説明

印刷システムの駆動制御方法および印刷システム

【課題】印刷処理の開始がクリーニング処理にかかる時間分だけ遅延することを防止できる印刷システムの駆動制御方法を提供すること。
【解決手段】レーベルプリンター3に接続されたコンピューター2でアプリケーションソフト4が起動されると、アプリケーションソフト4からレーベルプリンター3に印刷命令が供給される前に、レーベルプリンター3に対して印刷ヘッド321のクリーニング処理が必要か否かの問い合わせが行われる。レーベルプリンター3では、前回クリーニング処理が行われてから問い合わせがあった時点までの経過時間が、新たなクリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上の場合にクリーニング処理を開始する。クリーニング処理がレーベルプリンター3に印刷命令が供給されたときに、割り込み処理として行われるものではないので、印刷処理の開始が遅延することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理を定期的に行うプリンターを備える印刷システムの駆動制御方法および印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターでは、インクノズルの目詰まりなどによる印刷品質の低下を回避するために、印刷ヘッドのクリーニング処理を定期的に行うようになっている。特許文献1には、前回のクリーニング処理から予め定めた所定時間が経過した後において最初に印刷処理が開始される時点で、割り込み処理として、クリーニング処理を行う印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−260172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、印刷ヘッドのクリーニング処理が割り込み処理として設定されている場合には、プリンターに新たな印刷処理を行わせようとした時点で前回のクリーニング処理からの経過時間が予め定めた所定時間を経過していると、プリンターに印刷命令が供給された時点で、まず、クリーニング処理が行われ、クリーニング処理の終了を待って、印刷処理が行われる。このため、クリーニング処理にかかる時間分だけ印刷処理の開始時間が遅延してしまうという問題が発生する。しかし、このような場合にクリーニング処理を行なわなければ、印刷品質が低下してしまう恐れがある。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、印刷ヘッドのクリーニング処理を行ったときに、印刷ヘッドによる印刷処理の開始をクリーニング処理にかかる時間分だけ遅延させてしまうことを防止できる印刷システムの駆動制御方法および印刷システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の印刷システムの駆動制御方法は、
印刷ヘッドを備えるプリンターに通信可能に接続されたコンピューターにおいて、前記プリンターに印刷命令を供給するためのアプリケーションソフトを起動し、
前記アプリケーションソフトから前記プリンターに前記印刷命令が供給される前に、前記アプリケーションソフトから前記プリンターに対して前記印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理が必要か否かの問い合わせを行い、
前記プリンターにおいて、前回クリーニング処理が行われてから前記問い合わせがあった時点までの経過時間が、新たなクリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上か否かの判定を行い、
前記経過時間が前記所定時間以上であると判定された場合には、前記クリーニング処理を開始することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、アプリケーションソフトからプリンターに印刷命令が供給される前に、アプリケーションソフトからプリンターにクリーニング処理が必要か否かの問い合わせが行われる。そして、問い合わせを行った時点で、前回クリーニング処理が行われてからの経過時間が新たなクリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上となっている場合には、クリーニング処理が開始される。この結果、問い合わせが行われた時点で前回クリーニング処理が行われてからの経過時間が既に所定時間を経過している場合には、プリンターに印刷命令が供給される前にクリーニング処理が開始される。従って、プリンターに印刷命令が供給されたときに、割り込み処理として、クリーニング処理が行われる場合と比較して、印刷処理の開始を早めることができる。すなわち、印刷ヘッドのクリーニング処理を行ったときに、印刷ヘッドによる印刷処理の開始をクリーニング処理にかかる時間分だけ遅延させてしまうことを防止できる。
【0008】
本発明において、前記アプリケーションソフトが起動されると、前記問い合わせを行うことが望ましい。このようにすれば、クリーニング処理が必要となる場合には、そのクリーニング処理はアプリケーションソフトの起動時から始まる。従って、アプリケーションソフトからプリンターに印刷命令が供給される前にクリーニング処理を終了させることが可能となる。あるいは、プリンターに印刷命令が供給される時点で、クリーニング処理の大半を終わらせておくことが可能となる。この結果、プリンターでは印刷命令が供給されたときに速やかに印刷処理を開始できる。
【0009】
本発明において、前記アプリケーションソフトが起動された後に当該アプリケーションソフトに対する入力が行われると、前記問い合わせを行うことが望ましい。このようにすれば、アプリケーションソフトが起動した後に操作されることなく終了した場合に、クリーニング処理が行われることを防止できる。ここで、印刷ヘッドのクリーニング処理ではインクノズルの目詰まりなどを解消するためにインクノズルからインクを吐出させることがあり、クリーニング処理を行う回数が増加するとインクの消費量も増加してしまうので、このようにすれば、クリーニング処理を行う回数を低減させて、インクの消費量を抑制することができる。
【0010】
次に、本発明は、印刷ヘッドを備えるプリンター、前記プリンターに通信可能に接続されているコンピューター、および、前記プリンターに印刷命令を供給するためのアプリケーションソフトを有する印刷システムにおいて、
前記アプリケーションソフトは、
前記コンピューターにおいて前記アプリケーションソフトが起動されたときに、前記プリンターに対して前記印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理が必要か否かを問い合わせるクリーニング要否確認命令を送信するクリーニング要否確認部を備えており、
前記プリンターは、
前記印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理を行なうためのクリーニング機構と、
前記クリーニング処理が行われる毎に前記クリーニング処理が終了してからの経過時間を計測している計測部と、
前記クリーニング要否確認命令を受信すると、前記経過時間が、前記クリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上か否かを判定する判定部と、
前記クリーニング機構を駆動制御するためのクリーニング制御部とを備えており、
前記クリーニング制御部は、前記経過時間が前記所定時間以上であると判定されると前記クリーニング処理を開始することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、印刷システムのコンピューターにおいてアプリケーションソフトが起動されると、アプリケーションソフトからプリンターにクリーニング要否確認命令が送信される。そして、プリンターがクリーニング要否確認命令を受信した時点で、前回クリーニング処理が行われてからの経過時間が新たなクリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上となっている場合には、クリーニング処理が開始される。この結果、アプリケーションソフトの起動時において、前回クリーニング処理が行われてからの経過時間が既に所定時間を経過している場合には、プリンターに印刷命令が供給される前にクリーニング処理が開始される。従って、プリンターに印刷命令が供給されたときに、割り込み処理としてクリーニング処理が行われる場合と比較して、印刷処理の開始を早めることができる。すなわち、印刷ヘッドのクリーニング処理を行ったときに、印刷ヘッドによる印刷処理の開始をクリーニング処理にかかる時間分だけ遅延させてしまうことを防止できる。また、本発明によれば、クリーニング処理が必要となる場合には、そのクリーニング処理はアプリケーションソフトの起動時から始まるので、アプリケーションソフトからプリンターに印刷命令が供給される前にクリーニング処理を終了させることが可能となる。あるいは、プリンターに印刷命令が供給される時点で、クリーニング処理の大半を終わらせておくことが可能となる。この結果、プリンターでは印刷命令が供給されたときに速やかに印刷処理を開始できる。
【0012】
また、本発明の別の形態は、印刷ヘッドを備えるプリンター、前記プリンターに通信可能に接続されているコンピューター、および、前記プリンターに印刷命令を供給するためのアプリケーションソフトを有する印刷システムにおいて、
前記アプリケーションソフトは、
前記アプリケーションソフトに対する入力を監視している入力監視部と、
前記アプリケーションソフトに対して最初に入力が行われたときに、前記プリンターに対して前記印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理が必要か否かを問い合わせるクリーニング要否確認命令を送信するクリーニング要否確認部を備えており、
前記プリンターは、
前記印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理を行なうためのクリーニング機構と、
前記クリーニング処理が行われる毎に前記クリーニング処理が終了してからの経過時間を計測している計測部と、
前記クリーニング要否確認命令を受信すると、前記経過時間が、前記クリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上か否かを判定する判定部と、
前記クリーニング機構を駆動制御するためのクリーニング制御部とを備えており、
前記クリーニング制御部は、前記経過時間が前記所定時間以上であると判定されると前記クリーニング処理を開始することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、印刷システムのコンピューターにおいてアプリケーションソフトが起動された後にアプリケーションソフトに対する最初の入力が行われると、プリンターにクリーニング要否確認命令が送信される。そして、プリンターがクリーニング要否確認命令を受信した時点で、前回クリーニング処理が行われてからの経過時間が新たなクリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上となっている場合には、クリーニング処理が開始される。この結果、アプリケーションソフトが操作された時点で、前回クリーニング処理が行われてからの経過時間が既に所定時間を経過している場合には、プリンターに印刷命令が供給される前にクリーニング処理が開始される。従って、プリンターに印刷命令が供給されたときに、割り込み処理としてクリーニング処理が行われる場合と比較して、印刷処理の開始を早めることができる。すなわち、印刷ヘッドのクリーニング処理を行ったときに、印刷ヘッドによる印刷処理の開始をクリーニング処理にかかる時間分だけ遅延させてしまうことを防止できる。また、本発明によれば、アプリケーションソフトが起動した後に操作されることなく終了した場合にクリーニング処理が行われてしまうことを防止できる。ここで、印刷ヘッドのクリーニング処理ではインクノズルの目詰まりなどを解消するためにインクノズルからインクを吐出させることがあり、クリーニング処理を行う回数が増加するとインクの消費量も増加してしまうので、本発明によれば、クリーニング処理を行う回数を低減させて、インクの消費量を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アプリケーションソフトからプリンターに印刷命令が供給される前に、アプリケーションソフトからプリンターにクリーニング処理が必要か否かの問い合わせが行われる。そして、問い合わせを行った時点で、前回クリーニング処理が行われてからの経過時間が新たなクリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上となっている場合には、クリーニング処理が開始される。この結果、問い合わせが行われた時点で前回クリーニング処理が行われてからの経過時間が既に所定時間を経過している場合には、プリンターに印刷命令が供給される前にクリーニング処理が開始される。従って、プリンターに印刷命令が供給されたときに、割り込み処理として、クリーニング処理が行われる場合と比較して、印刷処理の開始を早めることができる。すなわち、印刷ヘッドのクリーニング処理を行ったときに、印刷ヘッドによる印刷処理の開始をクリーニング処理にかかる時間分だけ遅延させてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した印刷システムの斜視図である。
【図2】本発明を適用した印刷システムのブロック図である。
【図3】本発明の印刷システムの媒体発行動作を示す状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した印刷システムについて説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は本発明を適用した印刷システムの斜視図である。印刷システム1は、CDやDVDなどのディスク10(図2参照)にレーベル印刷を施すためのシステムであり、ディスプレイ2aと、キーボードなどの入力装置2bを備えるコンピューター2と、このコンピューター2に通信可能に接続されたレーベルプリンター3を有している。コンピューター2では、レーベルを印刷するための印刷命令をレーベルプリンター3に供給するためのアプリケーションソフト4が動作する。入力装置2bが操作されることによって操作者からの印刷命令がアプリケーションソフト4に入力されると、アプリケーションソフト4によって発行された印刷命令がコンピューター2からレーベルプリンター3に送信される。印刷命令を受信したレーベルプリンター3は、印刷処理を開始する。
【0018】
(アプリケーションソフト)
図2は印刷システム1の概略ブロック図である。図2に示すように、アプリケーションソフト4は、ディスク10のタイトルなどを含むレーベルを印刷するための印刷データを作成するための印刷データ作成部41と、アプリケーションソフト4に操作者から印刷命令が入力されると、印刷データ作成部41によって作成された印刷データに基づいて印刷命令を発行してレーベルプリンター3に送信する印刷命令発行部42を備えている。
【0019】
また、アプリケーションソフト4は、アプリケーションソフト4が起動されると、レーベルプリンター3に対して印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理が必要か否かを問い合わせるクリーニング要否確認命令を送信するクリーニング要否確認部43を備えている。
【0020】
(レーベルプリンター)
レーベルプリンター3は、その筐体30内に、レーベル面が未印刷のディスク10を収納するためのディスク供給用スタッカー31と、ディスク10にレーベル印刷を施す印刷処理を行う印刷機構32と、レーベル印刷が施されたディスク10を排出するためのディスク排出用スタッカー33と、ディスク10を筐体30内の各部分に搬送するためのディスク搬送機構34を備えている。印刷機構32は印刷ヘッド321としてインクジェットヘッドを備えているとともに、印刷ヘッド321をクリーニングするクリーニング処理を行なうためのクリーニング機構322を搭載している。クリーニング機構322は、クリーニング処理として、印刷ヘッド321のインクノズルからのインクの吸引動作や吐出動作、あるいは、印刷ヘッド321のノズル面のワイピング動作を行う。
【0021】
また、レーベルプリンター3は、各部の駆動制御を司る制御部35を有している。制御部35の入力側には通信ケーブルやネットワークを介してコンピューター2が接続されており、コンピューター2からの印刷命令を受信すると、制御部35は、各部を駆動制御してディスク10にレーベル印刷を施す。より具体的には、印刷命令を受信すると(ステップST1)、制御部35はディスク搬送機構34を駆動制御してディスク供給用スタッカー31から印刷機構32へレーベル面が未印刷のディスク10を搬送する(ステップST2)。次に、制御部35は印刷機構32を駆動制御してディスク10にレーベル印刷を施す(ステップST3)。そして、レーベル印刷が完了すると、制御部35はディスク搬送機構34を駆動制御して、印刷機構32からディスク排出用スタッカー33へ印刷済みのディスク10を搬送する(ステップST4)。
【0022】
ここで、制御部35は、印刷ヘッド321のクリーニング処理が行われる毎に、このクリーニング処理が終了してからの経過時間を計測している計測部351を備えている。計測部351は、クリーニング処理が行われる毎にカウンターをリセットするタイマーである。
【0023】
また、制御部35は、コンピューター2からのクリーニング要否確認コマンドを受信すると、計測部351が計測している経過時間を参照し、経過時間に基づいてクリーニング処理が必要か否かを判定する判定部352を備えている。判定部352は、経過時間が所定時間以上の場合にはクリーニング処理が必要であると判定し、経過時間が所定時間よりも少ない場合には、クリーニング処理が不要であると判定する。ここで、クリーニング処理が必要となる所定時間とは、クリーニング処理を定期的に行うために予め設定された時間であり、本例では5時間とされている。
【0024】
さらに、制御部35は、印刷機構32のクリーニング機構322を駆動制御するためのクリーニング制御部353を備えている。クリーニング制御部353は、判定部352が、クリーニング処理が必要であると判定すると、クリーニング機構322を駆動制御してクリーニング処理を開始させる。
【0025】
(レーベル印刷動作)
図3は印刷システム1における印刷動作を示す状態遷移図である。本例では、新たなクリーニング処理が必要となる所定時間が5時間に設定されている。
【0026】
レーベル印刷を行う際には、操作者は、まず、アプリケーションソフト4を起動する(ステップST11)。また、操作者は、アプリケーションソフト4を操作して、レーベル印刷を行うための印刷データの作成に取り掛かる。本例では、前回クリーニング処理が行われてから5時間5分が経過した時点でアプリケーションソフト4が起動されている。
【0027】
アプリケーションソフト4が起動されると、このアプリケーションソフト4のクリーニング要否確認部43は、クリーニング要否確認命令(cleaning)をレーベルプリンター3に送信する(ステップST12)。
【0028】
レーベルプリンター3がクリーニング要否確認コマンドを受信すると、制御部35の判定部352は、計測部351が計測している経過時間を参照して、クリーニング処理が必要か否かを判定する(ステップST13)。本例では、経過時間が5時間5分となり、クリーニング処理を定期的に行うための所定時間(5時間)以上となっているので、クリーニング処理が必要であると判定される。
【0029】
クリーニング処理が必要であると判定されると、クリーニング制御部353はクリーニング機構322を駆動制御してクリーニング処理を開始させる(ステップST14)。クリーニング処理にかかる時間は2分間となっている。なお、判定部352がクリーニング処理は必要ないと判断した場合にはクリーニング処理は行なわれない。
【0030】
次に、レーベル印刷を行うための印刷データが完成すると、操作者はアプリケーションソフト4に印刷命令を入力する(ステップST15)。例えば、入力装置2bからのリターンのキーの入力がアプリケーションソフト4への印刷命令の入力となる。これにより、アプリケーションソフト4は印刷データに基づいて印刷命令を発行して、レーベルプリンター3に送信する(ステップST16)。
【0031】
本例では、アプリケーションソフト4を起動してから操作者によって印刷命令が入力されるまでに10分経過している。従って、レーベルプリンター3に印刷命令が送信された時点は、前回クリーニングが行われてから5時間15分経過した時点となっている。また、操作者によって印刷命令が入力された時点では、クリーニング処理(ステップST14)は、既に、終了している。
【0032】
しかる後に、レーベルプリンター3が印刷命令を受信すると、制御部35は、搬送機構34および印刷機構32を駆動制御してディスク10にレーベル印刷を施す印刷処理を行う(ステップST17)。すなわち、前回クリーニングが行われてから5時間15分経過した時点から、印刷処理(ステップST17)が行われる。本例では、印刷処理にかかる時間は2分間となっており、前回クリーニングが行われてから5時間17分経過した時点で、レーベル印刷が完了する。
【0033】
(作用効果)
ここで、従来の印刷システムでは、レーベルプリンター3のクリーニング制御部353は、印刷命令を受信した時点で計測部351が計測している経過時間を参照しており、この経過時間が予め定めた所定時間(5時間)以上となっている場合に、レーベルを印刷する印刷処理に先立って、割り込み処理としてクリーニング処理を行っていた。従って、図3において点線で示すように、アプリケーションソフト4を起動した時点において、前回クリーニング処理を行ってからの経過時間が所定時間(5時間)に達していた場合には、レーベルプリンター3がコンピューター2からの印刷命令を受信した時点(前回のクリーニング処理から5時間15分経過した時点)で、クリーニング処理が必要か否かの判断が行われ、その判断に基づいてクリーニング処理が割り込み処理として2分間行われ、クリーニング処理の終了を待って印刷処理が行われていた。この結果、従来の印刷システムでは印刷処理は前回のクリーニング処理から5時間17分経過した時点から開始されており、レーベル印刷の完了は前回のクリーニング処理から5時間19分経過した時点となっている。
【0034】
これに対して、本例によれば、アプリケーションソフト4の起動時において、前回クリーニング処理が行われてからの経過時間が既に所定時間を経過している場合には、レーベルプリンター3に印刷命令が供給される前にクリーニング処理が開始される。従って、従来の印刷システムと比較して、印刷処理の開始を早めることができる。すなわち、印刷ヘッド321のクリーニング処理を行ったときに、印刷ヘッド321による印刷処理の開始をクリーニング処理にかかる時間分だけ遅延させてしまうことを防止できる。
【0035】
また、本例によれば、クリーニング処理が必要となる場合には、そのクリーニング処理はアプリケーションソフト4の起動時から始まる。従って、アプリケーションソフト4からレーベルプリンター3に印刷命令が供給される前にクリーニング処理を終了させることが可能となる。あるいは、レーベルプリンター3に印刷命令が供給される時点で、クリーニング処理の大半を終わらせておくことが可能となる。この結果、レーベルプリンター3では印刷命令が供給されたときに速やかに印刷処理を開始できる。
【0036】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、アプリケーションソフト4の起動時にアプリケーションソフト4がクリーニング要否確認命令をレーベルプリンター3に送信してクリーニング処理が必要か否かを問い合わせていたが、アプリケーションソフト4が起動された後に、このアプリケーションソフト4に対する入力が行われた時点において、クリーニング処理が必要か否かの問い合わせを行うようにしてもよい。
【0037】
この場合には、アプリケーションソフト4は、このアプリケーションソフト4に対する入力を監視している入力監視部を備えるものとし、クリーニング要否確認部43は、アプリケーションソフト4に対して最初に入力が行われたときに、クリーニング要否確認命令を送信するものとしておく。
【0038】
このようにすれば、アプリケーションソフト4が起動した後に操作されることなく終了した場合に、クリーニング処理が行われることを防止できる。ここで、印刷ヘッド321のクリーニング処理ではインクノズルからインクを吐出させることがあり、クリーニング処理を行う回数が増加するとインクの消費量も増加してしまうので、このようにすれば、クリーニング処理を行う回数を低減させて、インクの消費量を抑制することができる。
【0039】
また、入力監視部が、アプリケーションソフト4に対する特定の入力を監視するようにして、クリーニング要否確認部43が、アプリケーションソフト4に対して最初に特定の入力が行われたときに、クリーニング要否確認命令を送信するものとすることができる。例えば、入力監視部が、レーベル印刷を行うための印刷設定画面を呼び出すためのキー入力を監視するようにすれば、アプリケーションソフト4から印刷命令が発行される蓋然性が高い場合において、クリーニング要否確認命令が送信されるようになる。
【符号の説明】
【0040】
1・印刷システム、2・コンピューター、2a・ディスプレイ、2b・入力装置、3・レーベルプリンター、4・アプリケーションソフト、10・ディスク、30・筐体、31・ディスク供給用スタッカー、32・印刷機構、33・ディスク排出用スタッカー、34・ディスク搬送機構、35・制御部、41・印刷データ作成部、42・印刷命令発行部、43・クリーニング要否確認部、321・印刷ヘッド、322・クリーニング機構、351・計測部、352・判定部、353・クリーニング制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドを備えるプリンターに通信可能に接続されたコンピューターにおいて、前記プリンターに印刷命令を供給するためのアプリケーションソフトを起動し、
前記アプリケーションソフトから前記プリンターに前記印刷命令が供給される前に、前記アプリケーションソフトから前記プリンターに対して前記印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理が必要か否かの問い合わせを行い、
前記プリンターにおいて、前回クリーニング処理が行われてから前記問い合わせがあった時点までの経過時間が、新たなクリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上か否かの判定を行い、
前記経過時間が前記所定時間以上であると判定された場合には、前記クリーニング処理を開始することを特徴とする印刷システムの駆動制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記アプリケーションソフトが起動されると、前記問い合わせを行うことを特徴とする印刷システムの駆動制御方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記アプリケーションソフトが起動された後に当該アプリケーションソフトに対する入力が行われると、前記問い合わせを行うことを特徴とする印刷システムの駆動制御方法。
【請求項4】
印刷ヘッドを備えるプリンター、前記プリンターに通信可能に接続されているコンピューター、および、前記プリンターに印刷命令を供給するためのアプリケーションソフトを有する印刷システムにおいて、
前記アプリケーションソフトは、
前記コンピューターにおいて前記アプリケーションソフトが起動されたときに、前記プリンターに対して前記印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理が必要か否かを問い合わせるクリーニング要否確認命令を送信するクリーニング要否確認部を備えており、
前記プリンターは、
前記印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理を行なうためのクリーニング機構と、
前記クリーニング処理が行われる毎に前記クリーニング処理が終了してからの経過時間を計測している計測部と、
前記クリーニング要否確認命令を受信すると、前記経過時間が、前記クリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上か否かを判定する判定部と、
前記クリーニング機構を駆動制御するためのクリーニング制御部とを備えており、
前記クリーニング制御部は、前記経過時間が前記所定時間以上であると判定されると前記クリーニング処理を開始することを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
印刷ヘッドを備えるプリンター、前記プリンターに通信可能に接続されているコンピューター、および、前記プリンターに印刷命令を供給するためのアプリケーションソフトを有する印刷システムにおいて、
前記アプリケーションソフトは、
前記アプリケーションソフトに対する入力を監視している入力監視部と、
前記アプリケーションソフトに対して最初に入力が行われたときに、前記プリンターに対して前記印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理が必要か否かを問い合わせるクリーニング要否確認命令を送信するクリーニング要否確認部を備えており、
前記プリンターは、
前記印刷ヘッドをクリーニングするクリーニング処理を行なうためのクリーニング機構と、
前記クリーニング処理が行われる毎に前記クリーニング処理が終了してからの経過時間を計測している計測部と、
前記クリーニング要否確認命令を受信すると、前記経過時間が、前記クリーニング処理が必要となる予め設定した所定時間以上か否かを判定する判定部と、
前記クリーニング機構を駆動制御するためのクリーニング制御部とを備えており、
前記クリーニング制御部は、前記経過時間が前記所定時間以上であると判定されると前記クリーニング処理を開始することを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−22368(P2012−22368A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157635(P2010−157635)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】