説明

印刷データ生成方法、印刷方法および印刷装置

【課題】インクジェット方式の印刷装置において、印刷媒体上の高インク密度領域におけるムラを抑制し、かつ、細線の欠けやかすれを防止する。
【解決手段】印刷装置では、元画像からインク密度を示すインク密度画像を生成しておき、インク密度画像から高インク密度画像とエッジ画像とが生成される。これらの画像から、元画像中の細線領域を除去した最終高インク密度画像と、細線領域以外のエッジ近傍の領域を示す最終エッジ領域画像とがさらに生成される。印刷データにおいて、最終高インク密度画像が示す領域でのインクの液滴サイズにノイズが付与され、印刷媒体上の高インク密度領域におけるムラが抑制され、かつ、細線の欠けやかすれが防止される。また、最終エッジ領域が示す領域におけるインク密度が低減され、エッジからのインクの流出も防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式にて印刷を行う技術に関連する。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷装置では、テクスチャムラを低減するために、画像にノイズを付与する手法が採用されている。例えば、特許文献1では、ディザ法や誤差拡散法等により擬似輪郭が生じ易い濃度範囲の印刷に対してノイズを付与する手法が開示されており、特許文献2では、ガンマ値が高い濃度範囲に対してノイズを付与する手法が開示されている。また、特許文献2では、画像のエッジにはノイズを付与しないことにより、エッジがなまるという副作用を防止する手法も開示されている。
【0003】
一方、従来より、インクジェット方式の印刷装置では、画像中のエッジにおいて生じるインクの滲みを防止するために、エッジでのインクのドットを小さくしたり、ドットの数を削減する手法も採用されている。ところが、インク量の削減を画像の全エッジに適用した場合、文字や表等の細線部でかすれが生じて画像の質が低下してしまうこととなる。そこで、例えば、特許文献3では、エッジの内側に向かって並ぶドットの数が所定数以下の場合に、このエッジにインク量の削減処理を行わない対策が提案されている。
【特許文献1】特開2003−23541号公報
【特許文献2】特開平8−251413号公報
【特許文献3】特開2005−153157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インクジェット方式の印刷装置の場合、特に、印刷媒体がインクに対して撥液性を有する場合、スジムラが単位面積当たりのインク量が多い領域に発生する。また、このようなムラはインタレース方式にて印刷が行われる場合に特に顕著となる。このとき、インク量が多い領域全体にノイズを付与すると、画像に含まれる文字や細線が欠けたり薄くなったりするという問題が生じてしまう。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、インクジェット方式の印刷において、インク密度が高い領域におけるムラの発生を抑制しつつ、文字や細線の領域を含めて画像を適切に印刷する方法を提供することを主たる目的としており、さらに、インク密度の低減が必要な領域も求めて画像をさらに適切に印刷することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、インクジェット方式の印刷装置のノズルから吐出されるインクの印刷媒体上での液滴サイズの指示を含む印刷データを生成する印刷データ生成方法であって、a)単位面積当たりのインク量が所定値を超えることとなる高インク密度領域を元画像から抽出する工程と、b)前記高インク密度領域から、高インク密度かつ細線である領域を除去した細線除去後の高インク密度領域を取得する工程と、c)前記細線除去後の高インク密度領域に対するインクの液滴サイズにノイズを付与した印刷データを生成する工程とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印刷データ生成方法であって、ノイズが付与される前の液滴の平均サイズとノイズが付与された後の液滴の平均サイズとが等しい。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の印刷データ生成方法であって、前記元画像がカラー画像であり、前記a)工程において、単位面積当たりのインク量が、色成分毎の画素の濃度値の合計で判断される。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷データ生成方法であって、前記a)工程と前記c)工程との間に、d)単位面積当たりのインク量の変動が所定値を超えるエッジを前記元画像から抽出する工程と、e)前記エッジのうち細線領域に対応する細線エッジを除去し、残りのエッジに太らせ処理を行うことにより、細線エッジ除去後のエッジ領域を取得する工程とをさらに備え、前記c)工程において、高インク密度領域のうち、前記細線エッジ除去後のエッジ領域に含まれる領域おけるインク密度を低減する前記印刷データが生成される。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の印刷データ生成方法であって、前記e)工程が、前記a)工程にて抽出された前記高インク密度領域に対して、前記d)工程において前記元画像から抽出された前記エッジと重なるエッジから細らせ処理を行う工程と、前記細らせ処理の後に残存する領域のみに前記細らせ処理により削除された部位を補ってマスク領域を生成し、前記d)工程にて抽出された前記エッジを前記マスク領域にてマスクすることにより前記細線エッジ除去後のエッジ領域を取得する工程とを備える。
【0011】
請求項6に記載の発明は、インクジェット方式にて印刷媒体に印刷を行う印刷方法であって、請求項1ないし5のいずれかに記載の印刷データ生成方法にて印刷データを生成する工程と、前記印刷データに基づいて印刷媒体に印刷を行う工程とを備える。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の印刷方法であって、前記印刷媒体が、インクに対して撥液性を有する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の印刷方法であって、前記印刷データに基づく印刷が、印刷装置のヘッドが主走査方向に一回移動する間に描画される前記印刷媒体上の一の色の複数のラインが前記主走査方向に垂直な副走査方向に間隔を空けて配列されるインタレース方式である。
【0014】
請求項9に記載の発明は、インクジェット方式の印刷装置であって、複数の液滴サイズにてインクを印刷媒体上に付与するノズルを有するヘッドと、前記ヘッドを印刷媒体に対して所定の主走査方向および前記主走査方向に垂直な副走査方向に相対的に移動する走査機構と、元画像のデータから印刷データを生成する印刷データ生成部とを備え、前記印刷データ生成部が、a)単位面積当たりのインク量が所定値を超えることとなる高インク密度領域を元画像から抽出する工程と、b)前記高インク密度領域から、高インク密度かつ細線である領域を除去した細線除去後の高インク密度領域を取得する工程と、c)前記細線除去後の高インク密度領域に対するインクの液滴サイズにノイズを付与した印刷データを生成する工程とを実行する。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の印刷装置であって、インクに対して撥液性を有する印刷媒体に印刷が行われる。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の印刷装置であって、前記ヘッドが前記主走査方向に一回移動する間に描画される印刷媒体上の一の色の複数のラインが前記副走査方向に間隔を空けて配列されるインタレース方式にて印刷が行われる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、所望の領域のみにノイズを付与することにより、高インク密度領域におけるムラを抑制することができ、かつ、細線の欠けやかすれを防止することができる。
【0018】
請求項2の発明では、ノイズの付与によるムラの発生を防止することができ、請求項4の発明では、細線の欠けやかすれを防止しつつエッジでのインクの流出を防止することができる。請求項5の発明では、高インク密度領域からインク密度が徐々に低下する場合であっても適切なエッジ領域を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の一の実施の形態に係る印刷装置1の外観を示す斜視図である。印刷装置1は、例えばポリカーボネートやPET(ポリエチレン テレフタレート)等の撥液性を有するプラスチックにて形成される板状またはシート状の印刷媒体9上にインクジェット方式にてカラー印刷を行うものである。
【0020】
図1の印刷装置1は本体11および制御部4を備え、本体11は印刷媒体9を図1中の(+Z)側の面上に保持するステージ21、および、基台20上に設けられるステージ移動機構22を備える。ステージ21の下面には、ステージ移動機構22が有するボールネジ機構のナットが固定され、ボールネジ機構に接続されたモータが回転することにより、ステージ21が図1中のY方向(主走査方向)に滑らかに移動する。基台20上には、基台20に対するステージ21の位置を検出する位置検出モジュール23がさらに設けられる。
【0021】
ステージ21の上方には印刷媒体9に向けてインクの微小液滴を吐出するヘッド3が配置され、ヘッド3は、ボールネジ機構およびモータを有するヘッド移動機構24により主走査方向に垂直かつ印刷媒体9の主面に沿う副走査方向(図1中のX方向)に移動可能に支持される。また、基台20には、ステージ21を跨ぐようにしてフレーム25が設けられ、ヘッド移動機構24はフレーム25に固定される。フレーム25上には紫外線を出射する光源39が設けられ、複数の光ファイバ(実際には、複数の光ファイバは束状となっており、図1では符号391を付して1本の太線にて示している。)を介して光源39からの光がヘッド3の内部へと導入される。
【0022】
図2はヘッド3を示す底面図である。図2に示すように、ヘッド3はそれぞれが互いに異なる色のインクを吐出する複数の(図2では、4個の)ノズルユニット31を備え、複数のノズルユニット31はY方向に配列されてヘッド3の本体30に固定される。図2中の最も(+Y)側のノズルユニット31はK(ブラック)の色のインクを吐出し、Kのノズルユニット31の(−Y)側のノズルユニット31はC(シアン)の色のインクを吐出し、Cのノズルユニット31の(−Y)側のノズルユニット31はM(マゼンタ)の色のインクを吐出し、最も(−Y)側のノズルユニット31はY(イエロー)の色のインクを吐出する。なお、各色のインクは紫外線硬化剤を含んでいる。
【0023】
各ノズルユニット31では、図2中のX方向に複数の(例えば、300個の)ノズル311(の吐出口)が一定のピッチV(例えば、150dpi(dot per inch)に相当する169マイクロメートル(μm)のピッチであり、以下、「ノズルピッチV」という。)にて配列されており、X方向に注目すると、一のノズルユニット31の互いに隣接する2つのノズル311の間には、他の3個のノズルユニット31のそれぞれの1つのノズル311が配置される。例えば、図2中の最も(+Y)側のKのノズルユニット31において符号311aを付すノズルとノズル311aの(+X)側のノズル311e(図2では、これらのノズルのそれぞれに平行斜線を付している。)との間に着目すると、X方向に関して、(−X)側のノズル311aからノズルピッチVの1/4倍だけ(+X)側に離れた位置にCのノズルユニット31のノズル311bが配置され、ノズル311bからノズルピッチVの1/4倍だけ(+X)側に離れた位置にMのノズルユニット31のノズル311cが配置され、ノズル311cからノズルピッチVの1/4倍だけ(+X)側に離れた位置にYのノズルユニット31のノズル311dが配置される。このように、ヘッド3では、X方向に関して互いに隣接するとともにそれぞれが異なる色のインクを吐出する4個のノズル311(例えば、ノズル311a〜311d)を1つのノズル群32として、複数のノズル群32がX方向に配列されており、ヘッド3の全体では、複数のノズル311がノズルピッチVの1/4倍のピッチにてX方向に連続する。
【0024】
また、ヘッド3には、それぞれが光源39に接続される2つの光照射部38がY方向に関して複数のノズルユニット31を挟んで設けられる。各光照射部38では、複数の光ファイバがX方向に沿って配列されており、印刷媒体9上においてX方向に伸びる線状の領域に各光照射部38により紫外線が照射される。
【0025】
図3は制御部4の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように制御部4は、ヘッド3の複数のノズルユニット31からのインクの吐出に係る制御を行う吐出制御部41、ステージ移動機構22およびヘッド移動機構24に対する移動制御を行う移動制御部42、並びに、印刷媒体9に印刷すべき画像データから吐出制御部41における吐出制御に用いられる印刷データを生成する印刷データ生成部43を備える。印刷装置1では、移動制御部42による移動制御に同期して吐出制御部41がヘッド3からのインクの吐出を制御することにより、印刷媒体9上に画像が印刷される。
【0026】
次に、印刷装置1が印刷媒体9上に画像を印刷する動作について図4を参照しつつ説明を行う。印刷装置1では、まず、元画像のデータが印刷データ生成部43に入力され、元画像のデータから印刷データが生成される(ステップS11)。その後、印刷媒体9が印刷装置1内に搬入され、ステージ21上に載置されて保持される(ステップS12)。続いて、移動制御部42がステージ移動機構22およびヘッド移動機構24を制御することによりヘッド3が印刷媒体9の(−Y)側の所定の印刷開始位置に配置され、ステージ21が(−Y)方向に移動を開始し、ヘッド3が印刷媒体9に対して(+Y)方向に相対的に主走査する(ステップS13)。
【0027】
ヘッド3が主走査される間に、Y、M、C、Kの各ノズル311からインクの吐出制御が継続的に行われ、印刷媒体9上の各位置にインクの液滴が付与される(ステップS14)。印刷装置1では、1つのノズルから印刷媒体9上において複数の液滴サイズとなるようにインクを吐出することが可能とされており、印刷データは、ノズル311から吐出されて各位置に付与される液滴の印刷媒体9上でのサイズの指示を含むデータとなっている。例えば、ノズル311から各位置にインクの複数の微小液滴が吐出可能とされ、一カ所に吐出される微小液滴の数を制御することにより、印刷媒体9上に形成されるインクの液滴サイズが決定される。また、同一位置に微小液滴を4個飛翔させることで塗りつぶし印刷が可能である場合、0個の場合を含む5つのサイズの液滴が印刷媒体9上に形成可能となる。もちろん、飛翔する液滴自体の大きさを制御するノズル機構が採用されてもよい。印刷媒体9上に吐出されたインクは、ヘッド3の(−Y)側の光照射部38から印刷媒体9上に照射される紫外線により速やかに硬化し、これにより、当該インクがヘッド3の他の主走査時に同位置に吐出される他の色のインクと混ざったり、他の色のインクが重ねられることにより当該インクが広がったりすることが防止される。ヘッド3が印刷媒体9の(+Y)側の端部まで到達するとステージ21の移動(すなわち、ヘッド3の主走査)が停止される(ステップS15)。
【0028】
続いて、ヘッド3の次の主走査が行われることが確認された後(ステップS16)、ヘッド3がX方向に移動(副走査)し、副走査方向の各位置に配置されるノズル311の色が、移動前とは異なる色へと変更される(ステップS17)。副走査の距離は、図2に示すノズルピッチVよりも大きくされ、これにより、異常なノズルが存在しても印刷状態に与える影響が最小限に抑えられる。副走査が完了すると、ステージ21が(+Y)方向に移動を開始し(ステップS13)、ヘッド3の2回目の主走査に同期してインクの吐出制御が行われる(ステップS14)。このとき、ヘッド3が通過する各位置に対して吐出されるインクの色が、直前の主走査で吐出されたインクの色から異なる色となる。印刷媒体9上に吐出された直後のインクは、(+Y)側の光照射部38から照射される紫外線により硬化する。
【0029】
その後、ヘッド3の副走査および主走査が繰り返され(ステップS13〜S17)、印刷媒体9上の各位置にY、M、C、Kのインクの様々なサイズの液滴(液滴の吐出が行われない場合を含む。)が重ねられて印刷データに基づく印刷が完了する。以上のように、印刷装置1による印刷は、ヘッド3が主走査方向に一回移動する間に描画される印刷媒体9上の各色の複数のライン(すなわち、1つの色に注目した場合の複数のライン)が主走査方向に垂直な副走査方向に間隔を空けて配列されるインタレース方式となっている。
【0030】
図5.Aおよび図5.Bは、ステップS11における印刷データ生成部43により実行される印刷データ生成の流れを示す図である。以下の印刷データ生成の説明では、画像のデータに対する演算処理を適宜、画像に対する処理として表現している。印刷データの生成では、まず、デザイン装置にて生成されたデータをRIP(Raster Image Processing)したカラー画像である元画像のデータが記録媒体やコンピュータネットワークを介して印刷データ生成部43に入力される(ステップS211)。図6は元画像600を例示する図である。図6に示す元画像600には、グラデーション(濃淡が漸次変化する塗りつぶし)を有する矩形を示すグラデーション領域601、文字や表を示す細線領域602、チント等の濃度の高い塗りつぶし領域603、および、塗りつぶし領域603内にて文字や表を白抜きにて示す白抜き細線領域604が設けられる。また、元画像600は、Y、M、C、Kの各色の濃度を示す色成分画像600a〜600dの集合となっており、各色成分画像において画素の値が濃度値となっている。図6では、細線領域602および白抜き細線領域604を簡略化して矩形にて示している(以下の類似の図においても同様)。
【0031】
印刷データ生成部43では、元画像600の各画素位置において4つの色成分画像600a〜600dの濃度値を合計し、図7に示すように、合計値をその画素位置に有する画像610を生成する(ステップS212)。色成分画像における濃度が高い画素では、インク量が多くなる確率が高いため(画素に対応する最終的なインク量は実際にはディザ法や誤差拡散法によりばらついている。)、濃度値の合計が所定値以上であると、単位面積当たりのインク量が多いと予想することができる。したがって、新たに生成された画像は、各画素位置に与えられるインク量の合計をおよそ示す画像、すなわち、単位面積当たりのインク量であるインク密度を示す画像であり、以下の説明では、「インク密度画像610」と呼ぶ。インク密度画像610においても元画像600のグラデーション領域601、細線領域602、塗りつぶし領域603および白抜き細線領域604にそれぞれ対応するグラデーション領域611、細線領域612、塗りつぶし領域613および白抜き細線領域614が現れる。
【0032】
次に、印刷データ生成部43では、インク密度画像610が所定のしきい値で2値化されて図8に示す2値画像710が生成される(ステップS213)。2値画像710は、仮に、そのまま印刷を行うとインク密度が所定値を超えることとなる高インク密度領域を示すことから、以下の説明では、「第1高インク密度画像710」と呼ぶ。図8では、図7中のグラデーション領域611、細線領域612、塗りつぶし領域613および白抜き細線領域614にそれぞれ対応する領域に符号711〜714を付している。
【0033】
一方、インク密度画像610を利用して元画像600から高インク密度領域を抽出するステップS213と並行して、または、ステップS213の前後に、図9に示すラプラシアンオペレータをインク密度画像610に作用させた上で2値化が行われ、図10に示す第1エッジ画像810が生成される(ステップS214)。ステップ214により、実質的に、インク密度画像610を利用して元画像600から周辺領域に対するインク密度の変動が所定値を超えるエッジが抽出される。第1エッジ画像810では、図7に示すグラデーション領域611の背景との濃度差が大きい範囲を示すエッジ811、並びに、細線領域612、塗りつぶし領域613および白抜き細線領域614のエッジ812,813,814が現れる。なお、図10では、細線領域612に対応するエッジ812および白抜き細線領域614に対応するエッジ814を簡略化して矩形にて示している(以下の類似の図においても同様)。
【0034】
印刷データ生成部43は、第1エッジ画像810に対して、値が1の画素の周囲の一定範囲内の画素の値を1に変更する太らせ処理(膨張処理)をさらに行い、図11に示す第1エッジ領域画像910が生成される(ステップS215)。図11では図10のエッジ811〜814を破線にて示し、これらのエッジ811〜814を太らせた後のエッジ領域にそれぞれ符号911〜914を付している。
【0035】
次に、印刷データ生成部43は、図11の第1エッジ領域画像910の画素値を0と1との間で反転して反転画像を生成し、反転画像と図8の第1高インク密度画像710とのAND画像(論理積画像)が図12に示す第2高インク密度画像720として生成される(ステップS216)。第2高インク密度画像720は、インク密度画像610のエッジ(グラデーション領域601では濃度差が所定値以上となる部分のエッジのみ)の近傍の領域を図8の第1高インク密度画像710から除去したものであり、実質的に、第1高インク密度画像710が示す高インク密度領域に対して、第1エッジ画像810が示すエッジと重なるエッジから細らせ処理を施した画像となっている。したがって、第2高インク密度画像720では、図7の細線領域612に対応する図8の領域712が消滅しており、図8の領域711,713,714に対応する領域721,723,724のみが存在する。
【0036】
印刷データ生成部43では、ステップS216と並行して、または、ステップS216と前後して、図11の第1エッジ領域画像910からエッジ抽出が行われてエッジ領域のエッジを示す2値画像が生成され、この2値画像と図8の第1高インク密度画像710とのAND画像が、図13に示す第2エッジ画像820として求められる(ステップS217)。第2エッジ画像820は、実質的に、図12に示す細らせ処理後の第2高インク密度画像720のエッジとなっているが、図7の細線領域612に対応するエッジが消滅しており、グラデーション領域611の低濃度部分のエッジも存在しない。図13では、図12の領域721,723,724に対応するエッジに符号821,823,824を付している。
【0037】
第2エッジ画像820にはさらに太らせ処理が行われ、図14に示す第2エッジ領域画像920が生成される(ステップS218)。図14では、図13のエッジ821,823,824を破線にて示し、これらのエッジ821,823,824の太らせ後のエッジ領域にそれぞれ符号921,923,924を付している。ステップS218ではステップS215の場合よりも上下左右に1画像だけ大きく太らせ処理が行われる。
【0038】
第1高インク密度画像710、第2高インク密度画像720および第2エッジ領域画像920が準備されると、第2高インク密度画像720と第2エッジ領域画像920とのOR画像(論理和画像)がマスク領域を示すマスク画像として求められ、第1高インク密度画像710がOR画像のマスク領域にてマスクされることにより(すなわち、AND画像が生成され、マスク領域以外において画素値が0とされる。)、図15に示す最終高インク密度画像730が求められる(図5.BのステップS221)。ステップS218での太らせの程度はステップS215の太らせの程度よりも大きいため、第2高インク密度画像720と第2エッジ領域画像920とのOR画像は、細らせ処理(収縮処理)後に残存する高インク密度領域のみに、細らせ処理により削除された部位を補ってマスク領域を生成する処理に相当する。マスク領域は、図8の第1高インク密度画像710の領域711を覆う領域と、領域713から領域714を除いたものを覆う領域とを有するが、領域712は第2高インク密度画像720および第2エッジ領域画像920の双方に存在しない。したがって、第1高インク密度画像710がOR画像にてマスクされることにより、第1高インク密度画像710から領域712(図7の細線領域612に対応する。)が除去された最終高インク密度画像730が生成されることとなる。換言すれば、ステップS214〜S218,S221により、第1高インク密度画像710が示す高インク密度領域から、高インク密度かつ細線である領域が除去された細線除去後の高インク密度領域が取得される。図15では、図8の領域711,713,714に対応する領域に符号731,733,734を付している。
【0039】
印刷データ生成部43では、ステップS221と並行して、または、ステップS221と前後して、上述の第2高インク密度画像720と第2エッジ領域画像920とのOR画像が示すマスク領域にて、図10の第1エッジ画像810がマスクされ、図16に示す第3エッジ画像830が求められる(ステップS222)。既述のように、ステップS218での太らせの程度はステップS215の太らせの程度よりも大きいため、上記OR画像は図10のエッジ811,813,814を覆うが、図7の細線領域612に対応する領域が存在しないため、第3エッジ画像830は第1エッジ画像810のエッジから細線領域612に対応するエッジ812(以下、「細線エッジ」という。)を除去したものとなっている。また、最終高インク密度画像730を求めるときと同様のマスク領域が利用されるため、効率よく第3エッジ画像830(さらには、後述の最終エッジ領域画像940)を求めることができる。図16では図10のエッジ811,813,814に対応するエッジにそれぞれ符号831,833,834を付している。
【0040】
第3エッジ画像830のエッジにはさらに太らせ処理が行われ(太らせの程度は、他のステップの太らせ処理には依存しない。)、図17に示すように、細線エッジ除去後のエッジ領域を示す第3エッジ領域画像930が生成される(ステップS223)。図17では、図16のエッジ831,833,834を破線にて示し、これらのエッジ831,833,834の太らせ後のエッジ領域にそれぞれ符号931,933,934を付している。
【0041】
続いて、最終高インク密度画像730と第3エッジ領域画像930とのAND画像、すなわち、高インク密度領域中の細線エッジ除去後のエッジ領域が、図18に示す最終エッジ領域画像940として求められる(ステップS224)。図18では図17のエッジ領域931,933,934に対応する領域に符号941,943,944を付している。最終エッジ領域画像940は、最終高インク密度画像730の各領域中のエッジ近傍の内側の領域を示す。ただし、図7中のグラデーション領域611の背景との濃度差が小さいエッジに対応する部分は除外される。
【0042】
最終高インク密度画像730と最終エッジ領域画像940とが準備されると、画像データがディザ法や誤差拡散法等を利用した多値網掛けにより印刷装置1の各構成要素を制御する印刷データへと変換される(ステップS225)。印刷データは既述のように印刷媒体9上の各位置(以下、「吐出位置」と呼ぶ。)に付与されるインクの液滴のサイズの指示を含むデータとなっている。以下、説明を簡素化するために、画像データの各画素が印刷媒体9上に配列設定された各吐出位置に対応するものとして説明する。なお、印刷データは最終高インク密度画像730や最終エッジ領域画像940が準備される前に生成されてもよい。
【0043】
次に、元画像600のうち、最終高インク密度画像730が示す細線除去後の高インク密度領域(図15中の領域731および領域733から領域734を除いた領域であり、以下、「ノイズ付与領域」という。)に対応する吐出位置への(印刷データが示す)液滴サイズにノイズが付与され、細線除去後の高インク密度領域に対するインクの液滴サイズにノイズを付与した新たな印刷データが生成される(ステップS226)。ノイズの付与は、吐出位置の配列のうちノイズ付与領域に対応する領域(以下、この領域も単に「ノイズ付与領域」と呼ぶ。)に対して、色成分毎に個別に行われる。以下に説明する処理は部分的に画像に対する処理として説明するが、実際には、画像に対する処理が反映されるように印刷データが修正される。
【0044】
ノイズの付与では、まず、図19に示すグラフを参照して、ノイズ付与領域中の各画素の濃度値に応じたノイズ導入率が求められる。図19に示すグラフでは、濃度値がTh以上の場合に確率的にノイズの導入が行われ、濃度値が255にてノイズ導入率が最高値Rmaxとされる。ここで、例えば、0以上1未満の乱数が取得され、乱数がノイズ導入率を下回る場合にノイズの導入が決定される。
【0045】
1つの画素に対してノイズの導入が決定された場合は、次に、この画素に対応する吐出位置の液滴に与えられるノイズ量が決定される。このとき、再度0以上1未満の乱数が取得され(前回の乱数の小数点以下第2位の整数の1/10の値が利用されてもよい。)、図20に示すグラフを参照して乱数値に対応するノイズ量が求められる。図20のグラフでは、乱数の値が0以上0.1未満、0.1以上0.2未満、0.2以上0.3未満の場合は、ノイズ量(例えば、微小液滴が重ねられる個数の変更量)が順に−3、−2,−1,0とされ、乱数の値が0.4以上の場合はノイズ量が1とされる。そして、ノイズ量だけその吐出位置に対応するインクの液滴のサイズが変更される。図20ではノイズ量の平均値は0であることから、複数の画素において濃度値が一定であれば、ノイズが付与される前の液滴の平均サイズとノイズが付与された後の液滴の平均サイズとが等しくなり、ノイズ付与に起因する濃度差の発生が防止される。なお、大幅なノイズの導入は印刷データ生成時の多値網掛け時のパターンを崩すことになるため、図19中のThおよびRmax、並びに、図20のノイズ量は、後述のムラ抑制の程度を予め調べて適宜決定される。ノイズが付与される前の液滴の平均サイズとノイズが付与された後の液滴の平均サイズとは厳密に等しくされる必要はなく、ノイズ付与の演算の理論上、等しくされる程度(すなわち、ほぼ等しい程度)でよい。
【0046】
ノイズの付与が行われると、次に、印刷データが、最終エッジ領域画像940が示す領域941,943,944(すなわち、高インク密度領域のうち細線エッジ除去後のエッジ領域に含まれる領域であり、以下、「インク低減領域」という。)におけるインク密度を低減するものへと修正される(ステップS226)。例えば、インク低減領域に対応する吐出位置の領域(以下、この領域も「インク低減領域」と呼ぶ。)おいて各吐出位置に対応するインクの液滴のサイズ(すなわち、微小液滴の重ね合わせ数)が一律に低減されたり、液滴のサイズが一定の確率で低減されたり、微小液滴の重ね合わせの最大個数が一定の値(例えば、2)に限定される。これにより、印刷に際してインク低減領域におけるインク量が低減されることとなる。
【0047】
以上の処理により、最終的な印刷データが生成され、印刷データ生成部43による処理が完了する。
【0048】
図21.Aおよび図21.Bは印刷装置1により抑制されるムラ(特に、スジムラ)を説明するための対比例を示す平面図および縦断面図である。ノイズが付与されることなく大きなサイズのインクの液滴が連続的に印刷媒体9上に形成された場合、インクの液滴が広がることにより主走査方向に繋がり、図21.Aに示すように、インクはライン91となる。特に、印刷媒体9がインクに対して撥液性を有し(すなわち、印刷媒体9にインクが染み込まず、かつ、印刷媒体9がインクをはじく)、さらに紫外線によりインクのモノマーが吐出後に硬化される場合は、図21.Bに示すようにライン91は印刷媒体9上において盛り上がった状態となる。
【0049】
実際には多色のインクが印刷データに従ってほぼ同時に吐出されるが、図21.Aでは1つのインクのみが吐出される場合を例示している。図3に示すヘッド3のノズルピッチVよりも高い解像度にて印刷を行うインタレース方式にて印刷が行われる場合、図21.Aおよび図21.Bに示すように、先にライン91a,91bが形成された後、ライン91a,91bの間が他のライン91で埋められていくと、最後のライン91cが先に硬化した他のライン91の間の谷間に沿って流れやすくなり、2つのライン91の上に覆い被さるようにして印刷媒体9上に形成されることとなる。その結果、ライン91cおよびその近傍が盛り上がって主走査方向に筋状に目立ってしまい、いわゆるスジムラが発生し、印刷の質が著しく低下してしまう。なお、このような現象は、インタレース方式でない場合であってもインクが高密度にて印刷媒体9上に付与される場合に規則的な凹凸に起因して生じる。これに対し、印刷装置1では、既述のように高インク密度となる領域に対してノイズが付与されるため、ノイズが無い場合に生じる線状のパターンが不連続になり、スジムラの程度が低減される。
【0050】
また、印刷装置1では、ノイズの付与が高インク密度領域全体に対して行われるのではなく、元画像600の細線領域602が除外された所望の領域のみにノイズが付与される。したがって、文字や表などの細線に欠けやかすれが生じてしまうことが防止される。なお、細線領域ではノイズが付与されなくてもムラは目立たない。
【0051】
ここで、印刷装置1では、高インク密度領域のうち、エッジ近傍の領域でインク密度が低減される。これにより、図21.A中に符号92にて示すような、エッジでのインクの流出が防止され、印刷の質の著しい低下が防止される。インクの流出は、印刷媒体9がインクに対して撥液性を有する場合やインタレース方式で既に形成されたインクのラインとラインとの間にインクが吐出されてインクが流れやすくなる場合に顕著となるため、エッジでのインク密度の低減は印刷媒体9が撥液性を有する場合やインタレース方式の場合に特に適しているといえる。
【0052】
ところで、最終エッジ領域画像940では元画像600の細線領域602に対応するエッジ領域が除去されているため、細線領域602に対してはインク密度の低減は行われない。これにより、細線領域602の印刷において欠けやかすれが防止される。なお、白抜き細線領域604に対してはインクの低減が行われるため、印刷された白抜き細線領域604が潰れてしまうことが防止される。
【0053】
また、印刷装置1では、インク密度の低減が行われる高インク密度領域のエッジ領域が第1高インク密度画像710から求められるのではなく、多値画像であるインク密度画像610のエッジを利用して求められるため、高インク密度領域からインク密度が徐々に低下するグラデーション領域が元画像600に存在する場合であっても適切なエッジ領域を取得することができる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0055】
例えば、上記実施の形態では、印刷データ生成におけるステップS213では、単位面積当たりのインク量が、色成分毎の画素の濃度値の合計で判断されるが、元画像600のデータが印刷データに変換された後の状態における単位面積当たりの色成分のインク量の合計(例えば、1吐出位置におけるインク量の合計)が求められ、合計値の分布に基づいてインク密度画像610が生成されてもよい。すなわち、濃度値の集合である色成分画像からディザ法や誤差拡散法にてヘッド3からの各ドットの出力状態(すなわち、多値ドットのサイズ)を表す印刷データを求め、この印刷データから第1高インク密度画像710に相当する画像が取得されてもよい。
【0056】
また、印刷データを生成する際の太らせ処理、細らせ処理は他の方法でもよく、画像データもラスタデータには限定されず、ベクトルデータであってもよい。
【0057】
上記実施の形態では、グラデーション領域が存在するために、第1高インク密度画像710から細線に対応する領域712を削除するために複雑な処理を行っているが、グラデーション領域が存在しない場合は、単純に細らせ処理および太らせ処理を行ってマスク画像を生成し、このマスク画像で第1高インク密度画像710をマスクして細線領域が削除された最終高インク密度画像730が取得され、さらにこの画像からエッジ抽出を行って第3エッジ画像830が取得され、第3エッジ画像830から最終エッジ領域画像940が求められてもよい。
【0058】
上記実施の形態おけるノイズ付与領域に対するノイズの付与方法は例示にすぎず、他の様々な方法が採用されてよい。ステップS226のノイズの付与とステップS227のエッジ領域に対するインク量の制限とは処理順序が逆転してもよい。
【0059】
図2に示すノズル311の配列は例示にすぎず、ノズル数も少ないものであってもよい。印刷に使用されるインクも4色には限定されず、例えば、6色でもよい。
【0060】
また、印刷装置1では、光照射部38により印刷媒体9上に吐出された直後のインクを硬化させるが、印刷媒体9上に吐出されたインクが速乾性の場合には、必ずしも光照射部38は設けられなくてもよい。また、印刷媒体9上に吐出された直後のインクを硬化させるインク硬化部は、光照射部38以外であってもよく、例えば、熱硬化性のインクが用いられる場合には印刷媒体9に熱風を付与する熱付与部がヘッド3に設けられてもよい。
【0061】
上記実施の形態では、ステージ21を主走査方向に移動するステージ移動機構22、および、ヘッド3を副走査方向に移動するヘッド移動機構24により、ヘッド3がステージ21に対して主走査方向および副走査方向に相対的に移動するが、印刷装置1ではヘッド3を主走査方向に移動する機構やステージ21を副走査方向に移動する機構が設けられてもよい。このように、ヘッド3を印刷媒体9に対して主走査方向および副走査方向に相対的に移動する走査機構としては様々なものが採用可能である。
【0062】
印刷装置1は、撥液性を有する印刷媒体(プラスチック以外であってもよい。)上にカラー印刷を行う用途に特に適しているが、撥液性を有しない印刷媒体に対して用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】印刷装置の斜視図である。
【図2】ヘッドの底面図である。
【図3】制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】印刷動作の流れ図である。
【図5.A】印刷データ生成の流れ図である。
【図5.B】印刷データ生成の流れ図である。
【図6】元画像を示す図である。
【図7】インク密度画像を示す図である。
【図8】第1高インク密度画像を示す図である。
【図9】ラプラシンアンオペレータを示す図である。
【図10】第1エッジ画像を示す図である。
【図11】第1エッジ領域画像を示す図である。
【図12】第2高インク密度画像を示す図である。
【図13】第2エッジ画像を示す図である。
【図14】第2エッジ領域画像を示す図である。
【図15】最終高インク密度画像を示す図である。
【図16】第3エッジ画像を示す図である。
【図17】第3エッジ領域画像を示す図である。
【図18】最終エッジ領域画像を示す図である。
【図19】濃度とノイズ導入率との関係を示す図である。
【図20】乱数値とノイズ量との関係を示す図である。
【図21.A】ムラの原理を示す平面図である。
【図21.B】ムラの原理を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 印刷装置
3 ヘッド
9 印刷媒体
22 ステージ移動機構
24 ヘッド移動機構
43 印刷データ生成部
311 ノズル
600 元画像
710 第1高インク密度画像
711〜714 (高インク密度)領域
730 最終高インク密度画像
731,733 (細線除去後の高インク密度領域である)ノイズ付与領域
810 第1エッジ画像
811〜814 エッジ
812 細線エッジ
930 第3エッジ領域画像
931,933 (細線エッジ除去後の)エッジ領域
940 最終エッジ領域画像
941,943,944 インク低減領域
S11〜S16,S211〜S218,S221〜S227 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式の印刷装置のノズルから吐出されるインクの印刷媒体上での液滴サイズの指示を含む印刷データを生成する印刷データ生成方法であって、
a)単位面積当たりのインク量が所定値を超えることとなる高インク密度領域を元画像から抽出する工程と、
b)前記高インク密度領域から、高インク密度かつ細線である領域を除去した細線除去後の高インク密度領域を取得する工程と、
c)前記細線除去後の高インク密度領域に対するインクの液滴サイズにノイズを付与した印刷データを生成する工程と、
を備えることを特徴とする印刷データ生成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷データ生成方法であって、
ノイズが付与される前の液滴の平均サイズとノイズが付与された後の液滴の平均サイズとが等しいことを特徴とする印刷データ生成方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷データ生成方法であって、
前記元画像がカラー画像であり、前記a)工程において、単位面積当たりのインク量が、色成分毎の画素の濃度値の合計で判断されることを特徴とする印刷データ生成方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷データ生成方法であって、
前記a)工程と前記c)工程との間に、
d)単位面積当たりのインク量の変動が所定値を超えるエッジを前記元画像から抽出する工程と、
e)前記エッジのうち細線領域に対応する細線エッジを除去し、残りのエッジに太らせ処理を行うことにより、細線エッジ除去後のエッジ領域を取得する工程と、
をさらに備え、
前記c)工程において、高インク密度領域のうち、前記細線エッジ除去後のエッジ領域に含まれる領域おけるインク密度を低減する前記印刷データが生成されることを特徴とする印刷データ生成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷データ生成方法であって、
前記e)工程が、
前記a)工程にて抽出された前記高インク密度領域に対して、前記d)工程において前記元画像から抽出された前記エッジと重なるエッジから細らせ処理を行う工程と、
前記細らせ処理の後に残存する領域のみに前記細らせ処理により削除された部位を補ってマスク領域を生成し、前記d)工程にて抽出された前記エッジを前記マスク領域にてマスクすることにより前記細線エッジ除去後のエッジ領域を取得する工程と、
を備えることを特徴とする印刷データ生成方法。
【請求項6】
インクジェット方式にて印刷媒体に印刷を行う印刷方法であって、
請求項1ないし5のいずれかに記載の印刷データ生成方法にて印刷データを生成する工程と、
前記印刷データに基づいて印刷媒体に印刷を行う工程と、
を備えることを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷方法であって、
前記印刷媒体が、インクに対して撥液性を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の印刷方法であって、
前記印刷データに基づく印刷が、印刷装置のヘッドが主走査方向に一回移動する間に描画される前記印刷媒体上の一の色の複数のラインが前記主走査方向に垂直な副走査方向に間隔を空けて配列されるインタレース方式であることを特徴とする印刷方法。
【請求項9】
インクジェット方式の印刷装置であって、
複数の液滴サイズにてインクを印刷媒体上に付与するノズルを有するヘッドと、
前記ヘッドを印刷媒体に対して所定の主走査方向および前記主走査方向に垂直な副走査方向に相対的に移動する走査機構と、
元画像のデータから印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備え、
前記印刷データ生成部が、
a)単位面積当たりのインク量が所定値を超えることとなる高インク密度領域を元画像から抽出する工程と、
b)前記高インク密度領域から、高インク密度かつ細線である領域を除去した細線除去後の高インク密度領域を取得する工程と、
c)前記細線除去後の高インク密度領域に対するインクの液滴サイズにノイズを付与した印刷データを生成する工程と、
を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷装置であって、
インクに対して撥液性を有する印刷媒体に印刷が行われることを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の印刷装置であって、
前記ヘッドが前記主走査方向に一回移動する間に描画される印刷媒体上の一の色の複数のラインが前記副走査方向に間隔を空けて配列されるインタレース方式にて印刷が行われることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5.A】
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【図5.B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21.A】
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【図21.B】
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