説明

印刷体改ざん防止方法および印刷体改ざん防止装置

【課題】賞味期限の印刷に用いられている油性インキおよび揮発性インキによって、飲食料品等のインキ非浸透性の包装体に印刷された賞味期限等の印刷体が完全に消去されることを防止し、賞味期限等の印刷体の改ざんを安全かつ確実に防止する方法および装置を提供することを目的とする。
【解決手段】包装体1の表面にインキより印刷された印刷体2に対してスチームを噴射し印刷体2を加熱することにより包装体1に焼き付け固着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、食料品、飲料品のパッケージに印刷された賞味期限および消費期限等食料品、飲料品の安全性に関する情報の印刷体が消去、改ざんされることを防止する方法および装置に係り、特に、従来から賞味期限等の印刷に用いられている油性インキまたは揮発性インキにより印刷された賞味期限等の印刷体が溶剤により消去、改ざんされることを防止する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食料品等経口品の賞味期限および消費期限の表示は、その安全性、信頼性を知る上で重要な情報である。通常、食料品の生産者は、生産、製造した品物を包装した後、当該包装体の表面に印刷用のインクジェットプリンターまたは熱転写プリンターを用いてインキにより賞味期限を印刷した後に出荷する。しかしながら、上述のように印刷される賞味期限のようにその都度印刷内容が変わる印刷体は、あらかじめ包装体に印刷されている模様や文字と異なり、上述した方法で油性インキまたは揮発性インキで印刷後に自然乾燥または低温度で乾燥させるにとどまり包装体表面に軽く固着しているに過ぎない。したがって、生産者が正確な賞味期限を包装体に表示して出荷したにもかかわらず、出荷先において売れ残りの回避等を目的として当該賞味期限の表示を溶剤により消去し、新たな日付を表示する賞味期限の改ざん行為が行われることが懸念されている。このような改ざん行為は食品の安全性や消費者への信頼性を損なうこととなり、消費者および生産者に多大な損害を与える。
【0003】
実際に、プラスチック樹脂製のパッケージ、コーティングされた紙パッケージ、缶、瓶等インキが染みこみにくいインキ非浸透性素材からなる包装体に、従来から賞味期限の印刷に用いられている油性インキおよび揮発性インキにより賞味期限を印刷、自然乾燥した後に、アルコール系溶剤または石油系溶剤により拭き取りを行うと、印刷した賞味期限は跡形もなく消去されることがわかっている。
【0004】
尚、賞味期限の間違いを防止する方法およびシステムとして、特許文献1に開示された賞味期限の日付管理方法および賞味期限の日付管理システムがある。この従来技術は、各商品ごとに印刷された賞味期限をカメラ撮影し、マスタ情報と照合させるとともに画像データを保存する方法およびシステムである。
【特許文献1】特開2007−156579号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された日付管理方法および賞味期限の日付管理システムによれば、各商品に対して識別子を付与するとともに印刷された賞味期限をカメラ撮影し、商品個体ごとにマスタ情報と照合させるとともに画像データ保存することにより、間接的に賞味期限の間違いや改ざんを防止するものである。しかしながら、このシステムによれば保存された画像データから改ざんがあった事実を知ることは可能であるが、インキを消去して新たな賞味期限を印刷するといった賞味期限の改ざん行為そのものを防止することはできない。また、統括的なシステムにより賞味期限を管理するため管理コストがかかるという問題がある。
【0006】
また、アルコール系溶剤または石油系溶剤からなる溶剤に対して溶解しにくい固着力に優れた金属インキ、紫外線照射によりインキを定着させるUV印刷といった手法はあるが、これらは食料品や飲料品のパッケージ印刷には安全性等の観点から適さないという問題がある。
【0007】
そこで、本願発明は、従来から賞味期限の印刷に用いられている油性インキおよび揮発性インキによって、飲食料品等のインキ非浸透性の包装体に印刷された賞味期限等の印刷体が完全に消去されることを防止し、賞味期限等の印刷体の改ざんを安全かつ確実に防止する方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、インキを用いて印刷された包装体表面の印刷体に対してスチームを噴射し前記印刷体を加熱することにより前記包装体に焼き付け固着させることを特徴とする。
【0009】
印刷体は、飲食料品の賞味期限、消費期限、日付管理方法等の飲食料品の安全性に関する情報であって飲食料品の包装後に印刷する印字体であることを特徴とする。
【0010】
印刷体に対して噴射するスチームは、95℃〜100℃であることを特徴とする。
【0011】
包装体における印刷体の表示面と前記表示面の裏面に対してスチームを同時に噴射することを特徴とする。
【0012】
包装体は、インキ非浸透性材料からなり、前記包装体に印刷体を印刷するインキは、オイル系溶剤を含有する油性インキまたは揮発性溶剤を含有する揮発性インキであることを特徴とする。
【0013】
スチームノズルを備えてなる蒸気発生装置を有し、前記スチームノズルのスチーム出口部に位置する包装体の表面にインキより印刷された印刷体に対して、前記スチーム出口部からスチームを噴射し前記印刷体を加熱することにより前記包装体に焼き付け固着することを特徴とする印刷体改ざん防止装置としたことを特徴とする。
【0014】
蒸気発生装置は、間隔をおいて相対向するスチーム出口部を有し、前記相対向するスチーム出口部の間に位置する包装体の印刷体の表示面と前記表示面の裏面に対して同時にスチームを噴射し前記印刷体を加熱することにより前記包装体に焼き付け固着することを特徴とする印刷体改ざん防止装置としたことを特徴とする。
【0015】
包装体をスチーム出口部へと搬送するコンベヤーを備え、相対向するスチーム出口部が前記コンベヤーの包装体載置台を挟んで上下に位置するとともに、前記コンベヤーの包装体載置台はスチームを透過させる構造とし、前記包装体載置台上に載置された包装体の印刷体の表示面と前記表示面の裏面に対して同時にスチームを噴射することにより前記印刷体を前記包装体に焼き付け固着することを特徴とする印刷体改ざん防止装置としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、インキを用いて印刷された包装体表面の印刷体に対してスチームを噴射し前記印刷体を加熱することにより前記包装体に焼き付け固着させることで、出荷後にアルコール系溶剤または石油系溶剤等の溶剤で賞味期限等の印刷体を拭き取ろうとしても、焼付現象により固着した印刷体が残存し、賞味期限を完全に消去することができない。したがって、出荷後の賞味期限等の印刷体の消去および改ざんを防止することができる。また、加熱にスチームを用いることで瞬時に加熱を行うことができるとともに、印刷体が印刷されている表示部のみを局所的に加熱することができ、包装体に包装されている食品の品質に影響を与えることがない。
【0017】
印刷体は、飲食料品の賞味期限、消費期限、日付管理方法等の飲食料品の安全性に関する情報であって飲食料品の包装後に印刷する印字体であることにより、あらかじめ包装体に印刷されている模様や文字と異なり、油性インキまたは揮発性インキで印刷後に自然乾燥または低温度で乾燥させるにとどまり包装体に軽く固着しているに過ぎない当該印刷体に、上述した本発明の方法を用いることで印刷体を包装体に焼き付け固着させることが可能で、出荷後の賞味期限等の印刷体の消去および改ざんを防止することができる。
【0018】
印刷体に噴射するスチームは、95℃〜100℃とすることで、印刷体の焼き付け固着を瞬時かつ確実に行うことができる。また、当該温度のスチームを噴射することにより包装体および包装された飲食料品等の内容物を痛めることもない。
【0019】
包装体における印刷体の表示面と前記表示面の裏面にスチームを同時に噴射することにより、加熱により包装体が変形、湾曲することを防止することが可能である。特にプラスチック樹脂シートからなる包装体においては、両面から同温度、同圧力のスチームを噴射することで包装体の片面への湾曲を防ぐことが可能である。
【0020】
包装体は、インキ非浸透性材料からなり、前記包装体に印刷体を印刷するインキは、オイル系溶剤を含有する油性インキまたは揮発性溶剤を含有する揮発性インキであることにより、従来からプラスチック樹脂、コーティングされた紙、ガラス、金属等、インキが浸透しない非浸透性材料に賞味期限を印刷するのに用いられているインキを、そのまま使用して印刷しても本発明の印刷体改ざん防止方法を施すことで、印刷体の消去および改ざんを防止することができる。
【0021】
スチームノズルを備えてなる蒸気発生装置を有し、前記スチームノズルのスチーム出口部に位置する包装体の表面にインキより印刷された印刷体に対して、前記スチーム出口部からスチームを噴射し前記印刷体を加熱することにより前記包装体に焼き付け固着することを特徴とする印刷体改ざん防止装置としたことにより、高温度のスチームによる加熱を安全に行うことができる。またスチームノズルからスチームを噴射することで、印刷体のみを局所的に加熱することができ、包装体に包装された食品等内容物の品質に影響を与えることがない。したがって、本発明の印刷体改ざん防止方法を安全かつ確実に施すことができる。
【0022】
蒸気発生装置は、間隔をおいて相対向するスチーム出口部を有し、前記相対向するスチーム出口部の間に位置する包装体の印刷体の表示面と前記表示面の裏面に対して同時にスチームを噴射し前記印刷体を加熱することにより前記包装体に焼き付け固着することを特徴とする印刷体改ざん防止装置としたことにより、包装体を表裏から同時に加熱することが可能で、一方方向からの加熱により包装体が変形、湾曲することを防止することが可能である。特にプラスチックシートからなる包装体においては、表示面からのみスチーム噴射加熱を行うとシートが片面へ湾曲する傾向にあるので、印刷体の表示面およびその裏面から同温度、同圧力のスチームを噴射することで包装体の湾曲を防げることが顕著である。
【0023】
包装体をスチーム出口部へと搬送するコンベヤーを備え、相対向するスチーム出口部が前記コンベヤーの包装体載置台を挟んで上下に位置するとともに、前記コンベヤーの包装体載置台はスチームを透過させる構造とし、前記包装体載置台上に載置された包装体の印刷体の表示面と前記表示面の裏面に対して同時にスチームを噴射することにより前記印刷体を前記包装体に焼き付け固着することを特徴とする印刷体改ざん防止装置としたことにより、食品の包装、賞味期限の印刷、賞味期限の焼き付け固着という一連の作業を自動で行うことができるので生産効率がよく、自動的に包装体をスチーム出口部へと搬送するので高温度のスチームによる加熱を安全に行うことができる。また、包装体載置台をスチームが透過する構造としたことにより、包装体をコンベヤーで搬送しながら印刷体の表示面と前記表示面の裏面に対して同時にスチームを噴射し加熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1乃至図3は本発明の印刷体改ざん防止方法を実施するための装置、図4乃至図9は食品(本実施の形態においては、ハム)が包装された包装体である。
【0025】
本発明の第一の実施の形態にかかる印刷体改ざん防止方法を詳細に説明する。図4に示すように、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等のインキ非浸透性のプラスチック樹脂シートからなる包装体1に食品3を密封包装した後、包装体1の表面に設けられた表示部12に、油性インキまたは揮発性インキにより、印刷体2としての賞味期限が印刷されている。印刷体2を印刷するインキは従来より賞味期限の印刷に用いられているインキであって、油性インキは常温では揮発しない溶剤を含有し、脂肪族炭化水素、グリコールエーテル、アルコール等をベースとしこれに顔料または染料を溶解させたものが用いられることが多く、揮発性インキは、常温で揮発する溶剤を含有し、メチルエチルケトン、エタノール、アセトン等をベースとしこれに顔料または染料を溶解させたものが用いられることが多く、これらのインキをインクジェットプリンターまたは感熱プリンターにより印刷している。
【0026】
本発明の第一の実施の形態にかかる方法は、この包装体1の表示部12にスチームを噴射して印刷体2を瞬時に加熱することによりインキにより印刷された印刷体2が包装体1の表示部12に焼き付けられてしっかりと接着し、溶剤によって拭き取っても跡形もなく消去されることがない程度に表示部12に固着させるものである。このときの印刷体2に対して噴射するスチームの温度は95℃〜100℃が好適であり、インキの焼き付け固着に適すとともに、包装体1および食品3を痛めることがない。尚、包装体1の材質が高温に耐え得るものであれば、スチームの温度は100℃以上であってもよい。
【0027】
本実施の形態にかかる方法において包装体1は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等のインキ非浸透性のプラスチック樹脂シートからなるが、ガラス、金属、コーティングされた紙等のインキが浸透しない非浸透性材料からなる包装体に応用することが可能である。これらの材質の包装体は、インキが浸透しないので印刷体の固着が弱く、アルコール系溶剤または石油系溶剤で印刷体を拭き取ると消去、改ざんされやすかったが、本発明の方法によれば印刷体の焼付現象により拭き取り後も印刷体が残存するので賞味期限の消去、改ざんを防止できる。また、インキの溶剤の種類は上述した物質に限られるものではない。さらに、本実施の形態の方法においては、食品をプラスチック樹脂シートからなる包装体1に包装したものを例にとったが、包装体1の形状、材質はこれに限定されず、内容物も食品に限定されるものではない。また、内容物たる食品を包装体に包装した後に、スチームを噴射して加熱しているが、食品包装前の包装体に本発明の方法にかかる印刷体改ざん防止方法を施してもよい。
【0028】
実際に図4および図5に示す包装体1の表示部12に印刷された印刷体2を自然乾燥させた後エタノール液で拭き取ったところ、印刷体2は図6および図7に示すように跡形もなく消去された。一方、図4および図5に示す包装体1の表示部12に印刷された印刷体2に本発明の印刷体改ざん防止方法によりスチームを噴射し加熱した後、印刷体2をエタノール液により拭き取ったところ、図8及び図9に示すように印刷体2は若干薄くなるものの焼付現象により包装体1にしっかり固着した印刷体2は残存し、印刷体2を完全に消去することはできなかった。尚、ヒーターやドライヤーによる乾熱でも同様に焼付現象を得ることはできるが、インキを用いて印刷された印刷体2がしっかりと固着するほどに加熱するには、長時間を要する。よって、包装された食品3を長時間加熱することとなりその品質を低下させる恐れがあるとともに、量産性の面からも好ましくなく、本発明のようなスチームによる瞬時の加熱ほどの効果を得ることができない。
【0029】
本発明の実施の形態に係る第二の方法は、印刷体2が印刷された表示部12側と、その裏面13側から同時にスチームを噴射して加熱することによりインキにより印刷された印刷体2が包装体1の表示部12に焼き付けられてしっかりと接着し、溶剤によって拭き取っても跡形もなく消去されることがない程度に表示部12に固着させるものである。この方法によれば、包装体1の片面への変形、湾曲を防止できる。このとき表示部12とその裏面13から噴射するスチームの温度および圧力は同じであることが望ましい。
【0030】
次に、本発明の印刷体改ざん防止方法を実施するための装置について詳細に説明する。図1に示す第一の実施の形態にかかる印刷体改ざん防止装置4は、外部ボイラーから蒸気供給する方式の蒸気発生装置41からなり、包装体1を搬送するための手段としてコンベヤー6を用いている。蒸気発生装置41は、スチーム出口部421、431が相対向するように配設され良質の蒸気を噴射するスチームノズル42、43と、不図示の蒸気ボイラーから導入した蒸気を圧力調節する圧力調節器からなり、圧力調節器のスチーム入口44から入った蒸気は蒸気配管を通り、例えばドレンになると弁が開く機構のトラップ52により蒸気部とドレン部に分けられドレン排出されるとともに、例えば微細メッシュ構造のストレーナー45で不純物除去された後、温度調節器51を配設した制御盤5に通じて調節可能な電磁弁46および減圧弁47、温度計48を通って、気水分離用タンク49へと入り、気水分離の後、スチームを気水分離タンク49に通じるスチームノズル42、43の先端部に2〜3cmに開口されたスチーム出口部421、431から噴射するとともに、ドレンは排出口54より排出する。このときスチーム出口部421、431から印刷体2に対して噴射するスチームの温度は95℃〜100℃が好適である。尚、スチーム出口部421、431から印刷体2に対して噴射するスチームの温度は100℃以上であってもよく、この場合は圧力を調節することによりスチームの温度および圧力を調節する。また、スチーム出口部は包装体1の片面からスチーム噴出するべく一個所のみ配設してもよい。また、相対向するスチーム出口部421、431の対向距離を調節可能としてもよく、スチーム噴射時には、スチーム出口部421、431はスチーム噴射をする包装体1にできるだけ近接させたほうがよい。また、電磁弁47の替わりに自動弁を配設してもよいし、温度計48の替わりに圧力計を配設してもよい。
【0031】
一方、包装体搬送手段としてのコンベヤー6は、蒸気発生装置41の相対向するスチーム出口部421、431間を包装体載置台61が通過するように設置され、包装体1を順次スチーム出口部421、431の間へと搬送し、スチーム出口部421、431から噴出されるスチームを印刷体2が印刷された表示部12およびその裏面13に噴射可能な位置に位置させる。コンベヤー6の包装体載置台61は、例えばメッシュ構造のようにスチームを透過するようになっている。
【0032】
図2に示す模式図により、印刷体改ざん防止装置4によりスチームを噴射する動作を説明する。コンベヤー6の包装体載置台61載置され搬送される包装体1の表示部12がスチーム出口部421、431間に到達するとスチーム出口部421、431からはスチームを表示部12およびその裏面13に対して噴射し瞬時に加熱を行い、印刷体2を表示部12に焼き付け固着させる。尚、コンベヤー6は同スピードで稼働させてもよいし、表示部12がスチーム出口部421、431に到達したときに数秒停止させ、このときスチームを噴射するようにしてもよい。
【0033】
図3に示す第二の実施の形態にかかる印刷体改ざん防止装置7は、電気で蒸気を発生させる方式の蒸気発生装置71からなり、包装体1を搬送するための手段としてコンベヤー9を用いている。蒸気発生装置71は、スチーム出口部721、731が相対向するように配設され良質の蒸気を噴射するスチームノズル72、73と、蒸気発生器74を備えている。蒸気発生器74内に吸水口75から注入された水は、制御盤81の温度調節器82と電源83に接続された電熱ヒーター76により加熱され、スチームを発生させる。発生したスチームは、蒸気発生器74に通じるスチームノズル72、73の先端部に2〜3cmに開口されたスチーム出口部721、731から噴射されるとともに、ドレンは排出口78より排出される。このときスチーム出口部721、731から印刷体2に対して噴射するスチームの温度は95℃〜100℃が好適であるが、スチーム出口部721、731から印刷体2に対して噴射するスチームの温度は100℃以上であってもよく、この場合は温度調節器82によりスチームの温度を調節可能になっている。また、スチーム出口部は包装体1の片面からスチーム噴出するべく一個所のみ配設してもよい。また、相対向するスチーム出口部721、731の対向距離を調節可能としてもよく、スチーム噴射時には、スチーム出口部421、431はスチーム噴射をする包装体1にできるだけ近接させたほうがよい。尚、スチーム発生器76内には、水面計77を配設し水位が低い状態で燃焼を行わないようにしている。また、制御盤81のON・OFFスイッチにより蒸気発生装置71の運転状態を切り替え可能になっている。
【0034】
一方、包装体搬送手段としてのコンベヤー9は、蒸気発生装置71の相対向するスチーム出口部721、731間を包装体載置台91が通過するように設置され、包装体1を順次スチーム出口部721、731の間へと搬送し、スチーム出口部721、731から噴出されるスチームを印刷体2が印刷された表示部12およびその裏面13に噴射可能な位置に位置させる。コンベヤー9の包装体載置台91は、例えば表示部12に合致するように孔部を設けスチームを透過するようになっている。
【0035】
本発明の実施の形態に示す印刷体改ざん防止装置においては、包装体搬送手段としてベルト式のコンベヤーを用いているが、包装体をスチーム出口部に位置させる手段は上述したコンベヤーに限られるものではなく、手持ちで位置させてもよいし、フォークリフト式にしてもよいし、ロボット搬送してもよい。
【0036】
本発明の実施の形態に示す蒸気発生装置は、ボイラーから蒸気供給する方式の蒸気発生装置と、電気で蒸気を発生させる方式の蒸気発生装置という蒸気発生装置の典型的なものを示したが、蒸気発生装置の方式、構造はこれに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の印刷体改ざん防止方法を実施するための印刷体改ざん防止装置。
【図2】図1に示す印刷体改ざん防止装置の模式図。
【図3】本発明の印刷体改ざん防止方法を実施するための印刷体改ざん防止装置。
【図4】印刷体を印刷した包装体の斜視図。
【図5】図4に示す包装体の表示部の拡大図。
【図6】本発明の印字改ざん方法を施さずに印刷体をエタノール液により拭き取った状態の包装体の斜視図。
【図7】図6に示す包装体の表示部の拡大図。
【図8】本発明の印字改ざん方法を施した後に印刷体をエタノール液により拭き取った状態の放送体の斜視図。
【図9】図8に示す包装体の表示部の拡大図。
【符号の説明】
【0038】
1 包装体
12 表示部
13 表示部裏面
2 印刷体
3 食品
4 印刷体改ざん防止装置
41 蒸気発生装置
42 スチームノズル
421スチーム出口部
43 スチームノズル
431スチーム出口部
44 スチーム入口
45 ストレーナー
46 電磁弁
47 減圧弁
48 温度計
49 気水分離用タンク
5 制御盤
51 温度調節器
52 トラップ
53 センサ
54 排出口
6 コンベヤー
61 包装体載置台
7 印刷体改ざん防止装置
71 蒸気発生装置
72 スチームノズル
721スチーム出口部
73 スチームノズル
731スチーム出口部
74 蒸気発生器
75 給水口
76 電熱ヒーター
77 水面計
78 排出口
81 制御盤
81 温度調節器
9 コンベヤー
91 包装体載置台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インキを用いて印刷された包装体表面の印刷体に対してスチームを噴射し前記印刷体を加熱することにより前記包装体に焼き付け固着させることを特徴とする印刷体改ざん防止方法。
【請求項2】
印刷体は、飲食料品の賞味期限、消費期限、日付管理方法等の飲食料品の安全性に関する情報であって飲食料品の包装後に印刷する印字体であることを特徴とする請求項1記載の印刷体改ざん防止方法。
【請求項3】
印刷体に対して噴射するスチームの温度は、95℃〜100℃であることを特徴とする請求項1または2記載の印刷体改ざん防止方法。
【請求項4】
包装体における印刷体の表示面と前記表示面の裏面に対してスチームを同時に噴射することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の印刷体改ざん防止方法。
【請求項5】
包装体は、インキ非浸透性材料からなり、前記包装体に印刷体を印刷するインキは、オイル系溶剤を含有する油性インキまたは揮発性溶剤を含有する揮発性インキであることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の印刷体改ざん防止方法。
【請求項6】
スチームノズルを備えてなる蒸気発生装置を有し、前記スチームノズルのスチーム出口部に位置する包装体の表面にインキより印刷された印刷体に対して、前記スチーム出口部からスチームを噴射し前記印刷体を加熱することにより前記包装体に焼き付け固着することを特徴とする印刷体改ざん防止装置。
【請求項7】
蒸気発生装置は、間隔をおいて相対向するスチーム出口部を有し、前記相対向するスチーム出口部の間に位置する包装体の印刷体の表示面と前記表示面の裏面に対して同時にスチームを噴射し前記印刷体を加熱することにより前記包装体に焼き付け固着することを特徴とする請求項6記載の印刷体改ざん防止装置。
【請求項8】
包装体をスチーム出口部へと搬送するコンベヤーを備え、相対向するスチーム出口部が前記コンベヤーの包装体載置台を挟んで上下に位置するとともに、前記コンベヤーの包装体載置台はスチームを透過させる構造とし、前記包装体載置台上に載置された包装体の印刷体の表示面と前記表示面の裏面に対して同時にスチームを噴射することにより前記印刷体を前記包装体に焼き付け固着することを特徴とする請求項7記載の印刷体改ざん防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−143584(P2009−143584A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320646(P2007−320646)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(507407696)
【出願人】(507407179)
【Fターム(参考)】