説明

印刷データ送信機、印刷システム、及び印刷データ送信方法

【課題】各印刷機の状況に応じて印刷効率の向上を図ることが可能な印刷データ送信方法を提供すること。
【解決手段】複数の印刷機に対して印刷データを送信する印刷データ送信方法は、各印刷機における現在の印刷待ち時間に基づき、各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出し、前記算出された各印刷機に対する印刷データの配分に基づき、印刷データを各印刷機へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷機と接続し、任意の印刷機に対して印刷データを送信可能な印刷データ送信機に関する。また、本発明は、複数の印刷機とこれら複数の印刷機に対して印刷データを送信する印刷データ送信機により構成される印刷システムに関する。さらに、本発明は、複数の印刷機と接続し、任意の印刷機に対して印刷データを送信する印刷データ送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、銀行等の金融機関の業務に通帳印刷があることが知られている。顧客による通帳印刷とは違い、係員による通帳印刷時には、大量の印刷データに基づき複数の通帳を一度に印刷することがある。大量の印刷データが一台の通帳印刷機に割り当てられるため、印刷待ち時間が長くなることがある。
【0003】
これに対して、ネットワークを利用した印刷に関する様々な技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−63003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネットワークを利用して大量の印刷データを複数の印刷機に分散するにしても、既に印刷データを保持している印刷機も含まれているため、単純に、印刷機の台数に応じて印刷データを均等割して分散しても、十分な印刷効率の向上を図ることはできない。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、各印刷機の状況に応じて印刷効率の向上を図ることが可能な印刷データ送信機、印刷システム、及び印刷データ送信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の印刷データ送信機、印刷システム、及び印刷データ送信方法は、以下のように構成されている。
【0007】
(1)この発明は、複数の印刷機と接続し、任意の印刷機に対して印刷データを送信可能な印刷データ送信機であって、各印刷機における現在の印刷待ち時間に基づき、各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された各印刷機に対する印刷データの配分に基づき、印刷データを各印刷機へ送信する送信手段とを備えたことを特徴とする印刷データ送信機である。
【0008】
(2)この発明は、印刷データを所定の印刷機により印刷する印刷システムであって、複数の印刷機と、前記複数の印刷機と接続し、任意の印刷機に対して印刷データを送信可能な印刷データ送信機とを備え、前記印刷データ送信機は、各印刷機における現在の印刷待ち時間に基づき、各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された各印刷機に対する印刷データの配分に基づき、印刷データを各印刷機へ送信する送信手段とを備えたことを特徴とする印刷システムである。
【0009】
(3)この発明は、複数の印刷機に対して印刷データを送信する印刷データ送信方法であって、各印刷機における現在の印刷待ち時間に基づき、各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出し、前記算出された各印刷機に対する印刷データの配分に基づき、印刷データを各印刷機へ送信することを特徴とする印刷データ送信方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各印刷機の状況に応じて印刷効率の向上を図ることが可能な印刷データ送信機、印刷システム、及び印刷データ送信方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一例に係る印刷システムの概略構成を示す図である。印刷システムは、複数台のデータ入力機と複数台の通帳印刷機とがLANケーブルにより接続されて構成されている。例えば、図1に示すように、印刷システムは、データ入力機1a(#1)、1bと、通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)と、これらを接続するLANケーブル3により構成されている。
【0013】
データ入力機1a、1bは、夫々が、主制御部11、データ入力部12、及び通信部13を備えている。また、通帳印刷機2a、2b、2cは、夫々が、主制御部21、印刷部22、及び通信部23を備えている。
【0014】
例えば、オペレータは、データ入力機1a、1bのデータ入力部13を介して、申請情報を入力する。或いは、データ入力機1a、1bのデータ入力部13が、申請情報を読み取る。さらにデータ入力部13は、申請情報に基づき印刷データを生成する。通信部14は、LANケーブル3を介して、通帳印刷機2a、2b、2cに対して印刷データを送信する。各通帳印刷機2a、2b、2cの通信部23は印刷データを受信し、各通帳印刷機2a、2b、2cの印刷部22は、通帳に対して印刷データを印刷する。
【0015】
例えば、一つの申請情報に基づき通帳1頁に対してデータを印刷する場合と、通帳2頁に対してデータを印刷する場合とがある。つまり、一つの申請情報(一つの印刷ジョブ)に基づく印刷であっても印刷時間が異なることがある。例えば、通帳1頁の印刷時間は1分、通帳2頁の印刷時間は2分である。
【0016】
また、通帳は、用途別に複数の種類がある。申請情報に応じた通帳が適用される。通帳印刷機2a、2b、2cの各印刷部22は、通帳供給部と通帳排出部とを備えている。通帳供給部には通帳供給カセットが装填される。通帳供給カセットは通帳の種類毎に用意されている。例えば、通帳種別Aの通帳供給カセットの接続機構形状と、通帳種別Bの通帳供給カセットの接続機構形状は、異なる。或いは、通帳種別Aの通帳供給カセットの接続端子は通帳種別Aを示す信号を出力し、通帳種別Bの通帳供給カセットの接続端子は通帳種別Bを示す信号を出力する。これにより、通帳印刷機2a、2b、2cの主制御部21は、どの種別の通帳(どの種別の通帳供給カセット)がセットされたかを検知することができる。
【0017】
次に、図2に示すフローチャートを参照して、印刷システムによる分散印刷処理について説明する。
【0018】
データ入力機1a(又はデータ入力機1b)は、印刷データの送信前に、各通帳印刷機2a、2b、2cにおける印刷待ちデータを収集する(ST1)。データ入力機1aの主制御部11は、全ての通帳印刷機、つまり通帳印刷機2a、2b、2cを対象として(ST2)、これら通帳印刷機2a、2b、2cにおける印刷ジョブの数(件数)とボリューム(頁数)に基づき、これら通帳印刷機2a、2b、2cにおける印刷待ち時間を算出し、さらにデータ入力機1aの主制御部11は、このデータ入力機1aに保持されている印刷ジョブ(送信予定の印刷ジョブ)の数(件数)とボリューム(頁数)により生じる印刷待ち時間を算出し、両者を合計する(ST3)。主制御部11は、つまり、全ての通帳印刷機2a、2b、2cで保持されている印刷データを印刷するための印刷待ち時間と、データ入力機1aで保持されている印刷データを印刷するための印刷待ち時間との合計を算出する(ST3)。
【0019】
ケース1として、図3に示すような印刷データ(印刷ジョブの数(件数)とボリューム(頁数))を、データ入力機1a(#1)及び通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)が保持しているとする。
【0020】
つまり、図4に示すように、通帳印刷機2a(#1)が、1頁印刷の印刷ジョブ20件と、2頁印刷の印刷ジョブ30件とを保持しており、この通帳印刷機2a(#1)における現在の印刷待ち時間は、20件×1分+30件×2分=80分となる。また、通帳印刷機2b(#2)が、1頁印刷の印刷ジョブ50件と、2頁印刷の印刷ジョブ10件とを保持しており、この通帳印刷機2b(#2)における現在の印刷待ち時間は、50件×1分+10件×2分=70分となる。また、通帳印刷機2c(#3)が、1頁印刷の印刷ジョブ80件と、2頁印刷の印刷ジョブ10件とを保持しており、この通帳印刷機2c(#3)における現在の印刷待ち時間は、80件×1分+10件×2分=100分となる。
【0021】
また、図4に示すように、データ入力機1a(#1)が、送信予定の印刷ジョブとして、1頁印刷の印刷ジョブ20件と、2頁印刷の印刷ジョブ30件とを保持しており、このデータ入力機1a(#1)からの送信予定の印刷ジョブの数とボリュームにより生じる印刷待ち時間は、20件×1分+30件×2分=80分となる。
【0022】
このケース1においては、図4に示すように、各通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)における現在の印刷待ち時間(80分、70分、100分)と、送信予定の印刷ジョブの数とボリュームに応じて生じる印刷待ち時間(80分)との合計は、330分となる。つまり、のべ印刷時間は330分となる(ST3)。
【0023】
さらに、データ入力機1a(#1)の主制御部11は、算出されたのべ印刷時間に基づき、一台の通帳印刷機において生じる平均印刷待ち時間を算出する(ST4)。このケース1では、図4に示すように、平均印刷待ち時間は110分(330分/3台)となる。
【0024】
データ入力機1a(#1)の主制御部11は、各通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)における現在の印刷待ち時間(80分、70分、100分)が平均印刷待ち時間(110分)以下であることを条件として(ST5、NO)、この平均印刷待ち時間(110分)と各通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)の現在の印刷待ち時間(80分、70分、100分)との差分時間(110分−80分=30分、110分−70分=40分、110分−100分=10分)に基づき、各通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)に対して送信する印刷データの配分を算出する(ST6)。つまり、データ入力機1a(#1)の主制御部11は、通帳印刷機2a(#1)に対しては送信予定の全印刷データ(80分の印刷待ちが生じる印刷データ)のうちの30分の印刷待ち時間分の印刷データを配分し、通帳印刷機2b(#2)に対しては40分の印刷待ち時間分の印刷データを配分し、通帳印刷機2c(#3)に対しては10分の印刷待ち時間分の印刷データを配分する。
【0025】
データ入力機1a(#1)の通信部14は、主制御部11により算出された配分に基づき、送信予定の全印刷データを各通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)へ送信する。結果的に、図5に示すように、通帳印刷機2a(#1)は、当初の印刷待ち時間80分に相当する印刷データに加えて、新たに印刷待ち時間30分に相当する印刷データを受信し、合計印刷待ち時間110分後に全ての印刷を完了する。通帳印刷機2b(#2)は、当初の印刷待ち時間70分に相当する印刷データに加えて、新たに印刷待ち時間40分に相当する印刷データを受信し、合計印刷待ち時間110分後に全ての印刷を完了する。通帳印刷機2c(#3)は、当初の印刷待ち時間100分に相当する印刷データに加えて、新たに印刷待ち時間10分に相当する印刷データを受信し、合計印刷待ち時間110分後に全ての印刷を完了する。
【0026】
なお、各通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)における印刷ジョブの分配の詳細は、例えば図6に示すようになる。つまり、通帳印刷機2a(#1)が、1頁印刷の印刷ジョブ30件と2頁印刷の印刷ジョブ40件とを保持することになり、この通帳印刷機2a(#1)における印刷待ち時間は、30件×1分+40件×2分=110分となる。また、通帳印刷機2b(#2)が、1頁印刷の印刷ジョブ50件と2頁印刷の印刷ジョブ30件とを保持することになり、この通帳印刷機2b(#2)における印刷待ち時間は、50件×1分+30件×2分=110分となる。また、通帳印刷機2c(#3)が、1頁印刷の印刷ジョブ90件と2頁印刷の印刷ジョブ10件とを保持することになり、この通帳印刷機2c(#3)における印刷待ち時間は、90件×1分+10件×2分=110分となる。
【0027】
次に、ケース2を参照して、各通帳印刷機における現在の印刷待ち時間が平均印刷待ち時間以下という条件を満たさない状況について説明する。
【0028】
ケース2として、図7に示すような印刷データ(印刷ジョブの数(件数)とボリューム(頁数))を、データ入力機1a(#1)及び通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)が保持しているとする。
【0029】
つまり、図8に示すように、通帳印刷機2a(#1)が、1頁印刷の印刷ジョブ20件と、2頁印刷の印刷ジョブ40件とを保持しており、この通帳印刷機2a(#1)における現在の印刷待ち時間は、20件×1分+40件×2分=100分となる。また、通帳印刷機2b(#2)が、1頁印刷の印刷ジョブ20件と、2頁印刷の印刷ジョブ5件とを保持しており、この通帳印刷機2b(#2)における現在の印刷待ち時間は、20件×1分+5件×2分=30分となる。また、通帳印刷機2c(#3)が、1頁印刷の印刷ジョブ0件と、2頁印刷の印刷ジョブ5件とを保持しており、この通帳印刷機2c(#3)における現在の印刷待ち時間は、0件×1分+5件×2分=10分となる。
【0030】
また、図8に示すように、データ入力機1a(#1)が、送信予定の印刷ジョブとして、1頁印刷の印刷ジョブ20件と、2頁印刷の印刷ジョブ25件とを保持しており、このデータ入力機1a(#1)からの送信予定の印刷ジョブの数とボリュームにより生じる印刷待ち時間は、20件×1分+25件×2分=70分となる。
【0031】
このケース2においては、図8に示すように、各通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)における現在の印刷待ち時間(100分、30分、10分)と、送信予定の印刷ジョブの数とボリュームに応じて生じる印刷待ち時間(70分)との合計は、210分となる。つまり、のべ印刷時間は210分となる(ST3)。
【0032】
さらに、データ入力機1a(#1)の主制御部11は、算出されたのべ印刷時間に基づき、一台の通帳印刷機において生じる平均印刷待ち時間を算出する(ST4)。このケース2では、図8に示すように、平均印刷待ち時間は70分(210分/3台)となる。
【0033】
つまり、このケース2では、各通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)における現在の印刷待ち時間(100分、30分、10分)が平均印刷待ち時間(70分)以下という条件を満たさない(ST5、NO)。具体的には、図9に示すように、通帳印刷機2a(#1)の現在の印刷待ち時間(100分)が平均印刷待ち時間(70分)を超えてしまっている。この場合には、図10に示すように、データ入力機1a(#1)の主制御部11は、この通帳印刷機2a(#1)を除く残りの通帳印刷機2b(#2)、2c(#3)における現在の印刷待ち時間(30分、10分)と、送信予定の印刷ジョブの数とボリュームに応じて生じる印刷待ち時間(70分)とを合計する。この場合、合計待ち時間は、110分となる。つまり、のべ印刷時間は110分となる(ST3)。
【0034】
さらに、データ入力機1a(#1)の主制御部11は、算出されたのべ印刷時間に基づき、一台の通帳印刷機において生じる平均印刷待ち時間を算出する(ST4)。このケース2では、図10に示すように、平均印刷待ち時間は55分(110分/2台)となる。
【0035】
データ入力機1a(#1)の主制御部11は、通帳印刷機2b(#2)、2c(#3)における現在の印刷待ち時間(30分、10分)が平均印刷待ち時間(55分)以下であることを条件として(ST5、NO)、この平均印刷待ち時間(55分)と通帳印刷機2b(#2)、2c(#3)の現在の印刷待ち時間(30分、10分)との差分時間(55分−30分=25分、55分−10分=45分)に基づき、通帳印刷機2b(#2)、2c(#3)に対して送信する印刷データの配分を算出する(ST6)。つまり、データ入力機1a(#1)の主制御部11は、通帳印刷機2b(#2)に対しては送信予定の全印刷データ(70分の印刷待ちが生じる印刷データ)のうちの25分の印刷待ち時間分の印刷データを配分し、通帳印刷機2c(#3)に対しては45分の印刷待ち時間分の印刷データを配分する。
【0036】
データ入力機1a(#1)の通信部14は、主制御部11により算出された配分に基づき、送信予定の全印刷データを通帳印刷機2b(#2)、2c(#3)へ送信する。結果的に、図11に示すように、通帳印刷機2a(#1)は、当初の印刷待ち時間100分に相当する印刷データだけを保持し(新たな印刷データの受信は無い)、印刷待ち時間100分後に印刷を完了する。通帳印刷機2b(#2)は、当初の印刷待ち時間30分に相当する印刷データに加えて、新たに印刷待ち時間25分に相当する印刷データを受信し、合計印刷待ち時間55分後に全ての印刷を完了する。通帳印刷機2c(#3)は、当初の印刷待ち時間10分に相当する印刷データに加えて、新たに印刷待ち時間45分に相当する印刷データを受信し、合計印刷待ち時間55分後に全ての印刷を完了する。
【0037】
なお、各通帳印刷機2a(#1)、2b(#2)、2c(#3)における印刷ジョブの分配の詳細は、例えば図12に示すようになる。つまり、通帳印刷機2a(#1)が、1頁印刷の印刷ジョブ20件と2頁印刷の印刷ジョブ40件とを保持することになり(新たな印刷データの受信は無い)、この通帳印刷機2a(#1)における印刷待ち時間は、20件×1分+40件×2分=100分となる。また、通帳印刷機2b(#2)が、1頁印刷の印刷ジョブ35件と2頁印刷の印刷ジョブ10件とを保持することになり、この通帳印刷機2b(#2)における印刷待ち時間は、35件×1分+10件×2分=55分となる。また、通帳印刷機2c(#3)が、1頁印刷の印刷ジョブ5件と2頁印刷の印刷ジョブ20件とを保持することになり、この通帳印刷機2c(#3)における印刷待ち時間は、5件×1分+20件×2分=55分となる。
【0038】
上記説明したように、この印刷システムによれば、印刷時間を均等に割り振ることにより印刷時間の効率化を図ることができる。つまり、印刷時間を均等に割り振ることにより、結果として全ての印刷が終わる時間を早めることができる。
【0039】
なお、上記説明した通帳印刷機#1、#2、#3による分散処理の後続で、以下に説明する#1、#4、#5を対象とした代替印刷処理を実行するようにしてもよい。つまり、上記説明した通帳印刷機#1、#2、#3を対象とした分散印刷処理において通帳印刷機#1で印刷処理の中断が発生した場合に、以下に説明する通帳印刷機#1、#4、#5による代替印刷処理を実行するようにしてもよい。
【0040】
図13は、印刷システムによる代替印刷処理を説明するフローチャートである。
【0041】
データ入力機1a(又はデータ入力機1b)が、データ入力部12を介して例えば通帳種別Aに対する申請情報を取得し(ST11)、通信部13を介して例えば各通帳印刷機(#1、#2、#3)に対して通帳種別A(被印刷媒体A)に対する印刷指示を送信する(ST12)。各通帳印刷機(#1、#2、#3)は、通信部23を介してデータ入力機1aからの通帳種別Aに対する印刷指示を受信し、主制御部21により通帳種別Aがセットされていることが検知されると、通信部23を介してデータ入力機1aに対してレスポンス(OK)を送信する(ST21)。
【0042】
データ入力機1aは、通信部13を介して各通帳印刷機(#1、#2、#3)からのレスポンス(OK)を受けて、通信部13を介して印刷データを分散して送信する(ST13)。通帳印刷機(#1、#2、#3)は、通信部23を介して印刷データを受信し、印刷部22により印刷データに基づく通帳種別Aに対する印刷処理を開始する(ST22)。
【0043】
例えば、通帳印刷機(#1)の主制御部21が、上記した印刷処理が完了する前に、障害を検出すると(ST23)、印刷処理を中断する。つまり、主制御部21により印刷処理の中断が検出される。障害の要因としては、例えばインクリボン切れがある。なお、障害でなくても、通帳切れ(このケースでは通帳種別Aの通帳切れ)や通帳排出部の満杯でも印刷処理は中断され、結果的に印刷処理の中断が検出されることになる。
【0044】
通帳印刷機(#1)の主制御部21は、上記したように印刷処理の中断を検出すると、障害ランプを点灯させ(又は印刷中断ランプを点灯させ)、オペレータ操作(復旧操作)を待つ。通帳印刷機(#1)の主制御部21は、オペレータ操作が一定時間内に受け付けられないのを検出して、代替印刷処理を実行する。
【0045】
通帳印刷機(#1)の主制御部21は、他の通帳印刷機(#4、#5)に対して、印刷状態を問い合わせる(ST24)。例えば、印刷動作中の通帳印刷機(#4)は、通帳印刷機(#1)に対して、ビジーであることを示す情報を送信するとともに(ST31)、セットされている通帳種別に関する情報(例えば通帳種別Bがセットされていることを示す情報)も送信する。印刷停止中の通帳印刷機(#5)は、通帳印刷機(#1)に対して、停止中であることを示す情報を送信するとともに(ST41)、セットされている通帳種別に関する情報(例えば通帳種別Aがセットされていることを示す情報)も送信する。
【0046】
通帳印刷機(#1)の主制御部21は、通帳印刷機(#4、#5)からの情報を受信し、中断された印刷処理を実行可能な印刷機(つまり通帳種別Aに対する印刷処理を実行可能な印刷機)を検索する。上記のケースでは、通帳印刷機(#5)が直に通帳種別Aに対する印刷処理を実行することができる。よって、通帳印刷機(#1)の主制御部21は、通帳印刷機(#5)に対して代替印刷依頼(中断した印刷処理の印刷指示)及び印刷データを送信する(ST25)(ST26)。
【0047】
通帳印刷機(#5)は、通帳印刷機(#1)からの代替印刷依頼及び印刷データを受信し、印刷部22により印刷データに基づき通帳種別Aに対する中断した印刷処理を実行する(ST42)。通帳印刷機(#5)は、中断した印刷処理を終了すると、代替印刷依頼先の通帳印刷機(#1)に対して印刷終了を通知する(ST43)。
【0048】
通帳印刷機(#1)は、自身の印刷結果(中断前の印刷処理の結果)及び代替依頼先(通帳印刷機(#5))の印刷結果(中断された印刷処理の結果)を、データ入力機1aへ通知する(ST27)。データ入力機1aは、通帳印刷機(#1)の印刷結果(中断前の印刷処理の結果)、及び通帳印刷機(#5)の印刷結果(中断された印刷処理の結果)を受信し出力する(ST14)。つまり、データ入力機1aは、印刷データがどの通帳印刷機で印刷されたかを示す情報を表示する。
【0049】
以上により、所定の通帳印刷機により印刷処理が中断しても、他の通帳印刷機により代替印刷処理が実行されるため、印刷の停滞を防止することができる。また、オペレータが、常時、通帳印刷中の通帳印刷機を監視する手間が省ける。
【0050】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一例に係る印刷システムの概略構成を示す図である。
【図2】印刷システムによる分散印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】データ入力機及び各通帳印刷機が保持する印刷データの一例(ケース1)を示す図である。
【図4】データ入力機及び各通帳印刷機の印刷時間の一例(ケース1)を示す図である。
【図5】各通帳印刷機の当初印刷時間と分配された印刷時間の合計の一例(ケース1)を示す図である。
【図6】最終的に各通帳印刷機が保持する印刷データの一例(ケース1)を示す図である。
【図7】データ入力機及び各通帳印刷機が保持する印刷データの一例(ケース2)を示す図である。
【図8】データ入力機及び各通帳印刷機の印刷時間の一例(ケース2)を示す図である。
【図9】各印刷機の当初の印刷時間と平均印刷時間の関係の一例(ケース2)を示す図である。
【図10】データ入力機及び絞り込まれた各通帳印刷機の印刷時間の一例(ケース2)を示す図である。
【図11】各通帳印刷機の当初印刷時間と分配された印刷時間の合計の一例(ケース2)を示す図である。
【図12】最終的に各通帳印刷機が保持する印刷データの一例(ケース2)を示す図である。
【図13】印刷システムによる代替印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1a、1b…データ入力機、2a、2b、2c…通帳印刷機、11…主制御部、12…データ入力部、13…通信部、21…主制御部、22…印刷部、23…通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷機と接続し、任意の印刷機に対して印刷データを送信可能な印刷データ送信機であって、
各印刷機における現在の印刷待ち時間に基づき、各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された各印刷機に対する印刷データの配分に基づき、印刷データを各印刷機へ送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする印刷データ送信機。
【請求項2】
複数の印刷機と接続し、任意の印刷機に対して印刷データを送信可能な印刷データ送信機であって、
各印刷機に対して現在の印刷待ち時間を問い合わせ、各印刷機における現在の印刷待ち時間と送信予定の印刷データにより生じる印刷待ち時間との合計に基づき、一台の印刷機において生じる平均印刷待ち時間を算出し、この平均印刷待ち時間と各印刷機の現在の印刷待ち時間との差分時間に基づき、各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された各印刷機に対する印刷データの配分に基づき、印刷データを各印刷機へ送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする印刷データ送信機。
【請求項3】
複数の印刷機と接続し、任意の印刷機に対して印刷データを送信可能な印刷データ送信機であって、
印刷ジョブの数とボリュームに基づき算出される各印刷機における現在の印刷待ち時間を問い合わせ、各印刷機における現在の印刷待ち時間と送信予定の印刷ジョブの数とボリュームに応じて生じる印刷待ち時間との合計に基づき、一台の印刷機において生じる平均印刷待ち時間を算出し、この平均印刷待ち時間と各印刷機の現在の印刷待ち時間との差分時間に基づき、各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された各印刷機に対する印刷データの配分に基づき、印刷データを各印刷機へ送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする印刷データ送信機。
【請求項4】
複数の印刷機と接続し、任意の印刷機に対して印刷データを送信可能な印刷データ送信機であって、
各印刷機に対して現在の印刷待ち時間を問い合わせ、各印刷機における現在の印刷待ち時間と送信予定の印刷データにより生じる印刷待ち時間との合計に基づき、一台の印刷機において生じる第1の平均印刷待ち時間を算出し、各印刷機における現在の印刷待ち時間がこの第1の平均印刷待ち時間以下であることを条件として、この第1の平均印刷待ち時間と各印刷機の現在の印刷待ち時間との差分時間に基づき、各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出する第1の算出手段と、
所定の印刷機の現在の印刷待ち時間が前記第1の平均印刷待ち時間を超えることを条件として、この所定の印刷機を除く残りの各印刷機における現在の印刷待ち時間と送信予定の印刷データにより生じる印刷待ち時間との合計に基づき、一台の印刷機において生じる第2の平均印刷待ち時間を算出し、この第2の平均印刷待ち時間と残りの各印刷機の現在の印刷待ち時間との差分時間に基づき、残りの各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出する第2の算出手段と、
前記第1又は第2の算出手段により算出された各印刷機に対する印刷データの配分に基づき、印刷データを各印刷機へ送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする印刷データ送信機。
【請求項5】
複数の印刷機と接続し、任意の印刷機に対して印刷データを送信可能な印刷データ送信機であって、
印刷ジョブの数とボリュームに基づき算出される各印刷機における現在の印刷待ち時間を問い合わせ、各印刷機における現在の印刷待ち時間と送信予定の印刷ジョブの数とボリュームに応じて生じる印刷待ち時間との合計に基づき、一台の印刷機において生じる第1の平均印刷待ち時間を算出し、各印刷機における現在の印刷待ち時間がこの第1の平均印刷待ち時間以下であることを条件として、この第1の平均印刷待ち時間と各印刷機の現在の印刷待ち時間との差分時間に基づき、各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出する第1の算出手段と、
所定の印刷機の現在の印刷待ち時間が前記第1の平均印刷待ち時間を超えることを条件として、この所定の印刷機を除く残りの各印刷機における現在の印刷待ち時間と送信予定の印刷データにより生じる印刷待ち時間との合計に基づき、一台の印刷機において生じる第2の平均印刷待ち時間を算出し、この第2の平均印刷待ち時間と残りの各印刷機の現在の印刷待ち時間との差分時間に基づき、残りの各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出する第2の算出手段と、
前記第1又は第2の算出手段により算出された各印刷機に対する印刷データの配分に基づき、印刷データを各印刷機へ送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする印刷データ送信機。
【請求項6】
印刷データを所定の印刷機により印刷する印刷システムであって、
複数の印刷機と、
前記複数の印刷機と接続し、任意の印刷機に対して印刷データを送信可能な印刷データ送信機とを備え、
前記印刷データ送信機は、
各印刷機における現在の印刷待ち時間に基づき、各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された各印刷機に対する印刷データの配分に基づき、印刷データを各印刷機へ送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
複数の印刷機に対して印刷データを送信する印刷データ送信方法であって、
各印刷機における現在の印刷待ち時間に基づき、各印刷機に対して送信する印刷データの配分を算出し、
前記算出された各印刷機に対する印刷データの配分に基づき、印刷データを各印刷機へ送信する、
ことを特徴とする印刷データ送信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−99686(P2006−99686A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288018(P2004−288018)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】