説明

単相リチウムフェライト系複合酸化物

【課題】リチウムイオン二次電池用正極材料として好適な単相リチウムフェライト系複合酸化物、その製造法およびその用途を提供する。
【解決手段】Li2-xMO3-y(Mは、Mn, Tiおよび Snからなる群から選択される少なくとも一種, 0≦x<2、0≦y≦1)中に、リチウムフェライト(LiFeO2)を鉄の割合が0.21≦Fe/(Fe+M)≦0.75となるように固溶させた層状岩塩型構造を有する単相リチウムフェライト系複合酸化物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン二次電池正極材料として好適な単相リチウムフェライト系複合酸化物、その製造方法およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、携帯電話、ノートパソコンなどのポータブル機器に搭載されている二次電池として、その傑出したエネルギー密度をもつがゆえに注目されているのがリチウムイオン二次電池である。この電池は、今後、電気自動車、電力負荷平準化システムなどに用いる大型電池への適用が考えられており、その重要性はますます高まっている。
【0003】正極材料は、電池の作動電圧(正極中の遷移金属の酸化還元電位と負極元素の酸化還元電位との差)、充放電容量(正極から脱離・挿入可能なLi量)などの電池性能に深く関わっているので、リチウムイオン二次電池の需要と共に、今後需要が増すものと推定される。
【0004】現在、リチウムイオン二次電池の正極材料として、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)材料が用いられている。ところが、LiCoO2は、希少金属であるコバルトを含むので、リチウムイオン二次電池の高い素材コストの要因の一つとなっている。
【0005】例えば、安価で資源的問題の少ない正極材料として、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)が注目されており、一部実用化されている。
【0006】さらに、マンガンに比べより資源的に豊富で毒性が低く、安価な金属元素である鉄を用いた正極材料の実用化が望まれている。例えば、リチウムフェライト(LiFeO2)は、電極材料としての可能性が検討されてきた。しかしながら、酸化鉄などの鉄源と炭酸リチウムなどのLi源を高温焼成或いは水熱処理することにより得られたリチウムフェライトは、ほとんど充放電をせず、リチウム二次電池としての活性を有していない(K.Ado, M.Tabuchi, H.Kobayashi, H.Kageyama, O.Nakamura, Y.Inaba, R.Kanno, M.Takagi and Y.Takeda, J. Electochem. Soc., 144, [7], L177, (1997))。
【0007】一方、α-NaFeO2またはFeOOHを出発物質として、H/LiまたはNa/Liイオン交換法を用いて得られたLiFeO2は、4V付近に充電平坦電位を有している。しかしながら、その放電電位は、3V以下であり、LiCoO2に比べて約1V以上も低く、LiCoO2の代替材料としての使用は困難である(R.Kanno, T.Shirane, Y.Kawamoto, Y.Takeda, M.Takano, M.Ohashi, and Y.Yamaguchi, J. Electrochem. Soc., 143, [8],2435, (1996)、Y.Sakurai, H.Arai, S.Okada, and J.Yamaki, J. Power Sources, 68, 711, (1997)、L.Guenne, P.Deniard, A.Lecerf, P.Biensan, C.Siret, L.Fournes, and R.Brec, Ionics, 4, 220, (1998)、特開平10-120421号公報および特開平8-295518号公報)一方、4V付近に鉄の3+/4+酸化還元挙動が確認されている鉄含有複合酸化物として、鉄含有LiNiO2およびLiCoO2がある(C.Delmas, M.Menetrier, L.Crogurnnec, I.Saadoune, A.Rougier, C.Pouillerie, G.Prado, M.Grune, L.Fournes, Electrochimica Acta, 45, 243, (1999)およびH.Kobayashi, H.Shigemura, M.Tabuchi, H.Sakaebe, K.Ado, H.Kageyama, A.Hirano, R.Kanno, M.Wakita, S.Morimoto, S.Nasu, J. Electrochem. Soc., 147, [3], 960, (2000))。
【0008】しかしながら、上記正極材料は、希有金属であるCoまたは Niを含んでいるので、鉄本来の低コスト性が失われてしまう。また、CoやNiの酸化還元によって鉄が酸化還元されている可能性が排除できず、鉄が自発的に3+/4+酸化還元するのかどうかは明らかでない。
【0009】リチウムフェライト系複合酸化物がリチウムイオン二次電池の正極材料として実用化できるかどうかは、4V付近に鉄の3+/4+酸化還元に伴う充放電平坦電位を有するかどうかが判断基準となる。上記のように、4V領域に鉄の酸化還元電位に伴う充放電平坦電位を有し、安価かつ省資源性に優れたリチウムフェライト系複合酸化物の製造技術は、ほとんど確立されておらず、その開発が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の発明者らは、リチウム電池国際会議において、リチウムフェライト系複合酸化物に関する発表を行った(2000年5月28日)。この発表では、10%鉄ドープリチウムフェライト系複合酸化物のリチウムイオン二次電池正極特性を発表したが、この複合酸化物の放電電圧および放電容量は、実用に供するには不十分なものであった。
【0011】また、上記会議で発表した製造方法によると、水熱法では単相の20%鉄ドープリチウムフェライト系複合酸化物は得られたものの、固相反応法では20%鉄ドープリチウムフェライト系複合酸化物は単相で得られなかった。水熱法は、オートクレーブのような密閉容器中で行う製造プロセスであるので、連続生産性に乏しく工業生産技術としては実用化が困難である。そのため、水熱合成技術によらない簡便で生産性に優れた固相反応プロセスで20%以上の鉄含有量を有する単相リチウムフェライト系複合酸化物が得られれば、リチウムイオン二次電池正極材料の素材及び製造コストの低減に大きく寄与する。
【0012】従って、本発明は、リチウムイオン二次電池用正極材料として好適な単相リチウムフェライト系複合酸化物、その製造法およびその用途を提供することを主な目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来技術の問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、放電電圧の低い(3V以下)リチウムフェライト(LiFeO2)を層状岩塩型化合物であるLi2-xMO3-y(Mは、Mn, Tiおよび Snからなる群から選択される少なくとも一種)中に固溶させることにより、その固溶体が4V領域に充放電電位を有し、その充放電電位が鉄の3+/4+酸化還元電位に対応することを見出し本発明を完成するに至った。
【0014】即ち、本発明は、以下の単相リチウムフェライト系複合酸化物、その製造方法およびその用途に関する:1.Li2-xMO3-y(Mは、Mn, Tiおよび Snからなる群から選択される少なくとも一種,0≦x<2、0≦y≦1)中に、リチウムフェライト(LiFeO2)を鉄の割合が0.21≦Fe/(Fe+M)≦0.75となるように固溶させた層状岩塩型構造を有する単相リチウムフェライト系複合酸化物。2.Li2-xMO3-y(Mは、Mn, Tiおよび Snからなる群から選択される少なくとも一種,0≦x<2、0≦y≦1)中に、リチウムフェライト(LiFeO2)を鉄の割合が0.15≦Fe/(Fe+M)≦0.75となるように固溶させた層状岩塩型構造を有する単相リチウムフェライト系複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池正極材料。3.Mn, TiおよびSnからなる群から選択された少なくとも一種を含む水溶性化合物と水溶性鉄化合物との混合水溶液または水-アルコール混合溶液にリチウム化合物水溶液をリチウムの他の金属量に対するモル比(Li/(Fe+M))が1〜3となるよう添加することにより得た沈殿、または上記混合水溶液または水-アルコール混合溶液に所定量の水酸化リチウムを添加した後の水溶液および沈殿を蒸発乾固させることにより得た残査を酸化性雰囲気下または還元雰囲気下で焼成することを特徴とするLi2-xMO3-y(Mは、Mn, Tiおよび Snからなる群から選択される少なくとも一種, 0≦x<2、0≦y≦1)中にリチウムフェライト(LiFeO2)を鉄の割合が0.2≦Fe/(Fe+M)≦0.75となるように固溶させた層状岩塩型構造を有する単相のリチウムフェライト系複合酸化物の製造方法。4.上記2に記載の二次電池正極材料を用いたリチウムイオン二次電池。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、Li2-xMO3-y(Mは、Mn, Tiおよび Snからなる群から選択される少なくとも一種, 0≦x<2、0≦y≦1)中に、リチウムフェライト(LiFeO2)を鉄の割合が0.21≦Fe/(Fe+M)≦0.75となるように固溶させた層状岩塩型構造を有する単相リチウムフェライト系複合酸化物に係る。以下、Li2-xMO3-y中にLiFeO2を固溶させたリチウムフェライト系複合酸化物を「鉄含有Li2-xMO3-y」ということがある。
【0016】また、本発明は、Li2-xMO3-y(Mは、Mn, Tiおよび Snからなる群から選択される少なくとも一種, 0≦x<2、0≦y≦1)中に、リチウムフェライト(LiFeO2)を鉄の割合が0.15≦Fe/(Fe+M)≦0.75となるように固溶させた層状岩塩型構造を有する単相リチウムフェライト系複合酸化物からなる二次電池正極材料に係る。
【0017】本発明のリチウムフェライト系複合酸化物および二次電池正極材料は、図1に示すように、現在二次電池正極材料として最も多く用いられているLiCoO2と類似の層状岩塩型構造を有する。図1には、比較として、層状岩塩型LiFeO2の結晶構造をともに示す。本発明のリチウムフェライト系複合酸化物および二次電池正極材料は、鉄イオンがFe、LiおよびMイオンからなる遷移金属含有層を部分的に占有していることを特徴とする(図1)。
【0018】本発明のリチウムフェライト系複合酸化物に固溶させる鉄イオン量は、全体の金属イオン量の通常21%〜75%(即ち、0.21≦Fe/(Fe+M)≦0.75)程度である。固溶させる鉄イオン量(Fe/(Fe+M))の下限値は、好ましくは約25%であり、より好ましくは約30%であり、特に好ましくは約35%である。固溶させる鉄イオン量(Fe/(Fe+M))の上限値は、好ましくは約70%であり、より好ましくは約65%であり、特に好ましくは約60%である。
【0019】本発明の正極材料において、固溶させる鉄イオン量は、全体の金属イオン量の通常15%〜75%(即ち、0.15≦Fe/(Fe+M)≦0.75)程度である。固溶させる鉄イオン量(Fe/(Fe+M))の下限値は、好ましくは約20%であり、より好ましくは約25%であり、特に好ましくは約30%である。固溶させる鉄イオン量(Fe/(Fe+M))の上限値は、好ましくは約70%であり、より好ましくは約65%であり、特に好ましくは約60%である。鉄の固溶量が多すぎる場合には、充放電に関与しない鉄が多くなり電池特性上好ましくない。一方、固溶させる鉄量が少なすぎる場合には、充放電容量が小さくなり過ぎる恐れがある。
【0020】Li2-xMO3-yのxの値は、層状岩塩型の結晶構造を保つ範囲内であれば正の値をとってよい。しかしながら、充電容量の観点からできるだけ0に近い値であることが望ましい。xの値は、通常0≦x<2程度、好ましくは0≦x≦1程度、特に好ましくは0≦x≦0.5である。
【0021】Li2-xMO3-yのyの値は、通常0≦y≦1程度、好ましくは0≦y≦0.5程度、特に好ましくは0≦y≦0.2である。
【0022】本発明の正極材料は、充放電特性に重大な影響を及ぼさない範囲において、Li2CO3などの不純物相を含んでいても良い。
【0023】本発明の単相リチウムフェライト系複合酸化物および正極材料の製造方法は、特に制限されない。例えば、水熱反応法、焼成法などの公知のセラミックス合成法が利用できる。ただし、上述したように、公知の焼成法では、20%以上の鉄をドープした単相のリチウムフェライト系複合酸化物を製造することは不可能である。以下に、先ず、20%以上の鉄をドープした単相のリチウムフェライト系複合酸化物をも製造できる新規な焼成法を例示し、次に公知のセラミックス合成法の例として、水熱反応法により製造方法を例示する。
【0024】20%以上の鉄をドープした単相リチウムフェライト系複合酸化物をも製造できる焼成法は、Mn(例えば2、3、4価など), Ti(例えば3、4価など)およびSn(例えば2、4価など)からなる群から選択される少なくとも一種を含む水溶性化合物と水溶性鉄化合物(鉄の価数は、例えば2、3価など)との混合水溶液または水-アルコール(例えば、エタノール、メタノールなど)混合溶液に水酸化リチウムなどのリチウム化合物をリチウムの他の金属量に対するモル比(Li/(Fe+M))が1〜3程度となるよう添加することにより得た沈殿、または上記の混合水溶液または水−アルコール混合溶液に所定量の水酸化リチウムなどのリチウム化合物を添加した後の溶液および沈殿を蒸発乾固させることにより得た残査を酸化性雰囲気下で焼成することを特徴とする。
【0025】本発明の焼成法において用いるMn、TiまたはSnを含む水溶性化合物として、これらの金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、水酸化物などの水溶性化合物が挙げられる。或いは、Mn、TiまたはSnの金属酸化物を塩酸などの酸で溶解させた水溶液を金属源材料として用いてもよい。これらの金属源材料は、無水物または水和物のいずれであってもよい。各水溶性化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】焼成法においては、仕込みリチウム量の他の金属量に対するモル比(Li/(Fe+M))を調節する必要があり、その値は通常1〜3程度、好ましくは1.5〜2.5程度である。
【0027】焼成法におけるMn、TiおよびSnからなる少なくとも一種を含む水溶性化合物と水溶性鉄化合物との混合比は、目的とする複合酸化物におけるFe/(Fe+M)(モル比)に応じて適宜設定すればよい(Mは、Mn, Tiおよび Snからなる群から選択される少なくとも一種)。即ち、仕込量におけるFe/(Fe+M)が、目的とする複合酸化物におけるFe/(Fe+M)とほぼ一致する。
【0028】焼成条件は、用いる金属源化合物の種類などに応じて適宜設定することができる。焼成を行う雰囲気として、例えば、大気などの酸化雰囲気下または水素などの還元雰囲気下を例示できる。焼成温度は、通常200〜1000℃程度、好ましくは300-800℃程度である。焼成時間は、1〜100時間程度、好ましくは20〜60時間程度である。
【0029】焼成後、必要に応じて、生成物を粉砕し、上記と同一条件で焼成を繰り返してもよい。
【0030】本発明の焼成法を用いた場合には、鉄を20%以上ドープした単相リチウムフェライト系複合酸化物が得られるだけでなく、20%より少ない量の鉄をドープした単相リチウムフェライト系複合酸化物も得ることができる。
【0031】以下に、水熱反応を用いる場合の製造方法を例示する。例えば、Mn(例えば、2、3、4価など)、Ti(例えば3、4価など)またはSn(例えば2、4価など)を含む水溶性化合物と硝酸鉄(III)などの水溶性鉄塩(例えば2、3価など)とを含む水溶液または水-アルコール混合溶液にアルカリ水溶液を添加することにより沈殿を得て、この沈殿を酸化剤および水酸化カリウムの共存下において、リチウム化合物と共に100〜400℃において水熱処理することを特徴とする製造方法を例示することができる。
【0032】添加するアルカリとして、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などが例示できる。共沈物と水熱反応させるリチウム化合物として、水酸化リチウム(無水物でも水和物いずれでもよい)、塩化リチウム、硝酸リチウムなどが例示できる。
【0033】水熱法においては、鉄およびマンガン、チタンまたは錫塩の全濃度が、通常0.01〜2M(無水物換算)程度、より好ましくは0.1〜0.5Mとなるように、蒸留水、蒸留水−アルコール混合溶媒などを用いて溶解させた溶液を用いる。Fe/(Fe+M)のモル比は、目的とする単相リチウムフェライト系複合酸化物中のFe/(Fe+M)に応じて適宜設定するればよい。
【0034】この溶液を攪拌しつつ、通常0.1〜20M程度、より好ましくは0.5〜10M程度の水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどを含むアルカリ水溶液を上記溶液が完全にアルカリ性になるまで(好ましくはpHが11になるまで)滴下する。滴下後、共沈物に、通常0℃〜150℃程度、好ましくは20〜100℃程度において、空気を吹き込みながら熟成処理を施す。得られた沈殿を蒸留水洗浄し、過剰のアルカリ成分および残留塩類を除去し、その後、沈殿を溶液より濾別、約100℃において乾燥の後に共沈物を得る。共沈物をポリテトラフルオロエチレンビーカー中で蒸留水と混合し、これに水酸化リチウムなどのリチウム化合物を加える。リチウム化合物の添加量は、添加後の溶液中において通常0.1〜10M程度、好ましくは1-8M程度となるように設定する。さらに、この溶液に塩素酸カリウムなどの酸化剤を加える。酸化剤の添加量は、添加後の溶液中において通常0.1〜10M程度、好ましくは1〜5M程度となるように設定する。これらを収容したポリテトラフルオロエチレンビーカーを水熱反応装置(例えば、市販のオートクレーブ)の中に静置して水熱反応に供する。水熱反応条件は、特に限定されるものではないが通常100〜300℃程度の温度で0.1〜150時間程度反応させ、より好ましくは150〜250℃程度の温度で、1〜100時間程度反応させる。水熱反応を行う雰囲気は、例えば大気などの酸化雰囲気下で行うことができる。反応終了後、残存する余分な塩類などを除去するために、必要に応じて、反応生成物を水洗、濾過、乾燥してもよい。この様にして、所望の層状岩塩型単相リチウムフェライト系複合酸化物を得る。また、試料の結晶性を向上させるために必要に応じて、水熱反応後の試料をLi化合物と混合し大気などの酸化雰囲気中において焼成を行ってもよい。焼成条件は、本発明の焼成法における焼成条件と同様の条件を採用することができる。
【0035】本発明の単相リチウムフェライト系複合材料およびリチウムイオン二次電池正極材料は、公知の方法を用いてリチウムイオン二次電池に適用することができる。負極材料は、特に制限されず、例えば、金属リチウム、炭素などを用いることができる。電解液は、特に制限されず、上限電位などに応じて適宜選択することができる。電解液として、例えば、過塩素酸リチウム、LiPF6などのリチウム塩を含む電解液を例示することができる。電解液の溶媒としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどを例示することができる。
【0036】
【発明の効果】本発明によると、安価かつ高容量なリチウムイオン二次電池正極材料用のリチウムフェライト系複合酸化物を得ることができる。
【0037】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明の特徴を一層明確にする。
【0038】なお、実施例で得られた試料の結晶相は、X線回折分析を用いて評価した。試料中の鉄の原子価状態は、57Feメスバウア分光スペクトルで、マンガンの原子価状態分析はMnK吸収端でのX線吸収スペクトルで評価した。試料の組成は、誘導結合プラズマ(ICP)および原子吸光分析で評価した。
【0039】また、試料を正極とし、金属リチウムを負極としたコイン型リチウム電池を作製し、その充放電特性について検討した。
【0040】実施例1硝酸鉄(III)9水和物6.06gと硝酸マンガン(II)6水和物24.40g(Fe:Mnモル比=15:85)を50mlの蒸留水中に入れ完全に溶解させた。この水溶液を攪拌しつつ、水酸化リチウム水溶液(水酸化リチウム1水和物8.392gを蒸留水100ml中に溶解させたもの)をLi/(Fe+Mn)=2.00(モル比)となるまで徐々に滴下することにより沈殿を得た。得られた沈殿を大気中100℃で数日間乾燥し、更に大気中、400℃で48h焼成した後、粉砕し、再び大気中700℃で20h焼成することにより、粉末状生成物(15%鉄含有Li2-xMnO3-y)を得た。
【0041】最終生成物のX線回折パターンを図2に示す。炭酸リチウム(Li2CO3)に帰属される小さなピーク以外の全てのピークは、以下の文献に記載されている層状岩塩型のLi2-xMnO3-y (Li1.20MnO2.20)の単位胞(空間群:R m, a=2.851A, c=14.259 A)を用いて指数付けすることができた(M.H.Rossouw, D.C.Lies and M.M.Thackeray, J. Solid State Chem., 104, 464, (1993))。
【0042】得られた15%鉄含有Li2-xMnO3-yの各ピークから計算した格子定数(a =2.85880(18)A, c=14.2194(13) A)が文献値に類似していること、化学分析(表1)により、鉄が仕込量通り15%含まれていること、Li/(Fe+Mn)値がほぼ2であることから、15%鉄含有Li2-xMnO3-yが製造できたことを確認した。
【0043】
【表1】


【0044】実施例2硝酸鉄(III)9水和物12.12gと硝酸マンガン(II)6水和物20.09g(Fe:Mnモル比=3:7)を50mlの蒸留水中に入れ完全に溶解させた。この水溶液を攪拌しつつ、水酸化リチウム水溶液(水酸化リチウム1水和物8.392gを蒸留水100ml中に溶解させたもの)をLi/(Fe+Mn)=2.00(モル比)になるまで徐々に滴下することにより沈殿を得た。得られた沈殿を大気中で100℃で数日間乾燥し、更に大気中400℃、48h焼成した後、粉砕し、再び大気中で600℃、20h焼成することにより、粉末状生成物(30%鉄含有Li2-xMnO3-y)を得た。
【0045】最終生成物のX線回折パターンを図2に示す。炭酸リチウム(Li2CO3)に帰属される小さなピーク以外の全てのピークは、以下の文献に記載されている層状岩塩型のLi2-xMnO3-y (Li1.20MnO2.20)の単位胞(空間群:R m, a=2.851A, c=14.259 A)で、指数付けすることができた(M.H.Rossouw, D.C.Lies and M.M.Thackeray, J.Solid State Chem., 104, 464, (1993))。得られた30%鉄含有Li2-xMnO3-yの各ピークから計算した格子定数(a=2.8742(3)A, c=14.247(3) A)が文献値に類似していること、化学分析(表1)により、鉄が仕込量通り30%含まれていること、Li/(Fe+Mn)値がほぼ2であることから、30%鉄含有Li2-xMnO3-yが製造できたことを確認した。
【0046】比較例1ポリテトラフルオロエチレンビーカー中に塩化マンガン(II)4水和物4.95gを入れ、蒸留水100ml中を加え攪拌し完全に溶解させた。この混合水溶液に、塩素酸カリウム50gおよび水酸化リチウム1水和物20g、水酸化カリウム120gを加えよく攪拌し沈殿物を得た。この沈殿物をビーカーごと水熱反応炉(オートクレーブ)内に静置し、大気中で220℃、48h水熱処理した。水熱処理終了後、反応炉を室温付近まで冷却し、容器をオートクレーブ外に取り出し、生成している沈殿物を蒸留水で洗浄して、過剰に存在する水酸化リチウム及びその他の塩類を除去し、濾過し、乾燥することにより、粉末状生成物(Li2MnO3)を得た。
【0047】最終生成物のX線回折パターンを図2に示す。全てのピークは、以下の文献に記載されている単斜晶系のLi2MnO3の単位胞(空間群:C2/m, a=4.9245(1)A, b=8.5215(1)A, c=5.0244(1)A, β=109.3983(8)°)で、指数付けすることができた(V.Masarotti, D.Capisoni, M.Bini, C.B.Azzoni and A.Paleari, J. Solid State Chem., 128, 80, (1997))。得られたLi2MnO3の各ピークより計算される格子定数(a=4.9303(4)A, b=8.5317(5)A, c=5.0224(3)A, β=109.336(6)°)は、上記報告値に近い値であった。化学分析(表1)により、Li/Mn値が1.94であり2に近いものであることから、Li2MnO3が製造できたことを確認した。
【0048】比較例2ポリテトラフルオロエチレンビーカー中に二酸化マンガン3gを入れ、蒸留水100mlおよび水酸化リチウム1水和物48gを加えよく攪拌した。この混合物をビーカーごと水熱反応炉(オートクレーブ)内に静置し、大気中で220℃、4h水熱処理した。水熱処理終了後、反応炉を室温付近まで冷却した後、容器をオートクレーブ外に取り出し、生成している沈殿物を蒸留水で洗浄して、過剰に存在する水酸化リチウム及びその他の塩類を除去し、濾過し、乾燥することにより、粉末状生成物(Li2-xMnO3-y)を得た。
【0049】最終生成物のX線回折パターンを図2に示す。全てのピークは、以下の文献に記載されている層状岩塩型のLi2-xMnO3-y(Li1.20MnO2.20)の単位胞(空間群:R m, a=2.851A, c=14.259 A)で、指数付けできた(M.H.Rossouw, D.C.Lies and M.M.Thackeray, J. Solid State Chem., 104, 464, (1993))。得られたLi2-xMnO3-yの各ピークから計算される格子定数(a=2.846(4)A, c=14.26(3)A)は、上記報告値に近い値であった。化学分析(表1)により、Li/Mn値が1.35であることから、層状岩塩型Li2-xMnO3-yが製造できたことを確認した。
【0050】比較例3硝酸鉄(III)9水和物10.10gと塩化マンガン(II)4水和物44.53g(Fe:Mnモル比=1:9)とを400mlの蒸留水中に入れ完全に溶解させた。この水溶液を攪拌しつつ、徐々に水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム72gを蒸留水400ml中に溶解させたもの)を滴下した。溶液が約pH11以上になるまで水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、共沈物を含む溶液を攪拌しつつ、空気を吹き込みながら室温で3日間空気酸化した。得られた沈殿を蒸留水洗浄後に濾別、100℃乾燥し、その2.7gと水酸化リチウム1水和物8g、塩素酸カリウム10gをポリテトラフルオロエチレンビーカー中に蒸留水50mlとともに入れ、よく攪拌した後に水熱反応炉(オートクレーブ)内に設置し、オートクレーブにより240℃で72h水熱処理した。水熱処理終了後、反応炉を室温付近まで冷却した後、容器をオートクレーブ外に取り出し、生成している沈殿物を蒸留水で洗浄して、過剰に存在する水酸化リチウム及びその他の塩類を除去し、濾過し、乾燥することにより、粉末状生成物(10%鉄含有Li2-xMnO3-y)を得た。
【0051】最終生成物のX線回折パターンを図2に示す。全てのピークは、以下の文献に記載されている層状岩塩型のLi2-xMnO3-y (Li1.20MnO2.20)の単位胞(空間群:R m,a=2.851A, c=14.259 A)を用いて指数付けすることができた(M.H.Rossouw, D.C.Lies and M.M.Thackeray, J. Solid State Chem., 104, 464, (1993))。
【0052】得られた10%鉄含有Li2-xMnO3-yの各ピークから計算される格子定数(a=2.85577(14)A, c=14.2181(10) A)が文献値に類似していること、化学分析(表1)により、鉄が仕込量通り10%含まれていること、Li/(Fe+Mn)値がほぼ1.7であることから、10%鉄含有Li2-xMnO3-yが製造できたことを確認した。
【0053】比較例4硝酸鉄(III)9水和物8.08gと硝酸マンガン(II)6水和物22.96g(Fe:Mnモル比=2:8)を50mlの蒸留水中に入れ完全に溶解させた。この水溶液を撹拌しつつ水酸化リチウム水溶液(水酸化リチウム1水和物7.97gを蒸留水100ml中に溶解させたもの)をLi/(Fe+Mn)=1.90(モル比)となるまで徐々に滴下することにより沈殿を得た。得られた沈殿を大気中100℃で数日間乾燥し、更に大気中600℃、48h焼成後粉砕し、再び大気中で600℃、20h焼成することにより粉末状生成物(20%鉄含有Li2-xMO3-y)を得た。
【0054】得られた使用のX線回折パターンは、層状岩塩型Li2-xMO3-yと立方晶α-LiFeO2とが混在しており、この方法では、単相の20%鉄含有Li2-xMO3-yを得ることができなかった。
【0055】実施例および比較例において製造した各試料中の鉄の原子価状態を確認するため、10%及び30%鉄含有Li2-xMnO3-y試料に対し室温において57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した(図3および図4の充放電前のスペクトルデータ参照)。得られたスペクトルは、概ね2本に分裂しているダブレットであることからこの試料は室温において常磁性体であることがわかる。このダブレットが非対称であることから、僅かに同位体シフト(IS)値の異なる2本のダブレット成分(D1とD2)を用いてフィッティングを行った。この各成分のパラメータを表2に示す。両成分のIS値は、+0.32-0.36mm/s程度であり、典型的な高スピン3価の鉄酸化物であるα-NaFeO2 以下の文献のIS値(+0.37mm/s)に近い。このことから、両試料中の鉄は、高スピン3価の状態を維持していることがわかる(M.Tabuchi, K.Ado, H.Kobayashi, H.Sakaebe, H.Kageyama, C.Masquelier, M.Yonemura, A.Hirano and R.Kanno, J. Mater. Chem., 9, 199, (1999))。
【0056】
【表2】


【0057】また、試料中のマンガンの原子価状態を検討するため、30%鉄含有LiMnO2試料に対してMnK吸収端におけるX線吸収スペクトル測定を行った(図5)。標準試料として、比較例1の単斜晶Li2MnO3(4価のマンガン化合物)を用いた。得られたスペクトルは、単斜晶Li2MnO3のスペクトルとほぼ重なっているので、試料中でMnは単斜晶Li2MnO3と同様に4価の状態を保っているものと解釈できる。
【0058】また、本発明によって得られた各試料を正極として、金属リチウムを負極に、電解液として過塩素酸リチウム(上限電位4.4V以下の時)またはLiPF6(上限電位4.8Vの時)をエチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒に溶解させて1M溶液としたものを用いてリチウム電池としての充放電特性を(電流密度7.5mA/g)検討した(図6および図7)。上限充電電位を4.3Vにした場合、鉄含有試料は初期充電特性曲線において鉄を含有していない試料に比べて4V以上で傾きが急激に変化し、初期充電容量が大きくなっていることがわかる。この容量は鉄含有量とともに増加している。放電時は鉄含有試料において鉄を含有していない層状岩塩型マンガン酸化物試料では見られない4V領域で電位平坦部が見られることがわかり、その容量が鉄含有量の増加とともに増加していることも確認できた。
【0059】本発明の鉄含有Li2-xMnO3-yは、鉄無ドープ試料と異なり、充電可能であることが確認でき、また、リチウムイオン二次電池正極材料として好適に用いることができることがわかった。
【0060】充放電時のマンガンの価数変化を確認するために、4.3Vで充電した後の30%鉄含有試料および2.5Vまで放電した後の同試料に対してMnK吸収端のX線吸収スペクトル測定を行った (図5)。特に、大きなエネルギーシフトは見られず、4.3V充電後および2.5V放電後においてもMnは4価の状態を保っていることが示唆された。
【0061】次に、10%鉄含有試料に対して4.3V充電後および2.5V放電後の57Feメスバウワ分光測定(図3)を行った。充電後のスペクトル形状は、充電前と比べて大きく変化した。このスペクトルは、シングレットとダブレットの重ね合わせでフィッティングできた。シングレット成分のIS値は、表2に示されるように+0.01mm/s程度であり、報告されているSrFeO2.97やNa0.5FeO2中の鉄4価の文献値に近く、鉄が3+から4+へと酸化されていると考えられる(Y.Takeda, K.Nakahara, M.Nishijima, N.Imanishi, O.Yamamoto, M.Takano and R.Kanno, Mat. Res. Bull., 29, [6] 659, (1994)および Y.Takeda, R.Kanno, T.Takada, O.Yamamoto, M.Takano,N.Nakayama, and Y.Bando, J. Solid State Chem., 63, 237, (1986))。
【0062】一方、ダブレット成分のIS値は、報告されている4価の鉄のIS値と高スピン3価鉄の値の中間程度に位置しており、一部が、鉄4価となっていることを示唆している。
【0063】さらに、4.3Vまで充電後に2.5Vまで放電させた試料のスペクトルより、このシングレット成分の面積比が著しく減少し、主成分であるダブレット成分のIS値が、高スピン鉄3価の値に近いところまで回復することから、放電後に鉄はほぼ3価に戻っていることがわかる。類似の傾向は、30%鉄含有試料(図4)においても見られ、充電後にIS値が-0.15mm/sの鉄4価に帰属しうるシングレット成分が認められたが、この成分の面積比は放電後に10%以下に下がる。このことは鉄含有Li2-xMnO3-yを正極として用いたリチウム電池の4V付近の充放電曲線の平坦部が主として鉄の3+/4+酸化還元電位に対応することを示しており、今まで4V以上での充放電が困難であったリチウムフェライト(LiFeO2)の充放電特性を図1に示したような結晶構造を取らせることにより顕著な改善をはかれることがわかった。
【0064】さらに、上限電位を4.8Vまであげた充放電条件においても本発明の鉄含有試料は、Li2-xMnO3-yに比べて初期充電容量および放電容量において改善が認められる (図7)。30%鉄含有試料に対して4.8Vまで充電後、化学分析したところ(表1)Liイオンが化学式あたり約1.7脱離していることがわかる。この値は、初期充電容量より換算される脱Li量1.5にかなり近く、充電時にLi脱離が起こっていることが確認できた。また、図8にその充放電容量のサイクル数依存性からも鉄含有試料の方が、高容量であることがわかった。
【0065】このことは、鉄が充放電に関与することによって、本発明で設計したリチウムフェライト系複合酸化物が無ドープ試料に比べて低コスト化と性能改善の両面から好ましいことが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるリチウムフェライト系複合酸化物の構造と層状岩塩型リチウムフェライトの構造との比較を示す図である。
【図2】鉄含有Li2-xMnO3-yのX線回折パターンと鉄無ドープ試料のパターンとの比較を示す図である。
【図3】10%鉄含有試料に対する57Feメスバウワ分光スペクトルの充放電前後の変化を示す図である。図中のSは、シングレット成分を、Dはダブレット成分をそれぞれ示す。点が実測値、実線が計算値で破線が各ダブレット成分を示す。
【図4】30%鉄含有試料に対する57Feメスバウワ分光スペクトルの充放電前後の変化を示す図である。図中のSは、シングレット成分を、Dはダブレット成分をそれぞれ示す。点が実測値、実線が計算値で破線が各ダブレット成分を示す。
【図5】30%鉄含有Li2-xMnO3-yのMnK吸収端におけるX線吸収スペクトル(合成後:●、4.3V充電後:△および2.5V放電後:□)を示す図である。参考までに、単斜晶Li2MnO3のX線吸収スペクトルを同時に示す。
【図6】鉄無ドープまたは鉄含有Li2-xMnO3-yを正極としLi金属を負極としたコイン型リチウム電池の初期充放電特性を示す。右上がりの曲線が充電曲線に、右下がりの曲線が放電曲線に対応。電位範囲2.5-4.3V(鉄含有試料)、電流密度7.5mA/g.
【図7】鉄無ドープまたは鉄含有Li2-xMnO3-yを正極としLi金属を負極としたコイン型リチウム電池の初期充放電特性を示す。右上がりの曲線が充電曲線に、右下がりの曲線が放電曲線に対応。電位範囲2.3-4.8V、電流密度7.5mA/g.
【図8】無ドープあるいは15%または30%鉄含有Li2-xMnO3-yを正極としLi金属を負極としたコイン型リチウム電池の充放電特性のサイクル数依存性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】Li2-xMO3-y(Mは、Mn, Tiおよび Snからなる群から選択される少なくとも一種, 0≦x<2、0≦y≦1)中に、リチウムフェライト(LiFeO2)を鉄の割合が0.21≦Fe/(Fe+M)≦0.75となるように固溶させた層状岩塩型構造を有する単相リチウムフェライト系複合酸化物。
【請求項2】Li2-xMO3-y(Mは、Mn, Tiおよび Snからなる群から選択される少なくとも一種, 0≦x<2、0≦y≦1)中に、リチウムフェライト(LiFeO2)を鉄の割合が0.15≦Fe/(Fe+M)≦0.75となるように固溶させた層状岩塩型構造を有する単相リチウムフェライト系複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池正極材料。
【請求項3】Mn, TiおよびSnからなる群から選択された少なくとも一種を含む水溶性化合物と水溶性鉄化合物との混合水溶液または水-アルコール混合溶液にリチウム化合物水溶液をリチウムの他の金属量に対するモル比(Li/(Fe+M))が1〜3となるよう添加することにより得た沈殿、または上記混合水溶液または水-アルコール混合溶液に所定量の水酸化リチウムを添加した後の水溶液および沈殿を蒸発乾固させることにより得た残査を酸化性雰囲気下または還元雰囲気下で焼成することを特徴とするLi2-xMO3-y(Mは、Mn, Tiおよび Snからなる群から選択される少なくとも一種, 0≦x<2、0≦y≦1)中にリチウムフェライト(LiFeO2)を鉄の割合が0.2≦Fe/(Fe+M)≦0.75となるように固溶させた層状岩塩型構造を有する単相のリチウムフェライト系複合酸化物の製造方法。
【請求項4】請求項2に記載の二次電池正極材料を用いたリチウムイオン二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−68748(P2002−68748A)
【公開日】平成14年3月8日(2002.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−262043(P2000−262043)
【出願日】平成12年8月31日(2000.8.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成12年3月28日 社団法人電気化学会発行の「電気化学会第67回大会講演要旨集」に発表
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】