説明

協調作業型アプリケーション・サービス・システム

【課題】シミュレーションを活用してデータを作成する協調作業環境を提供する。
【解決手段】シミュレーションを活用した‘モノづくり’の過程において、相談内容に基づいた良好な支援者を選択し、利用者と支援者とが協調して目的のシミュレーション・ツールを選択し、選択したシミュレーション・ツールを実行させ、そのシミュレーション結果を討論しながら必要に応じて再実行したり、次の処理過程へのデータを作成する協調作業環境手段、およびインターネットに接続された各種アプリケーション・サーバで構成した協調作業環境を提供する。支援者となる有識者、熟練者の効果的活用、利用者の業務効率向上など、インターネット利用形態の新しいサービス・アーキテクチャへ展開が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットに代表されるネットワークシステム系のもとでアプリケーション・サービスを提供する利用形態において、利用者と各分野の有識者、熟練者とが協調して目的とする作業を推進するための処理方式に係わり、特に、CAD(Computer Aided Design)に代表されるシミュレーション手段とそのシミュレーション結果に基づいた計算機実験、仮想試作、さらに、仮想試作結果から実試作の作業工程に好適なサービス・アーキテクチャを実現するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの爆発的な普及にともない、その利用方法もインターネット創生期の電子メール利用からワールド・ワイド・ウエブ(World Wide Web:WWW)による書籍検索など各種情報検索や、企業広告提供などの情報提供機能へと進展している。
【0003】
さらに、インターネット系に接続されたサーバのもとで各種アプリケーションを動作させ、そのアプリケーションの機能をインターネット経由で提供する形態へと新たなインターネット・アーキテクチャへと進展しつつある。
【0004】
このサービス提供形態をアプリケーション・サービス・プロバイダ(Application Service Provider:ASP)形態とも呼ばれており、電子メール・システムや会計計算処理のASPがある。インターネット・メール、およびWWWを含むインターネットの発展経緯に関しては、下記の参考文献に記載されている。
【0005】
(1)F.E.Hart et al.: The Interface Message Processor for the ARPA network, Proc.of SJCC,Vol.36.pp.551−567(1970)。
【0006】
(2)T.S.Perry:E-MAIL,Pervasive and Persuasive,IEEE Spectrum,Oct.1992,pp.20−30(1992)。
【0007】
(3)石田晴久:インターネットはここまできた−現状と課題−,情報処理,Vol.39.No.5,pp.393−399(1998)。
【0008】
ところで、先端的な研究開発、技術開発の現場においては、膨大な試行錯誤の作業が不可欠になっており、開発途中でのリスクが高まっている。特に、‘モノづくり’の研究開発、技術開発の現場においては、CAD(Computer Aided Design),CAM(Computer Aided Manufacturing),CAE(Computer Aided Enginerring),CAT(Computer Aided Testing)などが、設計、加工、解析、試験のシミュレーション手段として用いられている。
【0009】
これらシミュレーション・ツール群は高価なため、各企業が個別に購入するには資金面での壁があり、その解決策としてインターネット経由でのASP利用が期待される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来のシミュレーション手段では、対象物をCSG(Constructive Solid Geometry)やB−rep(Boundary Representation)でデータを記憶している。
【0011】
しかし、CSCでは、対象物全体を微細なソリッドモデルの集合体として記憶するため、データが重く、シミュレーション手段を実装する場合には膨大なデータを扱うことになり、大型コンピュータを用いた場合でも、解析に膨大な時間を要する問題点があった。
【0012】
また、B−repでは、対象物を境界で実現するため、データは軽く、データ量は少なくなるが、境界面の内部は一様に扱うため、変形解析には適さない問題点があった。
【0013】
上記各種のシミュレーション・ツール群では、対象物の表現情報のデータ表現が個々に異なるため、CAD,CAM,CAE,CATをASPのサービス形態で活用するには、利用者が各シミュレーション・ツール間でのデータ形式変換を行わなければならず、ASP利用のメリットが生じないという問題点が残されていた。
【0014】
対象物のデータ量削減の課題に対しては、同一出願人より特願2001−25023号、特願2001−210508号により、すでに出願した。これら発明によれば、対象物の形状データを八分木分割により境界平面が直交する立方体のセルに分割し境界セルと内部セルに記憶できるので、設計から加工、組立、試験、評価など一連の工程にかかわるデータを同一構造で管理することができ、CAD,CAM,CAE,CATなどシミュレーション・ツールの一元化へ向けて一歩前進できた。このデータをV−CADデータと名づけている。
【0015】
一方、‘モノづくり’においては、CAD,CAM,CAE,CATのシミュレーション・ツールは多種多様であり、有識者、熟練者の支援を受けながらシミュレーションを実施しているのが実情である。この状況のもとで、これらシミュレーション・ツール群をASP形態で一体化するには、
【0016】
(1)選択肢が多すぎて利用者はどのシミュレーション・ツールを利用すれば良いかの判断が難しいこと、および
【0017】
(2)各シミュレーション・ツールが高価であり、多数のシミュレーション・ツールをASP側に集約させるには運用費用の面で問題があること、
【0018】
の課題がある。
【0019】
一方、利用者(顧客)にとっては、設計者、有識者、熟練者の支援を受けながらASPを利用して‘モノづくり’が行える利用環境が整うのが望ましく、インターネット利用形態の新しいサービス・アーキテクチャアへの展開が期待される。
【0020】
したがって、本発明の目的は、シミュレーション・ツールを活用した‘モノづくり’の過程において、利用者と設計者、有識者、熟練者とが協調してシミュレーション作業が可能な協調型アプリケーション・サービス・システムを提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、協調型アプリケーション・サービス・システムにおいて、所望するシミュレーション・ツールを必要なときにのみ利用できるサービス・システム・アーキテクチャを提供することにある。
【0022】
さらに、本発明の他の目的は、利用者の問題解決に対応できる設計者、有識者、熟練者が利用者にとって身近に感じられるサービス・システム・アーキテクチャを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するため、本発明の協調作業型アプリケーション・サービス・システムでは、利用者からの相談内容に基づいた良好な支援者を選択し、利用者と支援者との対話環境を作り出す相談窓口手段と、利用者と選択された良好な支援者とが協調して目的のシミュレーション・ツールを選択し、選択したシミュレーション・ツールを実行させ、そのシミュレーション結果を討論しながら必要に応じて再実行したり、次の処理過程へのデータを作成する協調作業環境手段、およびインターネットに接続された各種アプリケーション・サーバで構成する。利用者はクライアント端末をインターネット接続すれば、本発明の協調作業型アプリケーション・サービス・システムを利用できる。
【0024】
相談窓口手段では、利用者はWWWを利用できるように、WWWサーバ機能を有しており、利用者はWWWインタフェース画面から要求機能を入力すると、利用者の要求に良好な支援者を選択し、選択した支援者へ連絡する機能を有する。支援者への連絡は電子メール、電話、携帯電話を駆動する。連絡を受けた支援者は相談窓口手段が具備している対話環境手段へアクセスする。これにより、利用者と支援者との対話が確立する。対話環境手段はWWWを利用した交信、電子メールに交信と電話やテレビ電話を併用しても構わない。
【0025】
協調作業環境手段では、利用者と選択された良好な支援者とが協調して、すなわち支援者の知識、経験からの意見を反映して目的のシミュレーション・ツールを選択し、選択したシミュレーション・ツールを実行させるためにインターネット接続されたアプリケーション・サーバへシミュレーション・ツールのデータを転送し、そのシミュレーション結果をビジュアル化して、再度、討論しながら必要に応じて再実行したり、次の処理過程、例えば、NC(Numerical Control)加工装置へのデータを作成する処理機能を具備する。
【0026】
本発明の協調型アプリケーション・サービス・システムにより、利用者と設計者、有識者、熟練者とが協調してシミュレーション作業の準備からシミュレーションの実行、NCデータの作成まで一貫して行えるので、支援者となる有識者、熟練者の効果的活用、利用者の業務効率向上など、インターネット利用形態の新しいサービス・アーキテクチャへ展開できる。また、本発明の協調型アプリケーション・サービス・システムは、多種多様なシミュレーション・ツールがインターネット接続されたアプリケーション・サーバに実装されているサーバを選択し所望のシミュレーションを実行するので、結果として多種多様なシミュレーション・ツールを共用できることになり、費用の削減が図れる。
【発明の効果】
【0027】
以上述べたように、本発明によれば、利用者と設計者、有識者、熟練者とが協調してシミュレーション作業の準備からシミュレーションの実行、NCデータの作成まで一貫して行えるので、支援者となる有識者、熟練者の効果的活用、利用者の業務効率向上など、インターネット利用形態の新しいサービス・アーキテクチャへ展開できる。また、本発明の協調型アプリケーション・サービス・システムは、多種多様なシミュレーション・ツールがインターネット接続されたアプリケーション・サーバに実装されているサーバを選択し所望のシミュレーションを実行するので、結果として多種多様なシミュレーション・ツールを共用できることになり、費用の削減が図れる。
【発明の実施の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、ここでは‘モノづくり’の一連の処理過程に適用した実施例を示すが、本発明の協調型アプリケーション・サービス・システムは支援者を必要とする様々なアプリケーションの実行に際しても適用が可能であり、必ずしも‘モノづくり’の処理過程への適用に限定されるものではない。
【0029】
図1は本発明の協調作業型アプリケーション・サービス・システムのコンセプトを端的に示したものであり、図2は本発明の協調作業型アプリケーション・サービス・システムに関する具体的な実施形態をハードウエア、ソフトウエアで代表的な協調型ASP作業環境手段100の構成を示したものである。
【0030】
上記構成要素群のもとで、利用者1、支援者2が‘モノつくり’の問題解決のために、協調型ASP作業環境手段100を共同して、すなわち協調して作業を進める。
【0031】
利用者1はインターネット3に接続されたクライアント端末4を用いて本発明の構成要素である協調型ASP作業環境手段100にアクセスする。具体的には、相談窓口手段101から提供されたWWWインタフェース画面を用いて要求機能を入力すると、相談窓口手段101は利用者の要求に良好な支援者を選択し、利用者のクライアント端末1へ選択した候補の一覧を表示する。表示される支援者候補一覧には、支援者名は当然のことながら専門分野、経験、実績なども表示される。利用者はその一覧の中から自分の希望する候補を選択する。当然のことながら、複数の支援者を指定できる。次に、利用者が選択した支援者へ連絡する。支援者へは電子メール、電話、携帯電話を駆動して連絡する。連絡を受けた支援者は支援者端末6を用いて相談窓口手段101が具備している対話手段へアクセスする。これにより、利用者1と支援者2との対話環境が確立する。対話手段はWWWを利用した交信、電子メールに交信と電話やテレビ電話を併用しても構わない。
【0032】
次に、協調作業環境手段102を利用者1と支援者2とが共用して、意見を交わしながら利用者1の要求するシミュレーション機能、例えば鋳造工程シミュレーション、金型シミュレーション、あるいは微細加工シミュレーションに良好なシミュレーション・ツールを選択する。使用するシミュレーション・ツールが決定すると、利用者1はクライアント端末4から形状データを協調型ASP作業環境手段100の協調作業環境手段102へ転送する。
【0033】
協調作業環境手段102では、受信した形状データを一旦ファイルに格納し、特願2001−25023号、特願2001−210508号による方法で内部セルと境界セルを作り、モデリング・ファイルとして格納した後、先に選択したシミュレーション・ツールが実装されているサーバ5a〜5n(AP1からAPnのいずれか)へ該ファイル内容を転送し、シミュレーションの実行を依頼する。
【0034】
AP1〜APnからシミュレーションの実行結果がインターネット3を経由して協調作業環境手段102へ送られてくると、利用者1と支援者2はシミュレーション結果が所望の結果であるかどうかを討論し、必要ならばパラメータを変更してシミュレーションの実行依頼を繰り返す。
【0035】
所望のシミュレーション結果が得られたならば、必要に応じてNC加工データを作成し、そのNC加工データを利用者1のクライアント端末4へ送出する。
【0036】
次に、図2以降の実施例を用いて、協調作業型アプリケーション・サービス・システムの代表的な全体像を説明する。図2の各処理手段はUNIX(登録商標)などのオペレーティング・システム(Operating System:OS)のもとで動作する処理プログラム群であり、各処理プログラム毎にハードウエア装置、OSが対応していても良いし、1つのOSのもとでこれら処理プログラム群が共存しても構わない。
【0037】
図2のクライアント・インタフェース処理部9は図1のクライアント端末4、支援者端末6に対して協調型ASP作業環境手段サーバ100にてWWWインタフェースを提供する。また、対話手段103は利用者1と支援者2との交信情報記憶領域である。なお、支援者2は複数であっても構わない。
【0038】
図3は支援者管理テーブル(Support Man’s Table:SMT)7の形式を示した図であり、このSMT7は協調型ASP作業環境手段サーバ100の主メモリ内にロードされている。このSMT7には、支援者名7a、専門分野7b、電話番号7c、メールアドレス7dが格納されている。専門分野フィールド7bには、専門分野、経験年数、実績などが格納されている。図4は図2に示した要求処理機能管理テーブル(Application Management Table:AMT)8の形式を示した図であり、処理機能フィールド8aと詳細情報アドレス8aa,機能説明情報8b,および実行APnのURL(Universal Resouce Location)アドレス8cが格納されている。このAMT8も協調型ASP作業環境手段サーバ100内の主メモリにロードされている。なお、URLのインターネット・アドレス形式はインターネット規約であるRFC(Request For Comment)で規定されている。
【0039】
図5は相談窓口処理手段10の処理フローを示した図であり、この図5、図2、図3を用いて相談窓口処理手段10の処理を説明する。
【0040】
図5を参照するに、相談窓口手段10はクライアント・インタフェース9から制御を受けると、処理ステップ10aから処理ステップ10cまでの一連の処理を実行する。処理ステップ10aにて、SMT7を検索し、クライアント端末4から要求された作業に対応する支援者を選択する。この検索は対話手段103に格納された作業要求に対応する専門分野フィールド7bを比較検査して行う。したがって、複数の支援者候補が検出される場合もある。比較選択処理の結果、対応する支援者が見つかると、その支援者候補の一覧をクライアント端末4に表示する。利用者1はクライアント端末4に表示された候補の一覧から希望者を選択する。このとき複数の支援者を選択しても構わない。次に、処理ステップ10bにて利用者1が指定した支援者に対応する支援者のメールアドレス・フィールド7dよりインターネットメール・アドレスを得て、インターネットのメール電文形式とメールアドレス形式をRFC821規則により作成する。
【0041】
次に、処理ステップ10cによって、インターネットメールに電子メールの電文を送出するために、サーバ100に実装されたsendmail機能にメール本文を送る。例えば、UNIX(登録商標)(米国AT&T社のベル研究所で開発されたOSでThe Open Groupの商標)のsendmail機能の処理プロセスでは、このメール本文をインターネット経由で支援者2のメールアドレスで指定されたドメインのメールサーバへ送出し、支援者2の端末6へ利用者からの支援要求を通知する。複数の支援者が選択されていれば、複数の支援者へ通知する。ここでは、インターネットメールに電子メールの電文を送る例を示しているが、電子メールによる連絡方法に限定するものではない。SMT7の電話番号7cを利用すれば電話連絡も可能である。
【0042】
支援要求の連絡を受けた支援者2は支援者端末6を用いて図2の対話手段103、あるいは電話、テレビ電話を介して利用者1と共同作業を行う環境が整う。以後は、利用者1と支援者2とが共同して、すなわち協調して利用者の所望する作業に好適な作業を推進する。
【0043】
図6は図2に示した協調作業環境手段102内の要求機能選択実行処理部11の処理フローである。なお、図6では、説明をわかり易くするために、支援者2が1人の場合で処理フローを記述してあるが、複数の支援者の場合には、支援者との交信処理が複数回繰り返すことになる。
【0044】
図6、図2、および図4を参照するに、図6の処理ステップ11aでは、AMT8を検索し利用者1の作業要求に対応するシミュレーション・ツールを選択する。例えば、利用者の要求が金型作成作業であるならば、図4のAMT8の機能フィールド8aを検索する。この結果、機能フィールド8aに‘金型シミュレーション’が格納されたエントリ8a1が合致する。この検索処理は全エントリを検索する。したがって、複数のエントリが選択される場合もあるが、それら複数のエントリはすべて候補になる。
【0045】
処理ステップ11bにて、選択されたエントリに記憶されたアドレス8aa1がポイントするプログラム機能説明情報8bを対話手段103に格納する。これにより、利用者1と支援者2とがシミュレーション・ツールの機能を共通で参照できる。
【0046】
処理ステップ11cでは、支援者2は対話手段103に格納されたシミュレーション・ツールの機能の説明情報を参照し検討して、利用者1に提案・コメントを行う。この提案・コメントは対話手段103の領域に直接書き込んでも良いし、電話やTV電話で交信しても良い。処理ステップ11cの例では、支援者2と利用者1とが対話手段103に書き込む実施例を示してある。
【0047】
利用者1から実行の返事が書き込まれると、次に、処理ステップ11d以降の処理ステップが実行される。
【0048】
処理ステップ11dでは、図2の形状データ受信処理部12を駆動し、利用者1のクライアント端末4から形状データを受信して形状データファイル12aに格納する。
【0049】
次の処理ステップ11eでは形状セル作成処理部13を駆動し、形状データから形状セルと物理量セルを作成してモデリング・データファイル13aに格納する。このモデリング・データファイル13aに格納された形状セルデータ、物理量セルデータが各シミュレーション・ツールへの標準データとなる。
【0050】
図6の処理ステップ11fでは、処理ステップ11cで選択・決定されたシミュレーション・ツールが実装されているサーバ(AP1〜APnの中のいずれかのサーバ)にモデリングデータファイル13aに格納されたデータを転送することで該サーバにてシミュレーション処理が実行される。
【0051】
ASPnでのシミュレーションが終了すると(処理ステップ11g)、処理ステップ11hにて、ASPnサーバから送信された結果データをシミュレーション結果ファイル14aに格納し、必要に応じてクライアント端末4、支援者端末6にビジュアル表示(図示せず)する。利用者1と支援者2はそのシミュレーション結果を検討する。すなわち、遠隔討論にてシミュレーション結果の検討が行えることになる。
【0052】
検討の結果、パラメータを変更して再実行する場合には、上記の処理ステップ11dから処理ステップ11hを利用者が結果に満足するまで繰り返せば良い。
シミュレーション結果が満足されると、処理ステップ11iにてNCデータ作成処理部15を駆動してNCデータを作成しNCデータファイル15aに格納する。その後、NCデータをクライアント端末4へ転送する。
【0053】
上記で述べた実施例においては各サーバがインターネット接続された構成例であるが、当然のことながら、各サーバが同一キャンパス内でローカル・エリア・ネットワーク(Lobcal Area Network:LAN)接続された構成を含むものである。
【0054】
さらに、以上で述べた実施例は、本発明の協調作業型アプリケーション・サービス・システムを‘モノづくり’の作業プロセスに適用した一実施例でるが、利用者と支援者が共同で、すなわち協調して作業プロセスを実行するアプリケーションへも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の協調作業型アプリケーション・サービス・システムのコンセプトを端的に示した図である。
【図2】協調作業型アプリケーション・サービス・システムに関する具体的な実施形態をハードウエア、ソフトウエアで代表的な協調型ASP作業環境手段100の構成を示した図である。
【図3】支援者管理テーブル(Support Man’s Table:SMT)7の形式を示した図である。
【図4】要求処理機能管理テーブル(Application Management Table:AMT)8の形式を示した図である。
【図5】相談窓口処理手段10の処理フローを示した図である。
【図6】協調作業環境手段102内の要求機能選択実行処理部11の処理フローである。
【符号の説明】
【0056】
1 利用者
2 支援者
3 インターネット
4 クライアント端末
5a〜5n アプリケーション・サーバAP1〜APn
6 支援者端末
100 協調型ASP作業環境手段
101 相談窓口手段
102 協調作業環境手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が利用すべき設計シミュレーション・プログラムの選択と実行を支援するための、端末および他のサーバとネットワークで接続された支援サーバであって、
利用者の作業要求に応じて支援者を選択するための複数の支援者リストを格納する第1の記憶部と、
利用者の端末からシミュレーションの作業要求を受け、当該作業要求に対応する支援者候補を前記複数の支援者リストの中から検索して当該端末から支援者の選択を受けつけるようにした処理手段と、
複数のシミュレーション・プログラムの機能情報と当該シミュレーション・プログラムを提供するアプリケーション・サービス・サーバのアドレス情報を格納する第2の記憶部と、を有し、
前記処理手段は、選択された支援者の端末への支援要求を行うための連絡手段を駆動し、前記利用者と支援要求を受けた支援者の端末から情報を交信するための情報交信部であってシミュレーション・プログラムの機能情報を前記第2の記憶部から取得して前記利用者と前記選択された支援者とが端末を通して共通に参照できるようにした前記情報交信部を有し、利用者の作業要求に適合するシミュレーション・プログラムの選択を受けつけるようにし、
前記支援サーバはさらに、選択されたシミュレーション・プログラムのサービスを提供するアプリケーション・サービス・サーバに対してデータを送信して実行を依頼し、実行結果を受信する実行依頼手段を有し、前記アプリケーション・サービス・サーバに対して送信した前記データと前記アプリケーション・サービス・サーバから受信した前記実行結果を前記利用者の端末と前記選択された支援者の端末の双方から参照できるようにした、支援サーバ。
【請求項2】
前記ネットワークはインターネットである請求項1記載の支援サーバ。
【請求項3】
ワールド・ワイド・ウエブ機能を有している請求項1記載の支援サーバ。
【請求項4】
前記第1の記憶部は、電子メールアドレス、電話番号のいずれかを記憶する請求項1記載の支援サーバ。
【請求項5】
複数の支援者を選択できるようにした請求項1記載の支援サーバ。
【請求項6】
前記支援サーバは利用者からの作業要求に対応したシミュレーション・プログラムを実装しているインターネットに接続されたサーバを選択することを特徴とする請求項1記載の支援サーバ。
【請求項7】
前記支援サーバは、該支援サーバとローカル・エリア・ネットワーク接続されたサーバ群の中から作業要求に対応したシミュレーション・プログラムを実装しているサーバを選択することを特徴とする請求項1記載の支援サーバ。
【請求項8】
利用者が利用すべきシミュレーション・プログラムの選択と実行を支援するための、端末および他のサーバとネットワークで接続される支援サーバで実行可能な支援処理プログラムであって、
利用者の端末からシミュレーションの作業要求を受け、当該作業要求に対応する支援者候補を前記支援サーバの第1の記憶部に格納されている複数の支援者リストから検索して支援者の選択を受けつけ、
支援要求のための連絡手段を駆動して選択された支援者の端末に連絡して、前記利用者および支援要求を受けた支援者の双方の端末から情報を交信するための情報交信部を前記支援サーバに設け、
複数のシミュレーション・プログラムの機能情報と当該シミュレーション・プログラムを提供するアプリケーション・サービス・サーバのアドレス情報を格納する前記支援サーバの第2の記憶部からシミュレーション・プログラムの機能情報を前記情報交信部に取得して前記利用者と前記選択された支援者とが端末を通して共通に参照できるようにし、
利用者の作業要求に適合するシミュレーション・プログラムの選択を受けつけて、当該選択されたシミュレーション・プログラムのサービスを提供するアプリケーション・サービス・サーバに対してネットワークを介してデータを送信して実行を依頼し、当該アプリケーション・サービス・サーバから実行結果を受信し、さらに、
前記アプリケーション・サービス・サーバに対して送信した前記データと前記アプリケーション・サービス・サーバから受信した前記実行結果を前記利用者の端末と前記選択された支援者の端末の双方から参照できるようにした、ステップを含む支援処理プログラム。
【請求項9】
前記請求項8に記載の支援処理プログラムを格納する、利用者が利用すべきシミュレーション・プログラムの選択と実行を支援するための支援サーバで読み込み可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−32275(P2009−32275A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224734(P2008−224734)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【分割の表示】特願2002−149471(P2002−149471)の分割
【原出願日】平成14年5月23日(2002.5.23)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】