説明

印刷教材を入手した受講者のみに授業データのダウンロードを許す講座提供方法

【課題】印刷教材を入手した正規の受講者のみが授業データをインターネット経由で入手できるように講座を提供する方法を提供する。
【解決手段】講座提供業者は、講座に用いる印刷教材にダウンロードに必要な入手先アドレスとパスワードを掲載し、これを受講者に配布または販売する(12)。教室または放送にて授業を提供する(20)。受講者が、印刷教材の所望の日時の学習内容に対応する授業が必要な場合、その学習内容に対応する授業データのダウンロードに必要なキー情報として、少なくともパスワードを入手先アドレスを用いて(30)インターネット経由で前記講座提供業者に送信する(32,34)。講座提供業者は、これに応じて、キー情報に関係付けられた学習内容に対応する授業データをキー情報を送信した受講者の装置にインターネット経由で送信する(36)。パスワードは、機械読み取り可能な印刷コードでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して講座を提供する方法に関し、さらに詳細には、講座で使用する印刷教材を入手した受講者のみに授業の音声データまたはビデオデータのダウンロードを許す技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明が対象とする講座は、例えば、NHK(日本放送協会)などにより事前に販売されるテキストなどの印刷教材にそってラジオ放送やテレビ放送で提供される語学学習講座、独自のテキストを用いて放送により授業が行われる放送通信講座、専門学校などの学校により、受講手続きが済んだ学習者、すなわち受講者に事前に配布されるテキストなどの印刷教材にそって所定の教室等で授業が行われる各種講座である。
【0003】
このような講座で使用される印刷教材は、所定のスケジュールによる日時ごとの授業で学習する学習内容からなり、授業は印刷教材の学習内容にそって行われる。受講者は、スケジュールで定められた日時に放送を視聴したり、授業に出席したりすることになる。なお、以下において、放送および学校による講座を同等に扱うため、「放送を視聴する」ことおよび「授業に出席する」ことを区別せず「授業を受ける」と表現する。
【0004】
しかし、普段は授業を受けている受講者でも、何らかの都合により受けられない場合もある。特に社会人においては仕事の都合上、きちんと授業が受けられない傾向が強い。このような場合、既に為された放送または授業の音声またはビデオのデータ(以降、授業データと言う)を簡単に再生することができれば、好都合である。
【0005】
なお、NHKのラジオによる英語講座ではテキストの他に英語の部分をCD−ROMに記録して販売しているが、放送内容が総て収録されているわけではないので、練習の部分は問題ないが、学習内容の説明の部分を知ることができない。
【0006】
しかし、例えば、テレビの放送番組であれば、予約録画が簡単にできるので、普段視聴しているテレビの語学講座番組を視聴できないことが事前に分かっている場合は、問題ないが、不意に都合が悪くなり番組を視聴できないこともあり得る。特に、ラジオ放送の番組の場合、予約録音すること自体が難しい。
【0007】
このためには、講座を提供する例えばNHK等のような語学教育番組提供先や各種学校など(以降、講座提供業者と称する)が、所定のスケジュールにしたがって放送される語学講座番組や実施される学校の授業をWeb(World Wide Web(=WWW)の意)上に(具体的には、講座提供業者のWebサーバ上に)蓄積しておき、特定の日時の放送または授業に対して利用者から要求があった場合、これに応じて、所望の日時の授業データをインターネット経由で提供するサービスを行えばよい。
【0008】
但し、このようなサービスは不特定多数の人に開放すると、学校が実施する有料の講座の場合、授業が無料で受けられることになり、放送による講座の場合、講座提供業者のWebサーバへのアクセスが不当に増え、不都合が生じる虞がある。
【0009】
したがって、上述のサービスは、学校の講座の場合は受講手続きを済ませて印刷教材を入手した受講者、放送の講座の場合は講座提供業者が販売する印刷教材を例えば書店での購入者に限って提供することが好ましい。
【0010】
書籍の購入者のみがインターネット経由でコンテンツを入手できるという点において類似した技術としては、例えば、「電子記録媒体およびこれを用いた曲配信方法」(特許文献1参照)および「ホームページを利用した書籍等の販売方法」(特許文献2参照)などが提案されている。
【0011】
特許文献1は、曲サンプル、ID(識別情報)、パスワードなどを保存したSDカード付きの雑誌を販売し、購入者は、付属のSDカードを携帯電話に装着して曲サンプル曲を聞き、気に入った場合、その曲をダウンロードして再生できるというものである。しかし、この場合、ダウンロードできるコンテンツが、SDカードに記録されているサンプルの曲データに限られるため、雑誌(印刷教材に相当)の内容に関係付けられたコンテンツをダウンロードすることができない。
特許文献2は、書籍などの紙媒体を販売するとともに、紙媒体に記載された情報より詳しい補足情報を紙媒体の購買者のみがアクセスできるようにホームページ上に掲載することにより、紙媒体の販売を促進するものである。この場合、書籍のコンテンツより詳しい情報が詳細なホームページとして提供されるので、講座の授業のように数10分以上にわたる音声またはビデオなどの時系列データである授業データを提供するには不向きである。
【特許文献1】特開2002−297155(段落0020〜0024、図5)
【特許文献2】特開2004−70630(段落0013〜0016、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、以上の点に鑑みて為されたものであり、印刷教材を入手した正規の受講者(学習者)のみが授業データをインターネット経由で入手できるようにし、その講座を提供する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
叙述の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、所定のスケジュールによる日時ごとの学習内容が記載された印刷教材と該印刷教材の各学習内容に沿った授業を提供することにより講座を提供する方法であり、講座提供業者が、前記授業を記録しWeb上に蓄積された音声またはビデオの授業データのダウンロードを前記印刷教材の購入者のみに許すためのパスワードを前記印刷教材に設けるパスワード添付ステップと、前記講座提供業者が前記印刷教材を配布する配布ステップと、前記講座提供業者が、各受講者に配布される前記印刷教材に対し、少なくとも前記配布ステップにおいて必要な料金を受け取る料金受領ステップと、前記講座提供業者が、前記スケジュールによる日時ごとに、前記印刷教材の当該日時の学習内容に対応する前記授業を受講者に提供する授業ステップと、受講者が、前記印刷教材の所望の日時の学習内容に対応する前記授業が必要な場合、前記所望の日時の学習内容に対応する前記授業データのダウンロードに必要なキー情報として、少なくとも前記パスワードをインターネット経由で前記講座提供業者に送信する要求ステップと、前記講座提供業者が、前記キー情報を受信した場合、前記キー情報に関係付けられた前記学習内容に対応する授業データを前記キー情報を送信した受講者の装置に前記インターネット経由で送信する送信ステップとを含むことを特徴とした。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の講座提供方法において、前記講座は、ラジオ放送またはテレビ放送の語学学習番組であり、前記配布ステップと前記料金受領ステップは、前記印刷教材を販売するステップからなり、前記授業ステップは、前記印刷教材の当該日時の学習内容に対応する前記授業を送信するステップからなることを特徴とした。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の講座提供方法において、前記講座は、学校が提供する講座であり、前記料金受領ステップは、前記配布ステップに先立って実施され、前記講座に必要な料金を各受講希望者から受け取るか、または受け取る手続きを行うステップを含み、前記授業ステップは、前記印刷教材の当該日時の学習内容に対応する前記授業を所定の教室で行うステップからなることを特徴とした。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3いずれか記載の講座提供方法において、前記パスワード添付ステップは、前記パスワードを符号化した機械読み取り可能な印刷コードとして前記印刷教材に掲載するステップからなり、前記要求ステップは、前記印刷教材に掲載された前記印刷コードから印刷コード認識機能を有するカメラ付き携帯端末または携帯電話により前記パスワードを読み取るステップを含むことを特徴とした。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3いずれか記載の講座提供方法において、前記パスワード添付ステップは、前記印刷教材の各学習内容ごとに、当該学習内容に割り当てられた学習内容ごとのパスワードを符号化した機械読み取り可能な印刷コードを当該学習内容に関係付けて前記印刷教材に掲載するステップからなり、前記要求ステップは、前記所望の日時の学習内容に関係付けられた前記印刷コードから印刷コード認識機能を有するカメラ付き携帯端末または携帯電話により前記の学習内容ごとのパスワードを読み取り、読み取った前記の学習内容ごとのパスワードを前記キー情報として送信し、前記送信ステップは、前記の学習内容ごとのパスワードに関係付けられた前記学習内容に対応する授業データを送信することを特徴とした。
請求項6記載の発明は、請求項1〜3いずれか記載の講座提供方法において、前記印刷教材の各学習内容ごとに、当該学習内容に割り当てられた学習内容IDを当該学習内容に関係付けて前記印刷教材に掲載するステップをさらに含み、前記パスワード添付ステップは、前記印刷教材の総ての学習内容に共通のパスワードを符号化した機械読み取り可能な印刷コードを前記印刷教材に掲載する共有パスワード添付ステップからなり、前記要求ステップは、前記印刷教材に掲載された前記印刷コードから印刷コード認識機能を有するカメラ付き携帯端末または携帯電話により前記パスワードを読み取るステップと、読み取った前記パスワードと前記所望の日時の学習内容の学習内容IDとを前記キー情報としてインターネット経由で前記講座提供業者に送信するステップとを含み、前記送信ステップは、前記キー情報に含まれる前記学習内容IDで特定される学習内容に対応する授業データを送信することを特徴とした。
【発明の効果】
【0014】
請求項1〜4の本発明によれば、印刷教材を入手した正規の学習者のみがパスワードを介して印刷教材にそって与えられる授業の授業データをインターネット経由で入手できるので、学習者は、受講できなかった場合でも、追って任意に必要な学習データを適宜ダウンロードして再生することが可能となる。
請求項5、6の本発明によれば、各学習内容毎にパスワードまたは学習内容IDを設けたため、受講者は聞き逃したり、リアルタイムで聞いてもそれが理解できなかったり、あるいは学校においては出席できなかったような場合でも、所望の部分の学習を容易に聞くことができる、といった効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態例と添付図面により本発明を詳細に説明する。
なお、複数の図面に同じ要素を示す場合には同一の参照符号を付ける。
【0016】
<発明の原理>
図1は、本発明による講座提供方法の原理を説明するための図である。図1において、講座提供業者は、例えばNHKのような放送による講座を提供する語学教育番組提供先または有料の講座を提供する各種の学校などである。図1においては、一方のタイプの業者に限定せず、両方のタイプに共通の事項を説明する。講座を受けようとする学習者は、まず講座の受講料なり、語学教育番組のテキスト代なりの必要な料金を支払い(ステップ10)、講座で使用する印刷教材を入手する(ステップ12)。語学教育番組では具体的には書店でテキストを購入することが料金支払いに相当する。料金を支払って教材を入手した学習者(即ち、受講者)は、通常、受講する講座のスケジュールで定められた日時に、所定の教室または所定の放送チャネル等で授業を受ける(ステップ20)。
【0017】
なお、講座提供業者は、別途提供する講座の授業ごとの授業データをサーバ1またはサーバ1に接続された別のコンピュータにデータベース100として蓄積しておく。授業データは、ラジオ、テレビまたは学校などの講座の種類により、音声データの場合も、ビデオデータの場合もある。印刷教材には、講座提供業者の側に蓄積されている授業データを受講者が入手するためのパスワード(PW)を後述のように種々の形式で掲載することが可能である。
【0018】
受講者が、授業を受け損ない、受けられなかった授業の授業データを入手する場合、まず受講者は、印刷教材からサーバ1のアドレス(SA)とパスワードを入手する(ステップ30,32)。次に、受講者は、受講者が印刷教材を所有する受講者であることを示すとともに、入手しようとする授業データを特定することを可能とするパスワードのようなキー情報を携帯電話、PDA(携帯情報端末)またはコンピュータなどの端末装置3からサーバアドレス(SA)を用いて入力し、インターネット経由でサーバ1に送る(ステップ34)。後述のように、キー情報には、印刷教材から取得したパスワードが少なくとも含まれる。講座提供業者のサーバ1は、受講者の端末装置3からパスワードを含むキー情報を受信すると、送信者が教材を購入した受講者であるか否かを判断し、キー情報を用いて授業データのデータベース100から該当する授業データを取り出して、その授業データをインターネット経由で受講者の端末装置3に送信する(ステップ36)。このようにして、受講者は、受信した授業データを端末装置3で再生することにより、受け損ねた授業を受けることができる。
【0019】
なお、例えば、端末装置3が携帯電話で、授業データがビデオデータであるような場合、携帯電話では再生画像が見にくいので、コンピュータで再生したいということもある。このような場合、受講者は、ステップ34において、キー情報の他に、授業データを受信したい端末のアドレス(例えば、URL)を一緒に送るようにしてもよい。この場合、サーバ1は、授業データをキー情報送信元ではなく、キー情報とともに受信したアドレス(図1の例では、受講者の別の端末装置4)に送ることになる。
【0020】
このように、本発明によれば、印刷教材を入手した正規の受講者のみが印刷教材に沿って与えられる授業の授業データをインターネット経由で入手できるので、受講者は、本来の授業を受けられなかった場合でも、必要な授業データを適宜ダウンロードして再生することが可能となる。
【0021】
授業データの送信方法としては、最初にダウンロードして、後から再生する方法と、送信しながら再生も同時に行うストリーミング方式があるが、前者の方が送信効率がよく、任意の時刻に何回でも再生できるので好ましい。
【0022】
<パスワードの形態>
パスワードは、パスワードを構成する文字列をそのまま印刷教材の所定の箇所に印刷してもよいし、パスワードを符号化して機械読み取り可能な形式の印刷コードとして印刷してもよい。
【0023】
前者の場合は、受講者が自ら読んで使用するので、携帯端末3は、インターネットアクセス機能と受信した授業データ(音声またはビデオ)を再生する機能を備えたものであれば、何でもよい。
【0024】
印刷教材に印刷コードを掲載する場合は、印刷コード認識(または読み取り)機能を備えたカメラ付きの携帯電話またはPDAを携帯端末3として用いる必要がある。
【0025】
なお、印刷コードとしては、バーコードのほか適切な2次元コードを使用することができる。2次元コードの方が、記録密度が高いので印刷コードを小さくすることが可能である。例えば、2次元コードとしては、QRコードが普及している。
【0026】
パスワードをそのまま印刷する方法は、印刷コードに比較して、書店などに陳列された印刷教材からパスワードが不正に入手される可能性が高いので、印刷コードを用いる方が好ましい。このため、後述する実施形態では印刷コードを用いるが、後続のパスワードの付け方の説明においては、便宜上、パスワード自体とこれをコード化した印刷コードとを区別せず、パスワードと言うことにする。
【0027】
<パスワードの割り当て方>
パスワードの掲載方法には、図2に示すように印刷教材に含まれる授業ごとの学習内容の各々に1つずつ印刷コードPCとして掲載する方法と、図4Aに示すように印刷教材に1つだけ印刷コードPCとして掲載する方法とが考えられる。
【0028】
<授業別パスワード>
つまり、前者の方法は、各学習内容ごと(または授業ごと)に割り当てられたパスワード(以降、授業別パスワードと称する)を対応する学習内容に関係付けて掲載する方法である。図3は、印刷教材の学習内容ごとに授業別パスワードを印刷する実施形態の授業データのデータベース100aの構成の一例を示す図である。
【0029】
図3の例では、講座提供業者は、総数mの講座CL1,CL2,...,CLmを提供し、全講座を構成する授業数はnである。データベース100aは、講座ごとに収容する講座ごとに用意した個数mのディレクトリまたはフォルダ(CL1、CL2,・・・、CLm)に授業データを収容し、授業データ管理テーブル110を備えている。授業データ管理テーブル110の各レコードは、少なくとも講座ID、教材内容ID(または授業ID)、および授業または教材内容ごとのパスワードからなる。この形態では、総数nの授業、授業データまたは教材内容ごとにパスワードが割り当てられるので、パスワード(図3では、PW1〜PWnで示した)もn必要である。
【0030】
この形態の場合、サーバ1は、管理テーブル110を備えることにより、キー情報として授業別パスワードを受信するだけで、授業別パスワードに関係付けられた所定の授業データを特定することができる。即ち、サーバ1は、授業別パスワードを受信すると、そのパスワードがあるレコードの講座IDと学習内容IDから、授業データを特定する。
【0031】
<講座別パスワード>
図4は、印刷教材に講座ごとのパスワード(講座別パスワード)を1つだけ掲載する方法を説明する図である。図4Aは、この方法で使用する印刷教材の一例を示す図である。この場合、パスワードは1つでよいが、学習内容(即ち、対応する授業または授業データ)を識別するために、結局は各学習内容に学習内容ID(CID1,CID2、・・・)を割り当てて印刷している。なお、図4Aの例では、パスワードとして印刷コード(PC)が使用されている。
【0032】
図4Bは、講座別パスワードを用いる形態において、サーバ1が受信したキー情報から授業データを特定するようすを示す図である。この場合、授業データ管理テーブル110aは、キー情報による授業データの特定にのみ使用するならば、講座IDと講座別パスワードを収容するだけで十分である。その代わり、授業データのダウンロードに必要なキー情報として、講座別パスワードの他に学習内容IDを受講者の端末装置3から送ってもらう必要がある。CIDiはCID1,CID2、・・・の何れか1つを表す。即ち、受信した講座別パスワードから管理テーブル110aを用いて講座IDを取得し、この講座IDと受信した教材内容識別データCIDiから必要な授業データを特定することができる。
【0033】
<好ましい実施形態>
図2は、本発明の好ましい実施形態によるラジオ講座提供方法を説明する図である。図2の方法は、図1の方法と共通点が多いので、図1の方法との相違点を中心に説明する。
【0034】
なお、本方法は、ラジオ講座の場合と比較してテレビ講座は授業データのデータ量が多いことを除けば、ラジオ講座と本質的な違いはないので、本発明はテレビ講座にも適用可能である。ただし、授業データの受信再生端末は音声圧縮データ再生機能ではなくビデオ圧縮データ再生機能を備える必要がある。
【0035】
図2のラジオ講座提供方法は、授業別パスワードをコード化した印刷コードを用いる。受講者の端末装置としては、印刷コード認識可能なカメラ付き携帯電話または携帯端末3aを用いる。講座提供業者のサーバ1aは、図3に示した授業データDB(データベース)100aに加えて、WWWサーバ102、授業データを希望の受講者に送信するための送信プログラム106、授業データなどのファイル転送を行うFTP(ファイル転送プロトコル)サーバ108、およびメールの送受信に用いるメールサーバ110を備える。また、授業データのダウンロードを有料にしたい場合は、サーバ1aは、さらに決済プログラム104を備える必要がある。
【0036】
携帯電話(または端末)3aは、音声圧縮データである授業データを受信・再生する機能およびWWWブラウザを備えた印刷コード認識可能なカメラ付き携帯電話(または端末)であれば、何でもよい。
【0037】
ラジオ講座は次のように提供される。まず、講座の希望者は、書店などで希望する講座の印刷教材、即ちテキストを購入する(ステップ11)。通常、ラジオ受信機5により講座の放送を聞く(ステップ20)。授業データが必要な場合は、テキストに掲載されているサーバアドレス(SA)を用いて(ステップ30)、講座提供業者のサイトの授業データダウンロード頁にアクセスし、携帯電話(又は端末)3aで所望の学習内容(授業=この例では、所望の日時の放送)に関係付けて掲載されている印刷コード(PC)を読み込んで、パスワード(この例では、授業別パスワード)を取得し(32a)、このパスワードを入力することにより授業別パスワードをサーバ1aに送る(ステップ34a)。
【0038】
授業データのダウンロードが有料の場合は、例えば、クレジットカードのオンライン決済などの方法で料金を支払う(ステップ35)。ダウンロード料の支払いは、その他の方法でも可能であるが、その場合、ステップ35および34aの順序は必ずしも、図2のようになるとは限らない。
【0039】
授業別パスワードを受信し、必要に応じて決済プログラム104で決済処理をした後、サーバ1aは、図3に示した要領で、受信した授業別パスワードから必要な授業データPW1、…PWnのいずれかを特定し、送信プログラム106およびFTPサーバ108により、所定の授業データを携帯電話または端末3aに送信する(ステップ36)。携帯電話または端末3aは、サーバ1aから送られてきた所定の授業データを受信しメモリに保存する。これにより、テキストを購入した受講者は、受け損ねた授業(放送)を何時でも再生することが可能となる。
【0040】
なお、授業データの送信は、授業データのデータ量がそれほど大きくなければ、電子メールに添付して送信してもよい。テレビ講座のように授業データが大きい場合は、授業データの送信先を、要求元の携帯電話3aではなく、図1に関連して述べた要領で受講者の別の端末装置4に送信するようにしてもよい。
【0041】
上述の例では、サーバアドレス(SA)を講座提供業者のWebサイトのダウンロード頁のURLであると想定したが、代わりに、電子メールアドレスを用いてパスワードを送るようにしてもよい。この場合は、携帯電話3aはWWWブラウザは不要となる。因みに、印刷コードではなく、無で読めるパスワードを使用する場合は、受講者の端末装置3としてコンピュータを使用することができる。
【0042】
<学校の講座、放送通信講座>
この場合は、図1に示すように、最初に支払いと受講の申込みを行い(ステップ10)、必要なテキストを受け取る(ステップ12)点が、図2のテキストを単に購入する(ステップ11)のと異なる。勿論、学校の講座の場合は、授業を受信する代わりに通学する点も異なる。以上の相違を除けば、受け損ねた授業の授業データのダウンロード方法は全く同じである。
【0043】
<パスワードまたは印刷コードの掲載方法>
パスワードをそのまま印刷する場合も、印刷コードを用いる場合も、講座別パスワードまたは印刷コードを1つだけ印刷教材に印刷する方法は、パスワードを盗まれやすいと言える。したがって、講座別パスワードまたは講座別印刷コードは、購買者のみが見られるような形で掲載することが望ましい。即ち、講座別パスワードまたは講座別印刷コードは、例えば、袋とじの中に印刷するか、または印刷部分に一旦剥がすと付け戻せないような目隠しシールを貼るよいうように、修復可能には開けない箇所に印刷する方がよい。
【0044】
授業別パスワード(学習内容別パスワード)または授業別印刷コードの場合は、授業別パスワードを対応する学習内容の記載箇所の近くに印刷すれば良い。授業別パスワードを、対応する学習内容の記載箇所の近くに印刷する代わりに、例えば目次に印刷するか、またはパスワード掲載頁を別途設け、このパスワード掲載頁に印刷しても良い。
【0045】
以上は、本発明の説明のために実施の形態の例を掲げたに過ぎない。したがって、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更、修正または追加を行っても良いことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による講座提供方法の原理を説明するための図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態によるラジオ講座提供方法を説明する図である。
【図3】授業別パスワードまたは授業別印刷コードを用いる実施形態の授業データのデータベース100aの構成の一例を示す図である。
【図4A】講座別パスワードまたは講座別印刷コードを用いる実施形態において使用する印刷教材の一例を示す図である。
【図4B】講座別パスワードを用いる形態において、サーバ1が受信したキー情報から授業データを特定するようすを示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1、1a 講座提供業者のサーバ
2 インターネット
3、3a、4 受講者の端末装置
5 ラジオ受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のスケジュールによる日時ごとの学習内容が記載された印刷教材と該印刷教材の各学習内容に沿った授業を提供することにより講座を提供する方法であり、
講座提供業者が、前記授業を記録しWeb上に蓄積された音声またはビデオの授業データのダウンロードを前記印刷教材の購入者のみに許すためのパスワードを前記印刷教材に設けるパスワード添付ステップと、
前記講座提供業者が前記印刷教材を配布する配布ステップと、
前記講座提供業者が、各受講者に配布される前記印刷教材に対し、少なくとも前記配布ステップにおいて必要な料金を受け取る料金受領ステップと、
前記講座提供業者が、前記スケジュールによる日時ごとに、前記印刷教材の当該日時の学習内容に対応する前記授業を受講者に提供する授業ステップと、
受講者が、前記印刷教材の所望の日時の学習内容に対応する前記授業が必要な場合、前記所望の日時の学習内容に対応する前記授業データのダウンロードに必要なキー情報として、少なくとも前記パスワードをインターネット経由で前記講座提供業者に送信する要求ステップと、
前記講座提供業者が、前記キー情報を受信した場合、前記キー情報に関係付けられた前記学習内容に対応する授業データを前記キー情報を送信した受講者の装置に前記インターネット経由で送信する送信ステップとを含むことを特徴とする講座を提供する方法。
【請求項2】
前記講座は、ラジオ放送またはテレビ放送の語学学習番組であり、
前記配布ステップと前記料金受領ステップは、前記印刷教材を販売するステップからなり、
前記授業ステップは、前記印刷教材の当該日時の学習内容に対応する前記授業を送信するステップからなることを特徴とする請求項1記載の講座を提供する方法。
【請求項3】
前記講座は、学校が提供する講座であり、
前記料金受領ステップは、前記配布ステップに先立って実施され、前記講座に必要な料金を各受講希望者から受け取るか、または受け取る手続きを行うステップを含み、
前記授業ステップは、前記印刷教材の当該日時の学習内容に対応する前記授業を所定の教室で行うステップからなることを特徴とする請求項1記載の講座を提供する方法。
【請求項4】
前記パスワード添付ステップは、前記パスワードを符号化した機械読み取り可能な印刷コードとして前記印刷教材に掲載するステップからなり、
前記要求ステップは、前記印刷教材に掲載された前記印刷コードから印刷コード認識機能を有するカメラ付き携帯端末または携帯電話により前記パスワードを読み取るステップを含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の講座を提供する方法。
【請求項5】
前記パスワード添付ステップは、前記印刷教材の各学習内容ごとに、当該学習内容に割り当てられた学習内容ごとのパスワードを符号化した機械読み取り可能な印刷コードを当該学習内容に関係付けて前記印刷教材に掲載するステップからなり、
前記要求ステップは、前記所望の日時の学習内容に関係付けられた前記印刷コードから印刷コード認識機能を有するカメラ付き携帯端末または携帯電話により前記の学習内容ごとのパスワードを読み取り、読み取った前記の学習内容ごとのパスワードを前記キー情報として送信し、
前記送信ステップは、前記の学習内容ごとのパスワードに関係付けられた前記学習内容に対応する授業データを送信することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の講座を提供する方法。
【請求項6】
前記印刷教材の各学習内容ごとに、当該学習内容に割り当てられた学習内容IDを当該学習内容に関係付けて前記印刷教材に掲載するステップをさらに含み、
前記パスワード添付ステップは、前記印刷教材の総ての学習内容に共通のパスワードを符号化した機械読み取り可能な印刷コードを前記印刷教材に掲載する共有パスワード添付ステップからなり、
前記要求ステップは、
前記印刷教材に掲載された前記印刷コードから印刷コード認識機能を有するカメラ付き携帯端末または携帯電話により前記パスワードを読み取るステップと、
読み取った前記パスワードと前記所望の日時の学習内容の学習内容IDとを前記キー情報としてインターネット経由で前記講座提供業者に送信するステップとを含み、
前記送信ステップは、前記キー情報に含まれる前記学習内容IDで特定される学習内容に対応する授業データを送信することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の講座を提供する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2007−86974(P2007−86974A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273543(P2005−273543)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(505355128)
【Fターム(参考)】