説明

印刷された厚紙容器を製造するための方法及び印刷機

本発明は、厚紙容器に印刷をする方法及び印刷機に関する。本発明印刷機は、タレット・ヘッド2と固定ステーション5、6、8とを含み、タレット・ヘッドの回転軸線からは、一定間隔に配置された放射状アーム3が分岐しており、各アームは容器1を運搬するマンドレル4内へ延びており、固定ステーションは、容器を把持し、デジタル・プリント・ヘッド7、13によって容器を印刷し、印刷された容器を除去するために、タレット・ヘッドの軌道上に配置されている。印刷ステーション6で容器1は、表面が印刷ヘッド7を通るように回転運動によって搬送され、デジタル印刷される。容器は円錐形の飲料用カップ1でもよく、カップ内部に押し入れられたマンドレルによって回転させられる。カップ1は工場において大量生産可能であり、より小さいロットに分割されて顧客に配送され、顧客が自身の要求に応じてカップを印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機及び厚紙容器に印刷をする方法に関するものである。印刷機は、少なくとも1つのデジタル・プリント・ヘッドを含み、印刷される容器の胴部(mantle)表面を、容器の内部に入れられたマンドレルの回転運動によって、そのプリント・ヘッドを通るように搬送することが可能である。
【背景技術】
【0002】
厚紙カップは、とりわけ、使い捨て飲料用カップとして大規模に製造される。さらに、厚紙カップ又は厚紙容器は、とりわけヨーグルト、全乳サワー、デザート及び甘い食べものなどの食料品の容器として使用され、それらは蓋で閉じることができる。容器の側面の多くには印刷が施され、その印刷は容器内の製品についての情報を与え、又は他の広告用、宣伝用若しくは装飾用の印刷を含むことができる。
【0003】
現在、飲料用カップなどの印刷がされた厚紙容器は、フレキソ印刷又はグラビア印刷によってロールから搬送される印刷厚紙を使用して製造され、厚紙は印刷後に巻き直される。次の段階の操作は、カップ本体を形成するブランクを巻き取り紙から切断することを含む。切断機は、巻き取り紙に対向する切断ローラ(slitting roller)、又は往復運動をする打ち抜きナイフ(punching knife)によって構成することができる。切断されたブランクは積み重ねられ、巻き取り紙の残部は廃棄される。ブランクの束は、カップ状にする機械(cupping machine)に送られる。一般に、その機械は、ブランクを折り曲げて円錐台形のカップの胴部にし、丸い底部に沿ってブランクを継ぎ合わせて、カールした口部を備えたカップの完成品を製造する。カップは、次々と中に重ねていけるので、積み重ねて格納されて顧客に配送される。
【0004】
飲料用カップなどの印刷された厚紙容器のこの製造プロセスは、類似のカップを製造する運転期間が長く、数十万個以上のカップを製造する大規模な大量生産に適する。このように製造運転期間が長期になると、カップ1個当たりの製造費用は低くなる。しかし、50、000個未満のカップを製造する短期間の製造運転に対しては、技術が遅れており、カップ1個当たりの費用は高い。
【0005】
パッケージ(packaging)技術では、切断したパッケージ・ブランクに印刷することもまた知られている。国際公開第02/09942A1号には、こうしたプロセスで、デジタル印刷が行われるものが開示されている。国際公開第91/10595号には、類似のプロセスが記載されており、このプロセスではブランクを印刷した後に、ブランクを折り曲げてパッケージにすることができ、新たな積み重ねプロセスを中間に挟まなくてよい。国際公開第97/27053号には、移動しているパッケージ材料の巻き取り紙にデジタル印刷をする工程と、パッケージ機械とが結合され、パッケージ機械は巻き取り紙からパッケージを製造し、その後、製品を充填し、密封することが記載されている。さらに、この明細書には、ローラを使用して、完成されたパッケージ・ケースにインク・ジェット印刷すること、及びプラスチック製ボトルに印刷することが記載されており、このローラはボトルの側面にプリント・ヘッドによってスプレーされたインクを転写する。
【0006】
さらに、欧州特許出願公開第209896号明細書及び欧州特許出願公開第1225053号明細書には、円柱形又は円錐形容器の印刷技術が開示されており、容器の周囲を囲むインク・ジェット・プリント・ヘッドを通るように、容器は回転させられる。容器は、容器に垂直な円盤形状の支持部によって支持され、支持部を回転させることにより1つ又は複数の印刷ステーションに提供される。欧州特許出願公開第1225053号明細書には、容器の軸線方向に移動する(本明細書の図1参照)ことによって、又は垂直方向、すなわち支持部の方向に移動する(本明細書の図3参照)ことによって、プリント・ヘッドを円錐形容器の周辺に移動させることが記載されている。
【0007】
しかし、欧州特許出願公開第1225053号明細書に記載された方法でプリント・ヘッドを移動させて、プリント・ヘッド及び容器を互いに位置決めすることは、位置決めの正確さ及び印刷の鮮明さにおいて欠点がある。とりわけ、もし印刷ステーションに複数のプリント・ヘッドがあり、互いに機械的に取り付けられているならば、そのプリント・ヘッドは、支持部及び支持部に運搬される容器が回転することができるように、移動されなければならない。一方、もしプリント・ヘッドが分離されているならば、より多数の部品が移動するため、その互いの正確な位置決めはさらに妨げられる。円盤形状の支持部を使用すると、印刷される容器を供給、印刷、及び除去する部材を、隣り合わせに構成するべきであり、容器の方向を180°回転させるべきである。これは空間的な問題を引き起こすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第02/09942号
【特許文献2】国際公開第91/10595号
【特許文献3】国際公開第97/27053号
【特許文献4】欧州特許出願公開第209896号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1225053号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、欧州特許出願公開第1225053号明細書に開示された技術を改良して、上述の問題を回避することである。とりわけ、本発明の目的は、デジタル・プリント・ヘッドが固定されており、印刷される容器だけがプリント・ヘッドに対して移動するという解決策を提供することである。本発明の印刷機は、タレット・ヘッド(turret head)と固定されたステーションとを含み、タレット・ヘッドの回転軸線から、一定間隔に配置された放射状アームが分岐しており、各アームは容器を運搬するマンドレル内へ延びており、固定されたステーションは、容器を把持するための、及びプリント・ヘッドによって容器を印刷するための、及び印刷された容器を除去するためのタレット・ヘッドの軌道上に配置されていることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
最も簡単な構成の場合、本発明の印刷機は、容器を把持し、印刷し、及び除去するための3つの作業ステーションを含むことができ、それらのステーションはタレット・ヘッドの周囲に120°の間隔をあけて配置される。印刷ステーションの後に乾燥ステーションが続く場合は、4つの作業ステーションがタレット・ヘッドの周囲に90°の間隔をあけて配置される。これは、機械内における容器の移動方向が90°又は120°回転することを意味し、空間的な配置が容易になる。また、途中にある印刷ステーションの固定されたプリント・ヘッドも、材料の流れの前記配置の妨げにはならない。
【0011】
本発明のとりわけ有利な実施例では、マンドレルが、アームの長手方向に動くように構成され、タレット・ヘッドのバランスが連続的に保たれるように、マンドレルの長手方向の往復運動が互いに同期されている。とりわけ、本解決策により、印刷ステーションに、多色印刷に必要な複数の固定されたプリント・ヘッドを設けることが可能となり、マンドレル及びマンドレルに保持された印刷される容器を、プリント・ヘッドによって形成された円周配置の内側に押し込むことができる。マンドレルを動かすために、アームは伸縮自在に伸ばす及び縮めることが可能である。別法では、マンドレルをそれぞれの軸線方向の長さを越えてアーム上を動くように構成することが可能である。その結果、マンドレルを作業ステーションに入れること、及び作業ステーションから引き抜くことが可能であり、それによりタレット・ヘッドが回転して次の段階の作業に移動することが可能である。
【0012】
別法では、ほとんどの印刷ステーションにおいて、多色印刷を行うことが可能であり、印刷ステーションは、タレット・ヘッドの軌道上に配置され、異なる色を印刷する。必要なときは、各印刷ステーションの後に、タレット・ヘッドの円周に乾燥ステーションを設け、印刷インクを乾燥させることができる。
【0013】
本発明では、巻き取り紙又はブランクではなく、既に折り曲げられ、継ぎ合わされた厚紙容器が印刷されるが、容器の大量生産の利点が維持されうる。言い換えれば、容器は工場内において、例えば100、000〜1、000、000個の製造ロットで製造可能である。印刷に関しては、製造ロットは、例えば100〜50、000個、好ましくは200〜5、000個のより小さいロットに分割される。デジタル印刷技術では、印刷の生成、置換又は修正が容易であり、より短期間の製造運転であっても印刷費用が低い。さらに、厚紙容器の側面に印刷されるデジタル印刷、すなわち文書、図表、又は画像は、製造運転期間における印刷プロセスの途中で変更することができる。したがって、製造運転期間内の容器には、例えば番号を付け、又は何か他の方法で個々に互いに異なるものとすることができる。本発明は、顧客又は最終製品のパッケージをする者が工場から印刷されていない容器を受け取り、次いで彼ら自身の要求に従って印刷を処理する場合に最も適している。例えば、印刷された飲料用カップの典型的な使用者は、喫茶店、ファースト・フード・レストラン、運動競技会、展示会及び他の公開イベントを含む。そして、印刷され、閉じることができる厚紙容器の使用者は、菓子産業及び食品産業を含む。
【0014】
この印刷技術は、容器の回転運動に基づくので、印刷される厚紙容器は、回転対称的な、とりわけ円錐台形のカップ又は容器であることが好ましい。本発明では、最も好ましいデジタル印刷技術は、固定されたプリント・ヘッドによるインク・ジェット印刷を含み、容器本体は、固定されたプリント・ヘッドを通って回転するように配置される。プリント・ヘッド及び容器本体がインク・ジェット印刷において互いに接触しなければ、本体の垂直な継ぎ目によって印刷の問題が引き起こされることはない。また、印刷が本体の垂直な継ぎ目まで延在しない場合には、乾式トナー技術も本発明に適している。
【0015】
本発明は、厚紙容器に印刷をする方法であって、1つ又は複数のプリント・ヘッドによって容器にデジタル印刷をするステップを含み、印刷される容器の胴部表面を、容器の内部に入れられたマンドレルの回転運動によって、プリント・ヘッドを通るように搬送する、印刷をする方法において、印刷に関連して、タレット・ヘッドの回転軸線から、一定間隔に配置された放射状アームが分岐しており、各アームは容器を運搬するマンドレル内へ延びているタレット・ヘッドによって、1つのステーションから別のステーションに容器を連続して移動させ、供給ステーションにおいてマンドレルで容器を把持し、次の印刷ステーションにおいてタレット・ヘッドの軌道上で容器を印刷し、後続の除去ステーションにおいて軌道上のマンドレルから印刷された容器を除去し、次いで、容器から解放されたマンドレルを、新しい作業サイクルのために供給ステーションに戻すことを特徴とする。
【0016】
本発明は、円錐台形の飲料用カップなどの厚紙容器を、工場においてロットに分割された大規模な製造運転で製造し、容器を工場の外側の出口に移動させ、上記の方法により容器にデジタル印刷し、異なる出口における前記印刷が互いに異なるようにする、方法をさらに含む。その場合、異なる出口に向かうロットにおいて、又は製造されたすべての容器について、工場を離れる容器に、共通して事前に印刷をし、工場の外側の出口において、容器のそれぞれの使用に応じて補足印刷を実施することができる。
【0017】
以下に、実施例によって、及び添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】円錐形のマンドレルを含む印刷機のタレット・ヘッドを使用した、本発明による厚紙カップのデジタル印刷を示す図である。
【図2】図1の印刷プロセスにおいて、インク・ジェット・プリント・ヘッドによる印刷を示す図である。
【図3】図1の印刷プロセスにおいて、インク・ジェット・プリント・ヘッドによる印刷を示す図である。
【図4】円錐形ドラムを含むデジタル印刷機の乾式トナーによる厚紙カップの静電印刷を示す図である。
【図5】図4の断面V−Vを示す図である。
【図6】本発明の別の実施例による印刷機のタレット・ヘッドであり、タレット・ヘッドが120°回転した後、作業ステーションが作業サイクルの最初の状態にあることを示す図である。
【図7】作業サイクルの第2段階にあるタレット・ヘッドであり、伸縮自在のアームがマンドレルを作業ステーションに押し入れており、取り出し、印刷、及び印刷された容器を除去していることを示す図である。
【図8】作業サイクルの第3段階にあるタレット・ヘッドであり、アームがマンドレルを最初の位置に引き抜き、タレット・ヘッドを回転させ、作業サイクルの最初の状態に戻ることを示す図である。
【図9】本発明の第3の実施例による、作業ステーションを有する印刷機のタレット・ヘッドであり、図6に対応した最初の状態を示す図である。
【実施例】
【0019】
図1〜図3には、デジタル印刷機のタレット・ヘッド2によって、ポリマー被覆された飲料用厚紙カップ1をインク・ジェット印刷することが示されており、厚紙カップは継ぎ合わされて、口部はカールさせられている。タレット・ヘッド2は円錐台形のマンドレル4を含み、マンドレル4は放射状アーム3によって支持され、カップの形状と類似の形状を有し、各マンドレル4はそれぞれのアーム3の周りに回転可能である。印刷されていないカップ1が印刷機に供給されて積み重ねられており、供給ステーション5において回転するタレット・ヘッド2に1つずつ供給されて、マンドレル4がカップの内部に入る。マンドレル及びマンドレルに運搬されるカップは、タレット・ヘッド2によって印刷ステーション6に移動させられ、そこでカップは固定されたインク・ジェット・プリント・ヘッド7によって印刷される。カップはマンドレル4のアーム3によって形成される軸線の周りを回転する。その後、印刷されたカップ1’は、マンドレルに取り付けられたまま除去ステーション8に移動させられ、そこでカップはマンドレル4から外される。供給ステーション5及び除去ステーション8を同一線上に配置することにより、印刷機内においてカップの直線移動が可能になる。
【0020】
印刷されるカップ1の胴部表面及び印刷ステーションのインク・ジェット・プリント・ヘッド7が、図2及び図3に側面図で示されている。マンドレル4のアーム3は円錐形カップ1の回転軸線を形成し、カップの側面にはプリント・ヘッド7がカップの胴部から短い距離に配置され、プリント・ヘッドのインク・ノズル10から出されたインク・ジェット9はカップの軸線に対して主に垂直方向に向けられる。インク・ノズル10は本体の長さ全体に沿って一定間隔をあけて配置されるが、図示された事例では、上から2つのインク・ノズルのみが使用されている。印刷11は、カップの回転運動中に、インクによって生成される。必要があれば、インクが乾いた後、タレット・ヘッド2の軌道上の異なる作業ステーションにおいて印刷面をラッカーで被覆することができる。
【0021】
本明細書の飲料用カップ1、1’のデジタル印刷は、カップに適用されることが好ましいが、印刷をする回数はそれぞれ小さく、例えば数百から数千個のカップである。印刷されていないカップ、又は、場合によっては事前に印刷されるカップは、工場で大規模に生産され、大量生産の効果をもたらす。これらのカップは、注文された量ずつ異なる顧客に配送され、次いで顧客がそれぞれ個々の要求に応じて、上記に従いカップを印刷する。デジタル印刷機により印刷をすることは容易であり、製造運転期間の途中でもプロセスを中断せずに印刷を変更可能であるため、その製造運転期間のカップには異なる様式で印刷されたものがある。したがって、カップには、例えば番号を付ける、又は他の方式によって差別化することができる。
【0022】
図4及び図5には、乾式トナーを用いて飲料用厚紙カップ1を静電印刷することが示されている。ここでは、円錐形のドラム12が使用されるが、円錐形のドラム12は印刷機に含まれ、カップに類似した形状をしている。カップは低密度ポリエチレン(LDPE)、又はエチレン・メチル・アクリル酸共重合体(EMA)などのポリマーで被覆されている。印刷中に、印刷されるカップ1及びドラム12は回転させられ、それらの胴部は、少なくとも印刷される領域で、互いに接触する。カップ1とドラム12との間の接触線は、画像転写ステーション13を形成する。そこでは、帯電したトナー粒子が、電界内においてドラムからカップのポリマー被覆された胴部表面に転写される。ここで、カップは逆に帯電している。トナー粒子を転写させる電界を提供するために、カップ内側に押し入れられた円錐形の保持器(retainer)には、カップの胴部の周囲を回転するコロナ帯電装置(coronization device)14が備えられている。
【0023】
放電器(図示せず)がカップ1とドラム12とが接触する領域の出口に配置され、カップの胴部がドラムに付着することを防止する。回転時に、ドラム12は、スクレーパ15、充電器16、プリント・ヘッド17、及び潜像現像装置(latent image developer)18を通過する。スクレーパ15は、任意の余分のトナー粒子をドラムから払い落し、プリント・ヘッド17は、ドラム上の帯電を選択的に除去することにより、所望の印刷に対応して潜像を形成し、潜像現像装置18は、帯電した乾式トナーをドラムの帯電領域に付着させる。したがって、乾式トナー粒子は、所望の印刷に対応してドラム12の表面に付着し、画像転写ステーション13の電界内でカップ1の胴部表面に転写される。
【0024】
画像転写ステーション13の後に、トナー粒子が付着されたカップ1の本体は、回転して定着(fixing)ステーション19へ入り、そこでカップのポリマー被膜が赤外線放射によって溶融され、トナー粒子がカップの胴部表面に溶け込む。もしトナー粒子が担体ポリマーを含むならば、担体ポリマーも印刷の定着段階で溶融することができる。赤外線溶融の後に、胴部表面は冷却され、溶融ポリマーは凝固し、トナーによって形成された印刷が定着させられる。定着後、印刷された胴部表面は、さらにラッカー(図示せず)で被覆することができる。
【0025】
カップ1の印刷中に、保持器に取り付けられたカップ、及び印刷機のドラム12は、ほぼ全周(360°)回転する。その後、カップは再配置され、それによって、カップ保持器がドラム12から引き離され、又は回転して外される。その間に、ドラムの回転運動を中断する必要はない。
【0026】
原則的に、図6〜図8に示される本発明の実施例は、図1〜図3に示された実施例に対応するが、マンドレル4のアーム3が伸縮自在に伸びて縮むこと、及び、印刷ステーション6が、4つの固定されたインク・ジェット・プリント・ヘッド7を含み、インク・ジェット・プリント・ヘッド7は周辺に間隔をあけて配置され、異なる色を印刷して、多色印刷の要求に応えるようになっているところは異なる。各インク・ジェット・プリント・ヘッド7は、図2及び図3に従うことができる。タレット・ヘッド2の円周に、一定間隔をあけて配置された3つの作業ステーション5、6、8がある。ここで、マンドレル4は、カップの積み重ねから印刷されるカップ1を取り出し、移動させて、プリント・ヘッド7により印刷をし、印刷されたカップ1’を別の積み重ねへと除去する。図6には、作業サイクルの最初の位置が示され、マンドレル4のアーム3は縮められている。供給ステーション5に隣接するマンドレルはむき出しであり、印刷ステーション6に隣接するマンドレルは印刷されていないカップを運んでおり、除去ステーション8に隣接するマンドレルは印刷されたカップを運んでいる。図7では、アーム3が、同時に同じ程度伸ばされ、各アームと共にマンドレルが作業ステーションに押し入れられている。供給ステーション5においては、マンドレルは印刷されていないカップを取り出し、印刷ステーション6においては、カップを取り付けたマンドレルが自分自身の軸線の周りを回転し、カップが、そのカップを取り囲むインク・ジェット・プリント・ヘッドによって印刷され、除去ステーション8においては、マンドレルは印刷されたカップを積み重ねに押し入れる。図8では、アーム3が縮められており、印刷されていないカップが供給ステーション5から取り出されており、印刷されたカップが印刷ステーション6から引っ込められており、印刷されたカップを除去ステーション8に残したマンドレルがむき出しになっている。その後、タレット・ヘッド2は120°回転し、すなわち各アーム及びマンドレルが次の作業ステーションに移動させられ、再び図6の状態になる。連続使用の場合、計算されたカップの印刷速度は1分間につき約180個である。
【0027】
図9の実施例が、図6〜図8の実施例と異なるのは、タレット・ヘッド2の円周の印刷ステーション6と除去ステーション8との間に、印刷インクを乾かすための第4の作業ステーション20がある点のみである。この場合、作業ステーション5、6、20及び8の間の相互の間隔は90°である。他のステーションと同じく、マンドレル4及びそれに取り付けられた印刷されたカップも、アーム3の往復運動によって乾燥ステーション20に入ったり、出たりする。図中では、乾燥ステーション20は加熱される乾燥室21を含むが、例えば放射による乾燥も可能である。
【0028】
本発明では、タレット・ヘッド2の円周に、例えば、異なるステーションで異なる色を印刷するために、複数の印刷ステーション6、及び後続の乾燥ステーション20を設けることができる。ステーションはそれぞれ一定間隔に配置され、伸縮自在のアームが各ステーションで標準的な往復運動を行い、タレット・ヘッドのバランスが保たれる。
【0029】
飲料用カップに加えて、本発明では、閉じることができる厚紙の製品パッケージを、製品を充填する前に、又は充填し、閉じることと共に印刷することができる。
【0030】
当業者にとっては明白であるが、本発明の実施例は、上記の実施例に限定されず、添付の特許請求の範囲で様々に変更可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚紙容器(1)に印刷(11)をする印刷機であって、前記印刷機は、少なくとも1つのデジタル・プリント・ヘッド(7、13)を含み、印刷される容器(1)の胴部表面を、前記容器の内部に入れられたマンドレル(4)の回転運動によって、前記デジタル・プリント・ヘッドを通るように搬送することができる、印刷機において、
前記印刷機は、タレット・ヘッド(2)と固定されたステーション(5、6、8)とを含み、前記タレット・ヘッド(2)の回転軸線から、一定間隔に配置された放射状アーム(3)が分岐しており、各アームは容器(1)を運搬するマンドレル(4)内へ延びており、前記固定されたステーション(5、6、8)は、容器を把持するための、及び前記デジタル・プリント・ヘッド(7、13)によって前記容器を印刷するための、及び印刷された容器(1’)を除去するための前記タレット・ヘッドの軌道上に配置されていることを特徴とする、印刷機。
【請求項2】
前記マンドレル(4)が、前記アーム(3)の長手方向に動くように構成されており、前記タレット・ヘッド(2)のバランスが連続的に保たれるように、前記マンドレルの長手方向の往復運動が互いに同期されていることを特徴とする、請求項1に記載された印刷機。
【請求項3】
前記アーム(3)が、前記マンドレル(4)を動かすために、伸縮自在に伸ばすこと及び縮めることが可能になっていることを特徴とする、請求項1に記載された印刷機。
【請求項4】
印刷ステーション(6)において、異なる色を印刷するための複数の固定されたデジタル・プリント・ヘッド(7)が、周辺に配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された印刷機。
【請求項5】
前記タレット・ヘッド(2)の軌道上に、複数の印刷ステーション(6)、及び、場合により後続の乾燥ステーションがあることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された印刷機。
【請求項6】
前記デジタル・プリント・ヘッド(7)が、インク・ジェット・プリント・ヘッドであることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された印刷機。
【請求項7】
印刷される前記容器が、円錐形に広がったカップ(1)又は容器であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された印刷機。
【請求項8】
印刷される前記容器が、円錐台形の使い捨て飲料用カップ(1)であることを特徴とする、請求項7に記載された印刷機。
【請求項9】
厚紙容器(1)に印刷(11)をする方法であって、1つ又は複数のプリント・ヘッド(7、13)によって容器をデジタル印刷し、印刷される前記容器(1)の胴部表面を、前記容器の内部にあるマンドレル(4)の回転運動によって、前記プリント・ヘッドを通るように搬送する、印刷をする方法において、
前記印刷に関連して、タレット・ヘッド(2)の回転軸線から、一定間隔に配置された放射状アーム(3)が分岐しており、各アームは容器(1)を運搬するマンドレル(4)内へ延びている前記タレット・ヘッド(2)によって、1つのステーションから別のステーションに前記容器(1)を連続して移動させ、供給ステーション(5)において前記マンドレルで前記容器を把持し、次の印刷ステーション(6)において前記タレット・ヘッドの軌道上で前記容器を印刷し、後続の除去ステーション(8)において前記軌道上で前記マンドレルから印刷された前記容器(1’)を除去し、次いで、前記容器から解放された前記マンドレルを、新しい作業サイクルのために前記供給ステーション(5)に戻すことを特徴とする、印刷をする方法。
【請求項10】
各ステーション(5、6、8)において、前記マンドレル(4)に、前記アーム(3)の長手方向に往復運動を行わせ、前記タレット・ヘッド(2)のバランスを連続的に保つように、異なる前記ステーションにおける前記マンドレルの長手方向の往復運動を互いに同期させることを特徴とする、請求項9に記載された印刷をする方法。
【請求項11】
前記マンドレル(4)の前記往復運動において、前記アーム(3)を伸縮自在に伸ばすこと、及び縮めることを特徴とする、請求項10に記載された印刷をする方法。
【請求項12】
前記タレット・ヘッド(2)の前記軌道上に、複数の印刷ステーション(6)、及び、場合により後続の乾燥ステーションを設けることを特徴とする、請求項9から請求項11までのいずれか一項に記載された印刷をする方法。
【請求項13】
印刷される前記容器が円錐台形の飲料用カップ(1)であることを特徴とする、請求項9から請求項12までのいずれか一項に記載された印刷をする方法。
【請求項14】
前記印刷がインク・ジェット印刷を含むことを特徴とする、請求項9から請求項13までのいずれか一項に記載された印刷をする方法。
【請求項15】
前記印刷を連続運転で行い、前記印刷をある容器から他の容器への間で変更することを特徴とする、請求項9から請求項14までのいずれか一項に記載された印刷をする方法。
【請求項16】
前記容器(1)を工場においてロットに分割された運転で製造し、前記容器を前記工場の外側の出口に移動させ、前記工場では請求項9から請求項14までのいずれか一項に記載された方法により前記容器にデジタル印刷し、異なる前記出口における前記印刷(11)が互いに異なるようにすることを特徴とする、印刷された厚紙容器を製造する方法。
【請求項17】
前記工場を離れる前記容器(1)に事前に印刷をし、前記工場の外側の出口において、請求項9から請求項14までのいずれか一項に記載された方法により、前記容器の補足印刷を行うことを特徴とする、請求項16に記載された印刷された厚紙容器を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−522651(P2010−522651A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500308(P2010−500308)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050141
【国際公開番号】WO2008/116973
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(508096585)
【Fターム(参考)】