印刷マスク
【課題】マスク枠再利用時の接着剤除去作業をなくし、テンショナーによるマスク材10の引っ張り方向を大きく転換させることなくマスク材10をマスク枠3に容易に固定し、且つ市場に流通している一般的なスクリーン印刷機に対応することができる印刷マスク1を提供する。
【解決手段】マスク枠3における、図示しないスクリーン印刷機の印刷マスク載置面と対向する面上において、マスク材中央側の端部の位置で前記印刷マスク載置面に向けて突出する突起部Aを設け、マスク材10を突起部に架け渡して張架し、マスク材10における突起部との接触位置よりも外縁側の箇所を、フラットバー5によって前記対向する面に向けて押し付けて固定した。
【解決手段】マスク枠3における、図示しないスクリーン印刷機の印刷マスク載置面と対向する面上において、マスク材中央側の端部の位置で前記印刷マスク載置面に向けて突出する突起部Aを設け、マスク材10を突起部に架け渡して張架し、マスク材10における突起部との接触位置よりも外縁側の箇所を、フラットバー5によって前記対向する面に向けて押し付けて固定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の基材に複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成されたマスク材と、これを張架及び固定するためのマスク枠とを有する印刷マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、クリームはんだ、インク、接着剤、樹脂などの印刷材を被印刷体上に印刷するための印刷マスクとして、特許文献1に記載のような接着剤固定方式のものが知られている。この印刷マスクは、プラスチックシートに貫通孔からなる印刷パターンを形成した矩形状のマスク材と、これの周縁部を固定する額縁状のマスク枠とを有している。プラスチックからなるマスク材は、その周縁部がアルミ角パイプからなる額縁状のマスク枠に接着剤で貼り付けられることで、所定のテンションで張架されている。
【0003】
図1は、従来の接着剤固定方式の印刷マスクを示す断面図である。接着剤固定方式の印刷マスクは、図示のように、プラスチックシートからなるマスク材210が、アルミ角パイプからなるマスク枠201の下面に貼り付けられている。このような印刷マスクのマスク枠201を再利用するために、マスク材210をマスク枠201から引き剥がす際には、樹脂よりも金属に対して良好は接着性を発揮する接着剤220のほぼ全量がアルミ製のマスク枠201に残る。残った接着剤220については、金属製のスクレーパーによって掻き取ることになるが、この掻き取りを自動化することが困難であるため、手作業で行わなければならず、大きな手間となっていた。また、掻き取り作業の際には、スクレーパーとマスク枠201との擦れによってかん高い金属音を発生させ、それが作業者の大きな精神的ストレスとなっていた。プラスチック製のマスク枠であっても、接着剤掻き取りの際に、精神的ストレスとなるかん高い音を発生させるおそれがある。
【0004】
一方、従来、特許文献2に記載のようなフラットバー固定方式の印刷マスクも知られている。この印刷マスクは、図2に示すように、マスク材210の周縁部を、接着剤によらずに、ネジ締めしたフラットバー225により、マスク枠201の外側面に固定している。接着剤を使用しないので、接着剤除去作業を省略することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる構成では、フラットバー225の取り付けが非常に困難であることから、実用的でないという問題があった。具体的には、所定のテンションをかけた状態でマスク材210をマスク枠201に固定するためには、図3に示すように、固定前のマスク材201を図示しないテンショナーによってマスク面方向に引っ張っておく必要がある。この状態では、マスク材201をマスク枠201の下面に密着させているが、固定対象となる外側面には密着させていないので、そのままではフラットバー225(図2参照)を取り付けることができない。このため、図4に示すように、テンショナーによる引っ張りの方向を枠外面に沿った方向に大きく転換させる必要がある。ところが、このように引っ張りの方向を自在に変化させ得るテンショナーは市場に出回っていないため、現状では、方向転換を手作業で行わなければならず、実用的ではなかったのである。
【0006】
なお、マスク材210をマスク枠201の外側面に固定するのではなく、図5に示すように、マスク枠201の下面に固定すれば、マスク材210の引っ張り方向を転換させる必要がなくなる。しかしながら、このようにすると、一般的なスクリーン印刷機に対応することができなくなってしまう。具体的には、市場に流通しているスクリーン印刷機は、特許文献1に記載のような、接着剤固定方式の印刷マスクの使用を前提として設計されている。印刷マスクは、図6に示すように、マスク枠201をスクリーン印刷機の印刷マスク載置面301の上に載置された状態で使用される。接着剤固定方式の印刷マスク200では、図示のように、マスク材210の下面と、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面301とが同じ高さレベルになる。スクリーン印刷機は、印刷マスク200の下方で被印刷体250を保持しているワーク台302を、図示の状態よりも上昇させることで、ワーク台302上の被印刷体250をマスク材210の下面に押し付ける。一方、接着材固定方式の印刷マスクの代わりに、図5に示した印刷マスク200をスクリーン印刷機にセットしたとする。すると、図7に示すように、フラットバー225の厚みに相当する段差dを、印刷マスク載置面301とマスク材210との間に設けることになる。この段差dは5mm程度の小さなものであるが、被印刷体250として、回路基板のような段差dよりも厚みの小さなものを用いると、それをマスク材210に密着させるためには、ワーク台302を印刷マスク載置面301よりも高いレベルまで上昇させる必要が生ずる。ところが、市場に流通しているスクリーン印刷機は、段差dを全く発生させない接着剤固定方式の印刷マスクの使用を前提として設計されているので、ワーク台302をそのようなレベルまで上昇させることができない。従って、図5に示した印刷マスク200を使用するためには、ワーク台302を印刷マスク載置面301よりも高いレベルまで上昇させ得る特殊な改造を施したスクリーン印刷機を用いる必要が生じ、新たな設備投資を強いられてしまう。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような印刷マスクを提供することである。即ち、マスク枠再利用時の接着剤除去作業をなくし、テンショナーによるマスク材の引っ張り方向を大きく転換させることなくマスク材をマスク枠に容易に固定し、且つ市場に流通している一般的なスクリーン印刷機に対応することができる印刷マスクである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シート状の基材、及びこれを厚み方向に貫通する複数の貫通孔からなる印刷パターン、を具備するマスク材と、前記マスク材の周縁部のうち、中央部を介して相対向する第1縁部、第2縁部をそれぞれ個別に固定するための第1枠部、第2枠部を具備し、且つスクリーン印刷機の印刷マスク載置面の上にセットされるマスク枠とを有し、前記マスク材の前記第1縁部を前記第1枠部における前記印刷マスク載置面との対向面に固定し、且つ前記マスク材の前記第2縁部を前記第2枠部における前記印刷マスク載置面との対向面に固定して、前記マスク材を前記第1枠部と前記第2枠部との間で張架した印刷マスクにおいて前記第1枠部の前記対向面における第2枠部側の端部あるいはその近傍と、前記第2枠部の前記対向面における第1枠部側の端部あるいはその近傍とにそれぞれ、前記対向面よりも前記印刷マスク載置面に向けて突出する突起部を設け、前記マスク材を前記第1枠部の突起部と前記第2枠部の突起部との間に架け渡して張架し、前記マスク材の前記第1縁部における、前記第1枠部の突起部との接触位置よりも外縁側の箇所を、板状部材によって前記第1枠部の前記対向面に押し付けて固定し、且つ、前記マスク材の前記第2縁部における、前記第2枠部の突起部との接触位置よりも外縁側の箇所を、板状部材によって前記第2枠部の前記対向面に押し付けて固定したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の印刷マスクにおいて、前記板状部材として、その厚みが、前記突起部の高さと同じものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の印刷マスクにおいて、前記突起部の側面と、前記マスク材を前記対向面に押し付けている前記板状部材の側面との間に隙間を設け、前記突起部の頂部で前記対向面に向けて折り曲げた前記第1縁部や前記第2縁部を、前記隙間にて前記板状部材と前記対向面との間の固定位置に向けて斜めに張ったことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの印刷マスクにおいて、前記マスク枠として、アルミ、繊維強化プラスチック、あるいはマグネシウム合金からなるものを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
これらの発明においては、マスク材を、接着剤によらずに、板状部材によってマスク枠の枠部(第1枠部や第2枠部)に押し付けて固定するので、マスク枠再利用時の接着剤除去作業を無くすことができる。
【0010】
また、マスク材を、図2(特許文献2)に記載のように板状部材によってマスク枠の外側面に押し付けて固定するのではなく、マスク枠における、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面(図2でマスク枠の下面に相当)に押し付けて固定する。その対向面は、マスク材の張架面に沿って延在しているので、テンショナーによるマスク材の引っ張り方向を大きく転換させなくても、板状部材をその対向面に押し付けることが可能である。よって、テンショナーによるマスク材の引っ張り方向を大きく転換させる作業を行うことなく、マスク材をマスク枠に容易に固定することができる。
【0011】
また、マスク材については、マスク枠(第1枠部や第2枠部)における、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面、と同じ高さレベルで張架するのではなく、その対向面よりも印刷マスク載置面側に突出している突起部の高さレベルで張架する。かかる構成において、突起部の高さ(対向面からの突出量)を適切に設定することで、印刷マスク載置面とマスク材の張架面との段差を殆どなくしたり、図7に示した段差dではなく、マスク材の張架面を印刷マスク載置面301よりも下方に位置させる逆の段差を形成したりすることが可能になる。段差を殆どなくしたり、逆の段差を形成したりすると、スクリーン印刷機のワーク台を印刷マスク載置面よりも上昇させることなく、ワーク台上の被印刷体をマスク材に密着させることが可能になるので、市場に流通している一般的なスクリーン印刷機に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】接着剤固定方式の印刷マスクを示す断面図。
【図2】引用文献2に記載の印刷マスクを示す断面図。
【図3】同印刷マスクを製造する際のマスク材張架工程を説明するための断面図。
【図4】同印刷マスクを製造する際のマスク材テンション方向転換を説明するための断面図。
【図5】マスク枠における、印刷機の印刷マスク載置面との対向面に、マスク材をフラットバーで固定した構成の印刷マスクを示す断面図。
【図6】スクリーン印刷機と、これの印刷マスク載置面にセットした接着剤固定方式の印刷マスクとを示す断面図。
【図7】スクリーン印刷機と、これの印刷マスク載置面にセットした図6の印刷マスクとを示す断面図。
【図8】実施形態に係る印刷マスクのマスク枠のベース枠部を示す斜視図。
【図9】実施形態に係る印刷マスクのマスク枠を示す斜視図。
【図10】実施形態に係る印刷マスクを示す斜視図。
【図11】同印刷マスクのx方向の断面を示す断面図。
【図12】同印刷マスクのx方向第1枠部の周囲を拡大して示す拡大断面図。
【図13】同印刷マスクを製造する際のマスク材固定工程を説明するための拡大断面図。
【図14】スクリーン印刷機とこれにセットされた同印刷マスクとを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した印刷マスクの一実施形態について説明する。
図8は、実施形態に係る印刷マスクのマスク枠のベース枠部2を示す斜視図である。同図においては、ベース枠部2を、図示しないスクリーン印刷機の印刷マスク載置面に対向する側から示している。このベース枠部2は、従来の接着剤固定方式の印刷マスクに用いられていたマスク枠とほぼ同様の構成になっている。4本のアルミ角パイプが額縁状に溶接されたものである。印刷マスク載置面との対向面に、後述する皿ネジを貫通させるための貫通穴Bが複数設けられている点だけが、従来の従来の接着剤固定方式の印刷マスクに用いられていたマスク枠と異なっている。
【0014】
額縁状のベース枠部2は、x方向第1枠部2a、x方向第2枠部2b、y方向第1枠部2c、及びy方向第2枠部2dという4つの枠部を有している。これらのうち、x方向第1枠部2aとx方向第2枠部2bとは、図中x方向に並んで互いに対向している。また、y方向第1枠部2cとy方向第2枠部2dとは、図中x方向に直行するy方向に並んで互いに対向している。
【0015】
図9は、実施形態に係る印刷マスクのマスク枠3を示す斜視図である。マスク枠3は、図8に示したベース枠部2の4つの枠部(2a,b,c,d)にそれぞれ、嵩上げ用のL字状部材4を固定したものである。このL字状部材4は、アルミ製のL型鋼が加工されたものである。横断面がL字状になっており、L字の短辺と長辺とのうち、長辺を枠部(2a,b,c,d)における図中上側の面に密着させつつ、短辺を同面よりも図中上方に向けて突出させる姿勢で溶接されている。なお、同図においては、便宜上、L字状部材4を固定している側を上方に向けた状態のマスク枠3を示しているが、スクリーン印刷機にセットされるときには、図の状態とは正反対の姿勢でスクリーン印刷機の印刷マスク載置面に載置される。つまり、4つの枠部(2a,b,c,d)の図中上側の面は、図示しないスクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面になっている。
【0016】
図10は、実施形態に係る印刷マスク1を示す斜視図である。同図においても、便宜上、L字状部材4を固定している側を上方に向けた状態の印刷マスク1を示しているが、スクリーン印刷機にセットされるときには、図の状態とは正反対の姿勢となる。印刷マスク1は、図9に示したマスク枠3、4つの板状部材5、マスク材10、皿ネジ6などから構成される。
【0017】
マスク材10は、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックからなるプラスチックシートを基材としており、この基材には図示しない複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成されている。印刷パターンは、エキシマレーザーの照射によるアブレーション加工によって形成されたものである。マスク材10の外縁に存在する4つの縁部は、ネジ止めされるフラットバー5により、マスク枠3のL字状部材4の図中上面に向けて押さえ付けられている。これにより、L字状部材4を介して、枠部(2a,b,c,d)における、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面(図中上側の面)に向けて押さえ付けられている。
【0018】
図11は、印刷マスク1のx方向の断面を示す断面図である。同図において、マスク材10のx方向における一方の縁部であるx方向第1縁部は、マスク枠3のx方向第1枠部2aにおける、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面である図中下側の面に、L字状部材4を介して固定されている。また、マスク材10のx方向におけるもう一方の縁部であるx方向第2縁部は、マスク枠3のx方向第2枠部2bにおける図中下側の面に、L字状部材4を介して固定されている。
【0019】
図12は、印刷マスク1のx方向第1枠部2aの周囲を拡大して示す拡大断面図である。x方向第1枠部2aの図中下側の面(印刷マスク載置面との対向面)においては、L字状部材4のL字の短辺が図示しない印刷マスク載置面に向けて突出する突起部Aを形成している。また、図11に示したように、x方向第1枠部2aとは反対側にあるx方向第2枠部2bにおいても、同様にしてL字状部材4の短辺が突起部を形成している。マスク材10は、x方向第1枠部2aの突起部とx方向第2枠部2bの突起部との間に架け渡されて張架されている。
【0020】
マスク材10の上記第1縁部における、x方向第1枠部2aの突起部との接触位置よりも外縁側の箇所は、板状部材としてのフラットバー5によってx方向第1枠部2aの図中下側の面に向けて押し付けられながら、同面に固定されている。また、マスク材10の上記第2縁部における、x方向第2枠部2bの突起部との接触位置よりも外縁側の箇所も、別のフラットバー5によってx方向第2枠部2bの図中下側の面に向けて押し付けられながら、同面に固定されている。
【0021】
以上の構成の印刷マスク1においては、マスク材10を、接着剤によらずに、フラットバー5によってマスク枠3の枠部(2a,b,c,d)に押し付けて固定するので、マスク枠再利用時の接着剤除去作業を無くすことができる。
【0022】
また、マスク材10を、マスク枠3における、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面(図中下側の面)に押し付けて固定している。その対向面は、マスク材10の張架面に沿って延在しているので、テンショナーによるマスク材10の引っ張り方向を大きく転換させなくても、図13に示すように、フラットバー5をその対向面に押し付けることが可能である。よって、テンショナーによるマスク材10の引っ張り方向を大きく転換させる作業を行うことなく、マスク材10をマスク枠3に容易に固定することができる。なお、複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成されたマスク材10をテンショナーによって引っ張りながらマスク枠3に固定する例について説明したが、次のようにしてもよい。即ち、印刷パターンを形成していない基材シートをマスク枠3に固定した後、その基材シートに印刷パターンを形成してもよい。
【0023】
また、実施形態に係る印刷マスク1においては、図11に示したように、マスク材10をマスク枠3における図中下側を向いている面よりも突出している突起部(図12のA)の間で張架している。
【0024】
印刷マスク1のx方向におけるマスク材10の張架姿勢について説明したが、y方向においても、同様にして、マスク材10をマスク枠3における図中下側を向いている面よりも突出している突起部の間で張架している。
【0025】
かかる構成では、突起部の突起部の高さを適切に設定することで、図14に示すように、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面301とマスク材10の張架面との段差をなくすことが可能である。これにより、被印刷体250として、回路基板のような非常に薄いものを用いたとしても、スクリーン印刷機のワーク台302を印刷マスク載置面301よりも上昇させることなく、ワーク台302上の被印刷体250をマスク材10に密着させることが可能になる。よって、市場に流通している一般的なスクリーン印刷機に対応することができる。
【0026】
なお、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面301とマスク材10の張架面との段差をなくす代わりに、張架面を印刷マスク載置面301よりも下方に位置させる逆方向の段差を設けても、動揺にして一般的なスクリーン印刷機に対応することができる。
【0027】
また、マスク枠3として、x方向、y方向のそれぞれについて、第1枠部と第2枠部とを設けたものを用いた例について説明したが、何れか一方の方向については第1枠部及び第2枠部を省略したものを採用してもよい。
【0028】
実施形態に係る印刷マスク1においては、フラットバー5として、L字状部材4の突起部Aの高さと同じ厚みのものを用いている。突起部Aの高さは、図12において、L字状部材4の下面と、突起部Aの頂部との段差である。フラットバー5の厚みを、その段差と同じ値にしているのである。フラットバー5は、L字状部材4の図中下側の面に対してマスク材10を介して密着しているので、その下面は図示のように突起部Aの頂部よりもマスク材10の厚みに相当する分だけ突き出す。一方、マスク材10の全域のうち、マスク枠3の相対向する2つの突起部の間で張架される箇所も、図示のように、突起部Aの頂部よりもマスク材10の厚みの分だけ下方に突出する。よって、マスク材10の張架箇所と、フラットバー5の下面との高さレベルを同じにして、前記段差を無くすことができる。
【0029】
段差を無くしたことで、従来の接着剤固定方式の印刷マスクと同様に、マスク材10の張架面と、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面301との高さレベルを同じにしているので、被印刷体250をマスク材10に密着させるためのワーク台302の昇降量が従来と全く同じになる。よって、ワーク台302の昇降制御プログラムとして、従来と全く同じものを用いることができる。
【0030】
先に図12に示したように、実施形態に係る印刷マスク1においては、突起部Aの側面と、マスク材10の縁部をx方向第1枠部2aに押し付けているフラットバー5の側面との間に隙間を設けている。そして、突起部Aの頂部でx方向第1枠部2aに向けて折り曲げたマスク材10の縁部を、前記隙間にてフラットバー5とx方向第1枠部2aとの間の固定位置に向けて斜めに張っている。かかる構成では、先に図13に示したように、突起部Aに引っ掛けられながらテンショナーによって引っ張っている状態のマスク材10の縁部に向けて、フラットバー5を押さえ付けるだけで、テンショナーの引っ張り方向を変化させたり、テンショナーによる引っ張り力を弱めたりすることなく、マスク材10の縁部を固定することができる。
【0031】
なお、マスク枠3としては、アルミからなるものの他、繊維強化プラスチック(FRPやCFRP)からなるものや、マグネシウム合金からなるものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0032】
A:突起部
2:ベース枠部
2a:x方向第1枠部(第1枠部)
2b:x方向第2枠部(第2枠部)
2c、y方向第1枠部(第1枠部)
2d:y方向第2枠部(第2枠部)
3:マスク枠
4:L字状部材
5:フラットバー(板状部材)
10:マスク材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開平9−232720号公報
【特許文献2】特開2005−81625号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の基材に複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成されたマスク材と、これを張架及び固定するためのマスク枠とを有する印刷マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、クリームはんだ、インク、接着剤、樹脂などの印刷材を被印刷体上に印刷するための印刷マスクとして、特許文献1に記載のような接着剤固定方式のものが知られている。この印刷マスクは、プラスチックシートに貫通孔からなる印刷パターンを形成した矩形状のマスク材と、これの周縁部を固定する額縁状のマスク枠とを有している。プラスチックからなるマスク材は、その周縁部がアルミ角パイプからなる額縁状のマスク枠に接着剤で貼り付けられることで、所定のテンションで張架されている。
【0003】
図1は、従来の接着剤固定方式の印刷マスクを示す断面図である。接着剤固定方式の印刷マスクは、図示のように、プラスチックシートからなるマスク材210が、アルミ角パイプからなるマスク枠201の下面に貼り付けられている。このような印刷マスクのマスク枠201を再利用するために、マスク材210をマスク枠201から引き剥がす際には、樹脂よりも金属に対して良好は接着性を発揮する接着剤220のほぼ全量がアルミ製のマスク枠201に残る。残った接着剤220については、金属製のスクレーパーによって掻き取ることになるが、この掻き取りを自動化することが困難であるため、手作業で行わなければならず、大きな手間となっていた。また、掻き取り作業の際には、スクレーパーとマスク枠201との擦れによってかん高い金属音を発生させ、それが作業者の大きな精神的ストレスとなっていた。プラスチック製のマスク枠であっても、接着剤掻き取りの際に、精神的ストレスとなるかん高い音を発生させるおそれがある。
【0004】
一方、従来、特許文献2に記載のようなフラットバー固定方式の印刷マスクも知られている。この印刷マスクは、図2に示すように、マスク材210の周縁部を、接着剤によらずに、ネジ締めしたフラットバー225により、マスク枠201の外側面に固定している。接着剤を使用しないので、接着剤除去作業を省略することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる構成では、フラットバー225の取り付けが非常に困難であることから、実用的でないという問題があった。具体的には、所定のテンションをかけた状態でマスク材210をマスク枠201に固定するためには、図3に示すように、固定前のマスク材201を図示しないテンショナーによってマスク面方向に引っ張っておく必要がある。この状態では、マスク材201をマスク枠201の下面に密着させているが、固定対象となる外側面には密着させていないので、そのままではフラットバー225(図2参照)を取り付けることができない。このため、図4に示すように、テンショナーによる引っ張りの方向を枠外面に沿った方向に大きく転換させる必要がある。ところが、このように引っ張りの方向を自在に変化させ得るテンショナーは市場に出回っていないため、現状では、方向転換を手作業で行わなければならず、実用的ではなかったのである。
【0006】
なお、マスク材210をマスク枠201の外側面に固定するのではなく、図5に示すように、マスク枠201の下面に固定すれば、マスク材210の引っ張り方向を転換させる必要がなくなる。しかしながら、このようにすると、一般的なスクリーン印刷機に対応することができなくなってしまう。具体的には、市場に流通しているスクリーン印刷機は、特許文献1に記載のような、接着剤固定方式の印刷マスクの使用を前提として設計されている。印刷マスクは、図6に示すように、マスク枠201をスクリーン印刷機の印刷マスク載置面301の上に載置された状態で使用される。接着剤固定方式の印刷マスク200では、図示のように、マスク材210の下面と、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面301とが同じ高さレベルになる。スクリーン印刷機は、印刷マスク200の下方で被印刷体250を保持しているワーク台302を、図示の状態よりも上昇させることで、ワーク台302上の被印刷体250をマスク材210の下面に押し付ける。一方、接着材固定方式の印刷マスクの代わりに、図5に示した印刷マスク200をスクリーン印刷機にセットしたとする。すると、図7に示すように、フラットバー225の厚みに相当する段差dを、印刷マスク載置面301とマスク材210との間に設けることになる。この段差dは5mm程度の小さなものであるが、被印刷体250として、回路基板のような段差dよりも厚みの小さなものを用いると、それをマスク材210に密着させるためには、ワーク台302を印刷マスク載置面301よりも高いレベルまで上昇させる必要が生ずる。ところが、市場に流通しているスクリーン印刷機は、段差dを全く発生させない接着剤固定方式の印刷マスクの使用を前提として設計されているので、ワーク台302をそのようなレベルまで上昇させることができない。従って、図5に示した印刷マスク200を使用するためには、ワーク台302を印刷マスク載置面301よりも高いレベルまで上昇させ得る特殊な改造を施したスクリーン印刷機を用いる必要が生じ、新たな設備投資を強いられてしまう。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような印刷マスクを提供することである。即ち、マスク枠再利用時の接着剤除去作業をなくし、テンショナーによるマスク材の引っ張り方向を大きく転換させることなくマスク材をマスク枠に容易に固定し、且つ市場に流通している一般的なスクリーン印刷機に対応することができる印刷マスクである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シート状の基材、及びこれを厚み方向に貫通する複数の貫通孔からなる印刷パターン、を具備するマスク材と、前記マスク材の周縁部のうち、中央部を介して相対向する第1縁部、第2縁部をそれぞれ個別に固定するための第1枠部、第2枠部を具備し、且つスクリーン印刷機の印刷マスク載置面の上にセットされるマスク枠とを有し、前記マスク材の前記第1縁部を前記第1枠部における前記印刷マスク載置面との対向面に固定し、且つ前記マスク材の前記第2縁部を前記第2枠部における前記印刷マスク載置面との対向面に固定して、前記マスク材を前記第1枠部と前記第2枠部との間で張架した印刷マスクにおいて前記第1枠部の前記対向面における第2枠部側の端部あるいはその近傍と、前記第2枠部の前記対向面における第1枠部側の端部あるいはその近傍とにそれぞれ、前記対向面よりも前記印刷マスク載置面に向けて突出する突起部を設け、前記マスク材を前記第1枠部の突起部と前記第2枠部の突起部との間に架け渡して張架し、前記マスク材の前記第1縁部における、前記第1枠部の突起部との接触位置よりも外縁側の箇所を、板状部材によって前記第1枠部の前記対向面に押し付けて固定し、且つ、前記マスク材の前記第2縁部における、前記第2枠部の突起部との接触位置よりも外縁側の箇所を、板状部材によって前記第2枠部の前記対向面に押し付けて固定したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の印刷マスクにおいて、前記板状部材として、その厚みが、前記突起部の高さと同じものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の印刷マスクにおいて、前記突起部の側面と、前記マスク材を前記対向面に押し付けている前記板状部材の側面との間に隙間を設け、前記突起部の頂部で前記対向面に向けて折り曲げた前記第1縁部や前記第2縁部を、前記隙間にて前記板状部材と前記対向面との間の固定位置に向けて斜めに張ったことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの印刷マスクにおいて、前記マスク枠として、アルミ、繊維強化プラスチック、あるいはマグネシウム合金からなるものを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
これらの発明においては、マスク材を、接着剤によらずに、板状部材によってマスク枠の枠部(第1枠部や第2枠部)に押し付けて固定するので、マスク枠再利用時の接着剤除去作業を無くすことができる。
【0010】
また、マスク材を、図2(特許文献2)に記載のように板状部材によってマスク枠の外側面に押し付けて固定するのではなく、マスク枠における、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面(図2でマスク枠の下面に相当)に押し付けて固定する。その対向面は、マスク材の張架面に沿って延在しているので、テンショナーによるマスク材の引っ張り方向を大きく転換させなくても、板状部材をその対向面に押し付けることが可能である。よって、テンショナーによるマスク材の引っ張り方向を大きく転換させる作業を行うことなく、マスク材をマスク枠に容易に固定することができる。
【0011】
また、マスク材については、マスク枠(第1枠部や第2枠部)における、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面、と同じ高さレベルで張架するのではなく、その対向面よりも印刷マスク載置面側に突出している突起部の高さレベルで張架する。かかる構成において、突起部の高さ(対向面からの突出量)を適切に設定することで、印刷マスク載置面とマスク材の張架面との段差を殆どなくしたり、図7に示した段差dではなく、マスク材の張架面を印刷マスク載置面301よりも下方に位置させる逆の段差を形成したりすることが可能になる。段差を殆どなくしたり、逆の段差を形成したりすると、スクリーン印刷機のワーク台を印刷マスク載置面よりも上昇させることなく、ワーク台上の被印刷体をマスク材に密着させることが可能になるので、市場に流通している一般的なスクリーン印刷機に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】接着剤固定方式の印刷マスクを示す断面図。
【図2】引用文献2に記載の印刷マスクを示す断面図。
【図3】同印刷マスクを製造する際のマスク材張架工程を説明するための断面図。
【図4】同印刷マスクを製造する際のマスク材テンション方向転換を説明するための断面図。
【図5】マスク枠における、印刷機の印刷マスク載置面との対向面に、マスク材をフラットバーで固定した構成の印刷マスクを示す断面図。
【図6】スクリーン印刷機と、これの印刷マスク載置面にセットした接着剤固定方式の印刷マスクとを示す断面図。
【図7】スクリーン印刷機と、これの印刷マスク載置面にセットした図6の印刷マスクとを示す断面図。
【図8】実施形態に係る印刷マスクのマスク枠のベース枠部を示す斜視図。
【図9】実施形態に係る印刷マスクのマスク枠を示す斜視図。
【図10】実施形態に係る印刷マスクを示す斜視図。
【図11】同印刷マスクのx方向の断面を示す断面図。
【図12】同印刷マスクのx方向第1枠部の周囲を拡大して示す拡大断面図。
【図13】同印刷マスクを製造する際のマスク材固定工程を説明するための拡大断面図。
【図14】スクリーン印刷機とこれにセットされた同印刷マスクとを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した印刷マスクの一実施形態について説明する。
図8は、実施形態に係る印刷マスクのマスク枠のベース枠部2を示す斜視図である。同図においては、ベース枠部2を、図示しないスクリーン印刷機の印刷マスク載置面に対向する側から示している。このベース枠部2は、従来の接着剤固定方式の印刷マスクに用いられていたマスク枠とほぼ同様の構成になっている。4本のアルミ角パイプが額縁状に溶接されたものである。印刷マスク載置面との対向面に、後述する皿ネジを貫通させるための貫通穴Bが複数設けられている点だけが、従来の従来の接着剤固定方式の印刷マスクに用いられていたマスク枠と異なっている。
【0014】
額縁状のベース枠部2は、x方向第1枠部2a、x方向第2枠部2b、y方向第1枠部2c、及びy方向第2枠部2dという4つの枠部を有している。これらのうち、x方向第1枠部2aとx方向第2枠部2bとは、図中x方向に並んで互いに対向している。また、y方向第1枠部2cとy方向第2枠部2dとは、図中x方向に直行するy方向に並んで互いに対向している。
【0015】
図9は、実施形態に係る印刷マスクのマスク枠3を示す斜視図である。マスク枠3は、図8に示したベース枠部2の4つの枠部(2a,b,c,d)にそれぞれ、嵩上げ用のL字状部材4を固定したものである。このL字状部材4は、アルミ製のL型鋼が加工されたものである。横断面がL字状になっており、L字の短辺と長辺とのうち、長辺を枠部(2a,b,c,d)における図中上側の面に密着させつつ、短辺を同面よりも図中上方に向けて突出させる姿勢で溶接されている。なお、同図においては、便宜上、L字状部材4を固定している側を上方に向けた状態のマスク枠3を示しているが、スクリーン印刷機にセットされるときには、図の状態とは正反対の姿勢でスクリーン印刷機の印刷マスク載置面に載置される。つまり、4つの枠部(2a,b,c,d)の図中上側の面は、図示しないスクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面になっている。
【0016】
図10は、実施形態に係る印刷マスク1を示す斜視図である。同図においても、便宜上、L字状部材4を固定している側を上方に向けた状態の印刷マスク1を示しているが、スクリーン印刷機にセットされるときには、図の状態とは正反対の姿勢となる。印刷マスク1は、図9に示したマスク枠3、4つの板状部材5、マスク材10、皿ネジ6などから構成される。
【0017】
マスク材10は、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックからなるプラスチックシートを基材としており、この基材には図示しない複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成されている。印刷パターンは、エキシマレーザーの照射によるアブレーション加工によって形成されたものである。マスク材10の外縁に存在する4つの縁部は、ネジ止めされるフラットバー5により、マスク枠3のL字状部材4の図中上面に向けて押さえ付けられている。これにより、L字状部材4を介して、枠部(2a,b,c,d)における、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面(図中上側の面)に向けて押さえ付けられている。
【0018】
図11は、印刷マスク1のx方向の断面を示す断面図である。同図において、マスク材10のx方向における一方の縁部であるx方向第1縁部は、マスク枠3のx方向第1枠部2aにおける、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面である図中下側の面に、L字状部材4を介して固定されている。また、マスク材10のx方向におけるもう一方の縁部であるx方向第2縁部は、マスク枠3のx方向第2枠部2bにおける図中下側の面に、L字状部材4を介して固定されている。
【0019】
図12は、印刷マスク1のx方向第1枠部2aの周囲を拡大して示す拡大断面図である。x方向第1枠部2aの図中下側の面(印刷マスク載置面との対向面)においては、L字状部材4のL字の短辺が図示しない印刷マスク載置面に向けて突出する突起部Aを形成している。また、図11に示したように、x方向第1枠部2aとは反対側にあるx方向第2枠部2bにおいても、同様にしてL字状部材4の短辺が突起部を形成している。マスク材10は、x方向第1枠部2aの突起部とx方向第2枠部2bの突起部との間に架け渡されて張架されている。
【0020】
マスク材10の上記第1縁部における、x方向第1枠部2aの突起部との接触位置よりも外縁側の箇所は、板状部材としてのフラットバー5によってx方向第1枠部2aの図中下側の面に向けて押し付けられながら、同面に固定されている。また、マスク材10の上記第2縁部における、x方向第2枠部2bの突起部との接触位置よりも外縁側の箇所も、別のフラットバー5によってx方向第2枠部2bの図中下側の面に向けて押し付けられながら、同面に固定されている。
【0021】
以上の構成の印刷マスク1においては、マスク材10を、接着剤によらずに、フラットバー5によってマスク枠3の枠部(2a,b,c,d)に押し付けて固定するので、マスク枠再利用時の接着剤除去作業を無くすことができる。
【0022】
また、マスク材10を、マスク枠3における、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面との対向面(図中下側の面)に押し付けて固定している。その対向面は、マスク材10の張架面に沿って延在しているので、テンショナーによるマスク材10の引っ張り方向を大きく転換させなくても、図13に示すように、フラットバー5をその対向面に押し付けることが可能である。よって、テンショナーによるマスク材10の引っ張り方向を大きく転換させる作業を行うことなく、マスク材10をマスク枠3に容易に固定することができる。なお、複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成されたマスク材10をテンショナーによって引っ張りながらマスク枠3に固定する例について説明したが、次のようにしてもよい。即ち、印刷パターンを形成していない基材シートをマスク枠3に固定した後、その基材シートに印刷パターンを形成してもよい。
【0023】
また、実施形態に係る印刷マスク1においては、図11に示したように、マスク材10をマスク枠3における図中下側を向いている面よりも突出している突起部(図12のA)の間で張架している。
【0024】
印刷マスク1のx方向におけるマスク材10の張架姿勢について説明したが、y方向においても、同様にして、マスク材10をマスク枠3における図中下側を向いている面よりも突出している突起部の間で張架している。
【0025】
かかる構成では、突起部の突起部の高さを適切に設定することで、図14に示すように、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面301とマスク材10の張架面との段差をなくすことが可能である。これにより、被印刷体250として、回路基板のような非常に薄いものを用いたとしても、スクリーン印刷機のワーク台302を印刷マスク載置面301よりも上昇させることなく、ワーク台302上の被印刷体250をマスク材10に密着させることが可能になる。よって、市場に流通している一般的なスクリーン印刷機に対応することができる。
【0026】
なお、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面301とマスク材10の張架面との段差をなくす代わりに、張架面を印刷マスク載置面301よりも下方に位置させる逆方向の段差を設けても、動揺にして一般的なスクリーン印刷機に対応することができる。
【0027】
また、マスク枠3として、x方向、y方向のそれぞれについて、第1枠部と第2枠部とを設けたものを用いた例について説明したが、何れか一方の方向については第1枠部及び第2枠部を省略したものを採用してもよい。
【0028】
実施形態に係る印刷マスク1においては、フラットバー5として、L字状部材4の突起部Aの高さと同じ厚みのものを用いている。突起部Aの高さは、図12において、L字状部材4の下面と、突起部Aの頂部との段差である。フラットバー5の厚みを、その段差と同じ値にしているのである。フラットバー5は、L字状部材4の図中下側の面に対してマスク材10を介して密着しているので、その下面は図示のように突起部Aの頂部よりもマスク材10の厚みに相当する分だけ突き出す。一方、マスク材10の全域のうち、マスク枠3の相対向する2つの突起部の間で張架される箇所も、図示のように、突起部Aの頂部よりもマスク材10の厚みの分だけ下方に突出する。よって、マスク材10の張架箇所と、フラットバー5の下面との高さレベルを同じにして、前記段差を無くすことができる。
【0029】
段差を無くしたことで、従来の接着剤固定方式の印刷マスクと同様に、マスク材10の張架面と、スクリーン印刷機の印刷マスク載置面301との高さレベルを同じにしているので、被印刷体250をマスク材10に密着させるためのワーク台302の昇降量が従来と全く同じになる。よって、ワーク台302の昇降制御プログラムとして、従来と全く同じものを用いることができる。
【0030】
先に図12に示したように、実施形態に係る印刷マスク1においては、突起部Aの側面と、マスク材10の縁部をx方向第1枠部2aに押し付けているフラットバー5の側面との間に隙間を設けている。そして、突起部Aの頂部でx方向第1枠部2aに向けて折り曲げたマスク材10の縁部を、前記隙間にてフラットバー5とx方向第1枠部2aとの間の固定位置に向けて斜めに張っている。かかる構成では、先に図13に示したように、突起部Aに引っ掛けられながらテンショナーによって引っ張っている状態のマスク材10の縁部に向けて、フラットバー5を押さえ付けるだけで、テンショナーの引っ張り方向を変化させたり、テンショナーによる引っ張り力を弱めたりすることなく、マスク材10の縁部を固定することができる。
【0031】
なお、マスク枠3としては、アルミからなるものの他、繊維強化プラスチック(FRPやCFRP)からなるものや、マグネシウム合金からなるものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0032】
A:突起部
2:ベース枠部
2a:x方向第1枠部(第1枠部)
2b:x方向第2枠部(第2枠部)
2c、y方向第1枠部(第1枠部)
2d:y方向第2枠部(第2枠部)
3:マスク枠
4:L字状部材
5:フラットバー(板状部材)
10:マスク材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開平9−232720号公報
【特許文献2】特開2005−81625号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基材、及びこれを厚み方向に貫通する複数の貫通孔からなる印刷パターン、を具備するマスク材と、
前記マスク材の周縁部のうち、中央部を介して相対向する第1縁部、第2縁部をそれぞれ個別に固定するための第1枠部、第2枠部を具備し、且つスクリーン印刷機の印刷マスク載置面の上にセットされるマスク枠とを有し、
前記マスク材の前記第1縁部を前記第1枠部における前記印刷マスク載置面との対向面に固定し、且つ前記マスク材の前記第2縁部を前記第2枠部における前記印刷マスク載置面との対向面に固定して、前記マスク材を前記第1枠部と前記第2枠部との間で張架した印刷マスクにおいて
前記第1枠部の前記対向面における第2枠部側の端部あるいはその近傍と、前記第2枠部の前記対向面における第1枠部側の端部あるいはその近傍とにそれぞれ、前記対向面よりも前記印刷マスク載置面に向けて突出する突起部を設け、
前記マスク材を前記第1枠部の突起部と前記第2枠部の突起部との間に架け渡して張架し、
前記マスク材の前記第1縁部における、前記第1枠部の突起部との接触位置よりも外縁側の箇所を、板状部材によって前記第1枠部の前記対向面に押し付けて固定し、
且つ、前記マスク材の前記第2縁部における、前記第2枠部の突起部との接触位置よりも外縁側の箇所を、板状部材によって前記第2枠部の前記対向面に押し付けて固定したことを特徴とする印刷マスク。
【請求項2】
請求項1の印刷マスクにおいて、
前記板状部材として、その厚みが、前記突起部の高さと同じものを用いたことを特徴とする印刷マスク。
【請求項3】
請求項1又は2の印刷マスクにおいて、
前記突起部の側面と、前記マスク材を前記対向面に押し付けている前記板状部材の側面との間に隙間を設け、前記突起部の頂部で前記対向面に向けて折り曲げた前記第1縁部や前記第2縁部を、前記隙間にて前記板状部材と前記対向面との間の固定位置に向けて斜めに張ったことを特徴とする印刷マスク。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの印刷マスクにおいて、
前記マスク枠として、アルミ、繊維強化プラスチック、あるいはマグネシウム合金からなるものを用いたことを特徴とする印刷マスク。
【請求項1】
シート状の基材、及びこれを厚み方向に貫通する複数の貫通孔からなる印刷パターン、を具備するマスク材と、
前記マスク材の周縁部のうち、中央部を介して相対向する第1縁部、第2縁部をそれぞれ個別に固定するための第1枠部、第2枠部を具備し、且つスクリーン印刷機の印刷マスク載置面の上にセットされるマスク枠とを有し、
前記マスク材の前記第1縁部を前記第1枠部における前記印刷マスク載置面との対向面に固定し、且つ前記マスク材の前記第2縁部を前記第2枠部における前記印刷マスク載置面との対向面に固定して、前記マスク材を前記第1枠部と前記第2枠部との間で張架した印刷マスクにおいて
前記第1枠部の前記対向面における第2枠部側の端部あるいはその近傍と、前記第2枠部の前記対向面における第1枠部側の端部あるいはその近傍とにそれぞれ、前記対向面よりも前記印刷マスク載置面に向けて突出する突起部を設け、
前記マスク材を前記第1枠部の突起部と前記第2枠部の突起部との間に架け渡して張架し、
前記マスク材の前記第1縁部における、前記第1枠部の突起部との接触位置よりも外縁側の箇所を、板状部材によって前記第1枠部の前記対向面に押し付けて固定し、
且つ、前記マスク材の前記第2縁部における、前記第2枠部の突起部との接触位置よりも外縁側の箇所を、板状部材によって前記第2枠部の前記対向面に押し付けて固定したことを特徴とする印刷マスク。
【請求項2】
請求項1の印刷マスクにおいて、
前記板状部材として、その厚みが、前記突起部の高さと同じものを用いたことを特徴とする印刷マスク。
【請求項3】
請求項1又は2の印刷マスクにおいて、
前記突起部の側面と、前記マスク材を前記対向面に押し付けている前記板状部材の側面との間に隙間を設け、前記突起部の頂部で前記対向面に向けて折り曲げた前記第1縁部や前記第2縁部を、前記隙間にて前記板状部材と前記対向面との間の固定位置に向けて斜めに張ったことを特徴とする印刷マスク。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの印刷マスクにおいて、
前記マスク枠として、アルミ、繊維強化プラスチック、あるいはマグネシウム合金からなるものを用いたことを特徴とする印刷マスク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−152712(P2011−152712A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15745(P2010−15745)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(593128172)リコーマイクロエレクトロニクス株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(593128172)リコーマイクロエレクトロニクス株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
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