説明

印刷システム、制御装置

【課題】連続する記録媒体でのフラッシュ定着に起因する皺の発生を抑制することのできる印刷システムを提供する。
【解決手段】印刷システムは、連続する記録媒体の一方の面に画像を印刷する第1の印刷装置と、該第1の印刷装置よりも記録媒体の搬送方向の下流側に配置され当該記録媒体の他方の面に画像を印刷する第2の印刷装置とを備える。第2の印刷装置は、第1の印刷装置の定着手段によるトナー像の定着が実施された記録媒体に関し、当該第2の印刷装置の転写手段によるトナー像の転写が実施される前に、当該記録媒体にかかわる基準の幅に対する変位量を検知する検知手段と、検知手段によって検知された変位量に応じて第1の印刷装置の定着手段にかかわる複数のフラッシュランプの発光タイミングを制御する制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式で画像を形成するプリンタでは、粉体のトナーにより形成したトナー像を記録媒体上に転写した後に、トナー像を転写した記録媒体(記録媒体上の粉体トナー)に定着エネルギーを加え、粉体トナーを溶融させることで記録媒体上にトナー像を定着させている。
【0003】
上述したプリンタには、定着エネルギーを与える定着方法として、非接触型定着方法を採用するものもある。非接触型定着方法としては、フラッシュランプによるフラッシュ光を使用したフラッシュ定着方法が知られている。
【0004】
このフラッシュ定着方法を採用したフラッシュ定着装置においては、モノクロ印刷あるいはカラー印刷のいずれの場合にも、記録媒体に対して非接触で定着が行われる。
【0005】
また、このようなフラッシュ定着装置を備えるプリンタでは、記録媒体に対して非接触で定着を行うため、例えば薄紙、厚紙、コート紙、圧着はがき等、各種の記録媒体が使用される。
【0006】
なお、フラッシュ定着方法を採用した定着装置あるいはプリンタとしては、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−161084号公報
【特許文献2】特開2008−009320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、連続する記録媒体でのフラッシュ定着に起因する皺の発生を抑制することのできる印刷システム、制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の印刷システムは、連続する記録媒体の一方の面に画像を印刷する第1の印刷装置と、該第1の印刷装置よりも記録媒体の搬送方向の下流側に配置され当該記録媒体の他方の面に画像を印刷する第2の印刷装置とを有し、前記第1の印刷装置および前記第2の印刷装置は、前記記録媒体にトナー像を転写する転写手段と、複数のフラッシュランプを備え当該フラッシュランプから発光されるフラッシュ光により前記記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、を有し、前記第1の印刷装置の前記定着手段によるトナー像の定着が実施された前記記録媒体に関し、前記第2の印刷装置の前記転写手段によるトナー像の転写が実施される前に、当該記録媒体にかかわる基準の幅に対する変位量を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された前記変位量に応じて前記第1の印刷装置の前記定着手段にかかわる前記複数のフラッシュランプの発光タイミングを制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記第1の印刷装置の前記定着手段は、前記複数のフラッシュランプに対応して、一つのフラッシュランプの発光時間内に発光する複数のフラッシュランプで構成されるフラッシュランプ群が複数形成され、前記制御手段は、先行する前記フラッシュランプ群の発光タイミングと後続する前記フラッシュランプ群の発光タイミングとの間の発光間隔を制御する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、前記第1の印刷装置は本印刷を実施する前に予め設定される印刷率で調整印刷を実施し、前記制御手段は当該調整印刷が実施された前記記録媒体についての前記検知手段によって検知された前記変位量に応じて前記発光タイミングを制御し、その後、前記第1の印刷装置は本印刷を開始する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記第1の印刷装置による本印刷が実施されている前記記録媒体についての前記検知手段によって検知された前記変位量に応じて前記発光タイミングを制御する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1〜4の何れか一項に記載の発明において、前記第1の印刷装置は本印刷の終了直後に予め設定される印刷率で調整印刷を実施する、ことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため、請求項6に記載の本発明の制御装置は、複数のフラッシュランプから発光されるフラッシュ光により連続する記録媒体の一方の面に転写されたトナー像を定着させる定着手段によってトナー像の定着が実施された前記記録媒体に関し、当該記録媒体の他方の面に対するトナー像の転写が実施される前に、当該記録媒体にかかわる基準の幅に対する変位量を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された前記変位量に応じて前記定着手段にかかわる前記複数のフラッシュランプの発光タイミングを制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、連続する記録媒体でのフラッシュ定着に起因する皺の発生を抑制することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、連続する記録媒体にかかわる基準の幅に対する変位量に応じて、第1の印刷装置の定着手段の複数のフラッシュランプ群の発光による発光強度を制御することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、連続する記録媒体における本印刷が実施される部分でのフラッシュ定着に起因する皺の発生を抑制することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、本印刷中に発光タイミングを調整し、連続する記録媒体における本印刷が実施される部分でのフラッシュ定着に起因する皺の発生を抑制することができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、連続する記録媒体における最終のページでのフラッシュ定着に起因する皺の発生を抑制することができる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、連続する記録媒体でのフラッシュ定着に起因する皺の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係る印刷システムの構成を示す構成図である。
【図2】実施の形態に係る第1の印刷装置の構成を示す構成図である。
【図3】実施の形態に係る第1の印刷装置に設けられるフラッシュ定着装置の構成を示す構成図である。
【図4】実施の形態に係る第1の印刷装置に設けられるフラッシュ定着装置の制御系を示す構成図である。
【図5】実施の形態に係る第2の印刷装置に設けられるフラッシュ定着装置の構成を示す構成図である。
【図6】実施の形態に係る第2の印刷装置に設けられる検知装置の構成を示す斜視図である。
【図7】実施の形態に係る検知装置の用紙幅センサ部を説明する図である。
【図8】実施の形態に係る第2の印刷装置に設けられる制御装置の構成を示す構成図である。
【図9】実施の形態に係る制御装置のフラッシュディレイ設定テーブルの一例を示す図である。
【図10】実施の形態に係る第1の印刷装置および第2の印刷装置に設けられるフラッシュ定着装置に使用されるフラッシュランプの発光強度の推移を説明する図である。
【図11】実施の形態に係る制御装置による発光タイミングの制御を説明する図である。
【図12】実施の形態に係る制御装置による発光タイミング制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態に係る制御装置による発光タイミング制御処理の処理過程を説明する図である。
【図14】実施の形態に係る印刷システムによる印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態に係る印刷システムによる印刷処理の処理過程を説明する図である。
【図16】実施の形態に係る印刷システムによる印刷処理が実施された場合の連続紙の様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
印刷システム1は、図1に示すように、第1の印刷装置10、第2の印刷装置20、前処理機30、アージユニット40,60、ターン装置50、後処理機70を備えている。
【0024】
印刷システム1は、コンピュータ80によって通信手段の一例としてのネットワーク90を介して、当該印刷システム1を構成する各装置の動作が制御される。なお、コンピュータ80は、ネットワーク90を介して、第1の印刷装置10、第2の印刷装置20、前処理機30、アージユニット40,60、ターン装置50、後処理機70に接続されている。
【0025】
第1の印刷装置10は、画像形成部100とフラッシュ定着装置200と画像形成制御部600と主制御部700とを有し、連続する記録媒体Pの一方の面(表面)に画像を印刷する。
【0026】
第2の印刷装置20は、第1の印刷装置10の搬送方向(図中矢印1Aの方向)の下流側に配置されており、第1の印刷装置10と同様の画像形成部100、画像形成制御部600および主制御部700と、フラッシュ定着装置300と、検知装置400とを有し、第1の記録装置10から排出される記録媒体Pの他方の面(裏面)に画像を印刷する。
【0027】
また、第2の印刷装置20は、第1の印刷装置10による印刷により発生する記録媒体Pの皺の発生を抑制するための制御を行う制御装置500を有している。
【0028】
なお、第1の印刷装置10および第2の印刷装置20の各構成要素の詳細については後述する。
【0029】
前処理機30は、連続した記録媒体Pとしての用紙(連続紙)Pが巻かれた図示しないロール(連続紙ロール)を備え、この連続紙ロールに巻かれた連続紙Pを第1の印刷装置10に向けて供給する。この連続紙Pは、図中矢印1Aで示される搬送方向に搬送されるようになっている。
【0030】
アージユニット40は、前処理機30と第1の印刷装置10との間の用紙搬送経路で連続紙Pに対して規定量のたるみを持たせ、前処理機30と第1の印刷装置10との紙送り速度差を吸収する。アージユニット40を介して第1の印刷装置10の装置内へ挿入された連続紙Pは巻掛ローラ11,12に巻き掛けられ、第1の印刷装置10の装置内を横切るように形成された搬送路を予め設定された速度で搬送される。
【0031】
ターン装置50は、第1の印刷装置10から排出された連続紙Pの表面と裏面とを反転させる。
【0032】
アージユニット60は、ターン装置50と第2の印刷装置20との間の用紙搬送経路で連続紙Pに対して規定量のたるみを持たせ、ターン装置50と第2の印刷装置20との紙送り速度差を吸収する。アージユニット50を介して第2の印刷装置20の装置内へ挿入された連続紙Pは巻掛ローラ21,22に巻き掛けられ、第2の印刷装置20の装置内を横切るように形成された搬送路を予め設定された速度で搬送される。
【0033】
後処理機70は、図示しないロール(巻取ロール)を備え、第2の印刷装置20から排出された連続紙Pをその巻取りロールに巻き取る。
【0034】
次に、第1の印刷装置10の各構成要素の詳細について説明する。
【0035】
最初に、画像形成部100、画像形成制御部600および主制御部700について、図2を参照して説明する。
【0036】
画像形成部100は、カラー印刷に対応するものであり、図2に示すように、4つの画像形成ユニット110K,110C,110M,110Yを備えている。これら画像形成ユニット110K,110C,110M,110Yは、連続紙Pの長手方向に沿って予め設定された間隔で配設されている。
【0037】
画像形成ユニット110Kはブラック(K)色のトナー像を連続紙Pに形成し、画像形成ユニット110Cはシアン(C)色のトナー像を連続紙Pに形成し、画像形成ユニット110Mはマゼンタ(M)色のトナー像を連続紙Pに形成し、画像形成ユニット110Yはイエロー(Y)色のトナー像を連続紙Pに形成する。
【0038】
画像形成ユニット110Kは、像保持体としての感光体ドラム111Kと、感光体ドラム111Kの表面を予め設定された電位に帯電させる帯電器112Kと、帯電された感光体ドラム111Kの表面を画像情報に基づいて露光する露光器113Kと、感光体ドラム111Kの表面に形成された静電潜像を各々が担当する色のトナーにより現像する現像器114Kと、感光体ドラム111Kの表面に形成されたトナー像を連続紙Pに転写する転写手段としての転写部115Kとを有している。
【0039】
他の画像形成ユニット110C,110M,110Yも、画像形成ユニット110Kと同様の構成になっている。なお、各画像形成ユニット110C,110M,110Yの各構成要素には、110に「C」、「M」または「Y」の記号を付加した符号を付す。
【0040】
連続紙Pには、K色のトナー像、C色のトナー像、M色のトナー像、Y色のトナー像の順にトナー像が重ねられて転写されることになる。なお、本実施の形態では、このようにして転写された4色のトナー像を最終トナー像と称する。
【0041】
最終トナー像が転写された連続紙Pには、画像形成ユニット110Yよりも連続紙Pの搬送方向の下流側に配設されるフラッシュ定着装置200によってフラッシュ定着が施される。これにより最終トナー像が連続紙Pに定着されて、連続紙Pの表面に画像が形成される。
【0042】
画像形成制御部600は、K色の画像データに従って画像形成ユニット110Kを制御するK色画像形成制御部600K,C色の画像データに従って画像形成ユニット110Cを制御するC色画像形成制御部600C,M色の画像データに従って画像形成ユニット110Mを制御するM色画像形成制御部600M,Y色の画像データに従って画像形成ユニット110Yを制御するY色画像形成制御部600Yを有している。
【0043】
4つの画像形成ユニット110K,110C,110M,110Yは、それぞれK色画像形成制御部600K,C色画像形成制御部600C,M色画像形成制御部600M,Y色画像形成制御部600Y
による制御に従って画像を形成する。
【0044】
主制御部700は、コンピュータ80から送信される画像情報や制御情報を取得し、これらの情報を基に、画像形成制御部600およびフラッシュ定着装置200を制御する。例えば、主制御部700は、コンピュータ80からの画像情報つまりページ記述言語データ(PDLデータ)をラスタデータ(ページデータ)に変換するとともに、このラスタデータについて色変換など画像処理を行い、この画像処理の結果を本印刷用の画像データとして画像形成制御部600へ出力する。
【0045】
また、主制御部700は、予め設定される印刷率(本印刷と同程度の印刷率)の画像パターン情報を保持しており、コンピュータ80からの画像情報を取得したときは、前記画像パターン情報を基に画像データ(ラスタデータ)を生成するとともに、この生成した画像データを調整印刷用の画像データとして画像形成制御部600へ出力する。
【0046】
次に、フラッシュ定着装置200について、図3および図4を参照して説明する。
【0047】
フラッシュ定着装置200は、定着手段として機能するものであり、図2に示すように、画像形成ユニット110Yよりも連続紙Pの搬送方向の下流側に配設された巻掛ローラ13と後段の巻掛ローラ14との間に、連続紙Pにおける最終トナー像が転写された面と対向するように配設されている(図1参照)。
【0048】
また、フラッシュ定着装置200は、図3に示すように、フラッシュ定着ユニット210と制御系220とを有している。
【0049】
フラッシュ定着ユニット210は、記録媒体Pに転写されたト最終ナー像を定着させる(トナーを溶融させる)エネルギーを供給するためのフラッシュ光を発する8本のフラッシュランプ211A〜211Hを備えている。
【0050】
各フラッシュランプ211A〜211Hは、長手方向が連続紙Pの幅方向(連続紙Pの搬送方向に直交する方向)に沿うように向けられ、連続紙Pの搬送方向に沿って予め設定された間隔で配置されている。
【0051】
連続紙Pの搬送路側から見てフラッシュランプ211A〜211Hの背面側には、8本のフラッシュランプ211A〜211Hの背面側を包囲すると共に前面側(搬送路側)に開口が形成された形状とされ、フラッシュランプ211A〜211Hから背面側へ射出されたフラッシュ光を搬送路側へ反射する反射板212が設けられている。
【0052】
また、フラッシュランプ211A〜211Hの前面側(搬送路側)にはカバーガラス213が設けられている。カバーガラス213は反射板212の開口を閉止するように設けられており、このカバーガラス213によってフラッシュ定着ユニット210の内部への塵埃等の侵入が阻止される。
【0053】
実施の形態では、8本のフラッシュランプ211A〜211Hのうち、フラッシュランプ211Aとフラッシュランプ211Cとを、またフラッシュランプ211Bとフラッシュランプ211Dとを、またフラッシュランプ211Eとフラッシュランプ211Gとを、さらにフラッシュランプ211Fとフラッシュランプ211Hとを、それぞれ1つのグループとみなし、制御系220によってグループ毎にフラッシュランプを点灯させるようにする。すなわち、1つのグループに属する2本のフラッシュランプは、同じタイミングで点灯(発光)されるように制御される。
【0054】
フラッシュランプ211Aおよびフラッシュランプ211Cを「第1のフラッシュランプグループ(以下「FG1」という。)とし、またフラッシュランプ211Eおよびフラッシュランプ211Gを「第2のフラッシュランプグループ(以下「FG2」という。)とし、またフラッシュランプ211Bおよびフラッシュランプ211Dを「第3のフラッシュランプグループ(以下「FG3」という。)とし、さらにフラッシュランプ211Fおよびフラッシュランプ211Hを「第4のフラッシュランプグループ(以下「FG4」という。)とする。
【0055】
また、FG1およびFG2を第1のフラッシュランプ群と定義し、またFG3およびFG4を第2のフラッシュランプ群と定義する。
【0056】
制御系220は、図4に示すように、フラッシュランプグループ毎に設けられる電源回路221およびトリガ回路222と、フラッシュ発光制御部223とを有する。
【0057】
フラッシュランプグループに属する2本のフラッシュランプの両端は電源回路221に接続されており、当該2本のフラッシュランプのトリガ電極はトリガ回路222に接続されている。
【0058】
電源回路221は、2本のフラッシュランプの両端に予め設定される電圧(フラッシュ電圧)を印加する。トリガ回路222は、フラッシュ発光制御部223からの制御信号に従ってトリガ信号を前記2本のフラッシュランプのトリガ電極へ出力する。これにより、トリガ信号を与えられた2本のフラッシュランプは発光する。
【0059】
フラッシュ発光制御部223は、フラッシュ定着ユニット210の動作を制御するとともに、第2の印刷装置20に設けられる後述する制御装置500からの制御信号に従って、フラッシュランプグループ毎のトリガ回路222に対しフラッシュランプの発光のための制御信号を出力する。なお、フラッシュ発光制御部223は、例えばCPU(中央演算処理装置)で構成される。
【0060】
次に、第2の印刷装置20の各構成要素の詳細について説明する。
【0061】
画像形成部100、画像形成制御部600および主制御部700は、第1の印刷装置10と同様なので、ここではその詳細な説明は省略する。なお、第2の印刷装置20の主制御部700は、予め設定される印刷率(印字率)の画像パターン情報を保持しておらず、調整印刷用の画像データは生成しない。すなわち、第2の印刷装置20では、調整印刷は行われない。
【0062】
最初に、フラッシュ定着装置300について、図5を参照して説明する。
【0063】
フラッシュ定着装置300は、定着手段として機能するものであり、フラッシュ定着装置200と同様に、図2に示すように、画像形成ユニット110Yよりも連続紙Pの搬送方向の下流側に配設された巻掛ローラ23と後段の巻掛ローラ24との間に、連続紙Pにおける最終トナー像が転写された面と対向するように配設されている(図1参照)。
【0064】
また、フラッシュ定着装置300は、図5(a)に示すように、フラッシュ定着ユニット310と制御系320とを有している。
【0065】
フラッシュ 定着ユニット310は、フラッシュ定着ユニット210と同様に、8本のフラッシュランプ311A〜311H、反射板312、およびカバーガラス313を備えている。なお、8本のフラッシュランプ311A〜311Hは、グループ化されておらず、各々のフラッシュランプが制御(発光のための制御)されるようになっている。
【0066】
制御系320は、図5(b)に示すように、フラッシュランプ毎に設けられる電源回路321およびトリガ回路322と、フラッシュ発光制御部323とを有する。
【0067】
フラッシュランプの両端は電源回路321に接続されており、当該フラッシュランプのトリガ電極はトリガ回路322に接続されている。
【0068】
電源回路321は、フラッシュランプの両端に予め設定される電圧(フラッシュ電圧)を印加する。トリガ回路322は、フラッシュ発光制御部323からの制御信号に従ってトリガ信号を前記フラッシュランプのトリガ電極へ出力する。これにより、トリガ信号を与えられたフラッシュランプは発光する。
【0069】
フラッシュ発光制御部323は、フラッシュ定着ユニット310の動作を制御するとともに、フラッシュランプ毎のトリガ回路322に対しフラッシュランプの発光のための制御信号を出力する。なお、フラッシュ発光制御部323は、例えばCPU(中央演算処理装置)で構成される。
【0070】
次に、検知装置400について、図6および図7を参照して説明する。
【0071】
検知装置400は、巻掛ローラ21よりも連続紙Pの搬送方向の下流側に配設されており(図1参照)、図6に示すように、ステッピングモータ410、ホームポジションセンサ420、用紙幅センサ部430およびモータ駆動部440を備えている。
【0072】
ステッピングモータ410は、予め設定された位置に設置されており、モータ駆動部440からのパルス信号に従って回転する。
【0073】
ステッピングモータ410が回転することに起因してその駆動力がベルト411に伝達されると、用紙幅センサ部430は、連続紙Pの幅方向(連続紙Pの搬送方向に直交する方向)と同じ方向(図6中矢印1Bで示される方向)に移動されるようになっている。
【0074】
すなわち、用紙幅センサ部430は、連続紙Pにおける第1の印刷装置10によって画像が印刷された面(表面)を見た場合の連続紙Pの幅方向における右側の用紙端(端部)PRに近接する方向に移動されるとともに、予め設定されるホームポジションの方向(連続紙Pの用紙端PLとは反対の方向)に向かって移動される。
【0075】
なお、連続紙Pは、図示しないアライニングローラにより連続紙Pの幅方向における左側の用紙端PLが図示しないサイドガイドに押し当てられるように搬送されるようになっている。そのため、連続紙Pの用紙端PLは位置の変動はない。
【0076】
ホームポジションセンサ420は、上記ホームポジションに対応する位置に配設され、用紙幅センサ部430がホームポジションに到達したことを検知する。例えば、ホームポジションセンサ420は反射型光センサで構成され、用紙幅センサ部430の筐体(ケース)におけるホームポジションセンサ420と対向する面には、連続紙Pの用紙端PRを検出する後述する用紙幅センサ435の検出位置に対応する位置に後述するマーク(検出用マーク)436が設けられている。そして、ホームポジションセンサ430は、ステッピングモータ410の回転に伴って移動されてくる用紙幅センサ430の検出用マーク436を検知する。
【0077】
用紙幅センサ部430は、図7(a)に示すように、コの字状の形状に形成されたケース431の凹部432の一方の側面の側には発光素子(発光ダイオード)433が設けられ、その他方の側面の側には受光素子(フォトトランジスタ)434が設けられている。これら発光素子433および受光素子434で用紙幅センサ435を構成している。
【0078】
用紙幅センサ435では、受光素子434は、発光素子433から発光された光を検出し、この検出結果を出力するとともに、連続紙Pの用紙端PRにより発光素子433から発光された光が遮光されたときは、その旨を出力する。
【0079】
また、用紙幅センサ部430のケース431におけるホームポジションセンサ420と対向する面431aには、図7(b)に示すように、発光素子433と受光素子434との間で形成される光路にかかわる連続紙Pの幅方向の位置(検出位置)に対応する位置に、検出用マーク436が設けられている。ホームポジションセンサ420が用紙幅センサ部430の検出用マーク436を検出したときは、用紙幅センサ部430(詳しくは用紙幅センサ435)はホームポジションに位置することになる。
【0080】
次に、制御装置500について、図8を参照して説明する。
【0081】
制御装置500は、図8に示すように、制御部510と、フラッシュディレイ設定テーブル520と、上記検知装置400とを有している。
【0082】
制御部510は、ステッピングモータ410の回転角度を表す回転角度信号、制御開始を指示するスタート信号、制御停止を指示する停止信号など制御信号をモータ駆動部440に供給するとともに、モータ駆動部440からのパルス数の情報を取得する。
【0083】
また、制御部510は、ホームポジションセンサ420からの検知結果(第1の検知結果)を取得するとともに、用紙幅センサ435からの検知結果(第2の検知結果)を取得し、これらの検知結果を基に連続紙Pにかかわる基準の幅に対する変位量を算出する。
【0084】
変位量の算出の詳細については後述するが、両面が白紙の連続紙Pが搬送されている状態において、用紙幅センサ430がホームポジションの位置から連続紙Pの用紙端PRの位置まで移動した場合の上記第2の検知結果であるステッピングモータ410のパルスの数(基準値)と、第1の印刷装置10による調整印刷が実施された連続紙Pが搬送されている状態において、用紙幅センサ430がホームポジションの位置から連続紙Pの用紙端PRの位置まで移動した場合の上記第2の検知結果であるステッピングモータ410のパルスの数の最大値との差(パルス数)を基に、変位量としての移動距離(長さ)が求められる。
【0085】
さらに、制御部510は、上記算出した変位量とフラッシュディレイ設定テーブル520の登録内容(図9参照)とを基に第1の印刷装置10のフラッシュ定着装置200に対する発光タイミングを制御する。なお、この発光タイミングの制御の詳細については後述する。
【0086】
モータ駆動部440は、制御部510からの制御信号を基にパルスを生成し、この生成したパルス信号をステッピングモータ410に与えるとともに、ステッピングモータ410に与えたパルスの数をカウントし、該カウント値(パルス数)を制御部510へ出力する。
【0087】
ステッピングモータ410は、モータ駆動部440から与えられるパルスに基づいて回転し、用紙センサ部430すなわち用紙センサ435を移動させる。
【0088】
なお、実施の形態では、制御部510は、CPU(中央演算処理装置)で構成され、フラッシュディレイ設定テーブル520は、ROM(読み出し専用メモリ)で構成される。
【0089】
また、実施の形態では、検知装置400と制御部510とで検知手段の機能を果たし、また制御部510は制御手段の機能を果たす。
【0090】
次に、フラッシュディレイ設定テーブル520について、図9を参照して説明する。
【0091】
フラッシュディレイ設定テーブル520は、図9に示すように、異なる用紙幅の複数の記録媒体と変位量Z(単位:mm)とに基づきディレイ情報(ディレイI,II,III)を求めるためのものである。
【0092】
符号521は、第1の記録媒体(連続紙)の用紙幅Aが「8.5インチ(inch)≦用紙幅A<11インチ(inch)」の範囲に含まれる場合における3つのディレイI,II,IIIに対応する変位量Zの範囲を示す。
【0093】
つまり「8.5インチ(inch)≦用紙幅A<11インチ(inch)」に含まれる用紙幅Aの第1の記録媒体については、算出された変位量Zに応じて3つのディレイI,II,IIIのうちの何れかのディレイ情報(ディレイ時間情報)が決定される。なお、第1の記録媒体は、上述した用紙幅の範囲に含まれる用紙幅Aの複数の記録媒体が含まれる。
【0094】
符号522は、第2の記録媒体(連続紙)の用紙幅Bが「11インチ(inch)≦用紙幅B<17インチ(inch)」の範囲に含まれる場合における3つのディレイI,II,IIIに対応する変位量Zの範囲を示す。
【0095】
つまり「11インチ(inch)≦用紙幅B<17インチ(inch)」の範囲に含まれる用紙幅Bの第2の記録媒体については、算出された変位量Zに応じて3つのディレイI,II,IIIのうちの何れかのディレイ情報(ディレイ時間情報)が決定される。なお、第2の記録媒体は、上述した用紙幅の範囲に含まれる用紙幅Bの複数の記録媒体が含まれる。
【0096】
符号523は、第3の記録媒体(連続紙)の用紙幅Cが「17インチ(inch)≦用紙幅C<19.5インチ(inch)」の範囲に含まれる場合における3つのディレイI,II,IIIに対応する変位量Zの範囲を示す。
【0097】
つまり「17インチ(inch)≦用紙幅C<19.5インチ(inch)」の範囲に含まれる用紙幅Cの第3の記録媒体については、算出された変位量Zに応じて3つのディレイI,II,IIIのうちの何れかのディレイ情報(ディレイ時間情報)が決定される。なお、第3の記録媒体は、上述した用紙幅の範囲に含まれる用紙幅Cの複数の記録媒体が含まれる。
【0098】
なお、図9に示すフラッシュディレイ設定テーブル520を参照して明らかなように、例えばディレイIの場合の如く、同一のディレイ情報が決定される場合であっても、記録媒体の用紙幅に応じて変位量Zの範囲が異なっている。
【0099】
ここで、FG1(第1のフラッシュランプグループ)、FG2(第2のフラッシュランプグループ)、FG3(第3のフラッシュランプグループ)、FG4(第4のフラッシュランプグループ)の順に発光させるものとし、FG1による発光の時点(この場合、ディレイ時間D1=0(ms))からFG2、FG3、FG4のそれぞれによる発光の時点までのフラッシュランプのディレイ時間(ms)をD2、D3、D4とした場合、ディレイ情報としてのディレイI、ディレイII、ディレイIIIは、次の内容になっている。
【0100】
ディレイIは、FG1、FG2、FG3、FG4の順に発光させる場合に、D1=0、D2=1、D3=4、D4=5、の各ディレイ時間(フラッシュランプの発光ディレイ時間)とする。この場合、第1のフラッシュランプ群(FG1およびFG2)と第2のフラッシュランプ群(FG3およびFG4)との間の発光間隔は「4ms」となる。
【0101】
ディレイIIは、FG1、FG2、FG3、FG4の順に発光させる場合に、D1=0、D2=1、D3=9、D4=10、の各ディレイ時間とする。この場合、第1のフラッシュランプ群と第2のフラッシュランプ群との間の発光間隔は「9ms」となる。
【0102】
ディレイIIIは、FG1、FG2、FG3、FG4の順に発光させる場合に、D1=0、D2=1、D3=14、D4=15、の各ディレイ時間とする。この場合、第1のフラッシュランプ群と第2のフラッシュランプ群との間の発光間隔は「14ms」となる。
【0103】
ちなみに、上記3つのディレイ情報において、FG1とFG2との間の発光間隔、およびFG3とFG4との間の発光間隔は、それぞれ「1ms」となる。
【0104】
実施の形態では、8本のフラッシュランプのうち、フラッシュランプグループ毎に、つまり2本のフラッシュランプずつ発光されるようになっている。
【0105】
また、図10に示すような1本のフラッシュランプの発光時間内(例えば1.5ms)において、2つのフラッシュランプグループすなわちFG1とFG2が、またはFG3とFG4が発光されるようになっている。
【0106】
このように、1本のフラッシュランプの発光時間内に、2つのフラッシュランプグループを発光させることにより、記録媒体(連続紙)上のトナー像でのボイドの発生が抑制され、かつ発光エネルギーの低下が抑制され効率的なエネルギー伝達が行われる。
【0107】
さらに、図11に示すように、先行するフラッシュランプ群つまり第1のフラッシュランプ群(FG1およびFG2)の発光タイミングと、後続するフラッシュランプ群つまり第2のフラッシュランプ群(FG3およびFG4)の発光タイミングとの間の発光間隔(発光タイミング時間)が制御されるようになっている。
【0108】
実施の形態において、このように第1のフラッシュランプ群と第2のフラッシュランプ群の発光タイミング時間つまり発光間隔を制御するのは、次の理由からである。
【0109】
例えば、上記用紙幅Aの第1の記録媒体と上記用紙幅Cの第3の記録媒体とで(用紙幅A<用紙幅Cの関係が成立する場合)、同じ変位量Zの場合であっても、第1の記録媒体の皺の大きさ(波の高さ)が、第3の記録媒体の皺の大きさ(波の高さ)に比較して大きくなるため、第1の記録媒体に対するフラッシュ定着のときは、第3の記録媒体に対するフラッシュ定着の場合に比較して、発光強度を小さくするためである。
【0110】
発光強度を可変するに際し、第1のフラッシュランプ群と第2のフラッシュランプ群とのフラッシュランプによる発光の発光間隔を可変するようにする。例えば、上記用紙幅Aの第1の記録媒体と上記用紙幅Cの第3の記録媒体とが、同じ変位量Z=0.5mmであるとする。この変位量Z=0.5mmの前提条件の下では、図9に示すフラッシュディレイ設定テーブル520において、上記用紙幅Aの第1の記録媒体に対してはディレイIIが適用され、一方、上記用紙幅Cの第3の記録媒体に対してはディレイIが適用されるようになっている。なお、「ディレイIの場合の発光間隔<ディレイIIの場合の発光間隔」の関係が成立する。
【0111】
次に、第2の印刷装置20内の制御装置400による第1の印刷装置内のフラッシュ定着装置200でのフラッシュ定着にかかわる発光タイミング制御処理について、図12を参照して説明する。
【0112】
制御装置400では、制御部510は、両面が白紙の連続紙Pが搬送されている状態において、モータ駆動部440に回転角度信号、スタート信号などの制御信号を与える。モータ駆動部440が前記制御信号を基にパルス信号を生成してステッピングモータ410に与えると、ステッピングモータ410が、与えられたパルス信号に従って回転する。
【0113】
ホームポジションセンサ420は、ステッピングモータ410がパルス信号に従って回転するのに伴って移動する用紙センサ部430(用紙センサ435)の検出用マーク436を検知し、この検知結果を制御部510へ出力する。
【0114】
制御部510は、図12に示すように、ホームポジションセンサ420からの検知結果を取得、つまり両面が白紙の連続紙Pが検知装置4000を通過中にホームポジションを検知したことを示す旨を取得する(ステップS101)。
【0115】
また、制御部510は、両面が白紙の連続紙Pが搬送されている状態においてモータ駆動部440に連続紙Pの用紙端PRの方向に向かって移動すべき旨の信号(ホームポジションの検知の場合の回転方向とは反対の回転方向である旨)を与える。モータ駆動部440は、前記制御信号を基にパルス信号を生成してステッピングモータ410に与えるとともに、ステッピングモータ410に与えたパルスの数(パルス数)を制御部510へ出力する。
【0116】
用紙幅センサ435は、ステッピングモータ410がモータ駆動部440から与えられるパルス信号に従って回転するのに伴って移動する用紙センサ部430ケース431の凹部432に連続紙Pが存在することに起因して、当該連続紙Pの用紙端PRを検知し、この検知結果を制御部510へ出力する。
【0117】
制御部510は、用紙幅センサ435からの検知結果を取得、つまり両面が白紙の連続紙Pが検知装置400を通過中に、連続紙Pの用紙端PRを検知したことを示す旨を取得するとともに(ステップS102)、用紙幅センサ435からの検知結果を取得したときのモータ駆動部440からのパルス数を取得する(ステップS103)。
【0118】
そして、制御部510は、図13に示すように、ステップS103において取得したパルス数を基準値=PNrefとし、このPNref(ステップS103で取得したパルス数)を基に両面が白紙の連続紙Pの幅サイズ(用紙幅)Wを算出する(ステップS104)。
【0119】
なお、ステップS103において、制御部510は、モータ駆動部440から出力されるパルス数を取得し、取得した複数のパルス数の中で用紙幅センサ435からの検知結果を取得したときのパルス数を基準値=PNrefとするようにしてもよい。
【0120】
さて、制御部510は、第1の印刷装置10によって予め設定された印刷単位(例えばページ単位)で調整印刷された連続紙Pが搬送され検知装置400を通過中に、ステップS101〜S103と同様の処理を実施する(ステップS105〜S107)。
【0121】
次に、制御部510は、用紙幅センサ435からの検知結果を取得した毎にモータ駆動部440から出力されたパルス数を取得した取得数が規定の数に達したか否か(規定の数分のパルス数を取得したか否か)を判断する(ステップS108)。
【0122】
さらに、制御部510は、ステップS108において、モータ駆動部440からのパルス数の取得数が規定の数に達していないと判断した場合にはステップS105に戻り、一方、前記パルス数の取得数が規定の数に達したと判断した場合は、図13に示すように取得した複数のパルス数の中で最大のパルス数をPNmaxとし、上記PNrefおよび前記PNmaxと、フラッシュディレイ設定テーブル520の登録内容(図9参照)とを基に、変位量Zの算出およびディレイ情報(3つのディレイI,II,IIIのうちの何れかのディレイ)の決定を行う(ステップS109)。
【0123】
そして、制御部510は、第1の印刷装置10のフラッシュ定着装置200のフラッシュ発光制御部223に対し、ステップS109で決定したディレイ情報を出力する(ステップS110)。すなわち、制御部510は、決定したディレイ情報を基に、第1の印刷装置10のフラッシュ定着装置200によるフラッシュ定着にかかわる発光タイミングを制御する。
【0124】
ここで、変位量Zの算出においては、制御部510は、PNmaxとPNrefとの差分(PNmax−PNref)の結果を基に得られる用紙幅センサ部430(の用紙幅センサ435)の移動距離(長さ)を変位量Z(単位:mm)とする。
【0125】
また、ディレイ情報の決定においては、制御部510は、ステップS109において算出した変位量Zと、ステップS104において算出した連続紙Pの用紙幅Wと、フラッシュディレイ設定テーブル520(図9参照)の登録内容とを基に、ディレイ情報を決定する。
【0126】
制御装置500の制御部510による第1の印刷装置10のフラッシュ定着装置200のフラッシュ発光制御部223に対する発光タイミングの制御が実施された後、本印刷が実施される。
【0127】
第1の印刷装置10のフラッシュ定着装置200によるフラッシュ定着にかかわるフラッシュ強度は、フラッシュ発光制御部223によって連続紙Pにおいて皺が発生しない領域に制御される。また、フラッシュ強度の可変をフラッシュランプに印加されるフラッシュ電圧を変更することなく発光強度を弱めることで、規定の定着強度が確保される。
【0128】
次に、印刷システム1による印刷処理について、図14を参照して説明する。
【0129】
印刷システム1では、第1の印刷装置10の主制御部700は、コンピュータ80から送信された画像情報(連続紙Pの表面に印刷するべき画像データ)を取得し、フラッシュ定着装置200および画像形成制御部600を制御するとともに、第2の印刷装置20の主制御部700は、コンピュータ80から送信された画像情報(連続紙Pの裏面に印刷するべき画像データ)を取得し、フラッシュ定着装置300および画像形成制御部600を制御する。
【0130】
第1の印刷装置10による画像の印刷のタイミングに同期して、前処理機30による連続紙Pの供給(送り出し)および後処理機70による連続紙Pの巻き取りが行われ、連続紙Pは、図1中矢印1Aで示される搬送方向に搬送される。
【0131】
第1の印刷装置10では、主制御部700は、コンピュータ80からの画像情報を取得したときは、予め設定される印刷率(印字率)の画像パターン情報を基に画像データ(ラスタデータ)を生成し、この生成した画像データを調整印刷用の画像データとして画像形成制御部600へ出力するとともに、前記取得した画像情報つまりページ記述言語データ(PDLデータ)をラスタデータ(ページデータ)に変換し、このラスタデータについて色変換など画像処理を行い、この画像処理の結果を本印刷用の画像データとして画像形成制御部600へ出力する。
【0132】
すると、画像形成部100は、画像形成制御部600から出力される調整印刷用の画像データおよび本印刷用の画像データに基づき、搬送される連続紙Pの表面に調整印刷を実施し、その後、本印刷を実施する。
【0133】
調整印刷の開始時においては、連続紙Pにおける少なくとも第1の印刷装置10の巻掛ローラ13と第2の印刷装置20の巻掛ローラ21との間の搬送経路(図1参照)に存在する部分は表面および裏面ともに白紙の状態となっている。
【0134】
そのため、第1の印刷装置10による調整印刷が行われ、表面に調整印刷用の画像が印刷された連続紙Pが第2の印刷装置20に向けて搬送された場合であっても、上述した搬送経路に存在する部分の連続紙Pは、表面および裏面ともに白紙の状態で搬送されることとなる。
【0135】
そこで、第2の印刷装置20では、制御装置500は、図14に示すように、図12に示した発光タイミング制御処理で説明したように、両面が白紙の連続紙Pが検知装置400を通過中に、ホームポジションの検知および連続紙Pの幅サイズ(用紙幅)Wの算出を実施する(ステップS201)。
【0136】
次に、制御装置500では、制御部510は、第1の印刷装置10による調整印刷が実施された連続紙Pが検知装置400を通過中に、連続紙Pの幅方向の収縮に応じた変位量Zの算出、ディレイ情報の決定を実施するとともに(ステップS202)、第1の印刷装置10のフラッシュ定着装置200のフラッシュ発光制御部223に対し、決定したディレイ情報を出力する(ステップS203)。
【0137】
ちなみに、ステップS201の処理は例えば図15に示す連続紙Pの区間T1において実施され、ステップS202,S203の処理は例えば図15に示す連続紙Pの区間T2において実施される。
【0138】
ところで、第1の印刷装置10は、調整印刷が終了した後、本印刷を開始する(ステップS204)。
【0139】
本印刷においては、フラッシュ定着装置200のフラッシュ発光制御部223は、制御装置500の制御部510によって決定されたディレイ情報(ディレイ時間)に従って定着が行われるようにフラッシュランプの発光タイミングを制御する。
【0140】
すなわち、フラッシュ定着装置200のフラッシュ発光制御部223は、制御装置500の制御部510からのディレイ情報(3つのディレイI,II,IIIのうちの何れかのディレイ)に従って、フラッシュランプグループFG1,FG2,FG3,FG4に対する発光タイミングを制御する。これにより、フラッシュランプグループFG1,FG2,FG3,FG4は、それぞれディレイ情報としてのディレイ時間D1,D2,D3,D4だけ遅延して発光する。
【0141】
また、第2の印刷装置20では、制御装置500の制御部510は、表面に画像が本印刷された連続紙Pが検知装置400を通過中において、定期的、連続紙Pの幅方向の収縮に応じた変位量Zを算出するとともに、この算出した変位量Zとフラッシュディレイ設定テーブル520の登録内容(図9参照)とを基にディレイ情報を決定する(ステップS206)。
【0142】
制御部510は、今回のディレイ情報は前回のディレイ情報と同じであるか否かを判断し(ステップS207)、この判断した結果、前記2つのディレイ情報が異なる場合は、第1の印刷装置10のフラッシュ定着装置200のフラッシュ発光制御部223に対し、今回のディレイ情報を出力する(ステップS208)。
【0143】
ステップS208が終了した場合、ステップS207において上記ディレイ情報が同じであると判断された場合、第2の印刷装置20の主制御部700は、本印刷が終了した否かを判断する(ステップS209)。
【0144】
ステップS209において、本印刷が終了していないと判断された場合にはステップS205に移行し、一方、本印刷が終了したと判断された場合は、本印刷での連続紙Pにおける最終ページのフラッシュ定着に起因する皺の発生を抑制するために、本印刷の直後すなわち最終のページに後続して例えば1ページ分の第1の印刷装置10による調整印刷が実施される(ステップS210)。なお、ステップS210においては、第2の印刷装置20の制御装置500による発光タイミング制御は実施されない。
【0145】
ちなみに、ステップS204〜S209の処理は例えば図15に示す連続紙Pの区間T3において実施され、ステップS205〜S208の処理は例えば図15に示す連続紙Pの区間T4において実施され、ステップS210の処理は例えば図15に示す連続紙Pの区間T5において実施される。
【0146】
実施の形態において、本印刷の前後に白紙をはさまずに調整印刷を実施するのは、次の理由からである。
【0147】
すなわち、白紙と高印刷率(高印字率)のパターン(画像パターン)との境界では皺が発生し易いため、本印刷での連続紙Pにおける最初のページと最後のページの皺の発生を抑制するためである。換言すれば、フラッシュ光が照射される高印刷率(高印字率)のパターン(画像パターン)の部分の含水率は、フラッシュ光が照射されない白紙の部分の含水率よりも低くなるため、これら2つの部分の境界での含水率の差異を抑制するために、最初のページの前と最後のページの後に調整印刷を行うようにする。
【0148】
上述したように印刷システム1による連続紙Pに対する印刷処理が実施されることにより、本印刷のときは、調整印刷された連続紙Pに対する検知装置400の検知結果に基づくディレイ情報(ディレイ時間)に従ってフラッシュ定着装置200によって発光されたフラッシュ光により、最終トナー像が連続紙Pに定着されるので、本印刷が実施された部分の連続紙Pは、図16に示すように、幅方向の収縮は抑制される。
【0149】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
以上の説明では、本発明の印刷システムをカラー印刷する第1の印刷装置および第2の印刷装置を有する印刷システムに適用した場合が示されているが、例えばモノクロ印刷する第1の印刷装置および第2の印刷装置を有する印刷システムに適用してもよい。
【0151】
また、本発明の制御装置を第2の印刷装置内における画像形成部の記録媒体の搬送方向の上流側に配設するようにしているが、例えば、制御装置を、第1の印刷装置内におけるフラッシュ定着装置の記録媒体の搬送方向の下流側に、または第1の印刷装置と第2の印刷装置との間に配設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0152】
1 印刷システム
10 第1の印刷装置
20 第2の印刷装置
100 画像形成部
200,300 フラッシュ定着装置
221A〜221H フラッシュランプ
223,323 フラッシュ発光制御部
400 検知装置
410 ステッピングモータ
420 ホームポジションセンサ
430 用紙幅センサ部
435 用紙幅センサ
440 モータ駆動部
500 制御装置
510 制御部
520 フラッシュディレイ設定テーブル
600 画像形成制御部
700 主制御部
FG1,FG2,FG3,FG4 フラッシュランプグループ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する記録媒体の一方の面に画像を印刷する第1の印刷装置と、該第1の印刷装置よりも記録媒体の搬送方向の下流側に配置され当該記録媒体の他方の面に画像を印刷する第2の印刷装置とを有し、
前記第1の印刷装置および前記第2の印刷装置は、
前記記録媒体にトナー像を転写する転写手段と、
複数のフラッシュランプを備え当該フラッシュランプから発光されるフラッシュ光により前記記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、
を有し、
前記第1の印刷装置の前記定着手段によるトナー像の定着が実施された前記記録媒体に関し、前記第2の印刷装置の前記転写手段によるトナー像の転写が実施される前に、当該記録媒体にかかわる基準の幅に対する変位量を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された前記変位量に応じて前記第1の印刷装置の前記定着手段にかかわる前記複数のフラッシュランプの発光タイミングを制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記第1の印刷装置の前記定着手段は、
前記複数のフラッシュランプに対応して、一つのフラッシュランプの発光時間内に発光する複数のフラッシュランプで構成されるフラッシュランプ群が複数形成され、
前記制御手段は、
先行する前記フラッシュランプ群の発光タイミングと後続する前記フラッシュランプ群の発光タイミングとの間の発光間隔を制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷システム。
【請求項3】
前記第1の印刷装置は本印刷を実施する前に予め設定される印刷率で調整印刷を実施し、前記制御手段は当該調整印刷が実施された前記記録媒体についての前記検知手段によって検知された前記変位量に応じて前記発光タイミングを制御し、その後、前記第1の印刷装置は本印刷を開始する、ことを特徴とする請求項1または2記載の印刷システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1の印刷装置による本印刷が実施されている前記記録媒体についての前記検知手段によって検知された前記変位量に応じて前記発光タイミングを制御する、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記第1の印刷装置は本印刷の終了直後に予め設定される印刷率で調整印刷を実施する、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の印刷システム。
【請求項6】
複数のフラッシュランプから発光されるフラッシュ光により連続する記録媒体の一方の面に転写されたトナー像を定着させる定着手段によってトナー像の定着が実施された前記記録媒体に関し、当該記録媒体の他方の面に対するトナー像の転写が実施される前に、当該記録媒体にかかわる基準の幅に対する変位量を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された前記変位量に応じて前記定着手段にかかわる前記複数のフラッシュランプの発光タイミングを制御する制御手段と、
を有することを特徴とする制御装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2010−286648(P2010−286648A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140225(P2009−140225)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】