説明

印刷媒体およびリストバンド、ならびにリストバンドの作成方法

【課題】印刷媒体からリストバンドなどを切り抜く作業を容易にして作業時間を短縮し、印刷媒体の無駄な消費を抑制すること。
【解決手段】長尺の帯状の印刷媒体1の表面1aに、リストバンドの輪郭形状の型抜き部2が一定間隔で形成され、各型抜き部2と隣接する型抜き部2の間に、隣接する2つの型抜き部2を接続する直線状の型抜き部6が形成されている。型抜き部2および型抜き部6はハーフカット状に型抜きされている。リストバンド12を作成するには、プリンター9に印刷媒体1をセットして型抜き部2の印刷領域3に印刷を行い、印刷媒体1の裏面1bに付されたカットマーク8を基準として、型抜き部6と直交する切断ライン7の位置で印刷媒体1を自動切断する。切断済みの印刷媒体片1cの縁部分1dは型抜き部6と交差しているため、型抜き部6に沿って印刷媒体1を容易に切り始めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院などの各種の施設において、患者などの施設利用者の手首や足首などに巻き付けて使用するリストバンドに関する。また、リストバンドなどの輪郭形状が型抜きされており、型抜き部分への印刷を行った後、型抜き部分を切り抜いてリストバンドを作成することが可能な印刷媒体およびこれを用いたリストバンドの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院などにおいて、患者の診療科、氏名、年齢、血液型などの個人情報を印刷などによって表示したリストバンドを用いて、患者の特定を確実にすることが行われている。この種のリストバンドは、患者の四肢(例えば、手首や足首など)に環状にゆるく巻きつけて用いられ、一度取り付けた後は、意図的に切断するなどの行為がない限り、外れる可能性が低いものとなっている。
【0003】
この種のリストバンドを作成するために、長尺の帯状のバンド基材からなる印刷媒体に、予め、リストバンドの輪郭形状を型抜きしたものが用いられる。このとき、印刷媒体をプリンターにセットしやすいようにロール状に巻いておき、プリンターにセットしたロールから引き出した印刷媒体の型抜き部分に個人情報を印刷した後に、印刷済みの部分から型抜き形状に沿ってリストバンドを切り離し、リストバンドを作成することができる。
【0004】
特許文献1には、上記のような長尺の帯状の印刷媒体(バンド本体)およびこれから作成されるリストバンドが記載されている。特許文献1では、リストバンド形状がミシン目で型抜きされている長尺の帯状のバンド本体がロール状に巻かれた状態でプリンターにセットされる。プリンターは、型抜きされたリストバンド形状の幅広な部分に患者固有の情報を印刷した後、印刷済み部分をプリンターの排出口から外部に排出する。特許文献1では、印刷済みの型抜き部分と後続する未印刷の型抜き部分との中間の位置に、切断用のミシン目が形成されている。このため、排出口から排出されている印刷済みの部分を、ミシン目の位置で手で切り離すことができる。その後、切り離したバンド本体片からリストバンド形状の部分だけを手で切り離し、リストバンドとして用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−363808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、型抜きされたリストバンド形状を手で切り抜く場合、切り始めの部分が最も切りづらく、切り始めの部分を型抜き形状どおりに切り取れずに印刷媒体(バンド基材)を無駄にしてしまったり、切り抜き作業に時間がかかってしまうなどの問題点がある。
【0007】
特許文献1では、このような問題点を考慮して、型抜き形状の一部を、ミシン目ではなく完全に切り離している。具体的には、リストバンド形状の長手方向の一端側の半円形状の部分を完全に切り離している。このため、リストバンド形状の部分を切り抜く作業を行うときには、最初にこの半円形状の部分をつまみ上げてもう一端側に向けて引っ張るだけで、容易にリストバンドを切り離すことができるようになっている。
【0008】
しかしながら、特許文献1のように型抜き形状の一部を容易につまみ上げられるように予め切り抜いてしまうと、不注意などによって切り抜き部分を引っ張ってしまい、未印刷のリストバンドを切り離して無駄にしてしまうおそれがある。特に、型抜きした印刷媒体をロール状に巻いた状態で用いる場合には、ロールの外周部分において切り抜き部分が浮き上がり、不注意等によって引っ張られたり、折れ曲がったりするおそれがある。あるいは、印刷媒体にロール形状の巻き癖が付くと、ロールから引き出した部分において切り抜き部分が浮き上がってしまう。このため、不注意等によって型抜き部分が印刷前に大きく切り離されて印刷できなくなり、無駄になってしまうおそれがある。あるいは、浮き上がった部分が折れ曲がってしまい、プリンター内部で印刷機構や搬送機構に引っかかるなどの事態が発生するおそれもある。
【0009】
本発明の課題は、リストバンドなどの輪郭形状を型抜きした印刷媒体およびこれから作成されるリストバンド、およびリストバンドの作成方法において、印刷媒体から型抜き部分を切り抜く作業を容易にすると共に、切り抜き作業の失敗を抑制でき、これによってリストバンドの作成時間を短縮できると共に、印刷媒体の無駄な消費を抑制できる構成を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、所定の切り抜き形状の輪郭線に沿った切り抜き用型抜き部が、長手方向に沿って所定間隔で形成されている長尺の印刷媒体であって、
各切り抜き用型抜き部に対応して形成されている切り始め用型抜き部を備え、
当該切り始め用型抜き部は、
その一端が対応する前記切り抜き用型抜き部に接続され、且つ、当該対応する前記切り抜き用型抜き部と隣接する他の前記切り抜き用型抜き部との間において前記印刷媒体を横断するように設定されている前記印刷媒体の切断ラインと交差していることを特徴としている。
【0011】
本発明は、このような構成により、印刷媒体を切断すると、切断した縁に切り始め用型抜き部の一端が到達して、切り始め用型抜き部と印刷媒体片の縁とが交差した状態になる。このため、この交差部から、印刷媒体の切り抜き作業を極めて容易に開始できる。また、切り始め用型抜き部に沿って印刷媒体を切断してゆくと、切断部が、切り抜き用型抜き部(切り抜き形状の輪郭線)との接続位置に到達する。このため、この接続位置から、切り抜き形状の輪郭線に沿った切り抜き作業を容易に開始できる。従って、切り抜き作業の失敗が発生しにくい。また、本発明では、未切断の印刷媒体の部分では、切り始め用型抜き部が印刷媒体の縁まで届いていないため、不注意などによって印刷媒体が切断されてしまうなどの失敗が発生しにくい。よって、切り抜き作業にかかる時間を短縮できると共に、印刷媒体の無駄な消費を抑制できる。
【0012】
本発明において、前記切り始め用型抜き部を、前記印刷媒体の長手方向に隣接して配置されている2つの前記切り抜き用型抜き部のうちの一方に一端が接続され、他方に他端が接続されるように構成することができる。このようにすれば、隣接する一方の切り抜き用型抜き部(切り抜き形状の輪郭線)に沿って印刷媒体を切り抜いたときに、切抜き済みの輪郭線の縁から、もう一方の切り抜き用型抜き部に接続されている切り始め用型抜き部(切り抜き形状の輪郭線)の切り抜き作業を開始することができる。よって、複数の切り抜き形状の切り抜き作業をまとめて行う場合などに、各切り抜き形状ごとに印刷媒体を切断する必要がなく、印刷媒体片の最も端に位置する切り抜き形状から、順次切り抜き作業を進めてゆくことができる。
【0013】
また、各切り抜き用型抜き部を、前記印刷媒体の長手方向に沿った一端と他端に、それぞれ、前記切り始め用型抜き部が接続されるように構成することができる。このようにすれば、各切り抜き用型抜き部の切り抜き作業を、長手方向の一端側と他端側のいずれの側からも開始することができる。よって、切り始め位置を探す手間を削減できると共に、切り抜き作業を更に容易に行うことができる。
【0014】
ここで、前記切断ラインが、前記印刷媒体を前記長手方向に沿って搬送しながら各切り抜き用型抜き部に印刷を行い、印刷済みの各切り抜き用型抜き部が形成された前記印刷媒体の部分をオートカット処理によって切断するプリンターを用いた場合の前記印刷媒体のオートカット位置である場合には、当該オートカット位置の基準となるマークが、各オートカット位置に対応して付された構成とすることができる。このような構成では、オートカット処理により、印刷媒体を正確な位置で自動切断できる。よって、確実に印刷媒体片の縁と切り始め用型抜き部との交差部を形成できる。
【0015】
この場合に、前記切り始め用型抜き部は、前記切断ラインと直交していることが望ましい。また、前記切り始め用型抜き部は、前記切り抜き用型抜き部との接続位置において、前記切り抜き用型抜き部と直交していることが望ましい。このように、印刷媒体の切断縁と直交するように切り始め用型抜き部を形成すれば、切り始める作業が容易であり、且つ、切り損なうなどの失敗も発生しにくい。また、接続位置から輪郭線に沿って切り抜き作業を開始するときも作業が容易であり、失敗が発生しにくい。
【0016】
また、このとき、前記切り始め用型抜き部は、前記印刷媒体の厚み方向の一部を残して型抜きするハーフカット、あるいは、切り残し部分を部分的に形成して他の部分を完全に切り離す部分残しカットのいずれかの形態に型抜きされていることが望ましい。このような型抜きは、切り離されるまでは型抜き形状に沿って印刷媒体片が浮き上がったりすることがないため、不注意によって印刷媒体が切り離されたり、プリンター内で印刷媒体片が装置に引っかかるなどの不具合が発生し難い。
【0017】
本発明において、前記輪郭線は、人体の所定部分に巻きつけて使用されるリストバンドの輪郭線であり、当該輪郭線に囲まれた領域内に、巻き付け対象の人体の情報を印刷するための印刷領域が設定されている。このような印刷媒体は、プリンターで人体の情報を印刷した後、切り抜いてリストバンドとして使用できる。よって、必要に応じてリストバンドを作成するのに便利である。
【0018】
次に、本発明は、上記の印刷媒体を、前記切り抜き用型抜き部に沿って切り抜くことによって作成されるリストバンドである。
【0019】
また、本発明は、上記のリストバンドの作成方法であって、
上記の印刷媒体をプリンターにセットして前記長手方向に沿って搬送しながら、前記切り抜き用型抜き部に印刷を行い、
印刷済みの前記切り抜き用型抜き部よりも搬送方向上流側の前記切断ラインに沿って前記印刷媒体を切断し、当該切断された印刷媒体片の縁に前記切り始め用型抜き部との交差部を出現させ、
当該交差部から、前記切り始め用型抜き部に沿って前記切り抜き用型抜き部との接続位置まで前記印刷媒体を切断した後に、当該接続位置から、前記切り抜き用型抜き部に沿った前記印刷媒体の切り抜き作業を開始することを特徴としている。
【0020】
本発明において、前記プリンターが備えるオートカット機構により、前記切断ラインに沿って前記印刷媒体を切断し、当該切断の際には、前記切断ラインに対応して付されているマークを前記プリンターで検出して、前記切断ラインを前記オートカット機構による切断位置に位置決めすることができる。このようにすれば、印刷媒体を正確な位置で自動切断できる。よって、確実に印刷媒体片の縁と切り始め用型抜き部との交差部を形成できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の印刷媒体は、印刷媒体を切断すると、切断した縁に切り始め用型抜き部の一端が到達して、切り始め用型抜き部と印刷媒体片の縁とが交差した状態になる。このため、この交差部から、印刷媒体の切り抜き作業を極めて容易に開始できる。また、切り始め用型抜き部に沿って印刷媒体を切断してゆくと、切断部が、切り抜き用型抜き部(切り抜き形状の輪郭線)との接続位置に到達する。このため、この接続位置から、切り抜き形状の輪郭線に沿った切り抜き作業を容易に開始できる。従って、切り抜き作業の失敗が発生しにくい。また、本発明では、未切断の印刷媒体の部分では、切り始め用型抜き部が印刷媒体の縁まで届いていないため、不注意などによって印刷媒体が切断されてしまうなどの失敗が発生しにくい。よって、切り抜き作業にかかる時間を短縮できると共に、印刷媒体の無駄な消費を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる印刷媒体の説明図(表面図、裏面図、部分断面図)である。
【図2】図1の印刷媒体に印刷するプリンターの概略構成を示す説明図である。
【図3】切断された印刷媒体片の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した印刷媒体およびリストバンド、並びにリストバンドの作成方法の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は本発明の印刷媒体の説明図であり、図1(a)はリストバンドの輪郭線に沿った型抜き部が形成されている部分の表面図、図1(b)は図1(a)の印刷媒体の裏面図である。また、図1(c)は型抜き部の断面構成を示す部分断面図である。図1(a)(b)に示すように、印刷媒体1は一定幅の長尺の帯状に形成されている。印刷媒体1の表面1aには、後述するリストバンド12の輪郭線に沿った形状の型抜き部2(切り抜き用型抜き部)が、印刷媒体1の長手方向に沿って一定間隔で配列されている。印刷媒体1は、病院において、患者の手首や足首などに巻き付けて使用するリストバンド12として用いるのに適した素材で形成されており、例えば、防水性があり、医学的にも安全性が高いポリウレタン等の素材で形成されている。
【0025】
各型抜き部2は、印刷媒体1の長手方向に沿って一定幅で延びており、その両端が半円形状となっている。各型抜き部2における長手方向の一端側寄りの位置には、印刷媒体1の表面1aに、患者情報などを印刷するための印刷領域3が設けられている。印刷媒体1は、少なくとも表面1aにおける印刷領域3の部分については、インクジェット印刷が可能な面となっている。一方、各型抜き部2における印刷領域3から外れた部分は、一定間隔で係止穴4が形成されたベルト部5となっている。各係止穴4は印刷媒体1を貫通しており、型抜き部2の幅方向の中心線に沿って配列されている。
【0026】
各型抜き部2は、隣接する型抜き部2と、その半円形の端部同士が互いに対峙している。印刷媒体1の表面1aには、この互いに対峙する端部間に延びる直線状の型抜き部6(切り始め用型抜き部)が形成されている。型抜き部6は、型抜き部2の幅方向の中心線に沿って延びているため、その一端および他端が、それぞれ、型抜き部2における半円形状の頂点部分に垂直に接続されている。本実施形態では、隣接する2つの型抜き部2の間に必ず型抜き部6が形成されているため、各型抜き部2の両端に、それぞれ、型抜き部6が接続されている。
【0027】
印刷媒体1の裏面1bには、図1(b)に示すように、各型抜き部6と直交するように設定されている印刷媒体1の切断ライン7の位置を規定するカットマーク8が付されている。切断ライン7は後述するプリンター9によるオートカット位置であり、印刷媒体1を横断する方向に設定されている。また、各カットマーク8は、対応する切断ライン7に対して、後述するプリンター9における印刷媒体1への印刷進行方向(図1(a)(b)における矢印A方向)の上流側に位置している。
【0028】
型抜き部2および型抜き部6は、いずれも、図1(c)に示すように、印刷媒体1の厚さの半分程度の深さまで切り込みを入れるハーフカット状に型抜きされている。なお、型抜き部2および型抜き部6を、ミシン目状に型抜きしてもよい。あるいは、切り残し部分を部分的に形成して他の部分を完全に切り離す部分残しカットとしてもよい。例えば、型抜き部6を、中央の一点のみがつながっており、他の部分は完全に切り離されている1点残しカットとしてもよい。
【0029】
図2は印刷媒体への印刷を行うプリンターの概略構成を示す説明図である。図2に示すように、印刷媒体1は、ロール状に巻いた状態でプリンター9にセットされている。ロールから引き出された印刷媒体1は、プリンター9内の搬送経路に沿って、図1(a)(b)に示す印刷進行方向Aに搬送される。プリンター9は、各印刷領域3がインクジェットヘッド10による印刷位置を通過する際に、当該印刷領域3に対して印刷を行う。各印刷領域3への印刷は、図示しない上位装置等から送信された患者情報などの印刷データに基づいて行われる。
【0030】
印刷が完了すると、プリンター9は、印刷済みの印刷領域3を有する型抜き部2が形成されている印刷媒体1の部分を、オートカット機構11によるカット位置を経由して搬送し、プリンター9の排出口から外部へ排出する。このとき、カット位置の上流側の適宜位置に設けられた光学センサー等によってカットマーク8を読み取り、この読取結果に基づいて、印刷領域3への印刷が完了した型抜き部2と、その搬送方向上流側に位置する未印刷の型抜き部2との間に設定されている切断ライン7を、オートカット機構11によるカット位置に位置決めする。そして、切断ライン7の位置で印刷媒体1を切断する。このように、カットマーク8に従ってオートカット処理を行うことにより、切断ライン7の位置で正確に印刷媒体1を自動切断できる。なお、カットマーク8の読み取りを印刷位置の上流側において行っても良く、カットマーク8の位置に基づいて印刷領域3の搬送位置を判断して、印刷領域3の印刷位置への位置決めを行うこともできる。
【0031】
図3は切断された印刷媒体片の説明図であり、図3(a)はリストバンドの切り抜き前の状態を示す説明図、図3(b)はリストバンドを切り抜いた後の状態を示す説明図である。図3(a)に示すように、印刷媒体片1cは、その長手方向の両端がいずれも切断ライン7に沿って切断された縁部分1dとなっており、各縁部分1dと直交する位置まで型抜き部6が延びている。このように、型抜き部2の両端がいずれも型抜き部6に接続されており、各型抜き部6が縁部分1dまで延びている場合には、いずれか一方の縁部分1dから、交差する型抜き部6に沿って印刷媒体1の切り抜き作業を容易に開始することができる。そして、型抜き部6に沿って型抜き部2との交差位置まで印刷媒体1を切断し、この交差位置から型抜き部2に沿った切り抜き作業を容易に開始することができる。従って、図3(b)に示すようなリストバンド12を、印刷媒体1の不要な部分から容易に切り離すことができる。
【0032】
切り抜かれたリストバンド12は、印刷領域3の面を外側にして患者の手足などに巻き付けて、両端のベルト部5を係止穴4が重なり合うように重ね合わせる。この状態で、重なり合った係止穴4にクリップなどの固定具を挿入して固定することにより、患者の手足などに、リストバンド12を簡単に外れないように取り付けることができる。
【0033】
本実施形態では、このように、印刷後に印刷媒体1をオートカット処理によって切断することにより、印刷済みの型抜き部2が形成されている印刷媒体片1cの切断縁に、型抜き部6の一端が直交した状態が形成される。このため、切断済みの印刷媒体片1cを型抜き部6に沿って切り始めて型抜き部2との交差位置まで切り抜き、更に、型抜き部2に沿って切り抜き作業を進めてゆくことができる。よって、リストバンド12を切り抜く作業が極めて容易であり、失敗も少ない。また、型抜き部6は、印刷媒体1を切断することによって初めて印刷媒体1の切断縁と交差した状態となるので、未切断の印刷媒体1の部分において不注意などによって型抜き部6に沿って印刷媒体が切断され始めてしまうなどの失敗が発生しにくい。以上により、リストバンド12を切り抜く作業にかかる時間を短縮でき、切り抜き作業による印刷媒体1の無駄な消費を抑制できる。
【0034】
特に、本実施形態では、型抜き部6が切断ライン7および型抜き部2のラインと直交している。このため、型抜き部6を切り始めるとき、および型抜き部2を切り始めるときの失敗が少なく、切り始めが容易である。また、図3(a)に示すように、型抜き部2の長手方向の両端側を切断した場合には、どちらの側の型抜き部6からでも切り抜き作業を開始できる。よって、切り始め位置を探す手間を省略でき、切り抜き作業にかかる時間を更に短縮することができる。
【0035】
ここで、複数のリストバンド12を作成する場合には、図3(a)に示すように各型抜き部2ごとに印刷媒体1を切断せず、必要とする数の型抜き部2に印刷を行った後に印刷媒体1を切断して、印刷済みの型抜き部2が複数配列された印刷媒体片を形成してもよい。この場合は、印刷媒体片の最も端に位置する型抜き部2から切り抜き作業を開始することができる。そして、切り抜きが終わった型抜き部2の縁から、隣接する型抜き部2との間に形成された型抜き部6の切断を開始し、続けて、隣接する型抜き部2の切り抜き作業を行うことができる。このように、本実施形態では、型抜き部6によって隣接する型抜き部2がつながった状態となっているため、複数のリストバンド12を順次切り抜いてゆく作業を極めて容易に行うことができる。
【0036】
(改変例)
(1)上記実施形態では、型抜き部6が切断ライン7と直交しているが、必ずしも直交させる必要はなく、直角を中心とした所定の角度範囲内の角度で交差していればよい。型抜き部6と印刷媒体片1cの縁部分1dとの交差角度があまりに小さいと切り始め位置がわかりにくく、切り始め作業もそれほど容易にはならないが、交差角度がある程度以上に大きくなれば、切り始め作業は極めて容易である。同様に、型抜き部6と型抜き部2の交差角度についても、直角を中心とした所定の角度範囲内の角度で交差していればよく、直交していなくても良い。
【0037】
(2)上記実施形態では、隣接する型抜き部2同士を接続するように型抜き部6が形成されているが、各型抜き部6の一端を型抜き部2の印刷進行方向の後方側の端部に接続させる一方、もう一端を隣接する型抜き部2まで延ばすことなく、切断ライン7の位置あるいはこれをわずかに越える程度の位置までの長さにしておいてもよい。このようにすれば、切断された印刷媒体片においては、切断された縁部分1dと型抜き部6とが交差した状態が形成されている一方、ロールとつながっている側の印刷媒体1の縁部分1dには、型抜き部2と接続された型抜き部6は形成されなくなる。このため、ロールとつながっている側の印刷媒体1を不注意などによって切り始めてしまうなどの失敗が発生しにくい。
【0038】
(3)上記実施形態では、インクジェット式のプリンター9とインクジェット印刷が可能な印刷媒体1を用いていたが、インクジェット以外の印刷方式で印刷を行うプリンターおよび印刷媒体に本発明を適用しても良い。
【0039】
(4)上記実施形態の印刷媒体1は、リストバンド12の輪郭線に沿った形状の型抜き部2を形成したものであったが、本発明は、リストバンド12以外の所望の形状に切り抜いて使用する印刷媒体に適用することができる。例えば、人間以外の動物に取り付ける生体情報表示バンドや、生体以外の各種の物体に取り付けて使用する表示バンドなどを作成するための印刷媒体に適用することができる。また、各種のラベルや表示札などを作成するための印刷媒体に適用することもできる。
【0040】
(5)上記実施形態では、印刷時にオートカット機構11によって印刷媒体1を自動切断していたが、手動で印刷媒体1を切断する方式とすることもできる。例えば、プリンターの排出口に手動切断用のカッターを配置しておき、切断ライン7の位置をカッターに位置合わせするように印刷媒体1を搬送し、ユーザーが手動で印刷媒体1を切断するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…印刷媒体、1a…表面、1b…裏面、1c…印刷媒体片、1d…縁部分、2…型抜き部(切り抜き用型抜き部)、3…印刷領域、4…係止穴、5…ベルト部、6…型抜き部(切り始め用型抜き部)、7…切断ライン、8…カットマーク、9…プリンター、10…インクジェットヘッド、11…オートカット機構、12…リストバンド、A…印刷進行方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の切り抜き形状の輪郭線に沿った切り抜き用型抜き部が、長手方向に沿って所定間隔で形成されている長尺の印刷媒体であって、
各切り抜き用型抜き部に対応して形成されている切り始め用型抜き部を備え、
当該切り始め用型抜き部は、
その一端が対応する前記切り抜き用型抜き部に接続され、且つ、当該対応する前記切り抜き用型抜き部と隣接する他の前記切り抜き用型抜き部との間において前記印刷媒体を横断するように設定されている前記印刷媒体の切断ラインと交差していることを特徴とする印刷媒体。
【請求項2】
請求項1において、
前記切り始め用型抜き部は、
前記印刷媒体の長手方向に隣接して配置されている2つの前記切り抜き用型抜き部のうちの一方に一端が接続され、他方に他端が接続されていることを特徴とする印刷媒体。
【請求項3】
請求項1または2において、
各切り抜き用型抜き部は、前記印刷媒体の長手方向に沿った一端と他端に、それぞれ、前記切り始め用型抜き部が接続されていることを特徴とする印刷媒体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかの項において、
前記切断ラインは、前記印刷媒体を前記長手方向に沿って搬送しながら各切り抜き用型抜き部に印刷を行い、印刷済みの各切り抜き用型抜き部が形成された前記印刷媒体の部分をオートカット処理によって切断するプリンターを用いた場合の前記印刷媒体のオートカット位置であり、
当該オートカット位置の基準となるマークが、各オートカット位置に対応して付されていることを特徴とする印刷媒体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかの項において、
前記切り始め用型抜き部は、前記切断ラインと直交していることを特徴とする印刷媒体。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかの項において、
前記切り始め用型抜き部は、前記切り抜き用型抜き部との接続位置において、前記切り抜き用型抜き部と直交していることを特徴とする印刷媒体。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかの項において、
前記切り始め用型抜き部は、前記印刷媒体の厚み方向の一部を残して型抜きするハーフカット、あるいは、切り残し部分を部分的に形成して他の部分を完全に切り離す部分残しカットのいずれかの形態に型抜きされていることを特徴とする印刷媒体。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかの項において、
前記輪郭線は、人体の所定部分に巻きつけて使用されるリストバンドの輪郭線であり、
当該輪郭線に囲まれた領域内に、巻き付け対象の人体の情報を印刷するための印刷領域が設定されていることを特徴とする印刷媒体。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷媒体を、前記切り抜き用型抜き部に沿って切り抜くことによって作成されるリストバンド。
【請求項10】
請求項9に記載のリストバンドの作成方法であって、
請求項8に記載の印刷媒体をプリンターにセットして前記長手方向に沿って搬送しながら、前記切り抜き用型抜き部に印刷を行い、
印刷済みの前記切り抜き用型抜き部よりも搬送方向上流側の前記切断ラインに沿って前記印刷媒体を切断し、当該切断された印刷媒体片の縁に前記切り始め用型抜き部との交差部を出現させ、
当該交差部から、前記切り始め用型抜き部に沿って前記切り抜き用型抜き部との接続位置まで前記印刷媒体を切断した後に、当該接続位置から、前記切り抜き用型抜き部に沿った前記印刷媒体の切り抜き作業を開始することを特徴とするリストバンドの作成方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記プリンターが備えるオートカット機構により、前記切断ラインに沿って前記印刷媒体を切断し、
当該切断の際には、前記切断ラインに対応して付されているマークを前記プリンターで検出して、前記切断ラインを前記オートカット機構による切断位置に位置決めすることを特徴とするリストバンドの作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−215536(P2011−215536A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85868(P2010−85868)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】