向する2箇所の部分が開口内側へ向かってそれぞれ膨出してくびれ部42,42を形成している。そして、開口4xのうち、上側くびれ部41,41と下側くびれ部42,42との間の部分が第1の開口4aを形成し、上側くびれ部41,41より上の部分が第2の開口4bを形成し、下側くびれ部42,42より下の部分が別の第2の開口4bを形成している。又、各第2の開口4bは、いずれも第1の開口4aより小径である。この実施形態では、2個の第2の開口4bのどちらかにシートを係止するかを使用勝手に応じて選択できるという利点がある。
【0020】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る卓上シート収納容器の斜視図を示す。この卓上シート収納容器は、前面壁2xと、背面壁6xと、底面壁8xと、左側面壁10xと、左側面壁と対向する図示しない右側面壁と、上面壁12xとを備え、これらの壁はそれぞれ隣接部分で接続されて箱を形成している。前面壁2xには図3(b)に示した開口4xが形成されている。
第2の実施形態においては、上面壁12xは枠状をなし、上面壁12xの枠内を閉塞するように上蓋14が設けられている点が第1の実施形態と異なる。そして、上蓋14を開閉することにより、収納容器内にシート状物品を補充可能になっている。
【0021】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る卓上シート収納容器の斜視図を示す。この卓上シート収納容器は、前面壁2yと、背面壁6yと、底面壁8yと、左側面壁10yと、左側面壁と対向する図示しない右側面壁と、上面壁12yとを備え、これらの壁はそれぞれ隣接部分で接続されて箱を形成している。前面壁2yには単一の円形の開口4xが形成されるとともに、第1の実施形態と同様な小物収納用開閉蓋20が形成されている。
第3の実施形態においては、前面壁2yと背面壁6yとが湾曲せずに平板状の傾斜面を有する点が第1の実施形態と異なる。第3の実施形態においては、例えば底面壁8yが蓋をなし、底面壁8yを開閉することにより、収納容器内にシート状物品を補充可能になっている。
【0022】
本発明の卓上シート収納容器は、例えばプラスチック、金属等の材料から製造することができるが、これらに限られず、異なる種類の材料を組み合わせてもよい。
【0023】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、本発明の卓上シート収納容器の容器の形状は箱型に限定されないし、容器にシート状物品を補充するための機構も特に限定されず、例えば容器を構成するいずれかの壁を蓋状に開閉する機構を設けたり、容器がいずれかの位置で分割できるように構成すればよい。又、本発明の卓上シート収納容器は、少なくとも前面壁、背面壁、底面壁を有していればよく、その他の部分の壁が形成されていなくてもよい。例えば、シート状物品の補充を容易にするため、一方の側面壁を無くして開口部を設けてもよい。
前面壁に形成する開口の個数、形状も限定されず、さらに、開口に開閉可能な蓋を設けることで、ウェットティッシュや薬液を浸透させた掃除用シート等の湿潤性シート物品の収納容器とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る卓上シート収納容器の斜視図である。
【図2】図1のI-I線に沿う断面図である。
【図3】開口を示す部分拡大図である。
【図4】本発明の別の実施形態に係る卓上シート収納容器の斜視図である。
【図5】本発明のさらに別の実施形態に係る卓上シート収納容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
2、2x、2y 前面壁
2a 前面壁の上端
2b 前面壁の下端
4、4x、4y2y 開口
6、6x、6y 背面壁
8、8x、8y 底面壁
10a、10b、10x、10y 左側面壁
12a、12b、12x、12y 上面壁
100 シート状物品
100a (シート状物品の)1枚のシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物品を内部に収納する卓上容器であって、
前記シート状物品を取出す開口が形成され上端が下端より後退する傾斜面をなす前面壁と、
前記前面壁に対向し上端が下端より後退する傾斜面をなす背面壁と、
前記前面壁及び前記背面壁の下端にそれぞれ接する底面壁と
を有する卓上シート収納容器。
【請求項2】
前記底面壁は、前記卓上容器の転倒を防止する錘を備えている請求項1記載の卓上シート収納容器。
【請求項3】
前記底面壁の上面は、前記前面壁側から前記背面壁側に向かって下方に傾斜している請求項1又は2記載の卓上シート収納容器。
【請求項4】
前記開口の縁部の一部が開口内側へ向かって膨出してくびれ部を形成し、前記開口は前記くびれ部を介して連通する第1の開口と該第1の開口より小さい第2の開口とに分けられ、前記第1の開口から突出した前記シート状物品が前記くびれ部を乗り越えて前記第2の開口の近傍に係止可能である請求項1〜3のいずれかに記載の卓上シート収納容器。
【請求項5】
前記底面壁の上面と底面との間に前記前面壁側に開口する小物収納用の内部空間を有し、
前記前面壁における前記内部空間に対向する位置に小物収納用開口又は開閉蓋が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の卓上シート収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−7016(P2009−7016A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167721(P2007−167721)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000183462)日本製紙クレシア株式会社 (112)
【Fターム(参考)】