協調作業文書作成・編集システム
【課題】複数人で協調して文書を作成・編集する協調作業文書作成・編集システムのさらなる操作性、利便性の向上を可能にする。
【解決手段】各人が文書の作成・編集指示を入力するための入力装置1,2,3、文書を表示出力するための大型ディスプレイなどの出力装置5、及び協調作業作成・編集制御装置としてのサーバ装置4からなり、サーバ装置4は、各入力装置から入力された文書の作成、編集指示を解釈し、その解釈結果を記憶手段43にキューイングする手段41、所定のタイミングで、その時点までにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映して出力装置5や入力装置の表示ウィンドウに表示する手段42を備える。
【解決手段】各人が文書の作成・編集指示を入力するための入力装置1,2,3、文書を表示出力するための大型ディスプレイなどの出力装置5、及び協調作業作成・編集制御装置としてのサーバ装置4からなり、サーバ装置4は、各入力装置から入力された文書の作成、編集指示を解釈し、その解釈結果を記憶手段43にキューイングする手段41、所定のタイミングで、その時点までにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映して出力装置5や入力装置の表示ウィンドウに表示する手段42を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は文書作成・編集システムに関し、詳しくは、大型ディスプレイなどに写された文書(コンテンツ)に対して、各人がそれぞれ手元のデバイスを利用して協調的に修正していくような協調作業文書作成・編集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作性や利便性などの向上を目的とした協調作業用文書作成・編集システムが種々提案されている。例えば、特許文献1には、複数の端末が一つの文書を共有し、該文書を各人が共同で作成、編集、閲覧しながら会議を行うサーバ/クライアント型電子会議システムにおいて、個々の端末で、共有文書に対する追記、修正などを行う際に、他人に不要または見せたくない部分をすべての端末で共有しないようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−281101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、操作権を排他処理しており、文書編集箇所が早いもの順で反映されてしまう。そのため、同一箇所などで違う方法で編集したい場合の自由な処理ができない問題があった。
【0005】
本発明は、上述の従来技術の問題点を解決し、より操作性、利便性の向上を図った協調作業文書作成・編集システムを提供することを目的とする、
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、複数人で協調して文書を作成・編集する協調作業文書作成・編集システムであって、文書の作成・編集指示を入力するための一つまたは複数の入力装置と、文書を表示出力するための一つ又は複数の出力装置と、前記入力装置から入力された文書の作成・編集指示を解釈し、その解釈結果をキューイングし、所定のタイミングで、その時点までにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映して前記出力装置に表示する機能を備えたサーバ装置とからなることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、前記解釈結果の評価関数を計算し、該評価関数の値が閾値を超えた時点で、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記評価関数は、編集文書の面積に対する編集領域の面積の割合とすることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、前記解釈結果の総計が閾値を超えた時点で、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、前記入力装置からの特定の指示をトリガーとして、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、前記入力装置からの指示に基づき、前記解釈結果を選択的に文書に反映させることを特徴とする特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、前記入力装置から入力された文書の作成・編集指示に競合が発生した場合に、該競合が発生した文書の作成・編集指示に対応する複数の解釈結果のうちの一つを選択するか、当該解釈結果をすべてキャンセルすることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、入力装置からの指示に基づき、前記競合が発生した文書の作成・編集指示に対応する複数の解釈結果のうちの一つを選択するか、当該解釈結果をすべてキャンセルするかを決定することを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記入力装置と前記出力装置は一体的に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の協調作業文書作成・編集システムによれば、複数人で協調して文書を作成・編集する際に、各人が出した複数の編集指示を文書に反映するタイミングを制御できるようになるため、早いもの順で編集指示が反映されることを防止できる。また、編集指示のうち、反映させるものとさせないものの選択ができる。さらに、編集指示の競合が発生した場合にどの編集指示を反映させるか、またはすべてを反映させないかを、作業者に自由に選択することができる。
【0016】
なお、本発明の協調作業文書作成・編集システムの更なる顕著な作用効果は、以下の実施形態の説明で明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明に係る協調作業文書作成・編集システムの一実施形態の全体構成図を示す。本文書作成・編集システムは、各人が使用する文書作成・編集指示入力装置としての入力装置1,2,3、協調作業文書作成・編集制御装置としてのサーバ4、大型ディスプレイなどの出力装置5から構成され、これらの機器は有線あるいは無線のLANなどで接続されている。図1では、入力装置は3台しか示されていないが、これに限らない。
【0018】
各人は入力装置1,2,3を利用して文書の文書作成・編集指示を入力する。入力装置1,2,3は通常のパソコン、端末と同様の構成であるが、共有画面用ウィンドウと個別画面ウィンドウを持つこととする。
【0019】
サーバ4はホストコンピュータであり、ここでは、入力装置1,2,3から入力された文書の作成・編集指示を解釈する指示解釈手段41、該指示解釈手段41による解釈結果を文書に反映する指示反映手段42、解釈結果などの記憶に用いられる作業用メモリとしての記憶手段43で構成されるとする。なお、指示解釈手段41と指示反映手段42の機能は、一般的にはプログラムとそれを実行するCPUで実現される。
【0020】
出力装置5は、協調作業の編集対象や編集処理結果の文書を表示出力すると共に、指示解釈手段41による解釈結果や指示反映手段42による反映結果などを表示する。一般的に出力装置5には大型ディスプレイが用いられる。
【0021】
ここで、サーバ4の記憶手段43には、システム立上げ時など、あらかじめ入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウ及び個別画面ウィンドウに対応して、共有画面バッファ及び個別画面バッファが確保されている。
【0022】
図2に、入力装置1,2,3の画面ウィンドウとサーバ4(記憶手段43)の画面バッファとの対応関係を示す。サーバ4の共有画面バッファは、入力装置1,2,3の各共有画面ウィンドウに対して共通である。一方、サーバ4の各個別画面バッファ(1),(2),(3)は、入力装置1,2,3の各個別画面ウィンドウ(1),(2),(3)と1対1に対応している。
【0023】
通常、サーバ4の共有画面バッファ及び各個別画面バッファ(1),(2),(3)にはいずれも同一の文書が格納され、該文書が入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウ及び各個別画面ウィンドウ(1),(2),(3)にそれぞれ表示される。また、サーバ4の共有画面バッフアの文書は出力装置5にも表示される。
【0024】
例えば、入力装置1で個別画面ウィンドウ(1)上の文書が操作されると、それがサーバ4の個別画面バッファ(1)の文書に反映される。同様に、入力装置2や3でそれぞれ個別画面ウィンドウ(2)や(3)上の文書が操作されると、それらはサーバ4の個別画面バッファ(2)や(3)の文書に反映される。また、例えば、入力装置1で共有画面ウィンドウ上の文書が操作されると、それがサーバ4の共有画面バッファの文書に反映され、同時に入力装置2,3の共有画面ウィンドウ上の文書にも反映される。入力装置2,3で共有画面ウィンドウ上の文書が操作された場合も同様である。サーバ4の各個別画面バッファ(1),(2),(3)の内容で共有画面バッファの内容を書き替えれば、それが入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウに反映される。サーバ4の共有画面バッファの内容で個別画面バッファ(1),(2),(3)の内容を書き替えれば、それが入力装置1,2,3の各個別画面ウィンドウ(1),(2),(3)に反映される。
【0025】
これらの仕組みについては、例えば特許文献1に記載されているので、詳しい説明は省略する。
【0026】
以下に、本発明の協調作業文書作成・編集システムの処理動作の二、三の実施形態について具体的に説明する。
【0027】
図3及び図4は第1の実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。初期状態として、サーバ4の記憶手段43には、共有画面バッファ及び各個別画面バッファとも同一の文書(編集対象文書)が格納され、該文書が入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウ及び各個別画面ウィンドウにそれぞれ表示されているとする。図5に編集対象文書の具体例を示す。該文書は出力装置5にも表示される。
【0028】
入力装置1,2,3の各人は、それぞれ自分の入力装置の個別画面ウィンドウから文書の編集指示及び編集領域を入力する(ステップ101)。入力装置1,2,3の個別画面ウィンドウから入力された文書編集指示及び編集領域はサーバ4に送信され、記憶手段43の各個別画面バッファの文書に反映される(ステップ102)。
【0029】
編集指示方法は、キーボードからの文字入力でも、マウスや電子ペンによる手書き入力でもよいが、ここでは手書き入力とする。図6及び図7に編集指示及び編集領域の入力例を示す。図6のように、例えば、削除の場合は、削除したい部分に「×」を手書きし、削除部分を線で囲む。また、図7のように、入れ替えの場合は、入れ替えたい部分を線で囲って矢印などで結ぶ。修正の場合は、修正箇所に線を引き(あるいは線で囲む)、余白に修正語句、修正文などを手書きする。
【0030】
サーバ4の指示解釈手段41は、記憶手段43の各個別画面バッファの文書中の編集指示及び編集領域を解釈し、解釈結果を記憶手段43の所定領域にキューイングする(ステップ103)。具体的には、手書きの編集指示、編集領域等を認識し、編集指示コマンドとその領域、修正語句、修正文などを生成して、記憶手段43の所定領域にキューイングする。手書き認識には一般に普及している技術を利用することができる。
【0031】
図8の(1)に、図6及び図7の編集指示及び編集領域等の手書き入力に対する解釈結果の一例を示す。ここで、(xs,ys)は開始座標、(ye,ye)は終了座標を意味する。なお、解釈結果には個別画面IDを付加してもよく、この場合には備考欄は不要である。
【0032】
サーバ4の指示解釈手段41は、入力装置1,2,3から入力された編集指示及び編集領域を解釈し、その解釈結果をキューイングする処理と並行して、編集指示に対する評価関数を計算する(ステップ104)。評価関数としては、例えば、各編集領域の面積の総和を用いる。編集領域の面積は、開始座標と終了座標から求めることができる。指示解釈手段41は、評価関数の値が予め定めた閾値を超えるかチェックし、超えた時点で指示反映手段42に制御を渡す(ステップ105)。つまり、1頁分の文書について、編集領域の割合所定以上になった時点で指示反映手段42に制御を渡す。
【0033】
なお、評価関数を編集指示コマンドの数とし、コマンド数(解釈結果の総計)が予め定めた閾値を超えるかチェックして、超えた時点で指示反映手段42に制御を渡すことでもよい。
【0034】
サーバ4の指示反映手段42は、指示解釈手段41から制御が渡されると、その時点までに記憶手段43の所定領域にキューイングされている解釈結果について、その編集指示コマンドを解釈し、キューイングされている解釈結果をすべて記憶手段43内の共有画面バッファの文書に反映せしめる(ステップ106)。この場合、解釈結果に個別画面IDが付加されている場合には、対応する個別画面バッファを参照して行うことができる。この記憶手段43内の共有画面バッファの内容は出力装置5及び入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウに反映される(ステップ107)。すなわち、入力装置1,2,3の各個別画面ウィンドウから入力された複数の編集指示及び編集領域の解釈結果が出力装置5及び入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウの表示文書に反映される。
【0035】
図9に、図6及び図7の編集指示及び編集領域等の入力に対する解釈結果の共有画面ウィンドウ上の表示例を示す。図9のように、例えば、削除の場合、「トル」の文字を余白に表示し、削除部分と「トル」の文字の間を引き出し線で結ぶ。なお、図9の場合、入れ替えや修正の部分は入力と同じであるが、必要なら表示を変更してもよい。
【0036】
入力装置1,2,3の各人は、共有画面ウィンドウを見て、解析結果のうち取り消したいものについては、自入力装置の共有ウィンドウから取り消しの指示を入力し、そのままで、良ければ、「OK」等の指示を入力する(ステップ201)。例えば、取り消しの場合は、該当する解釈結果に「×」等を手書きすることで入力する。また、「OK」の場合は、余白等に「OK」等を手書きして入力するか、所定のOKキー等を用いて入力する。なお、「OK」の指示入力は、最終的に全員の同意が得られた場合、ある人が代表して自入力装置の共有ウィンドウから入力するようにする。
【0037】
図10は、図9の解釈結果のうち、「行って」を取り消したい場合(元の「進めて」に戻したい場合)、「行って」に手書きで「×」を入力した例を示したものである。同様に、例えば、削除部分を取り消したい場合には、「トル」に「×」をつければよい。
【0038】
入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウから入力された指示は、サーバ4に送信され、記憶手段43の共有画面バッファの文書に反映される(ステップ202)。同時に、これは、入力装置1,2,3の各共有画面ウィンドウ及び出力装置5の表示文書に反映される。これにより、各人は他人の考え、意見を確認できる。
【0039】
サーバ4の指示解釈手段41は、共有画面バッファの文書中の指示入力を解釈し、コマンドを生成する(ステップ203)。そして、コマンドが「OK」か判定し(ステップ204)、「OK」でない場合には、記憶手段43の所定領域にキューイングされている解釈結果のうちの該当する解釈結果のコマンドを変更する(ステップ205)。例えば、図8の(2)のように、「行って」の取消しが指示された場合(図10)、図8の(1)の解釈結果における「修正」のコマンドを「取消」に変更する。
【0040】
指示解釈手段41は、「OK」のコマンドが判定されるまで、ステップ203〜205の処理をループする。そして、「OK」のコマンドが判定された時点で指示反映手段42に制御を渡す。
【0041】
サーバ4の指示反映手段42は、指示解釈手段41から制御が渡されると、まず、記憶手段43の所定領域にキューイングされている解釈結果のうち、取消しコマンドのついた解釈結果をキャンセルする(ステップ206)。例えば、図8の(2)の場合、「行って」の解釈結果がキャンセルされる。その後、指示反映手段42は、最終的に残った解釈結果をもとに、記憶手段43内の共有画面バッファの文書を再編集し、同時に、この再編集した文書で記憶手段43内の各個別画面バッファの文書を書き替える(ステップ207)。この記憶手段43内の共有画面バッファの文書は、出力装置5及び入力装置1,2,3の各共有画面バッファウィンドウに表示され、記憶手段43内の各個別画面バッファの文書は、入力装置1,2,3の各個別画面ウィンドウに表示される(ステップ208)。
【0042】
図11に、図5の編集対象文書について、図8の(2)の解釈結果をもとに再編集した文書の表示例を示す。ここでは、解釈結果が削除の部分の「国の内外を問わず、・・・企業活動を行います。」が削除され、「社会への貢献と行動」は「行動と社会への貢献」に入れ替わり、途中結果(図9)の「行って」は元の「進めて」に戻されている。
【0043】
なお、例えば図9の解釈結果の表示において、解釈結果に「○」を手書きすることで、サーバ4の指示解釈結果41は、「○」を選択コマンドと解釈し、指示反映手段42は、該選択コマンドの解釈結果のみを反映させることでもよい。これにより、解釈された編集指示のうち、反映させるものとさせないものの選択ができる。なお、他にも解釈結果の指示方法は色々考えられる。
【0044】
図12は第2の実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。図12において、ステップ301〜303は図2のステップ101〜103と同じである。また、ステップ305,306は図2のステップ106,107と同じである。本実施形態は、入力装置からの特定の指示をトリガーとして、その時点までにキューイングされた解釈結果を編集対象文書に反映させるものである。
【0045】
サーバ4の指示解釈手段41は、入力装置1,2,3から入力された編集指示及び編集領域を解釈し、その解釈結果を記憶手段43の所定領域にキューイングする処理と並行して、入力装置1,2,3のいずれかの個別画面ウィンドウから、例えば、手書きで「OK」というコマンドが入力されるか判定する(ステップ304)。入力はキー入力でもよい。入力装置側から「OK」のコマンドが入力されると、指示解釈手段41は、指示反映手段42に制御を渡すようにする。
【0046】
サーバ4の指示反映手段42は、指示解釈手段41から制御が渡されると、その時点までに記憶手段43の所定領域にキューイングされている解釈結果をすべて記憶手段43内の共有画面バッファの文書に反映せしめる(ステップ305)。そして、この解釈結果の反映された文書が、出力装置5及び入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウに表示される(ステップ306)。この後の処理動作は、図3と同じであるので、説明は省略する。
【0047】
図13は、第3の実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。本実施形態は、文書の編集指示において複数人による競合が発生した場合の処理の一例を示したものである。
【0048】
図13において、ステップ401,402は図2のステップ106,107(又は図12のステップ305,306)と同じである。図14に、ステップ402の実行後の、解釈結果の共有画面ウィンドウの表示例を示す。これは、文書中の削除領域の一部が二人の間で競合している例である。
【0049】
サーバ4の指示解釈手段41は、指示反映手段42に制御を渡した後、記憶手段43の所定領域にキューイングされている解釈結果に競合するものがあるかチェックする(ステップ403)。これは、図8に示した各解釈結果の編集領域を比較することで容易に可能である。解釈結果に競合するものがある場合、指示解釈手段41は、入力装置側からの競合に対する指示を待つこととなる。競合に対する指示は、ここでは簡単に、競合している解釈結果のいずれか一つを選択する、あるいは競合した解釈結果をすべて却下する、のいずれかとする。例えば、ある入力装置の共有画面ウィンドウにおいて、競合が発生している解釈結果のうち、そのいずれか一つに「○」をつける(図14の場合、いずれかの「トル」に「○」をつける)ことで、競合している解釈結果から一つを選択する。競合した解釈結果をすべて却下する場合は、例えば、図14に示すような却下ボタンを選択する。
【0050】
指示解釈手段41は、入力装置側から競合している解釈結果のいずれか一つを選択する指示入力があった場合、記憶手段43にキューイングされている競合する解釈結果のうち、選択指示された解釈結果を残して他の競合する解釈結果をキャンセルする(ステップ404,405)。また、却下の指示入力があった場合には、記憶手段43にキューイングされている競合する解釈結果をすべてキャンセルする(ステップ406,407)。この後の処理動作は図3と同じである。
【0051】
以上、図1のシステム構成について二、三の実施形態の処理動作を説明したが、入力装置は1台でもよい。すなわち、1台の入力装置に、図15のように、一つの共有画面ウィンドウ、及び、各人用の複数の個別画面ウィンドウを持たせることで、1台の入力装置から複数人での協調文書編集作業を行うことが可能である。この場合、入力装置と出力装置は、例えば、タブレットPCのように、一体型でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る協調作業文書作成・編集システムの一実施形態の全体構成図。
【図2】入力装置の画面ウィンドウとサーバ側の画面バッファの対応を示す図。
【図3】本発明に係る協調作業文書作成・編集システムの第1の実施形態の処理動作を説明するフローチャート。
【図4】図3のフローチャートの続きのフローチャート。
【図5】編集対象文書の一例を示す図。
【図6】編集指示の入力例(その1)を示す図。
【図7】編集指示の入力例(その2)を示す図。
【図8】解釈結果の一例を示す図。
【図9】解釈結果の表示例を示す図。
【図10】解釈結果の取消し指示の一例を示す図。
【図11】編集後文書の表示例を示す図。
【図12】本発明に係る協調作業文書作成・編集システムの第2の実施形態の処理動作を説明するフローチャート。
【図13】本発明に係る協調作業文書作成・編集システムの第3の実施形態の処理動作を説明するフローチャート。
【図14】競合のある解釈結果の表示例を示す図。
【図15】入力装置が1台の場合の画面ウィンドウの一例を示す図。
【符号の説明】
【0053】
1,2,3 入力装置
4 サーバ
41 指示解釈手段
42 指示反映手段
43 記憶手段
5 出力装置
【技術分野】
【0001】
本発明は文書作成・編集システムに関し、詳しくは、大型ディスプレイなどに写された文書(コンテンツ)に対して、各人がそれぞれ手元のデバイスを利用して協調的に修正していくような協調作業文書作成・編集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作性や利便性などの向上を目的とした協調作業用文書作成・編集システムが種々提案されている。例えば、特許文献1には、複数の端末が一つの文書を共有し、該文書を各人が共同で作成、編集、閲覧しながら会議を行うサーバ/クライアント型電子会議システムにおいて、個々の端末で、共有文書に対する追記、修正などを行う際に、他人に不要または見せたくない部分をすべての端末で共有しないようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−281101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、操作権を排他処理しており、文書編集箇所が早いもの順で反映されてしまう。そのため、同一箇所などで違う方法で編集したい場合の自由な処理ができない問題があった。
【0005】
本発明は、上述の従来技術の問題点を解決し、より操作性、利便性の向上を図った協調作業文書作成・編集システムを提供することを目的とする、
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、複数人で協調して文書を作成・編集する協調作業文書作成・編集システムであって、文書の作成・編集指示を入力するための一つまたは複数の入力装置と、文書を表示出力するための一つ又は複数の出力装置と、前記入力装置から入力された文書の作成・編集指示を解釈し、その解釈結果をキューイングし、所定のタイミングで、その時点までにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映して前記出力装置に表示する機能を備えたサーバ装置とからなることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、前記解釈結果の評価関数を計算し、該評価関数の値が閾値を超えた時点で、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記評価関数は、編集文書の面積に対する編集領域の面積の割合とすることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、前記解釈結果の総計が閾値を超えた時点で、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、前記入力装置からの特定の指示をトリガーとして、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、前記入力装置からの指示に基づき、前記解釈結果を選択的に文書に反映させることを特徴とする特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、前記入力装置から入力された文書の作成・編集指示に競合が発生した場合に、該競合が発生した文書の作成・編集指示に対応する複数の解釈結果のうちの一つを選択するか、当該解釈結果をすべてキャンセルすることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記サーバ装置は、入力装置からの指示に基づき、前記競合が発生した文書の作成・編集指示に対応する複数の解釈結果のうちの一つを選択するか、当該解釈結果をすべてキャンセルするかを決定することを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システムにおいて、前記入力装置と前記出力装置は一体的に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の協調作業文書作成・編集システムによれば、複数人で協調して文書を作成・編集する際に、各人が出した複数の編集指示を文書に反映するタイミングを制御できるようになるため、早いもの順で編集指示が反映されることを防止できる。また、編集指示のうち、反映させるものとさせないものの選択ができる。さらに、編集指示の競合が発生した場合にどの編集指示を反映させるか、またはすべてを反映させないかを、作業者に自由に選択することができる。
【0016】
なお、本発明の協調作業文書作成・編集システムの更なる顕著な作用効果は、以下の実施形態の説明で明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明に係る協調作業文書作成・編集システムの一実施形態の全体構成図を示す。本文書作成・編集システムは、各人が使用する文書作成・編集指示入力装置としての入力装置1,2,3、協調作業文書作成・編集制御装置としてのサーバ4、大型ディスプレイなどの出力装置5から構成され、これらの機器は有線あるいは無線のLANなどで接続されている。図1では、入力装置は3台しか示されていないが、これに限らない。
【0018】
各人は入力装置1,2,3を利用して文書の文書作成・編集指示を入力する。入力装置1,2,3は通常のパソコン、端末と同様の構成であるが、共有画面用ウィンドウと個別画面ウィンドウを持つこととする。
【0019】
サーバ4はホストコンピュータであり、ここでは、入力装置1,2,3から入力された文書の作成・編集指示を解釈する指示解釈手段41、該指示解釈手段41による解釈結果を文書に反映する指示反映手段42、解釈結果などの記憶に用いられる作業用メモリとしての記憶手段43で構成されるとする。なお、指示解釈手段41と指示反映手段42の機能は、一般的にはプログラムとそれを実行するCPUで実現される。
【0020】
出力装置5は、協調作業の編集対象や編集処理結果の文書を表示出力すると共に、指示解釈手段41による解釈結果や指示反映手段42による反映結果などを表示する。一般的に出力装置5には大型ディスプレイが用いられる。
【0021】
ここで、サーバ4の記憶手段43には、システム立上げ時など、あらかじめ入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウ及び個別画面ウィンドウに対応して、共有画面バッファ及び個別画面バッファが確保されている。
【0022】
図2に、入力装置1,2,3の画面ウィンドウとサーバ4(記憶手段43)の画面バッファとの対応関係を示す。サーバ4の共有画面バッファは、入力装置1,2,3の各共有画面ウィンドウに対して共通である。一方、サーバ4の各個別画面バッファ(1),(2),(3)は、入力装置1,2,3の各個別画面ウィンドウ(1),(2),(3)と1対1に対応している。
【0023】
通常、サーバ4の共有画面バッファ及び各個別画面バッファ(1),(2),(3)にはいずれも同一の文書が格納され、該文書が入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウ及び各個別画面ウィンドウ(1),(2),(3)にそれぞれ表示される。また、サーバ4の共有画面バッフアの文書は出力装置5にも表示される。
【0024】
例えば、入力装置1で個別画面ウィンドウ(1)上の文書が操作されると、それがサーバ4の個別画面バッファ(1)の文書に反映される。同様に、入力装置2や3でそれぞれ個別画面ウィンドウ(2)や(3)上の文書が操作されると、それらはサーバ4の個別画面バッファ(2)や(3)の文書に反映される。また、例えば、入力装置1で共有画面ウィンドウ上の文書が操作されると、それがサーバ4の共有画面バッファの文書に反映され、同時に入力装置2,3の共有画面ウィンドウ上の文書にも反映される。入力装置2,3で共有画面ウィンドウ上の文書が操作された場合も同様である。サーバ4の各個別画面バッファ(1),(2),(3)の内容で共有画面バッファの内容を書き替えれば、それが入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウに反映される。サーバ4の共有画面バッファの内容で個別画面バッファ(1),(2),(3)の内容を書き替えれば、それが入力装置1,2,3の各個別画面ウィンドウ(1),(2),(3)に反映される。
【0025】
これらの仕組みについては、例えば特許文献1に記載されているので、詳しい説明は省略する。
【0026】
以下に、本発明の協調作業文書作成・編集システムの処理動作の二、三の実施形態について具体的に説明する。
【0027】
図3及び図4は第1の実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。初期状態として、サーバ4の記憶手段43には、共有画面バッファ及び各個別画面バッファとも同一の文書(編集対象文書)が格納され、該文書が入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウ及び各個別画面ウィンドウにそれぞれ表示されているとする。図5に編集対象文書の具体例を示す。該文書は出力装置5にも表示される。
【0028】
入力装置1,2,3の各人は、それぞれ自分の入力装置の個別画面ウィンドウから文書の編集指示及び編集領域を入力する(ステップ101)。入力装置1,2,3の個別画面ウィンドウから入力された文書編集指示及び編集領域はサーバ4に送信され、記憶手段43の各個別画面バッファの文書に反映される(ステップ102)。
【0029】
編集指示方法は、キーボードからの文字入力でも、マウスや電子ペンによる手書き入力でもよいが、ここでは手書き入力とする。図6及び図7に編集指示及び編集領域の入力例を示す。図6のように、例えば、削除の場合は、削除したい部分に「×」を手書きし、削除部分を線で囲む。また、図7のように、入れ替えの場合は、入れ替えたい部分を線で囲って矢印などで結ぶ。修正の場合は、修正箇所に線を引き(あるいは線で囲む)、余白に修正語句、修正文などを手書きする。
【0030】
サーバ4の指示解釈手段41は、記憶手段43の各個別画面バッファの文書中の編集指示及び編集領域を解釈し、解釈結果を記憶手段43の所定領域にキューイングする(ステップ103)。具体的には、手書きの編集指示、編集領域等を認識し、編集指示コマンドとその領域、修正語句、修正文などを生成して、記憶手段43の所定領域にキューイングする。手書き認識には一般に普及している技術を利用することができる。
【0031】
図8の(1)に、図6及び図7の編集指示及び編集領域等の手書き入力に対する解釈結果の一例を示す。ここで、(xs,ys)は開始座標、(ye,ye)は終了座標を意味する。なお、解釈結果には個別画面IDを付加してもよく、この場合には備考欄は不要である。
【0032】
サーバ4の指示解釈手段41は、入力装置1,2,3から入力された編集指示及び編集領域を解釈し、その解釈結果をキューイングする処理と並行して、編集指示に対する評価関数を計算する(ステップ104)。評価関数としては、例えば、各編集領域の面積の総和を用いる。編集領域の面積は、開始座標と終了座標から求めることができる。指示解釈手段41は、評価関数の値が予め定めた閾値を超えるかチェックし、超えた時点で指示反映手段42に制御を渡す(ステップ105)。つまり、1頁分の文書について、編集領域の割合所定以上になった時点で指示反映手段42に制御を渡す。
【0033】
なお、評価関数を編集指示コマンドの数とし、コマンド数(解釈結果の総計)が予め定めた閾値を超えるかチェックして、超えた時点で指示反映手段42に制御を渡すことでもよい。
【0034】
サーバ4の指示反映手段42は、指示解釈手段41から制御が渡されると、その時点までに記憶手段43の所定領域にキューイングされている解釈結果について、その編集指示コマンドを解釈し、キューイングされている解釈結果をすべて記憶手段43内の共有画面バッファの文書に反映せしめる(ステップ106)。この場合、解釈結果に個別画面IDが付加されている場合には、対応する個別画面バッファを参照して行うことができる。この記憶手段43内の共有画面バッファの内容は出力装置5及び入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウに反映される(ステップ107)。すなわち、入力装置1,2,3の各個別画面ウィンドウから入力された複数の編集指示及び編集領域の解釈結果が出力装置5及び入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウの表示文書に反映される。
【0035】
図9に、図6及び図7の編集指示及び編集領域等の入力に対する解釈結果の共有画面ウィンドウ上の表示例を示す。図9のように、例えば、削除の場合、「トル」の文字を余白に表示し、削除部分と「トル」の文字の間を引き出し線で結ぶ。なお、図9の場合、入れ替えや修正の部分は入力と同じであるが、必要なら表示を変更してもよい。
【0036】
入力装置1,2,3の各人は、共有画面ウィンドウを見て、解析結果のうち取り消したいものについては、自入力装置の共有ウィンドウから取り消しの指示を入力し、そのままで、良ければ、「OK」等の指示を入力する(ステップ201)。例えば、取り消しの場合は、該当する解釈結果に「×」等を手書きすることで入力する。また、「OK」の場合は、余白等に「OK」等を手書きして入力するか、所定のOKキー等を用いて入力する。なお、「OK」の指示入力は、最終的に全員の同意が得られた場合、ある人が代表して自入力装置の共有ウィンドウから入力するようにする。
【0037】
図10は、図9の解釈結果のうち、「行って」を取り消したい場合(元の「進めて」に戻したい場合)、「行って」に手書きで「×」を入力した例を示したものである。同様に、例えば、削除部分を取り消したい場合には、「トル」に「×」をつければよい。
【0038】
入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウから入力された指示は、サーバ4に送信され、記憶手段43の共有画面バッファの文書に反映される(ステップ202)。同時に、これは、入力装置1,2,3の各共有画面ウィンドウ及び出力装置5の表示文書に反映される。これにより、各人は他人の考え、意見を確認できる。
【0039】
サーバ4の指示解釈手段41は、共有画面バッファの文書中の指示入力を解釈し、コマンドを生成する(ステップ203)。そして、コマンドが「OK」か判定し(ステップ204)、「OK」でない場合には、記憶手段43の所定領域にキューイングされている解釈結果のうちの該当する解釈結果のコマンドを変更する(ステップ205)。例えば、図8の(2)のように、「行って」の取消しが指示された場合(図10)、図8の(1)の解釈結果における「修正」のコマンドを「取消」に変更する。
【0040】
指示解釈手段41は、「OK」のコマンドが判定されるまで、ステップ203〜205の処理をループする。そして、「OK」のコマンドが判定された時点で指示反映手段42に制御を渡す。
【0041】
サーバ4の指示反映手段42は、指示解釈手段41から制御が渡されると、まず、記憶手段43の所定領域にキューイングされている解釈結果のうち、取消しコマンドのついた解釈結果をキャンセルする(ステップ206)。例えば、図8の(2)の場合、「行って」の解釈結果がキャンセルされる。その後、指示反映手段42は、最終的に残った解釈結果をもとに、記憶手段43内の共有画面バッファの文書を再編集し、同時に、この再編集した文書で記憶手段43内の各個別画面バッファの文書を書き替える(ステップ207)。この記憶手段43内の共有画面バッファの文書は、出力装置5及び入力装置1,2,3の各共有画面バッファウィンドウに表示され、記憶手段43内の各個別画面バッファの文書は、入力装置1,2,3の各個別画面ウィンドウに表示される(ステップ208)。
【0042】
図11に、図5の編集対象文書について、図8の(2)の解釈結果をもとに再編集した文書の表示例を示す。ここでは、解釈結果が削除の部分の「国の内外を問わず、・・・企業活動を行います。」が削除され、「社会への貢献と行動」は「行動と社会への貢献」に入れ替わり、途中結果(図9)の「行って」は元の「進めて」に戻されている。
【0043】
なお、例えば図9の解釈結果の表示において、解釈結果に「○」を手書きすることで、サーバ4の指示解釈結果41は、「○」を選択コマンドと解釈し、指示反映手段42は、該選択コマンドの解釈結果のみを反映させることでもよい。これにより、解釈された編集指示のうち、反映させるものとさせないものの選択ができる。なお、他にも解釈結果の指示方法は色々考えられる。
【0044】
図12は第2の実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。図12において、ステップ301〜303は図2のステップ101〜103と同じである。また、ステップ305,306は図2のステップ106,107と同じである。本実施形態は、入力装置からの特定の指示をトリガーとして、その時点までにキューイングされた解釈結果を編集対象文書に反映させるものである。
【0045】
サーバ4の指示解釈手段41は、入力装置1,2,3から入力された編集指示及び編集領域を解釈し、その解釈結果を記憶手段43の所定領域にキューイングする処理と並行して、入力装置1,2,3のいずれかの個別画面ウィンドウから、例えば、手書きで「OK」というコマンドが入力されるか判定する(ステップ304)。入力はキー入力でもよい。入力装置側から「OK」のコマンドが入力されると、指示解釈手段41は、指示反映手段42に制御を渡すようにする。
【0046】
サーバ4の指示反映手段42は、指示解釈手段41から制御が渡されると、その時点までに記憶手段43の所定領域にキューイングされている解釈結果をすべて記憶手段43内の共有画面バッファの文書に反映せしめる(ステップ305)。そして、この解釈結果の反映された文書が、出力装置5及び入力装置1,2,3の共有画面ウィンドウに表示される(ステップ306)。この後の処理動作は、図3と同じであるので、説明は省略する。
【0047】
図13は、第3の実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。本実施形態は、文書の編集指示において複数人による競合が発生した場合の処理の一例を示したものである。
【0048】
図13において、ステップ401,402は図2のステップ106,107(又は図12のステップ305,306)と同じである。図14に、ステップ402の実行後の、解釈結果の共有画面ウィンドウの表示例を示す。これは、文書中の削除領域の一部が二人の間で競合している例である。
【0049】
サーバ4の指示解釈手段41は、指示反映手段42に制御を渡した後、記憶手段43の所定領域にキューイングされている解釈結果に競合するものがあるかチェックする(ステップ403)。これは、図8に示した各解釈結果の編集領域を比較することで容易に可能である。解釈結果に競合するものがある場合、指示解釈手段41は、入力装置側からの競合に対する指示を待つこととなる。競合に対する指示は、ここでは簡単に、競合している解釈結果のいずれか一つを選択する、あるいは競合した解釈結果をすべて却下する、のいずれかとする。例えば、ある入力装置の共有画面ウィンドウにおいて、競合が発生している解釈結果のうち、そのいずれか一つに「○」をつける(図14の場合、いずれかの「トル」に「○」をつける)ことで、競合している解釈結果から一つを選択する。競合した解釈結果をすべて却下する場合は、例えば、図14に示すような却下ボタンを選択する。
【0050】
指示解釈手段41は、入力装置側から競合している解釈結果のいずれか一つを選択する指示入力があった場合、記憶手段43にキューイングされている競合する解釈結果のうち、選択指示された解釈結果を残して他の競合する解釈結果をキャンセルする(ステップ404,405)。また、却下の指示入力があった場合には、記憶手段43にキューイングされている競合する解釈結果をすべてキャンセルする(ステップ406,407)。この後の処理動作は図3と同じである。
【0051】
以上、図1のシステム構成について二、三の実施形態の処理動作を説明したが、入力装置は1台でもよい。すなわち、1台の入力装置に、図15のように、一つの共有画面ウィンドウ、及び、各人用の複数の個別画面ウィンドウを持たせることで、1台の入力装置から複数人での協調文書編集作業を行うことが可能である。この場合、入力装置と出力装置は、例えば、タブレットPCのように、一体型でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る協調作業文書作成・編集システムの一実施形態の全体構成図。
【図2】入力装置の画面ウィンドウとサーバ側の画面バッファの対応を示す図。
【図3】本発明に係る協調作業文書作成・編集システムの第1の実施形態の処理動作を説明するフローチャート。
【図4】図3のフローチャートの続きのフローチャート。
【図5】編集対象文書の一例を示す図。
【図6】編集指示の入力例(その1)を示す図。
【図7】編集指示の入力例(その2)を示す図。
【図8】解釈結果の一例を示す図。
【図9】解釈結果の表示例を示す図。
【図10】解釈結果の取消し指示の一例を示す図。
【図11】編集後文書の表示例を示す図。
【図12】本発明に係る協調作業文書作成・編集システムの第2の実施形態の処理動作を説明するフローチャート。
【図13】本発明に係る協調作業文書作成・編集システムの第3の実施形態の処理動作を説明するフローチャート。
【図14】競合のある解釈結果の表示例を示す図。
【図15】入力装置が1台の場合の画面ウィンドウの一例を示す図。
【符号の説明】
【0053】
1,2,3 入力装置
4 サーバ
41 指示解釈手段
42 指示反映手段
43 記憶手段
5 出力装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数人で協調して文書を作成・編集する協調作業文書作成・編集システムであって、
文書の作成・編集指示を入力するための一つまたは複数の入力装置と、
文書を表示出力するための一つまたは複数の出力装置と、
前記入力装置から入力された文書の作成・編集指示を解釈し、その解釈結果をキューイングし、所定のタイミングで、その時点までにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映して前記出力装置に表示する機能を備えたサーバ装置と、
からなることを特徴とする協調作業文書作成・編集システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記解釈結果の評価関数を計算し、該評価関数の値が閾値を超えた時点で、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする請求項1記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項3】
前記評価関数は、編集文書の面積に対する編集領域の面積の割合とすることを特徴とする請求項2記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、前記解釈結果の総計が閾値を超えた時点で、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする請求項1記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項5】
前記サーバ装置は、前記入力装置からの特定の指示をトリガーとして、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする請求項1記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、前記入力装置からの指示に基づき、前記解釈結果を選択的に文書に反映させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、前記入力装置から入力された文書の作成・編集指示に競合が発生した場合に、該競合が発生した文書の作成・編集指示に対応する複数の解釈結果のうちの一つを選択するか、当該解釈結果をすべてキャンセルすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項8】
前記サーバ装置は、前記入力装置からの指示に基づき、前記競合が発生した文書の作成・編集指示に対応する複数の解釈結果のうちの一つを選択するか、当該解釈結果をすべてキャンセルするかを決定することを特徴とする請求項7記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項9】
前記入力装置と前記出力装置は一体的に構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項1】
複数人で協調して文書を作成・編集する協調作業文書作成・編集システムであって、
文書の作成・編集指示を入力するための一つまたは複数の入力装置と、
文書を表示出力するための一つまたは複数の出力装置と、
前記入力装置から入力された文書の作成・編集指示を解釈し、その解釈結果をキューイングし、所定のタイミングで、その時点までにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映して前記出力装置に表示する機能を備えたサーバ装置と、
からなることを特徴とする協調作業文書作成・編集システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記解釈結果の評価関数を計算し、該評価関数の値が閾値を超えた時点で、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする請求項1記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項3】
前記評価関数は、編集文書の面積に対する編集領域の面積の割合とすることを特徴とする請求項2記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、前記解釈結果の総計が閾値を超えた時点で、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする請求項1記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項5】
前記サーバ装置は、前記入力装置からの特定の指示をトリガーとして、それまでにキューイングされた複数の解釈結果を文書に反映せしめることを特徴とする請求項1記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、前記入力装置からの指示に基づき、前記解釈結果を選択的に文書に反映させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、前記入力装置から入力された文書の作成・編集指示に競合が発生した場合に、該競合が発生した文書の作成・編集指示に対応する複数の解釈結果のうちの一つを選択するか、当該解釈結果をすべてキャンセルすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項8】
前記サーバ装置は、前記入力装置からの指示に基づき、前記競合が発生した文書の作成・編集指示に対応する複数の解釈結果のうちの一つを選択するか、当該解釈結果をすべてキャンセルするかを決定することを特徴とする請求項7記載の協調作業文書作成・編集システム。
【請求項9】
前記入力装置と前記出力装置は一体的に構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の協調作業文書作成・編集システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−67158(P2010−67158A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234871(P2008−234871)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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