印刷システム及び印刷設定提案方法
【課題】情報処理装置での印刷設定時に、情報処理装置から印刷指示され画像形成装置で印刷された印刷ジョブの印刷設定履歴に基づいて、印刷設定項目における推奨設定内容を提案する。
【解決手段】印刷システムは、情報処理装置(PC13で例示)での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として例えばサーバ12に蓄積しておき、PC13における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、その印刷設定開始時又は印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索したお薦め設定の候補をPC13で表示させる。
【解決手段】印刷システムは、情報処理装置(PC13で例示)での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として例えばサーバ12に蓄積しておき、PC13における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、その印刷設定開始時又は印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索したお薦め設定の候補をPC13で表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷設定の提案機能を有する印刷システム及びその印刷設定提案方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタドライバがサポートしている機能が多岐に渡るため、印刷処理に詳しくないユーザは、たとえ有用な機能があったとしてもその存在に気付かない、或いは利用方法が分からないためにその能力を十分に活用できていない。
【0003】
この課題に対し、特許文献1には、印刷ジョブ毎に文書の属性情報を取得し、その取得情報から印刷目的を推測し、適切な印刷モードを選択する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−46865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、文書の属性情報に基づいて印刷モードを選択するため、印刷を行う人や印刷者が設定した印刷設定情報などとは独立して印刷モードを選択していた。
【0006】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報処理装置においてユーザが画像形成装置での印刷時の印刷設定を行う際に、情報処理装置から印刷指示され画像形成装置で印刷された印刷ジョブについての印刷設定履歴に基づいて、印刷設定項目における推奨される設定内容を提案することが可能な印刷システム、及びその印刷設定提案方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、画像形成装置と、該画像形成装置に対して印刷指示を行うことが可能な情報処理装置とを備えた印刷システムであって、該印刷システムは、前記情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておき、前記情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、該印刷設定開始時又は該印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索した該お薦め設定の候補を前記情報処理装置で表示させることを特徴としたものである。
【0008】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴としたものである。
【0009】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記印刷設定履歴は、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する情報を含み、前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する特定の条件を満たす前記印刷設定履歴から、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴としたものである。
【0010】
第4の技術手段は、第2の技術手段において、前記画像形成装置は複数台備えられており、前記印刷設定履歴は、前記画像形成装置の機種に関する情報を含み、前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記画像形成装置の機種の違いに関する特定の条件を満たす前記印刷設定履歴から、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴としたものである。
【0011】
第5の技術手段は、第2〜第4のいずれか1の技術手段において、前記印刷システムは、前記設定頻度の高い順に並べて前記情報処理装置で表示させることを特徴としたものである。
【0012】
第6の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記画像形成装置は複数台備えられており、前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、出力先の画像形成装置がもつ機能に応じた候補を検索することを特徴としたものである。
【0013】
第7の技術手段は、第1〜第6のいずれか1の技術手段において、前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、出力対象の文書ファイルの種類に応じた候補を検索することを特徴としたものである。
【0014】
第8の技術手段は、第1〜第7のいずれか1の技術手段において、前記印刷設定履歴は、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する情報を含み、且つ、前記印刷システムは、検索された前記お薦め設定の候補が、前記お薦め設定の候補を表示させる前記情報処理装置又は該情報処理装置のユーザについての前記印刷設定履歴における印刷設定項目で過去に設定済みである場合、少なくとも前記情報処理装置で設定済みの印刷設定項目については、前記お薦め設定の候補の表示を実行しないことを特徴としたものである。
【0015】
第9の技術手段は、第1〜第7のいずれか1の技術手段において、前記情報処理装置は、自装置で以前に設定を行った前記印刷設定項目を過去に設定済みの印刷設定項目として蓄積しておき、前記お薦め設定の候補が前記過去に設定済みの印刷設定項目を含む場合、少なくとも前記過去に設定済みの印刷設定項目については、前記お薦め設定の候補の表示を実行しないことを特徴としたものである。
【0016】
第10の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記印刷システムは、前記情報処理装置にネットワークを介して接続された印刷履歴管理装置を備え、該印刷履歴管理装置は、前記印刷設定履歴を、複数の前記情報処理装置について蓄積するか、若しくは複数の前記情報処理装置のいずれかを使用するユーザについて蓄積することを特徴としたものである。
【0017】
第11の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記印刷システムは、前記情報処理装置を1台備え、前記情報処理装置は、前記印刷設定履歴を、前記情報処理装置を使用するユーザについて、前記情報処理装置の内部に設けられた記憶装置に蓄積することを特徴としたものである。
【0018】
第12の技術手段は、画像形成装置と、該画像形成装置に対して印刷指示を行うことが可能な情報処理装置とを備えた印刷システムにおける、印刷設定提案方法であって、前記情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておく蓄積ステップと、前記情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、該印刷設定開始時又は該印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索した該お薦め設定の候補を前記情報処理装置で表示させるステップと、を有することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、情報処理装置においてユーザが画像形成装置での印刷時の印刷設定を行う際に、情報処理装置から印刷指示され画像形成装置で印刷された印刷ジョブについての印刷設定履歴に基づいて、印刷設定項目における推奨される設定内容を提案することが可能な印刷システム、及びその印刷設定提案方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る印刷システムの一構成例を示す図である。
【図2】図1の印刷システムにおけるサーバ及びPCの一構成例を示すブロック図である。
【図3】図1の印刷システムにおける処理例を説明するためのフロー図である。
【図4】図1及び図2におけるサーバで蓄積される印刷設定履歴テーブルの一例を示す図である。
【図5】図3の処理における検索処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図6】図5の検索処理により図4の印刷設定履歴テーブルから抽出された結果の一例を示す図である。
【図7】図5の検索処理により図6の抽出された結果からお薦め候補の情報として検索された結果の一例を示す図である。
【図8】図3の処理において、印刷設定画面でお薦め設定の候補を表示する方法の一例を説明するための図である。
【図9】図3の処理における検索処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図10】図3の処理における検索処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図11】図3の処理における検索処理の他の例を説明するための図である。
【図12】図3の処理における受信・表示処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図13】図3の処理における受信・表示処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図14】本発明に係る印刷システムの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明に係る印刷システムの一構成例を示す図で、図中、1は印刷システムである。図1で例示する印刷システム1は、画像形成装置の一例としての複合機(MFP)11a,11b、情報処理装置の一例としてのクライアントPC13a〜13c、印刷履歴を保存する印刷履歴管理装置の一例としてのサーバ12から構成され、それらがネットワーク回線で接続されている。この印刷履歴は、印刷設定履歴を少なくとも含む。無論、ネットワーク接続されたMFP及びクライアントPCの数は例示したものに限ったものではない。
【0022】
クライアントPC13a〜13cは、ユーザ操作に基づき、サーバ12に対して、印刷データを送信することで文書ファイルなどの印刷指示を行う。MFP11a,11bは、サーバ12を経由したこの印刷指示に従い、記録用紙などの印刷媒体に印刷を行うことが可能に構成されている。MFP11a,11bは、プリント機能のほか、コピー機能、ファクシミリ機能、ファイリング機能などを有している。なお、画像形成装置としては、MFPの他に単機能のプリンタやファクシミリ装置などが挙げられる。サーバ12は、クライアントPC13a〜13cからの印刷指示をMFP11a,11bに渡すとともに、MFP11a,11bで印刷された印刷ジョブの履歴(印刷履歴)を蓄積する。
【0023】
上述したように、PC13a〜13cが印刷指示をサーバ12のみに送信し、サーバ12がMFP11a等に対してその印刷指示を転送するようにしてもよく、以下の説明では、そのような処理を前提とする。但し、印刷指示はPC13a〜13cがサーバ12とMFP11a等に対してそれぞれ直接パラレルに行ってもよく、その場合、サーバ12はその印刷指示から印刷設定履歴を少なくとも含む印刷履歴を生成するに留め、印刷処理自体は他の機器へ依頼したり自身で実行したりすることはない。他の処理例として、PC13a〜13cは印刷設定だけをサーバ12に送信してサーバ12で印刷設定履歴を蓄積させ、印刷データ自体は直接MFP11a等に送信してもよい。特に、サーバ12がインターネット(PC13a等を含むローカルネットワークの外)にある場合、印刷データをそのローカルネットワーク外に出すことはセキュリティ上好ましくないため、このような処理は有益である。
【0024】
図2は、図1の印刷システムにおけるサーバ及びPCの一構成例を示すブロック図で、図中、12はサーバ、13はクライアントPC13a〜13cのいずれかである。サーバ12は、制御部21と、通信部23と、印刷設定履歴を少なくとも含む印刷履歴を格納する記憶部22とを備えている。また、クライアントPC(以下、単にPCと呼ぶ)13は、汎用コンピュータであり、制御部31と、画面表示部32と、通信部33とを備えている。なお、以下の説明では特に説明しないが、サーバ12が行う処理は制御部21が記憶部22や通信部23などを制御して行い、PC13が行う処理は、基本的に制御部31が画面表示部32や通信部33などを制御して行う。
【0025】
図3は、図1の印刷システムにおける処理例を説明するためのフロー図で、主に図2のサーバ12とPC13との間の処理を示している。まず、PC13上で、アプリケーションソフトを使用して開いた文書ファイルや編集後の文書ファイルに対し、ユーザが印刷ボタンを選択するなどにより、プリンタドライバを起動させて、印刷設定画面を画面表示部32に表示させる。プリンタドライバは、この印刷設定画面の起動をトリガとして、通信部33を介してサーバ12に、印刷設定画面で設定されている印刷設定項目における設定内容(この段階では基本的にデフォルトの設定内容)を含む印刷設定情報を送信する(ステップS1)。ステップS1では、印刷設定画面の起動時以外にも、印刷設定画面表示中にユーザによって印刷設定項目の設定内容の変更の操作がなされる毎に、サーバ12に印刷設定情報を送信する。但し、このときには、設定内容が変更された印刷設定項目についての情報のみ送信するだけでもよい。
【0026】
ここで、印刷設定項目としては、例えば片面/両面の設定項目、集約印刷の設定項目、カラー/モノクロの設定項目などがあり、それぞれに対応する設定内容としては、片面印刷と両面印刷、1upと2up(2in1ともいう)と4up(4in1ともいう)等、カラー印刷とモノクロ印刷が挙げられる。また、例えば片面/両面と集約印刷の各項目との組み合わせをひとまとめにして、1つの印刷設定項目として取り扱うなどすることもできる。さらに別の方法として、片面印刷の設定項目、両面印刷の設定項目、1upの設定項目、2upの設定項目、4upの設定項目、カラー印刷の設定項目、モノクロ印刷の設定項目、といった具合にそれぞれ別の印刷設定項目として取り扱い、それぞれの設定内容を実行と不実行とのいずれかとしてもよい。
【0027】
サーバ12は、印刷設定情報を受信すると(ステップS2)、記憶部22の印刷設定履歴(つまり印刷実行済みの情報)から、PC13が設定内容の変更時に送信した印刷設定情報に含まれる印刷設定項目の設定内容を元に(検索キーとして)、お薦め設定の候補を検索する(ステップS3)。検索されるお薦め設定の候補としては、他のPCが過去に実行した設定内容の情報だけでもよいし、PC13自身が過去に実行した設定内容の情報も併せて含んでよい。そして、サーバ12は、検索したお薦め設定の候補をPC13に返信する(ステップS4)。ここで、お薦め設定の候補として送信するために、上記検索では、印刷設定履歴に含まれるその印刷設定項目における設定内容の中で、検索キーと一致する印刷設定項目の設定内容をもつだけでなく、後述するように、例えばある特定のユーザ(熟練のユーザ)が使用しているなどの所定の推奨基準に基づき推奨する印刷設定項目の設定内容を検索する。
【0028】
PC13は、サーバ12から返信されたお薦め設定の候補を画面表示部32に表示する(ステップS5)ことで、ユーザに印刷設定の提案を行う。ステップS5では、お薦め設定の候補をユーザに目立つように表示することが好ましい。
【0029】
次に、PC13は、印刷実行キーの押下により印刷指示がなされたか否かを判定し(ステップS6)、NOの場合には、ステップS1へ戻り、お薦め設定の候補を表示した状態で印刷設定項目の設定内容を変更するための選択操作をユーザから受け付け、その選択操作が示す設定内容をもつ印刷設定情報の送信を行う。なお、PC13が一度お薦め設定の候補を表示させた状態で印刷設定情報を送信した場合、それを受けたサーバ12は検索及びお薦め設定の候補の送信を行わないようにしておいてもよい。つまり、サーバ12はお薦め設定の候補の検索及び送信を印刷指示がなされるまでに一度だけ実行してもよい。また、印刷設定項目毎に1回だけ検索及び送信を実行するようにしてもよい。
【0030】
一方、ステップS6でYESの場合、すなわち印刷実行キーが押下された場合には、PC13のプリンタドライバは、その印刷指示の内容(印刷対象の文書ファイルや印刷設定情報における設定内容)から印刷データを生成し、サーバ12へ送信する(ステップS7)。ステップS7では、ステップS1において印刷指示時の印刷設定情報を未送信の場合には、印刷指示時の印刷設定情報(つまり最終の印刷設定情報)も送信する。サーバ12はこの印刷データを伴う印刷指示を受信するとともに、印刷指示時の印刷設定情報も受信する(ステップS8)。
【0031】
そして、サーバ12は、他の印刷設定処理時におけるお薦め設定の候補の検索のために、その印刷設定情報を印刷設定履歴として登録しておく(ステップS9)。ステップS9では、印刷設定情報の送信が既にステップS1で完了しておりステップS7で印刷設定情報の送信がなされない場合には、印刷指示を受けることで、既に受信した印刷設定情報が確定であると判断し、印刷設定履歴として正式に登録すればよい。このように、サーバ12は、印刷設定情報に含まれる印刷設定項目を、設定内容の変更に従い更新しながら記録し、印刷指示時に記録されている印刷設定項目における設定内容を、印刷設定履歴として記憶部22に蓄積する。但し、このような更新しながらの記録に限らず、例えば印刷指示時だけ記録するなど、サーバ12が印刷指示時の印刷設定項目における設定内容を、印刷設定履歴として蓄積できればよい。
【0032】
このように、本発明によれば、PC13においてユーザがMFP11a等での印刷時の印刷設定を行う際に、複数のPC(印刷設定を行うPC自身も含んでよい)から印刷指示されMFP11a等で実行された印刷ジョブについての印刷設定履歴に基づいて、印刷設定項目における推奨される設定内容をユーザインターフェースにて提案することが可能になる。この提案では、推奨される印刷設定を決定するために他のユーザの過去の印刷設定履歴を利用しているため、特定のユーザが保有している有益な印刷設定を全てのユーザが活用することができる。つまり、本発明によれば、ユーザは現在の印刷をより効果的に行うための印刷方法を取得することが可能となる。また、サーバ12では印刷設定履歴を複数のPC13について蓄積し、且つPC13のそれぞれがユーザのそれぞれに対応することを前提に説明したが、サーバ12は、複数のPC13のいずれかを使用するユーザについて蓄積するようにし、ユーザを示すユーザアカウント等の情報に基づき印刷設定履歴が管理されていてもよい。
【0033】
次に、図4〜図7を参照しながら、より好ましい印刷設定履歴のデータ形式とお薦め設定の候補などについて、例を挙げて説明する。図4は、図1及び図2におけるサーバで蓄積される印刷設定履歴テーブルの一例を示す図で、図中、40は印刷設定履歴テーブルである。また、図5は、図3の処理における検索処理の一例を説明するためのフロー図で、図6は、図5の検索処理により図4の印刷設定履歴テーブルから抽出された結果の一例を示す図で、図7は、図5の検索処理により図6の抽出された結果からお薦め候補の情報として検索された結果の一例を示す図である。
【0034】
印刷設定履歴テーブル40は、記憶部22に格納されており、PC13が1回印刷実行する毎に、実行された印刷ジョブについての全ての印刷設定項目の設定内容を1つのレコードとして蓄積していく。印刷設定履歴テーブル40では、印刷設定項目1として2upを、印刷設定項目2として4upを、印刷設定項目3として両面印刷を、印刷設定項目4としてモノクロ印刷を記録し、それぞれの設定項目について実行した場合には「○」、実行しなかった場合には「×」として設定内容を記している。この印刷設定項目は、上述したようにPC13から印刷実行の指示が伝えられたときに直前にサーバ12が記憶していた印刷設定項目を指す。
【0035】
また、印刷設定履歴テーブル40には、より好ましい例として、PC13からの出力先のMFPにおける印刷機能を示す情報(例えばカラー機なのかモノクロ専用機なのかを示す情報)や、印刷された文書ファイルの種類を示す情報や、印刷者の情報を、PC13から取得して格納している。印刷者の情報は、上述した特定のユーザの検索として利用できる情報であり、使用しているPC13のIPアドレスであってもよい。
【0036】
上述したサーバ12は、お薦め設定の候補として、印刷設定項目における設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索(抽出)することが好ましい。設定頻度については、印刷設定履歴の記録時(つまり印刷指示時)毎に設定内容毎の集計を行い各設定内容の設定頻度として印刷設定履歴として蓄積しておいてもよいし、検索時に設定内容毎の集計を行い各設定内容の設定頻度を求めてもよい。また、所定順位としては例えば1位であっても3位であってもよく、また所定順位自体も設定できるようにしておいてもよい。つまり、設定頻度については、少なくとも検索時に設定頻度が求まるように印刷設定項目における設定内容を蓄積しておけばよい。いずれにしても、PC13では検索されたお薦め設定の候補を受信して表示することになる。さらに、設定頻度の高い順に並べてPC13に返信するか、設定頻度自体又は設定頻度の順位の情報を付加してPC13に返信し、これによりPC13では、返信された候補を設定頻度の高い順に表示させることが好ましい。
【0037】
その処理例を説明すると、図3におけるステップS3において、図5に示すように、サーバ12は、まずPC13から送信された印刷設定項目と一致するレコードを印刷設定履歴テーブル40から抽出する(ステップS11)。例えば、ユーザが今から実行しようとする印刷の印刷設定で「両面」を指定していた場合、PC13から「両面」の情報がサーバ12に送信される。サーバ12は印刷設定履歴のレコードの中から「両面」を設定しているレコードを抽出する。印刷設定履歴テーブル40の例では、両面を設定しているのはレコード1とレコード3であるため、この2つのレコードが抽出される。
【0038】
次に、サーバ12は、抽出されたレコードに「実行されたこと」が記録されている印刷設定項目の頻度(すなわち設定内容が「○」となっている印刷設定項目の頻度)を、印刷設定項目毎にヒストグラム化する(ステップS12)。レコード1,3の場合、2upと4upとモノクロの項目の頻度がそれぞれ1カウントアップする。つまり、レコード1,3の場合、印刷設定項目「2up」、「4up」、「モノクロ」のそれぞれについて、設定内容が「実行された」となっている頻度がそれぞれ1だけカウントアップする。このようにして全ての抽出されたレコードに対し、設定されている印刷設定項目(つまり「実行されたこと」が記録されている印刷設定項目)はカウントアップしてヒストグラム化する。図6で例示する抽出結果60では、その上段に、PC13から「両面」の情報が送信されてきた場合のカウント結果の例を示しており、その下段には、PC13から「両面で且つ2up」の情報が送信されてきた場合のカウント結果の例を示している。
【0039】
そして、サーバ12はヒストグラムの上位3項目を抽出して、お薦め設定の候補とする(ステップS13)。そして、図3におけるステップS5では、PC13は、お薦め設定の候補を頻度の高い順に並べて表示すればよい。結果として図7に例示するお薦め設定の候補70のうち上段又は下段の情報が、設定頻度順にPC13の印刷設定画面に表示される。すなわち、図6の抽出結果60の上段に対応して、お薦め設定項目1(2upでモノクロ印刷)、お薦め設定項目2(モノクロ印刷)、お薦め設定項目3(4up)の順に表示される。また、図6の抽出結果60の下段に対応して、お薦め設定項目1(モノクロ印刷)が表示される。この例は上位1つしか抽出結果が存在しない場合の例である。
【0040】
次に、お薦め設定の候補を含む印刷設定画面の例を挙げる。図8は、図3の処理において、印刷設定画面でお薦め設定の候補を表示する方法の一例を説明するための図である。図8で例示する、PC13での印刷設定画面100は、通常の印刷設定画面101の他に、メニューボタンを有するボックス102が表示される。ボックス102は印刷設定画面101内に組み込んでもよい。
【0041】
このボックス102は、お薦め設定の候補を表示するためのボックスであり、この例では、上位3つの設定項目がお薦め設定項目としてメニューボタン104a〜104cが、その表題103とともに表示される。この例では、図7のお薦め設定の候補70における上段の検索結果であった場合の表示例を挙げている。このような表示状態で、ユーザがお薦め設定の候補うちのいずれかの設定の実施を希望する場合、それに対応するメニューボタンを押すとその設定が反映される。また、この例では設定内容を実行済み/未実行で、すなわち○/×で分けた場合の表示例であるが、各印刷設定項目のそれぞれについてお薦め設定の候補(お薦めの設定内容の候補)を表示させることもできる。
【0042】
次に、図9を参照しながら、他の検索処理の例を説明する。図9は、図3の処理における検索処理の他の例を説明するためのフロー図である。この例では、サーバ12は、お薦め設定の候補として、出力先のMFPや印刷装置等がもつ機能に応じた候補を検索し、それを送信する。PC13はそのお薦め設定の候補を表示することになる。例えばモノクロ機に出力しようとしているユーザにモノクロ機能を薦めても意味がないが、この形態により、このような使用状況に適したお薦め設定の情報をユーザに通知することができる。但し、このような検索を行う形態にあっては、MFP等が図示するように複数台接続されている必要がある。また、この形態は設定頻度の高い順に並べて返信してPC13に表示させる形態などと併用することもできる。
【0043】
このように、出力先のMFPの機能に応じてお薦め設定の候補が変わる例(MFPの機能に対応した例)を説明する。図3におけるステップS3において、サーバ12は、まず出力先のMFPの機能を示す情報をPC13から受け付ける(ステップS21)。次に、サーバ12は、印刷設定履歴のレコードの中から同一機能を有するMFPのレコードのみ抽出する(ステップS22)。例えば、PC13がモノクロ機への出力を指示しようとしていた場合、モノクロ機能を示す情報をPC13が送信すると、サーバ12は印刷設定履歴のレコードの中から「出力先印刷装置の印刷機能」のうち、「モノクロ機」のレコードのみを抽出する。その後、抽出したレコードの中から、前述のステップS11〜S13の処理を行う(ステップS23〜S25)。
【0044】
次に、図10を参照しながら、さらに他の検索処理の例を説明する。図10は、図3の処理における検索処理の他の例を説明するためのフロー図である。この例では、サーバ12は、お薦め設定の候補として、出力対象の文書ファイルの種類に応じた候補を検索し、それを送信する。PC13はそのお薦め設定の候補を表示することになる。例えば、ワープロ文書では2upの利用頻度が高く、プレゼンデータの場合に4upの利用頻度が高いなどの例が考えられるため、この形態により、そのような使用状況に適したお薦め設定の情報をユーザに通知することができる。また、この形態は、出力先のMFPがもつ機能に応じた候補を検索する形態や、設定頻度の高い順に並べて返信してPC13に表示させる形態などと併用することもできる。
【0045】
このように、出力対象の文書ファイルの種類に応じてお薦め設定の候補が変わる例(文書ファイルに対応した例)を説明する。図3におけるステップS3において、サーバ12は、まず文書ファイルの種類を示す情報をPC13から受け付ける(ステップS31)。次に、サーバ12は、印刷設定履歴のレコードの中から同一文書ファイルのレコードのみ抽出する(ステップS32)。その後、抽出したレコードの中から、前述のステップS11〜S13の処理を行う(ステップS33〜S35)。
【0046】
次に、図11を参照しながら、さらに他の検索処理の例を説明する。図11は、図3の処理における検索処理の他の例を説明するためのフロー図である。この例では、サーバ12は、お薦め設定の候補として、PC13又はPC13のユーザに関する特定の条件を満たす印刷設定履歴から、設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索し、それを送信する。但し、印刷設定履歴は、PC13に関する情報又はPC13のユーザに関する情報を含むものとする。無論、蓄積の形式としては、印刷設定履歴を、PC13に関する情報毎に(つまりPC13毎に)又はPC13のユーザに関する情報毎に(つまりユーザ毎に)、蓄積しておくこともできる。また、設定頻度は印刷設定履歴の記録時に算出しておいても検索時に算出してもよい。
【0047】
ここでの特定の条件とは、例えば2年以上の使用歴がある熟練のユーザ(印刷者)や、入社2年目以上の30年目未満のユーザや、社内でよく使用する印刷設定が設定された特定のPC、社内の特定の部署で使用されているPCなどが挙げられる。ユーザはユーザアカウントやユーザ名で、PCはIPアドレスや機番などで特定することができる。具体的には、図4の印刷設定履歴テーブル40の項目として、PCの属性を示す情報(所属部署を示すコードなど)、PCのIPアドレス、印刷者など一緒に格納しておく。そして、お薦めを抽出する際に、特定のPCの属性や印刷者名などでフィルタリングしてその中から抽出する。このような特定の条件に基づくお薦め設定の候補をPC13が表示することになる。また、この形態は、出力先のMFPがもつ機能に応じた候補を検索する形態や、出力対象の文書ファイルの種類に応じた候補を検索する形態や、設定頻度の高い順に並べて返信してPC13に表示させる形態などと併用することもできる。
【0048】
このような特定の条件を満たす候補を表示させる例を説明する。図3におけるステップS3において、サーバ12は、まず印刷設定履歴のレコードの中から特定の条件を満たす印刷者(又はPC)のレコードのみを抽出する(ステップS41)。その後、抽出したレコードの中から、前述のステップS11〜S13の処理を行う(ステップS42〜S44)。このような処理により、ユーザ(又はPC)に関する特定の条件に応じて最適なお薦め表示を行うことができる。
【0049】
次に、さらに他の検索処理の例を説明する。この例では、サーバ12は、お薦め設定の候補として、MFP11a等の機種の違いに関する特定の条件を満たす印刷設定履歴から、設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索し、それを送信する。但し、MFP11a等の画像形成装置はシステム内に複数台備えられており、且つ印刷設定履歴は、画像形成装置の機種の違いに関する情報を含むものとする。無論、蓄積の形式としては、印刷設定履歴をMFPの機種の違いに関する情報毎に蓄積しておくこともできる。また、設定頻度は印刷設定履歴の記録時に算出しておいても検索時に算出してもよい。
【0050】
ここでの特定の条件とは、例えばカラー印刷機能を持った機種、毎分x枚以上のモノクロ印刷機能を持った機種、所定の発売年以降の機種などが挙げられる。MFP11a等は機番などで特定することができる。具体的には、図4の印刷設定履歴テーブル40の項目として、MFP11a等の属性を示す情報(例えば機番の所定の桁)など一緒に格納しておく。そして、お薦めを抽出する際に、特定のMFPの属性などでフィルタリングしてその中から抽出する。このような特定の条件に基づくお薦め設定の候補をPC13が表示することになる。また、この形態は、出力先のMFP(例えばMFP11a)がもつ機能に応じた候補を検索する形態以外については併用する必要がないが、その他の形態、出力対象の文書ファイルの種類に応じた候補を検索する形態や、設定頻度の高い順に並べて返信してPC13に表示させる形態、PC又はユーザに関する特定条件に基づく検索を行う形態などと併用することもできる。
【0051】
このような特定の条件を満たす候補を表示させる例は、図11のステップS41においてサーバ12が、印刷設定履歴のレコードの中から特定の条件を満たすMFPのレコードのみを抽出するようにするだけで、その他の処理は同様である。MFP11a等の機種の違いで利用する機能の違いがあるが、このような処理により、MFP11a等の機種に関する特定の条件に応じて最適なお薦め表示を行うことができる。
【0052】
次に、図12を参照しながら、図3のステップS5における受信・表示処理(以下、表示処理Aと呼ぶ)とは異なる表示処理の例を説明する。図12は、図3の処理における受信・表示処理の他の例を説明するためのフロー図である。ここで説明する処理は、表示処理Aとは異なるため、表示処理Bと呼ぶ。ここで説明する表示処理Bは、表示処理Aの代替処理であり、上述した他の様々な形態については同様に適用できる。
【0053】
表示処理Bでは、ユーザが過去に設定を行った印刷設定項目を記録しておき(その設定内容まで記録しておかなくてもよい)、お薦め設定の候補を抽出した後、抽出された候補の中で過去に設定した印刷設定項目の記録があれば、その印刷設定項目の設定内容の候補についてのお薦め表示を禁止するものである。
【0054】
印刷システムは、検索されたお薦め設定の候補が、お薦め設定の候補を表示させるPC13又はそのPC13のユーザについての印刷設定履歴における印刷設定項目で過去に設定済みである場合、少なくともPC13で設定済みの印刷設定項目については、お薦め設定の候補の表示を実行しない。但し、この処理例では、印刷設定履歴は、例示したようにPC13又はPC13のユーザに関する情報を含むものとする。全てのお薦め設定の候補を表示しない、つまり何のお薦め表示も行わない、といった処理を採用してもよい。
代わりに、PC13内に、自機(自装置)で以前に設定を行った印刷設定項目を過去に設定済みの印刷設定項目として蓄積しておき、次のような制限を行ってもよい。つまり、この制限は、お薦め設定の候補が過去に設定済みの印刷設定項目を含む場合、少なくとも過去に設定済みの印刷設定項目については、お薦め設定の候補の表示を実行しないといったものである。この処理でも、全てのお薦め設定の候補を表示しない、つまり何のお薦め表示も行わない、といった処理を採用してもよい。
【0055】
いずれかの処理により、PC13はまずお薦め設定の候補を受信すると(ステップS51)、自己の印刷設定履歴中にその候補に係わる印刷設定項目が含まれるか否かを判定する(ステップS52)。なお、候補自体が設定済みでなければ表示禁止しないようにする処理も採用可能であり、その場合、ステップS52では、自己の印刷設定履歴中の各印刷設定中にその候補が含まれるか否かを判定すればよい。ステップS52でYESの場合、PC13は、含まれると判定された候補について、お薦め設定の候補から除外し(ステップS53)、お薦め設定の候補を表示する(ステップS54)。一方、ステップS52でNOの場合、PC13は、除外処理を行わずそのままステップS54の処理を行う。
【0056】
このように、既に一度設定したことがある印刷設定項目であれば、ユーザはその印刷設定項目を既に理解しているため、改めて薦める必要が無いと判断して表示を禁止することで、ユーザがお薦め表示に煩わしさを感じることを防止することができる。但し、過去に設定した印刷設定項目としてはデフォルト設定は除くようにしておくことが、この効果をより得る上で好ましい。ここで、各印刷設定項目の設定内容はMFP11a等の機能に対応させることができるため、過去に設定した機能があればその機能についてのお薦め表示を行わないようにすることができる。
【0057】
次に、図13を参照しながら、表示処理A,Bとは異なる表示処理の例を説明する。図12は、図3の処理における受信・表示処理の他の例を説明するためのフロー図である。ここで説明する処理を表示処理Cと呼ぶ。ここで説明する表示処理Cは、表示処理Aや表示処理Bの代替処理であり、上述した他の様々な形態については同様に適用できる。
【0058】
表示処理Cでは、プリントデータの文字数を検出して、文字数が多ければ、Nupがお薦め表示されることを禁止するようにする。PC13はまずお薦め設定の候補を受信すると(ステップS61)、受信したお薦め設定の候補の中にNupが含まれるか否かを判定する(ステップS62)。ステップS62でYESの場合、PC13は、文字カウントし(ステップS63)、カウントした値が所定数以上であるか否かを判定し(ステップS64)、所定数以上である場合のみ、Nupの候補をお薦め設定の候補から除外し(ステップS65)、お薦め設定の候補を表示する(ステップS66)。一方、ステップS62でNOの場合やステップS64でNOの場合、PC13は、除外処理を行わずそのままステップS66の処理を行う。
【0059】
このように表示処理Cでは、お薦め設定の候補としてNupが抽出された後、印刷しようとするファイル内の文字数をアプリケーションからオペレーションシステムを介しドライバ経由でサーバ12が取得して、取得した文字数が所定の文字数より多ければ、Nupはお薦めとして表示することを禁止することで、Nupにより文字が縮小され見づらくなることが防止できる。文字数が多ければ文字は必然的に小さくなるので、文字数の多い原稿はNupに不向きであることからこのように処理すればよい。なお、文字が小さく文字数が少ないというケースも有りうるが、そのような場合はNupしても空白が多いので、文字数が多い原稿ほど見づらくはならない。
【0060】
また、他のお薦め設定の表示例として、複数部数をプリントする場合に、印刷設定履歴に係わらず、ステープル設定を薦めるようにしてもよい。
【0061】
以上、図1に基づき説明した各形態の印刷システムでは、印刷設定履歴を蓄積するために、印刷システムが情報処理装置にネットワークを介して接続された印刷履歴管理装置を備え、印刷設定履歴を複数の情報処理装置について蓄積すること、若しくは印刷設定履歴をこれら複数の情報処理装置のいずれかを使用するユーザについて蓄積することを前提としている。
【0062】
一方で、本発明では、印刷設定履歴を蓄積するために情報処理装置が内部記憶装置を有するように構成することもできる。この構成の場合、印刷システムは、印刷設定履歴を、1台の情報処理装置を使用する複数のユーザについて蓄積するようにしてもよい。このような構成例を図14を参照しながら説明する。図14は、本発明に係る印刷システムの他の構成例を示す図である。ここで説明する例では、基本的に上述した様々な形態が採用できるが、サーバ12を介したやり取りが無くなる点が特に異なる。
【0063】
図14で例示する印刷システム1aは、画像形成装置の一例としての複合機(MFP)11a,11b、1台の情報処理装置の一例としての1台のPC13aから構成され、それらがネットワーク回線で接続されている。無論、ネットワーク接続されたMFPの数は例示したものに限ったものではなく、また、PC13aと同様のPCが同じネットワークに接続されていても印刷設定履歴が個々のPCで独立したデータであればよい。PC13aは、印刷設定履歴を、PC13aを使用するユーザについて、PC13aの内部に設けられた記憶装置に蓄積する。ここで、ユーザ毎に印刷履歴を蓄積することが好ましく、上述した自己印刷設定履歴を用いる形態においては印刷設定履歴とは別にユーザの情報(例えばユーザアカウント毎の過去設定済みの印刷設定項目を示す情報)を記録しておいてもよい。
【0064】
このように複数のユーザアカウントについての印刷設定履歴の蓄積を行い、例えば設定頻度(設定項目毎の使用頻度)が所定順位より高いことを推奨基準とすればよい。つまり、1台のPC13a内における複数のユーザアカウント毎の設定項目毎の使用頻度を累計した結果から、使用頻度の高い設定をお薦めとして抽出するように構成する。この構成により、1台のPC13aを複数のユーザが利用するケースで、そのPC13aにおける使用頻度の高い設定内容や機能を薦めることで、実際の使用状態に即した設定内容や機能を薦めることができる。
【0065】
具体的には、一般ユーザ権限下で操作されたプリンタドライバの設定履歴Rを、ユーザ毎にプリンタドライバ内部に保存しておく。各ユーザ毎の印刷設定履歴テーブルR1,R2,・・・が保存されることになる。その後、管理者権限でPC13aがログインされたとき、印刷設定履歴テーブルR1,R2,・・の設定頻度を集計してヒストグラムHを作成し、一般ユーザ権限下でアクセス可能な情報として保存する。以降、一般ユーザ権限で印刷設定したときは、ヒストグラムHを参照して、お薦め設定の候補を表示する。このようにすることで、外部にサーバを設けることなくお薦め表示を行うことができる。
【0066】
このように印刷システムにPC13が一台のみ接続されていた場合でも、複数ユーザが使用できる環境であれば図1等で説明したシステムと同様の効果が得られる。さらに、この印刷システムにPC13が一台のみ接続されていて且つ1ユーザのみが使用する場合でも、自身の設定内容の統計から推奨される候補の提案を受けることができるため、一部の形態においては有益である。
【0067】
このように、本発明の印刷システムは、図1の構成例や図14の構成例などが採用できる。つまり、本発明に係る印刷システムは、画像形成装置と、画像形成装置に対して印刷指示を行うことが可能な情報処理装置とを備える。そして、この印刷システムは、情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておき、情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、その印刷設定開始時又は印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索したお薦め設定の候補を情報処理装置で表示させる。
【0068】
以上、本発明に係る印刷システムについて説明したが、処理の流れを説明したように、本発明は、この印刷システムにおける印刷設定提案方法としての形態も採り得る。この印刷設定提案方法は、(1)情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておく蓄積ステップと、(2)情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、その印刷設定開始時又はその印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索したお薦め設定の候補を情報処理装置で表示させるステップと、を有する。その他の応用例については、印刷システムについて説明した通りであり、その説明を省略する。また、この印刷設定提案方法は、サーバを用いないシステムでは上述したPCにおいてプログラムとして組み込むことで、一方でサーバを用いるシステムでは上述したPCとサーバのそれぞれにおいて各装置用のプログラムとして組み込むことで、実現することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…印刷システム、11a,11b…MFP、12…サーバ、13,13a,13b,13c…クライアントPC、21…サーバの制御部、22…記憶部、23…サーバの通信部、31…PCの制御部、32…画面表示部、33…PCの通信部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷設定の提案機能を有する印刷システム及びその印刷設定提案方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタドライバがサポートしている機能が多岐に渡るため、印刷処理に詳しくないユーザは、たとえ有用な機能があったとしてもその存在に気付かない、或いは利用方法が分からないためにその能力を十分に活用できていない。
【0003】
この課題に対し、特許文献1には、印刷ジョブ毎に文書の属性情報を取得し、その取得情報から印刷目的を推測し、適切な印刷モードを選択する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−46865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、文書の属性情報に基づいて印刷モードを選択するため、印刷を行う人や印刷者が設定した印刷設定情報などとは独立して印刷モードを選択していた。
【0006】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報処理装置においてユーザが画像形成装置での印刷時の印刷設定を行う際に、情報処理装置から印刷指示され画像形成装置で印刷された印刷ジョブについての印刷設定履歴に基づいて、印刷設定項目における推奨される設定内容を提案することが可能な印刷システム、及びその印刷設定提案方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、画像形成装置と、該画像形成装置に対して印刷指示を行うことが可能な情報処理装置とを備えた印刷システムであって、該印刷システムは、前記情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておき、前記情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、該印刷設定開始時又は該印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索した該お薦め設定の候補を前記情報処理装置で表示させることを特徴としたものである。
【0008】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴としたものである。
【0009】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記印刷設定履歴は、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する情報を含み、前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する特定の条件を満たす前記印刷設定履歴から、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴としたものである。
【0010】
第4の技術手段は、第2の技術手段において、前記画像形成装置は複数台備えられており、前記印刷設定履歴は、前記画像形成装置の機種に関する情報を含み、前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記画像形成装置の機種の違いに関する特定の条件を満たす前記印刷設定履歴から、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴としたものである。
【0011】
第5の技術手段は、第2〜第4のいずれか1の技術手段において、前記印刷システムは、前記設定頻度の高い順に並べて前記情報処理装置で表示させることを特徴としたものである。
【0012】
第6の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記画像形成装置は複数台備えられており、前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、出力先の画像形成装置がもつ機能に応じた候補を検索することを特徴としたものである。
【0013】
第7の技術手段は、第1〜第6のいずれか1の技術手段において、前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、出力対象の文書ファイルの種類に応じた候補を検索することを特徴としたものである。
【0014】
第8の技術手段は、第1〜第7のいずれか1の技術手段において、前記印刷設定履歴は、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する情報を含み、且つ、前記印刷システムは、検索された前記お薦め設定の候補が、前記お薦め設定の候補を表示させる前記情報処理装置又は該情報処理装置のユーザについての前記印刷設定履歴における印刷設定項目で過去に設定済みである場合、少なくとも前記情報処理装置で設定済みの印刷設定項目については、前記お薦め設定の候補の表示を実行しないことを特徴としたものである。
【0015】
第9の技術手段は、第1〜第7のいずれか1の技術手段において、前記情報処理装置は、自装置で以前に設定を行った前記印刷設定項目を過去に設定済みの印刷設定項目として蓄積しておき、前記お薦め設定の候補が前記過去に設定済みの印刷設定項目を含む場合、少なくとも前記過去に設定済みの印刷設定項目については、前記お薦め設定の候補の表示を実行しないことを特徴としたものである。
【0016】
第10の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記印刷システムは、前記情報処理装置にネットワークを介して接続された印刷履歴管理装置を備え、該印刷履歴管理装置は、前記印刷設定履歴を、複数の前記情報処理装置について蓄積するか、若しくは複数の前記情報処理装置のいずれかを使用するユーザについて蓄積することを特徴としたものである。
【0017】
第11の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記印刷システムは、前記情報処理装置を1台備え、前記情報処理装置は、前記印刷設定履歴を、前記情報処理装置を使用するユーザについて、前記情報処理装置の内部に設けられた記憶装置に蓄積することを特徴としたものである。
【0018】
第12の技術手段は、画像形成装置と、該画像形成装置に対して印刷指示を行うことが可能な情報処理装置とを備えた印刷システムにおける、印刷設定提案方法であって、前記情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておく蓄積ステップと、前記情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、該印刷設定開始時又は該印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索した該お薦め設定の候補を前記情報処理装置で表示させるステップと、を有することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、情報処理装置においてユーザが画像形成装置での印刷時の印刷設定を行う際に、情報処理装置から印刷指示され画像形成装置で印刷された印刷ジョブについての印刷設定履歴に基づいて、印刷設定項目における推奨される設定内容を提案することが可能な印刷システム、及びその印刷設定提案方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る印刷システムの一構成例を示す図である。
【図2】図1の印刷システムにおけるサーバ及びPCの一構成例を示すブロック図である。
【図3】図1の印刷システムにおける処理例を説明するためのフロー図である。
【図4】図1及び図2におけるサーバで蓄積される印刷設定履歴テーブルの一例を示す図である。
【図5】図3の処理における検索処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図6】図5の検索処理により図4の印刷設定履歴テーブルから抽出された結果の一例を示す図である。
【図7】図5の検索処理により図6の抽出された結果からお薦め候補の情報として検索された結果の一例を示す図である。
【図8】図3の処理において、印刷設定画面でお薦め設定の候補を表示する方法の一例を説明するための図である。
【図9】図3の処理における検索処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図10】図3の処理における検索処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図11】図3の処理における検索処理の他の例を説明するための図である。
【図12】図3の処理における受信・表示処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図13】図3の処理における受信・表示処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図14】本発明に係る印刷システムの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明に係る印刷システムの一構成例を示す図で、図中、1は印刷システムである。図1で例示する印刷システム1は、画像形成装置の一例としての複合機(MFP)11a,11b、情報処理装置の一例としてのクライアントPC13a〜13c、印刷履歴を保存する印刷履歴管理装置の一例としてのサーバ12から構成され、それらがネットワーク回線で接続されている。この印刷履歴は、印刷設定履歴を少なくとも含む。無論、ネットワーク接続されたMFP及びクライアントPCの数は例示したものに限ったものではない。
【0022】
クライアントPC13a〜13cは、ユーザ操作に基づき、サーバ12に対して、印刷データを送信することで文書ファイルなどの印刷指示を行う。MFP11a,11bは、サーバ12を経由したこの印刷指示に従い、記録用紙などの印刷媒体に印刷を行うことが可能に構成されている。MFP11a,11bは、プリント機能のほか、コピー機能、ファクシミリ機能、ファイリング機能などを有している。なお、画像形成装置としては、MFPの他に単機能のプリンタやファクシミリ装置などが挙げられる。サーバ12は、クライアントPC13a〜13cからの印刷指示をMFP11a,11bに渡すとともに、MFP11a,11bで印刷された印刷ジョブの履歴(印刷履歴)を蓄積する。
【0023】
上述したように、PC13a〜13cが印刷指示をサーバ12のみに送信し、サーバ12がMFP11a等に対してその印刷指示を転送するようにしてもよく、以下の説明では、そのような処理を前提とする。但し、印刷指示はPC13a〜13cがサーバ12とMFP11a等に対してそれぞれ直接パラレルに行ってもよく、その場合、サーバ12はその印刷指示から印刷設定履歴を少なくとも含む印刷履歴を生成するに留め、印刷処理自体は他の機器へ依頼したり自身で実行したりすることはない。他の処理例として、PC13a〜13cは印刷設定だけをサーバ12に送信してサーバ12で印刷設定履歴を蓄積させ、印刷データ自体は直接MFP11a等に送信してもよい。特に、サーバ12がインターネット(PC13a等を含むローカルネットワークの外)にある場合、印刷データをそのローカルネットワーク外に出すことはセキュリティ上好ましくないため、このような処理は有益である。
【0024】
図2は、図1の印刷システムにおけるサーバ及びPCの一構成例を示すブロック図で、図中、12はサーバ、13はクライアントPC13a〜13cのいずれかである。サーバ12は、制御部21と、通信部23と、印刷設定履歴を少なくとも含む印刷履歴を格納する記憶部22とを備えている。また、クライアントPC(以下、単にPCと呼ぶ)13は、汎用コンピュータであり、制御部31と、画面表示部32と、通信部33とを備えている。なお、以下の説明では特に説明しないが、サーバ12が行う処理は制御部21が記憶部22や通信部23などを制御して行い、PC13が行う処理は、基本的に制御部31が画面表示部32や通信部33などを制御して行う。
【0025】
図3は、図1の印刷システムにおける処理例を説明するためのフロー図で、主に図2のサーバ12とPC13との間の処理を示している。まず、PC13上で、アプリケーションソフトを使用して開いた文書ファイルや編集後の文書ファイルに対し、ユーザが印刷ボタンを選択するなどにより、プリンタドライバを起動させて、印刷設定画面を画面表示部32に表示させる。プリンタドライバは、この印刷設定画面の起動をトリガとして、通信部33を介してサーバ12に、印刷設定画面で設定されている印刷設定項目における設定内容(この段階では基本的にデフォルトの設定内容)を含む印刷設定情報を送信する(ステップS1)。ステップS1では、印刷設定画面の起動時以外にも、印刷設定画面表示中にユーザによって印刷設定項目の設定内容の変更の操作がなされる毎に、サーバ12に印刷設定情報を送信する。但し、このときには、設定内容が変更された印刷設定項目についての情報のみ送信するだけでもよい。
【0026】
ここで、印刷設定項目としては、例えば片面/両面の設定項目、集約印刷の設定項目、カラー/モノクロの設定項目などがあり、それぞれに対応する設定内容としては、片面印刷と両面印刷、1upと2up(2in1ともいう)と4up(4in1ともいう)等、カラー印刷とモノクロ印刷が挙げられる。また、例えば片面/両面と集約印刷の各項目との組み合わせをひとまとめにして、1つの印刷設定項目として取り扱うなどすることもできる。さらに別の方法として、片面印刷の設定項目、両面印刷の設定項目、1upの設定項目、2upの設定項目、4upの設定項目、カラー印刷の設定項目、モノクロ印刷の設定項目、といった具合にそれぞれ別の印刷設定項目として取り扱い、それぞれの設定内容を実行と不実行とのいずれかとしてもよい。
【0027】
サーバ12は、印刷設定情報を受信すると(ステップS2)、記憶部22の印刷設定履歴(つまり印刷実行済みの情報)から、PC13が設定内容の変更時に送信した印刷設定情報に含まれる印刷設定項目の設定内容を元に(検索キーとして)、お薦め設定の候補を検索する(ステップS3)。検索されるお薦め設定の候補としては、他のPCが過去に実行した設定内容の情報だけでもよいし、PC13自身が過去に実行した設定内容の情報も併せて含んでよい。そして、サーバ12は、検索したお薦め設定の候補をPC13に返信する(ステップS4)。ここで、お薦め設定の候補として送信するために、上記検索では、印刷設定履歴に含まれるその印刷設定項目における設定内容の中で、検索キーと一致する印刷設定項目の設定内容をもつだけでなく、後述するように、例えばある特定のユーザ(熟練のユーザ)が使用しているなどの所定の推奨基準に基づき推奨する印刷設定項目の設定内容を検索する。
【0028】
PC13は、サーバ12から返信されたお薦め設定の候補を画面表示部32に表示する(ステップS5)ことで、ユーザに印刷設定の提案を行う。ステップS5では、お薦め設定の候補をユーザに目立つように表示することが好ましい。
【0029】
次に、PC13は、印刷実行キーの押下により印刷指示がなされたか否かを判定し(ステップS6)、NOの場合には、ステップS1へ戻り、お薦め設定の候補を表示した状態で印刷設定項目の設定内容を変更するための選択操作をユーザから受け付け、その選択操作が示す設定内容をもつ印刷設定情報の送信を行う。なお、PC13が一度お薦め設定の候補を表示させた状態で印刷設定情報を送信した場合、それを受けたサーバ12は検索及びお薦め設定の候補の送信を行わないようにしておいてもよい。つまり、サーバ12はお薦め設定の候補の検索及び送信を印刷指示がなされるまでに一度だけ実行してもよい。また、印刷設定項目毎に1回だけ検索及び送信を実行するようにしてもよい。
【0030】
一方、ステップS6でYESの場合、すなわち印刷実行キーが押下された場合には、PC13のプリンタドライバは、その印刷指示の内容(印刷対象の文書ファイルや印刷設定情報における設定内容)から印刷データを生成し、サーバ12へ送信する(ステップS7)。ステップS7では、ステップS1において印刷指示時の印刷設定情報を未送信の場合には、印刷指示時の印刷設定情報(つまり最終の印刷設定情報)も送信する。サーバ12はこの印刷データを伴う印刷指示を受信するとともに、印刷指示時の印刷設定情報も受信する(ステップS8)。
【0031】
そして、サーバ12は、他の印刷設定処理時におけるお薦め設定の候補の検索のために、その印刷設定情報を印刷設定履歴として登録しておく(ステップS9)。ステップS9では、印刷設定情報の送信が既にステップS1で完了しておりステップS7で印刷設定情報の送信がなされない場合には、印刷指示を受けることで、既に受信した印刷設定情報が確定であると判断し、印刷設定履歴として正式に登録すればよい。このように、サーバ12は、印刷設定情報に含まれる印刷設定項目を、設定内容の変更に従い更新しながら記録し、印刷指示時に記録されている印刷設定項目における設定内容を、印刷設定履歴として記憶部22に蓄積する。但し、このような更新しながらの記録に限らず、例えば印刷指示時だけ記録するなど、サーバ12が印刷指示時の印刷設定項目における設定内容を、印刷設定履歴として蓄積できればよい。
【0032】
このように、本発明によれば、PC13においてユーザがMFP11a等での印刷時の印刷設定を行う際に、複数のPC(印刷設定を行うPC自身も含んでよい)から印刷指示されMFP11a等で実行された印刷ジョブについての印刷設定履歴に基づいて、印刷設定項目における推奨される設定内容をユーザインターフェースにて提案することが可能になる。この提案では、推奨される印刷設定を決定するために他のユーザの過去の印刷設定履歴を利用しているため、特定のユーザが保有している有益な印刷設定を全てのユーザが活用することができる。つまり、本発明によれば、ユーザは現在の印刷をより効果的に行うための印刷方法を取得することが可能となる。また、サーバ12では印刷設定履歴を複数のPC13について蓄積し、且つPC13のそれぞれがユーザのそれぞれに対応することを前提に説明したが、サーバ12は、複数のPC13のいずれかを使用するユーザについて蓄積するようにし、ユーザを示すユーザアカウント等の情報に基づき印刷設定履歴が管理されていてもよい。
【0033】
次に、図4〜図7を参照しながら、より好ましい印刷設定履歴のデータ形式とお薦め設定の候補などについて、例を挙げて説明する。図4は、図1及び図2におけるサーバで蓄積される印刷設定履歴テーブルの一例を示す図で、図中、40は印刷設定履歴テーブルである。また、図5は、図3の処理における検索処理の一例を説明するためのフロー図で、図6は、図5の検索処理により図4の印刷設定履歴テーブルから抽出された結果の一例を示す図で、図7は、図5の検索処理により図6の抽出された結果からお薦め候補の情報として検索された結果の一例を示す図である。
【0034】
印刷設定履歴テーブル40は、記憶部22に格納されており、PC13が1回印刷実行する毎に、実行された印刷ジョブについての全ての印刷設定項目の設定内容を1つのレコードとして蓄積していく。印刷設定履歴テーブル40では、印刷設定項目1として2upを、印刷設定項目2として4upを、印刷設定項目3として両面印刷を、印刷設定項目4としてモノクロ印刷を記録し、それぞれの設定項目について実行した場合には「○」、実行しなかった場合には「×」として設定内容を記している。この印刷設定項目は、上述したようにPC13から印刷実行の指示が伝えられたときに直前にサーバ12が記憶していた印刷設定項目を指す。
【0035】
また、印刷設定履歴テーブル40には、より好ましい例として、PC13からの出力先のMFPにおける印刷機能を示す情報(例えばカラー機なのかモノクロ専用機なのかを示す情報)や、印刷された文書ファイルの種類を示す情報や、印刷者の情報を、PC13から取得して格納している。印刷者の情報は、上述した特定のユーザの検索として利用できる情報であり、使用しているPC13のIPアドレスであってもよい。
【0036】
上述したサーバ12は、お薦め設定の候補として、印刷設定項目における設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索(抽出)することが好ましい。設定頻度については、印刷設定履歴の記録時(つまり印刷指示時)毎に設定内容毎の集計を行い各設定内容の設定頻度として印刷設定履歴として蓄積しておいてもよいし、検索時に設定内容毎の集計を行い各設定内容の設定頻度を求めてもよい。また、所定順位としては例えば1位であっても3位であってもよく、また所定順位自体も設定できるようにしておいてもよい。つまり、設定頻度については、少なくとも検索時に設定頻度が求まるように印刷設定項目における設定内容を蓄積しておけばよい。いずれにしても、PC13では検索されたお薦め設定の候補を受信して表示することになる。さらに、設定頻度の高い順に並べてPC13に返信するか、設定頻度自体又は設定頻度の順位の情報を付加してPC13に返信し、これによりPC13では、返信された候補を設定頻度の高い順に表示させることが好ましい。
【0037】
その処理例を説明すると、図3におけるステップS3において、図5に示すように、サーバ12は、まずPC13から送信された印刷設定項目と一致するレコードを印刷設定履歴テーブル40から抽出する(ステップS11)。例えば、ユーザが今から実行しようとする印刷の印刷設定で「両面」を指定していた場合、PC13から「両面」の情報がサーバ12に送信される。サーバ12は印刷設定履歴のレコードの中から「両面」を設定しているレコードを抽出する。印刷設定履歴テーブル40の例では、両面を設定しているのはレコード1とレコード3であるため、この2つのレコードが抽出される。
【0038】
次に、サーバ12は、抽出されたレコードに「実行されたこと」が記録されている印刷設定項目の頻度(すなわち設定内容が「○」となっている印刷設定項目の頻度)を、印刷設定項目毎にヒストグラム化する(ステップS12)。レコード1,3の場合、2upと4upとモノクロの項目の頻度がそれぞれ1カウントアップする。つまり、レコード1,3の場合、印刷設定項目「2up」、「4up」、「モノクロ」のそれぞれについて、設定内容が「実行された」となっている頻度がそれぞれ1だけカウントアップする。このようにして全ての抽出されたレコードに対し、設定されている印刷設定項目(つまり「実行されたこと」が記録されている印刷設定項目)はカウントアップしてヒストグラム化する。図6で例示する抽出結果60では、その上段に、PC13から「両面」の情報が送信されてきた場合のカウント結果の例を示しており、その下段には、PC13から「両面で且つ2up」の情報が送信されてきた場合のカウント結果の例を示している。
【0039】
そして、サーバ12はヒストグラムの上位3項目を抽出して、お薦め設定の候補とする(ステップS13)。そして、図3におけるステップS5では、PC13は、お薦め設定の候補を頻度の高い順に並べて表示すればよい。結果として図7に例示するお薦め設定の候補70のうち上段又は下段の情報が、設定頻度順にPC13の印刷設定画面に表示される。すなわち、図6の抽出結果60の上段に対応して、お薦め設定項目1(2upでモノクロ印刷)、お薦め設定項目2(モノクロ印刷)、お薦め設定項目3(4up)の順に表示される。また、図6の抽出結果60の下段に対応して、お薦め設定項目1(モノクロ印刷)が表示される。この例は上位1つしか抽出結果が存在しない場合の例である。
【0040】
次に、お薦め設定の候補を含む印刷設定画面の例を挙げる。図8は、図3の処理において、印刷設定画面でお薦め設定の候補を表示する方法の一例を説明するための図である。図8で例示する、PC13での印刷設定画面100は、通常の印刷設定画面101の他に、メニューボタンを有するボックス102が表示される。ボックス102は印刷設定画面101内に組み込んでもよい。
【0041】
このボックス102は、お薦め設定の候補を表示するためのボックスであり、この例では、上位3つの設定項目がお薦め設定項目としてメニューボタン104a〜104cが、その表題103とともに表示される。この例では、図7のお薦め設定の候補70における上段の検索結果であった場合の表示例を挙げている。このような表示状態で、ユーザがお薦め設定の候補うちのいずれかの設定の実施を希望する場合、それに対応するメニューボタンを押すとその設定が反映される。また、この例では設定内容を実行済み/未実行で、すなわち○/×で分けた場合の表示例であるが、各印刷設定項目のそれぞれについてお薦め設定の候補(お薦めの設定内容の候補)を表示させることもできる。
【0042】
次に、図9を参照しながら、他の検索処理の例を説明する。図9は、図3の処理における検索処理の他の例を説明するためのフロー図である。この例では、サーバ12は、お薦め設定の候補として、出力先のMFPや印刷装置等がもつ機能に応じた候補を検索し、それを送信する。PC13はそのお薦め設定の候補を表示することになる。例えばモノクロ機に出力しようとしているユーザにモノクロ機能を薦めても意味がないが、この形態により、このような使用状況に適したお薦め設定の情報をユーザに通知することができる。但し、このような検索を行う形態にあっては、MFP等が図示するように複数台接続されている必要がある。また、この形態は設定頻度の高い順に並べて返信してPC13に表示させる形態などと併用することもできる。
【0043】
このように、出力先のMFPの機能に応じてお薦め設定の候補が変わる例(MFPの機能に対応した例)を説明する。図3におけるステップS3において、サーバ12は、まず出力先のMFPの機能を示す情報をPC13から受け付ける(ステップS21)。次に、サーバ12は、印刷設定履歴のレコードの中から同一機能を有するMFPのレコードのみ抽出する(ステップS22)。例えば、PC13がモノクロ機への出力を指示しようとしていた場合、モノクロ機能を示す情報をPC13が送信すると、サーバ12は印刷設定履歴のレコードの中から「出力先印刷装置の印刷機能」のうち、「モノクロ機」のレコードのみを抽出する。その後、抽出したレコードの中から、前述のステップS11〜S13の処理を行う(ステップS23〜S25)。
【0044】
次に、図10を参照しながら、さらに他の検索処理の例を説明する。図10は、図3の処理における検索処理の他の例を説明するためのフロー図である。この例では、サーバ12は、お薦め設定の候補として、出力対象の文書ファイルの種類に応じた候補を検索し、それを送信する。PC13はそのお薦め設定の候補を表示することになる。例えば、ワープロ文書では2upの利用頻度が高く、プレゼンデータの場合に4upの利用頻度が高いなどの例が考えられるため、この形態により、そのような使用状況に適したお薦め設定の情報をユーザに通知することができる。また、この形態は、出力先のMFPがもつ機能に応じた候補を検索する形態や、設定頻度の高い順に並べて返信してPC13に表示させる形態などと併用することもできる。
【0045】
このように、出力対象の文書ファイルの種類に応じてお薦め設定の候補が変わる例(文書ファイルに対応した例)を説明する。図3におけるステップS3において、サーバ12は、まず文書ファイルの種類を示す情報をPC13から受け付ける(ステップS31)。次に、サーバ12は、印刷設定履歴のレコードの中から同一文書ファイルのレコードのみ抽出する(ステップS32)。その後、抽出したレコードの中から、前述のステップS11〜S13の処理を行う(ステップS33〜S35)。
【0046】
次に、図11を参照しながら、さらに他の検索処理の例を説明する。図11は、図3の処理における検索処理の他の例を説明するためのフロー図である。この例では、サーバ12は、お薦め設定の候補として、PC13又はPC13のユーザに関する特定の条件を満たす印刷設定履歴から、設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索し、それを送信する。但し、印刷設定履歴は、PC13に関する情報又はPC13のユーザに関する情報を含むものとする。無論、蓄積の形式としては、印刷設定履歴を、PC13に関する情報毎に(つまりPC13毎に)又はPC13のユーザに関する情報毎に(つまりユーザ毎に)、蓄積しておくこともできる。また、設定頻度は印刷設定履歴の記録時に算出しておいても検索時に算出してもよい。
【0047】
ここでの特定の条件とは、例えば2年以上の使用歴がある熟練のユーザ(印刷者)や、入社2年目以上の30年目未満のユーザや、社内でよく使用する印刷設定が設定された特定のPC、社内の特定の部署で使用されているPCなどが挙げられる。ユーザはユーザアカウントやユーザ名で、PCはIPアドレスや機番などで特定することができる。具体的には、図4の印刷設定履歴テーブル40の項目として、PCの属性を示す情報(所属部署を示すコードなど)、PCのIPアドレス、印刷者など一緒に格納しておく。そして、お薦めを抽出する際に、特定のPCの属性や印刷者名などでフィルタリングしてその中から抽出する。このような特定の条件に基づくお薦め設定の候補をPC13が表示することになる。また、この形態は、出力先のMFPがもつ機能に応じた候補を検索する形態や、出力対象の文書ファイルの種類に応じた候補を検索する形態や、設定頻度の高い順に並べて返信してPC13に表示させる形態などと併用することもできる。
【0048】
このような特定の条件を満たす候補を表示させる例を説明する。図3におけるステップS3において、サーバ12は、まず印刷設定履歴のレコードの中から特定の条件を満たす印刷者(又はPC)のレコードのみを抽出する(ステップS41)。その後、抽出したレコードの中から、前述のステップS11〜S13の処理を行う(ステップS42〜S44)。このような処理により、ユーザ(又はPC)に関する特定の条件に応じて最適なお薦め表示を行うことができる。
【0049】
次に、さらに他の検索処理の例を説明する。この例では、サーバ12は、お薦め設定の候補として、MFP11a等の機種の違いに関する特定の条件を満たす印刷設定履歴から、設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索し、それを送信する。但し、MFP11a等の画像形成装置はシステム内に複数台備えられており、且つ印刷設定履歴は、画像形成装置の機種の違いに関する情報を含むものとする。無論、蓄積の形式としては、印刷設定履歴をMFPの機種の違いに関する情報毎に蓄積しておくこともできる。また、設定頻度は印刷設定履歴の記録時に算出しておいても検索時に算出してもよい。
【0050】
ここでの特定の条件とは、例えばカラー印刷機能を持った機種、毎分x枚以上のモノクロ印刷機能を持った機種、所定の発売年以降の機種などが挙げられる。MFP11a等は機番などで特定することができる。具体的には、図4の印刷設定履歴テーブル40の項目として、MFP11a等の属性を示す情報(例えば機番の所定の桁)など一緒に格納しておく。そして、お薦めを抽出する際に、特定のMFPの属性などでフィルタリングしてその中から抽出する。このような特定の条件に基づくお薦め設定の候補をPC13が表示することになる。また、この形態は、出力先のMFP(例えばMFP11a)がもつ機能に応じた候補を検索する形態以外については併用する必要がないが、その他の形態、出力対象の文書ファイルの種類に応じた候補を検索する形態や、設定頻度の高い順に並べて返信してPC13に表示させる形態、PC又はユーザに関する特定条件に基づく検索を行う形態などと併用することもできる。
【0051】
このような特定の条件を満たす候補を表示させる例は、図11のステップS41においてサーバ12が、印刷設定履歴のレコードの中から特定の条件を満たすMFPのレコードのみを抽出するようにするだけで、その他の処理は同様である。MFP11a等の機種の違いで利用する機能の違いがあるが、このような処理により、MFP11a等の機種に関する特定の条件に応じて最適なお薦め表示を行うことができる。
【0052】
次に、図12を参照しながら、図3のステップS5における受信・表示処理(以下、表示処理Aと呼ぶ)とは異なる表示処理の例を説明する。図12は、図3の処理における受信・表示処理の他の例を説明するためのフロー図である。ここで説明する処理は、表示処理Aとは異なるため、表示処理Bと呼ぶ。ここで説明する表示処理Bは、表示処理Aの代替処理であり、上述した他の様々な形態については同様に適用できる。
【0053】
表示処理Bでは、ユーザが過去に設定を行った印刷設定項目を記録しておき(その設定内容まで記録しておかなくてもよい)、お薦め設定の候補を抽出した後、抽出された候補の中で過去に設定した印刷設定項目の記録があれば、その印刷設定項目の設定内容の候補についてのお薦め表示を禁止するものである。
【0054】
印刷システムは、検索されたお薦め設定の候補が、お薦め設定の候補を表示させるPC13又はそのPC13のユーザについての印刷設定履歴における印刷設定項目で過去に設定済みである場合、少なくともPC13で設定済みの印刷設定項目については、お薦め設定の候補の表示を実行しない。但し、この処理例では、印刷設定履歴は、例示したようにPC13又はPC13のユーザに関する情報を含むものとする。全てのお薦め設定の候補を表示しない、つまり何のお薦め表示も行わない、といった処理を採用してもよい。
代わりに、PC13内に、自機(自装置)で以前に設定を行った印刷設定項目を過去に設定済みの印刷設定項目として蓄積しておき、次のような制限を行ってもよい。つまり、この制限は、お薦め設定の候補が過去に設定済みの印刷設定項目を含む場合、少なくとも過去に設定済みの印刷設定項目については、お薦め設定の候補の表示を実行しないといったものである。この処理でも、全てのお薦め設定の候補を表示しない、つまり何のお薦め表示も行わない、といった処理を採用してもよい。
【0055】
いずれかの処理により、PC13はまずお薦め設定の候補を受信すると(ステップS51)、自己の印刷設定履歴中にその候補に係わる印刷設定項目が含まれるか否かを判定する(ステップS52)。なお、候補自体が設定済みでなければ表示禁止しないようにする処理も採用可能であり、その場合、ステップS52では、自己の印刷設定履歴中の各印刷設定中にその候補が含まれるか否かを判定すればよい。ステップS52でYESの場合、PC13は、含まれると判定された候補について、お薦め設定の候補から除外し(ステップS53)、お薦め設定の候補を表示する(ステップS54)。一方、ステップS52でNOの場合、PC13は、除外処理を行わずそのままステップS54の処理を行う。
【0056】
このように、既に一度設定したことがある印刷設定項目であれば、ユーザはその印刷設定項目を既に理解しているため、改めて薦める必要が無いと判断して表示を禁止することで、ユーザがお薦め表示に煩わしさを感じることを防止することができる。但し、過去に設定した印刷設定項目としてはデフォルト設定は除くようにしておくことが、この効果をより得る上で好ましい。ここで、各印刷設定項目の設定内容はMFP11a等の機能に対応させることができるため、過去に設定した機能があればその機能についてのお薦め表示を行わないようにすることができる。
【0057】
次に、図13を参照しながら、表示処理A,Bとは異なる表示処理の例を説明する。図12は、図3の処理における受信・表示処理の他の例を説明するためのフロー図である。ここで説明する処理を表示処理Cと呼ぶ。ここで説明する表示処理Cは、表示処理Aや表示処理Bの代替処理であり、上述した他の様々な形態については同様に適用できる。
【0058】
表示処理Cでは、プリントデータの文字数を検出して、文字数が多ければ、Nupがお薦め表示されることを禁止するようにする。PC13はまずお薦め設定の候補を受信すると(ステップS61)、受信したお薦め設定の候補の中にNupが含まれるか否かを判定する(ステップS62)。ステップS62でYESの場合、PC13は、文字カウントし(ステップS63)、カウントした値が所定数以上であるか否かを判定し(ステップS64)、所定数以上である場合のみ、Nupの候補をお薦め設定の候補から除外し(ステップS65)、お薦め設定の候補を表示する(ステップS66)。一方、ステップS62でNOの場合やステップS64でNOの場合、PC13は、除外処理を行わずそのままステップS66の処理を行う。
【0059】
このように表示処理Cでは、お薦め設定の候補としてNupが抽出された後、印刷しようとするファイル内の文字数をアプリケーションからオペレーションシステムを介しドライバ経由でサーバ12が取得して、取得した文字数が所定の文字数より多ければ、Nupはお薦めとして表示することを禁止することで、Nupにより文字が縮小され見づらくなることが防止できる。文字数が多ければ文字は必然的に小さくなるので、文字数の多い原稿はNupに不向きであることからこのように処理すればよい。なお、文字が小さく文字数が少ないというケースも有りうるが、そのような場合はNupしても空白が多いので、文字数が多い原稿ほど見づらくはならない。
【0060】
また、他のお薦め設定の表示例として、複数部数をプリントする場合に、印刷設定履歴に係わらず、ステープル設定を薦めるようにしてもよい。
【0061】
以上、図1に基づき説明した各形態の印刷システムでは、印刷設定履歴を蓄積するために、印刷システムが情報処理装置にネットワークを介して接続された印刷履歴管理装置を備え、印刷設定履歴を複数の情報処理装置について蓄積すること、若しくは印刷設定履歴をこれら複数の情報処理装置のいずれかを使用するユーザについて蓄積することを前提としている。
【0062】
一方で、本発明では、印刷設定履歴を蓄積するために情報処理装置が内部記憶装置を有するように構成することもできる。この構成の場合、印刷システムは、印刷設定履歴を、1台の情報処理装置を使用する複数のユーザについて蓄積するようにしてもよい。このような構成例を図14を参照しながら説明する。図14は、本発明に係る印刷システムの他の構成例を示す図である。ここで説明する例では、基本的に上述した様々な形態が採用できるが、サーバ12を介したやり取りが無くなる点が特に異なる。
【0063】
図14で例示する印刷システム1aは、画像形成装置の一例としての複合機(MFP)11a,11b、1台の情報処理装置の一例としての1台のPC13aから構成され、それらがネットワーク回線で接続されている。無論、ネットワーク接続されたMFPの数は例示したものに限ったものではなく、また、PC13aと同様のPCが同じネットワークに接続されていても印刷設定履歴が個々のPCで独立したデータであればよい。PC13aは、印刷設定履歴を、PC13aを使用するユーザについて、PC13aの内部に設けられた記憶装置に蓄積する。ここで、ユーザ毎に印刷履歴を蓄積することが好ましく、上述した自己印刷設定履歴を用いる形態においては印刷設定履歴とは別にユーザの情報(例えばユーザアカウント毎の過去設定済みの印刷設定項目を示す情報)を記録しておいてもよい。
【0064】
このように複数のユーザアカウントについての印刷設定履歴の蓄積を行い、例えば設定頻度(設定項目毎の使用頻度)が所定順位より高いことを推奨基準とすればよい。つまり、1台のPC13a内における複数のユーザアカウント毎の設定項目毎の使用頻度を累計した結果から、使用頻度の高い設定をお薦めとして抽出するように構成する。この構成により、1台のPC13aを複数のユーザが利用するケースで、そのPC13aにおける使用頻度の高い設定内容や機能を薦めることで、実際の使用状態に即した設定内容や機能を薦めることができる。
【0065】
具体的には、一般ユーザ権限下で操作されたプリンタドライバの設定履歴Rを、ユーザ毎にプリンタドライバ内部に保存しておく。各ユーザ毎の印刷設定履歴テーブルR1,R2,・・・が保存されることになる。その後、管理者権限でPC13aがログインされたとき、印刷設定履歴テーブルR1,R2,・・の設定頻度を集計してヒストグラムHを作成し、一般ユーザ権限下でアクセス可能な情報として保存する。以降、一般ユーザ権限で印刷設定したときは、ヒストグラムHを参照して、お薦め設定の候補を表示する。このようにすることで、外部にサーバを設けることなくお薦め表示を行うことができる。
【0066】
このように印刷システムにPC13が一台のみ接続されていた場合でも、複数ユーザが使用できる環境であれば図1等で説明したシステムと同様の効果が得られる。さらに、この印刷システムにPC13が一台のみ接続されていて且つ1ユーザのみが使用する場合でも、自身の設定内容の統計から推奨される候補の提案を受けることができるため、一部の形態においては有益である。
【0067】
このように、本発明の印刷システムは、図1の構成例や図14の構成例などが採用できる。つまり、本発明に係る印刷システムは、画像形成装置と、画像形成装置に対して印刷指示を行うことが可能な情報処理装置とを備える。そして、この印刷システムは、情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておき、情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、その印刷設定開始時又は印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索したお薦め設定の候補を情報処理装置で表示させる。
【0068】
以上、本発明に係る印刷システムについて説明したが、処理の流れを説明したように、本発明は、この印刷システムにおける印刷設定提案方法としての形態も採り得る。この印刷設定提案方法は、(1)情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておく蓄積ステップと、(2)情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、その印刷設定開始時又はその印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索したお薦め設定の候補を情報処理装置で表示させるステップと、を有する。その他の応用例については、印刷システムについて説明した通りであり、その説明を省略する。また、この印刷設定提案方法は、サーバを用いないシステムでは上述したPCにおいてプログラムとして組み込むことで、一方でサーバを用いるシステムでは上述したPCとサーバのそれぞれにおいて各装置用のプログラムとして組み込むことで、実現することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…印刷システム、11a,11b…MFP、12…サーバ、13,13a,13b,13c…クライアントPC、21…サーバの制御部、22…記憶部、23…サーバの通信部、31…PCの制御部、32…画面表示部、33…PCの通信部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と、該画像形成装置に対して印刷指示を行うことが可能な情報処理装置とを備えた印刷システムであって、
該印刷システムは、前記情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておき、前記情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、該印刷設定開始時又は該印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索した該お薦め設定の候補を前記情報処理装置で表示させることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷設定履歴は、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する情報を含み、
前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する特定の条件を満たす前記印刷設定履歴から、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記画像形成装置は複数台備えられており、
前記印刷設定履歴は、前記画像形成装置の機種に関する情報を含み、
前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記画像形成装置の機種の違いに関する特定の条件を満たす前記印刷設定履歴から、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記印刷システムは、前記設定頻度の高い順に並べて前記情報処理装置で表示させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記画像形成装置は複数台備えられており、
前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、出力先の画像形成装置がもつ機能に応じた候補を検索することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、出力対象の文書ファイルの種類に応じた候補を検索することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記印刷設定履歴は、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する情報を含み、且つ、前記印刷システムは、検索された前記お薦め設定の候補が、前記お薦め設定の候補を表示させる前記情報処理装置又は該情報処理装置のユーザについての前記印刷設定履歴における印刷設定項目で過去に設定済みである場合、少なくとも前記情報処理装置で設定済みの印刷設定項目については、前記お薦め設定の候補の表示を実行しないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、自装置で以前に設定を行った前記印刷設定項目を過去に設定済みの印刷設定項目として蓄積しておき、前記お薦め設定の候補が前記過去に設定済みの印刷設定項目を含む場合、少なくとも前記過去に設定済みの印刷設定項目については、前記お薦め設定の候補の表示を実行しないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記印刷システムは、前記情報処理装置にネットワークを介して接続された印刷履歴管理装置を備え、
該印刷履歴管理装置は、前記印刷設定履歴を、複数の前記情報処理装置について蓄積するか、若しくは複数の前記情報処理装置のいずれかを使用するユーザについて蓄積することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記印刷システムは、前記情報処理装置を1台備え、
前記情報処理装置は、前記印刷設定履歴を、前記情報処理装置を使用するユーザについて、前記情報処理装置の内部に設けられた記憶装置に蓄積することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項12】
画像形成装置と、該画像形成装置に対して印刷指示を行うことが可能な情報処理装置とを備えた印刷システムにおける、印刷設定提案方法であって、
前記情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておく蓄積ステップと、
前記情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、該印刷設定開始時又は該印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索した該お薦め設定の候補を前記情報処理装置で表示させるステップと、
を有することを特徴とする印刷設定提案方法。
【請求項1】
画像形成装置と、該画像形成装置に対して印刷指示を行うことが可能な情報処理装置とを備えた印刷システムであって、
該印刷システムは、前記情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておき、前記情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、該印刷設定開始時又は該印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索した該お薦め設定の候補を前記情報処理装置で表示させることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷設定履歴は、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する情報を含み、
前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する特定の条件を満たす前記印刷設定履歴から、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記画像形成装置は複数台備えられており、
前記印刷設定履歴は、前記画像形成装置の機種に関する情報を含み、
前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、前記画像形成装置の機種の違いに関する特定の条件を満たす前記印刷設定履歴から、前記設定内容の設定頻度が所定順位より高いといった推奨基準に基づき検索することを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記印刷システムは、前記設定頻度の高い順に並べて前記情報処理装置で表示させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記画像形成装置は複数台備えられており、
前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、出力先の画像形成装置がもつ機能に応じた候補を検索することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記印刷システムは、前記お薦め設定の候補として、出力対象の文書ファイルの種類に応じた候補を検索することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記印刷設定履歴は、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに関する情報を含み、且つ、前記印刷システムは、検索された前記お薦め設定の候補が、前記お薦め設定の候補を表示させる前記情報処理装置又は該情報処理装置のユーザについての前記印刷設定履歴における印刷設定項目で過去に設定済みである場合、少なくとも前記情報処理装置で設定済みの印刷設定項目については、前記お薦め設定の候補の表示を実行しないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、自装置で以前に設定を行った前記印刷設定項目を過去に設定済みの印刷設定項目として蓄積しておき、前記お薦め設定の候補が前記過去に設定済みの印刷設定項目を含む場合、少なくとも前記過去に設定済みの印刷設定項目については、前記お薦め設定の候補の表示を実行しないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記印刷システムは、前記情報処理装置にネットワークを介して接続された印刷履歴管理装置を備え、
該印刷履歴管理装置は、前記印刷設定履歴を、複数の前記情報処理装置について蓄積するか、若しくは複数の前記情報処理装置のいずれかを使用するユーザについて蓄積することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記印刷システムは、前記情報処理装置を1台備え、
前記情報処理装置は、前記印刷設定履歴を、前記情報処理装置を使用するユーザについて、前記情報処理装置の内部に設けられた記憶装置に蓄積することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項12】
画像形成装置と、該画像形成装置に対して印刷指示を行うことが可能な情報処理装置とを備えた印刷システムにおける、印刷設定提案方法であって、
前記情報処理装置での印刷指示時の印刷設定項目の設定内容を、印刷設定履歴として蓄積しておく蓄積ステップと、
前記情報処理装置における印刷設定開始時又は印刷設定変更時に、該印刷設定開始時又は該印刷設定変更時の印刷設定項目の設定内容を元に、お薦め設定の候補を所定の推奨基準に基づき検索し、検索した該お薦め設定の候補を前記情報処理装置で表示させるステップと、
を有することを特徴とする印刷設定提案方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−257856(P2011−257856A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130113(P2010−130113)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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