説明

印刷システム及び印刷装置

【課題】多数の保留ジョブが長期間保留されている場合、個々のジョブが保留されたミスマッチ要因を、一括して把握することができ、効率よく保留状態を解除することができる印刷システム及び印刷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ホスト装置と印刷装置とを具備する印刷システムにおいて、印刷ジョブの印刷条件が、上記印刷装置の設定状態とミスマッチしている場合、上記印刷ジョブを保留ジョブとして、上記印刷装置に、保留する印刷ジョブ保留手段と、ミスマッチ要因が解消された場合、上記印刷ジョブ保留手段における保留を解除する解除手段と、ミスマッチ要因に対する条件毎に、上記保留ジョブを、並び替えて表示する保留ジョブ並び替え手段とを有することを特徴とする印刷システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷を指示するホストコンピュータやパーソナルコンピュータ等のホスト装置と、このホスト装置が生成した印刷ジョブを受信し、印刷する印刷装置とを有する印刷システムに関する。本発明は、特に、印刷ジョブの印刷条件(用紙種類や用紙サイズ等)と、印刷装置の設定状態との間で、ミスマッチが発生した場合に、保留ジョブとして、印刷装置内にジョブを保留する印刷システム及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷ジョブの印刷条件と、印刷装置の設定状態との間で、ミスマッチが発生した場合、保留ジョブとして、印刷装置内にジョブを保留し、後続の印刷可能なジョブを優先して印刷する技術が知られている。
【0003】
ミスマッチ要因が解消されると、保留されたジョブを印刷する。ミスマッチ要因が解消された保留ジョブが複数存在する場合、複数の保留ジョブの印刷を、暗黙に開始する技術も知られている。
【0004】
保留ジョブは、印刷装置内の記憶装置に設けられている一時記憶領域に保存され、保留可能なジョブ数と、保存可能な一時記憶領域の容量とには制限がある。保留ジョブは、速やかに、ミスマッチ要因を解消し、保留状態を解除することが好ましい。
【0005】
従来、ジョブを管理する手段の中には、保留ジョブであることを、識別可能にした装置や、保留ジョブを対象とした管理手段が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−288032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、A1やA0等、大判サイズの印刷が可能な印刷装置において、長尺のロール紙を給紙手段とする利用形態が主流であり、このロール紙を途中で交換することは、ロール紙のサイズや重量が要因で、非常に手間がかかる。ミスマッチが発生しても、保留状態を解除することが困難であるので、長期間保留状態となるジョブも存在している。長期間保留状態が続く場合、保留されているジョブの数が増加する。長期間保留した多数のジョブは、どのようなミスマッチ要因で保留ジョブになったのかを再確認する必要がある。
【0008】
従来の保留ジョブ管理手段は、保留ジョブの名称、ユーザ名、日時等、情報を単に列挙し、印刷再開やジョブの削除を行う手段であり、複数の保留ジョブが、どのようなミスマッチ要因で発生しているのかを、一括で把握することができない。
【0009】
また、保留ジョブは、印刷装置内の記憶装置に設けられている一時記憶領域に保存され、保留可能なジョブ数と保存可能な一時記憶領域の容量とには、制限があるにも関らず、従来の保留ジョブ管理手段では、効率よく保留状態を解除することができない。
【0010】
また、ロール紙での印刷の特徴は、ロール紙と出力用紙サイズとが一致していなくても、ロール紙の中に出力用紙サイズが収まるジョブは、印刷可能である。このように、用紙サイズがミスマッチ要因であるとして保留ジョブが発生した場合、ミスマッチ要因を解消する幅サイズのロール紙を、印刷装置にセットすると、意図しないサイズのジョブが保留解除されるという問題がある。
【0011】
たとえば、A1サイズの保留ジョブを、A1幅サイズのロール紙に印刷したい場合、A1サイズ幅のロール紙より先に、A0幅サイズ(A1幅サイズ以上)のロール紙を印刷装置にセットすると、ミスマッチ要因は解消される。したがって、保留状態が解除され、意図せず印刷されるので、ロール紙が無駄になるという問題がある。
【0012】
本発明は、多数の保留ジョブが長期間保留されている場合、個々のジョブが保留されたミスマッチ要因を、一括して把握することができ、効率よく保留状態を解除することができる印刷システム及び印刷装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、保留ジョブが保留されている場合、意図しない保留ジョブの保留解除を回避しつつ、保留ジョブを処理する印刷システム及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ホスト装置と印刷装置とを具備する印刷システムにおいて、印刷ジョブの印刷条件が、上記印刷装置の設定状態とミスマッチしている場合、上記印刷ジョブを保留ジョブとして、上記印刷装置に、保留する印刷ジョブ保留手段と、ミスマッチ要因が解消された場合、上記印刷ジョブ保留手段における保留を解除する解除手段と、ミスマッチ要因に対する条件毎に、上記保留ジョブを、並び替えて表示する保留ジョブ並び替え手段とを有することを特徴とする印刷システムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多数の保留ジョブのミスマッチ要因を一括で把握することができ、効率よく保留状態を解除することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した印刷システムPS1の構成を示すブロック図である。
【図2】印刷装置200においてジョブリストを生成するフローチャートである。
【図3】従来例で、プリントモニタを使用してジョブリスト等を処理する図である。
【図4】実施例1において、保留ジョブリストL1を示す図である。
【図5】保留ジョブリストL2を示す図である。
【図6】リスト表示手段34における別の表示例を示す図である。
【図7】発生数順表示32が選択されている場合のフローチャートである。
【図8】発生順表示31が選択されている場合のフローチャートである。
【図9】容量順表示33が選択されている場合のフローチャートである。
【図10】手番最小順表示40が選択されている場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明を実施するための形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1である印刷システムPS1の構成を示すブロック図である。
【0019】
印刷システムPS1は、ホスト装置100と印刷装置200とを有する。
【0020】
ホスト装置100に、HDD102が設けられている。HDD102は、ハードディスクであり、オペレーティングシステム(OS)と、印刷装置200を制御するソフトウェアであるプリンタドライバとが、インストールされている。また、HDD102には、印刷装置200と双方向通信を行い印刷ジョブの管理や印刷装置200のステータス管理等を行うプリントモニタと、各種文書とを作成するアプリケーションとが、インストールされている。
【0021】
ホスト装置100は、CPU101と、HDD102と、システムバス103と、RAM104と、外部メモリ105と、入力部106と、表示部107と、通信部108とを有する。
【0022】
CPU101は、HDD102のような記憶装置に記憶されている制御プログラムに基づいて、システムバス103に接続されている各デバイスを制御し、OSやアプリケーション、プリンタドライバやプリントモニタ等の処理を制御する。
【0023】
RAM104は、主としてCPU101のワークエリアを提供するメモリである。RAM104上には、システムプログラムとして、OS、デバイスドライバ(プリンタドライバ含む)等が常駐する。
【0024】
外部メモリ105は、FD(フレキシブルディスク)、CD−ROM、MO等の記録媒体である。入力部106は、具体的には、マウス、キーボード等を含むユーザコマンド入力装置であり、ユーザからのコマンドを直接またはユーザインタフェースで提供される各種のウィンドウ上のアイコン、ボタン等の指示入力を受け付ける。
【0025】
表示部107は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等で構成され、OS、アプリケーション、プリンタドライバ、プリントモニタ等のユーザインタフェースを表示する。
【0026】
通信部108は、IEEE1284のパラレルインタフェース、IEEE1394、USB等のシリアルインタフェース、LAN等のネットワークを介して、印刷装置200に接続され、印刷装置200との間でデータを送受信する。
【0027】
印刷装置200には、CPU201と、ROM202と、システムバス203と、RAM204と、HDD205と、操作部206と、記録部207と、搬送部208と、通信部209とが設けられている。
【0028】
CPU201は、プログラムを提供するROM202に記憶されている制御プログラムを実行し、システムバス203に接続されている各デバイスへのアクセスを制御する。RAM204は、主としてCPU201のワークエリアを提供する。ROM202には、CPU201が実行すべき制御プログラム、印刷用画処理テーブル等が記憶されている。
【0029】
HDD205は、印刷ジョブの一時記憶領域や恒久記憶領域、用紙種毎の画処理テーブルの記憶領域等、多種類の記憶領域やワークエリアを提供する。
【0030】
操作部206は、LEDや液晶ディスプレイ、操作ボタン等を備え、ユーザからの入力を受け付けるとともに、情報を表示する。搬送部208は、プリンタ内部で印刷用紙の搬送を制御する。記録部207は、電子写真方式、インクジェット方式等の任意の記録方式によって、印刷用紙に印刷を実行する。通信部209は、IEEE1284のパラレルインタフェース、IEEE1394、USB等のシリアルインタフェース、LAN等のネットワークを介して、ホスト装置100に接続され、ホスト装置100との間で、データを送受信する。
【0031】
図2は、印刷装置200において、ジョブリストを生成する動作の概略を示すフローチャートである。
【0032】
印刷装置200は、S150で、受信した印刷ジョブ(対象ジョブ)に含まれている用紙種類や用紙サイズや印刷の向き等の印刷条件を取得する。続いて、S151で、自印刷装置200に設定されている用紙種類やロール紙幅サイズ等の設定情報を取得する。
【0033】
S152で、取得した印刷ジョブの印刷条件と、自印刷装置200の設定情報とを比較し、ミスマッチが存在するかどうかを判定する。S152でミスマッチなしと判定されると、S153で、現在印刷中のジョブが存在するかどうかを判定する。S153で印刷中のジョブが存在しないと判定されると、S154で、対象ジョブを印刷中ジョブとして、ジョブリストに登録し、印刷処理を行う。S153で印刷中のジョブが存在すると判定されると、S155で、対象ジョブを印刷待機中ジョブとして、ジョブリストに登録し、印刷待機処理を行う。
【0034】
S152でミスマッチありと判定されると、S156で、自印刷装置200の設定がミスマッチ時に保留ジョブとする設定であるのかどうかを判定する。S156でミスマッチ時は保留ジョブとする設定であれば、S157で、ミスマッチが、用紙種類によるものなのか、用紙サイズによるものなのか、または、フチなし印刷の有無によるものなのか等のミスマッチ種別を、ジョブ管理情報(不図示)にセットする。続いて、S158で、対象ジョブを保留ジョブとして、ジョブリストに登録し、保留処理を行う。
【0035】
S156でミスマッチ時は保留ジョブとする設定ではないと判断されれば、S159で、自印刷装置200に設定されているミスマッチ時の処理方法である対象ジョブの強制印刷やジョブキャンセル等、その他の処理を実行する。
【0036】
実施例1は、印刷ジョブの印刷条件と自印刷装置200の設定情報とがミスマッチである場合に、印刷装置200が、保留ジョブにする設定であることを想定している。
【0037】
図3は、従来例において、プリントモニタを使用して、ジョブリストとジョブプロパティとを処理する例を示す図である。
【0038】
印刷装置のHDDに設けられている一時記憶領域には、印刷中のジョブや印刷待機中のジョブ群216と、用紙種のミスマッチによって保留された保留ジョブ群217とが存在する。ジョブ群216と保留ジョブ群217とが、領域を区分せずに、混在領域であってもよい。
【0039】
印刷装置に、普通紙がセットされている状態で、ジョブ1からジョブ15が、印刷済み、または、保留中の状況であり、ジョブ16が、印刷中であり、後続のジョブ17とジョブ18とが、印刷待機中の状況である。
【0040】
プリントモニタが表示するジョブリスト50は、印刷装置において、ジョブの処理状況を表示しているリスト例である。
【0041】
ジョブリスト中のジョブ3の処理状況をステータス欄51で確認すると、“保留中”という状況であることを確認できる。しかし、従来例では、ジョブ3が何故保留中であるのかについての情報が、ジョブリスト50には存在しない。
【0042】
個々のジョブの詳細情報は、ジョブプロパティ52を表示して確認することが可能である。ジョブプロパティ52は、たとえば、ジョブリスト50上の対象ジョブを、マウスでダブルクリックすると、表示され、図3に示すジョブプロパティ52は、ジョブリスト50上で、ジョブ3をマウスのダブルクリックで表示した例である。
【0043】
ジョブプロパティ52には、ジョブ3に関する用紙種や用紙サイズ等の情報が表示されている。
【0044】
印刷装置には、普通紙がセットされているので、ガイド手段53で、ジョブ3の対象用紙種である光沢紙をセットするように、ガイドされている。
【0045】
従来例では、ジョブリスト50上で、ジョブ3が保留ジョブであることを認識できるが、何故、保留状態にあるのかについては、ジョブプロパティ52で確認するしか手段がない。また、従来例では、図3においては、ジョブ5も保留ジョブであるが、ジョブ3とジョブ5との保留状態を確認するには、個別にジョブプロパティ52で確認しなければならない煩わしさもある。
【0046】
図4は、実施例1において、保留ジョブリストL1を示す図であり、印刷ジョブの用紙種についてミスマッチが発生した場合の例を示す図である。
【0047】
保留ジョブリストL1は、保留ジョブ並び替え方法選択欄30aと、リスト表示手段34と、ミスマッチ解消ガイド手段35と、印刷開始手段36と、削除手段37と、キャンセル手段38とを有する。
【0048】
保留ジョブ並び替え方法選択欄30aは、ミスマッチ要因に対する条件毎に、上記保留ジョブを、並び替えて表示する手段であり、発生順表示31と、発生数順表示32と、容量順表示33とが設けられている。発生順表示31がマークされると、ミスマッチ要因を、その発生順に表示していることを示す。発生数順表示32がマークされると、ミスマッチ要因を、その発生数順に表示していることを示す。容量順表示33がマークされると、ミスマッチ要因を、その容量順に表示していることを示す。
【0049】
保留ジョブ並び替え方法選択欄30aに、発生数順表示32が選択されている状態を、図4に示してある。
【0050】
発生数順表示32は、印刷装置200のHDD205に設けられている一時記憶領域215に保留されている保留ジョブ群217から、ミスマッチ要因の用紙種についての保留ジョブ毎の設定値に関して、ジョブ数の多いもの順にリストアップする。そして、このリストが、リスト表示手段34に表示される。保留ジョブ群217は、コート紙での印刷ジョブが最多である保留ジョブであるので、リスト表示手段34には、コート紙の保留ジョブをリスト表示している。
【0051】
ミスマッチ解消ガイド手段35は、保留状態を解除するためのガイドを表示する手段であり、印刷装置200へコート紙をセットするように促すガイドを表示する。
【0052】
印刷開始手段36は、リスト表示手段34に表示されている保留ジョブ群の印刷を再開するために、押下する手段である。印刷開始手段36は、印刷中のジョブや印刷待機中のジョブが存在する場合、操作不可とすることが好ましい。つまり、印刷中や印刷待機中のジョブが存在する場合、用紙種を交換すると、印刷待機中のジョブが保留ジョブになることがあり、また、処理順位として待機中よりも保留中を優先するメリットが少ない。
【0053】
したがって、印刷開始手段36は、印刷中や印刷待機中のジョブが無い場合には、ミスマッチ解消ガイド手段35に表示されている内容に対処した後の任意のタイミングで、保留ジョブの印刷を開始する。なお、ミスマッチ解消ガイド手段35に表示されている内容に対処したことを検知する自動検知手段を、印刷装置200に設ければ、自動検知後に印刷開始手段36を操作可能にすることができる。
【0054】
削除手段37は、リスト表示手段34に表示されている保留ジョブ群を削除する手段である。印刷の必要性がなくなり、保留状態を維持する必要が無い場合に押下される手段である。
【0055】
キャンセル手段38は、保留状態を維持したままミスマッチ解消処理をキャンセルする手段ある。
【0056】
保留ジョブ並び替え方法選択欄30aに、発生順表示31が選択されていれば、最初にミスマッチが発生し保留されたジョブ3の設定値である光沢紙によって、保留ジョブがピックアップされる。この結果、用紙種を光沢紙に交換すればミスマッチ要因が解消するジョブ3、ジョブ6が、リスト表示手段34に表示される。
【0057】
また、保留ジョブ並び替え方法選択欄30aに、容量順表示33が選択されると、ミスマッチ要因の用紙種毎の保留ジョブにおける合計データ容量の最大となるジョブをピックアップし、リスト表示手段34に表示する。
【0058】
図5は、保留ジョブリストL2を示す図である。
【0059】
保留ジョブリストL2は、保留ジョブリストL1において、容量順表示33の代わりに、手番最小順表示40が設けられているリストである。図5に示す状態では、手番最小順表示40が選択されている。なお、上記手番は、工程のことである。
【0060】
手番最小順表示40は、発生数順表示32において、ピックアップした保留ジョブ群の、ミスマッチ要因とは別の印刷ジョブ付属情報も考慮し、保留ジョブをリストアップし直し、リスト表示手段34に表示されていることを示す。
【0061】
また、ミスマッチ解消ガイド手段35に、印刷ジョブ付属情報を考慮したガイドを付加し、ミスマッチ要因の解消手番を最小にするためにガイドする。例において、ミスマッチ要因とは別の印刷ジョブ付属情報として、用紙サイズを考慮し、リスト表示手段34にピックアップしたコート紙の保留ジョブの中で、最も大きいサイズであるA1サイズのロール紙を、印刷装置200にセットすることをガイドしている。
【0062】
ユーザが、コート紙のA1サイズロール紙よりも先に、コート紙のA3サイズロール紙を印刷装置200にセットした場合、図5に示すリスト表示手段34にピックアップしたコート紙の保留ジョブの内で、ミスマッチ要因が解消されるのは、次のジョブである。ミスマッチ要因が解消されるジョブは、ジョブ7、ジョブ11の2つのジョブのみであり、ジョブ5とジョブ12とは、保留ジョブのままである。
【0063】
続いて、コート紙のA2サイズロール紙を、印刷装置200にセットした場合、ミスマッチ要因が解消されるジョブは、ジョブ12であり、ジョブ5は、保留ジョブのままである。ジョブ5のミスマッチ要因を解消するには、さらに、コート紙のA1サイズロール紙を印刷装置200にセットする必要がある。
【0064】
つまり、最大で3手番を要する場合があるが、図5に示すミスマッチ解消ガイド手段35は、1手番で足りることをガイドしている。
【0065】
また、図5に示す例では、保留解除除外手段41が設けられ、保留解除除外手段41が、ジョブ12を保留解除除外指定している。
【0066】
コート紙のA1サイズロール紙を、ユーザが印刷装置200にセットした場合、リスト表示手段34にピックアップされているコート紙の保留ジョブ、ジョブ5、ジョブ7、ジョブ11、ジョブ12の全てのジョブについて、ミスマッチ要因が解消される。そして、保留解除可能である。しかし、ジョブ12は、保留解除を意図的に除外している。これによって、意図せずに保留解除されることを防ぐことができる。
【0067】
図6は、リスト表示手段34における別の表示例を示す図である。
【0068】
保留ジョブ並び替え方法選択欄30aにおいて、発生数順表示32が選択されているとする。
【0069】
保留ジョブの発生数として、コート紙によるミスマッチジョブが4個、光沢紙によるミスマッチジョブが2個、フォト光沢紙によるミスマッチジョブが1個であるので、コート紙・光沢紙・フォト光沢紙の順で、リストアップされている。
【0070】
リスト表示手段34によれば、保留ジョブの全てを、ミスマッチ設定値のラベル(“コート紙:”、“光沢紙:”、“フォト光沢紙:”等の文字列)下にリストアップしているので、保留されているミスマッチ要因を、一括で確認することができる。
【0071】
図7は、保留ジョブ並び替え方法選択欄30aにおいて、発生数順表示32が選択されている場合、リスト表示手段34とミスマッチ解消ガイド手段35とが処理する概要を示すフローチャートである。
【0072】
S300で、印刷装置200のHDD205に設けられている一時記憶領域215に存在するジョブのリストを取得し、S301で、ジョブリストの終りを判定するまで、S302で、処理対象ジョブが保留ジョブであるかどうかを判定する。
【0073】
保留ジョブであると判定すると、S303で、保留ジョブのミスマッチ要因である用紙種の設定値を、用紙種別にカウントする。S301でジョブリストの終りであると判定したら、S304で、用紙種別カウント数順によって、保留ジョブをリスト化する。続いて、S305で、保留ジョブリストを表示する。このときに、表示するリストは、保留ジョブ全体でもよく、カウント最多の用紙種の保留ジョブのみでもよい。
【0074】
続いて、S306で、ミスマッチ解消ガイドを生成し、S307で、ミスマッチ解消ガイドを表示する。
【0075】
発生数順表示32は、保留ジョブに保留個数が制限されている場合、同じ要因で解消になる最多数保留ジョブを優先的に処理することによって、保留個数制限を回避することができる。
【0076】
図8は、保留ジョブ並び替え方法選択欄30aで、発生順表示31が選択されている場合、リスト表示手段34とミスマッチ解消ガイド手段35とにおける処理の概要を示すフローチャートである。
【0077】
S400で、印刷装置200のHDD205に設けられている一時記憶領域215に存在するジョブのリストを取得し、S401で、ジョブリストの終りであると判定するまで、S402で、処理対象ジョブが保留ジョブかどうかを判定する。保留ジョブであると判定すると、S403で、保留ジョブのミスマッチ要因である用紙種が、発生順リストに登録済みの用紙種であるかどうかを判定する。
【0078】
S403で、発生順リストに未登録の用紙種であると判定すると、S404で、発生順リストの後端に、未登録用紙種を登録する。S401でジョブリストの終りであると判定すると、S405で、発生順リストの用紙種順によって、保留ジョブをリスト化する。続いて、S406で、保留ジョブリストを表示する。このときに、表示するリストは、保留ジョブ全体でもよく、最初に発生した用紙種の保留ジョブのみでもよい。続いて、S407で、ミスマッチ解消ガイドを生成し、S408で、ミスマッチ解消ガイドを表示する。
【0079】
発生順表示31によって、最初に発生した保留ジョブをいつまでも保留状態にすることを回避することができる。
【0080】
図9は、保留ジョブ並び替え方法選択欄30aに、容量順表示33が選択されている場合、リスト表示手段34とミスマッチ解消ガイド手段35とにおける処理の概要を示すフローチャートである。
【0081】
S500で、印刷装置200のHDD205に設けられている一時記憶領域215に存在するジョブのリストを取得し、S501で、ジョブリストの終りであると判定するまで、S502で、処理対象ジョブが保留ジョブであるかどうかを判定する。保留ジョブであると判定すると、S503で、保留ジョブのミスマッチ要因である用紙種の設定値毎に設けた用紙種別の合計容量値へ、当該ジョブ容量を加算する。
【0082】
S501でジョブリストの終りであると判定すれば、S504で、合計容量値の大きい用紙種順に、保留ジョブをリスト化する。続いて、S505で、保留ジョブリストを表示する。このときに、表示するリストは、保留ジョブ全体でもよく、合計容量最大の用紙種の保留ジョブのみを表示するようにしてもよい。続いて、S506で、ミスマッチ解消ガイドを生成し、S507で、ミスマッチ解消ガイドを表示する。
【0083】
容量順表示33は、印刷装置200のHDD205に設けられている一時記憶領域215に、保留ジョブの保存領域制限が存在する場合、最大領域を開放することができる。
【0084】
図10は、保留ジョブ並び替え方法選択欄30bに、手番最小順表示40が選択されている場合、リスト表示手段34とミスマッチ解消ガイド手段35とにおける処理の概要を示すフローチャートである。
【0085】
S600で、印刷装置200のHDD205に設けられている一時記憶領域215に存在するジョブのリストを取得する。S601で、ジョブリストの終りであると判定するまで、S602で、処理対象ジョブが保留ジョブであるかどうかを判定する。保留ジョブであると判定すれば、S603で、保留ジョブのミスマッチ要因である用紙種の設定値を、用紙種別にカウントする。続いて、S604で、保留ジョブの用紙種別最大用紙サイズよりも、処理対象ジョブの用紙サイズが大きい場合、用紙種別最大用紙サイズを更新する。
【0086】
S601でジョブリストの終りであると判定すれば、S605で、用紙種別カウント数順で、保留ジョブをリスト化する。続いて、S606で、保留ジョブリストを表示する。このときに、表示するリストは、保留ジョブ全体でもよく、カウント最多の用紙種の保留ジョブのみでもよい。続いて、S607で、用紙種と用紙種別最大用紙サイズとを考慮し、手番最小となるミスマッチ解消ガイドを生成する。S608で、ミスマッチ解消ガイドを表示する。
【0087】
手番最小順表示40は、保留ジョブに、保留個数の制限が存在する場合、同じ要因で解消となる最多数保留ジョブを優先的に処理することによって、保留個数制限を回避することができる。また、ミスマッチ解消の手番を最小にすることができる。
【0088】
なお、上記実施例において、図4、図5に示すように、プリントモニタ上で実施しているが、印刷装置200の操作部206において、実施するようにしてもよい。
【0089】
また、図4、図5において、保留ジョブ並び替え手段を1つ以上から選択可能な場合で実施しているが、選択手段を無くし、特定の保留ジョブ並び替え手段において実施するようにしてもよい。
【0090】
上記実施例によれば、多数の保留ジョブのミスマッチ要因を一括で把握することができ、効率よく保留状態を解除することができる。また、上記実施例によれば、ミスマッチ要因の解消は、複数の並び替え手段の中からユーザが所望する順序で、保留状態を解除することができる。さらに、上記実施例によれば、特定保留ジョブの意図しない保留解除を回避しつつ、保留状態を解除することができる。
【0091】
HDD205は、印刷ジョブの印刷条件が、印刷装置の設定状態とミスマッチしている場合、上記印刷ジョブを保留ジョブとして、上記印刷装置内に、保留する印刷ジョブ保留手段の例である。CPU201は、ミスマッチ要因が解消された場合、上記印刷ジョブ保留手段における保留を解除する解除手段の例であり、ミスマッチ要因に対する条件毎に、上記保留ジョブを並び替えて表示する保留ジョブ並び替え手段の例である。
【0092】
この場合、上記保留ジョブ並び替え手段は、次の並び替える手段のうちの少なくとも1つの並び替え手段を選択可能である。つまり、設定値の発生順に応じて、並び替える手段と、設定値の発生数順に応じて、並び替える手段と、解消手番の最小順に応じて、並び替える手段と、設定値毎の合計データ容量順に応じて、並び替える手段とのうちの少なくとも1つを選択可能である。また、特定の保留ジョブについて、保留解除の除外を設定する手段を有する。
【符号の説明】
【0093】
PS1…印刷システム、
30a、30b…保留ジョブ並び替え方法選択欄、
31…発生順表示、
32…発生数順表示、
33…容量順表示、
34…リスト表示手段、
41…保留解除除外手段、
50…ジョブリスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置と印刷装置とを具備する印刷システムにおいて、
印刷ジョブの印刷条件が、上記印刷装置の設定状態とミスマッチしている場合、上記印刷ジョブを保留ジョブとして、上記印刷装置に、保留する印刷ジョブ保留手段と;
ミスマッチ要因が解消された場合、上記印刷ジョブ保留手段における保留を解除する解除手段と;
ミスマッチ要因に対する条件毎に、上記保留ジョブを並び替えて表示する保留ジョブ並び替え手段と;
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1であって、
上記保留ジョブ並び替え手段は、
設定値の発生順に応じて、並び替える手段と;
設定値の発生数順に応じて、並び替える手段と;
解消手番の最小順に応じて、並び替える手段と;
設定値毎の合計データ容量順に応じて、並び替える手段と;
のうちの少なくとも1つの並び替え手段を選択可能であることを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2であって、
特定の保留ジョブについて、保留解除の除外を設定する手段を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
印刷装置において、
印刷ジョブの印刷条件が、上記印刷装置の設定状態とミスマッチしている場合、上記印刷ジョブを保留ジョブとして、保留する印刷ジョブ保留手段と;
ミスマッチ要因が解消された場合、上記印刷ジョブ保留手段における保留を解除する解除手段と;
ミスマッチ要因に対する条件毎に、上記保留ジョブを並び替えて表示する保留ジョブ並び替え手段と;
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4であって、
上記保留ジョブ並び替え手段は、
設定値の発生順に応じて、並び替える手段と;
設定値の発生数順に応じて、並び替える手段と;
解消手番の最小順に応じて、並び替える手段と;
設定値毎の合計データ容量順に応じて、並び替える手段と;
のうちの少なくとも1つの並び替え手段を選択可能であることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5であって、
特定の保留ジョブについて、保留解除の除外を設定する手段を有することを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−198496(P2010−198496A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44729(P2009−44729)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】