説明

単一経路の内視鏡チューブを有する内視鏡及び圧力源と経路を接続する使い捨てセット

本発明の目的は、安全、迅速且つ安価な内視鏡チューブの再利用、その構造の単純化を提供することである。技術的課題は、複雑な洗浄が求められる空洞(cavity)が存在しない内視鏡用チューブを有する内視鏡を作ることである。
内視鏡は、以下からなる:
・内視鏡チューブは、対物レンズに向いた側面出力を有し、器械の末端部の直径に近似する直径の直接出力を有する器械経路からなり、
・管形状の外部管状部材は、一端が二股に分岐しており、器械経路と接続するように、また器械を導入できるように調整され、他端は分枝しており、圧力源と接続するよう調整されており、
・バルブは、分枝の管腔(lumens)を圧迫する。但し、スイッチが入った場合にはそれを解除する。
図には、下記のものが示されている:
・バルブのない単一経路内視鏡チューブのハンドル(1)
・バルブからなるブロック(21)を有する管状部材(15,16,17)
・経路(5)及び圧力源を有する部材の接続箇所
管状部材、バルブ、クリップ(25)は、殺菌済みの使い捨てセットを構成する。バルブのない単一経路内視鏡チューブ及び該セットは、内視鏡の機能すべてを提供するものである。その洗浄は、安全、迅速且つ安価となり、しかも、その製造及び再生の費用が削減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の利用分野は、医療用及び獣医用の内視鏡検査であり、本発明は内視鏡である。本発明の具体的な目的は、安全、迅速且つ安価な内視鏡チューブの再利用を保証することであり、更には、その構造を単純化することである。場合によっては、本発明は産業用内視鏡として有用である。
【背景技術】
【0002】
照明及び検査されたキャビティ(cavity)壁の画像の転送を含む視覚機能に加えて、医療用内視鏡の基本機能の中には、以下のものもある:
・キャビティ(cavity)への気体又は液体の供給、
・キャビティ(cavity)の吸引、
・対物レンズの洗浄、
・検査を受けるキャビティ(cavity)壁の生検及び器械による処置等。
【0003】
内視鏡は内視鏡チューブを含み、該内視鏡チューブは、ハンドルによって相互に接続される伝達部分及び挿入部分から構成されている。内視鏡チューブの長さは、3.2メートル以上にもなり得る。上記した機能は、以下の要素によって保証されている:
○経路(channel)は伝達部分に包含されており、その自由端は圧力源と接続されている(内視鏡の再生:消毒推奨の現状;ウイリアム A.ルタラ,Ph.D. M.P.H.(www.unc.edu/depts/spice/dis/endoscope.ppt,スライド10)参照。);
○バルブはハンドルに含まれており、ハンドルは伝達部分の経路と挿入部分の経路を相互に接続している:
○経路は挿入部分に含まれており、検査されるキャビティ(cavity)内に開口し、それらのうちの一つは、ハンドル上に入口を有する器械経路である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内視鏡は、高価であるので再利用される。再利用の頻度が高くなればなるほど、その経済効率は高くなる。使用頻度は、内視鏡チューブの再生:洗浄、消毒、及び、必要な場合には、滅菌の速度に依存する。内視鏡チューブは、伝染性肝炎、AIDS及び他の感染性疾患の感染を潜在的に広げるものである。血液、組織、生物学的に分からないもの等、前の患者が検査を受けた器官の内容物が残っている場所は、内視鏡チューブの経路とバルブである。
【0005】
再生の重要な要素は洗浄である。内視鏡チューブの外側表面は、簡単に洗浄される。バルブは、その複雑な構造、つまり、角があり、目では見えず、埋もれた空洞(cavity)が存在するため、分解された状態で洗浄される。器械経路(その直径は約3mmである)は、ブラシでこすられ、流液で洗浄される。液体又は気体を供給することを目的とする直径1.2mmの経路内に、ブラシを入れることは不可能である。それらの洗浄速度は、洗浄液流の速度に依存し、流速はその圧力に依存する。しかしながら、システムのエルミシティ(hermecity)を妨げる可能性があるので、0.2barを超える圧力は許されない。
【0006】
手作業での洗浄技術で時間表に従うためには、多くの時間が必要であるが、それを簡素化すれば、患者の相互感染や内視鏡チューブの損傷をもたらす恐れが生じる。洗浄機は高価であり、それらを使用しても、再生の時間が短くなるわけではない。結果として、次のような結論が導かれる:つまり内視鏡チューブの洗浄は、技術的課題である。
【0007】
直径1.2mmの経路を洗浄するという課題は、多くの記事で説明されているが、ここでは、それらの内から一つの結論を示す:“従って、気体経路又は液体経路をブラッシング可能にして院内感染のリスクを減らすために、全ての製造業者に対して、内視鏡の基本構造を再設計することが提案された”(イシド ユミコ;イド ケンイチ;コイワイ ヒロブミ;スガノ ケンタロウ;胃腸内視鏡,2001,vol.53,n°2,165〜168頁(23参照))。
本発明は、推奨された方法を含まない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
技術的課題は、本発明に最も近い典型品を改良する目的とその課題を概略したものである。それは、以下のものからなる内視鏡である:
・圧力源、
・圧力源と検査されるキャビティ(cavity)を相互に関連付ける経路及びバルブ、特に器械経路を含む内視鏡チューブ。
【0009】
本発明の目的は、安全、迅速且つ安価な、内視鏡チューブの再利用を提供することであり、更には、その構造を単純化し、時間のかかる複雑な再生を必要とする空洞(cavity)を有しない、内視鏡チューブを持った内視鏡を製造するという技術的課題を達成することである。この課題を解決する技術的結果は以下からなる内視鏡である;
・圧力源、
・対物レンズに向う側面出力を有すると共に、直接出力の直径が器械の末端部の直径に近似する器械経路を含む、内視鏡チューブ、
・一端が二股に分岐しており、器械経路と接続できるように、また器械が導入できるように調整され、他端は分枝しており、圧力源と接続できるように調整された、管形状の外部管状部材、
・スイッチを切ると管状部材の分枝の管腔(lumens)が圧迫され、スイッチを入れるとそれが解除される、バルブ。
・器械経路からの直接出力の栓、
・管状部材内へ器械を導入する箇所の栓。
【0010】
上記リストに記載された構成要素の役割(assignment):
・内視鏡チューブの器械経路は、ユニバーサルなものである;それは、検査されるキャビティ(cavity)と圧力源の何れとも相互に接続する。例えば、直径が4mmの経路と2.3mmの器械の間の隙間領域は、直径3mmのチューブに相当する。それは、検査を受けるキャビティ(cavity)の減圧にも、器械を取り出すことなしに液体又は気体をキャビティ(cavity)内に供給するにも十分である。経路の側面出力は、対物レンズの洗浄を意図したものであり、その場合、直接出力は、器械又は栓によって閉じられなければならない。
【0011】
・管状部材は、システムの使い捨て部分であり、一人の患者のみを対象にしている。その単純設計を考慮すると、管状部材のコストはむしろ安いと言えるだろう。例えば、それは、シリコンで作られてもよい。
【0012】
・バルブは、ユニバーサルな器械経路と一つ又は他の圧力源を選択的に接続してもよい。圧迫バルブの長所は、管状部材の完全な状態とエルミシティ(hermicity)を阻害しないことである。最適な改良型バルブは鍵型であり、内視鏡チューブのハンドル上のブロックとして配置されている。ペダル型バルブも許容される。
【0013】
・ユニバーサル器械経路の栓は、生検及び、器械を用いるその他の手術が必要でないと思われる予後における消化管の内視鏡とするために使用することができるかもしれない。もしこの仮定の正当性が裏付けられなければ、経路内に向かう入口の栓は除去され、出力の栓は、管内部の器械によって押し出される。
【0014】
内視鏡チューブの伝達部分へ管状部材の分枝部分を固定するために、クリップを使用することができる。管状部材、バルブからなるブロック及びクリップを単純な設計にすることによって、使い捨てセットとしてそれらを統合することができる。
【0015】
大きな断面積(例えば、直径4mmの場合の断面積は、直径1.2mmを有する経路の断面積の11倍である)の単一経路を有する、バルブのない内視鏡チューブの洗浄は、数分しかかからないだろう。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、高価な洗浄機を購入する必要性を排除し、これによって、内視鏡キャビネットの設備費を実質的に低減するだろう。
本発明は、内視鏡のコストにも影響を与える。すなわち、バルブのない単一経路の内視鏡チューブの製造及び修理は、現在のものよりもかなり安くなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、図1/1によって説明され、縮尺1:1(図1−4)及び2.5:1(図5A,5C)で表わされている。
【図1】内視鏡チューブのハンドル、バルブからなるブロックを有する管状部材、圧力源のチューブ及びユニバーサルな器械経路と管状部材とを接続する箇所;
【図2】内視鏡チューブの挿入部分の断面図;
【図3】A図は、内視鏡チューブの伝達部分の断面図;B図は、管状部材の分枝部及びそれを支持するクリップの断面図;C図は、管状部材の分枝部、クリップ及び内視鏡チューブの伝達部分が組み立てられたときの断面図;
【図4】バルブからなるブロックの縦断面図;
【図5】A図は、導入された器械を有する導入部分末端部の端面図;B図は、導入された器械を有する挿入部分の末端頭部突出端。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
構造物の基本的部品は内視鏡チューブ、管状部材、バルブからなるブロックである。内視鏡チューブ(図1,2,3A,5A,5C)は、以下からなる:
1.ハンドル、
2.伝達部分、
3.挿入部分、
4.部分3の末端部、
5.ユニバーサルな器械経路、
6.経路5の付属品、
7.経路5の直接出力、
8.経路5の側面出力、
9.対物レンズ、
10.光導管のレンズ
11.器械、
12.ボーデンワイヤー一式、
13.光導管、
14.CCDケーブル。
【0019】
管状部材は以下のものを含む:
15.中心チューブ、
16.分岐、
17.分枝、
18.経路5の付属品6との接続箇所、
19.器械の導入箇所、
20.器械のシール。
【0020】
バルブからなるブロック21は以下のものを含む:
22.ハンドル1上のホルダー、
23.バネ24を有するバルブ。
【0021】
分枝17上に配置されたバルブからなるブロック21(図1及び4参照)、及び、内視鏡チューブの伝達部分2上の分枝17を支持するクリップ25(図3B及び3C参照)を有する管状部材は、殺菌した使い捨てセットを構成する。更に、入口19の栓26及び経路5の直接出力7の栓27は、胃腸管内視鏡用のセットに含まれる。
【0022】
内視鏡の準備工程は、以下からなる:
・ハンドル1上にバルブからなるブロック21を付ける(図1及び図4参照)、
・伝達部分2にクリップ25を付ける(図3A,3B,3C参照)、
・付属品6に管状部材の端部18を付ける(図1参照)、
・圧力源と分枝17の端部を接続する(図1参照)、
・栓26,27によって入口19及び出力7を閉じる。
【0023】
栓26,27を使用する場合、ブロック21上の対応するボタンを押すことによって、空気の送り込み、検査を受けるキャビティ(cavity)の減圧、対物レンズ9の洗浄が従前通り行われる。器械的な障害に対しては、例えば、生検の場合、栓26を引き抜き、入口19を経由して経路5内に器械11を導入し、それによって栓27を除くことが必要である。レンズ9は、出力7が閉じられているときに(図5A及び5B)洗浄できることが必要であるが、吸引は、出力7が開かれていることが必要であることを考慮すると、将来は、全ての内視鏡の機能も従来通りに実現される。
【0024】
栓27は、自然に、安全に外に出ることができる場合である、胃腸管用の内視鏡のみを対象にしていることを、強調することが必要である。
【0025】
検査の後、内視鏡チューブは、使い捨てセットから取り外され、直ちにそれを手洗いすることが必要である。経路5は液流及びブラシによって付属品6を経由して洗浄される。チューブの安全で迅速な再生と消毒によって、15分後には、次の患者のためにそれを再使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力源及び器械経路(5)を含む内視鏡チューブからなる内視鏡であって、該器械経路(5)が、対物レンズ(9)の上に側面出力(8)を有すると共に、直接出力(7)の直径が、器械(11)末端部の直径に近似している内視鏡。
【請求項2】
一端が二股に分岐(16,18,19)して、器械経路(5,6)と接続するように、そして器械(11)を導入するように調整され、他端が分枝(17)して、圧力源と接続するように調整されている、管形状の外部管状部品(15)を更に含む、請求項1に記載された内視鏡。
【請求項3】
スイッチを切ると管状部材の分枝(17)を圧迫し、スイッチを入れると該圧迫を解除するバルブ(23)を更に有する、請求項2に記載された内視鏡。
【請求項4】
器械経路(5)が直接出力(7)の栓(27)を有する、請求項2に記載された内視鏡。
【請求項5】
管状部材が、器械(11)の導入箇所(19)の栓(26)を有する、請求項2に記載された内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−529348(P2011−529348A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500312(P2011−500312)
【出願日】平成21年3月21日(2009.3.21)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005056
【国際公開番号】WO2009/115914
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510252416)
【氏名又は名称原語表記】MATASOV Sergey
【Fターム(参考)】