説明

印刷システム

【課題】印刷対象の描画データに応じて、生成する印刷データを切り換える印刷制御装置と、印刷装置を備える印刷システムを提供する。
【解決手段】ページ単位で、イメージの有無により生成するデータをPDL形式印刷データかバンド形式印刷データとする。さらにバンド形式印刷データは、バンド単位で、イメージの有無により形式を、中間コード形式かビットマップ形式とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置と印刷装置を備える印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
1ジョブ中の全てのページをページ記述言語による印刷データを生成し、印刷装置へ出力する印刷制御装置が知られている。ページ記述言語による印刷データを受信し、印刷可能な印刷装置を、PDL搭載機と言う。また、1ジョブ中の全てのページを中間コードによる印刷データを生成する、又は全てのページをビットマップによる印刷データを生成する印刷制御装置も知られている。この様な印刷データを受信し、印刷可能な印刷装置をホストベース機と言う。
【0003】
PDL搭載機と印刷制御装置からなるシステムでは、一般的に、印刷制御装置による印刷データ生成の処理量が少なく、CPUの負荷が低く、印刷データのデータ量も小さくいので、データ転送のトラフィックを抑えることができる。つまり、印刷制御装置の印刷処理の終了が短時間で済むので、短時間でリソース(CPUやメモリーなど)を解放できるという利点がある。一方、PDL搭載機側での処理量は多く、印刷までに長時間を必要とする欠点がある。この欠点を緩和するためには、PDL搭載機を構成するハードウェアに高性能なものを採用する必要があり、高コストとなってしまう。
【0004】
ホストベース機と印刷制御装置からなるシステムでは、ホストベース機側での処理量は少なく、高速処理の要求度が低いため、低コストの構成でホストベース機を製造することができる。一方、印刷制御装置による印刷データ生成の処理用が多く、CPUの負荷が高く、印刷データのデータ量も大きくなりデータ転送のトラフィックが増え、印刷制御装置の印刷処理の終了に長時間を要し、リソースを長時間使用してしまうという欠点がある。近年、コンピューターは、高性能化の傾向にあるが、印刷処理のリソースの使用時間は、他の処理への影響もあり、短時間であることが好ましい。
【0005】
また、ページ記述言語による印刷データ、中間コードによる印刷データの両方を印刷可能な印刷装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−202210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のホスト装置は、奇数ページは描画コマンドを生成、偶数ページは中間コードを生成する装置となっており、印刷対象の描画データに応じた処理はしておらず、印刷制御装置のCPU負荷低減、転送データ量の低減、高コストをかけずとも印刷速度を落とすことがない印刷装置を必ずしも実現できないという課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、印刷対象の描画データに応じて、生成する印刷データを切り換え、印刷処理においてCPU負荷を抑え、転送データ量を抑える印刷制御装置と、印刷速度を落とさないために、必ずしも高コストを必要としない印刷装置を備える印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]本適用例に係る印刷システムは、描画データから印刷データを生成する印刷制御装置と印刷装置を備えた印刷システムであって、前記印刷制御装置は、ページ毎に、対象ページの前記描画データ中にイメージが有るか否かを判断する第1の判断手段と、前記第1の判断手段によりイメージが無いと判断した場合、対象ページの前記描画データから、前記印刷データとして、PDL形式印刷データを生成するPDLデータ生成手段と、前記第1の判断手段によりイメージが有ると判断した場合、対象ページの前記描画データから、前記印刷データとして、中間コード形式のバンド形式印刷データを生成する中間コード生成手段と、バンド毎に、前記中間コード生成手段により生成された中間コード形式のバンド形式印刷データ中に、イメージが有るか否かを判断する第2の判断手段と、前記第2の判断手段によりイメージが有ると判断した場合は、対象のバンドの中間コード形式のバンド形式印刷データから、前記印刷データとして、ビットマップ形式のバンド形式印刷データを生成するビットマップデータ生成手段と、生成された前記印刷データを前記印刷装置へ出力する印刷データ出力手段を有し、前記印刷装置は、前記印刷制御装置から出力された印刷データを受信する印刷データ受信手段と、前記ビットマップ形式のバンド形式印刷データを保存するバンドデータ保存手段と、前記PDL形式印刷データから前記ビットマップ形式のバンド形式印刷データを生成し、前記バンドデータ保存手段へ保存するPDLデータ処理手段と、バンド毎に、前記バンド形式印刷データが、ビットマップ形式か中間コード形式かを判断し、ビットマップ形式の場合は、当該バンド形式印刷データを前記バンドデータ保存手段へ保存し、中間コード形式の場合は、対象の中間コード形式のバンド形式印刷データからビットマップ形式のバンド形式印刷データを生成し、前記バンドデータ保存手段へ保存するバンドデータ処理手段と、前記印刷データ受信手段により受信した印刷データが前記PDL形式印刷データか前記バンド形式印刷データかをページ毎に判断し、前記PDL形式印刷データと判断した場合、前記印刷データを前記PDLデータ処理手段により処理させ、前記バンド形式印刷データと判断した場合、前記印刷データを前記バンドデータ処理手段により処理させるデータ処理部切り換え手段と、
前記バンドデータ保存手段に保存された前記ビットマップ形式のバンド形式印刷データを印刷する印刷手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、印刷制御装置にて印刷対象の画像データに応じて、生成する印刷データを切り換え、印刷装置にて印刷データに応じた処理をすることができる。従って、印刷処理においてCPU負荷を抑え、転送データ量を抑える印刷制御装置と、印刷速度を落とさないために、必ずしも高コストを必要としない印刷装置を備える印刷システム提供することができる。
【0012】
[適用例2]上記適用例に記載の印刷システムにおいて、前記第1の判断手段は、対象ページの前記描画データ中にイメージが有る場合でも、所定条件を満たす場合は、イメージが無いと判断すること、が好ましい。
【0013】
本適用例によれば、対象ページの描画データ中のイメージが小さい又は/及びスケーリング率が小さい場合など、PDL形式印刷データを生成することができる。従って、印刷制御装置において、CPU負荷を抑え、転送データ量を抑えるという効果を得ることができる。
【0014】
[適用例3]上記適用例に記載の印刷システムにおいて、前記第2の判断手段は、前記中間コード生成手段により生成された中間コード形式のバンド形式印刷データ中にイメージが有る場合でも、所定条件を満たす場合は、イメージが無いと判断すること、が好ましい。
【0015】
本適用例によれば、対象のバンド中のイメージが小さい又は/及びスケーリング率が小さい場合など、中間コード形式のバンド形式印刷データのままで、出力することができる。従って、印刷制御装置において、CPU負荷を抑え、転送データ量を抑えるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係るページ内の描画命令に応じて、出力する印刷データを例示した模式図。
【図2】実施形態1に係るプリンタードライバーの処理を例示したフローチャート図。
【図3】実施形態1に係る印刷装置の処理を例示したフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(実施形態1)
本発明を適用した印刷システムは、アプリケーションによる各種処理、プリンタードライバーによる印刷処理等を実現するコンピューターと、このコンピューターに接続される印刷装置とを備えて構成される。本実施形態において、コンピューターは、印刷データを生成し、印刷装置に送信する印刷制御装置として機能する。印刷装置は、印刷制御装置から受信した印刷データに基づいて印刷を行う。
【0019】
コンピューターは、図示はしないが、各種プログラムに基づいて処理を行うCPU(Central Processing Unit)、データおよびプログラム等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、コンピューターを制御するための各種データ、起動時用プログラム等があらかじめ不揮発的に記憶されているROM(Read Only Memory)、および、接続された印刷装置等の周辺装置とのデータの送受信をつかさどるインタフェースを備えている。
【0020】
また、コンピューターには、カラーディスプレイ等の表示装置、マウス、キーボード等の入力装置、CD−ROM等の記録媒体からデータを読み取るメディア読取装置、内蔵または外付けの補助記憶装置、および、インターネット等のコンピュータネットワークへの接続を行なうための通信制御装置が接続される。ただし、コンピューターの構成はこれに限られない。
【0021】
印刷装置は、図示はしないが、データの受信等、コンピューターとの通信をつかさどるインタフェースと、各種プログラムに基づいて処理を行なうCPUと、印刷データ等を一時的に記憶するRAMと、印刷装置を制御するための各種データ、各種プログラム等があらかじめ不揮発的に記憶されているROMと、印刷エンジンとを備えて構成される。例えば、印刷エンジンは電子写真方式やインクジェット方式のエンジンである。ただし、印刷装置の構成はこれに限られない。
【0022】
次に、上記印刷システムにおけるコンピューターにより実現される機能構成について、説明する。
【0023】
コンピューター上には、プリンタードライバーと、アプリケーションとが構築される。これらは、補助記憶装置に記憶されたプログラムがRAM上に読み込まれ、CPUが実行することによりコンピューター上に構築される。このためのプログラムは、例えば、CD−ROM等の可搬型の記録媒体に記録することで流通させることができる。そして、この記録媒体を、メディア読取装置で読み取ることにより、コンピューターにプログラムをインストールすることができる。
【0024】
アプリケーションは印刷対象のドキュメントの描画データを、プリンタードライバーに送信する。ここで、描画データは、コンピューターのオペレーティングシステムの仕様で定められたコマンド群であり、イメージの描画命令、図形の描画命令、文字列の描画命令等から構成される。
【0025】
本実施形態において、プリンタードライバーは、図示はしないが、アプリケーションから描画データを受け付ける描画データ受付部と、描画データから印刷装置で印刷可能な印刷データを生成する印刷データ生成部と、印刷データを印刷装置へ出力する印刷データ出力部を備えて構成される。なお、プリンタードライバーの機能構成は上記に限られない。
【0026】
ここで、本実施形態において、描画データから生成する印刷データの種類を説明する。大きく分けて、PDL形式印刷データとバンド形式印刷データの2種類がある。
【0027】
PDL形式印刷データとは、ページ記述言語による印刷データ(PDLデータ)である。アプリケーションから送信される各種描画命令から、対応する印刷コマンドを生成した印刷コマンド群である。各種描画命令は、1ページ中の任意の位置に、任意の順番で送信され、印刷コマンドも、1ページ中の対応する位置、順番に生成される。
【0028】
バンド形式印刷データとは、1ページを所定数のラスター(例えば64)単位で分割して得られる複数のバンド(帯状領域)毎に、印刷データを分割した印刷データである。データ形式としては、中間コード形式とビットマップ形式の2種類がある。
【0029】
ビットマップとは、印刷画像を、ドットの集まりとして表現したものである。中間コードとは、印刷コマンドとビットマップの中間的なコードである。例えば、図形の円は、ビットマップの段階では、ドットにより形成される矩形(高さ1の線も含む)の集合ということができる。この場合の中間コードは、矩形を描画させるためのコードである。
【0030】
一般的に、同一の印刷画像を印刷するためのデータ量は、PDLデータが一番少ない。次は、中間コードであり、その次はビットマップである。また、同一の描画データから各種印刷データに変換するまでの処理量は、PDLデータが一番少ない。次は、中間コードであり、その次はビットマップである。最終的にはビットマップにする必要があるので、印刷するまでに必要な処理量は、ビットマップが一番少なく、次は、中間コードであり、一番多いのはPDLデータである。
【0031】
次に、上記システムにおける印刷装置の有する機能構成について説明する。
【0032】
本実施形態において、印刷装置は、図示はしないが、印刷制御装置から印刷データを受信する受信部と、印刷データを印刷可能なデータへ処理し印刷部へ渡す印刷データ処理部と、紙へ印刷する印刷部を備えて構成される。印刷データ処理部は、さらに、データ処理切り換え部と(後述)、PDLデータ処理部と(後述)、バンドデータ処理部と(後述)を備える。
【0033】
図2は、プリンタードライバーの処理手順を例示したフローチャートである。ここでは、1つのジョブの処理について記述している。なお、同図では、Yesを「Y」で示し、Noを「N」で示している。
【0034】
アプリケーションから描画データを受け付けると、まず、ページ番号を1に初期化する(ステップS101)。
【0035】
受け付けた描画データはRAM上に一旦、ページ単位でスプールする。この時、1ジョブ中のページ数も判断する。またこの時、ページ毎に、イメージの描画命令が有るか否かを判断する(ステップS102)。
【0036】
処理対象のページ中にイメージの描画命令が無い場合は(ステップS102のNo)、描画データからPDL形式印刷データを生成し、印刷装置へ出力する(ステップS111)。イメージは一般的に処理量が多いため(スケーリング処理など)、印刷装置側で処理させるのは好ましくないためである。
【0037】
そして、ページ番号を更新し(ステップS112)、処理中のジョブの全ページの印刷データを出力し終わったか判断する(ステップS113)。全てのページの出力が終わった場合は(ステップS113のNo)、処理を終了する。全てのページの出力が終わっていない場合は(ステップS113のYes)、ステップS102へ戻る。
【0038】
処理対象のページ中にイメージの描画命令がある場合は(ステップS102のYes)、バンド形式印刷データを生成する。まず、バンド番号を1と初期化する(ステップS103)。次に、RAM上にスプールしてある対象のページの描画命令を解析し、描画命令の描画領域が、処理対象のバンドの領域と重なる場合、該描画命令から中間コードを生成し、RAM上に保存する(ステップS104)。この時、イメージの描画命令から中間コードを生成したか否かを記憶しておく。
【0039】
処理対象のページの描画命令から処理対象のバンドへの中間コードの生成をし終わると、処理対処のバンド中に、イメージがあったか否かを判断する(ステップS105)。
【0040】
イメージが無い場合は(ステップS105のNo)、そのまま中間コード形式のバンド形式印刷データを印刷装置へ出力する(ステップS108)。そして、バンド番号を更新し(ステップS109)、1ページを構成するバンドの全てを処理し終わったか判断する(ステップS110)。処理し終わった場合は(ステップS110のYes)、ページ番号を更新する(ステップS112)。そして、処理中のジョブの全ページの印刷データを出力し終わったか判断する(ステップS113)。全てのページの出力が終わった場合は(ステップS113のYes)、処理を終了する。全てのページの出力が終わっていない場合は(ステップS113のNo)、ステップS102へ戻る。1ページを構成するバンドの全てを処理し終わっていない場合は(ステップS110のNo)、ステップS105へ戻る。
【0041】
処理対象のバンド中に、イメージがある場合は(ステップS105のYes)、中間コードをビットマップに展開し、圧縮する(ステップS106)。そして、ビットマップ形式のバンド形式データを印刷装置へ出力する(ステップS107)。イメージは一般的に処理量が多いため、印刷制御装置側で処理したほうが好ましいためである。
【0042】
そして、バンド番号を更新し(ステップS109)、1ページを構成するバンドの全てを処理し終わったか判断する(ステップS110)。処理し終わった場合は(ステップS110のYes)、ページ番号を更新する(ステップS112)。そして、処理中のジョブの全ページの印刷データを出力し終わったか判断する(ステップS113)。全てのページの出力が終わった場合は(ステップS113のYes)、処理を終了する。全てのページの出力が終わっていない場合は(ステップS113のNo)、ステップS102へ戻る。1ページを構成するバンドの全てを処理し終わっていない場合は(ステップS110のNo)、ステップS105へ戻る。
【0043】
なお、ステップS106にて圧縮を行うことは、送信するデータ量を削減するために好ましいが、必ずしも圧縮する必要はない。
【0044】
なお、ステップS107、ステップS108、ステップS111にて印刷データを印刷装置へ出力する際、印刷装置において、印刷データの形式を判別するための情報を印刷データへ付加する。
【0045】
図1は、1ページ中にイメージの描画命令がある場合(図1(b))と、無い場合(図1(a))において、印刷装置へ出力する印刷データの形式を示すための模式図である。
【0046】
図1の(a)は、ページ内にイメージの描画命令が無いため、1ページ全体をPDL形式印刷データで生成し、印刷装置へ出力する。
【0047】
図1の(b)は、ページ内にイメージの描画命令があるため、バンド形式印刷データを生成する。バンド番号1、2はイメージの描画命令がないため、中間コード形式のバンド形式印刷データを生成し、印刷装置へ出力する。バンド番号3から5は、イメージの描画命令があるため、ビットマップ形式のバンド形式印刷データを生成し、印刷装置へ出力する。バンド番号6、7はイメージの描画命令がないため、中間コード形式のバンド形式印刷データを生成し、印刷装置へ出力する。
【0048】
図3は、印刷装置の処理手順を例示したフローチャートである。ここでは、1つのジョブの処理について記述している。なお、同図では、Yesを「Y」で示し、Noを「N」で示している。
【0049】
印刷制御装置から印刷データを受信すると、まず、ページ番号を1に初期化する(ステップS201)。
【0050】
次に、印刷データが、PDL形式印刷データか否か、判断する(ステップS202)。この判断は、図2のステップS111にて付加された情報により判断する。この処理は、印刷データ処理部のデータ処理切り換え部にて行われる。
【0051】
PDL形式印刷データであった場合(ステップS202のYes)、印刷データを解析し、中間コードを生成する(ステップS203)。印刷コマンドの描画領域が重なる各バンド全てに、中間コードを生成し、バンド毎にRAM上に保存する。1ページ全ての印刷データから中間コードを生成し終わると、バンド番号を1に初期化する(ステップS204)。
【0052】
次に、処理対象のバンドの中間コードをRAMから読み込み、ビットマップに展開する(ステップS205)。そして、ビットマップをRAM上に保存する(ステップS206)。
【0053】
そして、バンド番号を更新し(ステップS207)、最終番号か否か判断する(ステップS208)。最終バンドであった場合(ステップS208のYes)、RAM上のビットマップを順に読み出し、対象のページを印刷し(ステップS215)、ページ番号を更新する(ステップS216)。そして、印刷してページが最終ページか否か判断する(ステップS217)。最終ページであった場合(ステップS217のYes)、1ジョブの印刷処理を終了する。最終ページでなかった場合は(ステップS217のNo)、ステップS202へ戻る。
【0054】
ステップS203からステップS208までの処理は、印刷データ処理部のPDLデータ処理部にて行われる。
【0055】
印刷データが、PDL形式印刷データでなかった場合(ステップS202のNo)、バンド番号を1に初期化する(ステップS209)。
【0056】
次に、処理対象のバンドのデータ形式が、ビットマップであるか否かを判断する(ステップS210)。
【0057】
ビットマップ形式でなかった場合(ステップS210のNo)、データ形式は中間コード形式であり、ビットマップに展開する(ステップS211)。そして、RAM上へ保存する(ステップS212)。
【0058】
対象のバンドのデータ形式がビットマップ形式であった場合(ステップS210のYes)、ビットマップをRAM上へ保存する(ステップS212)。
【0059】
そして、バンド番号を更新し(ステップS213)、処理したバンドが最終バンドか判断する(ステップS214)。最終バンドでなかった場合は(ステップS214のNo)、ステップS210へ戻る。最終バンドであった場合は(ステップS214のYes)、RAM上のビットマップを順に読み出し、対象のページを印刷する(ステップS215)。
【0060】
そして、ページ番号を更新し(ステップS216)。印刷したページが最終ページか否か判断する(ステップS217)。最終ページであった場合(ステップS217のYes)、1ジョブの印刷処理を終了する。最終ページでなかった場合(ステップS217のNo)、ステップS202へ戻る。
【0061】
ステップS209からステップS214までの処理は、印刷データ処理部のバンドデータ処理部にて行われる。
【0062】
以上述べたように、本実施形態に係る印刷制御装置によれば、1ページの画像データ中にイメージの描画命令がなければ、PDLデータを生成するので、印刷処理に要するCPUの負荷を低く抑えることができる。また、転送データ量を抑えることができる。
【0063】
本実機形態に係る印刷装置は、PDL形式印刷データとバンド形式印刷データの両方を印刷可能である。さらに、バンド形式印刷データに関しては、中間コード形式とビットマップ形式の両方を印刷可能である。本実施形態に係る印刷制御装置と、本実施形態に係る印刷装置を備える印刷システムによれば、PDL形式印刷データと中間コード形式のバンド形式印刷データは、イメージを含まないので、必ずしも高コストな印刷装置でなくても、印刷速度を落とすことなく印刷結果を得ることができる。
【0064】
(変形例1)
上記実施形態では、図2のステップS102において、処理対応のページ内にイメージの描画命令が有るか否かで処理を切り換えているが、本発明はこの態様に限られない。例えば、イメージの大きさやスケーリング率により、切り換えるようにしてもよい。つまり、イメージが小さい又は/及びスケーリング率が小さい場合も、PDL形式印刷データを出力するようにしてもよい。印刷装置側での処理量は小さく、高コストな印刷装置でなくても高速に印刷可能だからである。一方、印刷制御装置は、CPUの負荷、転送データ量を抑えることができる。判断基準は、例えば、イメージを描画する領域が1ページの10%未満などであるが、これに限らない。印刷制御装置が自身の処理能力(例えば、CPUのクロック)と印刷装置から取得した処理能力に基づき、この値を変更してもよい。印刷装置の処理能力が高い場合は、値を大きくすることが好ましい。
【0065】
また、上記実施形態では、図2のステップS106において、処理対処のバンド内に、イメージがあるか否かで処理を切り換えているが、本発明はこの態様に限られない。例えば、イメージの大きさやスケーリング率により、切り換えるようにしてもよい。つまり、イメージが小さい又は/及びスケーリング率が小さい場合も、中間コード形式のバンド形式印刷データを出力するようにしてもよい。印刷装置側での処理量は小さく、高コストな印刷装置でなくても高速に印刷可能だからである。一方、印刷制御装置は、CPUの負荷、転送データ量を抑えることができる。判断基準は、例えば、イメージを描画する領域がバンド領域の10%未満などであるが、これに限らない。印刷制御装置が自身の処理能力と印刷装置から取得した処理能力の基づき、この値を変更してもよい。印刷装置の処理能力が高い場合は、値を大きくすることが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画データから印刷データを生成する印刷制御装置と印刷装置を備えた印刷システムであって、
前記印刷制御装置は、ページ毎に、対象ページの前記描画データ中にイメージが有るか否かを判断する第1の判断手段と、
前記第1の判断手段によりイメージが無いと判断した場合、対象ページの前記描画データから、前記印刷データとして、PDL形式印刷データを生成するPDLデータ生成手段と、
前記第1の判断手段によりイメージが有ると判断した場合、対象ページの前記描画データから、前記印刷データとして、中間コード形式のバンド形式印刷データを生成する中間コード生成手段と、
バンド毎に、前記中間コード生成手段により生成された中間コード形式のバンド形式印刷データ中に、イメージが有るか否かを判断する第2の判断手段と、
前記第2の判断手段によりイメージが有ると判断した場合は、対象のバンドの中間コード形式のバンド形式印刷データから、前記印刷データとして、ビットマップ形式のバンド形式印刷データを生成するビットマップデータ生成手段と、
生成された前記印刷データを前記印刷装置へ出力する印刷データ出力手段とを有し、
前記印刷装置は、
前記印刷制御装置から出力された印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
前記ビットマップ形式のバンド形式印刷データを保存するバンドデータ保存手段と、
前記PDL形式印刷データから前記ビットマップ形式のバンド形式印刷データを生成し、前記バンドデータ保存手段へ保存するPDLデータ処理手段と、
バンド毎に、前記バンド形式印刷データが、ビットマップ形式か中間コード形式かを判断し、ビットマップ形式の場合は、当該バンド形式印刷データを前記バンドデータ保存手段へ保存し、中間コード形式の場合は、対象の中間コード形式のバンド形式印刷データからビットマップ形式のバンド形式印刷データを生成し、前記バンドデータ保存手段へ保存するバンドデータ処理手段と、
前記印刷データ受信手段により受信した印刷データが前記PDL形式印刷データか前記バンド形式印刷データかをページ毎に判断し、前記PDL形式印刷データと判断した場合、前記印刷データを前記PDLデータ処理手段により処理させ、前記バンド形式印刷データと判断した場合、前記印刷データを前記バンドデータ処理手段により処理させるデータ処理部切り換え手段と、
前記バンドデータ保存手段に保存された前記ビットマップ形式のバンド形式印刷データを印刷する印刷手段と、
を備える印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記第1の判断手段は、対象ページの前記描画データ中にイメージが有る場合でも、所定条件を満たす場合は、イメージが無いと判断すること、
を特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷システムであって、
前記第2の判断手段は、前記中間コード生成手段により生成された中間コード形式のバンド形式印刷データ中にイメージが有る場合でも、所定条件を満たす場合は、イメージが無いと判断すること、
を特徴とする印刷システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−226634(P2012−226634A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94783(P2011−94783)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】