説明

印刷書類および制御システム

【解決手段】印刷書類3は、マイクロ回路の識別を可能にする信号を生成して送信する機能を有する1つ以上のマイクロ回路と、マイクロ回路5に連結され、そのマイクロ回路5を起動するための接触部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク、特にインターネット型のネットワークなどの情報システムにおいて、動作を始動する分野に関する。情報システムとは、コンピュータ、PDA、モバイルフォンなどの、任意のコンピュータまたは通信機器を意味する。
【背景技術】
【0002】
無線識別(RFID)は、数年前から公知である。この処理は、現在、例えば、ロジスティック分野、キャッシュカウンターでの支払い処理、または、追跡活動などの分野で、製品や対象物の識別に用いられている。これらの文献は、インターネットのhttp://www.techbourse.com/analyses/microcircuit electronique- 20000830.htmで入手して参照できる。
【0003】
書類上に印刷することで簡単に電子回路を作成することができる最初の半導体インクはよく知られている。
【0004】
物理的に、RFIDラベルは、チップと、一般的にチップの周りにコイルが螺旋状に巻かれたアンテナとから構成される。この装置の多くはパッシブ型であり、アンテナが所定の周波数を捕捉し、その周波数から十分なエネルギーを得て、一意の識別コードを送信する。RFIDラベルを読み取る際の感度および信頼性はアンテナの大きさおよび形状に主に依存する。より高度な装置には、例えば、冷凍製品の温度や、例えば、ボトル内の液体のレベルが閾値を超えているかどうか、などの物理的パラメータを識別するセンサを備えるものもある。これらの関連文献は、インターネットのhttp://xmlfr.org/actualites/decid/O31128-0001で入手可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、マイクロ回路をアクティブ状態/非アクティブ状態にすることにより、コンピュータ動作を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態に基づく印刷書類は、マイクロ回路の識別を可能にする信号を生成して送信する機能を有する1つ以上のマイクロ回路と、マイクロ回路に連結され、そのマイクロ回路を起動するための接触部とを備える。導電物体を2つ以上の接触部上に置くことにより、閉スイッチが構成され、マイクロ回路が起動される。これにより、そのマイクロ回路に関連付けされた所定のコンピュータ動作が識別され、始動される。導電物体は、金属または金属メッキ物体でよく、または、例えば、ペンやモバイルフォンの筺体、または、2つの接触部間の電気接触をするために一般的に充分な湿度がある場合、人間の指でもよい。
【0007】
マイクロ回路は、特に、書類の一部である媒体上に印刷することができる。書類は、1枚の紙と、複数のマイクロ回路と、2つ以上のマイクロ回路に共通のアンテナとを備える。アンテナは、2つ以上のマイクロ回路に接続される、または接続可能であることによって共通となる。マイクロ回路はRFIDラベルであってよい。接触部はスイッチであってよい。各マイクロ回路は1つ以上のスイッチに接続できる。
【0008】
1つの実施形態では、装置はマイクロ回路電源を備える。この電源はバッテリおよび/または、周囲光を捕捉して電気エネルギーに変換し、それをバッテリまたはコンデンサにも供給する、もしくはマイクロ回路に直接供給する光発電受信装置であってよい。また、電源は、アンテナを備え、このアンテナはバッテリにリンクされていてもされていなくてもよい。アンテナは導電性インクを用いて印刷することができる。
【0009】
マイクロ回路と電源とは接続によりリンクされ、定常時は開回路を構成し、(始動されると)閉回路を構成してマイクロ回路を起動することが有利である。すなわち、接触部が開状態のときはマイクロ回路には電源が供給されず、従って、オフのままである。一方、接触部が閉になると、マイクロ回路に電源が供給され、これによって識別が可能になる。
【0010】
1つの実施形態では、上述の接続は、スイッチを備える。
【0011】
スイッチは接触部を備えることが有利である。
【0012】
また、接触部は外部からアクセス可能である。したがって、ユーザが接触部間の回路を容易に閉状態にすることができる。
【0013】
1つの実施形態では、各接触部は互いに電気的に絶縁され、開電気回路を構成する。1つの接触部をマイクロ回路にリンクし、もう1つの接触部をアンテナにリンクしてもよい。変形として、その2つの接触部をマイクロ回路にリンクしてもよい。
【0014】
1つの実施形態では、装置はマイクロ回路との間で信号を送受信するアンテナを備える。このアンテナは、電気エネルギーの供給にも用いることができる。
【0015】
1つの実施形態では、装置は複数のマイクロ回路と、関連する接触部と、マイクロ回路にリンクする1つ以上のアンテナとを備える。このように、1つの共通アンテナが、選択的に電源供給され、また、そのために設けられた接触部によって起動される複数のマイクロ回路で共用できる。2つ以上のマイクロ回路が1つの共通部を共有することができる。
【0016】
1つの実施形態では、接触部は2つの交互の導電線ビームからなり、この2つの導電線ビームは大気と、紙および/または絶縁インクとにより絶縁され、紙の所定の領域をカバーし、所定の導電物体が表面の任意の部分に接触することにより、その部分間の電気的接触が確立されるように配置される。
【0017】
1つの実施形態では、書類は、制御コマンド送信要素を構成するアンテナを備える。
【0018】
制御システムは、印刷書類と、印刷書類との間で信号を交換する無線送受信機とを備える。
【0019】
1つの実施形態では、送受信機は演算ツールにリンクされ、その演算ツールは送信要素から、送受信機を介して送信される情報を受け取ると、コンピュータ動作を始動する。
【0020】
1つの実施形態では、制御コマンド生成および送信要素は、マイクロ回路とアンテナとで構成され、定常時は非アクティブ状態であり、ユーザ定義動作の間のみアクティブ状態になる。この動作は、導電物体を印刷媒体の所定の支持体上に置くことによって行われる。印刷によって安価に作成可能である書類を用いて、その書類周囲の一定の距離において、コンピュータ動作を選択的に始動することができる。
【0021】
1つの実施形態では、印刷書類には、信号送信のための装置および接触部を識別する信号を生成して送信する機能を有する装置のテキストおよび/またはイメージが設けられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、通信販売の分野で興味深い方法で利用することができる。顧客によっては、コンピュータスクリーンを見るより、紙のカタログを眺める方を好む場合がある。カタログの持ち主は、その商品に割り当てられたカタログの特定の領域に指、または、一般的な他の導電物体を置く事により、商品を選択することができる。電気的接続を可能にするこの領域は、該当する商品に割り当てられた領域内の特定の部分であってよく、または、その領域全体であってもよい。この領域を、”起動領域”と呼ぶ。電気的接触が確立されると、その起動領域に関連付けされたマイクロ回路がアクティブ状態になり、一意のコードを含む信号を、アンテナを介して送信することができるようになる。
【0023】
一意のコードを含む信号は、次に、コンピュータの近隣に配置され、コンピュータに接続された受信機によって検知される。コンピュータは、一意のコードを受信すると、続いて、例えば、そのコードに対応するインターネットページを開くなどの、所定のコンピュータ動作を始動する。そのインターネットページが、該当する商品に割り当てられた領域と同一内容であってもよいし、直接注文用紙になっていて自動的に記入されるようにしてもよい。このように本発明によれば、例えば、スクリーンのカタログよりも見やすい紙のカタログから簡単に商品を注文することができ、また、手書きやキーボードを使って注文用紙に記入する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、いくつかの実施形態の詳細な記載を読むことで一層理解されるであろう。実施形態は、添付図面に示される、何ら制限のない例である。
【0025】
書類の所定の位置に導電物体を置くことにより、その書類上に印刷されたマイクロ回路を起動し、それにより、適切な認識システムがある場合に、そのマイクロ回路を識別し、そのマイクロ回路に一意の様式で関連付けされた、所定のコンピュータ動作を始動することを提案する。マイクロ回路はRFIDラベルのチップであってよい。
【0026】
すなわち、1つの実施形態では、演算ツールに接続され、電磁波、例えば、無線波の受信が可能な装置を用いて実現される。この装置を送受信機と呼ぶ。書類には、1つ以上の特定のインクが用いられる。インクは、可視または不可視、層状に印刷され、絶縁層で分割可能なもの、またはそうでないもの、透明で、2つの機能に対応して印刷される2種類の幾何学的構造を実現するもの、またはそうでないものであってもよい。1つの機能は、制御コマンド生成および送信要素の機能であり、送受信機から送信された信号を受信すると、アクティブ状態の場合に、送受信機によって捕捉される特定の信号を送信する機能である。もう1つの機能は起動ゾーンの機能であり、ペンの金属先端や指先などの所定の物体によって接触されると、該当する制御コマンド生成および送信要素を起動する機能である。
【0027】
制御コマンド生成および送信要素は、アンテナと、マイクロ回路とを備え、これらは互いに電気的に接続されている。マイクロ回路はトランスポンダであってよい。アンテナは、送信機から送信される所定の電磁信号を受信し、それをそのアンテナが接続されているマイクロ回路に送信するものである。マイクロ回路は、送受信機によって送信され、アンテナによって捕捉された特定の信号に応答して、「署名」とも呼ばれる所定の信号をアンテナに送信する。アンテナは、受信信号に応答してマイクロ回路により送信された所定の電磁波信号を受信機に送信する。
【0028】
この実施形態では、制御コマンド生成および送信要素は、適切な送受信機がある場合、これらの信号を永久的に、かつ全てを一緒に送受信するものではなく、オペレータがアクティブ状態である場合にのみ個別に信号を送受信するものである。そのため、技術的制約は、通常発生する制約とは全く異なる。例えば、RFIDラベルの分野、特に、多数のRFIDラベルにより同時に送信される一連の署名を受信機で認識する場合や、例えば、RFIDラベルが積み重ねられた場合に発生するRFIDラベルアンテナ間の干渉問題の解決などとは異なる。
【0029】
一方、書類の所定の部分の上に導電物体を置くことによって特定の制御コマンド生成および送信要素を起動することにより、上述の問題を解決し、制御コマンド生成および送信要素と、アンテナ特性によって定義される範囲に含まれる距離にある送受信機との間の通信を提供する。このように、書類に、マイクロ回路とアンテナとで構成される制御コマンド生成および送信要素を任意の数だけ印刷することができる。これらの制御コマンド生成および送信要素の各々は一意である。つまり、その制御コマンド生成および送信要素がアクティブ状態であれば、送受信機から受信した信号に応答して、一意の信号を、適合する送受信機に送り返す。一意の信号は、“署名”とも呼ばれる。したがって各制御コマンド生成および送信要素と、それらの署名との間には全単射が存在する。各制御コマンド生成および送信要素は、書類に印刷された、1つ以上の起動ゾーンにリンクされる。
【0030】
演算ツールは、永続的に電磁波を送受信する送受信機を備える。送受信機は、書類内に存在する制御コマンド生成および送信要素と適合する。つまり、送受信機が送信する電磁波が制御コマンド生成および送信要素によって捕捉され、アクティブ状態にされた制御コマンド生成および送信要素が、その送受信機が認識する信号の形式の署名をその送受信機に返信する。書類は送受信機の機能ゾーン内に配置され、その機能ゾーンの範囲は数センチメートルから数メートルである。デフォルトでは、制御コマンド生成および送信要素に関連付けされた起動ゾーンの中に適切な接触がない場合は、いかなる制御コマンド生成および送信要素もアクティブ状態にされることはない。送受信機が、送信した電磁波に対する返信である信号を受信することはない。ユーザが、書類に印刷された起動ゾーン上に導電物体を接触させると、その起動ゾーンに関連付けされたマイクロ回路が瞬時に起動される。マイクロ回路が起動されたことの通知は、送受信機が送信した信号に応答して、マイクロ回路が、関連するアンテナを介して、マイクロ回路の署名を送信することにより行われる。送受信機によって捕捉された署名は、次に、送受信機自体、または送受信機と接続された演算ツールのいずれかによって、解釈され、特定のコンピュータ動作を始動する。署名は、その署名中に存在する識別子に関連付けされて、データベース内に記録されている、特定のデジタル命令に明確に対応していることが有利である。署名が演算ツールによってデコードされると、その特定のコンピュータ命令が動作する。
【0031】
関連するコンピュータ動作は、送受信機が接続された演算ツール内で、演算ツール内に存在するファイル、またはその演算ツールが接続されたコンピュータネットワーク上に存在するファイルを開くことであってよい。関連するコンピュータ動作は、演算ツールのスクリーン上のアクティブ状態のエントリーフィールドに、マイクロ回路の署名に関連する文字列を明確な様式で入力することであってよい。
【0032】
別の実施形態では、演算ツールは電話機であってよく、関連するコンピュータ動作は、特定の識別子の送信に関連する、または関連しない電話番号を自動ダイヤルすることであってよい。ファイルアドレス、または演算命令、または電話番号および場合によっては関連する識別子は、マイクロ回路内に直接コード化することができる。従って、単にその署名を解釈するだけで、関連付けされたコンピュータ動作を始動することができ、間にデータベースを使用する必要がない。
【0033】
1つの実施形態では、署名は複数のコードを含み、それらのコードの1つは特定のコンピュータアプリケーションをその演算ツール上で起動することに対応し、それらの他の1つのコードは、コンピュータ動作の特定の命令に対応し、それらの他の1つのコードはコンピュータ命令によって動作可能である特定の識別子に対応する。
【0034】
1つの実施形態では、署名内に存在するコードを用いて、その署名がどのタイプの演算ツールに適合するのかを判断する。例えば、書類の送受信周辺内に、システムを有する演算ツールが複数発見された場合に、そのコードによってこれらのツールの1つ、例えば、電話機などの他のものではなく、例えば、コンピュータにおいて、動作を始動させることができる。
【0035】
1つの実施形態では、書類は複数のマイクロ回路を含み、各マイクロ回路はその署名によって特徴付けされる。各マイクロ路は1つ以上の起動ゾーンに関連付けされる。ユーザが導電物体を起動ゾーン上に置くと、システムは、その書類のすべてのマイクロ回路の中から、そのゾーンに関連するマイクロ回路だけを起動する。それにより、その署名を正確に判断し、関連する命令を実行することが可能になる。
【0036】
1つの実施形態では、起動ゾーンがマイクロ回路とアンテナとの間に電気的スイッチを構成する。デフォルトでは、このスイッチは開状態であり、マイクロ回路とアンテナとの間で電気信号は伝えることができない。従って、マイクロ回路は信号の送受信は行わない。マイクロ回路とアンテナとで構成する制御コマンド生成および送信要素は非アクティブ状態にある。ユーザが、特定の物体を起動ゾーン内に接触させると、そのゾーンが、アンテナとマイクロ回路との間で閉スイッチとして機能する。アンテナが、送信機から発信された適切な信号を捕捉すると、その信号はマイクロ回路に送信され、マイクロ回路は、その信号を受信すると、それに応答して所定の信号をアンテナに返信し、アンテナは、その信号を受信機に送信する。この動作に要する時間は、数百分の1秒であり、物体を書類上に押圧する時間と比較すると無視できる。この接触の間、マイクロ回路はアクティブ状態である。
【0037】
1つの実施形態では、起動ゾーンは導電性のインクを用いて印刷される2つの構造物を有する。起動ゾーンの全てのポイントにおいて、これら2つの構造物間の距離は、紙と大気により。それらの間の電気的絶縁を確保するための必要最小距離以上であり、また所定の導電物体の接触により構造物が電気的に接続される最大許容距離以下である。
【0038】
起動ゾーンに2つの印刷された任意の形状の導電線を有することもできる。これらの線は何時も互いに接触したり交差したりせず、互いに上述の条件に従う最小および最大距離の関係に配置される。
【0039】
他の実施形態では、起動ゾーンは2つの印刷された導電線ビームを有する。これら2つのビームは、1つのセットの各線が他のセットのどの線とも何時も接触したり交差したりしない限り、任意の形状でよい。また、起動ゾーンのすべてのポイントにおいて、これらのセットが互いに上述の条件を満たす距離の関係に配置される。この配置は、次の2つの利点がある。複数の導電線ビームを介して接触が行われるので、1つの導電線が遮断しただけではシステムが動作不能にならない。必要な大きさの領域を全ての導電線でカバーできるので、例えば、写真全体の領域など、書類の一部を任意の大きさでアクティブ状態にすることができる。起動ゾーン上の電気的接触に用いる物体はオペレータの指先でよい。通常状態では、皮膚の電気抵抗は紙のそれに比べ非常に低く、従って紙が絶縁している限り、導電していると考えられる。皮膚の状態が非常に乾燥している場合は、ペンの金属製の先端などの導電物体を用いることが好ましいであろう。
【0040】
1つの実施形態では、複数のマイクロ回路を同じアンテナにリンクし、アンテナの数を減らし、印刷されたアンテナの特性を最適化する。この実施形態では、ある任意の瞬間では、一度にアンテナにリンクされるマイクロ回路は1つだけである。この配置は特に、システムの動作の点で有用である。実際、アンテナの送受信性能は、概して、そのアンテナの螺旋によってカバーされる面積に比例する。この面積は、螺旋の平均面積と螺旋の数との積に等しい。このように、螺旋の平均面積が広くなると、そのアンテナの送受信能力が大きくなる。従って、できるだけ広い面積をカバーする螺旋を有するアンテナを用いることが重要である。印刷される書類の場合は、最大面積は、その書類の頁の面積に等しい。標準のRFIDラベルアンテナは一般に5cm幅の正方形を占有する。つまり、A4サイズの頁の約23分の1よりも小さい。標準のRFIDラベルアンテナと同じ数の螺旋を有すると仮定すると、概算では、アンテナがA4サイズ頁の周辺をカバーするには23倍以上効率がよいであろう。従って、書類の頁の境界線上にアンテナを印刷して、そのアンテナの1つ以上の起動ゾーンを介して各マイクロ回路をリンクすることが有利である。
【0041】
1つの実施形態では、マイクロ回路、起動ゾーン、アンテナ、およびこれらの要素間のリンクは、ソフトウエアシステムを用いて挿入される。このソフトウエアシステムを用いて、書類の起動ゾーンを定義すること、各起動ゾーンのファイルを作成することおよびそれを書類のファイルへ挿入すること、印刷されるマイクロ回路のファイルを自動作成することおよびそれらを書類のファイルへ自動挿入すること、印刷されるアンテナのファイルを自動生成することおよびそれらを書類のファイルへ自動挿入すること、マイクロ回路、起動ゾーン、およびアンテナ間のリンクパスの自動定義による1つ以上の起動ゾーンへのマイクロ回路の関連付けを行い、適切なインクを用いてファイルを印刷に使用することを可能にする。
【0042】
他の実施形態では、導電物体を用いて、マイクロ回路に関連するアンテナが送受信する信号を増幅する。この場合、接触部はスイッチを構成せず、外部アンテナのベースを構成する。
【0043】
書類上には、リンクされたマイクロ回路と、印刷されたアンテナとで構成する制御コマンド生成および送信要素が1つ以上印刷される。アンテナは、所定の範囲内に配置された送受信装置から一定の距離に配置される場合、送信機から送信されたものおよび/または制御コマンド生成および送信要素から受信機に送信されたものから、アンテナによって受信マイクロ回路へ送信される信号は非常に弱く受信側、制御コマンド生成および送信要素、または受信機で捕捉して解釈できない。ユーザが導電物体を置いてアンテナに接触させると、その物体および/またはユーザの体が電磁アンテナを構成し、制御コマンド生成および送信要素により送受信される信号を十分に増幅するので、それら送受信された信号を使用することが可能になる。このように、制御コマンド生成および送信要素の起動ゾーンはそのアンテナそのものによって構成される。
【0044】
図1から分かるように、演算ツール1は、例えば、中央装置、スクリーン、およびキーボードを備えるコンピュータであり、送受信機2にリンクされている。ここで、リンクとは接続されていることを意味する。なお、リンクとしては赤外線波、電磁波などを用いるリンクも想定されている。書類3、例えば紙のシートには、マイクロ回路5と、アンテナ6と、導電物体が接触するとマイクロ回路5を起動する起動ゾーン4とが収容、または印刷される。マイクロ回路5とアンテナ6とは回路を構成し、アクティブ状態にされ、送受信機2から発信される電磁波を受信すると、送受信機2によって捕捉される特定の署名を返信可能である。この書類には任意の数のマイクロ回路5、起動ゾーン4およびアンテナ6を収容することができる。
【0045】
システムのユーザが、例えば、演算ツール1への命令を介して送受信機2を起動すると、その送受信機2は電磁信号7を送信する。書類3は送受信機2の送受信周辺内、つまり、一般には、数センチメートルから数メートルの範囲の距離に存在する。起動ゾーン4は接触部から成る。導電物体の接触がない場合は、起動ゾーン4はマイクロ回路5とアンテナ6との間に開スイッチを構成する。従って書類3上に印刷されたマイクロ回路は非アクティブ状態である。ユーザが導電物体8を書類3上に印刷された起動ゾーン4上に置くと、起動ゾーン4は、それに関連するマイクロ回路5とアンテナ6との間に閉スイッチを構成する。次にマイクロ回路5は、送受信機2から発信され、アンテナ6によって捕捉された信号7を受信する。マイクロ回路5は、その信号7に応答し、アンテナ6を介して、特定のコードまたは署名を含む信号9を送信する。書類3が、送受信機2の送受信周辺内で見つかると、送受信機2は信号9を検知し、署名を演算ツール1に送信し、それによってその署名に関連する動作を始動する。
【0046】
図2から分かるように、起動ゾーン4、マイクロ回路5、およびアンテナ6は書類上に印刷される。マイクロ回路5は起動ゾーン4に電気的にリンクされている。アンテナ6は起動ゾーン4に電気的にリンクされている。起動ゾーン4は導電性のインクを用いて印刷された2本の導電線10および11を有し、これらの2本の導電線は全てのポイントにおいて、書類の紙と大気とによって構成される絶縁ゾーン12によって電気的に分離されている。外部の導電物体による接触がない場合は、起動ゾーン4は開スイッチを構成する。従って、マイクロ回路5とアンテナ6との間には電気的接続は存在しない。マイクロ回路は非アクティブ状態である。ユーザが適切な導電物体8を起動ゾーン4上に置くと、2本の導電線10および11の間に接触が確立される。起動ゾーン4はマイクロ回路5とアンテナ6との間に閉スイッチを構成する。マイクロ回路はアクティブ状態である。
【0047】
図3に示すように、起動ゾーン4は、導電性のインクを用いて印刷された2つのビーム13および14を有し、これらのビームは書類の紙と大気とで構成される絶縁ゾーン12によって分離されている。起動ゾーン4の動作は図2に示すものと同様である。
【0048】
図4を参照すると、導電物体8が導電線13と14とを短絡し、マイクロ回路5とアンテナ6との間の電気回路を閉状態にしていることがわかる。
【0049】
図5に示す実施形態では、書類3には、アンテナ6と、2つのマイクロ回路5と、2つの起動ゾーン4とが備えられている。各マイクロ回路5は起動ゾーン4とリンクされている。2つの起動ゾーン4は1つのアンテナ6にリンクされている。アンテナ6は、そのアンテナ6の螺旋が作る面積が可能な限り最大になるように、書類3の境界上に構成される。機能は既に記載したものと同様である。起動ゾーン4上に導電物体がない場合は、その起動ゾーン4は開スイッチを構成する。マイクロ回路は非アクティブ状態である。ユーザが導電物体を起動ゾーン4上に置くと、その起動ゾーン4に関連するマイクロ回路5とアンテナ6との間に電気的接触が確立される。マイクロ回路はアクティブ状態になり、共通アンテナ6を介して、その署名を送信する。他の起動ゾーン4が起動された場合も動作は同様である。
【0050】
図6に示す実施形態では、演算ツール1および送受信機2は図1に示すものと同様である。書類3は、両方のタイプの起動ゾーンを備え、起動ゾーン4とマイクロ回路5は電気的にリンクされている。起動ゾーン4は、特定の導電物体が接触すると、そのマイクロ回路に関連するアンテナとして機能し、制御コマンド生成および送信要素を構成する。起動中は、マイクロ回路5は送受信機2から発信される電磁波に対して、署名の形で署名を送信することができる。導電接触がない場合、起動ゾーン4はアンテナを構成するが、そのアンテナは、送受信機2から発信された信号をマイクロ回路5に送信、またはマイクロ回路5から発信された信号を送受信機2に送信するには不十分である。従って、書類3のマイクロ回路5と起動ゾーン4とで構成する制御コマンド生成および送信要素は非アクティブ状態である。書類3上に印刷された起動ゾーン4上にユーザが導電物体8、例えば指を置くと、起動ゾーン4と、導電物体8、例えば人間の体とで構成されるシステムがアンテナを構成し、そのアンテナは、起動ゾーン4自体の持つ電磁送受信性能よりはるかに大きな性能を有する。次にマイクロ回路5が、送受信機2によって発信され、導電物体8と起動ゾーン4とで構成するアンテナにより捕捉された信号7を受信する。マイクロ回路5はマイクロ回路のコードまたは署名を含む信号9を起動ゾーン4に向けて送信する。信号9は起動ゾーン4と導電物体8とで構成するシステムによって送信される。書類3が、送受信機2の送受信周辺内で見つけられた場合は、送受信機2は信号9を捕捉し、演算ツール1に署名を送信し、それによって、その署名に関連付けされた所定の動作を始動する。
【0051】
このように、紙媒体上のカタログの快適性と、演算ツールのスクリーン上に表示されるカタログにより提供される注文し易さとを提供することによって、簡単でかつ使い易いカタログの使用方法を可能にした。これにより、ユーザは、注文したい対象物の写真を指で触れるだけで、例えば、注文用紙に記入するなどのコンピュータ動作を始動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明のシステムの概略図である。
【図2】図2は、本発明の特徴に従った書類の一部の概略図である。
【図3】図3は、図2の変形である。
【図4】図4は、図3の書類の導入例を示す。
【図5】図5は、本発明の別の特徴に従った書類の概略図である。
【図6】図6は、図1の変形を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ回路(5)の識別を可能にする信号を生成して送信する機能を有する1つ以上のマイクロ回路(5)と、該マイクロ回路(5)に連結され、前記マイクロ回路(5)を起動するための接触部とを備える印刷書類(3)。
【請求項2】
前記マイクロ回路は印刷されたものである請求項1に記載の書類。
【請求項3】
1枚の紙と、複数のマイクロ回路と、2つ以上のマイクロ回路に共通のアンテナとを備え、前記マイクロ回路はRFIDラベルを備え、接触部はスイッチを形成し、各マイクロ回路は1つ以上のスイッチに接続されている請求項1または2に記載の書類。
【請求項4】
マイクロ回路電源を備える請求項1〜3のいずれかに記載の書類。
【請求項5】
前記電源はバッテリを備える請求項4に記載の書類。
【請求項6】
前記電源はアンテナ(6)を備える請求項4に記載の書類。
【請求項7】
前記アンテナは導電性インクを用いて印刷されたものである請求項4に記載の書類。
【請求項8】
前記電源は光発電受信装置を備える請求項4に記載の書類。
【請求項9】
前記マイクロ回路と前記電源とは、接続によりリンクされ、定常時は開回路を形成し、前記マイクロ回路を起動するときに閉回路を形成する請求項4〜8のいずれかに記載の書類。
【請求項10】
接続はスイッチを備える請求項9に記載の書類。
【請求項11】
接続は前記接触部を備える請求項9に記載の書類。
【請求項12】
前記マイクロ回路との間で信号を送信および/または受信するアンテナ(6)を備える請求項1〜11のいずれかに記載の書類。
【請求項13】
前記接触部は外部からアクセス可能である請求項1〜12のいずれかに記載の書類。
【請求項14】
前記接触部は互いに電気的に絶縁されて開電気回路を形成する請求項1〜13のいずれかに記載の書類。
【請求項15】
複数のマイクロ回路と、関連する接触部と、前記マイクロ回路にリンクされているアンテナとを備える請求項1〜14のいずれかに記載の書類。
【請求項16】
前記接触部は、2つの交互の導電線ビーム(13、14)を備え、該2つの導電線ビームは、大気と前記紙および/または絶縁インクとによって電気的に絶縁され、前記紙の特定の領域をカバーし、所定の導電物体が前記表面の任意の部分に接触すると、前記部分間に電気的接触が生じるように配置される請求項1〜15のいずれかに記載の書類。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の書類を備える制御システムであって、前記書類(3)との間で信号を交換する無線送受信機(2)を備えるシステム。
【請求項18】
前記送受信機(2)は、マイクロ回路とアンテナとによって形成される制御コマンド生成および送信要素から前記送受信機を介して発信される情報を受信するための、コンピュータ動作を始動する機能を有する演算ツール(1)にリンクされている請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記マイクロ回路は、定常時は非アクティブ状態であり、ユーザ定義動作の間だけアクティブ状態である請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれかに記載の書類を用いる書類生成システムであって、メモリに記憶される制御プログラムを備え、該プログラムにより、ユーザが書類の起動ゾーンを定義し、各起動ゾーンのファイルを作成して、それを前記書類のファイルへ挿入し、印刷されるマイクロ回路のファイルを自動的に生成して、それを前記書類のファイルへ自動的に挿入し、印刷されるアンテナのファイルを自動的に生成して、それを前記書類のファイルへ自動的に挿入し、前記マイクロ回路と前記起動ゾーンと前記アンテナとの間のリンクパスを自動的に定義することにより、マイクロ回路を1つ以上の起動ゾーンに関連付け、前記マイクロ回路と起動ゾーンとアンテナとを挿入し、これらの要素をリンクするために、適切なインクを使用して前記ファイルを印刷に使用できるようにするシステム。
【請求項21】
マイクロ回路署名は複数のコードを含み、該複数のコードの1つは、前記演算ツール上での特定のコンピュータアプリケーションの起動に対応し、前記コードの他の1つは、前記コンピュータ動作の特定の命令に対応し、前記コードの他の1つは、1つのコンピュータ命令によって動作可能な特定の識別子に対応する請求項17〜20のいずれかに記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−513901(P2008−513901A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532924(P2007−532924)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【国際出願番号】PCT/FR2005/002327
【国際公開番号】WO2006/032777
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(507310721)
【Fターム(参考)】