印刷処理システム
【課題】システムの煩雑化や高コスト化を招くことなく、印刷ができなくなる事態を確実に回避して安定した運用が可能となるようにする。
【解決手段】クライアントPC2で生成した印刷データを蓄積サーバ4に一旦蓄積した上で、複合機1でのユーザの操作に応じて複合機が蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行う印刷処理システムにおいて、蓄積サーバを、クライアントPCの配置状態に応じて複数設けると共に、管理下の全てのクライアントPCからの印刷データを受け付ける受付サーバ6を設け、この受付サーバでは、クライアントPCからの印刷データを受信すると、蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに印刷データを送信して蓄積させる。
【解決手段】クライアントPC2で生成した印刷データを蓄積サーバ4に一旦蓄積した上で、複合機1でのユーザの操作に応じて複合機が蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行う印刷処理システムにおいて、蓄積サーバを、クライアントPCの配置状態に応じて複数設けると共に、管理下の全てのクライアントPCからの印刷データを受け付ける受付サーバ6を設け、この受付サーバでは、クライアントPCからの印刷データを受信すると、蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに印刷データを送信して蓄積させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスにおいてユーザ用の情報処理装置(PC)と印刷装置(複合機など)とをネットワーク接続して複数のユーザで印刷装置を共用するネットワーク印刷システムが広く普及している。特に経費の節減や印刷文書のセキュリティの確保を図ることを目的として、ユーザ用の情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバ(プリントサーバ)に一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザ認証が成功した場合にのみ、ユーザが指定する文書の印刷データを蓄積サーバから印刷装置が取得して印刷を行う蓄積印刷方式の印刷処理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の印刷処理システムでは、印刷装置の使用をユーザごとに管理する機能が必要となり、またユーザ数が多く、1つの蓄積サーバでの処理が困難な場合には、印刷データを複数の蓄積サーバに分散して蓄積して、その蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理するために、管理サーバを蓄積サーバとは別に設けることになる。
【特許文献1】特開2006−99714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、前記の特許文献1に開示された従来の技術では、ユーザ用の情報処理装置から印刷データを蓄積サーバに送る一方で、印刷データの管理に必要となる書誌情報を含むデータを、ユーザ用の情報処理装置から印刷管理サーバに送るようにしているため、ユーザ用の情報処理装置では、蓄積サーバ及び管理サーバの2つのサーバにデータを送る手段が必要になり、ユーザ用の情報処理装置の構成が複雑になるという問題がある。また、印刷データと書誌情報を含むデータとを別々に送信するため、蓄積サーバでの蓄積内容と管理サーバでの管理内容との間で食い違いが発生しないように、2つのサーバ間でのデータ整合を図る手段が必要となり、処理が煩雑化する等の問題もある。
【0005】
さらに、印刷データに対応する書誌情報が蓄積サーバに送られないと、蓄積サーバにおいて、印刷データの送信元であるユーザに対する利用制限を行うことができず、蓄積サーバでは印刷データを無制限に蓄積することになり、悪意であるいは誤操作により大量の印刷データが送られてきた場合に、蓄積サーバで容易にオーバーフローが発生して印刷不能となる事態を招く恐れがある。
【0006】
また、蓄積印刷方式の印刷処理システムにおいては、ユーザ用の情報処理装置の各々に1台の蓄積サーバが予め割り当てられ、ユーザ用の情報処理装置で印刷を指示すると、その蓄積サーバに印刷データが送られて蓄積されるようになっている。このため、蓄積サーバがダウンすると、その蓄積サーバが割り当てられたユーザ用の情報処理装置では、蓄積サーバが復旧するまで印刷ができなくなる事態となり、利便性が大きく損なわれるという問題が生じる。
【0007】
一方、このような問題を回避するために、蓄積サーバの各々にバックアップシステムを設けることが考えられるが、大規模なシステムで蓄積サーバの設置数が多い場合には、バックアップ用の蓄積サーバの設置数も多くなり、システムが煩雑化すると共にコストが嵩むという問題が生じる。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、蓄積印刷方式の印刷処理システムにおいて、ユーザ用の情報処理装置の構成の簡素化、及び印刷データの蓄積及び管理をそれぞれ行う2つのサーバでの処理の簡素化を図ることができ、さらにシステムの煩雑化や高コスト化を招くことなく、印刷ができなくなる事態を確実に回避して安定した運用が可能となるように構成された印刷処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の印刷処理システムは、ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が前記蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムにおいて、前記蓄積サーバを、前記情報処理装置の配置状態に応じて複数設けると共に、管理下の全ての前記情報処理装置からの印刷データを受け付ける受付サーバを設け、前記受付サーバは、前記情報処理装置からの前記印刷データを受信すると、前記蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに前記印刷データを送信し、前記蓄積サーバは、前記受付サーバからの前記印刷データを受信すると、その印刷データを自装置に蓄積すると共に、前記印刷データ中の書誌情報を前記管理サーバに転送し、前記管理サーバは、前記蓄積サーバから取得した書誌情報に基づいて前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理する構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザ用の情報処理装置において印刷データを受付サーバに送れば済むため、ユーザ用の情報処理装置の構成を簡素化することができる。また書誌情報が蓄積サーバを介して管理サーバに送られるため、蓄積サーバと管理サーバとの間でデータ整合を図る必要がなく、蓄積サーバ及び管理サーバでの処理を簡素化することができる。
【0011】
さらに、印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択してその蓄積サーバに印刷データが送信されて蓄積されるため、蓄積サーバのバックアップシステムを設けずとも、蓄積サーバの事情により印刷ができなくなる事態を確実に避けることができ、システムの煩雑化や高コスト化を招くことなく、安定したシステムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が前記蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムにおいて、前記蓄積サーバを、前記情報処理装置の配置状態に応じて複数設けると共に、管理下の全ての前記情報処理装置からの印刷データを受け付ける受付サーバを設け、前記受付サーバは、前記情報処理装置からの前記印刷データを受信すると、前記蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに前記印刷データを送信し、前記蓄積サーバは、前記受付サーバからの前記印刷データを受信すると、その印刷データを自装置に蓄積すると共に、前記印刷データ中の書誌情報を前記管理サーバに転送し、前記管理サーバは、前記蓄積サーバから取得した書誌情報に基づいて前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理する構成とする。
【0013】
これによると、ユーザ用の情報処理装置において印刷データを受付サーバに送れば済むため、ユーザ用の情報処理装置の構成を簡素化することができる。また書誌情報が蓄積サーバを介して管理サーバに送られるため、蓄積サーバと管理サーバとの間でデータ整合を図る必要がなく、蓄積サーバ及び管理サーバでの処理を簡素化することができる。
【0014】
さらに、印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択してその蓄積サーバに印刷データが送信されて蓄積されるため、蓄積サーバのバックアップシステムを設けずとも、蓄積サーバの事情により印刷ができなくなる事態を確実に避けることができ、システムの煩雑化や高コスト化を招くことなく、安定したシステムを構築することができる。
【0015】
この場合、印刷データは、印刷実データと書誌情報とを含むものであり、印刷実データに書誌情報を付加して印刷データとする、例えば印刷データのファイルに印刷実データと書誌情報とをまとめて格納して送るようにすれば、送信処理の簡素化を図る上で都合が良いが、印刷実データと書誌情報とを別々に送ることも可能である。なお、印刷実データに書誌情報を付加した印刷データの場合、蓄積サーバで印刷データから書誌情報を抽出する処理が必要になる。
【0016】
ここで、印刷実データとは、文書の具体的内容を印刷装置で解釈可能なページ記述言語で記載したものであり、これに基づいて印刷装置で文書の印刷が行われる。また書誌情報とは、ユーザの識別情報、文書名、日時、及びユーザ用の情報処理装置の識別情報などの属性情報であり、これに基づいて印刷データを管理することができる。この書誌情報は、印刷用コマンド言語(例えばPJL(Printer Job Language))で記載されて印刷データに組み込むことができ、蓄積サーバでは印刷用コマンド言語を解読して書誌情報を抽出する。
【0017】
前記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記第1の発明において、前記受付サーバは、前記蓄積サーバの各々から状態に関するステータス情報を取得し、このステータス情報に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能か否かに応じた利用の可否の判断を行い、前記ステータス情報及び利用の可否に関する情報を前記蓄積サーバごとに登録した蓄積サーバ管理テーブルを作成して、前記蓄積サーバの選択に用いる構成とする。
【0018】
これによると、蓄積サーバのステータス情報及び利用の可否に関する情報が蓄積サーバ管理テーブルに登録されるため、蓄積サーバの選択処理を効率良く行うことができる。
【0019】
この場合、蓄積サーバのステータス情報に基づいて利用可の場合の優先順位を判断し、この優先順位に関する情報も蓄積サーバ管理テーブルに登録するようにすると良い。これによると、印刷データの蓄積により適した蓄積サーバが優先的に選択されるため、蓄積サーバに印刷データを蓄積させる過程で発生するエラーなどの不都合を避けることができる。
【0020】
なお、蓄積サーバにおいて印刷データの正常な蓄積が可能でない状態とは、ダウン、容量不足、及びメンテナンス中などの状態であり、このような状態にある場合には利用不可と判断する。ここで、蓄積サーバからのステータス情報は定型であるため、対応関係を予め定めておけば、印刷データの正常な蓄積が可能か否かを容易に判断することができる。
【0021】
上記課題を解決するためになされた第3の発明は、前記第1・第2の発明において、前記受付サーバは、印刷データの送信元の前記情報処理装置またはそれを操作するユーザが属するグループごとに設定された優先順位に従って、前記蓄積サーバを選択する構成とする。
【0022】
これによると、同一のグループに属する情報処理装置やユーザ同士で同一の蓄積サーバが選択されるため、データ管理上の利便性が向上する。
【0023】
前記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記第3の発明において、前記蓄積サーバの優先順位は、前記グループ内の前記情報処理装置とネットワークアドレス内のサブネットが近いものから順に順位付けされる構成とする。
【0024】
これによると、グループ内の情報処理装置に位置的に近い蓄積サーバが優先的に選択されるため、データ管理上の利便性が向上する。
【0025】
通常、情報処理装置のネットワークアドレス(IPアドレス)は、部署などのグループ単位ごとにサブネットが決められることが多く、また部署などのグループは、業務の関連性などに応じて隣り合うように配置されて、その配置順で連番でサブネットが設定されることが多いため、サブネットの近さと位置的な近さとが概ね対応し、サブネットの近さによって位置的に近い蓄積サーバを選択することができる。
【0026】
また、情報処理装置はネットワークアドレスで識別することが正確で且つ簡易であり、この場合、情報処理装置のグループをサブネット単位として、サブネットごとに蓄積サーバの優先順位を設定するようにすると良い。また、課金や利用制限などの管理上の都合で、ユーザがいずれの部署に属するかを判断することが多く、この場合、ユーザのグループを部署単位として、部署ごとに蓄積サーバの優先順位を設定するようにすると良い。
【0027】
また、同一のサブネット内に複数の蓄積サーバが設置されている場合には、蓄積サーバ管理テーブルにおいて優先順位が高い蓄積サーバを選択するようにすると良い。
【0028】
前記課題を解決するためになされた第5の発明は、前記第1・第2の発明において、前記受付サーバは、印刷データの送信元の前記情報処理装置またはそれを操作するユーザごとに設定された優先順位に従って、前記蓄積サーバを選択する構成とする。
【0029】
これによると、情報処理装置やユーザごとに蓄積サーバが特定されるため、データ管理上の利便性が向上する。
【0030】
前記課題を解決するためになされた第6の発明は、前記第5の発明において、前記蓄積サーバの優先順位は、情報処理装置またはそれを操作するユーザによる利用頻度が高い前記印刷装置と同じサブネットに属するものから順に、利用頻度に応じて順位付けされる構成とする。
【0031】
これによると、ユーザが通常使用する印刷装置に位置的に近い蓄積サーバが優先的に選択されるため、データ管理上の利便性が向上する。
【0032】
この場合、情報処理装置またはユーザ別に印刷装置ごとの利用頻度を算出する利用頻度算出手段が必要となるが、管理サーバでは、通常、過去に実行された印刷に関係する情報処理装置、ユーザ、及び印刷装置に関する情報を蓄積・管理する印刷履歴管理手段を備えていることから、この管理サーバに利用頻度算出手段を設けて、その算出結果を受付サーバに送る構成とすると良い。なお、受付サーバに利用頻度算出手段を設け、そこでの処理に要する情報を管理サーバから入手する構成も可能である。
【0033】
また、同一のサブネット内に複数の蓄積サーバが設置されている場合には、蓄積サーバ管理テーブルにおいて優先順位が高い蓄積サーバを選択するようにすると良い。
【0034】
なお、蓄積サーバの割り当て及び順位付けを管理者により予め設定されるものとすると、データ管理上の都合に応じて蓄積サーバの優先順位を管理者が自由に設定することができるため、データ管理上の利便性が向上する。例えば機密性の高い文書を扱う情報処理装置、ユーザ、及び部署の場合には、情報漏洩などに対して高い安全性が確保される蓄積サーバが優先して選択されるようにすると良い。
【0035】
前記課題を解決するためになされた第7の発明は、前記第1〜第6の発明において、前記受付サーバは、平時用とバックアップ用に少なくとも2つ設けられた構成とする。
【0036】
これによると、平時用の受付サーバがダウンした場合に、バックアップ用の受付サーバで受付処理を継続して実行することができるため、堅牢なシステムを構築することができる。そして、多数必要になる蓄積サーバのバックアップシステムを設ける必要がないため、システムを煩雑化させずに済み、また低コスト化を図ることができる。
【0037】
前記課題を解決するためになされた第8の発明は、ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が前記蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムにおいて、前記蓄積サーバを、前記情報処理装置の配置状態に応じて複数設けると共に、前記管理サーバに、管理下の全ての前記情報処理装置からの印刷データを受け付ける受付手段を設け、前記管理サーバは、前記情報処理装置からの前記印刷データを受信すると、その印刷データ中の書誌情報を自装置に蓄積すると共に、前記受付手段により前記蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに前記印刷データを送信し、前記蓄積サーバは、前記管理サーバからの前記印刷データを受信すると、その印刷データを自装置に蓄積し、前記管理サーバは、自装置に蓄積された書誌情報に基づいて前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理する構成とする。
【0038】
これによると、ユーザ用の情報処理装置において、印刷データの送信時に併せて書誌情報を管理サーバに送れば済むため、ユーザ用の情報処理装置の構成を簡素化することができる。また印刷データが管理サーバから蓄積サーバに送られるため、蓄積サーバと管理サーバとの間でデータ整合を図る必要がなく、蓄積サーバ及び管理サーバでの処理を簡素化することができる。
【0039】
さらに、印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択してその蓄積サーバに印刷データが送信されて蓄積されるため、蓄積サーバのバックアップシステムを設けずとも、蓄積サーバの事情により印刷ができなくなる事態を確実に避けることができ、システムの煩雑化や高コスト化を招くことなく、安定したシステムを構築することができる。
【0040】
さらに、管理サーバに受付手段を設けたため、システム構成を簡素化することができる。
【0041】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0042】
図1は、本発明による印刷処理システムを示すシステム構成図である。図2・図3は、図1に示した各装置の概略構成を示すブロック図である。
【0043】
この印刷処理システムでは、図1に示すように、各部署において、複合機1と、ユーザ用のクライアントPC(情報処理装置)2と、蓄積サーバ3とがサブネットワークを介して接続され、サーバルームにおいて、管理サーバ5と、受付サーバ6と、管理者用のクライアントPC7とがサブネットワークを介して接続され、さらに各部署の複合機1、クライアントPC2、及び蓄積サーバ3と、サーバルームの管理サーバ5、及び受付サーバとが、ルータ11・12及び基幹ネットワークを介して接続されている。
【0044】
ここでは、ユーザ用のクライアントPC2で生成した印刷データを蓄積サーバ3に一旦蓄積した上で、複合機1でのユーザの操作に応じて複合機1が蓄積サーバ3から印刷データを取得して印刷を行うようになっており、特に管理下の全てのクライアントPC2からの印刷データを受付サーバ6で受け付けた後、各蓄積サーバ3の状態に応じて適切な蓄積サーバ3に印刷データが振り分けられる。
【0045】
また、蓄積サーバ3での印刷データの蓄積状況が管理サーバ5で管理される。さらにこの印刷処理システムにおいては、認証サーバ8と、AD(Active Directory)サーバ9とが接続されており、認証サーバ8でのユーザ認証により、使用を許可された正規のユーザにのみ印刷を許可すると共に、管理サーバ5においてユーザごとに複合機1の使用が管理される。
【0046】
蓄積サーバ3は、ユーザ用のクライアントPC2の配置状態に応じてシステム内に複数台設けられ、この例では、各部署(サブネットワーク)ごとに1台ずつ設置されるが、部署内のクライアントPC2が少ない場合にはいくつかの部署をまとめて1台設置したり、部署内のクライアントPC2が多い場合には1つの部署に複数設置するようにしても良い。
【0047】
受付サーバ6は、平時用とバックアップ用に少なくとも2つ設けられており、平時用の受付サーバ6がダウンした場合に、バックアップ用の受付サーバ6で受付処理を継続して実行することができるようになっている。
【0048】
複合機1は、図3に示すように、印刷部101と、コントロールパネル102と、要求/応答部(SOAPサービス)103と、印刷データ受信部(PORT9100サービス)104と、カードリーダ105とを有している。
【0049】
印刷部101は、印刷データに基づいて電子写真プロセスなどにより記録紙に文書の画像を形成するものである。コントロールパネル102には、ユーザが入力操作を行うキーが配列され、また所要の画面を表示させてユーザに選択操作を行わせるタッチパネルディスプレイが設けられている。要求/応答部103は、管理サーバ5及び認証サーバ8を相手とした要求及び応答の処理を行うものである。印刷データ受信部104は、蓄積サーバ3からの印刷データを受信するものである。
【0050】
クライアントPC2は、図2に示すように、プリンタドライバ201と、印刷データ送信部(PORT Monitor)202と、通知受信部(TRAPサービス)203と、表示制御部(通知表示アプリケーション)204と、モニタ205とを有している。
【0051】
プリンタドライバ201は、複合機1で解釈可能なページ記述言語(例えばPostScript)で記載された印刷データを生成するものである。印刷データ送信部202は、印刷データを蓄積サーバ3に送信するものである。通知受信部203は、蓄積サーバ3からの蓄積完了通知やエラー通知を受信するものである。表示制御部204は、受信した蓄積完了通知やエラー通知の画面をモニタ205に表示させる処理を行うものである。
【0052】
蓄積サーバ3は、要求/応答部(SOAPサービス)301と、印刷データ送受信部(PORT9100サービス)302と、通知送信部(TRAPサービス)303と、文書情報データベース304と、文書ファイル保存部(印刷データ記憶手段)305と、蓄積サーバ設定データベース306とを有している。
【0053】
要求/応答部301は、管理サーバ5及び認証サーバ8を相手とした要求及び応答の処理を行うものである。印刷データ送受信部302は、受付サーバ6からの印刷データを受信し、また複合機1に印刷データを送信するものである。通知送信部303は、クライアントPC2に蓄積完了通知やエラー通知を送信するものである。文書情報データベース304は、文書(印刷ジョブ)ごとの文書情報が登録されるものである。文書ファイル保存部305は、印刷データをファイル化して保存するものである。蓄積サーバ設定データベース306は、蓄積サーバ3の設定情報及び動作ログ情報を蓄積するものである。
【0054】
管理サーバ5は、要求/応答部(SOAPサービス)501と、管理アプリケーション502と、書誌情報データベース(書誌情報記憶手段)503と、管理サーバ設定データベース504と、印刷履歴管理部505とを有している。
【0055】
要求/応答部501は、蓄積サーバ3及び複合機1を相手とした要求及び応答の処理を行うものである。管理アプリケーション502は、管理サーバ5で行われる処理に関する管理・設定を管理者に行わせるものである。書誌情報データベース503は、文書(印刷ジョブ)ごとの書誌情報が登録されるものである。管理サーバ設定データベース504は、管理サーバ5の設定情報及び動作ログ情報を蓄積するものである。印刷履歴管理部505は、過去(所定の期間)に実行された印刷に関する、ユーザの識別情報、クライアントPC2の識別情報、複合機1の識別情報などを蓄積・管理するものである。
【0056】
受付サーバ6は、要求/応答部(SOAPサービス)601と、印刷データ送受信部(PORT9100サービス)602と、蓄積サーバ管理部603と、蓄積サーバ管理データベース604とを有している。
【0057】
要求/応答部601は、蓄積サーバ3及び管理サーバ5を相手とした要求及び応答の処理を行うものである。印刷データ送受信部602は、クライアントPC2からの印刷データを受信し、また蓄積サーバ3に印刷データを送信するものである。蓄積サーバ管理部603は、蓄積サーバ3からステータス情報を収集して管理すると共に印刷データの振り分け先となる蓄積サーバ3を選択する処理を行うものである。蓄積サーバ管理データベース604は、蓄積サーバ3のステータス情報や、印刷データを蓄積サーバに振り分ける際の蓄積サーバの優先順位に関する情報を蓄積するものである。
【0058】
認証サーバ8は、図3に示すように、要求/応答部(SOAPサービス)801と、設定GUI(graphical user interface)802と、ユーザ情報データベース803と、認証サーバ設定データベース804とを有している。
【0059】
要求/応答部801は、蓄積サーバ3及び複合機1を相手とした要求及び応答の処理を行うものである。設定GUI802は、認証サーバ8の設定を管理者に行わせるものである。ユーザ情報データベース803は、ユーザ認証に要する情報を蓄積するものである。認証サーバ設定データベース804は、認証サーバ8の設定情報を蓄積するものである。
【0060】
図4は、図1に示した印刷処理システムにおける処理の手順を示す概念図である。
【0061】
まずユーザ用のクライアントPC2においてユーザが印刷を指示すると、クライアントPC2から受付サーバ6に印刷データが送られ、受付サーバ6において印刷データの振り分け先となる蓄積サーバ3が選択されて、その蓄積サーバ3に印刷データが送られ、ついでその印刷データの送信元であるユーザが印刷を許可された正規のユーザであるか否かを検証するユーザ認証が認証サーバ8で行われ、ここでのユーザ認証が成功すると、蓄積サーバ3に印刷データが蓄積され、また印刷データ内の書誌情報が蓄積サーバ3から管理サーバ5に転送される。
【0062】
蓄積サーバ3に蓄積された印刷データの印刷出力は、いずれの複合機1においても可能であり、ユーザが所要の複合機1のところに移動して、複合機1のカードリーダ105にICカードをかざすと、そのユーザが複合機1の使用が許可された正規のユーザであるか否かを検証するユーザ認証が認証サーバ8で行われ、ここでのユーザ認証が成功すると、そのユーザに関係する文書を管理サーバ5に検索させ、これで見つかった文書の中からユーザが所要の文書を選択して印刷を指示すると、複合機1から管理サーバ5に印刷要求が送られ、さらに管理サーバ5から蓄積サーバ3に印刷データ転送要求が行われ、これに応じて蓄積サーバ3から複合機1に印刷データが転送されて、複合機1にて文書の印刷が行われる。
【0063】
図5は、図1に示した印刷処理システムにおける印刷データ生成から書誌情報登録までの処理手順を示すシーケンス図である。図6は、図1に示したクライアントPC、蓄積サーバ、及び管理サーバでの書誌情報の処理の概要を示す概念図である。
【0064】
クライアントPC2において、所要のアプリケーションで文書の印刷を指示すると、図5に示すように、プリンタドライバ201において印刷データが作成され、印刷データ送信部202から受付サーバ6の印刷データ送受信部602に対して、印刷(蓄積)指示が印刷データと共に送信される。
【0065】
このとき、クライアントPC2のプリンタドライバ201で生成される印刷データには、文書の具体的内容を示す印刷実データの他に、書誌情報として、ユーザID、アカウントID、文書名、印刷日時、部数、ページ数、印刷データバージョン、及びクライアントPC2のIPアドレスの各情報が、印刷用コマンド言語(例えばPJL(Printer Job Language))で記載されている(図6参照)。
【0066】
受付サーバ6では、クライアントPC2からの印刷データを受信すると、蓄積サーバ管理部603の指示のもと、蓄積サーバ3の状態を調査するためのステータス問い合わせが、要求/応答部601から蓄積サーバ3の要求/応答部301に対して送信される。
【0067】
蓄積サーバ3では、受付サーバ6からのステータス問い合わせを受信すると、自装置内で自己診断機能により収集・保持されたステータス情報を読み出し、このステータス情報を付したステータス応答が、要求/応答部301から受付サーバ6の要求/応答部601に対して送信される。
【0068】
受付サーバ6では、蓄積サーバ3からのステータス応答を受信すると、ここで取得した蓄積サーバ3のステータス情報に基づいて、印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバ3を選択する処理が蓄積サーバ管理部603にて行われ、印刷データ送受信部602から蓄積サーバ3の印刷データ送受信部302に対して印刷データが送信される。
【0069】
蓄積サーバ3では、受付サーバ6からの印刷データを受信すると、その印刷データ内の印刷用コマンド言語を解読して書誌情報を抽出する処理が行われる。そして、書誌情報中のユーザ情報(ユーザIDやアカウントIDなど)を付したユーザ認証要求が、要求/応答部301から認証サーバ8の要求/応答部601に対して送信される。
【0070】
認証サーバ8では、蓄積サーバ3からのユーザ認証要求を受信すると、ここで取得したユーザ情報に基づいてユーザ認証が行われ、ユーザ認証の成否を示す認証結果情報を付したユーザ認証応答が、要求/応答部601から蓄積サーバ3の要求/応答部301に対して送信される。
【0071】
蓄積サーバ3では、認証サーバ8からのユーザ認証応答を受信し、ユーザ認証が成功した場合には、クライアントPC2から取得した印刷データを文書ファイル保存部305に保存する処理が行われる。そして、印刷データの保存が終了すると、書誌情報を付した書誌情報登録要求が、要求/応答部301から管理サーバ5の要求/応答部501に対して送信される。(図6参照)。
【0072】
管理サーバ5では、蓄積サーバ3からの書誌情報登録要求を受信すると、これで取得した書誌情報を書誌情報データベース503に登録する処理が行われる。また書誌情報に対応する印刷ジョブの識別情報(文書ID)および登録日時が発行され、この文書ID、登録日時及び蓄積サーバ3の識別情報(例えばIPアドレス)を、蓄積サーバ3から取得した書誌情報に加えて管理される(図6参照)。そして、管理サーバ5の要求/応答部501から蓄積サーバ3の要求/応答部301に対して、文書ID、登録日時を付した書誌情報登録応答が送信される。
【0073】
蓄積サーバ3では、管理サーバ5からの書誌情報登録応答を受信すると、ここで取得した文書ID、登録日時と印刷データとの関連づけが行われて(図6参照)、文書情報データベース304に登録され、蓄積サーバ3の通知送信部303からクライアントPC2の通知受信部203に対して、印刷データの蓄積が正常に終了したことを示す蓄積完了通知が送信される。
【0074】
クライアントPC2では、蓄積サーバ3からの蓄積完了通知を受信すると、この蓄積完了通知に基づいて、表示制御部204により、印刷データの蓄積が正常に終了した旨のメッセージ画面がモニタ205に表示され、印刷データの蓄積完了をユーザが確認することができる。
【0075】
図7は、図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ管理テーブルを示す図である。図8・図9・図10は、図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ選定テーブルを示す図である。この蓄積サーバ管理テーブル及び蓄積サーバ選定テーブルは、蓄積サーバ管理データベース604に格納され、蓄積サーバ管理部603で管理される。
【0076】
図7に示す蓄積サーバ管理テーブルには、蓄積サーバ3ごとのステータス情報、並びに利用の可・不可、及び利用可の場合の優先順位に関する利用判断情報が登録されている。蓄積サーバ3ごとのステータス情報は、蓄積サーバ3から取得して登録され、そのステータス情報に基づいて、蓄積サーバ3の利用の可・不可、及び利用可の場合の優先順位が判断される。
【0077】
この例では、待機中(READY)、及び印刷処理中(Busy)の場合には、利用可と判断し、蓄積残量なし(HDD Full)、メンテナンス中、及び応答なしの場合には、利用不可と判断している。また、蓄積サーバ3の優先順位については、待機中(READY)の蓄積サーバ3を印刷処理中(Busy)の蓄積サーバ3より優先させるようにしている。
【0078】
図8・図9・図10に示す蓄積サーバ選定テーブルは、蓄積サーバ管理部603で印刷データの振り分け先となる蓄積サーバ3を選択する際に用いられるものであり、優先順位の高いものから順に蓄積サーバ3が選択され、優先順位が上位の蓄積サーバ3が、図7に示した蓄積サーバ管理テーブルにおいて利用不可の場合には、優先順位が下位の蓄積サーバ3が選択される。
【0079】
図8に示す例では、サブネット(192.168.1.*、192.168.2.*)に関し、クライアントPC2が属するサブネット(グループ)ごとに蓄積サーバ3が割り当てられ、サブネットごとに予め設定された優先順位に従って蓄積サーバ3が選択され、特にここでは、印刷指示したクライアントPC2とサブネットが近いものから順に順位付けがなされており、印刷指示したクライアントPC2に位置的に近い蓄積サーバ3が優先的に選択される。この蓄積サーバ3の割り当て及び順位付けは、固定であり、管理者により予め設定される。
【0080】
また、サブネット(192.168.3.*)では、蓄積サーバ3を動的に選択する設定(Auto)となっており、この場合には、印刷指示したクライアントPC2が属するサブネットに近いものから順に蓄積サーバ3が選択される。また、同一のサブネット内に複数の蓄積サーバ3が設置されている場合には、図7に示した蓄積サーバ管理テーブルにおいて優先順位が高い蓄積サーバ3が選択される。
【0081】
図9に示す例では、営業及び総務の各部署(グループ)に関し、ユーザが属する部署ごとに蓄積サーバ3が割り当てられ、部署ごとに予め設定された優先順位に従って蓄積サーバ3が選択され、特にここでは、部署内のクライアントPC2とサブネットが近いものから順に順位付けがなされており、部署内のクライアントPC2に位置的に近い蓄積サーバ3が優先的に選択される。この蓄積サーバ3の割り当て及び順位付けは、固定であり、管理者により予め設定される。
【0082】
なお、管理サーバ5では、課金や利用制限などの管理上の都合で、ユーザがいずれの部署に属するかをユーザの識別情報(ユーザID)で判断するようにしており、このユーザの識別情報と部署との対応づけに関する情報と書誌情報中のユーザの識別情報とに基づいて、受付サーバ6にてユーザが属する部署を判別することができる。
【0083】
また、経理及びサブネット(192.168.3.*)の各グループでは、蓄積サーバ3を動的に選択する設定(Auto)となっており、前記と同様に、印刷指示したクライアントPC2が属するサブネットに近いものから順に蓄積サーバ3が選択される。
【0084】
図10に示す例では、ユーザごとに蓄積サーバ3が割り当てられ、ユーザごとに設定された優先順位に従って蓄積サーバ3が選択され、特にここでは、ユーザによる利用頻度が高い複合機1と同じサブネットに属するものから順に、利用頻度に応じて順位付けがなされており、各ユーザにおいて、利用頻度の高い複合機1と同じサブネットに設置された蓄積サーバ3、すなわちユーザが通常使用する複合機1に位置的に近い蓄積サーバ3が優先的に選択される。
【0085】
ユーザごとの複合機1の利用状況は、管理サーバ5の印刷履歴管理部505で集計・管理されており、印刷が終了するたびに、あるいは適宜な期間をおいて、ユーザごとの複合機1の利用頻度が更新されて受付サーバ6に送られる。
【0086】
またここでは、ユーザID00003のユーザについて、3番目に多く利用するサブネットがないため、蓄積サーバ3を動的に選択する設定(Auto)となっており、前記と同様に、印刷指示したクライアントPC2が属するサブネットに近いものから順に蓄積サーバ3が選択される。
【0087】
なおここでは、ユーザごとに集計された複合機1の利用頻度に基づいて蓄積サーバ3の割り当て及び順位付けを行うものとしたが、クライアントPC2ごとに集計された複合機1の利用頻度に基づいて行うことも可能である。
【0088】
また、この例では、複合機1の利用頻度が変化するのに応じて、蓄積サーバ3の優先順位が入れ替わるが、図8・図9の例と同様に、蓄積サーバ3の割り当て及び順位付けを固定として、管理者により予め設定されるようにしても良い。
【0089】
図11は、図1に示した印刷処理システムにおける複合機での印刷指示から印刷終了までの処理手順を示すシーケンス図である。
【0090】
複合機1において、コントロールパネル102に表示されるメイン画面でユーザがプリンタ機能を選択すると、認証待ち画面が表示され、ここでユーザがカードリーダ105にICカードをかざすと、ICカードに記憶された認証情報(ユーザIDなど)が読み込まれ、この認証情報を付したユーザ認証要求が、要求/応答部103から認証サーバ8の要求/応答部601に対して送信される。
【0091】
認証サーバ8では、複合機1からのユーザ認証要求を受信すると、ここで取得した認証情報に基づいてユーザ認証が行われ、ユーザ認証の成否を示す認証結果情報を付したユーザ認証応答が、要求/応答部601から複合機1の要求/応答部103に対して送信される。
【0092】
複合機1では、認証サーバ8からのユーザ認証応答を受信し、ユーザ認証が成功した場合には、ICカードから取得したユーザ情報(ユーザIDなど)を付した文書一覧情報要求が、要求/応答部103から管理サーバ5の要求/応答部501に対して送信される。
【0093】
管理サーバ5では、複合機1からの文書一覧情報要求を受信すると、ここで取得したユーザ情報(ユーザIDなど)に基づいて、書誌情報データベース503上で該当するユーザに関係する文書の書誌情報が検索され、ここで見つかった全ての文書に関する書誌情報を付した文書一覧情報応答が、要求/応答部501から複合機1の要求/応答部103に対して送信される。
【0094】
複合機1では、管理サーバ5からの文書一覧情報応答を受信すると、ここで取得した書誌情報に基づいて文書一覧画面がコントロールパネル102に表示される。この文書一覧画面でユーザが所要の文書を選択して、印刷のボタンを操作すると、削除確認画面が表示される。この削除確認画面は、印刷が終了した後に該当する文書の印刷データを削除するか否かを問い合わせるものであり、この削除確認画面でユーザが削除を選択操作すると、文書の識別情報(文書IDなど)及び削除指示情報を付した文書印刷要求が、要求/応答部103から管理サーバ5の要求/応答部501に対して送信される。
【0095】
管理サーバ5では、複合機1からの文書印刷要求を受信すると、ここで取得した文書の識別情報(文書IDなど)に基づいて、書誌情報データベース503上で指定の文書に関する印刷データを蓄積する蓄積サーバ3の検索が行われ、該当する蓄積サーバ3が見つかると、要求/応答部501から複合機1の要求/応答部103に対して文書印刷応答が送信され、複合機1では、印刷の受付を示す印刷指示受付画面が表示される。また、文書の識別情報(文書IDなど)、及び出力先の複合機1の識別情報(IPアドレスなど)を付した印刷データ転送要求が、管理サーバ5の要求/応答部501から蓄積サーバ3の要求/応答部301に対して送信される。
【0096】
蓄積サーバ3では、管理サーバ5からの印刷データ転送要求を受信すると、ここで取得した文書の識別情報(文書IDなど)に基づいて、文書ファイル保存部305に保存された印刷データの検索が行われ、該当する印刷データが見つかると、管理サーバ5から取得した出力先の複合機1の識別情報(IPアドレスなど)に基づいて、印刷データ送受信部302から複合機1の印刷データ受信部104に対して印刷データが送信され、複合機1において文書の印刷が行われる。
【0097】
図12は、図11に示した文書印刷の後に行われる処理手順を示すシーケンス図である。
【0098】
複合機1において、図11に示したように文書の印刷が実行されると、要求/応答部103から管理サーバ5の要求/応答部501に対して印刷完了通知が送信される。
【0099】
管理サーバ5では、複合機1からの印刷完了通知を受信すると、印刷後に文書を削除する設定となっているか否かの判定が行われ、削除する設定となっていれば、文書の識別情報(文書IDなど)を付した印刷データ削除要求が、要求/応答部501から蓄積サーバ3の要求/応答部301に対して送信される。
【0100】
また管理サーバ5では、印刷完了通知を受けた印刷ジョブに関するユーザの識別情報(ユーザID)及び複合機の識別情報(IPアドレス)を、書誌情報データベース503から読み出し、印刷履歴管理部505にてユーザ別の複合機1ごとの利用頻度を更新する処理が行われ、その利用頻度に関する情報が、要求/応答部501から受付サーバ6の要求/応答部601に対して送信される。
【0101】
受付サーバ6では、管理サーバ5からの利用頻度に関する情報を受信すると、この利用頻度に基づいてユーザごとの蓄積サーバ3の優先順位を決定して、図10に示した蓄積サーバ選定テーブルを更新する処理が行われる。
【0102】
なお、利用頻度の算出を受付サーバ6に行わせることも可能であり、この場合、印刷完了通知を受けた印刷ジョブに関するユーザの識別情報(ユーザID)及び複合機の識別情報(IPアドレス)が管理サーバ5から受付サーバ6に通知される。
【0103】
蓄積サーバ3では、管理サーバ5からの印刷データ削除要求を受信すると、ここで取得した文書の識別情報(文書IDなど)に基づいて、文書ファイル保存部305に保存された印刷データの中から該当する文書の印刷データを検索する処理が行われ、これで見つかった印刷データを削除すると共に、文書情報データベース304に登録された該当する文書に関する書誌情報を削除する処理が行われる。そして、要求/応答部301から管理サーバ5の要求/応答部501に対して印刷データ削除応答が送信される。
【0104】
管理サーバ5では、蓄積サーバ3からの印刷データ削除応答を受信すると、書誌情報データベース503に登録された該当する文書に関する書誌情報を削除する処理が行われる。
【0105】
図13は、図7に示した蓄積サーバ管理テーブルの作成・更新の処理手順を示すシーケンス図である。
【0106】
受付サーバ6では、(A)に示すように、起動すると、管理サーバ5に登録された蓄積サーバ3の情報を求める蓄積サーバ情報要求が、管理サーバ5に対して送信される。管理サーバ5では、受付サーバ6からの蓄積サーバ情報要求を受信すると、自装置に登録された全ての蓄積サーバ3の識別情報(IPアドレス)をデータベースから読み出して、その蓄積サーバ3の識別情報を付した蓄積サーバ情報応答が、受付サーバ6に対して送信される。受付サーバ6では、管理サーバ5からの蓄積サーバ情報応答を受信すると、ここで取得した蓄積サーバ3の識別情報に基づいて蓄積サーバ管理テーブルを作成する処理が行われる。
【0107】
ついで、受付サーバ6では、蓄積サーバ3の状態を調査するためのステータス問い合わせが、各蓄積サーバ3に対して送信される。各蓄積サーバ3では、受付サーバ6からのステータス問い合わせを受信すると、自装置内で収集・保持されたステータス情報を読み出して、このステータス情報を付したステータス応答が、受付サーバ6に対して送信される。受付サーバ6では、各蓄積サーバ3からのステータス応答を受信すると、ここで取得した各蓄積サーバ3ごとのステータス情報に基づいて、各蓄積サーバ3の状態、利用の可・不可、及び利用可の場合の優先順位の高低に関する情報を蓄積サーバ管理テーブルに登録する更新処理が行われる。
【0108】
また、管理サーバ5では、蓄積サーバ3に増減などの変更が生じたことを検知すると、(B)に示すように、蓄積サーバ3の変更内容に関する情報を付した変更通知が、受付サーバ6に対して送信される。受付サーバ6では、管理サーバ5からの変更通知を受信すると、ここで取得した蓄積サーバ3の変更内容に基づいて蓄積サーバ管理テーブルを更新する処理が行われ、ついで蓄積サーバ管理テーブルの更新が正常に終了したことを示す変更終了通知が管理サーバ5に送信される。
【0109】
また、蓄積サーバ3を増設した際に、管理者による更新の指示に応じて、受付サーバ6では、(C)に示すように、蓄積サーバ3に対するステータス問い合わせが行われ、これに応じて蓄積サーバ3から送られるステータス応答により、蓄積サーバ3のステータス情報を取得し、このステータス情報に基づいて蓄積サーバ管理テーブルを更新する処理が行われる。
【0110】
この他、適宜に行われるステータス問い合わせ時に受信したステータス応答により、蓄積サーバ3のステータス情報を取得すると、その蓄積サーバ3のステータス情報と、蓄積サーバ管理テーブルの登録内容とを比較して、両者に相違点があれば、蓄積サーバ3から取得したステータス情報に基づいて蓄積サーバ管理テーブルを更新する処理が行われる。
【0111】
ここで、図5に示したように、クライアントPC2からの印刷データを受信した際に、蓄積サーバ3からステータス情報を取得するようにすると、蓄積サーバ3の最新の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能か否かの判断を行うことができるため、蓄積サーバ3に印刷データを蓄積させる過程でエラーが発生することを確実に回避することができる。
【0112】
図14は、本発明による印刷処理システムの別の例による処理の手順を示す概念図である。ここでは、前記の例での受付サーバ6を管理サーバ5に併合した構成となっており、管理サーバ5が、管理下の全てのクライアントPC2からの印刷データを受け付ける受付部(受付手段)511を備えている。なお、管理サーバ5の受付部511で行われる処理の詳細は、前記の例での受付サーバ6と同様である。
【0113】
まずユーザ用のクライアントPC2においてユーザが印刷を指示すると、クライアントPC2から管理サーバ5に印刷データが送られ、管理サーバ5では、印刷データ内の書誌情報が抽出されて自装置に蓄積され、この書誌情報に基づいて蓄積サーバ3での印刷データの蓄積状況が管理される。
【0114】
また、管理サーバ5の受付部511では、各蓄積サーバ3の状態に応じて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバ3が選択され、その蓄積サーバ3に印刷データが送られる。そして、その印刷データの送信元であるユーザが印刷を許可された正規のユーザであるか否かを検証するユーザ認証が認証サーバ8で行われ、ここでのユーザ認証が成功すると、管理サーバ5から取得した印刷データが蓄積サーバ3に蓄積される。
【0115】
これ以降の処理、すなわち蓄積サーバ3に蓄積された印刷データの印刷出力は、図4の例と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明にかかる印刷処理システムは、ユーザ用の情報処理装置の構成の簡素化、及び印刷データの蓄積及び管理をそれぞれ行う2つのサーバでの処理の簡素化を図ることができ、さらにシステムの煩雑化や高コスト化を招くことなく、印刷ができなくなる事態を確実に回避して安定した運用が可能となる効果を有し、ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じて印刷装置が蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムなどとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明による印刷処理システムを示すシステム構成図
【図2】図1に示した各装置の概略構成を示すブロック図
【図3】図1に示した各装置の概略構成を示すブロック図
【図4】図1に示した印刷処理システムにおける処理の手順を示す概念図
【図5】図1に示した印刷処理システムにおける印刷データ生成から書誌情報登録までの処理手順を示すシーケンス図
【図6】図1に示したクライアントPC、蓄積サーバ、及び管理サーバでの書誌情報の処理の概要を示す概念図
【図7】図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ管理テーブルを示す図
【図8】図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ選定テーブルの一例を示す図
【図9】図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ選定テーブルの別の例を示す図
【図10】図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ選定テーブルの別の例を示す図
【図11】図1に示した印刷処理システムにおける複合機での印刷指示から印刷終了までの処理手順を示すシーケンス図
【図12】図11に示した文書印刷の後に行われる処理手順を示すシーケンス図
【図13】図7に示した蓄積サーバ管理テーブルの作成・更新の処理手順を示すシーケンス図
【図14】本発明による印刷処理システムの別の例による処理の手順を示す概念図
【符号の説明】
【0118】
1 複合機
3 蓄積サーバ
5 管理サーバ
6 受付サーバ
103 要求/応答部
104 印刷データ受信部
201 プリンタドライバ
202 印刷データ送信部
301 要求/応答部
302 印刷データ送受信部
303 通知送信部
304 文書情報データベース
305 文書ファイル保存部
501 要求/応答部
503 書誌情報データベース
504 管理サーバ設定データベース
505 印刷履歴管理部
601 要求/応答部
602 印刷データ送受信部
603 蓄積サーバ管理部
604 蓄積サーバ管理データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスにおいてユーザ用の情報処理装置(PC)と印刷装置(複合機など)とをネットワーク接続して複数のユーザで印刷装置を共用するネットワーク印刷システムが広く普及している。特に経費の節減や印刷文書のセキュリティの確保を図ることを目的として、ユーザ用の情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバ(プリントサーバ)に一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザ認証が成功した場合にのみ、ユーザが指定する文書の印刷データを蓄積サーバから印刷装置が取得して印刷を行う蓄積印刷方式の印刷処理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の印刷処理システムでは、印刷装置の使用をユーザごとに管理する機能が必要となり、またユーザ数が多く、1つの蓄積サーバでの処理が困難な場合には、印刷データを複数の蓄積サーバに分散して蓄積して、その蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理するために、管理サーバを蓄積サーバとは別に設けることになる。
【特許文献1】特開2006−99714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、前記の特許文献1に開示された従来の技術では、ユーザ用の情報処理装置から印刷データを蓄積サーバに送る一方で、印刷データの管理に必要となる書誌情報を含むデータを、ユーザ用の情報処理装置から印刷管理サーバに送るようにしているため、ユーザ用の情報処理装置では、蓄積サーバ及び管理サーバの2つのサーバにデータを送る手段が必要になり、ユーザ用の情報処理装置の構成が複雑になるという問題がある。また、印刷データと書誌情報を含むデータとを別々に送信するため、蓄積サーバでの蓄積内容と管理サーバでの管理内容との間で食い違いが発生しないように、2つのサーバ間でのデータ整合を図る手段が必要となり、処理が煩雑化する等の問題もある。
【0005】
さらに、印刷データに対応する書誌情報が蓄積サーバに送られないと、蓄積サーバにおいて、印刷データの送信元であるユーザに対する利用制限を行うことができず、蓄積サーバでは印刷データを無制限に蓄積することになり、悪意であるいは誤操作により大量の印刷データが送られてきた場合に、蓄積サーバで容易にオーバーフローが発生して印刷不能となる事態を招く恐れがある。
【0006】
また、蓄積印刷方式の印刷処理システムにおいては、ユーザ用の情報処理装置の各々に1台の蓄積サーバが予め割り当てられ、ユーザ用の情報処理装置で印刷を指示すると、その蓄積サーバに印刷データが送られて蓄積されるようになっている。このため、蓄積サーバがダウンすると、その蓄積サーバが割り当てられたユーザ用の情報処理装置では、蓄積サーバが復旧するまで印刷ができなくなる事態となり、利便性が大きく損なわれるという問題が生じる。
【0007】
一方、このような問題を回避するために、蓄積サーバの各々にバックアップシステムを設けることが考えられるが、大規模なシステムで蓄積サーバの設置数が多い場合には、バックアップ用の蓄積サーバの設置数も多くなり、システムが煩雑化すると共にコストが嵩むという問題が生じる。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、蓄積印刷方式の印刷処理システムにおいて、ユーザ用の情報処理装置の構成の簡素化、及び印刷データの蓄積及び管理をそれぞれ行う2つのサーバでの処理の簡素化を図ることができ、さらにシステムの煩雑化や高コスト化を招くことなく、印刷ができなくなる事態を確実に回避して安定した運用が可能となるように構成された印刷処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の印刷処理システムは、ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が前記蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムにおいて、前記蓄積サーバを、前記情報処理装置の配置状態に応じて複数設けると共に、管理下の全ての前記情報処理装置からの印刷データを受け付ける受付サーバを設け、前記受付サーバは、前記情報処理装置からの前記印刷データを受信すると、前記蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに前記印刷データを送信し、前記蓄積サーバは、前記受付サーバからの前記印刷データを受信すると、その印刷データを自装置に蓄積すると共に、前記印刷データ中の書誌情報を前記管理サーバに転送し、前記管理サーバは、前記蓄積サーバから取得した書誌情報に基づいて前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理する構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザ用の情報処理装置において印刷データを受付サーバに送れば済むため、ユーザ用の情報処理装置の構成を簡素化することができる。また書誌情報が蓄積サーバを介して管理サーバに送られるため、蓄積サーバと管理サーバとの間でデータ整合を図る必要がなく、蓄積サーバ及び管理サーバでの処理を簡素化することができる。
【0011】
さらに、印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択してその蓄積サーバに印刷データが送信されて蓄積されるため、蓄積サーバのバックアップシステムを設けずとも、蓄積サーバの事情により印刷ができなくなる事態を確実に避けることができ、システムの煩雑化や高コスト化を招くことなく、安定したシステムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が前記蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムにおいて、前記蓄積サーバを、前記情報処理装置の配置状態に応じて複数設けると共に、管理下の全ての前記情報処理装置からの印刷データを受け付ける受付サーバを設け、前記受付サーバは、前記情報処理装置からの前記印刷データを受信すると、前記蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに前記印刷データを送信し、前記蓄積サーバは、前記受付サーバからの前記印刷データを受信すると、その印刷データを自装置に蓄積すると共に、前記印刷データ中の書誌情報を前記管理サーバに転送し、前記管理サーバは、前記蓄積サーバから取得した書誌情報に基づいて前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理する構成とする。
【0013】
これによると、ユーザ用の情報処理装置において印刷データを受付サーバに送れば済むため、ユーザ用の情報処理装置の構成を簡素化することができる。また書誌情報が蓄積サーバを介して管理サーバに送られるため、蓄積サーバと管理サーバとの間でデータ整合を図る必要がなく、蓄積サーバ及び管理サーバでの処理を簡素化することができる。
【0014】
さらに、印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択してその蓄積サーバに印刷データが送信されて蓄積されるため、蓄積サーバのバックアップシステムを設けずとも、蓄積サーバの事情により印刷ができなくなる事態を確実に避けることができ、システムの煩雑化や高コスト化を招くことなく、安定したシステムを構築することができる。
【0015】
この場合、印刷データは、印刷実データと書誌情報とを含むものであり、印刷実データに書誌情報を付加して印刷データとする、例えば印刷データのファイルに印刷実データと書誌情報とをまとめて格納して送るようにすれば、送信処理の簡素化を図る上で都合が良いが、印刷実データと書誌情報とを別々に送ることも可能である。なお、印刷実データに書誌情報を付加した印刷データの場合、蓄積サーバで印刷データから書誌情報を抽出する処理が必要になる。
【0016】
ここで、印刷実データとは、文書の具体的内容を印刷装置で解釈可能なページ記述言語で記載したものであり、これに基づいて印刷装置で文書の印刷が行われる。また書誌情報とは、ユーザの識別情報、文書名、日時、及びユーザ用の情報処理装置の識別情報などの属性情報であり、これに基づいて印刷データを管理することができる。この書誌情報は、印刷用コマンド言語(例えばPJL(Printer Job Language))で記載されて印刷データに組み込むことができ、蓄積サーバでは印刷用コマンド言語を解読して書誌情報を抽出する。
【0017】
前記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記第1の発明において、前記受付サーバは、前記蓄積サーバの各々から状態に関するステータス情報を取得し、このステータス情報に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能か否かに応じた利用の可否の判断を行い、前記ステータス情報及び利用の可否に関する情報を前記蓄積サーバごとに登録した蓄積サーバ管理テーブルを作成して、前記蓄積サーバの選択に用いる構成とする。
【0018】
これによると、蓄積サーバのステータス情報及び利用の可否に関する情報が蓄積サーバ管理テーブルに登録されるため、蓄積サーバの選択処理を効率良く行うことができる。
【0019】
この場合、蓄積サーバのステータス情報に基づいて利用可の場合の優先順位を判断し、この優先順位に関する情報も蓄積サーバ管理テーブルに登録するようにすると良い。これによると、印刷データの蓄積により適した蓄積サーバが優先的に選択されるため、蓄積サーバに印刷データを蓄積させる過程で発生するエラーなどの不都合を避けることができる。
【0020】
なお、蓄積サーバにおいて印刷データの正常な蓄積が可能でない状態とは、ダウン、容量不足、及びメンテナンス中などの状態であり、このような状態にある場合には利用不可と判断する。ここで、蓄積サーバからのステータス情報は定型であるため、対応関係を予め定めておけば、印刷データの正常な蓄積が可能か否かを容易に判断することができる。
【0021】
上記課題を解決するためになされた第3の発明は、前記第1・第2の発明において、前記受付サーバは、印刷データの送信元の前記情報処理装置またはそれを操作するユーザが属するグループごとに設定された優先順位に従って、前記蓄積サーバを選択する構成とする。
【0022】
これによると、同一のグループに属する情報処理装置やユーザ同士で同一の蓄積サーバが選択されるため、データ管理上の利便性が向上する。
【0023】
前記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記第3の発明において、前記蓄積サーバの優先順位は、前記グループ内の前記情報処理装置とネットワークアドレス内のサブネットが近いものから順に順位付けされる構成とする。
【0024】
これによると、グループ内の情報処理装置に位置的に近い蓄積サーバが優先的に選択されるため、データ管理上の利便性が向上する。
【0025】
通常、情報処理装置のネットワークアドレス(IPアドレス)は、部署などのグループ単位ごとにサブネットが決められることが多く、また部署などのグループは、業務の関連性などに応じて隣り合うように配置されて、その配置順で連番でサブネットが設定されることが多いため、サブネットの近さと位置的な近さとが概ね対応し、サブネットの近さによって位置的に近い蓄積サーバを選択することができる。
【0026】
また、情報処理装置はネットワークアドレスで識別することが正確で且つ簡易であり、この場合、情報処理装置のグループをサブネット単位として、サブネットごとに蓄積サーバの優先順位を設定するようにすると良い。また、課金や利用制限などの管理上の都合で、ユーザがいずれの部署に属するかを判断することが多く、この場合、ユーザのグループを部署単位として、部署ごとに蓄積サーバの優先順位を設定するようにすると良い。
【0027】
また、同一のサブネット内に複数の蓄積サーバが設置されている場合には、蓄積サーバ管理テーブルにおいて優先順位が高い蓄積サーバを選択するようにすると良い。
【0028】
前記課題を解決するためになされた第5の発明は、前記第1・第2の発明において、前記受付サーバは、印刷データの送信元の前記情報処理装置またはそれを操作するユーザごとに設定された優先順位に従って、前記蓄積サーバを選択する構成とする。
【0029】
これによると、情報処理装置やユーザごとに蓄積サーバが特定されるため、データ管理上の利便性が向上する。
【0030】
前記課題を解決するためになされた第6の発明は、前記第5の発明において、前記蓄積サーバの優先順位は、情報処理装置またはそれを操作するユーザによる利用頻度が高い前記印刷装置と同じサブネットに属するものから順に、利用頻度に応じて順位付けされる構成とする。
【0031】
これによると、ユーザが通常使用する印刷装置に位置的に近い蓄積サーバが優先的に選択されるため、データ管理上の利便性が向上する。
【0032】
この場合、情報処理装置またはユーザ別に印刷装置ごとの利用頻度を算出する利用頻度算出手段が必要となるが、管理サーバでは、通常、過去に実行された印刷に関係する情報処理装置、ユーザ、及び印刷装置に関する情報を蓄積・管理する印刷履歴管理手段を備えていることから、この管理サーバに利用頻度算出手段を設けて、その算出結果を受付サーバに送る構成とすると良い。なお、受付サーバに利用頻度算出手段を設け、そこでの処理に要する情報を管理サーバから入手する構成も可能である。
【0033】
また、同一のサブネット内に複数の蓄積サーバが設置されている場合には、蓄積サーバ管理テーブルにおいて優先順位が高い蓄積サーバを選択するようにすると良い。
【0034】
なお、蓄積サーバの割り当て及び順位付けを管理者により予め設定されるものとすると、データ管理上の都合に応じて蓄積サーバの優先順位を管理者が自由に設定することができるため、データ管理上の利便性が向上する。例えば機密性の高い文書を扱う情報処理装置、ユーザ、及び部署の場合には、情報漏洩などに対して高い安全性が確保される蓄積サーバが優先して選択されるようにすると良い。
【0035】
前記課題を解決するためになされた第7の発明は、前記第1〜第6の発明において、前記受付サーバは、平時用とバックアップ用に少なくとも2つ設けられた構成とする。
【0036】
これによると、平時用の受付サーバがダウンした場合に、バックアップ用の受付サーバで受付処理を継続して実行することができるため、堅牢なシステムを構築することができる。そして、多数必要になる蓄積サーバのバックアップシステムを設ける必要がないため、システムを煩雑化させずに済み、また低コスト化を図ることができる。
【0037】
前記課題を解決するためになされた第8の発明は、ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が前記蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムにおいて、前記蓄積サーバを、前記情報処理装置の配置状態に応じて複数設けると共に、前記管理サーバに、管理下の全ての前記情報処理装置からの印刷データを受け付ける受付手段を設け、前記管理サーバは、前記情報処理装置からの前記印刷データを受信すると、その印刷データ中の書誌情報を自装置に蓄積すると共に、前記受付手段により前記蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに前記印刷データを送信し、前記蓄積サーバは、前記管理サーバからの前記印刷データを受信すると、その印刷データを自装置に蓄積し、前記管理サーバは、自装置に蓄積された書誌情報に基づいて前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理する構成とする。
【0038】
これによると、ユーザ用の情報処理装置において、印刷データの送信時に併せて書誌情報を管理サーバに送れば済むため、ユーザ用の情報処理装置の構成を簡素化することができる。また印刷データが管理サーバから蓄積サーバに送られるため、蓄積サーバと管理サーバとの間でデータ整合を図る必要がなく、蓄積サーバ及び管理サーバでの処理を簡素化することができる。
【0039】
さらに、印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択してその蓄積サーバに印刷データが送信されて蓄積されるため、蓄積サーバのバックアップシステムを設けずとも、蓄積サーバの事情により印刷ができなくなる事態を確実に避けることができ、システムの煩雑化や高コスト化を招くことなく、安定したシステムを構築することができる。
【0040】
さらに、管理サーバに受付手段を設けたため、システム構成を簡素化することができる。
【0041】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0042】
図1は、本発明による印刷処理システムを示すシステム構成図である。図2・図3は、図1に示した各装置の概略構成を示すブロック図である。
【0043】
この印刷処理システムでは、図1に示すように、各部署において、複合機1と、ユーザ用のクライアントPC(情報処理装置)2と、蓄積サーバ3とがサブネットワークを介して接続され、サーバルームにおいて、管理サーバ5と、受付サーバ6と、管理者用のクライアントPC7とがサブネットワークを介して接続され、さらに各部署の複合機1、クライアントPC2、及び蓄積サーバ3と、サーバルームの管理サーバ5、及び受付サーバとが、ルータ11・12及び基幹ネットワークを介して接続されている。
【0044】
ここでは、ユーザ用のクライアントPC2で生成した印刷データを蓄積サーバ3に一旦蓄積した上で、複合機1でのユーザの操作に応じて複合機1が蓄積サーバ3から印刷データを取得して印刷を行うようになっており、特に管理下の全てのクライアントPC2からの印刷データを受付サーバ6で受け付けた後、各蓄積サーバ3の状態に応じて適切な蓄積サーバ3に印刷データが振り分けられる。
【0045】
また、蓄積サーバ3での印刷データの蓄積状況が管理サーバ5で管理される。さらにこの印刷処理システムにおいては、認証サーバ8と、AD(Active Directory)サーバ9とが接続されており、認証サーバ8でのユーザ認証により、使用を許可された正規のユーザにのみ印刷を許可すると共に、管理サーバ5においてユーザごとに複合機1の使用が管理される。
【0046】
蓄積サーバ3は、ユーザ用のクライアントPC2の配置状態に応じてシステム内に複数台設けられ、この例では、各部署(サブネットワーク)ごとに1台ずつ設置されるが、部署内のクライアントPC2が少ない場合にはいくつかの部署をまとめて1台設置したり、部署内のクライアントPC2が多い場合には1つの部署に複数設置するようにしても良い。
【0047】
受付サーバ6は、平時用とバックアップ用に少なくとも2つ設けられており、平時用の受付サーバ6がダウンした場合に、バックアップ用の受付サーバ6で受付処理を継続して実行することができるようになっている。
【0048】
複合機1は、図3に示すように、印刷部101と、コントロールパネル102と、要求/応答部(SOAPサービス)103と、印刷データ受信部(PORT9100サービス)104と、カードリーダ105とを有している。
【0049】
印刷部101は、印刷データに基づいて電子写真プロセスなどにより記録紙に文書の画像を形成するものである。コントロールパネル102には、ユーザが入力操作を行うキーが配列され、また所要の画面を表示させてユーザに選択操作を行わせるタッチパネルディスプレイが設けられている。要求/応答部103は、管理サーバ5及び認証サーバ8を相手とした要求及び応答の処理を行うものである。印刷データ受信部104は、蓄積サーバ3からの印刷データを受信するものである。
【0050】
クライアントPC2は、図2に示すように、プリンタドライバ201と、印刷データ送信部(PORT Monitor)202と、通知受信部(TRAPサービス)203と、表示制御部(通知表示アプリケーション)204と、モニタ205とを有している。
【0051】
プリンタドライバ201は、複合機1で解釈可能なページ記述言語(例えばPostScript)で記載された印刷データを生成するものである。印刷データ送信部202は、印刷データを蓄積サーバ3に送信するものである。通知受信部203は、蓄積サーバ3からの蓄積完了通知やエラー通知を受信するものである。表示制御部204は、受信した蓄積完了通知やエラー通知の画面をモニタ205に表示させる処理を行うものである。
【0052】
蓄積サーバ3は、要求/応答部(SOAPサービス)301と、印刷データ送受信部(PORT9100サービス)302と、通知送信部(TRAPサービス)303と、文書情報データベース304と、文書ファイル保存部(印刷データ記憶手段)305と、蓄積サーバ設定データベース306とを有している。
【0053】
要求/応答部301は、管理サーバ5及び認証サーバ8を相手とした要求及び応答の処理を行うものである。印刷データ送受信部302は、受付サーバ6からの印刷データを受信し、また複合機1に印刷データを送信するものである。通知送信部303は、クライアントPC2に蓄積完了通知やエラー通知を送信するものである。文書情報データベース304は、文書(印刷ジョブ)ごとの文書情報が登録されるものである。文書ファイル保存部305は、印刷データをファイル化して保存するものである。蓄積サーバ設定データベース306は、蓄積サーバ3の設定情報及び動作ログ情報を蓄積するものである。
【0054】
管理サーバ5は、要求/応答部(SOAPサービス)501と、管理アプリケーション502と、書誌情報データベース(書誌情報記憶手段)503と、管理サーバ設定データベース504と、印刷履歴管理部505とを有している。
【0055】
要求/応答部501は、蓄積サーバ3及び複合機1を相手とした要求及び応答の処理を行うものである。管理アプリケーション502は、管理サーバ5で行われる処理に関する管理・設定を管理者に行わせるものである。書誌情報データベース503は、文書(印刷ジョブ)ごとの書誌情報が登録されるものである。管理サーバ設定データベース504は、管理サーバ5の設定情報及び動作ログ情報を蓄積するものである。印刷履歴管理部505は、過去(所定の期間)に実行された印刷に関する、ユーザの識別情報、クライアントPC2の識別情報、複合機1の識別情報などを蓄積・管理するものである。
【0056】
受付サーバ6は、要求/応答部(SOAPサービス)601と、印刷データ送受信部(PORT9100サービス)602と、蓄積サーバ管理部603と、蓄積サーバ管理データベース604とを有している。
【0057】
要求/応答部601は、蓄積サーバ3及び管理サーバ5を相手とした要求及び応答の処理を行うものである。印刷データ送受信部602は、クライアントPC2からの印刷データを受信し、また蓄積サーバ3に印刷データを送信するものである。蓄積サーバ管理部603は、蓄積サーバ3からステータス情報を収集して管理すると共に印刷データの振り分け先となる蓄積サーバ3を選択する処理を行うものである。蓄積サーバ管理データベース604は、蓄積サーバ3のステータス情報や、印刷データを蓄積サーバに振り分ける際の蓄積サーバの優先順位に関する情報を蓄積するものである。
【0058】
認証サーバ8は、図3に示すように、要求/応答部(SOAPサービス)801と、設定GUI(graphical user interface)802と、ユーザ情報データベース803と、認証サーバ設定データベース804とを有している。
【0059】
要求/応答部801は、蓄積サーバ3及び複合機1を相手とした要求及び応答の処理を行うものである。設定GUI802は、認証サーバ8の設定を管理者に行わせるものである。ユーザ情報データベース803は、ユーザ認証に要する情報を蓄積するものである。認証サーバ設定データベース804は、認証サーバ8の設定情報を蓄積するものである。
【0060】
図4は、図1に示した印刷処理システムにおける処理の手順を示す概念図である。
【0061】
まずユーザ用のクライアントPC2においてユーザが印刷を指示すると、クライアントPC2から受付サーバ6に印刷データが送られ、受付サーバ6において印刷データの振り分け先となる蓄積サーバ3が選択されて、その蓄積サーバ3に印刷データが送られ、ついでその印刷データの送信元であるユーザが印刷を許可された正規のユーザであるか否かを検証するユーザ認証が認証サーバ8で行われ、ここでのユーザ認証が成功すると、蓄積サーバ3に印刷データが蓄積され、また印刷データ内の書誌情報が蓄積サーバ3から管理サーバ5に転送される。
【0062】
蓄積サーバ3に蓄積された印刷データの印刷出力は、いずれの複合機1においても可能であり、ユーザが所要の複合機1のところに移動して、複合機1のカードリーダ105にICカードをかざすと、そのユーザが複合機1の使用が許可された正規のユーザであるか否かを検証するユーザ認証が認証サーバ8で行われ、ここでのユーザ認証が成功すると、そのユーザに関係する文書を管理サーバ5に検索させ、これで見つかった文書の中からユーザが所要の文書を選択して印刷を指示すると、複合機1から管理サーバ5に印刷要求が送られ、さらに管理サーバ5から蓄積サーバ3に印刷データ転送要求が行われ、これに応じて蓄積サーバ3から複合機1に印刷データが転送されて、複合機1にて文書の印刷が行われる。
【0063】
図5は、図1に示した印刷処理システムにおける印刷データ生成から書誌情報登録までの処理手順を示すシーケンス図である。図6は、図1に示したクライアントPC、蓄積サーバ、及び管理サーバでの書誌情報の処理の概要を示す概念図である。
【0064】
クライアントPC2において、所要のアプリケーションで文書の印刷を指示すると、図5に示すように、プリンタドライバ201において印刷データが作成され、印刷データ送信部202から受付サーバ6の印刷データ送受信部602に対して、印刷(蓄積)指示が印刷データと共に送信される。
【0065】
このとき、クライアントPC2のプリンタドライバ201で生成される印刷データには、文書の具体的内容を示す印刷実データの他に、書誌情報として、ユーザID、アカウントID、文書名、印刷日時、部数、ページ数、印刷データバージョン、及びクライアントPC2のIPアドレスの各情報が、印刷用コマンド言語(例えばPJL(Printer Job Language))で記載されている(図6参照)。
【0066】
受付サーバ6では、クライアントPC2からの印刷データを受信すると、蓄積サーバ管理部603の指示のもと、蓄積サーバ3の状態を調査するためのステータス問い合わせが、要求/応答部601から蓄積サーバ3の要求/応答部301に対して送信される。
【0067】
蓄積サーバ3では、受付サーバ6からのステータス問い合わせを受信すると、自装置内で自己診断機能により収集・保持されたステータス情報を読み出し、このステータス情報を付したステータス応答が、要求/応答部301から受付サーバ6の要求/応答部601に対して送信される。
【0068】
受付サーバ6では、蓄積サーバ3からのステータス応答を受信すると、ここで取得した蓄積サーバ3のステータス情報に基づいて、印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバ3を選択する処理が蓄積サーバ管理部603にて行われ、印刷データ送受信部602から蓄積サーバ3の印刷データ送受信部302に対して印刷データが送信される。
【0069】
蓄積サーバ3では、受付サーバ6からの印刷データを受信すると、その印刷データ内の印刷用コマンド言語を解読して書誌情報を抽出する処理が行われる。そして、書誌情報中のユーザ情報(ユーザIDやアカウントIDなど)を付したユーザ認証要求が、要求/応答部301から認証サーバ8の要求/応答部601に対して送信される。
【0070】
認証サーバ8では、蓄積サーバ3からのユーザ認証要求を受信すると、ここで取得したユーザ情報に基づいてユーザ認証が行われ、ユーザ認証の成否を示す認証結果情報を付したユーザ認証応答が、要求/応答部601から蓄積サーバ3の要求/応答部301に対して送信される。
【0071】
蓄積サーバ3では、認証サーバ8からのユーザ認証応答を受信し、ユーザ認証が成功した場合には、クライアントPC2から取得した印刷データを文書ファイル保存部305に保存する処理が行われる。そして、印刷データの保存が終了すると、書誌情報を付した書誌情報登録要求が、要求/応答部301から管理サーバ5の要求/応答部501に対して送信される。(図6参照)。
【0072】
管理サーバ5では、蓄積サーバ3からの書誌情報登録要求を受信すると、これで取得した書誌情報を書誌情報データベース503に登録する処理が行われる。また書誌情報に対応する印刷ジョブの識別情報(文書ID)および登録日時が発行され、この文書ID、登録日時及び蓄積サーバ3の識別情報(例えばIPアドレス)を、蓄積サーバ3から取得した書誌情報に加えて管理される(図6参照)。そして、管理サーバ5の要求/応答部501から蓄積サーバ3の要求/応答部301に対して、文書ID、登録日時を付した書誌情報登録応答が送信される。
【0073】
蓄積サーバ3では、管理サーバ5からの書誌情報登録応答を受信すると、ここで取得した文書ID、登録日時と印刷データとの関連づけが行われて(図6参照)、文書情報データベース304に登録され、蓄積サーバ3の通知送信部303からクライアントPC2の通知受信部203に対して、印刷データの蓄積が正常に終了したことを示す蓄積完了通知が送信される。
【0074】
クライアントPC2では、蓄積サーバ3からの蓄積完了通知を受信すると、この蓄積完了通知に基づいて、表示制御部204により、印刷データの蓄積が正常に終了した旨のメッセージ画面がモニタ205に表示され、印刷データの蓄積完了をユーザが確認することができる。
【0075】
図7は、図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ管理テーブルを示す図である。図8・図9・図10は、図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ選定テーブルを示す図である。この蓄積サーバ管理テーブル及び蓄積サーバ選定テーブルは、蓄積サーバ管理データベース604に格納され、蓄積サーバ管理部603で管理される。
【0076】
図7に示す蓄積サーバ管理テーブルには、蓄積サーバ3ごとのステータス情報、並びに利用の可・不可、及び利用可の場合の優先順位に関する利用判断情報が登録されている。蓄積サーバ3ごとのステータス情報は、蓄積サーバ3から取得して登録され、そのステータス情報に基づいて、蓄積サーバ3の利用の可・不可、及び利用可の場合の優先順位が判断される。
【0077】
この例では、待機中(READY)、及び印刷処理中(Busy)の場合には、利用可と判断し、蓄積残量なし(HDD Full)、メンテナンス中、及び応答なしの場合には、利用不可と判断している。また、蓄積サーバ3の優先順位については、待機中(READY)の蓄積サーバ3を印刷処理中(Busy)の蓄積サーバ3より優先させるようにしている。
【0078】
図8・図9・図10に示す蓄積サーバ選定テーブルは、蓄積サーバ管理部603で印刷データの振り分け先となる蓄積サーバ3を選択する際に用いられるものであり、優先順位の高いものから順に蓄積サーバ3が選択され、優先順位が上位の蓄積サーバ3が、図7に示した蓄積サーバ管理テーブルにおいて利用不可の場合には、優先順位が下位の蓄積サーバ3が選択される。
【0079】
図8に示す例では、サブネット(192.168.1.*、192.168.2.*)に関し、クライアントPC2が属するサブネット(グループ)ごとに蓄積サーバ3が割り当てられ、サブネットごとに予め設定された優先順位に従って蓄積サーバ3が選択され、特にここでは、印刷指示したクライアントPC2とサブネットが近いものから順に順位付けがなされており、印刷指示したクライアントPC2に位置的に近い蓄積サーバ3が優先的に選択される。この蓄積サーバ3の割り当て及び順位付けは、固定であり、管理者により予め設定される。
【0080】
また、サブネット(192.168.3.*)では、蓄積サーバ3を動的に選択する設定(Auto)となっており、この場合には、印刷指示したクライアントPC2が属するサブネットに近いものから順に蓄積サーバ3が選択される。また、同一のサブネット内に複数の蓄積サーバ3が設置されている場合には、図7に示した蓄積サーバ管理テーブルにおいて優先順位が高い蓄積サーバ3が選択される。
【0081】
図9に示す例では、営業及び総務の各部署(グループ)に関し、ユーザが属する部署ごとに蓄積サーバ3が割り当てられ、部署ごとに予め設定された優先順位に従って蓄積サーバ3が選択され、特にここでは、部署内のクライアントPC2とサブネットが近いものから順に順位付けがなされており、部署内のクライアントPC2に位置的に近い蓄積サーバ3が優先的に選択される。この蓄積サーバ3の割り当て及び順位付けは、固定であり、管理者により予め設定される。
【0082】
なお、管理サーバ5では、課金や利用制限などの管理上の都合で、ユーザがいずれの部署に属するかをユーザの識別情報(ユーザID)で判断するようにしており、このユーザの識別情報と部署との対応づけに関する情報と書誌情報中のユーザの識別情報とに基づいて、受付サーバ6にてユーザが属する部署を判別することができる。
【0083】
また、経理及びサブネット(192.168.3.*)の各グループでは、蓄積サーバ3を動的に選択する設定(Auto)となっており、前記と同様に、印刷指示したクライアントPC2が属するサブネットに近いものから順に蓄積サーバ3が選択される。
【0084】
図10に示す例では、ユーザごとに蓄積サーバ3が割り当てられ、ユーザごとに設定された優先順位に従って蓄積サーバ3が選択され、特にここでは、ユーザによる利用頻度が高い複合機1と同じサブネットに属するものから順に、利用頻度に応じて順位付けがなされており、各ユーザにおいて、利用頻度の高い複合機1と同じサブネットに設置された蓄積サーバ3、すなわちユーザが通常使用する複合機1に位置的に近い蓄積サーバ3が優先的に選択される。
【0085】
ユーザごとの複合機1の利用状況は、管理サーバ5の印刷履歴管理部505で集計・管理されており、印刷が終了するたびに、あるいは適宜な期間をおいて、ユーザごとの複合機1の利用頻度が更新されて受付サーバ6に送られる。
【0086】
またここでは、ユーザID00003のユーザについて、3番目に多く利用するサブネットがないため、蓄積サーバ3を動的に選択する設定(Auto)となっており、前記と同様に、印刷指示したクライアントPC2が属するサブネットに近いものから順に蓄積サーバ3が選択される。
【0087】
なおここでは、ユーザごとに集計された複合機1の利用頻度に基づいて蓄積サーバ3の割り当て及び順位付けを行うものとしたが、クライアントPC2ごとに集計された複合機1の利用頻度に基づいて行うことも可能である。
【0088】
また、この例では、複合機1の利用頻度が変化するのに応じて、蓄積サーバ3の優先順位が入れ替わるが、図8・図9の例と同様に、蓄積サーバ3の割り当て及び順位付けを固定として、管理者により予め設定されるようにしても良い。
【0089】
図11は、図1に示した印刷処理システムにおける複合機での印刷指示から印刷終了までの処理手順を示すシーケンス図である。
【0090】
複合機1において、コントロールパネル102に表示されるメイン画面でユーザがプリンタ機能を選択すると、認証待ち画面が表示され、ここでユーザがカードリーダ105にICカードをかざすと、ICカードに記憶された認証情報(ユーザIDなど)が読み込まれ、この認証情報を付したユーザ認証要求が、要求/応答部103から認証サーバ8の要求/応答部601に対して送信される。
【0091】
認証サーバ8では、複合機1からのユーザ認証要求を受信すると、ここで取得した認証情報に基づいてユーザ認証が行われ、ユーザ認証の成否を示す認証結果情報を付したユーザ認証応答が、要求/応答部601から複合機1の要求/応答部103に対して送信される。
【0092】
複合機1では、認証サーバ8からのユーザ認証応答を受信し、ユーザ認証が成功した場合には、ICカードから取得したユーザ情報(ユーザIDなど)を付した文書一覧情報要求が、要求/応答部103から管理サーバ5の要求/応答部501に対して送信される。
【0093】
管理サーバ5では、複合機1からの文書一覧情報要求を受信すると、ここで取得したユーザ情報(ユーザIDなど)に基づいて、書誌情報データベース503上で該当するユーザに関係する文書の書誌情報が検索され、ここで見つかった全ての文書に関する書誌情報を付した文書一覧情報応答が、要求/応答部501から複合機1の要求/応答部103に対して送信される。
【0094】
複合機1では、管理サーバ5からの文書一覧情報応答を受信すると、ここで取得した書誌情報に基づいて文書一覧画面がコントロールパネル102に表示される。この文書一覧画面でユーザが所要の文書を選択して、印刷のボタンを操作すると、削除確認画面が表示される。この削除確認画面は、印刷が終了した後に該当する文書の印刷データを削除するか否かを問い合わせるものであり、この削除確認画面でユーザが削除を選択操作すると、文書の識別情報(文書IDなど)及び削除指示情報を付した文書印刷要求が、要求/応答部103から管理サーバ5の要求/応答部501に対して送信される。
【0095】
管理サーバ5では、複合機1からの文書印刷要求を受信すると、ここで取得した文書の識別情報(文書IDなど)に基づいて、書誌情報データベース503上で指定の文書に関する印刷データを蓄積する蓄積サーバ3の検索が行われ、該当する蓄積サーバ3が見つかると、要求/応答部501から複合機1の要求/応答部103に対して文書印刷応答が送信され、複合機1では、印刷の受付を示す印刷指示受付画面が表示される。また、文書の識別情報(文書IDなど)、及び出力先の複合機1の識別情報(IPアドレスなど)を付した印刷データ転送要求が、管理サーバ5の要求/応答部501から蓄積サーバ3の要求/応答部301に対して送信される。
【0096】
蓄積サーバ3では、管理サーバ5からの印刷データ転送要求を受信すると、ここで取得した文書の識別情報(文書IDなど)に基づいて、文書ファイル保存部305に保存された印刷データの検索が行われ、該当する印刷データが見つかると、管理サーバ5から取得した出力先の複合機1の識別情報(IPアドレスなど)に基づいて、印刷データ送受信部302から複合機1の印刷データ受信部104に対して印刷データが送信され、複合機1において文書の印刷が行われる。
【0097】
図12は、図11に示した文書印刷の後に行われる処理手順を示すシーケンス図である。
【0098】
複合機1において、図11に示したように文書の印刷が実行されると、要求/応答部103から管理サーバ5の要求/応答部501に対して印刷完了通知が送信される。
【0099】
管理サーバ5では、複合機1からの印刷完了通知を受信すると、印刷後に文書を削除する設定となっているか否かの判定が行われ、削除する設定となっていれば、文書の識別情報(文書IDなど)を付した印刷データ削除要求が、要求/応答部501から蓄積サーバ3の要求/応答部301に対して送信される。
【0100】
また管理サーバ5では、印刷完了通知を受けた印刷ジョブに関するユーザの識別情報(ユーザID)及び複合機の識別情報(IPアドレス)を、書誌情報データベース503から読み出し、印刷履歴管理部505にてユーザ別の複合機1ごとの利用頻度を更新する処理が行われ、その利用頻度に関する情報が、要求/応答部501から受付サーバ6の要求/応答部601に対して送信される。
【0101】
受付サーバ6では、管理サーバ5からの利用頻度に関する情報を受信すると、この利用頻度に基づいてユーザごとの蓄積サーバ3の優先順位を決定して、図10に示した蓄積サーバ選定テーブルを更新する処理が行われる。
【0102】
なお、利用頻度の算出を受付サーバ6に行わせることも可能であり、この場合、印刷完了通知を受けた印刷ジョブに関するユーザの識別情報(ユーザID)及び複合機の識別情報(IPアドレス)が管理サーバ5から受付サーバ6に通知される。
【0103】
蓄積サーバ3では、管理サーバ5からの印刷データ削除要求を受信すると、ここで取得した文書の識別情報(文書IDなど)に基づいて、文書ファイル保存部305に保存された印刷データの中から該当する文書の印刷データを検索する処理が行われ、これで見つかった印刷データを削除すると共に、文書情報データベース304に登録された該当する文書に関する書誌情報を削除する処理が行われる。そして、要求/応答部301から管理サーバ5の要求/応答部501に対して印刷データ削除応答が送信される。
【0104】
管理サーバ5では、蓄積サーバ3からの印刷データ削除応答を受信すると、書誌情報データベース503に登録された該当する文書に関する書誌情報を削除する処理が行われる。
【0105】
図13は、図7に示した蓄積サーバ管理テーブルの作成・更新の処理手順を示すシーケンス図である。
【0106】
受付サーバ6では、(A)に示すように、起動すると、管理サーバ5に登録された蓄積サーバ3の情報を求める蓄積サーバ情報要求が、管理サーバ5に対して送信される。管理サーバ5では、受付サーバ6からの蓄積サーバ情報要求を受信すると、自装置に登録された全ての蓄積サーバ3の識別情報(IPアドレス)をデータベースから読み出して、その蓄積サーバ3の識別情報を付した蓄積サーバ情報応答が、受付サーバ6に対して送信される。受付サーバ6では、管理サーバ5からの蓄積サーバ情報応答を受信すると、ここで取得した蓄積サーバ3の識別情報に基づいて蓄積サーバ管理テーブルを作成する処理が行われる。
【0107】
ついで、受付サーバ6では、蓄積サーバ3の状態を調査するためのステータス問い合わせが、各蓄積サーバ3に対して送信される。各蓄積サーバ3では、受付サーバ6からのステータス問い合わせを受信すると、自装置内で収集・保持されたステータス情報を読み出して、このステータス情報を付したステータス応答が、受付サーバ6に対して送信される。受付サーバ6では、各蓄積サーバ3からのステータス応答を受信すると、ここで取得した各蓄積サーバ3ごとのステータス情報に基づいて、各蓄積サーバ3の状態、利用の可・不可、及び利用可の場合の優先順位の高低に関する情報を蓄積サーバ管理テーブルに登録する更新処理が行われる。
【0108】
また、管理サーバ5では、蓄積サーバ3に増減などの変更が生じたことを検知すると、(B)に示すように、蓄積サーバ3の変更内容に関する情報を付した変更通知が、受付サーバ6に対して送信される。受付サーバ6では、管理サーバ5からの変更通知を受信すると、ここで取得した蓄積サーバ3の変更内容に基づいて蓄積サーバ管理テーブルを更新する処理が行われ、ついで蓄積サーバ管理テーブルの更新が正常に終了したことを示す変更終了通知が管理サーバ5に送信される。
【0109】
また、蓄積サーバ3を増設した際に、管理者による更新の指示に応じて、受付サーバ6では、(C)に示すように、蓄積サーバ3に対するステータス問い合わせが行われ、これに応じて蓄積サーバ3から送られるステータス応答により、蓄積サーバ3のステータス情報を取得し、このステータス情報に基づいて蓄積サーバ管理テーブルを更新する処理が行われる。
【0110】
この他、適宜に行われるステータス問い合わせ時に受信したステータス応答により、蓄積サーバ3のステータス情報を取得すると、その蓄積サーバ3のステータス情報と、蓄積サーバ管理テーブルの登録内容とを比較して、両者に相違点があれば、蓄積サーバ3から取得したステータス情報に基づいて蓄積サーバ管理テーブルを更新する処理が行われる。
【0111】
ここで、図5に示したように、クライアントPC2からの印刷データを受信した際に、蓄積サーバ3からステータス情報を取得するようにすると、蓄積サーバ3の最新の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能か否かの判断を行うことができるため、蓄積サーバ3に印刷データを蓄積させる過程でエラーが発生することを確実に回避することができる。
【0112】
図14は、本発明による印刷処理システムの別の例による処理の手順を示す概念図である。ここでは、前記の例での受付サーバ6を管理サーバ5に併合した構成となっており、管理サーバ5が、管理下の全てのクライアントPC2からの印刷データを受け付ける受付部(受付手段)511を備えている。なお、管理サーバ5の受付部511で行われる処理の詳細は、前記の例での受付サーバ6と同様である。
【0113】
まずユーザ用のクライアントPC2においてユーザが印刷を指示すると、クライアントPC2から管理サーバ5に印刷データが送られ、管理サーバ5では、印刷データ内の書誌情報が抽出されて自装置に蓄積され、この書誌情報に基づいて蓄積サーバ3での印刷データの蓄積状況が管理される。
【0114】
また、管理サーバ5の受付部511では、各蓄積サーバ3の状態に応じて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバ3が選択され、その蓄積サーバ3に印刷データが送られる。そして、その印刷データの送信元であるユーザが印刷を許可された正規のユーザであるか否かを検証するユーザ認証が認証サーバ8で行われ、ここでのユーザ認証が成功すると、管理サーバ5から取得した印刷データが蓄積サーバ3に蓄積される。
【0115】
これ以降の処理、すなわち蓄積サーバ3に蓄積された印刷データの印刷出力は、図4の例と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明にかかる印刷処理システムは、ユーザ用の情報処理装置の構成の簡素化、及び印刷データの蓄積及び管理をそれぞれ行う2つのサーバでの処理の簡素化を図ることができ、さらにシステムの煩雑化や高コスト化を招くことなく、印刷ができなくなる事態を確実に回避して安定した運用が可能となる効果を有し、ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じて印刷装置が蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムなどとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明による印刷処理システムを示すシステム構成図
【図2】図1に示した各装置の概略構成を示すブロック図
【図3】図1に示した各装置の概略構成を示すブロック図
【図4】図1に示した印刷処理システムにおける処理の手順を示す概念図
【図5】図1に示した印刷処理システムにおける印刷データ生成から書誌情報登録までの処理手順を示すシーケンス図
【図6】図1に示したクライアントPC、蓄積サーバ、及び管理サーバでの書誌情報の処理の概要を示す概念図
【図7】図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ管理テーブルを示す図
【図8】図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ選定テーブルの一例を示す図
【図9】図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ選定テーブルの別の例を示す図
【図10】図2に示した受付サーバで用いられる蓄積サーバ選定テーブルの別の例を示す図
【図11】図1に示した印刷処理システムにおける複合機での印刷指示から印刷終了までの処理手順を示すシーケンス図
【図12】図11に示した文書印刷の後に行われる処理手順を示すシーケンス図
【図13】図7に示した蓄積サーバ管理テーブルの作成・更新の処理手順を示すシーケンス図
【図14】本発明による印刷処理システムの別の例による処理の手順を示す概念図
【符号の説明】
【0118】
1 複合機
3 蓄積サーバ
5 管理サーバ
6 受付サーバ
103 要求/応答部
104 印刷データ受信部
201 プリンタドライバ
202 印刷データ送信部
301 要求/応答部
302 印刷データ送受信部
303 通知送信部
304 文書情報データベース
305 文書ファイル保存部
501 要求/応答部
503 書誌情報データベース
504 管理サーバ設定データベース
505 印刷履歴管理部
601 要求/応答部
602 印刷データ送受信部
603 蓄積サーバ管理部
604 蓄積サーバ管理データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が前記蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムにおいて、
前記蓄積サーバを、前記情報処理装置の配置状態に応じて複数設けると共に、管理下の全ての前記情報処理装置からの印刷データを受け付ける受付サーバを設け、
前記受付サーバは、前記情報処理装置からの前記印刷データを受信すると、前記蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに前記印刷データを送信し、
前記蓄積サーバは、前記受付サーバからの前記印刷データを受信すると、その印刷データを自装置に蓄積すると共に、前記印刷データ中の書誌情報を前記管理サーバに転送し、
前記管理サーバは、前記蓄積サーバから取得した書誌情報に基づいて前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理することを特徴とする印刷処理システム。
【請求項2】
前記受付サーバは、前記蓄積サーバの各々から状態に関するステータス情報を取得し、このステータス情報に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能か否かに応じた利用の可否の判断を行い、前記ステータス情報及び利用の可否に関する情報を前記蓄積サーバごとに登録した蓄積サーバ管理テーブルを作成して、前記蓄積サーバの選択に用いることを特徴とする請求項1記載の印刷処理システム。
【請求項3】
前記受付サーバは、印刷データの送信元の前記情報処理装置またはそれを操作するユーザが属するグループごとに設定された優先順位に従って、前記蓄積サーバを選択することを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の印刷処理システム。
【請求項4】
前記蓄積サーバの優先順位は、前記グループ内の前記情報処理装置とネットワークアドレス内のサブネットが近いものから順に順位付けされることを特徴とする請求項3に記載の印刷処理システム。
【請求項5】
前記受付サーバは、印刷データの送信元の前記情報処理装置またはそれを操作するユーザごとに設定された優先順位に従って、前記蓄積サーバを選択することを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の印刷処理システム。
【請求項6】
前記蓄積サーバの優先順位は、情報処理装置またはそれを操作するユーザによる利用頻度が高い前記印刷装置と同じサブネットに属するものから順に、利用頻度に応じて順位付けされることを特徴とする請求項5に記載の印刷処理システム。
【請求項7】
前記受付サーバは、平時用とバックアップ用に少なくとも2つ設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の印刷処理システム。
【請求項8】
ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が前記蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムにおいて、
前記蓄積サーバを、前記情報処理装置の配置状態に応じて複数設けると共に、前記管理サーバに、管理下の全ての前記情報処理装置からの印刷データを受け付ける受付手段を設け、
前記管理サーバは、前記情報処理装置からの前記印刷データを受信すると、その印刷データ中の書誌情報を自装置に蓄積すると共に、前記受付手段により前記蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに前記印刷データを送信し、
前記蓄積サーバは、前記管理サーバからの前記印刷データを受信すると、その印刷データを自装置に蓄積し、
前記管理サーバは、自装置に蓄積された書誌情報に基づいて前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理することを特徴とする印刷処理システム。
【請求項1】
ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が前記蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムにおいて、
前記蓄積サーバを、前記情報処理装置の配置状態に応じて複数設けると共に、管理下の全ての前記情報処理装置からの印刷データを受け付ける受付サーバを設け、
前記受付サーバは、前記情報処理装置からの前記印刷データを受信すると、前記蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに前記印刷データを送信し、
前記蓄積サーバは、前記受付サーバからの前記印刷データを受信すると、その印刷データを自装置に蓄積すると共に、前記印刷データ中の書誌情報を前記管理サーバに転送し、
前記管理サーバは、前記蓄積サーバから取得した書誌情報に基づいて前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理することを特徴とする印刷処理システム。
【請求項2】
前記受付サーバは、前記蓄積サーバの各々から状態に関するステータス情報を取得し、このステータス情報に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能か否かに応じた利用の可否の判断を行い、前記ステータス情報及び利用の可否に関する情報を前記蓄積サーバごとに登録した蓄積サーバ管理テーブルを作成して、前記蓄積サーバの選択に用いることを特徴とする請求項1記載の印刷処理システム。
【請求項3】
前記受付サーバは、印刷データの送信元の前記情報処理装置またはそれを操作するユーザが属するグループごとに設定された優先順位に従って、前記蓄積サーバを選択することを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の印刷処理システム。
【請求項4】
前記蓄積サーバの優先順位は、前記グループ内の前記情報処理装置とネットワークアドレス内のサブネットが近いものから順に順位付けされることを特徴とする請求項3に記載の印刷処理システム。
【請求項5】
前記受付サーバは、印刷データの送信元の前記情報処理装置またはそれを操作するユーザごとに設定された優先順位に従って、前記蓄積サーバを選択することを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の印刷処理システム。
【請求項6】
前記蓄積サーバの優先順位は、情報処理装置またはそれを操作するユーザによる利用頻度が高い前記印刷装置と同じサブネットに属するものから順に、利用頻度に応じて順位付けされることを特徴とする請求項5に記載の印刷処理システム。
【請求項7】
前記受付サーバは、平時用とバックアップ用に少なくとも2つ設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の印刷処理システム。
【請求項8】
ユーザごとの情報処理装置で生成した印刷データを蓄積サーバに一旦蓄積した上で、印刷装置でのユーザの操作に応じてその印刷装置が前記蓄積サーバから印刷データを取得して印刷を行うようにすると共に、前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理サーバで管理するようにした印刷処理システムにおいて、
前記蓄積サーバを、前記情報処理装置の配置状態に応じて複数設けると共に、前記管理サーバに、管理下の全ての前記情報処理装置からの印刷データを受け付ける受付手段を設け、
前記管理サーバは、前記情報処理装置からの前記印刷データを受信すると、その印刷データ中の書誌情報を自装置に蓄積すると共に、前記受付手段により前記蓄積サーバの各々の状態に基づいて印刷データの正常な蓄積が可能な蓄積サーバを選択して、その蓄積サーバに前記印刷データを送信し、
前記蓄積サーバは、前記管理サーバからの前記印刷データを受信すると、その印刷データを自装置に蓄積し、
前記管理サーバは、自装置に蓄積された書誌情報に基づいて前記蓄積サーバでの印刷データの蓄積状況を管理することを特徴とする印刷処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−295080(P2009−295080A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150367(P2008−150367)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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