説明

印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ組成物

【課題】 塩素を含まず、ポリエステル、ナイロンおよびポリオレフィン等の各種プラスチックフィルムに対し、汎用的に使用できる印刷インキ用バインダーを提供することである。
【解決手段】 カルボキシル基、水酸基、1級アミノ基および2級アミノ基から選ばれる1種以上の官能基を有する変性ポリオレフィン(a1)およびポリオール(a2)を含む活性水素成分(a)と有機ポリイソシアネート(b)とから製造されるポリウレタン樹脂(A)を含有することを特徴とする印刷インキ用バインダーであり、好ましいのは、(a1)が、低結晶性ポリオレフィンの熱減成物を変性して得られる変性ポリオレフィンであ
って、低結晶性ポリオレフィンが、400〜9,000mPa・sの190℃での溶融粘度と0〜40%の結晶化度を有するポリオレフィンある請求項1記載の印刷インキ用バインダーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷インキ用バインダ−および印刷インキ組成物に関する。さらに詳しくは、非塩素系で、被印刷物としてのポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの各種プラスチックフィルムのいずれにも好適に用いることのできる印刷インキ用バインダ−および印刷インキ組成物に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、インキ用バインダーとして、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィンがよく知られている。ポリウレタンをバインダ−とする印刷インキはポリエステルフィルムやナイロンフィルムに対しては単独で優れた接着力を有するが、汎用フィルムであるポリエチレンフ
ィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムに対しては充分な接着力がなく、塩素化ポリオレフィンをバインダ−とした印刷インキはポリオレフィンフィルムに対しては良好な接着力を示すが、ポリエステルフィルムやナイロンフィルムに対しては充分な接着力がないため基材フィルムが制限されるという問題がある。
ポリエステルフィルム、ナイロンフィルムおよびポリオレフィンフィルムに対する接着力を向上させ、各種プラスチックフィルムに汎用的に使用する目的で、ポリウレタンと塩素化ポリオレフィンとの混合(特許文献1)、あるいは酸化処理した塩素化ポリオレフィンのウレタン変性物を印刷インキのバインダーとして用いることが提案されている(特許文献2)。

【特許文献1】特開平10−251594号公報
【特許文献2】特開平11−323236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、環境問題への取り組みが重視されるようになり、使用済み品の廃棄処理において、有害物質の発生を抑制することが強く望まれている。塩素化ポリオレフィンは、塩素を含んでいるため、焼却時に有害物質が発生し、環境を汚染するおそれがあった

本発明は、塩素を含まず、ポリエステル、ナイロンおよびポリオレフィン等の各種プラスチックフィルムに対し、従来のインキ用バインダーと同等以上の接着性を有し、ポリエステル、ナイロンおよびポリオレフィン等の各種プラスチックフィルムに汎用的に使用できる印刷インキ用バインダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、カルボキシル基、水酸基、1級アミノ基および2級アミノ基から選ばれる1種以上の官能基を有する変性ポリオレフィン(a1)並びにポリオール(a2
)を含む活性水素成分(a)と有機ポリイソシアネート(b)とから製造されるポリウレタン樹脂(A)を含有することを特徴とする印刷インキ用バインダー;該バインダーを含有する印刷インキ組成物である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の印刷インキ用バインダーは、下記の効果を有する。
非塩素系であるため、焼却時に有害物が発生して環境を汚染するおそれがなく、ポリエステル、ナイロンおよびポリオレフィン等の各種プラスチックフィルムに対し、従来のインキ用バインダーと同等以上の接着性を有し、各種プラスチックフィルム用の印刷インキ用のバインダーとして汎用的に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明における変性ポリオレフィン(a1)は、カルボキシル基、水酸基、1級アミノ基および2級アミノ基から選ばれる1種以上の官能基を有するが、変性をされる前のポリオレフィン(a0)を構成する単量体としてのオレフィンとしては、アルケンおよびアルカジエンなどの炭素数2〜30のオレフィンが挙げられる。
アルケンとしてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセン等が挙げられる。
アルカジエンとしては1,3−ブタジエン、1,4−ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエンおよび1,11−ドデカジエン等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは変性のしやすさの点で炭素数2〜8のもの、さらに好ましいのはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1,3−ブタジエンおよびこれらのアルケンとアルカジエンとの併用であり、特に好ましいのはエチレンおよびプロピレン並びにこれらの併用である。
アルケンとアルカジエンの併用の場合のアルケン/アルカジエンのモル比は、好ましくは50〜99.9/0.1〜50、より好ましくは60〜99/1〜40である。
(a0)の数平均分子量(以下Mnと記す))は、通常500〜20,000、好ましくは800〜5000、とくに好ましくは1,000〜3000である。Mnは、ポリスチレンを標準としてゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法で求められる値である。
(a0)としては、二重結合含有量として、接着性の観点から、1000炭素原子当たり好ましくは1〜40個、さらに好ましくは2〜30個、特に好ましくは3〜20個の二重結合を有するものが好ましい。
【0007】
(a0)は、重合法又は熱減成法によって得ることができる。
重合法で得られる(a0)は、オレフィンの1種又は2種以上の混合物の(共)重合(重合又は共重合を意味する。以下同様。)によって得られるポリオレフィンである。
熱減成法で得られる(a0)は、オレフィンの1種又は2種以上の混合物の(共)重合によって得られる高分子量のポリオレフィンの熱減成によって得られるポリオレフィンである。
【0008】
重合法による(a0)は公知の方法で製造でき、例えば、ラジカル触媒、金属酸化物触媒、チーグラー触媒およびチーグラーナッタ触媒等の存在下で上記オレフィンを(共)重合させる方法等により得ることができる。
ラジカル触媒としては、公知のもの、例えばジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルベンゾエート、デカノールパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、パーオキシ−ジ−カーボネートエステル、アゾ化合物等、およびγ−アルミナ担体に酸化モリブデンを付着させたもの等が挙げられる。
金属酸化物触媒としては、シリカ−アルミナ担体に酸化クロムを付着させたもの等が挙げられる。
チーグラー触媒およびチーグラー−ナッタ触媒としては、(C253Al−TiCl4等が挙げられる。
【0009】
熱減成法による低分子量ポリオレフィンは、たとえば特開平3−62804号公報に記載の方法により得ることができる。熱減成に用いられる高分子量ポリオレフィンのMnは、(a0)よりも高分子量であって、好ましくは2,000〜1,000,000である。
上記(a0)の製造法の内、二重結合への官能基の導入のしやすさ、および入手のしやすさの点で、熱減成法による(a0)が好ましく、とくに、190℃における溶融粘度が
、400〜9,000mPa・sで、かつ結晶化度が0〜40%、好ましくは0〜30%
、さらに好ましくは0〜20%の低結晶性ポリオレフィンの熱減成物が好ましい。
(a0)の結晶化度は、X線回折法(例えば南條初五郎“高分子の固体構造−高分子実験学講座2”42頁、共立出版1958年発行)で測定できる。
【0010】
(a1)としては、例えば、カルボキシル基を有する変性ポリオレフィン(a11)、水酸基を有する変性ポリオレフィン(a12)および1級または2級アミノ基を有する変性ポリオレフィン(a13)およびこれらの官能基の2種以上を有する変性ポリオレフィン(a14)が挙げられる。
【0011】
(a11)カルボキシル基を有する変性ポリオレフィン;
(a11)としては、(a0)の二重結合をα、β−不飽和カルボン酸(無水物)(
α、β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物を表わす。以下、同様。)で変性したポリオレフィン(a11−1)、該(a11−1)をラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性したポリオレフィン(a11−2)、(a0)を酸化したポリオレフィン(
a11−3)およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0012】
(a11−1)の製造で使用できるα,β−不飽和カルボン酸(無水物)としては、炭素数3〜12のカルボン酸、例えばモノカルボン酸[(メタ)アクリル酸等]、ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等)およびこれらの無水物が挙げられる。
これらのうち(a0)との反応性の観点から好ましいのは、ジカルボン酸およびジカルボン酸無水物、より好ましいのはマレイン酸、無水マレイン酸およびフマル酸、とくに好ましいのはマレイン酸および無水マレイン酸である。
【0013】
α、β−不飽和カルボン酸(無水物)の使用量は、(a0)の質量に基づき、オレフィン基材との接着性の観点から好ましくは、0.5〜40%(以下において、特に限定しない限り、%は質量%を表す)、より好ましくは1〜30%である。
α,β−不飽和カルボン酸(無水物)による(a0)の変性は公知の方法、例えば、(
a0)の二重結合に、溶液法又は溶融法のいずれかの方法で、α,β−不飽和カルボン酸(無水物)を熱的に付加(エン反応)させることにより行うことができる。
【0014】
溶液法としては、キシレンおよびトルエン等の炭化水素系溶媒の存在下、(a0)に
α,β−不飽和カルボン酸(無水物)を加え、窒素等の不活性ガス雰囲気中、加圧下、170〜230℃で反応させる方法等が挙げられる。
溶融法としては、(a0)を加熱溶融した後に、α,β−不飽和(無水物)を加え、窒素等の不活性ガス雰囲気中170〜230℃で反応させる方法等が挙げられる。
これらの方法のうち、反応の均一性の観点から好ましいのは溶液法である。
【0015】
(a11−2)は、(a11−1)を、ラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性することにより得られる。
ラクタムとしては、炭素数6〜12のラクタム、例えば、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタムおよびラウロラクタムが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、炭素数2〜12のアミノカルボン酸、例えば、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなど)、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸が挙げられる。
これらのうち、二次変性の反応性の観点から好ましいのは、グリシン、ロイシン、カプロラクタム、ラウロラクタム、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸、より好ましいのはカプロラクタム、ラウロラクタム、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸、特に好ましいのはカプロラクタムおよび12−アミノドデカン酸である。
二次変性に用いるラクタムまたはアミノカルボン酸の使用量は、反応性と経済性の観点から好ましくは、α,β−不飽和カルボン酸(無水物)の誘導体1当量当たり、ラクタムまたはアミノカルボン酸が0.1〜20当量、さらに好ましくは0.3〜15当量、特に好ましくは0.5〜10当量である。
【0016】
(a11−2)の製造方法としては、公知の方法、例えば、(a11−1)を加熱溶融した後に、ラクタムまたはアミノカルボン酸を加え、窒素等の不活性ガス雰囲気中170〜230℃で反応させる方法が挙げられる。
【0017】
(a11−3)は、(a0)を酸素および/またはオゾンで酸化することによりカルボキシル基を導入することにより得られる。酸化によるカルボキシル基の導入は、例えば、米国特許3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。
【0018】
(a11)の酸価は、好ましくは5〜300、さらに好ましくは10〜200、特に好ましくは20〜150(mgKOH/mg。以下、数値のみを記載する)である。酸価が5以上では反応性がさらに優れる傾向にあり、300以下であればポリオレフィン基材との密着性がさらに良好になる。
【0019】
(a12)水酸基を有する変性ポリオレフィン;
(a12)としては、(a11)とアミノアルコールとの反応生成物、(a11)とアルキレンオキサイド(以下AOと略記)との反応生成物およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。アミノアルコールとしては、炭素数が2〜12の、アルカノールアミン、シクロアルカノールアミンおよびアルキルアルカノールアミン、例えば2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール、ジエタノールアミン、ジ−n−およびイソプロパノールアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、メチルエタノールアミンおよびエチルエタノールアミンが挙げられる。これらのうち好ましいのは2−アミノエタノールである。AOとしては、炭素数が2〜12、好ましくは2〜4のものが使用でき、より好ましくはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドである。AOの付加モル数は(a11)のカルボキシル基1個当たり通常1〜10モルまたはそれ以上、好ましくは1〜5モルとくに1モルである。
(a12)の水酸基価は、接着性の観点から、好ましくは5〜200、より好ましくは10〜150(mgKOH/mg。以下、数値のみを記載する。)であり、酸価は、通常0〜10、好ましくは0〜5である。
【0020】
アミノアルコールによる(a11)の変性は公知の方法、例えば、(a11)のカルボキシル基(無水物の場合は、カルボニル基)に対して過剰(例えば1.1〜2倍モルまたはそれ以上)のアミノアルコールを加えて反応させた後、未反応のアミノアルコールを蒸留法等の方法で除去する方法が挙げられる。反応は有機溶剤の存在下または不存在下に行うことができる。反応温度は通常100〜220℃、好ましくは120〜200℃である。
AOによる(a11)の変性は、公知の方法で行われる。例えば、AOを開環付加重合させる際の反応温度は、好ましくは40℃〜200℃であり、より好ましくは70℃〜160℃である。反応圧力は好ましくは−0.1〜0.5MPaである。反応は、必要により触媒の存在下に行われる。
【0021】
(a13)1級または2級アミノ基を有する変性ポリオレフィン;
(a13)としては、(a11)のジアミン変性物などが挙げられる。
ジアミンとしては、炭素数2〜20のジアミン、たとえば脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンおよびデカメチレンジアミンなどのアルキレンジアミン)、脂環式ジアミン(ジシクロヘキシルメタンジアミンおよびイソホロンジアミンなど)、芳香(脂肪)族ジアミン(フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミンおよびジフェニルエーテルジアミンなど
)等が挙げられる。
これらのうち、変性のしやすさの点から好ましいのは、脂肪族ジアミン、より好ましいのは、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびヘプタメチレンジアミン、特に好ましいのはエチレンジアミンである。
(a13)の全アミン価は、接着性の観点から、好ましくは4〜280(mgKOH/g、以下、数値のみを記載する。)、さらに好ましくは4〜100、特に好ましくは5〜50である。
【0022】
ジアミンによる(a11)の変性は公知の方法、例えば、(a11)を加熱溶融した後に、ジアミンを加え、窒素等の不活性ガス雰囲気中170〜230℃で反応させる方法が挙げられる。ジアミンの仕込量は、(a11)の酸価から計算されるカルボキシル基の当量に対するジアミン(1級アミノ基1個が1当量)の当量が0.1〜3.0、好ましくは0.5〜2.0、さらに好ましくは1.0〜1.5となるような量である。
【0023】
(a14)カルボキシル基、水酸基、1級アミノ基および2級アミノ基のうちの2種以上を有する変性ポリオレフィン;
(a14)としては、上記の(a11)〜(a13)の製造法の2種以上を組み合わせて得られる変性ポリオレフィン、および(a13)の製造法においてジアミンの当量が1.0未満であって、反応後に元のカルボキシル基が残存したものなどが挙げられる。
【0024】
(a11)〜(a14)のうち、ポリイソシアネート(b)との反応性の観点から、好ましいのは(a12)、より好ましいのは(a11)とアミノアルコールとの反応生成物である。これらは1種または2種以上混合して使用できる。
【0025】
活性水素成分(a)は、上記の(a1)および以下のポリオール(a2)などから構成される。
ポリオール(a2)としては、低分子ポリオール(a21)および高分子ポリオール(a22)並びにこれらの併用が挙げられる。
【0026】
上記(a21)には、水酸基当量(水酸基価測定による、水酸基1個当たりの分子量。以下同様)が250未満の2〜3価またはそれ以上のポリオールが含まれる。
2価のポリオールとしては、例えば以下の(1)〜(3)が挙げられる。
(1)炭素数2〜12の脂肪族ジオール類;
直鎖ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールなど)並びに分岐鎖を有するジオール(1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−および2,3−ブタンジオールおよび1,2−デカンジオールなど)など。
(2)炭素数6〜25の環状基を有するジオール類;
例えば特公昭45−1474号公報記載のもの、脂環基含有ジオール[1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンおよび水添ビスフェノールAなど]並びに芳香環含有ジオール〔m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール、2価フェノール[単環2価フェノール(ハイドロキノンなど)、ビスフェノール類(フェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど)およびジヒドロキシナフタレンなど]のAO付加物(水酸基当量250未満)、芳香族ジカルボン酸のビスヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)エステル[ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど]など〕。
(3)3級アミノ基含有ジオール;
例えばヒドロカルビルジアルカノールアミン類〔1級モノアミン[たとえば炭素数1〜12の脂肪族もしくは脂環式1級モノアミン類(メチルアミン、エチルアミン、シクロプロピルアミン、1−プロピルアミン、2−プロピルアミン、アミルアミン、イソアミルアミン、ヘキシルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、2−アミノヘプタン、2−アミノヘプタン、3−アミノヘプタン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ノニルアミン、デシルアミンおよびドデシルアミン等)並びに炭素数6〜12の芳香族1級モノアミン類(アニリンおよびベンジルアミン等)]のビスヒドロキシアルキル化物(炭素数2〜4のAO2モル付加物など)
〕。
3価のポリオールとしては、たとえばグリセリン、トリメチロールプロパンおよびこれらのAO付加物(水酸基当量250未満);並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(a21)のうち好ましいものは2価のポリオールであり、さらに好ましいものは脂肪族ジオールである。
【0027】
上記(a21)および下記(a22)において、AOには炭素数2〜10またはそれ以上のアルキレンオキサイド、およびそのフェニルもしくはハロ置換体が含まれ、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、1,2−プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、1,3−、1,4−および2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、炭素数5〜10またはそれ以上のα−オレフィンオキサイド、エピハロヒドリン(エピクロロヒドリン等)およびこれらの2種以上の併用(ブロックおよび/またはランダム付加)が挙げられる。好ましいのはEO、POおよびこれらの併用(ブロックおよび/またはランダム付加)である。
【0028】
高分子ポリール(a22)には、ポリエーテルポリオール(a221)、ポリエステルポリオール(a222)、ポリジエンポリオール(a223)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
該(a22)の水酸基当量は通常250〜2,000、好ましくは300〜1,500であり、官能基数は通常2〜4、好ましくは2〜3であり、とくに2が好ましい。
【0029】
(a221)としては、前記(a21)にAOが付加した構造の化合物が挙げられる。該(a221)の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン(ブロックおよび/またはランダム)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシブチレン−ポリオキシエチレン(ブロックおよび/またはランダム)グリコール、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレン(ブロックおよび/またはランダム)グリコール、ビスフェノールAのEOおよび/またはPO付加物、およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0030】
(a222)としては、(1)前記(a21)および/または(a221)とジカルボン酸との縮合重合によるもの;(2)前記(a21)および/または(a221)にラクトンモノマーを開環付加したもの;(3)前記(a21)および/または(a221)と炭酸ジエステル(炭酸ジメチル、炭酸エチレンなど)との縮合重合によるもの;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。該(a221)としては水酸基当量が500以下のものが好ましい。
【0031】
上記(1)のジカルボン酸の具体例としては、炭素数4〜15の脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸およびフマル酸など)、炭素数8〜15の芳香族ジカルボン酸[テレフタル酸およびイソフタル酸など]、これらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステルおよび酸ハライド(酸クロライド等)など]並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0032】
上記(2)のラクトンモノマーとしては、炭素数4〜12のラクトンたとえばγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0033】
該(a222)の具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(ジエチレングリコール)イソフタレートジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0034】
(a223)としては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、これらの部分もしくは完全水素化物(水素化率;たとえば20〜100%)およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0035】
これらの(a22)のうちで好ましいものは(a221)および(a222)であり、(a222)がより好ましい。
【0036】
(a2)の平均水酸基当量は通常100〜1,500、好ましくは200〜1,000である。また(a)中の(a1)と(a2)の重量割合は通常(40〜90):(10〜60)、好ましくは(50〜85):(15〜50)である。
【0037】
有機ポリイソシアネート(b)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様
)2〜12の脂肪族ポリイソシアネート[エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、リジンジイソシアネートおよび2,6−ジイソシアナトエチルカプロエート等];炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネートおよびメチルシクロヘキシレンジイソシアネート等];炭素数8〜12の芳香脂肪族ポリイソシアネート[キシリレンジイソシアネート(XDI)およびα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等];芳香族ポリイソシアネート[トリレンジイソシアネート(TDI)、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびナフチレンジイソシアネート等];これらの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ウレタン基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基などを含有する変性物);並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0038】
該(b)のうち好ましいものは耐光性の観点から非芳香族ポリイソシアネートであり、さらに好ましいものは脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環式ポリイソシアネート、とくにHDI、IPDIおよび水添MDIである。
【0039】
必要により停止剤を用いることができる。該停止剤としては1価アルコールおよびモノアミンが挙げられる。1価アルコールの具体例としては、炭素数1〜10の脂肪族1価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、エチルセロソルブおよびエチルカービトールなど)、炭素数6〜10の脂環式1価アルコール
(シクロヘキサノールなど)、炭素数7〜20の芳香環含有1価アルコール[ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルベンゼン、1価フェノール類(フェノール、クレゾールなど)の(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜4、重合度1〜5)エーテルなど]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。モノアミンの具体例としては、アルキル基の炭素数1〜10のモノ−およびジアルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミンおよびジ−n−ブチルアミンなど)、炭素数6〜10の脂環式モノアミン(シクロヘキシルアミンなど)、炭素数6〜15の芳香環含有モノアミン(ベンジルアミンおよびアニリンなど)、炭素数4〜10の複素環式モノアミン(モルホリンなど)、ヒドロキシアルキル基の炭素数2〜4のモノ−およびジアルカノ
ールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびジイソプロパノールアミンなど)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂肪族1価アルコールおよびモノ−およびジアルキルアミンである。
【0040】
ポリウレタン樹脂(A)の製造方法はとくに限定されず、ワンショット法でもプレポリマー法でもよい。製造方法としてはたとえば下記の方法が例示できる。
1)(a1)、(a21)、(a22)および(b)を一括して反応させる方法;
2)(a21)および(a22)と(b)とを反応させてイソシアネート(NCO)基末端プレポリマーを形成させ、これに(a1)および必要により停止剤を反応させる方法;
3)予め(a22)と(b)とを反応させ、これにさらに(a1)を反応させてNCO基末端プレポリマーを形成させ、これに(a21)および必要により停止剤を加えて鎖伸長する方法;
4)(a1)および(a22)と(b)とを反応させてNCO基末端プレポリマーとし
、これに(a21)および必要により停止剤を加えて鎖伸長する方法;
5)(a1)と(b)を反応させてNCO基末端プレポリマーを形成させ、これに(a21)、(a22)および必要により停止剤を反応させる方法。
上記の方法で停止剤を用いる場合のその添加時期はプレポリマーの鎖伸長と同時でも鎖伸長後でもよい。上記方法のうちでは溶解性の良好な(A)が安定的に得られる点で2)、3)および4)の方法が好ましい。
【0041】
また、上記の方法は、有機溶剤の存在下でも非存在下でも実施できる。
有機溶剤存在下での反応に使用できる有機溶剤としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンメチルイソブチルケトンなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなど)、エーテル類(テトラハイドロフランなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなど)、多価アルコール誘導体(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)スルホキサイド類(ジメチルスルホキサイドなど)およびこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。これらのうち好ましいものはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、テトラハイドロフラン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルおよびこれらの2種以上の混合溶剤である。溶剤の使用量は該ポリウレタン樹脂(A)と溶剤の重量比が通常100/0〜10/90、好ましくは80/20〜20/80の範囲になる量である。
【0042】
(A)の製造に際しては、反応を促進するために必要によりポリウレタンに通常用いられる触媒を使用することができる。該触媒としては、有機金属化合物[例えばジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、オクタン酸鉛、オクタン酸ビスマス];3級アミン[例えばトリエチレンジアミン、アルキル基の炭素数1〜8のトリアルキルアミン(例えばトリエチルアミン)、ジアザビシクロアルケン類(例えば1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7)];およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。触媒の使用量は(A)の重量に基づいて通常2%以下、好ましくは0.001〜1%である。
【0043】
(A)の製造に当たっての(b)のNCO基と(a)[(a1)と(a2)の合計]の活性水素含有基の当量比は、通常(0.7〜1.2):1、好ましくは(0.8〜1.1
):1である。
【0044】
また、(a1)の割合は、製造されてできる(A)の質量に基づいて、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜70%である。
(a1)が20%以上であるとオレフィン基材への接着性がさらに良好である。また、80%以下であるとポリエステルフィルムやナイロンフィルムとの接着性がさらに良好である。
【0045】
(A)のMnは通常2,000〜50,000、好ましくは2,500〜30,000である。該(A)の末端は、NCO基でも水酸基、カルボキシル基、アミノ基または停止剤で末端封止したものでもよいが、保存安定性の点で好ましいのは水酸基、カルボキシル基、アミノ基または停止剤で末端封止したものである。
【0046】
本発明の印刷インキ組成物は本発明の印刷インキ用バインダーの他に副成分として、以下の樹脂(C)をバインダーとして含有することができる。 (C)としては、例えば、本発明以外のポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体、マレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、ケトンレジン等が挙げられる。(C)の配合量は、(A)の質量に対し、通常60%以下、好ましくは0.1〜50%である。
【0047】
本発明の印刷インキ組成物は、着色剤として、一般に印刷インキで使用可能な有機、無機、あるいは体質顔料を用いることができる。また、必要に応じて、耐摩耗性向上剤、可塑剤、架橋剤、並びにインキ流動性および顔料分散性を改良するための界面活性剤を添加することができる。
【0048】
本発明の印刷インキ組成物は、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの通常の印刷インキ製造装置を用いて上記の成分を混練することにより製造することができる。
【0049】
また、本発明のバインダーは、いわゆる一液型印刷インキ用として使用してもよいが、ポリイソシアネート系硬化剤と併用して二液型印刷インキ用として使用することもできる
。この場合のポリイソシアネート系硬化剤としては、
例えばトリメチロールプロパン1モルと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネート3モルから合成されるアダクト体;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートのイソシアネート基の環状三量化によって合成されるイソシアヌレート基含有の三量体;水1モルと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート3モルから合成される部分ビュレット反応物およびこれらの二種以上の混合物が好適である。添加量はインキに対して、通常0.5〜10%である。
【0050】
本発明のインキ用バインダーは、ポリエステル、ナイロンおよびポリオレフィン等の各種プラスチックフィルムとの接着性に優れるので、これらフィルムの印刷インキ用バインダーとして好適に用いることができる。

【実施例】
【0051】
以下、本発明を製造例および実施例により説明するが、本発明はこれら製造例および実施例に限定されるものでは
ない。以下において、「部」は質量部を示す。

【0052】
製造例1−1
攪拌装置および温度計を備えた反応容器に、190℃における溶融粘度は8,000mPa・s、結晶化度が10%以下、Mnが5,200のポリプロピレン〔商品名;ウベタ
ックUT−2180、宇部レキセン(株)製〕2,000部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、攪拌下に330℃に昇温し1時間維持した後冷却し、Mnが1,000の熱減成低分子量ポリプロピレン(PA−1)を1600部得た。(PA−1)の二重結合含有量は1000炭素原子あたり14個であった。
Mnの測定条件は以下の通りである(以下、Mnは同じ条件で測定するものである)。
装置 :高温ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
溶媒 :オルトジクロロベンゼン
基準物質 :ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel MIXED−B
カラム温度 :135℃

【0053】
製造例1−2
加圧反応容器に、(PA−1)500部、無水マレイン酸60部およびキシレン10部を仕込み、窒素ガス雰囲気下にて200℃で10時間反応させた。その後、180℃、
20mmHgの減圧下で1時間かけて、キシレンおよび未反応の無水マレイン酸を留去し、マレイン酸変性ポリプロピレン(PM−1)を510部得た。該(PM−1)の酸価は102であった。同様の反応容器に、該(PM−1)500部および2−アミノエタノ
ール57部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。次いで180℃
、20mmHgの減圧下で未反応の2−アミノエタノールを留去し、水酸基含有変性ポリプロピレン(PP−1)を520部得た。該(PP−1)の水酸基価は49、酸価は0.1であった。
【0054】
製造例1−3
ポリネオペンチルアジペートジオール(水酸基価56.1)175部、(PP−1)325部、イソホロンジイソシアネート91.7部およびジオクチル錫ジラウレート0.05部を、製造例1−1と同様の反応容器に仕込み、110℃で8時間反応させ、NCO含量が2.61%のウレタンプレポリマーを591部得た。次にトルエン1,165部を加えて均一に溶解した後、イソホロンジアミン29.5部とジ−n−ブチルアミン2.8部とイソプロパノール291部とからなる混合物を前記ウレタンプレポリマーのトルエン溶液に投入し、50℃で1時間反応させ、ポリウレタン樹脂の質量に基づいて、
52%の(PP−1)から構成されるポリウレタン樹脂2070部が得られ、該樹脂のMnは14,000、樹脂分濃度(溶剤以外の成分の濃度)が30%、粘度が1,500mPa・s/20℃のポリウレタン樹脂溶液(A−1)を得た。
【0055】
製造例2
ポリネオペンチルアジペートジオール(水酸基価56.1)100部、(PP−1)400部、イソホロンジイソシアネート91.7部およびジオクチル錫ジラウレート0.05部を、製造例1−1と同様の反応容器に仕込み、110℃で8時間反応させ、NCO含量が2.56%のウレタンプレポリマーを590部得た。次にトルエン1,160部を加えて均一に溶解した後、イソホロンジアミン28.8部とジ−n−ブチルアミン2.7部とイソプロパノール290部とからなる混合物を前記ウレタンプレポリマーのトルエン溶液に投入し、50℃で1時間反応させ、ポリウレタン樹脂の質量に基づいて、
64%の(PP−1)から構成されるポリウレタン樹脂2070部が得られ、該樹脂のMnは12,000、樹脂分濃度(溶剤以外の成分の濃度)が30%、粘度が1,500mPa・s/20℃のポリウレタン樹脂溶液(A−2)を得た。
【0056】
比較製造例1
ポリネオペンチルアジペートジオール(水酸基価56.1)500部、イソホロンジイソシアネート99.9部およびジオクチル錫ジラウレート0.05部を、製造例1−1と同様の反応容器に仕込み、110℃で8時間反応させ、NCO含量が2.80%のウレタンプレポリマーを600部得た。次にトルエン1185部を加えて均一に溶解した後、イソホロンジアミン32.4部とジ−n−ブチルアミン2.5部とイソプロパノール296部とからなる混合物を前記ウレタンプレポリマーのトルエン溶液に投入し、50℃で1時間反応させ、該樹脂のMnは12,000、樹脂分濃度(溶剤以外の成分の濃度)が30
%、粘度1500mPa・s/20℃のポリウレタン樹脂溶液(B−1)を得た。
【0057】
実施例1
ポリウレタン樹脂溶液(A−1)42.3部、酸化チタン(ルチル型)20部、トルエン30部からなる混合物をペイントコンディショナー(レッドデビル社製)にて1時間混練してインキを作成した。得られた印刷インキを使用してグラビア校正機にてPETフィルム、ナイロンフィルムおよびOPPフィルムに印刷した。得られた印刷物について接着性の性能試験を行った。
【0058】
実施例2
(A−1)のかわりに、(A−2)を用いること以外は実施例と同様にして印刷インキを作成し接着性の性能試験を行った。
【0059】
比較例1
実施例1の(A−1)を使用するかわりに塩素化ポリプロピレン(日本製紙(株)製「スーパークロン892L」塩素含有率22%、樹脂分20%)(B−2)を63.5部使用し、トルエンを8.8部にした以外は実施例1と同様にして印刷インキを作成し、実施例1と同様の評価を行った。
【0060】
比較例2
実施例1の(A−1)を使用するかわりにポリウレタン樹脂溶液(B−1)を42.3部使用した以外は実施例1と同様にして印刷インキを作成し、実施例1と同様の評価を行った。
【0061】
比較例3
実施例1の(A−1)を使用するかわりに塩素化ポリプロピレン(B−2)31.8部および(B−1)21.2部を使用し、トルエンを19.3部とした以外は実施例1と同様にして印刷インキを作成し、実施例1と同様の評価を行った。
【0062】
性能試験項目と試験方法
接着性:印刷面にニチバンセロテープ(12mm巾)を貼り、このニチバンセロテープの一端を印刷面に対して直角方向に急速に引きはがした時の印刷面の状態を観察した。
◎;インキが全く剥離しないもの。
○;インキがフィルムから剥離した面積がテープ接着面積の30%未満のもの。
△;インキがフィルムから剥離した面積がテープ接着面積の30〜70%のもの。
×;インキがフィルムから剥離した面積がテープ接着面積の70%を超えるもの。
【0063】


【表1】



【0064】
上記から明らかなように、本発明の印刷インキ用バインダーは、比較例のものに比べて
、いずれのフィルムに対しても接着性に優れた印刷インキを提供する。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の印刷インキ用バインダーは、非塩素系であり環境汚染の恐れが無く、しかもポリエステル、ナイロンおよびポリオレフィン等の多種類のフィルムに対して接着性に優れるので、各種のフィルムに汎用的に使用できる印刷インキ用のバインダーとして利用できる。













【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基、水酸基、1級アミノ基および2級アミノ基から選ばれる1種以上の官能基を有する変性ポリオレフィン(a1)並びにポリオール(a2)を含む活性水素成分(a)と有機ポリイソシアネート(b)とから製造されるポリウレタン樹脂(A)を含有することを特徴とする印刷インキ用バインダー。

【請求項2】
(a1)が、低結晶性ポリオレフィンの熱減成物を変性して得られる変性ポリオレフィンであって、低結晶性ポリオレフィンが、400〜9,000mPa・sの190℃での溶融粘度と0〜40%の結晶化度を有するポリオレフィンある請求項1記載の印刷インキ用バインダー。

【請求項3】
請求項1または2記載の印刷インキ用バインダーを含有する印刷インキ組成物。































【公開番号】特開2006−274048(P2006−274048A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−95301(P2005−95301)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】