印刷方法、印刷装置、及び、印刷物製造方法
【課題】連続媒体の余白を出来る限り少なくすること。
【解決手段】所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とが前記連続媒体に印刷される、
ことを特徴とする印刷方法。
【解決手段】所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とが前記連続媒体に印刷される、
ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法、印刷装置、及び、印刷物製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続媒体(例:ロール紙)に多数の単位画像を印刷する印刷装置がある。このような印刷装置では、連続媒体の連続する方向に単位画像が並んで印刷される。その中でも、連続媒体を前記連続する方向に搬送する搬送動作と、印刷領域に搬送された連続媒体に対してヘッドが前記連続する方向に移動しながら画像を形成する画像形成動作とを、交互に繰り返す印刷装置が知られている。
【0003】
このような印刷装置の場合、1回の画像形成動作により印刷可能な連続媒体の領域(最大印刷領域)が定められている。そのため、最大印刷領域に印刷可能な単位画像の最大数(N個)に基づいて、1回の画像形成動作で印刷される領域の大きさを決定する印刷装置が提案されている。このような印刷装置によれば、1回の画像形成動作にて、N個の単位画像を印刷する際に、連続媒体の連続する方向に余白が生じない。(特許文献1)
【特許文献1】特開2003−291426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の印刷装置では、連続媒体が連続する方向の余白は少なくなるように印刷されているが、連続媒体の幅方向の余白は少なくならない。
そこで、本実施形態では、連続媒体の余白を出来る限り少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するための主たる発明は、所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とが前記連続媒体に印刷される、ことを特徴とする印刷方法である。
【0006】
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0008】
すなわち、所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とが前記連続媒体に印刷される、ことを特徴とする印刷方法を実現すること。
このような印刷方法によれば、所定幅の連続媒体に対して、幅方向(所定方向)の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。逆に、幅方向の余白量が少なくなるように、画像の大きさに合わせた種々の幅の連続媒体を在庫する必要がなくなる。
【0009】
かかる印刷方法であって、前記第1画像と、前記第1画像よりも前記所定方向の長さの短い前記第2画像と、を前記連続媒体に印刷するための印刷データを作成する際に、前記第1画像が前記所定方向に並んで印刷される整数の個数を決定した後に、前記第2画像が前記所定方向に並んで印刷される整数の個数を決定すること。
このような印刷方法によれば、幅方向(所定方向)の余白量を少なくすることができる。例えば、連続媒体の幅方向に印刷可能な最大整数個の第1画像を並べた際に生じる余白領域に、小さい第2画像を印刷することができれば、余白量を少なくすることができる。
【0010】
かかる印刷方法であって、前記所定方向に並んで印刷される前記第1画像の整数の個数は、前記所定方向に並ぶ前記第1画像の各前記所定方向の長さを合計した長さが所定閾値よりも短くなるように、決定されること。
このような印刷方法によれば、例えば、印刷後に抜き型を用いて、連続媒体から各画像を切り離す場合に、抜き型の幅長さを所定幅(所定閾値)に抑えることで、きれいに画像を切り離すことができる。
【0011】
かかる印刷方法であって、複数種類の画像を印刷する場合に、前記複数種類の画像の中から前記連続媒体に印刷する画像の種類を組み合わせ、各組み合わせにて、前記連続媒体に画像を印刷した際に生じる余白量を算出し、前記余白量が最小となる前記組み合わせに基づいて印刷すること。
このような印刷方法によれば、所定幅の連続媒体に対して、幅方向(所定方向)の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。
【0012】
かかる印刷方法であって、前記印刷装置は、前記連続媒体を前記搬送方向に搬送する搬送動作と、前記ヘッドを移動させて画像を形成する画像形成動作とを、交互に繰り返し、1回の前記画像形成動作により印刷可能な印刷領域の大きさと、前記搬送方向の長さが前記第2画像よりも長い前記第1画像の大きさとに基づいて、前記印刷可能な印刷領域の大きさ以下である単位領域を設定するステップと、前記単位領域内に、整数個の前記第1画像が前記搬送方向に第1の間隔で並び、整数個の前記第2画像が前記搬送方向に第2の間隔で並んで印刷されるように、前記単位領域に対する印刷データを作成するステップと、前記印刷データを繰り返し用いて、前記連続媒体に、複数の前記第1画像が前記搬送方向に前記第1の間隔で並び、且つ、複数の前記第2画像が前記搬送方向に前記第2の間隔で並ぶように印刷するステップと、を有すること。
このような印刷方法によれば、搬送方向の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。第1画像と第2画像が、それぞれ、搬送方向に均等な間隔で並んで印刷されるため、例えば、印刷後に各画像を連続媒体から切り離す際に、抜き機は一定の時間間隔で各画像を切り離すことができる。
【0013】
また、所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、複数の第1画像と、前記第1画像と大きさの異なる複数の第2画像とが、それぞれ前記搬送方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する印刷方法であって、前記複数の第1画像と前記複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する印刷処理と、前記第1画像のみが前記所定方向に並び、且つ、前記第2画像のみが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に個別に印刷する印刷処理と、を比較し、前記連続媒体の余白量が少ない方の印刷処理に基づいて印刷する、ことを特徴とする印刷方法。
このような印刷方法によれば、所定幅の連続媒体に対して、幅方向(所定方向)の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。
【0014】
また、所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備え、前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する、ことを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、所定幅の連続媒体に対して、幅方向(所定方向)の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。
【0015】
また、所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1印刷物と前記搬送方向に並ぶ複数の第2印刷物とが前記所定方向に並ぶように、前記第1印刷物と前記第2印刷物とが前記連続媒体に印刷される、ことを特徴とする印刷物製造方法。
このような印刷物製造方法によれば、所定幅の連続媒体に対して、幅方向(所定方向)の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。
【0016】
===インクジェットプリンタについて===
以下、単位画像を印刷するインクジェットプリンタと印刷データを作成する印刷データ作成用PCとが接続された印刷システムを、「印刷装置」の一例として、以下に説明する。
【0017】
インクジェットプリンタ(以下、プリンタ1)は、連続媒体である印刷テープに、後に切り抜いて用いられる単位画像、例えば、生鮮食品のラップフィルム上に貼付される「シール状の印刷物」を、インクジェット方式により印刷する。なお、印刷テープは、印刷面の反対側の面が粘着面となったシール紙と、粘着面に覆われた剥離紙とから成る。この印刷テープが連続する方向に印刷物となる画像が連続的に印刷される。そして、印刷テープに連続して印刷された印刷物は、外部装置である抜き機(抜き型)により、印刷物が1枚ごとに切り離されるように、シール紙と剥離紙が一緒に抜かれたり(全抜き)、剥離紙と各印刷物が分離可能となるように、剥離紙は抜かれずにシール紙のみが抜かれたり(ハーフカット・半抜き)した状態でユーザーに提供される。
【0018】
図1は、印刷システムの構成ブロック図である。図2Aはプリンタ1の概略断面図であり、図2Bはプリンタ1の概略上面図である。まず、デザイン用PC70により印刷物のデザインが作成され、作成された印刷物の画像データが印刷データ作成用PC60に送信される。印刷データ作成用PC60は、印刷物の画像を印刷テープTにどのように印刷するのかを決定する割り付け作業を行った後、割り付けられた印刷物の画像データをプリンタ1が印刷可能な印刷データに変換し、その印刷データをプリンタ1に送信する。
【0019】
プリンタ1は印刷データを受信すると、コントローラ10により各ユニット(搬送ユニット20、駆動ユニット30、ヘッドユニット40)を制御し、印刷テープTに画像を形成する。なお、検出器群50によりプリンタ1内の状況は監視され、コントローラ10はその検出結果に基づいて各ユニットを制御する。
【0020】
搬送ユニット20は、印刷テープTが連続する方向(以下、搬送方向)に、印刷テープTを、上流側から下流側に搬送するものである。モータによって駆動する搬送ローラ21により、印刷前のロール状の印刷テープT1を印刷領域に供給し、その後、印刷済みの印刷テープT2を巻取機構によりロール状に巻き取る。なお、印刷中の印刷領域では、印刷テープTが下からバキューム吸着され、印刷テープは所定の位置に保持される。
【0021】
駆動ユニット30は、ヘッドユニット40を、搬送方向に対応するX方向と、印刷テープTの幅方向に対応するY方向とに自在に移動させるものである。駆動ユニット30は、ヘッドユニット40をX方向に移動させるX軸ステージ31と、X軸ステージ31をY方向に移動させるY軸ステージ32と、これらを移動させるモータとで、構成されている。
【0022】
ヘッドユニット40は、画像を形成するためのものであり、複数のヘッド41を有する。ヘッド41の下面には、インク吐出部であるノズルが複数設けられ、各ノズルにはインクが入ったインク室が設けられている。
【0023】
図3は、ヘッドユニット40の下面のノズル配列を示す。ヘッドユニット40は4個のヘッド41を有し、4個のヘッド41が幅方向に千鳥状に並んで配置されている。そして、各ヘッド41の下面には、イエローインクノズル列Yと、マゼンタインクノズル列Mと、シアンインクノズル列Cと、ブラックインクノズル列Kが形成されている。各ノズル列はノズルを180個ずつ備え、幅方向に一定の間隔(180dpi)で整列している。また、幅方向に隣り合う2つのヘッド(例:41(1)・41(2))のうちの奥側のヘッド41(1)の最も手前側のノズル#180と、手前側のヘッド41(2)の最も奥側のノズル#1との間隔も180dpiとなっている。つまり、ヘッドユニット40の下面では、ノズルが幅方向に一定の間隔(180dpi)で4インチに亘って並んでいる。
【0024】
次に、印刷手順について説明する。まず、搬送ユニット20により印刷領域に供給された印刷テープTに対して、X軸ステージ31によりヘッドユニット40がX方向(搬送方向)に移動し、この移動中にノズルからインクが吐出され、印刷テープTにはX方向に沿ったドット列が形成される。その後、ヘッドユニット40は、Y軸ステージ32により、X軸ステージ31を介して、Y方向(幅方向)に移動し、その後、再び、ヘッドユニット40がX方向に移動しながら印刷を行う。このように、ヘッドユニット40のX方向への移動によるドット形成動作と、ヘッドユニット40のY方向への移動を交互に繰り返すことで、先のドット形成動作により形成されたドットの位置とは異なる位置にドットが形成され、画像が完成する。このように、印刷領域に供給された印刷テープTの印刷(画像形成動作)が終了すると、搬送ユニット20により印刷が成されていない印刷テープTの領域が印刷領域に供給され(搬送動作)、再び、画像が形成される。この画像形成動作と印刷テープTの搬送動作とを交互に繰り返すことで、印刷テープTに多数の印刷物が搬送方向に並んだ状態で印刷される。
【0025】
===印刷物製造の流れについて===
図4Aは、印刷テープTに印刷物aが印刷された様子を示し、図4Bは、最大印刷領域(一点鎖線で囲んだ領域)に印刷可能な印刷物aの数を示す。以下、印刷物aが製造(印刷)されるまでの流れについて説明する。デザイン用PC70によりデザインされた印刷物aに関するデータ(画像データ、印刷枚数など、以下、JOBデータとする)を受信すると、印刷データ作成用PC60はプリンタ1に指定枚数の印刷物aを印刷させるための印刷データを作成する。
【0026】
ところで、本実施形態のプリンタ1は、印刷テープTの搬送動作とヘッドユニット40による画像形成動作とが交互に繰り返されることにより印刷がなされるため、1回の画像形成動作により印刷可能な印刷領域(以下、最大印刷領)が予め定められている。最大印刷領域の幅方向の長さは印刷テープTにより定められ、最大印刷領域の搬送方向の長さはヘッドユニット40が搬送方向に往復移動可能な最大距離Xmaxとなる。
【0027】
そのため、1回の画像形成動作にて、整数個の印刷物aが印刷されるようにしなければならない。なぜなら、図4Bに示すように、先の画像形成動作にて2個半の印刷物aを印刷し、次の画像形成動作にて残りの半分の印刷物aと2個の印刷物aを印刷してしまうと、印刷テープTの搬送動作に誤差が生じた場合に、2回に分けて印刷された印刷物aの境界部分にて、画像が重なったり、間隔が空いてスジが生じたりしてしまうからである。そのため、1回の画像形成動作により整数個の印刷物を印刷するとする。
【0028】
そして、図4Aに示すように、印刷物aは搬送方向に均等の間隔Sminで並んで印刷されるとする。そうすれば、抜き機は、印刷テープTに印刷された印刷物毎に、一定の時間間隔で、ハーフカットすることができる。また、印刷物aを搬送方向に均等に並べることで、抜き機だけでなく、印刷物の貼り付け機械などを使用する場合にも、一定の時間間隔で印刷物を剥がすことができる。更に、抜き機が誤った位置にて印刷テープTをハーフカットしてしまうことを防止するために、印刷テープTには、印刷物aだけでなく、印刷物aの位置を示す「抜きマークZ」も一緒に印刷される。抜きマークZをセンサが検知することで、印刷物が均等の間隔で並んで印刷されているかを確認することができる。なお、印刷物aの搬送方向下流側先端部と抜きマークZの下流側先端部の搬送方向の位置が一致するように、抜きマークZは印刷されている。
【0029】
これらのことを考慮し、印刷データ作成用PC60は、1回の画像形成動作により印刷される領域の大きさ(以下、単位領域とする)を決定し、単位領域内にて印刷物aをどのように印刷するかを決定する(割り付け作業)。この割り付け作業は、印刷データ作成用PC内の割付ソフトのプログラムに従って行われるとする。以下、割り付け作業について詳しく説明する。
【0030】
始めに、印刷データ作成用PC60は、1回の画像形成動作にて印刷可能な最大印刷領域に、印刷物aを幾つ印刷することが出来るかを算出する。印刷物aを搬送方向に均等の間隔で印刷すると前述しているが、これは、印刷物aの搬送方向の間隔を大きく設定してしまうと無駄に印刷テープTを消費してしまうからである。そのため、印刷物aの搬送方向の間隔は出来る限り小さくすることが好ましく、ここではハーフカットを行うために必要な最小の間隔Sminに設定する。
【0031】
そして、図4Bに示すように、最大印刷領域内にて、2個半の印刷物aを搬送方向に最小の間隔Sminで並べて印刷することが可能であると算出されたとする。この場合、1回の画像形成動作に印刷する印刷物aの数を、最大印刷領域内に印刷可能な印刷物数(2個半)のうちの最大の整数個、即ち、2個に決定する。なお、1回の画像形成動作に印刷可能な印刷物の個数は、最大印刷領域に対応する画像データ上に印刷物aの画像データを実際に割り付けて算出しても良いし、最大印刷領域の大きさと印刷物aの大きさから計算により算出しても良い。
【0032】
図4Cは、単位領域(実線)に印刷される印刷物aを示す図である。1回の画像形成動作にて印刷する印刷物の個数(2個)が決定したら、次に、単位領域の大きさを設定する。図4Bに示すように、最大印刷領域内にて、2個の印刷物aを搬送方向の間隔が最小間隔Sminとなるように配置し、印刷物aの搬送方向上流側に最小間隔Sminを設けると、最大印刷領域の搬送方向において余分長さX’が生じる。最大印刷領域の搬送方向の長さXmaxから、この余分長さX’を引いた長さXuが、単位領域の搬送方向の長さに相当する。
【0033】
そして、図4Cに示す単位領域の画像を搬送方向に繰り返し印刷することで、先に印刷された単位領域の上流側の印刷物aと、次に印刷される単位領域の下流側の印刷物aとの間隔が最小間隔Sminとなり、図4Aのように、印刷テープTには、印刷物aが搬送方向に一定の間隔Sminにて並んで印刷される。
【0034】
このように、単位領域の大きさと単位領域内に印刷物aをどのように印刷するかを決定する割り付け作業が終了したら、単位領域に印刷する画像(図4C)の画像データ(以下、単位領域画像データ)を、プリンタドライバにより、プリンタ1が印刷可能な印刷データ(以下、単位領域印刷データ)に変換する。まず、単位領域画像データはプリンタ1が印刷可能な解像度に解像度変換される。そして、RGBデータである単位領域画像データをプリンタ1のインク(YMCK)に対応した色空間により表されるように、色変換処理を行う。そして、高階調(例:256階調)である単位領域画像データをプリンタ1が形成可能な階調数(例:4階調)のデータに変換し(ハーフトーン処理)、プリンタ1が印刷する順に合わせてデータが並び替えられる(ラスタライン処理)。これらの処理を経て、単位領域印刷データは、印刷方式に応じたコマンドデータ(印刷テープTの搬送量など)と共に、プリンタドライバ(印刷データ作成用PC60)からプリンタ1に送信される。
【0035】
そして、1回の画像形成動作において、図4Cに示す画像が繰り返し印刷されるように、単位領域印刷データを繰り返し用いて印刷する。また、1回の搬送動作における印刷テープTの送り量は、単位領域の搬送方向の長さXuとなる。即ち、画像形成動作におけるヘッド41の搬送方向への移動距離が、単位領域の搬送方向の長さXuとなる。このように、印刷物が搬送方向に最小間隔Sminで並んで印刷されるように単位領域を設定することで、印刷物の大きさによっては、ヘッド41の搬送方向への移動距離Xuをヘッド41が搬送方向へ移動可能な最大距離Xmaxよりも短くできるため、印刷時間が短縮される。また、印刷物aの下流側先端位置と抜きマークZの下流側先端位置が搬送方向に一致するように印刷されているため、抜きマークZは、搬送ユニット20が印刷テープTを搬送するときの目印として利用することができる。
【0036】
===複数種類の印刷物の印刷について:実施例1===
次に、複数種類の印刷物を印刷する場合の印刷方法について説明する。
図5Aは印刷テープTのサイズを示す図であり、図5Bは印刷物A(第1画像)と印刷物B(第2画像)のサイズを示す図である。以下、説明のため、印刷テープTの幅方向の長さWを300mmとし、プリンタ1が1回の画像形成動作により印刷可能な最大印刷領域の搬送方向の長さXmaxを36インチ(=914mm)とする。そして、この実施例1では、プリンタ1が2種類の印刷物(印刷物Aと印刷物B)を印刷するように、印刷データ作成用PC60がデザイン用PC70から2種類のJOBデータを受信したとする。また、印刷物Aのサイズを「幅方向×搬送方向=60mm×80mm」とし、印刷物Bのサイズを「幅方向×搬送方向=50mm×50mm」とする。
【0037】
このように印刷データ作成用PC60が2種類のJOBデータを受信した場合、印刷データ作成PC60の割付ソフトは、2種類の印刷物をどのように印刷するかを決定する。まず、比較例の印刷方法を示してから、実施例1の印刷方法について説明する。
【0038】
〈比較例の印刷方法〉
図6Aと図6Bは、比較例における印刷物Aと印刷物Bの印刷の様子を示す図である。比較例では、図示するように、印刷物Aと印刷物Bを同時に印刷することはせず、印刷物Aと印刷物Bを別々に印刷する。そのため、印刷データ作成用PC60は、印刷物Aを印刷するための単位領域印刷データと印刷物Bを印刷するための単位領域印刷データの2種類の印刷データを作成する。
【0039】
印刷物Aを印刷するための単位領域印刷データを作成するにあたり、まず、最大印刷領域(W×Xmax=300×914(mm2))内に、印刷物Aを幾つ印刷することが出来るかを算出する。なお、ここでは、搬送方向に並ぶ印刷物間の最小間隔Sminを3mmとする。最大印刷領域内にて、印刷物Aが搬送方向に並ぶ数は、以下の式より、11個と算出される。
914÷(80+3)=11.012…≒11(個)
そして、搬送方向に並ぶ印刷物Aの数から、1回の搬送動作による印刷テープTの送り長さ、即ち、単位領域の搬送方向の長さXuを、913mmと算出する。
83×11=913(mm)
【0040】
また、印刷テープTの幅方向の長さが300mmであり、印刷物Aの幅方向の長さが60mmであるため、図6Aに示すように、幅方向に印刷物Aを複数枚並べて印刷することができる。幅方向に並ぶ印刷物間の最小間隔も3mmとする。
【0041】
ところで、印刷物の印刷後のハーフカット処理のため、印刷テープTには印刷物Aの位置を示す抜きマークZを印刷すると前述している。ここでは、抜きマークZの幅方向の長さを4mmとする。また、印刷テープTの幅方向に対する抜き機の最大抜き幅(所定閾値)を170mmとする。このように、抜き機の最大抜き幅が設定されている理由は、もし抜き幅(抜き型)を大きくし過ぎてしまうと、印刷テープTに対して抜き型を平行に下ろすことが難しくなるからである。抜き型が印刷テープTに対して、平行ではなく、傾いて下ろされると、印刷テープTに掛かる力が場所によって異なり、印刷物(シール紙)の一部がくっついてしまったり、ハーフカット処理であるのに、シール紙と一緒に剥離紙も抜かれてしまったりする。そのため、印刷物が確実にハーフカットされるように、最大抜き幅が設定されている。
【0042】
そして、抜き機の最大抜き幅170mmに対して、幅方向に並ぶ2枚の印刷物Aの幅方向長さは126mm(=(60+3)×2)であるため、2枚の印刷物Aは抜き機により同時にハーフカットすることが出来る(126mm<170mm)。一方、幅方向に並ぶ3枚の印刷物Aは抜き機により同時にハーフカットすることができない(幅方向長さ189mm>170mm)。
【0043】
そのため、印刷物Aの印刷が終了した印刷テープTは、図2に示すカッター80により、図6Aに示す「切り取り線」にて2分割される。そして、2分割された印刷テープTが1つずつ、抜き機により、ハーフカットされる。ゆえに、抜きマークZは、幅方向において、印刷テープTの切り取り線よりも奥側に1個と、切り取り線よりも手前側に1個印刷されればよい。なお、カッター80は、図2Bに示すように、幅方向に移動可能とする。そうすることで、印刷テープTに印刷される印刷物のサイズや幅方向に並ぶ印刷物の数の違いにより、印刷テープTの幅方向における切り取り線の位置が異なったとしても、所望の位置にて印刷テープTを分割することができる。
【0044】
そして、印刷物Aが幅方向に並ぶ数を以下の式により4個と算出することができる。幅方向に5枚の印刷物Aを並べようとすると、仮想的に点線で示しているように、5枚目の印刷物Aは印刷テープTからはみ出してしまう。なお、抜きマークZと印刷物Aとの幅方向の間隔も3mmとする。
{300−(4+3)×2}÷(60+3)=4.539…≒4(個)
そして、幅方向における余白長さを、以下の式により「34mm」と算出することができる。
300―(4+3)×2−(60+3)×4=34(mm)
【0045】
以上をまとめると、1回の画像形成動作により(単位領域内に)印刷される印刷物Aの個数は44個(=11×4)となる。そして、単位領域の大きさは、「幅方向×搬送方向=300mm×913mm」となる。
【0046】
同様にして、図6Bに示すように、1回の画像形成動作により印刷される印刷物Bの個数は85個(=17×5)となる。そして、単位領域の大きさは、「幅方向×搬送方向=300mm×901mm」となり、印刷テープTの幅方向の余白は21mmとなる。また、幅方向に並ぶ3枚の印刷物Bまで(170>159(=53×3))抜き機により同時にハーフカットすることが出来る。こうして、比較例では、印刷テープTに印刷物Aと印刷物Bが個別に印刷される。
【0047】
ところで、1回の搬送動作による印刷テープTの送り長さを調整することにより、単位領域の搬送方向の長さは、印刷物の大きさに合わせて変化させることができる。そのため、印刷テープTに対して1種類の印刷物を印刷する場合には、最大印刷領域内に印刷可能な整数個の印刷物を搬送方向に最小間隔Sminで並ばせた際の長さに合わせて、単位領域の搬送方向の長さXuを決定することができ、印刷テープTの搬送方向には余分な余白が発生しない。
【0048】
一方、印刷テープTの幅は予め定められているため、最大印刷領域内に1種類の印刷物(整数個)を幅方向に並べると、印刷テープTの幅方向には余白が発生し易い。比較例では、印刷テープTに対して、印刷物Aのみを印刷する場合には幅方向に34mmの余白が発生し、印刷テープTに対して、印刷物Bのみを印刷する場合には幅方向に21mmの余白が発生している。このような余白が発生してしまうと、印刷物の製造枚数に対する印刷テープTの消費量が大きくなり、コストがかかってしまう。
【0049】
そこで、印刷物を印刷する際に発生する印刷テープTの余白を出来る限り少なくすることを目的とする。
【0050】
〈実施例1の印刷方法〉
次に、印刷データ作成用PC60が2種類のJOBデータ(印刷物Aと印刷物B)を受信した場合における、実施例1の印刷方法について説明する。
【0051】
図7は、本実施形態において、印刷テープTに印刷物Aと印刷物Bが印刷される様子を示す図である。本実施形態では、幅方向と搬送方向の大きさの異なる印刷物Aと印刷物Bとが幅方向に並び、且つ、複数の印刷物Aと複数の印刷物Bとがそれぞれ搬送方向に並ぶように、印刷物Aと印刷物Bとを印刷する。
【0052】
以下、印刷物Aと印刷物Bの割り付け作業について具体的に説明する。まず、2種類の印刷物のうちの搬送方向の長さが長い方の印刷物Aが、最大印刷領域内において、搬送方向に幾つ並ぶことができるかを算出する。図7に示すように、最大印刷領域内にて、11個の印刷物Aを最小間隔Smin(第1の間隔)で搬送方向に並べることができ、単位領域の搬送方向の長さが913mmとなり、1回の搬送方向の印刷テープTの送り長さも913mmとなる(前述の比較例と同様)。
【0053】
印刷テープTに同時に2種類の印刷物を印刷する場合、搬送方向の長さが長い方の印刷物Aを基準に、単位領域の搬送方向の長さを決定している。これは、搬送方向の長さが長い方の印刷物を基準にした方が、搬送方向の余白を少なくすることができるからである。例えば、搬送方向の長さが短い方の印刷物Bを基準に単位領域の搬送方向の長さを決定し、その単位領域に合わせて印刷物Aを配置した場合に、単位領域の搬送方向の長さがあと5mm大きければ、単位領域内に印刷物Aをもう1個配置することができたとする。そうすると、印刷物Aが並んでいる領域の搬送方向の余白は75mm(=80−5)となる。一方、印刷物Aを基準に単位領域を決定した後に印刷物Bを配置し、同様に、単位領域の搬送方向の長さがあと5mm大きければ、単位領域内に印刷物Bをもう1個配置できるとした場合、単位領域のうちの印刷物Bが並んでいる搬送方向の余白は45mm(=50−5)となる。そのため、実施例1では、搬送方向の長さが長い方の印刷物を基準に単位領域の大きさを決定する。
【0054】
次に、搬送方向の長さが印刷物Aよりも小さい印刷物Bが単位領域内において、搬送方向に幾つ並ぶことが出来るかを算出する。次式により、17個の印刷物Bを搬送方向に並べて印刷できると算出される。
913÷(50+3)=17.22…≒17(個)
【0055】
しかし、印刷物Aと同様に、搬送方向における印刷物Bの間隔(第2の間隔)を最小間隔Sminの3mmとしてしまうと、単位領域内において、搬送方向に余分長さが発生してしまう(913−53×17=12mm)。そして、等間隔で印刷物Bを印刷できなくなる。そこで、印刷物Bは、印刷物Aとは別に、搬送方向の間隔を算出する必要がある。これは、次式により、3.7mmと算出される。
{913―(50×17)}÷17=3.705…=3.7(mm)
【0056】
こうして、割付ソフトは、単位領域の大きさを決定し(幅方向×搬送方向=300mm×913mm)、単位領域内に、11個の印刷物Aが搬送方向に最小間隔Smin(3mm)で並び、また、17個の印刷物Bが搬送方向に3.7mmの間隔で並ぶように印刷することを決定する。
【0057】
次に、印刷物Aと印刷物Bの幅方向の割り付け方法を決定する。このとき、抜き機の抜き幅も考慮することが好ましい。本実施形態では、抜き機の最大抜き幅を170mmと設定しているため、印刷物Aは、幅方向に並ぶ2枚の印刷物Aを同時にハーフカットすることができ、印刷物Bは、幅方向に並ぶ3枚の印刷物Bを同時にハーフカットすることができる。そこで、割付ソフトは、単位領域内の幅方向に、2枚の印刷物Aと、3枚の印刷物Bを幅方向に並べて印刷することを決定する。
その結果、次式により、単位領域の幅方向の余白は1mmと算出される。
300−(4+3)×2−(60+3)×2−(50+3)×3=1(mm)
【0058】
このように、実施例1では、印刷テープTに2種類の印刷物Aと印刷物Bを幅方向に並べて同時に印刷することで、単位領域の幅方向の余白を1mmにすることができ、比較例の幅方向の余白(34mmと21mm)よりも少なくすることができる。
【0059】
以上をまとめると、サイズの異なる2種類の印刷物に関するJOBデータを受信した場合には、比較例のように1種類の印刷物を個別に印刷する場合と、2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する場合があり、この実施例1では、2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する印刷方法(印刷物製造方法)の方が、幅方向における余白を少なくすることができる。
【0060】
逆に、もし、印刷物Aと印刷物Bを個別に印刷する場合において、出来るだけ余白を少なく印刷するためには、印刷物の大きさに合わせた幅の印刷テープTを使用する必要がある。例えば、図6に示す比較例のように、印刷物Aと印刷物Bとを個別に印刷する場合に、印刷テープTの幅方向の余白を少なくしようとすると、印刷物Aの印刷用に、幅方向の長さが266mm(=300−34)である印刷テープと、印刷物Bの印刷用に、幅方向の長さが279mm(=300−21)である印刷テープが必要となる。これに対し、この実施例1では、既定の幅の印刷テープTに、印刷物Aと印刷物Bとを幅方向に並べて印刷することで、余白量を出来る限り少なくしているため、様々な幅の印刷テープTをストックする必要がなくなる。
【0061】
また、比較例では、印刷物Aと印刷物Bとを個別に印刷するため、印刷物Aに対する単位領域画像データ(図6A)と印刷物Bに対する単位領域画像データ(図6B)との2種類の画像データを、プリンタドライバにより、プリンタ1が印刷可能な印刷データに変換しなければならない。一方で、実施例1では、印刷物Aと印刷物Bを同時に印刷するため、1種類の単位領域画像データ(図7)を印刷データに変換すればよいため、実施例1の方が比較例に比べて、画像データを印刷データへ変換する作業時間が短くなり、その結果、全体の印刷処理時間も短縮される。
【0062】
そして、実施例1では、単位領域内に印刷物Aと印刷物Bを幅方向に割り付ける際に(図7)、抜き機の最大抜き幅も考慮している。即ち、幅方向に並ぶ2枚の印刷物Aの幅方向の長さと、幅方向に並ぶ3枚の印刷物Bの幅方向の長さは、それぞれ最大抜き幅よりも短くなっている。そのため、図7のように、印刷物Aと印刷物Bを印刷すると、幅方向に並ぶ2枚の印刷物Aを一括にハーフカットすることができ、また、幅方向に並ぶ3枚の印刷物Bも一括にハーフカットすることができる。
【0063】
例えば、抜き機が2台あった場合には、実施例1のように印刷テープTに印刷物Aと印刷物Bとを一緒に印刷すると、印刷終了後に、1台の抜き機は印刷物A用に抜き型をセットして、もう1台の抜き機には印刷物B用の抜き型をセットして、印刷物Aと印刷物Bのハーフカットを同時に行うことができる。
一方、比較例のように、印刷物Aを印刷した後に、印刷物Bを印刷する場合には、印刷物Aの印刷終了後に、2台の抜き機に印刷物A用の抜き型をセットし、印刷物Aのハーフカットを行い、その間に、印刷物Bの印刷を行って、印刷物Bの印刷終了後に、2台の抜き機から印刷物A用の抜き型を外し、印刷物B用の抜き型をセットし、印刷物Bのハーフカットを行うことになる。抜き機の抜き型をセットする作業は、時間が長くかかる作業であるため、実施例1のように、抜き型のセット回数を最小限に抑えることで、全体の作業時間を短縮することができる。
また、比較例のように、2種類の印刷物を印刷テープTに個別に印刷する場合に、抜き型のセット回数を少なくしようとすると、1台の抜き機に印刷物A用の抜き型をセットし、もう1台の抜き機には印刷物B用の抜き型をセットすることになる。そうすると、印刷物Aの印刷終了後に、1台の抜き機は印刷物Aのハーフカットを行えるが、印刷物Bの印刷は未だ終了していないので、その間、もう1台の抜き機は稼動できない。
つまり、印刷テープTに印刷物Aと印刷物Bとを同時に印刷することで、印刷終了後のハーフカット工程において、時間を短縮したり、効率的に抜き機を利用したりすることができる。
【0064】
この実施例1では、印刷テープTにサイズの異なる2種類の印刷物Aと印刷物Bが幅方向に並ぶように印刷することで、印刷テープTに2種類の印刷物を個別に印刷するよりも、印刷テープTの余白を少なくする実施例を説明している。しかし、印刷物のサイズや印刷テープTの幅方向の長さは様々である。そのため、もし、2種類の印刷物を個別に印刷する印刷処理の方が、2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する印刷処理よりも、印刷テープTの余白が少なくなる場合には、2種類の印刷物を個別に印刷する方が好ましい。
【0065】
但し、比較例のように2種類の印刷物を個別に印刷する場合、一方の印刷物は、余白を少なく印刷テープTに幅方向に並べて印刷出来たとしても、他方の印刷物は、一方の印刷物とサイズが異なるため、余白が大きくなってしまう可能性がある。そのため、2種類の印刷物を印刷する場合には、実施例1のように、印刷テープTに2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する方が、余白が少なくなる確率が高くなると考えられる。
【0066】
つまり、比較例のように、規定幅Wである印刷テープTに1種類の印刷物を印刷する場合には、印刷テープTの余白量を変えることは出来ない。しかし、印刷テープTに(幅方向の)サイズの異なる2種類の印刷物を搬送方向に並べる場合には、単位領域内における印刷物の並べ方によって、余白量を変化させ、余白を出来る限り少なくすることができる。
【0067】
そこで、単位領域内に印刷物Aと印刷物Bを幅方向に割り付ける際に抜き機の最大抜き幅を考慮すると上述しているが、これに限らず、割付ソフトが印刷物Aと印刷物Bとの幅方向の割り付け方を色々と変化させ、最も余白量が少なくなる割り付け方を選択するようにしても良い。このとき、比較例のように1種類の印刷物を幅方向に並べる割り付け方も選択の候補の1つにしてもよく、1種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する印刷方法が最も余白量を少なく出来る場合には、印刷テープTの幅方向に1種類の印刷物のみを並べて印刷する。
【0068】
===複数種類の印刷物の印刷について:実施例2===
この実施例2では、複数種類(4種類)の印刷物を印刷する場合に、割付ソフトが、印刷テープTの幅方向に並べて印刷する印刷物を組み合わせ、印刷テープTの余白量が最小となる組み合わせを決定し、プリンタ1はその組み合わせに基づいて印刷する。
【0069】
図8は、プリンタ1が印刷する4種類の印刷物(印刷物Aから印刷物D)を示す図である。割付ソフトが、余白が最も少なくなる印刷処理を決定する手順について、以下に説明する。但し、説明の簡略のため、印刷テープTには、2種類ずつの印刷物を印刷するとし、3種類や4種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する方法や、1種類の印刷物のみ幅方向に並べる印刷処理は除く。そのため、次の3種類の印刷処理の中から、余白が最も少なくなる印刷処理を決定する。まず、印刷処理(1)は「印刷物Aと印刷物Bとを幅方向に並べて印刷し、印刷物Cと印刷物Dとを幅方向に並べて印刷する処理」であり、印刷処理(2)は「印刷物Aと印刷物Cを並べて印刷し、印刷物Bと印刷物Dを並べて印刷する処理」であり、印刷処理(3)は「印刷物Aと印刷物Dを並べて印刷し、印刷物Bと印刷物Cとを並べて印刷する処理」である。
【0070】
図9Aから図9Cは、印刷処理(1)から印刷処理(3)における印刷物の割り付け方を示す図であり、図10は、各印刷処理における余白量の算出結果である。
印刷テープTに2種類の印刷物を割り付ける方法は、前述の実施例1と同様である。例えば、印刷処理(1)の印刷物Cと印刷物Dの割り付け方の場合であったら(図9A)、搬送方向の長さが長い方の印刷物Cを基準に、単位領域の搬送方向の長さ(=送り長さ=901mm)を決定する。
次に、単位領域の搬送方向の長さに合わせて、印刷物Dを搬送方向に幾つ並べて印刷することが可能であるかを算出し、印刷物Dが単位領域内において、搬送方向に均等に配置されるように、搬送方向の間隔(=3.37mm)を算出する。
そして、幅方向に並ぶ複数枚の印刷物C、及び、幅方向に並ぶ複数枚の印刷物Dの、それぞれの幅方向の長さが、抜き機の最大抜き幅(=170mm)よりも大きくならないように、幅方向に印刷物Cと印刷物Dとを割り付ける。なお、最大抜き幅に関係なく、幅方向の余白量が出来る限り少なくなるように、幅方向に印刷物Cと印刷物Dとを割り付けても良い。こうして、図9Aから図9Cに示すように、各印刷処理において、単位領域内に印刷物がどのように印刷されるかが決定する。
【0071】
次に、余白量の算出方法について、印刷処理(1)の印刷物Cと印刷物Dの印刷の場合を例に説明する。印刷テープTに2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する場合には、幅方向の余白量と、搬送方向の余白量の両方を考慮する必要がある。なぜなら、搬送方向の長さが長い方の印刷物(印刷物C)は、搬送方向に最小間隔Sminで並んで印刷されるが、搬送方向の長さが短い方の印刷物(印刷物D)の搬送方向の間隔は、単位領域の搬送方向の長さに合わせて決められるからである。そのため、この搬送方向の間隔が出来る限り最小間隔Sminに近い値であることが好ましい。
【0072】
そこで、この実施例2では、仮に2つの印刷物のうちの搬送方向の長さが短い方の印刷物Dを最小間隔Smin(=3mm)で搬送方向に並べた場合と、単位領域に合わせて算出した間隔(=3.37mm)で印刷物Dを搬送方向に並べた場合との差を基に、搬送方向の余白面積を算出する。
搬送方向の余白面積=(間隔の差)×印刷物Dの幅長さ×(印刷物Dの個数)
=(3.37−3)×40×(27×4)
=1,199(mm2)
そして、幅方向の余白量(余白面積)は、下式に示すように、印刷テープTに印刷物Cと印刷物Dを幅方向に並べた際の余白長さ25mm(=300−(4+3)×2−(30+3)×4−(40+3)×3)と、1回の搬送動作における送り長さ901mmとの積により算出される。
幅方向の余白面積=25(mm)×901(mm)
=22,525(mm2)
その後、搬送方向の余白面積と幅方向の余白面積とを合計すれば、印刷テープTに印刷物Cと印刷物Dを幅方向に並べて印刷する場合の余白面積が算出される。
【0073】
こうして、図10に示すように、割付ソフトは、印刷処理(1)から印刷処理(3)の中で、最も余白面積を少なく印刷する方法は印刷処理(1)であると決定する。そして、図9A(印刷処理(1))のように印刷物が印刷されるように、割付ソフトは単位領域画像データを作成する。プリンタドライバはその単位領域画像データを単位領域印刷データに変換し、プリンタ1は、単位領域印刷データを繰り返し用いて印刷する。
【0074】
このように、複数種類の印刷物を印刷する場合には、幾つかの印刷物を幅方向に並べて印刷したり、又は、1種類の印刷物を印刷したりと、様々な印刷処理がある。このとき、実施例2のように、余白量が最も少なくなる印刷処理を選択することで、印刷テープTの消費量を抑え、コストを削減することができる。
【0075】
===複数種類の印刷物の印刷について:実施例3===
前述の実施例1・2では、印刷物を幅方向に割り付ける際に、抜き機の最大抜き幅(=170mm)を考慮し、且つ、幅方向の余白量が出来る限り少なくなるように、2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷しているがこれに限らない。
【0076】
ここで、図9Bに示す印刷処理(2)において、印刷テープTに印刷物Bと印刷物Dとを幅方向に並べて印刷すると、幅方向の余白長さが41mmとなる。この余白領域に、幅方向の長さが50mmである印刷物Bや、幅方向の長さが40mmである印刷物Dは、抜き工程用の間隔を設けて印刷することができない。しかし、幅方向の長さが30mmである印刷物Cは印刷することができる。
【0077】
即ち、幅方向の長さが長い印刷物(印刷物Bや印刷物D・第1画像に相当)を、先に、幅方向に並ぶように割り付け、その後、幅方向の長さが長い印刷物を割り付けた後の余白領域に、幅方向の長さが短い印刷物(印刷物C・第2画像に相当)を割り付けることで、幅方向の余白をより少なくすることができる。
【0078】
===複数種類の印刷物の印刷について:実施例4===
前述の実施例では、最大印刷領域内に印刷可能な印刷物の最大個数に基づいて、単位領域の搬送方向の長さを決定しているが、これに限らない。図7では、最大印刷領域内にて、搬送方向に並んで印刷可能な11個(最大個数)の印刷物Aに基づいて、単位領域の搬送方向の長さが決定されている。しかし、これに限らず、例えば、印刷物Aの最大個数よりも少ない個数(X個)に基づいて単位領域の搬送方向の長さを決定することで、印刷物Bの搬送方向の間隔が短くなる(搬送方向の余白が少なくなる)場合には、X個の印刷物Aに基づいて単位領域の搬送方向の長さを決定してもよい。
但し、単位領域の搬送方向の長さを最大印刷領域よりも大幅に短くしてしまうと、1回の画像形成動作により印刷される印刷物の数が少なくなり、印刷時間が長くなってしまう。
【0079】
===その他のインクジェットプリンタについて===
ここまで、画像形成動作と搬送動作とが交互に行われたプリンタ1を用いた印刷システムについて説明しているが、これに限らない。ヘッド下面のノズルが、幅方向に、印刷テープTの幅長さに亘って並んだプリンタ(所謂ラインプリンタ)を用いてもよい。このようなプリンタによれば、前述のプリンタ1のように、ヘッドユニット40が搬送方向に移動することなく、固定されたヘッド(ノズル)の下を通過する印刷テープTに対してインクが吐出されれば、画像が形成される。
【0080】
そのため、前述の実施形態では、1回の画像形成動作にて印刷可能な最大印刷領域から印刷物の大きさに合わせて単位領域を設定しているが、その必要がなくなる。
例えば、印刷テープTの幅方向に2種類の印刷物が並ぶように印刷する場合、各印刷物が単位領域に幾つ印刷することが可能であるかを算出する必要はなく、余白量が少なくなるように2種類の印刷物を幅方向に割り付ければよい。そのため、割付ソフトの作業が簡単となり、印刷の処理時間が短縮される。
また、2種類の印刷物の両方が、搬送方向に最小間隔Sminで並ぶように印刷されるため、前述の実施形態に比べて、搬送方向の余白量を少なくすることができる。
【0081】
また、前述のプリンタ1のように、ヘッド41が搬送方向と幅方向に移動し、画像形成動作と搬送動作とが交互に行われるプリンタであっても(最大印刷領域が決められたプリンタであっても)、印刷領域の搬送方向の長さに亘ってノズルが並んだヘッドであれば、ヘッドは、搬送方向に移動することなく、幅方向に移動するだけで、画像を印刷することができる。他にも、連続媒体の幅方向長さに亘ってノズルが並んだヘッドであれば、ヘッドは、1回の画像形成動作にて、幅方向に移動することなく、搬送方向に移動するだけで、画像を印刷することができる。また、連続媒体は種類によって幅方向長さが異なるため、ある連続媒体では、媒体の幅長さが幅方向のノズル列長さよりも短く、ヘッドは幅方向に移動する必要は無いが、別の連続媒体では、媒体の幅長さが幅方向のノズル列長さよりも長く、ヘッドは幅方向に移動する必要があるというように、連続媒体によってヘッドの動きが変わるようにしてもよい。
【0082】
===その他の実施形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェット方式のプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、画像の割り付け方法などの開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0083】
〈印刷物について〉
前述の実施形態では、裏面が粘着面である印刷テープに印刷物を印刷しているが、これに限らない。例えば、連続する厚紙にタグなどを印刷する場合においても、余白が少なくなるように、異なるサイズのタグを幅方向に並べて印刷してもよい。また、連続媒体として、印刷テープなどの紙に限らず、布やフィルム等に印刷物を印刷してもよい。
【0084】
〈印刷装置について〉
前述の実施形態では、印刷データ作成用PCが、印刷テープに印刷物をどのように印刷するかを決定する割付作業と、印刷データへの変換処理とを行い、インクジェットプリンタと印刷データ作成用PCとが接続された印刷システムが印刷装置に相当しているが、これに限らない。割付ソフトやプリンタドライバの役割をプリンタが担えば、プリンタ単体が印刷装置に相当する。
【0085】
前述の実施形態では印刷装置としてインクジェットプリンタを例に挙げており、ノズルからインクを吐出する方法としては、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることによりインクを吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によってインクを吐出させるサーマル方式でもよい。また、インクジェットプリンタに限らず、例えば、熱転写プリンタやドットインパクトプリンタなどの印刷装置でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】印刷システムの構成ブロック図である。
【図2】図2Aはプリンタの概略断面図であり、図2Bはプリンタの概略上面図である。
【図3】ヘッドユニットの下面のノズル配列を示す。
【図4】図4Aは印刷テープに印刷物aが印刷された様子を示し、図4Bは最大印刷領域に印刷可能な印刷物aの数を示し、図4Cは単位領域に印刷される印刷物aを示す図である。
【図5】図5Aは印刷テープのサイズを示す図であり、図5Bは印刷物Aと印刷物Bのサイズを示す図である。
【図6】図6Aと図6Bは比較例における印刷物Aと印刷物Bの印刷の様子を示す図である。
【図7】印刷テープに印刷物Aと印刷物Bが印刷される様子を示す図である。
【図8】プリンタが印刷する4種類の印刷物を示す図である。
【図9A】印刷処理(1)における印刷物の割り付け方を示す図である。
【図9B】印刷処理(2)における印刷物の割り付け方を示す図である。
【図9C】印刷処理(3)における印刷物の割り付け方を示す図である。
【図10】各印刷処理における余白量の算出結果である。
【符号の説明】
【0087】
1 プリンタ、
10 コントローラ、11 インターフェース部、12 CPU、
13 メモリ、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ローラ、
30 駆動ユニット、31 X軸ステージ、32 Y軸ステージ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、60 印刷データ作成用PC、70 デザイン用PC、
80 カッター、T 印刷テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法、印刷装置、及び、印刷物製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続媒体(例:ロール紙)に多数の単位画像を印刷する印刷装置がある。このような印刷装置では、連続媒体の連続する方向に単位画像が並んで印刷される。その中でも、連続媒体を前記連続する方向に搬送する搬送動作と、印刷領域に搬送された連続媒体に対してヘッドが前記連続する方向に移動しながら画像を形成する画像形成動作とを、交互に繰り返す印刷装置が知られている。
【0003】
このような印刷装置の場合、1回の画像形成動作により印刷可能な連続媒体の領域(最大印刷領域)が定められている。そのため、最大印刷領域に印刷可能な単位画像の最大数(N個)に基づいて、1回の画像形成動作で印刷される領域の大きさを決定する印刷装置が提案されている。このような印刷装置によれば、1回の画像形成動作にて、N個の単位画像を印刷する際に、連続媒体の連続する方向に余白が生じない。(特許文献1)
【特許文献1】特開2003−291426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の印刷装置では、連続媒体が連続する方向の余白は少なくなるように印刷されているが、連続媒体の幅方向の余白は少なくならない。
そこで、本実施形態では、連続媒体の余白を出来る限り少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するための主たる発明は、所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とが前記連続媒体に印刷される、ことを特徴とする印刷方法である。
【0006】
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0008】
すなわち、所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とが前記連続媒体に印刷される、ことを特徴とする印刷方法を実現すること。
このような印刷方法によれば、所定幅の連続媒体に対して、幅方向(所定方向)の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。逆に、幅方向の余白量が少なくなるように、画像の大きさに合わせた種々の幅の連続媒体を在庫する必要がなくなる。
【0009】
かかる印刷方法であって、前記第1画像と、前記第1画像よりも前記所定方向の長さの短い前記第2画像と、を前記連続媒体に印刷するための印刷データを作成する際に、前記第1画像が前記所定方向に並んで印刷される整数の個数を決定した後に、前記第2画像が前記所定方向に並んで印刷される整数の個数を決定すること。
このような印刷方法によれば、幅方向(所定方向)の余白量を少なくすることができる。例えば、連続媒体の幅方向に印刷可能な最大整数個の第1画像を並べた際に生じる余白領域に、小さい第2画像を印刷することができれば、余白量を少なくすることができる。
【0010】
かかる印刷方法であって、前記所定方向に並んで印刷される前記第1画像の整数の個数は、前記所定方向に並ぶ前記第1画像の各前記所定方向の長さを合計した長さが所定閾値よりも短くなるように、決定されること。
このような印刷方法によれば、例えば、印刷後に抜き型を用いて、連続媒体から各画像を切り離す場合に、抜き型の幅長さを所定幅(所定閾値)に抑えることで、きれいに画像を切り離すことができる。
【0011】
かかる印刷方法であって、複数種類の画像を印刷する場合に、前記複数種類の画像の中から前記連続媒体に印刷する画像の種類を組み合わせ、各組み合わせにて、前記連続媒体に画像を印刷した際に生じる余白量を算出し、前記余白量が最小となる前記組み合わせに基づいて印刷すること。
このような印刷方法によれば、所定幅の連続媒体に対して、幅方向(所定方向)の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。
【0012】
かかる印刷方法であって、前記印刷装置は、前記連続媒体を前記搬送方向に搬送する搬送動作と、前記ヘッドを移動させて画像を形成する画像形成動作とを、交互に繰り返し、1回の前記画像形成動作により印刷可能な印刷領域の大きさと、前記搬送方向の長さが前記第2画像よりも長い前記第1画像の大きさとに基づいて、前記印刷可能な印刷領域の大きさ以下である単位領域を設定するステップと、前記単位領域内に、整数個の前記第1画像が前記搬送方向に第1の間隔で並び、整数個の前記第2画像が前記搬送方向に第2の間隔で並んで印刷されるように、前記単位領域に対する印刷データを作成するステップと、前記印刷データを繰り返し用いて、前記連続媒体に、複数の前記第1画像が前記搬送方向に前記第1の間隔で並び、且つ、複数の前記第2画像が前記搬送方向に前記第2の間隔で並ぶように印刷するステップと、を有すること。
このような印刷方法によれば、搬送方向の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。第1画像と第2画像が、それぞれ、搬送方向に均等な間隔で並んで印刷されるため、例えば、印刷後に各画像を連続媒体から切り離す際に、抜き機は一定の時間間隔で各画像を切り離すことができる。
【0013】
また、所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、複数の第1画像と、前記第1画像と大きさの異なる複数の第2画像とが、それぞれ前記搬送方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する印刷方法であって、前記複数の第1画像と前記複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する印刷処理と、前記第1画像のみが前記所定方向に並び、且つ、前記第2画像のみが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に個別に印刷する印刷処理と、を比較し、前記連続媒体の余白量が少ない方の印刷処理に基づいて印刷する、ことを特徴とする印刷方法。
このような印刷方法によれば、所定幅の連続媒体に対して、幅方向(所定方向)の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。
【0014】
また、所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備え、前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する、ことを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、所定幅の連続媒体に対して、幅方向(所定方向)の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。
【0015】
また、所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1印刷物と前記搬送方向に並ぶ複数の第2印刷物とが前記所定方向に並ぶように、前記第1印刷物と前記第2印刷物とが前記連続媒体に印刷される、ことを特徴とする印刷物製造方法。
このような印刷物製造方法によれば、所定幅の連続媒体に対して、幅方向(所定方向)の余白量を出来る限り少なく印刷することができる。
【0016】
===インクジェットプリンタについて===
以下、単位画像を印刷するインクジェットプリンタと印刷データを作成する印刷データ作成用PCとが接続された印刷システムを、「印刷装置」の一例として、以下に説明する。
【0017】
インクジェットプリンタ(以下、プリンタ1)は、連続媒体である印刷テープに、後に切り抜いて用いられる単位画像、例えば、生鮮食品のラップフィルム上に貼付される「シール状の印刷物」を、インクジェット方式により印刷する。なお、印刷テープは、印刷面の反対側の面が粘着面となったシール紙と、粘着面に覆われた剥離紙とから成る。この印刷テープが連続する方向に印刷物となる画像が連続的に印刷される。そして、印刷テープに連続して印刷された印刷物は、外部装置である抜き機(抜き型)により、印刷物が1枚ごとに切り離されるように、シール紙と剥離紙が一緒に抜かれたり(全抜き)、剥離紙と各印刷物が分離可能となるように、剥離紙は抜かれずにシール紙のみが抜かれたり(ハーフカット・半抜き)した状態でユーザーに提供される。
【0018】
図1は、印刷システムの構成ブロック図である。図2Aはプリンタ1の概略断面図であり、図2Bはプリンタ1の概略上面図である。まず、デザイン用PC70により印刷物のデザインが作成され、作成された印刷物の画像データが印刷データ作成用PC60に送信される。印刷データ作成用PC60は、印刷物の画像を印刷テープTにどのように印刷するのかを決定する割り付け作業を行った後、割り付けられた印刷物の画像データをプリンタ1が印刷可能な印刷データに変換し、その印刷データをプリンタ1に送信する。
【0019】
プリンタ1は印刷データを受信すると、コントローラ10により各ユニット(搬送ユニット20、駆動ユニット30、ヘッドユニット40)を制御し、印刷テープTに画像を形成する。なお、検出器群50によりプリンタ1内の状況は監視され、コントローラ10はその検出結果に基づいて各ユニットを制御する。
【0020】
搬送ユニット20は、印刷テープTが連続する方向(以下、搬送方向)に、印刷テープTを、上流側から下流側に搬送するものである。モータによって駆動する搬送ローラ21により、印刷前のロール状の印刷テープT1を印刷領域に供給し、その後、印刷済みの印刷テープT2を巻取機構によりロール状に巻き取る。なお、印刷中の印刷領域では、印刷テープTが下からバキューム吸着され、印刷テープは所定の位置に保持される。
【0021】
駆動ユニット30は、ヘッドユニット40を、搬送方向に対応するX方向と、印刷テープTの幅方向に対応するY方向とに自在に移動させるものである。駆動ユニット30は、ヘッドユニット40をX方向に移動させるX軸ステージ31と、X軸ステージ31をY方向に移動させるY軸ステージ32と、これらを移動させるモータとで、構成されている。
【0022】
ヘッドユニット40は、画像を形成するためのものであり、複数のヘッド41を有する。ヘッド41の下面には、インク吐出部であるノズルが複数設けられ、各ノズルにはインクが入ったインク室が設けられている。
【0023】
図3は、ヘッドユニット40の下面のノズル配列を示す。ヘッドユニット40は4個のヘッド41を有し、4個のヘッド41が幅方向に千鳥状に並んで配置されている。そして、各ヘッド41の下面には、イエローインクノズル列Yと、マゼンタインクノズル列Mと、シアンインクノズル列Cと、ブラックインクノズル列Kが形成されている。各ノズル列はノズルを180個ずつ備え、幅方向に一定の間隔(180dpi)で整列している。また、幅方向に隣り合う2つのヘッド(例:41(1)・41(2))のうちの奥側のヘッド41(1)の最も手前側のノズル#180と、手前側のヘッド41(2)の最も奥側のノズル#1との間隔も180dpiとなっている。つまり、ヘッドユニット40の下面では、ノズルが幅方向に一定の間隔(180dpi)で4インチに亘って並んでいる。
【0024】
次に、印刷手順について説明する。まず、搬送ユニット20により印刷領域に供給された印刷テープTに対して、X軸ステージ31によりヘッドユニット40がX方向(搬送方向)に移動し、この移動中にノズルからインクが吐出され、印刷テープTにはX方向に沿ったドット列が形成される。その後、ヘッドユニット40は、Y軸ステージ32により、X軸ステージ31を介して、Y方向(幅方向)に移動し、その後、再び、ヘッドユニット40がX方向に移動しながら印刷を行う。このように、ヘッドユニット40のX方向への移動によるドット形成動作と、ヘッドユニット40のY方向への移動を交互に繰り返すことで、先のドット形成動作により形成されたドットの位置とは異なる位置にドットが形成され、画像が完成する。このように、印刷領域に供給された印刷テープTの印刷(画像形成動作)が終了すると、搬送ユニット20により印刷が成されていない印刷テープTの領域が印刷領域に供給され(搬送動作)、再び、画像が形成される。この画像形成動作と印刷テープTの搬送動作とを交互に繰り返すことで、印刷テープTに多数の印刷物が搬送方向に並んだ状態で印刷される。
【0025】
===印刷物製造の流れについて===
図4Aは、印刷テープTに印刷物aが印刷された様子を示し、図4Bは、最大印刷領域(一点鎖線で囲んだ領域)に印刷可能な印刷物aの数を示す。以下、印刷物aが製造(印刷)されるまでの流れについて説明する。デザイン用PC70によりデザインされた印刷物aに関するデータ(画像データ、印刷枚数など、以下、JOBデータとする)を受信すると、印刷データ作成用PC60はプリンタ1に指定枚数の印刷物aを印刷させるための印刷データを作成する。
【0026】
ところで、本実施形態のプリンタ1は、印刷テープTの搬送動作とヘッドユニット40による画像形成動作とが交互に繰り返されることにより印刷がなされるため、1回の画像形成動作により印刷可能な印刷領域(以下、最大印刷領)が予め定められている。最大印刷領域の幅方向の長さは印刷テープTにより定められ、最大印刷領域の搬送方向の長さはヘッドユニット40が搬送方向に往復移動可能な最大距離Xmaxとなる。
【0027】
そのため、1回の画像形成動作にて、整数個の印刷物aが印刷されるようにしなければならない。なぜなら、図4Bに示すように、先の画像形成動作にて2個半の印刷物aを印刷し、次の画像形成動作にて残りの半分の印刷物aと2個の印刷物aを印刷してしまうと、印刷テープTの搬送動作に誤差が生じた場合に、2回に分けて印刷された印刷物aの境界部分にて、画像が重なったり、間隔が空いてスジが生じたりしてしまうからである。そのため、1回の画像形成動作により整数個の印刷物を印刷するとする。
【0028】
そして、図4Aに示すように、印刷物aは搬送方向に均等の間隔Sminで並んで印刷されるとする。そうすれば、抜き機は、印刷テープTに印刷された印刷物毎に、一定の時間間隔で、ハーフカットすることができる。また、印刷物aを搬送方向に均等に並べることで、抜き機だけでなく、印刷物の貼り付け機械などを使用する場合にも、一定の時間間隔で印刷物を剥がすことができる。更に、抜き機が誤った位置にて印刷テープTをハーフカットしてしまうことを防止するために、印刷テープTには、印刷物aだけでなく、印刷物aの位置を示す「抜きマークZ」も一緒に印刷される。抜きマークZをセンサが検知することで、印刷物が均等の間隔で並んで印刷されているかを確認することができる。なお、印刷物aの搬送方向下流側先端部と抜きマークZの下流側先端部の搬送方向の位置が一致するように、抜きマークZは印刷されている。
【0029】
これらのことを考慮し、印刷データ作成用PC60は、1回の画像形成動作により印刷される領域の大きさ(以下、単位領域とする)を決定し、単位領域内にて印刷物aをどのように印刷するかを決定する(割り付け作業)。この割り付け作業は、印刷データ作成用PC内の割付ソフトのプログラムに従って行われるとする。以下、割り付け作業について詳しく説明する。
【0030】
始めに、印刷データ作成用PC60は、1回の画像形成動作にて印刷可能な最大印刷領域に、印刷物aを幾つ印刷することが出来るかを算出する。印刷物aを搬送方向に均等の間隔で印刷すると前述しているが、これは、印刷物aの搬送方向の間隔を大きく設定してしまうと無駄に印刷テープTを消費してしまうからである。そのため、印刷物aの搬送方向の間隔は出来る限り小さくすることが好ましく、ここではハーフカットを行うために必要な最小の間隔Sminに設定する。
【0031】
そして、図4Bに示すように、最大印刷領域内にて、2個半の印刷物aを搬送方向に最小の間隔Sminで並べて印刷することが可能であると算出されたとする。この場合、1回の画像形成動作に印刷する印刷物aの数を、最大印刷領域内に印刷可能な印刷物数(2個半)のうちの最大の整数個、即ち、2個に決定する。なお、1回の画像形成動作に印刷可能な印刷物の個数は、最大印刷領域に対応する画像データ上に印刷物aの画像データを実際に割り付けて算出しても良いし、最大印刷領域の大きさと印刷物aの大きさから計算により算出しても良い。
【0032】
図4Cは、単位領域(実線)に印刷される印刷物aを示す図である。1回の画像形成動作にて印刷する印刷物の個数(2個)が決定したら、次に、単位領域の大きさを設定する。図4Bに示すように、最大印刷領域内にて、2個の印刷物aを搬送方向の間隔が最小間隔Sminとなるように配置し、印刷物aの搬送方向上流側に最小間隔Sminを設けると、最大印刷領域の搬送方向において余分長さX’が生じる。最大印刷領域の搬送方向の長さXmaxから、この余分長さX’を引いた長さXuが、単位領域の搬送方向の長さに相当する。
【0033】
そして、図4Cに示す単位領域の画像を搬送方向に繰り返し印刷することで、先に印刷された単位領域の上流側の印刷物aと、次に印刷される単位領域の下流側の印刷物aとの間隔が最小間隔Sminとなり、図4Aのように、印刷テープTには、印刷物aが搬送方向に一定の間隔Sminにて並んで印刷される。
【0034】
このように、単位領域の大きさと単位領域内に印刷物aをどのように印刷するかを決定する割り付け作業が終了したら、単位領域に印刷する画像(図4C)の画像データ(以下、単位領域画像データ)を、プリンタドライバにより、プリンタ1が印刷可能な印刷データ(以下、単位領域印刷データ)に変換する。まず、単位領域画像データはプリンタ1が印刷可能な解像度に解像度変換される。そして、RGBデータである単位領域画像データをプリンタ1のインク(YMCK)に対応した色空間により表されるように、色変換処理を行う。そして、高階調(例:256階調)である単位領域画像データをプリンタ1が形成可能な階調数(例:4階調)のデータに変換し(ハーフトーン処理)、プリンタ1が印刷する順に合わせてデータが並び替えられる(ラスタライン処理)。これらの処理を経て、単位領域印刷データは、印刷方式に応じたコマンドデータ(印刷テープTの搬送量など)と共に、プリンタドライバ(印刷データ作成用PC60)からプリンタ1に送信される。
【0035】
そして、1回の画像形成動作において、図4Cに示す画像が繰り返し印刷されるように、単位領域印刷データを繰り返し用いて印刷する。また、1回の搬送動作における印刷テープTの送り量は、単位領域の搬送方向の長さXuとなる。即ち、画像形成動作におけるヘッド41の搬送方向への移動距離が、単位領域の搬送方向の長さXuとなる。このように、印刷物が搬送方向に最小間隔Sminで並んで印刷されるように単位領域を設定することで、印刷物の大きさによっては、ヘッド41の搬送方向への移動距離Xuをヘッド41が搬送方向へ移動可能な最大距離Xmaxよりも短くできるため、印刷時間が短縮される。また、印刷物aの下流側先端位置と抜きマークZの下流側先端位置が搬送方向に一致するように印刷されているため、抜きマークZは、搬送ユニット20が印刷テープTを搬送するときの目印として利用することができる。
【0036】
===複数種類の印刷物の印刷について:実施例1===
次に、複数種類の印刷物を印刷する場合の印刷方法について説明する。
図5Aは印刷テープTのサイズを示す図であり、図5Bは印刷物A(第1画像)と印刷物B(第2画像)のサイズを示す図である。以下、説明のため、印刷テープTの幅方向の長さWを300mmとし、プリンタ1が1回の画像形成動作により印刷可能な最大印刷領域の搬送方向の長さXmaxを36インチ(=914mm)とする。そして、この実施例1では、プリンタ1が2種類の印刷物(印刷物Aと印刷物B)を印刷するように、印刷データ作成用PC60がデザイン用PC70から2種類のJOBデータを受信したとする。また、印刷物Aのサイズを「幅方向×搬送方向=60mm×80mm」とし、印刷物Bのサイズを「幅方向×搬送方向=50mm×50mm」とする。
【0037】
このように印刷データ作成用PC60が2種類のJOBデータを受信した場合、印刷データ作成PC60の割付ソフトは、2種類の印刷物をどのように印刷するかを決定する。まず、比較例の印刷方法を示してから、実施例1の印刷方法について説明する。
【0038】
〈比較例の印刷方法〉
図6Aと図6Bは、比較例における印刷物Aと印刷物Bの印刷の様子を示す図である。比較例では、図示するように、印刷物Aと印刷物Bを同時に印刷することはせず、印刷物Aと印刷物Bを別々に印刷する。そのため、印刷データ作成用PC60は、印刷物Aを印刷するための単位領域印刷データと印刷物Bを印刷するための単位領域印刷データの2種類の印刷データを作成する。
【0039】
印刷物Aを印刷するための単位領域印刷データを作成するにあたり、まず、最大印刷領域(W×Xmax=300×914(mm2))内に、印刷物Aを幾つ印刷することが出来るかを算出する。なお、ここでは、搬送方向に並ぶ印刷物間の最小間隔Sminを3mmとする。最大印刷領域内にて、印刷物Aが搬送方向に並ぶ数は、以下の式より、11個と算出される。
914÷(80+3)=11.012…≒11(個)
そして、搬送方向に並ぶ印刷物Aの数から、1回の搬送動作による印刷テープTの送り長さ、即ち、単位領域の搬送方向の長さXuを、913mmと算出する。
83×11=913(mm)
【0040】
また、印刷テープTの幅方向の長さが300mmであり、印刷物Aの幅方向の長さが60mmであるため、図6Aに示すように、幅方向に印刷物Aを複数枚並べて印刷することができる。幅方向に並ぶ印刷物間の最小間隔も3mmとする。
【0041】
ところで、印刷物の印刷後のハーフカット処理のため、印刷テープTには印刷物Aの位置を示す抜きマークZを印刷すると前述している。ここでは、抜きマークZの幅方向の長さを4mmとする。また、印刷テープTの幅方向に対する抜き機の最大抜き幅(所定閾値)を170mmとする。このように、抜き機の最大抜き幅が設定されている理由は、もし抜き幅(抜き型)を大きくし過ぎてしまうと、印刷テープTに対して抜き型を平行に下ろすことが難しくなるからである。抜き型が印刷テープTに対して、平行ではなく、傾いて下ろされると、印刷テープTに掛かる力が場所によって異なり、印刷物(シール紙)の一部がくっついてしまったり、ハーフカット処理であるのに、シール紙と一緒に剥離紙も抜かれてしまったりする。そのため、印刷物が確実にハーフカットされるように、最大抜き幅が設定されている。
【0042】
そして、抜き機の最大抜き幅170mmに対して、幅方向に並ぶ2枚の印刷物Aの幅方向長さは126mm(=(60+3)×2)であるため、2枚の印刷物Aは抜き機により同時にハーフカットすることが出来る(126mm<170mm)。一方、幅方向に並ぶ3枚の印刷物Aは抜き機により同時にハーフカットすることができない(幅方向長さ189mm>170mm)。
【0043】
そのため、印刷物Aの印刷が終了した印刷テープTは、図2に示すカッター80により、図6Aに示す「切り取り線」にて2分割される。そして、2分割された印刷テープTが1つずつ、抜き機により、ハーフカットされる。ゆえに、抜きマークZは、幅方向において、印刷テープTの切り取り線よりも奥側に1個と、切り取り線よりも手前側に1個印刷されればよい。なお、カッター80は、図2Bに示すように、幅方向に移動可能とする。そうすることで、印刷テープTに印刷される印刷物のサイズや幅方向に並ぶ印刷物の数の違いにより、印刷テープTの幅方向における切り取り線の位置が異なったとしても、所望の位置にて印刷テープTを分割することができる。
【0044】
そして、印刷物Aが幅方向に並ぶ数を以下の式により4個と算出することができる。幅方向に5枚の印刷物Aを並べようとすると、仮想的に点線で示しているように、5枚目の印刷物Aは印刷テープTからはみ出してしまう。なお、抜きマークZと印刷物Aとの幅方向の間隔も3mmとする。
{300−(4+3)×2}÷(60+3)=4.539…≒4(個)
そして、幅方向における余白長さを、以下の式により「34mm」と算出することができる。
300―(4+3)×2−(60+3)×4=34(mm)
【0045】
以上をまとめると、1回の画像形成動作により(単位領域内に)印刷される印刷物Aの個数は44個(=11×4)となる。そして、単位領域の大きさは、「幅方向×搬送方向=300mm×913mm」となる。
【0046】
同様にして、図6Bに示すように、1回の画像形成動作により印刷される印刷物Bの個数は85個(=17×5)となる。そして、単位領域の大きさは、「幅方向×搬送方向=300mm×901mm」となり、印刷テープTの幅方向の余白は21mmとなる。また、幅方向に並ぶ3枚の印刷物Bまで(170>159(=53×3))抜き機により同時にハーフカットすることが出来る。こうして、比較例では、印刷テープTに印刷物Aと印刷物Bが個別に印刷される。
【0047】
ところで、1回の搬送動作による印刷テープTの送り長さを調整することにより、単位領域の搬送方向の長さは、印刷物の大きさに合わせて変化させることができる。そのため、印刷テープTに対して1種類の印刷物を印刷する場合には、最大印刷領域内に印刷可能な整数個の印刷物を搬送方向に最小間隔Sminで並ばせた際の長さに合わせて、単位領域の搬送方向の長さXuを決定することができ、印刷テープTの搬送方向には余分な余白が発生しない。
【0048】
一方、印刷テープTの幅は予め定められているため、最大印刷領域内に1種類の印刷物(整数個)を幅方向に並べると、印刷テープTの幅方向には余白が発生し易い。比較例では、印刷テープTに対して、印刷物Aのみを印刷する場合には幅方向に34mmの余白が発生し、印刷テープTに対して、印刷物Bのみを印刷する場合には幅方向に21mmの余白が発生している。このような余白が発生してしまうと、印刷物の製造枚数に対する印刷テープTの消費量が大きくなり、コストがかかってしまう。
【0049】
そこで、印刷物を印刷する際に発生する印刷テープTの余白を出来る限り少なくすることを目的とする。
【0050】
〈実施例1の印刷方法〉
次に、印刷データ作成用PC60が2種類のJOBデータ(印刷物Aと印刷物B)を受信した場合における、実施例1の印刷方法について説明する。
【0051】
図7は、本実施形態において、印刷テープTに印刷物Aと印刷物Bが印刷される様子を示す図である。本実施形態では、幅方向と搬送方向の大きさの異なる印刷物Aと印刷物Bとが幅方向に並び、且つ、複数の印刷物Aと複数の印刷物Bとがそれぞれ搬送方向に並ぶように、印刷物Aと印刷物Bとを印刷する。
【0052】
以下、印刷物Aと印刷物Bの割り付け作業について具体的に説明する。まず、2種類の印刷物のうちの搬送方向の長さが長い方の印刷物Aが、最大印刷領域内において、搬送方向に幾つ並ぶことができるかを算出する。図7に示すように、最大印刷領域内にて、11個の印刷物Aを最小間隔Smin(第1の間隔)で搬送方向に並べることができ、単位領域の搬送方向の長さが913mmとなり、1回の搬送方向の印刷テープTの送り長さも913mmとなる(前述の比較例と同様)。
【0053】
印刷テープTに同時に2種類の印刷物を印刷する場合、搬送方向の長さが長い方の印刷物Aを基準に、単位領域の搬送方向の長さを決定している。これは、搬送方向の長さが長い方の印刷物を基準にした方が、搬送方向の余白を少なくすることができるからである。例えば、搬送方向の長さが短い方の印刷物Bを基準に単位領域の搬送方向の長さを決定し、その単位領域に合わせて印刷物Aを配置した場合に、単位領域の搬送方向の長さがあと5mm大きければ、単位領域内に印刷物Aをもう1個配置することができたとする。そうすると、印刷物Aが並んでいる領域の搬送方向の余白は75mm(=80−5)となる。一方、印刷物Aを基準に単位領域を決定した後に印刷物Bを配置し、同様に、単位領域の搬送方向の長さがあと5mm大きければ、単位領域内に印刷物Bをもう1個配置できるとした場合、単位領域のうちの印刷物Bが並んでいる搬送方向の余白は45mm(=50−5)となる。そのため、実施例1では、搬送方向の長さが長い方の印刷物を基準に単位領域の大きさを決定する。
【0054】
次に、搬送方向の長さが印刷物Aよりも小さい印刷物Bが単位領域内において、搬送方向に幾つ並ぶことが出来るかを算出する。次式により、17個の印刷物Bを搬送方向に並べて印刷できると算出される。
913÷(50+3)=17.22…≒17(個)
【0055】
しかし、印刷物Aと同様に、搬送方向における印刷物Bの間隔(第2の間隔)を最小間隔Sminの3mmとしてしまうと、単位領域内において、搬送方向に余分長さが発生してしまう(913−53×17=12mm)。そして、等間隔で印刷物Bを印刷できなくなる。そこで、印刷物Bは、印刷物Aとは別に、搬送方向の間隔を算出する必要がある。これは、次式により、3.7mmと算出される。
{913―(50×17)}÷17=3.705…=3.7(mm)
【0056】
こうして、割付ソフトは、単位領域の大きさを決定し(幅方向×搬送方向=300mm×913mm)、単位領域内に、11個の印刷物Aが搬送方向に最小間隔Smin(3mm)で並び、また、17個の印刷物Bが搬送方向に3.7mmの間隔で並ぶように印刷することを決定する。
【0057】
次に、印刷物Aと印刷物Bの幅方向の割り付け方法を決定する。このとき、抜き機の抜き幅も考慮することが好ましい。本実施形態では、抜き機の最大抜き幅を170mmと設定しているため、印刷物Aは、幅方向に並ぶ2枚の印刷物Aを同時にハーフカットすることができ、印刷物Bは、幅方向に並ぶ3枚の印刷物Bを同時にハーフカットすることができる。そこで、割付ソフトは、単位領域内の幅方向に、2枚の印刷物Aと、3枚の印刷物Bを幅方向に並べて印刷することを決定する。
その結果、次式により、単位領域の幅方向の余白は1mmと算出される。
300−(4+3)×2−(60+3)×2−(50+3)×3=1(mm)
【0058】
このように、実施例1では、印刷テープTに2種類の印刷物Aと印刷物Bを幅方向に並べて同時に印刷することで、単位領域の幅方向の余白を1mmにすることができ、比較例の幅方向の余白(34mmと21mm)よりも少なくすることができる。
【0059】
以上をまとめると、サイズの異なる2種類の印刷物に関するJOBデータを受信した場合には、比較例のように1種類の印刷物を個別に印刷する場合と、2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する場合があり、この実施例1では、2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する印刷方法(印刷物製造方法)の方が、幅方向における余白を少なくすることができる。
【0060】
逆に、もし、印刷物Aと印刷物Bを個別に印刷する場合において、出来るだけ余白を少なく印刷するためには、印刷物の大きさに合わせた幅の印刷テープTを使用する必要がある。例えば、図6に示す比較例のように、印刷物Aと印刷物Bとを個別に印刷する場合に、印刷テープTの幅方向の余白を少なくしようとすると、印刷物Aの印刷用に、幅方向の長さが266mm(=300−34)である印刷テープと、印刷物Bの印刷用に、幅方向の長さが279mm(=300−21)である印刷テープが必要となる。これに対し、この実施例1では、既定の幅の印刷テープTに、印刷物Aと印刷物Bとを幅方向に並べて印刷することで、余白量を出来る限り少なくしているため、様々な幅の印刷テープTをストックする必要がなくなる。
【0061】
また、比較例では、印刷物Aと印刷物Bとを個別に印刷するため、印刷物Aに対する単位領域画像データ(図6A)と印刷物Bに対する単位領域画像データ(図6B)との2種類の画像データを、プリンタドライバにより、プリンタ1が印刷可能な印刷データに変換しなければならない。一方で、実施例1では、印刷物Aと印刷物Bを同時に印刷するため、1種類の単位領域画像データ(図7)を印刷データに変換すればよいため、実施例1の方が比較例に比べて、画像データを印刷データへ変換する作業時間が短くなり、その結果、全体の印刷処理時間も短縮される。
【0062】
そして、実施例1では、単位領域内に印刷物Aと印刷物Bを幅方向に割り付ける際に(図7)、抜き機の最大抜き幅も考慮している。即ち、幅方向に並ぶ2枚の印刷物Aの幅方向の長さと、幅方向に並ぶ3枚の印刷物Bの幅方向の長さは、それぞれ最大抜き幅よりも短くなっている。そのため、図7のように、印刷物Aと印刷物Bを印刷すると、幅方向に並ぶ2枚の印刷物Aを一括にハーフカットすることができ、また、幅方向に並ぶ3枚の印刷物Bも一括にハーフカットすることができる。
【0063】
例えば、抜き機が2台あった場合には、実施例1のように印刷テープTに印刷物Aと印刷物Bとを一緒に印刷すると、印刷終了後に、1台の抜き機は印刷物A用に抜き型をセットして、もう1台の抜き機には印刷物B用の抜き型をセットして、印刷物Aと印刷物Bのハーフカットを同時に行うことができる。
一方、比較例のように、印刷物Aを印刷した後に、印刷物Bを印刷する場合には、印刷物Aの印刷終了後に、2台の抜き機に印刷物A用の抜き型をセットし、印刷物Aのハーフカットを行い、その間に、印刷物Bの印刷を行って、印刷物Bの印刷終了後に、2台の抜き機から印刷物A用の抜き型を外し、印刷物B用の抜き型をセットし、印刷物Bのハーフカットを行うことになる。抜き機の抜き型をセットする作業は、時間が長くかかる作業であるため、実施例1のように、抜き型のセット回数を最小限に抑えることで、全体の作業時間を短縮することができる。
また、比較例のように、2種類の印刷物を印刷テープTに個別に印刷する場合に、抜き型のセット回数を少なくしようとすると、1台の抜き機に印刷物A用の抜き型をセットし、もう1台の抜き機には印刷物B用の抜き型をセットすることになる。そうすると、印刷物Aの印刷終了後に、1台の抜き機は印刷物Aのハーフカットを行えるが、印刷物Bの印刷は未だ終了していないので、その間、もう1台の抜き機は稼動できない。
つまり、印刷テープTに印刷物Aと印刷物Bとを同時に印刷することで、印刷終了後のハーフカット工程において、時間を短縮したり、効率的に抜き機を利用したりすることができる。
【0064】
この実施例1では、印刷テープTにサイズの異なる2種類の印刷物Aと印刷物Bが幅方向に並ぶように印刷することで、印刷テープTに2種類の印刷物を個別に印刷するよりも、印刷テープTの余白を少なくする実施例を説明している。しかし、印刷物のサイズや印刷テープTの幅方向の長さは様々である。そのため、もし、2種類の印刷物を個別に印刷する印刷処理の方が、2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する印刷処理よりも、印刷テープTの余白が少なくなる場合には、2種類の印刷物を個別に印刷する方が好ましい。
【0065】
但し、比較例のように2種類の印刷物を個別に印刷する場合、一方の印刷物は、余白を少なく印刷テープTに幅方向に並べて印刷出来たとしても、他方の印刷物は、一方の印刷物とサイズが異なるため、余白が大きくなってしまう可能性がある。そのため、2種類の印刷物を印刷する場合には、実施例1のように、印刷テープTに2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する方が、余白が少なくなる確率が高くなると考えられる。
【0066】
つまり、比較例のように、規定幅Wである印刷テープTに1種類の印刷物を印刷する場合には、印刷テープTの余白量を変えることは出来ない。しかし、印刷テープTに(幅方向の)サイズの異なる2種類の印刷物を搬送方向に並べる場合には、単位領域内における印刷物の並べ方によって、余白量を変化させ、余白を出来る限り少なくすることができる。
【0067】
そこで、単位領域内に印刷物Aと印刷物Bを幅方向に割り付ける際に抜き機の最大抜き幅を考慮すると上述しているが、これに限らず、割付ソフトが印刷物Aと印刷物Bとの幅方向の割り付け方を色々と変化させ、最も余白量が少なくなる割り付け方を選択するようにしても良い。このとき、比較例のように1種類の印刷物を幅方向に並べる割り付け方も選択の候補の1つにしてもよく、1種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する印刷方法が最も余白量を少なく出来る場合には、印刷テープTの幅方向に1種類の印刷物のみを並べて印刷する。
【0068】
===複数種類の印刷物の印刷について:実施例2===
この実施例2では、複数種類(4種類)の印刷物を印刷する場合に、割付ソフトが、印刷テープTの幅方向に並べて印刷する印刷物を組み合わせ、印刷テープTの余白量が最小となる組み合わせを決定し、プリンタ1はその組み合わせに基づいて印刷する。
【0069】
図8は、プリンタ1が印刷する4種類の印刷物(印刷物Aから印刷物D)を示す図である。割付ソフトが、余白が最も少なくなる印刷処理を決定する手順について、以下に説明する。但し、説明の簡略のため、印刷テープTには、2種類ずつの印刷物を印刷するとし、3種類や4種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する方法や、1種類の印刷物のみ幅方向に並べる印刷処理は除く。そのため、次の3種類の印刷処理の中から、余白が最も少なくなる印刷処理を決定する。まず、印刷処理(1)は「印刷物Aと印刷物Bとを幅方向に並べて印刷し、印刷物Cと印刷物Dとを幅方向に並べて印刷する処理」であり、印刷処理(2)は「印刷物Aと印刷物Cを並べて印刷し、印刷物Bと印刷物Dを並べて印刷する処理」であり、印刷処理(3)は「印刷物Aと印刷物Dを並べて印刷し、印刷物Bと印刷物Cとを並べて印刷する処理」である。
【0070】
図9Aから図9Cは、印刷処理(1)から印刷処理(3)における印刷物の割り付け方を示す図であり、図10は、各印刷処理における余白量の算出結果である。
印刷テープTに2種類の印刷物を割り付ける方法は、前述の実施例1と同様である。例えば、印刷処理(1)の印刷物Cと印刷物Dの割り付け方の場合であったら(図9A)、搬送方向の長さが長い方の印刷物Cを基準に、単位領域の搬送方向の長さ(=送り長さ=901mm)を決定する。
次に、単位領域の搬送方向の長さに合わせて、印刷物Dを搬送方向に幾つ並べて印刷することが可能であるかを算出し、印刷物Dが単位領域内において、搬送方向に均等に配置されるように、搬送方向の間隔(=3.37mm)を算出する。
そして、幅方向に並ぶ複数枚の印刷物C、及び、幅方向に並ぶ複数枚の印刷物Dの、それぞれの幅方向の長さが、抜き機の最大抜き幅(=170mm)よりも大きくならないように、幅方向に印刷物Cと印刷物Dとを割り付ける。なお、最大抜き幅に関係なく、幅方向の余白量が出来る限り少なくなるように、幅方向に印刷物Cと印刷物Dとを割り付けても良い。こうして、図9Aから図9Cに示すように、各印刷処理において、単位領域内に印刷物がどのように印刷されるかが決定する。
【0071】
次に、余白量の算出方法について、印刷処理(1)の印刷物Cと印刷物Dの印刷の場合を例に説明する。印刷テープTに2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷する場合には、幅方向の余白量と、搬送方向の余白量の両方を考慮する必要がある。なぜなら、搬送方向の長さが長い方の印刷物(印刷物C)は、搬送方向に最小間隔Sminで並んで印刷されるが、搬送方向の長さが短い方の印刷物(印刷物D)の搬送方向の間隔は、単位領域の搬送方向の長さに合わせて決められるからである。そのため、この搬送方向の間隔が出来る限り最小間隔Sminに近い値であることが好ましい。
【0072】
そこで、この実施例2では、仮に2つの印刷物のうちの搬送方向の長さが短い方の印刷物Dを最小間隔Smin(=3mm)で搬送方向に並べた場合と、単位領域に合わせて算出した間隔(=3.37mm)で印刷物Dを搬送方向に並べた場合との差を基に、搬送方向の余白面積を算出する。
搬送方向の余白面積=(間隔の差)×印刷物Dの幅長さ×(印刷物Dの個数)
=(3.37−3)×40×(27×4)
=1,199(mm2)
そして、幅方向の余白量(余白面積)は、下式に示すように、印刷テープTに印刷物Cと印刷物Dを幅方向に並べた際の余白長さ25mm(=300−(4+3)×2−(30+3)×4−(40+3)×3)と、1回の搬送動作における送り長さ901mmとの積により算出される。
幅方向の余白面積=25(mm)×901(mm)
=22,525(mm2)
その後、搬送方向の余白面積と幅方向の余白面積とを合計すれば、印刷テープTに印刷物Cと印刷物Dを幅方向に並べて印刷する場合の余白面積が算出される。
【0073】
こうして、図10に示すように、割付ソフトは、印刷処理(1)から印刷処理(3)の中で、最も余白面積を少なく印刷する方法は印刷処理(1)であると決定する。そして、図9A(印刷処理(1))のように印刷物が印刷されるように、割付ソフトは単位領域画像データを作成する。プリンタドライバはその単位領域画像データを単位領域印刷データに変換し、プリンタ1は、単位領域印刷データを繰り返し用いて印刷する。
【0074】
このように、複数種類の印刷物を印刷する場合には、幾つかの印刷物を幅方向に並べて印刷したり、又は、1種類の印刷物を印刷したりと、様々な印刷処理がある。このとき、実施例2のように、余白量が最も少なくなる印刷処理を選択することで、印刷テープTの消費量を抑え、コストを削減することができる。
【0075】
===複数種類の印刷物の印刷について:実施例3===
前述の実施例1・2では、印刷物を幅方向に割り付ける際に、抜き機の最大抜き幅(=170mm)を考慮し、且つ、幅方向の余白量が出来る限り少なくなるように、2種類の印刷物を幅方向に並べて印刷しているがこれに限らない。
【0076】
ここで、図9Bに示す印刷処理(2)において、印刷テープTに印刷物Bと印刷物Dとを幅方向に並べて印刷すると、幅方向の余白長さが41mmとなる。この余白領域に、幅方向の長さが50mmである印刷物Bや、幅方向の長さが40mmである印刷物Dは、抜き工程用の間隔を設けて印刷することができない。しかし、幅方向の長さが30mmである印刷物Cは印刷することができる。
【0077】
即ち、幅方向の長さが長い印刷物(印刷物Bや印刷物D・第1画像に相当)を、先に、幅方向に並ぶように割り付け、その後、幅方向の長さが長い印刷物を割り付けた後の余白領域に、幅方向の長さが短い印刷物(印刷物C・第2画像に相当)を割り付けることで、幅方向の余白をより少なくすることができる。
【0078】
===複数種類の印刷物の印刷について:実施例4===
前述の実施例では、最大印刷領域内に印刷可能な印刷物の最大個数に基づいて、単位領域の搬送方向の長さを決定しているが、これに限らない。図7では、最大印刷領域内にて、搬送方向に並んで印刷可能な11個(最大個数)の印刷物Aに基づいて、単位領域の搬送方向の長さが決定されている。しかし、これに限らず、例えば、印刷物Aの最大個数よりも少ない個数(X個)に基づいて単位領域の搬送方向の長さを決定することで、印刷物Bの搬送方向の間隔が短くなる(搬送方向の余白が少なくなる)場合には、X個の印刷物Aに基づいて単位領域の搬送方向の長さを決定してもよい。
但し、単位領域の搬送方向の長さを最大印刷領域よりも大幅に短くしてしまうと、1回の画像形成動作により印刷される印刷物の数が少なくなり、印刷時間が長くなってしまう。
【0079】
===その他のインクジェットプリンタについて===
ここまで、画像形成動作と搬送動作とが交互に行われたプリンタ1を用いた印刷システムについて説明しているが、これに限らない。ヘッド下面のノズルが、幅方向に、印刷テープTの幅長さに亘って並んだプリンタ(所謂ラインプリンタ)を用いてもよい。このようなプリンタによれば、前述のプリンタ1のように、ヘッドユニット40が搬送方向に移動することなく、固定されたヘッド(ノズル)の下を通過する印刷テープTに対してインクが吐出されれば、画像が形成される。
【0080】
そのため、前述の実施形態では、1回の画像形成動作にて印刷可能な最大印刷領域から印刷物の大きさに合わせて単位領域を設定しているが、その必要がなくなる。
例えば、印刷テープTの幅方向に2種類の印刷物が並ぶように印刷する場合、各印刷物が単位領域に幾つ印刷することが可能であるかを算出する必要はなく、余白量が少なくなるように2種類の印刷物を幅方向に割り付ければよい。そのため、割付ソフトの作業が簡単となり、印刷の処理時間が短縮される。
また、2種類の印刷物の両方が、搬送方向に最小間隔Sminで並ぶように印刷されるため、前述の実施形態に比べて、搬送方向の余白量を少なくすることができる。
【0081】
また、前述のプリンタ1のように、ヘッド41が搬送方向と幅方向に移動し、画像形成動作と搬送動作とが交互に行われるプリンタであっても(最大印刷領域が決められたプリンタであっても)、印刷領域の搬送方向の長さに亘ってノズルが並んだヘッドであれば、ヘッドは、搬送方向に移動することなく、幅方向に移動するだけで、画像を印刷することができる。他にも、連続媒体の幅方向長さに亘ってノズルが並んだヘッドであれば、ヘッドは、1回の画像形成動作にて、幅方向に移動することなく、搬送方向に移動するだけで、画像を印刷することができる。また、連続媒体は種類によって幅方向長さが異なるため、ある連続媒体では、媒体の幅長さが幅方向のノズル列長さよりも短く、ヘッドは幅方向に移動する必要は無いが、別の連続媒体では、媒体の幅長さが幅方向のノズル列長さよりも長く、ヘッドは幅方向に移動する必要があるというように、連続媒体によってヘッドの動きが変わるようにしてもよい。
【0082】
===その他の実施形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェット方式のプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、画像の割り付け方法などの開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0083】
〈印刷物について〉
前述の実施形態では、裏面が粘着面である印刷テープに印刷物を印刷しているが、これに限らない。例えば、連続する厚紙にタグなどを印刷する場合においても、余白が少なくなるように、異なるサイズのタグを幅方向に並べて印刷してもよい。また、連続媒体として、印刷テープなどの紙に限らず、布やフィルム等に印刷物を印刷してもよい。
【0084】
〈印刷装置について〉
前述の実施形態では、印刷データ作成用PCが、印刷テープに印刷物をどのように印刷するかを決定する割付作業と、印刷データへの変換処理とを行い、インクジェットプリンタと印刷データ作成用PCとが接続された印刷システムが印刷装置に相当しているが、これに限らない。割付ソフトやプリンタドライバの役割をプリンタが担えば、プリンタ単体が印刷装置に相当する。
【0085】
前述の実施形態では印刷装置としてインクジェットプリンタを例に挙げており、ノズルからインクを吐出する方法としては、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることによりインクを吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によってインクを吐出させるサーマル方式でもよい。また、インクジェットプリンタに限らず、例えば、熱転写プリンタやドットインパクトプリンタなどの印刷装置でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】印刷システムの構成ブロック図である。
【図2】図2Aはプリンタの概略断面図であり、図2Bはプリンタの概略上面図である。
【図3】ヘッドユニットの下面のノズル配列を示す。
【図4】図4Aは印刷テープに印刷物aが印刷された様子を示し、図4Bは最大印刷領域に印刷可能な印刷物aの数を示し、図4Cは単位領域に印刷される印刷物aを示す図である。
【図5】図5Aは印刷テープのサイズを示す図であり、図5Bは印刷物Aと印刷物Bのサイズを示す図である。
【図6】図6Aと図6Bは比較例における印刷物Aと印刷物Bの印刷の様子を示す図である。
【図7】印刷テープに印刷物Aと印刷物Bが印刷される様子を示す図である。
【図8】プリンタが印刷する4種類の印刷物を示す図である。
【図9A】印刷処理(1)における印刷物の割り付け方を示す図である。
【図9B】印刷処理(2)における印刷物の割り付け方を示す図である。
【図9C】印刷処理(3)における印刷物の割り付け方を示す図である。
【図10】各印刷処理における余白量の算出結果である。
【符号の説明】
【0087】
1 プリンタ、
10 コントローラ、11 インターフェース部、12 CPU、
13 メモリ、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ローラ、
30 駆動ユニット、31 X軸ステージ、32 Y軸ステージ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、60 印刷データ作成用PC、70 デザイン用PC、
80 カッター、T 印刷テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とが前記連続媒体に印刷される、
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記第1画像と、前記第1画像よりも前記所定方向の長さの短い前記第2画像と、を前記連続媒体に印刷するための印刷データを作成する際に、
前記第1画像が前記所定方向に並んで印刷される整数の個数を決定した後に、前記第2画像が前記所定方向に並んで印刷される整数の個数を決定する、
印刷方法。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷方法であって、
前記所定方向に並んで印刷される前記第1画像の整数の個数は、
前記所定方向に並ぶ前記第1画像の各前記所定方向の長さを合計した長さが所定閾値よりも短くなるように、決定される、
印刷方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の印刷方法であって、
複数種類の画像を印刷する場合に、前記複数種類の画像の中から前記連続媒体に印刷する画像の種類を組み合わせ、
各組み合わせにて、前記連続媒体に画像を印刷した際に生じる余白量を算出し、
前記余白量が最小となる前記組み合わせに基づいて印刷する、
印刷方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の印刷方法であって、
前記印刷装置は、前記連続媒体を前記搬送方向に搬送する搬送動作と、前記ヘッドを移動させて画像を形成する画像形成動作とを、交互に繰り返し、
1回の前記画像形成動作により印刷可能な印刷領域の大きさと、前記搬送方向の長さが前記第2画像よりも長い前記第1画像の大きさとに基づいて、前記印刷可能な印刷領域の大きさ以下である単位領域を設定することと、
前記単位領域内に、整数個の前記第1画像が前記搬送方向に第1の間隔で並び、整数個の前記第2画像が前記搬送方向に第2の間隔で並んで印刷されるように、前記単位領域に対する印刷データを作成することと、
前記印刷データを繰り返し用いて、前記連続媒体に、複数の前記第1画像が前記搬送方向に前記第1の間隔で並び、且つ、複数の前記第2画像が前記搬送方向に前記第2の間隔で並ぶように印刷することと、
を有する印刷方法。
【請求項6】
所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、複数の第1画像と、前記第1画像と大きさの異なる複数の第2画像とが、それぞれ前記搬送方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する印刷方法であって、
前記複数の第1画像と前記複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する印刷処理と、
前記第1画像のみが前記所定方向に並び、且つ、前記第2画像のみが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に個別に印刷する印刷処理と、を比較し、
前記連続媒体の余白量が少ない方の印刷処理に基づいて印刷する、
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備え、
前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1印刷物と前記搬送方向に並ぶ複数の第2印刷物とが前記所定方向に並ぶように、前記第1印刷物と前記第2印刷物とが前記連続媒体に印刷される、
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項1】
所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とが前記連続媒体に印刷される、
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記第1画像と、前記第1画像よりも前記所定方向の長さの短い前記第2画像と、を前記連続媒体に印刷するための印刷データを作成する際に、
前記第1画像が前記所定方向に並んで印刷される整数の個数を決定した後に、前記第2画像が前記所定方向に並んで印刷される整数の個数を決定する、
印刷方法。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷方法であって、
前記所定方向に並んで印刷される前記第1画像の整数の個数は、
前記所定方向に並ぶ前記第1画像の各前記所定方向の長さを合計した長さが所定閾値よりも短くなるように、決定される、
印刷方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の印刷方法であって、
複数種類の画像を印刷する場合に、前記複数種類の画像の中から前記連続媒体に印刷する画像の種類を組み合わせ、
各組み合わせにて、前記連続媒体に画像を印刷した際に生じる余白量を算出し、
前記余白量が最小となる前記組み合わせに基づいて印刷する、
印刷方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の印刷方法であって、
前記印刷装置は、前記連続媒体を前記搬送方向に搬送する搬送動作と、前記ヘッドを移動させて画像を形成する画像形成動作とを、交互に繰り返し、
1回の前記画像形成動作により印刷可能な印刷領域の大きさと、前記搬送方向の長さが前記第2画像よりも長い前記第1画像の大きさとに基づいて、前記印刷可能な印刷領域の大きさ以下である単位領域を設定することと、
前記単位領域内に、整数個の前記第1画像が前記搬送方向に第1の間隔で並び、整数個の前記第2画像が前記搬送方向に第2の間隔で並んで印刷されるように、前記単位領域に対する印刷データを作成することと、
前記印刷データを繰り返し用いて、前記連続媒体に、複数の前記第1画像が前記搬送方向に前記第1の間隔で並び、且つ、複数の前記第2画像が前記搬送方向に前記第2の間隔で並ぶように印刷することと、
を有する印刷方法。
【請求項6】
所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、複数の第1画像と、前記第1画像と大きさの異なる複数の第2画像とが、それぞれ前記搬送方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する印刷方法であって、
前記複数の第1画像と前記複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する印刷処理と、
前記第1画像のみが前記所定方向に並び、且つ、前記第2画像のみが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に個別に印刷する印刷処理と、を比較し、
前記連続媒体の余白量が少ない方の印刷処理に基づいて印刷する、
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備え、
前記搬送方向に並ぶ複数の第1画像と前記搬送方向に並ぶ複数の第2画像とが前記所定方向に並ぶように、前記第1画像と前記第2画像とを前記連続媒体に印刷する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
所定方向に所定幅を有する連続媒体を前記所定方向と交差する方向である搬送方向に搬送する搬送機構と、媒体に画像を印刷するヘッドと、を備える印刷装置により、前記搬送方向に並ぶ複数の第1印刷物と前記搬送方向に並ぶ複数の第2印刷物とが前記所定方向に並ぶように、前記第1印刷物と前記第2印刷物とが前記連続媒体に印刷される、
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【公開番号】特開2009−80791(P2009−80791A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155702(P2008−155702)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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